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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】煙感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20240322BHJP
   G08B 17/107 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G08B17/107 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020022850
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128550
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上津 智宏
(72)【発明者】
【氏名】吉木 和久
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-085664(JP,A)
【文献】特開昭51-087998(JP,A)
【文献】実開平02-089592(JP,U)
【文献】国際公開第2017/73562(WO,A1)
【文献】特開2011-175684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/10
G08B 17/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から煙が流入可能な開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部において感知空間を有し、前記感知空間内の煙を検知する光電式の感知ブロックと、
少なくとも前記感知空間への特定の虫の侵入を抑制する抑制構造と、を備え、
前記抑制構造は、前記筐体の内部における前記開口部と前記感知空間との間の領域に設けられて、前記筐体の底壁から突出する壁体を含む、
煙感知器。
【請求項2】
前記壁体は複数であって、
前記複数の壁体は、前記開口部から前記感知空間に向かう方向に並ぶ、
請求項1記載の煙感知器。
【請求項3】
前記壁体は、先端が前記開口部に向かって突出した返し部を有する、
請求項1又は2に記載の煙感知器。
【請求項4】
外部から煙が流入可能な開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部において感知空間を有し、前記感知空間内の煙を検知する光電式の感知ブロックと、
少なくとも前記感知空間への特定の虫の侵入を抑制する抑制構造と、を備え、
前記抑制構造は、帯電性を有する材料で形成された前記筐体を含む、
煙感知器。
【請求項5】
外部から煙が流入可能な開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部において感知空間を有し、前記感知空間内の煙を検知する光電式の感知ブロックと、
少なくとも前記感知空間への特定の虫の侵入を抑制する抑制構造と、を備え、
前記抑制構造は、前記筐体の外壁における前記開口部の周縁から前記筐体の外部に向かって突出する突壁を含む、
煙感知器。
【請求項6】
前記抑制構造は、網目の幅が0.25mm以下のメッシュを有する防虫網を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の煙感知器。
【請求項7】
前記抑制構造は、前記筐体の内部における前記開口部と前記感知空間との間において前記特定の虫が忌避する忌避剤が塗布されている、又は前記筐体を構成する材料自体に練り込まれている領域を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の煙感知器。
【請求項8】
前記抑制構造は、前記筐体の内部における前記開口部と前記感知空間との間において前記特定の虫が粘着する粘着材が設けられた領域を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の煙感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に煙感知器に関する。より詳細には、本開示は、光電式の煙感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、煙感知器が開示されている。この煙感知器は、発光部及び受光部を用いて光学的に煙を検知する煙感知部を備えている。煙感知部は、発光部及び受光部が収納される光学基台を備えている。光学基台は、防虫網で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-257258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の煙感知器では、防虫網を通して特定の虫が煙感知部の内部に侵入する可能性があった。このため、この煙感知器では、侵入した特定の虫に起因して誤検知する、という問題が生じる可能性があった。
【0005】
本開示は、誤検知する可能性を低減しやすい煙感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る煙感知器は、筐体と、光電式の感知ブロックと、抑制構造と、を備える。前記筐体は、外部から煙が流入可能な開口部を有する。前記感知ブロックは、前記筐体の内部において感知空間を有し、前記感知空間内の煙を検知する。前記抑制構造は、少なくとも前記感知空間への特定の虫の侵入を抑制する。前記抑制構造は、前記筐体の内部における前記開口部と前記感知空間との間の領域に設けられて、前記筐体の底壁から突出する壁体を含む。
本開示の一態様に係る煙感知器は、筐体と、光電式の感知ブロックと、抑制構造と、を備える。前記筐体は、外部から煙が流入可能な開口部を有する。前記感知ブロックは、前記筐体の内部において感知空間を有し、前記感知空間内の煙を検知する。前記抑制構造は、少なくとも前記感知空間への特定の虫の侵入を抑制する。前記抑制構造は、帯電性を有する材料で形成された前記筐体を含む。
本開示の一態様に係る煙感知器は、筐体と、光電式の感知ブロックと、抑制構造と、を備える。前記筐体は、外部から煙が流入可能な開口部を有する。前記感知ブロックは、前記筐体の内部において感知空間を有し、前記感知空間内の煙を検知する。前記抑制構造は、少なくとも前記感知空間への特定の虫の侵入を抑制する。前記抑制構造は、前記筐体の外壁における前記開口部の周縁から前記筐体の外部に向かって突出する突壁を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、誤検知する可能性を低減しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る煙感知器の上方から見た分解斜視図である。
図2図2は、同上の煙感知器の上方から見た外観斜視図である。
図3図3は、同上の煙感知器における防虫網の概要図である。
図4図4は、本開示の一実施形態の変形例1に係る煙感知器の第2カバーを外した状態における上方から見た外観斜視図である。
図5図5は、同上の煙感知器の要部断面図である。
図6図6は、同上の煙感知器の他の構成の第2カバーを外した状態における上方から見た外観斜視図である。
図7図7は、本開示の一実施形態の変形例2に係る煙感知器の要部断面図である。
図8図8は、同上の煙感知器の他の構成の要部断面図である。
図9図9は、本開示の一実施形態の変形例3に係る煙感知器の要部断面図である。
図10図10は、本開示の一実施形態の変形例4に係る煙感知器の第2カバーを外した状態における上方から見た外観斜視図である。
図11図11は、本開示の一実施形態の変形例5に係る煙感知器の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
本実施形態の煙感知器100(図1参照)は、火災等によって発生する煙を感知した場合に、発報を行う防災機器である。つまり、火災等の災害の発生時において煙が発生すると、煙感知器100は、この煙を感知し、一例として、警報音の出力又は通信機能による他の機器との連動等によって発報を行う。本開示でいう「防災機器」は、例えば、火災等の災害の防止、災害による被害の拡大の防止、又は被災からの復旧等の目的で施設に設置される機器である。
【0010】
煙感知器100は、施設に設置されて使用される。本実施形態では、煙感知器100が、例えば、ホテル、オフィスビル、学校、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院又は工場等の非住宅の施設に用いられる場合を例示する。もちろん、この例に限らず、煙感知器100は、集合住宅又は戸建住宅等の施設に用いられてもよい。煙感知器100は、例えば、施設の居室、廊下又は階段等において、天井又は壁等に取り付けられた状態で施設に設置される。
【0011】
煙感知器100は、図1及び図2に示すように、筐体1と、光電式の感知ブロック2と、抑制構造3と、を備えている。筐体1内には、感知ブロック2を含めた種々の部品が収容されている。
【0012】
筐体1は、外部から煙が流入可能な開口部103を有している。つまり、火災等によって煙が発生した場合、発生した煙は、開口部103を通して筐体1の内部へと流入することになる。
【0013】
感知ブロック2は、筐体1の内部において感知空間Sp1を有し、感知空間Sp1内の煙を検知する。つまり、筐体1の内部へと流入した煙は、筐体1の内部に設けられた感知ブロック2内の感知空間Sp1へと取り込まれる。これにより、光電式の感知ブロック2は、感知空間Sp1内の煙を検知する。
【0014】
本開示でいう「光電式」とは、感知ブロック2が備える発光部22及び受光部23を用いて、感知空間Sp1内の煙で反射された光、又は感知空間Sp1を透過する光の光量の変化に基づいて煙を感知する方式を意味する。本実施形態では、発光部22は、感知空間Sp1に向けて光を出力する。受光部23は、発光部22からの直接光が入射せず、かつ感知空間Sp1内の煙での散乱光が入射する位置に配置される。これにより、感知空間Sp1に煙が存在しない状態では、受光部23は、発光部22から出力された光を受光せず、感知空間Sp1に煙が存在する状態では、受光部23は、発光部22から出力され煙で散乱された光(散乱光)を受光する。したがって、煙感知器100は、受光部23での受光状態によって、感知空間Sp1に存在する煙を感知することができる。
【0015】
抑制構造3は、少なくとも感知空間Sp1への特定の虫A1(図3参照)の侵入を抑制する。抑制構造3は、筐体1の内部への特定の虫A1の侵入を抑制することで感知空間Sp1への特定の虫A1の侵入を抑制する構造の他、筐体1内部に侵入した特定の虫A1の感知空間Sp1への侵入を抑制する構造を含み得る。
【0016】
本開示でいう「特定の虫」は、自ら飛翔する能力に乏しいため、這って移動するか、又は風に乗って移動する、という特徴を有する。具体的には、特定の虫A1は、体は細長く、多くは体長が2mm内外である。特定の虫A1は、有翅型の種と、無翅型の種と、を含んでいる。有翅型の特定の虫A1は、一例として、周囲に長い縁毛のある細長い二対の翅を持っている。特定の虫A1は、不完全変態をする。また、特定の虫A1は、基本的に植物の汁を吸うが、腐植食性・肉食性の種も知られている。図3に示す例では、特定の虫A1は有翅型であるが、無翅型も知られている。なお、図3に示す特定の虫A1は、単に一般的な有翅型の虫を表現しているに過ぎず、実際の特定の虫A1を直接的に表現しているわけではない。
【0017】
特定の虫A1は、例えば、這って移動する、又は風に乗って運ばれることで、煙感知器100の設置されている天井若しくは壁に張り付く、又は開口部103を通して筐体1の内部へと侵入する可能性がある。そして、煙感知器100が抑制構造3を備えていない場合、特定の虫A1が天井、壁、又は筐体1の内壁を這って移動することにより、感知空間Sp1へと侵入する可能性がある。感知空間Sp1へ特定の虫A1が侵入した場合、発光部22から出力された光が特定の虫A1にて反射することで散乱し、受光部23が散乱光を受光する場合がある。この場合、感知空間Sp1に煙が存在しないにも関わらず、煙感知器100が誤検知する可能性がある。
【0018】
一方、本実施形態では、煙感知器100は、感知空間Sp1への特定の虫A1の侵入を抑制する抑制構造3を備えている。このため、抑制構造3により、特定の虫A1が感知空間Sp1へ侵入する可能性を低減することができる。したがって、本実施形態では、特定の虫A1に起因して誤検知する可能性を低減しやすい、という利点がある。
【0019】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る煙感知器100の構成について詳しく説明する。本実施形態では、一例として、煙感知器100が施設の天井に取り付けられていることとして説明する。以下、煙感知器100が天井に取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、煙感知器100から天井に向かう向きを「上方」、その逆を「下方」として説明する。図面中の「上下方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。ただし、これらの方向は煙感知器100の使用方向(取付方向)を限定する趣旨ではない。
【0020】
また、以下に説明する各図面においては、煙感知器100の構成を模式的に表しており、図面における各種の寸法関係等が実物とは異なる場合がある。
【0021】
煙感知器100は、図1及び図2に示すように、筐体1と、感知ブロック2と、音出力部5と、を備えている。また、本実施形態では、煙感知器100は、回路ブロック4と、電池B1と、を更に備えている。電池B1は、煙感知器100の構成要素に含まれることは必須ではなく、煙感知器100の構成要素に電池B1が含まれていなくてもよい。
【0022】
筐体1は、平面視において円形状となる円盤状である。筐体1は、合成樹脂製の成形品である。筐体1は、本体10と、第1カバー11と、第2カバー12と、を有している。筐体1は、本体10に第1カバー11及び第2カバー12を組み合わせることで構成される。第2カバー12は、施工面(ここでは、天井面200(図5参照))に固定される。ただし、厳密には、第2カバー12は施工面に直接的に固定されるわけではなく、施工面に固定されている取付ベースに固定されることによって、施工面に対して間接的に固定される。
【0023】
本体10は、底壁101と、周壁102と、で構成されている。底壁101は、平面視において円形状であって、第1通孔104と、第2通孔105と、複数(ここでは、3つ)の挿入孔106と、を有している。第1通孔104は、底壁101を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において感知ブロック2の感知ケース21の外形と同じ円形状である。第1通孔104には、感知ブロック2の感知ケース21が下方から挿入される。第2通孔105は、底壁101を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において電池ケース114の外形と同じ矩形状である。第2通孔105には、電池ケース114が下方から挿入される。各挿入孔106は、底壁101を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において円形状である。各挿入孔106は、本体10に第1カバー11及び第2カバー12を組み合わせた状態において、対応する第1カバー11の第1ボス111(後述する)と、対応する第2カバー12のねじ穴121(後述する)と対向する。
【0024】
周壁102は、底壁101の上面の外周部から上方に向かって径を広げるように突出する壁と、底壁101の下面の外周部から下方に向かって径を広げるように突出する壁と、で構成されている。周壁102には、周方向にわたって複数(ここでは、12個)の開口部103が設けられている。各開口部103は、正面視において周壁102の周方向に長い矩形状であって、周壁102の厚さ方向(径方向)に貫通している。各開口部103は、筐体1の内部空間を筐体1の外部とつないでいる。このため、筐体1の内部空間には、各開口部103を通して筐体1の外部から煙が流入可能となっている。本実施形態では、筐体1の内部空間は、本体10の底壁101、周壁102、及び第2カバー12で囲まれた空間である。
【0025】
第1カバー11は、平面視において円形状となる円盤状であって、平面視における外周形状が本体10と同一である。第1カバー11は、複数(ここでは、3つ)の第1ボス111と、1つの第2ボス112と、音響ケース113と、電池ケース114と、を有している。また、第1カバー11において、複数の第1ボス111及び1つの第2ボス112に囲まれた領域には、回路ブロック4が配置される。
【0026】
各第1ボス111は、平面視において円形状となる筒体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。各第1ボス111には、第1ねじS1が締め付けられるねじ穴が形成されている。第2ボス112は、平面視において円形状となる筒体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。第2ボス112には、第2ねじS2が締め付けられるねじ穴が形成されている。
【0027】
音響ケース113は、平面視において円形状となる筒体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。音響ケース113には、音出力部5が収容される。また、音響ケース113の底面には、第1カバー11を厚さ方向(上下方向)に貫通する音孔が形成されている。この音孔を通して、音出力部5から音が出力される。なお、音孔は、第1カバー11の下面に設けられた化粧プレートにより覆われている。
【0028】
電池ケース114は、平面視において矩形状となる箱体であって、第1カバー11の上面から上方に向かって突出するように、第1カバー11と一体に形成されている。電池ケース114には、煙感知器100の動作用の電源として機能する電池B1が収容される。電池B1は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。
【0029】
第2カバー12は、平面視において円形状となる円盤状であって、平面視における外周形状が本体10と同一である。第2カバー12は、複数(ここでは、3つ)のねじ穴121を有している。各ねじ穴121は、平面視において円形状であって、第2カバー12を厚さ方向(上下方向)に貫通する。各ねじ穴121には、第2カバー12の上方から第1ねじS1が挿入される。
【0030】
筐体1は、以下のようにして組み立てられる。まず、本体10の上面の開口を塞ぐように、第1カバー11を本体10に組み合わせる。次に、本体10の下面の開口を塞ぐように、第2カバー12を本体10に組み合わせる。そして、本体10の複数の挿入孔106と、第1カバー11の対応する複数の第1ボス111と、第2カバー12の対応する複数のねじ穴121とを互いに重ね合わせる。この状態で、第2カバー12の上方から複数の第1ねじS1をそれぞれ対応するねじ穴121に挿入して締め付けることにより、本体10、第1カバー11、及び第2カバー12が互いに結合される。
【0031】
回路ブロック4は、プリント配線板41と、スイッチを含む複数の電子部品と、を有している。複数の電子部品は、プリント配線板41に実装される。プリント配線板41の導体部には、感知ブロック2の発光部22及び受光部23が電気的に接続される。また、プリント配線板41の導体部には、音出力部5及び電池B1が更に電気的に接続される。
【0032】
プリント配線板41は、感知ブロック2の下方、つまり感知ブロック2と本体10の底壁101との間に配置されている。感知ブロック2は、プリント配線板41の厚さ方向の一面(上面)上に搭載される。プリント配線板41には、平面視において円形状であって、厚さ方向(上下方向)に貫通する通孔42が設けられている。通孔42には、第1カバー11の第2ボス112の上端が挿入された状態で、上方からアンテナ43の一端を軸部に通した第2ねじS2が挿入され、締め付けられる。これにより、アンテナ43がプリント配線板41に電気的に接続された状態で固定されている。アンテナ43は、プリント配線板41に搭載された、他の機器(例えば、他の煙感知器等)との間で無線通信を行う通信モジュールの一部である。
【0033】
ここで、回路ブロック4は、複数の電子部品にて構成される制御回路を含んでいる。制御回路は、発光部22、受光部23、及び音出力部5等の制御を行う回路であって、少なくとも発光部22を駆動し、かつ受光部23の出力信号について信号処理を実行する。信号処理においては、回路ブロック4は、受光部23の受光量(出力信号の大きさ)を閾値と比較することにより、感知空間Sp1における煙の有無を判断する。受光部23での受光量は、例えば、感知空間Sp1の煙の濃度、及び煙の種類(白煙及び黒煙等)によって変化する。したがって、回路ブロック4は、閾値との比較により、一定以上の濃度の煙が感知空間Sp1に存在する場合に、「煙有り」と判断する。回路ブロック4は、一定以上の受光量を感知すると、音出力部5を駆動するための電気信号を音出力部5に出力する。
【0034】
音出力部5は、回路ブロック4からの電気信号を受けて音(音波)を出力する。音出力部5は、電気信号を音に変換するスピーカ又はブザー等により実現される。音出力部5は、平面視において円形状となる円盤状である。音出力部5は、煙感知器100の状態に応じて駆動される。具体的には、煙感知器100は、少なくとも一定以上の受光量を感知した場合に音出力部5から音を出力する。
【0035】
感知ブロック2は、感知ケース21と、発光部22と、受光部23と、を有している。感知ケース21は、平面視において円形状となる円盤状である。感知ケース21は、合成樹脂製の成形品であって、少なくとも遮光性を有している。感知ケース21の周壁211には、正面視において矩形状であって、周壁211の厚さ方向(径方向)に貫通する複数の窓孔212が感知ケース21の周方向にわたって設けられている。したがって、感知ケース21の外部から複数の窓孔212を通して、感知ケース21の内部空間(つまり、感知空間Sp1)に煙が流入可能となっている。また、感知ケース21は、発光部22及び受光部23を収容している。
【0036】
本実施形態では、感知ケース21の内部には、ラビリンス構造が設けられている。ラビリンス構造は、感知ケース21の内部において、感知ケース21の周方向にわたって感知空間Sp1を囲むように円環状に並ぶ複数の小片の集合体である。ラビリンス構造は、感知ケース21の外部から複数の小片の隙間を通して煙を感知空間Sp1に取り込むことが可能である。
【0037】
感知ブロック2は、感知ケース21内における感知空間Sp1に存在する煙を感知する。すなわち、感知ブロック2は、筐体1の内部空間、つまり本体10の底壁101、周壁102、及び第2カバー12で囲まれた空間に収容される。そして、筐体1の内部空間は、上述したように開口部103を通して筐体1の外部と繋がっているので、筐体1の内部空間には開口部103を通して煙が流入可能である。そして、感知ブロック2は、筐体1の内部空間(つまり、感知ケース21の外部9から複数の窓孔212及びラビリンス構造を通して、筐体1の内部空間に流入した煙を感知空間Sp1へ取り込む。これにより、感知ブロック2での煙の感知が可能となる。
【0038】
以上説明したように構成される本実施形態に係る煙感知器100は、例えば、自動火災報知システムの構成要素に含まれる。自動火災報知システムは、煙感知器100の他、例えば、煙感知器100からの発報信号(火災信号)を受信する受信機、及び人が火災を発見した場合に押ボタンを操作するための発信機等を備えている。自動火災報知システムにおいては、例えば、煙感知器100にて火災(による煙)の発生が検知されると、煙感知器100から受信機へ火災発生を通知する発報信号(火災信号)が送信される。
【0039】
ここで、煙感知器100は、抑制構造3を更に備えている。抑制構造3は、既に述べたように、少なくとも感知空間Sp1への特定の虫A1の侵入を抑制する機能を有する。本実施形態では、抑制構造3は、筐体1の内部空間に侵入した特定の虫A1の感知空間Sp1への侵入を抑制する構造である。具体的には、抑制構造3は、網目311の幅が0.25mm以下のメッシュを有する防虫網31である。
【0040】
防虫網31は、正面視において矩形状である。防虫網31は、感知ケース21の内部において、複数の窓孔212を覆うように周壁211に貼り付けられている。本実施形態では、複数(ここでは、2つ)の防虫網31により、全ての窓孔212が覆われている。防虫網31は、図3に示すように、多数の矩形状の網目311を有している。そして、各網目311の第1幅W1と、第2幅W2と、の両方が0.25mm以下である。なお、網目311が円形状である場合、その幅(直径)が0.25mm以下であればよい。また、防虫網31の全ての網目311が上記の寸法で構成されていなくてもよく、一部の網目311が上記の寸法よりも大きい寸法で構成されていてもよい。
【0041】
以下、本実施形態の防虫網31の利点について、比較例の防虫網との比較を交えて説明する。比較例の防虫網は、網目の第1幅及び第2幅の両方が0.25mmよりも大きい点で、本実施形態の防虫網31と相違する。一例として、比較例の防虫網は、網目の第1幅及び第2幅の両方が0.3mmである。比較例の防虫網は、体の最大幅が0.3mmよりも大きい虫(以下、「一般的な虫」ともいう)の通過を禁止することにより、一般的な虫が感知空間に侵入するのを防いでいる。ここで、特定の虫A1は、少なくとも頭部が網目を通ることが可能であれば、体全体が網目を通ることが可能な特性を有している。このため、仮に特定の虫A1の体の最大幅が、比較例の防虫網の網目の第1幅及び第2幅よりも大きくても、頭部が網目を通ることにより、特定の虫A1が比較例の防虫網を通過して感知空間Sp1へと侵入する可能性がある。つまり、比較例の防虫網では、一般的な虫の感知空間Sp1への侵入を抑制できても、特定の虫A1の感知空間Sp1への侵入を抑制しきれない、という問題がある。
【0042】
これに対して、本実施形態の防虫網31では、網目311の幅(第1幅W1及び第2幅W2)が0.25mm以下となっている。つまり、本実施形態の防虫網31の網目311は、特定の虫A1の頭部が通過できない程度の寸法となっている。このため、本実施形態では、特定の虫A1は、頭部が防虫網31の網目311を通りにくいため、体全体も防虫網31を通過しにくい。その結果、本実施形態の防虫網31は、比較例の防虫網と比較して、特定の虫A1の感知空間Sp1への侵入を抑制しやすい、という利点がある。
【0043】
(3)小括
上述のように、本実施形態では、煙感知器100は、感知空間Sp1への特定の虫A1の侵入を抑制する抑制構造3を備えている。このため、抑制構造3により、特定の虫A1が感知空間Sp1へ侵入する可能性を低減することができる。例えば、風に乗って運ばれたり、天井面200を這って移動したりすることで、筐体1の開口部103を通して特定の虫A1が筐体1の内部空間に移動してきた、と仮定する。この場合、特定の虫A1は、筐体1の底壁101を這って感知ブロック2(つまり、感知空間Sp1)へと向かう状況が起こり得るが、このような状況でも、抑制構造3(防虫網31)により特定の虫A1が感知空間Sp1へ侵入する可能性を低減することができる。
【0044】
したがって、本実施形態では、特定の虫A1が感知空間Sp1に存在する可能性を低減することができるので、発光部22からの光が特定の虫A1にて反射して散乱する可能性も低減することができる。つまり、本実施形態では、特定の虫A1に起因して散乱光が受光部23に到達する可能性を低減することができるので、特定の虫A1に起因して誤検知する可能性を低減しやすい、という利点がある。
【0045】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。また、以下に説明する変形例においては、煙感知器100は、防虫網31の代わりに比較例の防虫網を有していてもよい。さらには、以下に説明する変形例においては、煙感知器100は、防虫網31及び比較例の防虫網のいずれも有していなくてもよい。
【0046】
(4.1)変形例1
変形例1の煙感知器100は、図4及び図5に示すように、抑制構造3としての壁体32を備えている点で、上述の実施形態の煙感知器100と相違する。壁体32は、正面視において棒状であって、本体10の底壁101の上面から上方に向かって突出している。本変形例では、壁体32は、平面視において筐体1の周方向に沿うように湾曲している。壁体32の高さ(上下方向の寸法)は、一例として、底壁101を這っている状態の特定の虫A1の高さよりも高い。また、壁体32は、底壁101の上面において感知ブロック2と開口部103との間の領域に設けられている。つまり、抑制構造3は、壁体32を含んでいる。壁体32は、筐体1の内部における開口部103と感知空間Sp1との間の領域に設けられて、筐体1の底壁101から突出している。
【0047】
ここで、特定の虫A1が筐体1の内部空間に侵入し、筐体1の底壁101を這って感知ブロック2(つまり、感知空間Sp1)へと向かう状況が発生している、と仮定する。この状況において、本変形例では、開口部103と感知空間Sp1との間の領域に壁体32が設けられているため、特定の虫A1は、壁体32を乗り越えなければ感知空間Sp1へ到達することができない。このため、本変形例では、壁体32により特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を低減する効果が期待できる。
【0048】
ここで、図6に示すように、壁体32は、複数(ここでは、4つ)であってもよい。複数の壁体32は、開口部103から感知空間Sp1に向かう方向(筐体1の径方向)に並んでいる。この態様では、上記の状況において、特定の虫A1は、全ての壁体32を乗り越えなければ感知空間Sp1へ到達することができない。このため、この態様では、壁体32が1つである場合と比較して、特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を更に低減する効果が期待できる。
【0049】
(4.2)変形例2
変形例2の煙感知器100は、図7に示すように、壁体32が返し部321を有している点で、変形例1の煙感知器100と相違する。なお、図7、及び後述する図8図9は、本体10の底壁101の一部分(壁体32を含む部分)を拡大した断面図である。返し部321は、壁体32の先端(上端)が開口部103に向かって突出することにより構成されている。突出量は、一例として、壁体32の表面を這っている状態の特定の虫A1の高さ(図7における左右方向の寸法)よりも高い。
【0050】
本変形例では、特定の虫A1が壁体32を乗り越えようと壁体32の表面を這った場合でも、重力に逆らって返し部321を乗り越えなければ感知空間Sp1へと到達することができない。そして、特定の虫A1が返し部321の表面を這っている状態においては、特定の虫A1が返し部321から落下することが期待できる。したがって、この態様では、壁体32が返し部321を有していない場合と比較して、特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を更に低減する効果が期待できる。
【0051】
ここで、図8に示すように、返し部321は、底壁101から上端に向かうにつれて断面積が大きくなるように(つまり、広がるように)形成されていてもよい。この態様でも、壁体32が返し部321を有していない場合と比較して、特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を更に低減する効果が期待できる。
【0052】
なお、図8に示す例では、正面視において壁体32を挟んだ両側(図8における左右両側)にそれぞれ返し部321が設けられているが、この態様に限られない。例えば、返し部321は、上記両側のうち開口部103側(図8における壁体32の左側)のみに設けられていてもよい。
【0053】
(4.3)変形例3
変形例3の煙感知器100は、図9に示すように、壁体32の先端(上端)が上方に向かって尖った形状である点で、変形例1の煙感知器100と相違する。壁体32の先端は、正面視における2辺のなす角度θが鋭角となる形状である。また、壁体32の先端の上面は、特定の虫A1が這うことができない程度の面積である。
【0054】
本変形例では、特定の虫A1が壁体32を乗り越えようと壁体32の表面を這った場合でも、壁体32の先端にて姿勢が崩れて落下することが期待できる。したがって、この態様では、壁体32の先端が尖っていない場合と比較して、特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を更に低減する効果が期待できる。
【0055】
(4.4)変形例4
変形例4の煙感知器100は、図10に示すように、抑制構造3としての領域33(図10においてハッチングを施した領域)を備えている点で、上述の実施形態の煙感知器100と相違する。言い換えれば、抑制構造3は、領域33を含んでいる。領域33は、底壁101の上面において感知ブロック2と開口部103との間の領域、つまり筐体1の内部における開口部103と感知空間Sp1との間の領域である。領域33には、特定の虫A1が忌避する忌避剤が塗布されている、又は筐体1を構成する材料自体に練り込まれている。本開示でいう「忌避剤」は、特定の虫A1が嫌う成分を含む薬剤の他に、特定の虫A1を死に至らしめる成分を含む薬剤を含み得る。
【0056】
ここで、特定の虫A1が筐体1の内部空間に侵入し、筐体1の底壁101を這って感知ブロック2(つまり、感知空間Sp1)へと向かう状況が発生している、と仮定する。この状況において、本変形例では、忌避剤が塗布された領域33が存在するため、特定の虫A1が領域33に侵入しにくくなったり、侵入したとしても特定の虫A1が死にやすくなったりする。このため、本変形例では、領域33により特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を低減する効果が期待できる。なお、忌避剤は、防虫網31に塗布されていてもよいし、防虫網31を構成する材料自体に練り込まれていてもよい。
【0057】
ここで、図10に示すように、抑制構造3として、領域33の代わりに領域34を有していてもよい。領域34が占める領域は、領域33が占める領域と同じである。つまり、領域34は、筐体1の内部における開口部103と感知空間Sp1との間の領域である。そして、領域34には、特定の虫A1が粘着する粘着材が設けられている。この態様では、上記の状況において、特定の虫A1が領域34に侵入すると、特定の虫A1が粘着材により動かなくなる可能性を高めることができる。このため、この態様では、領域34により特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を低減する効果が期待できる。
【0058】
(4.5)変形例5
変形例5の煙感知器100は、図11に示すように、抑制構造3としての2つの突壁35を備えている点で、上述の実施形態の煙感知器100と相違する。突壁35は、本体10の周壁102において、開口部103の上端縁及び下端縁の各々から、筐体1の径方向に沿って筐体1の外部に向かって突出している。つまり、突壁35は、筐体1の外壁(周壁102)における開口部103の周縁から筐体1の外部に向かって突出している。また、各突壁35は、筐体1の周方向にわたって設けられている。つまり、各突壁35は、平面視において円環状である。各突壁35の突出量は、一例として、周壁102を這っている状態の特定の虫A1の高さ(筐体1の径方向の寸法)よりも高い。
【0059】
ここで、特定の虫A1が、風に乗って運ばれたり、天井面200を這って移動したりすることにより、筐体1の周壁102を這って開口部103へと向かう状況が発生している、と仮定する。この状況において、本変形例では、開口部103の周縁に突壁35が設けられているため、特定の虫A1は、突壁35を乗り越えなければ開口部103を通って筐体1の内部空間へと到達することができない。つまり、本変形例では、抑制構造3は、筐体1の内部への特定の虫A1の侵入を抑制することで感知空間Sp1への特定の虫A1の侵入を抑制する構造である。このため、本変形例では、突壁35により特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を低減する効果が期待できる。
【0060】
(4.6)その他の変形例
上述の実施形態において、筐体1は、帯電性を有する材料で形成されていてもよい。言い換えれば、抑制構造3は、帯電性を有する材料で形成された筐体1を含んでいてもよい。ここで、特定の虫A1が筐体1の周壁102を這って開口部103へと向かう状況が発生している、と仮定する。この状況において、この態様では、筐体1が帯電性を有する材料で形成されているため、筐体1と特定の虫A1との間でクーロン力(静電気力)が発生し、特定の虫A1が筐体1に張り付きやすくなる。その結果、この態様では、特定の虫A1が開口部103を通して筐体1の内部空間へと侵入しにくくなり、特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を低減する効果が期待できる。
【0061】
上述の変形例1~3において、抑制構造3は、複数の壁体32を組み合わせて構成された迷路構造であってもよい。この態様では、迷路構造に侵入した特定の虫A1が感知空間Sp1へと到達する可能性を低減する効果が期待できる。また、この態様では、例えば迷路構造の出口を感知ブロック2以外の場所に設定することで、特定の虫A1を感知空間Sp1とは異なる場所へと誘導することも可能である。
【0062】
上述の変形例1~3において、壁体32は、特定の虫A1が滑り落ちる程度に摩擦係数の小さい材料で形成されているのが好ましい。同様に、上述の変形例5において、突壁35は、特定の虫A1が滑り落ちる程度に摩擦係数の小さい材料で形成されているのが好ましい。これらの態様では、特定の虫A1が壁体32(又は突壁35)を乗り越えようとすると滑り落ちやすくなるため、壁体32(又は突壁35)を乗り越えにくくなる効果が期待できる。
【0063】
上述の実施形態において、防虫網31の網目311の幅は、小さければ小さい程、特定の虫A1の感知空間Sp1への侵入を抑制する効果が期待できる。しかしながら、防虫網31の網目311の幅を小さくすればする程、煙が網目311を通過しにくくなり、感知空間Sp1へ煙を取り込む機能が劣化するおそれがある。上記の点を考慮すると、防虫網31の網目311の幅は0.2mm程度であるのが好ましい。この態様では、感知空間Sp1へ煙を取り込む機能を劣化させずに、特定の虫A1の感知空間Sp1への侵入を抑制する機能を発揮しやすい、という利点がある。
【0064】
上述の実施形態において、発光部22は、発光ダイオードに限らず、例えば、有機EL(Electro-Luminescence)素子、又はレーザダイオード(LD:Laser Diode)等であってもよい。また、受光部23は、フォトダイオードに限らず、例えば、フォトトランジスタ等であってもよい。
【0065】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る煙感知器(100)は、筐体(1)と、光電式の感知ブロック(2)と、抑制構造(3)と、を備える。筐体(1)は、外部から煙が流入可能な開口部(103)を有する。感知ブロック(2)は、筐体(1)の内部において感知空間(Sp1)を有し、感知空間(Sp1)内の煙を検知する。抑制構造(3)は、少なくとも感知空間(Sp1)への特定の虫(A1)の侵入を抑制する。特定の虫(A1)は、自ら飛翔する能力に乏しいため、這って移動するか、又は風に乗って移動する。
【0066】
この態様によれば、誤検知する可能性を低減しやすい、という利点がある。
【0067】
第2の態様に係る煙感知器(100)では、第1の態様において、抑制構造(3)は、網目(311)の幅が0.25mm以下のメッシュを有する防虫網(31)を含む。
【0068】
この態様によれば、特定の虫(A1)の感知空間(Sp1)への移動を防虫網(31)により規制することで、特定の虫(A1)が感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0069】
第3の態様に係る煙感知器(100)では、第1又は第2の態様において、抑制構造(3)は、筐体(1)の内部における開口部(103)と感知空間(Sp1)との間の領域に設けられて、筐体(1)の底壁(101)から突出する壁体(32)を含む。
【0070】
この態様によれば、特定の虫(A1)の感知空間(Sp1)への移動を壁体(32)により規制することで、特定の虫(A1)が感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0071】
第4の態様に係る煙感知器(100)では、第3の態様において、壁体(32)は、複数である。複数の壁体(32)は、開口部(103)から感知空間(Sp1)に向かう方向に並ぶ。
【0072】
この態様によれば、特定の虫(A1)が複数の壁体(32)を乗り越えなければ感知空間(Sp1)へ到達できないため、特定の虫(A1)がより感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0073】
第5の態様に係る煙感知器(100)では、第3又は第4の態様において、壁体(32)は、先端が開口部(103)に向かって突出した返し部(321)を有する。
【0074】
この態様によれば、特定の虫(A1)が重力に逆らって返し部(321)を乗り越えなければ感知空間(Sp1)へ到達できないため、特定の虫(A1)がより感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0075】
第6の態様に係る煙感知器(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、抑制構造(3)は、筐体(1)の内部における開口部(103)と感知空間(Sp1)との間において特定の虫(A1)が忌避する忌避剤が塗布されている、又は筐体(1)を構成する材料自体に練り込まれている領域(33)を含む。
【0076】
この態様によれば、領域(33)に特定の虫(A1)が近づかなくなったり、領域(33)に侵入した特定の虫(A1)が死亡したりすることで、特定の虫(A1)が感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0077】
第7の態様に係る煙感知器(100)では、第1~第6のいずれかの態様において、抑制構造(3)は、筐体(1)の内部における開口部(103)と感知空間(Sp1)との間において特定の虫(A1)が粘着する粘着材が設けられた領域(34)を含む。
【0078】
この態様によれば、領域(34)に侵入した特定の虫(A1)の動きを封じることができるので、特定の虫(A1)が感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0079】
第8の態様に係る煙感知器(100)では、第1~第7のいずれかの態様において、抑制構造(3)は、帯電性を有する材料で形成された筐体(1)を含む。
【0080】
この態様によれば、クーロン力(静電気力)により特定の虫(A1)が筐体(1)に張り付くので、特定の虫(A1)が感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0081】
第9の態様に係る煙感知器(100)では、第1~第8のいずれかの態様において、抑制構造(3)は、筐体(1)の外壁(周壁(102))における開口部(103)の周縁から筐体(1)の外部に向かって突出する突壁(35)を含む。
【0082】
この態様によれば、特定の虫(A1)が突壁(35)を乗り越えなければ筐体(1)の内部へ到達できないため、特定の虫(A1)が感知空間(Sp1)に侵入しにくくなる、という利点がある。
【0083】
第2~第9の態様に係る構成については、煙感知器(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0084】
100 煙感知器
1 筐体
101 底壁
102 周壁(外壁)
103 開口部
2 感知ブロック
3 抑制構造
31 防虫網
311 網目
32 壁体
321 返し部
33,34 領域
35 突壁
A1 特定の虫
Sp1 感知空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11