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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】女性用インナー
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/00 20060101AFI20240322BHJP
   A41C 3/12 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A41C3/00 A
A41C3/12 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023121714
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-08-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523272498
【氏名又は名称】今津正美
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】今津 正美
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-256404(JP,A)
【文献】特開2003-038537(JP,A)
【文献】特表2016-507660(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1649520(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/00
A41C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に一対のカップを収納した一対のカップ部を有する前身頃と、後身頃とを備えたインナー本体を持つ女性用インナーにおいて、
前記前身頃の上部に配され、装着時に、装着者の前側(以下、「内外上下前後左右」の方向を示す用語は、装着時の装着者から見ての内外上下前後左右を指すものとする)でたすき掛けとなる無限を示す記号∞状の第1ストラップ、および前記後身頃の上部に配され、装着時に、装着者の後ろ側でたすき掛けとなる無限を示す記号∞状の第2ストラップを備え、
前記第1ストラップは、前記一対のカップ部の中央の位置にX状の交叉部を有し、その交叉部の右側に第1右側ループ部が、左側に第1左側ループ部がそれぞれ設けられており、
前記第1右側ループ部は、
前記交叉部から前記前身頃に沿い、かつ右側のカップ部のアッパーバストおよびアンダーバストにそれぞれ沿って外方に延びる上下2本の第1右側内側ストラップ部分と、これらの2本の第1右側内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の右肩に掛かるターン部となる2本の第1右側外側ストラップ部分で構成されており、一方、前記第1左側ループ部は、前記前身頃に沿い、かつ左側のカップ部のアッパーバストおよびアンダーバストにそれぞれ沿って外側延びる上下2本の左側内側ストラップ部分と、これらの2本の第1左側内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の左肩に掛かる左ターン部となる2本の左側外側ストラップ部分で構成されており、
前記第2ストラップは、前記後身頃の左右方向の中央の位置にX状の交叉部を有し、その交叉部の右側に第2右側ループ部が、左側に第2左側ループ部がそれぞれ設けられており、前記第2右側ループ部は、前記後身頃に沿い、互いに離れる方向にかつ外側に延びる上下2本の第2内側ストラップ部分と、これらの2本の第2内側ストラップ部分の外端から、前記後身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の右肩に掛かるターン部となる2本の第2外側ストラップ部分で構成されており、一方、前記第2左側ループ部は、前記後身頃に沿い、互いに離れる方向にかつ外側に延びる上下2本の内側ストラップ部分と、これらの2本の内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の左肩に掛かるターン部となる2本の外側ストラップ部分で構成されており、
そして、一端が前記一対のカップ部の一方のカップ部に取り付けられ、そこから前記前身頃の前を、他方のカップ部の下側、この他方のカップ部側の脇の下、そこから後身頃の外側、一方のカップ部側の脇の下、そこから他方のカップ部に延び、他端が他方のカップ部に取り付けられた、伸縮可能なバスト作用用の第3ストラップ
を備えていることを特徴とする女性用インナー。
【請求項2】
前記インナー本体が、コットン、シルクまたはコットンとシルクの混紡で形成された請求項1の女性用インナー。
【請求項3】
前記第1、第2および第3ストラップが、コットンを主素材とする伸縮性織物で形成された請求項1の女性用インナー。
【請求項4】
前記第1、第2および第3ストラップには、それぞれ長さを調節するためのアジャスターが設けられている請求項1の女性用インナー。
【請求項5】
前記第3ストラップの両端部の前記カップ部への取り付け位置が、前記カップ部に収納されたカップの上下方向の水平中心線と幅方向の垂直中心線で分けられた4つの区分のうちの外側下の区分に対応するカップ部の区分である請求項1の女性用インナー。
【請求項6】
前記第3ストラップの両端部の前記カップ部への取り付け位置が、前記外側下の区分内であって、前記垂直中心線から外側に1~10mmの間で、カップの外周縁から0~30mmの間の部分である請求項5の女性用インナー。
【請求項7】
前記第3ストラップの両端部の前記カップ部への取り付け位置が、前記垂直中心線から外側に1.5~5mmの間である請求項6の女性用インナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性用インナーに関し、さらに詳細には、装着者に機能的に働く機能性女性用インナーに関する。
【背景技術】
【0002】
このような女性用インナーとしては、女性用姿勢矯正下着が知られている。
姿勢の良さは、人の美しさにとって重要である。特に女性の美しいプロポーションにとって、乳房は重要な要素である。美しいプロポーションが崩れる要因は、矢状面と前額面の姿勢の崩れである。矢状面の姿勢の崩れである習慣性円背は、矢状面の姿勢を構築している頚椎・胸椎・腰椎の弯曲バランスが崩れ、胸椎後弯角が増大することで生じ、胸椎後弯角が増大することによって胸郭前方に位置する乳房は必然的に前方に下がる状態となる。また、胸椎後弯角が増大すると、姿勢バランスをとるために、頭部が前方に出て、腰椎が後弯角増大に陥りやすくなり、重心が後方に傾き歩行運動に支障をきたすこともある。前額面の姿勢の崩れである習慣性側弯は、片側にバッグを持ったり、仕事やスポーツで片側に体を傾けたりすることなどの影響により、背骨を支える左右の筋バランスが崩れ、強く収縮した方に骨格が変性することによって発生し、左右の乳房の位置が傾き、乳房の高さが異なる状態となる。これらの姿勢の崩れは、腰痛や肩凝り、緊張性頭痛などを引き起こし、健康面での問題を招いている。
【0003】
上記のように崩れた姿勢を正しく補正するための下着が数多く存在する。例えば、特許文献1には、伸縮性テープを、脇側の後身頃から脇を通し、肩を経て後身頃の上端に接合することによって、上半身の前屈を防止し、両肩甲骨を引き寄せることによって背筋を強化する姿勢矯正具としての効果を有するブラジャーとして使用できるハーフトップが開示されている。また、特許文献2には、伸縮性素材からなる身生地と強緊締部からなる下着であって、その強緊締部は、前身頃において左右の胸近傍から裾近傍にかけて幅広となっており、下着の下部で交差することで腹直筋をリフトアップし、後身頃において左右の肩甲骨下方の僧帽筋から脊柱起立筋の一部を通って背中中央で交差し反対側の腰近傍に至ることで、背部の筋肉(僧帽筋と脊柱起立筋)をサポートする姿勢矯正下着が開示されている。
【0004】
また、特許第5086672号公報(特許文献3)では、習慣性円背や習慣性側弯による姿勢の崩れを矯正しつつ、従来の姿勢矯正のための下着が有する、圧迫感や違和感、ファッション性に欠けるなどの問題点を解決すべくなされたものであって、伸縮性素材による脇から肩にかけての引張りがなく、また、体幹である腹部や腰部のサポートを有しないため、圧迫感・違和感をほとんど感じず快適に日常的に着用することができ、毎日着用することによって姿勢改善効果とバストアップ効果を奏する女性用姿勢矯正下着を提案している。
【0005】
この公報に記載された女性用姿勢矯正下着は、
伸縮力および伸縮方向が異なる複数の領域から構成される帯状体と、
カップ部分と、
肩紐部分と、
を備えた女性用姿勢矯正下着であって、
前記帯状体は、有端であり、前記複数の領域は、身体に装着した時に胸郭部分を取り巻くアンダーバストの中央に位置する第1領域と、前記第1領域の左右に隣接する第2領域、および前記帯状体の端部を構成する第3領域を備え、
前記第2領域は、前鋸筋および菱形筋に働きかけるために、前記帯状体を身体に装着した時に第5肋骨、第6肋骨、第7肋骨および第8肋骨の全てまたは一部を覆う伸張力が最も強い領域であり、前記第2領域は、胸郭部を取り巻くアンダーバストの部位の水平線から胸椎骨方向斜め上方に30度~80度で伸張することによって肩甲骨下角を胸椎骨方向に下方回旋運動するように構成されており、および前記第2領域は、胸郭前方の第8肋骨で全長の1/2あたりから第7肋骨、第6肋骨、第5肋骨の側方部にある位置を通過し肩甲骨外側縁に向かう中央部分と、その前方部分およびその後方部分に分かれ、前記中央部分に、前記第1領域より強着圧で、伸縮目が筋肉に対して直交に伸びにくい目を持つ素材を搭載することを特徴とする女性用姿勢矯正下着である。
【0006】
ところで、本発明の発明者は、人間の老化を次のように考えた。
当然のことながら、人間は、幼児→子供→大人→老人の方向で成長し、それと同時に老化が進んでいる。
と言う事は、身体の構造的変化には老化(成長)に方向性の法則があるのではないだろうかと考えた。
この方向は、生きている人を見てもわからないので、受精の時の様子で、考えてみた。
卵子に精子が入った瞬間が受精であり、この受精状態は、穴(開口)の無い卵子に対して、精子が卵子に穴(開口)を形成しながら、押し込んで入いる。押し込まれた感じの形の穴(開口)は、人間の身体の中では肛門だけである。なので、人間の最初は肛門と決まるのではないだろうかと考え、そして、その反対側が口と決まり、口と肛門の間に、背骨と消化器官が出来るのではないだろうか。この背骨に対して、左右から肋骨が伸びていき、前で繋がる。
この、肋骨が伸びていく方向が、成長=老化の方向だと考えた。従って、この逆に動かせば、若返ることが出来るはずだと仮定した。
【0007】
そして、人間が、日常で身体を使う時、手と足を初めとする各部位をねじりながら使っている事も知見した。例えば、お寿司を手で食べる時のことを考えると、
お寿司をつまむ時の手の甲は、上を向き、口に入れる時には下を向き、その過程で腕をねじっている。
また、2本の足を考えると、この2本の足で歩く動作は、骨盤の真横についている足を前方に振り出す際に、その都度、内側へのねじれを生じさせている。
このように、日常でねじりながら使っている方向が、老化の方向と考え、身体に、このねじりと逆の方向に向かう力を与えて動かしていけば、アンチエイジング(老化防止)、更には若返りに繋がると考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-214813号公報
【文献】特開2011-99190号公報
【文献】特許第5080672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、発明者の上記考えに基づきなされた発明であり、アンチエイジング、各種美容改善に繋がる女性用インナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、下記(1)~(7)の構成の女性用インナーにより解決される。
(1)
上部に一対のカップを収納した一対のカップ部を有する前身頃と、後身頃とを備えたインナー本体を持つ女性用インナーにおいて、
前記前身頃の上部に配され、装着時に、装着者の前側(以下、「内外上下前後左右」の方向を示す用語は、装着時の装着者から見ての内外上下前後左右を指すものとする)でたすき掛けとなる無限を示す記号∞状の第1ストラップ、および前記後身頃の上部に配され、装着時に、装着者の後ろ側でたすき掛けとなる無限を示す記号∞状の第2ストラップを備え、
前記第1ストラップは、前記一対のカップ部の中央の位置にX状の交叉部を有し、その交叉部の右側に第1右側ループ部が、左側に第1左側ループ部がそれぞれ設けられており、
前記第1右側ループ部は、
前記交叉部から前記前身頃に沿い、かつ右側のカップ部のアッパーバストおよびアンダーバストにそれぞれ沿って外方に延びる上下2本の第1右側内側ストラップ部分と、これらの2本の第1右側内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の右肩に掛かるターン部となる2本の第1右側外側ストラップ部分で構成されており、一方、前記第1左側ループ部は、前記前身頃に沿い、かつ左側のカップ部のアッパーバストおよびアンダーバストにそれぞれ沿って外側延びる上下2本の左側内側ストラップ部分と、これらの2本の第1左側内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の左肩に掛かる左ターン部となる2本の左側外側ストラップ部分で構成されており、
前記第2ストラップは、前記後身頃の左右方向の中央の位置にX状の交叉部を有し、その交叉部の右側に第2右側ループ部が、左側に第2左側ループ部がそれぞれ設けられており、前記第2右側ループ部は、前記後身頃に沿い、互いに離れる方向にかつ外側に延びる上下2本の第2内側ストラップ部分と、これらの2本の第2内側ストラップ部分の外端から、前記後身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の右肩に掛かるターン部となる2本の第2外側ストラップ部分で構成されており、一方、前記第2左側ループ部は、前記後身頃に沿い、互いに離れる方向にかつ外側に延びる上下2本の内側ストラップ部分と、これらの2本の内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の左肩に掛かるターン部となる2本の外側ストラップ部分で構成されており、
そして、一端が前記一対のカップ部の一方のカップ部に取り付けられ、そこから前記前身頃の前を、他方のカップ部の下側、この他方のカップ部側の脇の下、そこから後身頃の外側、一方のカップ部側の脇の下、そこから他方のカップ部に延び、他端が他方のカップ部に取り付けられた、伸縮可能なバスト作用用の第3ストラップ
を備えていることを特徴とする女性用インナー。
(2)
前記インナー本体が、コットン、シルクまたはコットンとシルクの混紡で形成された前記(1)の女性用インナー。
(3)
前記第1、第2および第3ストラップが、コットンを主素材とする伸縮性織物で形成された前記(1)の女性用インナー。
(4)
前記第1、第2および第3ストラップには、それぞれ長さを調節するためのアジャスターが設けられている前記(1)の女性用インナー。
(5)
前記第3ストラップの両端部の前記カップ部への取り付け位置が、前記カップ部に収納されたカップの上下方向の水平中心線と幅方向の垂直中心線で分けられた4つの区分のうちの外側下の区分に対応するカップ部の区分である前記(1)の女性用インナー。
(6)
前記第3ストラップの両端部の前記カップ部への取り付け位置が、前記外側下の区分内であって、前記垂直中心線から外側に1~10mmの間で、カップの外周縁から0~30mmの間の部分である前記(5)の女性用インナー。
(7)
前記第3ストラップの両端部の前記カップ部への取り付け位置が、前記垂直中心線から外側に1.5~5mmの間である前記(7)の女性用インナー。
【発明の効果】
【0011】
本発明の女性用インナーは、以上のような構成を持つ前記第1、第2および第3ストラップの機能・作用により、装着者の上半身、特に肩、バストに作用して、特にアンチエージングやバストアップの効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態による女性用インナーの正面図である。
図2】本発明の実施の形態による女性用インナーの前身頃を裏側見た図である。
図3】本発明の実施の形態による女性用インナーの背面図である。
図4図1図2に示した女性用インナーの前身頃に設けた第1ストラップの構造を説明するための図である。
図5図3に示した女性用インナーの後身頃に設けた第2ストラップの構造を説明するための図である。
図6図1図2図3に示した女性用インナーの前身頃からに後身頃に渡って設けられた第3ストラップの構造を説明するための図である。
図7図1図3に示した女性用インナーを装着者が装着した状態を斜め前から見た斜視図である。
図8図1図3に示した女性用インナーを装着した状態を斜め後ろから見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態による女性用インナー10(以下、単に「インナー」と称することもある)を説明する。なお、以下の説明において、「内外上下前後左右」の方向を示す用語は、装着時の装着者から見ての内外上下前後左右を指すものとする。
【0014】
インナー10は、上部に一対のカップC1(右カップ)、C2(左カップ)を収容しているか、または取り付けられた一対のカップ部14a、14bを有する前身頃14(図1a、1b参照)と、後身頃16(図1c参照)とを備えたインナー本体12を持つ女性用インナー(下着)である。
前記前身頃14と、後身頃16は、一般の女性用下着や高級下着で用いられているコットン等(コットン、シルクまたはコットンとシルクの混紡)の素材で形成された生地で形成されていることが好ましい。これらの生地は、従来からの下着の素材と同様、多少の伸縮性を有していることが好ましい。
【0015】
前記インナー10は、前記前身頃14の上方部分に配され、インナー10の装着時に、装着者の前側でたすき掛けとなる全体として無限を示す記号∞状の第1ストラップ20(図1a、1b参照)、および前記後身頃14の上方部分に配され、インナー10の装着時に、装着者の後ろ側でたすき掛けとなる全体として無限を示す記号∞状の第2ストラップ50(図1c参照)を備えている。前記第1ストラップ20および第2ストラップ50には、それぞれ装着者の体格等を考えて、長さを調節可能にするためのアジャスター22、52が設けられている。前記第1ストラップ20および第2ストラップ50の素材としては、前記前身頃14や後身頃16で用いている素材(すなわち、コットン)や、コットンとポリウレタンの混紡を用いることができ、編成の仕方等により多少の伸縮性を有していることが好ましい。
【0016】
第1ストラップ20
前記第1ストラップ20は、前記一対のカップ部の間の中央の位置にX状の交叉部22を有し、この交叉部22の右側に第1右側ループ部24Rが、左側に第1左側ループ部24Lがそれぞれ設けられている。
前記第1右側ループ部24Rは、前記交叉部22から前記前身頃14に沿い、かつ右側のカップ部14aのアッパーバストおよびアンダーバストにそれぞれ沿って外方に延びる上下2本の第1右側内側ストラップ部分24Raと、これらの2本の第1右側内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の右肩に掛かるターン部26aとなる2本の第1右側外側ストラップ部分24Rbで構成されている。
【0017】
一方、前記第1左側ループ部24Lは、前記前身頃14に沿い、かつ左側のカップ部14bのアッパーバストおよびアンダーバストにそれぞれ沿って外側延びる上下2本の左側内側ストラップ部分24Laと、これらの2本の第1左側内側ストラップ部分の外端から、前記前身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の左肩に掛かる左ターン部26bとなる2本の左側外側ストラップ部分24Lbで構成されている。
なお、第1ストラップ20は、前記交叉部22で交叉するストラップ部分が縫い合わせ等により結合されておらずフリーであり、長さ方向に移動することができるようになっている。
【0018】
第2ストラップ50
前記第2ストラップ50は、前記後身頃16の左右方向の中央の位置にX状の交叉部52を有し、その交叉部の右側に第2右側ループ部54Rが、左側に第2左側ループ部54Lがそれぞれ設けられている。
前記第2右側ループ部54Rは、前記後身頃16に沿い、互いに離れる方向にかつ外側に延びる上下2本の第2内側ストラップ部分54Raと、これらの2本の第2内側ストラップ部分の外端から、前記後身頃から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の右肩に掛かるターン部56aとなる2本の第2外側ストラップ部分54Rbで構成されている。
【0019】
一方、前記第2左側ループ部54Lは、前記後身頃16に沿い、互いに離れる方向にかつ外側に延びる上下2本の内側ストラップ部分54Laと、これらの2本の内側ストラップ部分の外端から、前記後身頃16から突出して所定長延び、ここで2つの端部が連続して装着者の左肩に掛かるターン部56bとなる2本の外側ストラップ部分54Lbで構成されている。
【0020】
なお、第2ストラップ50も、前記第1ストラップ20と同様、前記交叉部52で交叉するストラップ部分が縫い合わせ等により結合されておらずフリーであり、長さ方向に移動することができるようになっている。
【0021】
第3ストラップ60
本インナー10は、さらに、前記前身頃14から後身頃16に渡って延びる第3ストラップ60を備えている。
この第3ストラップ60は、一方の端部62が前身頃14の前記一対のカップ部の一方のカップ部すなわちカップ部14aに取り付けられ、そこから前記前身頃の前を、他方のカップ部14bの下側、この他方のカップ部側の脇の下まで斜め下方に延び、そして、そこから後身頃16の外側、前記一方のカップ部側の脇の下、そこから他方のカップ部14bに斜め上方に延び、他方の端部64が他方のカップ部14bに取り付けられた、伸縮可能なバスト作用用のストラップである。この第3ストラップ60にも、その長さを調節するためのアジャスター66が設けられている。
この第3ストラップ60は、後身頃16にまわった部分(図3参照)で、本インナー10の装着の際や装着中に、後身頃から離れたり、ずり上がったりすることのないように、後身頃の所定高さ(前記両方の端部62、64より
低い位置)の中央に取り付けた通しループ70に通されている。
【0022】
前記第3ストラップ60の両端部62、64の前記カップ部14a、14bへの取り付け位置が、前記カップ部に収納されたカップC1、C2の上下方向の水平中心線CLhと幅方向の垂直中心線CLvで分けられた4つの区分のうちの外側下の区分に対応するカップ部の区分である。
【0023】
前記第3ストラップ60の両端部62、64の前記カップ部への取り付け位置が、前記外側下の区分内であって、前記垂直中心線から外側に1~10mm、特に1.5~5mmの間で、カップの外周縁から0~30mmの間の部分であることが好ましい。
【0024】
前記第3ストラップ60は、ある程度幅が広い方が望ましく、そして常時、バストに多少の作用を及ぼすため、所定の弾性を有する紐、平紐で形成されていることが望ましい。素材としては、主としてコットンを用い、編成の仕方等により、上記所定の伸縮可能性(弾性)を持たせることが好ましいが、コットンとポリウレタンの混紡の素材を用いることができる。
こ第3ストラップ60は、その両端部62、64の前記カップ部14a、14bへの取り付け位置、およびその弾性の作用の作用により、両端部62、64をストラップに沿った方向に内側斜め下方に引っ張る力を及ぼし、この力により、
前記カップ部ひいてはカップに、図6に矢印A、Bで示した下からカップ部の下縁に沿う内側斜め上向きの力を働かせ、その力を装着者のカップC1、C2内部のバストに働かせ、バストアップさせるようになっている。第3ストラップ60がこの機能を充分に発揮できるように、前記通しループ70の高さ位置を決定し、第3ストラップ60の後身頃16にまわった部分が前記両端62、64より低くなるようにすることが重要である。
この第3ストラップ60においても、その長さを調節できるようにするため、アジャスター66が設けられていることが好ましい。
【0025】
以上に述べた構成の女性用インナーの第1、第2及び第3ストラップ20、50および60の作用・効果についての考察を以下に説明する。なお、以下の第1、第2及び第3ストラップ20、50および60の作用・効果についての考察においては、本女性用インナーを装着した装着者が、椅子に静かに座っている状態での安静時呼吸(意識していない自然な呼吸)時における作用・効果について説明する。
【0026】
前記安静時呼吸においては、吸気時に横隔膜が下がり、外肋間筋が収縮するが、横隔膜が下がることにより、胸腔内の垂直方向の長さが増大、すなわち胸腔が垂直方向に広がり、一方、外肋間筋が収縮することにより、肋骨が上前方に広がり、胸腔内の水平方向の長さが増大、すなわち胸腔が水平方向に広がる。
以上の動きの反動で、装着者の両肩は双方共に僅かに内側に回動する(巻き肩状態となる)。このような内側への僅かな回動時に、第2ストラップは、装着者の背中のX状の交差部の作用により、両肩を後方に引っ張り、すなわち元の位置に戻すような力を及ぼす。一方、第1ストラップは、装着者のバスト部のX状の交差部の作用により、両肩から前記交差部にかけての部分が下方に引っ張られることに伴い、肩の背中側の部分が上方に引っ張られる。この第1ストラップの肩の背中側の部分の上方への引っ張りが、三角筋後部に作用して、これが棘下筋、小円筋に及ぶ。これによって、肩部の水平外転が生じようとする。通常であるなら、この時、棘上筋や三角筋中部が収縮して上腕骨が持ち上げられる。
しかし、本女性用インナーを用いた場合は、前記第1および第2ストラップの装着者の肩の部分の作用により、前記の上腕骨の持ち上げが、多少なりとも抑制され、上腕骨(肩)の水平状態を極力保った状態で、肩ひいては上腕部の内旋を引き起こすような力が作用する。この上腕骨(肩)の水平状態を極力保った状態での、肩ひいては上腕部の内旋を引き起こすような力の作用が、本明細書の[背景技術]の項で記載した人間の身体の老化に繋がる方向の運動とは逆の方向に作用する力と考えられ、アンチエイジングの作用を発揮すると考えられる。また、上記の作用が各種筋肉を伝わって、小顔化をもたらす機能をも発揮する
第3ストラップは、上記したように、バストアップの機能が主であるが、上で述べた前記第1および第2ストラップの機能の発揮を助成する役割も持っていると考えられる。
【0027】
以上説明した前記第1、第2および第3ストラップの作用・機能は、装着者の通常の生活動作によっても同様に引き起こされると思料される。
実際、本インナーを、20代から60代の女性10人に装着してもらったところ、僅2、3分程度で、呼吸が楽になる(呼吸が深くなる)、血行が良くなる(顔が多少ほてる)、肩こりの改善の少なくとも一つがあったとの反応があった。
以上から、本インナーの効果が明らかである。
【符号の説明】
【0028】
10 女性用インナー
12 インナー本体
14 前身頃
16 後身頃
20 第1ストラップ
28 アジャスター
50 第2ストラップ
28 アジャスター
60 第3ストラップ
66 アジャスター
26
【要約】      (修正有)
【課題】アンチエイジング、各種美容改善に繋がる女性用インナーを提供する。
【解決手段】本発明の女性用インナーは、上部に一対のカップを収納した一対のカップ部を有する前身頃と、後身頃とを備えたインナー本体を持つ女性用インナーにおいて、前身頃の上部に配され、装着時に、装着者の前側でたすき掛けとなる無限を示す記号∞状の第1ストラップ、および前記後身頃の上部に配され、装着時に、装着者の後ろ側でたすき掛けとなる無限を示す記号∞状の第2ストラップを備え、第1ストラップは、前記一対のカップ部の中央の位置にX状の交叉部を有し、第2ストラップは、後身頃の左右方向の中央の位置にX状の交叉部を有し、伸縮可能なバスト作用用の第3ストラップを備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8