IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社横田製作所の特許一覧

<>
  • 特許-気液分離装置 図1
  • 特許-気液分離装置 図2
  • 特許-気液分離装置 図3
  • 特許-気液分離装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】気液分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/00 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B01D19/00 102
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023151426
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592176572
【氏名又は名称】株式会社横田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】河本 正博
(72)【発明者】
【氏名】川本 勲
(72)【発明者】
【氏名】津田 貴光
(72)【発明者】
【氏名】厚見 重利
(72)【発明者】
【氏名】松井 明世
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121659(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/180108(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3090496(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00-19/04
F16K 15/00-15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液分離装置であって、
吸込口からケーシング内に導入した気液混合体を前記ケーシング内で回転する羽根車の遠心力により液体と気体とに分離するとともに、前記気体を排気口から排出し、かつ、前記液体を吐出口から吐出するポンプと、
前記吸込口に接続された吸込路部と、
前記吸込路部に備えられた絞り手段と、
前記排気口に接続された排気路部と、
前記排気路部に備えられた真空装置と、
前記吐出口に接続された吐出路部と、
前記吐出路部に備えられた調整弁と、を備え、
前記調整弁は、流体流入路部と、前記流体流入路部の下流側に設けられた流体流出路部と、前記流体流入路部と前記流体流出路部とを接続する接続口を開閉する弁体と、前記弁体を閉側に付勢する付勢部と、前記付勢部による前記弁体を付勢する力を調整可能な調整部と、を備えている気液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気液分離装置において、
前記付勢部は、弾性体であり、
前記調整部は、前記弾性体の圧縮度合を手動で調整可能に構成されている気液分離装置。
【請求項3】
請求項2に記載の気液分離装置において、
前記調整弁は、前記弁体及び前記弾性体を収容する弁箱を有し、
前記弁箱と前記弁体とに固定され、前記流体流出路部と前記弾性体の収容部とを仕切るダイアフラムを更に有し、
前記ダイアフラムは、前記調整弁が全閉状態において前記弁体の上流側の前記流体流入路部の圧力から分離するように構成されている気液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、液体食品の生産工場には、液体原料や液状の中間生成物の脱泡或いは脱気に用いられる気液分離装置が設置されている。例えば、特許文献1に開示されている気液分離装置は、流体吸込口からケーシング内に導入した気液混合体を羽根車の遠心力により気体と液体とに分離するとともに、気体を排気口から排出し、かつ、液体を液体吐出口から吐出するポンプと、流体吸込口に接続された吸込通路に備えられた吸込側の絞り手段と、排気口に接続された排気通路に備えられた真空装置と、液体吐出口に接続された吐出通路に備えられた吐出側の絞り手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/121659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示すような気液分離装置では、一般的な遠心ポンプとは異なり、ポンプ内を真空状態にしてから起動させる必要がある。そのため、気液分離装置の起動時には、真空装置を用いてポンプ内を真空に引くようになっている。しかし、真空装置を用いてポンプ内を真空に引く際、例えば、ポンプの吐出通路に備えられた吐出側の絞り手段が開状態の場合、該吐出通路からポンプ内にエア等の流体の逆流が発生するので、ポンプ内を適切に真空状態にできないおそれがあった。また、逆流の発生を防ぐためには、吐出通路に逆止弁を別途設けるなどの必要があった。
【0005】
また、上述の気液分離装置では、例えば、脱気等を行う液体原料毎に最適な条件が異なっている。したがって、気液分離装置の運転時には、ポンプの流量及び圧力の調整が必要となっている。これらを調整する方法として、例えば、ポンプの吸込通路及び吐出通路に備えられた絞り手段により調整することが考えられる。しかし、ポンプの流量を調整しようとすると、ポンプの流量とともに圧力が変化してしまい、圧力を調整しようとすると、圧力とともにポンプの流量が変化してしまう。したがって、ポンプの流量及び圧力の調整には労力を必要としていた。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、真空装置を用いて安定的にポンプ内を真空に引くことが可能であり、かつ、ポンプの流量及び圧力の調整が容易な気液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、気液分離装置であって、吸込口からケーシング内に導入した気液混合体を前記ケーシング内で回転する羽根車の遠心力により液体と気体とに分離するとともに、前記気体を排気口から排出し、かつ、前記液体を吐出口から吐出するポンプと、前記吸込口に接続された吸込路部と、前記吸込路部に備えられた絞り手段と、前記排気口に接続された排気路部と、前記排気路部に備えられた真空装置と、前記吐出口に接続された吐出路部と、前記吐出路部に備えられた調整弁と、を備え、前記調整弁は、流体流入路部と、前記流体流入路部の下流側に設けられた流体流出路部と、前記流体流入路部と前記流体流出路部とを接続する接続口を開閉する弁体と、前記弁体を閉側に付勢する付勢部と、前記付勢部による前記弁体を付勢する力を調整可能な調整部と、を備えている。
このように構成された本発明によれば、気液分離装置の起動時に、真空装置を用いてポンプ内を真空に引く際、調整弁の弁体が流体流入路部と流体流出路部の差圧と付勢力により閉側に付勢されるようになる。これにより、上記ポンプ内を真空に引く際に、調整弁により、吐出路部からポンプ内に流体が逆流するのを抑制することができる。したがって、真空装置を用いてポンプ内を安定的に真空に引くことが可能となる。また、気液分離装置の運転時において、調整部により調整された付勢部の付勢力により、調整弁の弁体が開閉動作するようになる。これにより、吸込路部に設けられた絞り手段を調整する際に調整弁の調整が不要となるので、従来よりも容易にポンプの流量及び圧力を調整することが可能となる。
【0008】
本発明において、好ましくは、前記付勢部は、弾性体であり、前記調整部は、前記弾性体の圧縮度合を手動で調整可能に構成されている。
このように構成された本発明によれば、調整部が弾性体の圧縮度合を手動で調整可能に構成されているので、アクチュエータ等を用いて弾性体の圧縮度合を調整する構成に比べてコストを抑えることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記調整弁は、前記弁体及び前記弾性体を収容する弁箱を有し、前記弁箱と前記弁体とに固定され、前記流体流出路部と前記弾性体の収容部とを仕切るダイアフラムを更に有し、前記ダイアフラムは、前記調整弁が全閉状態において前記弁体の上流側の前記流体流入路部の圧力から分離するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、ダイアフラムにより弾性体の収容部が流体流出路部と仕切られているので、流体流出路部を流れる液体が弾性体に付着するのを抑制することができる。これにより、弾性体の清掃作業を省略することが可能となる。また、調整弁の全閉状態において、ダイアフラムが流体流入路部の圧力から分離されるようになる。これにより、真空装置を用いてポンプ内を真空に引く際に流体流入路部の圧力が低下し、該低下した流体流入路部の圧力の影響を受けてダイアフラムが過剰に変形するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上より、本発明によれば、真空装置を用いて安定的にポンプ内を真空に引くことが可能であり、かつ、ポンプの流量及び圧力の調整が容易な気液分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る気液分離装置の一部構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る気液分離装置の一部構成を示す図である。
図3】調整弁が全閉である状態を示す概略断面図である。
図4】調整弁が開いている状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る気液分離装置1を示す。気液分離装置1は、例えば、食品工場の製造工程における液体原料や液状の中間生成物の脱気、或いは、脱泡に用いられるようになっている。
【0014】
また、気液分離装置1は、図1及び図2に示すように、主ポンプ2を備えている。該主ポンプ2は、ケーシング2aと、ケーシング2aに設けられた吸込口2b、排気口2c及び吐出口2dと、ケーシング2a内に回転自在に支持された羽根車2eと、羽根車2eと駆動軸(不図示)を介して連結され、かつ、羽根車2eを回転駆動するモータ(不図示)と、を備えている。
【0015】
主ポンプ2の吸込口2bには、吸込管3の下流端が接続されている。該吸込管3の上流端には、前工程のタンク(不図示)に接続されている。そして、主ポンプ2が起動されると、吸込管3を介して、タンクに貯留されている液体(例えば、液体原料又は液状の中間生成物)と気体(気泡、泡)とが混じり合った気液混合体が主ポンプ2に導入されるようになっている。
【0016】
また、吸込管3には、第1手動弁12が備えられている。
【0017】
第1手動弁12は、例えば、バタフライ弁、グローブ弁、ボール弁である。本実施形態では、第1手動弁12は、その弁開度を手動で変更することができる。
【0018】
吸込管3から主ポンプ2のケーシング2a内に導入された気液混合体は、主ポンプ2において液体と気体とに遠心分離されるようになっている。本実施形態では、ケーシング2a内に導入された気液混合体が、羽根車2eの回転によって気体と液体とに強制的に遠心分離されるようになっている。そして、遠心分離された気体は、羽根車2eの中央部分近傍に集積して空洞を生成するようになる。該空洞(気体)は、ケーシング2aの一端面における回転中央部近傍に臨むように設けられた排気口2cから排気管4に排出されるようになっている。一方、主ポンプ2において遠心分離された液体は、ケーシング2aの内周壁に沿って移動した後、ケーシング2aの内壁面に対して接線方向に接続された吐出口2dから吐出管5に吐出される。吐出管5には、調整弁31が備えられている。調整弁31については、後に詳細に説明する。なお、本実施形態において、吐出管5に逆止弁は備えられていない。
【0019】
図2に示すように、排気管4には、気体の流れ方向において、第2手動弁21、ドレンセパレータ22、及び、真空ポンプ23の順に備えられている。
【0020】
第2手動弁21は、例えば、ゲート弁である。本実施形態では、第2手動弁21は、閉状態と開状態とを手動で切り換え可能に構成されている。そして、第2手動弁21を閉状態にすることで、主ポンプ2と真空ポンプ23との間を遮断する状態と、第2手動弁21を開状態にすることで、主ポンプ2と真空ポンプ23との間を開通する状態と、に切り替えられるようになっている。
【0021】
ドレンセパレータ22の入口22bは、排気管4を介して、主ポンプ2の排気口2cに接続されている。これにより、主ポンプ2の排気口2cから排出された気体等(主ポンプ2において分離しきれなかった液体を含む)がドレンセパレータ22に導入されるようになっている。
【0022】
また、入口22bは、ケース22aの内壁面に対して接線方向に接続されている。これにより、入口22bを介してケース22a内に導入された気体等がケース22a内において気体と液体とに遠心分離されるようになっている。そして、遠心分離された気体は、出口22cから排出されるようになっている。一方、遠心分離された液体は、ケース22aの下部に溜まるようになっている。そして、ケース22aの下部に溜められた液体は、ドレン口22dから排出されるようになっている。
【0023】
真空ポンプ23は、例えば、液封式真空ポンプである。また、真空ポンプ23は、排気管4を介して主ポンプ2内の気体を吸引することで、該主ポンプ2内を真空に引くことが可能となっている。
【0024】
本実施形態では、気液分離装置1の配管の適切な位置に、図示しない圧力計及び流量計が設けられている。
【0025】
次に、図3及び図4を用いて、調整弁31について説明する。なお、図3及び図4では、便宜上、調整弁31の上流側の吐出管5を上流側吐出管5aとする一方、調整弁31の下流側の吐出管5を下流側吐出管5bとする。
【0026】
調整弁31は、弁箱41を有している。該弁箱41には、第1流路42、第2流路43、弁体44、スプリング45、ハンドル46及びダイアフラム47が備えられている。
【0027】
第1流路42は、その上流端が上流側吐出管5aの下流端に接続されている。これにより、主ポンプ2の吐出口2dから吐出された液体は、第1流路42に導入されるようになっている。
【0028】
第1流路42は、接続口41aを介して第2流路43と接続している。また、第2流路43の上流端は、第1流路42の下流端に接続されている。さらに、第2流路43の下流端は、下流側吐出管5bの上流端に接続されている。
【0029】
第1流路42と第2流路43との接続口41aには、弁座41bが設けられている。
【0030】
弁体44は、弁箱41内に収容されている。また、弁体44は、接続口41aを開閉するように構成されている。
【0031】
スプリング45は、例えば、コイルスプリングであり、かつ、弁箱41内に収容されている。本実施形態では、スプリング45は、弁体44の背面側に配設されている。
【0032】
また、スプリング45は、弁体44を弁座41b側(閉側)に付勢するように構成されている。
【0033】
スプリング45における弁体44の反対側には、スプリング45の圧縮度合を変更可能なハンドル46が設けられている。該ハンドル46には、作業者が手動でハンドル46を回転操作する際に把持可能な把持部46aと、スプリング45を押圧する押圧部46bと、把持部46aと押圧部46bとを連結する軸部46cとを備えている。該軸部46cの外面には、螺子山(不図示)が設けられている。該螺子山は、弁箱41に設けられた螺子孔(不図示)と螺合するようになっている。螺子山と螺子孔とにより、螺子機構が構成されるようになっている。
【0034】
本実施形態では、ハンドル46を回転させることにより、螺子機構が螺進動作及び螺退動作すると、ハンドル46が弁体44に近づく第1方向及び弁体44から遠ざかる第2方向に移動するようになっている。そして、ハンドル46が第1方向に移動すると、押圧部46bと弁体44との間隙が比較的小さくなるので、スプリング45の圧縮度合が比較的大きくなる。一方、ハンドル46が第2方向に移動すると、押圧部46bと弁体44との間隙が比較的大きくなるので、スプリング45の圧縮度合が比較的小さくなる。
【0035】
ハンドル46により調整されるスプリング45の圧縮度合が大きいほど、スプリング45による弁体44を弁座41b側に押し付ける力、つまり、スプリング45による弁体44の付勢力が大きくなる。そして、スプリング45の付勢力が大きくなるほど、第1流路42の圧力が高くなる。
【0036】
ダイアフラム47は、円環状をなしており、かつ、内周が弁体44に固定されているとともに、外周が弁箱41に固定されている。これにより、ダイアフラム47は、弁箱41内において第2流路43とスプリング45が配設されている空間Sとを仕切る仕切部材として機能するようになる。したがって、ダイアフラム47により、スプリング45に第2流路43を流れる液体が付着するのを防ぐことが可能となる。
【0037】
また、ダイアフラム47は、調整弁31が閉状態(全閉状態)において弁体44の上流側の第1流路42の圧力から分離するように構成されている。つまり、弁体44が閉状態では、ダイアフラム47には、弁体44の上流側の第1流路42の圧力が作用しなくなる。これにより、真空ポンプ23により吸引されることで第1流路42の圧力が低下した場合であっても、該低下した第1流路42の圧力がダイアフラム47に作用しなくなる。したがって、ダイアフラム47が第1流路42の圧力の影響を受けて過剰に変形するのを防ぐことができる。
【0038】
第1流路42の圧力がスプリング45の圧縮度合に対応する圧力よりも大きくなり、弁体44の開度が大きくなると、第1流路42の液体が接続口41aを通って第2流路43に流れ込むようになる。これにより、第1流路42の圧力が第2流路43側に逃がされるようになる。したがって、第1流路42の圧力がスプリング45の圧縮度合に対応する圧力に保持されるようになる。
【0039】
本実施形態では、気液分離装置1の起動時に、真空ポンプ23を用いて主ポンプ2内を真空に引くと、負圧となった第1流路42と、正圧である第2流路43及び大気圧である空間Sとの差圧により、弁体44は弁座41bに向けて強く押し付けられ、接続口41aは強固に封止される。また、スプリング45による付勢力によっても、弁体44は弁座41bに向けて押し付けられる。そのため、上記主ポンプ2内を真空に引く際と主ポンプ2の停止時に、調整弁31により、吐出管5から主ポンプ2内に流体が逆流するのを抑制することができる。したがって、吐出管5に逆止弁を設けることなく、真空ポンプ23を用いて主ポンプ2内を安定的に真空に引くことが可能となる。また、気液分離装置1の運転時において、調整弁31の弁体44は、ハンドル46により調整されたスプリング45の付勢力に応じて、開度が調整されるようになる。これにより、吸込管3に設けられた第1手動弁12を調整する際に調整弁31の調整が不要となるので、従来よりも容易に主ポンプ2の流量及び圧力を調整することが可能となる。
【0040】
また、ハンドル46がスプリング45の圧縮度合を手動で調整可能に構成されているので、アクチュエータ等を用いてスプリング45の圧縮度合を調整する構成に比べてコストを抑えることができる。
【0041】
また、ダイアフラム47により空間S(スプリング45の収容部)が第2流路43と仕切られているので、第2流路43を流れる液体がスプリング45に付着するのを抑制することができる。これにより、スプリング45の清掃作業を省略することが可能となる。また、調整弁31の全閉状態において、ダイアフラム47が第1流路42の圧力から分離されるようになる。これにより、真空ポンプ23を用いて主ポンプ2内を真空に引く際に第1流路42の圧力が低下し、該低下した第1流路42の圧力の影響を受けてダイアフラム47が過剰に変形するのを抑制することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、第2手動弁21は、閉状態と開状態とを手動で切り換え操作されるようになっていたが、手動以外の方式(例えば、電動式)であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、排気管4にドレンセパレータ22を備える例について説明したが、該ドレンセパレータ22を備えなくてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、真空装置として真空ポンプ23の例について説明したが、主ポンプ2内を真空に引くことが可能であれば、真空ポンプ以外の手段(例えば、負圧発生装置)を用いてもよい。また、吐出管5に逆止弁を設けてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、スプリング45がコイルスプリングの例について説明したが、弁体44を閉側に付勢可能であれば、コイルスプリング以外のスプリング(例えば、板ばね)であってもよく、或いは、スプリング以外の弾性体(例えば、ゴム)であってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、ハンドル46を用いてスプリング45の圧縮度合(調整弁31の設定圧力)を調整する例について説明したが、ハンドル46以外の構成(例えば、ダイヤル、調整ねじ)であってもよく、或いは、油圧式、空圧式、電動式等のアクチュエータを用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、気液分離装置に適している。
【符号の説明】
【0048】
1 気液分離装置
2 主ポンプ(ポンプ)
2a ケーシング
2b 吸込口
2c 排気口
2d 吐出口
2e 羽根車
3 吸込管(吸込路部)
4 排気管(排気路部)
5 吐出管(吐出路部)
12 第1手動弁(絞り手段)
23 真空ポンプ(真空装置)
31 調整弁
41 弁箱
41a 接続口
42 第1流路(流体流入路部)
43 第2流路(流体流出路部)
44 弁体
45 スプリング(付勢部、弾性体)
46 ハンドル(調整部)
47 ダイアフラム
S 空間(弾性体の収容部)
【要約】
【課題】真空装置を用いて安定的にポンプ内を真空に引くことが可能であり、かつ、ポンプの流量及び圧力の調整が容易な気液分離装置を提供する。
【解決手段】気液分離装置1は、気液混合体を羽根車2eの遠心力により気体と液体とに分離する主ポンプ2と、第1手動弁12と、真空ポンプ23と、調整弁31と、を備える。調整弁31は、第1流路42と第2流路43とを接続する接続口41aを開閉する弁体44と、弁体44を閉側に付勢するスプリング45と、スプリング45による弁体44を付勢する力を調整可能なハンドル46と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4