(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】誤投入防止システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240322BHJP
G05B 19/418 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021113812
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】521303327
【氏名又は名称】株式会社ステルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】武田 仁志
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-3077(JP,A)
【文献】特開2016-117586(JP,A)
【文献】特開平6-182767(JP,A)
【文献】特開昭62-249827(JP,A)
【文献】実開昭57-177539(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 ー 1/20
E05B 1/00 ー 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上側が直方体形状とされているとともに、予め定められた被投入物が投入されるタンクと、
平面視における前記タンクの四隅からそれぞれ下方に延び、前記タンクとともに本体部を構成する複数の脚部と、
前記タンク内を上方から覆う矩形の蓋部と、を備えるタンク装置に適用され、
前記蓋部に取り付けられるロック片と、
前記本体部に取り付けられるとともに、前記ロック片に係合可能な係合部を有し、その係合部を前記ロック片に係合及び係合解除することにより前記蓋部を施錠及び解錠する電子錠と、
前記タンクに投入される被投入物が正規のものか否かを判定し、正規のものである場合に前記電子錠を解錠状態とする制御装置と、
を備える誤投入防止システムであって、
前記電子錠を前記本体部に取り付けるための第1取付具と、
前記ロック片を前記蓋部に取り付けるための第2取付具と、を備え、
前記第1取付具は、上下方向に延びる長尺状をなすとともに、下端側に前記脚部を挟持可能な挟持部を有し、前記挟持部の挟持により前記脚部に取り付けられるものであり、
前記第1取付具の上端側には、前記電子錠が取り付けられる電子錠取付部が設けられ、
前記第2取付具は、前記蓋部のコーナ部において前記蓋部を挟んだ上下両側に設けられる下側取付部材及び上側取付部材を有しており、
前記下側取付部材及び前記上側取付部材は、前記蓋部よりも側方に延出する延出部分を有しており、それら各延出部分にはそれぞれ締結具を挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記各延出部分の前記挿通孔に前記締結具が挿通され締結状態とされることにより、前記下側取付部材と前記上側取付部材との間に前記蓋部が挟まれることで前記第2取付具が前記コーナ部に取り付けられるようになっており、
前記第2取付具の一部は、前記ロック片が取り付けられるロック片取付部とされているか、又は前記ロック片とされている、誤投入防止システム。
【請求項2】
前記蓋部は、矩形平板状に形成され前記タンク内を上方から覆う上板部と、前記上板部の周縁部から垂下し前記タンクの外側面に対向する垂下板部とを有し、
前記垂下板部は、前記コーナ部に沿って直角をなす一対の垂下辺部を有し、
前記下側取付部材及び前記上側取付部材は、板材により形成されており、
前記下側取付部材は、前記各垂下辺部ごとに設けられ、前記板材が上方に開口されるようにU字状に折り返された形状となっていることで内側に前記垂下辺部が差し込まれる溝部が形成された一対の差込部を有しており、
前記差込部において前記溝部を挟んだ両側の各板部のうち、内側の前記板部は前記垂下辺部と前記タンクの外側面との間の隙間に配置され、
前記下側取付部材は、さらに、前記各差込部ごとに、外側の前記板部から前記溝部とは反対側に延出する一対の延出部を有しており、
前記一対の延出部にはそれぞれ、前記挿通孔としての下側挿通孔が形成され、
前記上側取付部材は、前記上板部及び前記各延出部の上方に跨るように設けられ、
前記上側取付部材には、前記挿通孔として、前記各下側挿通孔とそれぞれ上下に並ぶ複数の上側挿通孔が形成されており、
前記各延出部ごとに前記締結具が前記上側挿通孔と前記下側挿通孔とを通じて挿通され締結状態とされることにより、前記各差込部ごとに前記差込部と前記上側取付部材との間に前記垂下辺部が挟まれる、請求項1に記載の誤投入防止システム。
【請求項3】
前記上側取付部材は、
矩形平板状に形成され、前記上板部の上面と前記各延出部の上面とにそれぞれ重ねられる重ね板部と、
前記重ね板部の一辺から下方に延出し前記垂下板部と対向する延出片と、を有しており、
前記延出片は、前記ロック片取付部又は前記ロック片からなり、
前記上側取付部材は、前記延出片が前記各垂下辺部のうち一方の垂下辺部と対向する第1向きと、他方の垂下辺部と対向する第2向きとのそれぞれの向きで配置可能となっており、
前記各延出部には、前記一方の垂下辺部に沿って配置される第1延出部と、前記他方の垂下辺部に沿って配置される第2延出部とが含まれており、
前記各下側挿通孔には、前記第1延出部に設けられた第1下側挿通孔と、前記第2延出部に設けられた第2下側挿通孔とが含まれており、
前記重ね板部には、前記上側取付部材が前記第1向きで配置された場合に前記第1下側挿通孔と上下に並ぶ孔部と、前記第2下側挿通孔と上下に並ぶ孔部とがそれぞれ前記上側挿通孔として形成されているとともに、
前記上側取付部材が前記第2向きで配置された場合に前記第1下側挿通孔と上下に並ぶ孔部と、前記第2下側挿通孔と上下に並ぶ孔部とがそれぞれ前記上側挿通孔として形成されている、請求項2に記載の誤投入防止システム。
【請求項4】
前記第1下側挿通孔は、前記第2延出部が延出する第1方向に並んで複数設けられており、
前記第2下側挿通孔は、前記第1延出部が延出する第2方向に並んで複数設けられており、
前記重ね板部には、前記上側取付部材が前記第1向きで配置された場合に前記各第1下側挿通孔とそれぞれ上下に並ぶ孔部と、前記各第2下側挿通孔とそれぞれ上下に並ぶ孔部とが前記上側挿通孔として設けられているとともに、
前記上側取付部材が前記第2向きで配置された場合に前記各第1下側挿通孔とそれぞれ上下に並ぶ孔部と、前記各第2下側挿通孔とそれぞれ上下に並ぶ孔部とが前記上側挿通孔として設けられており、
前記上側取付部材が前記第1向きで配置された場合に前記各第1下側挿通孔と上下に並ぶ孔部の一部は、前記上側取付部材が前記第2向きで配置された場合に前記第2下側挿通孔と上下に並ぶ孔部とされる、請求項3に記載の誤投入防止システム。
【請求項5】
前記上側取付部材に設けられた前記各上側挿通孔はいずれも前記延出片の厚み方向に延びる長孔となっている、請求項4に記載の誤投入防止システム。
【請求項6】
前記下側取付部材では、前記第2方向に並ぶ前記各第2下側挿通孔と前記各第1下側挿通孔とが前記第1方向において所定のピッチで配置されているとともに、前記第1方向に並ぶ前記各第1下側挿通孔と前記各第2下側挿通孔とが前記第2方向において前記所定のピッチで配置されており、
前記上側取付部材には、前記上側挿通孔が前記延出片の横幅方向に前記所定のピッチで複数配置されており、
前記複数の上側挿通孔には、前記横幅方向の両端に位置する一対の第1上側挿通孔と、前記一対の上側挿通孔の間に位置する第2上側挿通孔とが含まれており、
前記上側取付部材が前記第1向きで配置される場合には、前記一対の第1上側挿通孔のうち一方の第1上側挿通孔が前記各第2下側挿通孔とそれぞれ上下に並ぶとともに、他方の第1上側挿通孔と前記第2上側挿通孔とがそれぞれ前記第1下側挿通孔と上下に並び、
前記上側取付部材が前記第2向きで配置される場合には、前記他方の第1上側挿通孔が前記各第1下側挿通孔とそれぞれ上下に並ぶとともに、前記一方の第1上側挿通孔と前記第2上側挿通孔とがそれぞれ前記第2下側挿通孔と上下に並ぶようになっている、請求項5に記載の誤投入防止システム。
【請求項7】
前記延出片は、前記ロック片取付部であり、
前記ロック片取付部には、前記ロック片を取り付けるための締結具を挿通可能な挿通孔部が形成されており、
前記挿通孔部は、横方向に延びる長孔となっている、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の誤投入防止システム。
【請求項8】
前記蓋部は、前記タンクから上方に取り外し可能に設けられ、
前記蓋部の上面側には取っ手が設けられており、
前記蓋部の4つの辺部には、前記第2取付具が取り付けられる前記コーナ部の対角に位置するコーナ部を形成する2つの所定の辺部が含まれており、
帯状又は紐状をなすとともに曲げ変形可能に形成された長尺部材を備え、
前記長尺部材は、一端側が前記取っ手に結び付けられ、前記取っ手から前記所定の辺部に向けて延びるように配設されるとともに、当該所定の辺部において下方に屈曲され、他端側が隣り合う前記脚部を連結する横材又は前記脚部に結び付けられる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の誤投入防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料等を保管するタンク装置への材料等の誤投入を防止する誤投入防止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
材料を保管するためのタンクに材料を投入する場合、人的要因により、予定した材料とは異なる材料を投入してしまう誤投入が問題になる。このような誤投入を防止するために、予定した材料であるか否かをコード等の読み取りによって正誤判定し、判定結果を報知する誤投入防止システムが知られている。誤投入防止システムの機能を高めるために、報知のみならず、タンクの投入口に電子錠を設け、正誤判定の結果が正である場合に電子錠が解錠されるようにすることも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、既設のタンクに電子錠を取り付ける場合、タンク本体と蓋に対し、電子錠の取付金具を溶接するか、孔開け加工を施して取付金具をビス止めするのが一般的である。しかしながら、取付金具を溶接する場合には一旦タンクを回収しなければならず、作業が大袈裟になる。
【0005】
また、タンク本体や蓋に孔開け加工を施す場合には、微細粉が発生する。そのため、微細粉がホッパに投入される材料に混入しないように、細心の注意を払う必要がある。また、微細粉がホッパに入り込む可能性を懸念する場合、既設のタンクに対する誤投入防止システムの導入が進みにくい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、タンク本体や蓋に溶接や孔開け加工を施すことなく、既設のタンク装置に簡単に設置可能な誤投入防止システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の誤投入防止システムは、少なくとも上側が直方体形状とされているとともに、予め定められた被投入物が投入されるタンクと、平面視における前記タンクの四隅からそれぞれ下方に延び、前記タンクとともに本体部を構成する複数の脚部と、前記タンク内を上方から覆う矩形の蓋部と、を備えるタンク装置に適用され、前記蓋部に取り付けられるロック片と、前記本体部に取り付けられるとともに、前記ロック片に係合可能な係合部を有し、その係合部を前記ロック片に係合及び係合解除することにより前記蓋部を施錠及び解錠する電子錠と、前記タンクに投入される被投入物が正規のものか否かを判定し、正規のものである場合に前記電子錠を解錠状態とする制御装置と、を備える誤投入防止システムであって、前記電子錠を前記本体部に取り付けるための第1取付具と、前記ロック片を前記蓋部に取り付けるための第2取付具と、を備え、前記第1取付具は、上下方向に延びる長尺状をなすとともに、下端側に前記脚部を挟持可能な挟持部を有し、前記挟持部の挟持により前記脚部に取り付けられるものであり、前記第1取付具の上端側には、前記電子錠が取り付けられる電子錠取付部が設けられ、前記第2取付具は、前記蓋部のコーナ部において前記蓋部を挟んだ上下両側に設けられる下側取付部材及び上側取付部材を有しており、前記下側取付部材及び前記上側取付部材は、前記蓋部よりも側方に延出する延出部分を有しており、それら各延出部分にはそれぞれ締結具を挿通可能な挿通孔が形成されており、前記各延出部分の前記挿通孔に前記締結具が挿通され締結状態とされることにより、前記下側取付部材と前記上側取付部材との間に前記蓋部が挟まれることで前記第2取付具が前記コーナ部に取り付けられるようになっており、前記第2取付具の一部は、前記ロック片が取り付けられるロック片取付部とされているか、又は前記ロック片とされている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の誤投入防止システムは、上記のように、電子錠をタンク装置の本体部に取り付けるための第1取付具と、ロック片をタンク装置の蓋部に取り付けるための第2取付具とを備える。第1取付具は、上下方向に延びる長尺状をなし、下端側に設けられた挟持部がタンク装置の脚部を挟持することにより当該脚部に取り付けられる。また、第1取付具の上端側には電子錠取付部が設けられ、その電子錠取付部に電子錠が取り付けられるようになっている。
【0009】
第2取付具は、蓋部のコーナ部において蓋部を挟んで上下両側に設けられる下側取付部材及び上側取付部材を有している。これら各取付部材は、蓋部よりも側方に延出した延出部分において締結具を用いて締結される。そして、それにより、各取付部材の間に蓋部が挟まれることで、各取付部材つまりは第2取付具が蓋部のコーナ部に取り付けられるようになっている。
【0010】
このように、本誤投入防止システムによれば、電子錠及びロック片をタンク装置の本体部や蓋部に溶接や孔開け加工を施すことなく取り付けることができる。そのため、既設のタンク装置に簡単に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】タンク装置に誤投入防止システムが適用された状態を示す正面図。
【
図2】タンク装置に取り付けられた電子錠及びロック片の周辺を示す側面図。
【
図3】(a)が第1取付具を示す側面図であり、(b)が第1取付具の上端側を示す正面図であり、(c)が(a)のA-A線断面図である。
【
図4】(a)が第1取付具により電子錠がタンク装置の本体部に取り付けられた状態を示す側面図であり、(b)が(a)のB-B線断面図である。
【
図5】(a)が下側取付部材を示す平面図であり、(b)が正面図である。
【
図6】(a)が上側取付部材を示す平面図であり、(b)が側面図であり、(c)が正面図である。
【
図7】(a)が蓋部のコーナ部に第2取付具が取り付けられた取付状態を示す平面図であり、(b)が(a)において上側取付部材を取り外した状態を示す平面図である。
【
図8】上側取付部材にロック片が取り付けられた状態を示す正面図。
【
図9】蓋部のコーナ部に第2取付具を介してロック片が取り付けられた取付状態を示す平面図。
【
図10】(a)はベルト部材がタンク装置に取り付けられた状態を示す平面図であり、(b)は側面図である。
【
図11】ベルト部材の作用を説明するための正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、樹脂成型用のペレットを収容するタンク装置に適用される誤投入防止システムについて具体化している。誤投入防止システムは、タンク装置に正規のペレットとは異なるペレットが投入されるのを防止するシステムであり、既設のタンク装置に後付けされるものとなっている。以下においては、誤投入防止システムの説明に先立ち、まず、タンク装置について
図12に基づき説明する。
図12は、タンク装置を示す正面図である。
【0013】
図12に示すように、タンク装置70は、被投入物としてのペレットを収容するタンク71と、タンク71を下方から支持する複数の脚部72と、タンク71内を上方から覆う蓋部73とを備える。タンク71は、上方に開放されており、その上端開口がペレットをタンク71内に投入するための投入口となっている。タンク71は、上側部分が直方体形状とされ、下側部分が漏斗形状とされている。また、タンク71の下端部にはホッパ77が取り付けられている。
【0014】
各脚部72は、タンク71の四隅からそれぞれ下方に延びている。各脚部72は、断面L字状の長尺材により形成され、互いに直角をなす二つの板部72a,72bを有している(
図4(a)及び(b)も参照)。各脚部72は、L字の頂部をタンク装置70の外側に向けて配置されている。また、隣り合う各脚部72は、横方向に延びる横材74を介して互いに連結されている。この場合、タンク71と各脚部72と横材74とを有してタンク装置70の本体部75が構成されている。また、各脚部72の下端部にはそれぞれキャスタ76が取り付けられている。
【0015】
蓋部73は、タンク71の形状に合わせた矩形形状とされ、タンク71に対して上方に取り外し可能に設けられている。蓋部73は、矩形平板状の上板部78と、上板部78の周縁部から垂下された四角環状の垂下板部79とを有する。上板部78は、タンク71内を上方から覆うように配置され、垂下板部79は、タンク71の上端部を囲むように配置されている。また、上板部78の上面には取っ手81が設けられている。取っ手81は、棒材が上方に凸となるようにコ字状に曲げられることにより形成され、両端がそれぞれ上板部78に固定されている。
【0016】
続いて、上記のタンク装置70に適用される誤投入防止システム10について
図1及び
図2に基づき説明する。
図1は、タンク装置70に誤投入防止システム10が適用された状態を示す正面図である。
図2は、タンク装置70に取り付けられた電子錠11及びロック片12の周辺を示す側面図である。
【0017】
図1に示すように、誤投入防止システム10は、その基本的な構成として、タンク装置70の本体部75に取り付けられる電子錠11と、蓋部73に取り付けられるロック片12と、タンク71内に投入されるペレットの識別情報(例えばQRコード(登録商標)やバーコード)を読み取る読取装置13と、電子錠11を制御する制御装置14とを備える。
【0018】
電子錠11は、タンク装置70の蓋部73を施解錠するものである。電子錠11は、後述する第1取付具20を介してタンク装置70の本体部75に取り付けられ、その取付状態でタンク71の側方に配置されている。ロック片12は、鋼板により平板状に形成され、後述する第2取付具30を介して蓋部73に取り付けられている。ロック片12は、
図1及び
図2に示すように、上下方向に延びる向きで蓋部73の側方に配置されている。ロック片12の下部は、電子錠11の内部に上方から挿入される挿入部12aとなっている。電子錠11には、その上面にて開口された挿入口16が形成され、その挿入口16を通じて上記の挿入部12aが電子錠11内部に挿入されている。また、挿入部12aには、厚み方向に貫通する開口部12b(
図8参照)が形成されている。
【0019】
電子錠11は、その内部にロック片12に係合可能な係合部17を有している。係合部17は、鉤状をなしており、モータ等の駆動部(図示略)によって動作可能とされている。係合部17は、ロック片12の開口部12bに入り込み当該開口部12bに係合する係合位置(
図2の二点鎖線参照)と、開口部12bから退避して上記係合を解除する係合解除位置(
図2の破線参照)との間で回動可能とされている。係合部17が係合位置にある場合には、係合部17がロック片12に係合されることにより、蓋部73を上方に開くことが不可となる。そのため、蓋部73は電子錠11により施錠された施錠状態となる。一方、係合部17が係合解除位置にある場合には、ロック片12に対する係合部17の係合が解除されることで、蓋部73を上方に開くことが可能となる。そのため、蓋部73は電子錠11により解錠された解錠状態となる。
【0020】
読取装置13は、タンク71に投入されるペレットが入った原料袋に付されたバーコードを読み取るスキャナ装置からなる。すなわち、ペレットの原料袋には、ペレットを識別する識別情報としてバーコードが付されており、そのバーコードを読取装置13により読み取る構成となっている。読取装置13は、制御装置14と配線18を介して接続されている。読取装置13によりペレットの識別情報が読み取られると、その識別情報が読取装置13から制御装置14に入力される。
【0021】
制御装置14は、読取装置13から入力される識別情報に基づいて、タンク71に投入されるペレットが正規のペレットであるか否かを判定する。制御装置14は、電子錠11と配線19を介して接続されている。制御装置14は、上記の判定の結果、タンク71に投入されるペレットが正規のものである場合に、電子錠11に解錠信号を出力する。これにより、電子錠11が解錠状態とされ、蓋部73を開くことが可能となる。
【0022】
一方、制御装置14は、上記の判定の結果、タンク71に投入されるペレットが正規のものでない場合には、電子錠11に施錠信号を出力する。これにより、電子錠11が施錠状態とされ、蓋部73を開くことが不可とされる。このように、誤投入防止システム10では、タンク71に投入されるペレットが正規のものである場合にのみ電子錠11が解錠状態とされる。そして、それにより、タンク71内にペレットが誤投入されるのを防止することが可能となっている。
【0023】
本誤投入防止システム10は、タンク装置70の本体部75に電子錠11を取り付けるための第1取付具20と、蓋部73にロック片12を取り付けるための第2取付具30とをさらに備えている。本誤投入防止システム10では、これらの取付具20,30により、電子錠11とロック片12とを既設のタンク装置70に後付けし易くなっており、その点が本誤投入防止システム10の特徴となっている。そこで、以下においては、これら各取付具20,30による電子錠11及びロック片12の取付構成について説明する。
【0024】
まず、第1取付具20による電子錠11の取付構成について、
図1に加え
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、(a)が第1取付具20を示す側面図であり、(b)が第1取付具20の上端側を示す正面図であり、(c)が(a)のA-A線断面図である。
図4は、(a)が第1取付具20により電子錠11がタンク装置70の本体部75に取り付けられた状態を示す側面図であり、(b)が(a)のB-B線断面図である。
【0025】
図3(a)~(c)に示すように、第1取付具20は、上下方向に延びる長尺体21と、長尺体21の下端側に固定された固定板22と、固定板22に設けられたボルト23と、長尺体21の上端部に設けられた電子錠取付板24とを有する。長尺体21は、角形の鋼管により形成され、その横断面(詳しくは、長手方向と直交する断面)が長方形状をなしている。
【0026】
固定板22は、長尺体21の長手方向(つまり上下方向)に所定の間隔で複数(本実施形態では2つ)配置されている。固定板22は、L字状の鋼板からなり、長尺体21の短辺側の側面21aに溶接固定された固定板部22aと、長辺側の側面21bと離間対向する対向板部22bとを有している。各固定板22の対向板部22bには、内周面にめねじが形成されたねじ孔26が設けられている。ねじ孔26は上下に複数(本実施形態では2つ)設けられ、それら各ねじ孔26にはそれぞれボルト23が螺合されている。
【0027】
第1取付具20は、
図1及び
図4(a)に示すように、タンク装置70の脚部72に沿って配置され、その配置状態で下端側がボルト23を用いて脚部72に固定されている。第1取付具20は、
図4(b)に示すように、長尺体21と固定板22の対向板部22bとの間に脚部72の板部72aを挿し入れた状態で配置されている。この場合、長尺体21は板部72aの外面に重ねられている。そして、かかる配置状態で、各ボルト23が締め込まれることにより、各ボルト23の先端と長尺体21との間に脚部72の板部72aが挟まれた(挟持された)状態となっている。そして、その挟持によって、第1取付具20が脚部72に取り付けられている。なお、この場合、ボルト23と長尺体21とにより脚部72を挟持する「挟持部」が構成されている。
【0028】
第1取付具20が脚部72に取り付けられた状態では、第1取付具20の長尺体21が脚部72よりも上方に延びており、その長尺体21の上端部には上述したように電子錠取付板24が設けられている。電子錠取付板24は、鋼板により形成され、長尺体21の上端部に溶接により固定されている。電子錠取付板24は、長尺体21の各側面21bのうち、対向板部22bと対向する側面21bとは反対側の側面21bに固定されている。電子錠取付板24は、長尺体21の上端部よりも上方に突出した状態で固定され、上記突出した部分にはねじ27を挿通可能な挿通孔28が形成されている。
【0029】
電子錠取付板24には、電子錠11が取り付けられている。電子錠11は、電子錠取付板24の板面(詳しくは反長尺体21側の板面)に重ねて配置され、その状態で挿通孔28に挿通されたねじ27により電子錠取付板24に取り付けられている。なお、電子錠取付板24が電子錠取付部に相当する。
【0030】
続いて、第2取付具30により蓋部73に取り付けられるロック片12の取付構成について
図1及び
図2に加え、
図5~
図8を用いて説明する。
図5は、(a)が第2取付具30を構成する下側取付部材31を示す平面図であり、(b)が正面図である。
図6は、(a)が第2取付具30を構成する上側取付部材32を示す平面図であり、(b)が側面図であり、(c)が正面図である。
図7は、(a)が蓋部73のコーナ部に第2取付具30が取り付けられた取付状態を示す平面図であり、(b)が(a)において上側取付部材32を取り外した状態を示す平面図である。
図8は、上側取付部材32にロック片12が取り付けられた状態を示す正面図である。
【0031】
図1及び
図2に示すように、第2取付具30は、蓋部73のコーナ部に取り付けられている。詳しくは、第2取付具30は、蓋部73の各コーナ部のうち、第1取付具20が取り付けられた脚部72の真上に位置するコーナ部73aに取り付けられている(
図10(a)参照)。第2取付具30は、蓋部73を挟んで上下両側に設けられる下側取付部材31及び上側取付部材32を有している。これら各取付部材31,32は、いずれも鋼板により形成されている。
【0032】
図5(a)及び(b)に示すように、下側取付部材31は、平面視にて略L字状に形成されている。下側取付部材31は、蓋部73の垂下板部79が差し込まれる一対の差込部34,35と、各差込部34,35から延出する一対の延出部36,37と、各差込部34,35を繋ぐ繋ぎ部38とを有する。
【0033】
一対の差込部34,35はいずれも、鋼板が上方に開放されるようにU字状に折り返された形状となっている。各差込部34,35は、平面視にて互いに直角をなすように配置されている。各差込部34,35の内側には、上方に開放された溝部34a,35aが形成されている。これらの溝部34a,35aは、互いに直交する方向に延びている。
【0034】
図7(b)に示すように、各差込部34,35の溝部34a,35aには蓋部73の垂下板部79が上方から差し込まれている。詳しくは、垂下板部79は上記コーナ部73aに沿って直角をなす一対の垂下辺部79a,79bを有しており、それら垂下辺部79a,79bのうち、垂下辺部79aが溝部34aに差し込まれ、垂下辺部79bが溝部35aに差し込まれている。なお、各溝部34a,35aの溝幅は、垂下板部79の板厚と同じか又はそれよりも若干大きくされている。
【0035】
差込部34は、溝部34aを挟んで対向する一対の板部34b,34cを有する。各板部34b,34cのうち、板部34bが内側(L字内側)に配置された内側板部34bとなっており、板部34cが外側(L字外側)に配置された外側板部34cとなっている。内側板部34bは、蓋部73の垂下辺部79aとタンク71の外側面との間の隙間に配置されている。
【0036】
同様に、差込部35は、溝部35aを挟んで対向する一対の板部35b,35cを有する。各板部35b,35cのうち、板部35bが内側(L字内側)に配置された内側板部35bとなっており、板部35cが外側(L字外側)に配置された外側板部35cとなっている。内側板部35bは、蓋部73の垂下辺部79bとタンク71の外側面との間の隙間に配置されている。
【0037】
各差込部34,35の内側板部34b,35bは繋ぎ部38により接続されている。繋ぎ部38は円弧板状とされ、この繋ぎ部38と各内側板部34b,35bとにより平面視L字状のL字板部が形成されている。そして、このL字板部が蓋部73のコーナ部73aにおいて垂下板部79とタンク71の外側面との間に配置されている。
【0038】
一対の延出部36,37のうち、延出部36は、差込部34の外側板部34cの上端部から溝部34aとは反対側に延出している。この場合、延出部36は、差込部34の溝部34aに差し込まれた蓋部73の垂下辺部79aに沿って配置され、その垂下辺部79aに対して側方に延出している。また、延出部37は、差込部35の外側板部35cの上端部から溝部35aとは反対側に延出している。この場合、延出部37は、差込部35の溝部35aに差し込まれた垂下辺部79bに沿って配置され、その垂下辺部79bに対して側方に延出している。なお、延出部36が第1延出部に相当し、延出部37が第2延出部に相当する。
【0039】
延出部36の上面と延出部37の上面とは、同じ高さに位置している。また、これら各延出部36,37の上面は、各差込部34,35の溝部34a,35aに蓋部73の垂下板部79が差し込まれた状態で蓋部73(上板部78)の上面と略同じ高さに位置している(
図2参照)。
【0040】
延出部36には、ねじ43を挿通可能な挿通孔41が複数形成されている。また、延出部37にも、ねじ43を挿通可能な挿通孔42が複数形成されている。各挿通孔42の数は各挿通孔41の数と同じとなっており、本実施形態では2つとなっている。これら各挿通孔41,42はいずれも、内周面にめねじ(図示略)が形成されたねじ孔となっている。なお、各挿通孔41が第1下側挿通孔に相当し、各挿通孔42が第2下側挿通孔に相当する。
【0041】
延出部36の各挿通孔41は、延出部37の延出する方向、換言すると差込部34の溝部34aの延びる方向(以下、第1方向Xという)に並んでいる。また、延出部37の各挿通孔42は、延出部36の延出する方向、換言すると差込部35の溝部35aの延びる方向(以下、第2方向Yという)に並んでいる。この場合、各挿通孔41のピッチP1(間隔)と、各挿通孔42のピッチP2(間隔)とは同じ大きさとなっている。
【0042】
また、第1方向Xに並ぶ各挿通孔41と、第2方向Yに並ぶ各挿通孔42とは、第1方向Xにおいて所定の間隔(以下、ピッチP3という)をおいて配置されているとともに、第2方向Yにおいて所定の間隔(以下、ピッチP4という)をおいて配置されている。この場合、第1方向XにおけるピッチP3と、第2方向YにおけるピッチP4とはいずれも同じ大きさとなっている。また、これら各ピッチP3,P4は、各挿通孔41のピッチP1及び各挿通孔42のピッチP2とも同じ大きさとなっている。したがって、各ピッチP1~P4は、いずれも同じピッチPa(所定のピッチに相当)となっている(P1=P2=P3=P4=Pa)。これにより、第1方向Xにおいては、第2方向Yに並ぶ各挿通孔42と各挿通孔41とが上記のピッチPaで配置され、第2方向Yにおいては、第1方向Xに並ぶ各挿通孔41と各挿通孔42とが上記のピッチPaで配置されている。
【0043】
続いて、上側取付部材32について説明する。
図6(a)~(c)及び
図7(a)に示すように、上側取付部材32は、蓋部73の上面に重ねられる矩形平板状の重ね板部45と、重ね板部45の一辺から下方に延出する延出片46とを有する。重ね板部45は長方形状とされており、その重ね板部45の各短辺のうちの一方から延出片46が延出している。
【0044】
重ね板部45には、ねじ43を挿通可能な複数(具体的には3つ)の挿通孔47~49が形成されている。これらの挿通孔47~49はいずれも重ね板部45の長辺方向に延びる長孔となっており、換言すると延出片46の厚み方向に延びる長孔となっている。各挿通孔47~49は、重ね板部45の短辺方向に一定のピッチP5(間隔)で並んでおり、換言すると延出片46の横幅方向に一定のピッチP5で並んでいる。各挿通孔47~49のピッチP5は、上述した下側取付部材31における挿通孔41,42の各ピッチP1~P4と同じ大きさのピッチPa(所定のピッチに相当)となっている(P1~P4=P5=Pa)。なお、各挿通孔47~49が上側挿通孔に相当する。
【0045】
各挿通孔47~49のうち、両端に位置する各挿通孔47,48は、それら各挿通孔47,48の間に位置する挿通孔49よりも孔長さが長くなっている。各挿通孔47,48はいずれも孔長さ(詳しくは長手方向の長さ)が同じ長さとなっている。各挿通孔47,48の孔長さは、下側取付部材31において、第1方向Xに所定のピッチPaで配置された挿通孔42及び各挿通孔41の各ピッチP1,P3の総和(P1+P3=2Pa)よりも十分に長くなっており、換言すると、第2方向Yに所定のピッチPaで配置された挿通孔41及び各挿通孔42の各ピッチP2,P4の総和(P2+P4=2Pa)よりも十分に長くなっている。また、挿通孔49の孔長さは、各挿通孔47,48の孔長さの半分又はそれよりも短くされている。また、これら各挿通孔47~49は、長さ方向における延出片46側の端部の位置がいずれも同じ位置となっている。なお、各挿通孔47,48が第1上側挿通孔に相当し、挿通孔49が第2上側挿通孔に相当する。
【0046】
重ね板部45は、蓋部73の上板部78の上面と下側取付部材31の各延出部36,37の上面とに重ねられた状態で配置されている。この場合、重ね板部45と下側取付部材31の各差込部34,35との間に蓋部73の垂下板部79が上下に挟まれた状態となっている。詳しくは、重ね板部45と差込部34との間に垂下板部79の垂下辺部79aが挟まれ、重ね板部45と差込部35との間に垂下辺部79bが挟まれた状態となっている。
【0047】
重ね板部45が上記のように配置された状態で、上側取付部材32の延出片46は蓋部73の垂下板部79と対向している(
図2や
図8も参照)。この場合、上側取付部材32は、延出片46が垂下板部79の垂下辺部79aと対向する向き(以下、この向きを「第1向き」という)で配置されている。上側取付部材32が第1向きで配置される場合には、各挿通孔47~49の長さ方向が下側取付部材31の各挿通孔42の並ぶ第2方向Yと同方向とされる。
【0048】
上側取付部材32が第1向きで配置された状態において、重ね板部45の挿通孔47は下側取付部材31の各挿通孔42とそれぞれ上下に並んでいる。各挿通孔42には、挿通孔47を通じてねじ43がねじ込まれている(締結されている)。また、重ね板部45の各挿通孔48,49はそれぞれ、下側取付部材31の挿通孔41とそれぞれ上下に並んでいる。各挿通孔41には、それぞれ挿通孔48,49を通じてねじ43がねじ込まれている。
【0049】
これらにより、重ね板部45(ひいては上側取付部材32)は、複数のねじ43を用いて下側取付部材31に締結されている。この場合、重ね板部45と下側取付部材31とは、蓋部73よりも側方に延出した延出部分において各ねじ43により締結されている。そして、これにより、重ね板部45と下側取付部材31との間に蓋部73が挟まれた状態となっており、詳しくは重ね板部45と下側取付部材31の各差込部34,35との間にそれぞれ蓋部73の垂下辺部79a,79bが挟まれた状態となっている。そして、これにより、両取付部材31,32ひいては第2取付具30が蓋部73のコーナ部73aに取り付けられている。
【0050】
図2及び
図8に示すように、上側取付部材32の延出片46には、ロック片12が取り付けられている。延出片46には、横方向(左右方向)に延びる長孔51(挿通孔部に相当)が形成され、ロック片12には、ねじ52を挿通可能な挿通孔12cが形成されている。挿通孔12cは、ロック片12の上端側にて左右に一対設けられている。また、ロック片12は、延出片46の外面に重ねられ、その状態で挿通孔12cと長孔51とにねじ52が挿通されている。ねじ52は、延出片46の裏面に配置された裏板53のねじ孔(図示略)にねじ込まれている。これにより、ロック片12がねじ52(締結具に相当)により延出片46に取り付けられている。また、かかる取付状態で、ロック片12は延出片46よりも下方に延出しており、その延出した部分に電子錠11に挿入される上記挿入部12aが形成されている。なお、延出片46がロック片取付部に相当する。
【0051】
上述したように、本誤投入防止システム10では、電子錠11が第1取付具20を用いてタンク装置70の本体部75に取り付けられ、ロック片12が第2取付具30を用いて蓋部73に取り付けられるようになっている。また、上述した取付構成では、電子錠11及びロック片12が、蓋部73のコーナ部73aに沿った各垂下辺部79a,79bのうち垂下辺部79aの側に配置されるようになっている(
図1、
図10(a)等参照)。ここで、本誤投入防止システム10では、電子錠11及びロック片12が垂下辺部79bの側に配置されるように、電子錠11及びロック片12を取り付けることも可能となっている。そこで、以下では、その場合の取付構成について説明する。
【0052】
まず、電子錠11の取付構成について説明すると、上述の取付構成では、第1取付具20が、タンク装置70の脚部72の板部72aをボルト23を用いて挟持することにより当該脚部72に取り付けられていた(
図1や
図4参照)。これに対して、電子錠11を垂下辺部79bの側に配置する場合には、脚部72の板部72bをボルト23を用いて挟持することにより、第1取付具20が脚部72に取り付けられる。この場合、第1取付具20は脚部72の板部72bの外面に重ねられた状態で取り付けられる。これにより、電子錠11は垂下辺部79bの側に配置される。
【0053】
続いて、ロック片12の取付構成について
図9を用いて説明する。
図9は、蓋部73のコーナ部73aに第2取付具30を介してロック片12が取り付けられた取付状態を示す平面図である。
【0054】
上述の取付構成では、第2取付具30の上側取付部材32が、延出片46が蓋部73の垂下辺部79aに対向する第1向きで配置されていたが(
図2や
図7(a)等参照)、ロック片12を垂下辺部79bの側に配置する場合には、
図9に示すように、上側取付部材32が、延出片46が垂下辺部79bに対向する向き(以下、この向きを「第2向き」という)で配置される。つまり、上側取付部材32は、上述の第1向きと、第2向きとのそれぞれの向きで配置可能となっている。上側取付部材32が第2向きで配置される場合には、各挿通孔47~49の長さ方向が下側取付部材31の各挿通孔41の並ぶ第1方向Xと同方向とされる。
【0055】
上側取付部材32が第2向きで配置される場合には、重ね板部45の挿通孔48が、下側取付部材31の各挿通孔41とそれぞれ上下に並ぶようになっている(
図7(b)も参照)。この場合、各挿通孔41には、挿通孔48を通じてねじ43がねじ込まれる。また、重ね板部45の各挿通孔47,49はそれぞれ、下側取付部材31の挿通孔42とそれぞれ上下に並ぶようになっている。この場合、各挿通孔42には、それぞれ挿通孔47,49を通じてねじ43がねじ込まれる。これにより、第2取付具30が各ねじ43を用いて蓋部73のコーナ部73aに取り付けられる。そして、このように取り付けられる第2取付具30の延出片46にロック片12がねじ52により取り付けられる。これにより、ロック片12が垂下辺部79bの側に配置される。
【0056】
ここで、本誤投入防止システム10は、上述した取付具20,30に加え、タンク装置70の蓋部73をスムーズに開くことを可能とするベルト部材60をさらに備えている。そこで、以下では、このベルト部材60に関する構成について、
図1に加え、
図10及び
図11に基づき説明する。なお、
図10において、(a)はベルト部材60がタンク装置70に取り付けられた状態を示す平面図であり、(b)が側面図である。また、
図11は、ベルト部材60の作用を説明するための正面図である。
【0057】
図10(a)に示すように、蓋部73における4つの辺部83a~83dには、第2取付具30が取り付けられるコーナ部73aを形成する2つの辺部83a,83bと、コーナ部73aと対角に位置するコーナ部73bを形成する2つの辺部83c,83dとが含まれている。この場合、各辺部83c,83dが「2つの所定の辺部」に相当する。
【0058】
図1及び
図10(a),(b)に示すように、ベルト部材60は、帯状に形成されたベルト本体60aと、ベルト本体60aの長さ調整を行う長さ調整機構60bとを有している。ベルト本体60aは樹脂製であり、曲げ変形可能に形成されている。ベルト部材60(詳しくはベルト本体60a)は、一端側が蓋部73の取っ手81に結び付けられており、その取っ手81から蓋部73の辺部83cに向けて延びるように配設されている。ベルト部材60は、蓋部73の辺部83cにて下方に屈曲され、その辺部83cから下方に向けて延びている。ベルト部材60の他端側(下端側)は、タンク装置70の横材74に結び付けられている。なお、ベルト部材60が長尺部材に相当する。
【0059】
上記のように、ベルト部材60は、その両端側がそれぞれ蓋部73の取っ手81及び横材74に結び付けられることによりタンク装置70に取り付けられている。この場合、ベルト部材60は、長さ方向に張った状態でタンク装置70に取り付けられている。具体的には、ベルト部材60は、長さ調整機構60bによるベルト本体60aの長さ調整により、長さ方向に張った状態とされている。
【0060】
上記の構成によれば、ベルト部材60が蓋部73の辺部83c上を経由して配設されているため、蓋部73の辺部83c側が上方に持ち上がることがベルト部材60により防止されている。この場合、蓋部73を上方に開く際には、辺部83c側が持ち上がることが防止された状態で蓋部73が開くことになるため、
図11に示すように、辺部83cを回動軸として蓋部73を上方に回動させて開く、簡易式の疑似ヒンジ構造を実現することができる。そのため、蓋部73をスムーズに開くことが可能となっている。
【0061】
次に、上述した誤投入防止システム10を既設のタンク装置70に後付けする際の作業手順について説明する。特に、ここでは、タンク装置70に電子錠11及びロック片12を取り付ける際の作業手順を中心に説明を行う。
【0062】
まず、タンク装置70の本体部75に電子錠11を取り付ける電子錠取付工程を行う。この工程では、タンク装置70の脚部72(詳しくは板部72a)に第1取付具20の下端側をボルト23を用いて取り付けるとともに、第1取付具20の電子錠取付板24に電子錠11をねじ27を用いて取り付ける。
【0063】
次に、タンク装置70の蓋部73にロック片12を取り付けるロック片取付工程を行う。この工程では、蓋部73のコーナ部73aにねじ43を用いて第2取付具30を取り付けるとともに、第2取付具30(詳しくは上側取付部材32)の延出片46にねじ52を用いてロック片12を取り付ける。この取付作業は、ロック片12が電子錠11に対して正規の位置関係で配置されるように行う。すなわち、ロック片12の挿入部12aが電子錠11の挿入口16を通じて電子錠11の内部に挿入されるように、ロック片12の取り付けを行う。
【0064】
ロック片12を電子錠11に対して正規の位置関係で配置するにあたっては、ロック片12の位置調整を行う。この場合、ロック片12の左右方向(横方向)の位置を調整する際には、ロック片12のねじ52を緩めてロック片12を左右方向に移動させる。また、ロック片12の前後方向(換言するとロック片12及び延出片46の厚み方向)の位置を調整する際には、第2取付具30のねじ43を緩めて上側取付部材32を前後方向に移動させる。また、ロック片12と電子錠11との上下方向の位置関係がずれている場合には、第1取付具20のボルト23を緩め、第1取付具20を上下に移動させながら電子錠11の上下位置を調整する。
【0065】
次に、タンク装置70にベルト部材60を取り付けるベルト取付工程を行う。この工程では、ベルト部材60の両端側をそれぞれ蓋部73の取っ手81及び本体部75の横材74に結び付ける。
【0066】
その後、読取装置13や制御装置14を設置等する。これにより、一連の設置作業が終了する。
【0067】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0068】
(1)第1取付具20は、上下方向に延びる長尺状をなしており、下端側に設けられたボルト23と長尺体21とによりタンク装置70の脚部72を挟持することにより当該脚部72に取り付けられる。第1取付具20の上端側には電子錠取付板24が設けられ、その電子錠取付板24に電子錠11が取り付けられるようになっている。
【0069】
第2取付具30は、蓋部73のコーナ部73aにおいて蓋部73を挟んで上下両側に設けられる下側取付部材31及び上側取付部材32を有している。これら各取付部材31,32は、蓋部73よりも側方に延出した延出部分においてねじ43を用いて締結される。そして、それにより、各取付部材31,32の間に蓋部73が挟まれることで、各取付部材31,32つまりは第2取付具30が蓋部73のコーナ部73aに取り付けられるようになっている。
【0070】
このように、本誤投入防止システム10によれば、電子錠11及びロック片12をタンク装置70の本体部75や蓋部73に溶接や孔開け加工を施すことなく取り付けることができる。そのため、既設のタンク装置70に簡単に設置することが可能となる。
【0071】
(2)蓋部73のコーナ部73aにて互いに直角をなす各垂下辺部79a,79bがそれぞれ下側取付部材31の各差込部34,35の溝部34a,35aに差し込まれ、その状態で下側取付部材31と上側取付部材32とがねじ43を用いて締結される。これにより、蓋部73のコーナ部73aに第2取付具30をずれなく安定した状態で取り付けることができる。
【0072】
(3)上側取付部材32は、その延出片46が一方の垂下辺部79aと対向する第1向きと、他方の垂下辺部79bと対向する第2向きとのそれぞれの向きで配置可能となっている。上側取付部材32が第1向きで配置される場合には、挿通孔48,49が下側取付部材31の挿通孔41と上下に並び、挿通孔47が下側取付部材31の挿通孔42と上下に並ぶ。また、上側取付部材32が第2向きで配置される場合には、挿通孔48が下側取付部材31の挿通孔41と上下に並び、挿通孔47,49が下側取付部材31の挿通孔42と上下に並ぶ。これにより、上側取付部材32が第1向き及び第2向きのいずれの向きで配置される場合にも、両取付部材31,32つまりは第2取付具30をねじ43を用いて蓋部73に取り付けることができる。そのため、蓋部73のコーナ部73aにおいてロック片12を各垂下辺部79a,79bのいずれの側にも取り付けることが可能となり、その結果、既設のタンク装置70の設置状況等に応じて、ロック片12の取付向きを適宜設定することが可能となる。したがって、例えば、既設のタンク装置70に隣接して他のタンク装置が設置されている場合に、他のタンク装置と干渉しないようにロック片12を取り付けるといったことが可能となる。
【0073】
(4)下側取付部材31の延出部36,37ごとに挿通孔41,42が複数設けられているため、それら延出部36,37ごとに複数箇所で下側取付部材31と上側取付部材32とをねじ43を用いて締結することができる。これにより、第2取付具30を蓋部73に安定した状態で取り付けることができる。
【0074】
また、上側取付部材32が第1向きで配置された場合に下側取付部材31の各挿通孔41と上下に並ぶ各挿通孔48,49のうち一部の挿通孔49は、上側取付部材32が第2向きで配置された場合に下側取付部材31の挿通孔42と上下に並ぶ。そのため、挿通孔49については、上側取付部材32が第1向き及び第2向きのいずれの向きで取り付けられる際にも、ねじ43の挿通孔として利用でき、共用化を図ることができる。これにより、上側取付部材32の挿通孔47~49の個数低減を図ることができる。
【0075】
(5)上側取付部材32の各挿通孔47~49は延出片46の厚み方向に延びる長孔となっているため、蓋部73に対する上側取付部材32の取付位置を延出片46の厚み方向に調整することができる。この場合、延出片46に取り付けられるロック片12について、蓋部73に対する取付位置を上記厚み方向に調整することが可能となる。これにより、ロック片12の取付位置を上記厚み方向に調整することで、同方向におけるロック片12と電子錠11との位置関係を正しい位置関係にすることができる。そのため、仕様の異なる種々のタンク装置に後付けで設置することが可能となる。
【0076】
(6)下側取付部材31では、第2方向Yに並ぶ各挿通孔42と、各挿通孔41とが第1方向Xにおいて所定のピッチPaで配置されているとともに、第1方向Xに並ぶ各挿通孔41と、各挿通孔42とが第2方向Yにおいて所定のピッチPaで配置されている。また、上側取付部材32には、長孔からなる各挿通孔47~49が延出片46の横幅方向に所定のピッチPaで複数配置されている。上側取付部材32が第1向きで配置される場合には、挿通孔47(「一方の第1上側挿通孔」に相当)が下側取付部材31の各挿通孔42とそれぞれ上下に並ぶとともに、各挿通孔48,49(挿通孔48が「他方の第1上側挿通孔」に相当、挿通孔49が「第2上側挿通孔」に相当)がそれぞれ下側取付部材31の各挿通孔41と上下に並ぶようになっている。また、上側取付部材32が第2向きで配置される場合には、挿通孔48が下側取付部材31の各挿通孔41とそれぞれ上下に並ぶとともに、各挿通孔47,49がそれぞれ下側取付部材31の挿通孔42と上下に並ぶようになっている。
【0077】
このような構成では、上側取付部材32が第1向きで配置される場合には、挿通孔47に下側取付部材31の各挿通孔42に締結される複数のねじ43を挿通することができ、しかも上側取付部材32が第2向きで配置される場合には、その挿通孔47に下側取付部材31の挿通孔42に締結されるねじ43を挿通することができる。また、挿通孔48についても同様に、上側取付部材32が第2向きで配置される場合には、挿通孔48に下側取付部材31の各挿通孔41に締結される複数のねじ43を挿通することができ、しかも上側取付部材32が第1向きで配置される場合には、その挿通孔48に下側取付部材31の挿通孔41に締結されるねじ43を挿通することができる。この場合、上側取付部材32において挿通孔47~49の個数を大いに低減させることができる。そのため、挿通孔47~49を下側取付部材31の挿通孔41,42に位置合わせして上側取付部材32と下側取付部材31とをねじ43により締結する作業を行う際、挿通孔47~49の数が少ない分、位置合わせをわかり易くすることができ、その作業を容易に行うことが可能となる。
【0078】
(7)延出片46にはロック片12を取り付けるねじ52を挿通するための長孔51が設けられ、その長孔51は横方向に延びている。この場合、蓋部73に対するロック片12の取付位置を横方向に調整することができる。これにより、ロック片12の取付位置を横方向に調整することで、同方向におけるロック片12と電子錠11との位置関係を正しい位置関係にすることができる。そのため、仕様の異なる種々のタンク装置に後付けで設置することが可能となる。
【0079】
(8)ベルト部材60は、一端側が蓋部73の取っ手81に結び付けられ、その取っ手81から蓋部73の辺部83cに向けて延びるように配設される。また、ベルト部材60は、辺部83cにおいて下方に屈曲され、他端側が本体部75の横材74に結び付けられている。この場合、蓋部73において電子錠11により施錠されるコーナ部73aから離れた位置にある辺部83c側が上方に持ち上げられるのをベルト部材60により防止することができる。これにより、蓋部73が一のコーナ部73aにおいて施錠される構成にあって、施錠時に蓋部73が開かれてしまうのを確実に防止することができる。
【0080】
また、蓋部73を開く際には、蓋部73の辺部83c側が持ち上がるのが防止された状態で、蓋部73を上方に開くことになるため、辺部83cを回動軸として蓋部73を上方に回動させて開く、疑似ヒンジ構造を簡易的に実現することができる。これにより、蓋部73をスムーズに開くことができるため、蓋部73を持ち上げて開く際に、ロック片12が電子錠11と干渉し蓋部73を上手く開けられない等の不都合が生じるのを回避することができる。
【0081】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0082】
・上記実施形態では、第1取付具20において、長尺体21の上端側に電子錠取付板24を設けたが、電子錠取付板24を設けずに長尺体21の上端側に電子錠11を直接取り付けるようにしてもよい。この場合、長尺体21の上端側が電子錠取付部に相当することになる。
【0083】
・上記実施形態では、上側取付部材32の各挿通孔47~49のうち、両端の各挿通孔47,48(第1上側挿通孔に相当)についてはそれぞれ複数(具体的には3つ)のねじ43を挿通可能な長さで形成したが、これを変更してもよい。例えば、挿通孔47,48に代えて、各ねじ43の配置箇所ごとに、挿通孔47,48よりも孔長さの短い挿通孔(長孔)を複数形成してもよい。
【0084】
また、上側取付部材32の各挿通孔を丸孔として形成してもよい。この場合、各ねじ43の配置箇所ごとにそれぞれ挿通孔を形成すればよい。ただし、この場合、挿通孔の個数が著しく多くなってしまうとともに、ロック片12の位置調整ができなくなるため、それらの点を鑑みると長孔として形成するのが望ましい。
【0085】
・上記実施形態では、上側取付部材32にロック片12を取り付けるロック片取付部(具体的には延出片46)を設けたが、これを変更して、下側取付部材31にロック片取付部を設けてもよい。例えば、下側取付部材31の延出部36,37の先端部から下方に延びる板部を設け、その板部にロック片取付部とすることが考えられる。
【0086】
・上記実施形態では、第2取付具30にロック片12を取り付ける構成としたが、例えば第2取付具30の一部をロック片としてもよい。この場合、上側取付部材32の一部をロック片とすることが考えられる。具体的には、上側取付部材32に延出片46から下方に延びる部分を設け、その部分をロック片とすることが考えられる。また、下側取付部材31の一部をロック片としてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、下側取付部材31と上側取付部材32とを締結する締結具としてねじ43を用いたが、締結具としてはボルト等、ねじ以外の締結具を用いてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、ベルト部材60を、蓋部73の取っ手81から辺部83cに向けて延びるように配設したが、これを変更して、辺部83dに向けて延びるように配設してもよい。この場合にも、電子錠11により施錠されるコーナ部73aから離れた位置にある辺部83d側が上方に持ち上げられるのをベルト部材60により防止することができるため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、上記実施形態では、ベルト部材60の他端側を本体部75の横材74に結び付けたが、これに代えて、本体部75の脚部72に結び付けてもよい。
【0090】
・上記実施形態では、長尺部材として、帯状のベルト部材60を用いたが、これに代えて、ロープ等の紐状部材を用いてもよい。この場合にも、紐状部材の両端側をそれぞれ蓋部73の取っ手81及び横材74に結び付けることにより、ベルト部材60を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0091】
・上記実施形態では、タンク装置70の蓋部73がタンク71から取り外し可能となっていたが、タンク装置によっては蓋部がタンクにヒンジ等を介して回動可能に取り付けられているものもある。そこで、そのような回動式の蓋部を有するタンク装置に本発明の誤投入防止システムを適用するようにしてもよい。
【0092】
・上記実施形態では、ペレットが投入されるタンク装置70に本発明の誤投入防止システム10を適用したが、本発明の誤投入防止システム10は、薬品(被投入物に相当)が投入される薬品用のタンク装置等、ペレット用以外のタンク装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
10…誤投入防止システム、11…電子錠、12…ロック片、20…第1取付具、24…電子錠取付部としての電子錠取付板、30…第2取付具、31…下側取付部材、32…上側取付部材、34,35…差込部、36…第1延出部としての延出部、37…第2延出部としての延出部、41…第1下側挿通孔としての挿通孔、42…第2下側挿通孔としての挿通孔、46…ロック片取付部としての延出片、47…第1上側挿通孔としての挿通孔、48…第1上側挿通孔としての挿通孔、49…第2上側挿通孔としての挿通孔、60…長尺部材としてのベルト部材、70…タンク装置、71…タンク、72…脚部、73…蓋部、79…垂下辺部。