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▶ 平岡織染株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】メタリック調シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/12 20060101AFI20240322BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B32B27/12
B32B27/20 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022000045
(22)【出願日】2022-01-04
(65)【公開番号】P2023099881
(43)【公開日】2023-07-14
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000239862
【氏名又は名称】平岡織染株式会社
(72)【発明者】
【氏名】狩野 俊也
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-034735(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110003713(CN,A)
【文献】特開2021-066122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/12
B32B 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物の表面及び裏面に熱可塑性樹脂組成物による被覆層が設けられ、さらにこの被覆層の1面以上に光輝性塗膜層が形成されてなるメタリック調シートであって、前記光輝性塗膜層に、光輝性顔料、シランカップリング剤反応物、及びセルロースナノファイバーを少なくとも含有し、前記光輝性顔料が、アルミニウム(着色)鱗片粉、フレーク状(着色)アルミニウム、鱗片状干渉発色型マイカ、鱗片状(発色)マイカ、干渉発色型ガラスフレーク、金属蒸着ガラスフレーク、金属蒸着(着色)フィルム破砕体、及びホログラムフィルム破砕体、から選ばれた1種以上であり、また、前記セルロースナノファイバーが、非変性セルロース、カルボキシメチル化セルロース、酸化セルロース、ホウ酸エステル化セルロース、リン酸エステル化セルロース、ケイ酸エステル化セルロース、イソシアネート化セルロース、アミノシラン変性セルロース、ビニルシラン変性セルロース、エポキシシラン変性セルロース、メタクリルシラン変性セルロース、アクリルシラン変性セルロース、クロルシラン変性セルロース、メルカプトシラン変性セルロース、イソシアヌレートシラン変性セルロース、イソシアネートシラン変性セルロース、から選ばれた1種以上のナノファイバーであり、前記シランカップリング剤反応物が、シランカップリング剤同士の反応による縮合物を少なくとも含み、さらに前記光輝性顔料に結合したシランカップリング剤分解物、及び前記セルロースナノファイバーに結合したシランカップリング剤分解物を含み、かつ前記シランカップリング剤が、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メルカプトシラン、イソシアヌレートシラン、イソシアネートシラン、から選ばれた1種以上であることを特徴とするメタリック調シート。
【請求項2】
前記光輝性塗膜層が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル/シリコン系共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、アクリル系樹脂とフッ素系共重合体樹脂のブレンド、ウレタン/シリコン系グラフト共重合体樹脂、及びウレタン/フッ素系グラフト共重合体樹脂、から選ばれた1種以上である請求項1に記載のメタリック調シート。
【請求項3】
前記光輝性塗膜層上に、さらに防汚塗膜層が形成され、この防汚塗膜層内に、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有している請求項1または2に記載のメタリック調シート。
【請求項4】
前記防汚塗膜層が、オルガノシリケート化合物、またはシラノール基含有有機シラン化合物のゾルゲル縮合体を主体とする請求項3に記載のメタリック調シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、日除けテントなどの膜構造物を始め、建築養生・防音シートなどに用いられる、とりわけメタリック調シート(ターポリン)と、さらにトラック幌、トラック荷台カバー、屋形テント、シートハウスなどに用いられる、とりわけメタリック調シート(帆布)に関する。より詳しくは、メタリック調のターポリン、帆布に設けられた光輝性塗膜樹脂層が縫製時、及び施工時の物理的負荷による折れ傷や、擦過傷に対する耐久性を有し、光輝性塗膜樹脂層に光輝性顔料の配列の乱れによる光学的な傷痕を容易に生じることなく、縫製時、及び施工時の取扱が自在で、しかも使用における光輝性塗膜樹脂層が容易に摩滅、脱落することのないメタリック調シートの発明に関する。
【背景技術】
【0002】
大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテントなどの膜構造物を始め、建築養生・防音シートなどには、ポリエステル長繊維によるフィラメント織物を基材とし、その両面に軟質塩化ビニル樹脂フィルムを熱ラミネートしてなるターポリンが汎用普及し、また、トラック幌、トラック荷台カバー、屋形テント、シートハウスなどには、ポリエステル短繊維紡績糸によるスパン織物を基材とし、その両面に軟質塩化ビニル樹脂ペーストを塗工し、それを加熱ゲル化させてなる防水帆布が汎用普及している。特に大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウスなどの外観色には、白、アイボリーなど日射の蓄熱性が低く、光透過採光性のいい淡色が普及する一方、トラック幌、トラック荷台カバーなどの外観色には遮光性が高く、汚れ付着の目立ち難いダークグリーン、オリーブドラブなどの濃色が普及している。そして特にパビリオン、サーカステントなどのアミューズメント用途では、シルバー、ゴールドなどの存在感の大きいメタリック調外観のニーズが存在し、一方、トラック幌ではアルミボディのウイング幌用にシルバーの帆布のニーズが存在している。さらには非常持出袋(防災備蓄品)用の素材としてシルバー色のターポリンレザーのニーズが存在している。
【0003】
このようなメタリック調シートの製造は大別して、1)軟質塩化ビニル樹脂にメタリック顔料を含有する組成物コンパウンドからなるメタリック調フィルムをラミネートすることでターポリン全体にメタリック顔料を含ませる加飾方法、または軟質塩化ビニル樹脂にメタリック顔料を含有するペースト組成物を塗工し、これを加熱ゲル化させることでメタリック調樹脂塗膜を形成することで帆布全体にメタリック顔料を含ませる加飾方法と、2)例えば白色(色相は特に問わない)に着色したターポリン、または帆布を製造し、これらの表面に、メタリック顔料を含有する塗料によるベタ印刷を施してターポリン、帆布の表面のみにメタリック顔料を含ませる加飾方法がある。特によりメタリック感の大きい外観を得るためには何れの方法においてもメタリック顔料の含有濃度を増す必要があるが、この場合は、後者の製造方法だとリーズナブル、かつ製造コストが断然安価となる。汎用性の高いメタリック顔料としては、アルミニウム鱗片粉、アルミニウムフレークなどが好ましく、特にリーフィング処理されたアルミニウム鱗片粉を配合した塗料用いることで、鱗片状のアルミニウムが塗工液中で、水面に浮かぶ落葉(リーフ)の如く水平に配向・配列するリーフィング効果により鏡のような光沢のクロムメッキ調外観を得る。一方、リーフィング処理の無い鱗片粒子の大きいアルミニウムフレークを用いれば、塗工液中での配列がランダムとなってキラキラとした動的なシルバー外観となる。ゴールドの加飾は、これらのアルミニウム顔料と黄色~橙色の差し色によって容易に得ることができ、任意の差し色によってカラーメタリック加飾が自在である。
【0004】
このようにして得られたメタリック調外観のターポリン、帆布などの原反は、概ね1~2m幅が主流であるため、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、膜屋根(天井)、日除けテント、トラック幌などの膜構造物を製造するには、これらの原反・パーツを溶着縫製して連結拡張させる必要があるが、多数の連結により縫製中間品の嵩と重量が増すことで、人手による中間品の取り回しは極めて不自由となる。この溶着縫製の作業は体育館のような広い場所にて数人掛りで行われるものの、表裏を反転したり、作業に邪魔な部分を折り畳む取り回しの繰り返しで、メタリック加飾面に折れ傷を生じさせたり、メタリック加飾面を床面で擦ることでの擦過痕(チョークマーク)を生じていた。この折れ傷や擦過痕は、メタリック層の亀裂、削ぎ取られ、の物理的ダメージの他、メタリック層内のメタリック顔料粒子の配向・配列の変位による光学的傷痕(光の乱反射)が主である。また折り畳んだ溶着縫製物を施工現場で開張し、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、膜屋根(天井)、日除けテント、トラック幌などのフレーム構造に開張装着する際の作業においても、メタリック加飾面に折れ傷を生じたり、フレームや地面などにメタリック加飾面を擦り、擦過痕(チョークマーク)を発生させるトラブルを生じていた。特に鱗片状のアルミニウムが整然と水平配向・配列する鏡面においては、水平配向・配列に乱れを生じ易く、軽微な擦過でも光の乱反射で発現する光学的傷痕となる欠点を有している。このようなメタリック加飾面に対する物理的負荷により発現する乱反射の光学的傷痕は、アルミニウム顔料以外に、鱗片状合成マイカ(パール顔料)、金属蒸着ガラスフレークなどにおいても同様に起こり得る。
【0005】
本出願人は、ターポリン及び帆布に設けられた防汚層が屈曲と摩耗の負荷に対する抵抗耐性を有し、防汚層に亀裂などの劣化を容易に生じることなく、また防汚層が容易に摩滅、脱落することなく、また防汚性を長期持続可能な産業用シート材の発明として、織物の表面及び裏面に熱可塑性樹脂組成物による被覆層を設け、さらに表面の被覆層に防汚層を形成してなる産業用シート材において、防汚層の主構成要素を有機重合体、または有機/無機縮合体とし、かつ、セルロースナノファイバー、変性セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル、及び変性セルロースナノクリスタル、から選ばれた1種以上のセルロース系物質を含有させることを提案(特許文献1)したが、この提案による防汚層はアルミニウム顔料などのメタリック顔料を含有するものではなく、またメタリック顔料を含有したとしても、メタリック調防汚層の折れ傷や擦過痕(チョークマーク)となる光学的傷痕の問題、及びこの問題に対する改良手段を示唆するものではない。また被塗物上に、ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程、ベース塗膜上に、光輝性顔料分散体を塗装して光輝性塗膜を形成する工程、光輝性塗膜上にクリヤー塗膜を形成する工程、及び加熱することによって、ベース塗膜、光輝性塗膜及びクリヤー塗膜を同時に硬化させる工程、を含む複層塗膜の形成方法において、光輝性顔料分散体が、水、鱗片状光輝性顔料、樹脂エマルション及びセルロースナノファイバーを含有することを特徴とする複層塗膜形成方法に関する発明(特許文献2)が開示されている。この発明におけるセルロースナノファイバーの役割は、段落〔0289〕の記載によれば、金属調光沢に優れる複層塗膜を得るための粘性調整剤、すなわち光輝性顔料分散体中の光輝性顔料の沈降をコントロールすることで金属調光沢に優れた複層塗膜を得ようとするものである。従って特許文献2には、得られる金属調光沢の複層塗膜において、セルロースナノファイバー、及びシランカップリング剤反応物の存在が、金属調塗膜の折れ傷や擦過痕(チョークマーク)となる光学的傷痕問題、及びこの問題に対する改良を成し得ることの記載も示唆もなされていない。従ってメタリック加飾シート(ターポリン、帆布)において、メタリック調塗膜の折れや擦過の物理的負荷で、光輝性顔料の配列の乱れによる光学的な傷痕を生じ難い特質が切望されている現状において、まだ有効な解決手段が得られていなかったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-66122号公報
【文献】特許第6834068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、メタリック調のターポリン、帆布に設けられた光輝性塗膜層が縫製時、及び施工時の物理的負荷による折れ傷や、擦過傷に対する耐久性を有し、光輝性塗膜層に光輝性顔料の配列の乱れによる光学的傷痕を容易に生じることなく、縫製時、及び施工時の取扱が自在で、しかも使用における光輝性塗膜層が容易に摩滅、脱落することのないメタリック調シートの提供を課題とする。この課題解決によれば、メタリック調シートの外観品位が保全・維持されるので、メタリック調のターポリンは、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウスなどに好適となり、またメタリック調の帆布は、アルミボディトラックのウイング幌用に好適となる。これらは非常持出袋(防災備蓄品)用の素材としても好適である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はかかる点を考慮し検討を重ねた結果、織物の表面及び裏面に熱可塑性樹脂組成物による被覆層が設けられ、さらにこの被覆層の1面以上に光輝性塗膜層が形成されてなるメタリック調シートであって、前記光輝性塗膜層に、光輝性顔料、シランカップリング剤反応物、及びセルロースナノファイバーを少なくとも含有し、前記光輝性顔料が、アルミニウム(着色)鱗片粉、フレーク状(着色)アルミニウム、鱗片状干渉発色型マイカ、鱗片状(発色)マイカ、干渉発色型ガラスフレーク、金属蒸着ガラスフレーク、金属蒸着(着色)フィルム破砕体、及びホログラムフィルム破砕体、から選ばれた1種以上であり、また、前記セルロースナノファイバーが、非変性セルロース、カルボキシメチル化セルロース、酸化セルロース、ホウ酸エステル化セルロース、リン酸エステル化セルロース、ケイ酸エステル化セルロース、イソシアネート化セルロース、アミノシラン変性セルロース、ビニルシラン変性セルロース、エポキシシラン変性セルロース、メタクリルシラン変性セルロース、アクリルシラン変性セルロース、クロルシラン変性セルロース、メルカプトシラン変性セルロース、イソシアヌレートシラン変性セルロース、イソシアネートシラン変性セルロース、から選ばれた1種以上のナノファイバーであり、前記シランカップリング剤反応物が、シランカップリング剤同士の反応による縮合物を少なくとも含み、さらに前記光輝性顔料に結合したシランカップリング剤分解物、及び前記セルロースナノファイバーに結合したシランカップリング剤分解物を含み、かつ前記シランカップリング剤が、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メルカプトシラン、イソシアヌレートシラン、イソシアネートシラン、から選ばれた1種以上であること、によって得られるメタリック調シートの光輝性塗膜層が、縫製時、及び施工時の物理的負荷による折れ傷や、擦過傷に対する耐久性を有し、光輝性塗膜層に光輝性顔料の配列の乱れによる光学的傷痕を容易に生じることなく、縫製時、及び施工時の取扱が自在で、しかも使用における光輝性塗膜層が容易に摩滅、脱落することのないことを見出して本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明のメタリック調シートは、前記光輝性顔料が、アルミニウム(着色)鱗片粉、フレーク状(着色)アルミニウム、鱗片状干渉発色型マイカ、鱗片状(発色)マイカ、干渉発色型ガラスフレーク、金属蒸着ガラスフレーク、金属蒸着(着色)フィルム破砕体、及びホログラムフィルム破砕体、から選ばれた1種以上であることが好ましい。特にアルミニウム(着色)鱗片粉、及び/またはフレーク状(着色)アルミニウムが好ましく、これらはステアリン酸などの長鎖飽和脂肪酸で表面処理が施されたリーフィング型の鱗片粉、またはフレークが好ましい。リーフィング鱗片粉の水平配列により緻密光沢のクロムメッキ調外観が得られ、リーフィングフレークの水平配列により輝度の高いクロムメッキ調外観が得られ、同時にリーフィングフレークの水平配列によるガスバリヤー効果、及び下地の防食性が得られる。一方、オレイン酸などの不飽和脂肪酸や炭素鎖が比較的短い脂肪酸で処理されたノンリーフィング型の鱗片粉、またはフレークが好ましい。またはアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などの透明樹脂処理が施されたコーティング鱗片粉、またはコーティングフレークが好ましい。コーティング鱗片粉のランダム配列によりキラキラしたトゥインクル効果の高い外観が得られ、コーティングフレークのランダム配列によりチカチカしたグリッター効果の高い外観が得られる。
【0010】
本発明のメタリック調シートは、前記シランカップリング剤反応物が、シランカップリング剤同士の反応による縮合物を少なくとも含み、さらに前記光輝性顔料に結合したシランカップリング剤分解物、及び前記セルロースナノファイバーに結合したシランカップリング剤分解物を含み、かつ前記シランカップリング剤が、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メルカプトシラン、イソシアヌレートシラン、イソシアネートシラン、から選ばれた1種以上であることが好ましい。光輝性塗膜層内にセルロースナノファイバーを含有し、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)と光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)との間にセルロースナノファイバーが存在することで、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)の配列(水平配列、またはランダム配列)の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果が発現される。この時セルロースナノファイバーのサポートに、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状の表面)とセルロースナノファイバーとの間に、シランカップリング剤反応物が介在し、化学的に結合していることが好ましい。このようなシランカップリング剤反応物のサポートによって、上述した変位を復元するバネのような緩衝効果がより強化される。特に光輝性塗膜層に含有するシランカップリング剤同士の反応による縮合物の存在は、光輝性塗膜層の耐久性、及び耐擦過性を向上させるので、光輝性塗膜層のメタリック調外観を長期間保持することが可能となる。
【0011】
本発明のメタリック調シートは、前記セルロースナノファイバーが、非変性セルロース、カルボキシメチル化セルロース、酸化セルロース、ホウ酸エステル化セルロース、リン酸エステル化セルロース、ケイ酸エステル化セルロース、イソシアネート化セルロース、アミノシラン変性セルロース、ビニルシラン変性セルロース、エポキシシラン変性セルロース、メタクリルシラン変性セルロース、アクリルシラン変性セルロース、クロルシラン変性セルロース、メルカプトシラン変性セルロース、イソシアヌレートシラン変性セルロース、イソシアネートシラン変性セルロース、から選ばれた1種以上のナノファイバーであることが好ましい。光輝性塗膜層内にセルロースナノファイバーを含有し、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)と光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)との間にセルロースナノファイバーが介在することで、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)の配列(水平配列、またはランダム配列)の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果が発現される。この時、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)とセルロースナノファイバーとの間に、シランカップリング剤反応物が介在し、化学的に結合していることが好ましい。このようなセルロースナノファイバーの存在によって、上述した変位を復元するバネのような緩衝効果がより強化される。特に光輝性塗膜層に含有するシランカップリング剤同士の反応による縮合物の存在は、光輝性塗膜層の耐久性、及び耐擦過性を向上させるので、光輝性塗膜層の光輝性顔料の配列の乱れによる光学的傷跡が抑止され、メタリック調外観を長期間保持することを可能とする。
【0012】
本発明のメタリック調シートは、前記光輝性塗膜層が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル/シリコン系共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、アクリル系樹脂とフッ素系共重合体樹脂のブレンド、ウレタン/シリコン系グラフト共重合体樹脂、及びウレタン/フッ素系グラフト共重合体樹脂、から選ばれた1種以上であることが好ましい。これらの樹脂を光輝性塗膜層の主体成分とすることによって屈曲と摩耗の負荷に対する耐久性に寄与すると同時に、長期持続可能な防汚性を発現させる。
【0013】
本発明のメタリック調シートは、前記光輝性塗膜層上に、さらに防汚塗膜層が形成され、この防汚塗膜層内に、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有していることが好ましい。これらの光触媒性金属酸化物の光触媒活性によって、有機物(煤塵、タール、鳥糞、黴、藻など)の分解を促し、降雨によるセルフクリーニング効果が発現される。特にこのような光触媒性金属酸化物をゾルゲル縮合体中に担持させることによって、光触媒活性による光輝性塗膜層へのダメージを軽減させることができる。
【0014】
本発明のメタリック調シートは、前記防汚塗膜層が、オルガノシリケート化合物、またはシラノール基含有有機シラン化合物のゾルゲル縮合体を主体とすることが好ましい。このようなゾルゲル縮合体を防汚塗膜層の主体成分とすることによって、防汚塗膜層の防汚性を向上させ、かつ摩耗負荷・化学薬品に対する耐久性を発現させると同時に、ガスバリア効果を高いものとする。またゾルゲル縮合体は、光触媒活性のラジカル攻撃から防汚塗膜層自体を守る鎧となり、さらに光輝性塗膜層を光触媒活性のラジカル攻撃から守るための防壁となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、メタリック調のターポリン、帆布に設けられた光輝性塗膜樹脂層が縫製時、及び施工時の物理的負荷による折れ傷や、擦過傷に対する耐久性を有し、光輝性塗膜層に光輝性顔料の配列の乱れによる光学的傷痕を容易に生じることなく、縫製時、及び施工時の取扱が自在で、しかも使用における光輝性塗膜層が容易に摩滅、脱落することのないメタリック調シートの発明の提供を課題とする。この課題解決によれば、メタリック調シートの外観品位が保全・維持されるので、メタリック調のターポリンは、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウスなどに好適となり、またメタリック調の帆布は、アルミボディトラックのウイング幌用に好適となる。これらは非常持出袋(防災備蓄品)用の素材としても好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のメタリック調シートは、織物の表面及び裏面に熱可塑性樹脂組成物による被覆層が設けられ、さらにこの被覆層の1面以上に光輝性塗膜層が形成されてなり、この光輝性塗膜層に、アルミニウム(着色)鱗片粉、フレーク状(着色)アルミニウムなどの光輝性顔料、シランカップリング剤反応物、及びセルロースナノファイバーを少なくとも含有する態様で、さらに光触媒性金属酸化物を含有する防汚塗膜層が光輝性塗膜層上に形成された態様である。
【0017】
本発明のメタリック調シートに用いる織物は、平織物(経/緯2軸織物、経/左上/右上バイアス3軸織物、経/緯/左上/右上バイアス4軸織物)、斜子織物(2×2、3×3、4×4などの正則斜子織、3×2、4×2、4×3、5×3、2×3、2×4、3×4、3×5などの不規則斜子織)、綾織物(経糸、緯糸とも最少3本ずつ用いた最小構成単位を有する:3枚斜文、4枚斜文、5枚斜文、6枚斜文など)、朱子織物(経糸、緯糸とも最少5本ずつ用いた最小構成単位を有する:2飛び、3飛び、4飛び、5飛びなどの正則朱子)、及び変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さらに蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、二重織物などの織物が使用できる。なかでも特に1)経糸及び緯糸とする織物、または2)経糸及び左上/右上バイアス糸とする三軸織物、または3)経糸、緯糸及び左上/右上バイアス糸とする四軸織物、の何れかであることが好ましい。特に三軸織物、四軸織物などを使用すれば、糸条同士の交差が複雑となり、多方向に拡がるネットワークによってストレスの拡散性が増し、ストレスを広域に分散して受けることで更に引裂などの外力に対する抵抗力が飛躍的に優れたものとなる。メタリック調シートに用いる織物の目付量は100~500g/mが適している。織物の空隙率は0~25%、産業用シート材がターポリンの場合は空隙率5~25%、帆布の場合は空隙率0~5%が好ましい。これらの織物には精練、漂白、染色、柔軟化、撥水、防黴、防炎、カレンダー、などの公知の染色整理加工を施したものを使用することもできる。
【0018】
織物を構成する糸条は、合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維、及びこれらの2種以上から成る混合繊維など、何れの繊維も使用できるが、汎用的には、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート:PET、ポリブチレンテレフタレート:PBT、ポリナフタレンテレフタレート:PNT、など)繊維、ナイロン繊維、及び、これらの混用繊維(混撚・合撚)などの合成繊維、さらにはケミカルリサイクル繊維による、1)マルチフィラメント糸条、2)短繊維紡績糸条、3)及びカバリング糸条、から選ばれた何れか1種である。また、特に段落〔0017〕記載の織物における織組織の糸条配置において、例えば、経糸条の種類と緯糸条の種類を異なるものとする配置、あるいは経糸条、及び/または緯糸条を、種類の異なる糸条により交互、またはランダムに配置するなどの複数種の糸条を併用することもできる。マルチフィラメント糸条は、ナイロン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を紡糸口金から押出して紡糸した長繊維紡原糸を3~5倍に延伸した長繊維紡糸束(50~500本のフィラメント束)のまま無撚、または1~200回/m撚りを掛けた、繊度125~2000デニール(139~2222dtex)の糸条が使用できる。これらのマルチフィラメント糸条には、タスラン糸条、ウーリー糸条などの嵩高加工糸条を包含する。短繊維紡績糸条は、ナイロン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を紡糸口金から押出して紡糸した長繊維紡糸束(延伸していてもよい)を3.8~5.8mm長程度に切断したステープルを開繊練条したスライバを引き伸ばしたロービング(粗糸)とし、これに所定の番手太さにドラフトと撚りを掛けてトウ紡績したものである。撚糸は単糸または単糸2本を引き揃えてS(右)撚りもしくはZ(左)撚りしたもの、また単糸または単糸2本を引き揃えて下撚りした加撚糸を2本引き揃えて上撚りを掛けてなる双糸が挙げられる。これらの撚糸の撚り回数は200~2000回/m程度である。またカバリング糸条は、上記マルチフィラメント糸束の外周に上記短繊維を巻き付けたカバリング糸条が挙げられ、本願においては芯鞘複合糸条もカバリング糸条に包含される。
【0019】
特に本発明のメタリック調シートの引張破壊強度、引裂(切裂)強度、防爆耐圧、耐熱性、及び耐火性などを向上させるために、フッ素樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維、全芳香族ポリアミド繊維などのマルチフィラメント糸条を主体とする織物設計、あるいは上記汎用合成繊維による糸条との併用(リップストップ構造の挿入)が適している。また国土交通大臣認定の不燃材料(テント構造物用不燃膜材)の用途向けには、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭素繊維、及び、これらの混用繊維(混撚・合撚)などの無機マルチフィラメント糸条を主体とする織物が適している。そして特に引張破壊強度、引裂(切裂)強度、防爆耐圧、耐熱性、及び耐火性などを飛躍的に向上させるために、織物が、ポリベンゾイミダゾール(PBI)系、ポリベンゾオキサゾール(PBO)系、ポリベンゾチアゾール(PBT)系、及びこれらの共重合高分子(ベンゾイミダゾール-ベンゾオキサゾール共重合系、ベンゾイミダゾール-ベンゾチアゾール共重合系、ベンゾオキサゾール-ベンゾチアゾール共重合系、ベンゾイミダゾール-ベンゾオキサゾール-ベンゾチアゾール共重合系、芳香族ポリアミド成分を含む上記共重合系)、の群から選ばれた1種以上の芳香族複素環高分子繊維からなる糸条(マルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、カバリング糸条)を主体に含む織物設計、あるいは上記汎用繊維による糸条との併用(リップストップ構造の挿入)が適している。リップストップ構造とは例えば、ポリエステル繊維糸条を経糸条及び緯糸条とする平織物において、経糸条、及び緯糸条の任意の位置に芳香族複素環高分子繊維からなる糸条を規則的、またはランダムに配列したもので、外観上、格子柄(または変則格子柄)を形成する織物、三軸織物、四軸織物が適している。具体的に経糸群及び緯糸群の糸条配列1,2,3,4,5・・・n(nは整数)において、10の倍数(10,20,30・・・)本目毎に、芳香族複素環高分子繊維糸条が挿入され、格子模様を形成するような態様である。また四軸織物において、経糸、緯糸、左上バイアス糸、右上バイアス糸の何れか、または全部を全て香族複素環高分子繊維糸条とすることもでき、具体的に経糸と緯糸を香族複素環高分子繊維糸条、左上バイアス糸と右上バイアス糸を他の繊維糸条とする構成、または左上バイアス糸と右上バイアス糸を他の香族複素環高分子繊維糸条、経糸と緯糸を他の繊維糸条とする構成である。
【0020】
また本発明のメタリック調シートを縫製パーツとするテント膜構造物が使用される際、膜構造物の接合部断面からの雨水の浸透抑止効果(吸水防止性)を得るために、織物全体にパーフルオロアルキル基含有共重合体樹脂が表面付着し、さらに含浸付着していることが好ましい。パーフルオロアルキル基含有共重合体樹脂の付着固形分量は、目付量150~250g/mの織物1m単位当たり0.1~10g/m、特に0.3~3g/mである。パーフルオロアルキル基含有共重合体樹脂としては、炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基、または炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下のパーフルオロアルケニル基を有するエチレン性不飽和モノマーを用いてなる撥水性共重合体である。これらは具体的に、パーフルオロアルキル基を有するアクリレート及び/ またはメタクリレートとこれらと共重合可能な他のモノマー(例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、マレイン酸アルキルエステル、フタル酸アルキルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、スチレンなど)と重合して得られる撥水性共重合体が挙げられる。これらの撥水性共重合体はエマルジョンの形態で、水で希釈可能であることが織物に対する処理の取り扱い性に優れ好ましい。これら撥水性共重合体は、共重合成分が特に織物と強固に密着し、120~180℃の熱キュアーでパーフルオロアルキル基が配向整列することで、表面エネルギーを低下させ、より撥水性が増大したものとなる。必要に応じてパーフルオロアルキル基含有共重合体樹脂の1~25質量%を、メチルクロロシラン、メチルポリシロキサン樹脂、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサンなどのシリコーン系撥水剤、または、炭素数20~48で、融点が50~70℃のn-パラフィンワックスなどのパラフィン系撥水剤と置換使用することもできる。
【0021】
本発明のメタリック調シートにおいて、織物の表裏に形成される熱可塑性樹脂組成物による被覆層は、公知の熱可塑性樹脂、エラストマーなどを主体とする組成物から形成されたものであり、これらは例えば、軟質塩化ビニル樹脂(可塑剤配合)、塩化ビニル系共重合体樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(PE,PP)、オレフィン系共重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂など、ショアA硬度45~85程度の熱可塑性樹脂、またはエラストマーであり、これらにはウレタンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン、SBR、EPDM、EPMなどを含み、ゴム弾性を強化させたものでもよい。エラストマーとは2種以上のモノマーからなるブロック共重合体樹脂で、個々のブロック成分がハードセグメント、及びソフトセグメントを構成する樹脂である。これらの熱可塑性樹脂、エラストマーのうち、特に高周波溶着性を有する軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂、ウレタン樹脂、及びフッ素含有共重合体樹脂などを高周波溶着性付与成分として被覆層に対し50質量%以上含有することが好ましい。本発明のメタリック調シートの被覆層には、安定剤、フィラー、着色剤、顔料、メタリック顔料、蓄光顔料、難燃剤、防炎剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防黴剤、抗菌剤、帯電防止剤、架橋剤などの公知の添加剤を任意に組み合わせ用いることができる。
【0022】
本発明のメタリック調シートで特にターポリンを構成する表裏の被覆層は、熱可塑性樹脂組成物(特に好ましくは塩化ビニル樹脂/可塑剤など)を熱混練し、カレンダー法、またはTダイス押出法で溶融圧延した厚さが80~800μm、特に150~300μmフィルム(シート)を使用する。また織物に対する表裏の被覆層の積層は、熱ロール/ゴムロールの連続圧着ユニットを1~2と、冷却ロールユニット、及び巻取ユニットを有するラミネーターを用い、ラミネーターの1回通しまたは2回通しの工程により熱溶融圧着する方法が例示できる。本発明のターポリン(メタリック調シート)は、カレンダー成型して得たフィルムをラミネーターにより目開き織物の両面に熱圧着する製造方法が適し、厚さ0.4~1.0mm、質量150~1000g/mの織物が、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、日除けテントなどの膜構造物を始め、非常持出袋(防災備蓄品)用のターポリンに適している。
【0023】
本発明のメタリック調シート(帆布)を構成する表裏の被覆層は、溶液状の熱可塑性樹脂組成物(特に好ましくは塩化ビニル樹脂/可塑剤などによるペースト)を織物の表裏にナイフコート、クリアランスコート、グラビアコートなどのコーティング法により塗工し、これを熱乾燥、または加熱ゲル化によって、厚さ50~300μm、特に80~200μmに形成した帆布、または溶液状の熱可塑性樹脂組成物(特に好ましくは塩化ビニル樹脂ペースト)を充填した液浴中に織物を浸漬し、これを引き上げると同時に1対のゴムロール間で圧搾し、直後に熱乾燥、または加熱ゲル化させるディッピング法によって、厚さ50~300μm、特に80~200μmに形成した帆布である。本発明の帆布(産業用シート材)は、塩化ビニル樹脂/可塑剤などによるペーストによるディッピング法が適し、厚さ0.3~0.8mm、質量400~1000g/mの範囲が、トラック幌(アルミボディのウイング幌用)、トラック荷台シート、屋形テント、シートハウスなどの用途に適している。
【0024】
本発明のメタリック調シート(ターポリン、帆布)の表面側となる被覆層には、光輝性顔料、シランカップリング剤反応物、及びセルロースナノファイバーを少なくとも含有する光輝性塗膜層が形成されていることが好ましく、光輝性塗膜層を主構成するバインダー樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル/シリコン系共重合体樹脂、フッ素系共重合体樹脂、アクリル系樹脂とフッ素系共重合体樹脂のブレンド、ウレタン/シリコン系グラフト共重合体樹脂、及びウレタン/フッ素系グラフト共重合体樹脂、から選ばれた1種以上であることが好ましい。上記アクリル系樹脂は、アルキル基の炭素数1~18のアクリル酸アルキルエステル類、及びアルキル基の炭素数1~18のメタアクリル酸アルキルエステル類から選ばれた1種以上のモノマーによる重合体、及び共重合体樹脂である。またアクリル系樹脂として、エチレン性不飽和カルボン酸類、アミド化合物類、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸類、α-オレフィン類、ビニルエーテル類、アルケニル類、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物類などを上記アクリル系モノマーと共重合させたものを使用することもでき、特にオルガノシロキサン類と共重合したアクリル/シリコン系共重合体樹脂が好ましい。上記ウレタン系樹脂は、芳香族ポリウレタン(エステル系、エーテル系、ポリカーボネート系)、脂肪族ポリウレタン(エステル系、エーテル系、ポリカーボネート系)、脂環式ポリウレタン(エステル系、エーテル系、ポリカーボネート系)などが挙げられ、耐光堅牢性において脂肪族ポリウレタン、脂環式ポリウレタンが好ましく、耐候堅牢性(耐加水分解性)においてエーテル系、ポリカーボネート系のウレタン系樹脂が特に好ましい。ウレタン系共重合樹脂として、上述のウレタン系樹脂を主鎖としてオルガノシロキサン類をグラフトしたウレタン/シリコン系グラフト共重合体樹脂、また上記ウレタン系樹脂を主鎖としてフルオロオレフィン類をグラフトしたウレタン/フッ素系グラフト共重合体樹脂が挙げられる。上記フッ素系共重合体樹脂は、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素原子含有モノマーから選ばれた2種以上を共重合して得られる共重合体、上記フッ素原子含有モノマーとビニルモノマー(β-メチル-β-アルキル置換-α-オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、アルキルアリルエーテル類、ビニル基含有エステルなど)との共重合によって得られるフルオロオレフィン共重合体などを単独種、または複数種で使用することができる。これらはイソシアネート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物などの反応性化合物との併用で架橋部位を生成する水酸基、カルボキシ基を分子構造内に含有する共重合体が好ましい。特にイソシアネート化合物は脂肪族化合物、または脂環式化合物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらの三量体(イソシアヌレート型、トリメチルプロパン型、ビウレット型)など、及びこれらのブロックイソシアネート体などが使用できる。またオキサゾリン化合物は、アクリル系樹脂(アクリル共重合体樹脂、アクリル/スチレン共重合体樹脂)の側鎖にオキサゾリン基を有するポリマー型架橋剤(エマルジョン型)を使用することもできる。その他のバインダーとして、上述のアクリル系樹脂と上述のフッ素系共重合体樹脂のブレンドを使用することもできる。
【0025】
本発明のメタリック調シート(ターポリン、帆布)の光輝性塗膜層に含む光輝性顔料は、アルミニウム(着色)鱗片粉、フレーク状(着色)アルミニウム、鱗片状干渉発色型マイカ、鱗片状(発色)マイカ、干渉発色型ガラスフレーク、金属蒸着ガラスフレーク、金属蒸着(着色)フィルム破砕体、及びホログラムフィルム破砕体、から選ばれた1種以上であることが好ましい。このうち、アルミニウム(着色)鱗片粉とフレーク状(着色)アルミニウムは、粒子径によって区別する。本発明においてアルミニウム(着色)鱗片粉は、平均粒径(長径)が3μm~30μmの区分とし、またフレーク状(着色)アルミニウムは、平均粒径(長径)が31μm~100μmの区分として扱う。鱗片またはフレークの平均粒径は、体積基準粒度分布の50%粒径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置による粒度分布にて求めることができる。また鱗片またはフレークのアスペクト比は、鱗片状顔料の粒径平均(D50)と平均厚み(T)との比(D50/T)ので求め、平均厚み(T)を1μ以下とするアスペクト比50~100が好ましい。アルミニウム(着色)鱗片粉、及びフレーク状(着色)アルミニウムには、リーフィング型とノンリーフィング型のどちらを用いてもよく、これらは何れもミネラルスピリット(石油系溶剤)で湿潤させた状態として粉塵飛散を防止したアルミニウムペーストが好ましい。特にリーフィング型のアルミニウム鱗片粉を配合した塗料用いることで、鱗片状のアルミニウム粒子が塗工液中で、水面に浮かぶ落葉(リーフ)の如く水平に配向・配列するリーフィング効果によって鏡のような光沢のクロムメッキ調外観を得るのみならず、ガスバリヤー効果、及び下地の防食性を発現する。リーフィング型のアルミニウム鱗片粉として、平均粒径(長径)は3μm~20μm、水面拡散面積は10,000~70,000cm2/g、を光輝性塗膜層に対して0.5~10質量%含有することが好ましい。一方、リーフィング処理の無い鱗片粒子の大きなアルミニウムフレークを用いれば、塗工液中での配列がランダムとなってキラキラとした動的なシルバー外観となる。ノンリーフィング型のアルミニウム鱗片粉の平均粒径は10μm~30μm、水面拡散面積は5,000~20,000cm2/g、を光輝性塗膜層に対して0.5~10質量%含有することが好ましい。アルミニウム鱗片粉、及びフレーク状アルミニウムの着色は任意の差し色によってカラーメタリック加飾が自在で、例えば、ゴールドの加飾は、これらのアルミニウム顔料と黄色~橙色の差し色によって容易に得ることができる。リーフィング型は、ミリステン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの長鎖飽和脂肪酸で表面処理されたもので、表面張力が大きく、溶剤、塗料との親和性が弱いため、塗膜の表面側(上側)に浮いてほぼ均一に配向し、これにより素地隠蔽性に優れたクロムメッキ調外観を示す。一方、ノンリーフィング型は、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸あるいはオレイン酸などの不飽和脂肪酸や炭素鎖が比較的短い脂肪酸で処理されたもので、表面張力が小さく、溶剤、塗料との親和性が強いため、塗膜の裏面(下側)に沈降して不均一に配向し、これによりキラキラしたトゥインクル効果を示す。また、リーフィング型及びノンリーフィング型を任意の比率で混合使用することで、クロムメッキ調外観にキラキラしたトゥインクル効果を付帯することができる。また、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などの透明樹脂処理、または着色透明樹脂処理が施されたコーティング鱗片粉、またはコーティングフレークであってもよい。(着色)コーティング鱗片粉のランダム配列によりキラキラしたトゥインクル効果の高い外観が得られ、(着色)コーティングフレークのランダム配列によりチカチカしたグリッター効果の高い外観が得られるのみならず、塗膜のバインダー樹脂との親和性・密着性に優れ、擦過傷に対する耐久性を増し、さらにメタリック調シート同士の高周波溶着接合におけるスパーク防止にも作用する。
【0026】
また、光輝性顔料に用いる鱗片状干渉発色型マイカは、平均粒径5~100μmのマイカ鱗片(天然雲母、または合成雲母)の表面に二酸化チタンを被覆率43~80%で薄膜被覆したパール調光輝性顔料が挙げられ、光輝性塗膜層に対して0.5~10質量%含有することが好ましい。このパール調光輝性顔料は、酸化チタンの被覆率によって段階的に反射色と透過色をコントロールすることができ、例えば二酸化チタンの被覆率が43%だと反射色がゴールドで、透過色がバイオレットの発色を呈し、また被覆率が47%だと反射色がオレンジで、透過色がグリーンの発色を呈し、また被覆率が52%だと反射色がブルーで、透過色がイエローの発色を呈し、また被覆率が57%だと反射色がグリーンで、透過色がレッドの発色を呈する鱗片状干渉発色型マイカが得られる。これらの鱗片状干渉発色型合成マイカは2種以上をブレンドして使用することもできる。また、光輝性顔料に用いる鱗片状(発色)マイカは、平均粒径5~100μmのマイカ鱗片(天然雲母、または合成雲母)の表面に二酸化チタンを被覆率12~42%で薄膜被覆した銀白色マイカ、及びこの銀白色マイカに酸化鉄(II)を被覆率2~30%で薄膜被覆したゴールド発色のパール調光輝性顔料、また酸化鉄(II)を被覆率20~60%、好ましくは31~60%で薄膜被覆したブロンズ発色のパール調光輝性顔料が挙げられ、光輝性塗膜層に対して0.5~10質量%含有することが好ましい。これらの鱗片状干渉発色型マイカ、及び鱗片状(発色)マイカのアスペクト比は、鱗片状マイカの粒径平均(D50)と平均厚み(T)との比(D50/T)による20~100(天然マイカは25~50)が好ましい。上述の鱗片状干渉発色型マイカ、及び鱗片状(発色)マイカに用いる合成雲母は、天然雲母(Na四珪素雲母)の水酸基をフッ素原子で置換したフッ素四珪素雲母を使用する。
【0027】
また、光輝性顔料に用いる干渉発色型ガラスフレークは、平均粒径50~300μmのガラスフレークの表面に二酸化チタンを50~200nm厚で薄膜被覆した光輝性顔料が挙げられ、光輝性塗膜層に対して0.5~10質量%含有することが好ましい。この光輝性顔料は、酸化チタンの被覆厚によって段階的に虹彩色をコントロールすることができ、例えば二酸化チタンの被覆厚が50~70nmだと白銀~白金、70~120nmだとゴールド~赤味のゴールド、120~140nmだとレッド~紫のメタリック、150~165nmだとブルーのメタリック、165~185nmだとグリーンのメタリックの干渉色を発現するものである。また酸化鉄の被覆厚によって段階的に虹彩色をコントロールするタイプとして、ブロンズ発色、カッパー発色、ラセット発色、酸化チタンと酸化鉄の2層被覆によるゴールドなども使用できる。金属蒸着ガラスフレークは、平均粒径50~300μmのガラスフレークの表面に、アルミニウム、クロム、亜鉛、銀、銅、ニッケルなどの金属を公知の真空蒸着法により鏡のような金属メッキ調薄膜を形成したものである。また金属蒸着(着色)フィルム破砕体は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの表面に、アルミニウム、クロム、亜鉛、銀、銅、ニッケルなどの金属を公知の真空蒸着法により金属メッキ調薄膜を形成したものを1~2mmサイズに破砕したもの、または蒸着膜を形成したPETフィルムの蒸着膜上に(着色)PETフィルムを積層したものを1~2mmサイズに破砕したものである。またホログラムフィルム破砕体は、公知のホログラム箔をPETフィルムに貼着した積層体、またはホログラム加工フィルムを1~2mmサイズに破砕したものである。
【0028】
光輝性塗膜層に含有するシランカップリング剤反応物は、シランカップリング剤同士の反応による縮合物を少なくとも含み、さらに上述の光輝性顔料の表面に結合したシランカップリング剤分解物、及び後述のセルロースナノファイバーに結合したシランカップリング剤分解物を含むものである。光輝性塗膜層内にセルロースナノファイバーを含有し、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)と光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)との間にセルロースナノファイバーが存在することで、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)の配列(水平配列、またはランダム配列)の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果が発現される。この時セルロースナノファイバーのサポートに、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状の表面)とセルロースナノファイバーとの間に、シランカップリング剤反応物が介在し、化学的に結合していることが好ましい。このようなシランカップリング剤反応物のサポートによって、上述した変位を復元するバネのような緩衝効果がより強化される。特に光輝性塗膜層に含有するシランカップリング剤同士の反応による縮合物の存在は、光輝性塗膜層の耐久性、及び耐擦過性を向上させるので、光輝性塗膜層のメタリック調外観を長期間保持することが可能となる。シランカップリング剤反応物源となるシランカップリング剤としては、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、クロルシラン、メルカプトシラン、イソシアヌレートシラン、イソシアネートシラン、から選ばれた1種以上が例示できる。シランカップリング剤は一般式:XR-Si(Y)で表される分子中に2個以上の異なった反応基を有するアルコキシシラン化合物で、例えば、X=アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、クロル基、メルカプト基、イソシアヌレート基、イソシアネート基、など(R=アルキル鎖)、Y=メトキシ基、エトキシ基などである。本発明における光輝性塗膜層では、シランカップリング剤が水溶液中で加水分解して、一般式:XR-Si(OH)を生成し、この加水分解物同士が反応した縮合物を必須とするが、このような縮合物は特に、X=アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、などのシランカップリング剤が好適である。また一方で、光輝性顔料に結合したシランカップリング剤分解物は、上述の光輝性顔料と上記シランカップリング剤とを含む水溶液中で、シランカップリング剤の加水分解物が光輝性顔料に結合して、「加水分解物/光輝性顔料」の態様を含有する。またセルロースナノファイバーに結合したシランカップリング剤分解物は、後述のセルロースナノファイバーと上記シランカップリング剤とを含む水溶液中で、シランカップリング剤の加水分解物がセルロースナノファイバーの水酸基、カルボキシ基などに結合して、「セルロースナノファイバー/加水分解物」の態様を含有する。また一方で、光輝性顔料とセルロースナノファイバーに結合したシランカップリング剤分解物は、光輝性顔料、及び後述のセルロースナノファイバー、及び上記シランカップリング剤とを含む水溶液中で、シランカップリング剤の加水分解物が光輝性顔料の表面、及びセルロースナノファイバーの水酸基、カルボキシ基などへの結合力を増大してなる、「セルロースナノファイバー/加水分解物/光輝性顔料」の態様を含有する。
【0029】
セルロースナノファイバーは、セルロース原料(化学処理パルプ・機械破砕パルプ・古紙パルプなど)を機械的に解繊(粗解繊・微解繊)し、繊維径をナノサイズ化して得られた、平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)10以上50以下、平均繊維径3nm~100nm、平均繊維長100μm以下、特に300nm~500nmの短繊維で、結晶部、准結晶部、非晶部からなるシングルナノファイバー単独、または、縦に引き裂かれたもの、絡み合ったもの、網目状構造の集合体からなり、これらは乾燥体、スラリー、水、または有機溶媒に分散したものである。セルロース繊維の機械的解繊は、変性パルプ直接混練法(繊維径3-100nm)、高圧ホモジナイザー法(繊維径10nm-数μm)、対向噴流衝突法(繊維径10nm-数10nm)、グラインダー法(繊維径10nm-数10nm)、ボールミル粉砕法(繊維径100nm-数μm)、ビーズミル粉砕法(繊維径10nm-数μm)、凍結粉砕法(繊維径10nm-数10nm)、2軸混練法(繊維径10-100nm)する方法などが挙げられる。また化学的解繊も可能であり、TEMPO酸化法、C2,C3-ジカルボキシ化(次亜塩素酸Naでパルプのセルロース分子のC2-C3位を選択的に切断し、C2,C3-ジカルボキシ基のNa塩を生成させる)、(亜)リン酸エステル化法(リン酸アンモニウムまたは亜リン酸アンモニウム/尿素で、パルプのセルロース分子の水酸基をリン酸エステル化する)、カルボキシメチル化法(イソプロピルアルコール/濃NaOH/モノクロロ酢酸Naで、置換度0.4~1.2程度のカルボキシメチルセルロースを得る)、ザンテート法(パルプを濃NaOH、及び二硫化炭素によりセルロースの水酸基をザンテートエステル基のNa塩に変換してビスコースレーヨン、セロファンを得る)、スルホン化法(スルファミン酸/尿素で、パルプのセルロース分子の水酸基を硫酸エステル化する)、酵素加水分解法、酸加水分解法、バクテリア合成法などが挙げられる。上記TEMPO酸化法~スルホン化法までの繊維径は3-5nm程度である。本発明では、機械的解繊で得た非変性セルロースナノファイバー、及び化学的解繊で得た変性セルロースナノファイバーの何れも使用でき、機械的解繊で得た非変性セルロースナノファイバーを化学処理した変性セルロースナノファイバーも使用できる。
【0030】
変性セルロースナノファイバーの変性タイプとして、カルボキシメチル化、酸化変性、エステル化(ホウ酸エステル化、リン酸エステル化、ケイ酸エステル化、から選ばれた1種以上)、イソシアネート化、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)、から選ばれた1種以上の変性がなされたセルロースナノファイバーである。特にカルボキシメチル化はセルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)を任意にカルボキシメチル化し、機械的に解繊したもので、また酸化変性はTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒とNaBr、及び次亜塩素酸Naを含む酸化触媒液により、パルプのセルロース分子中の1級水酸基(C6-OH基)のみを選択的にC6-カルボキシ基Na塩に変換して、COOH基量0.8~1.7mmol/gとし、解繊したものである。また、シランカップリング剤処理(アミノシラン変性、ビニルシラン変性、エポキシシラン変性、メタクリルシラン変性、アクリルシラン変性、クロルシラン変性、メルカプトシラン変性、イソシアヌレートシラン変性、イソシアネートシラン変性、から選ばれた1種以上)変性は、セルロースナノファイバーを1種以上のシランカップリング剤を含む水溶液で処理し、シランカップリング剤の加水分解物:XR-Si(OH)(X、Yは段落〔0028〕に記載と同じ)がセルロースナノファイバーの水酸基、カルボキシ基などに結合した1種以上の反応物で、2種のシランカップリング剤の併用による、ビニルシラン/メタクリルシラン変性、アミノシラン/メルカプトシラン変性などであってもよく、さらに3種以上のシランカップリング剤を併用による変性であってもよい。シランカップリング剤は、段落〔0028〕に記載したものが使用できる。シランカップリング剤処理セルロースナノファイバーは、予めセルロースナノファイバー単体にシランカップリング剤処理を施したもので、光輝性塗膜層を形成する、光輝性顔料、シランカップリング剤反応物、及びセルロースナノファイバーを含有する塗工液中に含むシランカップリング剤反応物と区別されるものである。すなわち、光輝性塗膜層の態様として、「シランカップリング剤変性セルロースナノファイバー/シランカップリング剤の加水分解物/光輝性顔料」を包含するものである。本発明において、非変性セルロースナノファイバー、特に変性セルロースナノファイバー、さらに特にシランカップリング剤処理変性体を使用することによって、シランカップリング剤処理変性体の光輝性顔料表面に対する結合力を増大させ、「変性セルロースナノファイバー/加水分解物/光輝性顔料」の態様を形成し、光輝性塗膜層内における光輝性顔料の、外部からの物理的負荷に対するポジション安定性を発現することを可能とするのみならず、同時にガスバリヤー性を付与することができる。
【0031】
また、エステル化による変性のうち、ホウ酸エステル化は、セルロースナノファイバーをオルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸(HBO)などのホウ酸、及び四ホウ酸ナトリウム水和物(Na・10HO)、五ホウ酸ナトリウム(NaB)などのホウ酸塩水溶液で処理し、セルロースナノファイバーの水酸基、カルボキシ基などにホウ酸成分を反応させた変性であり、またリン酸エステル化は、ナノセルロースをオルトリン酸(HPO)、ピロリン酸、ポリリン酸(HPO)n、亜リン酸、亜フォスフィン酸などのリン酸類、およびこれらリン酸から誘導される金属塩、アンモニウム塩などのリン酸塩水溶液で処理し、セルロースナノファイバーの水酸基、カルボキシ基などにリン酸成分を反応させた変性であり、またケイ酸エステル化は、セルロースナノファイバーをケイ酸、及びケイ酸ナトリウム(水ガラス)、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸塩水溶液で処理し、セルロースナノファイバーの水酸基、カルボキシ基などにケイ酸成分を反応させた変性である。これらのエステル変性は、ホウ酸塩水溶液とリン酸塩水溶液との併用処理によるホウ酸/リン酸エステル化、ホウ酸塩水溶液とケイ酸塩水溶液との併用処理によるホウ酸/ケイ酸エステル化、リン酸塩水溶液とケイ酸塩水溶液との併用処理によるリン酸/ケイ酸エステル化、などであってもよい。このようなエステル化変性体を使用することによって、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)の配列(水平配列、またはランダム配列)の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗して安定したポジションが保持され、変位を復元するバネのような緩衝効果が発現され、同時に光輝性塗膜層に亀裂などの損傷を抑止し、また光輝性塗膜層の摩滅、脱落を抑止する。またこれらの変性によってセルロースナノファイバーに対して防腐性、難燃性を付与するのみならず同時にガスバリヤー性を付与することができる。
【0032】
光輝性塗膜層の組成(含有質量)は、光輝性顔料が1~50質量%、シランカップリング剤反応物が1~10質量%、セルロースナノファイバーが1~10質量%、バインダー樹脂が30~97質量%の範囲であり、好ましくは、光輝性顔料が5~20質量%、シランカップリング剤反応物が1~5質量%、セルロースナノファイバーが1~5質量%、バインダー樹脂が70~93質量%、より好ましくは、光輝性顔料が5~10質量%、シランカップリング剤反応物が1~3質量%、セルロースナノファイバーが1~3質量%、バインダー樹脂が84~93質量%である。光輝性塗膜層には任意で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、帯電防止剤、防カビ剤、抗菌剤など公知の添加剤を0.1~5質量%含有することができる。特に紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物などを含有することによって光輝性塗膜層の耐光性が向上し、美麗なメタリック調外観を長く持続可能とする。光輝性塗膜層は、上記組成を含む塗料(溶剤系または水系)組成物を、グラビアロール塗工、オフセット塗工、フレキソ塗工、スクリーン塗工、スプレー塗工、ワイヤーバーコート塗工などの公知の塗工方法により、厚さ10~100μm程度に形成することが好ましい。この光輝性塗膜層は、2~3回の塗工を重ねた複層であってもよく、例えば下層にリーフィング型のアルミニウム鱗片粉(平均粒子径D50:10μm)を6質量%含有するメタリック塗膜として、上層をリーフィング型のアルミニウム鱗片粉(平均粒子径D50:30μm)を1質量%含有するメタリック塗膜の態様である。また例えば下層に鱗片状ブルー干渉発色型マイカ(平均粒子径D50:10~60μm)を8質量%含有するメタリック塗膜として、上層をリーフィング型のアルミニウム鱗片粉(平均粒子径D50:30μm)を0.5質量%含有するメタリック塗膜の態様である。
【0033】
本発明のメタリック調シート(ターポリン、帆布)の光輝性塗膜層上に、さらに防汚塗膜層が形成され、この防汚塗膜層内に、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を含有することで光触媒活性を発現して、有機物(煤塵、タール、手垢、黴、藻など)の分解を促し、降雨によるセルフクリーニング効果を得る。特にこのような光触媒性金属酸化物をゼオライトのような無機系多孔質微粒子に担持させたものを用いることによって、光触媒活性による光輝性塗膜層へのダメージを軽減することができる。また、防汚塗膜層がオルガノシリケート化合物、またはシラノール基含有有機シラン化合物のゾルゲル縮合体を主体とすることによって、防汚塗膜層の摩耗負荷・化学薬品に対する耐久性を増大させると同時にガスバリア効果を高くする。またゾルゲル縮合体は、光触媒活性のラジカル攻撃から防汚塗膜層自体を守る鎧であり、さらに光輝性塗膜層を光触媒活性のラジカル攻撃から守るための防壁である。ゾルゲル縮合体を形成するオルガノシリケート化合物は、化学式:Sin-1(OR)2(n+1)で表される4官能加水分解性シラン化合物であり、式中、Rは炭素原子数1~10のアルキル基(特に炭素数1~3の低級アルキル基)、またはアリール基(特にフェニル基)、nは4官能加水分解性シラン化合物の縮合分子数を表す多量化度(所謂n量体)で、1以上の整数、nが1の化合物として、テトラメトキシシラン(Si(OCH):別名テトラメチルシリケート)、テトラエトキシシラン(Si(OC):別名テトラエチルシリケート)、テトラプロポキシシラン(Si(OC):別名テトラプロピルシリケート)、テトラブトキシシラン(Si(OC):別名テトラブチルシリケート)、テトラフェノキシシラン(Si(OC):別名テトラフェニルシリケート)、ジメトキシジエトキシシラン(Si(OCH)(OC):別名ジメチルヒエチルシリケート)など、nが2以上の化合物は、4官能加水分解性シラン化合物が加水分解して生成するシラノール基同士の反応で2分子以上が縮合して生成する多量体であり、nの表す多量化度は多量体1分子中に含有するSi原子数を意味する。本発明においては多量化度2~10、好ましくは4~6のテトラメトキシシラン、またはテトラエトキシシランを加水分解して得られるシラノール基含有シラン化合物を用いることがゾルゲル縮合体の構造が細密化され好ましい。防汚塗膜層を形成する塗工液(水/アルコール)に含有する、オルガノシリケートの加水分解生成物の濃度は0.01~30質量%、特に0.1~5質量%の範囲が好ましい。またこの塗工液中には防汚塗膜層の耐摩耗性、及び耐久性をより増強するために無機コロイド(シリカゾル、アンチモンゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなど)をオルガノシリケートの加水分解生成物の濃度に対して0.1~25質量%含むことができる。さらにオルガノシリケートの加水分解生成物、またはシラノール基含有有機シラン化合物によるゾル-ゲル縮合体の構造の一部に、シランカップリング剤(アルコキシシラン化合物)の加水分解物が付加することによってゾル-ゲル縮合体にフレキシブル性を付与することで、より屈曲に強い塗膜とすることができる。シランカップリング剤(アルコキシシラン化合物)は、段落〔0028〕に記載したものが最大で、ゾル-ゲル縮合体の25質量%使用できる。
【0034】
この防汚塗膜層内に、光触媒性酸化チタン、光触媒性過酸化チタン、光触媒性酸化亜鉛、光触媒性酸化錫、光触媒性チタン酸ストロンチウム、光触媒性酸化タングステン、光触媒性酸化ビスマス、及び光触媒性酸化鉄、から選ばれた1種以上の光触媒性金属酸化物を、ゾルゲル縮合体に対して10~50質量%含有することが好ましく、さらに、Pt,Rh,RuO2 ,Nb,Cu,Sn,NiOなどの金属及び金属酸化物を光触媒活性の相乗化剤として添加することが出来る。ゾルゲル縮合体への光触媒性金属酸化物粒子の担持は、オルガノシリケートの加水分解生成物、またはシラノール基含有有機シラン化合物に、平均粒子径50nm以下、特に20nm以下の光触媒性金属酸化物ゾルを混合、分散し、これを光輝性塗膜層に塗工(例えばグラビアロール法)した後、ゾルゲル縮合させて厚さ0.5~15μmの薄膜を得る。これらの光触媒性金属酸化物の光触媒活性によって、有機物(煤塵、タール、鳥糞、黴、藻など)の分解を促し、降雨によるセルフクリーニング効果が発現される。特にこのような光触媒性金属酸化物を網目構造のゾルゲル縮合体中に担持させることによって、光触媒活性による光輝性塗膜層へのダメージを軽減させる。セルフクリーニング効果とは光触媒活性で分解された汚物(煤塵、タール、鳥糞)、黴、藻などの有機物残滓が降雨で洗い流されることで汚物などが付着する以前の物品外観を取り戻す効果で、人の手を借りない洗浄システムである。このような光輝性塗膜層を、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、などの膜構造物に適用することでメタリック調の膜構造物の外観を美麗に持続することができる。
【0035】
本発明のメタリック調シートを実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。
メタリック外観の耐久性(1):JIS L1096 8.19.2 B法)スコット形法
メタリック調シートから採取した2.5cm(タテ)×12cm(ヨコ)、及び2.5cm(ヨコ)×12cm(タテ)を試験片として、スコット形試験機に装着(ストローク4cm)し、1kgf荷重×100回の屈曲揉み(光輝性塗膜層面同士の揉み)を施した後、揉み面のメタリック調外観の拡大鏡観察を行い、光輝性顔料の配列の乱れによる光学的な折れ傷、及び光学的白化痕の有無・程度を判定した。
1:光輝性塗膜層に折れ傷、白化痕、の何れも認めない
2:光輝性塗膜層に折れ傷を認めるが、白化痕は認めない
3:光輝性塗膜層に折れ傷、白化痕、を認める
光輝性塗膜層の耐久性(1):JIS L1096 8.19.2 B法)スコット形法
メタリック調シートから採取した2.5cm(タテ)×12cm(ヨコ)、及び2.5cm(ヨコ)×12cm(タテ)を試験片として、スコット形試験機に装着(ストローク4cm)し、1kgf荷重×3000回の屈曲揉み(光輝性塗膜層面同士の揉み)を施した後、揉み面の光輝性塗膜層の拡大鏡観察を行い、脱落の有無・程度を判定した。
1:光輝性塗膜層の脱落を認めない
2:光輝性塗膜層に摩耗を認める
3:光輝性塗膜層の顕著な脱落を認める
メタリック外観の耐久性(2):JIS L1096 8.19.3 C法)テーバ形法
メタリック調シートから採取した直径13cmの円盤を試験片として、テーバ形摩耗試験機に装着(摩耗輪CS-10)し、光輝性塗膜層面に荷重2.45Nで100回転の摩耗負荷を施した後、メタリック調外観の拡大鏡観察を行い、光輝性顔料の配列の乱れによる光学的擦過痕、及び光学的白化痕の有無・程度を判定した。
1:光輝性塗膜層に擦過傷、白化痕、の何れも認めない
2:光輝性塗膜層に擦過傷を認めるが、白化痕は認めない
3:光輝性塗膜層に擦過傷、白化痕、を認める
光輝性塗膜層の耐久性(2):JIS L1096 8.19.3 C法)テーバ形法
メタリック調シートから採取した直径13cmの円盤を試験片として、テーバ形摩耗試験機に装着(摩耗輪CS-10)し、光輝性塗膜層面に荷重2.45Nで2000回転の摩耗負荷を施した後、メタリック調外観の拡大鏡観察を行い、光輝性顔料の配列の乱れによる光学的擦過痕、及び光学的白化痕の有無・程度を判定した。
1:光輝性塗膜層の脱落を認めない
2:光輝性塗膜層に摩耗を認める
3:光輝性塗膜層の顕著な脱落を認める
【0036】
[実施例1]
〈織物〉
1000デニール(1111dtex)のポリエチレンテレタレート(PET)繊維(フィラメント数192本)からなり、S撚50T/mを施したPETマルチフィラメント糸条を経糸群及び緯糸群に用い、経糸群を1インチ間16本、また緯糸群を1インチ間16本とする織組織の平織物を用いた。この織物(1)の質量は150g/m、空隙率(目抜け部総和)は14%であった。
<ターポリン基材>
この織物を基材として、その両面に下記〔配合1〕の軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる厚さ0.2mmのカレンダー成型フィルムを表裏の被覆層として、ラミネーターでの熱圧着による溶融ラミネートを施して、厚さ0.7mm、質量830g/mの白色ターポリン基材を得た。
〔配合1〕:軟質塩化ビニル樹脂組成物(コンパウンド)
塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(可塑剤) 55質量部
リン酸トリクレジル(防炎可塑剤) 10質量部
エポキシ化大豆油(安定剤兼可塑剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
ルチル型酸化チタン(白顔料) 5質量部
ベンゾトリアゾール骨格化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
<メタリック調シート(1):ターポリン>
白色ターポリン基材の片表面上に、下記〔配合2〕のメタリック塗料を100メッシユのグラビアロールによりターポリン基材の片面(表面)にグラビア塗工し、120℃の熱風炉で2分間加熱乾燥し、〔配合2〕のメタリック塗料による光輝性塗膜層(1)を形成し、「光輝性塗膜層〔配合2〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.71mm、質量835g/mの光沢クロムメッキ調シート(1)を得た。
〔配合2〕光輝性塗膜層形成用塗料
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 100質量部
※フッ素系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)
オキサゾリン基を有するアクリル/スチレンポリマー硬化剤 10質量部
※エマルジョン(固形分40質量%):オキサゾリン基量1.8mmol/g(固形分)
エポキシ系シランカップリング剤 2質量部
※3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
非変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 100質量部
※繊維幅3~10nm:繊維長30~100μm
リーフィング型アルミニウム鱗片粉 3質量部
※平均粒子径(D50)10μm:水面拡散面積13,000cm2/g
【0037】
[実施例2]
実施例1の〔配合2〕による光輝性塗膜層(1)を、〔配合3〕による光輝性塗膜層(2)に変更した以外は実施例1と同様として、「光輝性塗膜層〔配合3〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.71mm、質量835g/mのキラキラ外観のクロムメッキ調シート(2)を得た。
〔配合3〕光輝性塗膜層形成用塗料
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 100質量部
※フッ素系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)
オキサゾリン基を有するアクリル/スチレンポリマー硬化剤 10質量部
※エマルジョン(固形分40質量%):オキサゾリン基量1.8mmol/g(固形分)
アミノ系シランカップリング剤 2質量部
※N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
非変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 100質量部
※繊維幅3~10nm:繊維長30~100μm
ノンリーフィング型アルミニウム鱗片粉 3質量部
※平均粒子径(D50)30μm:水面拡散面積9,500cm2/g
【0038】
[実施例3]
実施例1の光沢クロムメッキ調シート(1)の光輝性塗膜層(1)上に、〔配合4〕による光輝性塗膜層を追加した2層の光輝性塗膜層(3)とした以外は実施例1と同様として、「光輝性塗膜層〔配合4〕/光輝性塗膜層〔配合2〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.72mm、質量840g/mの光沢クロムメッキとキラキラ感が同居した外観のメタリック調シート(3)を得た。
〔配合4〕光輝性塗膜層形成用塗料
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 100質量部
※フッ素系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)
オキサゾリン基を有するアクリル/スチレンポリマー硬化剤 10質量部
※エマルジョン(固形分40質量%):オキサゾリン基量1.8mmol/g(固形分)
イソシアネート系シランカップリング剤 2質量部
※3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
非変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 100質量部
※繊維幅3~10nm:繊維長30~100μm
ノンリーフィング型アルミニウム鱗片粉 0.5質量部
※平均粒子径(D50)30μm:水面拡散面積9,500cm2/g
【0039】
[実施例4]
実施例1の〔配合2〕による光輝性塗膜層(1)を、〔配合5〕による光輝性塗膜層(4)に変更した以外は実施例1と同様として、「光輝性塗膜層〔配合5〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.71mm、質量835g/mの光沢ゴールドメッキ調シート(4)を得た。
〔配合5〕光輝性塗膜層形成用塗料
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 100質量部
※フッ素系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)
オキサゾリン基を有するアクリル/スチレンポリマー硬化剤 10質量部
※エマルジョン(固形分40質量%):オキサゾリン基量1.8mmol/g(固形分)
エポキシ系シランカップリング剤 2質量部
※3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
ホウ酸エステル化変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 100質量部
※3質量%ホウ酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロ
ースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチ
ル化)のカルボキシメチル基に反応させた変性体:繊維幅3~10nm:繊維長30~
100μm
リーフィング型アルミニウム鱗片粉 3質量部
※平均粒子径(D50)10μm:水面拡散面積13,000cm2/g
ジスアゾイエロー(黄色顔料) 0.3質量部
【0040】
[実施例5]
実施例1の〔配合2〕による光輝性塗膜層(1)を、〔配合6〕による光輝性塗膜層(5)に変更した以外は実施例1と同様として、「光輝性塗膜層〔配合6〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.71mm、質量835g/mの光沢クロムメッキ調シート(5)を得た。
〔配合6〕光輝性塗膜層形成用塗料
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 100質量部
※フッ素系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)
オキサゾリン基を有するアクリル/スチレンポリマー硬化剤 10質量部
※エマルジョン(固形分40質量%):オキサゾリン基量1.8mmol/g(固形分)
エポキシ系シランカップリング剤 2質量部
※3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
リン酸エステル化変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 100質量部
※3質量%リン酸+78質量%エチルセロソルブの水溶液をカルボキシメチル化セルロ
ースナノファイバー(セルロースの1級、2級水酸基(2,3,6位)をカルボキシメチル化)
のカルボキシメチル基に反応させた変性体:繊維幅3~10nm:繊維長30~100
μm
リーフィング型アルミニウム鱗片粉 3質量部
※平均粒子径(D50)10μm:水面拡散面積13,000cm2/g
【0041】
[実施例6]
実施例1の〔配合2〕による光輝性塗膜層(1)を、〔配合7〕による光輝性塗膜層(6)に変更した以外は実施例1と同様として、「光輝性塗膜層〔配合7〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.71mm、質量835g/mの光沢ゴールドメッキ調シート(6)を得た。
〔配合7〕光輝性塗膜層形成用塗料
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 100質量部
※フッ素系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)
オキサゾリン基を有するアクリル/スチレンポリマー硬化剤 10質量部
※エマルジョン(固形分40質量%):オキサゾリン基量1.8mmol/g(固形分)
エポキシ系シランカップリング剤 2質量部
※3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
アミノシラン変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 100質量部
※N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(アミノ系シランカ
ップリング剤)の加水分解物をセルロースナノファイバーの水酸基に反応させたシラン
カップリング処理変性体:繊維幅3~10nm:繊維長30~100μm
リーフィング型アルミニウム鱗片粉 3質量部
※平均粒子径(D50)10μm:水面拡散面積13,000cm2/g
ジスアゾイエロー(黄色顔料) 0.3質量部
【0042】
[実施例7]
実施例1の〔配合2〕による光輝性塗膜層(1)を、〔配合8〕による光輝性塗膜層(7)に変更した以外は実施例1と同様として、「光輝性塗膜層〔配合8〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.71mm、質量835g/mの青いパール光沢のメタリック調シート(7)を得た。
〔配合8〕光輝性塗膜層形成用塗料
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 100質量部
※フッ素系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)
オキサゾリン基を有するアクリル/スチレンポリマー硬化剤 10質量部
※エマルジョン(固形分40質量%):オキサゾリン基量1.8mmol/g(固形分)
エポキシ系シランカップリング剤 2質量部
※3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
非変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液) 100質量部
※繊維幅3~10nm:繊維長30~100μm
鱗片状ブルー干渉発色型マイカ(平均粒子径D50:10~60μm) 4質量部
【0043】
[実施例8]
実施例7の青いパール光沢のメタリック調シート(7)の光輝性塗膜層(7)の上に、〔配合4〕による光輝性塗膜層を追加して、2層の光輝性塗膜層(8)とした以外は実施例7と同様として、「光輝性塗膜層〔配合4〕/光輝性塗膜層〔配合8〕/被覆層/織物/被覆層」断面構造の厚さが0.72mm、質量840g/mの青いパール光沢とキラキラ感が同居した外観のメタリック調シート(8)を得た。
【0044】
[実施例9~16]
樹脂例1~8のメタリック調シート(1)~(8)の光輝性塗膜層の表面に下記〔配合9〕からなる防汚塗膜層を形成し、各々メタリック調シート(9)~(16)を得た。得られた防汚塗膜層は、オルガノシリケート化合物のゾルゲル縮合体の構造中に光触媒性酸化チタン粒子を含有する態様である。
〔配合9〕防汚塗膜層形成用塗料
エチルシリケート(Si(OC):SiO換算40質量%)
※[Si(OC)12]のテトラエトキシシラン5量体 100質量部
加水分解触媒:2%塩酸 5質量部
光触媒性酸化チタンゾル 50質量部
硝酸酸性:粒子径10nm:固形分30質量%エタノール溶液
ビニル系シランカップリング剤(※ビニルトリメトキシシラン) 5質量部
シリカゾル(粒子径12nm:固形分30質量%エタノール溶液) 50質量部
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
本発明の実施例においてメタリック調シート(1)~(8)の光輝性塗膜層には、光輝性顔料、シランカップリング剤反応物、及びセルロースナノファイバーを含有することにより、光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)と光輝性顔料(特に鱗片状、またはフレーク状)との間にセルロースナノファイバーが介在することで、光輝性塗膜層に折り曲げ(耐屈曲揉み試験)や擦過(耐摩耗性試験)などの物理的負荷を受けた際に、光輝性顔料の配列(水平配列、またはランダム配列)の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果が発現され、この時特に、光輝性顔料とセルロースナノファイバーとの間に、シランカップリング剤反応物が介在し、化学的に結合したことで、光輝性顔料の変位を復元する緩衝効果がより強化されていた。この光輝性塗膜層に含有するシランカップリング剤同士の反応による縮合物の存在は、光輝性塗膜層の耐久性、及び耐擦過性を向上させ、メタリック外観の耐久性(1)、及びメタリック外観の耐久性(2)により、光輝性顔料の配列の乱れによる光学的な傷跡の発生を効果的に抑止できる結果を得、さらに光輝性塗膜層の耐久性(1)、及び光輝性塗膜層の耐久性(2)によって、光輝性塗膜層が容易に摩滅、脱落することのないことが確認できたので、本発明のメタリック調シートを、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウス、アルミボディトラックのウイング幌、及び非常持出袋(防災備蓄品)用の原反素材として、縫製する作業での取り回しによる折れ傷や擦過傷を生じ難くする効果が期待でき、しかも施工時の取扱も自由度を増すメリットが期待できる。また、本発明の実施例においてメタリック調シート(1)~(8)の光輝性塗膜層上に防汚塗膜層を形成したメタリック調シート(9)~(16)では、上述の光輝性塗膜層の性能に加え、オルガノシリケート化合物、またはシラノール基含有有機シラン化合物のゾルゲル縮合体の構造中に光触媒性酸化チタン微粒子を担持することによって、光触媒性酸化チタンの光活性による有機物の分解作用による防汚効果が発現した。この防汚効果は、市販の油性ペン(赤)で「HIRAOKA」の文字を書いたシート片のキセノンウエザーメーターによる120時間の耐候性促進試験(JIS K5600-7-7)で、赤インク文字の色素が分解消失したのに対し、メタリック調シート(1)~(8)では赤インク文字が薄い赤色で鮮明に残存していたことの対比で明らかである。従って、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)などの膜構造物などの屋外恒久用途には、実施例9~16のメタリック調シートが好適である。
【0048】
[比較例1]
実施例1の光輝性塗膜層[配合2]から、変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液)100質量部を省略し、水100質量部と置き換え[配合9]とした以外は実施例1と同様として、厚さ0.7mm、質量830g/mのメタリック調シート(17)を得た。セルロースナノファイバーが省略されたことで、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、アルミニウム鱗片粉の水平配列の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果が失効して、メタリック外観の耐久性(1)では、光輝性塗膜層(フッ素系樹脂)にアルミニウム鱗片粉の配列の乱れによる顕著な光学的な折れ傷、及び光学的白化痕を発生した。(実施例1では光学的な折れ傷、及び光学的白化痕の発生を認めない)また、メタリック外観の耐久性(2)での摩耗ダメージが認められ、光輝性塗膜層にアルミニウム鱗片粉の配列の乱れによる光学的擦過痕、及び光学的白化痕の発生が顕著であった。(実施例1では光学的擦過痕、及び光学的白化痕の発生を認めない)さらに光輝性塗膜層の耐久性(1)、及び光輝性塗膜層の耐久性(2)によって、この光輝性塗膜層が実施例1の光輝性塗膜層よりも摩滅、脱落し易い結果を確認したので、比較例1のメタリック調シートでは、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウス、などの原反素材として、縫製作業での取り回しによる折れ傷や擦過傷を生じ易く、施工時の取扱でも折れ傷や擦過傷を増すことで、施工物件の外観が著しく損なわれることが予見できる。
【0049】
[比較例2]
実施例1の光輝性塗膜層[配合2]から、エポキシ系シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)2質量部を省略し[配合10]とした以外は実施例1と同様として、厚さ0.7mm、質量830g/mのメタリック調シート(18)を得た。シランカップリング剤が省略されたことで、セルロースナノファイバーの作用をサポートする存在が欠如して、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、アルミニウム鱗片粉の水平配列の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果を発現するというセルロースナノファイバーの効果が十分に発揮されず、メタリック外観の耐久性(1)では、光輝性塗膜層(フッ素系樹脂)にアルミニウム鱗片粉の配列の乱れによる光学的な折れ傷を発生した。(実施例1では光学的な折れ傷の発生を認めない)また、メタリック外観の耐久性(2)での摩耗ダメージが認められ、光輝性塗膜層にアルミニウム鱗片粉の配列の乱れによる光学的擦過痕が目視された。(実施例1では光学的擦過痕の発生を認めない)さらに光輝性塗膜層の耐久性(1)、及び光輝性塗膜層の耐久性(2)によって、この光輝性塗膜層が実施例1の光輝性塗膜層よりも摩滅、脱落し易い結果を確認したので、比較例1のメタリック調シートでは、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウス、などの原反素材として、縫製作業での取り回しによる折れ傷や擦過傷を生じ、施工時の取扱でも折れ傷や擦過傷を増すことで、施工物件の外観が損なわれることが予見できる。
【0050】
[比較例3]
実施例7の光輝性塗膜層[配合8]から、変性セルロースナノファイバー(2質量%水溶液)100質量部を省略し、水100質量部と置き換え[配合11]とした以外は実施例7と同様として、厚さ0.7mm、質量830g/mのメタリック調シート(19)を得た。セルロースナノファイバーが省略されたことで、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、鱗片状マイカの配列の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果が失効して、メタリック外観の耐久性(1)では、光輝性塗膜層(フッ素系樹脂)に鱗片状マイカの配列の乱れによる顕著な光学的な折れ傷、及び光学的白化痕を発生した。(実施例1では光学的な折れ傷、及び光学的白化痕の発生を認めない)また、メタリック外観の耐久性(2)での摩耗ダメージが認められ、光輝性塗膜層に鱗片状マイカの配列の乱れによる光学的擦過痕、及び光学的白化痕の発生が顕著であった。(実施例1では光学的擦過痕、及び光学的白化痕の発生を認めない)さらに光輝性塗膜層の耐久性(1)、及び光輝性塗膜層の耐久性(2)によって、この光輝性塗膜層が実施例1の光輝性塗膜層よりも摩滅、脱落し易い結果を確認したので、比較例1のメタリック調シートでは、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウス、などの原反素材として、縫製作業での取り回しによる折れ傷や擦過傷を生じ易く、施工時の取扱でも折れ傷や擦過傷を増すことで、施工物件の外観が著しく損なわれることが予見できる。
【0051】
[比較例4]
実施例7の光輝性塗膜層[配合8]から、エポキシ系シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)2質量部を省略し[配合12]とした以外は実施例1と同様として、厚さ0.7mm、質量830g/mのメタリック調シート(20)を得た。シランカップリング剤が省略されたことで、セルロースナノファイバーの作用をサポートする存在が欠如して、光輝性塗膜層に折り曲げや擦過などの物理的負荷が掛けられた際に、鱗片状マイカの配列の乱れ、すなわち乱反射の原因となる変位に抵抗し、変位を復元するバネのような緩衝効果を発現するというセルロースナノファイバーの効果が十分に発揮されず、メタリック外観の耐久性(1)では、光輝性塗膜層(フッ素系樹脂)に鱗片状マイカの配列の乱れによる光学的な折れ傷を発生した。(実施例1では光学的な折れ傷の発生を認めない)また、メタリック外観の耐久性(2)での摩耗ダメージが認められ、光輝性塗膜層に鱗片状マイカの配列の乱れによる光学的擦過痕が目視された。(実施例1では光学的擦過痕の発生を認めない)さらに光輝性塗膜層の耐久性(1)、及び光輝性塗膜層の耐久性(2)によって、この光輝性塗膜層が実施例1の光輝性塗膜層よりも摩滅、脱落し易い結果を確認したので、比較例1のメタリック調シートでは、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウス、などの原反素材として、縫製作業での取り回しによる折れ傷や擦過傷を生じ、施工時の取扱でも折れ傷や擦過傷を増すことで、施工物件の外観が損なわれることが予見できる。
【0052】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明により、メタリック調のターポリン、帆布に設けられた光輝性塗膜樹脂層が縫製時、及び施工時の物理的負荷による折れ傷や、擦過傷に対する耐久性を有し、光輝性塗膜層に光輝性顔料の配列の乱れによる光学的傷痕を容易に生じることなく、縫製時、及び施工時の取扱が自在で、しかも使用における光輝性塗膜層が容易に摩滅、脱落することのないメタリック調シートの発明の提供を課題とする。この課題解決によれば、メタリック調シートの外観品位が保全・維持されるので、メタリック調のターポリンは、大型テント(パビリオン)、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、スタジアム日除けテント、屋形テント、シートハウスなどに好適となり、またメタリック調の帆布は、アルミボディトラックのウイング幌用に好適となる。これらは非常持出袋(防災備蓄品)用の素材としても好適である。