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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/54 20180101AFI20240322BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240322BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240322BHJP
【FI】
F24F11/54
F24F11/77
F24F110:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022161346
(22)【出願日】2022-10-06
【審査請求日】2022-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503315078
【氏名又は名称】株式会社善都
(73)【特許権者】
【識別番号】520158377
【氏名又は名称】株式会社HITEX
(73)【特許権者】
【識別番号】520158366
【氏名又は名称】株式会社未来のコト
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 夏津樹
(72)【発明者】
【氏名】中農 竜二
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109509(JP,A)
【文献】特開2011-133199(JP,A)
【文献】国際公開第2020/105174(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/129248(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/132353(WO,A1)
【文献】特開昭62-129192(JP,A)
【文献】「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」,2021年07月31日,URL<https://web.archive.org/web/20210731013705/https://www.dcasia-ltd.com/blog/cooling/1116/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 7/007
F24F 110/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内を複数の領域に区画し、各領域に空調装置及び換気装置を設置して空気調和を行う空調システムであって、
前記各空調装置のコンプレッサの周波数を制御するデマンド制御部と、
前記各換気装置の換気量を制御する換気制御部と、
前記各空調装置の目標温度を設定する温度制御部と、
前記各領域内の室温を監視する室温監視部と、
前記各領域内の室温に斑が生じた場合に、該斑を解消するように、室温の最高値を示す領域の前記空調装置のコンプレッサの周波数を所定周波数だけ増減させ、該増減と対称となるように室温の最低値を示す領域の前記空調装置のコンプレッサの周波数を前記所定周波数だけ増減せるように指令を出しつつ、
室温の最高値を示す領域の前記換気装置の換気量を所定量だけ増減させ、該増減と対称となるように室温の最低値を示す領域の前記換気装置の換気量を前記所定量だけ増減せるように指令を出す第1制御を行う総合制御部と、
を備えることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の空調システムにおいて、
前記総合制御部は、前記第1制御で前記斑が解消しない場合に前記2つの領域に設けられる空調装置の目標温度を再設定する第2制御を行うことを特徴とする空調システム。
【請求項3】
請求項1に記載の空調システムにおいて、
前記空調装置が冷房運転をしている場合に、
前記第1制御は、
前記最高値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を高めつつ、前記換気装置の換気量を下げるように指令を出し、
前記最低値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を低めつつ、前記換気装置の換気量を上げるように指令を出すことを特徴とする空調システム。
【請求項4】
請求項3に記載の空調システムにおいて、
前記総合制御部は、前記第1制御で前記斑が解消しない場合に前記最高値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を下げ、前記最低値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を上げる第2制御を行うことを特徴とする空調システム。
【請求項5】
請求項1に記載の空調システムにおいて、
前記空調装置が暖房運転をしている場合に、
前記総合制御部は、
前記最高値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を低めつつ、前記換気装置の換気量を上げるように指令を出し、
前記最低値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を高めつつ、前記換気装置の換気量を下げるように指令を出すことを特徴とする空調システム。
【請求項6】
請求項5に記載の空調システムにおいて、
前記総合制御部は、前記第1制御で前記斑が解消しない場合に前記最高値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を下げ、前記最低値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を上げる第2制御を行うことを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコホール内では複数の空調装置を用いてホール内の空気調和を行っている。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、室内をフリーアクセスフロアによって上層のサーバ室と下層の床下空間とに区分した二層構造とし、前記サーバ室に多数のサーバラックを配列し、各列のサーバラックの間に給気ゾーンと還気ゾーンを交互に取り付け、前記室内に設置した空調機から供給する冷却した空気を、前記床下空間からフリーアクセスフロアを通って前記サーバ室の給気ゾーンに供給し、前記サーバラックを通過した空気が前記還気ゾーンを通って前記空調機に戻るように循環させるサーバ室の空調システムであって、前記給気ゾーンのフリーアクセスフロアは通気可能な孔開きの床パネルを配列して構成され、一部の前記床パネルに着脱可能なカーペットを設置して通気を阻止し、該カーペットの設置位置を変えることで前記サーバラックの冷却温度を調整するようにしたことを特徴とするサーバ室の空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-211821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホール内では、各遊技台の稼働率が異なることがあり、また、日当たりなどの影響によってホール内の各領域によって室温に斑が生じてしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、店舗内の領域毎の室温の斑を無くすことを可能とする空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空調システムは、店舗内を複数の領域に区画し、各領域に空調装置及び換気装置を設置して空気調和を行う空調システムであって、前記各空調装置のコンプレッサの周波数を制御するデマンド制御部と、前記各換気装置の換気量を制御する換気制御部と、前記各空調装置の目標温度を設定する温度制御部と、前記各領域内の室温を監視する室温監視部と、前記各領域内の室温に斑が生じた場合に、該斑を解消するように、室温の最高値を示す領域の前記空調装置のコンプレッサの周波数を所定周波数だけ増減させ、該増減と対称となるように室温の最低値を示す領域の前記空調装置のコンプレッサの周波数を前記所定周波数だけ増減せるように指令を出しつつ、室温の最高値を示す領域の前記換気装置の換気量を所定量だけ増減させ、該増減と対称となるように室温の最低値を示す領域の前記換気装置の換気量を前記所定量だけ増減せるように指令を出す第1制御を行う総合制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る空調システムにおいて、前記総合制御部は、前記第1制御で前記斑が解消しない場合に前記2つの領域に設けられる空調装置の目標温度を再設定する第2制御を行うことが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る空調システムにおいて、前記空調装置が冷房運転をしている場合に、前記第1制御は、前記最高値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を高めつつ、前記換気装置の換気量を下げるように指令を出し、前記最低値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を低めつつ、前記換気装置の換気量を上げるように指令を出すことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る空調システムにおいて、前記総合制御部は、前記第1制御で前記斑が解消しない場合に前記最高値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を下げ、前記最低値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を上げる第2制御を行うことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る空調システムにおいて、前記空調装置が暖房運転をしている場合に、前記総合制御部は、前記最高値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を低めつつ、前記換気装置の換気量を上げるように指令を出し、前記最低値を示す領域内の前記空調装置のコンプレッサの周波数を高めつつ、前記換気装置の換気量を下げるように指令を出すことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る空調システムにおいて、前記総合制御部は、前記第1制御で前記斑が解消しない場合に前記最高値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を下げ、前記最低値を示す領域内の前記空調装置の目標温度を上げる第2制御を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、店舗内の領域毎の室温の斑を無くすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施形態の空調システムを示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の空調システムにおいて、領域毎の室温の斑を無くす手順を示すフローチャートである。
図3】本発明に係る実施形態の空調システムにおいて、冷房運転中に一つのゾーンの温度が高い場合に斑を無くすしている様子を示す図である。
図4】本発明に係る実施形態の空調システムにおいて、暖房運転中に一つのゾーンの温度が低い場合に斑を無くすしている様子を示す図である。
図5】本発明に係る実施形態の空調システムにおいて、暖房運転中に一つのゾーンの温度が低い場合にスピード重視で斑を無くすしている様子を示す図である。
図6】本発明に係る実施形態の空調システムにおいて、暖房運転中に一つのゾーンの温度が低い場合に省エネ重視で斑を無くすしている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態の空調システム10を示す図である。図2は、本発明に係る実施形態の空調システム10において、店舗1内の領域(ゾーン)毎の室温の斑を無くす手順を示すフローチャートである。
【0016】
図3は、本発明に係る実施形態の空調システム10において、冷房運転中に一つの領域(ゾーン)の温度が高い場合に斑を無くしている様子を示す図である。
【0017】
図4は、本発明に係る実施形態の空調システム10において、暖房運転中に一つの領域(ゾーン)の温度が低い場合に斑を無くしている様子を示す図である。
【0018】
図5は、本発明に係る実施形態の空調システム10において、暖房運転中に一つの領域(ゾーン)の温度が低い場合にスピード重視で斑を無くしている様子を示す図である。
【0019】
図6は、本発明に係る実施形態の空調システム10において、暖房運転中に一つの領域(ゾーン)の温度が低い場合に省エネ重視で斑を無くしている様子を示す図である。
【0020】
空調システム10は、店舗1内を4つの領域6a,6b,6c,6dに区画し、各領域6a,6b,6c,6dに空調装置4及び換気装置2を設置して空気調和を行うシステムである。空調システム10は、デマンド制御部12と、換気制御部14と、温度制御部16と、室温監視部18と、総合制御部20と備える。
【0021】
店舗1は、パチンコ店舗、ゲームセンター店舗、レストラン店舗、喫茶店店舗などの店舗であり、ここでは、パチンコ店舗であるものとして説明するが、もちろん、その他の店舗であってもよい。
【0022】
4つの領域6a,6b,6c,6dは、直方体の店舗1のパチンコホールを図1に示されるように4つに区画して4つの直方体に分割されて形成される。
【0023】
領域6aは、例えば、4円パチンコの島3aが形成され、領域6bは、例えば、1円パチンコの島3bが形成される。領域6cは、例えば、5円スロットの島3cが形成され、領域6dは、2円スロットの島3dが形成されている。
【0024】
4つの領域6a,6b,6c,6dの各島3a,3b,3c,3dに設置される遊技台などは、図示しないホールコンピュータ装置によって制御される。
【0025】
ホールコンピュータ装置は、パチンコ店舗(店舗1)のホールコンピュータであり、データを演算する中央演算装置、入力装置、表示装置、記憶装置を含んで構成されている。
【0026】
ホールコンピュータ装置は、店舗1内の各遊戯装置(遊技台)の情報(稼働中、待機中、出玉、大当たり回数など)を表示でき、また、店舗1内の各空調装置4及び各換気装置2の情報(目標温度、換気比率など)を表示又は制御する機能を有する。
【0027】
「換気比率」とは、1時間あたりの必要換気回数(回/時間)のことを意味している。1時間あたりの必要換気回数(毎時必要換気回数(回/時間)は、毎時必要換気量(m/時間)/部屋の容量(m)で算出される。
【0028】
空調装置4は、店舗1内に配置された空調室内機と、インバータモータを含む空調室外機とから構成されている。空調室内機は、店舗1内に目標温度の冷房または暖房の空気を送り出すことができる。
【0029】
空調室内機と空調室外機とは、冷媒ガスが通過するパイプによって接続されている。インバータモータは、パイプ内の冷媒ガスを移動させることができる。
【0030】
空調室外機には、ファンが取り付けられており、ファンによって、冷房の場合には温められた空気を外部へ放出することができる。
【0031】
換気装置2は、店舗1内に配置された換気扇と、この換気扇の動作を制御する換気スイッチと、換気扇に接続されたダクトに配置されたダンパーを備えている。換気扇は、モータで動作するファンであり、店舗1内の空気を外部に排出することができる。
【0032】
ダクトは、換気扇から排出される空気を外部に出す配管である。ダンパーは、当該ダンパーの動作を制御するダンパー制御モータに接続されている。
【0033】
【0034】
ホールコンピュータ装置において、店舗1の稼働率データを記憶及び表示させることができる。当該稼働率データは、ホールコンピュータ装置が店舗1内に配置されたセンサなどによって稼働率データを収集することができる。
【0035】
ホールコンピュータ装置は、通信ネットワークに接続されている。通信ネットワークは、インターネット通信網であるものとして説明するが、社内LAN、無線LAN(例えば、Wi-Fi)を含めた形でのインターネット通信網であってもよい。
【0036】
デマンド制御部12は、各空調装置4のコンプレッサのインバータモータの周波数を制御する機能を有する。デマンド制御部12は、図示しない電力監視装置から得られたデマンド値に基づき空調装置4におけるインバータモータの制御周波数を算出し、算出された制御周波数に基づいてインバータモータを制御する機能を有する。また、デマンド制御部12は、総合制御部20からの指令に基づいて、インバータモータを制御する機能を有する。
【0037】
換気制御部14は、各換気装置2の換気量を制御する機能を有する。換気制御部14は、ホールコンピュータ装置から稼働率データを読み込み、この稼働率データから禁煙用換気比率を算出し、禁煙用換気比率に基づいて換気装置2を制御する機能を有する。また、換気制御部14は、総合制御部20からの指令に基づいて換気装置2を制御する機能を有する。
【0038】
温度制御部16は、各空調装置4の目標温度を設定する機能を有する。目標温度(設定温度)としては、例えば、冷房運転の場合、26℃に設定することが出来るが、この設定温度は、総合制御部20の制御により適宜変更することが可能である。
【0039】
室温監視部18は、各領域6a,6b,6c,6d内の室温を監視する機能を有する。各領域6a,6b,6c,6dは、図示しない室温センサが設置されており、この室温センサから得られた情報から各領域6a,6b,6c,6dに斑があるかどうかを判断する。
【0040】
総合制御部20は、室温監視部18からの情報により各領域6a,6b,6c,6dの室温に斑が生じたと判断した場合に、各室温の斑を解消するように室温の最高値と最低値を示す2つの領域の空調装置4を制御するように指令を出しつつ2つの領域の換気装置2を制御するように指令を出す第1制御を行う機能を有する。
【0041】
空調装置4が冷房運転をしている場合に、総合制御部20は、最高値を示す領域内の空調装置4のコンプレッサの周波数を高めつつ、換気装置の換気量を下げるように指令を出し、最低値を示す領域内の空調装置4のコンプレッサの周波数を低めつつ、換気装置2の換気量を上げるように指令を出す第1制御を行う。
【0042】
図3の例で具体的に説明する。ここでは、4つ領域6a,6b,6c,6d以上の領域数である6つの領域(ゾーン)で説明する。図3(a)では、理想的な空気調整が実施されており、斑がなく全てのゾーンが最適な状態に保たれている。
【0043】
図3(b)に示されるように、その中でゾーン2の温度が高く(例えば、目標温度が26℃に対して28℃)だった場合に、ゾーン2以外のゾーンの中から最も低い室温の領域(例えば、ゾーン6の室温が25℃とする)との間で調整を行う。
【0044】
このような段階で、図3(c)に示されるように、最高値を示すゾーン2の換気装置2の換気比率を30%から10%に下げるとともに、最低値を示すゾーン6の換気比率2の換気比率を30%から50%へと上げる。これにより、斑の解消を狙いつつ、ホール全体の換気比率を一定に保つようにしている。
【0045】
上記換気比率の変更を行っても斑が解消しない場合には、図3(d)に示されるように、最高値を示すゾーン2の空調装置4のインバータモータの制御周波数を70%から90%へと上げるとともに、最低値を示すゾーン6の空調装置4のインバータモータの制御周波数を70%から50%へと下げる。これにより、斑の解消を狙いつつ、ホール全体の消費電力を一定に保つようにしている。これらの制御により、図3(e)に示されるように、斑を解消して各ゾーンを適切な温度にすることが出来る。
【0046】
総合制御部20は、第1制御で斑が解消しない場合に最高値を示す領域内の空調装置4の設定温度を下げ、最低値を示す領域内の空調装置4の設定温度を上げる第2制御を行う。
【0047】
具体的には、図3(c)、図3(d)に示されたような第1制御によっても斑が解消しない場合には、例えば、ゾーン2の目標温度を26℃から25℃に再設定し、ゾーン6の目標温度を26℃から27℃に再設定する。これにより斑の解消を狙いつつ、ホール全体の消費電力を保つようにすることが出来る。
【0048】
図4の例で具体的に説明する。ここでは、4つ領域6a,6b,6c,6d以上の領域数である6つの領域(ゾーン)で説明する。図4(a)では、理想的な空気調整が実施されており、斑がなく全てのゾーンが最適な状態に保たれている。
【0049】
図4(b)に示されるように、その中でゾーン2の温度が低く(例えば、目標温度が26℃に対して24℃)だった場合に、ゾーン2以外のゾーンの中から最も高い室温の領域(例えば、ゾーン6が室温が27℃とする)との間で調整を行う。
【0050】
このような段階で、図4(c)に示されるように、最低値を示すゾーン2の空調装置4のインバータモータの制御周波数を70%から50%へと下げる。これにより、斑の解消を狙う。
【0051】
上記によっても斑が解消しない場合には、図4(d)に示されるように、最低値を示すゾーン2の換気装置2の換気比率を30%から50%に上げるとともに、最高値を示すゾーン6の換気比率2の換気比率を30%から10%へと下げる。これにより、斑の解消を狙いつつ、ホール全体の換気比率を一定に保つようにしている。これらの制御により、図4(e)に示されるように、斑を解消して各ゾーンを適切な温度にすることが出来る。
【0052】
具体的には、図4(c)、図4(d)に示されたような制御によっても斑が解消しない場合には、例えば、ゾーン2の目標温度を26℃から28℃に再設定し、ゾーン6の目標温度を26℃から25℃に再設定する。これにより斑の解消を狙いつつ、ホール全体の消費電力を保つようにすることが出来る。
【0053】
図3,4に示される例では、冷房運転でいずれか1つのゾーンが目標温度から外れていて、その他のゾーンが適切である場合の対応について説明した。図5,6に示される例では、暖房運転において、1つのゾーンが設定温度よりも低く、別の1つのゾーンが設定温度よりも高く、その他のゾーンが適切な場合について説明する。
【0054】
図5は、スピード重視で斑を解消する場合について説明する。ここでは、4つ領域6a,6b,6c,6d以上の領域数である6つの領域(ゾーン)で説明する。図5(a)では、理想的な空気調整が実施されており、斑がなく全てのゾーンが最適な状態に保たれている。
【0055】
図5(b)に示されるように、その中でゾーン2の温度が低く(例えば、目標温度が26℃に対して24℃)だった場合に、ゾーン2以外のゾーンの中から最も高い室温の領域(例えば、ゾーン6が室温が28℃とする)との間で調整を行う。
【0056】
このような段階で、図5(c)に示されるように、最低値を示すゾーン2の空調装置4のインバータモータの制御周波数を70%から50%へと下げて換気装置2の換気比率を30%から50%へと高めつつ、最高値を示すゾーン6の空調装置4のインバータモータの制御周波数を70%から90%へと上げ換気装置2の換気比率を30%から10%へと下げる。これにより、斑の解消を狙うとともに、ホール全体での消費電力を保つ。これにより、迅速に斑の解消を行うことが出来る。
【0057】
図6は、省エネ重視で斑を解消する場合について説明する。ここでは、4つ領域6a,6b,6c,6d以上の領域数である6つの領域(ゾーン)で説明する。図6(a)では、理想的な空気調整が実施されており、斑がなく全てのゾーンが最適な状態に保たれている。
【0058】
図6(b)に示されるように、その中でゾーン2の温度が低く(例えば、目標温度が26℃に対して24℃)だった場合に、ゾーン2以外のゾーンの中から最も高い室温の領域(例えば、ゾーン6が室温が28℃とする)との間で調整を行う。
【0059】
このような段階で、図6(c)に示されるように、最低値を示すゾーン2の換気装置2の換気比率を30%から50%に上げるとともに、最高値を示すゾーン6の換気装置2の換気比率を30%から10%に下げる。これにより、斑の解消を狙いつつ、ホール全体の換気比率を保つ。
【0060】
上記によっても斑が解消しない場合には、図6(d)に示されるように、最低値を示すゾーン2の空調装置4のインバータモータの制御周波数を70%から50%に下げるとともに、最高値を示すゾーン6の空調装置4のインバータモータの制御周波数を70%から90%と上げる。これにより、斑の解消を狙いつつ、ホール全体の消費電力を一定に保つようにしている。これらの制御により、図6(e)に示されるように、斑を解消して各ゾーンを適切な温度にすることが出来る。
【0061】
上記では、空調装置4の冷房運転を行っている場合について説明したが、空調装置4が暖房運転をしている場合に、総合制御部20は、最高値を示す領域内の空調装置4のコンプレッサのインバータモータの周波数を低めつつ、換気装置2の換気量を上げるように指令を出し、最低値を示す領域内の空調装置4のコンプレッサのインバータモータの周波数を高めつつ、換気装置2の換気量を下げるように指令を出す第1制御を行う。
【0062】
総合制御部20は、第1制御で斑が解消しない場合に最高値を示す領域内の空調装置4の設定温度を下げ、最低値を示す領域内の空調装置4の設定温度を上げる第2制御を行う。
【0063】
続いて、上記構成の空調システム10の作用について説明する。図2に示されるように、空調システム10において、電力監視装置から得られたデマンド値に基づいて、省エネになるように空調装置4のインバータモータの周波数を制御する(S2)。この工程は、デマンド制御部12の機能によって実行される。
【0064】
S2の工程の後は、ホール内の稼働率などに応じて算出された換気比率に基づいて換気装置2を制御する(S4)。この工程は、換気制御部14の機能によって実行される。
【0065】
S4の工程の後は、各領域6a,6b,6c,6dの室温に斑が無いか否かを判断する(S6)。S6の工程において、斑がないと判断された場合にはS2の工程へと戻る。この工程は、総合制御部20の機能によって実行される。
【0066】
S6の工程において、各領域6a,6b,6c,6dの室温に斑があると判断された場合には、総合制御部20の第1制御を行う(S8)。この工程は、総合制御部20の機能によって実行される。
【0067】
S8の工程において、各領域6a,6b,6c,6dの室温の斑が解消したか否かを判断する(S10)。S10の工程において、斑が解消したと判断した場合には、RETURN処理へと進む。この工程は、総合制御部20の機能によって実行される。
【0068】
S10の工程において、斑が解消していないと判断した場合には、総合制御部20の第2制御を行う(S12)。この工程は、総合制御部20の機能によって実行される。
【0069】
以上のように、空調システム10によれば、各領域6a,6b,6c,6dの室温に斑が発生した場合に、最初に第1制御を行って斑を解消しつつ、第1制御によっても斑が解消しない場合に第2制御を行って斑を解消する。
【0070】
また、第1制御及び第2制御においても、目標温度に対する最高値と最低値の領域について、ホール全体の省電力や換気量を変えないようにすることで省エネや空気の循環を確保しつつ、各領域6a,6b,6c,6dの斑を無くすことでホール全体の快適性を高めることができるという顕著な効果を奏する。
【符号の説明】
【0071】
1 店舗、2 換気装置、3a,3b,3c,3d 島、4 空調装置、6a,6b,6c,6d 領域、10 空調システム、12 デマンド制御部、14 換気制御部、16 温度制御部、18 室温監視部、20 総合制御部。
【要約】
【課題】店舗内の領域毎の室温の斑を無くすことを可能とする空調システムを提供することである。
【解決手段】空調システム10は、店舗内を複数の領域に区画し、各領域6a,6b,6c,6dに空調装置4及び換気装置2を設置して空気調和を行う空調システムであって、各空調装置4のコンプレッサの周波数を制御するデマンド制御部12と、各換気装置2の換気量を制御する換気制御部14と、各空調装置4の目標温度を設定する温度制御部16と、各領域内の室温を監視する室温監視部18と、各領域内の室温に斑が生じた場合に、該斑を解消するように室温の最高値と最低値を示す2つの領域の空調装置4を制御するように指令を出しつつ、2つの領域の換気装置2を制御するように指令を出す第1制御を行う総合制御部20と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1


図1
図2
図3
図4
図5
図6