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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】木質積層板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27D 3/00 20060101AFI20240322BHJP
   B27K 3/15 20060101ALI20240322BHJP
   B27K 3/36 20060101ALI20240322BHJP
   B27K 5/00 20060101ALI20240322BHJP
   B32B 21/14 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B27D3/00 Z
B27K3/15 Z
B27K3/36
B27K5/00 B
B27K5/00 F
B32B21/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019166678
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021041651
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田村 俊樹
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051837(JP,A)
【文献】国際公開第2019/097780(WO,A1)
【文献】国際公開第02/043933(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27D 3/00
B27D 1/04
B27K 3/36
B27K 5/00
B27K 5/06
B32B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類を含む植物から得られた糖類含有単板に多価カルボン酸を供給して熱圧処理して圧密化することにより圧密化単板を得る圧密化工程と、
芯材の両面又は片面に前記圧密化工程で得られた前記圧密化単板を接着する接着工程と、を含む、
木質積層板の製造方法。
【請求項2】
前記多価カルボン酸を多価カルボン酸溶液として供給する、
請求項1に記載の木質積層板の製造方法。
【請求項3】
前記芯材が、前記糖類含有単板を複数含み、
前記芯材に含まれる前記複数の糖類含有単板に多価カルボン酸を供給する触媒供給工程を更に含む、
請求項1又は2に記載の木質積層板の製造方法。
【請求項4】
前記芯材が、単板を複数含み、
前記芯材に含まれる前記複数の単板に接着剤を供給する接着剤供給工程を更に含む、
請求項1又は2に記載の木質積層板の製造方法。
【請求項5】
前記芯材に含まれる単板が、前記圧密化単板である、
請求項4に記載の木質積層板の製造方法。
【請求項6】
前記芯材が、板材を含み、
前記板材は、合板及び/又は単板積層材を含む、
請求項1又は2に記載の木質積層板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に木質積層板の製造方法に関し、より詳細には糖類を含む植物を用いた木質積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複合圧密合板が開示されている。複合圧密合板は、内部積層材と、外表面材とを積層して圧密化されている。内部積層材は、オイルパーム材から形成した複数の単板を積層したものである。外表面材は、オイルパーム材以外の樹種から形成した他の単板である。外表面材は、内部積層材の最外層の外表面のうち少なくとも一方の面に積層されている。これにより、表面品位に優れた複合圧密合板が得られる旨が特許文献1に開示されている。
【0003】
一方、特許文献2には、積層板が開示されている。積層板は、複合板の表面に表面板が積層接着されて形成されている。複合板は、天然木材からなる単板を貼着して形成されている。表面板は、針葉樹材より得られる木質繊維板又は木削片板からなる。これにより、積層板は、建築物の内装や家具等における表面材又は化粧材として好適に用いられる旨が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-122461号公報
【文献】実開平5-076702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の複合圧密合板、及び特許文献2に記載の積層板には、化粧用単板として針葉樹又は広葉樹が使用されているが、近年、針葉樹及び広葉樹は、世界的規模で減少する傾向にある。そのため、現在では、針葉樹及び広葉樹を使用せずに木質積層板を製造することが検討されている。
【0006】
しかしながら、例えば、特許文献1において、針葉樹及び広葉樹以外の樹種から外表面材を形成した場合には、複合圧密合板の表面品位が低下するおそれがあり、更には耐水性にも改良の余地が生まれるおそれがある。
【0007】
本開示の目的は、表層に針葉樹及び広葉樹の単板を用いなくても耐水性が優れる木質積層板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る木質積層板の製造方法は、圧密化工程と、接着工程と、を含む。前記圧密化工程は、糖類を含む植物から得られた糖類含有単板に多価カルボン酸を供給して圧密化することにより圧密化単板を得る工程である。前記接着工程は、芯材の両面又は片面に前記圧密化単板を接着する工程である。
【0009】
本開示の一態様に係る圧密化単板の製造方法は、圧密化工程を含む。前記圧密化工程は、糖類を含む植物から得られた糖類含有単板に多価カルボン酸を供給して圧密化することにより圧密化単板を得る工程である。
【0010】
本開示の一態様に係る圧密化単板は、糖類を含む植物から得られた糖類含有単板に多価カルボン酸を供給して圧密化されている。
【0011】
本開示の一態様に係る木質積層板は、前記圧密化単板と、前記圧密化単板が両面又は片面に接着された芯材と、を備える。前記圧密化単板は、多価カルボン酸を含有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、表層に針葉樹及び広葉樹の単板を用いなくても耐水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1A図1Cは、第1実施形態に係る木質積層板の製造方法を示す概略断面図である。
図2図2A図2Cは、第2実施形態に係る木質積層板の製造方法を示す概略断面図である。
図3図3A図3Cは、第3実施形態に係る木質積層板の製造方法を示す概略断面図である。
図4図4A図4Cは、第4実施形態に係る木質積層板の製造方法を示す概略断面図である。
図5図5A図5Cは、本開示の一実施形態に係る圧密化単板の製造方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)概要
近年、化粧用単板として使用可能な針葉樹及び広葉樹が減少している。本実施形態では、美観に優れた針葉樹及び広葉樹に代替し得る化粧用単板(圧密化単板2)を提供し、更にはこのような化粧用単板を備えた木質積層板1を提供する。
【0015】
本実施形態に係る木質積層板1の製造方法は、圧密化工程と、接着工程と、を含む。圧密化工程は、圧密化単板2を得る工程である(図5A図5C参照)。圧密化単板2は、糖類含有単板4に触媒(多価カルボン酸)を供給して圧密化することにより得られる。糖類含有単板4は、糖類を含む植物(例えばヤシ)から得られる。接着工程は、芯材3の両面又は片面に圧密化単板2を接着する工程である(図1A図1C参照)。
【0016】
圧密化単板2は、多価カルボン酸を含有する糖類含有単板4(つまり後述の触媒含有単板7)に圧密化処理がなされて形成されているので、水分が浸透しにくい。そのため、圧密化単板2を表面に有する木質積層板1においては、表面に位置する圧密化単板2から内部に位置する芯材3への水分の浸入を圧密化単板2によって抑制することができる。
【0017】
また圧密化処理がなされることで、圧密化単板2の表面硬さを向上させることができる。
【0018】
したがって、本実施形態によれば、木質積層板1の耐水性及び表面硬さを向上させることができる。
【0019】
(2)詳細
(2.1)第1実施形態
<圧密化単板の製造方法>
図5A図5Cは、本実施形態に係る圧密化単板2の製造方法の一例を示す。圧密化単板2の製造方法は、圧密化工程を含む。
【0020】
≪圧密化工程≫
圧密化工程は、圧密化単板2を得る工程である。詳しくは、図5A図5Cに示すように、まず糖類含有単板4に触媒(多価カルボン酸)を供給して触媒含有単板7とする。次に触媒含有単板7を圧密化することにより圧密化単板2が得られる。
【0021】
〔糖類含有単板〕
糖類含有単板4は、糖類を含む植物から得られる単板である。糖類を含む植物は、木本であり、木質の茎(木幹)を有する。植物は、ヤシ(椰子)が好ましく、ヤシの中でもアブラヤシ及びココヤシが好ましい。ヤシは、他の植物に比べて糖類を比較的多く含むためである。これにより、木質積層板1の耐水性及び強度が向上する。
【0022】
東南アジアではパーム油産業が盛んであるが、ヤシは20~30年で実の付きが悪くなるため、このようなパームヤシの古木(OPT)をいかに処理するかが問題となっている。それというのも、温室効果ガスの放出を防ぐなどという目的で古木の焼却処分が禁止されており、それに加えてヤシは含水率が高いため、木材としての再利用が難しいからである。このようなことから、伐採されたヤシの古木などを有効利用することが望まれており、木質積層板1の原料として容易に入手することができる。このように、本実施形態において、植物がヤシであれば、ヤシの古木などを有効利用することができる。
【0023】
植物に含まれる糖類は、単糖、二糖及び多糖(オリゴ糖を含む)である。二糖及び多糖は、複数の単糖がグリコシド結合して構成されている。糖類は、植物に1種のみ含有されていても2種以上含有されていてもよい。単糖及び二糖の合計含有量は、単板(固形分)の質量に対して、好ましくは5質量%以上である。
【0024】
単糖として、例えば、フルクトース、リボース、アラビノース、ラムノース、キシルロース及びデオキシリボースが挙げられる。
【0025】
二糖として、例えば、スクロース、マルトース、トレハロース、ツラノース、ラクツロース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、メリビウロース、ガラクトスクロース、ルチヌロース及びプランテオビオースが挙げられる。
【0026】
多糖として、例えば、デンプン、アガロース、アルギン酸、グルコマンナン、イヌリン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、グリコーゲン及びセルロースが挙げられる。オリゴ糖として、例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖及びスタキオースが挙げられる。
【0027】
上記の糖類を含む植物から単板(糖類含有単板4)を得る。糖類含有単板4は、植物の原木を切削機械により切削して得ることができる。切削機械として、例えば、ロータリーレース及びスライサーが挙げられる。
【0028】
糖類含有単板4の厚さは、特に限定されないが、例えば2mm以上8mm以下の範囲内である。
【0029】
糖類含有単板4の密度は、特に限定されないが、好ましくは300kg/m以上500kg/m以下の範囲内であり、より好ましくは350kg/m以上450kg/m以下の範囲内である。
【0030】
〔触媒含有単板〕
触媒含有単板7は、糖類含有単板4に触媒として多価カルボン酸が供給された単板である。触媒含有単板7は、糖類と、多価カルボン酸と、を含む。
【0031】
多価カルボン酸は、複数のカルボキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。多価カルボン酸として、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、セバシン酸、イタコン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸(1,5-ペンタン二酸)、グルタコン酸及びペンテン二酸が挙げられる。多価カルボン酸として、酸無水物も使用できる。
【0032】
上記に列挙した多価カルボン酸のうち、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、セバシン酸、及びイタコン酸は、植物を原料として製造することが可能なため、特に好ましい。このように植物を原料としている場合、化石資源の使用が抑制されるため、環境へ負担をかけずに木質積層板1を得ることができる。なお、多価カルボン酸は、ポリカルボン酸と同義である。
【0033】
好ましくは、多価カルボン酸を多価カルボン酸溶液(例えば多価カルボン酸水溶液)として供給する。これにより、多価カルボン酸が糖類含有単板4に含浸されやすくなる。その結果、木質積層板1の耐水性を更に向上させることができる。
【0034】
具体的には、多価カルボン酸は、次のようにして糖類含有単板4に供給することができる。すなわち、多価カルボン酸水溶液をスプレー等で糖類含有単板4に向けて散布することができる。また糖類含有単板4を多価カルボン酸水溶液中に浸漬することができる。またロール又は刷毛等で多価カルボン酸水溶液を糖類含有単板4に塗布することができる。また多価カルボン酸の粉末を直接、糖類含有単板4に散布することができる。
【0035】
上述のように、多価カルボン酸を糖類含有単板4に供給する際に、多価カルボン酸は、水溶液の状態であってもよいし、粉末の状態であってもよい。水溶液の状態である場合には、多価カルボン酸水溶液の濃度は、特に限定されないが、例えば1質量%以上50質量%以下の範囲内である。
【0036】
多価カルボン酸の供給量は、特に限定されない。多価カルボン酸の供給量は、例えば、糖類含有単板4の単位体積当たりに存在する多価カルボン酸の質量で規定される。好ましくは、多価カルボン酸の供給量は、固形分比率で0.5質量%以上5質量%以下の範囲内である。
【0037】
<圧密化単板>
圧密化単板2は、木質積層板1において化粧用単板として使用可能である(図1C参照)。圧密化単板2は、触媒含有単板7を圧密化することにより得られる単板である。圧密化するための処理は、熱圧処理(ホットプレス)である。熱圧処理は、加熱しながら圧締する処理である。このように、熱圧処理により触媒含有単板7から圧密化単板2が得られる。なお、熱圧処理では、公知の圧締装置(プレス)が使用可能である。熱源としては、特に限定されないが、蒸気、熱水、電熱、及び高周波が挙げられる。プレス方式としては、特に限定されないが、平板(1段、多段)プレス方式、及びロール(連続)プレス方式が挙げられる。
【0038】
熱圧処理の温度は、特に限定されないが、例えば140℃以上230℃以下の範囲内である。熱圧処理の圧力は、好ましくは0.5MPa以上4MPa以下の範囲内である。この範囲内で高圧であるほど、圧密化単板2の平滑性を向上させることができる。
【0039】
圧密化処理がなされる触媒含有単板7の厚さは薄く、熱伝導性が良好であるため、熱圧処理は短時間で終了させることが可能である。具体的には、熱圧処理の時間は、好ましくは10秒以上15分以下の範囲内であり、より好ましくは10秒以上5分以下の範囲内である。
【0040】
ここで、熱圧処理の際に触媒含有単板7内で起こる硬化反応について説明する。硬化反応は、糖類と多価カルボン酸との反応を意味する。触媒含有単板7は、加熱処理されると2段階の反応を経て完全に硬化すると推測される。
【0041】
すなわち、加熱処理により第1段階の反応が進行し、更なる加熱処理により第2段階の反応が進行して完了する。触媒含有単板7は、第2段階の反応の完了により、硬化物としての圧密化単板2となる。第2段階の反応に近づくにつれて、糖類と多価カルボン酸との反応物(例えば糖クエン酸反応物)は、熱硬化性を有するようになる。この反応物の硬化により、触媒含有単板7の内部の繊維同士が接着される。なお、本明細書において、反応物には、反応前の物質と、反応後の物質(生成物)と、が含まれる。
【0042】
第1段階の反応により、植物に含まれる糖類が加水分解し、加水分解生成物が生成される。さらに加水分解生成物は、脱水縮合して糖変性物の反応生成物が生成される。このとき発生する縮合水は適宜の方法で除去される。
【0043】
例えば、糖類がスクロースの場合、以下のように硬化反応が進行すると推測される。まず、スクロースが加水分解してグルコースとフルクトースとが生成される。次にフルクトースの脱水反応により、フルフラール(具体的には5-(ヒドロキシメチル)フルフラール)が生成される。糖変性物であるフルフラールは、更なる加熱処理により熱硬化性樹脂であるフラン樹脂となり、多価カルボン酸の存在下で硬化する。一方、グルコースは、脱水縮合反応により糖エステルポリマーとなって硬化する。
【0044】
加圧する段階は特に限定されない。例えば、加圧は、第1段階の開始から第2段階の終了まで行ってもよいし、第1段階では行わずに第2段階の開始から第2段階の終了まで行ってもよい。
【0045】
上記のようにして得られた圧密化単板2は、2段階の反応を経て完全に硬化していると推測されるので、もはや単独では接着性を有しない可能性が高い。そのため、圧密化単板2を芯材3に接着する場合には、接着剤が必要であったり、芯材3自体が接着性を有する必要があったりする。
【0046】
圧密化単板2は、圧密化処理がなされているので、水分が浸透しにくい。より詳細には、圧密化単板2は圧締されていることで、内部の繊維同士が近接又は密着している。また圧密化単板2は加熱されていることで、糖類と多価カルボン酸との反応物により内部の繊維同士が接着している。このようにして圧密化単板2の内部の繊維同士の隙間は、圧密化処理がなされていない場合に比べて大幅に減少している。したがって、圧密化単板2は、水分が浸透しにくくなる。そのため、圧密化単板2を表面に有する木質積層板1においては、表面に位置する圧密化単板2から内部に位置する芯材3への水分の浸入を圧密化単板2によって抑制することができる。また圧密化処理がなされていることで、圧密化単板2の表面硬さを向上させることができる。これにより、木質積層板1の耐水性及び表面硬さを向上させることができる。このように、圧密化単板2は、現在使用されている針葉樹及び広葉樹の単板に匹敵し得る。さらに圧密化単板2をヤシの古木で製造するようにすれば、ヤシ廃材の処理に有効であり、木質積層板1も安価に提供することが可能となる。
【0047】
圧密化単板2の厚さは、糖類含有単板4の厚さよりも薄い。圧密化単板2の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1mm以上4mm以下の範囲内であり、より好ましくは1.5mm以上4mm以下の範囲内である。
【0048】
圧密化単板2の密度は、特に限定されないが、500kg/m以上1000kg/m以下の範囲内であり、より好ましくは650kg/m以上850kg/m以下の範囲内である。
【0049】
<木質積層板の製造方法>
図1A図1Cは、本実施形態に係る木質積層板1の製造方法の一例を示す。木質積層板1の製造方法は、圧密化工程と、接着工程と、を含む。好ましくは、木質積層板1の製造方法は、触媒供給工程を更に含む。
【0050】
≪圧密化工程≫
圧密化工程は、圧密化単板2を得る工程である。圧密化工程は、上述の圧密化単板2の製造方法における圧密化工程と同様である。
【0051】
≪触媒供給工程≫
芯材3は、糖類含有単板4を複数含む。糖類含有単板4は、上述のとおりである。このように、糖類含有単板4は、圧密化単板2として利用されたり、芯材3として利用されたりする。
【0052】
触媒供給工程は、芯材3に含まれる複数の糖類含有単板4に多価カルボン酸を供給する工程である。これにより、糖類含有単板4は、触媒含有単板7となる。糖類含有単板4に多価カルボン酸を供給する方法、及び触媒含有単板7については、上述のとおりである。糖類含有単板4に多価カルボン酸を供給しておくことで、糖類と多価カルボン酸との反応物が接着剤として機能し得る。これにより、木質積層板1の剥離強さを向上させることができる。
【0053】
触媒含有単板7における多価カルボン酸の含有量は、好ましくは3質量%以上15質量%以下、より好ましくは5質量%以上10質量%以下の範囲内である。これにより、酸による木質積層板1の強度低下を抑制したり、酸の溶出による環境悪化を抑制したりすることができる。
【0054】
≪接着工程≫
接着工程は、芯材3の両面又は片面に圧密化単板2を接着する工程である。接着工程では、芯材3と圧密化単板2とを重ねて熱圧処理を行う。
【0055】
まず芯材3と圧密化単板2とを重ねて積層体とする。図1Bでは、芯材3の両面に圧密化単板2を配置しているが、芯材3の片面だけに圧密化単板2を配置してもよい。
【0056】
芯材3に含まれる複数の触媒含有単板7及び圧密化単板2の各々の繊維方向(木目の方向)は、特に限定されない。隣り合う触媒含有単板7同士の繊維方向は、非平行でも平行でもよい。隣り合う触媒含有単板7及び圧密化単板2の繊維方向は、非平行でも平行でもよい。なお、非平行には、直交が含まれる。
【0057】
次に上記の積層体に熱圧処理を行う。これにより、触媒含有単板7に含有される糖類と多価カルボン酸とが反応し、この反応物により触媒含有単板7同士、及び触媒含有単板7と圧密化単板2とが接着されて、木質積層板1が得られる。熱圧処理では、圧密化工程と同様の公知の圧締装置を用いることができる。
【0058】
熱圧処理の温度は、特に限定されないが、例えば140℃以上230℃以下の範囲内である。熱圧処理の圧力は、特に限定されないが、例えば0.5MPa以上4MPa以下の範囲内である。熱圧処理の時間は、特に限定されないが、例えば10秒以上15分以下の範囲内である。
【0059】
<木質積層板>
上述の木質積層板1の製造方法を使用して木質積層板1が得られる。木質積層板1は、圧密化単板2と、圧密化単板2が両面又は片面に接着された芯材3と、を備える。圧密化単板2は、多価カルボン酸を含有する。本実施形態では、芯材3も、多価カルボン酸を含有する。
【0060】
木質積層板1において、圧密化単板2は、圧密化処理がなされているので、水分が浸透しにくい。より詳細には、圧密化単板2は圧締されていることで、内部の繊維同士が近接又は密着している。また圧密化単板2は加熱されていることで、糖類と多価カルボン酸との反応物により内部の繊維同士が接着している。このようにして圧密化単板2の内部の繊維同士の隙間は、圧密化処理がなされていない場合に比べて大幅に減少している。そのため、表面に位置する圧密化単板2から内部に位置する芯材3への水分の浸入を圧密化単板2によって抑制することができる。
【0061】
したがって、本実施形態によれば、木質積層板1の耐水性を向上させることができる。さらに本実施形態では、糖類と多価カルボン酸との反応物が接着剤として機能し得るので、木質積層板1の剥離強さも向上させることができる。
【0062】
(2.2)第2実施形態
第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0063】
<木質積層板の製造方法>
図2A図2Cは、本実施形態に係る木質積層板1の製造方法の一例を示す。木質積層板1の製造方法は、圧密化工程と、接着剤供給工程と、接着工程と、を含む。
【0064】
≪圧密化工程≫
圧密化工程は、第1実施形態の圧密化工程と同様である。
【0065】
≪接着剤供給工程≫
芯材3は、単板5を複数含む。この場合の単板5は、特に限定されない。単板5は、糖類含有単板4でもよいし、糖類含有単板4以外の単板でもよい。単板5は、針葉樹(例えばスギ)から得られる単板でもよいし、広葉樹(例えばラワン)から得られる単板でもよい。
【0066】
接着剤供給工程は、芯材3に含まれる複数の単板5に接着剤を供給する工程である。接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ユリア・メラミン系接着剤及びフェノール系接着剤などが挙げられる。接着剤の供給方法としては、特に限定されないが、例えば塗布が挙げられる。
【0067】
接着剤の供給量(塗布量)は、特に限定されない。接着剤の供給量は、例えば、単板5の単位面積当たりに存在する接着剤の質量で規定される。好ましくは、接着剤の供給量は、200g/m以上500g/m以下の範囲内である。
【0068】
≪接着工程≫
接着工程は、第1接着工程と、第2接着工程と、に大別される。
【0069】
〔第1接着工程〕
第1接着工程は、複数の単板5を重ねて接着して芯材3を得る工程である。第1接着工程では、冷圧処理(コールドプレス)と熱圧処理とを行う。冷熱処理は、加熱しないで常温で圧締する処理である。熱圧処理は、上述のとおりである。このように、冷熱処理及び熱圧処理により複数の単板5から芯材3が得られる。
【0070】
まず複数の単板5を重ねて積層体とする。このとき複数の単板5の各々の繊維方向は、特に限定されない。隣り合う単板5同士の繊維方向は、非平行でも平行でもよい。
【0071】
次に上記の積層体に冷圧処理を行う。これにより、複数の単板5が仮接着される。冷圧処理では、公知の圧締装置が使用可能である。プレス方式としては、特に限定されないが、平板(1段、多段)プレス方式、及びロール(連続)プレス方式が挙げられる。
【0072】
冷圧処理の圧力は、特に限定されないが、例えば0.5MPa以上4MPa以下の範囲内である。冷圧処理の時間は、特に限定されないが、例えば10秒以上20分以下の範囲内である。
【0073】
次に冷圧処理後の積層体に熱圧処理を行う。これにより、芯材3が得られる。
【0074】
熱圧処理の温度は、特に限定されないが、好ましくは80℃以上150℃以下の範囲内であり、より好ましくは105℃以上150℃以下の範囲内である。熱圧処理の圧力は、特に限定されないが、例えば0.5MPa以上4MPa以下の範囲内である。熱圧処理の時間は、特に限定されないが、例えば10秒以上15分以下の範囲内である。
【0075】
〔第2接着工程〕
第2接着工程は、第1接着工程で得られた芯材3の両面又は片面に圧密化単板2を接着する工程である。第2接着工程では、冷圧処理と熱圧処理とを行う。
【0076】
まず芯材3と圧密化単板2とを重ねて積層体とする。このとき必要に応じて、芯材3と圧密化単板2との間に接着剤を介在させる。図2Bでは、芯材3の両面に圧密化単板2を配置しているが、芯材3の片面だけに圧密化単板2を配置してもよい。
【0077】
芯材3の表面に位置する単板5と圧密化単板2との繊維方向は、非平行でも平行でもよい。
【0078】
次に上記の積層体に冷圧処理を行う。これにより、芯材3と圧密化単板2とが仮接着される。
【0079】
冷圧処理の圧力は、特に限定されないが、例えば0.5MPa以上4MPa以下の範囲内である。冷圧処理の時間は、特に限定されないが、例えば10秒以上15分以下の範囲内である。
【0080】
次に冷圧処理後の積層体に熱圧処理を行う。これにより、木質積層板1が得られる。
【0081】
熱圧処理の温度は、特に限定されないが、好ましくは80℃以上150℃以下の範囲内であり、より好ましくは105℃以上150℃以下の範囲内である。熱圧処理の圧力は、特に限定されないが、例えば0.5MPa以上4MPa以下の範囲内である。熱圧処理の時間は、特に限定されないが、例えば10秒以上15分以下の範囲内である。
【0082】
<木質積層板>
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、耐水性及び表面硬さを向上させることができる。
【0083】
(2.3)第3実施形態
第3実施形態では、第1~2実施形態と同様の構成要素には第1~2実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0084】
<木質積層板の製造方法>
図3A図3Cは、本実施形態に係る木質積層板1の製造方法の一例を示す。木質積層板1の製造方法は、圧密化工程と、接着剤供給工程と、接着工程と、を含む。
【0085】
≪圧密化工程≫
圧密化工程は、第1実施形態の圧密化工程と同様である。なお、圧密化工程で得られた複数の圧密化単板2のうち、一部は、木質積層板1の化粧用単板として用いられ、残りは、木質積層板1の芯材3として用いられる。
【0086】
≪接着剤供給工程≫
芯材3は、単板5を複数含む。ただし、この場合の単板5は、圧密化単板2である。
【0087】
接着剤供給工程は、第2実施形態の接着剤供給工程と同様である。なお、第2実施形態の接着剤供給工程の説明において、「単板5」が「圧密化単板2」に読み替えられる。
【0088】
≪接着工程≫
接着工程は、複数の単板5(圧密化単板2)を重ねて接着して木質積層板1を得る工程である。つまり、本実施形態は、複数の圧密化単板2のみで形成された木質積層板1を含み得る。接着工程は、第2実施形態の接着工程(特に第1接着工程)と同様である。なお、第2実施形態の接着工程の説明において、「単板5」が「圧密化単板2」に読み替えられる。
【0089】
<木質積層板>
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、耐水性及び表面硬さを向上させることができる。さらに本実施形態では、芯材3に複数の圧密化単板2が含まれていることで、木質積層板1の強度(例えば曲げ強さ)も向上させることができる。
【0090】
(2.4)第4実施形態
第4実施形態では、第1~3実施形態と同様の構成要素には第1~3実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0091】
<木質積層板の製造方法>
図4A図4Cは、本実施形態に係る木質積層板1の製造方法の一例を示す。木質積層板1の製造方法は、圧密化工程と、接着工程と、を含む。
【0092】
≪圧密化工程≫
圧密化工程は、第1実施形態の圧密化工程と同様である。
【0093】
≪接着工程≫
接着工程は、芯材3が異なる以外は、第2実施形態の第2接着工程と同様である。すなわち、本実施形態では、芯材3が板材6を含む。この場合の板材6は、主として市販の板材を意味する。板材6は、針葉樹から得られる板材でもよいし、広葉樹から得られる板材でもよい。板材6は、合板及び/又は単板積層材(LVL)を含む。合板及び単板積層材として市販品が使用可能である。板材6の一例として、ランバーコアー合板が挙げられる。
【0094】
<木質積層板>
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、耐水性及び表面硬さを向上させることができる。さらに板材6の種類に応じて様々な木質積層板1が得られる。
【0095】
(3)変形例
第1実施形態では、芯材3に含まれる複数の糖類含有単板4に触媒として多価カルボン酸を供給しているが、触媒の代わりに接着剤を供給してもよい。
【0096】
また第2実施形態では、接着工程を、第1接着工程と、第2接着工程とに分けているが、第1接着工程又は第2接着工程のいずれかのみでもよい。例えば、圧密化単板2と複数の単板5とを一緒に重ねて積層体とし、この積層体に対して第1接着工程の冷圧処理と熱圧処理とを行うことにより、木質積層板1を得るようにしてもよい。この場合には第2接着工程が省略される。
【0097】
(4)まとめ
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。なお、以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0098】
第1の態様に係る木質積層板(1)の製造方法は、圧密化工程と、接着工程と、を含む。前記圧密化工程は、糖類を含む植物から得られた糖類含有単板(4)に多価カルボン酸を供給して圧密化することにより圧密化単板(2)を得る工程である。前記接着工程は、芯材(3)の両面又は片面に前記圧密化単板(2)を接着する工程である。
【0099】
この態様によれば、表層に針葉樹及び広葉樹の単板を用いなくても耐水性を向上させることができる。
【0100】
第2の態様に係る木質積層板(1)の製造方法では、第1の態様において、前記多価カルボン酸を多価カルボン酸溶液として供給する。
【0101】
この態様によれば、多価カルボン酸が糖類含有単板(4)に含浸されやすくなる。その結果、木質積層板(1)の耐水性を更に向上させることができる。
【0102】
第3の態様に係る木質積層板(1)の製造方法は、第1又は2の態様において、触媒供給工程を更に含む。前記芯材(3)が、前記糖類含有単板(4)を複数含む。前記触媒供給工程は、前記芯材(3)に含まれる前記複数の糖類含有単板(4)に多価カルボン酸を供給する工程である。
【0103】
この態様によれば、剥離強さを向上させることができる。
【0104】
第4の態様に係る木質積層板(1)の製造方法は、第1又は2の態様において、接着剤供給工程を更に含む。前記芯材(3)が、単板(5)を複数含む。前記接着剤供給工程は、前記芯材(3)に含まれる前記複数の単板(5)に接着剤を供給する工程である。
【0105】
この態様によれば、剥離強さを向上させることができる。
【0106】
第5の態様に係る木質積層板(1)の製造方法では、第4の態様において、前記芯材(3)に含まれる単板(5)が、前記圧密化単板(2)である。
【0107】
この態様によれば、剥離強さを向上させることができる。
【0108】
第6の態様に係る木質積層板(1)の製造方法では、第1又は2の態様において、前記芯材(3)が、板材(6)を含む。前記板材(6)は、合板及び/又は単板積層材を含む。
【0109】
この態様によれば、板材(6)の種類に応じて様々な木質積層板(1)が得られる。
【0110】
第7の態様に係る圧密化単板の製造方法は、圧密化工程を含む。前記圧密化工程は、糖類を含む植物から得られた糖類含有単板(4)に多価カルボン酸を供給して圧密化することにより圧密化単板(2)を得る工程である。
【0111】
この態様に係る圧密化単板(2)を用いると、表層に針葉樹及び広葉樹の単板を用いなくても耐水性が優れた木質積層板(1)を得ることができる。
【0112】
第8の態様に係る圧密化単板(2)は、糖類を含む植物から得られた糖類含有単板(4)に多価カルボン酸を供給して圧密化されている。
【0113】
この態様に係る圧密化単板(2)を用いると、表層に針葉樹及び広葉樹の単板を用いなくても耐水性が優れた木質積層板(1)を得ることができる。
【0114】
第9の態様に係る木質積層板(1)は、第8の態様に係る圧密化単板(2)と、前記圧密化単板(2)が両面又は片面に接着された芯材(3)と、を備える。前記圧密化単板(2)は、多価カルボン酸を含有する。
【0115】
この態様によれば、表層に針葉樹及び広葉樹の単板を用いなくても耐水性を向上させることができる。
【実施例
【0116】
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。
【0117】
(実施例1)
<圧密化単板>
糖類含有単板としてヤシ単板(OPT)を使用した。糖類含有単板の厚さ及び密度を表1に示す。糖類含有単板の両面に触媒(クエン酸水溶液)を塗布し、触媒含有単板を得た。触媒は、触媒及びヤシ単板の合計質量(固形分)に対して1質量%となるように調整して塗布した。
【0118】
次に圧締装置を用いて触媒含有単板を熱圧処理して圧密化単板を製造した。熱圧処理の条件、圧密化単板の厚さ及び密度を表1に示す。なお、圧締装置の上下の熱板間にはディスタンスバーが取り付けられており、このディスタンスバーの間隔を1.5mmに設定することで、圧密化単板の厚さを一定(1.5mm)にした。
【0119】
<芯材>
糖類含有単板としてヤシ単板(OPT)を使用した。糖類含有単板の厚さ、密度、及び芯材の層数を表2に示す。
【0120】
次に第1接着工程を経て、芯材を得た。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表2に示す。
【0121】
<木質積層板>
上記の圧密化単板及び芯材を使用して、第2接着工程を経て、両面に圧密化単板を有する木質積層板を製造した。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表1に示す。木質積層板の厚さ及び密度を表3に示す。
【0122】
(実施例2)
<圧密化単板>
実施例1と同様である。
【0123】
<芯材>
糖類含有単板としてヤシ単板(OPT)を使用した。糖類含有単板に触媒(クエン酸水溶液)を塗布し、触媒含有単板を得た。触媒は、触媒及びヤシ単板の合計質量(固形分)に対して10質量%となるように調整して塗布した。なお、第1接着工程はない。
【0124】
<木質積層板>
上記の圧密化単板及び芯材を使用して、第2接着工程のみを経て、両面に圧密化単板を有する木質積層板を製造した。熱圧処理の条件を表1に示す。木質積層板の厚さ及び密度を表3に示す。
【0125】
(実施例3)
<圧密化単板>
実施例1と同様である。
【0126】
<芯材>
スギ単板を使用した。スギ単板の厚さ、密度、及び芯材の層数を表2に示す。
【0127】
次に第1接着工程を経て、芯材を得た。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表2に示す。
【0128】
<木質積層板>
上記の圧密化単板及び芯材を使用して、第2接着工程を経て、両面に圧密化単板を有する木質積層板を製造した。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表1に示す。木質積層板の厚さ及び密度を表3に示す。
【0129】
(実施例4)
<圧密化単板>
実施例1と同様である。
【0130】
<芯材>
圧密化単板を使用した。なお、第1接着工程はない。
【0131】
<木質積層板>
上記の圧密化単板を使用して、第2接着工程のみを経て、両面に圧密化単板を有する木質積層板を製造した。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表1に示す。木質積層板の厚さ及び密度を表3に示す。
【0132】
(実施例5)
<圧密化単板>
実施例1と同様である。
【0133】
<芯材>
市販ボードである既成合板(針葉樹合板)を使用した。既成合板の厚さ、密度及び層数を表2に示す。
【0134】
<木質積層板>
上記の圧密化単板及び芯材を使用して、第2接着工程のみを経て、両面に圧密化単板を有する木質積層板を製造した。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表1に示す。木質積層板の厚さ及び密度を表3に示す。
【0135】
(実施例6)
<圧密化単板>
実施例1と同様である。
【0136】
<芯材>
市販ボードであるシナランバーコアーボードを使用した。シナランバーコアーボードの厚さ及び密度を表2に示す。
【0137】
<木質積層板>
上記の圧密化単板及び芯材を使用して、第2接着工程のみを経て、両面に圧密化単板を有する木質積層板を製造した。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表1に示す。木質積層板の厚さ及び密度を表3に示す。
【0138】
(比較例)
<圧密化単板>
圧密化単板は製造しなかった。
【0139】
<芯材>
糖類含有単板としてヤシ単板(OPT)を使用した。糖類含有単板の厚さ、密度、及び芯材の層数を表2に示す。
【0140】
<木質積層板>
第1接着工程のみを経て、木質積層板を製造した。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表2に示す。なお、比較例では、圧密化単板を使用していないので、第2接着工程はない。
【0141】
(参考例)
<圧密化単板>
実施例1の圧密化単板の代わりにMLH(Mixed Light Hardwoods)を使用した。
【0142】
<芯材>
糖類含有単板としてヤシ単板(OPT)を使用した。糖類含有単板の厚さ、密度、及び芯材の層数を表2に示す。
【0143】
次に第1接着工程を経て、芯材を得た。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表2に示す。
【0144】
<木質積層板>
上記のMLH及び芯材を使用して、第2接着工程を経て、両面にMLHを有する木質積層板を製造した。接着剤としてユリア・メラミン系接着剤を使用した。接着剤の塗布量、冷圧処理及び熱圧処理の条件を表1に示す。木質積層板の厚さ及び密度を表3に示す。
【0145】
<性能評価>
[平滑性]
平滑性を評価するため、木質積層板の表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。以下の基準で性能を評価した。
【0146】
A:算術平均粗さ(Ra)が3.2μm以下
B:算術平均粗さ(Ra)3.2μm超6.3μm以下
C:算術平均粗さ(Ra)6.3μm超。
【0147】
[耐おもり落下性]
表面硬さを評価するため、JIS K 5600-5-3に準拠して、木質積層板についてデュポン式試験を行った。先端が丸い500gのおもりを、その先端を下にして、30cmの高さから木質積層板の表面に落とした。おもりの先端径は0.5インチ(約1.27cm)である。おもりの衝突によって形成された凹みの深さを測定した。以下の基準で性能を評価した。
【0148】
S:凹みの深さが0.3mm以下
A:凹みの深さが0.3mm超0.5mm以下
B:凹みの深さが0.5mm超0.8mm以下
C:凹みの深さが0.8mm超。
【0149】
[吸水厚さ膨張率]
耐水性を評価するため、JIS A 5908に準拠して、木質積層板について吸水厚さ膨張率試験を行った。以下の基準で性能を評価した。
【0150】
S:吸水厚さ膨張率が3%以下
A:吸水厚さ膨張率が3%超5%以下
B:吸水厚さ膨張率が5%超12%以下
C:吸水厚さ膨張率が12%超。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
【表3】
【符号の説明】
【0154】
1 木質積層板
2 圧密化単板
3 芯材
4 糖類含有単板
5 単板
6 板材
図1
図2
図3
図4
図5