(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】プレカット装置とプレカット材の排出方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/08 20060101AFI20240322BHJP
B65G 47/29 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B65G47/08 E
B65G47/29 F
(21)【出願番号】P 2021149266
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】596008231
【氏名又は名称】株式会社トーアエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】野口 睦
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-055898(JP,A)
【文献】特開2020-196582(JP,A)
【文献】特開平02-167047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の建築に使用される素材をプレカットして得られた製品を,搬送路から受け入れて、
その製品を、後側または前側に次にプレカットされた製品を並べることができる位置まで送り、排出コンベアの幅
以下の長さまで、複数の製品を一列に整列させる整列コンベアと、
一列に整列した複数の製品を一括して
整列コンベアから排出コンベア
へ移動させる排出装置と、
一列に整列した製品を
順送りする排出コンベアを備えたことを特徴とするプレカット装置。
【請求項2】
上記の整列コンベアは、一本の素材からプレカットされた製品を排出コンベアの幅方向に整列させ、
上記の排出装置は、一本の素材からプレカットされた、整列した複数の製品を整列した状態で一括して整列コンベアから排出コンベア上に移動させることを特徴とする請求項1に記載のプレカット装置。
【請求項3】
上記の整列コンベアは、梱包をするための長さ以下に、製品を排出コンベアの幅方向に整列させ、
上記の排出装置は、梱包をするための長さ以下に
整列した複数の製品を整列した状態で一括して整列コンベアから排出コンベア上に移動させることを特徴とする請求項1に記載のプレカット装置。
【請求項4】
上記の整列コンベアは、直前に排出コンベアに
排出された一列に並んだ複数の製品の間の隙間の位置が、次に
排出された一列に並んだ製品の間の隙間の位置
と重なり難いように、シフトさせて製品を整列させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプレカット装置。
【請求項5】
建物の建築に使用される素材をプレカットして得られた製品を搬送路上で搬送し、その製品を整列コンベア上に送り込み、
送り込まれた製品を整列コンベア上で、後側または前側に次にプレカットされた製品を並べることができる位置まで送り、排出コンベアの幅以下の長さまで、
複数の製品を整列コンベア上に一列に整列させて、
一列に整列した複数の製品を
一括して整列コンベアから排出コンベアへ移動させて、排出コンベア上で一列に整列した製品を順送りすることを特徴とするプレカット材の排出方法。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載のプレカット装置の
整列コンベアと排出装置と排出コンベアを制御する
手段としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の建築に使用するためにプレカットされた製品を、スペースを有効に利用しながら排出し、効率的に梱包することを可能にする、プレカット装置とプレカット材の排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレカットされた製品は、建設工事を効率化するために、工事部位ごとにまとめて梱包されて工事現場に向けて搬出される。そのために、例えば、建物の開口部に使用される製品を、各開口部毎にまとめてプレカットして、梱包作業を効率化するといった提案もなされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6704875号公報
【文献】特許5943977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、建物の一つの開口部に使用するためにプレカットされる製品の数は数本から20本あるいはそれ以上のものもある。プレカットされた製品をプレカット装置から次々に取り出して梱包をするために、排出コンベア上にこれらの製品が順次排出されてくる。これらの製品を梱包順に並べ替える技術も紹介されている(特許文献2)。
【0005】
排出コンベア上に梱包する製品が全て並んでいて、余裕を持って製品を取り出すことができれば最適な梱包方法で効率よく梱包作業ができる。
【0006】
しかしながら、一つの開口部に使用する製品が多いと、排出コンベア上が製品で満杯になり、作業の能率を下げる原因になっていた。本発明は以上の点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0008】
<構成1>
建物の建築に使用される素材をプレカットして得られた製品を,搬送路から受け入れて、その製品を、後側または前側に次にプレカットされた製品を並べることができる位置まで送り、排出コンベアの幅以下の長さまで、複数の製品を一列に整列させる整列コンベアと、
一列に整列した複数の製品を一括して整列コンベアから排出コンベアへ移動させる排出装置と、
一列に整列した製品を順送りする排出コンベアを備えたことを特徴とするプレカット装置。
【0009】
<構成2>
上記の整列コンベアは、一本の素材からプレカットされた製品を排出コンベアの幅方向に整列させ、
上記の排出装置は、一本の素材からプレカットされた、整列した複数の製品を整列した状態で一括して整列コンベアから排出コンベア上に移動させることを特徴とする構成1に記載のプレカット装置。
【0010】
<構成3>
上記の整列コンベアは、梱包をするための長さ以下に、製品を排出コンベアの幅方向に整列させ、
上記の排出装置は、梱包をするための長さ以下に整列した複数の製品を整列した状態で一括して整列コンベアから排出コンベア上に移動させることを特徴とする構成1に記載のプレカット装置。
【0011】
<構成4>
上記の整列コンベアは、直前に排出コンベアに排出された一列に並んだ複数の製品の間の隙間の位置が、次に排出された一列に並んだ製品の間の隙間の位置と重なり難いように、シフトさせて製品を整列させることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のプレカット装置。
【0012】
<構成5>
建物の建築に使用される素材をプレカットして得られた製品を搬送路上で搬送し、その製品を整列コンベア上に送り込み、
送り込まれた製品を整列コンベア上で、後側または前側に次にプレカットされた製品を並べることができる位置まで送り、排出コンベアの幅以下の長さまで、複数の製品を整列コンベア上に一列に整列させて、
一列に整列した複数の製品を一括して整列コンベアから排出コンベアへ移動させて、排出コンベア上で一列に整列した製品を順送りすることを特徴とするプレカット材の排出方法。
【0013】
<構成6>
構成1乃至3のいずれかに記載のプレカット装置の整列コンベアと排出装置と排出コンベアを制御する手段としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【0014】
<構成7>
構成6に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒
【発明の効果】
【0015】
<構成1の効果>
排出コンベア上のスペースを有効利用することができる。
<構成2の効果>
一本の素材には、それぞれ歩留まり良く製品が割付けられているから、プレカットされた製品を排出コンベアの幅方向に整列させると、整列した全長がほぼ揃うので、排出コンベア上でそのまま列を崩さずに順送りできる。
<構成3の効果>
整列した製品をそのままの状態で梱包体に送り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のプレカット装置の実施例を示すブロック図である。
【
図2】製品の排出方法の一例を示す説明図(1)である。
【
図3】製品の排出方法の一例を示す説明図(2)である。
【
図4】上記のプレカット装置の動作を制御するコンピュータプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1には、既知の羽柄材を加工するためのプレカット装置12を図示した。この装置は制御用コンピュータ14によって制御される。制御用コンピュータ14はプレカットデータ16を記憶装置に記憶しており、制御部18がこのプレカットデータ16を読み取って、以下の装置を制御する。
【0019】
投入コンベア22にはプレカットされる素材20が積まれている。これらの素材20は投入装置24によって一本ずつ搬送路26に向けて送り出される。
【0020】
搬送路26は素材20を搬送するためのローラコンベアやベルトコンベア等により構成される。加工装置28は、制御部18の制御によってプレカットデータ16の指示どおりに素材20をプレカットする装置である。
【0021】
搬送路26は加工装置28の入口側と出口側は分離しており、それぞれ独立に駆動して製品30を搬送する。加工装置28の内部では図示しないクランプが素材20を掴んで移動させながらプレカットをする。
【0022】
加工装置28でプレカットされた製品30は、搬送路26上を
図1(a)に示す矢印Aの方向(搬送方向)に送り出される。搬送路26は、製品30の後端(加工装置側の端)が後端センサ38によって検出されると、その製品30の搬送を停止する。
【0023】
排出装置32は、搬送路26上で停止した製品30を、整列コンベア34に向けて矢印B方向(押出方向)に押し出す装置である。整列コンベア34は、排出装置32によって押し出された製品30を、排出コンベア36の幅方向(矢印C方向)に向けて移動させる機能を持つ。
【0024】
整列コンベア34は、プレカットされた製品30を順番に搬送路26から受け入れて、排出コンベア36の幅以下の長さまで、排出コンベア36の幅方向に整列させる、ベルトコンベア等で構成される装置である。
【0025】
排出装置32は、整列コンベア34上で整列した製品を一括して排出コンベア36上に押し出す機能を持つ。排出コンベア36は、押出された幅方向に整列した製品30を、そのままその列を崩さずに排出方向(矢印D方向)に送る機能を持つ。これも、ベルトコンベア等で構成される装置である。
【0026】
図1(a)は排出コンベア36の比較例平面図で、
図1(c)(d)(e)は排出コンベア36の実施例の平面図である。例えば、
図1(b)のように製品30を排出すると、排出コンベア36の矢印D方向の長さを1.2mとすれば、製品が10本ほどで排出コンベア36が満杯になる。
【0027】
一方、製品30を、幅方向に例えば、2mの長さに整列する事ができると、
図1(c)(d)(e)に示すように、約3倍の数の製品を排出コンベア36上に置くことができる。これで、排出コンベア36の収容力を高めて、製品30を1本ずつ取り出しながら、余裕を持って梱包作業を進めることができる。
【0028】
なお、
図1(c)では、排出コンベア36上で、幅方向に整列された製品30が右端を揃えた状態で順に排出されている。また、
図1(d)や(e)では、梱包をした時に荷崩れがしないように、幅方向に整列された各製品30の隙間が排出方向から見たときに重ならないようにして、順に排出されている。
【0029】
以下に、このような製品30の配列方法の一例を紹介するが、製品を配列する方法は任意である。例えば、搬送路26上で製品30を整列することも可能である。搬送路26上で製品30を順次停止させて整列させる機能を設けるといった方法もある。
【0030】
しかしながら、上記のように、製品30を整列させるための専用の整列コンベア34を既存のラインに追加すれば、既存の搬送路30の改造が不要になる。また、製品30の様々な配列方法を採用する場合に、コンピュータによる制御の自由度が高まるといった効果がある。
【0031】
また、上記の例では、プレカットされた製品30を排出コンベア36の幅以下の長さまで整列させたが、この整列させる長さを、梱包をするための長さにすれば、整列した製品を一挙に取り出して梱包することができる。即ち、梱包作業をさらに効率化させることができる。この場合、例えば、自動的に排出コンベア36から製品を取り出して梱包をする装置と連携ができる。
【実施例2】
【0032】
図2と
図3を用いて、具体的な排出方法の手順を説明する。まず、
図2(a)において、製品30aがプレカットされて、搬送路26上を搬送方向(矢印A方向)に向けて搬送されたところから説明する。後端センサ38が、製品30aの後端を検出すると、製品30aの搬送が停止する。
【0033】
次に、
図2(b)において、排出装置32が、製品30aを押出方向(矢印B方向)に向けて押し出す。これにより、製品30aは整列コンベア34上に送り込まれる。
【0034】
次に、
図2(c)において、製品30aは整列コンベア34の上で,排出コンベア36の幅方向(矢印C方向)に向かって送られる。製品30aの後ろ側に次にプレカットされる製品30bを並べることが出来る位置まで送られる。この位置はプレカットデータ16から計算をしておく。
【0035】
このとき、搬送路26上には次にプレカットされた製品30bが搬送されてきている。図2(d)において,製品30bの後端が後端センサ38によって検出されると、この場所で製品30の矢印A方向の搬送が停止される。
【0036】
次に
図3(a)に示すように、製品30bが排出装置32によって搬送路26から整列コンベア34に向かって(矢印B方向に)押し出される。
【0037】
その後
図3(b)において、製品30aと30bとは整列コンベア34上を排出コンベア36の幅方向(矢印C方向)に移動する。このときの移動量も、プレカットデータ16から算出しておく。
【0038】
このとき、搬送路26上に、次にプレカットされた製品30cが送り込まれている。後端センサ38が、その製品30c後端を検出すると、製品30cの搬送が停止する。
【0039】
その後、
図3(c)に示すように、製品30cが、排出装置32によって搬送路26から整列コンベア34上に押し出される。これで、3本の製品30a,30b,30cが排出コンベア36の幅方向に整列する.この全長はほぼ排出コンベア36の幅に近くなっている。なお、この図の例では、排出コンベアの幅が、ちょうど素材20の一本分の長さより少し広くなっている。
【0040】
この実施例では、素材1本分の製品を整列させるたびに、それらをまとめて排出コンベアに押し出す。即ち、排出装置32が、整列した一列の製品30a,30b,30cを、整列コンベア34から排出コンベア36の方向に押し出す。排出コンベア36は、
図3(d)に示すように、直前に整列していた一列の製品を順送りし、排出装置32によって押し出された一列の製品を受け入れる。
【0041】
なお最初にプレカットされた製品30の先端を先端センサ40で検出して、図の整列コンベア34の左端から順番に、右側に向かって製品30を移動させながら整列させることもできる。
【0042】
また、上記の例では、搬送路26から製品30を整列コンベア34に押し出す操作と、整列コンベア34から整列された製品30を排出コンベア36に押し出す操作を排出装置32が行った。しかし、この操作は別々の独立した装置によって行っても構わない。また、押し出すという表現は搬送等と区別するために使用しているが、移動させることと同等の意味で使用している。
【実施例3】
【0043】
上記の整列コンベアの動作は、コンピュータプログにより制御される。例えば、
図4に示すような制御が行われる。
図2や
図3の動作もこの要領で制御される。
【0044】
まず、
図4のステップS11では、プレカットされた製品の後端検出をする。ステップS12では、その製品が整列コンベア34に押し出し可能かどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS13の処理に移行し、ノーのときはステップS18の処理に移行する。
【0045】
プレカット開始の状態では整列コンベア34上に全く製品30が存在しないから、イエスになる。しかし、整列コンベア34上に何本か製品30が存在して、次の製品が並ぶ余地の無い場合には、ノーになる。
【0046】
整列コンベア34上に別の製品があって新たな製品が押し出せない場合には、ステップS18で、整列コンベア上に整列した製品を排出コンベアに押し出す。その後、ステップS19でプレカットが終了したかどうかを判断して、ステップS11に戻る。
【0047】
ステップS13では、製品を整列コンベアに押し出す。ステップS14では、次にプレカットされる製品の全長Lを取得をする。そして、ステップS15では、M=L+製品間隔Gの計算をする。
【0048】
ステップS16では、整列コンベア上の製品をMだけ移動させる。こうして、L+製品間隔Gだけの隙間を作る。なお、ステップS17では、製品がL+製品間隔Gだけ整列コンベア上で移動可能かどうかという判断をする。次にプレカットされた製品を押し出す余地があるかどうかを判断している。
【0049】
この判断の結果がイエスのときはステップS11の処理に移行し、新たな製品の受け入れ準備をする。ノーのときはステップS18の処理に移行する。先に説明したように、ステップS18では、整列した製品を排出コンベアに押し出す処理をする。ステップS19で、プレカットが終了していないと判断するとステップS11に戻る。
【0050】
上記のステップS11で、製品を整列したときの全長を定めておき、その制限の範囲で整列コンベア34上で製品30を矢印C方向(幅方向)に移動させる。排出コンベアの幅が最大限であるが、制限を素材20の長さとしたり、梱包体の長さとしたり、自由に設定できる。
【0051】
また、ステップS16で、整列した製品30を矢印C方向(幅方向)に移動させるが、この移動量は自由に設定できる。これにより、例えば、
図1(d)に示したように、素材1本分の製品30を整列させたときに、直前に整列させた製品間の隙間の位置と次に整列させた製品間の隙間の位置が重ならないようにできる。
【符号の説明】
【0052】
12 プレカット装置
14 制御用コンピュータ
16 プレカットデータ
18 制御部
20 素材
22 投入コンベア
24 投入装置
26 搬送路
28 加工装置
30 製品
32 排出装置
34 整列コンベア
36 排出コンベア
38 後端センサ
40 先端センサ