IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社WiseVineの特許一覧

特許7458117行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム
<>
  • 特許-行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム 図1
  • 特許-行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム 図2
  • 特許-行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム 図3
  • 特許-行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム 図4
  • 特許-行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム 図5
  • 特許-行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム 図6
  • 特許-行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240322BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023145688
(22)【出願日】2023-09-07
【審査請求日】2023-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518355630
【氏名又は名称】株式会社WiseVine
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 翔生
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-222384(JP,A)
【文献】特開2023-110808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0255605(US,A1)
【文献】特許第7292761(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクト指向のワークフロー管理を行う行政管理システムであって、
複数種類のデータ項目を有し、行政オブジェクト毎に登録される行政データと、共通するトピックに属した前記行政オブジェクトの集合である行政オブジェクトグループと、を記憶し、
ワークフローに載せる行政オブジェクトグループ、及びワークフローの担当者の指定を受け付け、
指定された前記行政オブジェクトグループに含まれる複数の行政オブジェクトの各々についてイシューを作成しこれら複数のイシューを含むイシューグループを登録し、
指定された前記担当者に対して、前記イシューグループに属する複数のイシューをアサインし、
前記イシューグループに属するイシュー処理状況を集計して、前記トピックにおけるワークフローの処理状況を決定する、行政管理システム。
【請求項2】
ワークフローに載せる行政オブジェクト、及びワークフロー各段階の担当者の指定を受け付け、
各段階の担当者に対して、指定された行政オブジェクトが対応付けられたイシューをアサインすると共に、ある段階の担当者がイシューの完了操作を行うと、あるトピック中のワークフローの段階次の担当者が作業を行う段階に進行する、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項3】
ひとつの前記行政データが有する少なくとも一部のデータ項目その行政データについての前記イシューの少なくとも一部のデータ項目には、それぞれ異なる範囲への閲覧権限が設定され
前記閲覧権限に基づいて、利用者に対して、前記行政データ及び前記イシューのデータ項目を表示させる、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項4】
利用者グループは、同一部門に属する一部又は全部の利用者を含み、
ひとつの前記行政データが有する少なくとも一部のデータ項目その行政データについての前記イシューの少なくとも一部のデータ項目には利用者グループ単位での閲覧権限が設定され
前記閲覧権限に基づいて、前記利用者に対して、前記行政データ及び前記イシューのデータ項目を表示させる、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項5】
前記行政データはバージョンが管理されると共に、前記行政データの少なくとも一部のデータ項目にはバージョン毎に閲覧権限が設定され、
前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
前記メッセージスレッド、又は前記メッセージスレッド内のメッセージには対象とする行政データのバージョンが設定されると共に、前記行政データに係るバージョン毎の閲覧権限に応じて閲覧権限が設定され
前記閲覧権限に基づいて、利用者に対して、前記行政データ、並びにメッセージスレッド又は前記メッセージスレッド内のメッセージを表示させる、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項6】
前記行政オブジェクトグループに含まれる行政オブジェクトが属するトピックに対応して入力されるデータ項目が定義され、
義された前記データ項目に対応する入力欄がリンクされる前記イシューに係る画面を表示させる、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項7】
前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
前記メッセージスレッド、又は前記メッセージスレッド内のメッセージには、所定の利用者又は利用者グループに対するメンションが設定され、前記メンションが設定された前記メッセージスレッドの作成及び/又は前記メッセージの投稿について、前記メンションの対象となる利用者又は利用者グループに通知を行う、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項8】
前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
前記メッセージスレッド、又は前記メッセージスレッド内のメッセージには投稿趣旨が付加され、
任意の1又は複数種類の前記投稿趣旨について、前記イシューグループにおける共通する前記投稿趣旨が付加された前記イシューを集計する、請求項に記載の行政管理システム。
【請求項9】
前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
指摘対象が付加された前記メッセージスレッドを作成し、又は前記メッセージスレッド内のメッセージについて、指摘対象が付加されたメッセージの投稿を受け付け、
前記指摘対象は、前記メッセージスレッド、又は前記メッセージが対象とする前記行政オブジェクトのデータ項目、又は添付ファイルを含む、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項10】
オブジェクト指向のワークフロー管理を行う行政管理方法であって、
複数種類のデータ項目を有し、行政オブジェクト毎に登録される行政データ、及び、共通するトピックに属した前記行政オブジェクトの集合である行政オブジェクトグループを記憶したコンピュータが、ワークフローに載せる行政オブジェクトグループ、及びワークフローの担当者の指定を受け付ける工程と、
前記コンピュータが、指定された前記行政オブジェクトグループに含まれる複数の行政オブジェクトの各々についてイシューを作成しこれら複数のイシューを含むイシューグループを登録する工程と、
前記コンピュータが、指定された前記担当者に対して、前記イシューグループに属する複数のイシューをアサインする工程と、
前記コンピュータが、前記イシューグループに属するイシュー処理状況を集計して、前記トピックにおけるワークフローの処理状況を決定する工程と、を有する行政管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の行政管理方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行政管理システム、行政管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体等を含む行政組織における行政活動を効率化する為の情報処理技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、地方自治体の財政計画はマクロ的視点から、個別事務事業の予算査定はミクロ的視点から行われており、両者は連動していない問題の解決に向けて、個別事務事業における、歳入・歳出計画作成をルール化、綿密化、IT化して、地方自治体全体の財政計画と事務事業の管理・評価を関連付けることにより、個別計画と全体戦略の整合性を保持し、事業積上型の長期的な財政推計を可能にする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-293321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術では、予算査定や行革計画に係る処理の単純化が達成された。しかしながら、行政組織における行政活動の効率的な推進を行うことはできない。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みて、行政組織において、行政活動を効率的に推進する技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]オブジェクト指向のワークフロー管理を行う行政管理システムであって、
複数種類のデータ項目を有し、行政オブジェクト毎に登録される行政データを記憶し、
指定されたトピック及び行政オブジェクトに基づいて、個々の行政オブジェクトと対応付けられたイシューを作成し、前記イシューに関する処理状況を用いて前記トピックにおけるワークフローの処理状況を決定する、行政管理システム。
[2]前記行政データの集合である行政オブジェクトグループを記憶し、
ワークフローに載せる行政オブジェクトグループ、及びワークフローの担当者の指定を受け付け、
指定された行政オブジェクトグループに基づいて、前記行政オブジェクトグループに含まれる全ての行政オブジェクト各々に対応付けられた複数のイシューの集合であるイシューグループを作成し、指定されたワークフローの担当者に対して、前記イシューグループに属する複数のイシューをアサインする、[1]に記載の行政管理システム。
[3]ワークフローに載せる行政オブジェクト、及びワークフロー各段階の担当者の指定を受け付け、
各段階の担当者に対して、指定された行政オブジェクトが対応付けられたイシューをアサインすると共に、ある段階の担当者がイシューの完了操作を行うと、ワークフローが次の段階に進行する、[1]又は[2]に記載の行政管理システム。
[4]前記行政データの少なくとも一部のデータ項目、及び前記イシューの少なくとも一部のデータ項目には、それぞれ異なる範囲への閲覧権限が設定される、[1]~[3]の何れかに記載の行政管理システム。
[5]利用者グループは、同一部門に属する一部又は全部の利用者を含み、
前記行政データの少なくとも一部のデータ項目、及び/又は前記イシューの少なくとも一部のデータ項目には利用者グループ単位での閲覧権限が設定される、[1]~[4]の何れかに記載の行政管理システム。
[6]前記行政データはバージョンが管理されると共に、前記行政データの少なくとも一部のデータ項目にはバージョン毎に閲覧権限が設定され、
前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
前記メッセージスレッド、又は前記メッセージスレッド内のメッセージには対象とする行政データのバージョンが設定されると共に、前記行政データに係るバージョン毎の閲覧権限に応じて閲覧権限が設定される、[1]~[5]の何れかに記載の行政管理システム。
[7]前記トピックに対応して入力されるデータ項目が定義され、
前記イシューの表示画面には、定義された前記データ項目に対応する入力欄がリンクされる、[1]~[6]の何れかに記載の行政管理システム。
[8]前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
前記メッセージスレッド、又は前記メッセージスレッド内のメッセージには、所定の利用者又は利用者グループに対するメンションが設定可能である、[1]~[7]の何れかに記載の行政管理システム。
[9]前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
前記メッセージスレッド、又は前記メッセージスレッド内のメッセージには投稿趣旨が付加され、
任意の1又は複数種類の前記投稿趣旨に基づいて、前記イシューグループにおける前記イシューを集計する、[2]、又は[2]を引用する[3]~[8]の何れかに記載の行政管理システム。
[10]前記イシューには、イシュー毎の1又は複数のメッセージスレッドが対応付けられ、
前記メッセージスレッド、又は前記メッセージスレッド内のメッセージには指摘対象が付加され、
前記指摘対象は、前記行政オブジェクトのデータ項目、又は添付ファイルを含む、[1]~[9]の何れかに記載の行政管理システム。
[11]前記行政データは、対応する行政データに対応付けることができ、
新たな行政データを登録する際に参照された過年度の行政データは、前記新たな行政データの識別情報を含む、[1]~[10]の何れかに記載の行政管理システム。
【0008】
[1]に係る発明により、行政オブジェクトに紐づけられたイシューに基づくワークフローの管理を行うことができ、行政活動を効率的に推進することができる。
【0009】
[2]に係る発明により、複数の行政オブジェクトについてワークフローの管理を行うことができ、行政活動を効率的に推進することができる。
【0010】
[3]に係る発明により、行政オブジェクトに紐づけられたイシューに基づくワークフローの管理を行うことができ、行政活動を効率的に推進することができる。
【0011】
[4]に係る発明により、例えば、決裁者に対してイシューを公開しつつ、調整中の帳票は非公開にする等、公開の範囲を柔軟に調整しながら、行政活動を効率的に推進することができる。
【0012】
[5]に係る発明により、例えば、原課統括にアサインされたイシューを、原課担当が処理する場合等、行政活動を効率的に推進することができる。
【0013】
[6]に係る発明により、公開の範囲を柔軟に調整しながら、行政活動を効率的に推進することができる。
【0014】
[7]に係る発明により、イシューを用いた行政活動を効率的に行うことができる。
【0015】
[8]に係る発明により、ワークフロー外の利用者等も交えて、行政活動を効率的に推進することができる。
【0016】
[9]に係る発明により、イシュー内のコミュニケーションをベースに、ワークフローの進行状況を決定することができる。
【0017】
[10]に係る発明により、イシューを用いた行政活動を効率的に行うことができる。
【0018】
[11]に係る発明により、例えば、継続や併合した事務事業、行政課題が事業化した事務事業等、過年度の行政データとの関係を保持しながら、行政活動を効率的に推進することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、行政組織において、行政活動を効率的に推進する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態のシステム構成図。
図2】本実施形態のハードウェア構成図。
図3】本実施形態のデータ構成例。
図4】本実施形態の事務事業グループ登録画面の画面表示例。
図5】本実施形態のワークフローの処理フローチャート。
図6】本実施形態のワークフロー開始画面の画面表示例。
図7】本実施形態のワークフローの進行例。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて、本発明の行政管理システム、行政管理方法および、行政管理プログラムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0022】
本実施形態では行政管理システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを格納したプログラム記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0023】
<1.1.用語等の定義1>
本明細書で使用される用語及び語句の定義は次のとおりである。
行政組織とは、国や地方自治体などの官公庁、省庁、公共団体等を含む行政を運営する組織であり、本実施形態では地方自治体を例とする。本発明に係る行政管理システムは行政組織で利用され、行政活動の運用・管理に利用される。
政策体系とは、政策-施策-事務事業の3階層で区分された課題体系である。本実施形態では、この政策体系を用いて事務事業の管理を行う場合について例示するが、例えば、施策及び事務事業の間に細施策等の階層が設けられる等、4階層以上で区分がされ、事務事業の管理が行われてもよい。
政策とは、特定の行政課題に対応するための基本的な方針実現を目的とする行政活動の大きなまとまりであり、制定された行政区分(市区町村等)におけるまちづくりの方向性や目的を示すものである。
施策とは、政策における基本的な方針に基づく、具体的な方針の実現を目的とした行政活動のまとまりであり、政策を実現するための方策や対策を示すものである。
事務事業とは、施策における具体的な方針を具体化する為の個々の行政手段としての事務及び事業である。事務事業は、行政区分に所属する各局における予算を元に、各局により実施される。
【0024】
行政オブジェクトとは、行政活動の中で扱う目的物を指す。本実施形態では、行政オブジェクトとして、個別の事務事業、答弁、課題を管理することとする。
答弁とは、議員の質問に対して行政機関等の執行機関が作成を行う本会議答弁や委員会答弁等を指す。
課題とは、事務事業の計画・執行・評価段階や、議会・委員会等で収集した課題であり、次期以降の行政課題立案の元となる。
その他、例えば、施策等についても行政オブジェクトとして管理してもよい。
【0025】
<1.2.行政活動の概略>
行政活動の流れについて、一例を説明する。
事務事業:まず、計画段階として、次期執行予定年度(例えば、翌年度)に実施する事務事業の計画書の作成等を実施する。次いで、予算編成段階では、次期執行予定年度に実施する事務事業の予算要求書の作成や、予算要求書に対する査定、予算案の作成、議会提出等を実施する。そして、執行年度になると、執行段階として、議会承認された事務事業に対して予算執行を行う。評価段階では、執行した事務事業に対する行政評価書の作成などを実施する。
答弁:随時、本会議や委員会における質疑及び一般質問について、通告内容を記録すると共に、通告内容に関する答弁内容の入力管理を行って、本会議答弁や委員会答弁等を作成する。
課題:随時、事務事業の計画・執行・評価段階や議会・委員会等で収集した課題について評価を行い、次期執行予定年度以降の計画段階にて、課題に対応する新規事務事業を登録したり、既存の事務事業に対して課題に関する観点を盛り込む。
【0026】
<1.3.用語等の定義2>
トピックとは、行政オブジェクトを目的物として実行される行政活動の段階的な区分を示す。トピックは行政オブジェクトの種類毎に1又は複数定義され得る。本実施形態では、例えば、事務事業を目的物とする場合は「計画」、「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示」、「予算編成>議決」、「予算執行」、「決算」、「行政評価」等の経時的に並んだ複数の区分をトピックと定義する。また、答弁を目的物とする場合は質問に対する答弁を作成する為の「答弁管理」、課題を目的物とする場合は収集した課題を蓄積・管理して事業へ昇華する為の「課題管理」等のトピックを定義する。上記は一例であり、これらとは異なる区分、抽象化された区分、細分化された区分等が定義されてもよい。また、トピックの細分化は、トピックを複数のレイヤーで階層化することで行われてもよい。例えば、「予算編成>○○」トピックに代えて「当初予算編成(以降“当初”と呼称する)>○○」及び「補正予算編成(以降“補正”と呼称する)>○○」等の区分が定義されてもよいし、「予算編成」の配下のレイヤーにおいて「当初>○○」及び「補正>○○」の下位トピックが定義されてもよい。また、配下のレイヤーにも経時的に並んだ複数の区分がトピックとして定義されてもよい。例えば、「予算編成」の配下のレイヤーに、「要求」、「査定」、「内示」、「議決」等の区分が定義されてもよい。
【0027】
イシューとは、各行政オブジェクトに関して発生する行政活動を進行する上での主題を意味する。イシューは、個別の、或いは一群の行政オブジェクトに対応付けられ、特定の担当者に対して割り当てがされる。本実施形態では、イシューは、特定トピックの行政オブジェクト、或いは、特定トピックに属した一群の行政オブジェクトについて提起されるものとする。
【0028】
ワークフローとは、反復可能に定義された行政活動の流れを意味する。本実施形態では、ワークフローは、ある目的を達成する為に実行される複数の段階WSを含み、それぞれの段階WSnにおいて担当者に割り振られたイシューを消化していくことで進行する。
【0029】
ワークフローは行政オブジェクトに対する行政活動の進行を支援するものであるが、特に、行政オブジェクトを次の段階のトピックに移行させること、或いは移行可能な状態とすることを目的する場合がある。例えば「計画」トピックのワークフローは前者であり、これを完了することで、次の「予算編成」トピックへ移行できる。例えば「予算編成>議決」トピックのワークフローは後者であり、ワークフローを完了した事務事業は、更に執行予定年度を迎えれば「執行」トピックに移行できる。或いは、ワークフローは、特定のトピックにおいて反復的に実施される行政活動を目的とする場合もある。例えば「執行」トピックのワークフローは申請~承認等の段階WSを含み、予算執行の期間中、事務事業毎に1又は複数回実施され得る。
【0030】
<2.1.システム構成>
図1は、行政管理システム1のシステム構成図を示す。行政管理システム1は、図1に示すように、行政管理装置2と、利用者端末3と、データベースDBと、を備え、各構成部はそれぞれ通信ネットワークNWに接続される。例えば、通信ネットワークNWは、総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)を含み、総合行政ネットワークを経由して、行政管理装置2とデータベースDB、行政管理装置2と利用者端末3が接続される。
【0031】
行政管理システム1(行政管理装置2)は、事務事業等の行政オブジェクトに係る行政活動を運用・管理する為のプラットフォームを提供する。行政管理装置2は、機能構成要素として、行政オブジェクト管理部21、行政オブジェクトグループ管理部22、イシュー管理部23、イシューグループ管理部24、及びワークフロー管理部25を備える。
【0032】
利用者端末3は、行政組織に属する利用者等が利用する端末装置である。利用者端末3は、少なくとも行政組織内に複数設置される。
【0033】
本実施形態において、利用者は、行政組織内の特別職(首長等)や、財政課等、官房部門の利用者、課長、部長、土木部(局・課)や農林水産部(局・課)等、原局・原課の利用者・統括(課長、部長等)などを含む。例えば、原課利用者は、事務事業の計画書等の事業帳票の作成や、予算要求書作成、予算執行、行政評価書作成などの業務を実施する。官房利用者は、原課利用者への予算要求書作成依頼、予算要求書の評価などの業務を実施する。課長・部長、特別職は、利用者による成果物の確認、計画書に基づく重点事業選定、優先順位付け、財政課利用者により承認された予算要求書の査定などの業務を実施する。行政管理システム1は、各利用者に対して所定の操作権限を設けており、操作権限に応じた所定の機能の許可や制限を制御している。なお、特に、ワークフローのある段階で処理を行う利用者を担当者と呼称する。
【0034】
<2.2.ハードウェア構成>
図2(a)は、行政管理装置2のハードウェア構成図を示す。行政管理装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、行政管理装置2は、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、行政管理装置2は、複数のコンピュータ装置により構成されてもよく、全体として上述の機能構成要素(21-25)を実現できれば、図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0035】
制御部201は、CPUなどの1又は複数のプロセッサにより構成され、行政管理プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、行政管理装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの1又は複数のメモリによって構成され、行政管理プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、利用者端末3、及びデータベースDBとのデータ通信を実現する。制御部201は、行政管理プログラムを実行することで、コンピュータを行政管理装置2として機能させ、行政管理方法を実行させる。
【0036】
データベースDBは、図示例ではLGWAN等を含む通信ネットワークNW経由でアクセス可能なデータベースサーバであるが、例えば、行政管理装置2を構成する制御部201及び記憶部202を用いて実現されてもよいし、行政管理装置2とLAN等を介して接続されてもよい。
【0037】
図2(b)は、利用者端末3等の端末装置9のハードウェア構成図を示す。端末装置9は、ハードウェア構成として、制御部901と、記憶部902と、通信部903と、入力部904と、表示部905と、を備える。本実施形態において、端末装置9は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0038】
制御部901は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、端末装置9における全体処理を制御する。記憶部902は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部903は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、行政管理装置2とのデータ通信を実現する。入力部904は、操作者による操作要求を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。表示部905は、制御部901による処理結果を表示するディスプレイなどにより構成される。
【0039】
<2.3.データベースDB>
データベースDBには、予め、利用者マスタが格納されると共に、過年度の事務事業情報(行政データ)、事業グループ情報、イシュー情報、及びイシューグループ情報、ワークフロー情報、並びに、答弁情報(行政データ)及び課題情報(行政データ)が格納されるものとする。
【0040】
利用者マスタには、行政組織内の利用者情報が格納される。利用者情報は、利用者の識別情報(利用者ID)、氏名、所属部門(部局課室等)、等を有する。なお、1又は複数の利用者の集合である利用者グループが定義可能であってもよい。利用者グループ情報は、例えば、利用者グループの識別情報(利用者グループID)と、利用者グループに属する利用者の識別情報等によって事前定義されてもよいし、共通の属性(所属部門)を有した利用者を利用者グループとして扱ってもよい。事前定義される利用者グループに含める利用者は任意に選択可能であってもよいし、共通の属性を有する利用者グループの中から選択可能であってもよい。利用者グループは、任意に設定されたグループ名やグループの特徴を表す属性名によって指定される。
【0041】
事務事業情報は、個々の事務事業に関する行政データであり、執行予定年度毎に登録される。本実施形態では、事務事業情報は、事務事業に係る基本情報(事務事業基本情報)と、当該事務事業に関する行政目標情報、予算情報、及び執行情報を含む。
事務事業情報の基本情報(事務事業基本情報)は、事務事業の内容に関する情報であり、基本情報の(即ち事務事業情報の)識別情報(事務事業ID)、執行予定年度、後述する関連行政データの識別情報(事務事業ID)、ステータス、及び該事業の事業帳票に係る複数データ項目の情報を有する。基本情報(事務事業基本情報)のデータ項目は、例えば、事業番号、事業名、担当部門(部局課室等)、事業開始年度、事業終了(予定)年度、会計区分、根拠法令、当該事務事業が属する主要政策・施策、事業の目的、事業概要、実施方法等、事業に係る種々の情報を含む。
【0042】
基本情報(事務事業基本情報)のステータスは、行政活動における該事業の段階を示し、トピックと対応したステータスを少なくとも有する。例えば「計画」、「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示」、「予算編成>議決」、「執行」、「行政評価」等のステータスが付与される。ここでは、「予算編成>内示」段階でゼロ査定(非計上)となった事業についてはステータスが「予算編成>内示」のままとなる。「予算編成>査定」には査定前・査定中の事業及び査定の結果保留となった事業等が分類され、「予算編成>要求」には予算要求段階の事業及び保留の事業に対して復活要望が出された事業等が分類されることとする。これらステータスは一例であり、各ステータスの段階は任意に区切ることができると共に、段階の数もこれに限らない。また、トピックと対応した段階的なステータスに加えて、又は代えて、例えば計上、非計上等の査定結果に関するステータス、継続、中止等の事務事業の評価結果に係るステータスが付されてもよい。
【0043】
行政目標情報は、各事務事業の達成のためのKPIを、即ち、事務事業の執行期間中に達成すべきタスクを定義する。行政目標情報は、事務事業毎に複数、段階的に設定されてもよい。行政目標情報は、行政目標の識別情報(行政目標ID)並びに、データ項目として行政目標の内容、及び行政目標を達成する期限を有する。達成期限に加えて、リマインドタイミングを有していてもよい。
【0044】
予算情報は、ある事務事業に関する当初予算を示す当初予算情報、及び補正予算を示す補正予算情報を含む。
当初予算情報は、当初予算の識別情報(当初予算ID)、関連行政データの識別情報(事務事業ID)、当初予算に係る複数のデータ項目を有する。当初予算情報のデータ項目は、例えば、当初予算の概要、当該予算に係る款項目等の科目、予算要求額等を含む。
補正予算情報は、補正予算の識別情報(補正予算ID)、月次、関連行政データの識別情報(当初予算ID)、補正予算に係る複数のデータ項目を有する。補正予算情報のデータ項目は、例えば、補正予算の概要(目的、理由等)、当該予算に係る款項目等の科目、予算要求額等を含む。
なお、当初予算、補正予算に係る科目は一例であり、節、細節等の任意の粒度の科目が含まれていてもよい。例えば、これら科目は、科目マスタに格納され、事業情報においては科目マスタ中の識別情報(科目ID)等によって参照されてよい。
【0045】
執行情報は、執行期間中に、予算執行の為に随時登録される情報である。執行情報は、執行の識別情報(執行ID)、予算執行を行う事務事業の識別情報(事務事業ID)並びに、データ項目として、執行日、科目、及び執行金額等を含む。執行情報を登録する段階で、科目に節や細節等が追加されてもよい。
【0046】
課題情報は、個々の課題に関する行政データである。本実施形態では、課題情報は、課題の識別情報(課題ID)、関連行政データの識別情報(事務事業ID)、課題に係る複数のデータ項目を有する。
課題情報のデータ項目は、例えば、課題名、課題内容、該当する政策、施策、事務事業、主管組織、及び課題作成者(利用者ID)等を含む。
【0047】
答弁情報は、個々の答弁に関する行政データである。本実施形態では、答弁情報は、答弁の識別情報(答弁ID)、関連行政データの識別情報(課題ID)、答弁に係る複数のデータ項目を有する。
本会議に係る答弁情報のデータ項目は、例えば、議会名、本会議の日付、質問者議員名、質問者会派、質問種別(一般質問/緊急質問)、質問内容、答弁者区分(首長、○○部長、○○課長等)、答弁作成の担当部門(部局課室等(協議先))、答弁内容、及び答弁作成者(利用者ID)等を含む。
【0048】
<2.4.関連行政データによるデータ構造例>
図3は、関連行政データの一例を示す図である。関連行政データは、ある行政データに関連する行政データであって、1又は複数設定されてよい。関連行政データは、例えば、事務事業が継続した場合の過年度の事務事業情報や、事務事業を統合した場合の別の事務事業情報、事務事業の元となった課題情報、行政課題の元となった答弁情報等である。本実施形態では、図3に示すような参照構造により、各行政データが対応付けされる。事務事業が継続されたり、統合される場合、新たに登録される事務事業情報と対応する事務事業情報が、関連行政データによって対応付けされる。事務事業基本情報(執行年度:2022年)の関連行政データの識別情報は、登録された段階ではブランクである。当該事務事業を継続した新たな事務事業情報が登録される場合に、新たな事務事業情報の識別情報(事務事業ID)が入力される。図示例では、事務事業基本情報(執行年度:2022年)の関連行政データとして、事務事業基本情報(執行年度:2023年)(事務事業ID:2222)が付与される。なお、過年度の事業が複数統合された場合には、過年度の複数の事務事業情報に、同一の新たな事務事業情報の識別情報(事務事業ID)が入力されることとなる。事務事業を統合する場合、メインとなる事務事業と統合される事務事業について、それぞれ過年度の事務事業情報に対応付けられた当該年度の事務事業情報を登録した後、当該年度のメインとなる事務事業の事務事業情報に対する関連行政データとして、統合される事務事業の事務事業情報を対応付けてもよい。
行政課題が事務事業化される場合、新たに登録される事務事業情報と直前の期等において蓄積された課題情報が、関連行政データによって対応付けされる。図示例では、課題情報(執行年度:2021年)における関連行政データは、当該課題に対応した、或いは当該課題から昇華した事務事業(事務事業ID:1111)である。
答弁内容から行政課題を蓄積する場合、新たに登録される課題情報と蓄積された答弁情報が、関連行政データによって対応付けされる。図示例では、答弁情報(執行年度:2021年)における関連行政データは、当該答弁から昇華した課題(課題ID:9999)である。
当初予算情報(執行年度:2023年)における関連行政データは、該予算に係る事務事業基本情報(執行年度:2023年)(事務事業ID:2222)である。
補正予算情報における関連行政データは、例えば、当該補正予算に係る当初予算情報(当初予算ID:3333)である。補正予算情報における関連行政データは、例えば、直前の補正予算であってもよい。
図示例では、新たに行政データを登録した際に先に登録された行政データに対して新たな行政データの識別情報を付与することで対応付けを行っているが、新たに登録された行政データに、先に登録された行政データの識別情報を付与することで対応付けを行ってもよい。
【0049】
<3.1.行政オブジェクトグループの登録>
<3.1.1.行政オブジェクト(行政データ)の登録>
図4を用いて、行政オブジェクトグループの登録について説明する。
行政オブジェクト管理部21は行政オブジェクトに係る行政データを登録する。例えば、行政オブジェクト管理部21は、事務事業情報、課題情報、答弁情報等の行政データの新規登録要求に基づき、各種行政データをデータベースDBに格納したり、既存の行政データに対する編集を行う。また、行政オブジェクト管理部21は、データベースDBに格納された課題情報に含まれるデータ項目を用いて、対応するデータ項目が入力(プリセット)された事務事業情報を登録したり、データベースDBに格納された答弁情報に含まれるデータ項目を用いて、対応するデータ項目が入力(プリセット)された課題情報を登録する。
【0050】
<3.1.2.行政オブジェクトのステータス>
行政オブジェクト管理部21は、行政オブジェクトのステータス設定を行う。上記の例では事務事業情報に対してステータスが付される場合を例示したが、答弁情報や課題情報に対しても、トピックの段階や状態(承認前、承認中等)に応じて、ステータスが付されてもよい。行政オブジェクト管理部21は、例えば、あるトピックのワークフローが完了することで、行政オブジェクトのステータスを変更する。ワークフローの完了に代えて、又は加えて、行政オブジェクトの執行予定年度と現実の日時に応じて、ステータスを変更してもよい。
【0051】
<3.1.3.行政オブジェクトの権限>
また、行政オブジェクト管理部21は、行政オブジェクトに対する権限を管理する。権限は、例えば、行政データの閲覧権限や編集・閲覧権限等である。権限は、行政データの少なくとも一部のデータ項目に対するものであっても良いし、全部のデータ項目に対するものであってもよい。権限は、利用者グループや個別の利用者に対して設定される。行政オブジェクトに係る権限は、ワークフローの担当者として指定される利用者以外に付与されてもよい。本実施形態では、利用者の所属部門に応じて、行政オブジェクトに対する閲覧権限、編集・閲覧権限が設定されるものとする。
【0052】
なお、閲覧権限及び/又は編集権限は、行政オブジェクトの属するトピック、ワークフローの段階WSの1又は複数に応じて変更されてもよい。例えば、「予算編成>要求」トピックにおいて、原課利用者は事務事業のデータ項目を入力可能であるが、上長に提出を行ってワークフローの段階が進んだ場合や、「予算編成>査定」トピックに進んだ事務事業については編集権限が無効化される。このような権限の変更は、所属部門や役職毎に異なってもよい。例えば、「予算編成>査定」トピックにおいても、官房部門の利用者は事務事業について編集ができてもよい。
【0053】
<3.1.4.行政オブジェクトのバージョン>
行政オブジェクト管理部21は、行政データが更新されると、履歴を記録して、行政データのバージョン管理を行う。本実施形態では、ワークフロー中の各段階の担当者が、行政データに対してバージョンを登録するものとする。行政データのバージョンを登録する際、元のバージョンの行政データの閲覧権限を有する利用者グループや利用者がプリセットされ、必要に応じて任意の利用者グループや個別の利用者の追加や削除が可能である。ワークフローの段階の進行に伴って、行政オブジェクト管理部21が自動でバージョンを登録してもよい。なお、バージョンは、必ずしも行政データに対する編集を伴わない場合にも登録可能であってよい。また、ワークフローの段階に応じて登録する場合に代えて、又は加えて、行政オブジェクト管理部21は、行政データに対する編集が行われた場合、及び/又は行政データのトピックが変更された場合にバージョンを登録してもよい。例えば、行政データの更新とその承認のワークフローが完了することで、行政オブジェクト管理部21は、新たなバージョンの行政データを格納する。例えば、あるトピックの行政オブジェクト管理部21は、行政オブジェクトのバージョン毎に権限を管理してもよい。
【0054】
<3.1.5.行政オブジェクトグループ>
行政オブジェクトグループ管理部22は、複数の行政オブジェクトの集合である行政オブジェクトグループを登録する。行政オブジェクトグループ管理部22は、複数の行政オブジェクトをまとめてワークフローに載せる場合に利用される。行政オブジェクトグループ管理部22は、以下の少なくとも1つ以上の項目が共通する場合に、行政オブジェクトをグループ化することができる。
(1)執行予定年度
(2)行政オブジェクトの種類(事務事業や答弁、課題等)
(3)予算種別(当初予算、補正予算)
(4)行政オブジェクトが属するトピック(事務事業情報におけるステータス)
本実施形態では、行政オブジェクトグループ管理部22は、(1)~(4)全てが共通する行政オブジェクトのうち、全て、若しくは選択された行政オブジェクトを1つの行政オブジェクトグループとし、行政オブジェクトグループ情報をデータベースDBに格納することとする。選択された行政オブジェクトとは、利用者が任意に選択した行政オブジェクトであってもよいし、利用者が任意に指定した特定のデータ項目(例えば、施策や担当部門)によって特定される行政オブジェクトであってもよい。
【0055】
行政オブジェクトグループ情報は、行政オブジェクトグループの識別情報(行政オブジェクトグループID)、グループ名、執行予定年度、トピック、及びグループに属する複数の行政オブジェクトの識別情報を含む。
【0056】
<3.1.6.行政オブジェクトグループ登録画面>
図4は、利用者端末3の表示部905に表示される行政オブジェクトグループ登録画面W4の画面表示例を示す。行政オブジェクトグループ登録画面W4は、入力欄W41と、グループ内行政オブジェクト表示欄W42と、検索欄W43と、検索結果一覧W44と、保存ボタンW45を備える。原局原課等の利用者は、利用者端末3の入力部904を介して、入力欄W41に行政オブジェクトのグループ名(図示例では事務事業グループ名)を入力すると共に、当該グループに含める行政オブジェクトのトピックを指定する。また、検索欄W43には、事務事業に関する種々のデータ項目を検索条件として入力し、当該グループに含める事務事業を検索する。
【0057】
検索欄W43には、行政オブジェクトの執行予定年度や、トピック(ステータス)データ項目を検索する為のキーワード(例えば、事務事業の会計区分や政策、施策、予算情報や執行情報の科目)等を入力することができ、これらを用いて行政オブジェクトを検索することができる。検索欄W43で指定可能なトピックは、入力欄W41で指定されたトピックに対応する配下のトピックとなる。検索された行政オブジェクトは検索結果一覧W44に表示され、対応する追加ボタンを押下することでグループに追加できる。また、詳細ボタンを押下することで、行政データに基づいて、利用者端末3の表示部905に情報(例えば、事務事業に係る事業帳票)を表示することができる。保存ボタンW45が押下されると、行政オブジェクトグループ管理部22は、入力欄W41に入力されたグループ名、トピック、追加された事務事業を含んだ事務事業グループ情報をデータベースDBに格納し、事務事業グループを登録する。なお、本実施形態では、行政オブジェクトグループに対してトピックが設定されているが、例えば、ワークフロー開始時に、行政オブジェクトグループを選択すると共に、トピックを指定するようにしてもよい。本実施形態では、事務事業のグループである事務事業グループの登録について説明したが、課題、答弁等の行政オブジェクトについても同等の画面で、年度やその他のデータ項目等によって絞り込みを行い、グループ編成を行うことができる。
【0058】
<3.2.イシューグループの登録>
<3.2.1.イシューの登録>
イシュー管理部23は、行政オブジェクトに対応付けられたイシューを登録する。本実施形態では、イシュー管理部23は、イシュー情報をデータベースDBに格納することで、イシューを登録する。イシューが登録されると、担当者に対してイシューが登録されたことが通知され、担当者はイシューの内容を確認して行政活動を行う。イシュー管理部23は、利用者からのイシューの作成要求やワークフローの開始要求に基づいて、イシューを登録する。なお、利用者が自身を担当者としてイシューを登録可能であってもよい。
【0059】
イシュー情報は、イシューの識別情報(イシューID)、並びに、イシューのデータ項目として、対応する行政オブジェクトの識別情報(事務事業ID、答弁ID、課題ID)、イシューのタイトル及び内容、1又は複数の担当者、イシューの作成者、イシューステータス、期限、添付資料、作業項目、イシューのタイプ、後述のイシューグループの識別情報(イシューグループID)を有する。
【0060】
イシュー管理部23は、以下の少なくとも1つ以上の方法でイシューの担当者を設定する。
(11)イシューの作成やワークフローを開始する利用者が選択した利用者又は利用者グループ
(12)イシューに紐づけられた行政データに設定された利用者、部門
(13)イシューの作成やワークフローを開始する利用者が選択した属性(所属、職位等)に応じて選択される利用者(利用者グループ)
利用者グループを担当者とする場合、イシュー管理部23は、グループのリーダーをイシューにアサインしてもよいし、グループに属する複数の利用者をイシューにアサインしてもよい。或いは、各行政オブジェクトを個別の利用者と紐付けておき、イシューの担当者として指定された利用者グループ内の利用者、若しくは担当者として指定された個別の利用者(例えば統括)配下の利用者を、行政オブジェクトに紐づけられた利用者に従って、担当者としてイシューにアサインしてもよい。
また、イシューの担当者と現実に作業を行う利用者は別であってもよい。例えば、個別の利用者(例えば統括)を担当者としてイシューにアサインし、作業(例えばデータ項目の入力)は、現実での依頼や後述のスレッドを介した依頼(メンション)によって、別の利用者(例えば統括配下の利用者)が行う等してもよい。
イシューのタイプは、特定の1又は複数のデータ項目に関して入力する為の入力フォームがリンクされた入力フォーム有のタイプと、入力フォームが無いタイプと、を含む。入力フォーム有場合、イシューの表示画面上に、又はイシューの表示画面から移動可能な入力画面において、任意の1又は複数のデータ項目の入力欄が配置され、ユーザは、この入力欄を介してデータ項目に対するデータ値の入力ができる。
【0061】
<3.2.2.イシューステータス>
イシュー管理部23は、イシューの担当者及びイシューステータスの設定を行う。イシューステータスは、例えば、「要作業」、「差戻」、「完了」等である。イシュー管理部23は、イシューの作成者からの完了操作によってイシューステータスを変更してもよいし、ワークフローの終了によって、イシューステータスを変更してもよい。
【0062】
<3.2.3.イシューの権限>
また、イシュー管理部23は、イシューに対する権限を管理する。権限は、例えば、イシューの閲覧権限や担当者権限等である。閲覧権限は、イシューの少なくとも一部のデータ項目に対するものであっても良いし、全部のデータ項目に対するものであってもよい。担当者権限は、提出や提出された内容に関する承認、差戻等、イシューステータスの変更やワークフローの進行に関する。イシューをアサインされ、担当者権限が有効化された利用者は、イシューのタイトル、内容、対応する行政オブジェクトのトピック等から要求された作業を実施する。作業は、例えば、データ項目の入力や、作成した添付資料のイシューへの登録、イシューの添付資料の編集(及び再添付)、リンクされた入力フォームからデータ項目を入力する等である。
【0063】
権限は、利用者グループや個別の利用者に対して設定される。イシューに係る閲覧権限は、ワークフローの現段階WSの担当者以外に、別の段階の担当者、及び担当者以外の利用者に付与されてもよい。本実施形態では、利用者の所属部門(利用者グループ)に応じて、イシューに対する閲覧権限が設定されるものとし、ワークフローの段階WSに応じて、イシューの担当者間で担当者権限が移動するものとする。例えば、イシューをアサインされた第1の担当者には担当者権限が付与され、第1の担当者によってイシューの完了操作(例えば提出)が行われると、第1の担当者の担当者権限が無効化されると共に、次の段階WSの担当者(第2の担当者)に担当者権限(例えば承認・差戻)が移る。なお、行政オブジェクト及びイシューの閲覧権限は連動してもよいし、それぞれ異なる範囲への閲覧権限が設定されてよい。本実施形態では、行政オブジェクト及びイシューの閲覧権限は、それぞれ異なる範囲を対象とする。
【0064】
<3.2.4.スレッド>
イシュー上には、少なくともイシュー毎に独立したスレッド(メッセージスレッド)が作成可能である。本実施形態では、利用者(担当者含む)は他の利用者と、ある行政オブジェクトに対する行政活動について、スレッド上でメッセージによるコミュニケーションを行うことができる。スレッド上でやり取りされるメッセージは少なくともテキストを含み、メッセージ及び/又はスレッドにはメンション、投稿趣旨、指摘対象、利用権限、及びステータス少なくとも1つが設定される。
メンションは、スレッドの作成及び/又はメッセージの投稿を通知したい任意の利用者又は利用者グループを示し、これらを1又は複数指定することができる。投稿趣旨は、スレッドの作成やメッセージを投稿した趣旨を示し、1又は複数設定される。投稿趣旨の一部又は全部は事前に定義されてもよいし(例えば、「指摘」、「差戻」)、フリーテキストによって書き込みができてもよい。指摘対象は、スレッドやメッセージが対象とする行政オブジェクトのデータ項目や添付資料の指定である。利用権限は、スレッドの閲覧権限や個別のメッセージの閲覧権限、メッセージの投稿権限等である。ステータスは、スレッドでのコミュニケーションの状態(例えば「進行中」、「完了」等)を示す。また、メッセージは、任意のメッセージに対する参照(リプライ)を含んでもよい。
【0065】
本実施形態では、イシュー管理部23は、利用者からの要求に基づいて、イシューに対応付けてスレッドを作成する。スレッドの作成に際しては、スレッドに対する投稿趣旨の設定、指摘対象の設定、権限設定、任意の利用者に対するメンション設定を受け付ける。投稿趣旨は事前に定義されるものと、テキストとして書き込まれるものを含み、スレッドに設定された1又は複数の投稿趣旨がタグとして付加される。また、イシュー管理部23は、スレッドの作成者による完了操作によって、スレッドのステータスを進行中から完了に変化させ、権限設定に基づいて利用者の利用制御を行い、スレッドに対するテキストメッセージの投稿及び任意のリプライ設定を受け付ける。行政オブジェクト管理部21が行政オブジェクトのバージョンを管理する場合、イシュー管理部23は、スレッド又はスレッド上のメッセージに対して、対象とする行政データのバージョンの設定を更に受け付けて、スレッドの投稿趣旨等と共にスレッド内のメッセージが対象とする行政オブジェクトのバージョンを示してもよい。
【0066】
<3.2.5.スレッド、メッセージの権限>
利用権限が設定されていないスレッドをオープンスレッド、利用権限を有した利用者のみが利用可能なスレッドをプライベートスレッドと呼称する。オープンスレッドは対応するイシューの閲覧権限を有した利用者が利用可能である。例えば、ワークフローの段階を進める際には、イシューの完了操作と共にメッセージを書き込むことができ、オープンスレッドには、完了操作の際に書き込まれた申し送り事項等のメッセージが投稿される。
プライベートスレッドはイシューの閲覧権限を有する利用者のうち、更にスレッドの利用権限を有する利用者のみが利用可能とする。プライベートスレッドの利用権限は、スレッドを作成した利用者によって設定される。
行政オブジェクト管理部21が行政オブジェクトのバージョン毎に権限を管理する場合、イシュー管理部23は、プライベートスレッド又はプライベートスレッド上のメッセージに対して、対象とする行政データのバージョンの設定を更に受け付け、対応する行政オブジェクトのバージョン及び当該イシューに対して閲覧権限を有した利用者の一部又は全部に対してプライベートスレッド又はプライベートスレッド上のメッセージの利用権限を付与してもよい。行政データのバージョンが紐づいたプライベートスレッド又はプライベートスレッド上のメッセージを登録する際、イシュー及び当該バージョンの行政データの権限を有する利用者グループや利用者がプリセットされ、必要に応じて任意の利用者グループや個別の利用者の削除が可能である。イシュー及び当該バージョンの行政データへの権限に応じて、イシュー管理部23が自動でプライベートスレッド又はプライベートスレッド上のメッセージの利用権限を登録してもよく、この時、プライベートスレッドのその他の条件とのAND条件で利用権限が付与されてもよい。
【0067】
<3.2.6.ワークフローに伴うイシュー情報の生成>
本実施形態では、イシューの担当者はワークフロー段階WS毎に更新され、いわゆるカンバン方式のカンバンように担当者間を移動する。これにより、過去の段階WSでイシューに紐づいた情報(コメント等)が参照可能に保持される。一方で、ワークフローの段階WS毎(担当者毎)に、新しく、同じ行政オブジェクトに紐づくイシュー情報を生成してもよい。その場合、例えば、直前及び/又は直後のイシューの識別情報やシリアル番号等をワークフロー上で連続するイシュー情報に含めたり、ワークフロー情報に含めることで、対応するイシューの前後関係や順番、個々のイシューに紐づく情報(コメント等)が参照可能に保持される。
【0068】
<3.2.7.イシューグループ>
イシューグループ管理部24は、イシューグループを登録する。本実施形態では、イシューグループ管理部24は、指定された行政オブジェクトグループに含まれた全ての行政オブジェクトそれぞれに対応するイシューをイシュー管理部23に登録させ、これらイシューからなるイシューグループに係るイシューグループ情報をデータベースDBに格納することで、イシューグループを登録する。
イシューグループ情報は、イシューグループの識別情報(イシューグループID)、グループ名、対応する行政オブジェクトグループの識別情報(行政オブジェクトグループID)を含む。
【0069】
<3.3.ワークフロー情報の登録>
ワークフロー管理部25は、ワークフロー情報を登録し、ワークフローに載せられたイシューに対する処理状況を用いて、ワークフローの処理状況を管理する。ワークフローの1段階目で処理を担当する担当者は、イシューの担当者の決定方法に準ずる。ワークフロー管理部25は、以下の少なくとも1つ以上の方法でワークフローの2段階目以降の担当者を設定する。
(21)ワークフローを開始する利用者や、ある段階WSの担当者が選択した利用者又は利用者グループ
(22)行政データに設定された利用者、部門
(23)ワークフローの段階WS毎に定義された属性(所属、職位等)に応じて選択される利用者又は利用者グループ
なお、複数名の担当者を指定する場合、その順番、即ち、ワークフローの段階WSの順番を指定する。なお、ワークフローの各段階には1つの担当者が設定されてもよいし(直列)、ワークフロー中の一部の段階には複数の担当者が設定されてもよい(並列)。その場合、一部の担当者が承認した場合に段階を進めたり、全部の担当者が承認をした場合に段階を進めたりしてもよい。
【0070】
ワークフロー管理部25は、担当者による要求に基づいて段階の差し込みを行う。段階の差し込みは、担当者権限が有効化された担当者が実施可能であるのが好ましい。例えば、ある段階WSnの担当者は1の担当者を指定して段階WSn’を差し込むこともでき、段階WSn’の担当者に対して作業を依頼したり、確認(承認)を依頼する。なお、差し込まれた段階WSの担当者が更に段階WSを差し込み可能であってもよい。ある段階WSの担当者が複数の担当者を指定して、段階WSn’に複数の担当者(並列)に対して作業を依頼できてもよい。差し込まれたワークフローの段階WSn’において完了操作(提出や承認)がされると、次の段階WSn+1の担当者にイシューが受け渡されることとする。ここで、直前の段階WSnの担当者にイシューが戻され、直前の段階WSnの担当者がイシューの完了操作を行うことで、ワークフローが次の段階WSn+1に進むようにしてもよい。複数担当者が並列する場合、各イシューにも複数担当者が設定されてもよい、また、直前の担当者が複数のイシューを持つ場合、それらの一部又は全部を分配してアサインすることもできる。
【0071】
ワークフローを開始する利用者は、少なくとも最初の担当者を指定してワークフローを開始する。ワークフローは、トピック毎に定義されたワークフローと、随時実行可能なワークフローを含む。トピック毎に定義されたワークフローでは、少なくとも、データ項目の入力や確認等の作業を行う(或いは入力や作業を監督する)担当者と、最終承認者の2名が参加する。最終承認者の前までに、1又は複数名の中間承認者が設けられる場合もあり、担当者がイシューを完了操作すると、次の中間承認者にイシューがアサインされる。中間承認者が2名以上であれば前の中間承認者がイシューを完了操作すると、次の中間承認者にイシューがアサインされる。中間承認者が一人の場合、又は、最後の中間承認者がイシューを完了操作すると、最終承認者にイシューがアサインされる。最終承認者がイシューを完了操作すると、ワークフローの作成者に対して通知が行われたり、イシューがアサインされる。
【0072】
ワークフローの各段階WSでは処理として、所定の行政オブジェクトの作成やデータ項目の入力、入力されたデータ項目の確認(承認)等が行われる。ワークフロー管理部25は、以下の少なくとも1つ以上の方法でワークフローの各段階で可能となる処理を定義されてもよい。
(31)ワークフローを開始する利用者や、ある段階WSの担当者が選択した処理
(32)行政データに設定された利用者、又は利用者の属性から選択される処理(例えば原課担当はデータ項目の入力を、課長や部長はデータの承認を行う等)
(33)ワークフローの段階WSに対して定義された処理(例えば、段階WS1や段階WS1で差し込まれた段階WS1’では入力を、段階WS2以降では確認を行う等)
イシューステータスは、例えばこの処理と対応し、「入力中」、「中間承認前」、「中間承認済」、「最終承認前」、「最終承認済」等が設定され得る。
【0073】
随時実行可能なワークフローは、質問や相談等、最小2名で実行され、例えば、送信元の質問や相談を内容とするイシューが、送信元及び送信先の利用者にアサインされ、送信先の利用者の担当者権限が有効化される。送信先の利用者(担当者)が回答のコメントを書き込む等してイシューを完了操作すると、送信元の利用者のイシューの担当者権限が有効化される。送信元の利用者は、質問や相談が解決した場合にはイシューを完了操作することでワークフローが終了する。解決しない場合は、段階を進め送信先の利用者の担当者権限が再度有効化される。
【0074】
なお、トピック、行政オブジェクト、担当者、及びタイミングを事前に定義しておき、ワークフローの開始をスケジュールしてもよい。例えば、ワークフローの開始日を登録しておき、開始日になるとイシュー管理部23にイシューを登録させてワークフローを開始することができる。また例えば、行政目標情報に含まれたリマインドタイミングに基づいて、行政目標情報に紐づく担当者に対して、行政目標情報登録のイシューをアサインさせ、行政目標情報登録のワークフローを開始することができる。
【0075】
ワークフロー管理部25は、ワークフローに載せられたイシューに関する処理状態に基づいて、ワークフローの処理状態を決定する。イシューに関する処理状態とは、イシューのイシューステータス、イシューの担当者(ワークフローの段階)等である。また、イシューグループの処理状況から、行政オブジェクトグループの(ワークフローの)処理状況を決定することもできる。イシューグループの処理状況とは、イシューグループ内のイシューのイシューステータスの集計結果、ワークフローの段階の集計結果、トピック又はメッセージに付与された投稿趣旨の集計結果等である。
【0076】
<4.1.ワークフローの処理フロー>
次いで、図5を用いて、イシューグループをトピックに紐づいたワークフローに載せる場合について説明する。まず、ワークフローを開始しようとする利用者は、目的物となる行政オブジェクトグループの登録を行う(図5のS501参照)。そして、図6に示すようなワークフロー登録画面を介して、行政オブジェクトグループを指定して、ワークフローを開始する(図5のS502参照)。
【0077】
図6(a)は、利用者端末3の表示部905に表示されるワークフロー開始画面W6aの画面表示例を示す。ワークフロー開始画面W6aは、ワークフロー情報入力欄6a1と、開始ボタンW6a2と、を備える。利用者は、ワークフロー情報入力欄6a1に、ワークフロー名と、ワークフローの対象となる行政オブジェクトグループ(図示例では、事務事業グループ)と、ワークフローの各段階で処理担当となる担当者と、ワークフローの開始日及び終了日を示す進捗スケジュールと、担当者に対する指示、ワークフロー内容の説明などに関するメッセージと、を入力し、開始ボタンW6a1を押下することで、ワークフローが開始する。なお、本実施形態では、ワークフローの開始日及び終了日はイシューの期限として、ワークフロー内容はイシューの内容として、イシュー情報に設定される。
【0078】
本実施形態では、ワークフローの登録を行った利用者が、ワークフローの各段階での担当者をそれぞれ予め指定することとする。図6の例では、ワークフローが開始されると、担当者「AAA」、「BBB」、「CCC」に対してイシューがアサインされ、まず担当者「AAA」の担当者権限が有効化される。そして、担当者「AAA」がイシューを完了操作すると、次の担当者「BBB」の担当者権限が有効化される。そして、担当者「BBB」がイシューを完了操作すると、最後の担当者「CCC」の担当者権限が有効化されされる。
また、次の段階WSに進む前に、更に別の担当者にイシューをアサインすること(段階を差し込むこと)が可能であってもよい。例えば、担当者「AAA」がイシューを完了操作する前に、別の担当者「DDD」を指定して、イシューをアサインすることができる。この時、ワークフローの進行過程で挿入された担当者「DDD」がイシューを完了操作することで、担当者「AAA」の次の担当者「BBB」の担当者権限が有効化されてもよいし、元々の担当者「AAA」の担当者権限が再度有効化されるようにしてもよい。この時、担当者「AAA」-「DDD」間の作業の受渡しについては、別のワークフロー情報として登録がされてもよい。
【0079】
ワークフロー情報は、ワークフローの識別情報(ワークフローID)、ワークフロー名、ワークフローの対象となる行政オブジェクトグループ(図示例では、事務事業グループ)の識別情報(行政オブジェクトグループID)、担当者、進捗スケジュール、及びメッセージなどを有する。
【0080】
ワークフローが開始されると、イシュー管理部23は、ワークフローに対応付けられた行政オブジェクトグループに属する個々の行政オブジェクト毎にイシューを登録すると共に、イシューグループ管理部24は、これらイシューからなるイシューグループを登録し(図5のS503参照)、イシュー管理部23は、担当者1~Nに対して登録されたイシューをアサイン(図5のS504参照)する。担当者は、自身にアサインされたイシューを一覧表示できると共に、対応付けられた行政オブジェクトに係るデータ項目を参照可能なイシュー情報を表示することができる。なお、利用者はイシュー権限設定によって、自身にアサインされていないイシューについても閲覧したり、メッセージの投稿等ができる。
【0081】
ワークフローは複数の段階WSnを含む。まず、段階WS1が開始され(図5のS505、S506参照)、イシュー管理部23は担当者1に対して担当者権限を付与する。担当者1は作業を実行し、イシューに対して完了操作を行う(図5のS507)。イシュー管理部23は、ワークフローのトピック(実施形態では、ワークフローに対応付けられた行政オブジェクトグループのトピック)に応じて、イシューのタイプを決定することができ、特定トピックのワークフローが開始された場合、所定の1又は複数のデータ項目についての入力フォームがリンクされたイシューを登録し、担当者にアサインすることができる。この場合、担当者は、入力フォームがリンクされたイシュー情報を表示することができる。
【0082】
ここで、他の担当者による完了操作が必要な場合、他の担当者による完了操作を待つ。必要な全ての担当者による完了操作が行われると(図5のS508参照)、段階WS1(図5のS509参照)が完了する。ワークフローに含まれた全ての段階Nが完了していない場合(図5のS510参照)、次の段階を実行する(図5のS511参照)。ワークフローに含まれた全ての段階Nが完了した場合(図6のS510参照)、ワークフローを終了する(図5のS512参照)。
【0083】
図6(b)は、事務事業グループ一覧画面の画面表示例である。事務事業グループ一覧画面W6bでは、ワークフロー管理部25が集計した、ワークフローの処理状況が表示処理される。図示例では、ワークフローが4段階ある場合に、事務事業グループ内の各イシューがそれぞれどの段階に進んでいるか集計して表示している。図示例(グループ名:2023年 予算編成)では、イシューグループ内に17のイシューが含まれ、そのうち15が第1の段階、そのうち2が第2の段階に進んでいることを意味する。なお、ここでは、ワークフロー管理部25が段階別のイシューの数を集計しているが、例えば、イシューに対応する行政事業の予算額等、任意のデータ項目について集計を行い、段階別に表示させてよい。
【0084】
<4.2.ワークフローの進行例>
図7を用いて、ワークフローの具体例について説明する。図7は、予算編成トピックに関するワークフローの進行例を示す。
まず、官房部門担当が、原課統括、財政課担当A、財政課担当B、及び首長を担当者とし、予算編成トピックが設定された事務事業グループを対象としてワークフローを開始する。これによって、各担当者にイシューがアサインされると共に、まず、原課統括に対して、事務事業グループに属する各事務事業に関する予算要求書が作成依頼される(図7WS1参照)。予算要求書が作成依頼された原課統括は、原課担当Aを含む複数名の原課担当を担当者として割り込ませ、イシューグループに属するイシューを分割してアサインする(図7WS2参照)。イシューの分割は、例えば、事務事業情報に登録された担当者の情報(作成責任者)を参照し、イシュー管理部23によって自動で振り分けられる。イシューを振り分けられた原課担当Aを含む複数名の原課担当は、事務事業情報に係る所定のデータ項目を入力することで、予算要求書を作成し、予算要求書作成が完了した事務事業情報に係るイシューから順次、原課統括による査定を受ける為に提出する(図7WS3参照)。
【0085】
原課統括は、原課担当Aを含む複数名の原課担当から、イシューグループに含まれる全てイシューについてアサインを受けると共に査定が完了すると、予算要求書提出操作を行う。これによって、イシューグループに含まれる全てのイシューについて、事前に担当者として設定されていた財政課担当Aに担当者権限が移動し、事業査定が行われる(図7WS4参照)。財政課担当Aは、事業要求査定が完了すると、事業予算案の作成依頼操作を行う。これによって、イシューグループに含まれる全てのイシューについて、事前に担当者として設定されていた財政課担当Bに担当者権限が移動し、事業予算案の作成依頼が行われる(図7WS5参照)。財政課担当Bは、事業予算案の作成が完了すると、事業予算案の作成依頼操作を行う。これによって、イシューグループに含まれる全てのイシューについて、事前に担当者として設定されていた首長に担当者権限が移動し、予算案の査定依頼が行われる(図7WS6参照)。首長は、予算案の査定が完了すると、予算案査定完了操作を行う。これによって、ワークフローが終了し、ワークフローを開始した官房部門担当に通知がなされる。
【符号の説明】
【0086】
1 行政管理システム
2 行政管理装置
21 行政オブジェクト管理部
22 行政オブジェクトグループ管理部
23 イシュー管理部
24 イシューグループ管理部
25 ワークフロー管理部
3 利用者端末
【要約】
【課題】行政組織において、行政活動を効率的に推進する技術を提供すること。
【解決手段】オブジェクト指向のワークフロー管理を行う行政管理システムであって、複数種類のデータ項目を有し、行政オブジェクト毎に登録される行政データを記憶し、指定されたトピック及び行政オブジェクトに基づいて、個々の行政オブジェクトと対応付けられたイシューを作成し、前記イシューに関する処理状況を用いて前記トピックにおけるワークフローの処理状況を決定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7