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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】キャップおよび金型
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20240322BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20240322BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B65D47/08 100
B65D47/12 BRL
B29C45/26
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020121754
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018561
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-302291(JP,A)
【文献】特開2010-1029(JP,A)
【文献】特開2007-131327(JP,A)
【文献】特開2010-602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
B65D 47/12
B29C 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取付けられるキャップ本体と、キャップ本体に設けられた注出口と、注出口を開閉する蓋とを有するキャップであって、
キャップ本体は、内筒部と、外筒部と、内筒部と外筒部との間に形成された取付用溝とを有し、
取付用溝は下部が開放され、
容器の口部が取付用溝に挿入可能であり、
外筒部は、キャップ本体側に残留する残留部と、キャップ本体側から分離可能な分別帯とを有し、
分別帯は破断可能な弱化部を介して残留部に繋がっており、
弱化部は、分別帯の始端から外筒部の周方向に延びる第1周方向弱化線と、第1周方向弱化線の終点から上下二又に分岐した上側傾斜弱化線および下側傾斜弱化線と、上側傾斜弱化線の終点から外筒部の周方向に延びる第2周方向弱化線とを有していることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
下側傾斜弱化線は分別帯の下端に達していることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
弱化部は、分別帯の始端に、分別帯の上端から下端に延びる縦方向弱化線を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
蓋はヒンジを介してキャップ本体に開閉自在に設けられ、
縦方向弱化線は外筒部の周方向におけるヒンジの近傍に位置していることを特徴とする請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
外筒部の残留部と分別帯との間で且つ第1周方向弱化線の上方には、上方が開放された上部空隙部が形成され、
外筒部の残留部と分別帯との間で且つ第1周方向弱化線の下方には、下方が開放された下部空隙部が形成され、
外筒部の内周面に、径方向内側に突出した係合凸部が形成され、
係合凸部は、容器の口部の外周面に係合可能であり、第1周方向弱化線よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
上記請求項5に記載のキャップを射出成形により製造する際に使用する金型であって、
互いに接近離間自在な第1および第2の型を有し、
第1の型は外筒部を形成する外筒部形成用第1コアを有し、
外筒部形成用第1コアは上部空隙部および第1周方向弱化線を形成するための第1の突片を有し、
第2の型は、取付用溝を形成するための取付用溝形成用コアと、外筒部を形成する外筒部形成用第2コアとを有し、
外筒部形成用第2コアは下部空隙部および第1周方向弱化線を形成するための第2の突片を有していることを特徴とする金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に取付けられるキャップ、および、キャップの製造に使用する金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば図21図23に示すように、容器201の口部202に取付けられるキャップ本体203と、キャップ本体203に設けられた注出口204と、注出口204を開閉する蓋205とを有するものがある。
【0003】
キャップ本体203は、内筒部206と、外筒部207と、内筒部206と外筒部207との間に形成された取付用溝208とを有している。取付用溝208は下部が開放されており、容器201の口部202が取付用溝208に挿入可能である。
【0004】
外筒部207は、キャップ本体203側に残留する残留部209と、キャップ本体203側から分離可能な分別帯210とを有している。分別帯210は破断可能な弱化部211を介して残留部209に繋がっている。
【0005】
弱化部211は、始点212からV字状に分岐した上側傾斜弱化線213および下側傾斜弱化線214と、上側傾斜弱化線213の終端から外筒部207の周方向220に延びる周方向弱化線215とを有している。また、下側傾斜弱化線214は分別帯210の下端に達している
尚、分別帯210の始端216から弱化部211の始点212までは、周方向220において、一定距離Lだけ離れている。分別帯210の始端216から上下両側の傾斜弱化線213,214までの領域はタブ217と呼ばれており、タブ217は外筒部207の残留部209から離間しており、タブ217と残留部209との間には空隙218が形成されている。
【0006】
これによると、キャップ200を容器201から外して分別回収する際、先ず、図22に示すように、蓋205をキャップ本体203から外し、指でタブ217を摘まんで分離方向221へ引っ張ることにより、上下両側の傾斜弱化線213,214および周方向弱化線215が破断し、図23の仮想線で示すように、分別帯210がキャップ本体203の残留部209から分離される。これにより、キャップ本体203を簡単に容器201の口部202から取り外すことができる。
【0007】
この際、図22に示すように、上側傾斜弱化線213と下側傾斜弱化線214とは共通の始点212からV字状に分岐しているため、始点212に応力が集中し、これにより、上下両側の傾斜弱化線213,214を簡単に破断させることができる。
【0008】
尚、上記のようなキャップ200は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5230283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら上記の従来形式では、タブ217を摘まんで引っ張る方向が分離方向221に対して上下方向へずれた場合、応力が上下両側の傾斜弱化線213,214の共通の始点212に十分に集中せずに分散し、上下両側の傾斜弱化線213,214を円滑に破断させることができない虞がある。
【0011】
本発明は、分別帯をキャップ本体側から分離する際、応力を上下両側の傾斜弱化線の共通の始点に十分に集中させることが可能なキャップおよび金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器の口部に取付けられるキャップ本体と、キャップ本体に設けられた注出口と、注出口を開閉する蓋とを有するキャップであって、
キャップ本体は、内筒部と、外筒部と、内筒部と外筒部との間に形成された取付用溝とを有し、
取付用溝は下部が開放され、
容器の口部が取付用溝に挿入可能であり、
外筒部は、キャップ本体側に残留する残留部と、キャップ本体側から分離可能な分別帯とを有し、
分別帯は破断可能な弱化部を介して残留部に繋がっており、
弱化部は、分別帯の始端から外筒部の周方向に延びる第1周方向弱化線と、第1周方向弱化線の終点から上下二又に分岐した上側傾斜弱化線および下側傾斜弱化線と、上側傾斜弱化線の終点から外筒部の周方向に延びる第2周方向弱化線とを有しているものである。
【0013】
これによると、分別帯をキャップ本体側から分離する際、分別帯の始端を分離方向へ引っ張ることにより、先ず、第1周方向弱化線が破断し、その後、上下両側の傾斜弱化線が破断し、さらに、第2周方向弱化線が破断する。
【0014】
この際、第1周方向弱化線の終点が上下両側の傾斜弱化線の始点に接続されているため、応力を、分散させることなく、第1周方向弱化線から上下両側の傾斜弱化線の始点に十分に集中させることができる。これにより、上下両側の傾斜弱化線を円滑に破断させることができる。
【0015】
本第2発明におけるキャップは、下側傾斜弱化線は分別帯の下端に達しているものである。
【0016】
本第3発明におけるキャップは、弱化部は、分別帯の始端に、分別帯の上端から下端に延びる縦方向弱化線を有しているものである。
【0017】
これによると、分別帯をキャップ本体側から分離する際、先ず、縦方向弱化線を破断し、分別帯の始端を分離方向へ引っ張ることにより、第1周方向弱化線が破断し、その後、上下両側の傾斜弱化線が破断し、さらに、第2周方向弱化線が破断する。
【0018】
本第4発明におけるキャップは、蓋はヒンジを介してキャップ本体に開閉自在に設けられ、
縦方向弱化線は外筒部の周方向におけるヒンジの近傍に位置しているものである。
【0019】
これによると、分別帯をキャップ本体側から分離する際、先ず、蓋を開いた状態で下向きに引っ張ることにより、蓋と共にヒンジが下向きに引っ張られて、縦方向弱化線が破断する。
【0020】
本第5発明におけるキャップは、外筒部の残留部と分別帯との間で且つ第1周方向弱化線の上方には、上方が開放された上部空隙部が形成され、
外筒部の残留部と分別帯との間で且つ第1周方向弱化線の下方には、下方が開放された下部空隙部が形成され、
外筒部の内周面に、径方向内側に突出した係合凸部が形成され、
係合凸部は、容器の口部の外周面に係合可能であり、第1周方向弱化線よりも下方に位置しているものである。
【0021】
本第6発明は、上記第5発明に記載のキャップを射出成形により製造する際に使用する金型であって、
互いに接近離間自在な第1および第2の型を有し、
第1の型は外筒部を形成する外筒部形成用第1コアを有し、
外筒部形成用第1コアは上部空隙部および第1周方向弱化線を形成するための第1の突片を有し、
第2の型は、取付用溝を形成するための取付用溝形成用コアと、外筒部を形成する外筒部形成用第2コアとを有し、
外筒部形成用第2コアは下部空隙部および第1周方向弱化線を形成するための第2の突片を有しているものである。
【0022】
これによると、金型を閉じた状態で、ゲートを介して金型の内部の成形品空間に溶融した合成樹脂材料を充填し、合成樹脂材料を冷却固化した後、離型作業を行う。
【0023】
この際、第2の型の外筒部形成用第2コアをキャップから離間する第2の離型方向へ移動させる。この段階においては、外筒部の係合凸部の径方向外側(背面)に対応する位置には、外筒部形成用第2コアの第2の突片が存在しない状態となる。
【0024】
その後、取付用溝形成用コアをキャップから離間する第2の離型方向へ移動させる。この際、外筒部の係合凸部が押されて径方向外側へ変位しても、係合凸部の径方向外側(背面)に対応する部分に、外筒部形成用第2コアの第2の突片は存在しないので、第2の突片の損傷を防止することができる。
【0025】
また、外筒部の係合凸部は外筒部形成用第1コアの第1の突片よりも下方に位置するため、外筒部の係合凸部が押されて径方向外側へ変位しても、外筒部形成用第1コアの第1の突片に大きな負荷がかかることは無く、第1の突片の損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によると、第1周方向弱化線の終点が上下両側の傾斜弱化線の始点に繋がっているため、分別帯の始端を分離方向へ引っ張って、分別帯をキャップ本体側から分離する際、応力を第1周方向弱化線から上下両側の傾斜弱化線の始点に十分に集中させることができる。これにより、上下両側の傾斜弱化線を円滑に破断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態におけるキャップの断面図である。
図2図1におけるX-X矢視図である。
図3図1におけるY-Y矢視図である。
図4図2におけるA断面図である。
図5図2におけるB断面図である。
図6図2におけるC断面図である。
図7図2におけるD断面図である。
図8図2におけるE断面図である。
図9図2におけるE-F間断面図である。
図10】同、キャップの平面図であり、分別帯を分離方向へ引っ張ってキャップ側から分離している様子を示す。
図11図2のAにおいてキャップの弱化部が破断し、分別帯がキャップ側から分離した状態を示す断面図である。
図12図2のBにおいてキャップの弱化部が破断し、分別帯がキャップ側から分離した状態を示す断面図である。
図13図2のCにおいてキャップの弱化部が破断し、分別帯がキャップ側から分離した状態を示す断面図である。
図14図2のDにおいてキャップの弱化部が破断し、分別帯がキャップ側から分離した状態を示す断面図である。
図15図2のEにおいてキャップの弱化部が破断し、分別帯がキャップ側から分離した状態を示す断面図である。
図16図2のE-F間においてキャップの弱化部が破断し、分別帯がキャップ側から分離した状態を示す断面図である。
図17】同、キャップの製造方法を説明する断面図であり、金型を閉じた状態を示す。
図18図17の一部拡大断面図である。
図19】同、キャップの製造方法を説明する断面図であり、金型の一部を開いた状態を示す。
図20図19の一部拡大断面図である。
図21】従来のキャップの一部切欠き正面図である。
図22】同、キャップのキャップ本体の正面図である。
図23】同、キャップのキャップ本体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
図1図2に示すように、1はペットボトル等の容器2の口部3に取り付けられる合成樹脂製のキャップである。キャップ1は、キャップ本体5と、キャップ本体5に設けられた注出口6と、注出口6を開閉する蓋7とを有している。尚、キャップ本体5の中心を通る軸心19の方向を上下方向として、以下にキャップ1の構成を説明する。
【0030】
キャップ本体5は、円形状の内筒部10と、円形状の外筒部11と、内筒部10と外筒部11との間に形成された円環状の取付用溝12と、内筒部10の上部と外筒部11の上部との間に全周にわたり設けられた頂壁部13と、内筒部10の下端内部に設けられた内板部14と、内板部14に設けられた注出筒15とを有している。
【0031】
注出筒15は先端に注出口6を有する円筒状の部材である。また、取付用溝12は下部が開放されており、容器2の口部3が取付用溝12に挿入可能である。
【0032】
蓋7はヒンジ17を介して開閉自在にキャップ本体5に設けられている。尚、注出筒15の中心を通る軸心18は、軸心19に対して、ヒンジ17の位置とは反対側の位置に偏芯している。
【0033】
外筒部11の内周面には、径方向内側に突出した係合凸部21が全周にわたり形成されている。また、容器2の口部3の外周面には、径方向内側に窪んだ係合凹部22が全周にわたり形成されている。図1の仮想線で示すように、容器2の口部3が取付用溝12に挿入された際、係合凸部21と係合凹部22とが係合する。
【0034】
外筒部11は、キャップ本体5側に残留する残留部24と、キャップ本体5側から分離可能な分別帯25とを有している。分別帯25は破断可能な弱化部27を介して残留部24に繋がっている。
【0035】
図3図9に示すように、弱化部27は、分別帯25の始端29に形成された縦方向弱化線30(図3図4参照)と、縦方向弱化線30から外筒部11の周方向43に延びる第1周方向弱化線31(図3図5図6参照)と、第1周方向弱化線31の終点32から上下二又に分岐した上側傾斜弱化線33および下側傾斜弱化線34(図3図7図8参照)と、上側傾斜弱化線33の終点35から周方向43に延びる第2周方向弱化線36(図3図9参照)とを有している。
【0036】
尚、上記各弱化線30,31,33,34,36の肉厚は破断し易いように周囲の部材の肉厚よりも薄く形成されている。また、図3に示すように、縦方向弱化線30は、分別帯25の上端から下端に延びており、周方向43におけるヒンジ17の近傍に位置している。例えば、図2に示すように、縦方向弱化線30はヒンジ17の横隣に位置している。また、図3に示すように、下側傾斜弱化線34は分別帯25の下端に達している。
【0037】
図4図6に示すように、外筒部11の残留部24と分別帯25との間で且つ第1周方向弱化線31の上方には、上方が開放された上部空隙部38が形成されている。また、残留部24と分別帯25との間で且つ第1周方向弱化線31の下方には、下方が開放された下部空隙部39が形成されている。尚、係合凸部21は第1周方向弱化線31よりも下方に位置している。
【0038】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0039】
使用済みの容器2からキャップ1を取り外して両者を分別回収する際、分別帯25を以下のようにしてキャップ本体5側から分離する。
【0040】
先ず、図1に示すように、蓋7を開いた状態で下向きに引っ張ることにより、蓋7と共にヒンジ17が下向きに引っ張られて、縦方向弱化線30が破断する。
【0041】
次に、図10に示すように、分別帯25の始端29を分離方向44へ引っ張ることにより、図11図13に示すように第1周方向弱化線31が破断し、その後、図14図15に示すように上下両側の傾斜弱化線33,34が破断し、さらに、図16に示すように第2周方向弱化線36が破断する。
【0042】
この際、図3に示すように、第1周方向弱化線31の終点32が上下両側の傾斜弱化線33,34の始点41に接続されているため、応力を、分散させることなく、第1周方向弱化線31から上下両側の傾斜弱化線33,34の始点41に十分に集中させることができる。これにより、上下両側の傾斜弱化線33,34を円滑に破断させることができる。
【0043】
このようにして各弱化線30,31,33,34,36が破断することにより、図10に示すように、分別帯25がキャップ本体5側から分離し、容器2の係合凹部22に係合している外筒部11の係合凸部21の締め付けが解除されるので、キャップ本体5を容器2の口部3から容易に離脱させることができる。
【0044】
上記のようなキャップ1を金型100を用いて射出成形により製造する方法を以下に説明する。
【0045】
図17図18に示すように、金型100は互いに接近離間自在な上型101(第1の型の一例)および下型102(第2の型の一例)を有している。
【0046】
このうち、上型101は、注出筒15を形成する注出筒形成用コア105と、内筒部10および内板部14を形成する内筒部形成用コア106と、外筒部11を形成する外筒部形成用上コア107(外筒部形成用第1コアの一例)と、ヒンジ17を形成するヒンジ形成用コア108と、蓋7の内側を形成する内側形成用コア109,110等を有している。
【0047】
尚、外筒部形成用上コア107は、上部空隙部38および第1周方向弱化線31を形成する薄肉の上突片107a(第1の突片の一例)を有している。
【0048】
下型102は、内板部14を形成する内板部形成用コア115と、取付用溝12を形成する取付用溝形成用コア116と、外筒部11および蓋7の外側を形成する外筒部形成用下コア117(外筒部形成用第2コア)等を有している。
【0049】
尚、外筒部形成用下コア117は、下部空隙部39および第1周方向弱化線31を形成する薄肉の下突片117a(第2の突片の一例)を有している。
【0050】
これによると、図17図18に示すように、金型100を閉じた状態で、ゲート(図示省略)を介して金型100の内部の成形品空間(型部)に溶融した合成樹脂材料を充填し、合成樹脂材料を冷却固化した後、離型作業を行う。
【0051】
この際、図19図20に示すように、先ず、上型101の注出筒形成用コア105をキャップ1から離間する第1の離型方向120へ移動させ、次に、下型102の内板部形成用コア115をキャップ1から離間する第2の離型方向121へ移動させ、その後、外筒部形成用下コア117を第2の離型方向121へ移動させる。
【0052】
この段階においては、係合凸部21の径方向外側122(背面)に対応する位置には、外筒部形成用下コア117の下突片117aが存在しない状態となる。
【0053】
次に、取付用溝形成用コア116を第2の離型方向121へ移動させる。この際、図20に示すように、係合凸部21が押されて径方向外側122へ変位しても、係合凸部21の径方向外側122(背面)に対応する部分に、外筒部形成用下コア117の下突片117aは存在しないので、下突片117aの損傷を防止することができる。
【0054】
また、係合凸部21は外筒部形成用上コア107の上突片107aよりも下方に位置するため、係合凸部21が押されて径方向外側122へ変位しても、外筒部形成用上コア107の上突片107aに大きな負荷がかかることは無く、上突片107aの損傷を防止することができる。
【0055】
その後、内筒部形成用コア106と、外筒部形成用上コア107と、ヒンジ形成用コア108と、内側形成用コア109,110等を順次、第1の離型方向120へ移動させる。これにより、合成樹脂製のキャップ1が取り出される。
【0056】
上記実施の形態では、ヒンジ式のキャップ1を挙げたが、キャップ本体側に雄ねじを形成し、蓋側に雌ねじを形成し、蓋を回して開閉するねじ式のキャップであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 キャップ
2 容器
3 口部
5 キャップ本体
6 注出口
7 蓋
10 内筒部
11 外筒部
12 取付用溝
17 ヒンジ
21 係合凸部
24 残留部
25 分別帯
27 弱化部
29 分別帯の始端
30 縦方向弱化線
31 第1周方向弱化線
32 第1周方向弱化線の終点
33 上側傾斜弱化線
34 下側傾斜弱化線
35 上側傾斜弱化線の終点
36 第2周方向弱化線
38 上部空隙部
39 下部空隙部
43 外筒部の周方向
100 金型
101 上型(第1の型)
102 下型(第2の型)
107 外筒部形成用上コア(外筒部形成用第1コア)
107a 上突片(第1の突片)
116 取付用溝形成用コア
117 外筒部形成用下コア(外筒部形成用第2コア)
117a 下突片(第2の突片)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23