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特許7458001管理コンピュータおよびキャリヤテープ配置決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】管理コンピュータおよびキャリヤテープ配置決定方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20240322BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020056130
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021158192
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 直史
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕起
(72)【発明者】
【氏名】相良 博喜
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車と通信可能に接続された管理コンピュータであって、
次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得する部品情報取得部と、
少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択する台車選択部と、
前記台車選択部により選択された前記生産用の部品供給台車に、前記部品情報取得部によって取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれを配置するスロットを決定する部品配置決定部と、を備え、
前記部品情報取得部は、前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、
前記部品配置決定部は、前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、
前記部品配置決定部は、選択された前記生産用の部品供給台車の前記空きスロットの数が前記未配置のキャリヤテープの数より少ないと判定した場合、前記生産用の部品供給台車に配置された前記複数のキャリヤテープのうち前記生産で使用されないキャリヤテープを暫定的に取り外して前記空きスロットを生成する、
管理コンピュータ。
【請求項2】
前記台車選択部は、前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープと最も一致する複数のキャリヤテープが配置された前記生産用の部品供給台車を選択する、
請求項1に記載の管理コンピュータ。
【請求項3】
前記部品配置決定部は、前記生産で使用されないキャリヤテープを取り外して生成された前記空きスロットに前記未配置のキャリヤテープが配置されないと判定した場合、生成された前記空きスロットに前記暫定的に取り外されたキャリヤテープを再度配置する、
請求項に記載の管理コンピュータ。
【請求項4】
部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車と通信可能に接続された管理コンピュータであって、
次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得する部品情報取得部と、
少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択する台車選択部と、
前記台車選択部により選択された前記生産用の部品供給台車に、前記部品情報取得部によって取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれを配置するスロットを決定する部品配置決定部と、を備え、
前記部品情報取得部は、前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、
前記部品配置決定部は、前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、
前記部品配置決定部は、前記生産で使用される部品実装装置に備えられたノズルの実装可能な部品サイズの情報を取得し、前記生産用の部品供給台車に配置され、かつ前記生産で使用されないキャリヤテープのうち前記部品サイズを超える部品を供給するキャリヤテープを取り外して、前記空きスロットを生成する、
理コンピュータ。
【請求項5】
部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車のキャリヤテープ配置決定方法であって、
次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得し、
前記部品実装装置から取り外され、少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択し、
選択された前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、
前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、
取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれの配置を、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープのスロットを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、
選択された前記生産用の部品供給台車の前記空きスロットの数が前記未配置のキャリヤテープの数より少ないと判定した場合、前記生産用の部品供給台車に配置された前記複数のキャリヤテープのうち前記生産で使用されないキャリヤテープを暫定的に取り外して前記空きスロットを生成する、
キャリヤテープ配置決定方法。
【請求項6】
部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車のキャリヤテープ配置決定方法であって、
次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得し、
前記部品実装装置から取り外され、少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択し、
選択された前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、
前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、
取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれの配置を、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープのスロットを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、
前記生産で使用される部品実装装置に備えられたノズルの実装可能な部品サイズの情報を取得し、前記生産用の部品供給台車に配置され、かつ前記生産で使用されないキャリヤテープのうち前記部品サイズを超える部品を供給するキャリヤテープを取り外して、前記空きスロットを生成する、
キャリヤテープ配置決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理コンピュータおよびキャリヤテープ配置決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、部品実装装置に着脱可能な部品供給台車に配置された部品を供給する複数の部品供給手段の部品配置決定方法が開示されている。この部品配置決定方法では、まず、複数種類の実装基板の生産において、部品供給手段の配置が共通となるように複数種類の実装基板を複数のグループに分け、一のグループの生産で使用する部品供給台車を用いて一のグループの前に生産をした他のグループと、一のグループとのいずれでも使用する少なくとも一以上の部品供給手段を、一のグループと他のグループとで部品供給台車上の配置位置が同一となるように部品配置を作成し、生産対象となる全ての実装基板の生産が完了する生産完了時間を算出し、生産完了時間が短くなるようにグループ毎の部品供給手段の配置を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-116989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によれば、生産対象となる全ての実装基板に実装される部品供給手段の配置を作成できる。しかし、特許文献1の構成では、フロアまたは工場内に存在し、部品実装装置から取り外されている部品供給台車における部品供給手段の配置と、作成された部品供給手段の配置とが異なるため、作業者は、部品供給台車に配置されている部品供給手段のうち、作成された部品供給手段の配置と異なる部品供給手段をすべて取り外してから部品供給手段を装着しなければならず、外段取り作業が効率的でなかった。また、特許文献1の構成において、部品実装装置から取り外されている部品供給台車上の部品供給手段の配置を流用した部品供給手段の配置を決定することは想定されていない。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、外段取りにおける段取り工数をより低減し、作業者による取り換え作業を効率的に支援する管理コンピュータおよびキャリヤテープ配置決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車と通信可能に接続された管理コンピュータであって、次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得する部品情報取得部と、少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択する台車選択部と、前記台車選択部により選択された前記生産用の部品供給台車に、前記部品情報取得部によって取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれを配置するスロットを決定する部品配置決定部と、を備え、前記部品情報取得部は、前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、前記部品配置決定部は、前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、前記部品配置決定部は、選択された前記生産用の部品供給台車の前記空きスロットの数が前記未配置のキャリヤテープの数より少ないと判定した場合、前記生産用の部品供給台車に配置された前記複数のキャリヤテープのうち前記生産で使用されないキャリヤテープを暫定的に取り外して前記空きスロットを生成する、管理コンピュータを提供する。
また、本開示は、部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車と通信可能に接続された管理コンピュータであって、次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得する部品情報取得部と、少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択する台車選択部と、前記台車選択部により選択された前記生産用の部品供給台車に、前記部品情報取得部によって取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれを配置するスロットを決定する部品配置決定部と、を備え、前記部品情報取得部は、前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、前記部品配置決定部は、前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、前記部品配置決定部は、前記生産で使用される部品実装装置に備えられたノズルの実装可能な部品サイズの情報を取得し、前記生産用の部品供給台車に配置され、かつ前記生産で使用されないキャリヤテープのうち前記部品サイズを超える部品を供給するキャリヤテープを取り外して、前記空きスロットを生成する、管理コンピュータを提供する。
【0007】
また、本開示は、部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車のキャリヤテープ配置決定方法であって、次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得し、前記部品実装装置から取り外され、少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択し、選択された前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれの配置を、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープのスロットを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、選択された前記生産用の部品供給台車の前記空きスロットの数が前記未配置のキャリヤテープの数より少ないと判定した場合、前記生産用の部品供給台車に配置された前記複数のキャリヤテープのうち前記生産で使用されないキャリヤテープを暫定的に取り外して前記空きスロットを生成する、キャリヤテープ配置決定方法を提供する。
また、本開示は、部品実装装置に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車のキャリヤテープ配置決定方法であって、次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得し、前記部品実装装置から取り外され、少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の前記生産用の部品供給台車を選択し、選択された前記生産用の部品供給台車に配置されている前記キャリヤテープの情報を取得し、前記生産で使用される前記複数のキャリヤテープのうち前記生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープを抽出し、取得された前記複数のキャリヤテープの情報により特定される前記複数のキャリヤテープのそれぞれの配置を、前記生産用の部品供給台車で前記キャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロットへ前記生産におけるサイクルタイムが最短となるように前記未配置のキャリヤテープのスロットを配置したキャリヤテープ配置データを生成して出力し、前記生産で使用される部品実装装置に備えられたノズルの実装可能な部品サイズの情報を取得し、前記生産用の部品供給台車に配置され、かつ前記生産で使用されないキャリヤテープのうち前記部品サイズを超える部品を供給するキャリヤテープを取り外して、前記空きスロットを生成する、キャリヤテープ配置決定方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、外段取りにおける段取り工数をより低減し、作業者による取り換え作業を効率的に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る部品実装システムが配置されたフロア内部を上から見た図
図2】実施の形態1に係る部品実装ラインを説明する図
図3】実施の形態1に係る部品実装装置を上から見た図
図4図3に示す部品実装装置のA-A断面線における基台から部品供給部までの断面を示した図
図5】実施の形態1に係る管理コンピュータの内部構成例を示す図
図6】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順例を示すフローチャート
図7】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ10、ステップ11)例を説明する図
図8】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ16)例を説明する図
図9】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ17、ステップ19、ステップ16)例を説明する図
図10】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ18)例を説明する図
図11A】実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータの動作手順例を示すフローチャート
図11B】実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータの動作手順例を示すフローチャート
図12】実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータの動作手順例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る管理コンピュータおよびキャリヤテープ配置決定方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
また、以下の説明で使用される用語は、例示であり、限定を意図していない。例えば、用語「キャリヤテープ」は、このキャリヤテープに収納され、供給可能な部品を含む。同様に、用語「部品」は、部品を収納するキャリヤテープを含む。つまり、各実施の形態の説明で使用される「キャリヤテープ配置」は、部品配置を含み、限定を意図しない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る部品実装システム1が配置されたフロアF内部を上から見た図である。実施の形態1に係る部品実装システム1は、基板上にはんだを印刷するはんだ印刷工程と、基板に印刷されたはんだの印刷不良を検査する印刷検査工程と、はんだ印刷後の基板に部品を実装する部品実装工程と、基板に実装された部品を検査する実装検査工程と、基板に印刷されたはんだをリフローするリフロー工程とを実行するシステムである。
【0013】
実施の形態1に係る部品実装システム1は、複数の部品実装ラインL1,L2,L3と、通信ネットワーク2と、管理コンピュータ3と、段取り作業支援装置4と、複数の部品供給台車5a,5b,5c,5d,…のそれぞれと、を含んで構成される。なお、図1では部品実装ラインが3本の例を示すが、1本、2本または4本以上であってよい。
【0014】
通信ネットワーク2は、管理コンピュータ3と、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれと、段取り作業支援装置4との間をデータ通信可能に接続する。なお、図1の例において通信ネットワーク2は、有線通信可能に接続される例を示すが、無線通信可能であってもよい。ここでいう無線通信は、例えば無線LAN(Local Area NetWork)、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの無線通信規格に準じて提供される通信方式である。
【0015】
管理コンピュータ3は、例えばPC(Personal Computer)、タブレット等であって、通信ネットワーク2を介して複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれ(つまり、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれを構成する各部品実装用装置のそれぞれ)、および段取り作業支援装置4との間で通信可能に接続される。また、管理コンピュータ3は、ユーザ操作を受け付け可能なユーザインターフェース(例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド、ポインティングデバイスなど)を備え、ユーザ操作に基づく入力を制御信号に変換する。
【0016】
管理コンピュータ3は、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれを構成する各部品実装用装置により実行されるはんだ印刷工程と、印刷検査工程と、部品実装工程と、を含む生産工程を統括して制御する。例えば、管理コンピュータ3は、作業者により予め入力あるいは設定された生産工程に関する生産情報と、生産工程を実行させる実行指令を生成して、これらの生産工程を実行する部品実装ラインに送信する。
【0017】
また、管理コンピュータ3は、作業者により予め入力あるいは設定された生産データに基づいて、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれにより実行される次の生産に関する生産情報を生成する。具体的に、管理コンピュータ3は、段取り作業支援装置4にデータ通信可能に接続された複数の部品供給台車5a,5b,5c,5d,…のそれぞれの部品供給台車情報(例えば、部品供給台車の識別情報、部品供給台車における部品配置リストなど)を取得し、取得された部品供給台車情報と作業者により予め入力あるいは設定された生産工程に関する情報とに基づいて、いずれかの部品実装ラインにより実行される次の生産の外段取り情報(例えば、台車が備える複数のテープフィーダ(スロット)のそれぞれに配置される部品配置リスト)を生成する。
【0018】
なお、管理コンピュータ3は、管理コンピュータ3における管理記憶部32(図5参照)に記憶された部品配置リストのデータを参照して、段取りエリアApに配置された1以上の部品供給台車の部品配置リストを取得してもよい。管理コンピュータ3は、生成された外段取り情報を表示部34(図5参照)などに出力するとともに、管理記憶部32(図5参照)に記録する。
【0019】
なお、ここでいう生産データは、部品実装装置による部品実装工程の実行に用いられる情報であり、管理コンピュータ3により生成されて管理記憶部32に記録される。生産データは、例えば基板のサイズ、基板認識マークの位置、部品の大きさ、ノズル吸着時間、実装位置、基板(実装)高さ、吸着ノズルの情報、部品供給台車ごとの部品配置リスト、基板の生産台数などを含む。なお、生産データは、上述した項目のデータに限定されなくてよい。
【0020】
段取り作業支援装置4は、段取りエリアApに配置され、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3および複数の部品供給台車5a,…のそれぞれとの間でデータ通信可能に接続される。なお、段取り作業支援装置4は、管理コンピュータ3に含まれ、一体に形成されてもよい。段取り作業支援装置4は、複数の部品供給台車5a,…のそれぞれから部品配置リストを取得し、管理コンピュータ3に送信する。
【0021】
複数の部品供給台車5a,…のそれぞれは、段取りエリアApに配置され、段取り作業支援装置4との間でデータ通信可能に接続される。複数の部品供給台車5a,…のそれぞれは、部品実装装置に着脱可能であって、所定の部品実装装置によって実行される部品実装工程で基板に実装される1以上の部品を供給するテープフィーダを備える。複数の部品供給台車5a,…のそれぞれは、少なくとも部品供給台車の識別情報と、テープフィーダ(スロット)ごとに配置された部品配置リストとを段取り作業支援装置4に送信する。
【0022】
次に図2を参照して、部品実装ラインL1を構成する各部品実装用装置について説明する。図2は、実施の形態1に係る部品実装ラインL1を説明する図である。なお、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれは、同様の構成を有し、図2では部品実装ラインL1について説明する。
【0023】
部品実装ラインL1は、各部品実装用装置としてのはんだ印刷装置M1と、印刷検査装置M2と、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれと、実装検査装置M7と、リフロー装置M8と、を含んで構成される。部品実装ラインL1を構成するこれらの各部品実装装置は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3との間でデータ通信可能に接続され、管理コンピュータ3から送信された生産工程の実行指令に基づく制御を実行する。
【0024】
なお、実施の形態1に係る部品実装システム1における部品実装ラインL1は、はんだ印刷装置M1と、印刷検査装置M2と、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれと、実装検査装置M7と、リフロー装置M8と、を含んで構成される例を示すが、少なくとも1つの部品実装装置を含んで構成されていればよい。つまり、部品実装ラインL1は、少なくとも1つの部品実装装置と、実装検査装置M7とを含んで構成されてもよい。
【0025】
はんだ印刷装置M1は、管理コンピュータ3から送信された基板Bのはんだのデータ(例えば、はんだの印刷パターンなど)に基づいて、部品実装ラインL1の上流側(図2に示すはんだ印刷装置M1の左側)から搬入された基板Bにマスクを介してはんだを印刷するはんだ印刷工程を実行する。はんだ印刷装置M1は、はんだ印刷後の基板Bを印刷検査装置M2に搬出する。
【0026】
印刷検査装置M2は、管理コンピュータ3から送信された基板Bのはんだのデータ(例えば、はんだの印刷パターンなど)に基づいて、はんだ印刷装置M1から搬入された基板Bに印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査工程を実行する。印刷検査装置M2は、搬入された基板Bを撮像するカメラを備え、カメラによって撮像された撮像画像を用いてはんだの状態(つまり、はんだの印刷不良の有無)を検査する。印刷検査装置M2は、印刷検査装置M2におけるメモリ(不図示)に基板Bのはんだの印刷検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板Bを部品実装装置M3に搬出する。
【0027】
複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータ3から送信された実行指令に基づいて、印刷検査装置M2から搬入された基板Bに1以上の部品を実装する部品実装工程を実行する。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M3~M6が4台の構成に限定されず、例えば部品実装装置M3~M6が1~3台であっても5台以上であってもよい。
【0028】
複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータ3から送信された基板Bの生産データに基づいて、吸着ノズルを制御し、部品実装装置に取り付けられた部品供給台車が備えるテープフィーダから部品を吸着して取り出す。複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、吸着ノズルにより吸着された部品を基板B上の所定位置に搬送して、実装する。複数の部品実装装置M3~M5のそれぞれは、連結された次の部品実装装置に部品実装後の基板Bを搬出する。また、部品実装装置M6は、部品実装後の基板Bを実装検査装置M7に搬出する。
【0029】
実装検査装置M7は、管理コンピュータ3から送信された基板Bの生産データに基づいて、部品実装装置M6から搬入された基板Bに実装された部品の状態(例えば、部品の実装位置不良の有無など)を検査する実装検査工程を実行する。実装検査装置M7は、搬入された基板Bを撮像するカメラを備え、カメラによって撮像された撮像画像を用いて実装された部品の状態を検査する。実装検査装置M7は、実装検査装置M7におけるメモリ(不図示)に基板Bの部品実装検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板Bをリフロー装置M8に搬出する。
【0030】
リフロー装置M8は、管理コンピュータ3から送信された基板Bのリフローデータ(例えば、基板Bを搬送するコンベアの搬送速度、加熱温度など)に基づいて、実装検査装置M7から搬入された基板Bの電極部分と実装された1以上の部品とを接合するリフロー工程を実行する。リフロー装置M8は、装置内に搬入された基板Bをベルトコンベアで搬送しながら加熱し、基板B上のはんだを硬化させ、基板Bの電極部分と実装された1以上の部品とを接合する。リフロー装置M8は、部品実装ラインL1の下流側(図2に示すリフロー装置M8の右側)にリフロー後の基板Bを搬出する。
【0031】
次に、図3および図4を参照して、部品実装装置M3~M6の構成について説明する。なお、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、同様の構成を有し、ここでは部品実装装置M3について説明する。図3は、実施の形態1に係る部品実装装置M3を上から見た図である。また、図4は、図3に示す部品実装装置M3のA-A断面線における基台6から部品供給部8bまでの断面を示した図である。なお、実施の形態1に係る部品実装装置M3~M6のそれぞれは、基板Bを搬送する一対の基板搬送機構7の両側方(Y方向、-Y方向)のそれぞれに複数の部品供給部8a,8bのそれぞれを備えるが、部品供給部は片側のみに備えてもよい。さらに、実施の形態1に係る部品実装装置M3~M6のそれぞれは、シングルレーン(つまり、1つの基板Bを搬送可能な一対の基板搬送機構7)の構成を有する例を示すが、複数の基板のそれぞれに同時に部品を実行可能なデュアルレーンの構成を有してもよい。
【0032】
図3に示す部品実装装置M3は、基台6と、基板搬送機構7と、複数の部品供給部8a,8bのそれぞれと、Y軸ビーム10と、X軸ビーム11と、実装ヘッド12と、部品認識カメラ13と、基板認識カメラ14と、1以上のキャリヤテープ15と、複数のリール16のそれぞれと、を含んで構成される。
【0033】
基台6は、基台6の中央位置に基板Bを搬送するための基板搬送機構7が設けられる。基板搬送機構7は、連接された印刷検査装置M2(部品実装装置M4~M6の場合は、連接された部品実装装置)から搬入された基板Bを、基台6の中央位置における所定の部品実装位置まで搬送し、保持する。また、基板搬送機構7は、連接された次の部品実装装置M4(部品実装装置M6の場合は、連接された実装検査装置M7)に部品実装後の基板Bを搬出する。
【0034】
複数の部品供給部8a,8bのそれぞれは、基板Bに実装される部品を供給する複数のテープフィーダのそれぞれを並設して備える。なお、実施の形態1に係る部品実装装置M3において、テープフィーダは、2つのキャリヤテープを装着可能なダブルフィーダである例を説明するが、1つのキャリヤテープを装着可能なシングルフィーダであってもよい。つまり、部品実装装置M3は、シングルフィーダとダブルフィーダとを任意に装着可能な部品供給部により構成されてよい。
【0035】
部品供給部8aは、複数のテープフィーダ8a1,8a2,…,8anのそれぞれを備える。複数のテープフィーダ8a1,8a2,…,8anのそれぞれは、キャリヤテープ(部品)を取り付け可能なテープフィーダのそれぞれの位置を特定するためのテープフィーダアドレスが設定される。
【0036】
例えば、テープフィーダ8a1は、ダブルフィーダの左側のテープフィーダアドレスをアドレス8a-1Lと設定され、ダブルフィーダの右側のテープフィーダアドレスをアドレス8a-1Rと設定される。テープフィーダ8a2は、ダブルフィーダの左側のテープフィーダアドレスをアドレス8a-2Lと設定され、ダブルフィーダの右側のテープフィーダアドレスをアドレス8a-2Rと設定される。同様に、テープフィーダ8anは、ダブルフィーダの左側のテープフィーダアドレスをアドレス8a-nLと設定され、ダブルフィーダの右側のテープフィーダアドレスをアドレス8a-nRと設定される。なお、ここでいう右側は-X側であり、左側はX側である。
【0037】
管理コンピュータ3は、部品供給部8aにおける複数のテープフィーダ8a1,8a2,…,8anのテープフィーダアドレスとキャリヤテープ(部品)の情報とを対応付けて生成された部品配置リストのデータを管理記憶部32(図5参照)に記憶する。
【0038】
複数の部品供給部8a,8bのそれぞれは、基板Bに実装される部品を供給する複数のテープフィーダのそれぞれを並設して備える。なお、実施の形態1に係る部品実装装置M3において、テープフィーダは、2つのキャリヤテープを装着可能なダブルフィーダである例を説明するが、1つのキャリヤテープを装着可能なシングルフィーダであってもよい。つまり、部品実装装置M3は、シングルフィーダとダブルフィーダとを任意に装着可能な部品供給部により構成されてよい。
【0039】
部品供給部8bは、複数のテープフィーダ8b1,8b2,…,8bnのそれぞれを備える。複数のテープフィーダ8b1,8b2,…,8bnのそれぞれは、キャリヤテープ(部品)を取り付け可能なテープフィーダのそれぞれの位置を特定するためのテープフィーダアドレスが設定される。
【0040】
例えば、テープフィーダ8b1は、ダブルフィーダの左側のテープフィーダアドレスをアドレス8b-1Lと設定され、ダブルフィーダの右側のテープフィーダアドレスをアドレス8b-1Rと設定される。テープフィーダ8b2は、ダブルフィーダの左側のテープフィーダアドレスをアドレス8b-2Lと設定され、ダブルフィーダの右側のテープフィーダアドレスをアドレス8b-2Rと設定される。同様に、テープフィーダ8bnは、ダブルフィーダの左側のテープフィーダアドレスをアドレス8b-nLと設定され、ダブルフィーダの右側のテープフィーダアドレスをアドレス8b-nRと設定される。なお、ここでいう右側はX側であり、左側は-X側である。
【0041】
管理コンピュータ3は、部品供給部8bにおける複数のテープフィーダ8b1,8b2,…,8bnのテープフィーダアドレスとキャリヤテープ(部品)の情報とを対応付けて生成された部品配置リストを管理記憶部32(図5参照)に記憶する。
【0042】
なお、図3における複数の部品供給部8a,8bのそれぞれは、テープフィーダに基板への実装対象となる部品を収納したキャリヤテープを取り付け、吸着ノズル12bによる部品取り出し位置までこのキャリヤテープに収納された部品をピッチ送りする機能を有する例を示す。複数の部品供給部8a,8bのそれぞれは、所定のテープ送り方向に向かって部品を収納したキャリヤテープのそれぞれをピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッド12によって部品取り出し位置に部品のそれぞれを供給する。
【0043】
基台6の上面においてX方向の一端側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム10がY方向に沿って配設されている。Y軸ビーム10には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム11のそれぞれが、Y方向,-Y方向に移動自在に結合される。2基のX軸ビーム11のそれぞれは、X方向に沿って配設される。2基のX軸ビーム11のそれぞれには、プレート11aが備えられる。プレート11aは、X軸ビーム11と一体に駆動する実装ヘッド12および基板認識カメラ14をX軸ビーム11に取り付ける。
【0044】
実装ヘッド12は、X軸ビーム11により基板認識カメラ14と一体に駆動(移動)され、複数のテープフィーダ8a1,…,8an,8b1,…,8bnのそれぞれに取り付けられたキャリヤテープに収納された部品Dを吸着保持し、基板Bの実装位置に搬送して実装する。実装ヘッド12は、吸着ユニット12aと、吸着ノズル12bとを含んで構成される。吸着ユニット12aは、部品Dを吸着する吸着制御を実行する。また、吸着ユニット12aの先端には、吸着ノズル12bが設けられる。吸着ノズル12bは、吸着ユニット12aの吸着制御の実行に基づいて、部品Dを吸着保持、または吸着を解除して基板B上に実装する。
【0045】
基板認識カメラ14は、X軸ビーム11により実装ヘッド12と一体に駆動(移動)され、基板搬送機構7に位置決めされた基板Bの上方から基板B上の所定の位置に設けられた基板マーク(不図示)を撮像する。基板認識カメラ14は、撮像された撮像画像を、部品実装装置M3における管理制御部31(図5参照)に送信する。
【0046】
複数の部品認識カメラ13は、基台6上の部品供給部8aと基板搬送機構7との間、および基台6上の部品供給部8bと基板搬送機構7との間のそれぞれに備えられる。複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、部品供給部8a,8bにおけるキャリヤテープ15に収納された部品を取り出した実装ヘッド12が部品認識カメラ13の上方を移動する際に、部品認識カメラ13は実装ヘッド12に保持された状態の部品Dを撮像する。複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、撮像された撮像画像に基づいて、部品Dの保持姿勢を認識する。複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、撮像された撮像画像を、部品実装装置M3における管理制御部31(図5参照)に送信する。
【0047】
部品実装装置M3は、部品認識カメラ13から送信された部品Dの撮像画像を画像処理し、吸着ノズル12bに吸着保持された部品Dの保持姿勢を取得する。また、部品実装装置M3は、基板認識カメラ14から送信された基板Bの撮像画像を画像処理し、生産データに記録された基板Bの基板認識マークの位置情報に基づく基板Bの位置ずれ量、基板B上に設けられた電極(不図示)の位置ずれ量などを算出する。部品実装装置M3は、算出された基板Bの位置ずれ量または電極の位置ずれ量と、取得された部品Dの保持姿勢とに基づいて、部品Dの実装位置あるいは角度の補正を行う。
【0048】
部品供給台車5は、基台6に着脱自在に構成され、基台6に取り付けられると、部品供給台車5における制御部(不図示)と部品実装装置M3における制御部(不図示)とが電気的に接続される。部品供給台車5は、テープフィーダ8bm(ここで、m=整数であって、テープフィーダ8b1~8bnのうちいずれか任意のテープフィーダを示す)に取り付けられたキャリヤテープ15のそれぞれを巻回状態で収納するリール16を有する。テープフィーダ8bmに取り付けられたキャリヤテープ15のそれぞれを巻回状態で収納するリール16を有する。
【0049】
キャリヤテープ15は、リール16から引き出され、一端側がテープフィーダ8bmに取り付けられる。テープフィーダ8bmは、吸着ノズル12bによる部品取り出し位置までキャリヤテープ15をピッチ送りする。
【0050】
次に、図5を参照して、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の内部構成について説明する。図5は、実施の形態1に係る管理コンピュータの内部構成例を示す図である。なお、図5の説明において、次の生産における部品配置リストの生成のために流用される流用台車は、一例として部品供給台車5aである例を示すが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0051】
台車選択部の一例としての管理コンピュータ3は、段取り作業支援装置4と、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれと、の間でデータ通信可能に接続される。なお、図5では説明を分かり易くするために、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれに含まれる構成として複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれのみを示す。管理コンピュータ3は、管理制御部31と、管理記憶部32と、入力部33と、表示部34と、通信部35と、を含んで構成される。
【0052】
管理制御部31は、例えばCPU(Central Processing unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、管理記憶部32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、管理制御部31は管理記憶部32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。ここでいう各部は、例えば部品配置生成部31a、生産時間算出部31b、および部品配置決定部31cなどである。管理制御部31は、これら各部により、部品配置リストの生成および生産工程のサイクルタイムの算出を実行する。
【0053】
また、管理制御部31は、入力部33により受け付けられた作業者による操作に基づいて、基板あるいは部品ごとの生産データ、生産工程により生産される基板のグループ情報、部品実装装置に着脱される部品供給台車5a,…ごとの部品配置リストなどを生成して、管理記憶部32に出力して記憶する。さらに、管理制御部31は、各部品実装用装置に各生産工程を実行させる実行指令を生成し、通信部35に出力して送信する。
【0054】
台車選択部の一例としての部品配置生成部31aは、部品供給台車5a,…のうち流用台車として作業者により選択された1以上の部品供給台車5aにおける現在の部品配置リスト(部品の情報と、部品配置リストとを含む情報)と、次の生産で使用する部品実装装置の情報とを取得する。なお、ここで選択される流用台車としての部品供給台車は、段取りエリアApあるいはフロアF内に配置された部品供給台車5aに限定されず、フロアF外に配置されて部品実装装置に取り付けられていない部品供給台車(不図示)であってもよい。
【0055】
また、部品配置生成部31aは、入力部33を介して作業者により選択され、次の生産で使用される1以上の基板の情報を取得する。部品配置生成部31aは、管理記憶部32に記憶され、選択された1以上の基板の情報に関する生産データを参照し、選択された基板で使用される生産部品のリスト(以降、「生産部品リスト」と表記)を生成する。
【0056】
部品配置生成部31aは、選択された1以上の部品供給台車5aに配置された現在の部品配置リストおよび部品配置リストに含まれる部品の生産データに基づいて、次の生産で使用される部品実装装置が備える吸着ノズル12bにより実装できない部品(以降、「実装不可部品」と表記)があるか否かを判定する。部品配置生成部31aは、判定の結果、実装不可部品と判定された部品を現在の部品配置リストから取り外す(削除)処理を実行し、部品配置リストのうち実装不可部品が配置されたテープフィーダの位置(つまり、スロットの位置)を空白(空のスロット)にする。
【0057】
なお、部品配置生成部31aは、部品配置リストから実装不可部品を取り外す(削除)処理が実行できない場合、エラー通知を生成して、表示部34に出力する。
【0058】
ここで、部品配置生成部31aは、生産部品リストと実装不可部品を取り外した状態の部品配置リストとを比較して同一の部品があるか否かを判定する。部品配置生成部31aは、生産部品リストのうち同一の部品と判定された部品について、流用台車(例えば、部品供給台車5a)に既に割当て済みの部品(以降、「割当て済み部品」と表記)であることを示すフラグを付与する。
【0059】
さらに、部品配置生成部31aは、生産部品リストと実装不可部品を取り外した状態の部品配置リストとを比較し、部品配置データのうち生産部品リストに存在しない部品があるか否かを判定する。部品配置生成部31aは、部品配置リストのうち生産部品リストに存在しない部品について、不要部品であることを示す不要フラグを付与する。
【0060】
部品配置生成部31aは、生産部品リストのうちフラグが付与されていない未割り当ての部品を、流用台車(部品供給台車5a)の空きスロット(つまり、キャリヤテープが取り付けられていないテープフィーダ)に割り当てた部品配置リストを生成する。部品配置生成部31aは、生産部品リストのうち割り当て処理を実行した部品に割当て済み部品であることを示すフラグを付与する。
【0061】
部品配置生成部31aは、流用台車(部品供給台車5a)が備えるスロットに生産部品リストに含まれるすべての部品が割り当てられているか否か(つまり、部品配置データにすべての生産部品リストの部品が含まれているか否か)を判定する。部品配置生成部31aは、生産部品リストに含まれるすべての部品が割り当てられていると判定した場合、さらに流用台車(部品供給台車5a)の部品配置リストに空きスロットがあるか否かを判定する。部品配置生成部31aは、空きスロットがあると判定した場合には、この空きスロットに配置されていた不要部品を戻す(割り当てる)処理を実行する。
【0062】
なお、この空きスロットに配置されていた不要部品がないと判定した場合、あるいはこの空きスロットに実装不可部品が配置されていると判定した場合には、部品配置生成部31aは、後述する処理で他の不要部品のうち暫定的に取り外されたままの状態にある不要部品のうちいずれかを割り当てる。
【0063】
一方、部品配置生成部31aは、生産部品リストに含まれるすべての部品が割り当てられていないと判定した場合、部品配置リストのうち不要フラグが付与された不要部品を暫定的に取り外す処理を実行して、流用台車(部品供給台車5a)の部品配置リストのうち実装不要部品が配置された位置(スロット)を空白(空のスロット)にする。部品配置生成部31aは、空きスロットに未割り当ての部品を割り当てるとともに、生産部品リストのうち割り当て処理を行った部品に割当て済み部品であることを示すフラグを付与し、生産部品リストに含まれるすべての部品が割当てられているか否かを再判定する。
【0064】
部品配置生成部31aは、生産部品リストに含まれるすべての部品について割り当て処理を実行した後、次の生産用の流用台車(部品供給台車5a)の部品配置リストのデータを1以上生成し、生産時間算出部31bに出力する。ここで、部品配置生成部31aは、割り当て処理実行後の部品供給台車5aの部品配置リストのうち、割当て済み部品および不要部品以外の部品について部品の配置が異なる複数の部品配置リストのデータを生成する。
【0065】
生産時間算出部31bは、部品配置生成部31aから入力された1以上の部品配置リストのデータに基づいて、部品実装装置M3~M6で実行される基板ごとに部品実装に要するサイクルタイム(つまり、生産時間)を算出する。生産時間算出部31bは、部品配置リストに算出されたサイクルタイムおよび部品供給台車の識別情報を対応付けて、部品配置決定部31cに出力する。
【0066】
部品配置決定部31cは、生産時間算出部31bから入力された部品配置リストのデータごとのサイクルタイムを比較し、サイクルタイムが最も短い部品配置リストのデータを次の生産用の部品配置リストのデータとして設定するとともに、管理記憶部32に出力して記憶する。
【0067】
管理記憶部32は、例えば管理制御部31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、管理制御部31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、管理制御部31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、管理制御部31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。管理記憶部32は、生産データ32aと、グループ情報32bと、部品配置情報32cとを記憶する。
【0068】
生産データ32aは、基板ごとに生成され、基板を生産するためのデータである。グループ情報32bは、1度の生産(例えば、次の生産)において生産対象となる1以上の基板(例えば、図7に示す複数の基板B1~B6のそれぞれ)をグルーピングした情報である。部品配置情報32cは、部品配置決定部31cにより設定された部品供給台車ごとの部品配置リストのデータである。なお、部品配置情報32cは、前の生産用の部品配置リストのデータを含んでよい。
【0069】
管理記憶部32は、作業者により選択された次の生産で生産する基板のグループ情報32bに、基板ごとの生産データ32aと、部品供給台車ごとの部品配置情報32cとを対応付けて記憶し、管理する。
【0070】
台車選択部の一例としての入力部33は、作業者による操作を受け付けるユーザインターフェースであって、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド、ポインティングデバイスなどを用いて構成される。入力部33は、ユーザ操作に基づく信号を管理制御部31に出力する。
【0071】
表示部34は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)などのディスプレイを用いて構成される。表示部34は、管理制御部31によって生成された次の生産用の部品配置リストあるいはエラー通知を表示する。
【0072】
部品情報取得部の一例としての通信部35は、通信ネットワーク2を介して、段取り作業支援装置4および複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれとの間で、データ通信可能に接続される。通信部35は、作業者により予め入力あるいは設定された生産工程に関する生産情報に基づいて、管理制御部31により生成された生産工程を実行させる実行指令を対応する部品実装装置に送信する。
【0073】
次に、図6図10を参照して、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順について説明する。図6は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順例を示すフローチャートである。図7は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt10、ステップSt11)例を説明する図である。図8は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt16)例を説明する図である。図9は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt17、ステップSt19、ステップSt16)例を説明する図である。図10は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt18)例を説明する図である。
【0074】
なお、図6図10に示す管理コンピュータ3の動作手順において、次の生産における生産対象は、複数の基板B1~B6のそれぞれである例を示す。また、複数の基板B1~B6のそれぞれで使用される生産部品は、7つの部品p1,p2,p3,p4,p5,p6,p7である例を示す。
【0075】
また、図6図10に示す管理コンピュータ3の動作手順では、流用台車としての部品供給台車5aが12のテープフィーダ(つまり、スロット)を有する部品供給台車5aを使用する例について説明する。
【0076】
管理コンピュータ3は、部品供給台車5a,…のうち流用台車として作業者により選択された部品供給台車5aにおける現在の部品配置リスト(部品の情報と、部品配置リストとを含む情報)と、次の生産で使用する部品実装装置の情報とを取得する。管理コンピュータ3は、入力部33を介して作業者により選択され、次の生産で使用される複数の基板B1~B6の情報を取得する。管理コンピュータ3は、複数の基板B1~B6のそれぞれを含むグループ情報32bを生成する。管理コンピュータ3は、管理記憶部32を参照して、このグループ情報32bに含まれる基板の生産データを取得する。また、管理コンピュータ3は、このグループ情報32bに含まれる基板のそれぞれに使用(実装)される複数の部品p1~p7のそれぞれの情報を抽出し、生産部品リストLT10を生成する(St10)。
【0077】
管理コンピュータ3は、作業者により選択された部品供給台車5aに配置されている現在の部品配置リストLT20を管理記憶部32における部品配置情報32c、あるいは段取り作業支援装置4から取得する。管理コンピュータ3は、部品配置リストLT20に含まれる部品の生産データに基づいて、部品配置リストLT20のうち次の生産で使用される部品実装装置において実装不可部品と判定する。管理コンピュータ3は、実装不可部品と判定した複数の部品9a5,9a9のそれぞれを現在の部品配置リストLT20から取り外す(削除)処理を実行し(St11)、部品配置リストLT20のうち実装不可部品が配置された位置に対応するスロットを複数の空きスロットEm5,Em9にする。
【0078】
管理コンピュータ3は、実装不可部品と判定した複数の部品9a5,9a9のそれぞれを現在の部品配置リストLT20から取り外す処理が実行されたか否かを判定する(St12)。
【0079】
管理コンピュータ3は、部品9a5,9a9のそれぞれを取り外した後の部品配置リストLT21に、部品9a5,9a9が含まれていないと判定した場合(St12,YES)、さらに生産部品リストLT10と実装不可部品を取り外した状態の部品配置リストLT21とを比較して同一の部品(割当て済み部品)があるか否かを判定する(St13)。
【0080】
一方、管理コンピュータ3は、実装不可部品を取り外す(削除)処理が実行されていないと判定した場合(St12,NO)、エラー通知を生成して、表示部34に出力する(St14)。
【0081】
管理コンピュータ3は、生産部品リストLT10のうち同一の部品と判定された部品p6,p7のそれぞれについて、部品供給台車5aに既に割当て済みの部品(以降、「割当て済み部品」と表記)であることを示すフラグ(例えば、図9のステップSt17における生産部品リストLT11に示す「〇」)を付与する。
【0082】
さらに、管理コンピュータ3は、生産部品リストLT10と実装不可部品を取り外した状態の部品配置リストLT21とを比較し、部品配置リストLT21のうち生産部品リストLT10に存在しない部品があるか否かを判定する。管理コンピュータ3は、部品配置リストLT21のうち生産部品リストに存在しない部品について、不要部品であることを示す不要フラグを付与する(St15)。なお、ここで不要部品は、部品9a1,9a3,9a7,9a10,9a12のそれぞれとする。また、不要フラグ付与後の部品配置データLT22を図8に示す。
【0083】
管理コンピュータ3は、生産部品リストLT10のうち割当て済み部品を示すフラグが付与されていない未割り当ての部品(つまり、部品p1~p5)を、部品供給台車5aの空きスロットEm5,Em9のそれぞれに割り当てる(St16)。なお、図8に示す例では、空きスロットEm5に部品p1を、空きスロットEm9に部品p3をそれぞれ割り当てた例を示す。ここで、割り当てられる未割り当て部品は、例えば基板B1~B6のそれぞれにおいて使用(実装)頻度が高い部品であってもよいし、任意の部品であってもよい。
【0084】
管理コンピュータ3は、空きスロットEm5,Em9のそれぞれに未割り当て部品を割り当てた後の部品配置リスト(つまり、部品配置リストLT23)を生成する。管理コンピュータ3は、生産部品リストのうち割り当て処理を実行した部品を割当て済み部品として、フラグ(生産部品リストLT11に示す「〇」)を付与する。なお、図9に示す生産部品リストLT11では、説明を分かり易くするために割当て済み部品に該当する部品p1,p3,p6,p7のそれぞれの左隣にフラグとしての「〇」を、未割当て済み部品に該当する部品p2,p4,p5のそれぞれの左隣に「×」をそれぞれ付与している。
【0085】
管理コンピュータ3は、部品供給台車5aが備えるスロットに生産部品リストLT11に含まれるすべての部品が割り当てられているか否か(つまり、部品配置リストLT23にすべての生産部品リストLT11の部品が含まれているか否か)を判定する(St17)。
【0086】
管理コンピュータ3は、生産部品リストLT11に含まれるすべての部品p1~p7のそれぞれが部品配置リストに割り当てられていると判定した場合(St17,YES)、さらに部品供給台車5aの部品配置リストに空きスロットがあるか否かを判定する。管理コンピュータ3は、空きスロットがある場合には、この空きスロットに配置されていた不要部品を戻す(割り当てる)処理を実行する(St18)。例えば、図10に示す例において、ステップSt16の処理で生成された部品配置リストLT23は、複数の空きスロットEm3,Em4のそれぞれを有する。管理コンピュータ3は、ステップSt18の処理で空きスロットEm10に部品9a10を、空きスロットEm12に部品9a12をそれぞれ割り当てた部品配置リストLT24を生成する。
【0087】
なお、管理コンピュータ3は、空きスロットに配置されていた不要部品がない場合、あるいは空きスロットに実装不可部品が配置されていた場合には、ステップSt15の処理で不要フラグが付与され、かつ部品配置リストに現在割り当てられていない不要部品のうちいずれかの不要部品を選択して、空きスロットに割り当てる。
【0088】
一方、管理コンピュータ3は、生産部品リストLT11に含まれるすべての部品p1~p7のそれぞれが部品配置リストに割り当てられていないと判定した場合(St17,NO)、部品配置リストLT23に含まれる1以上の不要部品を暫定的に取り外す処理を実行する(St19)。例えば、図9に示す例に示す部品配置リストLT23は、不要部品として複数の部品9a1,9a3,9a7,9a10,9a12のそれぞれを含む。このような場合、管理コンピュータ3は、部品配置リストLT23からこれら複数の部品9a1,9a3,9a7,9a10,9a12のそれぞれを取り外す処理を実行する。
【0089】
ステップSt19の処理の後、管理コンピュータ3は、生産部品リストLT11のうち割当て済み部品を示すフラグが付与されていない未割り当ての部品(図9に示す例では、複数の部品p2,p4,p5のそれぞれ)を、部品供給台車5aの部品配置リストLT25が示す複数の空きスロットEm1,Em3,Em7,Em10,Em12のそれぞれに割り当てる(St16)。
【0090】
管理コンピュータ3は、ステップSt18の処理で生成した部品配置リストLT24のデータに基づいて、部品実装装置M3~M6で実行される基板ごとに部品実装に要するサイクルタイム(つまり、生産時間)を算出する。なお、ここで管理コンピュータ3は、部品配置リストLT24のデータに含まれる割当て済み部品および不要部品以外の部品について、サイクルタイムが最短(最速)となるように部品の配置を並び替える。管理コンピュータ3は、サイクルタイムが最短となった部品の配置に基づく部品配置リストのデータを生成する(St20)。管理コンピュータ3は、生成された部品配置リストのデータに算出されたサイクルタイムおよび部品供給台車5aの識別情報を対応付けて管理記憶部32に記憶するとともに、表示部34に出力、あるいは次の生産工程でこの部品配置リストのデータを使用する所定の部品実装装置に送信する。
【0091】
以上により、実施の形態1に係る部品実装システム1は、キャリヤテープ(部品)が既に配置された既存の部品供給台車を用いて部品配置リストを生成することで、次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業に要する作業工程をより低減できる。
【0092】
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1に係る部品実装システム1では、部品配置リストを流用する流用台車として作業者により選択された部品供給台車の部品配置リストに基づいて、次の生産用の部品配置リストを生成する例を示した。実施の形態1の変形例1に係る部品実装システム1では、管理コンピュータ3により選択された部品供給台車を流用台車とし、この部品供給台車の部品配置リストに基づいて、次の生産用の部品配置リストを生成する例について説明する。
【0093】
まず、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3について説明する。管理コンピュータ3における部品配置生成部31aは、段取りエリアApに配置されデータ通信可能に接続された複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストを、段取り作業支援装置4から通信ネットワーク2を介して取得、または管理記憶部32から参照して取得する。
【0094】
実施の形態1の変形例1に係る部品配置生成部31aは、次の生産で使用される生産部品リストを複製し、この複製された生産部品リストと複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストとを比較し、生産部品リストに含まれる部品と最も一致率が高い配置部品リストを有する部品供給台車を流用台車として選択する。
【0095】
図11Aおよび図11Bを参照して、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順例について説明する。図11Aは、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順例を示すフローチャートである。図11Bは、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順例を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順例は、ステップSt10~ステップSt20において、図6に示す実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順例とほぼ同一の処理が実行されるため、実施の形態1と同一の操作手順あるいは動作手順については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0096】
実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、作業者により選択され、次の生産で使用される複数の基板B1~B6の情報(グループ情報32b)に含まれる基板のそれぞれに使用(実装)される複数の部品p1~p7のそれぞれの情報を含む生産部品リストLT10を複製する(St21)。
【0097】
管理コンピュータ3は、段取りエリアApに配置されデータ通信可能に接続された複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストを、段取り作業支援装置4から通信ネットワーク2を介して取得、または管理記憶部32から参照して取得する。管理コンピュータ3は、取得された複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストに含まれる部品と、複製された生産部品リストLT10に含まれる部品との一致率をそれぞれ算出する。管理コンピュータ3は、算出された一致率が最も高い1台の部品供給台車を流用台車として選択する(St22)。
【0098】
管理コンピュータ3は、生産部品リストLT10に含まれる部品と、選択された部品供給台車の部品配置リストに含まれる部品とを比較し、同一の部品(割当て済み部品)があるか否かを判定する。管理コンピュータ3は、生産部品リストLT10のうち同一の部品と判定された部品(例えば、図7に示す部品p6,p7のそれぞれ)を割当て済み部品と判定し、生産部品リストから削除する(St23)。管理コンピュータ3は、割当て済み部品を削除した生産部品リストを作成する。
【0099】
管理コンピュータ3は、選択された部品供給台車のスロット数の情報を取得し、選択された部品供給台車のスロット数が複製された生産部品リストLT10に含まれる部品を割り当て可能であるか否かを判定する(St24)。なお、ここで管理コンピュータ3は、部品供給台車が生産部品リストLT10に含まれる部品数を割り当て可能なスロット数を有しているか否か、あるいは複数の部品供給台車が生産部品リストLT10に含まれる部品数を割り当て可能な合計スロット数を有しているか否かを判定する。
【0100】
管理コンピュータ3は、部品供給台車が生産部品リストLT10に含まれる部品を割当て可能であると判定した場合(St24,YES)、選択された部品供給台車を流用台車に設定し、ステップSt11の処理に移行する。
【0101】
一方、管理コンピュータ3は、部品供給台車が生産部品リストLT10に含まれる部品を割り当て可能でないと判定した場合(St24,NO)、再度ステップSt22の処理に移行し、流用台車を再選択する。なお、管理コンピュータ3は、選択された部品供給台車以外の部品供給台車から流用台車として用いる部品供給台車を再選択する。
【0102】
なお、管理コンピュータ3は、生産部品リストが複数n個(n:2以上の整数)ある場合には、ステップSt22~ステップSt24の処理をn回繰り返して実行する。この際、管理コンピュータ3は、小さい部品をより多く含む生産部品リスト、あるいは生産部品リストに含まれる部品のうち小さい部品に対応する流用台車の選択を優先的に実行してよい。
【0103】
管理コンピュータ3は、ステップSt23の処理で作成された生産部品リストを用いて、以降のステップSt11の処理を実行する。
【0104】
以上により、実施の形態1の変形例1に係る部品実装システム1は、キャリヤテープ(部品)が既に配置された既存の部品供給台車のうち、生産部品リストに含まれる部品と最も部品の一致率が高い部品供給台車を用いて部品配置リストを生成することで、次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業に要する作業工程をより低減できる。
【0105】
(実施の形態1の変形例2)
実施の形態1の変形例1に係る部品実装システム1では、管理コンピュータ3により選択された部品供給台車を流用台車とし、この部品供給台車の部品配置リストに基づいて、次の生産用の部品配置リストを生成する例について示した。実施の形態1の変形例2に係る部品実装システム1では、管理コンピュータ3により一度に選択される部品供給台車が複数である場合に、これら複数の部品供給台車(以降、「部品供給台車群」と表記)の部品配置リストに基づいて、次の生産用の部品配置リストを生成する例について説明する。
【0106】
まず、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3について説明する。管理コンピュータ3における部品配置生成部31aは、段取りエリアApに配置されデータ通信可能に接続された複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストを、段取り作業支援装置4から通信ネットワーク2を介して取得、または管理記憶部32から参照して取得する。
【0107】
実施の形態1の変形例2に係る部品配置生成部31aは、次の生産で使用される生産部品リストを複製し、この複製された生産部品リストと複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストとを比較し、生産部品リストに含まれる部品と最も一致率が高い配置部品リストを有し、かつ生産部品リストに含まれる部品数を配置可能なスロット数となる部品供給台車群を流用台車群として選択する。
【0108】
図12を参照して、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3の動作手順例について説明する。図12は、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3の動作手順例を示すフローチャートである。なお、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3の動作手順例は、ステップSt10~ステップSt11、ステップSt21、およびステップSt23において、図11Aに示す実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順例とほぼ同一の処理が実行されるため、実施の形態1の変形例1と同一の操作手順あるいは動作手順については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0109】
実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3は、作業者により選択され、次の生産で使用される複数の基板B1~B6の情報(グループ情報32b)に含まれる基板のそれぞれに使用(実装)される複数の部品p1~p7のそれぞれの情報を含む生産部品リストLT10を複製する(St21)。
【0110】
管理コンピュータ3は、段取りエリアApに配置されデータ通信可能に接続された複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストを、段取り作業支援装置4から通信ネットワーク2を介して取得、または管理記憶部32から参照して取得する。管理コンピュータ3は、次の生産で使用される生産部品リストを複製し、この複製された生産部品リストと複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストとを比較し、生産部品リストに含まれる部品と最も一致率が高い配置部品リストを有し、かつ生産部品リストに含まれる部品数を配置可能なスロット数となる部品供給台車群を流用台車群として選択し(St22)、ステップSt23の処理に移行する。なお、図12に示すステップSt11の処理の後、管理コンピュータ3は、図11Bに示すステップSt12の処理に移行する。
【0111】
以上により、実施の形態1の変形例2に係る部品実装システム1は、キャリヤテープ(部品)が既に配置された既存の部品供給台車のうち、生産部品リストに含まれる部品と最も部品の一致率が高い部品供給台車群を用いて部品配置リストを生成することで、実施の形態1および実施の形態1の変形例1に係る部品実装システム1よりも効率的に部品配置リストデータを生成できる。これにより、部品実装システム1は、次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業に要する作業工程をより低減できる。
【0112】
(実施の形態1の変形例3)
実施の形態1の変形例2に係る部品実装システム1では、管理コンピュータ3により一度に選択される部品供給台車が複数である場合に、これら複数の部品供給台車の部品配置リストに基づいて、次の生産用の部品配置リストを生成する例について示した。実施の形態1の変形例3に係る部品実装システム1では、生産部品リストに含まれる少なくとも1つの部品について、部品実装装置M3~M6のうち最も速く実装されるように台車および配置されるスロットを選択する例について説明する。
【0113】
まず、実施の形態1の変形例3に係る管理コンピュータ3について説明する。管理コンピュータ3における部品配置生成部31aは、段取りエリアApに配置されデータ通信可能に接続された複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストを、段取り作業支援装置4から通信ネットワーク2を介して取得、または管理記憶部32から参照して取得する。
【0114】
実施の形態1の変形例3に係る部品配置生成部31aは、次の生産で使用される生産部品リストを複製し、この複製された生産部品リストと複数の部品供給台車5a,…のそれぞれの部品配置リストとを比較し、生産部品リストに含まれる部品と最も一致率が高い配置部品リストを有し、かつ生産部品リストに含まれる部品数を配置可能なスロット数となる部品供給台車群を流用台車群として選択する。なお、管理コンピュータ3は、実施の形態1の変形例1に係る部品配置生成部31aのように、生産部品リストに含まれる部品と最も一致率が高い配置部品リストを有し、かつ生産部品リストに含まれる部品数を配置可能なスロット数を有する1台の部品供給台車を流用台車として選択してもよい。
【0115】
部品配置生成部31aは、生産部品リストに含まれる部品、かつ流用台車として設定された部品供給台車の部品配置リストに未割り当ての部品のうち、1以上の部品を選択する。なお、ここで選択される部品は、作業者により選択された部品であってよい。部品配置生成部31aは、この選択された部品が実装される基板に、最も速く実装可能な部品供給台車を選択する。
【0116】
さらに、部品配置生成部31aは、選択された部品供給台車の部品配置リストを参照し、空きスロットあるいは不要部品が配置されたスロットの位置を取得する。部品配置生成部31aは、選択された部品の生産データに基づいて、この部品が対応する基板に最も速く実装可能となるように取得された空きスロットあるいは不要部品が配置されたスロットに選択された部品を割り当てる。部品配置生成部31aは、割り当て後の部品配置リストのデータを生成し、表示部34または所定の部品実装装置に出力する。
【0117】
なお、ここで部品配置生成部31aは、割り当てられるスロットにおいて、選択された部品が実装ヘッド12に配置されたノズルで同時吸着可能か否か、割り当てられたスロットの位置と部品の実装点(位置)との間の距離などに基づいて、1台の部品供給台車または部品供給台車群の部品配置リストのうち選択された部品を割り当てるスロットを決定する。
【0118】
以上により、実施の形態1の変形例3に係る部品実装システム1は、生産部品リストに含まれる部品のそれぞれをより最適なスロットに割り当てできる。これにより、部品実装システム1は、作業者による次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業に要する作業工程をより低減できるとともに、サイクルタイムをより短縮できる。
【0119】
以上により、実施の形態1に係る部品実装システム1における管理コンピュータ3は、部品実装装置M3~M6に着脱自在であって部品を供給する複数のキャリヤテープを配置可能な複数のスロット(つまり、テープフィーダ)を有する部品供給台車と通信可能に接続される。管理コンピュータ3は、次の生産で使用される複数のキャリヤテープの情報を取得する通信部35と、少なくとも1つのキャリヤテープが配置されている1以上の生産用の部品供給台車を選択する部品配置生成部31a(具体的に、ユーザ操作により部品供給台車が指定される場合は、入力部33から選択された部品供給台車の情報が部品配置生成部31aに入力される)と、部品配置生成部31aにより選択された生産用の部品供給台車に、通信部35によって取得された複数のキャリヤテープの情報により特定される複数のキャリヤテープのそれぞれを配置するスロットを決定する部品配置決定部31cと、を備える。通信部35は、生産用の部品供給台車に配置されているキャリヤテープの情報を取得する。また、部品配置決定部31cは、生産で使用される複数のキャリヤテープのうち生産用の部品供給台車で未配置のキャリヤテープ(つまり、部品)を抽出し、生産用の部品供給台車でキャリヤテープが配置されていない1以上の空きスロット(つまり、キャリヤテープが取り付けられていないテープフィーダ)へ生産におけるサイクルタイムが最短となるように未配置のキャリヤテープ(つまり、部品)を配置した部品配置リストLT24のデータ(キャリヤテープ配置データの一例)を生成して出力する。
【0120】
これにより、実施の形態1に係る部品実装システム1は、キャリヤテープ(部品)が既に配置された既存の部品供給台車を用いて部品配置リストLT24を生成することで、次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業に要する作業工程をより低減できる。
【0121】
また、実施の形態1に係る管理コンピュータ3における部品配置生成部31aは、生産で使用される複数のキャリヤテープと最も一致する複数のキャリヤテープが配置された生産用の部品供給台車を選択する。これにより、実施の形態1に係る部品実装システム1は、キャリヤテープ(部品)が既に配置された既存の部品供給台車のうち、生産部品リストに含まれる部品と最も部品の一致率が高い部品供給台車を用いて部品配置リストLT24を生成することで、次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業に要する作業工程をより低減できる。
【0122】
また、実施の形態1に係る管理コンピュータ3における部品配置決定部31cは、選択された生産用の部品供給台車の空きスロットの数が未配置のキャリヤテープの数より少ないと判定した場合、生産用の部品供給台車に配置された複数のキャリヤテープ(つまり、部品配置リスト)のうち生産で使用されないキャリヤテープ(例えば、図9に示す不要部品としての部品9a1,9a3,9a7,9a10,9a12)を暫定的に取り外して空きスロット(例えば、図9に示す空きスロットEm1,Em3,Em7,Em10,Em12)を生成する。これにより、実施の形態1に係る部品実装システム1は、必要最低限必要な生産部品リストに含まれる部品のうち未割り当て部品をより確実に割り当てることができる。
【0123】
また、実施の形態1に係る管理コンピュータ3における部品配置決定部31cは、生産で使用されないキャリヤテープ(例えば、図9に示す不要部品としての部品9a1,9a3,9a7,9a10,9a12)を取り外して生成された空きスロットに未配置のキャリヤテープが配置されない(つまり、未割り当ての部品が配置されていない)と判定した場合、生成された空きスロット(例えば、図10に示す空きスロットEm10,Em12)に暫定的に取り外されたキャリヤテープ(例えば、図10に示す部品9a10,9a12)を再度配置する。これにより、実施の形態1に係る部品実装システム1は、次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業で取り換え不要(つまり取り外し不要)のキャリヤテープを増やすことができ、キャリヤテープの取り換え作業に要する作業工程をより低減できる。
【0124】
また、実施の形態1に係る管理コンピュータ3における部品配置決定部31cは、生産で使用される部品実装装置に備えられたノズルの実装可能な部品サイズの情報を取得し、生産用の部品供給台車に配置され、かつ生産で使用されないキャリヤテープのうち部品サイズを超える部品(つまり、実装不可部品)を供給するキャリヤテープを取り外して、空きスロットを生成する。これにより、実施の形態1に係る部品実装システム1は、次の生産で使用される部品供給台車の外段取りにおいて作業者のキャリヤテープの取り換え作業で取り換え必須のキャリヤテープをより確実に取り外した部品配置リストを生成できる。また、これにより、部品実装システム1は、実装不可による生産工程の中断,停止などの可能性を低減できる。
【0125】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本開示は、外段取りにおける段取り工数をより低減し、作業者による取り換え作業を効率的に支援する管理コンピュータおよびキャリヤテープ配置決定方法として有用である。
【符号の説明】
【0127】
1 部品実装システム
3 管理コンピュータ
5a,5b,5c,5d 部品供給台車
8a,8b 部品供給部
8a1,8a2,8an テープフィーダ
31 管理制御部
31a 部品配置生成部
31b 生産時間算出部
31c 部品配置決定部
32 管理記憶部
32a 生産データ
32b グループ情報
32c 部品配置情報
33 入力部
34 表示部
35 通信部
LT10,LT11 生産部品リスト
LT20,LT21,LT23,LT24,LT25,LT26 部品配置リスト
M3,M4,M5,M6 部品実装装置
p1,p2,p3,p4,p5,p6,p7 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12