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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】カーテンユニットの振動防止構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20240322BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20240322BHJP
   E06B 9/56 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60J3/00 H
E06B9/42 Z
E06B9/56 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020144069
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039177
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592058533
【氏名又は名称】株式会社シンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】細江 正幸
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-059351(JP,A)
【文献】特開2019-105089(JP,A)
【文献】特開2014-111402(JP,A)
【文献】特開2015-221646(JP,A)
【文献】特開2000-282767(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0096920(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104763306(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
E06B 9/40 - 9/50
E06B 9/56 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用日除け装置を構成するケースに取り付け可能なカーテンユニットの振動防止構造であって、
前記カーテンユニットは、
筒状の巻取シャフトと、
前記巻取シャフトに巻かれるカーテンと、
前記カーテンを巻き取り方向に付勢する付勢部材と、
前記ケースに取り付け可能とされるとともに、前記巻取シャフトの軸線方向における一端側の方向に配設されて軸部を有する取付ホルダと、
前記巻取シャフトの軸線方向における一端側において、前記巻取シャフトに固定されるとともに、前記軸部の外側に回動可能に嵌められ軸受となるブッシュと、
前記巻取シャフト内で、前記巻取シャフトの回転に追従可能なスライダと、
を備え、
前記巻取シャフトは、内周面に波形溝が複数形成され、前記巻取シャフトの軸線方向における他端側において、前記ケースに回動可能に取り付け可能とされ、
前記付勢部材は、前記軸部と前記スライダとを架け渡すように配設され、
前記軸部には、前記軸部の外周面から前記軸部の軸線に向かう環状の有底溝として形成された係合部が配設され、
前記ブッシュには、前記巻取シャフトの内周面と嵌合可能な嵌合部と、前記係合部と係合可能な突起状部分を備える被係合部と、が配設され、
前記嵌合部には、前記ブッシュの外周面に前記ブッシュの軸線方向に沿って形成され、前記波形溝と嵌合可能なリブが配設され、
前記被係合部は、前記リブから前記ブッシュの軸線方向に沿って延設される複数のアーム部と、前記アーム部の先端部から前記ブッシュの軸線に向かって突出し前記係合部と係合可能な突部と、を有し、
組み付けられた状態において、
前記係合部と前記被係合部とが係合され前記ブッシュが前記軸部の軸線方向への移動を規制され、
かつ、
前記巻取シャフトの内周面と、前記嵌合部の外周面及び前記被係合部の外周面とが当接していることを特徴とするカーテンユニットの振動防止構造。
【請求項2】
前記カーテンが、前記ブッシュと前記巻取シャフトとに跨るように貼着され、
前記ケースには、前記巻取シャフトの軸線方向における他端側を挿入可能な軸受部が形成され、
前記軸受部に、前記巻取シャフトの軸線方向における他端側が挿入されることを特徴とする請求項1記載のカーテンユニットの振動防止構造。
【請求項3】
前記軸部には、前記被係合部を前記係合部に誘導するガイド部が配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のカーテンユニットの振動防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用日除け装置を構成するケースに取り付け可能なカーテンユニットの振動防止構造に関し、より詳細には、カーテンユニットを収納するケースに、前記カーテンユニットを取り付けた後、巻取機構における走行中の振動音を防止する振動防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用日除け装置に用いられるカーテンユニットとして、本出願人が先にした特許文献1に記載されるものがあった。
【0003】
カーテンユニットは、筒状の巻取シャフトと、巻取シャフトに巻かれるカーテンと、カーテンを巻き取り方向に付勢する付勢部材と、ケースに取り付け可能とされるとともに、巻取シャフトの軸線方向における一端側の方向に配設されて軸部を有するフロントホルダと、巻取シャフトの軸線方向における一端側において、巻取シャフトに取り付けられるとともに、軸部の外側に回動可能に嵌められ軸受となるブッシュと、ケースに取り付け可能とされるとともに、巻取シャフトの軸線方向における他端側に取り付けられるリアホルダと、巻取シャフト内で、巻取シャフトの軸線方向に沿って摺動可能、かつ、巻取シャフトの回転に追従可能なスライダと、を備え、付勢部材としてのコイルばねは、軸部とスライダとを架け渡すように配設されていた。
【0004】
上記車両用日除け装置210に用いられるカーテンユニット215では、図12図14に示すように、カーテン270を巻き取る巻取シャフト260は、前方にブッシュ240、後方にリアホルダ250が取り付けられていた。
【0005】
カーテンユニット215は、ドアユニットに取り付けられるケース220に、ケース220の前方に取り付けられたフロントホルダ230の軸部233にブッシュ240が挿入され、リアホルダ250の後方に伸びた軸部分が、ケース220後方に設けられる軸孔224に挿入されて取り付けられ、ケース220に対して回転できる構造となっていた。
【0006】
フロントホルダ230の軸部233の根本部分とブッシュ240との間、リアホルダ250の軸部分の根本部分とケース220後方の軸孔224との間、のそれぞれには、組付けを容易にするとともに、回転を円滑にするために、それぞれ数ミリの隙間が設けられていた。その隙間は、前者が2mm、後者が3.5mmとなっており、完成品においては、走行中に前後5.5mm移動することになっていた。
【0007】
そこで、部材どうしが当たり、不快な音が発生しないように、フロントホルダ230の軸部233の根本部分、リアホルダ250の軸部分の根本部分、のそれぞれに緩衝部品として1mmの厚みのフェルトワッシャ245を入れていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-105089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の振動防止構造では、フロントホルダ230の軸部233の根本部分、リアホルダ250の軸部分の根本部分、のそれぞれに緩衝部品としてフェルトワッシャ245を入れているので、部品点数の増加と組付け工数の増加を招いていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、部品点数の削減と組付け工数の削減をすることができる振動防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明では、車両用日除け装置を構成するケースに取り付け可能なカーテンユニットの振動防止構造であって、
前記カーテンユニットは、
筒状の巻取シャフトと、
前記巻取シャフトに巻かれるカーテンと、
前記カーテンを巻き取り方向に付勢する付勢部材と、
前記ケースに取り付け可能とされるとともに、前記巻取シャフトの軸線方向における一端側の方向に配設されて軸部を有する取付ホルダと、
前記巻取シャフトの軸線方向における一端側において、前記巻取シャフトに固定されるとともに、前記軸部の外側に回動可能に嵌められ軸受となるブッシュと、
前記巻取シャフト内で、前記巻取シャフトの回転に追従可能なスライダと、
を備え、
前記巻取シャフトは、内周面に波形溝が複数形成され、前記巻取シャフトの軸線方向における他端側において、前記ケースに回動可能に取り付け可能とされ、
前記付勢部材は、前記軸部と前記スライダとを架け渡すように配設され、
前記軸部には、前記軸部の外周面から前記軸部の軸線に向かう環状の有底溝として形成された係合部が配設され、
前記ブッシュには、前記巻取シャフトの内周面と嵌合可能な嵌合部と、前記係合部と係合可能な突起状部分を備える被係合部と、が配設され、
前記嵌合部には、前記ブッシュの外周面に前記ブッシュの軸線方向に沿って形成され、前記波形溝と嵌合可能なリブが配設され、
前記被係合部は、前記リブから前記ブッシュの軸線方向に沿って延設される複数のアーム部と、前記アーム部の先端部から前記ブッシュの軸線に向かって突出し前記係合部と係合可能な突部と、を有し、
組み付けられた状態において、
前記係合部と前記被係合部とが係合され前記ブッシュが前記軸部の軸線方向への移動を規制され、
かつ、
前記巻取シャフトの内周面と、前記嵌合部の外周面及び前記被係合部の外周面とが当接している。
【0012】
これによれば、係合部と被係合部とが係合されることで、ブッシュが軸部の軸線方向への移動を規制され、巻取シャフトの一端側では、ブッシュが取付ホルダの軸部の根本に当たることがなくなり、巻取シャフトの他端側では、リアホルダのシャフトの根本部分がケースの軸孔の周辺に当たることがなくなるので、走行中の不快音が発生しなくなる。
【0013】
さらに、巻取シャフトの内周面と、被係合部の外周面とが当接することで、被係合部が径方向外側へ広がることを規制され、係合部と被係合部との係合が外れることを防止できる。
【0014】
よって、フェルトワッシャをなくすことができるので、部品点数の削減と組付け工数の削減をすることができ、原価低減が可能となる。さらに、被係合部を上記構成とすれば、ブッシュの成形金型費用が比較的大きな増加にならず、部品点数の削減と組付け工数の削減をすることができる。
【0015】
また、前記カーテンが、前記ブッシュと前記巻取シャフトとに跨るように貼着され、
前記ケースには、前記巻取シャフトの軸線方向における他端側を挿入可能な軸受部が形成され、
前記軸受部に、前記巻取シャフトの軸線方向における他端側が挿入される。
【0016】
これによれば、ブッシュと巻取シャフトとに跨るようにカーテンを貼着したうえで、ブッシュが軸部から移動しなくなることにより、巻取シャフトも移動しなくなるので、軸受部に巻取シャフトの軸線方向における他端側を直接挿入する構成として、リアホルダをなくすことができる。よって、部品点数の削減と組付け工数の削減になり、原価低減に寄与する。
【0019】
また、前記軸部には、前記被係合部を前記係合部に誘導するガイド部が配設されている。
【0020】
これによれば、取付ホルダの軸部にブッシュを挿入する際、軸部のガイド部により、被係合部が係合部に誘導されるので、ブッシュを決められた位置で固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態のカーテンユニットの振動防止構造を備える車両用日除け装置の左前側からみた斜視図である。
図2】同実施形態の前側部分の左前側からみた部分斜視図である。
図3】同実施形態の前側部分の部分平面図である。
図4】同実施形態の後側部分の左後側からみた部分斜視図である。
図5】同実施形態の後側部分の部分平面図である。
図6図1のVI-VI線矢視断面図である。
図7】車両用日除け装置の左前側からみた分解斜視図である。
図8】ケースの後側部分の部分平面図である。
図9図8のIX-IX線矢視断面図である。
図10】ケースの背面図である。
図11】カーテンユニットの振動防止構造の組み付け時の説明図である。
図12】従来のカーテンユニットの振動防止構造を備える車両用日除け装置の左前側からみた斜視図である。
図13】従来のカーテンユニットの振動防止構造の組み付け時の説明図である。
図14】従来のカーテンユニットの振動防止構造を備える車両用日除け装置の後側部分の左後側からみた部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のカーテンユニットの振動防止構造を備えた車両用日除け装置の一実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、各図面の矢印は、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。また、図2では、説明しやすくするため一部の部材を省略している。
【0023】
車両用日除け装置10は、カーテンユニット15が、ケース20にタッピングねじのねじ38で取り付けられて構成されている。
【0024】
ケース20は、合成樹脂製で、図1図10に示すように、本体部21と、前支持部22と、後支持部23と、を有している。本体部21は、上外装部21aと内筒壁部21bとを有している。内筒壁部21bは、断面略J字状に形成され、巻取シャフト60の回動、及びカーテン70の巻取り、繰出しを許容可能とされている。
【0025】
前支持部22には、図1図3図6図7に示すように、フロントホルダ30(特許請求の範囲の取付ホルダに相当する)が取り付け可能とされている。本実施形態では、前支持部22に、上下方向において貫通するねじ孔22aが形成され、フロントホルダ30の取付部31のねじ孔31bと連通可能とされ、ねじ38を用いて、フロントホルダ30を取り付け可能とされている。
【0026】
後支持部23には、図1図4図5図7図10に示すように、下側が開放した樋形状の、前板24と後板25が、前後方向において間隔を設けて配設されている。
【0027】
前板24及び後板25は、それぞれの内側の端面が、上軸受部形成部24a、上軸受部形成部25aとされる。
【0028】
前後方向における、前板24と後板25の間には、上側が開放した樋形状に形成された円環部26が配設され、円環部26の上側の端面が、下軸受部形成部26aとされる。
【0029】
上軸受部形成部24aと、上軸受部形成部25aと、下軸受部形成部26aと、で囲まれる領域が、前後方向からみて、円形の空間部分となり、当該空間部分は、巻取シャフト60の外直径と略同一の円とされ、さらに、円の中心が巻取シャフト60の軸線と一致している。当該空間部分に、巻取シャフト60の後端部が回動可能に挿入される。
【0030】
上軸受部形成部24a、上軸受部形成部25a、下軸受部形成部26aは、巻取シャフト60の外周面と接する軸受面となる。
【0031】
前板24と円環部26、後板25と円環部26、の連設部分には、左右方向にそれぞれ延設されたスリット27が設けられている。スリット27は、前板24、後板25、円環部26を撓みやすくして、巻取シャフト60の後端部を挿入しやすくするものである。
【0032】
以上のことより、上軸受部形成部24a、上軸受部形成部25a、下軸受部形成部26aで、軸受部28が構成されることになる。
【0033】
カーテンユニット15は、図1図11に示すように、ケース20に取り付けられるフロントホルダ30と、後述する巻取シャフト60の前端側に取り付けられるブッシュ40と、ケース20に対して回動可能に軸支される巻取シャフト60と、巻取シャフト60に図示しない両面接着テープを介して巻き付けられるカーテン70と、巻取シャフト60内で、巻取シャフト60の軸線方向に沿って摺動可能、かつ、巻取シャフト60の回転に追従可能なスライダ80と、カーテン70を巻き取り方向に付勢する付勢部材としてのコイルばね90と、コイルばねの振動を抑制するサイレンサーチューブ100と、を備えている。
【0034】
フロントホルダ30は、合成樹脂製で、図1図3図6図7図11に示すように、取付部31と軸部33とを有している。
【0035】
取付部31の底壁には、上下方向において貫通するねじ孔31bが配設されている。
【0036】
フロントホルダ30は、取付部31において、ねじ孔31bにねじ38を挿通させねじ止めされて前支持部22に取り付け可能とされている。ケース20に取り付けられた状態において、軸部33は前後方向に沿って延びるよう形成されている。
【0037】
軸部33には、係合部34が配設されている。本実施形態では、係合部34は、軸部33の外周面から軸部33の軸線に向かう断面矩形状の有底溝34aとして形成され、軸部33の全周にわたって形成されている。
【0038】
係合部34の後側には、テーパ状に形成されたガイド部35が配設されている。ガイド部35は、後述する被係合部43を係合部34に誘導しやすくするものである。
【0039】
軸部33の後端部には、後述するコイルばね90の前端部が掛止される。
【0040】
軸部33の外側には、合成樹脂製で、軸受となる円筒状のブッシュ40が嵌められている。
【0041】
ブッシュ40は、図1図3図6図7図11に示すように、フロントホルダ30の軸部33に対して、回動可能とされている。
【0042】
ブッシュ40には、巻取シャフト60に圧入されて嵌合する嵌合部41が配設されている。
【0043】
嵌合部41の外周面には、図7図11に示すように、ブッシュ40の軸線方向(組み付けられた状態における前後方向)に沿うとともに、ブッシュ40の軸線方向からみて等間隔に径方向外側に突出する、リブ42が複数配設されている。リブ42は、後述する波形溝61と嵌合可能とされている。
【0044】
ブッシュ40には、係合部34と係合可能な被係合部43が配設されている。本実施形態では、被係合部43は、ブッシュ40の外周面にブッシュ40の軸線方向に沿って形成され、リブ42から延設されるアーム部43aと、アーム部43aからブッシュ40の軸線に向かって突出するとともに、有底溝34aに対応する直方体状に形成された突部43bと、を有する。
【0045】
巻取シャフト60は、図6図7に示すように、アルミニウムで円筒状に形成されている。巻取シャフト60の内周面には、巻取シャフト60の軸線方向に沿って回転対称な複数の波形溝61が複数形成され、波形溝61は、ブッシュ40のリブ42、被係合部43、と嵌合可能な形状に形成されている。また、車両用日除け装置10として組み付けられた状態において、後述するサイレンサーチューブ100のフィン103が、波形溝61内に配置可能とされている。
【0046】
巻取シャフト60の前端部が、ブッシュ40の嵌合部41と嵌合され、ケース20に取り付けられるフロントホルダ30の軸部33に対して回動可能に取り付けられる。巻取シャフト60の後端部が、後支持部23の軸受部28を構成する上軸受部形成部24a、上軸受部形成部25a、下軸受部形成部26aに挿通され、ケース20に対して回動可能に取り付けられる。
【0047】
カーテン70は、図1、7等に示すように、合成樹脂で布状に形成され、図示しない両面接着テープを介して、巻取シャフト60と圧入されたブッシュ40とに跨るように巻き付けられている。
【0048】
カーテン70の上端部には、アッパーワイヤ73が内蔵された合成樹脂製のアッパーワイヤカバー71が配設されている。アッパーワイヤカバー71の前後方向の中央部分には、カーテン70を引き上げるための合成樹脂製のノブ72が配設されている。アッパーワイヤカバー71には、上端から下端に向かって切り欠かれ、アッパーワイヤ73を露出可能とするスリット部74が、二か所設けられている。
【0049】
カーテン70は、後述する付勢部材としてのコイルばね90により、カーテン70を巻き取り方向に付勢される。
【0050】
巻取シャフト60の内部には、スライダ80と、コイルばね90と、サイレンサーチューブ100が配設されている。
【0051】
スライダ80は、図7に示すように、合成樹脂で略円柱状に形成され、外周面には、スライダ80の軸線方向(組み付けられた状態における前後方向)に沿うとともに、スライダ80の軸線方向からみて径方向外側に突出する、回転対称な複数の波形突起を有した嵌合部81が配設されている。嵌合部81は、巻取シャフト60内の波形溝61と噛み合い可能に形成され、巻取シャフト60の回転が、スライダ80に伝達可能とされている。
【0052】
コイルばね90は、金属製で、図6図7に示すように、前端部がフロントホルダ30の軸部33と連結され、後端部がスライダ80の前端部と連結されている。
【0053】
サイレンサーチューブ100については、本出願人が先にした特願2017-238437号(特開2019-105089号公報)におけるものと、機能、作用は本願発明においても同様であるので説明の全部又は一部を省略して簡単に説明する。
【0054】
サイレンサーチューブ100は、内管部と、外管部と、を備えた二重管構造とされ、図2図6図7に示すように、複数のフィン103が外管部の外側に配設されている。
【0055】
サイレンサーチューブ100と、コイルばね90とは、同じくらいの長さに形成されている。
【0056】
図6図7に示すように、巻取シャフト60と、コイルばね90の間に、サイレンサーチューブ100が、配設されている。サイレンサーチューブ100は、コイルばね90に対して回動可能とされている。
【0057】
カーテンユニット15の振動防止構造の使用態様を説明する。
【0058】
フロントホルダ30の軸部33に摺動用耐熱グリスを塗布し、図11の最上段に示すように、被係合部43が後側となるように配置して、軸部33にブッシュ40を挿入する。このとき、図11の上から二段目に示すように、被係合部43を構成する突部43bは、軸部33の外周面と接しながらガイド部35に到達する。ガイド部35は、前側に行くにしたがって拡径するテーパ状に形成されているため、図11の上から三段目に示すように、アーム部43aが押し広げられる。
【0059】
そして、有底溝34a内に突部43bが進入して、図11の上から四段目に示すように、有底溝34aと、突部43bとが係合する。このとき、ブッシュ40は、軸部33に対して回動可能な状態で、前後方向への移動が規制されている。
【0060】
コイルばね90の前端部とフロントホルダ30の軸部33と連結をし、コイルばね90に防錆用グリスを塗布する。コイルばね90の後端部側から、サイレンサーチューブ100を被せ、コイルばね90の後端部とスライダ80の前端部と連結する。このサブアッシイが、リトラクタユニットとなる。
【0061】
巻取シャフト60に当該リトラクタユニットを挿入し、ブッシュ40がこれ以上入らないところまで圧入する。
【0062】
このとき、図6に示すように、被係合部43の外周面は、巻取シャフト60の内周面と当接することにより、外側に広がることを規制され、係合部34と被係合部43との係合が解除されない状態となる。
【0063】
図示しない両面接着テープを使って、カーテン70を、巻取シャフト60とブッシュ40とに跨るように配置し巻き付ける。さらに、フロントホルダ30を回転させ、コイルばね90が設定トルクになるまで巻く。
【0064】
専用工具を使って、カーテン70の巻きが戻らない状態にして、ケース20に取り付ける。後支持部23の軸受部28を構成する上軸受部形成部24a、上軸受部形成部25a、下軸受部形成部26aに、巻取シャフト60の後端部を差し込んだ後、前支持部22にフロントホルダ30を嵌合させ、前支持部22のねじ孔22aと、フロントホルダ30の取付部31のねじ孔31bとを、タッピングねじのねじ38で挿通し固定することで、カーテンユニット15が、ケース20に対して取り付けられる。
【0065】
この状態でカーテン70の出し入れが可能な、車両用日除け装置10の完成品状態となる。
【0066】
このとき、ブッシュ40が軸部33に対して回動可能な状態であるとともに、係合部34と被係合部43とが係合した状態となり、ブッシュ40が前後方向(軸部33の軸線方向)への移動を規制され、ブッシュ40がフロントホルダ30の軸部33の根本に当たることがなくなるとともに、巻取シャフト60が、軸受部28に挿通され、すべり対偶の状態となるので、走行中の不快音が発生しなくなる。
【0067】
上記構成のカーテンユニットの振動防止構造では、車両用日除け装置10を構成するケース20に取り付け可能なカーテンユニット15の振動防止構造であって、
カーテンユニット15は、
筒状の巻取シャフト60と、
巻取シャフト60に巻かれるカーテン70と、
カーテン70を巻き取り方向に付勢する付勢部材としてのコイルばね90と、
ケース20に取り付け可能とされるとともに、巻取シャフト60の軸線方向における一端側の方向に配設されて軸部33を有する取付ホルダとしてのフロントホルダ30と、
巻取シャフト60の軸線方向における一端側において、巻取シャフト60に固定されるとともに、軸部33の外側に回動可能に嵌められ軸受となるブッシュ40と、
巻取シャフト60内で、巻取シャフト60の回転に追従可能なスライダ80と、
を備え、
巻取シャフト60の軸線方向における他端側において、ケース20に回動可能に取り付け可能とされ、
コイルばね90は、軸部33と前記スライダ80とを架け渡すように配設され、
軸部33には、軸部33の外周面から軸部33の軸線に向かう環状の有底溝34aとして形成された係合部34が配設され、
ブッシュ40には、34係合部と係合可能な突起状部分を備える被係合部43が配設され、
組み付けられた状態において、
係合部34と被係合部43とが係合されブッシュ40が軸部33の軸線方向への移動を規制され、
かつ、
巻取シャフト60の内周面と、被係合部43の外周面とが当接している。
【0068】
これによれば、係合部34と被係合部43とが係合されることで、ブッシュ40が軸部33の軸線方向への移動を規制され、巻取シャフト60の一端側では、ブッシュ40がフロントホルダ30の軸部33の根本に当たることがなくなり、巻取シャフト60の他端側では、リアホルダのシャフトの根本部分がケースの軸孔の周辺に当たることがなくなるので、走行中の不快音が発生しなくなる。
【0069】
さらに、巻取シャフト60の内周面と、被係合部43の外周面とが当接することで、被係合部43が径方向外側へ広がることを規制され、係合部34と被係合部43との係合が外れることを防止できる。
【0070】
よって、フェルトワッシャをなくすことができるので、部品点数の削減と組付け工数の削減をすることができ、原価低減が可能となる。
【0071】
また、カーテン70が、40ブッシュと巻取シャフト60とに跨るように貼着され、
ケース20には、巻取シャフト60の軸線方向における他端側を挿入可能な軸受部28が形成され、
軸受部28に、巻取シャフト60の軸線方向における他端側が挿入される。
【0072】
これによれば、ブッシュ40と巻取シャフト60とに跨るようにカーテン70を貼着したうえで、ブッシュ40が軸部33から移動しなくなることにより、巻取シャフト60も移動しなくなるので、軸受部28を構成する上軸受部形成部24a、上軸受部形成部25a、下軸受部形成部26aに巻取シャフト60の軸線方向における他端側を直接挿入する構成として、リアホルダをなくすことができる。よって、部品点数の削減と組付け工数の削減になり、原価低減に寄与する。
【0073】
また、巻取シャフト60の内周面には、波形溝61が複数形成され、
ブッシュ40には、巻取シャフト60の内周面と嵌合可能な嵌合部41が配設され、
嵌合部41には、ブッシュ40の外周面にブッシュ40の軸線方向に沿って形成され、波形溝61と嵌合可能なリブ42が配設され、
被係合部43は、リブ42からブッシュ40の軸線方向に沿って延設される複数のアーム部43aと、アーム部43aの先端部からブッシュ40の軸線に向かって突出し係合部34と係合可能な突部43bと、を有し、
組み付けられた状態において、巻取シャフト60の内周面と、嵌合部41の外周面とが当接している。
【0074】
被係合部43を上記構成とすれば、ブッシュ40の成形金型費用が比較的大きな増加にならず、部品点数の削減と組付け工数の削減をすることができる。
【0075】
また、軸部33には、被係合部43を係合部34に誘導するガイド部35が配設されている。
【0076】
これによれば、フロントホルダ30の軸部33にブッシュ40を挿入する際、軸部33のガイド部35により、被係合部43が係合部34に誘導されるので、ブッシュ40を決められた位置で固定することができる。
【0077】
本発明のカーテンユニットの振動防止構造は上記構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0078】
例えば、
また、巻取シャフト60の他端側では、リアホルダを介してケース20に取り付けることも可能である。
【0079】
また、巻取シャフト60の後端部で、フロントホルダ30と同様な取付ホルダによりケース20に、巻取シャフト60の前端部で、上軸受部形成部24a、上軸受部形成部25a、下軸受部形成部26aと同様な構成を設けてケース20に、取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 車両用日除け装置
15 カーテンユニット
20 ケース
28 軸受部
30 フロントホルダ
31 取付部
33 軸部
34 係合部
34a 有底溝
35 ガイド部
40 ブッシュ
41 嵌合部
42 リブ
43 被係合部
43a アーム部
43b 突部
60 巻取シャフト
61 波形溝
70 カーテン
80 スライダ
90 コイルばね
図1
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