(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】表示手段
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240322BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G16H10/00
A61H7/00
(21)【出願番号】P 2019235857
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】509117687
【氏名又は名称】株式会社日本イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】西村 光久
(72)【発明者】
【氏名】千葉 隆夫
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/174425(WO,A1)
【文献】特開2014-104178(JP,A)
【文献】特開2018-072946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61H 7/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間されて配置された導電性を有する2つの端部部材と、少なくとも被施術者側に配置された磁石と、両方の前記端部部材間の通電を可能とする導電回路と、を備え、一方の前記端部部材を被施術者の体外表面上で滑らせるように移動させたときに、前記磁石によって誘導された身体の深部における静電気を除去するマッサージ器具によるマッサージに利用される被施術者の身体を表示する表示手段であって、
身体図と、該身体図に重なって表示される所定の数で領域を区切る罫線と、これら分割された各領域に対してそれぞれ表示される固有の位置情報と、
前記各領域における体外表面に対する直角方向の深度を表す深度情報と、が表示されるモデル表示
部を備えることを特徴とす
る表示手段。
【請求項2】
前記深度情報は、段階的に表されることを特徴とする請求項1に記載の表示手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施術者に対して行われた施術内容を共有可能に記録管理する管理方法及び管理方法に用いられる表示手段に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の体調を整えるマッサージの施術方法として、代表的なものが押圧式のマッサージである。このような押圧式のマッサージでは、球体などの角が取られ丸みを帯びた先端部を有するマッサージ器具(例えば、特許文献1参照。)を用いるなどし、被施術者の身体を押圧した状態で縦横に移動させる求心的な施術を行うことにより、体内の老廃物を流すとともに血行を改善しリンパの流れも促進することができる。また、血行を効果的に改善するために、磁気を発生させる構造を有する押圧式のマッサージ器具も広く用いられている。
【0003】
このようなマッサージは、被施術者の症状に合わせて押圧する箇所が異なるため、マッサージの施術が行われる施設では、同じ被施術者に対して複数回の施術を行う際において施術内容の共有を目的として、被施術者への施術内容を記録するのが通例である。従来は、施術内容として被施術者の症状と施術時に押圧した箇所を紙面にボールペンなどの筆記用具を用いて記入するのが一般的である。施術時に押圧した箇所については、例えば「足の付根」や「左胸の下方寄り」など、その位置を伝える記載を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-200551号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように記録された施術内容は、同じ被施術者に対して複数回の施術を行う際に、これまでの施術内容を閲覧することで、これまでの状況を確認し、効果的な施術を行うために有用である。しかしながら、記載された「足の付根」や「左胸の下方寄り」のような表現は、施術者による主観的な説明であるといえ、施術を行うのに効果的な箇所を施術者が正確に把握することが難しく、結果的に施術時に再び施術を行うのに効果的な箇所を探る必要があり、施術時間を効果的に活用できない虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、同じ被施術者に対して複数回の施術を行う際に、的確な施術を迅速に行うことができるように、施術内容を記録管理する管理方法及び管理方法に用いられる表示手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の施術内容を記録管理する管理方法は、
身体図を所定の数で分割しそれぞれ位置情報を付した領域のうち特定の領域の位置情報と、該特定の領域における深度を表す深度情報と、をそれぞれ指定して、被施術者を特定する情報とともに共有可能に記録することを特徴としている。
この特徴によれば、身体図を所定の数で分割した領域に区切り、その中から特定の領域の位置情報を指定することで、施術した箇所を客観的な目安に基づき正確に記録することができることに加えて、対応する領域における深度情報を指定することができるため、被施術者の身体において効果的な施術箇所を立体的に記録でき、同じ被施術者に対して複数回の施術を行う際に、これら位置情報と深度情報を身体図で参照することで、施術した箇所を正確に把握でき、的確な施術を迅速に行うことができる。
【0008】
前記深度情報は、体表面に対する直角方向の深度を表すことを特徴としている。
この特徴によれば、深度情報の基準が明確となり、施術者がその深度を把握しやすい。
【0009】
前記深度情報は、段階的に表されることを特徴としている。
この特徴によれば、深度情報の度合いを確実かつ容易に把握でき、的確な施術を迅速に行うことができる。
【0010】
前記特定の領域とは別の領域の位置情報を指定して、施術を行った箇所に対するマッサージ器具のアプローチ領域を記録することができる指示記録手段を更に備えることを特徴としている。
この特徴によれば、マッサージ器具のアプローチ領域を記録することで、続く施術を行う施術者に施術指導を行え、的確な施術を迅速に行うことができる。
【0011】
前記領域は、身体を大分するパーツごとにグループに分類され、前記位置情報には、分類された前記グループを示す情報が付与されていることを特徴としている。
この特徴によれば、施術内容を閲覧した施術者としては、施術した箇所を示す領域の大まかな位置を把握することができ、迅速に当該箇所を見つけることができる。
【0012】
前記身体図と該身体図に重なり上下左右方向に所定の数で領域を区切る罫線とを表示するモデル表示手段を備えるとともに、前記罫線により区切られた領域を前記モデル表示手段上で選択することで当該領域に付された前記位置情報を指定することができる指定手段を更に備えることを特徴としている。
この特徴によれば、施術を行った施術者としては、施術を行った箇所をモデル表示手段上から視覚的に探し出せるため簡便に指定を行うことができることに加え、施術内容を閲覧した施術者としては、施術時に押圧した箇所を示す領域を視覚的に把握することができ、迅速に当該箇所を見つけることができる。
【0013】
前記深度情報は、前記モデル表示手段において選択した領域上にて、各段階で異なる表示として表現されることを特徴としている。
この特徴によれば、深度情報を客観的な目安に基づき正確に記録することができ、施術者に関わらずに、施術を行った箇所が位置する深度を正確に共有することができる。
【0014】
記録された前記領域の位置情報と前記深度情報とは、施術の度に、これら前記領域の位置情報と前記深度情報との指定を行った施術者を特定する情報とともに履歴として記録されることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の施術内容にて指定された領域の位置情報と深度情報を参酌することで、不調を改善する効果の高い箇所を精度良く割り出すことが可能であり、施術内容を確認してこれから施術にあたる施術者にあっては、迅速に当該箇所を探し出し、スムーズに施術を行うことができる。
【0015】
前記課題を解決するために、本発明の施術内容を記録管理する管理方法に用いられる表示手段は、
身体図と、該身体図に重なって表示される所定の数で領域を区切る罫線と、これら分割された各領域に対してそれぞれ表示される固有の位置情報と、が表示されるモデル表示手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、分割された各領域に対して付された位置情報を共有することで、施術内容を閲覧した施術者としては、施術時に押圧した箇所を示す領域を視覚的に把握することができ、的確な施術を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1における施術内容を記録管理する管理方法を実現する管理システムの構成図である。
【
図2】管理システムを構成するカルテアプリのログイン画面を示す図である。
【
図8】マッサージ器具の施術の様子を示す斜視図である。
【
図10】被施術者の体内や体外表面の静電気が取り除かれる様子を示すイメージ図である。
【
図11】永久磁石により被施術者の体内や体外表面の電子の活発な移動が誘発される様子を示すイメージ図である。
【
図13】記録画面におけるモデル表示にて施術を行った領域が選択された状態を示す図である。
【
図14】モデル表示にて施術を行った箇所の深度が選択された状態を示し、(a)は当該箇所が深い場合を、(b)は当該箇所が浅い場合をそれぞれ示す図である。
【
図15】(a)は不調を改善する効果の高い箇所へのマッサージ器具のアプローチを示す斜視図であり、(b)はモデル表示に対して、当該箇所へアプローチする際に選択した方向を指定した状態を示す図である。
【
図17】変形例におけるカルテアプリの履歴画面を示す図である。
【
図18】カルテアプリのモデル表示にて胴体部分を拡大した図である。
【
図19】(a)は同じく下半身部分を示す図であり、(b)は同じく下半身部分を横から見た図である。
【
図20】(a)は片方の足を示す図であり、(b)は同じく片方の足を横から見た図である。
【
図21】本発明の実施例2における施術内容を記録管理する管理方法を実現する表示手段を示すタブレット端末に表示されたモデル表示を示す図である。
【
図22】同じく施術内容を記録管理する記録用紙を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る施術内容を記録管理する管理方法及び管理方法に用いられる表示手段を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1に係る施術内容を記録管理する管理方法及び管理方法に用いられる表示手段につき、
図1から
図20を参照して説明する。
【0019】
本実施例の施術内容を記録管理する管理方法は、
図1に示されるようなタブレット端末12を用いて被施術者に対応する電子カルテを作成し、後任の施術者に過去の施術内容を共有するものである。タブレット端末12は、各施術施設にそれぞれ1台から複数台配置されており、それぞれがインターネットを介して管理サーバ13に接続されている。タブレット端末12には、それぞれ固有の識別情報が付されており、管理サーバ13では、この識別情報に基づきタブレット端末12を識別することができるようになっている。管理サーバ13とタブレット端末12により施術内容を共有可能に記録管理する管理システム11が構成されている。
【0020】
タブレット端末12には、所定のアプリケーション(以下「カルテアプリ」という)がインストールされている。カルテアプリが起動されると、タブレット端末12の表示画面には
図2に示されるログイン画面15が表示される。
【0021】
ログイン画面15では、施術者毎に付与されたID(施術者を特定する情報)と対応するパスワードを入力する入力欄がそれぞれ表示され、施術者のログインが促される。これらの入力欄に入力された情報は管理サーバ13に送信され、管理サーバ13にて管理される施術者データベースにて照合され、正当であることが確認されると、管理サーバ13はタブレット端末12の表示画面に
図3に示される初期画面16を表示させる。
【0022】
初期画面16には、新規の被施術者の施術内容を登録する登録画面19(
図4参照)に進む新規ボタン17と、既存の被施術者の施術内容に記録するための検索画面20(
図5参照)に進む検索ボタン18とが表示される。
【0023】
新規ボタン17が選択されると、初期画面16に変わって
図4に示される登録画面19が表示される。登録画面19には、氏名、生年月日、身長体重等、病歴、等の施術に必要な情報を入力する各種入力欄が表示される。これらの入力欄には、被施術者が自分で入力してもよいし、問診票等で施術者側が事前に把握した情報を入力してもよいが、入力欄に入力された情報は管理サーバ13に送信され、管理サーバ13にて被施術者のID(被施術者を特定する情報)が生成され、このIDに紐付けられて被施術者データベースに記録される。
【0024】
初期画面16にて検索ボタン18が選択されると、初期画面16に変わって
図5に示される検索画面20が表示される。検索画面20には、被施術者毎に付与された被施術者IDを入力する入力欄が表示され、入力欄に入力された被施術者IDは管理サーバ13に送信され、管理サーバ13にて管理される被施術者データベースにて照合され、この被施術者IDに対応する過去の施術内容が読み出し待機状態となる。
【0025】
管理サーバ13では、入力欄に入力された被施術者IDが被施術者データベースに存在した場合、タブレット端末12の表示画面に、被施術者の施術状況を管理するトップページ21を表示させる。トップページ21には、過去の施術内容を閲覧するアクションに進むための閲覧ボタン22と、施術内容を記録するためのアクションに進む記録ボタン23とが表示される。
【0026】
閲覧ボタン22が選択されると、トップページ21に変わって
図7に示される一覧画面24が表示される。一覧画面24では、当該被施術者に行われた過去の施術内容が日時と担当した施術者のIDとともにそれぞれ選択可能に一覧で表示され、選択することでその際の施術内容を閲覧することができる。記録ボタン23が選択されると、トップページ21に変わって
図12に示される記録画面25が表示される。
【0027】
次いで、本実施例におけるマッサージ器具を
図8から
図11を用いて説明する。
図8と
図9に示されるように、マッサージ器具1は、外装部2と外装部2内に内蔵される導電線6と永久磁石7とから主に構成されている。外装部2は、中央に上下に貫通する空間を有する円筒状の基部材3と、基部材3の上部に固定される上部材4と、基部材3の下部に固定される被施術者の身体に当てられる端部部材である下部材5と、から成る。
【0028】
基部材3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの導電性の材料からなり、円柱状のアルミニウムインゴット材料が切削加工や金型成型等により一体成型され、外面にアルマイトコーティングが施され、内部と外面とでは通電しない構造になっている。下部材5は、その内部に空間を備え、基部材3の下部の開口に固定されている。
【0029】
下部材5の内部の空間には、ネオジウム磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石等である永久磁石7が移動不能に配置されている。また、下部材5は、クロム鋼、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、ガドリウム、テルビウム、ステンレスなどの金属またはこれらの合金などの、強磁性体の材料からなっており、永久磁石7の磁力を下部材5の外部に透過させやすくなっている。上部材4はクロム鋼、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、ガドリウム、テルビウム、ステンレスなどの金属またはこれらの合金などの導電性の材料からなっている。
【0030】
図9に示されるように、下部材5の上面には、銅等の導電性の高い金属で形成された金属板8が当接状態で配置されている。金属板8は、切り曲げ加工により上方に突出する端子部8aを有しており、この端子部8aには、図示しない電線、抵抗器、ダイオード、導電端子を有する導電線6が固定されており、この導電線6の先端部6aは上部材4の内側の導電端子(図示せず)に近接して配置されている。導電線6は端子部8aとの接続部分を中心に、自由端部である先端部6aが揺動可能となっている。
【0031】
導電線6は上部材4と常時は接触しておらず、マッサージ器具1の非使用時では、端部部材である上部材4と下部材5とは非通電状態となっており、マッサージ器具1の使用時には、マッサージ器具1の移動により、導電線6の先端部6aが上部材4に一時的に近接する構造になっている。
【0032】
次いで、マッサージ器具1の使用方法と、その作用について説明する。
図8に示されるように、施術者Sはマッサージ器具1の基部材3の上部側を把持し、下部材5を被施術者Pの体外表面上で滑らせる、いわゆる求心的もしくは往復動を伴う施術を行う。
【0033】
人体は、活動における脳や神経の伝達に電気の流れを利用しているため、この活動に用いる電気の流れに体内や体外表面に帯電している静電気が悪影響を与えることが知られている。また、ミトコンドリアの活動などによって細胞間でも帯電しているといわれている。そこで、本発明のマッサージ器具1は、求心的な施術による血行改善機能に加え、静電気を多く帯電している被施術者Pの人体から静電気を取り除く、すなわち身体に溜まったプラスとマイナスの電荷を安定した状態に変化させていくことにより、人体の機能改善を実現したのである。そのメカニズムについて
図10と
図11を用いて以下に詳述する。
【0034】
施術者は下部材5を被施術者Pの体外表面上で滑らせる。このマッサージ器具1の滑動移動により、導電線6の先端部6aが上部材4に一時的に近接する。この施術初期では被施術者Pと施術者Sの両者間には相対的に電位差が存在し、導電線6の先端部6aと上部材4とが一時的に近接を繰り返すことにより、下部材5から上部材4側への通電が開始される。
【0035】
このとき、導電線6の先端側には、下部材5の被施術者Pの身体と接触する側のプラス電荷が対極の上部材4側のマイナス荷電と互いに引合う状態で集まる。これらの電荷の移動によって、導電体には下部材5側から導電線6の先端部6a方向へ電流が流れる。いわゆる誘起電荷が生じることになる。
【0036】
導電線6の先端側にはプラス電荷が集中し、導電線6の先端部6aと上部材4側との電位勾配(電界)が強くなると、やがて空気の電離エネルギーを超え、導電線6から近接する上部材4に向けて空中放電が生じる。この空中放電により、下部材5、導電線6、上部材4を通して、被施術者Pと施術者Sとの間に瞬間的に通電状態が発生する。このときプラスの極性に偏って帯電している被施術者Pの身体と施術者Sとの間の上述した電位差により、プラスの極性に偏って帯電している被施術者Pの身体から施術者Sの方向に間欠的に電流が発生し、その後、電位差の解消により電流が切れ、揺動により導電線6の先端部6aと上部材4とが離間する。この電流移動により、施術者Sの身体からマッサージ器具1を通して、被施術者Pの身体へマイナスの電荷が移動する。
【0037】
また、
図11に示されるように、上下にN極とS極が位置するように下部材5の内部に配置された永久磁石7の磁束は、強磁性体である下部材5を通して被施術者Pの体内に影響しており、下部材5を被施術者Pの体外表面上で移動させることで、磁束の影響が強く与えられる箇所において、電磁誘導作用により施術者Sから被施術者Pに流れたマイナスの電荷は身体の内部において活発な移動を誘発され、プラスの極性に偏って帯電している箇所のバランスが整えられる、言い換えると被施術者Pの体内の静電気が取り除かれ、静電気に起因する不調を改善することができる。
【0038】
詳しくは、被施術者の身体の内部において、ミトコンドリアの活動などによって細胞間でプラスの極性に偏って帯電している箇所があると、その箇所との位置関係に関わらず、同じ身体を構成する細胞によって繋がった特定の箇所で身体の不調に大きく影響していることが、長年の施術経験と研究により判明している。つまり、施術者としては、被施術者から聞いた不調の原因になっている、プラスの極性に偏って帯電している箇所、言い換えると不調を改善する効果の高い箇所を探し当て、その箇所に対して集中的に永久磁石7の磁束を影響させることが必要になる。
【0039】
施術者は、不調を改善する効果の高い箇所を探すにあたり、マッサージ器具1の下部材5を被施術者Pの体外表面上で移動させる。また、同時に下部材5を被施術者Pの身体に対して求心させる際の、その深さ方向に変えることで、被施術者Pの身体の内部において磁束を強く影響させる位置を変え、深さ方向に対しても不調を改善する効果の高い箇所を探ることをする。上述したように、マッサージ器具1を動かすことで、下部材5、導電線6、上部材4を通して、被施術者Pと施術者Sとの間が瞬間的に通電状態となり、被施術者Pの身体から施術者Sの方向に間欠的に電流が発生するが、特にプラスの極性に偏って帯電している箇所については、施術者が感じる電気的な感触が他の箇所と明らかに異なることが長年の施術研究により判明している。
【0040】
また被施術者にあっても、当該箇所にマッサージ器具1の磁束が影響している状態における施術中に感じる電気的な感触が、他の箇所と異なることを感じ取ることができ、施術者と被施術者とが互いに当該箇所を確認することができる。
【0041】
このようにして、施術者は不調を改善する効果の高い箇所を探し出し、その箇所に対して集中的に永久磁石7の磁束を影響させることで、被施術者の不調を効果的に解消させることができる。
【0042】
カルテアプリの説明に戻る。
図12に示されるように、記録画面25では、被施術者のIDと施術者のIDと施術日時と、被施術者から問診した症状や実際に施術を行いながら施術者が判断した症状を残すためのコメント入力欄26と、実際に施術を行った箇所と深度を示すことができるモデル表示27と、が表示される(モデル表示手段)。
【0043】
モデル表示27は、ディスプレイ上でタッチ操作によりスクロール,回転,3D回転,拡大縮小が行える三次元イメージデータであり、
図13に示されるように、平均的な標準体型の骨格図(身体図)28と、縦横に延びる罫線29A,29Bとが重ねて表示されるものである。また、モデル表示27は、ここでは図示しないが男女の身体図から任意に選択できるようになっており、本実施例では女性の身体図が選択されている場合を例に取り説明する。
【0044】
詳しくは、
図13と
図18から
図20までのイメージ図にて示すように、三次元イメージデータである骨格
図28を包むように、縦横に延びる罫線29A,29Bが網目状に表示されており、この罫線29A,29Bにより、体表の起伏形状が表現されている。この体表の起伏形状については、平均的な標準体型のものとなっている。
【0045】
また、モデル表示27は、身体の大まかな属性でグループ分けされている。詳しくは、頭部,胸部,右腕,左腕,下腹部周り,右脚,左脚に分類されており、罫線29A,29Bで構成された網目がそれぞれの分類で異なる大きさに形成されている。例えば、本実施例における胸部は、上下方向では、第一頚椎の上端から第12胸椎の下端まで、左右方向では、両肩の肩甲骨の肩峰までを基準として、それぞれ頭部,下腹部周り,右腕,左腕と区別されている。
【0046】
網目は、罫線29A,29Bで四方を囲まれて構成されており、その内側にそれぞれ罫線29A,29Bで囲まれた領域30に対応する識別情報が表示される。各領域30は頭部,胸部,右腕,左腕,下腹部周り,右脚,左脚でそれぞれの分類で、仮想の体表面をそれぞれに設定された所定の数で分割している。
【0047】
身体は、頭部,胸部,右腕,左腕,下腹部周り,右脚,左脚にて、身体の大まかな属性でグループ分けされて、それぞれの領域には、どこのグループに対応するかを判別できる情報として、頭部H,胸部C,右腕RA,左腕LA,下腹部周りS,右脚RL,左脚LLがそれぞれの識別情報に含まれている。例えば、
図13で選択されている領域30は、胸部に分類され、識別情報はC141である。これによれば、施術内容を閲覧した施術者としては、施術した箇所を示す領域の大まかな位置を即座に把握することができ、迅速に当該箇所を見つけることができる。
【0048】
図13に示されるように、施術者は上述した方法で探し出した不調を改善する効果の高い箇所、すなわち施術を行った箇所をモデル表示27上に記録することができる。詳しくは、モデル表示27において、各領域はタッチ操作で選択可能となっており、施術者は当該箇所の選択を行う。
【0049】
カルテアプリは、特定の領域30(ここではC141)が選択されると、
図13に示されるように、近傍にその深度を段階的に選択できる選択表示をポップアップ表示する。施術者は実際に探し出した箇所が位置する深度の選択を行う。この深度は、選択された特定の領域の体表位置から当該部位に対する直角方向(当該領域における体表面に直交する方向)における厚みの中心までを基準深度として、その基準深度を所定の数(ここでは5)で等分して表される。例えば、
図14(a)では5段階中の4、
図14(b)では5段階中の2の深度に当該箇所があったことが記録されたものである。
【0050】
また、
図12に示されるように、記録画面25には、アプローチ領域指定ボタン32が表示されており、モデル表示27において領域30の選択と深度の選択が完了している状態であることを条件に、このアプローチ領域指定ボタン32が選択可能になる。
【0051】
アプローチ領域指定ボタン32が選択されると、特定の領域30の選択と深度の選択によって示された箇所に対して、実際にマッサージ器具1を用いてアプローチした領域を別途指定することができる。例えば、
図15(a)に示されるように、施術者が上述した方法で探し出した不調を改善する効果の高い箇所に対して、選択された特定の領域30(ここではRA013)からは骨などの体組織が邪魔して、マッサージ器具1の磁束を当該箇所に対して強く影響させられない場合がある。その場合には、施術者は実際の施術時において当該箇所にアプローチし易かった他の領域30(ここではRA011)をアプローチ領域としてモデル表示27上で別途選択することができる。これによれば、当該箇所を示す際には、体表面に対して直角方向に最短かつ確実に示すことができる特定の領域30(ここではRA013)の選択と深度の選択を行いながら、続く施術を行う施術者に対してアプローチし易いアプローチ領域30(ここではRA011)からの施術を促すことができ、的確な施術を迅速に行うことができる。
【0052】
カルテアプリは、特定の領域の選択と深度の選択とが完了し、記録ボタン33が選択されたことに基づき、コメント入力欄26内に入力された情報と、選択された特定の領域の識別情報(ここではC141)と、選択された深度情報(ここでは3)とを、被施術者IDと、施術者IDとともに、管理サーバ13に送信する。尚、アプローチ領域30の選択があれば、当該領域の位置情報も、アプローチ領域として、ともに管理サーバ13に送信する。
【0053】
管理サーバ13では、受信したコメント入力欄26内に入力された情報と、選択された特定の領域の識別情報と、選択された深度情報と、施術者IDと、アプローチ領域の位置情報と、これらの情報を受信した日時の情報と、をそれぞれ被施術者IDに対応付けて施術内容データベースに保管する。管理サーバ13は同時に、今回の施術が何回目の施術なのかによって、その施術Noを付与し、履歴情報として保管する。
【0054】
図7の一覧画面24にて、被施術者に行われた過去の施術内容のうちいずれかが選択されると、管理サーバ13は、当該施術内容を施術内容データベースから読み出し、コメント入力欄26内に入力された情報をコメントとして、また保管された領域の識別情報に基づきモデル表示に対して当該領域にマッピングさせ、更に保管された深度情報に基づき当該深度が対応する濃さで、当該領域を塗って表示させることで、選択された当時に選択された施術内容を視覚的に再現する。同様に、アプローチ領域の位置情報があれば、当該領域を、施術を行った箇所を示す領域とは視覚的に区別してともに表示させる。
【0055】
このように、管理システム11では、身体を所定の数で分割した領域に区切り、その中から特定の領域の識別情報を指定できるようにすることで、施術時に押圧した箇所を客観的な目安に基づき正確に記録することができる。加えて、対応する領域における深度情報を指定することができるため、被施術者の身体において効果的な施術箇所を立体的に記録し、後任の施術者に正確に共有することができる。
【0056】
尚、後任の施術者としては、前任の施術者によって指定された特定の領域と深度から、不調を改善する効果の高い箇所を割り出し、個々の判断で他の領域から当該箇所にアプローチしてもよい。また、
図16に示されるように、複数の施術内容は、履歴として閲覧することができ、複数の施術内容によって指定された領域と深度を参酌することで、不調を改善する効果の高い箇所を精度良く割り出すことも可能であるため、施術内容を確認してこれから施術にあたる施術者にあっては、迅速に当該箇所を探し出し、スムーズに施術を行うことができる。これは、被施術者の身体的な負担をへらすことにも役立つ。
【0057】
尚、複数の施術内容を履歴として閲覧できるようにする機能としては、
図17に示されるように、モデル表示に重ねて一覧に表示する態様であってもよく、この場合、色が付された特定の領域を選択することで、施術内容がポップアップ表示されるようになっている。また、仮に1つの特定の領域に対して複数回の施術が行われた場合には、その領域に対して表示されるポップアップ表示には、複数の施術内容がスクロール表示されるようになっている。
【0058】
また、深度情報は、体表面に対する直角方向の深度を表されることから、深度情報の基準が明確であり、施術者がその深度を把握しやすい。
【0059】
また、深度情報は、段階的に表されるため、深度情報の度合いを確実かつ容易に把握でき、的確な施術を迅速に行うことができる。また、この深度情報はモデル表示27上にて、各段階で異なる表示として表現されるため、深度情報を客観的な目安に基づき正確に記録することができ、施術者に関わらずに、施術を行った箇所が位置する深度を正確に共有することができる。
【0060】
また、記録画面25では、施術を行った箇所をモデル表示27上で視覚的に探し出せるため、該当する領域30を簡便に指定できることに加え、施術内容を閲覧した施術者としては、施術時に押圧した箇所を示す領域30を視覚的に把握することができ、迅速に当該箇所を見つけることができる。
【0061】
また、管理システム11は、共通で用いられるモデル表示27上で選択された領域の識別情報と選択された深度情報とをタブレット端末12から受信して閲覧可能に記録するものであり、例えば被施術者の個人の全身イメージを撮影して施術を行った箇所を示すような態様ではない。そのため、管理サーバ13では、被施術者のプライバシーに関わる視覚的な個人情報が保管されることがなく、個人情報の漏洩を効果的に防止することができる。
【実施例2】
【0062】
次に、実施例2に係る施術内容を記録管理する管理方法に用いられる表示手段について
図21と
図22を用いて説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0063】
前記実施例1では、施術者はタブレット端末12を用いて施術箇所を指定し、後にこの施術内容を確認する際にも、タブレット端末12を用いて施術箇所を把握できるようにしている。対して、実施例2では、施術者はタブレット端末12に表示されるモデル表示127を参照しながら、施術箇所を指定する領域と深度を記録用紙125に記載する。
【0064】
詳しくは、モデル表示127は、前記実施例1のモデル表示27と、特定の領域の選択と深度の選択、アプローチ方向の選択を行うことができない以外は同様の構成で、ディスプレイ上でタッチ操作によりスクロール,回転,3D回転,拡大縮小が行える三次元イメージデータであり、罫線に四方を囲まれた領域内に、それぞれ位置情報が表示されている。
【0065】
そのため、施術者はタブレット端末12に表示されたモデル表示(表示手段)127にて、施術箇所の対応する特定の領域と深度を記録用紙125に記載し、後にこの施術内容を確認する際には、記録用紙125に記載された特定の領域の位置情報をモデル表示(表示手段)127上にて目視にて参照し、深度情報とともに、施術箇所を把握する態様となる。これによれば、管理システムの導入コストを抑えながら、施術箇所を共有でき、迅速に当該箇所を探し出し、スムーズに施術を行うことができる。尚、身体を所定の数で分割した領域に区切り、それぞれに位置情報を付して表示される表示手段としては、タブレット端末12に表示される三次元イメージデータに限らず、上下前後左右の6面図をそれぞれ紙面に印刷したものであってもよい。
【0066】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0067】
例えば、前記実施例では、磁束の影響を用いながら身体の特定の箇所から静電気除去することを主な機能とするマッサージ器具1を用いた場合について説明したが、これに限らず、例えば、求心的な施術により血行を促進することで、老廃物を体外に揉み出したり、リンパの流れを促進するようなマッサージ器具であっても、特にその施術時の深度方向を記録できることは、後の施術を的確かつ迅速に行えるようにするために有用である。
【0068】
また、施術内容の記録と閲覧は、タブレット端末12にインストールされたカルテアプリを用いる構成に限らず、例えばアプリケーションのデータを管理サーバ13側にて動作可能に保存し、タブレット端末12やパソコン等におけるウェブブラウザ上で動作する構成としてもよい。
【0069】
また、被施術者の新規登録情報は、登録画面19にてカルテアプリ上において入力されて保管される態様に限らず、他のタイミングでパソコンなどから別のルートを通じて管理サーバ13側に予め登録されてもよく、この場合、登録画面19を省略してもよい。
【0070】
また、アプローチ領域指定ボタン32を選択した際に、アプローチ領域30の選択に加えて、アプローチ方向を例えば矢印などで指定できる構成として、施術箇所へのアプローチ方法を更に詳細に記録できるようにしてもよい。
【0071】
また、深度情報は、濃淡に限らず、複数の色で示してもよく、また数字で選択できるようにしてもよい。加えて、深度情報は前記実施例1に示したように5段階の中から選択できる構成に限らず、例えば濃淡によって、その表示が異なるものであれば無段階で示すことができるようにしてもよい。
【0072】
また、モデル表示27における領域は、罫線29A,29Bで分割されている構成に限らず、点や座標によってその位置情報をそれぞれ指定できる構成であってもよい。
【0073】
また、モデル表示27は、被施術者の体格に合わせて、その形状を変化させられてもよい。尚、その場合には領域の大きさを形状に合わせて拡大縮小することで、全身を分割する数は常に同数とする。
【0074】
また、本発明の施術内容を記録管理する管理方法に適用される被施術者は、必ずしも人に限られず、例えば犬・猫等の動物を被施術者すなわち施術対象としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 マッサージ器具
2 外装部
3 基部材
4 上部材
5 下部材
6a 先端部
6 導電線
7 永久磁石
8 金属板
8a 端子部
11 管理システム
12 タブレット端末
13 管理サーバ
15 ログイン画面
16 初期画面
17 新規ボタン
18 検索ボタン
19 登録画面
20 検索画面
21 トップページ
22 閲覧ボタン
23 記録ボタン
24 一覧画面
25 記録画面
26 コメント入力欄
27 モデル表示(表示手段)
28 骨格図(身体図)
29A,29B 罫線
30 領域
31 記録ボタン
32 アプローチ領域指定ボタン
125 記録用紙
127 モデル表示(表示手段)
P 被施術者
S 施術者