(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】印字装置を備えた製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/213 20120101AFI20240322BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20240322BHJP
B65B 57/18 20060101ALI20240322BHJP
B65B 61/02 20060101ALI20240322BHJP
B65B 59/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B65B9/213
B65B57/00 A
B65B57/18
B65B61/02
B65B59/00
(21)【出願番号】P 2019221762
(22)【出願日】2019-12-07
【審査請求日】2022-12-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)FOOMA JAPAN 2019 国際食品工業展での展示 展示日 令和1年7月9日(展示期間:令和1年7月9日~令和1年7月12日) 展示会名 FOOMA JAPAN 2019 国際食品工業展 開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1) (2)JAPAN PACK 2019 日本包装産業展での展示 展示日 令和1年10月29日(展示期間:令和1年10月29日~令和1年11月1日) 展示会名 JAPAN PACK 2019 日本包装産業展 開催場所 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 博久
(72)【発明者】
【氏名】窪井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】梓澤 祐
(72)【発明者】
【氏名】中澤 健太
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-006642(JP,A)
【文献】特開平11-208001(JP,A)
【文献】特開2009-045840(JP,A)
【文献】特開平03-150180(JP,A)
【文献】特開2003-267301(JP,A)
【文献】特開2012-096837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/213
B65B 57/00
B65B 57/18
B65B 61/02
B65B 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材を供給する包装材供給部と、
当該包装材供給部から供給される前記帯状包装材から包装袋を製作しつつ前記包装袋内に製品を収容し前記製品を収容した前記包装袋を封鎖することを順次繰り返して袋包装体を連続的に製造する製袋充填包装機部と、
前記包装材供給部において前記帯状包装材の供給経路に沿って配設されている印字装置であって
、前記帯状包装材の表側に印字を施す印字機と前記帯状包装材を挟んで前記印字機に対向配置されているときに前記印字機が行う前記帯状包装材への印字に対する裏当てとなるアンビルとを有する印字装置と
を備えている製袋充填包装機であって、
前記包装材供給部はカバー体で覆われており、
前記カバー体には、その一部として外側に開閉可能な点検扉が設けられており、
前記アンビルが取り付けられるホルダ、及び前記帯状包装材を挟んで前記印字機に対向する位置
で前記ホルダを前記帯状包装材の幅方向に移動可能
にする移動機構が前記点検扉の内側で且つ当該点検扉に沿って設けられている
ことから成る印字装置を備える製袋充填包装機。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記帯状包装材の前記幅方向に延びるとともに前記ホルダを貫通して前記ホルダの移動を案内するガイド棒と、
駆動源としてのモータと、
前記ガイド棒と平行にネジ軸線が延びていて前記
モータによって駆動されるネジ軸及び前記ホルダに対して前記帯状包装材の前記幅方向に移動することなく且つ回転不能に取り付けられており且つ前記ネジ軸に螺合するナットを有するネジ機構と
を備えており、
前記ガイド棒と前記
モータは前記点検扉に取りつけられ、前記ネジ機構の前記ネジ軸は前記点検扉に回転可能に支持され
ており、前記ネジ軸が前記
モータによって回転されるときの前記ネジ機構のネジ送り作用によって、前記ナットが前記ホルダとともに前記ネジ軸に沿って前記帯状包装材の前記幅方向に移動する
ことから成る請求項1に記載の印字装置を備える製袋充填包装機。
【請求項3】
前記製袋充填包装機には、前記印字機の印字動作と前記ホルダの移動動作の制御を司る制御装置が備わっており、
前記制御装置は、前記アンビルが前記印字機に対向する印字位置を占めていない状態において、前記点検扉が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置にその旨の警報を発する指令を出す
ことから成る請求項
1又は2に記載の印字装置を備える製袋充填包装機。
【請求項4】
前記製袋充填包装機には、前記印字機の印字動作と前記ホルダの移動動作の制御を司る制御装置が備わっており、
前記制御装置は、前記アンビルが前記印字機に対向する印字位置を占めていない状態において、前記点検扉が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、前記アンビルが前記印字位置に移動するように前記ホルダの移動を制御する
ことから成る請求項
1又は2に記載の印字装置を備える製袋充填包装機。
【請求項5】
前記製袋充填包装機には、前記印字機の印字動作と前記ホルダの移動動作の制御を司る制御装置が備わっており、
前記制御装置は、前記アンビルが前記印字機に対向する印字位置を占めていない状態において、前記点検扉が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置にその旨の警報を発する指令を出すとともに、前記アンビルの位置が前記印字位置に移動するように前記ホルダの移動を制御する
ことから成る請求項
1又は2に記載の印字装置を備える製袋充填包装機。
【請求項6】
前記製袋充填包装機には、前記制御装置の制御に関して前記印字機と前記アンビルについての情報を表示可能な表示パネルが備わっており、
前記表示パネルに表示される前記情報には、前記点検扉が開き位置にあるか又は閉じ位置にあるかの点検扉位置情報、前記印字機が前記印字位置にあるか又は当該印字位置から離れた位置にあるかの印字機位置情報、前記アンビルが前記印字位置にあるか又は当該印字位置から離れた位置にあるかのアンビル位置情報、及び前記制御装置が行う前記印字機及び前記アンビルに関する制御についての設定情報が含まれている
ことから成る請求項
3~5のいずれか一項に記載の印字装置を備える製袋充填包装機。
【請求項7】
前記点検扉は、当該点検扉の閉じ状態で、オペレータが前記印字機に対する前記アンビルの位置を前記点検扉の外側から透視可能とする透明窓を備えている
ことから成る請求項1~
6のいずれか一項に記載の印字装置を備える製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印字装置を備えた製袋充填包装機、特に、製品を包装するために供給される帯状包装材に印字を施す印字装置を備えた製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装材ロールから繰り出される帯状包装材が供給され、帯状包装材から包装袋を製造しながら製品を当該包装袋に収容し、当該包装袋を封鎖して袋包装体を連続的に製造する製袋充填包装機においては、製品の製造材料や内容量等のような、製造される袋包装体のロットによって変化することがない情報内容は、予め包装材ロールの製造時に印刷によって帯状包装材に印刷される。しかしながら、製造日時や消費期限等のようなその時々によって変化する情報内容の場合には、製袋充填包装機による製品の実際の包装に合わせて、供給途上の帯状包装材に対して印刷装置によって直接に印字される。帯状包装材上に当該印刷された表示は、製品が包装された袋包装体の袋外側面に現れるので、消費者等はその表示内容を確認することができる。
【0003】
現状の包装機に備わる印字装置は、文字等を帯状包装材に印字する印字機と、当該印字機による印字を鮮明にするため、帯状包装材の裏側に添えられる態様で配置されており印字の際の衝撃力を受ける裏当てとなるアンビルを備えている。印字機については、袋包装体における印字位置の調整のため、モータ等の駆動源の駆動によって帯状包装材に対する設定位置が調整されている。印字に関する設定が決められれば、通常、包装材ロールを使い切るまでは、印字機とアンビルの位置は変更されることがない。包装開始(印刷開始)の際に、包装機のオペレータが当然ながら帯状包装材への印刷位置を確認するので、モータを駆動して印字機の位置を調整することを忘れることは通常、あり得ない。しかしながら、アンビルについては、手動で印字機に対して設置位置の変更・調整をするものとされているので、印字機の位置が変更されたときにはそれに応じてアンビルの設置位置を変更・調整する必要があることを忘れることがある。
【0004】
図8は、印字装置を備えた従来の製袋充填包装機の一般的な例を示す図である。
図8に示す縦型製袋充填包装機(以下、「包装機」と略す。)50は、供給される帯状包装材Fwから包装袋Bを製造しながら製品Sを当該包装袋Bに収容し、当該包装袋Bをシール等で封鎖して袋包装体Bpを連続的に製造する包装機部51と、包装機部51の後方に配置されており、帯状包装材Fwを巻き取って成る横置きされた包装材ロールFrから繰り出した帯状包装材Fwを包装機部51に供給する包装材供給部52とを備えている。
【0005】
包装機部51は、帯状包装材Fwから略筒状に湾曲成形する製筒器(フォーマ)53と、製筒器53内を通して配置されており、包装すべき製品Sが投入される充填筒54と、充填筒54の前側に配設されており略筒状に湾曲成形された帯状包装材Fwの両側縁部分をシールして筒状包装材Ftを成形する縦シール装置55と、充填筒54の下方に配設されており、筒状包装材Ftを前後方向に横断するシールを施して、先行して製作され且つ製品が投入された包装袋Bの頭部を封鎖するとともに、後続の包装袋Bの底部を形成する横シール部56と、充填筒54の両側方(一方のみ図示する)に配設されており筒状包装材Ftを吸引するなどしながら下方に送る包装材搬送部57を備えている。縦シール装置55、横シール部56及び包装材搬送部57について相互間でタイミングを取って運転することで、製品Sが包装された袋包装体Bpが連続して製造される。
【0006】
包装材供給部52は、包装材ロールFrから繰り出された帯状包装材Fwを所定の範囲の長さ分を貯留する包装材貯留部としてのダンサーローラ部58と、ダンサーローラ部58の下流側に配設されていて帯状包装材Fwを繋ぐ際に用いられる紙継ぎ装置59と、紙継ぎ装置59の下流側に配置されていて印字機61とアンビル62を有する帯状包装材Fwに印字を施す印字装置60と、印字装置60の直ぐ下流に配置されていて正しく印字されているか否かを検査する印字検査装置63と、印字検査装置63の更に下流側に配置されていて包装機部51に送られる帯状包装材Fwを案内するガイドローラ64(この例では3つのガイドローラ64a~64c)を備えている。包装材供給部52は、包装機部51における帯状包装材Fwの消費に伴って、間欠的又は連続的に帯状包装材Fwを包装機部51に順次供給する。
【0007】
ダンサーローラ部58は、並んだ配置位置が固定された複数(この例では三つ)の定位置ローラ65a~65cを有する定位置ローラ群65と、定位置ローラ群65の隣り合う二つの定置ローラ65aと65bの間、及び65bと65cの間に入り込むことができる複数(この例では二つ)の移動ローラ66a,66bを有する移動ローラ群66と、移動ローラ66a,66bを櫛歯68a,68bの先端に有する回動レバー67とを備えている。帯状包装材Fwが定位置ローラ群65と移動ローラ群66との間に掛け渡されているので、回動レバー67が実線で図示するように下方に回動した状態では、ダンサーローラ部58に相当長さの帯状包装材が貯留される。回動レバー67が想像線で図示するように上方に跳ね上がった状態では、ダンサーローラ部58に蓄えられた帯状包装材Fwが包装機部51に向かって供給される。
【0008】
ダンサーローラ部58から供給される帯状包装材Frの供給経路Wsは、下から上へ向かう縦経路である。紙継ぎ装置59は、使い終わりの帯状包装材Fwをカットして終端を形成するとともに新旧の帯状包装材Fwを繋ぐのに用いられる。紙継ぎ装置59は、図示のように撥ね上げ可能となっており、紙継ぎの際には、撥ね上げた台上において、新しい帯状包装材の始端と旧い帯状包装材の終端とを突き合わせ状態に並べることができ、新旧帯状包装材の突き合わされた両端部に亙って紙継ぎテープを貼ることで、新旧帯状包装材の紙継ぎを可能にしている。印字装置60の印字機61は、袋包装体Bpの外側となる側に製造日時や消費期限等の実際の包装の際の情報内容の印字を行うように帯状包装材Fwの一側に配置されている。アンビル62は、帯状包装材Fwに近接し且つ帯状包装材Fwを挟んで印字機61に対向して配置されている。
【0009】
印字検査装置61の更に下流に配置されていて帯状包装材Fwを案内するガイドローラ64のうち、ガイドローラ64aを上下方向に可変とすることにより、帯状包装材Fwが包装機部51に至るまでに辿る経路長さが変更可能である。これにより、印字装置60から包装機部51に到達するまでの帯状包装材Fwの長さが調整可能となるので、印字装置60の包装材送り方向の設置位置を変えなくても、包装機部51への送り込まれる帯状包装材Fwにおいて印字装置60が印字した印字位置と帯状包装材Fwの袋単位に施されているレジマーク位置とを包装袋Bの仕様に合致させることができる。その後、帯状包装材Fwは、二つのガイドローラ64b,64cによって形成される水平送り経路Whを経て包装機部51に送り込まれる。
【0010】
特許文献1には、印字ユニットについて開示されている。円筒形状に形成されており回転するプラテンローラが、印字装置のアンビルの役割を担っている。プラテンローラの位置については調整するものとはされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
帯状包装材に印字が行われる印字位置は帯状包装材から製作される包装袋の仕様に応じて変更されるものであるから、特に包装材ロールの装填の際に、当該仕様に応じて、印字位置を帯状包装材の幅方向に変更・調整することが必要になる。印字機が印字をする際の衝撃力を受けるアンビルの位置も移動した印字機に合わせる必要があるが、従来、アンビルの位置の調節についてはオペレータによる完全手動に依存していたので、印字位置の変更・調整に合わせてアンビルの位置を変更すべきこと自体を忘れることがある。アンビルの手動による位置変更を忘れると、印字機が作動しても裏当てが存在しない又は正しい位置にないので帯状包装材への日付等の明瞭な印字が行えず、製造した袋包装体が印字不良品となる。そこで、アンビルの移動をオペレータの手動に完全に任せることを無くすことで、印字抜けのようなヒューマンエラーを回避する点で解決すべき課題がある。
【0013】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、アンビルの移動に機械化を導入して、移動機構によってアンビルを印字機に対向した位置に移動させることにより、オペレータが意識してアンビルを印字機に合致した位置に位置合わせをすることが求められるようにして、印字抜けのようなヒューマンエラーを回避することができる印字装置を備えた製袋充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、この発明による印字装置を備える製袋充填包装機は、
帯状包装材を供給する包装材供給部と、
当該包装材供給部から供給される前記帯状包装材から包装袋を製作しつつ前記包装袋内に製品を収容し前記製品を収容した前記包装袋を封鎖することを順次繰り返して袋包装体を連続的に製造する製袋充填包装機部と、
前記包装材供給部において前記帯状包装材の供給経路に沿って配設されている印字装置であって、前記帯状包装材の表側に印字を施す印字機と前記帯状包装材を挟んで前記印字機に対向配置されているときに前記印字機が行う前記帯状包装材への印字に対する裏当てとなるアンビルとを有する印字装置と
を備えている製袋充填包装機であって、
前記包装材供給部はカバー体で覆われており、
前記カバー体には、その一部として外側に開閉可能な点検扉が設けられており、
前記アンビルが取り付けられるホルダ、及び前記帯状包装材を挟んで前記印字機に対向する位置で前記ホルダを前記帯状包装材の幅方向に移動可能にする移動機構が前記点検扉の内側で且つ前記点検扉に沿って設けられている
ことから成っている。
【0015】
この印字装置を備える製袋充填包装機によれば、包装材供給部から供給される帯状包装材が製袋充填包装機部において包装袋に製作され、当該包装袋内に製品が収容され、更に製品を収容した包装袋が封鎖されることが順次繰り返されることで、袋包装体が連続的に製造される。この製袋充填包装機は、包装材供給部において帯状包装材の供給経路に沿って配設されている印字装置を備えており、印字装置は、帯状包装材の表側に印字を施す印字機と、帯状包装材を挟んで印字機に対向配置されていて印字機が行う帯状包装材への印字に対する裏当てとなるアンビルとを有している。帯状包装材を挟んで印字機に対向する位置にアンビルが取り付けられるホルダを設け、このホルダを移動機構によって帯状包装材の幅方向に移動可能としているので、帯状包装材に対して印字を行う印字機の位置が包装袋の仕様に応じて帯状包装材の幅方向に変更された場合には、ホルダをアンビルと共に移動機構の動作によって帯状包装材の幅方向に移動させることで、アンビルの位置は印字機に対して正対した対向位置にもたらされる。アンビルは、変更された位置で印字機に対する裏当てとして機能する。また、この印字装置を備える製袋充填包装機において、包装材供給部がカバー体で覆われていて、カバー体にはその一部として外側に開閉可能な点検扉が設けられており、点検扉の内側には、アンビルが取り付けられるホルダ、及び帯状包装材を挟んで印字機に対向する位置でホルダを帯状包装材の幅方向に移動可能にする移動機構が点検扉に沿って設けられているので、包装材供給部と干渉することなく点検扉を開閉することができるとともに、ホルダを介してアンビルを移動させる移動機構を、点検扉を利用してその内側にコンパクトに配設することができるとともに、包装機のオペレータは、点検扉をカバー体に対して外側に開いた状態でアンビル、ホルダ及び移動機構へのアクセスが容易となり、延いてはこれらの点検・メンテナンスが容易となる。
【0016】
この印字装置を備える製袋充填包装機において、前記移動機構は、前記帯状包装材の前記幅方向に延びるとともに前記ホルダを貫通して前記ホルダの移動を案内するガイド棒と、駆動源としてのモータと、前記ガイド棒と平行にネジ軸線が延びていて前記モータによって駆動されるネジ軸及び前記ホルダに対して前記帯状包装材の前記幅方向に移動することなく且つ回転不能に取り付けられており且つ前記ネジ軸に螺合するナットを有するネジ機構とを備えており、前記ガイド棒と前記モータは前記点検扉に取りつけられ、前記ネジ機構の前記ネジ軸は前記点検扉に回転可能に支持されており、前記ネジ軸が前記モータによって回転されるときの前記ネジ機構のネジ送り作用によって、前記ナットが前記ホルダとともに前記ネジ軸に沿って前記帯状包装材の前記幅方向に移動することから成っているとすることができる。
この印字装置を備える製袋充填包装機によれば、移動機構は点検扉の内側に設けられているので、移動機構を構成するガイド棒、モータ及びネジ機構も当然に点検扉の内側となる側に配置される。モータによってネジ機構が駆動され、ネジ機構のネジ軸とナットによるネジ送り作用によってナットがホルダとともに移動する。即ち、移動機構のネジ軸を、包装材供給部を覆うカバー体の一部として外側に開閉可能に設けられている点検扉に回転可能に支持しておき、点検扉に取り付けられているモータによってネジ軸を回転させることで、ナットとネジ軸のネジ送り作用によって、ナットをホルダとともにネジ軸の軸線方向に移動させることができる。ホルダと当該ホルダに取り付けられているアンビルは、ガイド棒に案内されて帯状包装材の幅方向に移動される。ホルダには帯状包装材の幅方向に延びるガイド棒が貫通しているので、ホルダはガイド棒の回りに振れ回ることなく、ガイド棒によって確実に帯状包装材の幅方向に案内され、このホルダの案内によりホルダに取り付けられているアンビルは印字機に正対した対向位置に移動する。
【0019】
この印字装置を備える製袋充填包装機において、前記印字機の印字動作と前記ホルダの移動動作の制御を司る制御装置が備わっており、前記制御装置は、前記アンビルが前記印字機に対向する印字位置を占めていない状態において、前記点検扉が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置にその旨の警報を発する指令を出すことができる。この製袋充填包装機によれば、印字機が包装袋の仕様に応じて帯状包装材の幅方向に移動されて、アンビルが印字機に対向する印字位置を占めていない状態にあるときには、制御装置は、点検扉を閉じたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置にアンビルが印字位置を占めていない旨の警報を発する指令を出す。オペレータは、点検扉を閉じて帯状包装材に印字を行う段階に移行しようとしても、警報装置の警報に接することになるので、アンビルが所定の印字位置にないことに対処することができ、印字抜けを未然に防止することができる。
【0020】
この印字装置を備える製袋充填包装機において、前記印字機の印字動作と前記ホルダの移動動作の制御を司る制御装置が備わっており、前記制御装置は、前記アンビルが前記印字機に対向する印字位置を占めていない状態において、前記点検扉が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、前記アンビルが前記印字位置に移動するように前記ホルダの移動を制御することができる。この製袋充填包装機によれば、印字機が包装袋の仕様に応じて帯状包装材の幅方向に移動されて、アンビルが印字機に正対する印字位置を占めていない状態にあるときには、制御装置は、点検扉を閉じたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、アンビルを印字機に対向する印字位置に移動させる制御を行う。オペレータが帯状包装材に印字を行うことを急ぐ余りアンビルを印字機に対向する印字位置に移動させる作業を忘れるようなことがあっても、カバーが閉じられたことに応答して、ホルダをアンビルと共に印字機に対向した印字位置に自動的に移動させるので、印字抜けを未然に防止することができる。
【0021】
この印字装置を備える製袋充填包装機において、前記印字機の印字動作と前記ホルダの移動動作の制御を司る制御装置が備わっており、前記制御装置は、前記アンビルが前記印字機に対向する印字位置を占めていない状態において、前記点検扉が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置にその旨の警報を発する指令を出すとともに、前記アンビルの位置が前記印字位置に移動するように前記ホルダの移動を制御することができる。この製袋充填包装機によれば、印字機が包装袋の仕様に応じて帯状包装材の幅方向に移動されて、アンビルが印字機に対向する印字位置を占めていない状態にあるときには、制御装置は、点検扉を閉じたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置にアンビルが印字位置を占めていない旨の警報を発する指令を出すとともに、アンビルを印字機に対向する印字位置に移動させる制御を行う。オペレータは、点検扉を閉じて帯状包装材に印字を行う段階に移行しようとし、更に当該段階に移行することを急ぐ余りアンビルを印字機に対向する印字位置に移動させる作業を忘れるようなことがあっても、警報装置の警報に接することになるので、アンビルが所定の印字位置にないことを認識することができるとともに、ホルダはアンビルと共に印字機に対向した印字位置に自動的に移動されるので、印字抜けを未然に防止することができる。
【0022】
この印字装置を備える製袋充填包装機において、前記製袋充填包装機には、前記制御装置の制御に関して前記印字機と前記アンビルについての情報を表示可能な表示パネルが備わっており、前記表示パネルに表示される前記情報には、前記点検扉が開き位置にあるか又は閉じ位置にあるかの点検扉位置情報、前記印字機が前記印字位置にあるか又は当該印字位置から離れた位置にあるかの印字機位置情報、前記アンビルが前記印字位置にあるか又は当該印字位置から離れた位置にあるかのアンビル位置情報、及び前記制御装置が行う前記印字機及び前記アンビルに関する制御についての設定情報を含めることができる。表示パネルには、点検扉が開き位置にあるか又は閉じ位置にあるかの点検扉位置情報と、印字機が印字位置にあるか又は印字位置から離れた位置にあるかの印字機位置情報と、アンビルが印字位置にある印字機に対向する印字位置にあるか又は当該印字位置から帯状包装材の幅方向に離れた位置を占めているかのアンビル位置情報と、制御装置が行う印字機及びアンビルに関する制御の設定情報が表示されるので、オペレータは印字機とアンビルの位置状態を表示パネルに表示される内容から把握することができ、印字機及びアンビルに関する制御についても適切な対処と設定作業を行うことができる。
【0023】
この印字装置を備える製袋充填包装機において、前記点検扉は、当該点検扉の閉じ状態で前記印字機に対する前記アンビルの位置を前記点検扉の外側からオペレータが目視可能な透明窓を備えることができる。点検扉についてこのような構造とすることで、製袋充填包装機のオペレータは、点検扉を開くことなく、点検扉の外側から印字機に対するアンビルの位置(正対する対向位置)が適切であるか否かを目視にて点検・確認をすることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明による印字装置を備える製袋充填包装機は、上記のように、包装材供給部において帯状包装材の供給経路に沿って配設されている印字装置を備えており、印字装置は、帯状包装材の表側に印字を施す印字機と、帯状包装材を挟んで印字機に対向配置されていて印字機が行う帯状包装材への印字に対する裏当てとなるアンビルとを有している。包装材供給部がカバー体で覆われていて、カバー体にはその一部として外側に開閉可能な点検扉が設けられており、点検扉の内側には、アンビルが取り付けられるホルダ、及び帯状包装材を挟んで印字機に対向する位置でホルダを帯状包装材の幅方向に移動可能にする移動機構が点検扉に沿って設けられているので、ホルダと当該ホルダを介してアンビルを移動させる移動機構を点検扉を利用してその内側にコンパクトに配設することができるとともに、包装袋の仕様に応じて印字機による帯状包装材への印字位置が帯状包装材の幅方向に変更された場合において、アンビルの位置が印字機に正対した対向位置にないときには、ホルダをアンビルと共に移動機構の動作によって帯状包装材の幅方向に移動させることでアンビルを印字機に対して正対した対向位置にもたらすことができる。このように、この印字装置を備える製袋充填包装機においては、オペレータは、アンビルの位置について手動で調節するのではなく、機械化された移動機構を作動させる意識の下にアンビルを移動させるので、手動の場合のような位置調節忘れによる印字抜けを防ぐことができる。また、包装機のオペレータは、点検扉をカバー体に対して外側に開いた状態で、アンビル、ホルダ及び移動機構へのアクセスが容易となり、延いてはこれらの点検・メンテナンスが容易となる。更に、印字機の位置が変更されたことに応じて、オペレータは、意識して移動機構を動作させることでアンビルの位置をホルダと共に移動させることになり、移動されたアンビルの位置と印字機の位置とを点検扉が開いている状態で見比べて対比することで、ホルダに取りつけられたアンビルが帯状包装材を挟んで印字機に対して正対する位置に移動していることを目視にて容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、この発明による印字装置を備えた製袋充填包装機の一実施例を示す図である。
【
図2】
図2は、アンビルユニットと移動機構の一例を拡大して示す図である。
【
図3】
図3は、アンビルユニットと移動機構の別の例を拡大して示す図である。
【
図4】
図4は、この発明による印字装置を備えた製袋充填包装機の別の実施例を示す図である。
【
図5】
図5は、製袋充填包装機に備わる制御装置に関する制御ブロック図である。
【
図6】
図6は、製袋充填包装機に備わる制御装置による制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、製袋充填包装機に備わる表示パネルの表示の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、従来の印字装置を備えた製袋充填包装機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による印字装置を備えた製袋充填包装機の実施例を説明する。
図1はこの発明による印字装置を備えた製袋充填包装機の一実施例をその要部について示す図である。また、
図2は、
図1に示した実施例のアンビルユニットを拡大して示す図である。製袋充填包装機自体、即ち、帯状包装材Fwを供給する包装材供給部52、及び包装材供給部52から供給される帯状包装材Fwから包装袋Bを製作しつつ包装袋B内に製品Sを収容し製品Sを収容した包装袋Bを封鎖することを順次繰り返して袋包装体Bpを連続的に製造する製袋充填包装機部51については、基本的に、例えば、
図8に示した従来の製袋充填包装機と同様の構成を備えており、当該構成については、
図8において付した符号と同じ符号を用いて説明したとおりであるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。なお、この実施例では、本発明を縦型の製袋充填包装機として説明するが、横型の製袋充填包装機のような製袋充填包装機であってもよい。
【0027】
包装材供給部52において帯状包装材Fwの供給経路Wsに沿って配設されている印字装置60が、当該配設位置を通過する帯状包装材Fwの表側に印字を施す印字機61と帯状包装材Fwを挟んで印字機61に対向配置されていて印字機61が行う帯状包装材Fwへの印字に対する裏当てとなるアンビル62とを有すること自体についても、従来の製袋充填包装機と同様の構成を備えており、当該構成については、
図8において付した符号と同じ符号を用いて説明したとおりであるので、ここでの再度の詳細な説明を省略する。
【0028】
図8を再度参照して、包装材供給部52の供給経路Wsにおいて、印字検査装置63の下流側には帯状包装材Fwが巻き掛けられるガイドローラ64が設けられている。ガイドローラ64のうち最も上流側のガイドローラ64aは、包装材供給部52における取付け位置が矢印で示すように上下方向に変更可能である。ガイドローラ64aの取付け位置を変更することで、印字装置60の配設位置から製袋充填包装機部51に至る帯状包装材Fwの供給経路の長さを変更することができる。帯状包装材Fwへの印字位置は、製作すべき包装袋Bの仕様に応じて帯状包装材Fwの幅方向に決められるのと同様、帯状包装材Fwの供給方向についても包装袋Bの長さを含めた包装袋Bの仕様に応じて決められる。
【0029】
帯状包装材Fwに対するその供給方向の印字位置は、包装に用いる帯状包装材Fw毎に異なる。これに対応するために、印字装置60それ自体の設置位置を帯状包装材Fwの供給方向に変更するのは、その作業が煩雑である。そこで、包装材供給部52における印字装置60の設置位置を変えずに、供給経路Wsの途上にあるガイドローラ64aの取付け位置を変更する。印字装置60の配設位置から製袋充填包装機部51に至る帯状包装材Fwの経路長さを変更し、印字装置60が目前を通過する帯状包装材Fwに対して印字すれば、その印字は、製袋充填包装機部51で製作された包装袋Bについては当該包装袋Bの仕様で定められた位置となる位置に正しく行われたものとすることができる。
【0030】
図1は、包装材供給部に設けられているアンビルユニットが、製袋充填包装機の周囲に配置されたカバーの一部としての点検扉に設けられている様子を示す概略図である。製袋充填包装機50は包装する製品が食品である場合が殆どであるので、衛生上の観点から製袋充填包装機50の全体が、透明なアクリル板を組み立てて成るカバー体1で覆われている。カバー体1は包装材供給部52も覆っていて、カバー体1の包装機背面側の一部は、フレーム枠で囲まれた透明窓3を有する点検扉2となっている。点検扉2は、例えば蝶番等による回動動作によってカバー体1に対して外側に開閉可能であり、
図1では、開いた状態にある点検扉2の正面を図示している。点検扉2が開かれた状態では、閉じた点検扉2に近接して配置されていて且つカバー体1の内部に残されている包装材供給部52の構成部品として印字機61と印字検査装置63とを見ることができる。点検扉2はカバー体1の外側に開くので、包装材供給部52とは干渉しない。
透明窓3は、閉じ状態にある点検扉2において、オペレータが印字機61に対するアンビル6の位置を点検扉2の外側から目視可能となるような位置と範囲で設けることができる。点検扉2をこのような構造とすることで、製袋充填包装機のオペレータは、点検扉2を開くことなく、点検扉2の外側からアンビル6が適切な位置(印字機61に正対した対向位置)にあるか否かを目視にて点検・確認をすることができる。
【0031】
カバー体1内の包装材供給部52においては、縦上方に供給される帯状包装材Fwの供給経路Ws(
図8参照)に沿って印字装置60が配設されており、印字装置60は、帯状包装材Fwの奥側に帯状包装材Fwに近接して配置されていて目前を通過する帯状包装材Fwの表側に印字を施す印字機61と、点検扉2を閉じた状態では供給経路Wsに沿って延びる帯状包装材Fwの手前側に近接配置されることになるアンビルユニット4とから成っている。アンビルユニット4は、印字機61が帯状包装材Fwに印字を行う場合には、帯状包装材Fwを挟んで印字機61に正対した対向位置に配置されていることが肝要である。帯状包装材Fwへの印字位置を変更可能にするため、印字機61は帯状包装材Fwの幅方向Wに移動可能である。印字機61のこの移動は、通常、包装袋の印刷仕様等に基づいて制御装置で設定された位置に移動するように、印字機移動機構(図示せず)によって手動又は自動で行われる。
【0032】
アンビルユニット4は、点検扉2の内側に設けられており、略ボックス状のホルダ5と、ホルダ5に取り付けられたマット状のアンビル6とを備えている。アンビル6は、印字機61が行う帯状包装材Fwへの印字に対する裏当てとなっており、印字機61が帯状包装材Fwに印字を行う際に生じるインパクト(衝撃力)を受け止めることができる素材と厚みを備えている。点検扉2を閉じたときには、帯状包装材Fwは僅かな隙間を介して印字機61とアンビル6に挟まれた状態となり、点検扉2は不意に開かないように適宜、ロック具7によってロックされる。
【0033】
印字装置60のメンテナンスを行う場合には、点検扉2を開いた状態とすることで、カバー体1側に残る印字機61と印字検査装置63へのアクセスが容易になる。点検扉2を開くときに点検扉2と共に開き側に移動したアンビルユニット4についてもオペレータはアクセスし易くなり、メンテナンスを容易に行うことができる。帯状包装材Fwへの印字位置を変更するときには、印字機61や印字検査装置63を帯状包装材Fwの幅方向に移動させるが、アンビルユニット4についても印字機61との対向位置を保つためには、移動機構10によって帯状包装材Fwの幅方向Wに移動される。
【0034】
図2は、アンビルユニットと移動機構の一例を拡大して示す図である。
図2(a)はアンビルユニットと移動機構を拡大して示す正面図であり、
図2(b)は
図2(a)に示すアンビルユニットと移動機構をモータの背後側から見た側面図である。
図1及び
図2を参照すると、アンビルユニット4を移動可能にする移動機構10が設けられている。移動機構10は二本の平行なガイド棒11,11を備えており、ガイド棒11,11はその両端が点検扉2のフレーム枠の内側に設けられた支持部8,8に取り付けられている。ホルダ5には、二つの平行に貫通するガイド孔12,12が形成されており、ガイド孔12,12にガイド棒11,11が嵌まり合っていることで、ホルダ5がガイド棒11,11に沿って案内される。ホルダ5の移動を円滑にするため、ガイド孔12,12にはガイド棒11,11と滑らかに摺動可能なスリーブ13,13を適宜取り付けることができる。
【0035】
ホルダ5を移動させる移動機構10は、更に、点検扉2に設けられた駆動源としてのモータ14と、駆動源の回転出力を直線移動に変換するネジ機構15を備えている。ネジ機構15は、ガイド棒11と平行に軸線が延びているネジ軸16と、ホルダ5に備わっており且つネジ軸16に螺合するナット17を備えている。ネジ軸16は、その両端が点検扉2の適宜の箇所に設けられている支持部8に対して軸受によって回転可能に支持されている。ホルダ5には、ネジ軸16が貫通するための貫通孔18がガイド孔12,12に平行に形成されている。ナット17は、ホルダ5内に貫通孔18と同心状に形成された拡大孔18a内に、ホルダ5に対して軸方向に移動せず且つ回転もしないように固定された状態で取り付けられている。
【0036】
移動機構10は、更に、モータ14の出力軸に設けられたスプロケット19と、ネジ軸16に備わるスプロケット20とに巻き掛けられたチェーン21とを備えており、モータ14の回転出力がスプロケット19,20とチェーン21による動力伝達機構を介してネジ軸16に伝達される。モータ14の出力軸からネジ軸16への動力伝達機構は、チェーン21に限らず、歯車やベルトであってもよい。この移動機構10によれば、点検扉2を閉じてモータ14によってネジ軸16が駆動されるとき、ホルダ5に固定的に備わるナット17はネジ機構15のネジ送り作用によってホルダ5と共にネジ軸16に沿って移動される。点検扉2を閉じた状態では、ガイド棒11,11及びネジ軸16は帯状包装材Fwの幅方向Wに延びているので、ホルダ5はアンビルと共に、ガイド棒11,11によって帯状包装材Fwの幅方向Wに案内される。
【0037】
上記の例では、モータ14を点検扉2に搭載し、ネジ軸16を回転駆動し、ナット17をホルダ5内で非回転としていたが、これに代えて、
図3に示すように、モータ14をホルダ5内に搭載する構造としてもよい。
図3は、アンビルユニットと移動機構の別の例を拡大して示す図である。
図3(a)はアンビルユニットと移動機構を拡大して示す正面図であり、
図3(b)は
図3(a)に示すアンビルユニットと移動機構を示す側面図である。
図3に示すアンビルユニット4aと移動機構10a等においては、
図1及び
図2に示すアンビルユニット4と移動機構10等に用いられる要素と同等のものには
図1及び
図2に用いたのと同じ符号を用いることで、再度の説明を省略する。
図3に示すアンビルユニット4aにおいて、モータ14の回転出力は、スプロケット19,20とチェーン21による動力伝達機構を介して、ホルダ5内に軸方向移動はできないが回転可能に支持されたナット17に伝達される。回転駆動されるナット17は、点検扉2に回転しないように取り付けられたネジ軸16とのネジ送り作用によって、ホルダ5と共にネジ軸16の軸線方向に移動する。なお、上記のいずれのアンビルユニット4,4aにおいても、二本のガイド棒11,11を用いていたが、ナット17にもホルダ5に対する拘束力があるので、ガイド用に設けるガイド棒は一本であってもよい。
【0038】
図4は、この発明による印字装置を備えた製袋充填包装機の別の実施例を示す図である。
図4は、印字装置を備えた製袋充填包装機の包装材供給部を覆うカバー体をその内側から見たときのアンビルユニットとその移動機構を示す正面図である。
図4に示すアンビルユニット4bと移動機構10b等においても、
図1及び
図2に示すアンビルユニット4と移動機構10等に用いられる要素と同等のものには
図1及び
図2に用いたのと同じ符号を用いることで、再度の説明を省略する。この実施例においては、二本のガイド棒11,11は、カバー体1の内側に設けられている。ネジ送り作用をするネジ軸16は、カバー体1の内側において、二本のガイド棒11,11と平行で且つ回転可能に取り付けられている。駆動源であるモータ14はカバー体1に備わっており、ナット17はホルダ5に対して帯状包装材の幅方向に移動することなく且つ回転もできないように固定的に取り付けられている。モータ14の回転出力がネジ軸16に伝達され、ナット17がネジ軸16とのネジ送り作用によってホルダ5と共にガイド棒11,11に沿って移動する。
【0039】
図5は、この印字装置を備える製袋充填包装機における制御装置の制御ブロック図である。製袋充填包装機50に備わる制御装置30は印字機61の位置とホルダ5の位置の制御を司るものであり、制御装置30には製袋充填包装機50に設けられるセンサ部31からの各種センサで検出した信号が入力される。センサ部31には、例えば
図1に示すように、点検扉2に設けられており点検扉2の開閉を検出する点検扉センサ32と、包装材供給部52側に設けられており印字機61の位置を検出する印字機センサ33と、点検扉2に設けられておりアンビルユニット4(アンビルユニット4a,4bについても同様)の位置を検出するアンビルユニットセンサ34とが含まれている。点検扉2を設けない場合には、アンビルユニットセンサ34はカバー体1のアンビルユニット4の位置を検出可能な適宜位置に配置される。
【0040】
制御装置30は、センサ部31からの検出信号を受けて印字機61とホルダ5についての総合的な演算をする主演算部35と、主演算部35の演算結果に基づいて印字機61について特にその幅方向Wの移動ための印字機用モータ(図示せず)の運転を制御する印字機用制御部36と、同じく主演算部35の演算結果に基づいてアンビルユニット4について特にその幅方向Wの移動ためのアンビルユニット用の駆動源としてのモータ14の運転を制御するアンビルユニット制御部37を備えている。また、制御装置30は警報制御部39を備えており、製袋充填包装機50には、警報制御部39からの制御を受けて作動する警報装置40が備わっている。
【0041】
製袋充填包装機50には、制御装置30に関連して表示パネル41が備わっている。オペレータは、表示パネル41から製袋充填包装機50の運転のための各種設定が可能であり、設定内容は制御装置30の記憶部38に記憶される。また、表示パネル41には、主演算部35からの表示指令に基づいて製袋充填包装機50の各種状態を表示させることができる。
【0042】
図6は、
図5に示す制御装置が印字装置に関して行う制御フローの一例を示している。製袋充填包装機50の運転開始の際、又は包装材ロールの交換の際に、印字抜け防止のための採るべき設定が選択される(ステップ1、「S1」と略す。以下同じ)。S1では、アンビルユニット4が印字位置を占めていない状態において、点検扉2が閉じられたときに採るべき方策として、[A]が「警報の報知」であり、[B]が「アンビルの(印字位置への)自動移動」であり、[C]が[A]と[B]の両方を行うことであり、[A]~[C]いずれかが選択される。
【0043】
印字装置60のメンテナンスのような際には、カバー体1の点検扉2が開かれる(S2)。次に、点検扉2が開かれているか否かが確認される(S3)。通常は点検扉2が開かれているので確認はYesであるが、メンテナンスを直ちに終了したような場合には点検扉2が閉じられるので、確認はNoとなる。その場合、本制御フローは直ちに終了し、別の制御(例えば、印字機61の位置制御や印字制御)に移行するが、本発明とは関連がないので説明や図示を省く。S3で点検扉2が開いていると判断されると、次に、アンビル6が印字位置にあるか否かが判断される(S4)。アンビル6が印字位置にあるときは、S3に戻って点検扉2が開かれているかが判断される。S4でアンビルが印字位置にないとの判断の場合には、更に点検扉2が閉じられたか否かが判断される(S5)。S5で点検扉2が閉じられたと判断されたときは、S1での印字抜け防止の設定に応じて対処される。S4の判断でアンビルが印字位置になく且つS5の判断で点検扉2が開かれたままであるとされるときは、メンテナンスが継続中であるとされ、S5の判断が継続される。
【0044】
S5の判断で点検扉2が閉じられたとされたときには、S6において、S1でされた設定に応じて制御フローの振り分けが行われる。即ち、S1の設定で[A]が設定された場合には、制御装置30は警報装置40を作動させて、警報(音声、ランプ等)を発するように制御する(S7)。警報に接したオペレータは警報を停止させる、点検扉2を開く、アンビル6を移動させる等の適宜の処置を行い(S8)、オペレータの処置によりアンビル6が印字位置に戻る(S9)ことで、今回の印字抜け防止フローは一旦、終了する。
【0045】
S6における制御フローの振り分けに際して、S1の設定で[B]が設定された場合には、アンビル6の印字位置への自動移動のため、アンビルユニット4が移動される(S10)。この自動移動動作において、アンビル6が印字位置に達したか否かが判断される(S11)。アンビル6が印字位置に移動していないときには、この自動移動動作が継続され、アンビル6が印字位置に移動した(S12)とき、アンビルユニット4の移動を停止する(S12)。
【0046】
S6における制御フローの振り分けに際して、S1の設定で[C]が設定された場合には、S7~S9の警報報知の各ステップがこの順で実行され(S13)、次いで、S10~S12のアンビルの自動復帰の各ステップがこの順で実行され(S14)。
【0047】
S1の設定で[A]が設定されていた場合、制御装置30は、上記S7~S9で説明したように、アンビルユニット4に関して、アンビル6が印字機61に対向する印字位置から帯状包装材Fwの幅方向Wに外れた位置を占めているとのアンビル位置情報を受けていて、包装材供給部52を覆う点検扉2が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置40にその旨の警報を発する指令を出す。オペレータは、警報装置40の警報に接することにより、アンビル6が所定の動作位置にないことに対処することができ、また、印字機61の印字動作指令が出されている場合には、この印字指令が無効にされるので、印字機の印字動作が行われず、印字抜けを未然に防止することができる。
【0048】
S1の設定で[B]が設定された場合、制御装置30は、上記S10~S12で説明したように、アンビルユニット4に関して、アンビル6が印字機61に対向する印字位置から帯状包装材Fwの幅方向Wに外れているとのアンビル位置情報を受けていて、且つ包装材供給部52を覆う点検扉2が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、アンビルの6位置を印字位置に移動させる制御を行うことができる。点検扉2が閉じられるのは、印字機等のメンテナンスが終了して帯状包装材Fwへの印字がOKとなることであるから、制御装置はアンビルを印字機61との対向位置に移動させる制御を行う。
【0049】
S1の設定で[C]が設定された場合、制御装置30は、上記S13~S14で説明したように、アンビルユニット4に関して、アンビル6が印字機61に対向する印字位置から帯状包装材Fwの幅方向Wに外れた位置(退避位置)を占めているとのアンビル位置情報を受けていて、包装材供給部52を覆う点検扉2が閉じられたとの扉開閉情報を受けたことに応答して、警報装置にその旨の警報を発する指令を出し、次いで、アンビルの6位置を印字位置に移動させる制御を行う。
【0050】
図7には、製袋充填包装機50が備えていて、制御装置30の制御に関して印字機61とアンビル6についての情報を表示可能な表示パネル41の表示例が示されている。
図7(a)は、点検扉と印字装置の位置と動作についての表示画面の一例を示しており、
図7(b)は、印字抜け防止の設定を行う表示画面の一例を示している。
図7(a)に示すように、表示パネル41には、点検扉2が開き位置にあるか又は閉じ位置にあるかの点検扉位置情報、印字機61が印字位置にあるか又は印字位置にない(退避位置にある)かの印字機位置情報、アンビルが印字位置にあるか又は印字位置にない(退避位置にある)かのアンビル位置情報の各情報が表示されている。表示の態様として、実際に占める位置(移動中も含む)に応じて、ハイライト表示をさせることができる。
【0051】
表示パネル41に点検扉、印字機及びアンビルユニットの位置情報を表示させることにより、オペレータは、表示パネルを見ることで、点検扉、印字機及びアンビルの位置を確認でき、これらの表示内容から印字装置60が印字可能な状態であるかメンテナンス中であるかの状態を把握することができ、適切な対処を行うことができる。特に、アンビル6が印字位置にないにも関わらず印字機61を動作させてしまうことによる印字抜けを防止することができる。
図7(a)の印字機61及びアンビルユニット4についての表示は、単に表示だけでなく、その位置をタッチすることで、印字機61及びアンビルユニット4をタッチした位置に移動させる制御を行ってもよい。
【0052】
図7(b)に示すように、表示パネル41には、アンビル6が印字位置にない場合において点検扉2が閉じられたときに、印字抜け防止対策として、制御装置30が行う印字機61及びアンビル6に関する制御についての設定情報が表示されている。オペレータは、アンビル6が印字位置にないときに点検扉2が閉じられたときに、制御装置30が採る制御として、[A]警報を発する、[B]アンビルを印字位置に自動移動、[C]AとBの両方をラジオボタン式に選択して設定することができる。
図7では(a)と(b)に分けて示したが、パネル面に余裕があれば、印字装置関連として、両方を同時に表示してもよく、また、
図7(a)の各項目を項目毎に別画面で詳細に表示してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 カバー体 2 点検扉
3 透明窓 4,4a,4b アンビルユニット
5 ホルダ 6 アンビル
7 ロック具 8,8 支持部
10,10a,10b 移動機構 11,11 ガイド棒
12,12 ガイド孔 13,13 スリーブ
14 モータ 15 ネジ機構
16 ネジ軸 17 ナット
18 貫通孔 18a 拡大孔
19 スプロケット 20 スプロケット
21 チェーン
30 制御装置 31 センサ部
32 扉センサ 33 印字機センサ
34 アンビルユニットセンサ 35 主演算部
36 印字機制御部 37 アンビルユニット制御部
38 記憶部 39 警報制御部
40 警報装置 41 表示パネル
50 縦型製袋充填包装機 51 製袋充填包装機部
52 包装材供給部 53 製筒器(フォーマ)
54 充填筒 55 縦シール装置
56 横シール部 57 包装材搬送部
58 ダンサーローラ部 59 紙継ぎ装置
60 印字装置 61 印字機
62 アンビル 63 印字検査装置
64(64a~64c) ガイドローラ
65 定位置ローラ群 65a~65c 定位置ローラ
66 移動ローラ群 66a,66b 移動ローラ
67 回動レバー 68a,68b 櫛歯
Fr 包装材ロール Fw 帯状包装材
Ft 筒状包装材 B 包装袋
Bp 袋包装体 Ws 供給経路
Wh 水平送り経路 W 幅方向