(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】フィルム包装ティシュー集合包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/60 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B65D75/60
(21)【出願番号】P 2019181555
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夘野 絢子
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058654(JP,A)
【文献】登録実用新案第3009515(JP,U)
【文献】特開2018-076105(JP,A)
【文献】特開平10-152182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面側に把手部を有するガセット包装袋内に、複数個のフィルム包装ティシューが配列されて包装されているフィルム包装ティシュー集合包装体であって、
前記フィルム包装ティシューは、複数のティシュペーパーが折り畳み積層された略直方体形状のティシュペーパーの束をオーバーラップ包装したものであり、その長手方向両端に筒開口封止部で形成される妻面を有し、束の短手側面に対面して前記妻面が位置し、上面にティシュペーパーの取出口形成部を有するものであり、
フィルム包装ティシュー集合包装体は、そのフィルム包装ティシューが、各妻面を把手部のある天面側とその天面側に対向する底面側に向け、妻面及び長側面が略面一となるようにして、複数個で略直六面体形状をなすように配列され、かつ、ガセット包装袋のマチ部分がフィルム包装ティシューの上下面に対面するようにして包装されており、
かつ、ガセット包装袋内に収納されるフィルム包装ティシューの最上部に対応する位置より上方でかつ前記把手部の下方に位置する天面部に、易裂開線により形成された開封部が形成され、
かつ易裂開線上端部は天面部に形成されており、その開封部の天底方向に直交する方向の幅が、フィルム包装ティシューの上下面間の距離の40~100%とされている、
ことを特徴とするフィルム包装ティシュー集合包装体。
【請求項2】
前記取出口形成部の一方の長手方向端部が非カット部であり、他方の長手方向端部がカット部である、
ことを特徴とする請求項1記載のフィルム包装ティシュー集合包装体。
【請求項3】
開封部は、易裂開線を天面側に向かって凸に膨出するように湾曲状に配して形成されている、請求項
1又は2記載のフィルム包装ティシュー集合包装体。
【請求項4】
ガセット包装袋内におけるフィルム包装ティシューの配列が、妻面を突き合わせるようにして天底方向に二段以下である請求項
1~3の何れか1項に記載のフィルム包装ティシュー集合包装体。
【請求項5】
ガセット包装袋内において配列されているフィルム包装ティシュー集合体の天底方向に直交する方向の圧縮率が、80%~100%である請求項
1~4の何れか1項に記載のフィルム包装ティシュー集合包装体。
【請求項6】
フィルム包装ティシューの束充填率が100%以上である請求項
1~5の何れか1項に記載のフィルム包装ティシュー集合包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパーを折り畳み積み重ねたティシュペーパーの束を柔軟な包装フィルムで包装したフィルム包装ティシューを複数個まとめてガセット包装したフィルム包装ティシュー集合包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
カートン箱と言われる紙製の収納箱に、ティシュペーパーの束が内包されているボックスティシューともいわれるティシュペーパー包装体(以下、ボックス品ともいう)がよく知られている。
このボックス品101Bは、外殻である紙製の収納箱の形状安定性に優れるため、
図15に示されるように、一般に五個又は三個を天底方向に積み上げるように配置したうえ、外装フィルム111によって纏められた集合包装(パック包装ともいわれる)の製品形体110Bとされ、販売店の店頭等に多数山積みして販売されることが多い。
【0003】
一方、ティシュペーパー包装体には、ティシュペーパーの束を樹脂製の柔軟な包装フィルムによってフィルム包装ティシューともいわれるティシュペーパー包装体が知られる。
このフィルム包装ティシューとしては、ポケットティシューと称される携帯に適したものがよく知られるが、ボックス品と同様に、据え置きで使用されたり、ボックス品の束の詰め替え用として使用されるフィルム包装ティシューもある。
【0004】
このような主に据え置き等で使用されるフィルム包装ティシューは、内包される束が、最上位のシートを引き出すと次のシートの一部が引き出されるいわゆるポップアップ式となっている。このようなフィルム包装ティシューは、ボックス品に比して包装資材の削減、コンパクト化による輸送コストや携帯性において利点がある。
【0005】
他方で、旧来、このような主に据え置きに用いられるフィルム包装ティシューも、ボックス品と同様に、五個又は三個等の複数個を天底方向に上下面突合せで積み上げるように配置したうえ、外装フィルムによって纏めた集合包装の製品形体として販売されている。
そして、特に、携帯用のものと異なる主に据え置きで使用等されるフィルム包装ティシューの集合包装体は、ある程度の嵩があるため、持ち運びしやすいように天面側に把手部を設けた把手部付きのガセット包装が好ましいとされている。
しかしながら、このガセット包装は、構造上、特に天面側と底面側に空間が形成されるため、ボックス品のように、上下面突合せで五個又は三個のフィルム包装ティシューを天底方向に積み上げるように配置すると、形状安定性がなく、店舗等で販売する際に、店頭で多数を山積みすると崩れてしまうおそれがあった。
【0006】
また、このような五個又は三個等の複数個を天底方向に上下面突合せで積み上げるように配置したうえ、外装フィルムによって纏めた従来の集合包装体では、開封性を高めるためミシン目等を配して、開封部を形成することがある。
しかしながら、この旧来の集合包装体では、例えば、フィルム包装ティシューの長手方向が天底方向に直行する横方向となるため、単に天底方向に直線状にスリットが形成されるようにミシン目等を配しただけの開口形成部とすると、内部のフィルム包装ティシューが取り出しにくいという問題がある。また、反対に、天底方向に直交する横方向に沿ってミシン目等を配するようにして開口形成部を形成すると、把手部を持った際にミシン目を裂く方向の力が加わるため、意図せずに開封されてしまうおそれが高まるという問題がある。
【0007】
他方で、下記特許文献1に示される技術では、フィルム包装ティシューに吸排気孔を形成してフィルム包装ティシューを圧縮可能とし、圧縮状態で集合包装フィルムで拘束するようにしてガセット包装で集合包装することで、全体としてボックス品のように形状保持性を高め、店頭山積みに適するようにしたものが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような圧縮状態が長期間にわたるとティシュペーパーのふんわり感が低下するおそれがある。特に、薬液含有の保湿ティシューのような水分率が高いティシュペーパーや高湿度環境下においてはそのおそれがより高まる。
【0010】
また、ガセット包装は、構造上、特に天面側と底面側に空間が形成されやすいため、フィルム包装ティシューの圧縮性を低くして拘束性を過度に低めると内包されるフィルム包装ティシューが動きやすくなる。フィルム包装テュシューは、包装フィルムの熱融着等により形成される封止部分が硬質となっているため、内包されるフィルム包装ティシューが動きやすくなると、この硬質な部分とガセット包装を構成する外装フィルムが擦れて破断のおそれが高まる。
【0011】
本発明は上記の種々の問題点に解決することにあり、その主たる課題は、内包されるティシュペーパーのふんわり感が低減しがたく、店頭山積み販売等しやすい形状保持性に優れ、さらに集合包装フィルムが破損し難く、内包されたフィルム包装ティシューにおける取り出し性、集合包装体の開封性及び持ち運び性にも優れるフィルム包装ティシュー集合包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための手段は次のとおりである。
第一の手段は、
天面側に把手部を有するガセット包装袋内に、複数個のフィルム包装ティシューが配列されて包装されているフィルム包装ティシュー集合包装体であって、
前記フィルム包装ティシューは、複数のティシュペーパーが折り畳み積層された略直方体形状のティシュペーパーの束をオーバーラップ包装したものであり、その長手方向両端に筒開口封止部で形成される妻面を有し、束の短手側面に対面して前記妻面が位置し、上面にティシュペーパーの取出口形成部を有するものであり、
フィルム包装ティシュー集合包装体は、そのフィルム包装ティシューが、各妻面を把手部のある天面側とその天面側に対向する底面側に向け、妻面及び長側面が略面一となるようにして、複数個で略直六面体形状をなすように配列され、かつ、ガセット包装袋のマチ部分がフィルム包装ティシューの上下面に対面するようにして包装されており、
かつ、ガセット包装袋内に収納されるフィルム包装ティシューの最上部に対応する位置より上方でかつ前記把手部の下方に位置する天面部に、易裂開線により形成された開封部が形成され、その開封部の天底方向に直交する方向の幅が、フィルム包装ティシューの上下面間の距離の40~100%とされている、
ことを特徴とするフィルム包装ティシュー集合包装体である。
【0013】
第二の手段は、
開封部は、易裂開線を天面側に向かって凸に膨出するように湾曲状に配して形成されている、上記第一の手段に係るフィルム包装ティシュー集合包装体である。
【0014】
第三の手段は、
ガセット包装袋内におけるフィルム包装ティシューの配列が、妻面を突き合わせるようにして天底方向に二段以下である上記第一又は第二の手段に係るフィルム包装ティシュー集合包装体である。
【0015】
第四の手段は、
ガセット包装袋内において配列されているフィルム包装ティシュー集合体の天底方向に直交する方向の圧縮率が、80%以上である上記第一~第三の手段に係るフィルム包装ティシュー集合包装体である。
【0016】
第五の手段は、
フィルム包装ティシューの束充填率が100%以上である上記第一~第四の手段に係るフィルム包装ティシュー集合包装体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内包されるティシュペーパーのふんわり感が低減しがたく、店頭山積み販売等しやすい形状保持性に優れ、さらに集合包装フィルムが破損し難く、内包されたフィルム包装ティシューにおける取り出し性、集合包装体の開封性及び持ち運び性にも優れるフィルム包装ティシュー集合包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体の斜視図である。
【
図2】本発明に係る他のフィルム包装ティシュー集合包装体の斜視図である。
【
図3】本発明に係るフィルム包装ティシューを説明するための斜視図である。
【
図4】本発明に係るフィルム包装ティシューの取出口形成部を説明するための上面図である。
【
図5】本発明に係るフィルム包装ティシューの他の取出口形成部について説明するための上面図である。
【
図6】本発明に係るフィルム包装ティシューの別の取出口形成部について説明するための上面図である。
【
図7】本発明に係るフィルム包装ティシューのさらに別の取出口形成部について説明するための上面図である。
【
図8】本発明に係るフィルム包装ティシューの包装構造を説明するための斜視図である。
【
図9】本発明に係るティシュペーパー束を説明するための斜視図である。
【
図10】本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体の開封時の例を示す斜視図である。
【
図11】本発明に係るガセット包装袋を説明するための図である。
【
図12】本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体に係るガセット包装の製造方法及び構造を説明するための斜視図である
【
図13】フィルム包装ティシュー集合包装体の比較形態を説明するための図である。
【
図14】本発明に係る開封部を説明するためのフィルム包装ティシュー集合包装体の上部正面図である。
【
図15】従来のボックス品のティシュペーパー包装体の集合包装の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
【0020】
本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体10(以下、集合包装体ともいう)は、複数組のティシュペーパー2を折り畳み重ねた束3を、柔軟性のある包装フィルム4によって包装したフィルム包装ティシュー1が、複数個、配列されて、天面側に把手部45を有するガセット包装袋13に内包するようにガセット包装されているものである。
【0021】
本発明に係るフィルム包装ティシュー1は、束3をオーバーラップ包装したものである。オーバーラップ包装は、キャラメル包装又は合せ包み包装とも称される包装形態であり、特に
図3、
図8及び
図9に示すように、被包装物である束3を包装フィルム4で長手方向両端に開口4Zが形成されるように筒型に巻き込むようにして包み、その巻き込み方向において重畳する部分4Xを融着処理や接着剤によって接着し、さらに束3を越えて延び出る部分4Yを、束端面の対向する二つの縁の近傍から、前記束3の端面側に折り込み、その際に形成される略三角形又は略台形の片の少なくとも各先端縁部同士を重ねて融着処理や接着剤によって接着して、筒開口4Zを封止して妻面4Aとする包装態様である。
【0022】
このオーバーラップ包装は、妻面4Aが略平面形状となるため包装フィルム4による外装が、箱に近い略直六面体形状となる。また、妻面4Aが包装フィルム4が複数層重ねられたうえで接着されてなるため剛性が高く、潰れがたく略直六面体形状が維持されやすい。
したがって、フィルム包装ティシュー1が、オーバーラップ包装であると、製品形状が略直六面体となるため、
図1及び
図2に示すように、配列して集合包装した際にも、全体として直六面体形状とすることができる。このため集合包装体を整列に複数段積み上げやすく、店頭に山積みして販売しやすい。また、そのように積み上げても包装フィルム4による外装の剛性が高いため内部の束3に圧縮力が加わり難く、ティシュペーパー2のふんわり感が低下し難い。
【0023】
フィルム包装ティシュー1に内包されるティシュペーパーの束3は、ポップアップ式である。ポップアップ式の束3は、特に
図9に示されるように、例えば、縦197±10mm×横217±10mm程度の略方形のティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返した内側2Aに上下に位置する他のティシュペーパー2の折り返した片2Bが位置するようにして、複数のティシュペーパー2が折り畳み積層されているものであり、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片2Bが、上方に引きずられて持ち上げられる。このような束3は、マルチスタンド式、ロータリー式の既知のインターフォルダにより製造することができる。
【0024】
上記のポップアップ式の束3は、各ティシュペーパー2の折り返し縁2Cが並ぶ一対の長手側面3Bと、折り返し縁2Cが並ばない一対の短手側面3Aとを有し、さらに短手側面3Aと長手側面3Bとに連接する一対の平面(上下面)3Cを有する略直方体形状をなす。また、柔らかいティシュペーパー2で構成されるため柔軟性があり圧縮変形しやすい。
【0025】
束3を構成するティシュペーパー2の組数は限定されないが、一般的には2プライ(2枚重ね)又は3プライ(3枚重ね)を1組としてとして100~240組である。束3の大きさは、必ずしも限定されないが、2プライのティシュペーパーを150組、束としたもので、概ね高さ40~50mm×長手方向(幅)160~200mm×短手方向(奥行)90~110mm程度である。なお、この形状に示されるとおり、本発明に係るフィルム包装ティシュー1は、いわゆるポケットティシュー等と称される内包されるティシュペーパーの組数が十~十二組程度で高さが10mm程度の携帯用のものではない。
【0026】
本発明に係るフィルム包装ティシュー1では、筒開口4Zを封止してなる妻面4Aが、束3の短手側面3Aに対面する位置となっているとともに、包装フィルム4の束3の最上位のティシュペーパー2に対面する位置に取出口形成部5が形成されている。特に、フィルム包装ティシュペーパー1は、ティシュペーパー2が二つ折りされ、その折り返した内側2Aに上下に位置する他のティシュペーパー2の折り返した片2Bが位置するようにして、複数のティシュペーパー2が折り畳み積層されたポップアップ式の略直方体形状のティシュペーパー2の束3をオーバーラップ包装したものであり、上面にティシュペーパーの取出口形成部5を有し、束3の折り返し縁2Cが並ばない短手側面3Aに対面して筒開口4Xの封止部である妻面4Aが位置しているものとなっている。
【0027】
このように束3がポップアップ式であると、取出口の形成により束3の最上位のティシュペーパー2を引き出すと、その直近下方に位置する次のティシュペーパーの一部が開封口より露出されるものとなる。また、このように構成されているフィルム包装ティシュー1では、剛性の高い妻面4Aが起立する方向にティシュペーパーが積層される構造となるため、束積層方向(上下方向)からの圧縮力が加わっても、束3が圧縮され難く、ふんわり感が低下しがたい。
なお、フィルム包装ティシュー1は、外圧が加わった際の破裂等を防止するために、内外に連通する吸排気孔が形成されていてもよい。包装フィルム4の束3の折り返し縁2Cが並ばない短手側面3Aに対面する妻面4Aに吸排気孔を設けてもよいが、この位置には吸排気孔がないのが望ましい。妻面4Aに吸排気孔を設けると、妻面4Aの脆弱性が高まるため、剛性が高い妻面4Aを有するというオーバーラップ包装の利点は低下する。
【0028】
ここで、本発明に係る取出口形成部5は、上面4Cの短手方向中部において長手方向に沿って形成されている。この取出口形成部5は、カット部50Cと、タイ部とも称される非カット部50Uとが交互に配されているミシン目や非カット部50Cを設けたスリットカットにより形成することができる。
係るミシン目等で囲まれる範囲である取出口形成部5の内方部分の分離除去や、ミシン目等の裂開により、フィルム包装ティシュー1の上面4Cにティシュペーパー2を引き出すための取出口が形成される。なお、ミシン目とスリットカットを部分的に分けて配するようにしてもよい。これらは、例えば、ダイカットにより形成することができる。
【0029】
本発明に係る取出口形成部5は、長手方向端部5A,5Bが、長手方向の外方に向かって凸となる形状を有しているのが望ましい。例えば、
図4~
図6に示すように、長手方向端部5A,5Bに位置するミシン目等が、長手方向外方に向かって凸に膨出するように湾曲して配されている形状が挙げられる。また、
図7に示すように、長手方向端部5A,5Bに位置する易裂開線が、長手方向外方に向かって凸のV字型や楔型、W型に配されている形状が挙げられる。
【0030】
このように、長手方向端部5A,5Bが、長手方向の外方に向かって凸となる形状とすると、一方端部の凸となる部分を摘みやすく、その摘んだまま他方端部に向かって連続的に引き剥がしやすく、開封性に優れるようになる。また、取出口から一部が露出された状態となるティシュペーパーの根本部分が凸部分に沿って変形するため起立しやすくなり、内部へ落ち込み難くなる。
【0031】
特に、好適な取出口形成部5の形状としては、
図5及び
図6に示すように、上面4Cの短手方向中央部において、長手方向に延在するスリット部51と、このスリット部51の端部に連通し、長手方向にスリット部51より離れるにつれて漸次広くなる拡幅部52と、これに連続して長手方向外方かって凸に膨出する湾曲部53を有している形状であるのが望ましい。この場合、取出口形成部5の存在部分の長さL3は、束3の長手方向長さL4よりも短く、概ね束3の長手方向長さL4の60~80%であるのがよい。
【0032】
スリット部51の幅(短手方向長さ)は、短手方向に10mm以下、好ましくは7mm以下である。
図6に示すように直線状のミシン目を開封してできる幅が実質的にないものでもよい。但し、取出口形成部5は、
図4~
図5、
図7に示すように、ミシン目等が略環状に形成されていると、一方の長手方向端部5Aから他方の長手方向端部5Bへと取出口形成部5の内方部分を連続的に引き剥がすことができ、簡易に取出口を形成することができる利点がある。
【0033】
上記の
図5、
図6に示す取出口形成部5の形状として形成される取出口は、上記スリット部51の縁近傍51Aが上下方向に動きやすい自由な縁片となるため、束3から一組のティシュペーパー2を引き出す際には、その縁片が引き出される方向に変形し、次の露出する一組のティシュペーパーに対しては凭れて支持するようになる。また、束3から引き出されたティシュペーパーに続く、取出口から一部が露出する次のティシュペーパーが、湾曲部53の縁に沿ってその長手方向の縁部が巻かれるため起立性の高い形状に変形しやくなる。特に、この
図5及び
図6に示される取出口形成部5では、外装が直六面体形状となるオーバーラップ包装で生じやすい、ティシュペーパーの内部の空間への落ち込みが生じ難いものとなる。
【0034】
なお、取出口形成部5を形成するミシン目や非カット部を有するカットスリットにおけるカットタイ比としては、用いるフィルムの破断のしやすさにより適宜に定めることができるが、好ましい例としては、カット部の長さが0.8mm以上5.0mm以下、非カット部(タイ部)の長さが、0.3mm以上5.0mm以下である。また、本発明に係る取出口形成部5は、全てをミシン目で形成するのではなく、長手方向端部5A,5Bをアンカット部を設けたスリットカットにより形成し、その間をミシン目により形成するのが望ましい。
図5及び
図6に示すのであれば、スリット部51及び拡幅部52をミシン目により形成し、湾曲部53については一部にアンカット部を設けたスリットカット又はスリットカットにより形成するのがよい。湾曲部53側から取出口を開口しやすくなる。
【0035】
ここで、本発明に係る取出口形成部5は、上記のとおり長手方向端部5A,5Cが外方に向かって凸となる形状を有しているとともに、さらに、その少なくとも一方の長手方向端部5Aにおける長手方向端が非カット部50Uとされているのが望ましいが、これは、長手方向端が非カット部50Uとされていることにより、その非カット部50Uが設けられている長手方向端部5A側から反対の長手方向端部5B側へ向かって、フィルム包装ティシューの上面上を擦られることがあっても、取出口形成部5の長手方向端部5Aが捲れ難く、意図せず開封されてしまうおそれが各段に小さくなるからである。他方で、取出口形成部5は、より好ましくは、一方の端部5Bは長手方向端がカット部50Cとされ、他方の端部5Aは、長手方向端が非カット部50Uとされているのがよい。この形態の取出口形成部5は、非カット部50Uが設けられている長手方向端部5A側から反対の長手方向端部5B側へ向かって、フィルム包装ティシューの上面上を擦られることがあっても、取出口形成部5の長手方向端部5Aが捲れ難く、意図せず開封されてしまうおそれが各段に小さくなるとともに、長手方向端がカット部50Cとなっている端部5Bでは、その端縁を摘まみやすくなり、開封操作性に優れるものとなる。そして、本発明に係るフィルム包装ティシュー1のこの取出口形成部5の構成は、本発明に係るフィルム包装ティシュー1の配列形態でガセット包装袋内に内包する際、さらに内包された後において、端部5Aの捲れが発生し難く、優れた利点を有するものとなる。
【0036】
フィルム包装ティシュー1の外装を構成する柔軟性のある樹脂製の包装フィルム4の具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが例示できる。また、サトウキビ、芋(デンプン)、トウモロコシといった植物原料に由来するバイオマスフィルムを用いることもできる。このようなバイオマスフィルムの使用は、環境保護の観点から望ましい。
コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好適である。また、包装フィルム4は、意匠性や手触り性に優れる梨地フィルムであってもよい。さらに、香り付きのティシュペーパーなど臭気のあるものを包装するのであれば、保香性に優れるエチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが望ましい。エチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの一方面または両面に、ポリエチレン樹脂製フィルムやポリプロピレン樹脂製フィルムを積層して熱融着性が高められた複層の樹脂フィルムであってもよい。
【0037】
包装フィルム4の厚さは、柔軟性、コスト、気体透過度、包装時における熱融着性を考慮して適宜に選択すればよいが、好ましくはJIS P 8118(1998)に準拠して測定される厚みが25~75μm、JIS L 1096(2010) E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定されるソフトネスが5.0~50.0cNであるのが望ましい。厚みが25~75μmあれば、妻面4Aの剛性が十分に高まる。また、係る厚み及びソフトネスであれば包装フィルム4が破れ難く、また、ティシュペーパーの取り出し性、特にポップアップ性に優れるものとしやすい。なお、厚みは、測定試料をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G-1A型」(株式会社尾崎製作所製)及びその相当機を用いて測定する。
【0038】
他方で、本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体10は、複数個のオーバーラップ包装されたフィルム包装ティシュー1が、ガセット包装袋13内で妻面4Aを把手部のある天面側と天面側に対向する底面側とに向け、長手方向が天底方向に沿うようにして、ガセット包装されている。
【0039】
ガセット包装は、天底側の熱融着等による接着部分41,42の間にある袋状の空間に被包装物が内包され、特に、正面と背面との間にマチ部分43,43を有する包装形態である。ガセット包装は、例えば、
図11及び
図12に示すように、ガセットチューブ40ともいわれる筒状のガセット包装フィルム14の側部40E,40Eを袋内側に折り込みして偏平にしたガセットチューブの天面側となる部分を熱融着して天面側の開口を天面側封止部41として封止するとともに把手部45を形成し、その後にこの天面側のみが封止されたガゼット包装袋前駆体の底面側開口40Xを拡開してそこから被包装物であるフィルム包装ティシュー1,1…を挿入し、その後に底面側も熱融着等の適宜の封止手段にて封止して下部封止部42を形成するようにして製造される。ガゼット包装では、外装となるガセット包装袋13は、偏平状態において折り込まれた側部40E, 40Eが開かれて形成されるマチ部43,43と、このマチ部43に連接する各面とを有する。なお、各マチ部43,43に連接する二つ目の面は、正面46及び背面46であるが、正面46及び背面46は相対的なものであり、いずれの面を正面とするかは限定されるものではない。
なお、取出口形成部5を、カット部50Cと非カット部50Uとが交互に配されているミシン目等を外方に向かって凸となる形状を有し、その少なくとも一方の長手方向端部5Aにおける長手方向端が非カット部50Uとされているものとする場合、フィルム包装ティシューの集合体をガセット包装袋の前駆体である一方閉じの袋体又は両端開口の筒状フィルム内に挿入する際に、非カット部50Uのある側から挿入するようにすると、挿入の際に、ガセット包装袋を構成するガセット包装フィルム14と、フィルム包装ティシュー1の上面4Cに形成された取出口形成部5が擦れることがあっても、取出口形成部5がその長手方向端部5A側から捲れることがなく、製造の際に意図せず、取出口形成部5が裂開して開封されてしまうことが防止される。また、そのような取出口形成部5の一方の長手方向端部5Aが捲れた状態の見栄えの悪い集合包装体が形成されることも防止される。
【0040】
把手部45は、集合包装体の持ち運び性を高めるために、フィルム包装ティシュー1が内包される袋部分との天面側の境となる天面側封止部41よりさらに天面側に設けた余剰部分である。図示の形態では、指掛け孔47が形成されている。このように把手部45に指掛け孔47が形成されていると集合包装体の持ち運び性がより高まる。なお、指かけ孔47ではなく、指かけが可能となる開口が形成されるスリットでも同様であり、本発明も指かけスリットとしてもよい。
【0041】
ガセット包装フィルム14としては、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルムであるのがコスト面及び開封性の点で望ましい。フィルムの融点は150℃以下であるのがよい。なお、包装フィルムの融点が低いほうが低温で熱融着処理でき、封止や把手部の形成において好ましいが、過度に融点が低い場合には、フィルム包装ティシュー1の特に妻面4Aの四角部分4tとの摩擦などによって傷が付いたり、穴が空くおそれが高まるので、実質的な下限値は80℃である。ポリエチレンフィルムとしては、直鎖低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)が挙げられる。なかでも、本発明においては、熱融着性及びコストの点で、密度0.910~0.940g/cm3で融点が110~120℃の直鎖低密度ポリエチレンフィルム層(LLDPE)が、特に適する。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムを用いてもよい。包装フィルム4と同様に、サトウキビ、芋(デンプン)、トウモロコシといった植物原料に由来するバイオマスフィルムを用いることもできる。ガセット包装フィルムにバイオマスフィルムを使用するのも、環境保護の観点から望ましい。
ガゼット包装袋13を構成するガセット包装フィルム14の厚さは、柔軟性、コスト、包装時における熱融着性に加えて、開封時に容易に開封できる引裂き性、内包されるフィルム包装ティシュー1の特に妻面四角部4tに対する耐摩耗性、さらに把手部に設けられた指かけ孔に指を通して持ち運ぶ際に指に過度の負荷がかからない柔軟性等、ガセット包装特有の事情に加えて内包されるフィルム包装ティシュー1との関係を考慮して適宜に選択する。
【0042】
このような点から好ましいガセット包装フィルム14の厚み及びソフトネスは、JIS P 8118(1998)に準拠して測定される厚みが10~65μm、JIS L 1096(2010) E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定されるソフトネスが5.0~50.0cNである。
【0043】
特に、ガセット包装袋13を構成するガセット包装フィルム14のソフトネスを、フィルム包装ティシュー1を構成する包装フィルム4のソフトネスより低くするのが望ましい。天面側に把手部を有するガセット包装袋13は、把手部45を持った際に、ガセット包装袋13が天底方向に引っ張られるため、その際に内包される被包装物であるフィルム包装ティシュー1,1…に圧が加わることがあるが、ガセット包装フィルム14のソフトネスを低くすることで、内包されるフィルム包装ティシュー1の直六面体形状が変形し難くなり、内部の束3を圧せずふんわり感を低下させがたくなるとともに、ポップアップ性等の取り出し性も悪化させ難い。
【0044】
本発明に係るフィルム包装ティシュー集合体では、ガセット包装袋14内におけるフィルム包装ティシュー1の配列形態としてが、図示のように、妻面4A及び長側面4Bが略面一となるようにして複数個のフィルム包装ティシュー1,1…が全体として略直六面体となるように配列されている。このように略直六面体に配列されていると集合体全体として安定性及び形状保持性の高まり、外力によって崩れたり潰れたりし難くなる。また、このように配列されていると、フィルム包装ティシュー1の集合体は、天底面に剛性の高い妻面集合面が形成された直六面体形状となるため、特に天底方向から外力によって、フィルム包装ティシュー1が潰れたり、フィルム包装ティシュー1が破損したりするおそれが少なくなる。
【0045】
ここで、上記のとおり天面側に把手部45を有するガセット包装袋13は、把手部45を持った際に、ガセット包装袋13が天底方向に引っ張られるため、その際に内包される被包装物とガセット包装フィルム14とが擦れることがある。ガセット包装袋13では、包装袋の前駆体であるガセットチューブ時の折筋14Eである、マチ部43と正面46との間の稜線14E及びマチ部43と背面46との稜線14Eが脆弱な場合がある。
図11に示すように、特に、ガセットチューブ40は、一枚のシートを筒状にして端縁を接着してチューブ状に形成し、折筋14Eの一つが接着縁部49となっているものがあり、このように構成されたガセットチューブに由来するガセット包装袋13では、特にその接着縁部49に係る折筋14Eが裂けやすい。さらに、特に天面側に把手部45を有するガセット包装では、天面側に若干の空隙が形成されるため、天底方向に直交する方向に比して天底方向における被包装物の拘束性が弱い傾向にある。その一方で、オーバーラップ包装では、筒開口封止部で形成される妻面4Aの特に四角部分4tの剛性が高く鋭利になりやすい。
【0046】
したがって、携帯用のフィルム包装ティシューに比して質量がある据え置き型として使用されるようなフィルム包装ティシューでは、例えば、比較形態として
図13に示すように、オーバーラップ包装の筒開口を封止した妻面104Aを有するフィルム包装ティシュー101Aを、従来のボックス品と同様に、その妻面104が天底方向に直交する方向に向くようにして積み上げて配列した形態110Aとすると、多数の妻面104Aの四角部104tがガセット包装袋と擦れる位置となり、把手部145をもって運ぶ際に、天面側にある空間110Zフィルム包装ティシュー101Aが十分に拘束されずガセット包装袋113内で動き、フィルム包装ティシュー101Aの多数の妻面104Aの四角部104tがガセット包装袋113と擦れ、特にマチ部43と正面との間の稜線114Eの近傍114Z及びマチ部と背面との稜線114Eと近傍114Zの脆弱な部分が裂けてしまうことがある(
図9中裂けた部分を符号200で示す)。特に、比較形態のように被包装物が直六面体形状であり、ガセット包装袋113の天底方向に沿う四方縁、つまりマチ部と正面との間の稜線114E及びマチ部と背面との稜線114Eと、妻面104Aの四角部104tとが一致しやすいと破損のおそれが顕著となる。このような、破損は、軽量な携帯用のフィルム包装ティシューでは生じないが、質量がある据え置き型として使用されるようなフィルム包装ティシューでは、顕著に生じやすい。
【0047】
本発明に係る集合包装体は、フィルム包装ティシュー1,1…が、各妻面4Aが把手部45のある天面側とその天面側に対向する底面側に向け、長手方向が天底方向に沿うようにして包装されているため、このようなおそれが各段に小さい。このようなおそれがより低下するように、ガセット包装袋13内におけるフィルム包装ティシュー1の数及び集合形態は、天底方向に二段以下であるのが望ましい。天底方向に二段を超えると集合包装体の形状維持性が低下する。具体的には、本発明に係る集合包装体10では、フィルム包装ティシュー1の長手方向が天底方向に沿う方向となるため、二段を超えて三段以上となると天底方向の起立性が悪化し、段間でのずれが生じやくなりガセット包装フィルム14とフィルム包装ティシュー1との擦れが発生しやすくなる。そのうえ、フィルム包装ティシュー1の妻面4Aの四角部4tとガセット包装フィルム14との易接触個所も増加するためガセット包装フィルム14の破損のおそれが高まってしまう。ただし、少なくとも同数を包装するのであれば、参考形態のように妻面4Aが天底方向に直交する方向に向くようにして積み上げるより本発明に係る配列形態のほうが優れる。
【0048】
さらに、上記のとおり、天面側に把手部45を有するガセット包装袋13は、把手部45を持った際、さらにその後に底側を下にして載置する際に、ガセット包装袋13が天底方向に引っ張られ、その際に内包されるフィルム包装ティシューと、被包装物とガセット包装フィルム14とが擦れることがある。その際、特に内部の余裕空間が多くある天面側において、擦れやすい。したがって、上記のように、カット部50Cと非カット部50Uとが交互に配されているミシン目等により形成され、長手方向端部5A、5Bが外方に向かって膨出する形状を有し、かつ、その少なくとも一方の長手方向端部5Aにおける長手方向端が非カット部50Uとされている好ましい取出口形成部5を有するフィルム包装ティシューでは、非カット部50Uのある側が天面側に位置するように包装されていると、係る擦れが発生した際に取出口形成部5の端部5Aが捲れたり、意図せず開封されるおそれが小さくなる。
【0049】
フィルム包装ティシュー1の天底方向に直交する方向における配列数は特に限定されないが六列以下であるのが望ましい。好適な形態の例としては、
図1のように、天底方向に一段、天底方向に直交する方向に五列又は図示はしないが六列の合計五個又は六個の配列形態、又は、
図2に示されるように天底方向に二段、天底方向に直交する方向に五列又は図示しないが六列の合計十個又は十二個の配列形態、さらに図示はしないが、天底方向に一段、天底方向に直交する方向に五列又は六列、さらに正面背面方向に二列の合計十個又は十二個の配列形態がよい。これらの配列形態は、直六面体形状の維持性や起立安定性に優れるとともに、持ち運び性や店頭での山積み性に優れ、さらに一般的な購買頻度に対して十分な数の商品とすることができる。
【0050】
ここで、本発明に係る集合包装体10では、特徴的に、開封を容易にするための易裂開線により形成された開封用の開封部70が形成されている。易裂開線としては、ミシン目や非カット部を有するカットスリット等が挙げられる。易裂開線におけるカットタイ比としては、用いるフィルムの破断のしやすさにより適宜に定めることができるが、好ましい例としては、カット部の長さが0.8mm以上5.0mm以下、非カット部(タイ部)の長さが、0.3mm以上5.0mm以下である。また、本発明の開封部70に係る易裂開線は、全てをミシン目で形成するのではなく、一部をミシン目により形成し、他の部分をアンカット部を設けたスリットカット又はスリットカットにより形成してもよい。
【0051】
開封部70の配設位置は、特に
図14に示すように、ガセット包装袋内に収納されるフィルム包装ティシュー1の最上部に対応する位置X1より天面側でかつ前記把手部45の下方に位置する天面部44とする。この位置には、フィルム包装ティシュー1が存在しないため開封部70を指等で押し込むことで容易に易裂開線を裂開させることができる。好ましい形態である図示例では、正面46又は背面46から把手部45に至る天面部44であって指かけ孔47の設けられた部分の下端から正面46及び背面46に至る範囲Z1である。図示はしないが、指かけ孔47ではなく指かけスリットが設けられた部分の下端から正面及び背面に至る範囲でも同様である。
天面部44では、指かけ孔47に指をかけて持ち上げた際に、天面部44に加わる力が指かけ孔47の位置によって異なる。具体的には、指かけ孔47が設けられていない部分の下端から正面26及び背面26に延出する領域に対して、把手部45の指かけ孔47が設けられた部分の下端から正面46及び背面46に延出する領域Z1の方が、引っ張られる力が小さい。また、天面部44は、ユーザーの目につき易い部分である。したがって、このような位置に開封部70を設けると、持ち運びの際に意図せず開封することがなく、また、開封部70を視認しやすくなる。
【0052】
開封部の形状は、少なくとも天底方向に直交する横方向に幅L5を有する形状とする。そして、この幅L5が、フィルム包装ティシューの上下面間の距離の40~100%となるようにする。40%未満であるとフィルム包装ティシューを取り出しがたく、100%を超えると一つを取り出した後の残りのフィルム包装ティシューが開封部により形成される開口から意図せず脱落するおそれが高まる。開封部70の具体的な形態としては、
図1、
図2、
図14に示す形態のように、易裂開線を把手部45のある天面側に向かって凸に膨出するように湾曲形状に配して形成されるものが挙げられる。例えば略円弧形状であるのが望ましい。この形状であれば、天面部44への配設位置と相まって開封部70を押し込んでミシン目等を裂開させることで摘み片70Aが形成しやすく、これをもって底面方向に引っ張れば、
図10に示すように、ガセット包装袋正面及び背面の少なくとも一方にかけて容易に、フィルム包装ティシュー1を取り出しやすい幅L5の開封口が形成される。なお、開封部のフィルムに沿う天底方向の長さ範囲L6は5~15mmであるのが望ましい。
【0053】
なお、開封部の幅L5に係るフィルム包装ティシューの上下面間の距離は、次のように測定する。まず、フィルム包装ティシュー1をJIS P 8111に基づいて標準状態23℃±1℃、湿度50±2%r.hの環境下で24時間調湿したうえ、それらを水平台の上に上面を上方に向けて載置して、妻面4Aの四角部4tの頂点の間の距離L1を四ケ所で測定して平均値を算出する。これをガセット包装されている各フィルム包装ティシューで算出して、その平均値を算出して、フィルム包装ティシューの上下面間の距離とする。
【0054】
さらに、本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体10では、フィルム包装ティシュー1の束充填率が100%以上であるのが望ましい。ここで、束充填率とは、フィルム包装ティシュー1の高さに対する、包装フィルム4から取り出した束3の高さの割合である。具体的な測定方法は、まず、フィルム包装ティシュー1をJIS P 8111に基づいて標準状態23℃±1℃、湿度50±2%r.hの環境下で24時間調湿したうえ、水平台の上に上面を上方に向けて載置して、フィルム包装ティシュー1の高さを測定する。測定値は、妻面4Aの四角部4tの頂点の間の距離L1を四ケ所で測定した平均値とする。次に、フィルム包装ティシュー1から束3を取り出して、JIS P 8111に基づいて標準状態23℃±1℃、湿度50±2%r.hの環境下で24時間調湿したうえ、水平台の上に上面を上方に向けて載置して、束3の上面に、束の上面の各縁(短側縁及び長側縁)より5cm以下の範囲ではみ出す大きさの硬質なアクリル板を載せて束3の高さを計測する。測定値は、妻面4Aに対面する短手側面3Aの四角部の間の距離を四ケ所で測定した平均値とする。次に各測定値から、フィルム包装ティシュー1の高さに対する、包装フィルム4から取り出した束3の高さの割合を算出する。
【0055】
このような束充填率が100%を超えるフィルム包装ティシュー1では、束3が内方から包装フィルム4を押すようになる。そして、オーバーラップ包装では、妻面4Aの剛性が高く伸びたり変形したりしがたい一方で、包装フィルム4の束3の上下面や長手側面に対面する部分では、柔軟性があるため、これらの位置や長手縁1Eが若干膨出するように変形される。そして、このように長手縁1Eが膨出しているフィルム包装ティシュー1を、把手部45のある天面側とその天面側に対向する底面側に向け、長手方向が天底方向に沿うようにして集合包装すると、把手部45をもって天底方向にガセット包装袋が引っ張られた際に、長手縁1Eの膨出によって妻面4Aの四角部4tがガセット包装袋13を構成するガセット包装フィルム14に当たり難くなり、ガセット包装袋13が破断するおそれが低くなる。
【0056】
さらに、本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体10では、ガセット包装袋内において配列されているフィルム包装ティシュー集合体の天底方向に直交する方向の圧縮率が、80%以上であるのが望ましい。ここで、天底方向に直交する方向の圧縮率とは、ガセット包装袋14のマチ部分43がフィルム包装ティシュー1の上下面3Cに対面するようにして包装されている場合に、(フィルム包装ティシューの集合体の非包装時の天底方向に直交する方向の長さ)に対する、(ガセット包装袋のマチ部間の距離(正面又は背面の幅))L2である。フィルム包装ティシュー集合体の非包装時の天底方向に直交する方向の長さは、(フィルム包装ティシューの一つの上下面方向の高さ)×(天底方向に直交する方向の配列数)で算出する。フィルム包装ティシュー一つの上下面方向の高さは、束充填率における高さとは異なり、次のように測定する。
まず、フィルム包装ティシュー集合包装体10から、個々のフィルム包装ティシュー1を取り出し、JIS P 8111に基づいて標準状態23℃±1℃、湿度50±2%r.hの環境下で24時間調湿する。次に、フィルム包装ティシュー1を水平台上に載置し、上面に、上面の各縁(短側縁及び長側縁)より5cm以下の範囲ではみ出す大きさの硬質なアクリル板を載せる。束の上面の大きさが、長手方向(幅)160~200mm×奥行90~110mmであれば、アクリル板の大きさは、250mm×130mmあればよい。質量については32g以下とする。次に、そのアクリル板の四角の水平台からの高さを測定し平均値を算出する。この測定を取り出したフィルム包装ティシュー全てで行う。その算出された平均値のさらに平均値を、フィルム包装ティシュー1の一つの上下面方向の高さとする。この算出した値に配列数を掛けた値を「フィルム包装集合体の非包装時の天底方向に直交する方向の長さ」とする。次いで、ガセット包装袋13のマチ部43間の距離を測定する。測定は、正面46の幅(正面の折筋間)と背面46の幅(背面の折筋間)とを各々3個所測定した平均値とする。次いで、フィルム包装集合体の非包装時の天底方向に直交する方向の長さに対する、ガセット包装袋13のマチ部間の距離(正面又は背面の幅)の割合を算出する。
【0057】
ガセット包装袋13内において配列されているフィルム包装ティシュー集合体の天底方向に直交する方向の圧縮率が、90%を超えると圧縮率が高すぎて、妻面4Aの歪みやティシュペーパー2のふんわり感が低下しやすくなる。圧縮率の上限値は、本発明の包装形態では、特に限定されない。フィルム包装ティシューがガセット包装袋内で過度に動かなければよい。必ずしも100%以下である必要はない。ただし、100%以下であればフィルム包装ティシューの集合体がガセット包装袋を構成する外装フィルムにより動きが拘束されるようになり、外装フィルムの破断が生じ難くなり、さらに、集合包装体の崩れがやく直六面体の形状保持性も高まることから、100%以下であるのがより望ましい。
【0058】
他方で、フィルム包装ティシュー1に包装される束3を構成する個々のティシュペーパー2は、クレープを有する2枚~3枚の薄葉紙が積層されて組とされたプライ構造を有する。このティシュペーパー2は、乾燥されたドライタイプのものであり、薬液が含浸されている所謂ウェットタイプのものではない。したがって、ティシュペーパー2により形成される上記の束3は多くの空気を含むものである。なお、ドライタイプのティシュペーパー2においても、グリセリンに代表されるポリオール等の吸湿によって水分を高める保湿成分等の薬液が付与されている薬液付与タイプのものがあるが、このようなティシュペーパーは含む。むしろ、このような薬液付与タイプのティシュペーパーは、高い水分率によって、圧縮された際の復元性が弱いため、本発明によるふんわり感の低下が少ない作用効果がより効果的に発揮される。なお、薬液付与タイプの水分率は、概ね10~14質量%である。水分率とは、標準状態でティシュペーパー中に含まれる水分の割合である。
【0059】
ティシュペーパー2を構成する薄葉紙の原料パルプとしては、NBKPとLBKPとを配合したものである。古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよい。配合割合としては、NBKP:LBKP=20:80~80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70~60:40がよい。
【0060】
ティシュペーパー2の各プライを構成する薄葉紙1枚あたりの坪量は10~25g/m2である。好ましくは、12~18g/m2である。ここでの坪量は、JIS P 8124(1998)の測定方法によるものをいう。また、ティシュペーパー2の紙厚は、2プライの状態で90~200μmであり、より好ましくは90~140μmである。3プライの状態で120~300μmである。ここでの紙厚は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(株式会社尾崎製作所製)及びその相当機を用いて複数プライの状態で測定した値をいう。
【0061】
上記坪量及び紙厚のティシュペーパーであれば、本発明に係る圧縮率が低い集合包装体とした際に、特に、ふんわり感が低減されずその効果が十分に発揮される。なお、本発明及び本明細書における天底方向、上下方向については、フィルム包装ティシュー集合包装体及びフィルム包装ティシューの向きによって適宜に変更されるものであり、絶対的な方向を意味するものではない。
【実施例】
【0062】
(試験例1)
次いで、本発明に係る開封部とその比較例についてフィルム包装ティシューの取り出し性、開封性、保管性、について試験した。
結果は、下記表1のとおりである。なお、試験に用いたフィルム包装ティシュー集合包装体は、
図1に示すように、フィルム包装ティシュペーパーを一段五列に配列した形態のものとした。また、開封部の形成位置は、
図14に示すZ1の位置とした。フィルム包装ティシューの大きさは、幅181mm×高さ43mm×奥行103mmのオーバーラップ包装のものである。
取り出し性の試験は、開封部を破断し取出口を形成し、そこからフィルム包装ティシューを取り出す操作をした際の操作性を1~5点で評価する官能評価とした。被験者は5人である。評価は、5点…「取り出しやすい」、4点…「やや取り出しやすい」、3点…「どちらでもない」、2点…「やや取り出しにくい」、1点…「取り出しにくい」であり、表中の◎は、被験者平均点が4.5点以上、〇は4.0~4.4点、△は3.5~3.9点、×は3.4以下である。
また、開封性の試験は、開封部を破断して開封して取出口を形成する操作をした際の操作性を1~5点で評価する官能評価とした。被験者は5人である。評価は、5点…「開封しやすい」、4点…「やや開封しやすい」、3点…「どちらでもない」、2点…「やや開封しにくい」、1点…「開封しにくい」であり、表中の◎は、被験者平均点が4.5点以上、〇は4.0~4.4点、△は3.5~3.9点、×は3.4以下である。
また、保管性は、取り出し性試験後の開封部分の面積を計測し、80~99cm
2のものを◎として、それよりも広く開口した100~119cm
2のものを〇、120~139cm
2のものを△、140cm
2以上のものを×と評価した。
【0063】
【0064】
表1に示されるとおり、本発明に係る開封部の構成では、取り出し性、開封性、保管性において優れることが知見された。
【0065】
(試験例2)
次いで、従来のフィルム包装ティシューの集合包装体の形態であるフィルム包装ティシューを上下に五個積み上げて配列した形態でガセット包装した従来市販品に、本発明に係る位置及び構成の開封部を設けた比較例4を作製し、本発明に係るフィルム包装ティシューと、内包されるフィルム包装ティシューの取り出し性を対比した。本発明に係るフィルム包装ティシューは、上記試験例1における実施例4の形態のものを用いた。
【0066】
ここでの取り出し性試験は、開封部を破断した後、破断した部分を下方に向かって引っ張るようにして包装フィルムを裂いて取出口を形成し、そこからフィルム包装ティシューを取り出す操作をした際の操作性を1~5点で評価する官能評価とした。被験者は5である。評価は、5点…「取り出しやすい」、4点…「やや取り出しやすい」、3点…「どちらでもない」、2点…「やや取り出しにくい」、1点…「取り出しにくい」であり、表中の◎は、被験者平均点が4.5点以上、〇は4.0~4.4点、△は3.5~3.9点、×は3.4以下である。
結果は、下記表2のとおりである。
【0067】
【0068】
表2に示されるとおり、本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体では、取出口の上下方向長さが100mmの取出口で十分に取り出すことができる。従来の配列形態のものでは上下方向長さが200mmの取出口でも取り出し性が悪い。
本発明のフィルム包装ティシュー集合包装体であれば従来の配列形態のものに比して上下方向の取出口の長さが短くても十分に取り出しやすいことが知見された。
このように、本発明に係るフィルム包装ティシュー集合包装体では、内包されたフィルム包装ティシューにおける取り出し性、及び集合包装体の開封性に優れる。
【符号の説明】
【0069】
1,101,101A…フィルム包装ティシュー、1E…フィルム包装ティシューの長手縁、
2…ティシュペーパー、2A…折り返した内側、2B…折り返した片、2C…折り返し縁、
3…ティシュペーパーの束、3A…短手側面、3B…長手側面、3C…束の上下面、
4…包装フィルム、4t…妻面の四角部分、4X…包装フィルムの重畳部分、4Y…包装フィルムの延在部分、4Z…包装フィルムの筒開口、4A,140A…妻面、4B…長側面、4C…上面、
5…取出口形成部、5A,5B…長手方向端部、
10,110A…フィルム包装ティシュー集合包装体、13,113…ガセット包装袋、14…ガセット包装フィルム、14E…折筋、
40…ガセットチューブ、40E…ガセットチューブ形態のガセット包装フィルムの側部、40X…ガゼット包装袋前駆体の底面側開口、41…天面側封止部、42…底面側封止部、43…マチ部、44…天面部、45,145…把手部、46…正面,背面、47…指かけ孔、49…接着部、
50C…カット部、50U…非カット部(タイ部)、51…スリット部、52…拡幅部、53…湾曲部、
70…開封部、70A…摘み片、
110Z…空間、110A,110B…ティシュペーパー包装体集合包装体、101…ティシュペーパー包装体(ボックス品)、111…外装フィルム、
L1…妻面の四角部の高さ方向距離、L2…ガセット包装袋の正面又は背面の幅、L3…取出口形成部5の長手方向長さ、L4…束の長手方向長さ、L5…開封部の幅