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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】デフレクタシーブ取り付けブラケット
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20240322BHJP
   B66B 11/04 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B66B7/06 L
B66B11/04 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019012662
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2019131401
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】15/884,042
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】ブルース エスティー.ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ピー.スウェイビル
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-321656(JP,A)
【文献】特開2006-027904(JP,A)
【文献】特開2010-184791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0327229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00- 7/12
B66B 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステムの複数の個別のデフレクタシーブを取り付けるためのデフレクタシーブ取り付けブラケットであって、
天板と、
底板と、
第1の端部で前記天板に連結され、反対側の第2の端部で前記底板に連結される、複数の支持板と、
前記複数の支持板の隣接する支持板の対の間に画定された前記複数のデフレクタシーブを受けるための複数の開口領域と
前記複数の個別のデフレクタシーブであって、それぞれ、前記複数の開口領域の1つの中に取り付けられた、前記複数の個別のデフレクタシーブと、
を含み、前記複数の開口領域のそれぞれの中に取り付けられた前記デフレクタシーブの各々が、隣接する開口領域に取り付けられたデフレクタシーブから垂直方向にオフセットされ、かつ水平方向にオフセットされる、前記デフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項2】
前記複数の開口領域のそれぞれが少しずつずれて配置されている、請求項1に記載のデフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項3】
前記複数の支持板のそれぞれが、その中に形成された少なくとも1つの溝を含み、前記隣接する対の支持板の前記少なくとも1つの溝が協働して前記複数の開口領域を画定する、請求項1に記載のデフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項4】
前記複数の個別のデフレクタシーブのそれぞれが、軸の周りを回転可能であり、前記複数の個別のデフレクタシーブの前記複数の軸が、実質的に平行である、請求項に記載のデフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項5】
前記複数の支持板が突出部を含み、前記天板及び前記底板が、前記突出部を受けるための開口部を含む、請求項1に記載のデフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項6】
前記突出部が、前記開口部に対して変形し、前記天板及び前記底板に対する、前記複数の支持板の移動を制限する、請求項に記載のデフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項7】
前記天板、前記底板、及び前記複数の支持板が、恒久的に固定される、請求項1に記載のデフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項8】
前記天板、前記底板、及び前記複数の支持板が、互いに溶接される、請求項に記載のデフレクタシーブ取り付けブラケット。
【請求項9】
エレベータシステムの機械室で使用するための支持部材であって、
かご端部及び釣合おもり端部を含み、前記釣合おもり端部が、前記機械室の壁と実質的に平行に配置され、前記釣合おもり端部が、前記かご端部に対してある角度で配置されており、
前記かご端部と概ね平行な向きで前記支持部材に取り付けられた複数の溝を有する第1のデフレクタシーブであって、第1の回転軸の周りを回転するように構成される、前記第1のデフレクタシーブと、
前記支持部材に連結されたデフレクタシーブ取り付けブラケットであって、前記デフレクタシーブ取り付けブラケットが、複数の個別の第2のデフレクタシーブを受けるための複数の開口領域を画定し、前記複数の開口領域が、前記かご端部に対する前記釣合おもり端部の前記角度に対して実質上、相補的に少しずつずれて配置される、前記デフレクタシーブ取り付けブラケットと、
前記デフレクタシーブ取り付けブラケットの前記複数の開口領域のそれぞれの中に取り付けられた複数の個別の第2のデフレクタシーブであって、前記複数の個別の第2のデフレクタシーブのそれぞれが、前記第1の回転軸と平行な第2の回転軸の周りを回転するように構成される、前記第2のデフレクタシーブとを含む、前記支持部材。
【請求項10】
前記複数の個別の第2のデフレクタシーブのそれぞれが、軸の周りを回転可能であり、前記複数の個別の第2のデフレクタシーブの前記複数の軸が、実質的に平行である、請求項に記載の支持部材。
【請求項11】
前記複数の個別の第2のデフレクタシーブのそれぞれの前記軸が、第1の平面または第1の平面から垂直方向にオフセットされた第2の平面内に配置される、請求項10に記載の支持部材。
【請求項12】
前記デフレクタシーブ取り付けブラケットが、
天板と、
底板と、
第1の端部で前記天板に連結され、反対側の第2の端部で前記底板に連結される、複数の支持板と、
前記複数の支持板の隣接する支持板の対の間に画定される、前記複数の個別の第2のデフレクタシーブを受けるための前記複数の開口領域とを含む、請求項に記載の支持部材。
【請求項13】
前記複数の支持板のそれぞれが、その中に形成された少なくとも1つの溝を含み、前記隣接する支持板の対に形成された前記少なくとも1つの溝が協働して、前記複数の開口領域を画定する、請求項12に記載の支持部材。
【請求項14】
前記複数の支持板が突出部を含み、前記天板及び前記底板が、前記突出部を受けるための開口部を含む、請求項12に記載の支持部材。
【請求項15】
前記突出部が、前記開口部に対して変形し、前記天板及び前記底板に対する前記複数の支持板の移動を制限する、請求項14に記載の支持部材。
【請求項16】
前記天板、前記底板、及び前記複数の支持板が、恒久的に固定される、請求項12に記載の支持部材。
【請求項17】
前記天板、前記底板、及び前記複数の支持板が、互いに溶接される、請求項16に記載の支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、エレベータシステムに関し、より詳細には、エレベータシステムの機械室に機械を取り付けるための台板に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータかごの垂直移動は、通常、例えば、台板などの支持部材によってエレベータ昇降路の上部内に支持され得る駆動アセンブリによって駆動する。駆動アセンブリは一般に、両方とも台板の表面に取り付けられ得る、ギアレスモータ及びトラクションシーブから構成される巻上機を含む。モータによって発生する回転トルクは、トラクションシーブを駆動するために使用される。モータの回転方向に応じて、トラクションシーブにより、引張部材は、昇降路を介してエレベータかご及び釣合おもりを垂直に昇降させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のエレベータシステムでは、釣合おもりは、一般に、エレベータかごを中心としたエレベータかごの真後ろ、またはかごレールを中心としたエレベータかごの側方に配置される。しかし、古いエレベータシステムでは、一般に、かごレールの中央に配置される釣合おもりが、かごに対して中央に配置されていない、非対称のレイアウトを有し得る。既存の台板構造を使用して、これらの古いエレベータシステムを最新式にするためには、時間がかかり、かつ費用のかかる釣合おもりの再配置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、エレベータシステムの複数の個別のデフレクタシーブを取り付けるためのデフレクタシーブ取り付けブラケットは、天板、底板、及び第1の端部で天板に連結され、反対側の第2の端部で底板に連結された複数の支持板を含む。複数のデフレクタシーブを受けるための複数の開口部は、複数の支持板の隣接する対の支持板の間に画定される。複数の開口部の少なくとも1つの開口部は、別の複数の開口部から垂直方向にオフセット及び水平方向にオフセットされる。
【0005】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、少なくとも1つの開口部は、複数の開口部の隣接する開口部から垂直方向にオフセットされ、水平方向にオフセットされる。
【0006】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の開口部のそれぞれは、少しずつずれて配置される。
【0007】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の支持板のそれぞれは、その中に形成された少なくとも1つの溝を含み、隣接する対の支持板の少なくとも1つの溝は、協働して複数の開口部を画定する。
【0008】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、複数の個別のデフレクタシーブを含むさらなる実施形態では、複数の個別のデフレクタシーブのそれぞれは、複数の開口部の1つの中に取り付けられる。
【0009】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の個別のデフレクタシーブのそれぞれは、軸の周りを回転可能であり、複数の個別のデフレクタシーブの複数の軸は実質的に平行である。
【0010】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の支持板は突出部を含み、天板及び底板は突出部を受けるための開口部を含む。
【0011】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、突出部は開口部に対して変形して、天板及び底板に対する複数の支持板の移動を制限する。
【0012】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、天板、底板、及び複数の支持板が恒久的に固定される。
【0013】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、天板、底板、及び複数の支持板は互いに溶接される。
【0014】
別の実施形態によれば、エレベータシステムの機械室で使用するための支持部材は、かご端部及び釣合おもり端部を有する基部を含む。釣合おもり端部は、機械室の壁と実質的に平行に配置され、かご端部に対してある角度で配置される。複数の溝を有する第1のデフレクタシーブが、かご端部と概ね平行な向きで基部に取り付けられる。第1のデフレクタシーブは、第1の回転軸の周りを回転するように構成される。デフレクタシーブ取り付けブラケットは、基部に連結され、複数の個別の第2のデフレクタシーブを受けるための複数の開口部を画定する。複数の開口部は、かご端部に対する釣合おもり端部の角度に対して実質上、相補的に少しずつずれて配置される。複数の個別の第2のデフレクタシーブは、デフレクタシーブ取り付けブラケットの複数の開口部内に取り付けられる。複数の個別の第2のデフレクタシーブのそれぞれは、第1の回転軸と平行な第2の回転軸の周りを回転するように構成される。
【0015】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の開口部のそれぞれは、複数の開口部の隣接する開口部から垂直方向にオフセットされ、水平方向にオフセットされる。
【0016】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の個別の第2のデフレクタシーブのそれぞれは、軸の周りを回転可能であり、複数の個別の第2のデフレクタシーブの複数の軸は実質的に平行である。
【0017】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の個別の第2のデフレクタシーブのそれぞれの軸は、第1の平面から垂直方向にオフセットされた、第1の平面または第2の平面内に配置される。
【0018】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、デフレクタシーブ取り付けブラケットは、天板、底板、第1の端部で天板に連結され、反対側の第2の端部で底板に連結された複数の支持板をさらに含み、複数の個別の第2のデフレクタシーブを受けるための複数の開口部は、複数の支持板の隣接する対の支持板の間に画定される。
【0019】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の支持板のそれぞれは、その中に形成された少なくとも1つの溝を含み、隣接する対の支持板に形成された少なくとも1つの溝は、協働して複数の開口部を画定する。
【0020】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、複数の支持板は突出部を含み、天板及び底板は突出部を受けるための開口部を含む。
【0021】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、突出部は開口部に対して変形して、天板及び底板に対する複数の支持板の移動を制限する。
【0022】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、天板、底板、及び複数の支持板は恒久的に固定される。
【0023】
上述の特徴の1つまたは複数に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、天板、底板、及び複数の支持板は互いに溶接される。
【0024】
本開示と見なされる主題は、本明細書の結びの特許請求の範囲に具体的に指摘しかつ明確に特許請求している。本開示の前述の及び他の特徴、ならびに利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】エレベータシステムの一例の断面図である。
図2】一実施形態による、エレベータシステムの支持部材の斜視図である。
図3】一実施形態による、エレベータシステムの支持部材の別の斜視図である。
図4】一実施形態による、エレベータシステムの支持部材の代替斜視図である。
図5】一実施形態による、エレベータシステムの支持部材の断面図である。
図6】一実施形態による、エレベータシステムの支持部材の上面図である。
図7】一実施形態による、複数の個別のシーブを含むデフレクタシーブブラケットの斜視図である。
図8】一実施形態による、複数の個別のシーブが存在しないデフレクタシーブブラケットの別の斜視図である。
図9A】一実施形態による、図8のデフレクタシーブブラケットの様々な等角図である。
図9B】一実施形態による、図8のデフレクタシーブブラケットの様々な等角図である。
図9C】一実施形態による、図8のデフレクタシーブブラケットの様々な等角図である。
【0026】
詳細な説明は、図面を参照しながら例として、本開示の実施形態を利点及び特徴と共に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで図1を参照すると、例示的なエレベータシステム20が示されている。エレベータシステム20は、複数のかごガイドレール26に沿って複数の階の間で昇降路22内を垂直に上方及び下方に移動するように構成されたエレベータかご24を含む。エレベータかご24の上部及び下部に取り付けられたガイドアセンブリ28は、エレベータかご24が昇降路22内を移動するときに、エレベータかご24の適切な配置を維持するために、かごガイドレール26と係合するように構成される。
【0028】
エレベータシステム20はまた、昇降路22内で垂直に上方及び下方に移動するように構成された釣合おもり30を含む。本明細書で使用される釣合おもり30という用語は、当業者には理解されるように、それ自体、様々な構成要素を含み得る釣合おもりアセンブリを含む。釣合おもり30は、従来のエレベータシステムで知られているように、エレベータかご24の動きと、概ね反対方向に移動する。釣合おもり30の移動は、昇降路22内に取り付けられた釣合おもりガイドレール(図示せず)によって案内される。例示される非限定的な実施形態では、エレベータかご24及び釣合おもり30はそれぞれ、張力部材36及び駆動機械40に取り付けられたトラクションシーブ38と協働してエレベータかご24を昇降させる、シーブアセンブリ32、34を含む。例示される非限定的な実施形態では、駆動機械40は、平形引張部材36と共に使用するのに適した大きさである。図1に示すシーブアセンブリ32は、エレベータシステム20が吊り下げ構造を有するように、エレベータかご24の底部に取り付けられる。しかし、シーブアセンブリ32は、例えば、エレベータかご24の上部、すなわち、上架式構成のようにエレベータかご24の別の場所に取り付けられ得るか、または当業者によって認識されるようにシステム20内の他の場所に取り付けられ得る。
【0029】
例示的なエレベータシステム20の駆動機械40は、昇降路22の一部または機械室で、例えば、台板などの支持部材50の上の取り付け位置に位置決めされて支持される。本明細書に例示及び記載されているエレベータシステム20は、吊り下げ式2:1ローピング構成を有するが、他のローピング構成及び昇降路レイアウトを有するエレベータシステム20も本開示の範囲内である。
【0030】
ここで図2図6を参照すると、エレベータシステム20の支持部材50がより詳細に示される。概ね長方形の支持部材50は、第1のかご端部52及び、かご端部52の反対側に位置する第2の釣合おもり端部58を含む。第1の連結部材64は、かご端部52の第1の側部54を、釣合おもり端部58の第1の側部60に結合し、第2の連結部材66は、かご端部52の第2の側面56を、釣合おもり端部58の第2の側面62に結合する。釣合おもり端部58は、かご端部52の第1の側部54と釣合おもり端部58の第1の側部60との間の距離が、かご端部52の第2の側面56と釣合おもり端部58の第2の側面62との間の距離よりも小さくなるように、かご端部52に対して角度θで配置される。かご端部52に対する釣合おもり端部58の角度は、図6に例示される支持部材50の上面図に最も明確に示される。一実施形態では、かご端部52に対する釣合おもり端部58の角度θは、0度よりも大きく40度までの範囲内にある。その結果、第1の連結部材64は、一般に第2の連結部材66よりも長さが短い。さらに、図示されるように、支持部材50の釣合おもり端部58は、支持部材50のかご端部52が昇降路22の中央部分及び/または機械室の近くに配置されるように、例えば、昇降路22のコーナに隣接するように、昇降路22または機械室の壁に実質的に平行に取り付けられるように構成される。
【0031】
知られているように、引張部材36の対向する端部は、終端部ヒッチ70及び72でエレベータシステム20内で終端する。複数の終端部ヒッチ70は、それぞれ複数の引張部材36の1つのかご側部36a(図4)に連結するように構成されており、かご端部52に隣接する支持部材50の上面68に取り付けられる。釣合おもり終端部ヒッチ72は、それぞれ複数の引張部材36の1つの釣合おもり側36b(図2)を受けるように構成されており、釣合おもり端部58で支持部材50の上面68の周囲に同様に取り付けられる。例示される非限定的な実施形態では、かご側及び釣合おもり側の終端部ヒッチ70、72は、支持部材50の上面68の上方に垂直に間隔を置いて配置される。しかし、他の実施形態では、終端部ヒッチ70、72は、上面に取り付けられ得るか、または支持部材50の底面59の下方向に、昇降路22まで延長し得る。一実施形態では、引張部材36のかご側及び/または釣合おもり側36a、36bに動作可能に結合された引張部材監視装置74を、かご終端部ヒッチ70の後方などの支持部材50に連結し得る(図2)。
【0032】
回転軸Rの周りを回転するように構成された駆動機械40は、支持部材50のかご端部52の近くに、それと実質的に平行な向きで取り付けられる。例示される非限定的な実施形態では、駆動機械40は、支持部材50の上面68に取り付けられているが、駆動機械40は、例えば、支持部材50の中空内部51内など、支持部材50の周囲の別の場所に配置され得る。駆動機械40のシャフトと同心に取り付けられたトラクションシーブ38(図1)は、複数の溝(図示せず)を含み、各溝は複数の引張部材36の1つを受けるように構成される。一実施形態では、トラクションシーブ38及び機械40は、トラクションシーブ38の溝が、かごシーブ32(図1)の対応する溝(図示せず)と概ね整列するように位置決めされる。
【0033】
複数の溝78及び回転軸Sを有するデフレクタシーブ76(図5に最もよく示されている)は、駆動機械40と平行に支持部材50に取り付けられる。例示される非限定的な実施形態では、デフレクタシーブ76は、引張部材36がトラクションシーブ38とデフレクタシーブ76との間で概ね垂直に延びるように、機械40に隣接して支持部材50の中空内部51に配置される。デフレクタシーブ76及び機械40は、デフレクタシーブ76の円周の一部が、トラクションシーブ38の円周の一部と実質的に同一平面上にあるように配置され得る。さらに、デフレクタシーブ76の複数の溝78のそれぞれは、トラクションシーブ38の複数の溝の1つと概ね水平方向に整列する。例示される実施形態では、引張部材36は、トラクションシーブ38の円周の約半分でトラクションシーブ38と接触するように構成される。
【0034】
複数の実質的に同一の個別のデフレクタシーブ80が、釣合おもり側部58に隣接して支持部材50に取り付けられる。各個別のデフレクタシーブ80は、エレベータシステム20の複数の引張部材36の1つを受けるように構成された単一の溝82を有する。個別のデフレクタシーブ80は、支持部材50の中空内部51内に取り付けられ得る。
【0035】
個別のデフレクタシーブ80のそれぞれは、第1の回転軸Tの周りを回転するように構成される。複数の個別のデフレクタシーブ80の第1の回転軸Tは、互いに実質的に平行であり、駆動機械40の回転軸R及びデフレクタシーブ76の回転軸Sと概ね平行である。複数の個別のデフレクタシーブ80のそれぞれは、デフレクタシーブ76の対応する溝78と概ね整列する。個別のデフレクタシーブ80は、各デフレクタシーブ80とそれに関連する隣接する釣合おもり終端部ヒッチ72との間の距離が、実質的に同じになるように少しずつずれて(staggered)配置される。その結果、デフレクタシーブ76と個々のデフレクタシーブ80のそれぞれとの間の距離は、釣合おもり端部58の第1の側部60から釣合おもり端部58の第2の側面62に向かって徐々に長くなる。
【0036】
デフレクタシーブ76の円周の約4分の1と個別のデフレクタシーブ80の円周の約4分の1とを巻き付けた後、引張部材36は、釣合おもり28に取り付けられたデフレクタシーブ34に対して垂直に延び、次いで、支持部材50に戻って終端部ヒッチ72に連結する。デフレクタシーブ80は、釣合おもりシーブ34の溝(図示せず)と概ね整列する。一実施形態では、釣合おもり上の個別のデフレクタシーブ80及び釣合おもりシーブ34は、各デフレクタシーブ80の円周の一部が、釣合おもりシーブ34の円周の一部と実質的に同一平面上にあるように配置される。支持部材50は、複数の個別のデフレクタシーブ80と共に記載されているが、いくつかのデフレクタシーブ80のみが、引張部材36を受けるエレベータシステムも本開示の範囲内である。
【0037】
ここで図7図9を参照すると、複数のデフレクタシーブ80の取り付け構成がより詳細に示されている。例示される非限定的な実施形態では、複数のデフレクタシーブ80は、例えば、支持部材50の中空内部51内に位置決め可能であり得るデフレクタシーブ取り付けブラケット100を介して支持部材50に取り付けられる。図示されるように、デフレクタシーブ取り付けブラケット100は、天板104及び底板106によって連結された複数の支持板102を含む。例示される非限定的な実施形態では、複数の支持板102は、概ね垂直に配向されており、天板104及び底板106は、概ね水平に配向されている。しかし、支持板102ならびに天板104及び底板106が、別の構成を有する実施形態も本明細書で企図される。
【0038】
各支持板102は、回転可能なデフレクタシーブ80を受けるために、その中に形成された少なくとも1つの細長い溝または切欠き108を有する。図示されるように、支持板102は、その中に形成された同一の整列した溝を有する対で概ね配置される。したがって、対の板102間の距離は、デフレクタシーブ80の幅に対応する。デフレクタシーブ80を取り付けブラケット100に結合するために、対応する支持板102と重なり合う配置で、キーパー板107をデフレクタシーブ80の各側部に隣接して配置し得る。
【0039】
さらに、デフレクタシーブ取り付けブラケット100は、第1の水平面内及び第1の水平面から垂直にオフセットされた第2の水平面内などの複数の位置で複数のデフレクタシーブ80を位置決めするように構成される。図7に示すように、隣接する対の支持板102は、第1の水平面と第2の水平面との間に取り付けられたデフレクタシーブ80の位置を互い違いにするか、または少しずつずれて配置するように構成し得る。例えば、第1及び第2の板102a、102bは協働して、天板104に概ね隣接する第1の平面内でデフレクタシーブ80aを支持し、第2及び第3の板102b、102cは協働して、第1の平面に平行で、かつ底板106に概ね隣接する第2の平面内でデフレクタシーブ80bを支持する。第3及び第4の板102c、102dは協働して、天板104に概ね隣接する第1の平面内でデフレクタシーブ80cを支持する。さらに、図に示すように、ブラケットの第1の側面110からデフレクタシーブ取り付けブラケット100の第2の反対側面112まで延びる各連続板102は、デフレクタシーブ取り付けブラケット100の後部からデフレクタシーブ取り付けブラケット100の前部までの測定により、徐々に長くなり得る。その結果、隣接する対の板102間に取り付けられた各デフレクタシーブ80は、垂直方向にオフセットされるだけでなく、隣接するデフレクタシーブ80から水平方向にもオフセットされる。デフレクタシーブ80のそれぞれの間で垂直及び水平の平行度を維持することにより、複数のデフレクタシーブ80に対する複数の引張部材36の適切な追従性が向上する。
【0040】
デフレクタシーブ取り付けブラケット100を組み立てるために、複数の支持板102が、天板104及び底板106に連結される。天板104及び底板106は、支持部材50の一部であり得ることを理解されたい。一実施形態では、複数の支持板102、天板104、及び底板106のそれぞれには、複数の開口部120及び/または対応するタブもしくは突出部122が形成される。支持板102から延びているような突出部122は、天板104及び底板106に形成された開口部120内に受け可能である。天板104または底板106の隣接する表面に対して平行に突出部122を曲げることなどによって突出部122を変形させることにより、天板104及び底板106からの支持板102の分離をさらに制限し得る。組み立てられると、支持板102、天板104、及び底板106は、その後、例えば、溶接作業などによって恒久的に固定される。
【0041】
恒久的に組み立てられた後、例えば、粉末コーティングなどのコーティングをデフレクタシーブ取り付けブラケット100に塗布して、デフレクタシーブ取り付けブラケット100のさび及び他の劣化または摩耗を防止し得る。次いで、複数の溝108をさらに機械加工して複数のデフレクタシーブ80の適切な位置合わせを確実にし、次いで、デフレクタシーブ80を溝108の全部または一部に取り付け得る。1つまたは複数の対の支持板102が、デフレクタシーブ80を含まない協働溝108を含む実施形態では、空の溝は通常、取り付けブラケット100の第1の側面110または第2の側面112のいずれかに隣接して配置される。その結果、複数のデフレクタシーブ80のそれぞれは、デフレクタシーブ80を含む別の1対の支持板102に直接隣接する1対の支持板102で、デフレクタシーブ取り付けブラケット100に取り付けられる。
【0042】
支持部材50の釣合おもり側58を隣接する昇降路壁(図5)と実質的に平行に配置することによって、支持部材50を機械室の床に容易に取り付け得る。支持部材50は、デフレクタシーブ76、個別のデフレクタシーブ80、終端部ヒッチ70、72、及び引張部材監視システムなどの追加の構成要素を含めて、部分的にまたは完全に組み立てて出荷し得る。さらに、支持部材50が機械室に取り付けられると、結合された駆動機械40及びトラクションシーブ38などの組み立てが完成し得る。
【0043】
本開示は限られた数の実施形態のみに関連して詳細に説明されているが、本開示はそのような開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されるべきである。むしろ、本開示は、これまで説明されていないが、本開示の趣旨及び範囲に相応する、任意の数の変形形態、代替形態、置換形態、または等価の構成を組み込むように修正することができる。さらに、本開示の様々な実施形態が説明されてきたが、本開示の態様は説明された実施形態のいくつかのみを含み得ることを理解されたい。したがって、本開示は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C