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特許7458130感光性半導体部品、および感光性半導体部品の形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】感光性半導体部品、および感光性半導体部品の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H01L31/10 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020552224
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057847
(87)【国際公開番号】W WO2019185787
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】102018107611.8
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399011911
【氏名又は名称】ヴィシャイ セミコンダクター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Vishay Semiconductor GmbH
【住所又は居所原語表記】Theresienstr.2 D-74025 Heilbronn B.R.Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,マヌエル
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-081982(JP,A)
【文献】米国特許第07145121(US,B1)
【文献】特開平03-094470(JP,A)
【文献】特開平01-214174(JP,A)
【文献】特開昭62-143483(JP,A)
【文献】特開昭64-071185(JP,A)
【文献】特開平01-147876(JP,A)
【文献】特開昭52-011887(JP,A)
【文献】特開昭63-226975(JP,A)
【文献】特開昭59-088875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0179329(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/119
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性半導体部品の形成方法であって、
a)コレクタ層として第1の導電型の半導体基板(10)を提供し、
b)第1の導電型の低ドープ層(11)を形成することであって、
・第1の閾値(th1)よりも小さい第1の厚さ(t1)の低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)を、半導体基板(10)の第1の領域(10-1)上に形成し、
・第1の閾値(th1)よりも高い第2の閾値(th2)よりも高い第2の厚さ(t2)の低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)を、半導体基板(10)の第2の領域(10-2)上に形成し、
・ここで、半導体基板(10)の第1の領域(10-1)および第2の領域(10-2)は、それらの領域の間に遷移領域(10-3)を含み、その遷移領域(10-3)に低ドープ層(11)の遷移領域(11-3)が形成され、
・低ドープ層(11)のドーピング濃度(n)は、半導体基板(10)のドーピング濃度(n)よりも小さく設定される、
ように第1の導電型の低ドープ層(11)を形成し、
c)第2の導電型の半導体ベース層(12)を、低ドープ層(11)上に形成することであって、
低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)の少なくとも一部の上に第1のベース層領域(12-1)を有し、低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)の少なくとも一部の上に第2のベース層領域(12-2)を有し、かつ、低ドープ層(11)の遷移領域(11-3)の少なくとも一部の上に遷移ベース層領域(12-3)を有する、第2の導電型の半導体ベース層(12)を、低ドープ層(11)上に形成し、
d)第1のベース層領域(12-1)がエミッタ層(13)によって覆われないように、第2のベース層領域(12-2)上に第1の導電型のエミッタ層(13)を形成する、
ステップを備え、
半導体基板(10)が、その第1の領域(10-1)に、より移動性の高い、かつ/または、より高濃度のドーピング物質(72)の領域を有するように形成され、
・より移動性の高い、かつ/または、より高濃度のドーピング物質(72)を有する半導体基板(10)の第1の領域(10-1)から、低ドープ層(11)の隣接領域へとドーピング物質が拡散して、半導体基板(10)の第1の領域(10-1)と、低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)と、の間に低ドープ層(11)のドーピング濃度(n )よりも高いドーピング濃度(n )にドープされた隣接領域(10a)を形成するように、低ドープ層(11)が、半導体基板(10)上に形成される、感光性半導体部品の形成方法。
【請求項2】
半導体の低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)および第2の領域(11-2)が、
a)ーピング度(n)を有する第1の半導体層(11a)を、最初に、エピタキシャルに、半導体基板(10)に適用し、
b)次に、第2の半導体層(11d)を、第1の半導体層(11)に適用することであって、半導体基板(10)の第1の領域(10-1)上ではなく、半導体基板(10)の第2の領域(10-2)上の第1の半導体層(11)に適用する、
ことによって製造されることを特徴とする請求項1に記載の形成方法。
【請求項3】
半導体の低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)および第2の領域(11-2)が、
a)半導体の低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)において厚さ(t2)を有するーピング度(n)の半導体層(11e)を、最初に、エピタキシャルに、半導体基板(10)に適用し、
b)次に、半導体基板(10)の第1の領域(10-1)の上の半導体層(11e)を、エッチングにより、低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)の厚さ(t1)に達するまで除去する、
ことによって製造されることを特徴とする請求項1に記載の形成方法。
【請求項4】
)ベース層(12)が、低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)内に、第1の最終深さ(t7)まで拡散され、
)次に、ベース層(12)が、その低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)内に、第1の最終深さ(t7)よりも小さい第2の最終深さ(t3)まで拡散され、
)次に、エミッタ層(13)が、ベース層(12)の第2のベース層領域(12-2)上に形成される、
ことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の形成方法。
【請求項5】
第1の閾値(th1)が、7μm、または5μm、または4μm、または3μm、または2μmに設定され、低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)の厚さ(t1)が、第1の閾値(th1)のk1倍より大きく設定され、k1は、0.1または0.2であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の形成方法。
【請求項6】
第2の閾値(th2)が、第1の閾値(th1)のk2倍、または4μm、または5μmであり、k2は、1.1または1.2または1.5または2であり、低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)の厚さ(t2)が、第2の閾値(th2)のk3倍よりも小さく、k3は、5または3または2であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の形成方法。
【請求項7】
第1のベース層領域(12-1)は、第3の閾値(th3)よりも小さく、かつ第3の閾値(t3)の0.1倍または0.2倍よりも大きい厚さ(t3)を有し、第3の閾値(th3)は、3μmまたは2μm、または、第1の閾値(th1)の0.2倍または0.3倍または0.4倍であり、
第2のベース層領域(12-2)は、第4の閾値(th4)よりも大きく、かつ第4の閾値(t4)の3倍または2倍よりも小さい厚さ(t4)を有し、第4の閾値(th4)は、2μmまたは3μmまたは4μmまたは5μm、または、第3の閾値(th3)の1.2倍または1.5倍または2倍である、
ことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の形成方法。
【請求項8】
遷移領域(10-3)の幅(w)が、第1の閾値(th1)のk4倍よりも小さくなる、または低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)の厚さ(t1)のk4倍よりも小さくなるように形成され、k4は、3または2または1または0.5であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の形成方法。
【請求項9】
第1のベース層領域(12-1)が、第2のベース層領域(12-2)の厚さ(t4)のk5倍よりも小さい厚さ(t3)となるように形成され、k5は、1または0.9または0.7または0.5であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の形成方法。
【請求項10】
・ベース層(12)の第1の領域(12-1)の厚さ(t3)は、低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)の厚さ(t1)のk6倍であり、k6は、0.2より大きく、または0.3より大きく、かつ/または、0.5未満、または0.3未満、または0.1未満、または0.05未満であり、
・ベース層(12)の第2の領域(12-2)の厚さ(t4)は、低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)の厚さ(t3)のk7倍であり、k7は、0.1より大きく、または0.2より大きく、または0.5より大きく、または0.6より大きく、かつ/または、0.9未満、または0.8未満、または0.7未満であり、
・エミッタ層(13)の厚さ(t5)は、ベース層(12)の第2の領域(12-2)の厚さ(t4)のk8倍であり、k8は、0.2より大きく、または0.4より大きく、または0.6より大きく、かつ/または、0.99未満、または0.9未満、または0.8未満、または0.7未満である、
ように形成されることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の形成方法。
【請求項11】
第1の導電型がnドーピングであり、第2の導電型がpドーピングである、または、その逆であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の形成方法。
【請求項12】
a)コレクタ層としての第1の導電型の半導体基板(10)と、
b)第1の導電型の低ドープ層(11)であって、
半導体基板(10)の第1の領域(10-1)上に形成された、低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)と、
半導体基板(10)の第2の領域(10-2)上形成された、低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)と、
を有し、
半導体基板(10)の第1の領域(10-1)および第2の領域(10-2)は、それらの領域の間に遷移領域(10-3)を有し、その遷移領域(10-3)に低ドープ層(11)の遷移領域(11-3)が配置され、
・低ドープ層(11)のドーピング濃度(n)が、半導体基板(10)のドーピング濃度(n)よりも小さく設定された、
1の導電型の低ドープ層(11)と、
c)低ドープ層(11)上に形成された、第2の導電型の半導体ベース層であって、
低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)の少なくとも一部の上に第1のベース層領域(12-1)を有し、低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)の少なくとも一部の上に第2のベース層領域(12-2)を有し、かつ、低ドープ層(11)の遷移領域(11-3)の少なくとも一部の上に遷移ベース層領域(12-3)を有する、第2の導電型の半導体ベース層と、
d)第2のベース層領域(12-2)上に形成された、第1の導電型のエミッタ層(13)であって、第1のベース層領域(12-1)の少なくとも一部を覆わないようにされた、第1の導電型のエミッタ層(13)と、
e)半導体基板(10)の第1の領域(10-1)と、低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)と、の間に形成された、低ドープ層(11)のドーピング濃度(n )よりも高いドーピング濃度(n )にドープされた隣接領域(10a)と、
を備えた、感光性半導体部品であって、
光が入射する前記感光性半導体部品の表面から開始して測定した低ドープ層(11)の第1の領域(11-1)およびその上の層(12-1)を含む厚さが、第1の閾値(th1)よりも小さい第1の厚さ(t1)であり、
光が入射する前記感光性半導体部品の表面から開始して測定した低ドープ層(11)の第2の領域(11-2)およびその上の層(12-2,13)を含む厚さが、第1の閾値(th1)よりも大きい第2の閾値(th2)よりも大きい第2の厚さ(t2)である、感光性半導体部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性半導体部品(photosensitive semiconductor component)および感光性半導体部品の形成方法に関する。本発明は、特に、環境光検出に適合された光トランジスタを扱う。そのようなコンポーネントは、例えば、アクティブな光学ディスプレイの光度を環境光の状況に適合させるために、すなわち、例えば、環境光に依存して車両またはモバイルデジタルデバイスのディスプレイの背景照明の光度を制御するために使用される。
【背景技術】
【0002】
環境光トランジスタが適応された出力を提供するために、それらは、ディスプレイの知覚の能動的効果、すなわち、一方では環境照明のスペクトル分布を、そして他方では波長を介した人間の視野を、再現するスペクトル感度を有する必要がある。人間の目は一般に、約400nmから800nmの範囲の波長に敏感である。400nmより短い波長はUV光であり、800nmより長い波長は赤外線(IR)である。UVおよびIR放射は、もはや目で認識されない。
【0003】
原則として、光センサは環境光検出の必要性に十分に適合していない。より高いスペクトル範囲にわたる感度が存在する場合、長波長(700nm~800nm、「赤」)の範囲では感度が比較的高すぎ、短波長(400nm~500nm、「青」)の範囲では感度が比較的低すぎることがよくある。
【0004】
図9は、環境光センサを環境光検出の要件に適合させるための既知の設計を示す。層状の半導体設計の断面図が示される。半導体コンポーネント90は、フォトダイオード98と増幅トランジスタ99との組み合わせと見なすことができる。それは、n+ドーピングを有する基板91上に構築されている。n-ドーピングを有するより軽くドープされた層92がその上に配置されている。ダイオード98のアノードとして機能するpドープ層93は、この層92の上部領域に拡散される。pドープ層93は、そのすぐ隣に配置され、かつその層に直接接続されたトランジスタ99のベース層である。n+ドープされたエミッタ層94は、ベース層93に拡散される。
【0005】
検出特性の適合は、層92の厚さd1が、例えば、2.5μmから3μmの従来の感光性コンポーネントに対して比較的小さい値に設定されるという点で行われる。通常の値は、10μmから30μmのコントラスト層の厚さである。厚さd1を比較的小さい値に設定することにより、さまざまなドーピング度(91のn+、92のn-)と組み合わせた半導体材料の放射線の波長依存吸収挙動が利用される。短波長は、対応して少量が半導体に浸透し、層92の前記3μmに実質的に吸収される。この層のドーピングの程度が小さいため、生成されたキャリアの寿命は比較的長く、その結果、短波光(青)から生じる比較的高い光電流がそれに応じて生じる。対照的に、長波光(赤)は、半導体内、つまり上から層91内に少なくとも部分的により深く移動する。したがって、赤色光は、高度のドーピングn+の基板層91において顕著な割合で吸収される。そこではドーピング度が高いため、再結合率(recombination rate)も高く、キャリア寿命は比較的短い。したがって、長波(赤)放射の光電流への相対的な変換はより小さく、その結果、青色光に対する赤色光へのセンサの既知の相対的な過敏性は、そのような設計によって改善される。
【0006】
しかしながら、この設計の欠点は、軽くドープされた層92の比較的薄い厚さd1のために、アノード/ベース層93の厚さd2もまた、約1μmに比較的薄く設定されなければならないことである。したがって、エミッタ層94はさらに薄い。したがって、垂直トランジスタ99の全体の厚さは、図面の平面の垂直方向に非常に薄くなる。これにより、特性がわずかに異なるコンポーネントを得る際に大きな問題が生じる。図9に示すように非常にフラットな設計では、トランジスタの特性値が5倍異なる可能性があるため、このようなコンポーネントの値は制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、その特性値の変動を低減して、環境光検出によく適合する半導体部品の製造を可能にする半導体部品およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立クレームの特徴によって充足される。
【0009】
本発明によれば、高濃度にドープされた基板の層状設計がコレクタとして提供され、その上に、質的に等しいが、より低濃度にドープされた半導体層が、反対にドープされたベース層の中または上に提供され、次にその中またはその上に、基板のようにドープされたエミッタ層が局所的に提供される。ここで低濃度にドープされた層(lightly doped layer)および/またはベース層は、垂直(基板表面に垂直な)断面で見られるように横方向に隣り合って配置された、異なる厚さの領域を有し、半導体コンポーネントのトランジスタ部分は、より低濃度にドープされた層のより厚い領域、および/または、ベース層のより厚い領域、およびより薄い領域のダイオード部分に形成される。
【0010】
より軽くドープされた層がダイオード領域でより薄く(すなわち、トランジスタ領域でより厚く)形成される限り、これは、赤の感度が低下するという点で、上記のメカニズムを介した特性線の適応の改善のダイオード部分に影響を与える。対照的に、より厚い領域では、トランジスタは、図面の平面の垂直方向から見てより厚い構造にすることもでき、より軽くドープされた層、またベース層およびエミッタ層は、より軽くドープされた層の厚い領域により厚いものとして構成することができ、それによりトランジスタ特性の変動をより簡単に減らすことができる。
【0011】
ベース層が(トランジスタ部分において)より厚い領域を有し、(ダイオード部分において)より薄い領域を有する限り、これは、光電流生成に対するベースドーピングの好ましくない反応が、その下に配置されたより軽くドープされた層の短波光によって低減され、それによりダイオード部分の相対感度が短波長(青)に対して増加するという効果を有する。次に、より軽くドープされた層の厚さを、従来の値まで、赤の抑制に理想的である値よりもほぼ一定のより高い値に選択することができる。その場合、トランジスタ部分は、より厚く、したがってより再現性のある方法で設計することもできる。
【0012】
実施形態は、好ましくは組み合わされ、すなわち、より軽くドープされた層とベース層の両方が、赤の減少と青の増加の効果を組み合わせるように、ダイオード部分のより薄い領域で形成される。
【0013】
感光性半導体部品の形成方法であって、コレクタ層として第1の導電型(conductivity type)の半導体基板を提供し、その上に第1の導電型の低ドープ層(less doped layer)を形成し、その中またはその上に第2の導電型の半導体ベース層を形成し、ベース層領域の一部がエミッタ層によって覆われないように、その中またはその上に第1の導電型のエミッタ層を形成する、ステップを備え、低ドープ層および/または半導体ベース層は、異なる厚さの領域として形成され、エミッタ層は、低ドープ層および/または半導体ベース層の最大の厚さの領域に形成される、形成方法が提供される。
【0014】
より具体的には、感光性半導体部品の形成方法であって、a)コレクタ層として第1の導電型の半導体基板を提供し、b)第1の導電型の低ドープ層を形成することであって、第1の閾値よりも小さい第1の厚さの低ドープ層の第1の領域を、基板の第1の領域に形成し、第1の閾値よりも高い第2の閾値よりも高い第2の厚さの低ドープ層の第2の領域を、基板の第2の領域の上またはその中に形成し、ここで、第1の領域および第2の領域は、基板表面上または基板表面内で互いに隣接している、または、基板表面上または基板表面内におけるそれらの領域の間に遷移領域を含む、または、その遷移領域内に低ドープ層の遷移領域が形成され、低ドープ層のドーピング濃度は、基板のドーピング濃度よりも小さく設定されるように、第1の導電型の低ドープ層を形成し、c)第2の導電型の半導体ベース層を、低ドープ層上またはその中に形成することであって、低ドープ層の第1の領域の少なくとも一部の上に第1のベース層領域を有し、低ドープ層の第2の領域の少なくとも一部の上に第2のベース層領域を有し、かつ、選択的に低ドープ層の遷移領域の少なくとも一部の上に遷移ベース層領域を有する、第2の導電型の半導体ベース層を、低ドープ層上またはその中に形成し、d)第1の導電型のエミッタ層を形成することであって、第1のベース層領域の少なくとも一部がエミッタ層で覆われないように、第1の導電型のエミッタ層を、第2のベース層領域上またはその中に形成する、ステップを備えた、感光性半導体部品の形成方法が提供される。
【0015】
半導体の低ドープ層の第1の領域および第2の領域は、a)低ドーピング度を有する第1の半導体層を、最初に、好ましくはエピタキシャル(epitaxially)に、半導体基板に適用し、b)次に、第1の半導体層を、基板表面の第1の領域上に、好ましくは基板のドーピング度まで、またはそれよりも高い、またはそれよりも低いドーピング度までさらにドープし、c)次に、低ドーピング度を有する第2の半導体層を、好ましくはエピタキシャルに、第1の半導体層に適用する、ことによって製造されうる。
【0016】
半導体の低ドープ層の第1の領域および第2の領域は、a)低ドーピング度を有する第1の半導体層を、最初に、好ましくはエピタキシャルに、半導体基板に適用し、b)次に、第2の半導体層を、第1の半導体層に適用することであって、基板表面の第1の領域より上ではなく、基板表面の第2の領域より上の第1の半導体層に適用する、ことによって製造されうる。
【0017】
半導体の低ドープ層の第1の領域および第2の領域は、a)半導体の低ドープ層の第2の領域における厚さの低ドーピング度を有する半導体層を、最初に、好ましくはエピタキシャルに、半導体基板に適用し、b)次に、基板表面の第1の領域の上の半導体層を、好ましくはエッチングにより、低ドープ層の第1の領域の厚さに達するまで除去する、ことによって製造されうる。
【0018】
上記の方法はまた、a)低ドープ層が、基板上に均一な厚さまたは不均一な厚さで形成され、b)ベース層が、低ドープ層に拡散され、c)次に、ベース層の一部の領域が、さらに深くされ、d)次に、エミッタ層が、ベース層の深くされた領域の中またはその上に形成される点において提供される。
【0019】
上記の方法では、第1の導電型がnドーピングであり、第2の導電型がpドーピングである。しかしながら、その逆であってもよい。
【0020】
感光性半導体部品は、a)コレクタ層としての第1の導電型の半導体基板と、b)その上に、異なる厚さの領域を有する第1の導電型の低ドープ層と、c)低ドープ層の領域の少なくとも一部の上にある第2の導電型の半導体ベース層と、d)ベース層の少なくとも一部の上にあるが、低ドープ層の薄い領域の上に配置されたベース層の少なくとも一部の上にはない、第1の導電型のエミッタ層と、を有する。
【0021】
更なる感光性半導体部品は、a)コレクタ層としての第1の導電型の半導体基板と、b)その上の、第1の導電型の低ドープ層と、c)低ドープ層の領域の少なくとも一部の上にある複数の異なる厚さの領域を有する、第2の導電型の半導体ベース層と、d)ベース層の厚い領域の少なくとも一部の上にあるが、ベース層の薄い領域の少なくとも一部の上にはない、第1の導電型のエミッタ層と、を有する。
【0022】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による半導体部品の実施形態を示す図である。
図2】概略的に、第1の製造方法を示す図である。
図3】概略的に、第2の製造方法を示す図である。
図4】概略的に、第3の製造方法を示す図である。
図5】半導体素子のさらなる実施形態の断面図である。
図6】さらなる製造方法を示す図である。
図7】さらなる製造方法を示す図である。
図8】ウェーハの平面図である。
図9】先行技術の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、単一の半導体部品1の断面を概略的に示す。その断面は、図8では、矢印A-Aで示された図面の平面に垂直な破線に沿って位置する。図1では、図5と同様に、光の入射領域は、図の上部に露出している半導体コンポーネントの表面であると解釈される。半導体コンポーネントは、一般に、基板10上に構築され、その厚さt9は約100μmであってもよく、例えば、200μmまたは300μmより大きくてもよく、かつ1mmより小さくてもよく、または700μmより小さくてもよい。
【0025】
図1に示される基板10は、高度にnドープ(n+)されている。基板よりも軽くnドープ(n-)された層11がその上に配置されている。pドープされたベース層は12で示され、n+ドープエミッタ層は13で示される。
【0026】
図1は、より軽くドープされた層(more lightly doped layer)11の厚くされた部分と、トランジスタ領域に対応する、図の右側の、ベース層12の厚くされた部分と、を組み合わせて示す。軽くドープされた層の厚さ(他の層の厚さも同様)は、ここでは、半導体コンポーネントの自由表面2から開始して測定されたものとして理解されるべきであり、したがって、その上の層の厚さを含む。
【0027】
図1において、t1は、より軽くドープされた層11のより薄い領域における厚さを示し、t2は、より軽くドープされた層11のより厚い領域における厚さを示し、t3は、ベース層のより薄い領域における厚さを示し、t4は、ベース層12のより厚い領域における厚さを示す。図1の図は、より軽くドープされた層11が厚く設計された所(図の右側、半導体コンポーネントのトランジスタ部分)では、ベース層12も厚く設計されていることを示しており、逆の場合も同様である(図の左側の半導体コンポーネントのダイオード部分)。
【0028】
図1の実施形態では、以下に説明するように、より軽くドープされた層11の厚さの異なる設計は、より軽くドープされた層の(下方の)領域がさらにドープされるという点においてもたらされる。この領域は、図1の10aで示された領域であり、そのドーピング強度は、基板10の(n+)に対応する。より軽くドープされた層11およびベース層12の厚い領域および薄い領域が、平面図および図1のセクションで左から右の方向に互いに隣接するように配置され、せいぜいそれらの間に遷移領域を有する。10-1は、基板の上に、より軽くドープされた層11のより薄い厚さの第1の領域11-1と、ベース層12のより薄い厚さの第1の領域12-1と、が配置された基板の領域を表す。これは、半導体部品のダイオード領域にほぼ対応する。10-2は、基板の上に、より軽くドープされた層11のより厚い厚さの第2の領域11-2が配置され、かつ/または、ベース層12のより厚い厚さの第2の領域12-2が配置された、基板の領域を表す。これは、半導体部品のトランジスタ領域にほぼ対応する。前記の寸法/厚さが互いに合流する特定の幅wの遷移領域10-3は、基板上の領域10-1と10-2との間に配置される。より軽くドープされた層11の遷移領域11-3およびベース層の遷移領域12-3は、基板の遷移領域10-3の上に配置される。
【0029】
図1の設計の効果は次のとおりである。適切な寸法の赤抑制の関係は、本質的にフォトダイオードに対応する領域10-1、11-1、および12-1に設定される。より軽くドープされた層11の厚さt1は比較的小さく、その結果、長波長の顕著な部分が、その下に配置された、例えばより高くn+にドープされた領域10aに吸収され、それにより、再結合(recombination)の高い領域で赤色の吸収が発生し、信号への長波長の寄与が小さくなる。トランジスタ特性の再現性を向上させるための関係は、垂直バイポーラトランジスタに本質的に対応する領域10-2、11-2、12-2、および13に設定される。より軽くドープされた層11の厚さt2およびベース層12の厚さt4(基板表面2から測定)は比較的高く、それにより、トランジスタの既知の平坦な構造から生じるトランジスタの再現可能な特性値を得るための困難性が改善される。
【0030】
より低濃度にドープされた層11の領域の厚さt1およびt2は、基板表面2から開始して決定され、その範囲において、その上のベース層におけるそれぞれの領域の厚さを含むことが指摘される。その結果、ベース層12のより厚い部分12-2の厚さt4は、エミッタ層13の厚さt5を含む。
【0031】
遷移領域10-3、11-3、12-3には独自の技術的機能はない。しかしながら、その領域は、両側で隣接する領域の層の異なる寸法が互いに合流する領域として効果的に存在する。その幅wは、その範囲で存在する必要性と制約によっても決定され、非常に小さくすることができる。
【0032】
図2a~2fを参照すると、より軽くドープされた層11の異なる厚い領域を有する半導体部品の製造プロセスが説明される。この方法は、図1の実施形態を製造するのに適している。
【0033】
一般に、この点で、記載された半導体部品は、個別に製造されるのではなく、図1~5の実施形態について図8に概略的に示されるような、より大きなウェーハ内に互いに隣り合って配置された部品として製造されると言える。図8は、例として、製造プロセスによってより大きなウェーハ70上に再現される、長方形/正方形パターンで製造される多数の半導体部品1の配置を示す。互いに隣接して配置された半導体部品1は、それぞれの適切なプロセスステップによって同じ方法で同時に処理され、それらがそれらの間の自由空間に沿って切断されるという点で最後に個別化される。対照的に、図2(および図3,4,および6)は、単一の半導体コンポーネント1についての手順およびルーチンを、それが単独で製造されたかのように示す。しかし実際には、多くの場合、図8に示すように、他の半導体部品1と並行して製造が行われる。
【0034】
図2aは、半導体材料からなるウェーハ10の提供を示している。半導体材料は、特にn+ドープ濃度までnドープされている。
【0035】
図2bによれば、ドーピング度がより小さいn-の第1の半導体層11aが、好ましくは、表面を覆うように適用される。
【0036】
図2cによれば、層11aの一部は、それが増加したnドーピング濃度に達するようにさらにnドープされているが、それでも基板10のn+濃度を下回るか、または同じ、またはそれよりもさらに高くすることもできる。それにより、一度に、より低濃度にドープされた層11のこの部分は、実際には、より高濃度にドープされた基板10の一部となり、これは、参照符号10aによって示される。
【0037】
図2dによれば、ドーピング度がより小さいn-の第2の半導体層11bが第1の層11aに適用される。図2dに示される処理の後には、左側に厚さt1のより薄い領域を有し、右側に厚さt2のより厚い領域を有する、より軽くドープされた層11が存在する。
【0038】
層11aおよび11bは、エピタキシー(epitaxy)によって適用することができる。これらの層11aおよび11bのn-ドーピングは、好ましくは、層のエピタキシャル塗布と既に一緒に行われていることが好ましい。
【0039】
次に、図2eに従って、ベース層12が形成される。それはpドープされており、より軽くドープされた層11のより薄い部分よりも、より軽くドープされた層11の厚い部分においてより厚くすることができる。このようにして、図2eに示すように異なる厚さt3およびt4が得られる。ここでは、最初に厚い領域12-2のみを生成し、次にその隣の薄い領域12-1のみを生成することができる。基板10のより高濃度にドープされた層に向かって、かつ、さらにドープされた領域10a上に、かなりの空間電荷ゾーンの形成を可能にするように、より軽くドープされた層11の領域が、ベース層12のそれぞれの領域の下に留まることが重要である。
【0040】
図2fによれば、厚さt5のエミッタ層13が最終的にベース層12のより厚い部分に形成される。それは、nドープ物質がベース層12の予めpドープされた領域に拡散されるという点で拡散され得る。エミッタ層13はエミッタとして機能することができる一方、基板層10はコレクタとして機能することができる。垂直に見ると、エミッタ層13は、ベース層12のより厚い部分の一部を所定の位置に残し、その結果、n+13、p12、n-11、およびn+10からなる垂直トランジスタがこのように生じる。対照的に、図2の左側では、p12、n-11、およびn+10a,10で構成されるフォトダイオードが生成される。
【0041】
図3は、より軽くドープされた層11の異なる厚い領域を有する半導体部品を形成するさらなる可能性を示す。図3aおよび3bのステップは、性質上、図2aおよび2bのステップに対応しており、これ以上説明しない。しかしながら、第1の半導体層11aの厚さt1は、より軽くドープされた層11のより薄い領域11-1に対して最終的に望まれるものと同じである。
【0042】
図3cの右側では、第1の半導体層11aの一部の上に、より低いドーピング度の第2の半導体n-層11dが適用される。ここでも、層11cおよび11dは、例えば、適切なマスクによるエピタキシーによって再び適用することができる。第2の半導体層11dは、最終的な所望の厚さt2の2つの層11cおよび11dの全厚が、より低濃度にドープされた層11のより厚い領域11-2に対応するように製造される。その後、基板表面2はもはや平面としては形成されず、階段状に形成される。
【0043】
図3dに従い、次いでベース層12が、例えば、p材料を上から表面に拡散させることによって生成される。これは、ベース層12が、より低濃度にドープされた層11のより厚い領域11-2よりも、より低濃度にドープされた層11のより薄い領域11-1において、より薄い厚さt3を有するように行われ、厚い領域11-2におけるベース層12は、t3より大きい厚さt4を有する。より少ないドープの層11の領域が、表面2に達するベース層12の領域の左側の所定の位置に留まるように製造を行うことができる。
【0044】
最後に、図3eに従って、エミッタ層13が形成され、これはn材料を上からt4よりも小さい所望の厚さt5まで移植することによって生成することができる。
【0045】
その結果、図2の半導体部品に対応する電気的特性の半導体部品が得られる。
【0046】
図4は、半導体部品の製造方法のさらなる実施形態を示す。図4aおよび4bは、性質上、図2のものに対応し、個別に説明しない。しかしながら、より軽くドープされた層11eは、例えばエピタキシーによって、より軽くドープされた層11のより厚い領域11-2の最終的な所望の厚さに対応する厚さt2で最初から生成される。このように、より強くドープされた基板10の層状設計は、コレクタ層としてn+濃度を有するように生成され、より軽くドープされた層11の層状設計は、n-濃度を有するように生成される。
【0047】
図4cに従い、次いでベース層12が、例えば、p材料をより軽くドープされた層11内に上から拡散させることによって生成される。これは、ベース層12のより厚い領域12-2の最終的な所望の層厚に対応する層厚t4に達するまで行われる。
【0048】
簡略化のため、図4dは、2つの可能な順序のそれぞれにおいて実行される2つの追加のワークステップを組み合わせて示す。その一方は、ベース層12の一部が、例えばエッチングによって除去され、その結果、ベース層12は、その領域で厚さt3となり、これに続いて、より軽くドープされた層11が、コンポーネント表面2から測定して、より小さくなった厚さt1となる。他方、エミッタ層13は、例えば、n材料を拡散させることにより、ベース層12の残りのより厚い部分に、厚さt5まで生成される。
【0049】
図5は、より軽く(n-)ドープされた層11が実質的に一定の厚さt6を有するが、ベース層が、性質上、既に前述したように異なる厚さの領域を有する実施形態を示す。フォトダイオードの領域に薄いベース領域(図5の厚さt3)を設けることは、それにより、その下のより軽くドープされた層11の空間電荷ゾーンでのプロセスにおけるベースドーピングの負の反応が低減されるという、コンポーネント特性の適応の改善の本質的な効果を既に有していることが分かっている。したがって、より軽くドープされた層11の厚さt6は、赤の低減に最適な値よりも高い値で選択することができ、その結果、トランジスタ領域も対応してより厚く生成され、したがってより容易に再現可能な特性値を有することができる。より軽くドープされた層11の異なる厚さの領域11-1、11-2を生成するための労力は、この構造によって軽減される。
【0050】
図6は、図5に定性的に示されるように、より軽くドープされた層11の一定の厚さを有する半導体部品を形成する方法を示す。図6aによれば、上記のように、n+ドーピングを有する基板10が最初に設けられる。
【0051】
図6bによれば、例えばエピタキシーによって、n-濃度を有する層11がその上に形成される。これは、最終的な所望の層厚t6で生成される。
【0052】
次に、図6cおよび図6dに従って、異なる層厚の領域を有するベース層12が形成され、例えば、図6cに示されるように、厚さt7の均一に深い層が、半導体の一部の領域(トランジスタ領域)に、最終的な深さとして所望のより厚い層の厚さt7に達するまで、pドーピングによって生成される。次いで、図6dに示されるように、厚さt3のより浅い層12-2が、第2の最終的な深さとして所望のより薄い層の厚さt3に達するまで、隣接領域(ダイオード領域)にpドーピングによって生成される。
【0053】
寸法関係に応じて、図5に示されるように、エミッタ層13が、次に、ベース層12のより厚い領域に拡散されるか、または図6eに示されるように、それは再び、ベース層のより厚い領域に個別に厚さt8まで適用される。後者は、再びエピタキシーによって行われてもよい。この構成方法では、エミッタ層の厚さは、ベース層の厚い領域およびより低濃度にドープされた層の厚さを考慮しない。
【0054】
図7は、さらなる製造プロセスの開始を示す。異なるドープ領域を有するn+ドープ基板10が製造される。均一なn+ベースドーピングを最初に生成することができる。次に、移動性の高いドーピング物質(more mobile doping substances)72(例えば、nドーピング用のリン)および/またはより高濃度のドーピング物質が、後のフォトダイオードの領域10-1にさらに拡散され、これは後のトランジスタの領域10-2ではもはや行われない。それにより、図7aに示されるように、n+ベースのドーピングが、そこで移動性の低いドーピング物質(less mobile doping substances)71(例えば、ヒ素、nドーピング用のアンチモン)とともに維持される。nドーピング用のリンやpドーピング用のアルミニウムなどのより移動性の高いドーピング物質は、他のドーピング物質と比較して拡散係数が高く、他のドーピング物質と比較してそれ以外の条件が変わらない場合の拡散傾向が大きくなる。
【0055】
次のステップでは、低ドープ層(less doped layer)11が、例えばエピタキシーによってその上に構築される。より移動性の高いnドーピング物質72は、層の構築と同時に、および/または、その後ダイオードの領域10-1に個別に誘導されるステップで、上方に隣接する先天的な低ドープ層(a priori less doped layer)11に拡散し、それにより、垂直に見た場合、下部領域10aにおける前記層11のより小さなドーピングは、下からの拡散のために、約n+までのより高い値に増加する。このようにして、上から拡散したドーピング原子72は、基板領域10-2の上のトランジスタ領域のt2の低ドープ層の厚さを、基板領域10-1の上のダイオード領域のt1にまで減少させる。
【0056】
その後、図2に示すように、プロセスが続行される。
【0057】
このようにして、比較的高い垂直寸法のトランジスタが製造され、その特性値も十分に正確に設定することができる。コンポーネント特性の昼光検出への適合は、さらに上で説明したように、ベース層12の薄い領域12-2の提供によって行われる。
【0058】
一般に、製造プロセスに関して、それらは、少なくともコレクタエミッタ層10,13に接点を取り付けるステップ、個別化、ケース収容、接触、およびさらなるステップも含むことを述べなければならない。
【0059】
平面図では、図8に個々の領域が島状に示され、すなわち、個々の半導体コンポーネントのベース領域12は、より軽くドープされた領域11によって互いに分離され、それに沿って個別化が行われる。それぞれの存在するエミッタ層13は、それぞれのベース層12内に完全に島状に配置することができる。
【0060】
寸法の仕様は、以下の条件なしで指定されている場合でも、それぞれが本質的に理解され、選択された表現の組み合わせにより任意なものとして行われる。仕様は、技術的に可能な場合、互いに任意の方法で組み合わせることができると理解されるべきである。
【0061】
ウェーハ10は、100μmよりも高い、または200μmよりも高い、または300μmよりも高い、または400μmよりも高い厚さt9を有してもよく、1mmよりも小さい、または800μmよりも小さい厚さt9を有してもよい。
【0062】
より低濃度にドープされた層11の正味の層の厚さ(図の平面の垂直方向におけるベース層12の下限と高濃度にドープされた層10,10aの上限との間で取られる)は、その第1の領域11-1および第2の領域11-2において、少なくとも1μmまたは少なくとも2μm、かつ/または、最大5μmまたは最大4μmまたは最大3μmであってもよい。
【0063】
より低濃度にドープされた層11の薄い領域の厚さt1は、第1の閾値th1よりも小さく、より低濃度にドープされた層11のより厚い部分11-2の厚さt2は、第2の閾値th2よりも大きい。第1の閾値th1は、7μm、または5μm、または4μm、または3μm、または2μmであり得る。第2の閾値th2は、4μmまたは5μmであり得るか、または一般に、第1の閾値のk2倍であり、ここでk2は、1.1または1.2または1.5または2である。低ドープ層11の第1の領域11-1の最小厚さt1は、第1の閾値th1のk1倍より大きく、ここでk1は、0.1または0.2または0.3である。低ドープ層11の第2の領域11-2の最大厚さt2は、第2の閾値th2のk3倍よりも小さく、ここでk3は、5または3または2または1.5である。
【0064】
第1のベース層領域12-1は、第3の閾値th3よりも小さく、かつ第3の閾値t3の0.1倍または0.2倍よりも大きい厚さt3を有することができ、ここで第3の閾値は3mmまたは2μmであってもよく、または第1の閾値th1の0.2倍または0.3倍または0.4倍であってもよい。第2のベース層領域12-2は、第4の閾値th4よりも大きく、かつ第4の閾値th4の3倍または2倍または1.5倍よりも小さい厚さt4を有することができ、ここで第4の閾値は2μmまたは3μmまたは4μmであってもよく、または第3の閾値th3の1.5倍または2倍または3倍であってもよい。
【0065】
遷移領域10-3の幅wは、第1の閾値th1のk4倍よりも小さくてもよく、または低ドープ層11の第1の領域11-1の厚さのk4倍よりも小さくてもよく、ここでk4は、3または2または1または0.5または0.2である。
【0066】
第1のベース層領域12-1は、第2のベース層領域12-2の厚さt4のk5倍未満の厚さt3を有することができ、ここでk5は、1または0.9または0.7または0.5または0.4である。
【0067】
ベース層12の第1の領域12-1の厚さt3は、より軽くドープされた層11の第1の領域11-1の厚さt1のk6倍であってもよく、ここでk6は、0.2より大きく、または0.3より大きく、かつ/または、0.5未満、または0.3未満、または0.1未満、または0.05未満である。
【0068】
ベース層12の第2の領域12-2の厚さt4は、より軽くドープされた層11の第2の領域11-2の厚さt3のk7倍であってもよく、ここでk7は、0.1より大きく、または0.2より大きく、または0.5より大きく、または0.6より大きく、かつ/または、0.9未満、または0.8未満、または0.7未満である。
【0069】
エミッタ層13の厚さt5は、ベース層12の第2の領域12-2の厚さt4のk8倍であってもよく、ここでk8は、0.2より大きく、または0.4より大きく、または0.6より大きく、かつ/または、0.99未満、または0.9未満、または0.8未満、または0.7未満である。
【0070】
図5のより軽くドープされた層11の厚さt6は、3μmまたは4μmまたは5μmである下限よりも厚く、15μmまたは10μmまたは8μmまたは6μmである上限よりも薄くすることができる。ベース層の厚い領域12-2の厚さt7は、図1のt4の寸法を有しうる。ベース層12の異なる厚さの領域12-2および12-2の形成のための閾値th3およびth4は、図1を参照して説明したとおりであってもよく、またはそれに対して20%または30%または40%減らしてもよい。図5に示されるエミッタ層13の厚さt5は、図1を参照して説明したとおりであってもよく、またはそれに対して20%または30%または40%減らしてもよい。図6に示すエミッタ層13の厚さt8は、下限である1μmまたは2μmよりも厚くすることができ、上限である6μmまたは5μmまたは4μmまたは3μmよりも薄くすることができる。
【0071】
平面図の寸法は次の通りである。半導体コンポーネントはa×bの寸法を有し、ここでaは0.3mm~1mm、好ましくは約0.7mmであり、bは0.3mm~1mm、好ましくは0.7mmである。トランジスタ部分は、表面の5%~35%、好ましくは17%~22%とすることができ、ダイオードは、表面の65%~95%、好ましくは78%~83%とすることができる。
【0072】
以下の程度のドーピングが存在しうる。
・基板10:n+,1017~3×1019
・低ドープ層11:n-,5×1012~1016
・ベース層12:p,1015~1018
・エミッタ層13:n+,5×1018~1020
本明細書において、特徴はまた、それらの組み合わせが明示的に記述されていない場合でも、それらの組み合わせが技術的に可能である限り、互いに組み合わせることができると理解されるべきである。特定の文脈、図面、特許請求の範囲、または実施形態に記載されている特徴も、その文脈、その図面、その請求項、またはその実施形態から切り離すことができると理解されるべきであり、組み合わせが技術的に可能である限りにおいて、他の文脈、図面、請求項、または実施形態と組み合わせることができると理解されるべきである。方法ステップの説明もまた、それを使用して製造された製品の説明として理解されるべきであり、その逆も同様である。
【0073】
層の厚さが対処または寸法決定される範囲内において、特に異なる結果がない場合、それらの厚さは、参照される基板表面から開始して、離間して配置された層の境界までであると理解されるべきである。例えば、t1などのパラメータが厚さに関連付けられている場合、それ自体は、厚さが必ずしも一定の値を有する必要があることを意味するわけではない。層間の遷移がはっきりと描かれていない場合は、遷移領域の中心値を層の境界と見なすことができる。(実質的に)一定の層の厚さに対処する場合、それによって、公称値の±10%または±5%または±2%の許容誤差を有する厚さを理解する必要がある。ベース層に対処する場合、その全体に亘ってトランジスタベースの機能はない。それは、ダイオード、特にそのアノードの一部として局所的に機能する。
【0074】
本発明の説明を簡略化するために、NPNトランジスタが図面に示されている。それらまたは個々の層も、説明の一部でそのように扱われる。しかしながら、これは、それとは逆の構造(PNPトランジスタ)も本発明で使用できることを排除するものではない。導電率(conductivities)は、第1の導電型(first conductivity type)および第2の導電型(second conductivity type)として、請求項において従来の方法で扱われる。図面では、第1の導電型はnドーピングであり、第2の導電型はpドーピングである。図面および説明はこの関連を説明するだけであるが、これは、配置が逆であってもよいこと、すなわち、第1の導電率タイプはpドーピングであり、第2の導電率タイプはnドーピングであることを排除するものではない。
【0075】
基板の第1の領域10-1、基板の第2の領域10-2、および基板の遷移領域10-3の命名は、主に、その上に配置された個々の層の領域の空間配置の説明に役立つ。これらの領域は、多数の実施形態において、基板自体上で区別することができない。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7a
図7b
図8
図9