(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】ラベル貼付装置
(51)【国際特許分類】
B65C 3/12 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B65C3/12
(21)【出願番号】P 2020168542
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000146445
【氏名又は名称】株式会社常光
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】種子田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】小原 洋一
(72)【発明者】
【氏名】茂呂 博
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178408(JP,A)
【文献】特開2020-66450(JP,A)
【文献】実開平2-129009(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル発行装置に設けられ、前記ラベル発行装置により発行されたラベルを被貼付物の円筒形状の外周面に貼付するラベル貼付装置であって、
鉛直方向に略沿って設けられた第1板状部と、
前記第1板状部の高さ方向の中心よりも上方に設けられており、粘着面が下面側に露出した前記ラベルが挿入されるラベル挿入口と、
前記第1板状部の下側に水平方向に略沿って設けられた第2板状部であって、前記ラベル発行装置から遠ざかる方向に延設された第2板状部と、
前記第1板状部に鉛直方向に略沿って設けられた上下スライドレールと、
前記第1板状部の延設方向と略直交する第1方向に略沿って前記第2板状部に設けられた水平スライドレールと、
前記第1板状部側に配置された先端部が前記水平スライドレールに沿って前記第1方向に移動可能に設けられた押し出し棒と、
前記上下スライドレールに沿って上下方向に移動可能に設けられた支持部材と、
下端が前記先端部に回転可能に設けられており、前記下端と反対側の端である上端が前記支持部材に回転可能に設けられており、前記先端部が前記第1板状部に向けて押し込まれることで前記支持部材を上方向に押し上げるリンク部材と、
外周面が前記第1板状部と当接するように前記支持部材に回転可能に設けられた大プーリであって、回転中心が前記第1方向と略直交する第2方向に沿っており、前記支持部材が上方向に押し上げられることで回転しながら上方向に移動する大プーリと、
前記第2方向に沿って延設された円柱形状の押し出しローラであって、前記支持部材に回転可能に設けられており、前記被貼付物を前記ラベル挿入口に向かって押し上げる押し出しローラと、
前記大プーリと前記押し出しローラとを連結しており、前記大プーリの回転を前記押し出しローラに伝達するベルトと、
を備えたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記大プーリを前記第1板状部に押圧する弾性部材を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記第1板状部に設けられた回転軸を中心に回転可能に設けられた板状のラベル押さえを備え、
前記第2方向に沿って見たときに、前記回転軸は前記ラベル押さえの前記ラベル発行装置側に位置する端近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
前記押し出しローラにより押し上げられる前記被貼付物の搬送経路上に、前記被貼付物の外周面に当接する緩衝体を備えた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のラベル貼付装置。
【請求項5】
端部が前記第1板状部に設けられており、前記第1板状部から遠ざかる方向に延設されている板状の下案内板を備え、
前記下案内板には、前記第1板状部に隣接して、前記押し出しローラが通過可能な第1孔が設けられており、
前記第2方向に沿って見たときに、前記第1孔により前記下案内板に形成された前記第1板状部に対向する第1端の高さが前記第1端の反対側の第2端の高さより低い
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のラベル貼付装置。
【請求項6】
前記下案内板の上方に設けられた板状の上案内板を備え、
前記上案内板には、前記第1板状部に隣接して、前記被貼付物が通過可能な第2孔が設けられており、
前記第2方向に沿って見たときに、前記第2孔により前記上案内板に形成された前記第1板状部に対向する第3端の高さは、前記ラベル挿入口の高さよりも高く、かつ、前記第3端の反対側の第4端の高さより高い
ことを特徴とする請求項5に記載のラベル貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査や研究の現場においては、採血管やバイアル等の円筒形状の被貼付物にラベルを貼付する作業に、多くの時間と手間を必要としていた。そこで、簡素な構成で、円筒形状の被貼付物にラベルを貼付できるラベル貼付装置が必要とされている。
【0003】
特許文献1には、試験管を押上げ部材により押し上げるとともに、モータによって回転駆動される押圧ローラが試験管の外周に対しラベルを押圧しながら回転することで、試験管にラベルを貼付する試験管ラベル自動発行貼付装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の試験管ラベル自動発行貼付装置においては、構成が複雑であり、メンテナンスに手間がかかる。また、特許文献1に記載の試験管ラベル自動発行貼付装置においては、電源に接続されたモータを使用しなければならない。
【0006】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、電気を使用せず、簡素な構成で円筒状の被貼付物にラベルを貼付することができるラベル貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるラベル貼付装置は、例えば、ラベル発行装置に設けられ、前記ラベル発行装置により発行されたラベルを円筒形状の被貼付物に貼付するラベル貼付装置であって、鉛直方向に略沿って設けられた第1板状部と、前記第1板状部の高さ方向の中心よりも上方に設けられており、粘着面が下面側に露出した前記ラベルが挿入されるラベル挿入口と、前記第1板状部の下側に水平方向に略沿って設けられた第2板状部であって、前記ラベル発行装置から遠ざかる方向に延設された第2板状部と、前記第1板状部に鉛直方向に略沿って設けられた上下スライドレールと、前記第1板状部の延設方向と略直交する第1方向に略沿って前記第2板状部に設けられた水平スライドレールと、前記第1板状部側に配置された先端部が前記水平スライドレールに沿って前記第1方向に移動可能に設けられた押し出し棒と、前記上下スライドレールに沿って上下方向に移動可能に設けられた支持部材と、下端が前記先端部に回転可能に設けられており、前記下端と反対側の端である上端が前記支持部材に回転可能に設けられており、前記先端部が前記第1板状部に向けて押し込まれることで前記支持部材を上方向に押し上げるリンク部材と、外周面が前記第1板状部と当接するように前記支持部材に回転可能に設けられた大プーリであって、回転中心が前記第1方向と略直交する第2方向に沿っており、前記支持部材が上方向に押し上げられることで回転しながら上方向に移動する大プーリと、前記第2方向に沿って延設された円柱形状の押し出しローラであって、前記支持部材に回転可能に設けられており、前記被貼付物を前記ラベル挿入口に向かって押し上げる押し出しローラと、前記大プーリと前記押し出しローラとを連結しており、前記大プーリの回転を前記押し出しローラに伝達するベルトと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、押し出し棒が押し込まれて、押し出し棒の第1板状部側に配置された先端部が水平スライドレールに沿って移動すると、リンク部材により、支持部材、大プーリ及び押し出しローラが上下スライドレールに沿って上方向に移動する。外周面が第1板状部と当接するように支持部材に回転可能に設けられた大プーリは、支持部材が上方向に押し上げられることで回転しながら上方向に移動し、ベルトにより大プーリの回転が押し出しローラに伝達される。したがって、被貼付物は、押し出しローラにより回転しながら押し上げられ、ラベル挿入口において外周面がラベルに当接する。外周面がラベルに当接した後も、被貼付物は、押し出しローラにより回転しながら押し上げられる。これにより、電気を必要とせず、簡素な構成で、円筒形状の被貼付物にラベルを貼付することができる。
【0009】
前記大プーリを前記第1板状部に押圧する弾性部材を備えてもよい。これにより、大プーリを第1板状部に強く押し付け、大プーリを確実に回転させることができる。
【0010】
前記第1板状部に設けられた回転軸を中心に回転可能に設けられた板状のラベル押さえを備え、前記第2方向に沿って見たときに、前記回転軸は前記ラベル押さえの前記ラベル発行装置側に位置する端近傍に設けられていてもよい。この構成によれば、ラベル押さえが、押し上げローラにより押し上げられた被貼付物にラベルの粘着面を押圧し、被貼付物の外周面にラベルを確実に粘着させることができる。
【0011】
前記押し出しローラにより押し上げられる前記被貼付物の搬送経路上に、前記被貼付物の表面に当接する緩衝体をさらに備えるものとしてもよい。これにより、被貼付物と緩衝体との摩擦力を利用して、被貼付物を移動と共に回転させることができる。
【0012】
端部が前記第1板状部に設けられており、前記第1板状部から遠ざかる方向に延設されている板状の下案内板を備え、前記下案内板には、前記第1板状部に隣接して、前記押し出しローラが通過可能な第1孔が設けられており、前記第2方向に沿って見たときに、前記第1孔により前記下案内板に形成された前記第1板状部に対向する第1端の高さが前記第1端の反対側の第2端の高さより低くてもよい。これにより、複数の被貼付物をラベル貼付装置に容易に挿入することができる。また、下案内板に複数の被貼付物を載置する場合であっても、下案内板の傾斜により被貼付物が順次押し出しローラの上方に案内されるため、複数の被貼付物に対して連続してラベルを貼付することができる。
【0013】
前記下案内板の上方に設けられた板状の上案内板を備え、前記上案内板には、前記第1板状部に隣接して、前記被貼付物が通過可能な第2孔が設けられており、前記第2方向に沿って見たときに、前記第2孔により前記上案内板に形成された前記第1板状部に対向する第3端の高さは、前記ラベル挿入口の高さよりも高く、かつ、前記第3端の反対側の第4端の高さより高くてもよい。したがって、ラベルが貼付された被貼付物が上案内板に乗り上げると、上案内板の傾斜に沿ってラベル挿入口から離れる方向に転がり出る。これにより、被貼付物がラベル挿入口付近に留まることがないため、複数の被貼付物に連続してラベルを貼付することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電気を使用せず、簡素な構成で円筒形状の被貼付物にラベルを貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ラベル貼付装置1の概略を示す分解斜視図である。
【
図2】ラベル貼付装置1の概略を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
【
図4】ラベル貼付装置1の概略を示す断面図である。
【
図5】搬送部40が採血管Aを回転させながら上方に押し上げる様子を示す図である。
【
図6】ラベル貼付装置2の概略を示す斜視図である。
【
図7】ラベル貼付装置2に被貼付物であるバイアルBを載置した様子を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるラベル貼付装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明にかかるラベル貼付装置は、円筒形状の外周面を有する被貼付物、例えば採血管、バイアル、試験管、チューブの外周面にラベルを貼付する装置である。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るラベル貼付装置1の概略を示す分解斜視図である。
図2は、ラベル貼付装置1の概略を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。なお、
図1では、ラベル貼付装置1が有する構成の一部を省略している。以下、xy平面に沿った方向を水平方向とし、z方向を鉛直方向とする。また、ラベル貼付装置1の幅方向であって正面から見て左から右に向かう方向を+x方向とし、ラベル貼付装置1の手前から奥に向かう方向を+y方向とし、鉛直上向きの方向を+z方向とする。
【0018】
ラベル貼付装置1は、主として、連結部10と、基部20と、搬送部40と、ラベル押さえ50と、案内部60とを備える。
【0019】
連結部10は、図示しないラベル発行装置にラベル貼付装置1を連結する部材である。図示しないラベル発行装置は、ラベル貼付装置1の+y側に設けられている。
【0020】
図示しないラベル発行装置は、ラベルL(
図4参照)が排出されるラベル排出口が設けられた凸部を有し、凸部の両側を挟むようにして連結部10が凸部に設けられることで、ラベル貼付装置1がラベル発行装置に取り付けられる。
【0021】
基部20は、主として、基台21と、押し出し棒22と、リンク部材23と、弾性部材24と、ばね支持部25と、水平スライドレール26とを備える。
【0022】
基台21は、ラベル貼付装置1の底面を構成する平板状の部材である。基台21は、連結部10に設けられた第1板状部21aと、第1板状部21aの下側に水平方向に略沿って設けられた第2板状部21bと、を有する。基台21はL字形状であり、第2板状部21bは第1板状部21aから-y方向(ラベル発行装置から遠ざかる方向)に延設されている。
【0023】
第1板状部21aは、鉛直方向(ここでは、xz平面)に略沿って設けられた板状の部材である。第1板状部21aには、ラベルLが挿入されるラベル挿入口21cが設けられている。ラベル挿入口21cは、第1板状部21aの高さ方向の中心よりも上方(+z方向)に設けられている。ラベルLは、図示しないラベル排出口から-y方向に向かって排出され、ラベル挿入口21cから-y方向に向かって挿入されるラベルLは、ラベル挿入口21cに進入する際、下面側に粘着面が露出した状態である。
【0024】
第2板状部21bの上面には、水平スライドレール26が設けられている。水平スライドレール26は、y方向(第1板状部の延設方向と略直交する方向、本発明の第1方向に相当)に略沿って延設されている。
【0025】
押し出し棒22は、y方向に伸びる細長い棒状の部材であり、y方向に略沿って延設されている。押し出し棒22は、水平スライドレール26に沿って移動可能に設けられた固定部22aを有する。固定部22aは、押し出し棒22の第1板状部21a側に配置された端である先端部22c近傍に設けられる。ラベル貼付装置1の使用者により、押し出し棒22が+y方向、すなわち第1板状部21aに向かって押し込まれることで、固定部22a及び先端部22cが+y方向に移動する。先端部22cには、リンク部材23が設けられている。
【0026】
なお、本実施の形態では、押し出し棒22は1本の棒状の部材であったが、固定部22a及び先端部22cが+y方向に移動すればよく、押し出し棒22が複数の棒状部材により構成されていてもよい。
【0027】
リンク部材23は、幅方向(x方向)の両端が上方に折り曲げられている平板上の部材である。リンク部材23の下端部23aは、先端部22cの側面に、押し出し棒22を挟み込むように、かつx軸回りに回転可能に設けられている。
【0028】
下端部23aと反対側の端である上端部23bは、x方向に沿って設けられた軸43を介して支持部材41に回転可能に設けられている。リンク部材23は、下端部23a及び上端部23bが回転可能であるため、先端部22cが第1板状部21aに向けて押し込まれることで、水平方向に対する角度が変化し、支持部材41を上方向(+z方向)に押し上げる(後に詳述)。
【0029】
弾性部材24は、例えば圧縮コイルばねであり、押し出し棒22とばね支持部25とを連結する。押し出し棒22の先端部22cには、上方に向かって凸となる突起22bが形成されている。突起22bには、弾性部材24の一方の端が連結されている。
【0030】
弾性部材24の他方の端は、ばね支持部25に設けられている。ばね支持部25は、細長い平板の両端が下方(-z方向)に折り曲げられており、この両端は基台21に連結されている。ばね支持部25の略中央部には、上方に向かって起立する凸部25aが形成され、凸部25aに弾性部材24の他方の端が連結されている。したがって、押し出し棒22は、弾性部材24の弾性力により、第1板状部21aから離れる方向の力(-y方向の力)が付勢される。
【0031】
搬送部40は、被貼付物である採血管Aを回転させながら上方に押し上げる機構部である。
図3は、搬送部40の概略を示す分解斜視図である。搬送部40は、主として、支持部材41と、上下スライドレール42と、軸43、48と、大プーリ44と、小プーリ45と、押し出しローラ46と、ベルト47とを備える。
【0032】
上下スライドレール42は、第1板状部21aに設けられている(
図1参照)。上下スライドレール42は、z方向に略沿って延設されている。
【0033】
支持部材41は、上下スライドレール42に取り付けられており、上下スライドレール42に沿ってz方向に移動可能である。支持部材41は、上下スライドレール42に取り付けられる第1支持部材41aと、第1支持部材41aに取り付けられる第2支持部材41bとを有する。第1支持部材41aと第2支持部材41bとはビス等により一体化されている。
【0034】
第1支持部材41aは、x軸方向に間隔を空けて対向する1対の連結板41c、41dを有する。連結板41c、41dには、軸48が回転可能に設けられる。また、連結板41c、41dに間には、押し出しローラ46が設けられる。
【0035】
第2支持部材41bは、x軸方向に間隔を空けて対向する1対の連結板41e、41fを有する。連結板41e、41fには、軸43が回転可能に設けられる。軸43の第2支持部材41bに囲まれた部分(連結板41e、41fに間)には、リンク部材23(
図1、2参照)が回転可能に設けられている。また、軸43の第2支持部材41bの外側(ここでは、+x側)には、大プーリ44が設けられている。
【0036】
大プーリ44は、回転中心がy方向に沿って設けられた円板形状の部材である。大プーリ44は、軸43に設けられている円板形状のプーリ部44aと、プーリ部44aの外周面に沿って設けられているOリング44bと、を有する。大プーリ44の外周面(ここでは、Oリング44b)は、第1板状部21aと当接する(
図1、2参照)。Oリング44bはゴム等で形成されており、弾性を有するため、Oリング44bを介することで、大プーリ44が第1板状部21aと確実に当接し、また大プーリ44と第1板状部21aとの摩擦係数が大きくなる。したがって、大プーリ44は、リンク部材23により支持部材41が+z方向に押し上げられると、回転しながら+z方向に移動する。
【0037】
なお、Oリング44bは必須ではないが、大プーリ44を確実に回転させるためには大プーリ44がOリング44bを有することが望ましい。また、大プーリ44を確実に回転させるための構成としては、Oリング44b以外の公知の技術を用いることができる。
【0038】
第1支持部材41aには板ばね49が設けられている。板ばね49は、第2支持部材41b、すなわち第2支持部材41bに設けられた大プーリ44を第1支持部材41aに向けて押圧する。その結果、大プーリ44は、第1板状部21aとの摩擦力により、支持部材41のz方向の移動に伴って回転する。
【0039】
なお、大プーリ44を第1支持部材41aに向けて押圧するのは、板ばね49に限らず、様々な種類の弾性部材を用いることができる。例えば、引っ張りコイルバネを第1支持部材41aと第2支持部材41bとの間に設けることで大プーリ44を第1支持部材41aに向けて押圧してもよい。
【0040】
大プーリ44には、外周面に沿って溝44cが設けられている。溝44cには、ベルト47が掛けられている。また、ベルト47は、小プーリ45に掛けられており、大プーリ44の回転を小プーリ45に伝達する。
【0041】
小プーリ45には軸48が挿通される。また、軸48は、押し出しローラ46に挿通される。軸48は、第1支持部材41a及び第2支持部材41bに対して回転可能である。小プーリ45及び押し出しローラ46は軸48に固定されており、小プーリ45と共に押し出しローラ46が回転する。すなわち、ベルト47は、大プーリ44の回転を押し出しローラ46に伝達する。
【0042】
押し出しローラ46は、ラベル貼付装置1に挿入される採血管Aを、ラベル挿入口21cに向かって押し上げるローラである。押し出しローラ46は、y方向に沿って延設された円柱形状の部材であり、支持部材41に回転可能に設けられている。
【0043】
押し出しローラ46は、軸48に設けられているローラ部46aと、ローラ部46aの外周面に沿って設けられているOリング46bと、を有する。Oリング46bは、弾性を有し、Oリング46bに当接する採血管Aを、押し出しローラ46の回転に伴って確実に回転させる。
【0044】
なお、Oリング46bは必須ではないが、採血管Aを確実に回転させるためには押し出しローラ46がOリング46bを有することが望ましい。また、採血管Aを確実に回転させるための構成としては、Oリング46b以外の公知の技術を用いることができる。
【0045】
図1の説明に戻る。ラベル押さえ50は、板状の部材であり、第1板状部21aに回転可能に設けられている。ラベル押さえ50は、ラベル挿入口21cの上方に設けられている。第1板状部21aに設けられた回転軸50aを中心に回転可能である。
【0046】
図4は、ラベル貼付装置1の概略を示す断面図であり、
図2(A)のA-A断面である。y方向(本発明の第2方向に相当)に沿って見たときに、回転軸50aは、ラベル押さえ50の+y側(ラベル発行装置側)に位置する端近傍に設けられている。
【0047】
ラベル押さえ50には、ラベル押さえばね51の一端が設けられる。ラベル押さえばね51は、例えば圧縮コイルばねであり、ラベル押さえばね51の他端は第1板状部21aに設けられている。したがって、ラベル押さえ50は、ラベル押さえばね51により、ラベルLを採血管Aに向かって押圧し(
図4矢印参照)、ラベルLを採血管Aに貼付する。
【0048】
なお、ラベル押さえばね51の形態はこれに限られない。例えば、ラベル押さえばね51としてねじりコイルばねを回転軸50aに設け、ラベル押さえ50がラベルLを採血管Aに向かって押圧するようにしてもよい。
【0049】
緩衝体55は、採血管Aがラベル押さえ50を押し上げて移動する搬送経路において、回転軸50aと対向して配置される。緩衝体55は、弾性を有する部材(ゴム、スポンジ等)で形成されており、採血管Aの外周面に当接する。緩衝体55は、例えば、上案内板62(後に詳述)の端部が下方に折り曲げられて形成された第1板状部21aとの対向面62cに設けられている。したがって、緩衝体55との間に生じる摩擦力により、採血管Aをより確実に回転させることができる。ただし、緩衝体55は必須ではない。
【0050】
案内部60は、挿入される採血管Aをラベル貼付装置1内部へ案内し、ラベルLが貼付された採血管Aを、ラベル貼付装置1外部へと案内する機構である。案内部60は、主として、下案内板61と、上案内板62とを備える。
【0051】
下案内板61は、板状の部材であり、端部が第1板状部21aに設けられている。下案内板61は、第1板状部21aから遠ざかる方向(-y方向)に延設されている。
【0052】
下案内板61には、第1板状部21aに隣接して孔61cが形成されている。孔61cは、押し出しローラ46が通過可能である。孔61cにより、下案内板61には、第1板状部21aに対向する第1端61aが形成される。
【0053】
押し出しローラ46が上方向に押し上げられていないときに、第1端61aは、押し出しローラ46の上側に位置する。また、y方向に沿って見たときに、第1端61aの高さは、第1端61a反対側の第2端61bの高さより低い。
【0054】
採血管Aは、下案内板61の第2端61b側に載置されると、第1端61aに向かって転がり、押し出しローラ46の上方に案内される。孔61cにより第1端61aと第1板状部21aとの間に形成された隙間は採血管Aの直径より小さいため、採血管Aが孔61cから落下しない。そして、押し出しローラ46の上方に案内された採血管Aは、孔61cを通過した押し出しローラ46により上方に押し上げられる。
【0055】
下案内板61を用いることで、採血管Aをラベル貼付装置1に容易にセットすることができる。また、下案内板61上に採血管Aを複数待機させ、連続してラベル貼付処理を行うことができる。
【0056】
上案内板62は、板状の部材であり、第1板状部21aに設けられている。上案内板62は、下案内板61の上方に配置されている。上案内板62は、第1板状部21aから遠ざかる方向(-y方向)に延設されている。
【0057】
上案内板62には、第1板状部21aに隣接して孔62eが形成されている。孔62eは、採血管Aが通過可能である。孔62eにより、上案内板62には、第1板状部21aに対向する第1端62aが形成される。
【0058】
y方向に沿って見たときに、第1端62aは、ラベル挿入口21cの高さよりも高い位置に配置されている。また、y方向に沿って見たときに、第1端62aの高さが、第1端62aと反対側の第2端62bの高さより高い。
【0059】
上案内板62は、第1板状部21aから遠ざかるにつれて下方に傾斜しており、排出された採血管Aをラベル挿入口21cから離れる方向に案内する。したがって、押し出しローラ46により押し上げられた採血管Aは、孔62eを通って、上案内板62の上方に押し上げられる。
【0060】
上案内板62の下端部62dは、上方に向かって湾曲しており、上案内板62を転がった採血管Aを上案内板62上に保持する。したがって、連続してラベルLが貼付された採血管Aを複数留置させておくことができる。
【0061】
次に、ラベル貼付装置1に挿入された採血管AにラベルLが貼付され、上案内板62上に留置されるまでの一連の動作を説明する。まず、採血管Aが下案内板61の第2端61bに載置されると、
図4に示すように、採血管Aは、下案内板61の傾斜により第1端61aに向かって転がり、孔61c上に保持される。また、ラベルLは、粘着面が下面側に露出した状態で、ラベル挿入口21cから一部が挿入されている。
【0062】
図5は、搬送部40が採血管Aを回転させながら上方に押し上げる様子を示す図である。なお、
図5の実線は、採血管Aをラベル押さえ50に向かって押し上げた状態を示す。
【0063】
押し出し棒22が+y方向に押し込まれると、リンク部材23が回動しながら起立し、支持部材41が上下スライドレール42に沿って上昇する(
図5の点線参照)。リンク部材23が支持部材41を押し上げると、大プーリ44が第1板状部21a上を転がりながら上昇する。ベルト47が大プーリ44の回転を小プーリ45に伝達するため、押し出しローラ46が大プーリ44に連動して回転しながら上昇し、採血管Aをラベル押さえ50に向かって押し上げる。
【0064】
押し出しローラ46の外周面が採血管Aの外周面に当接するため、押し出しローラ46の回転に伴って採血管Aが回転する。大プーリ44、小プーリ45及び押し出しローラ46は、
図5における(+x方向から見て)時計回りに回転するため、採血管Aは
図5における反時計回りに回転する。すなわち、採血管Aは、ラベルLの挿入方向に沿って、挿入されたラベルLを巻き取る方向に回転する。
【0065】
押し出しローラ46が採血管Aを押し上げながら回転することで、採血管AはラベルLに押圧されながら回転する。また、
図4に示すように、ラベルL上方のラベル押さえ50がラベルLを下向きに押圧する。したがって、ラベルLは採血管Aの円筒面に貼付される。
【0066】
ラベルLが貼付された採血管Aは、押し出しローラ46により孔62eを通って上案内板62の上方へ搬送される。採血管Aは、上案内板62の傾斜に沿って上案内板62上を転がり、下端部62dに当接して留置される。
【0067】
本実施の形態によれば、押し出し棒22を押し込むことにより押し出しローラ46が押し上げ及び回転され、採血管Aの搬送及び回転を行うため、電気を使用せず、円筒形状の採血管Aの外周面にラベルLを貼付することができる。また、押し出しローラ46のみで採血管Aの搬送及び回転が可能であり、ラベル貼付装置1の構成を簡素にすることができる。したがって、メンテナンス作業を減らすことができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、リンク機構(押し出し棒22、リンク部材23及び支持部材41)及び巻掛け伝動装置(大プーリ44、小プーリ45及びベルト47)という基本的な機構を用いて採血管Aの押し上げ及び回転を行うため、簡素な構成で採血管Aにラベルを貼付することができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、下案内板61を用いることで、複数の採血管Aに対して連続してラベルLを貼付することができる。また、上案内板62を用いることで、連続してラベルLを貼付した複数の採血管Aを保持することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、ラベル押さえ50がラベルLを下向きに押圧するため、ラベルLを採血管Aの外周面に確実に当接させることができる。また、押し出しローラ46がラベルLを巻き取る方向に採血管Aを回転させるため、採血管Aの外周面に沿ってラベルL貼付することができる。
【0071】
<第2の実施の形態>
本発明にかかるラベル貼付装置の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態にかかるラベル貼付装置2は、被貼付物に対して1本ずつラベルLを貼付する形態である。
【0072】
図6は、ラベル貼付装置2の概略を示す斜視図である。
図7は、ラベル貼付装置2に被貼付物の一例であるバイアルBを載置した様子を示す概略斜視図である。ラベル貼付装置2は、主として、基台110と、ローラ121と、スライドレール122と、ばね123と、支持部材124と、ガイド125と、板状部材126とを備える。
【0073】
基台110は図示しないラベル発行装置にラベル貼付装置1を連結する部材である。図示しないラベル発行装置は、ラベル貼付装置1の+y側に設けられている。基台110には、ラベルLが挿入されるラベル挿入口111が設けられている。ラベルLは、図示しないラベル排出口から-y方向に向かって排出される。
【0074】
基台110のラベル挿入口111の+z側には、ローラ121が回転可能に連結されている。ローラ121の回転軸はx方向に略沿っている。
【0075】
スライドレール122は、基台110に設けられている。スライドレール122は、z方向に沿って延設されている。スライドレール122には支持部材124が設けられており、支持部材124はスライドレール122に沿ってz方向に移動する。
【0076】
ばね123は、例えば圧縮コイルばねであり、一端(上側の端)が基台110に設けられ、他端(下側の端)が支持部材124に設けられている。ばね123は、支持部材124に+z方向に向かう力を付勢する。なお、本実施の形態では、ばね123は平行に設けられた1対のばね123a、123bにより構成されるが、配置位置及び個数は図示した形態に限られない。
【0077】
支持部材124には、ガイド125が設けられている。ガイド125は、一対のガイド125a、125bを有する。ガイド125a、125bは、支持部材124から上方に伸びるL字形状の平板である。ラベル挿入口111から排出されたラベルLは、ガイド125aとガイド125bの間に、下面側に粘着面を露出した状態でラベル貼付装置2に挿入される。
【0078】
ガイド125a、125bのローラ121側の側壁125cは円弧上に凹となっている。バイアルBは、ガイド125の側壁125cの上に載置される。
【0079】
板状部材126は、基台110に設けられている板状の部材である。板状部材126は、yz平面に略沿った当接面126aを有し、バイアルBの端面(例えば、底面)が当接面126aに当接することで、バイアルBのx方向の位置決めを行われる。
【0080】
次に、ラベル貼付装置2がバイアルBにラベルLを貼付する一連の動作を説明する。まず、側壁125cにバイアルBを載置し、バイアルBの平坦面(例えば、底面)を当接面126aに当接させる。これにより、バイアルBがx方向に位置決めされ、ラベルLの貼付け位置を確定させる。
【0081】
バイアルBが側壁125c及び当接面126aに当接した状態でばね123の付勢力に抗してガイド125を-z方向に押し下げ、その後ガイド125を-z方向に押し下げる力を取り除くと、ばね123の付勢力により支持部材124及びガイド125、すなわちバイアルBがスライドレール122に沿って+z方向に移動する。
【0082】
+z方向に移動したバイアルBは、ローラ121に当接し、ローラ121と共に回転する。バイアルBは、側壁125cの凹形状により、円筒面に沿ってラベルLを巻き取るように回転し(
図7の矢印参照)、その結果バイアルBにラベルが貼付される。
【0083】
本実施の形態によれば、ばね123の付勢力によりバイアルBを上昇させるとともに回転させるため、簡便な構成で、ラベルLを円筒面に歪みなく貼付することができる。
【0084】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0085】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略平行、略直交とは、厳密に平行、直交の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合においても、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、例えばAの近傍であるときに、Aの近くであって、Aを含んでも含まなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0086】
1、2 :ラベル貼付装置
10 :連結部
20 :基部
21 :基台
21a :第1板状部
21b :第2板状部
21c :ラベル挿入口
22 :押し出し棒
22a :固定部
22b :突起
22c :先端部
23 :リンク部材
23a :下端部
23b :上端部
24 :弾性部材
25 :ばね支持部
25a :凸部
26 :水平スライドレール
40 :搬送部
41 :支持部材
41a :第1支持部材
41b :第2支持部材
41c、41d、41e、41f:連結板
42 :上下スライドレール
43 :軸
44 :大プーリ
44a :プーリ部
44b :Oリング
44c :溝
45 :小プーリ
46 :押し出しローラ
46a :ローラ部
46b :Oリング
47 :ベルト
48 :軸
49 :板ばね
50 :ラベル押さえ
50a :回転軸
51 :ラベル押さえばね
55 :緩衝体
60 :案内部
61 :下案内板
62 :上案内板
61a、62a:第1端
61b、62b、62e:第2端
61c :孔
62c :対向面
62d :下端部
110 :基台
111 :ラベル挿入口
121 :ローラ
122 :スライドレール
123、123a、123b:ばね
124 :支持部材
125、125a、125b:ガイド
125c :側壁
126 :板状部材
126a :当接面