(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/10 20200101AFI20240322BHJP
H05B 47/195 20200101ALI20240322BHJP
H05B 47/155 20200101ALN20240322BHJP
【FI】
H05B47/10
H05B47/195
H05B47/155
(21)【出願番号】P 2020106550
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】七井 識成
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利彦
(72)【発明者】
【氏名】溝上 陽介
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-006878(JP,A)
【文献】国際公開第2006/109730(WO,A1)
【文献】特開2008-260391(JP,A)
【文献】特開2012-094314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/10
H05B 47/195
H05B 47/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に関する温度情報を含む参照情報を取得する取得部と、
前記参照情報に基づいて、前記対象空間を照らす照明器具からの照明光の色温度の目標値を決定する決定部と、
前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整する制御部と、
を備え、
前記照明器具は、光源部と、光ファイバと、を含み、
前記光ファイバは、励起光によって励起され前記励起光よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部を有し、
前記波長変換要素は、Pr
3+
と、Tb
3+
と、を含み、
前記光源部は、
前記励起光を前記光ファイバに入射させる第1光源と、
前記励起光あるいは前記自然放射増幅光によって励起された前記波長変換要素から
互いに波長の異なる2種類の誘導放出光を発生させるための
互いに波長の異なる一の波長の2つのシード光を、前記光ファイバに入射させる
2つの第2光源と、
を有し、
前記制御部は、前記
2つのシード光と前記励起光との
うち少なくとも
1つの強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整
し、
前記照明光は、前記光ファイバから出射される混色光であり、かつインコヒーレント光である、
照明制御システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記参照情報の少なくとも一部を、前記対象空間を照らす機能とは異なる機能を有する参照装置から取得する、
請求項1の照明制御システム。
【請求項3】
前記参照装置は、前記対象空間又は前記対象空間に関連する空間に作用する所定の処理を実行する機能を有する、
請求項2の照明制御システム。
【請求項4】
前記温度情報は、前記対象空間の温度の情報である主温度情報を含む、
請求項1~3のいずれか一つの照明制御システム。
【請求項5】
前記温度情報は、前記対象空間の温度とは別の前記対象空間に関する温度の情報である補助温度情報を含む、
請求項1~4のいずれか一つの照明制御システム。
【請求項6】
前記補助温度情報は、前記対象空間の外部の温度の情報を含む、
請求項5の照明制御システム。
【請求項7】
前記参照装置は、前記対象空間の冷房と暖房との少なくとも一方を行う空調装置である、
請求項2又は3の照明制御システム。
【請求項8】
前記温度情報は、前記対象空間の温度の情報である主温度情報を含む、
請求項7の照明制御システム。
【請求項9】
前記温度情報は、前記対象空間の温度とは別の前記対象空間に関する温度の情報である補助温度情報を含む、
請求項8の照明制御システム。
【請求項10】
前記取得部は、前記参照装置とは別の操作装置から前記参照装置に送信される信号から、前記補助温度情報を取得する、
請求項9の照明制御システム。
【請求項11】
前記決定部は、所定情報に基づいて基準温度を決定し、前記基準温度と前記主温度情報とに基づいて前記目標値を決定し、
前記所定情報は、
前記温度情報に含まれる、前記対象空間の温度とは別の前記対象空間に関する温度の情報である補助温度情報と、
前記参照装置に含まれる、前記照明器具の周囲の温度を除く前記照明器具の周囲の環境に関する環境情報と、
の少なくとも一方を含む、
請求項8~10のいずれか一つの照明制御システム。
【請求項12】
前記決定部は、
前記対象空間の温度又は前記基準温度が高くなるほど前記目標値を大きくし、
前記対象空間の温度又は前記基準温度が低くなるほど前記目標値を小さくする、
請求項11の照明制御システム。
【請求項13】
前記決定部は、
前記基準温度に基づいて、前記照明器具の色温度の仮目標値を決定し、
前記対象空間の温度が前記基準温度を超える場合には前記目標値を前記仮目標値より大きい値に設定し、
前記対象空間の温度が前記基準温度を下回る場合には前記目標値を前記仮目標値より小さい値に設定する、
請求項12の照明制御システム。
【請求項14】
対象空間に関する温度情報を含む参照情報を取得する取得ステップと、
前記参照情報に基づいて、前記対象空間を照らす照明器具からの照明光の色温度の目標値を決定する決定ステップと、
前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整する制御ステップと、
を含み、
前記照明器具は、光源部と、光ファイバと、を含み、
前記光ファイバは、励起光によって励起され前記励起光よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部を有し、
前記波長変換要素は、Pr
3+
と、Tb
3+
と、を含み、
前記光源部は、
前記励起光を前記光ファイバに入射させる第1光源と、
前記励起光あるいは前記自然放射増幅光によって励起された前記波長変換要素から
互いに波長の異なる2種類の誘導放出光を発生させるための
互いに波長の異なる一の波長の2つのシード光を、前記光ファイバに入射させる
2つの第2光源と、
を有し、
前記制御ステップは、前記
2つのシード光と前記励起光との
うち少なくとも
1つの強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整
し、
前記照明光は、前記光ファイバから出射される混色光であり、かつインコヒーレント光である、
照明制御方法。
【請求項15】
1以上のプロセッサに、請求項14の照明制御方法を実行させるための、
プログラム。
【請求項16】
対象空間に関する温度情報を含む参照情報を取得する取得部と、
前記参照情報に基づいて、前記対象空間を照らす照明器具からの照明光の色温度の目標値を決定する決定部と、
前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整する制御部と、
を備え、
前記照明器具は、光源部と、光ファイバと、を含み、
前記光ファイバは、前記光ファイバに入射した光の少なくとも一部の波長を変換する波長変換要素を含む波長変換部を有し、
前記波長変換要素は、Pr
3+
と、Tb
3+
と、を含み、
前記光源部は、
第1光を前記光ファイバに入射させる第1光源と、
前記第1光と波長が異な
り、互いに異なる波長の2つの第2光を前記光ファイバに入射させる
2つの第2光源と、
を有し、
前記制御部は、前記第1光と前記
2つの第2光との
うち少なくとも
1つの強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整
し、
前記照明光は、前記光ファイバから出射される混色光であり、かつインコヒーレント光である、
照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、照明制御システム、照明制御方法、及び、プログラムに関する。本開示は、特に、対象空間を照らす照明制御システム、照明制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、照明制御装置(照明制御システム)を開示する。特許文献1の照明制御装置は、色温度の異なる複数の光源と、点灯装置と、情報収集装置と、制御部を備える。点灯装置は、各光源を点滅または調光する。情報収集装置は、周囲環境における自然光の色温度もしくは温度のうちの少なくともひとつを測定する。制御部は、情報収集装置による測定値に応動して前記各光源の光出力を調整するように前記点灯装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照明制御装置では、色温度の異なる複数の光源の光出力を調整するだけであるから、照明制御装置からの光(照明光)の品質が不十分であった。
【0005】
課題は、対象空間を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる、照明制御システム、照明制御方法、及び、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の照明制御システムは、取得部と、決定部と、制御部と、を備える。前記取得部は、対象空間に関する温度情報を含む参照情報を取得する。前記決定部は、前記参照情報に基づいて、前記対象空間を照らす照明器具からの照明光の色温度の目標値を決定する。前記制御部は、前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整する。前記照明器具は、光源部と、光ファイバと、を含む。前記光ファイバは、励起光によって励起され前記励起光よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部を有する。前記波長変換要素は、Pr
3+
と、Tb
3+
と、を含む。前記光源部は、前記励起光を前記光ファイバに入射させる第1光源と、前記励起光あるいは前記自然放射増幅光によって励起された前記波長変換要素から互いに波長の異なる2種類の誘導放出光を発生させるための互いに波長の異なる一の波長の2つのシード光を、前記光ファイバに入射させる2つの第2光源と、を有する。前記制御部は、前記2つのシード光と前記励起光とのうち少なくとも1つの強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整する。前記照明光は、前記光ファイバから出射される混色光であり、かつインコヒーレント光である。
【0007】
本開示の一態様の照明制御方法は、取得ステップと、決定ステップと、制御ステップと、を含む。前記取得ステップは、対象空間に関する温度情報を含む参照情報を取得するステップである。前記決定ステップは、前記参照情報に基づいて、前記対象空間を照らす照明器具からの照明光の色温度の目標値を決定するステップである。前記制御ステップは、前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整するステップである。前記照明器具は、光源部と、光ファイバと、を含む。前記光ファイバは、励起光によって励起され前記励起光よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部を有する。前記波長変換要素は、Pr
3+
と、Tb
3+
と、を含む。前記光源部は、前記励起光を前記光ファイバに入射させる第1光源と、前記励起光あるいは前記自然放射増幅光によって励起された前記波長変換要素から互いに波長の異なる2種類の誘導放出光を発生させるための互いに波長の異なる一の波長の2つのシード光を、前記光ファイバに入射させる2つの第2光源と、を有する。前記制御ステップは、前記2つのシード光と前記励起光とのうち少なくとも1つの強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整する。前記照明光は、前記光ファイバから出射される混色光であり、かつインコヒーレント光である。
【0008】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、前記照明制御方法を実行させるための、プログラムである。
【0009】
本開示の一態様の照明制御システムは、取得部と、決定部と、制御部と、を備える。前記取得部は、対象空間に関する温度情報を含む参照情報を取得する。前記決定部は、前記参照情報に基づいて、前記対象空間を照らす照明器具からの照明光の色温度の目標値を決定する。前記制御部は、前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整する。前記照明器具は、光源部と、光ファイバと、を含む。前記光ファイバは、前記光ファイバに入射した光の少なくとも一部の波長を変換する波長変換要素を含む波長変換部を有する。前記波長変換要素は、Pr
3+
と、Tb
3+
と、を含む。前記光源部は、第1光を前記光ファイバに入射させる第1光源と、前記第1光と波長が異なり、互いに異なる波長の2つの第2光を前記光ファイバに入射させる2つの第2光源と、を有する。前記制御部は、前記第1光と前記2つの第2光とのうち少なくとも1つの強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整する。前記照明光は、前記光ファイバから出射される混色光であり、かつインコヒーレント光である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の態様によれば、対象空間を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態の照明制御システムの説明図である。
【
図2】
図2は、上記照明制御システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、上記照明制御システムにおける光ファイバの断面図である。
【
図4】
図4は、上記照明制御システムの動作原理の説明図である。
【
図5】
図5は、上記照明制御システムの動作原理の説明図である。
【
図6】
図6は、上記照明制御システムの動作原理の説明図である。
【
図7】
図7は、上記照明制御システムの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、場合によって図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0013】
(1)実施形態
(1-1)概要
図1は、照明制御システム10が適用される施設100を示す。照明制御システム10は、施設100の対象空間110を照らすために用いられる。
【0014】
施設100は、本実施形態では、戸建て住宅である。対象空間110は、施設100内において照明を利用する空間であってよい。施設100が戸建て住宅である場合、対象空間110の例としては、リビング、キッチン、寝室、書斎、子供部屋が挙げられる。
【0015】
図2に示すように、照明制御システム10は、取得部31と、決定部32と、制御部33と、を備える。取得部31は、対象空間110に関する温度情報を含む参照情報を取得する。決定部32は、参照情報に基づいて、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度の目標値を決定する。制御部33は、照明光の色温度を、目標値を基準に調整する。照明器具20は、光源部23と、光ファイバ24と、を含む。光ファイバ24は、励起光P1(
図3参照)によって励起され励起光P1よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部24cを有する。光源部23は、第1光源231と、1以上の第2光源232(本実施形態では、2つの第2光源232a,232b)と、を有する。第1光源231は、励起光P1を光ファイバ24に入射させる。1以上の第2光源232は、励起光P1あるいは自然放射増幅光によって励起された波長変換要素から誘導放出光を発生させるためのシード光P2(
図3参照)を、光ファイバ24に入射させる。制御部33は、シード光P2と励起光P1との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度を調整する。
【0016】
この照明制御システム10では、対象空間110に関する温度情報を含む参照情報に基づいて決定した目標値を基準に、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度を調整する。照明光の色温度の調整にあたっては、制御部33は、シード光P2と励起光P1との少なくとも一方の強度の調整をする。そのため、照明光の色温度の調整の容易化が図れる。更に、光ファイバ24によって、光の波長変換が行われて、光源部23からの光(励起光P1、シード光P2)から、光L1が得られ、この光L1を照明光に利用できる。そのため、照明光は、混色光であり、かつインコヒーレント光である。これによって、照明光の品質の向上が図れる。このように、本実施形態では、対象空間110を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0017】
(1-2)詳細
以下、本実施形態の照明制御システム10について、図面を参照して更に詳細に説明する。照明制御システム10は、
図1に示すように、施設100の対象空間110を照らすために用いられる。
【0018】
照明制御システム10は、
図2に示すように、照明器具20と、制御装置30と、を備える。
【0019】
(1-2-1)照明器具
照明器具20は、光源ユニット21と、光照射部22と、を備える。
【0020】
光源ユニット21は、
図3に示すように、励起光P1と、シード光P2と、を入射させる。励起光P1は、光ファイバ24に添加される波長変換要素(元素)を励起するための光である。シード光P2は、励起光P1によって励起された波長変換要素から誘導放出光P3(
図6参照)を発生させるための光である。光ファイバ24からは、励起光P1と誘導放出光P3とを含む光L1が出射される。
図4~
図6は、発光システム1の動作原理の説明図である。
図4、
図5及び
図6の縦軸は、電子エネルギである。また、
図4の上向きの矢印は、励起光P1の吸収を示している。また、
図6の下向きの矢印は、自然放出光あるいは誘導放出光P3に関する遷移を示している。光源ユニット21では、光ファイバ24に入射した励起光P1によって、波長変換要素の基底準位E0(複数のエネルギ準位を含む)にあった電子e
-が励起準位E2に励起される。そして、励起準位E2の電子e
-が励起準位E2よりもエネルギの低い準安定準位E1に遷移する。シード光P2(P22)は、例えば準安定準位E1と基底準位E0の複数のエネルギ準位のうち上位のエネルギ準位とのエネルギ差に相当する波長を有する。このシード光P2(P22)によって準安定準位E1の電子e
-が基底準位E0の複数のエネルギ準位のうち上位のエネルギ準位に遷移するときに誘導放出光P3(P32)が発生する。シード光P2(P21)は、準安定準位E1と準安定準位E1よりも低い別のエネルギ準位とのエネルギ差に相当する波長を有する。このシード光P2(P21)によって準安定準位E1の電子e
-が当該別のエネルギ準位に遷移するときにも、誘導放出光P3(P31)が発生する。
【0021】
光源ユニット21は、光源部23と、光ファイバ24と、を備える。光源部23は、第1光源231と、第2光源232と、を備える。第1光源231は、第1光(励起光)P1を光ファイバ24に入射させる。第2光源232は、第1光P1と波長が異なる第2光(シード光)P2を光ファイバ24に入射させる。詳しくは、第2光源232は、励起光P1によって励起された波長変換要素から、誘導放出光P3を発生させるためのシード光P2(以下、外部シード光P2ともいう)を、光ファイバ24に入射させる。
【0022】
光ファイバ2は、
図3に示すように、コア241と、クラッド242と、被覆部243と、を有する。クラッド242は、コア241の外周面を覆っている。被覆部243は、クラッド242の外周面を覆っている。コア241に関し、光軸方向に直交する断面形状は、円形状である。クラッド242は、コア241と同軸状に配置されている。
【0023】
コア241は、第1端面と、コア241の長さ方向において第1端面とは反対側の第2端面と、を有する。コア241は、透光性材料と、波長変換要素(元素)と、を含む。コア241における波長変換要素の濃度は、コア241の全長に亘って略均一であってもよいし、均一でなくてもよい。コア241の屈折率は、コア241の主成分である上述の透光性材料の屈折率と略同じである。
【0024】
透光性材料は、例えば、フッ化物、酸化物、又は窒化物のいずれかである。フッ化物は、例えば、フッ化物ガラスである。酸化物は、例えば、酸化ケイ素、石英等である。
【0025】
波長変換要素は、希土類元素である。ここにおいて、波長変換要素は、例えば、Pr、Tb、Ho、Dy、Er、Eu、Nd及びMnの群から選択される元素を含む。波長変換要素は、希土類元素のイオンとしてコア241に含有されており、例えば、Prのイオン(Pr3+)、Tbのイオン(Tb3+)として含有されている。ここにおいて、波長変換要素は、励起光P1によって励起されるか、あるいは自身とは別の波長変換要素から発せられた自然放出光を内部シード光として増幅された光、すなわち自然放射増幅光(ASE)によって励起されてもよい。このような励起を介して、波長変換要素は、波長変換要素の元素特有のASEを放出し、併せて外部シード光P2の波長と同じ波長の誘導放出光を発生し、これらを合わせて誘導放出光P3として放出する。ASE及び外部シード光P2の波長は、励起光P1の波長(例えば、440~450nm)よりも長波長である。シード光P2の波長については、後述する。
【0026】
Pr3+はシアン~赤色の範囲でASEあるいはシード光の増幅光を放出できる波長変換要素である。誘導放出光の強度は、内部シード光(自然放出光)及び外部シード光の強さに依存する。コア241がPr3+とTb3+を含有している場合、Tb3+は、Pr3+からのASEを吸収して励起され、Tb3+特有の波長のASEを発生することもできる。
【0027】
クラッド242の屈折率は、コア241の屈折率よりも小さい。クラッド242は、コア241の含有している波長変換要素を含まない。
【0028】
被覆部243は、クラッド242の外周面を覆っている。被覆部243の材料は、例えば、樹脂である。
【0029】
光ファイバ24は、入射部24aと、出射部24bと、波長変換部24cと、を有する。
【0030】
入射部24aは、励起光P1が入射する部分であり、例えば、コア241の第1端面を含む。出射部24bは、励起光P1と、ASEを含む誘導放出光P3と、を含む光L1が出射するコア241の第2端面を含む。
【0031】
入射部24aは、光ファイバ24の外部から入射部24aに入射する励起光P1の反射を低減する反射低減部を含んでいてもよい。反射低減部は、例えば、コア241の第1端面を覆うアンチリフレクションコートであってもよい。波長700nm以上の深赤外域の光に対しては無反射コートがあることが望ましい。
【0032】
波長変換部24cは、入射部24aと出射部24bとの間に設けられている。波長変換部24cは、励起光P1によって励起され励起光P1よりも長波長の光を放射する波長変換要素を含む。波長変換要素は、励起光P1を吸収して励起光P1よりも長波長の自然放出光又はシード光を誘導放出によって増幅することができる元素である。つまり、波長変換部24cは、光ファイバ24に入射した光の少なくとも一部の波長を変換する波長変換要素を含む。
【0033】
コア241の直径は、例えば、25μm~500μmである。光ファイバ24の長さは、例えば、3m~10mである。波長変換部24cの長さについては、波長変換部24cにおける波長変換要素の濃度が低いほど長いほうが好ましい。光ファイバ24の開口数は、例えば、0.22である。波長変換部24cにおける波長変換要素の濃度は、コア241における波長変換要素の濃度である。
【0034】
第1光源231は、光ファイバ24の波長変換部24cに含まれる波長変換要素を励起するための励起光P1を出射する。第1光源231から出射された励起光P1は、光ファイバ24の入射部24aへ入射される。波長変換要素をより効率的に励起する観点から、励起光P1の波長は、350nm以上500nm以下であるのが好ましい。
【0035】
第1光源231は、例えば、レーザ光源を含む。レーザ光源は、レーザ光を出射する。第1光源231から出射された励起光P1(レーザ光源から出射したレーザ光)は、入射部24aへ入射される。レーザ光源は、例えば、青色のレーザ光を出射する半導体レーザである。この場合、励起光P1は、例えば、440~450nmである。第1光源231は、レーザ光源を駆動する駆動回路を含み、励起光P1の強度を調整可能である。
【0036】
第2光源232は、シード光P2を出射する。第2光源232から出射されたシード光P2は、光ファイバ2の入射部24aへ入射される。第2光源232は、例えば、レーザ光源を含む。レーザ光源は、レーザ光を出射する。第2光源232から出射されたシードP2(レーザ光源から出射したレーザ光)は、入射部24aへ入射される。第2光源232は、レーザ光源を駆動する駆動回路を含み、シード光P2の強度を調整可能である。
【0037】
光源部23は、複数(例えば、2つ)の第2光源232を備える。2つの第2光源232は、例えば、互いに波長の異なる一の波長のシード光P2を出射する。以下では、説明の便宜上、2つの第2光源232のうち1つの第2光源232を第2光源232aと称し、残りの1つの第2光源232を第2光源232bと称することもある。第2光源232aでは、レーザ光源は、例えば、緑色の光を出射する半導体レーザである。また、第2光源232bでは、レーザ光源は、例えば、赤色の光を出射する半導体レーザである。波長変換部24cの波長変換要素がPr3+を含む場合、緑色のシード光P21の波長は、例えば約520nmであり、赤色のシード光P22の波長は、例えば約640nmであるのが好ましい。各第2光源232は、準単色光を放射する光源である。ここにおいて、準単色光とは、狭い波長範囲(例えば、10nm)に含まれる光である。発光システム1における第2光源232の数は、2つに限らず、3つ以上でもよいし、1つでもよい。発光システム1は、第2光源232を3つ備える場合、3つの第2光源232として、緑色の光を出射する半導体レーザと、赤色の光を出射する半導体レーザと、オレンジ色の光を出射する半導体レーザと、を備えていてもよい。オレンジ色のシード光の波長は、例えば約600nmであるのが好ましい。
【0038】
第2光源232aから出射した光は、シード光P2(P21)として、光ファイバ24の入射部24aに入射される。また、第2光源232bから出射した光は、シード光P2(P22)として、光ファイバ24の入射部24aに入射される。
【0039】
以上述べた光源ユニット21では、第1光源231から励起光P1を出射させ、かつ、第2光源232からシード光P2を出射させる。これにより、励起光P1及びシード光P2を光ファイバ24の入射部24aに入射させる。入射部24aに入射した励起光P1の一部は、出射部24bから出射される。光ファイバ24の出射部24bから出射される光L1は、励起光P1と、波長変換要素から発生する波長約480nmのASE、及びシード光P2の波長と同じ波長の誘導放出光P3と、の混色光である。複数のシード光P21,P22に一対一に対応し互いに波長の異なる2種類の誘導放出光P3は、例えば、緑色光と、赤色光と、である。この場合、混色光は、例えば、白色光である。なお、
図6において下側の誘導放出光P31が、緑色光であり、上側の誘導放出光P32が赤色光である。
【0040】
光ファイバ24では、自然放出光とシード光P2により誘導放出が生じるので、入射部24aに入射した励起光P1と、誘導放出により増幅された誘導放出光P3とが出射部24bから出射する。光ファイバ24の出射部24bから出射される光のうちシード光P21の波長と同じ波長の誘導放出光P3の強度は、第2光源232aから入射部24aに入射させるシード光P21の強度よりも大きい。また、光ファイバ24の出射部24bから出射される光のうちシード光P22の波長と同じ波長の誘導放出光P3の強度は、第2光源232bから入射部24aに入射させるシード光P22の強度よりも大きい。光ファイバ24の出射部24bから出射される混色光(光L1)は、インコヒーレント光である。光源ユニット21では、光ファイバ24の入射部24aから出射部24bに近づくにつれて誘導放出光P3が増加、又は減少する。光源ユニット21では、ASEの波長とシード光P2の波長とに応じて、照明器具20から出射される光(照明光)の色度、色温度、演色性等が決まる。なお、光源ユニット21の動作は、レーザ発振するファイバレーザの動作とは異なる。
【0041】
光源ユニット21では、発熱源となる波長変換要素が光ファイバ24のコア241に分散されているので、使用時の温度上昇を抑制できる。
【0042】
光照射部22は、光ファイバ24からの光L1によって、対象空間110を照らすために用いられる。光照射部22は、光ファイバ24からの光L1を、照射光として対象空間110に供給するための光学系を含む。光学系は、1以上の光学部材を含む。光学部材の例としては、反射板及びレンズが挙げられる。光照射部22自体は光源を有しておらず、光源ユニット21からの光L1を、対象空間110に向けて照射する機能を有している。本実施形態では、光照射部22は、光学系を収容し、対象空間110の天井に設置される筐体を更に備える。筐体は、従来周知のシーリングライトの筐体と同様の構造を有し得る。
【0043】
(1-2-2)制御装置
制御装置30は、照明器具20の制御を行う。制御装置30は、コンピュータシステムにより実現され得る。コンピュータシステムは、例えば、1以上の入出力インタフェース、1以上のメモリ、及び1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)を含む。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、制御装置30として機能する。プログラムは、ここでは制御装置30のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。なお、入出力インタフェースは、制御装置30への情報の入力、及び、制御装置30からの情報の出力のためのインタフェースであり、通信インタフェースや、ヒューマンインタフェースを含む。
【0044】
制御装置30は、取得部31と、決定部32と、制御部33とを備える。
図2において、取得部31と、決定部32と、制御部33とは実体のある構成を示しているわけではなく、制御装置30によって実現される機能を示している。
【0045】
取得部31は、参照情報を取得する。参照情報は、温度情報と、環境情報と、を含む。温度情報は、対象空間110に関する温度の情報である。温度情報は、主温度情報と、補助温度情報とを含む。主温度情報は、対象空間110の温度の情報である。補助温度情報は、対象空間110の温度とは別の、対象空間110に関する温度の情報である。つまり、補助温度情報は、対象空間110に関する温度の情報であるが、対象空間110の温度そのものの情報ではない。補助温度情報の例としては、対象空間110の外部120の温度の情報がある。外部120が施設100の外であれば、対象空間110の外部120の温度は、外気温である。補助温度情報の別の例としては、空調装置の設定温度(目標温度)の情報である。環境情報は、照明器具20の周囲の温度を除く照明器具20の周囲の環境に関する情報である。換言すれば、環境情報は、対象空間110に関する温度を除く対象空間110の周囲の環境に関する情報である。環境情報の例としては、照明器具20(対象空間110)の周囲の気圧、位置、季節、日付、時刻が挙げられる。照明器具20(対象空間110)の周囲の日付及び時刻は、照明器具20(対象空間110)が属するタイムゾーンにおける日付及び時刻を想定している。
【0046】
取得部31は、参照情報の少なくとも一部を、参照装置40から取得する。参照装置40は、施設100に設置されている装置である。参照装置40は、対象空間110を照らす機能とは異なる機能を有する。つまり、参照装置40は、照明装置以外の装置を想定している。特に、参照装置40は、対象空間110又は対象空間110に関連する空間に作用する所定の処理を実行する機能を有する。対象空間110に関連する空間は、対象空間110との間に何らかの物理的な関連性(例えば、温度的な関連性)がある空間を想定している。対象空間110に関連する空間は、例えば、対象空間110を含む施設100の外部の空間や、対象空間110の隣の空間が挙げられる。対象空間110を含む施設100の外部の空間の温度は、例えば、外気温であり、施設100の外気温は、対象空間110の内部の温度に関連し得る。対象空間110の隣の空間は、例えば、対象空間110が子供部屋であれば、寝室であり、隣り合うこのような部屋の温度は、相互に関連し得る。本実施形態では、所定の処理は、冷房と暖房との少なくとも一方である。つまり、参照装置40は、対象空間110の冷房と暖房との少なくとも一方を行う空調装置である。参照装置40は、冷房と暖房との少なくとも一方を実行するにあたっては、設定温度(目標温度)を基準に対象空間110の温度を調整する。具体的には、参照装置40は、対象空間110の温度が設定温度(目標温度)に一致するように、冷房と暖房との少なくとも一方を実行する。参照装置40は、季節による冷房運転と暖房運転の切り替える機能、及び、冷房運転と暖房運転の入/切りの予約機能を有する。そのため、参照装置40は、対象空間110の周囲の季節の情報、及び、対象空間110の周囲の時刻の情報(環境情報)を有している。このように、本実施形態では、参照装置40は、主温度情報、補助温度情報、及び、環境情報を有している。
【0047】
取得部31は、参照装置40の保有する対象空間110の温度の情報(主温度情報)を、参照情報の一部として、取得する。取得部31は、入出力インタフェースによって、参照装置40と通信し、参照装置40から、主温度情報を取得することができる。
【0048】
取得部31は、参照装置40の保有する設定温度の情報(補助温度情報)を、参照情報の一部として、取得する。取得部31は、入出力インタフェースによって、参照装置40と通信し、参照装置40から、補助温度情報を取得することができる。本実施形態では、
図1に示すように、参照装置40は、操作装置50によって、制御可能である。操作装置50は、いわゆるリモートコントローラである。操作装置50は、無線信号によって、参照装置40に、設定温度の情報(補助温度情報)を与えることができる。この場合、取得部31は、参照装置40とは別の操作装置50から参照装置40に送信される信号から、補助温度情報を取得することができる。例えば、操作装置50が赤外線通信によって、補助温度情報を赤外線信号に含めて参照装置40に送る場合、取得部31は、当該赤外線信号を受信することで、補助温度情報を得ることが可能となる。
【0049】
取得部31は、参照装置40の保有する対象空間110の周囲の季節及び時刻の情報(環境情報)を、参照情報の一部として、取得する。取得部31は、入出力インタフェースによって、参照装置40と通信し、参照装置40から、環境情報を取得することができる。
【0050】
決定部32は、参照情報に基づいて、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度の目標値を決定する。特に、決定部32は、所定情報に基づいて基準温度を決定する。所定情報は、補助温度情報と、環境情報との少なくとも一方を含んでよい。本実施形態では、所定情報は、補助温度情報を含む。補助温度情報は、参照装置40の設定温度の情報を含み、決定部32は、参照装置40の設定温度から、基準温度を決定する。基準温度は、対象空間110の温度との比較に用いられる。本実施形態では、決定部32は、参照装置40の設定温度を基準温度として利用する。
【0051】
決定部32は、基準温度と主温度情報とに基づいて目標値を決定する。決定部32は、対象空間110の温度又は基準温度が高くなるほど目標値を大きくし、対象空間110の温度又は基準温度が低くなるほど目標値を小さくする。つまり、決定部32は、対象空間110の温度又は基準温度が高くなるほど目標値を大きくして、照明光の色を寒色系の色に調整する。これによって、対象空間110にいる人に、涼感を与えることができる。一方、決定部32は、対象空間110の温度又は基準温度が低くなるほど目標値を小さくして、照明光の色を暖色系の色に調整する。これによって、対象空間110にいる人に、暖感を与えることができる。
【0052】
本実施形態では、決定部32は、基準温度に基づいて、照明器具20の色温度の仮目標値を決定する。決定部32は、基準温度が高くなるほど仮目標値を大きくし、基準温度が低くなるほど仮目標値を小さくする。本実施形態では、決定部32は、基準温度が25℃以上であれば、仮目標値を5800Kに設定する。決定部32は、基準温度が20℃以上25℃未満であれば、仮目標値を5000Kに設定する。決定部32は、基準温度が15℃以上20℃未満であれば、仮目標値を4700Kに設定する。決定部32は、基準温度が10℃以上15℃未満であれば、仮目標値を4000Kに設定する。決定部32は、基準温度が10℃未満であれば、仮目標値を3500Kに設定する。
【0053】
決定部32は、対象空間110の温度が基準温度を超える場合には目標値を仮目標値より大きい値に設定し、対象空間110の温度が基準温度を下回る場合には目標値を仮目標値より小さい値と設定する。具体的には、決定部32は、対象空間110の温度と基準温度との差に基づいて、目標値の補正値(第1補正値)を決定する。対象空間110の温度が基準温度を一定値以上超える場合には補正値は正であり、対象空間110の温度と基準温度との差が大きくなるほど補正値の絶対値が大きくなる。対象空間110の温度が基準温度を一定値以上下回る場合には補正値は負であり、対象空間110の温度と基準温度との差が大きくなるほど補正値の絶対値が大きくなる。本実施形態では、決定部32は、差が-2℃以上+2℃未満であれば、補正値を0Kに設定する。決定部32は、差が+2℃以上+4℃未満であれば、補正値を+200Kに設定する。決定部32は、差が+4℃以上であれば、補正値を+400Kに設定する。決定部32は、差が-4℃以上-2℃未満であれば、補正を-200Kに設定する。決定部32は、差が-4℃未満であれば、補正値を-400Kに設定する。
【0054】
決定部32は、環境情報に基づいて、照明器具20の色温度の目標値の補正をする。決定部32は、環境情報から得られる一日の時間帯に基づいて、目標値の補正値(第2補正値)を決定する。本実施形態では、決定部32は、季節の情報と時刻の情報とから、現時刻が属する一日の時間帯を決定する。一日の時間帯は、例えば、薄暮・黎明、夜間、及び昼間である。決定部32は、一日の時間帯が薄暮・黎明である場合、補正値を-700Kに設定する。決定部32は、一日の時間帯が夜間である場合、補正値を-200Kに設定する。決定部32は、一日の時間帯が昼間である場合、補正値を0Kに設定する。
【0055】
決定部32は、環境情報から得られる季節に基づいて、目標値の補正値(第3補正値)を決定する。季節は、例えば、夏季、冬季、春季・秋季である。決定部32は、季節が夏季である場合、補正値を+400Kに設定する。決定部32は、季節が冬季である場合、補正値を-400Kに設定する。決定部32は、季節が春季・秋季である場合、補正値を0Kに設定する。
【0056】
決定部32は、仮目標値から目標値を求める際には、全ての補正値(第1~第3補正値)を仮目標値に加算する。つまり、本実施形態では、目標値は、仮目標値に全ての補正値(第1~第3補正値)を加算して得られる値である。一例として、設定温度が28℃、対象空間110の温度が30℃、一日の時間帯が昼間、季節が夏季であるとする。この場合、基準温度は28℃となり、仮目標値は、5800Kである。基準温度と対象空間110の温度との差が2℃であるから、第1補正値は、+200Kである。一日の時間帯が昼間であるから、第2補正値が0Kである。季節が夏季であるから、第3補正値が+400Kである。したがって、目標値は、5800K+200K+0K+400K=6400Kとなる。別例として、設定温度が22℃、対象空間110の温度が14℃、一日の時間帯が夜間、季節が冬季であるとする。この場合、基準温度は22℃となり、仮目標値は、5000Kである。基準温度と対象空間110の温度との差が-8℃であるから、第1補正値は、-400Kである。一日の時間帯が夜間であるから、第2補正値が-200Kである。季節が冬季であるから、第3補正値が-400Kである。したがって、目標値は、5000K-400K-200K-400K=4000Kとなる。
【0057】
制御部33は、照明光の色温度を、目標値を基準に調整する。照明光の色温度を、目標値を基準に調整するとは、照明光の色温度の調整を、目標値を基準にして行うことをいう。本実施形態では、制御部33は、照明光の色温度が目標値に近付くように、照明光の色温度の調整を実行する。一例として、制御部33は、照明光の色温度が目標値を含む規定範囲に入るように、照明光の色温度の調整を実行する。規定範囲は特に限定されないが、例えば100Kの幅の範囲であってよい。もちろん、制御部33は、照明光の色温度が目標値に近付くように(好ましくは一致するように)、照明光の色温度の調整を実行してよい。上述したように、照明器具20の光源ユニット21では、シード光P2,P21,P22と励起光P1との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度の調整が可能である。よって、制御部33は、シード光P2,P21,P22と励起光P1との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度を調整する。具体的には、制御部33は、入出力インタフェースを介して、光源部23の第1光源231及び第2光源232の駆動回路(第1及び第2駆動回路)に制御信号を与えて、第1光源231及び第2光源232のレーザ光源の出力を調整する。
【0058】
(1-3)動作
次に、照明制御システム10の動作について
図7のフローチャートを参照して説明する。照明制御システム10では、取得部31が、参照装置40から、参照情報を取得する(S11)。決定部32は、参照情報に基づいて、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度の目標値を決定する(S12)。特に、決定部32は、参照情報に含まれる補助温度情報から、基準温度を決定する(S121)。決定部32は、基準温度から、照明光の色温度の仮目標値を決定する(S122)。決定部32は、参照情報に含まれる主温度情報及び環境情報を用いて、仮目標値の補正をし、これによって、目標値を決定する(S123)。制御部33は、シード光P2(P21,P22)と励起光P1との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度を調整する(S13)。
【0059】
(1-4)まとめ
以上述べたように、照明制御システム10は、取得部31と、決定部32と、制御部33と、を備える。取得部31は、対象空間110に関する温度情報を含む参照情報を取得する。決定部32は、参照情報に基づいて、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度の目標値を決定する。制御部33は、照明光の色温度を、目標値を基準に調整する。照明器具20は、光源部23と、光ファイバ24と、を含む。光ファイバ24は、励起光P1によって励起され励起光P1よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部24cを有する。光源部23は、第1光源231と、1以上の第2光源232(232a,232b)と、を有する。第1光源231は、励起光P1を光ファイバ24に入射させる。1以上の第2光源232(232a,232b)は、励起光P1あるいは自然放射増幅光によって励起された波長変換要素から誘導放出光を発生させるためのシード光P2(P21,P22)を、光ファイバ24に入射させる。制御部33は、シード光P2(P21,P22)と励起光P1との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度を調整する。この照明制御システム10によれば、対象空間110を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0060】
換言すれば、照明制御システム10は、
図7に示すような照明制御方法を実行しているといえる。照明制御方法は、取得ステップS11と、決定ステップS12と、制御ステップS13と、を備える。取得ステップS11は、対象空間110に関する温度情報を含む参照情報を取得するステップである。決定ステップS12は、参照情報に基づいて、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度の目標値を決定するステップである。制御ステップS13は、照明光の色温度を、目標値を基準に調整するステップである。照明器具20は、光源部23と、光ファイバ24と、を含む。光ファイバ24は、励起光P1によって励起され励起光P1よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部24cを有する。光源部23は、第1光源231と、1以上の第2光源232(232a,232b)と、を有する。第1光源231は、励起光P1を光ファイバ24に入射させる。1以上の第2光源232(232a,232b)は、励起光P1あるいは自然放射増幅光によって励起された波長変換要素から誘導放出光を発生させるためのシード光P2(P21,P22)を、光ファイバ24に入射させる。制御ステップS13は、シード光P2(P21,P22)と励起光P1との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度を調整する。この照明制御方法によれば、照明制御システム10と同様に、対象空間110を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0061】
照明制御システム10は、コンピュータシステムを利用して実現されている。つまり、照明制御システム10が実行する方法(照明制御方法)は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、1以上のプロセッサに、照明制御方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。このプログラムによれば、照明制御システム10と同様に、対象空間110を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0062】
別の観点からすれば、照明制御システム10は、以下の構成を有する。つまり、照明制御システム10は、取得部31と、決定部32と、制御部33と、を備える。取得部31は、対象空間110に関する温度情報を含む参照情報を取得する。決定部32は、参照情報に基づいて、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度の目標値を決定する。制御部33は、照明光の色温度を、目標値を基準に調整する。照明器具20は、光源部23と、光ファイバ24と、を含む。光ファイバ24は、光ファイバ24に入射した光の少なくとも一部の波長を変換する波長変換要素を含む波長変換部24cを有する。光源部23は、第1光P1を光ファイバ24に入射させる第1光源231と、第1光P1と波長が異なる第2光P2(P21,P22)を光ファイバ24に入射させる1以上の第2光源232(232a,232b)と、を有する。制御部33は、第1光P1と第2光P2(P21,P22)との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度を調整する。この照明制御システム10によれば、対象空間110を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0063】
別の観点からすれば、照明制御システム10は、取得部31と、決定部32と、制御部33と、を備える。取得部31は、対象空間110に関する温度情報を含む参照情報を取得する。決定部32は、参照情報に基づいて、対象空間110を照らす照明器具20からの照明光の色温度の目標値を決定する。取得部31は、参照情報を、対象空間110を照らす機能とは異なる機能を有する参照装置40から取得する。この照明制御システム10では、既設の参照装置40から、色温度の目標値の決定に用いる参照情報を、取得することができる。そのため、対象空間110に、照明制御システム10での照明光の色温度の目標値の決定のため温度センサ等の各種センサの設置や準備が不要になる。このように、照明制御システム10によれば、照明器具20の照明光の色温度の調整のためだけに参照情報を収集する装置を参照装置40として新たに設ける必要がないから、照明制御システム10の実施コストの低減が図れる。
【0064】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0065】
上記実施形態では、施設100が戸建て住宅である場合について説明した。しかしながら、施設100は、戸建て住宅に限定されない。施設100は、集合住宅であってもよいし、住宅以外の建物であってもよいし、住宅と非住宅(例えば商業施設)との複合施設であってもよい。施設100は、1以上の建物だけではなく、建物とその建物が存在する敷地とを含んでいてもよい。施設100の例としては、空港、駅や港等の交通機関の施設、工業施設(工場、倉庫等)、商業施設(ショッピングモール等)、宿泊施設(リゾートホテル等)、アミューズメント施設、MICE施設、統合型リゾート(Integrated Resort)施設が挙げられる。アミューズメント施設は、テーマパーク、遊園地、運動施設(競技場、水泳場、スケートリンク等)、コンサートホール、劇場、映画館、美術館を含み得る。統合型リゾートは、カジノのほかホテルや劇場、国際会議場や展示会場などのMICE施設、ショッピングモール等が集まった複合的な施設である。
【0066】
照明制御システム10は、施設100ではなく、移動体に適用することもできる。この場合、対象空間110は、移動体100の内部の空間であってよい。例えば、移動体100が自動車である場合、対象空間110は、車室である。移動体の例としては、自動車、自転車、電車、飛行機、船舶等の乗り物が挙げられる。
【0067】
照明制御システム10において、照明器具20の数、及び、制御装置30の数は特に限定されない。また、照明器具20と制御装置30とは一対一に対応付けられていなくてよく、複数の照明器具20を単一の制御装置30が制御してよい。
【0068】
一変形例では、照明器具20は、光ファイバ24からの光L1を光照射部22に導く導光体を更に有していてよい。これによって、光源ユニット21を光照射部22から離れた位置に配置しやすくなる。照明器具20は、励起光P1及びシード光P2を光ファイバ24の入射部24aへ入射するための光結合部を更に備えていてもよい。光結合部は、グレーティングであってよいが、これに限らない。グレーティングは、透過型の回折格子である。グレーティングの材料は、例えば、石英であってよいが、これに限らない。照明器具20は、必ずしも、光ファイバ24が波長変換部24cを備える必要はなく、光ファイバ24を備える必要はない。
【0069】
一変形例では、取得部31は、複数の参照装置40から、参照情報を取得してよい。この場合に、取得部31は、複数の参照装置40から同じ参照情報を取得することで、参照情報の正確さの向上が図れる。一例として、取得部31は、環境情報として、時刻の情報を、複数の参照装置40から取得することで、時刻の正確さの向上が期待できる。一方、取得部31は、複数の参照装置40からの情報を総合して参照情報としてよい。例えば、参照情報が、主温度情報と、補助温度情報と、環境情報とを含む場合、取得部31は、3つの参照装置40から、主温度情報と、補助温度情報と、環境情報とをそれぞれ取得し得る。一例として、取得部31は、環境情報を、電話機(スマートフォン等)、放送受信機(テレビ等)、時計装置、スマートスピーカ、ウェアラブル端末、操作装置50から取得してよい。
【0070】
上記実施形態では、取得部31は、参照装置40とは別の操作装置50から参照装置40に送信される信号から、補助温度情報を取得する。ここで、操作装置50と参照装置40との間の通信は、有線通信、無線通信のいずれであってもよく、取得部31は、対応する通信方法によって、操作装置50から参照装置40への信号を取得し、補助温度情報を得ればよい。
【0071】
一変形例では、参照情報は、環境情報を必ずしも含む必要はない。温度情報は、必ずしも補助温度情報を含む必要はない。
【0072】
上記実施形態では、決定部32は、補助温度情報を所定情報として用いて基準温度を決定する。しかし、所定情報は、環境情報であってもよい。決定部32は、環境情報と基準温度との対応関係を規定する表や式を用いて、環境情報から基準温度を得てよい。一例として、環境情報から得られる照明器具20の位置と季節を利用して、照明器具20の位置が属する場所における季節の平均的な空調装置の設定温度を、基準温度としてよい。ここで、照明器具20の位置は、予め制御装置30に与えられていてよく、この場合、照明器具20の位置を環境情報として取得する必要がなくなる。また、決定部32は、補助温度情報と環境情報との両方を用いて基準温度を決定してよい。要するに、所定情報は、補助温度情報と、環境情報との少なくとも一方を含んでいればよい。
【0073】
一変形例では、補助温度情報から基準温度を得る方法は、表や式等、種々の方法を利用できる。また、基準温度は、補助温度情報に含まれる設定温度と対象空間110の外部の温度との少なくとも一方に基づいて、決定され得る。
【0074】
一変形例では、環境情報に関して、決定部32は、照明器具20の周囲の気圧から、照明器具20の位置(特に標高)を推定してよい。決定部32は、位置と日付から、季節を推定してよい。
【0075】
一変形例では、決定部32は、必ずしも、第1~第3補正値の全てを用いる必要はない。決定部32は、補正値を用いず、基準温度から得た仮目標値をそのまま目標値に用いてもよい。
【0076】
上記実施形態では、制御部33は、励起光P1の強度と、複数のシード光P2それぞれの強度を調整する。一変形例では、制御部33は、励起光P1とシード光P2との少なくとも一方の強度の調整によって、照明光の色温度を調整してよい。第1光源231又は第2光源232からの光の強度の調整は、第1光源231又は第2光源232自体の制御によって実施されてもよいし、光源部23と光ファイバ24との間に配置した液晶フィルタやマイクロミラーアレイ等を利用して実施されてもよい。
【0077】
本開示における照明制御システム10(特に制御装置30)は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における照明制御システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0078】
また、照明制御システム10(特に制御装置30)における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは照明制御システム10に必須の構成ではなく、照明制御システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、照明制御システム10の少なくとも一部の機能、例えば、制御装置30の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0079】
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0080】
第1の態様は、照明制御システム(10)であって、取得部(31)と、決定部(32)と、制御部(33)と、を備える。前記取得部(31)は、対象空間(110)に関する温度情報を含む参照情報を取得する。前記決定部(32)は、前記参照情報に基づいて、前記対象空間(110)を照らす照明器具(20)からの照明光の色温度の目標値を決定する。前記制御部(33)は、前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整する。前記照明器具(20)は、光源部(23)と、光ファイバ(24)と、を含む。前記光ファイバ(24)は、励起光(P1)によって励起され前記励起光(P1)よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部(24c)を有する。前記光源部(23)は、第1光源(231)と、1以上の第2光源(232,232a,232b)と、を有する。前記第1光源(231)は、前記励起光(P1)を前記光ファイバ(24)に入射させる。前記1以上の第2光源(232,232a,232b)は、前記励起光(P1)あるいは前記自然放射増幅光によって励起された前記波長変換要素から誘導放出光を発生させるためのシード光(P2,P21,P22)を、前記光ファイバ(24)に入射させる。前記制御部(33)は、前記シード光(P2,P21,P22)と前記励起光(P1)との少なくとも一方の強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整する。この態様によれば、対象空間(110)を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0081】
第2の態様は、第1の態様に基づく照明制御システム(10)である。第2の態様では、前記取得部(31)は、前記参照情報の少なくとも一部を、前記対象空間(110)を照らす機能とは異なる機能を有する参照装置(40)から取得する。この態様によれば、照明器具(20)の照明光の色温度の調整のためだけに参照情報を収集する装置を参照装置(40)として新たに設ける必要がないから、照明制御システム(10)の実施コストの低減が図れる。
【0082】
第3の態様は、第2の態様に基づく評価方法である。第3の態様では、前記参照装置(40)は、前記対象空間(110)又は前記対象空間(110)に関連する空間に作用する所定の処理を実行する機能を有する。この態様によれば、照明器具(20)の照明光の色温度の調整のためだけに参照情報を収集する装置を参照装置(40)として新たに設ける必要がないから、照明制御システム(10)の実施コストの低減が図れる。
【0083】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づく照明制御システム(10)である。第4の態様では、前記温度情報は、前記対象空間(110)の温度の情報である主温度情報を含む。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0084】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づく照明制御システム(10)である。第5の態様では、前記温度情報は、前記対象空間(110)の温度とは別の前記対象空間(110)に関する温度の情報である補助温度情報を含む。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0085】
第6の態様は、第5の態様に基づく照明制御システム(10)である。第6の態様では、前記補助温度情報は、前記対象空間(110)の外部の温度の情報を含む。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0086】
第7の態様は、第2又は第3の態様に基づく照明制御システム(10)である。第7の態様では、前記参照装置(40)は、前記対象空間(110)の冷房と暖房との少なくとも一方を行う空調装置である。この態様によれば、照明器具(20)の照明光の色温度の調整のためだけに参照情報を収集する装置を参照装置(40)として新たに設ける必要がないから、照明制御システム(10)の実施コストの低減が図れる。
【0087】
第8の態様は、第7の態様に基づく照明制御システム(10)である。第8の態様では、前記温度情報は、前記対象空間(110)の温度の情報である主温度情報を含む。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0088】
第9の態様は、第8の態様に基づく照明制御システム(10)である。第4の態様では、前記温度情報は、前記対象空間(110)の温度とは別の前記対象空間(110)に関する温度の情報である補助温度情報を含む。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0089】
第10の態様は、第9の態様に基づく照明制御システム(10)である。第10の態様では、前記取得部(31)は、前記参照装置(40)とは別の操作装置(50)から前記参照装置(40)に送信される信号から、前記補助温度情報を取得する。この態様によれば、参照情報の取得の容易化が図れる。
【0090】
第11の態様は、第8~第10の態様のいずれか一つに基づく照明制御システム(10)である。第11の態様では、前記決定部(32)は、所定情報に基づいて基準温度を決定し、前記基準温度と前記主温度情報とに基づいて前記目標値を決定する。前記所定情報は、補助温度情報と、環境情報と、の少なくとも一方を含む。前記補助温度情報は、前記温度情報に含まれる、前記対象空間(110)の温度とは別の前記対象空間(110)に関する温度の情報である。前記環境情報は、前記参照装置(40)に含まれる、前記照明器具(20)の周囲の温度を除く前記照明器具(20)の周囲の環境に関する情報である。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0091】
第12の態様は、第11の態様に基づく照明制御システム(10)である。第12の態様では、前記決定部(32)は、前記対象空間(110)の温度又は前記基準温度が高くなるほど前記目標値を大きくし、前記対象空間(110)の温度又は前記基準温度が低くなるほど前記目標値を小さくする。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0092】
第13の態様は、第12の態様に基づく照明制御システム(10)である。第13の態様では、前記決定部(32)は、前記基準温度に基づいて、前記照明器具(20)の色温度の仮目標値を決定する。前記決定部(32)は、前記対象空間(110)の温度が前記基準温度を超える場合には前記目標値を前記仮目標値より大きい値に設定する。前記決定部(32)は、前記対象空間(110)の温度が前記基準温度を下回る場合には前記目標値を前記仮目標値より小さい値に設定する。この態様によれば、照明光の色温度の目標値の精度の向上が図れる。
【0093】
第14の態様は、照明制御方法であって、取得ステップ(S11)と、決定ステップ(S12)と、制御ステップ(S13)と、を備える。前記取得ステップ(S11)は、対象空間(110)に関する温度情報を含む参照情報を取得するステップである。前記決定ステップ(S12)は、前記参照情報に基づいて、前記対象空間(110)を照らす照明器具(20)からの照明光の色温度の目標値を決定するステップである。前記制御ステップ(S13)は、前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整するステップである。前記照明器具(20)は、光源部(23)と、光ファイバ(24)と、を含む。前記光ファイバ(24)は、励起光(P1)によって励起され前記励起光(P1)よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能な波長変換要素を含む波長変換部(24c)を有する。前記光源部(23)は、第1光源(231)と、1以上の第2光源(232,232a,232b)と、を有する。前記第1光源(231)は、前記励起光(P1)を前記光ファイバ(24)に入射させる。前記1以上の第2光源(232,232a,232b)は、前記励起光(P1)あるいは前記自然放射増幅光によって励起された前記波長変換要素から誘導放出光を発生させるためのシード光(P2,P21,P22)を、前記光ファイバ(24)に入射させる。前記制御ステップ(S13)は、前記シード光(P2,P21,P22)と前記励起光(P1)との少なくとも一方の強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整する。この態様によれば、対象空間(110)を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0094】
第15の態様は、プログラムであって、1以上のプロセッサに、第14の態様の照明制御方法を実行させるための、プログラムである。この態様によれば、対象空間(110)を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0095】
第16の態様は、照明制御システム(10)であって、取得部(31)と、決定部(32)と、制御部(33)と、を備える。前記取得部(31)は、対象空間(110)に関する温度情報を含む参照情報を取得する。前記決定部(32)は、前記参照情報に基づいて、前記対象空間(110)を照らす照明器具(20)からの照明光の色温度の目標値を決定する。前記制御部(33)は、前記照明光の色温度を、前記目標値を基準に調整する。前記照明器具(20)は、光源部(23)と、光ファイバ(24)と、を含む。前記光ファイバ(24)は、前記光ファイバ(24)に入射した光の少なくとも一部の波長を変換する波長変換要素を含む波長変換部(24c)を有する。前記光源部(23)は、第1光源(231)と、1以上の第2光源(232,232a,232b)と、を有する。前記第1光源(231)は、第1光(P1)を前記光ファイバ(24)に入射させる。前記1以上の第2光源(232,232a,232b)は、前記第1光(P1)と波長が異なる第2光(P2,P21,P22)を前記光ファイバ(24)に入射させる。前記制御部(33)は、前記第1光(P1)と前記第2光(P2,P21,P22)との少なくとも一方の強度の調整によって、前記照明光の色温度を調整する。この態様によれば、対象空間(110)を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0096】
第17の態様は、第16の態様に基づく照明制御システム(10)である。第17の態様では、前記光ファイバ(24)は、前記波長変換要素は、励起光(P1)によって励起され前記励起光(P1)よりも長波長の自然放出光を発生可能であり、かつ、自然放射増幅光によって励起可能である。前記第1光(P1)は、前記励起光である。前記第2光(P2,P21,P22)は、前記励起光(P1)あるいは前記自然放射増幅光によって励起された前記波長変換要素から誘導放出光を発生させるためのシード光である。この態様によれば、対象空間(110)を照らす照明光の色温度の調整の容易化及び照明光の品質の向上が図れる。
【0097】
第18の態様は、照明制御システム(10)であって、取得部(31)と、決定部(32)と、制御部(33)と、を備える。前記取得部(31)は、対象空間(110)に関する温度情報を含む参照情報を取得する。前記決定部(32)は、前記参照情報に基づいて、前記対象空間(110)を照らす照明器具(20)からの照明光の色温度の目標値を決定する。前記取得部(31)は、前記参照情報を、前記対象空間(110)を照らす機能とは異なる機能を有する参照装置(40)から取得する。この態様によれば、照明器具(20)の照明光の色温度の調整のためだけに参照情報を収集する装置を参照装置(40)として新たに設ける必要がないから、照明制御システム(10)の実施コストの低減が図れる。
【0098】
なお、第2~第13の態様は、第14、第16、第17の態様にも適宜変更して適用することが可能である。また、第3~第13の態様は、第18の態様にも適宜変更して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
10 照明制御システム
20 照明器具
23 光源部
231 第1光源
232,232a,232b 第2光源
24 光ファイバ
24c 波長変換部
31 取得部
32 決定部
33 制御部
40 参照装置
50 操作装置
110 対象空間
P1 励起光(第1光)
P2,P21,P22 シード光(第2光)
S11 取得ステップ
S12 決定ステップ
S13 制御ステップ