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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】学習支援システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/04 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
G09B7/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023197963
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2023090823
(32)【優先日】2023-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522442098
【氏名又は名称】株式会社ウメラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】梅崎 祐輔
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187151(JP,A)
【文献】特開2005-216227(JP,A)
【文献】特開2001-22259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 - 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習者が知識を習得するための複数の問題及び該複数の問題に夫々対応する解答が登録された問題記憶部と、
前記複数の問題の各問題の出題日時を決定する際に、前記学習者の学習効果を高めるように出題間隔を決定する出題間隔決定部と、
前記出題間隔決定部により決定された前記出題間隔に基づいて、前記学習者に前記各問題を出題する出題部と、
前記出題部により出題される一日の出題数が所定の上限値を超える場合には優先度の低い問題の前記出題間隔を広げて出題を先送りする出題頻度調整部と、
を備えることを特徴とする学習支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の学習支援システムにおいて、
前記出題頻度調整部は、前記一日の出題数が所定の下限値を下回る場合には次回の出題予定日が所定期間内となっている問題の中から複数の問題を選択して前記出題間隔を狭めて出題を早出しすることを特徴とする学習支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の学習支援システムにおいて、
前記出題頻度調整部は、前記学習者の1年の回答総数から日別の回答数の中央値を求め、前記中央値に所定倍率を乗じた値を日別の出題数の前記上限値として設定することを特徴とする学習支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の学習支援システムにおいて、
前記出題頻度調整部は、前記学習者の1年の回答総数から日別の回答数の第3四分位数(Q3)及び四分位範囲(IQR)を求め、前記第3四分位数(Q3)+(前記四分位範囲(IQR)×所定倍率)に求める値を日別の出題数の前記上限値として設定することを特徴とする学習支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学習者は紙媒体を用いて学習していたが、デジタル技術の発展により、学習のためのソフトウェア等が開発されており、このようなソフトウェア等を用いて学習する機会が増えている。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、学習者及び問題ごとに、学習回数と、最終学習日時と、最後に学習したときの正解または不正解のいずれかの結果を示す最終正誤結果とを記憶する学習履歴データベースと、前記学習履歴データベースから特定の学習者の情報を抽出する抽出手段と、前記学習回数及び前記最終学習日時からの経過時間の関数として表される忘却近似関数と、前記最終正誤結果の項とによって定義され、前記最終正誤結果が正解のときよりも不正解のときの方が小さい数値を取る定着度関数に対して、前記抽出手段によって抽出される特定の学習者の情報を代入し、問題ごとの現在の定着度を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出される現在の定着度に基づいて、現在学習すべき問題を提示する提示手段と、を具備することを特徴とする学習支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-137699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に開示されたようなソフトウェアなどの学習支援装置を利用して学習を継続していくと、一日に出題される問題数が時間の経過とともに増えていく。一日の平均出題数が数百を超える状況になると、数日間、勉強を怠ると大量の問題が蓄積されて勉強を再開すると一気に出題されてしまうことがあり、学習におけるモチベーションが大きく低下する要因となる。
【0005】
本発明の目的は、学習のモチベーションを維持しつつ、学習を継続することを可能とする学習支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る学習支援システムは、学習者が知識を習得するための複数の問題及び該複数の問題に夫々対応する解答が登録された問題記憶部と、前記複数の問題の各問題の出題日時を決定する際に、前記学習者の学習効果を高めるように出題間隔を決定する出題間隔決定部と、前記出題間隔決定部により決定された前記出題間隔に基づいて、前記学習者に前記各問題を出題する出題部と、前記出題部により出題される一日の出題数が所定の上限値を超える場合には優先度の低い問題の前記出題間隔を広げて出題を先送りする出題頻度調整部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る学習支援システムにおいて、前記出題頻度調整部は、前記一日の出題数が所定の下限値を下回る場合には次回の出題予定日が所定期間内となっている問題の中から複数の問題を選択して前記出題間隔を狭めて出題を早出しすることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る学習支援システムにおいて、前記出題頻度調整部は、前記学習者の1年の回答総数から日別の回答数の中央値を求め、前記中央値に所定倍率を乗じた値を日別の出題数の前記上限値として設定することが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る学習支援システムにおいて、前記出題頻度調整部は、前記学習者の1年の回答総数から日別の回答数の第3四分位数(Q3)及び四分位範囲(IQR)を求め、前記第3四分位数(Q3)+(前記四分位範囲(IQR)×所定倍率)に求める値を日別の出題数の前記上限値として設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、学習のモチベーションを維持しつつ、学習を継続することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態の学習支援システムを示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の学習支援システムを用いて出題されている様子を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態の学習支援システムを用いて出題された問題に解答した様子を示す図である。
図4】本発明に係る実施形態の学習支援システムを用いて問題を登録している様子を示す図である。
図5】本発明に係る実施形態の学習支援システムを用いて登録された問題が出題されている様子を示す図である。
図6】本発明に係る実施形態の学習支援システムを用いて出題された問題に解答した様子を示す図である。
図7】本発明に係る実施形態の学習支援システムを用いて倍率等を設定している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態の学習支援システム10を示す図である。図2は、本発明に係る実施形態の学習支援システム10を用いて出題されている様子を示す図である。図3は、本発明に係る実施形態の学習支援システム10を用いて出題された問題に解答した様子を示す図である。
【0014】
図4は、本発明に係る実施形態の学習支援システム10を用いて問題を登録している様子を示す図である。図5は、本発明に係る実施形態の学習支援システム10を用いて登録された問題が出題されている様子を示す図である。図6は、本発明に係る実施形態の学習支援システム10を用いて出題された問題に解答した様子を示す図である。
【0015】
図7は、本発明に係る実施形態の学習支援システム10を用いて倍率等を設定している様子を示す図である。
【0016】
学習支援システム10は、学習者4が効率良く学習するためのシステムである。学習支援システム10は、問題記憶部12と、出題間隔決定部14と、出題頻度調整部16と、出題部18と、科目延長設定部20とを備える。
【0017】
問題記憶部12は、学習者4が知識を習得するための複数の問題及び該複数の問題に夫々対応する解答を登録する機能を有する。ここでは、図4に示されるように、学習者4自身が学ぶことを望む問題を作成して登録することができるものとして説明するが、予め準備された問題を登録してもよい。
【0018】
図4,5に示される例では、「日本の都道府県で一番面積が広いのは大阪である」という問を○×で解答する問題である。ここでは、×を選択すると、図6に示されるように「正解」と表示される。なお、もちろん、この問題の正解は、「北海道」であるため、正しい解答が表示されるとともに、関連情報として、一番面積が狭い都道府県が「香川県」であることも表示される。
【0019】
問題記憶部12によって登録された各問題は、複数の科目に分類されている。科目は、例えば、日本史、世界史、英語、数学、化学、物理、生物学などの他、気象予報士、情報処理安全確保支援士、宅建士、弁理士、行政書士などのように資格別に分類されてもよい。
【0020】
出題間隔決定部14は、複数の問題の各問題の出題日時を決定する際に、エビングハウスの忘却曲線に基づいて学習者4の学習効果を高めるように出題間隔を決定する機能を有する。エビングハウスの忘却曲線とは、人が忘却するメカニズムを端的に表したグラフのことであり、縦軸に「節約率」を、横軸に「時間」をとったグラフである。
【0021】
出題間隔決定部14は、エビングハウスの忘却曲線等に基づいて、学習した内容が効率良く定着するように間隔を設定することができる。連続正解時の出題間隔は、1回目は24時間~48時間となり、2回目は4~8日後となり、3回目は7~14日後となり、4回目は9~20日後となり、5回目は、12~26日となる。
【0022】
そして、6回目からは正解率に応じて間隔が変わる。例えば、正解率が0割及び1割の時は15~32日後となり、正解率が2割及び3割の時は20~37日後となる。正解率が4割及び5割の時は25~42日後となり、正解率が6割及び7割の時は30~47日後となる。正解率が8割及び9割の時は35~52日後となり、正解率が10割の時は40~57日後となる。
【0023】
また、7回目~9回目は省略し、10回目について説明する。10回目は、正答率が0割及び1割の時は25~56日後となり、正解率が2割及び3割の時は34~65日後となる。正解率が4割及び5割の時は43~74日後となり、正解率が6割及び7割の時は52~83日後となる。正解率が8割及び9割の時は61~92日後となり、正解率が10割の時は70~101日後となる。
【0024】
出題頻度調整部16は、学習者4にとって学習の必要性が低い問題の出題頻度を下げるように、必要性が低い問題の出題間隔に所定の倍率を乗じる。なお、所定の倍率は、ここでは、科目毎に設定するものとして説明するが、問題毎に設定してもよい。
【0025】
例えば、一度、情報処理安全確保支援士の資格試験に合格した者は、当該資格試験に関する知識を習得しているため、頻繁に問題を解き直す必要性に乏しく、その時間を他の勉強に費やした方が効率がよい。これ以外にも学習者4にとって学習の必要性が低い問題を設定することができるが、過去の各問題に対する各正答率が例えば80%以上の問題を解き直す必要性が乏しいとすることが出来る。
【0026】
しかしながら、全く勉強しなくなると知識が抜けてしまう可能性があるため、例えば、図7に示されるように、情報処理安全確保支援士の出題間隔に所定の倍率(例えば、15倍)を乗じて間隔を広げる。このように、出題頻度調整部16は、所定の倍率を科目毎(例えば、情報処理安全確保支援士)に設定可能とする。
【0027】
具体的には、出題間隔の期間に所定の倍率を乗じることで、例えば、本来30日後に出題される問題が1年後に出題されるように調整することが出来る。これにより、数年前に登録した問題が、忘れかけてしまっていた頃に出題されるため、記憶の定着が図れるという利点がある。
【0028】
例えば、出題までの秒数が2,937,600秒(34日)の場合で倍率が15となっている場合、2,937,600秒×15=44,064,000秒(510日)、すなわち、1年以上出題されないように調整することが出来る。
【0029】
必要性の高い問題に時間を費やしながら、上記のように必要性の低い問題も頻度を下げて学習することで知識が抜けないように保持し生涯学習に対応することが出来るという利点がある。
【0030】
ところで、登録した問題数が増えてくると一日に大量の問題が出題されてしまうことがあり、学習者4の学習意欲が低下してしまう虞がある。しかしながら、上記のように調整することで、登録された問題を分散させて出題することができ、学習者4の学習意欲を保つことが出来るという効果がある。
【0031】
また、出題頻度調整部16は、正解数が12回以上のものは、出題間隔に5~7日を加算する処理を行う追加機能を有する。これは、過去に12回以上正解していたものは、頻繁に出題しなくても学習に影響がないと判断しているためである。
【0032】
さらに、出題頻度調整部16は、正解数が12回未満でも、倍率が2以上の場合には、出題間隔に1~2日を加算する処理を行う追加機能を有する。たとえ正解数が12回未満でも、倍率が2以上の場合には急いで再出題する必要性が乏しいと判断しているためである。
【0033】
出題頻度調整部16は、次回の出題日時が24時間以上のときは、各問題について、それぞれ5時間程度の出題の時間差を設ける処理を行う追加機能を有する。この処理を行うことで、出題が特定の時間に集中せずに分散させるようにする。
【0034】
また、出題頻度調整部16は、正解数が16回以下である場合、360日を上限として次回出題日時を300~360日にする追加機能を有する。上記のように、倍率を乗じる処理を行うことで、例えば、510日後に出題するといったように極端に長い出題間隔になることがある。そして、資格試験の終了間近に登録し、直後の試験が開催され、高い倍率を設定した問題は特に出題回数が極端に低下する可能性があるため、1年に一度は必ず出題されるように調整を行うためである。
【0035】
さらに、出題頻度調整部16は、正解数が16回を超えた場合、1820日を上限とする処理を行う。正解数が多かったとしても、1820日(5年)程度を上限にしなければ、記憶が維持できない可能性があるためである。
【0036】
出題頻度調整部16は、次回の出題日時が3日後以降で、かつ、次回出題日が12月31日~1月4日の場合に6~7日を加算する処理を行う追加機能を有する。この処理は、年末年始は休みたいと考える学習者4が存在することを想定したためである。なお、3日以降という制限があるため、全く出題されないということではない。
【0037】
また、出題頻度調整部16は、次回出題日時が8日後以降で、かつ、土曜日か日曜日の出題の場合に2日~5日加算する処理を行う追加機能を有する。このように処理を行うのは、土日は休みたいと考える学習者4が存在することを想定したためである。
【0038】
さらに、出題頻度調整部16は、次回の出題日時が20日後以降で、かつ、水曜日に出題される場合に1日加算する又は1日減算する処理を行う追加機能を有する。水曜日の出題頻度をわずかに減らすことで、学習者4の勉強に対するモチベーション維持に繋がるようにことを想定したためである。
【0039】
出題頻度調整部16は、次回の出題日時が3日後以降の場合、出題時刻を例えば午前3時などに統一する追加機能を有する。出題数が100を超えてくると問題を全て正解した後も、その後すぐに違う問題が出題されるといったことが増えて学習者4がストレスを感じることを防ぐためである。
【0040】
以上のように、出題頻度調整部16の機能により出題頻度が調整されるが、生涯学習を行う上で学習支援システム10を長年使用していくと一日の出題数が大量となってしまうことがあり、学習者4のモチベーション低下を防ぐために出題頻度を更に調整する機能を有する。
【0041】
例えば、学習者4の一日の平均回答数が500の場合、体調不良で5日休むと2500問程度の出題が予測される。また、例えば、夏休みや冬休みといった長期休暇や自然災害などによって回答ができない状況が続くと、より一層出題数が増えてしまう。このような課題に対して、出題頻度調整部16は更なる出題頻度の調整を行う。
【0042】
具体的には、出題頻度調整部16は、出題部18により出題される一日の出題数が所定の上限値を超える場合には出題間隔を広げて出題を先送りし、一日の出題数が所定の下限値を下回る場合には出題間隔を狭めて出題を早出しする機能を有する。
【0043】
例えば、学習者4の1年(365日)の回答総数が138,798問であったときに、日別の最大回答数が1,664問、日別回答数の平均が約389.88問、日別回答数の第1四分位数(Q1)が179.75問、日別回答数の中央値(第2四分位位数、Q2)が359問、日別回答数の第3四分位数(Q3)が541.75問、日別回答数の四分位範囲(Q3-Q1)が362問、第3四分位数+IQRの1.5倍(Q3×1.5)が1,085問である。この場合を例に以下では説明する。
【0044】
出題頻度調整部16は、出題部18により過去に出題された出題数に対する回答数の中央値の2倍の値を上限値として設定する機能を有する。また、出題頻度調整部16は、出題部18により出題される一日の出題数が所定の上限値を超える場合には学習者4にとって解き直す必要性が乏しい優先度の低い問題の出題間隔を広げて出題を先送りする機能を有する。優先度が低い問題は、学習者4が過去に各問題に解答した各正答率に基づいて決定することができ、一例として、80%以上の正答率が存在するものは優先度が低いものと定義することが出来る。また、正答率の値に応じて優先度を決めてもよく、例えば、正答率が低いほど問題を解き直す必要があるため優先度が高く、正答率が高いほど問題を解く必要性に乏しいため優先度が低いように設定してもよい。もちろん、これ以外で優先度を決めても良く、例えば、学習者4自身が予め任意に設定してもよい。
【0045】
例えば、上記にように日別回答数の中央値が359問である場合、日別の出題数の上限値を359×2=718問として設定し、一日の出題数が718問を超えたときには、718未満に収まるように、出題予定の問題のうち、例えば、正答率が80%以上であり優先度の低い問題の出題間隔を広げて先送りする。
【0046】
また、別の方法として、出題頻度調整部16は、出題部18により過去に出題された出題数に対する回答数において、第3四分位数(Q3)+(四分位範囲(IQR)×1.5)に求める値を上限値として設定する機能を有する。
【0047】
例えば、上記のように、別回答数の第3四分位数(Q3)が541.75問、日別回答数の四分位範囲(Q3-Q1)が362問のときは、第3四分位数(Q3)+(四分位範囲(IQR)×1.5)=541.75+362×1.5=約1085が上限値であるとして設定される。そして、一日の出題数が1085問を超えたときには、1085未満に収まるように、出題予定の問題のうち、例えば、正答率が80%以上であり優先度の低い問題の出題間隔を広げて先送りする。
【0048】
上記の上限値は逆に下限値についても設定される。例えば、一日当たりの回答数の平均が50問程度で日ごとにバラツキが少ない場合、出題可能数が極端に減ってしまうことに備えて、下限値を100問と設定し、100問未満となるときは出題間隔が広い問題について間隔を狭くして早出しすることにより、出題数を増やす。
【0049】
ここで、学習者4が月曜日から金曜日が働いていて、土日が休日の場合にはある程度考慮して出題することが好ましい。このため、学習者4の1年(365日)の回答数は曜日別としてもよい。
【0050】
例えば、日曜日の回答総数は13,318問で、最大値が719問、平均値が283.3問、Q1が170.5問、中央値(Q2)が269問、Q3が363.5問、Q3-Q1が193問、Q3+IQR×1.5が653問である。
【0051】
月曜日の回答総数は21,859問で、最大値が1,280問、平均値が420.3問、Q1が236問、中央値(Q2)が413問、Q3が500問、Q3-Q1が264問、Q3+IQR×1.5が896問である。
【0052】
火曜日の回答総数は23,669問で、最大値が1,268問、平均値が464.0問、Q1が264.5問、中央値(Q2)が453問、Q3が631.5問、Q3-Q1が367問、Q3+IQR×1.5が1,182問である。
【0053】
水曜日の回答総数は19,058問で、最大値が854問、平均値が366.5問、Q1が228問、中央値(Q2)が335.5問、Q3が521.25問、Q3-Q1が293.25問、Q3+IQR×1.5が962問である。
【0054】
木曜日の回答総数は24,183問で、最大値が1,030問、平均値が465.0問、Q1が298.2問、中央値(Q2)が457問、Q3が635.7問、Q3-Q1が337.5問、Q3+IQR×1.5が1,142問である。
【0055】
金曜日の回答総数は25,121問で、最大値が1,664問、平均値が492.5問、Q1が165問、中央値(Q2)が441問、Q3が674.5問、Q3-Q1が509.5問、Q3+IQR×1.5が1,439問である。
【0056】
土曜日の回答総数は11,590問で、最大値が784問、平均値が227.2問、Q1が132問、中央値(Q2)が186問、Q3が302問、Q3-Q1が170問、Q3+IQR×1.5が557問である。
【0057】
上記のように、各曜日によって回答数が大きく異なることが分かる。生活スタイルにより金曜日と土曜日の回答数が、2倍近く差が生じることがある。そのため、曜日に応じた問題数にすることでモチベーション低下を防ぐことが期待される。したがって、各上限値は曜日ごとに設定して、曜日ごとに出題数を変えるようにすることが出来る。
【0058】
出題部18は、出題間隔決定部14により決定された出題間隔及び出題頻度調整部16による調整後の出題間隔に基づいて、学習者4に各問題を出題する。
【0059】
具体的には、図4に示されるように学習者4が学習しようと思う問題を登録した後、10分後、翌朝3時、5日~6日後、10~14日後、15~20日後、21日~28日後といった間隔で、学習者4の端末(スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ)に出題される。
【0060】
出題部18は、次回の出題予定日が所定期間内となっている問題の中から複数の問題を選択して予定よりも早く出題する追加機能を有する。具体的には、次回の出題予定日が、例えば、20日以内となっている問題の中から「前回の出題日から一定期間経過しており、かつ、次の主題が直近」の問題を予定よりも早出しで出題する。
【0061】
早出しでの出題は、例えば、前回の回答日が5日前である場合に24時間以内に出題予定となっているものを対象とする。なるべく広い科目を早出しするため、原則として、各科目4問以内になるようにしているが、出題可能な問題が存在しない場合、科目毎ではなく、全ジャンルの中から探す処理を行っているため、必ずしも4問にはならない。
【0062】
科目延長設定部20は、出題間隔について、科目毎に所定の期間を加算する機能を有している。図7に示されるように、科目延長設定部20は、強制的に延長する時間として、数時間、1日、数日、8日~80日といった選択肢を持たせ、選択された延長期間を出題間隔に加算する。
【0063】
例えば、今日は忙しいと判断したときに1日延長したり、数日はお休みしたいと感じたときに数日延長したり、一定期間、試験がないため勉強する必要性が乏しいと判断したときに8~80日延長することが出来る。
【0064】
続いて、上記構成の学習支援システム10の作用について説明する。学習者4は、自分自身が学ぼうと考える学習内容に関する問題を作成し、図4に示されるように、自分自身で登録する。
【0065】
学習者4自身が登録した後、10分後、翌朝3時、5日~6日後、10~14日後、15~20日後、21日~28日後といった間隔で、学習者4の端末(スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ)に出題される。
【0066】
上記の間隔は、エビングハウスの忘却曲線に基づいて学習した内容の記憶の定着が適切になるように設定されているため、学習者4は効率良く学習することが出来る。
【0067】
しかしながら、学習者4が登録する問題数が増加してくると一日に出題される量が増え、学習意欲が下がってしまい、また学習効率が下がってしまうことがある。例えば、一度、情報処理安全確保支援士の資格試験に合格した者は、当該資格試験に関する知識を習得しているため、頻繁に問題を解き直す必要性に乏しく、その時間を他の勉強に費やした方が効率がよい。
【0068】
しかし、全く勉強しなくなると知識が抜けてしまう可能性があるため、例えば、図7に示されるように、情報処理安全確保支援士の出題間隔に所定の倍率(例えば、15倍)を乗じて間隔を広げる。このように、出題頻度調整部16は、所定の倍率を科目毎(例えば、情報処理安全確保支援士)に設定可能とする。これにより、数年前に登録した問題が、忘れかけてしまっていた頃に出題されるため、記憶の定着が図れるという利点がある。
【0069】
学習支援システム10によれば、必要性の高い問題に時間を費やしながら、上記のように必要性の低い問題も頻度を下げて学習することで知識が抜けないように保持し生涯学習に対応することが出来るという利点がある。
【0070】
また、学習支援システム10によれば、今日は忙しいと判断したときに1日延長したり、数日はお休みしたいと感じたときに数日延長したり、一定期間、試験がないため勉強する必要性が乏しいと判断したときに8~80日延長することが出来るため、無理のない範囲で勉強を継続可能な仕組みになっているため、生涯学習に適している。
【0071】
ここで、学習支援システム10は、生涯学習を行う学習者4にとって最適なシステムであり、長期間使用していくと、登録される問題数も増えていく。このような状況になり、例えば、感染症疾患などが原因で一週間休むと、病み上がりに学習を再開すると大量の問題が出題されることがあり、このような状態になると学習者4の学習意欲が削がれてしまう虞がある。
【0072】
学習支援システム10によれば、学習者4の過去1年(365日)の回答数の中で曜日別の回答数により、当該学習者4の回答数の中央値の2倍または外れ値(第3四分位(Q3)+(四分位範囲(IQR)×1.5)により上限値を設定し、それ以上、出題されないように優先度の低い問題の出題間隔を広げて出題を先送りにすることにより出題数が抑制される。これにより、出題数が極端に増えてしまうといったことを抑制することができるため、学習者4のモチベーションを保ちつつ生涯学習を行うことができるという顕著な効果を奏する。
【符号の説明】
【0073】
4 学習者、10 学習支援システム、12 問題記憶部、14 出題間隔決定部、16 出題頻度調整部、18 出題部、20 科目延長設定部。
【要約】
【課題】学習のモチベーションを維持しつつ、学習を継続することを可能とする学習支援システムを提供することである。
【解決手段】学習支援システム10は、学習者4が知識を習得するための複数の問題及び該複数の問題に夫々対応する解答が登録された問題記憶部12と、複数の問題の各問題の出題日時を決定する際に、学習者4の学習効果を高めるように出題間隔を決定する出題間隔決定部14と、出題間隔決定部14により決定された出題間隔に基づいて、学習者4に各問題を出題する出題部18と、出題部18により出題される一日の出題数が所定の上限値を超える場合には出題間隔を広げて出題を先送りする出題頻度調整部16と、を備える。
【選択図】図1


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図7