(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
(21)【出願番号】P 2020023690
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】西野 高明
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-049639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に通信可能な
3個以上の通信装置を含む通信システムであって、
前記
3個以上の通信装置各々は、
前記
3個以上の通信装置の内の自己が通信可能となっている通信装置である相手方通信装置との間で電力線を介して情報を送受信するための第1送受信手段と、
前記相手方通信装置との間で通信専用線を介して情報を送受信するための第2送受信手段と、
前記相手方通信装置との間で電波を介して情報を送受信するための第3送受信手段と、を備え
、
前記通信システムは、選択手段、を更に備え、
前記3個以上の通信装置各々は、格納手段、を更に備え、
前記選択手段は、
前記3個以上の通信装置各々における、前記第1送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信に関する応答時間、前記第2送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信に関する応答時間、及び前記第3送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信に関する応答時間に基づいて、
前記3個以上の通信装置各々において前記相手方通信装置の中の通信を行う通信相手となる通信対象装置と、前記3個以上の通信装置各々において前記第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段であって前記3個以上の通信装置と前記相手方通信装置との通信で用いられる前記1個の送受信手段と、を選択し、
前記格納手段は、
前記選択手段に選択された前記通信対象装置と前記1個の送受信手段とを示す通信特定情報を格納しており、
前記3個以上の通信装置各々は、前記格納手段に格納されている前記通信特定情報に基づいて、前記第1~第3送受信手段の内の前記選択手段に選択された前記1個の送受信手段を用いて前記通信対象装置との間で通信を行う、
通信システム。
【請求項2】
前記
3個以上の通信装置の内の少なくとも1個の通信装置は、前記選択手段を備える、
請求項
1に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信又は電力線通信の内の通信品質の良い方で通信を行う技術が知れていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術においては、電力線の分岐が多く且つ電波の遮蔽物が存在する場合、通信速度が低下してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みなされたもので、通信速度を向上させることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の通信システムは、相互に通信可能な3個以上の通信装置を含む通信システムであって、前記3個以上の通信装置各々は、前記3個以上の通信装置の内の自己が通信可能となっている通信装置である相手方通信装置との間で電力線を介して情報を送受信するための第1送受信手段と、前記相手方通信装置との間で通信専用線を介して情報を送受信するための第2送受信手段と、前記相手方通信装置との間で電波を介して情報を送受信するための第3送受信手段と、を備え、前記通信システムは、選択手段、を更に備え、前記3個以上の通信装置各々は、格納手段、を更に備え、前記選択手段は、前記3個以上の通信装置各々における、前記第1送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信に関する応答時間、前記第2送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信に関する応答時間、及び前記第3送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信に関する応答時間に基づいて、前記3個以上の通信装置各々において前記相手方通信装置の中の通信を行う通信相手となる通信対象装置と、前記3個以上の通信装置各々において前記第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段であって前記3個以上の通信装置と前記相手方通信装置との通信で用いられる前記1個の送受信手段と、を選択し、前記格納手段は、前記選択手段に選択された前記通信対象装置と前記1個の送受信手段とを示す通信特定情報を格納しており、前記3個以上の通信装置各々は、前記格納手段に格納されている前記通信特定情報に基づいて、前記第1~第3送受信手段の内の前記選択手段に選択された前記1個の送受信手段を用いて前記通信対象装置との間で通信を行う。
【0007】
請求項2に記載の通信システムは、請求項1に記載の通信システムにおいて、前記3個以上の通信装置の内の少なくとも1個の通信装置は、前記選択手段を備える。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の通信システムによれば、例えば、通信速度を向上させることが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の通信システムによれば、例えば、シンプルな通信システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】分電盤アドレス特定情報を例示した図である。
【
図5】各分電盤における通信経路及び通信手法を例示した図である。
【
図9】通信特定情報生成処理のフローチャートである。
【
図10】候補経路の組み合わせを例示した図である。
【
図12】各分電盤の直接の通信相手となる分電盤と通信手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る通信システム、及び通信装置の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、通信システム、及び通信装置に関する。
【0019】
ここで、「通信システム」とは、相互に通信可能な複数の通信装置を含むシステムであり、任意で、選択手段を備えシステムである。複数の通信装置各々は、例えば、第1送受信手段、第2送受信手段、及び第3送受信手段を備える。
【0020】
「通信装置」とは、通信を行うための装置であり、例えば、通信を行う専用装置、あるいは、汎用的に用いられる装置又は要素(例えば、建設現場又は他の場所で用いられる分電盤等)に対して通信を行うための機能を実装することにより実現される装置等を含む概念である。
【0021】
「第1送受信手段」とは、複数の通信装置の内の自己が通信可能となっている通信装置である相手方通信装置との間で電力線を介して情報を送受信するための手段であり、つまり、電力線通信(PLC(Power Line Communications))にて通信を行うための手段である。「電力線」とは、例えば、少なくとも電力を供給するための導電線又はケーブルであり、前述の電力線通信を行うための信号も伝達するものである。
【0022】
「第2送受信手段」とは、相手方通信装置との間で通信専用線を介して情報を送受信するための手段である。「通信専用線」とは、例えば、電力線以外の線であって、通信のために専用的に用いられる線であり、一例としては、LANケーブル(つまり、イーサネット(登録商標)で使用される配線用のケーブル)、光ファイバーケーブル、及び同軸ケーブル等を含む概念である。
【0023】
「第3送受信手段」とは、相手方通信装置との間で電波を介して情報を送受信するための手段であり、つまり、無線通信を行うための手段である。
【0024】
「選択手段」とは、複数の通信装置各々において第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段を選択する手段であり、例えば、ユーザからの入力に応じて第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段を選択する手段、あるは、ユーザからの入力によらずに自動的に第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段を選択する手段等を含む概念である。「選択手段」は、例えば、複数の通信装置各々において、第1送受信手段を用いて相手方通信装置との間で行われる通信速度、第2送受信手段を用いて相手方通信装置との間で行われる通信速度、及び第3送受信手段を用いて相手方通信装置との間で行われる通信速度を相互に比較し、当該比較結果に基づいて、1個の送受信手段を選択する。そして、複数の通信装置各々は、例えば、第1~第3送受信手段の内の選択手段に選択された1個の送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で通信を行う。
【0025】
「選択手段」は任意に実装することができ、例えば、通信システムに含まれる複数の通信システムの1個以上に実装してもよい(つまり、複数の通信装置の内の少なくとも1個の通信装置が、選択手段を備えるように構成してもよい)し、あるいは、通信用のサーバ装置等を含む他の装置を通信システムに設けた上で当該他の装置に実装してもよい。
【0026】
「相手方通信装置」については、例えば、複数の通信装置の内の1個の通信装置に着目した場合、当該1個の通信装置に対する「相手方通信装置」は、複数の通信装置の内の当該着目している1個の通信装置以外の通信装置を示す概念である。
【0027】
そして、以下に示す実施の形態では、建設現場で用いられる分電盤に対して通信機能を実装することにより実現される装置を「通信装置」として用いる場合について説明する。また、以下に示す実施の形態では、「選択手段」が複数の通信装置の内の1個の通信装置に実装される場合について説明する。
【0028】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0029】
(構成)
まず、本実施の形態に係る電力システムについて説明する。
図1は、電力システムを概略的に示す図である。なお、電力システム100に設けられる子分電盤2及び端末装置102の個数は任意であるが、ここでは、図示されているものについて代表して説明する。また、子分電盤201~203を適宜「子分電盤2」と総称し、また、端末装置102A~端末装置102Dを適宜「端末装置102」と総称する。
【0030】
電力システム100は、
図1に示すように、例えば、電源101、電力線L1、通信線L2、親分電盤1、子分電盤2、ルーター301、ONU(Optical Network Unit)302、及び端末装置102を備える。なお、例えば、親分電盤1及び子分電盤2が「通信システム」に相当する。また、親分電盤1及び子分電盤2を適宜「各分電盤」と総称する。
【0031】
(構成-電源)
電源101は、電力を電力線L1に供給するための電源供給手段である。この電源101は、例えば公知の受変電設備(キュービクル)や、トランス、蓄電池等といった電力供給が可能な任意の機器を用いることができる。
【0032】
(構成-電力線)
電力線L1は、電源101から各分電盤へと電力を送電するための電力線である。この電力線L1は、具体的には、一方の端部に電源101が接続されており、また、当該電力線L1における上流側から下流側にわたる所定位置に分岐点が設けられており、当該分岐点から親分電盤1及び子分電盤2側に延在しており、当該親分電盤1及び子分電盤2に接続されている。なお、「上流側」とは、電源101に近い側を示し、また、「下流側」とは、電源101から遠い側を示すこととする。また、電力線L1は、例えば、単相3線式の電力線であり、R相の電力線、N相の電力線、及びT相の電力線で構成されているが、
図1では、説明の便宜上、各電力線の図示は省略されている。そして、このように電力線L1が設けられていることにより、親分電盤1及び子分電盤2が相互に電力線通信を行うことが可能となっている。
【0033】
(構成-通信線)
通信線L2は、前述の通信専用線であり、例えば、LANケーブル(つまり、イーサネットで使用される配線用のケーブル)である。この通信線L2は、例えば、ルーター301、親分電盤1、及び子分電盤2(具体的には子分電盤201~203等)間に相互に接続されている。なお、親分電盤1及び子分電盤2には、例えば、いわゆるハブ(HUB)の機能が設けられており、当該機能及び通信線L2によって、親分電盤1及び子分電盤2が相互に専用線通信(例えば、イーサネットに対応する通信)を行うことが可能となっている。
【0034】
(構成-ルーター)
ルーター301は、親分電盤1とONU302との間でデータを中継する装置である。このルーター301は、例えば、通信線L2を介して親分電盤1に接続されている。
【0035】
(構成-ONU)
ONU302は、回線終端装置であり、例えば、いわゆるモデムとしての機能を発揮する装置である。このONU302は、例えば、ルーター301からの受信したデータを光信号に変換し、変換した光信号をネットワーク303(例えば、インターネット等)を介して他の装置(不図示)側に送信し、また、他の装置(不図示)側からネットワーク303を介して受信した光信号をデータに変換し、変換したデータをルーター301側に送信する。
【0036】
(構成-端末装置)
端末装置102は、建設現場の作業員に携帯される端末装置であり、例えば、スマートフォン又はタブレット端末等である。この端末装置102は、通信範囲内の親分電盤1又は子分電盤2との間で予め定められた周波数帯で無線通信を行うことが可能となっている装置である。
【0037】
なお、本実施の形態では、例えば、端末装置102Aが親分電盤1との通信範囲内で用いられ、また、端末装置102Bが子分電盤201との通信範囲内で用いられ、また、端末装置102Cが子分電盤202との通信範囲内で用いられ、また、端末装置102Dが子分電盤203との通信範囲内で用いられる場合について説明する。
【0038】
(構成-親分電盤)
図2は、親分電盤の機能ブロック図である。親分電盤1は、通信装置であり、
図2に示すように、例えば、第1無線通信部11、第2無線通信部12、通信線通信部13、電力線通信部14、記録部15、及び制御部16を備える。なお、実際には、親分電盤1には、分電盤としての機能を実現するための公知の要素(例えば、複数個の電源タップ又は漏電遮断器等)も設けられているが、ここでは、説明の便宜上、当該公知の要素の図示及び説明は省略する(子分電盤2も同様とする)。
【0039】
(構成-親分電盤-第1無線通信部)
図2の第1無線通信部11は、外部機器(例えば、端末装置102A)との間で予め定められた周波数帯で無線通信を行う無線通信手段である。この第1無線通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、アンテナ及び無線通信回路(無線信号(電波)とデータとの相互間の変換を行う回路等)等を用いて構成することができる。
【0040】
(構成-親分電盤-第2無線通信部)
図2の第2無線通信部12は、第3送受信手段であり、具体的には、外部機器(例えば、子分電盤2)との間で予め定められた周波数帯(具体的には、前述の第1無線通信部11の周波数帯とは異なる周波数帯)で無線通信を行う無線通信手段である。この第2無線通信部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、アンテナ及び無線通信回路(無線信号(電波)とデータとの相互間の変換を行う回路等)等を用いて構成することができる。
【0041】
(構成-親分電盤-通信線通信部)
図2の通信線通信部13は、第2送受信手段であり、具体的には、外部機器(例えば、ルーター301又は子分電盤2)との間で通信線L2を介して通信を行う通信線通信手段である。この通信線通信部13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、通信線L2の接続インターフェース、ハブ(HUB)、及びイーサネット通信回路(イーサネットに対応する通信を行うための信号とデータとの相互間の変換を行う回路等)等を用いて構成することができる。
【0042】
(構成-親分電盤-電力線通信部)
図2の電力線通信部14は、第1送受信手段であり、具体的には、外部機器(例えば、子分電盤2)との間で電力線L1を介して通信を行う電力線通信手段である。この電力線通信部14の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、電力線L1の接続インターフェース、及び電力線通信回路(電力線通信を行うための信号とデータとの相互間の変換を行う回路等)等を用いて構成することができる。
【0043】
(構成-親分電盤-記録部)
図2の記録部15は、親分電盤1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記録部15の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、EEPROMやFlashメモリ等を用いて構成されている(他の装置の記録部も同様とする)。ただし、EEPROMやFlashメモリに代えてあるいはEEPROMやFlashメモリと共に、ハードディスクの如き外部記録装置、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はROM、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(他の装置の記録部も同様とする)。
【0044】
この記録部15には、例えば、自己アドレス情報、分電盤アドレス特定情報、通信特定情報、及び経路特性情報が格納されている。
【0045】
(構成-親分電盤-記録部-自己アドレス情報)
図2の「自己アドレス情報」とは、親分電盤1自身を一意に識別するアドレス情報である。このアドレス情報としては任意の情報を用いることができるが、例えば、親分電盤1、各子分電盤2に対して一意となるIPアドレス((Internet Protocol Address)が割り当てられていることとし、当該IPアドレスを用いる場合を例示して説明する。ここでは、例えば、親分電盤1に「IP1」が割り振られており、また、子分電盤201に「IP201」が割り振られており、また、子分電盤202に「IP202」が割り振られており、また、子分電盤203に「IP203」が割り振られているものとして、以下説明する。そして、この記録部15の自己アドレス情報としては、「IP1」が格納されている。
【0046】
なお、このような自己アドレス情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、管理者が、自己のコンピュータ(タブレット端末又はノート型コンピュータ等)を用いて任意の手法で親分電盤1に情報を送信し、制御部16が当該情報に基づいて格納することとしてもよい。
【0047】
(構成-親分電盤-記録部-分電盤アドレス特定情報)
図3は、分電盤アドレス特定情報を例示した図である。
図2の「分電盤アドレス特定情報」とは、親分電盤1、及び子分電盤2のアドレス情報を特定する情報である。この分電盤アドレス特定情報は、例えば、
図3に示すように、項目「分電盤番号情報」に対応する情報と、項目「アドレス情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。
【0048】
項目「分電盤番号情報」に対応する情報は、分電盤の番号を特定する分電盤番号情報である。「分電盤の番号情報」とは、例えば、電力システム100の各分電盤に対して任意のルールで1個ずつ割り振られる番号である。ここでは、
図1に示すように、電力線L1の上流側から下流側にむかって各分電盤が接続されており、また、電力線L1に沿って隣通しの各分電盤が通信線L2にて接続されていることを前提とし、下流側に向かうにつれて1個ずつ増える番号が割り振られていることとして説明する。つまり、例えば、親分電盤1に番号である「1」が割り振られており、また、子分電盤201に番号である「2」が割り振られており、また、子分電盤202に番号である「3」が割り振られており、また、子分電盤203に番号である「4」が割り振られていることとして以下説明する。
図3では、この割り振られている番号である「1」~「4」等が格納されている。
【0049】
項目「アドレス情報」に対応する情報は、各分電盤を一意に識別するアドレス情報である。
図3では、前述の各分電盤に割り振られているアドレス情報である「IP1」等が格納されている。
【0050】
そして、このような
図3の分電盤アドレス特定情報によって、「分電盤番号情報」=「1」のアドレス情報が「IP1」であり、当該「IP1」の分電盤(つまり、親分電盤1)の下流側の分電盤(つまり、子分電盤201)のアドレス情報が「分電盤番号情報」=「2」に関連付けられている「IP201」であること等を把握することが可能となる。つまり、
図1に示す各分電盤の位置関係及び当該各分電盤のアドレス情報を把握することが可能となる。また、このような分電盤アドレス特定情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、前述の自己アドレス情報と同様にして格納することとしてもよい。
【0051】
(構成-親分電盤-記録部-通信特定情報)
図4は、通信特定情報を例示した図である。
図2の「通信特定情報」とは、各分電盤における通信経路及び通信手法を特定する情報であり、つまり、各分電盤の通信の相手方及び当該相手方との通信を行う場合に用いられる通信部を特定する情報である。この「通信特定情報」は、例えば、
図4に示すように、項目「送信側番号情報」に対応する情報と、項目「受信側番号情報」に対応する情報とが相互に関連付けられているテーブル情報である。
【0052】
項目「送信側番号情報」に対応する情報は、通信を行う場合に情報を送信する側の分電盤を特定する送信側番号情報である。
図4では、送信側番号情報としては、
図3の分電盤番号情報である「1」~「4」等が用いられている。項目「受信側番号情報」に対応する情報は、通信を行う場合に情報を受信する側の分電盤を特定する送信側番号情報である。
図4では、受信側番号情報としては、送信側番号情報と同様に、
図3の分電盤番号情報である「1」~「4」等が用いられている。そして、これらの項目「送信側番号情報」と各欄と項目「受信側番号情報」とで特定される各欄には、「×」、「W」、「E」、又は「P」が格納されている。なお、
図4の空欄には、実際には「×」、「W」、「E」、又は「P」が格納されているが、説明の便宜上、省略されている。
【0053】
図4の「×」は、例えば、通信を行わないことを示している。また、
図4の「W」は、例えば、第3送受信手段を用いて通信を行うことを示しており、具体的には、親分電盤1の第2無線通信部12又は後述の子分電盤2の第2無線通信部22を用いて通信を行うことを示している。また、
図4の「E」は、例えば、第2送受信手段を用いて通信を行うことを示しており、具体的には、親分電盤1の通信線通信部13又は後述の子分電盤2の通信線通信部23を用いて通信を行うことを示している。また、
図4の「P」は、例えば、第1送受信手段を用いて通信を行うことを示しており、具体的には、親分電盤1の電力線通信部14又は後述の子分電盤2の電力線通信部24を用いて通信を行うことを示している。
【0054】
例えば、
図4の最上段の欄の情報については、「送信側番号情報」=「1」に対して「受信側番号情報」=「2」~「4」に対応する欄の情報が「×」、「W」、「×」となっているので、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1が情報を送信する場合、「受信側番号情報」=「2」、「4」に対応する子分電盤201、203とは通信を行わずに、「W」に対応する第2無線通信部12を用いて「受信側番号情報」=「3」に対応する子分電盤202に情報を送信することが示されている。つまり、「受信側番号情報」=「2」、「4」に対応する子分電盤201、203は、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1からは情報を直接は受信せずに、「受信側番号情報」=「3」に対応する子分電盤202は、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1から情報を直接受信することが示されている。
【0055】
図5は、各分電盤における通信経路及び通信手法を例示した図である。なお、
図5の「1」~「4」は、
図3の分電盤番号情報を示しており、また、
図5の「W」、「E」、又は「P」は、
図4の「W」、「E」、又は「P」を示している。つまり、
図5においては、「1」が示す親分電盤1と「3」が示す子分電盤202とが「W」が示す第2無線通信部にて通信を行うこと、「2」が示す子分電盤201と「3」が示す子分電盤202とが「E」が示す通信線通信部にて通信を行うこと、及び「3」が示す子分電盤202と「4」が示す子分電盤203とが「P」が示す電力線通信部にて通信を行うことが示されている。そして、
図4の通信特定情報は、例えば、
図5で図示されている通信経路及び通信手法を示している。
【0056】
なお、このような通信特定情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述する通信特定情報生成処理を実行することにより格納される。
【0057】
(構成-親分電盤-記録部-経路特性情報)
図6は、経路特性情報を例示した図である。
図2の「経路特性情報」とは、各分電盤における通信経路の特性を特定する情報であり、具体的には、各通信部で通信を行う場合に通信を行えるか否か、及び通信を行える場合の通信速度を特定する情報である。この「経路特性情報」は、
図4の通信特定情報と同様に、
図6に示すように、例えば、項目「送信側番号情報」に対応する情報と、項目「受信側番号情報」に対応する情報とが相互に関連付けられているテーブル情報である。
【0058】
項目「送信側番号情報」に対応する情報及び項目「受信側番号情報」に対応する情報は、
図4の同一名称の情報と共通である。そして、これら項目「送信側番号情報」と項目「受信側番号情報」とで特定される各欄には、「P:54」、「E:58」、及び「W:NC」等が格納されている。なお、
図6の空欄には実際には他の具体的に図示されている情報と同様な情報が格納されるが、説明の便宜上、省略されている。また、「送信側番号情報」=「4」の各欄及び「受信側番号情報」=「4」の各欄の「…」については、実際には数値又は「NC」が格納されるが、説明の便宜上、省略されている。そして、各欄に示す「W」、「E」、又は「P」は、
図4の「W」、「E」、又は「P」と同様に、通信で用いられる通信部を示している。また、
図6の「W」、「E」、又は「P」の「:」の隣に図示されている数値は、通信を行えること及び当該通信の通信速度を示しており、また、「NC」は通信を行えないことを示している。
【0059】
また、ここで用いられる通信速度は任意であるが、ここでは、例えば、各分電盤に対して応答速度を確認するための機能が実装されていることとし、当該機能を用いて確認される応答速度を通信速度として用いる場合を例示して説明する。「応答速度を確認するための機能」については、いわゆる「ping」コマンドに関する機能等の公知の機能を適用することができるので、詳細の説明は省略する。
【0060】
例えば、
図6の最上段の「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報」=「2」で特定される欄の「P:54」、「E:58」、及び「W:NC」について説明する。
【0061】
「P:54」は、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1と「受信側番号情報」=「2」に対応する子分電盤201との間において、第1送受信手段(つまり、電力線通信部14、24)を用いて通信を行えること、及び当該通信の通信速度が「54ミリ秒」であることを示している。なお、以下では、単位である「ミリ秒」は適宜省略する。通信速度について具体的には、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1が、「受信側番号情報」=「2」に対応する子分電盤201に対して、第1送受信手段(電力線通信部14)を介して応答確認信号を送信した時から、当該子分電盤201の第1送受信手段(電力線通信部24)から送信される応答信号(応答確認信号を受信した場合に送信される信号)を当該親分電盤1が第1送受信手段(電力線通信部14)を介して受信する時までの経過時間(つまり、応答時間)を、通信速度として示している。
【0062】
「E:58」は、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1と「受信側番号情報」=「2」に対応する子分電盤201との間において、第2送受信手段(つまり、通信線通信部13、23)を用いて通信を行えること、及び当該通信の通信速度が「58」であることを示している。通信速度について具体的には、前述の場合と同様であるが、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1が、「受信側番号情報」=「2」に対応する子分電盤201に対して、第2送受信手段(通信線通信部13)を介して応答確認信号を送信した時から、当該子分電盤201の第2送受信手段(通信線通信部23)から送信される応答信号を当該親分電盤1が第2送受信手段(通信線通信部13)を介して受信する時までの経過時間を、通信速度として示している。
【0063】
「W:NC」は、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1と「受信側番号情報」=「2」に対応する子分電盤201との間において、第3送受信手段(つまり、第2無線通信部12、22)を用いて通信を行えないことを示している。具体的には、「送信側番号情報」=「1」に対応する親分電盤1が、「受信側番号情報」=「2」に対応する子分電盤201に対して、第3送受信手段(第2無線通信部12)を介して応答確認信号を送信したが、当該親分電盤1が第3送受信手段(第2無線通信部12)を介して応答信号を所定時間(例えば、10秒~13秒等の任意の時間)以内に受信できなかったことを示している。
【0064】
なお、このような経路特性情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述する経路特性把握処理を実行することにより格納される。
【0065】
(構成-親分電盤-制御部)
図2の制御部16は、親分電盤1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0066】
制御部16は、機能概念的には、例えば、選択部161を備える。選択部161は、各分電盤各々において第2無線通信部12、22、通信線通信部13、23、又は電力線通信部14、24の内の1個の通信部(つまり、第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段)を選択する選択手段である。なお、この制御部16の各部によって行われる処理については、後述する。
【0067】
(構成-子分電盤)
図7は、子分電盤の機能ブロック図である。子分電盤2は、通信装置であり、
図7に示すように、例えば、第1無線通信部21、第2無線通信部22、通信線通信部23、電力線通信部24、記録部25、及び制御部26を備える。
【0068】
(構成-子分電盤-第1無線通信部)
図7の第1無線通信部21は、外部機器(例えば、端末装置102B~102D)との間で予め定められた周波数帯で無線通信を行う無線通信手段である。この第1無線通信部21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、親分電盤1の同一名称の要素と同様にして構成されていることとする。
【0069】
(構成-子分電盤-第2無線通信部)
図7の第2無線通信部22は、第3送受信手段であり、具体的には、外部機器(例えば、親分電盤1又は自己以外の他の子分電盤2)との間で予め定められた周波数帯(具体的には、前述の第1無線通信部21の周波数帯とは異なる周波数帯)で無線通信を行う無線通信手段である。この第2無線通信部22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、親分電盤1の同一名称の要素と同様にして構成されていることとする。
【0070】
(構成-子分電盤-通信線通信部)
図7の通信線通信部23は、第2送受信手段であり、具体的には、外部機器(例えば、親分電盤1又は自己以外の他の子分電盤2)との間で通信線L2を介して通信を行う通信線通信手段である。この通信線通信部23の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、親分電盤1の同一名称の要素と同様にして構成されていることとする。
【0071】
(構成-子分電盤-電力線通信部)
図7の電力線通信部24は、第1送受信手段であり、具体的には、外部機器(例えば、親分電盤1又は自己以外の他の子分電盤2)との間で電力線L1を介して通信を行う電力線通信手段である。この電力線通信部24の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、親分電盤1の同一名称の要素と同様にして構成されていることとする。
【0072】
(構成-子分電盤-記録部)
図7の記録部25は、子分電盤2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記録部15の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、親分電盤1の同一名称の要素と同様にして構成されていることとする。
【0073】
この記録部15には、例えば、自己アドレス情報、分電盤アドレス特定情報、及び通信特定情報が格納されている。
【0074】
(構成-子分電盤-記録部-各情報)
ここでは、例えば、子分電盤201の記録部15の「自己アドレス情報」として「IP201」が格納されており、また、子分電盤202の記録部15の「自己アドレス情報」として「IP202」が格納されており、また、子分電盤203の記録部15の「自己アドレス情報」として「IP203」が格納されていることとして、以下説明する。
【0075】
また、子分電盤201~203の記録部15の分電盤アドレス特定情報及び通信特定情報としては、親分電盤1の同一名称の情報と同一の情報が同様な手法で格納されていることとして、以下説明する。
【0076】
(構成-子分電盤-制御部)
図7の制御部26は、子分電盤2を制御する制御手段である。この制御部26の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、親分電盤1の同一名称の要素と同様にして構成されていることとする。また、この制御部26によって行われる処理については、後述する。
【0077】
(処理)
次に、このように構成される電力システム100により実行される処理について説明する。ここでは、例えば、経路特性把握処理、通信特定情報生成処理、要求処理、及び応答処理について説明する。
【0078】
(処理-経路特性把握処理)
まず、経路特性把握処理について説明する。
図8は、経路特性把握処理のフローチャートである。「経路特性把握処理」とは、電力システム100の通信経路の特性を把握するための処理であり、概略的には、親分電盤1によって行われる処理であり、例えば、
図2の記録部15に格納される
図6の経路特性情報を格納する処理である。この経路特性処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、所定時間(例えば、12時間~24時間等)毎に実行されることとし、当該処理の実行が開始されたところから説明する。
【0079】
まず、
図8のSA1において親分電盤1の選択部161は、通信において送信側となる分電盤(以下、「送信側分電盤」)及び受信側(又は返信側)となる分電盤(以下、「受信側分電盤」)を選択する。具体的には任意であるが、例えば、
図2の記録部15に格納される
図3の分電盤アドレス特定情報において、
図1に示す各分電盤、各分電盤の位置関係、及び各分電盤のアドレス情報を把握することが可能となっている点に着目して、当該分電盤アドレス特定情報を用いて選択する。詳細には、
図3の分電盤アドレス特定情報の分電盤番号情報の内の最小の数値の「1」に対応する親分電盤1を送信側分電盤として選択し、また、当該
図3の分電盤アドレス特定情報の分電盤番号情報の内の「1」の次に大きい数値である「2」に対応する子分電盤201を受信側分電盤として選択する。
【0080】
なお、以下では、送信側分電盤を、変数「i」の数値(例えば、
図3の分電盤番号情報に示されている数値)として示し、また、受信側分電盤を、変数「j」の数値(例えば、
図3の分電盤番号情報に示されている数値)として示す表現を適宜用いて説明する。
【0081】
ここでは、例えば、送信側分電盤である「親分電盤1」(つまり、変数「i」=「1」)、及び受信側分電盤である「子分電盤201」(変数「j」=「2」)を選択する。
【0082】
次に、
図8のSA2において親分電盤1の選択部161は、電力線通信部の応答速度確認機能をオンする。なお、例えば、各分電盤に実装されている前述の「応答速度を確認するための機能」については、通信部毎にオン又はオフすることが可能となっていることとして、以下説明する。また、「電力線通信部の応答速度確認機能をオンする」とは、各分電盤の制御部が、電力線通信部を介して応答確認信号を送信する処理(以下、「電力線通信部側応答確認処理」)、あるいは、各分電盤の制御部が、電力線通信部を介して応答確認信号を受信した場合に、当該電力線通信部を介して応答信号を送信する処理(以下、「電力線通信部側応答処理」)を実行可能にすることに対応する概念である。また、「電力線通信部の応答速度確認機能をオフする」とは、「電力線通信部側応答確認処理」及び「電力線通信部側応答処理」を実行不可能にすることに対応する概念である。また、「応答速度を確認するための機能」については、
図8の経路特性把握処理の起動時にはオフとなっているものとする。
【0083】
SA2の処理について具体的には、親分電盤1の選択部161は、
図2の記録部15に格納されている
図3の分電盤アドレス特定情報を参照して、現在選択されている送信側分電盤及び受信側分電盤に割り振られているアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報を含む「電力線通信部応答速度確認機能オン信号」(電力線通信部の応答速度確認機能をオンするための信号)を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信(つまり、各分電盤が信号を中継して比較的離れた位置まで当該信号が伝達されることになり、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達される通信)が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。また、本実施の形態で説明する各通信(つまり、各通信部での通信)については、特記する場合を除いて、当該マルチホップの通信は行われないこととする。
【0084】
一方、子分電盤2の制御部26は、電力線通信部24を介して電力線通信部応答速度確認機能オン信号を受信し、受信した当該信号に含まれているアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報と自己の記録部25の自己アドレス情報とを比較し、取得したアドレス情報に自己アドレス情報が含まれている場合、電力線通信部の応答速度確認機能をオンし、また、取得したアドレス情報に自己アドレス情報が含まれていない場合、電力線通信部の応答速度確認機能をオンしない。また、親分電盤1自身は電力線通信部応答速度確認機能オン信号を送信するのみであるが、例えば、親分電盤1の制御部16は、送信した当該信号に自己の記録部15の自己アドレス情報が含まれている場合、電力線通信部の応答速度確認機能をオンし、また、自己アドレス情報が含まれていない場合、電力線通信部の応答速度確認機能をオンしないこととする。
【0085】
ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、
図2の記録部15に格納されている
図3の分電盤アドレス特定情報を参照して、SA1で決定した送信側分電盤である「親分電盤1」(つまり、
図3の「分電盤番号情報」=「1」)及び受信側分電盤である「子分電盤201」(つまり、
図3の「分電盤番号情報」=「2」)に割り振られているアドレス情報である「IP1」及び「IP201」を特定し、特定した「IP1」及び「IP201」を含む電力線通信部応答速度確認機能オン信号を生成して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤201~203に到達する。
【0086】
一方、子分電盤201の制御部26は、電力線通信部24を介して電力線通信部応答速度確認機能オン信号を受信し、受信した当該信号に含まれているアドレス情報である「IP1」及び「IP201」を取得し、取得したアドレス情報である「IP1」及び「IP201」と自己の記録部25の自己アドレス情報である「IP201」とを比較し、取得したアドレス情報に自己アドレス情報が含まれているので、電力線通信部の応答速度確認機能をオンする。なお、子分電盤202、203の制御部26は、電力線通信部24を介して受信した電力線通信部応答速度確認機能オン信号に自己のアドレス情報である「IP202」、「IP203」が含まれていないので、電力線通信部の応答速度確認機能をオンしない。また、親分電盤1の制御部16は、送信した電力線通信部応答速度確認機能オン信号に自己アドレス情報である「IP1」が含まれているので、電力線通信部の応答速度確認機能をオンする。
【0087】
次に、
図8のSA3において親分電盤1の選択部161は、前述の「応答速度を確認するための機能」を利用して通信速度を特定した上で情報の格納等を行う。具体的には任意であるが、例えば、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が親分電盤1のアドレス情報(「IP1」)であるか(つまり、現在の変数「i」が「1」であるか)、子分電盤2のアドレス情報(「IP201」~「IP203」)であるか(つまり、現在の変数「i」が「1」以外(「2」以上)であるか)に基づいて、以下の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理」又は「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」を行う。
【0088】
なお「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理」とは、例えば、応答確認信号の送信、応答信号の受信、及び通信に関する特定(通信速度の特定、及び通信が不可能であることの特定)が親分電盤1によって行われる処理である。また、「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」とは、例えば、前述の各処理が親分電盤1からの命令に基づいて子分電盤2によって行われ、当該処理の結果が親分電盤1に送信される処理である。
【0089】
ここでは、例えば、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が、「IP1」であるので、以下の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理」を行うことになる。
【0090】
===送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理===
SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が親分電盤1のアドレス情報である場合(つまり、現在の変数「i」が「1」である場合であり、親分電盤1が送信側分電盤として現在選択されている場合)、SA2で応答速度確認機能をオンした親分電盤1の選択部161は、当該送信側分電盤に割り振られているアドレス情報と、SA2で特定した受信側分電盤に割り振られているアドレス情報とを取得し、取得した送信側分電盤のアドレス情報及び受信側分電盤のアドレス情報を含む応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、電力線通信部14を介して送信する。この場合、当該信号は電力線L1を介して伝達されることになる。ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報である「IP1」と、SA2で特定した受信側分電盤に割り振られているアドレス情報である「IP201」とを取得し、取得した送信側分電盤のアドレス情報である「IP1」、及び受信側分電盤のアドレス情報である「IP201」を含む応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、電力線通信部14を介して送信する。
【0091】
一方、SA2で電力線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2の制御部26は、電力線通信部24を介して当該応答確認信号を受信し、受信した応答確認信号に記録部25の自己アドレス情報と合致する受信側分電盤のアドレス情報が含まれている場合に、当該応答確認信号に含まれている送信側分電盤のアドレス情報及び受信側分電盤のアドレス情報を含む応答信号を生成し、生成した応答信号を、電力線通信部24を介して送信する。この場合、当該信号は電力線L1を介して伝達されることになる。ここでは、例えば、SA2で電力線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤201の制御部26は、電力線通信部24を介して、送信側分電盤のアドレス情報である「IP1」及び受信側分電盤のアドレス情報である「IP201」を含む応答確認信号を受信し、受信した応答確認信号に記録部25の自己アドレス情報である「IP201」と合致する受信側分電盤のアドレス情報が含まれているので、当該応答確認信号に含まれている送信側分電盤のアドレス情報である「IP1」及び受信側分電盤のアドレス情報である「IP201」を含む応答信号を生成し、生成した応答信号を、電力線通信部14を介して送信する。
【0092】
一方、親分電盤1の選択部161は、電力線通信部14を介して当該応答信号を受信し、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間を任意の手法(例えば、各分電盤に現在時刻を計時する計時手段(タイマー等)が用いられており、当該計時手段にて応答確認信号を送信した時の時間及び応答信号を受信した時の時間を特定し、特定した各時間の差分を用いて特定する手法等)で特定し、特定した経過時間を、送信側分電盤と受信側分電盤との間での電力線通信部での通信速度として特定し、当該特定した通信速度に対応する情報を
図6の経路特性情報に格納する。情報の格納について詳細には、
図3の分電盤アドレス特定情報を参照して、SA2で特定した送信側分電盤及び受信側分電に割り振られているアドレス情報に関連付けられている分電盤番号情報を特定し、
図6の経路特性情報において、前述の特定した送信側分電盤の分電盤番号情報に対応する送信側番号情報、及び前述の特定した受信側分電盤の分電盤番号情報に対応する受信側番号情報で特定される欄の「P:」に対応する数値として、前述の通信速度に対応する情報を格納する。なお、様々な要因(例えば、通信距離が比較的長い、電力線L1の分岐数が比較的多い、あるいは、電力線L1の任意の位置での電力線通信の周波数帯のインピーダンスが比較的高くなっている等の要因)により、応答確認信号が受信側分電盤に到達しない場合や、応答信号が送信側分電盤に到達しない場合等が想定される。この場合、親分電盤1の選択部161は、所定時間(例えば、10秒~13秒等の任意の時間)以内に、電力線通信部14を介して当該応答信号を受信しないことになるが、この場合、送信側分電盤と受信側分電盤との間での電力線通信部での通信が不可能であることを特定し、
図6の経路特性情報における対応する欄の「P:」に対応する数値の代わりに「NC」を格納する。
【0093】
ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、電力線通信部14を介して応答信号を受信する場合において、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間として「54」を特定した場合、特定した「54」を、送信側分電盤である親分電盤1と受信側分電盤である子分電盤201との間での電力線通信部での通信速度として特定して、当該特定した通信速度に対応する情報として、
図6の「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報」=「2」で特定される欄の「P:54」を格納する。
【0094】
次に、親分電盤1の選択部161は、電力線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、SA2で応答速度確認機能をオンした分電盤の応答速度確認機能をオフする。詳細には、SA2で送信した電力線通信部応答速度確認機能オン信号に含まれるアドレス情報と同じアドレス情報を含む「電力線通信部応答速度確認機能オフ信号」(電力線通信部の応答速度確認機能をオフするための信号)を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0095】
一方、子分電盤2の制御部26は、電力線通信部24を介して電力線通信部応答速度確認機能オフ信号を受信し、受信した当該信号に含まれているアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報と自己の記録部25の自己アドレス情報とを比較し、取得したアドレス情報に自己アドレス情報が含まれている場合、電力線通信部の応答速度確認機能をオフし、また、取得したアドレス情報に自己アドレス情報が含まれていない場合、何らの制御を行わない(つまり、SA2でオンされていないのでオフの状態が維持される)。また、親分電盤1自身は当該電力線通信部応答速度確認機能オフ信号を送信するのみであるが、例えば、当該親分電盤1の制御部16は、送信した当該信号含まれているアドレス情報に自己の記録部15の自己アドレス情報が含まれている場合、電力線通信部の応答速度確認機能をオフし、また、自己アドレス情報が含まれていない場合、何らの制御を行わない。
【0096】
ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、「IP1」及び「IP201」を含む電力線通信部応答速度確認機能オフ信号を生成して送信し、当該信号は電力線L1を介して子分電盤201~203に到達する。そして、子分電盤201の制御部26は、電力線通信部の応答速度確認機能をオフし、また、親分電盤1の制御部16は、電力線通信部の応答速度確認機能をオフする。
【0097】
===送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理===
SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が子分電盤2のアドレス情報である場合(つまり、現在の変数「i」が「1」以外(「2」以上)であり、子分電盤2が送信側分電盤として現在選択されている場合)、親分電盤1の選択部161は、電力線通信部側応答確認処理実行信号を送信した後に、電力線通信部側応答確認処理結果信号を受信し、受信した電力線通信部側応答確認処理結果信号に基づいて、
図6の経路特性情報の情報を格納する。
【0098】
なお、「電力線通信部側応答確認処理実行信号」とは、前述の「電力線通信部側応答確認処理」を実行させるための信号であり、例えば、当該処理を実行する分電盤(つまり、応答確認信号の送信元の分電盤)を示すアドレス情報(以下、「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」と称する)、及び当該応答確認信号の送信先の分電盤を示すアドレス情報(以下、「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」と称する)を含む信号である。また、「電力線通信部側応答確認処理結果信号」とは、前述の「電力線通信部側応答確認処理」を実行した結果を示す信号であり、例えば、通信可能である場合の通信速度を示す情報、あるいは、通信不可能であることを示す情報を含む信号である。
【0099】
ここでの処理について具体的には、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報と、SA2で特定した受信側分電盤に割り振られているアドレス情報とを取得し、取得した送信側分電盤のアドレス情報を「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」として含み、且つ、取得した受信側分電盤のアドレス情報を「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」として含む電力線通信部側応答確認処理実行信号を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えばいわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0100】
一方、SA2で電力線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2の制御部26は、電力線通信部24を介して当該電力線通信部側応答確認処理実行信号を受信し、受信した当該信号に含まれている「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」を取得し、当該取得した「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」と、自己の記録部25の自己アドレス情報と合致する場合、「電力線通信部側応答確認処理」を実行し、合致しない場合、「電力線通信部側応答確認処理」を実行しない。「電力線通信部側応答確認処理」を実行する場合について具体的には、子分電盤2の制御部26は、前述の受信した電力線通信部側応答確認処理実行信号に含まれている「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」及び「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」を取得し、取得した「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」を送信側分電盤のアドレス情報として含み、且つ、取得した「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」を受信側分電盤のアドレス情報として含む応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、電力線通信部24を介して送信する。この場合、当該信号は電力線L1を介して伝達されることになる。
【0101】
一方、SA2で電力線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2(応答確認信号を送信した子分電盤2以外の子分電盤2)の制御部26は、電力線通信部24を介して当該応答確認信号を受信し、受信した応答確認信号に記録部25の自己アドレス情報と合致する受信側分電盤のアドレス情報が含まれている場合に、当該応答確認信号に含まれている送信側分電盤のアドレス情報及び受信側分電盤のアドレス情報を含む応答信号を生成し、生成した応答信号を、電力線通信部24を介して送信する。なお、応答確認信号に含まれる受信側分電盤のアドレス情報としては、親分電盤1のアドレス情報が用いられることも想定されるので、親分電盤1も、同様な処理を行う。すなわち、SA2で電力線通信部の応答速度確認機能をオンした親分電盤1の制御部16は、電力線通信部14を介して当該応答確認信号を受信し、受信した応答確認信号に記録部15の自己アドレス情報と合致する受信側分電盤のアドレス情報が含まれている場合に、当該応答確認信号に含まれている送信側分電盤のアドレス情報及び受信側分電盤のアドレス情報を含む応答信号を生成し、生成した応答信号を、電力線通信部14を介して送信する。この場合、当該信号は電力線L1を介して伝達されることになる。
【0102】
一方、SA2で電力線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2(応答確認信号を送信した子分電盤2)の制御部26は、電力線通信部24を介して当該応答信号を受信し、受信した応答信号に記録部25の自己アドレス情報と合致する送信側分電盤のアドレス情報が含まれている場合に、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間を任意の手法(例えば、前述の場合と同様の手法等)で特定し、特定した経過時間を、送信側分電盤と受信側分電盤との間での電力線通信部での通信速度として特定する。また、前述の様々な要因で、応答確認信号を送信した子分電盤2の制御部26は、所定時間(例えば、10秒~13秒等の任意の時間)以内に、電力線通信部24を介して応答信号を受信しないことも想定されるが、この場合、送信側分電盤と受信側分電盤との間での電力線通信部での通信が不可能であることを特定する。この後、当該子分電盤2の制御部26は、当該特定結果として、通信速度を示す情報又は通信不可能であることを示す情報を含む電力線通信部側応答確認処理結果信号を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部24を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して親分電盤1に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、確実に親分電盤1に伝達されることとする。
【0103】
一方、親分電盤1の選択部161は、当該電力線通信部側応答確認処理結果信号を受信し、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理」と同様にして、受信した当該信号に含まれる情報を、
図6の経路特性情報における対応する欄に格納する。
【0104】
次に、親分電盤1の選択部161は、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理」と同様にして、電力線通信部応答速度確認機能オフ信号を送信することにより、電力線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。
【0105】
次に、
図8のSA4において親分電盤1の選択部161は、通信線通信部の応答速度確認機能をオンする。具体的には任意であるが、特記する事項以外は、SA2と同様な処理を行う。なお、「通信線通信部の応答速度確認機能をオンする」とは、各分電盤の制御部が、通信線通信部を介して応答確認信号を送信する処理(以下、「通信線通信部側応答確認処理」)、あるいは、各分電盤の制御部が、通信線通信部を介して応答確認信号を受信した場合に、当該通信線通信部を介して応答信号を送信する処理(以下、「通信線通信部側応答処理」)を実行可能にすることに対応する概念である。また、「通信線通信部の応答速度確認機能をオフする」とは、「通信線通信部側応答確認処理」及び「通信線通信部側応答処理」を実行不可能にすることに対応する概念である。
【0106】
SA4の処理について具体的には、親分電盤1の選択部161は、送信側分電盤及び受信側分電盤に割り振られているアドレス情報として、SA2で特定したものと同じアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報を含む「通信線通信部応答速度確認機能オン信号」(通信線通信部の応答速度確認機能をオンするための信号)を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0107】
一方、子分電盤2の制御部26は、SA2の場合と同様な処理を行って、通信線通信部の応答速度確認機能をオンする又はオンしないことになる。また、親分電盤1の制御部16も、SA2の場合と同様な処理を行って、通信線通信部の応答速度確認機能をオンする又はオンしないことになる。
【0108】
ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、「IP1」及び「IP201」を含む通信線通信部応答速度確認機能オン信号を生成して送信し、当該信号は電力線L1を介して子分電盤201~203に到達する。そして、子分電盤201の制御部26は、通信線通信部の応答速度確認機能をオンし、一方、子分電盤202、203の制御部26は、通信線通信部の応答速度確認機能をオンしないことになる。また、親分電盤1の制御部16は、通信線通信部の応答速度確認機能をオンすることになる。
【0109】
次に、
図8のSA5において親分電盤1の選択部161は、前述の「応答速度を確認するための機能」を利用して通信速度を特定した上で情報の格納等を行う。具体的には任意であるが、例えば、特記する事項以外は、SA3と同様な処理を行う。詳細には、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が親分電盤1のアドレス情報(「IP1」)であるか(つまり、現在の変数「i」が「1」であるか)、子分電盤2のアドレス情報(「IP201」~「IP203」)であるか(つまり、現在の変数「i」が「1」以外(「2」以上)であるか)に基づいて、以下の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA5の処理」又は「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA5の処理」を行う。
【0110】
ここでは、例えば、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が、「IP1」であるので、以下の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA5の処理」を行うことになる。
【0111】
===送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA5の処理===
SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が親分電盤1のアドレス情報である場合(つまり、現在の変数「i」が「1」である場合であり、親分電盤1が送信側分電盤として現在選択されている場合)、SA4で通信線通信部の応答速度確認機能をオンした親分電盤1の選択部161は、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理」と同様にして、応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、通信線通信部13を介して送信する。この場合、当該信号は通信線L2を介して伝達されることになる。ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報である「IP1」と、SA2で特定した受信側分電盤に割り振られているアドレス情報である「IP201」とを含む応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、通信線通信部13を介して送信する。
【0112】
一方、SA4で通信線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2の制御部26は、通信線通信部23を介して当該応答確認信号を受信した場合に、応答信号を生成し、生成した応答信号を、通信線通信部23を介して送信する。この場合、当該信号は通信線L2を介して伝達されることになる。ここでは、例えば、SA4で通信線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤201の制御部26は、通信線通信部23を介して、送信側分電盤のアドレス情報である「IP1」及び受信側分電盤のアドレス情報である「IP201」を含む応答確認信号を受信した場合、これらの「IP1」及び「IP201」を含む応答信号を生成し、生成した応答信号を、通信線通信部23を介して送信する。
【0113】
一方、親分電盤1の選択部161は、通信線通信部13を介して当該応答信号を受信し、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間を任意の手法(例えば、前述の場合と同様の手法等)で特定し、特定した経過時間を、送信側分電盤と受信側分電盤との間での通信線通信部での通信速度として特定し、当該特定した通信速度に対応する情報を、SA3の場合と同様にして、
図6の経路特性情報における対応する欄の「E:」に対応する数値として格納する。なお、様々な要因(例えば、通信線L2が断線している等の要因)により、応答確認信号が受信側分電盤に到達しない場合や、応答信号が送信側分電盤に到達しない場合等が想定される。この場合、親分電盤1の選択部161は、所定時間(例えば、10秒~13秒等の任意の時間)以内に、通信線通信部13を介して当該応答信号を受信しないことになるが、この場合、送信側分電盤と受信側分電盤との間での通信線通信部での通信が不可能であることを特定し、
図6の経路特性情報における対応する欄の「E:」に対応する数値の代わりに「NC」を格納する。
【0114】
ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、通信線通信部13を介して当該応答信号を受信する場合において、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間として「58」を特定した場合、特定した「58」を、送信側分電盤である親分電盤1と受信側分電盤である子分電盤201との間での通信線通信部での通信速度として特定して、当該特定した通信速度に対応する情報として、
図6の「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報」=「2」で特定される欄の「E:58」を格納する。
【0115】
次に、親分電盤1の選択部161は、通信線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、SA4で応答速度確認機能をオンした分電盤の応答速度確認機能をオフする。詳細には、SA4で送信した通信線通信部応答速度確認機能オン信号に含まれるアドレス情報と同じアドレス情報を含む「通信線通信部応答速度確認機能オフ信号」(通信線通信部の応答速度確認機能をオフするための信号)を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0116】
一方、子分電盤2の制御部26は、SA3の場合と同様な処理を行って、通信線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。なお、親分電盤1の制御部16も、SA3の場合と同様な処理を行って、通信線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、「IP1」及び「IP201」を含む通信線通信部応答速度確認機能オフ信号を生成して送信し、当該信号は電力線L1を介して子分電盤201~203に到達する。そして、子分電盤201の制御部26は、通信線通信部の応答速度確認機能をオフし、また、親分電盤1の制御部16は、通信線通信部の応答速度確認機能をオフする。
【0117】
===送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA5の処理===
SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が子分電盤2のアドレス情報である場合(つまり、現在の変数「i」が「1」以外(「2」以上)であり、子分電盤2が送信側分電盤として現在選択されている場合)、親分電盤1の選択部161は、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、通信線通信部側応答確認処理実行信号を送信した後に、通信線通信部側応答確認処理結果信号を受信し、受信した通信線通信部側応答確認処理結果信号に基づいて、
図6の経路特性情報の情報を格納する。
【0118】
なお、「通信線通信部側応答確認処理実行信号」とは、前述の「通信線通信部側応答確認処理」を実行させるための信号であり、例えば、当該処理を実行する分電盤(つまり、応答確認信号の送信元の分電盤)を示すアドレス情報(つまり、「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報)、及び当該応答確認信号の送信先の分電盤を示すアドレス情報(つまり、「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」)を含む信号である。また、「通信線通信部側応答確認処理結果信号」とは、前述の「通信線通信部側応答確認処理」を実行した結果を示す信号であり、例えば、通信可能である場合の通信速度を示す情報、あるいは、通信不可能であることを示す情報を含む信号である。
【0119】
ここでの処理について具体的には、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報を「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」として含み、且つ、SA2で特定した受信側分電盤に割り振られているアドレス情報を「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」として含む通信線通信部側応答確認処理実行信号を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えばいわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0120】
一方、SA4で通信線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2の制御部26は、電力線通信部24を介して当該通信線通信部側応答確認処理実行信号を受信し、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、「通信線通信部側応答確認処理」を実行する又は実行しないことになる。「通信線通信部側応答確認処理」を実行する場合について具体的には、子分電盤2の制御部26は、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、通信線通信部23を介して送信する。この場合、当該信号は通信線L2を介して伝達されることになる。
【0121】
一方、SA4で通信線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2(応答確認信号を送信した子分電盤2以外の子分電盤2)の制御部26は、通信線通信部23を介して応答確認信号(受信側分電盤のアドレス情報として自己のアドレス情報が含まれる信号)を受信した場合に、応答信号を生成し、生成した応答信号を、通信線通信部23を介して送信する。なお、応答確認信号に含まれる受信側分電盤のアドレス情報としては、親分電盤1のアドレス情報が用いられることも想定されるので、親分電盤1も、同様な処理を行う。すなわち、SA4で通信線通信部の応答速度確認機能をオンした親分電盤1の制御部16は、通信線通信部13を介して応答確認信号(受信側分電盤のアドレス情報として自己のアドレス情報が含まれる信号)を受信した場合に、応答信号を生成し、生成した応答信号を、通信線通信部13を介して送信する。この場合、当該信号は通信線L2を介して伝達されることになる。
【0122】
一方、応答確認信号を送信した子分電盤2の制御部26は、通信線通信部23を介して当該応答信号を受信し、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間を任意の手法(例えば、前述の場合と同様の手法等)で特定し、特定した経過時間を、送信側分電盤と受信側分電盤との間での通信線通信部での通信速度として特定する。また、前述の様々な要因で、応答確認信号を送信した子分電盤2の制御部26は、所定時間(例えば、10秒~13秒等の任意の時間)以内に、通信線通信部23を介して応答信号を受信しないことも想定されるが、この場合、通信不可能であることを特定する。この後、当該子分電盤2の制御部26は、当該特定結果として、通信速度を示す情報又は通信不可能であることを示す情報を含む通信線通信部側応答確認処理結果信号を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部24を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して親分電盤1に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、確実に親分電盤1に伝達されることとする。
【0123】
一方、親分電盤1の選択部161は、当該通信線通信部側応答確認処理結果信号を受信し、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA5の処理」と同様にして、受信した当該信号に含まれる情報を、
図6の経路特性情報における対応する欄に格納する。
【0124】
次に、親分電盤1の選択部161は、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA5の処理」と同様にして、通信線通信部応答速度確認機能オフ信号を送信することにより、通信線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。
【0125】
次に、
図8のSA6において親分電盤1の選択部161は、第2無線通信部の応答速度確認機能をオンする。具体的には任意であるが、特記する事項以外は、SA2と同様な処理を行う。なお、「第2無線通信部の応答速度確認機能をオンする」とは、各分電盤の制御部が、第2無線通信部を介して応答確認信号を送信する処理(以下、「第2無線通信部側応答確認処理」)、あるいは、各分電盤の制御部が、第2無線通信部を介して応答確認信号を受信した場合に、当該第2無線通信部を介して応答信号を送信する処理(以下、「第2無線通信部側応答処理」)を実行可能にすることに対応する概念である。また、「第2無線通信部の応答速度確認機能をオフする」とは、「第2無線通信部側応答確認処理」及び「第2無線通信部側応答処理」を実行不可能にすることに対応する概念である。
【0126】
SA6の処理について具体的には、親分電盤1の選択部161は、送信側分電盤及び受信側分電盤に割り振られているアドレス情報として、SA2で特定したものと同じアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報を含む「第2無線通信部応答速度確認機能オン信号」(第2無線通信部の応答速度確認機能をオンするための信号)を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0127】
一方、子分電盤2の制御部26は、SA2の場合と同様な処理を行って、第2無線通信部の応答速度確認機能をオンする又はオンしないことになる。また、親分電盤1の制御部16も、SA2の場合と同様な処理を行って、第2無線通信部の応答速度確認機能をオンする又はオンしないことになる。
【0128】
ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、「IP1」及び「IP201」を含む第2無線通信部応答速度確認機能オン信号を生成して送信し、当該信号は電力線L1を介して子分電盤201~203に到達する。そして、子分電盤201の制御部26は、第2無線通信部の応答速度確認機能をオンし、一方、子分電盤202、203の制御部26は、第2無線通信部の応答速度確認機能をオンしないことになる。また、親分電盤1の制御部16は、第2無線通信部の応答速度確認機能をオンすることになる。
【0129】
次に、
図8のSA7において親分電盤1の選択部161は、前述の「応答速度を確認するための機能」を利用して通信速度を特定した上で情報の格納等を行う。具体的には任意であるが、例えば、特記する事項以外は、SA3と同様な処理を行う。詳細には、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が親分電盤1のアドレス情報(「IP1」)であるか(つまり、現在の変数「i」が「1」であるか)、子分電盤2のアドレス情報(「IP201」~「IP203」)であるか(つまり、現在の変数「i」が「1」以外(「2」以上)であるか)に基づいて、以下の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA7の処理」又は「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA7の処理」を行う。
【0130】
ここでは、例えば、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が、「IP1」であるので、以下の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA7の処理」を行うことになる。
【0131】
===送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA7の処理===
SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が親分電盤1のアドレス情報である場合(つまり、現在の変数「i」が「1」である場合であり、親分電盤1が送信側分電盤として現在選択されている場合)、SA6で第2無線通信部の応答速度確認機能をオンした親分電盤1の選択部161は、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA3の処理」と同様にして、応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、第2無線通信部12を介して送信する。この場合、当該信号は電波として伝達されることになる。ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報である「IP1」と、SA2で特定した受信側分電盤に割り振られているアドレス情報である「IP201」とを含む応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、第2無線通信部12を介して送信する。
【0132】
一方、SA6で第2無線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2の制御部26は、第2無線通信部22を介して当該応答確認信号を受信した場合に、応答信号を生成し、生成した応答信号を、第2無線通信部22を介して送信する。この場合、当該信号は電波として伝達されることになる。ここでは、例えば、SA6で第2無線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤201の制御部26は、第2無線通信部22を介して、送信側分電盤のアドレス情報である「IP1」及び受信側分電盤のアドレス情報である「IP201」を含む応答確認信号を受信した場合、これらの「IP1」及び「IP201」を含む応答信号を生成し、生成した応答信号を、第2無線通信部22を介して送信する。
【0133】
一方、親分電盤1の選択部161は、第2無線通信部12を介して当該応答信号を受信し、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間を任意の手法(例えば、前述の場合と同様の手法等)で特定し、特定した経過時間を、送信側分電盤と受信側分電盤との間での第2無線通信部での通信速度として特定して、当該特定した通信速度に対応する情報を、SA3の場合と同様にして、
図6の経路特性情報における対応する欄の「W:」に対応する数値として格納する。なお、様々な要因(例えば、電波の遮蔽物が存在する等の要因)により、応答確認信号が受信側分電盤に到達しない場合や、応答信号が送信側分電盤に到達しない場合等が想定される。この場合、親分電盤1の選択部161は、所定時間(例えば、10秒~13秒等の任意の時間)以内に、第2無線通信部12を介して当該応答信号を受信しないことになるが、この場合、送信側分電盤と受信側分電盤との間での第2無線通信部での通信が不可能であることを特定し、
図6の経路特性情報における対応する欄の「W:」に対応する数値の代わりに「NC」を格納する。
【0134】
ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、所定時間以内に応答信号を受信しなかった場合、送信側分電盤である親分電盤1と受信側分電盤である子分電盤201との間での第2無線通信部での通信が不可能であることを示す情報として、
図6の「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報」=「2」で特定される欄の「W:NC」を格納する。
【0135】
次に、親分電盤1の選択部161は、第2無線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、SA6で応答速度確認機能をオンした分電盤の応答速度確認機能をオフする。詳細には、SA6で送信した第2無線通信部応答速度確認機能オン信号に含まれるアドレス情報と同じアドレス情報を含む「第2無線通信部応答速度確認機能オフ信号」(第2無線通信部の応答速度確認機能をオフするための信号)を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0136】
一方、子分電盤2の制御部26は、SA3の場合と同様な処理を行って、第2無線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。なお、親分電盤1の制御部16も、SA3の場合と同様な処理を行って、第2無線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。ここでは、例えば、親分電盤1の選択部161は、「IP1」及び「IP201」を含む第2無線通信部応答速度確認機能オフ信号を生成して送信し、当該信号は電力線L1を介して子分電盤201~203に到達する。そして、子分電盤201の制御部26は、第2無線通信部の応答速度確認機能をオフし、また、親分電盤1の制御部16は、第2無線通信部の応答速度確認機能をオフする。
【0137】
===送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA7の処理===
SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報が子分電盤2のアドレス情報である場合(つまり、現在の変数「i」が「1」以外(「2」以上)であり、子分電盤2が送信側分電盤として現在選択されている場合)、親分電盤1の選択部161は、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、第2無線通信部側応答確認処理実行信号を送信した後に、第2無線通信部側応答確認処理結果信号を受信し、受信した第2無線通信部側応答確認処理結果信号に基づいて、
図6の経路特性情報の情報を格納する。
【0138】
なお、「第2無線通信部側応答確認処理実行信号」とは、前述の「第2無線通信部側応答確認処理」を実行させるための信号であり、例えば、当該処理を実行する分電盤(つまり、応答確認信号の送信元の分電盤)を示すアドレス情報(つまり、「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報)、及び当該応答確認信号の送信先の分電盤を示すアドレス情報(つまり、「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」)を含む信号である。また、「第2無線通信部側応答確認処理結果信号」とは、前述の「第2無線通信部側応答確認処理」を実行した結果を示す信号であり、例えば、通信可能である場合の通信速度を示す情報、あるいは、通信不可能であることを示す情報を含む信号である。
【0139】
ここでの処理について具体的には、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、SA2で特定した送信側分電盤に割り振られているアドレス情報を「応答確認信号送信元分電盤アドレス情報」として含み、且つ、SA2で特定した受信側分電盤に割り振られているアドレス情報を「応答確認信号送信先分電盤アドレス情報」として含む第2無線通信部側応答確認処理実行信号を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えばいわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。
【0140】
一方、SA6で第2無線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2の制御部26は、電力線通信部24を介して当該第2無線通信部側応答確認処理実行信号を受信し、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、「第2無線通信部側応答確認処理」を実行する又は実行しないことになる。「第2無線通信部側応答確認処理」を実行する場合について具体的には、子分電盤2の制御部26は、前述の「送信側分電盤が子分電盤2である場合のSA3の処理」と同様にして、応答確認信号を生成し、生成した応答確認信号を、第2無線通信部22を介して送信する。この場合、当該信号は電波として伝達されることになる。
【0141】
一方、SA6で第2無線通信部の応答速度確認機能をオンした子分電盤2(応答確認信号を送信した子分電盤2以外の子分電盤2)の制御部26は、第2無線通信部22を介して当該応答確認信号を受信した場合に、応答信号生成し、生成した応答信号を、第2無線通信部22を介して送信する。なお、応答確認信号に含まれる受信側分電盤のアドレス情報としては、親分電盤1のアドレス情報が用いられることも想定されるので、親分電盤1も、同様な処理を行う。すなわち、SA6で第2無線通信部の応答速度確認機能をオンした親分電盤1の制御部16は、第2無線通信部12を介して応答確認信号(受信側分電盤のアドレス情報として自己のアドレス情報が含まれる信号)を受信した場合に、応答信号を生成し、生成した応答信号を、第2無線通信部12を介して送信する。この場合、当該信号は電波として伝達されることになる。
【0142】
一方、応答確認信号を送信した子分電盤2の制御部26は、第2無線通信部22を介して当該応答信号を受信し、前述の応答確認信号を送信した時から当該応答信号を受信した時までの経過時間を任意の手法(例えば、前述の場合と同様の手法等)で特定し、特定した経過時間を、送信側分電盤と受信側分電盤との間での第2無線通信部での通信速度として特定する。また、前述の様々な要因で、応答確認信号を送信した子分電盤2の制御部26は、所定時間(例えば、10秒~13秒等の任意の時間)以内に、第2無線通信部22を介して応答信号を受信しないことも想定されるが、この場合、通信不可能であることを特定する。この後、当該子分電盤2の制御部26は、当該特定結果として、通信速度を示す情報又は通信不可能であることを示す情報を含む第2無線通信部側応答確認処理結果信号を生成し、生成した当該信号を、電力線通信部24を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して親分電盤1に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、確実に親分電盤1に伝達されることとする。
【0143】
一方、親分電盤1の選択部161は、当該第2無線通信部側応答確認処理結果信号を受信し、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA7の処理」と同様にして、受信した当該信号に含まれる情報を、
図6の経路特性情報における対応する欄に格納する。
【0144】
次に、親分電盤1の選択部161は、前述の「送信側分電盤が親分電盤1である場合のSA7の処理」と同様にして、第2無線通信部応答速度確認機能オフ信号を送信することにより、第2無線通信部の応答速度確認機能をオフする処理を行う。
【0145】
次に、
図8のSA8において親分電盤1の選択部161は、送信側分電盤としては同じ分電盤を選択した状態で受信側分電盤として他の分電盤を選択するか否かを判定する(つまり、受信側を1個シフトするか否かを判定する)。具体的には任意であるが、例えば、現在選択されている送信側分電盤及び受信側分電盤相互間で通信可能であるか否かの判定(以下、「SA8の第1判定」と称する)、及び現在選択されている送信側分電盤に対して未だ受信側分電として選択されていない分電盤が存在するか否かの判定(以下、「SA8の第2判定」と称する)を行い、判定結果に基づいて判定する。
【0146】
まず、「SA8の第1判定」については、直近のSA3、SA5、SA7にて
図6の経路特性情報に格納した情報を取得し、取得した情報が全て「NC」である場合(つまり、3個の通信部での通信が全て不可能となっている場合)、現在選択されている送信側分電盤及び受信側分電盤相互間で通信可能でないものと判定し、一方、取得した情報に通信速度を示す数値が含まれている場合(つまり、3個の通信部のいずれかで通信が可能となっている場合)、現在選択されている送信側分電盤及び受信側分電盤相互間で通信可能であるものと判定する。また、「SA8の第2判定」については、
図3の分電盤アドレス特定情報の分電盤番号情報を参照して、送信側分電盤として現在選択されている分電盤以外に、受信側分電盤として現在選択されている分電盤よりも大きな数値の分電盤番号情報の分電盤が存在するか否かに基づいて判定する。そして、受信側分電盤として現在選択されている分電盤よりも大きな数値の分電盤番号情報の分電盤が存在するものと判定した場合、未だ受信側分電として選択されていない分電盤が存在するものと判定し、一方、受信側分電盤として現在選択されている分電盤よりも大きな数値の分電盤番号情報の分電盤が存在しないものと判定した場合、未だ受信側分電として選択されていない分電盤が存在しないものと判定する。
【0147】
そして、
図8のSA8の判定について詳細には、「SA8の第1判定」にて現在選択されている送信側分電盤及び受信側分電盤相互間で通信可能であるものと判定し、且つ、「SA8の第2判定」にて現在選択されている送信側分電盤に対して未だ受信側分電として選択されていない分電盤が存在するものと判定した場合、受信側を1個シフトするものと判断した上で、受信側分電盤として他の分電盤を選択するものと判定し(SA8のYES)、SA9に移行する。また、「SA8の第1判定」にて現在選択されている送信側分電盤及び受信側分電盤相互間で通信不可能であるものと判定した場合、又は、「SA8の第2判定」にて現在選択されている送信側分電盤に対して未だ受信側分電として選択されていない分電盤が存在しないものと判定した場合、受信側をシフトしないものと判断した上で、受信側分電盤として他の分電盤を選択しないものと判定し(SA8のNO)、SA10に移行する。ここでは、例えば、
図6の経路特性情報における「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報」=「2」が特定する欄の情報を格納し、且つ、受信側分電として現在選択されている分電盤が
図3の「分電盤番号情報」=「2」に対応する子分電盤201であるので、受信側分電盤として他の分電盤を選択するものと判定する(SA8のYES)。
【0148】
次に、
図8のSA9において親分電盤1の選択部161は、受信側分電盤として他の分電盤を選択する(つまり、受信側を1個シフトする)。具体的には任意であるが、例えば、
図3の分電盤アドレス特定情報の分電盤番号情報を参照して、受信側分電盤として現在選択されている分電盤の次に大きな数値の分電盤を、受信側分電盤として選択する。つまり、現在の受信側分電盤が変数「j」=「2」が示す子分電盤201であるので、変数「j」の値に「1」を加算して、「j」=「2+1」=「3」が示す子分電盤202を受信側分電盤として選択する。なお、この場合、送信側分電盤については、変数「i」=「1」が示す親分電盤1が選択された状態のままとする。そして、この後、SA2に移行し、現在選択されている送信側分電盤が親分電盤1であり、また、現在選択されている受信側分電盤が子分電盤202であることとして、再度上述の処理が実行されることになるが、この場合、SA3、SA5、SA7にて
図6の「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報」=「3」が特定する欄の情報(例えば、「P:92」、「E:89」、「W:52」の情報)が格納されることになる。
【0149】
次に、SA8の判定にて受信側分電盤として他の分電盤を選択しないものと判定した(SA8のNO)後のSA10において親分電盤1の選択部161は、送信側分電盤として他の分電盤を選択するか否かを判定する(つまり、送信側を1個シフトするか否かを判定する)。具体的には任意であるが、例えば、
図3の分電盤アドレス特定情報の分電盤番号情報を参照して、送信側分電盤として現在選択されている分電盤よりも大きな数値の分電盤番号情報の分電盤が存在するか否かに基づいて判定する。送信側分電盤として現在選択されている分電盤よりも大きな数値の分電盤番号情報の分電盤が存在しない場合(つまり、送信側分電盤として現在選択されている分電盤が
図3の分電盤番号情報の最大値に対応する場合)、送信側分電盤として他の分電盤を選択しないものと判定し(SA10のNO)、処理を終了する。また、送信側分電盤として現在選択されている分電盤よりも大きな数値の分電盤番号情報の分電盤が存在する場合、送信側分電盤として他の分電盤を選択するものと判定し(SA10のYES)、SA11に移行する。
【0150】
次に、
図8のSA11において親分電盤1の選択部161は、送信側分電盤として他の分電盤を選択する(つまり、送信側を1個シフトする)。具体的には任意であるが、例えば、
図3の分電盤アドレス特定情報の分電盤番号情報を参照して、送信側分電盤として現在選択されている分電盤の次に大きな数値の分電盤を、送信側分電盤として選択する。つまり、現在の送信側分電盤が変数「i」=「1」が示す親分電盤1であるので、変数「i」の値に「1」を加算して、「i」=「1+1」=「2」が示す子分電盤201を送信側分電盤として選択する。なお、この場合、受信側分電盤については、
図3の分電盤アドレス特定情報の分電盤番号情報が最小値となる分電盤である変数「i」=「1」が示す親分電盤1を選択することとする。そして、この後、SA2に移行し、現在選択されている送信側分電盤が子分電盤201であり、また、現在選択されている受信側分電盤が親分電盤1であることとして、再度上述の処理が実行されることになる。そして、上述の各処理を繰り返し実行することにより、
図6の経路特性情報が格納されることになる。これにて、経路特性把握処理の説明を終了する。
【0151】
(処理-通信特定情報生成処理)
次に、通信特定情報生成処理について説明する。
図9は、通信特定情報生成処理のフローチャートである。「通信特定情報生成処理」とは、
図4の通信特定情報を生成して格納する処理であり、概略的には、親分電盤1によって行われる処理である。この通信特定情報生成処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、
図6の経路特性情報が格納された後に実行されることとし、当該処理の実行が開始されたところから説明する。
【0152】
図9のSB1において親分電盤1の選択部161は、候補経路の組み合わせを特定する。「候補経路」とは、各分電盤相互間の通信経路の候補である。SB1の処理について具体的には任意であるが、例えば、
図1の親分電盤1をいわゆるゲートウェイとして、ネットワーク303側の情報を電力システム100側から取得する場合を想定して以下説明する。より具体的には、例えば、いわゆるツリー構造となる候補経路を特定する。「ツリー構造」とは、例えば、各子分電盤2から親分電盤1までの通信経路(又は、親分電盤1から各子分電盤2までの通信経路)が唯一に定まることに対応する概念であり、一例としては、子分電盤201~203等各々と親分電盤1との相互間の通信経路が各々1個に定まることに対応する概念である。詳細には、
図3の分電盤アドレス特定情報において、電力システム100に含まれる各分電盤が特定されていることに着目して、当該分電盤アドレス特定情報を参照して、電力システム100の子分電盤2各々と親分電盤1との間のツリー構造となる候補経路の組み合わせを全て特定する。
【0153】
図10は、候補経路の組み合わせを例示した図である。なお、
図10においては、分電盤の個数が3個の場合が例示されている。また、
図10においては、基本的には、
図5と同様な形式にて図示されている。そして、説明の便宜上、分電盤の個数が3個の場合を適宜例示して説明する。ここでは、例えば、
図10の(a)~(c)の候補経路の組み合わせを特定する。なお、(a)の候補経路の組み合わせは、「候補経路」の欄に図示されているように、「2」の分電盤(つまり、子分電盤201)から「1」の分電盤(つまり、親分電盤1)に至る「2-1」の候補経路、及び「3」の分電盤(つまり、子分電盤202)から「2」の分電盤を介して「1」の分電盤に至る「3-2-1」の候補経路の2個の候補経路の組み合わせである。なお、この組み合わせにおいては、「2」から「1」までの経路が「2-1」の経路に唯一に定まり、また、「3」から「1」までの経路が「3-2-1」に唯一に定まっている。また、(b)及び(c)の候補経路の組み合わせは、図示の通りであるので、説明を省略する。なお、ここでは、例えば、
図6の経路特定情報において、「P」、「E」、及び「W」の全てが「NC」である場合、通信を行うことができないので、当該経路特定情報を参照して、「P」、「E」、及び「W」の全てが「NC」となっていない通信経路(つまり、何れかの通信手法で通信可能となっている通信経路)に対応する候補経路の組み合わせを特定することとしてもよい。
【0154】
図9のSB2において親分電盤1の選択部161は、各候補経路の組み合わせの平均通信速度を演算する。「平均通信速度」とは、各候補経路の組み合わせにおいて子分電盤2と親分電盤1との間の通信速度の平均に対応する概念であり、例えば、各候補経路において通信速度が最速となる通信手法を選択した場合における子分電盤2と親分電盤1との間の通信速度の平均に対応する概念である。SB2の処理について具体的には任意であるが、例えば、SB1で特定した候補経路の組み合わせ毎に、以下の処理を行う。詳細には、
図6の経路特性情報を参照して、SB1で特定した組み合わせ中における各経路の各通信手法での通信速度を特定し、特定した各通信速度を相互に比較し、比較結果に基づいて通信速度が最速となる通信速度及び通信手法を特定した上で、特定結果に基づいて通信速度についての平均を求める所定の演算を行うことにより、平均通信速度を演算する。
【0155】
ここでは、例えば、
図10の(a)の候補経路の組み合わせにおいては、まず、「2-1」の候補経路については、
図6の経路特性情報において、「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報=「2」の欄に格納されている情報を、当該「2-1」の候補経路の各通信手法での通信速度として特定する。つまり、
図10に「P:54、E:58、W:NC」と図示されているように、「P」が示す電力線通信部を用いて行う通信の通信速度が「54」であり、「E」が示す通信線通信部を用いて行う通信の通信速度が「58」であり、「W」が示す第2無線通信部を用い通信を行うことができないことを特定する。なお、ここでは、「2-1」の候補経路については、
図6の経路特性情報において、「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報=「2」の欄に格納されている情報を特定するものと説明したが、これに限らず、例えば、同じ経路に対応する「送信側番号情報」=「2」及び「受信側番号情報=「1」の欄に格納されている情報を特定してもよい。
【0156】
また、「3-2-1」の候補経路の通信速度としては、「3-2」の経路と「2-1」の経路とに分けて特定するが、「3-2」の経路については、
図6の「送信側番号情報」=「2」及び「受信側番号情報=「3」の欄に格納されている情報を「3-2」の経路の各通信手法での通信速度として特定する。つまり、
図10の「P:61、E:48、W:51」が示す情報を特定する。また、「2-1」の経路については、前述の場合と同様にして、
図10の「P:54、E:58、W:NC」が示す情報を特定する。なお、ここでは、「3-2」の経路については、
図6の「送信側番号情報」=「2」及び「受信側番号情報=「3」の欄に格納されている情報を特定するものと説明したが、これに限らず、例えば、同じ経路に対応する「送信側番号情報」=「3」及び「受信側番号情報=「2」の欄に格納されている情報を特定してもよい。
【0157】
次に、「2-1」の候補経路については、「P:54」、「E:58」、及び「W:NC」を相互に比較し、比較結果に基づいて、「P:54」が示す「54」(比較する数値中で最小の数値)及び電力線通信部(当該最小の数値である「54」に関連付けられている「P」が示す通信部)を、「2-1」の候補経路通信速度が最速となる通信速度及び通信手法として特定する。また、前述の「3-2-1」の候補経路については、まず、「3-2」の経路について「P:61」、「E:48」、及び「W51」を相互に比較し、比較結果に基づいて「E:48」が示す「48」(比較する数値中で最小の数値)及び通信線通信部(当該最小の数値である「48」に関連付けられている「E」が示す通信部)を、通信速度が最速となる通信速度及び通信手法として特定し、また、「2-1」の経路について前述の場合と同様にして「P:54」が示す「54」及び電力線通信部を、通信速度が最速となる通信速度及び通信手法として特定した上で、これらの特定した「48」及び「54」を加算した「102」と、「3-2」の経路での通信線通信部及び「2-1」の経路での電力線通信部をと、「3-2-1」の候補経路で通信速度が最速となる通信速度(つまり、「102」)及び通信手法(つまり、「電力線通信部」及び「通信線通信部」)として特定する。
【0158】
次に、前述の最速となるものと特定した通信速度について「(54+102)÷2」(なお、ここでの「54」は前述の「2-1」の候補経路の最速の通信速度であり、「102」は「3-2-1」の候補経路の最速の通信速度であり、「2」は候補経路の個数(つまり、子分電盤2の個数)である)(平均を求める所定の演算)の演算を行って、演算結果である「78」を
図10の(a)の候補経路の組み合わせの平均通信速度として求める。つまり、この「78」は、
図10の(a)の候補経路の組み合わせの場合における、平均通信速度となる。そして、
図10の(b)及び(c)の候補経路の組み合わせについても同様な処理を行って、図示されているように、「76」及び「53」を平均通信速度として求める。
【0159】
図9のSB3において親分電盤1の選択部161は、通信経路及び通信手法を選択して決定する。具体的には任意であるが、例えば、SB2で演算した平均通信速度に基づいて決定する。詳細には、例えば、SB1で特定した候補経路の組み合わせ内の、SB2で演算した平均通信速度が最速(つまり、数値が最小)の候補経路の組み合わせを1個特定し、当該1個の組み合わせ中の候補経路を通信経路として選択して決定し、当該各通信経路についてSB2で最速であるものと特定した通信手法を当該通維経路の通信手法として選択して決定する。なお、SB1で特定した候補経路の内の、SB2で演算した平均通信速度が最速の組み合わせが複数存在する場合、任意の手法(例えば、ランダムに選択する手法、あるいは、通信手法として所定の通信手法(例えば、通信線通信部)が最も多く含まれている組み合わせ等を選択する手法等)で1個の組み合わせを選択して特定してもよい。
【0160】
ここでは、例えば、SB1で特定した
図10の(a)~(c)の候補経路の組み合わせの内の、SB2で演算した平均通信速度が最速の候補経路の組み合わせとして、平均通信速度が「53」である
図10の(c)の組み合わせを特定し、「2-1」及び「3-1」の候補経路を通信経路として選択して決定し、「2-1」の通信経路の電力線通信部と「3-1」の通信経路の第2無線通信部とを通信手法として選択して決定する。
【0161】
図9のSB4において親分電盤1の選択部161は、通信特定情報を生成して記録部15に格納する。具体的には任意であるが、例えば、SB3で決定した通信経路及び通信手法が反映された
図4の通信特定情報を生成して記録部15に格納する。詳細には、例えば、SB3で決定した通信経路に基づいて、各分電盤同士で直接通信を行うか否か、及び直接通信を行う場合の通信手法を特定し、特定結果に基づいて
図4の通信特定情報の各欄の情報を生成して記録部15に格納する。
【0162】
なお、ここでは、前述したように、
図4に具体的に図示されている情報は、
図5で図示された通信経路及び通信手法に対応しているので、説明の便宜上、前述のSB3にて
図5に示す通信経路及び通信手法を決定したものとして、SB4の処理例を説明する。ここでは、例えば、SB3で決定した通信経路である
図5の通信経路に基づいて、以下を特定する。すなわち、「1」の分電盤は、「2」及び「4」の分電盤とは直接通信を行わずに、「3」の分電盤と第2無線通信部にて直接通信を行うことを特定する(以下、「第1の特定例」とも称する)。また、「2」の分電盤は、「1」及び「4」の分電盤と直接通信を行わずに、「3」の分電盤と通信線通信部にて直接通信を行うことを特定する(以下、「第2の特定例」とも称する)。また、「3」の分電盤は、「1」の分電盤と第2無線通信部にて直接通信を行い、「2」の分電盤と通信線通信部にて直接通信を行い、「4」の分電盤と電力線通信部にて直接通信を行うことを特定する(以下、「第3の特定例」とも称する)。また、「4」の分電盤は、「1」及び「2」の分電盤とは直接通信を行わずに、「3」の分電盤と電力線通信部にて直接通信を行うことを特定する(以下、「第4の特定例」とも称する)。
【0163】
次に、これらの特定結果に基づいて、
図4の通信特定情報の各欄の情報を生成して格納するが、例えば、前述の「第1の特定例」に対応する情報として、
図4の最上段の欄の情報を生成して格納し、また、前述の「第2の特定例」~「第4の特定例」に対応する情報として、
図4の2段目~4段目の欄の情報を生成して記録部15に格納する。
【0164】
図9のSB5において親分電盤1の選択部161は、通信特定情報を送信する。具体的に任意であるが、例えば、SB4で生成して記録部15に記録した通信特定情報を取得し、取得した通信特定情報を含む信号を生成し、生成した信号を、電力線通信部14を介して送信する。そして、当該信号は、電力線L1を介して子分電盤2に到達する。なお、ここでは、例えば、いわゆる公知のマルチホップに対応する通信が行われることにより、電力システム100の全ての分電盤に当該信号が伝達されることとする。次に、子分電盤2の制御部26は、電力線通信部24を介して当該信号を受信し、受信した信号に含まれている通信特定情報を、自己の記録部25に記録する。このようにして、子分電盤2にも
図4の通信特定情報が格納されることになる。すなわち、通信特定情報生成処理を行うことにより、各分電盤の記録部に通信特定情報が格納されることになる。これにて、通信特定情報生成処理を終了する。
【0165】
(処理-要求処理)
次に、要求処理について説明する。
図11は、要求処理のフローチャートである。「要求処理」とは、各分電盤で行われる通信の処理であり、具体的には、各分電盤が通信特定情報(つまり、選択部161による前述の経路特性把握処理及び通信特定情報生成処理の処理結果)に基づいて通信する処理であり、例えば、
図1の親分電盤1をいわゆるゲートウェイとして、ネットワーク303側の情報を要求するための処理である。この要求処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、各分電盤の電源をオンした後に繰り返し実行が開始されることとし、当該処理の実行が開始されたところから説明する(後述する応答処理も同様とする)。また、ここで説明する通信の処理について特記する通信を除いて、従来と同様にして通信が行われることとし、特に、例えば、親分電盤1とルーター301との相互間の通信は、従来と同様にして通信線L2を用いて通信を行うこととする(後述する応答処理も同様とする)。
【0166】
また、ネットワーク303側の情報を要求する端末装置102としては、端末装置102A~102Dのいずれであってもよいが、ここでは、説明の便宜上、子分電盤2側と無線通信する端末装置102B~102Dが要求することを前提として、説明する(後述する応答処理も同様とする)。特に、ここでは、例えば、建設現場の作業員が、
図1の端末装置102Dを用いてネットワーク303側の不図示のWEBサーバにアクセスして、WEBページを表示するための情報を要求する場合を例示して説明する。
【0167】
図12は、各分電盤の直接の通信相手となる分電盤と通信手法を説明するための図である。この
図12の項目「分電盤」の欄は、各分電盤を示しており、
図5の数値と同様な内容を示しており、つまり、「1」~「4」は親分電盤1、子分電盤201~203を示している。また、項目「相手方分電盤」における項目「上流側」の欄は、項目「分電盤」の欄が示す分電盤の上流側の通信相手になる分電盤及び当該分電盤との通信手法を示している。また、項目「相手方分電盤」における項目「下流側」の欄は、項目「分電盤」の欄が示す分電盤の下流側の通信相手になる分電盤及び当該分電盤との通信手法を示している。なお、ここでの「上流側」とは、通信経路における親分電盤1側であり、「下流側」とは、通信経路における親分電盤1側とは反対側である。
【0168】
各分電盤の記録部には、
図4の通信特定情報が格納されているので、各分電盤の制御部は、当該通信特定情報を参照することにより、通信経路及び通信手法を特定することが可能となり、例えば、
図4の例では
図5に示す各分電盤間の通信経路及び通信手法を特定することが可能となり、すなわち、
図12に示すように、各分電盤自身が通信する相手方の分電盤及び当該分電盤との通信手法を特定することが可能となる。この点を前提として、以下の処理を行う(後述する応答処理も同様とする)。
【0169】
図11のSC1において各分電盤の制御部は、端末装置102からリクエスト(つまり、要求)が行われたか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、第1無線通信部を介して端末側リクエスト信号を受信したか否かに基づいて判定する。「端末側リクエスト信号」とは、端末装置102から送信される信号であり、例えば、リクエストの内容を示すリクエスト内容情報を含む信号である。そして、第1無線通信部を介して端末側リクエスト信号を受信していない場合、端末装置102からリクエストが行われていないものと判定し(SC1のNO)、SC4に移行する。また、第1無線通信部を介して端末側リクエスト信号を受信した場合、端末装置102からリクエストが行われたものと判定し(SC1のYES)、SC2に移行する。
【0170】
ここでは、例えば、建設現場の作業員が、端末装置102Dの入力手段(例えば、タッチパッド等)を介して、所定のWEBページのアドレスとして「Add1」を入力して、当該WEBページを表示するための情報を要求する操作を行った場合、端末装置102Dは、「リクエスト内容情報」=「Add1」を含む端末側リクエスト信号を生成し、生成した当該端末側リクエスト信号を送信する。この場合、子分電盤203の制御部26は、第1無線通信部21を介して当該端末側リクエスト信号を受信し、端末装置102からリクエストが行われたものと判定する。
【0171】
図11のSC2において各分電盤の制御部は、分電盤側リクエスト信号を生成する。「分電盤側リクエスト信号」とは、各分電盤から送信される信号であり、例えば、送信先の分電盤のアドレス情報を示す送信先アドレス情報、送信元の分電盤のアドレス情報を示す送信元アドレス情報、通信経路を特定する経路情報、及びリクエスト内容情報を含む信号である。SC2の具体的な処理は任意であるが、例えば、記録部の
図4の通信特定情報を参照して、自己(つまり、SC1でリクエストが行われたものと判定した分電盤)からゲートウェイとして機能する親分電盤1までの経路を特定した上で、記録部の
図3の分電盤アドレス特定情報を参照して、親分電盤1のアドレス情報を特定し、また、当該特定した経路に含まれる各分電盤のアドレス情報を特定した上で、SC1で受信した端末側リクエストに含まれているリクエスト内容情報を取得する。次に、「送信先アドレス情報」として前述の特定した「親分電盤1のアドレス情報」を含み、且つ、「送信元アドレス情報」として自己の記録部の「自己アドレス情報」を含み、且つ、「経路情報」として前述の特定した経路に含まれる「各分電盤のアドレス情報」を含み、且つ、「リクエスト内容情報」として前述の取得した「リクエスト内容情報」を含む分電盤側リクエスト信号を生成する。
【0172】
ここでは、例えば、子分電盤203の制御部26は、記録部25の
図4の通信特定情報を参照して、子分電盤203からゲートウェイとして機能する親分電盤1までの経路として
図5の「4-3-1」に対応する経路を特定した上で、記録部25の
図3の分電盤アドレス特定情報を参照して、「親分電盤1のアドレス情報」=「IP1」を特定し、また、当該特定した経路に含まれる「各分電盤のアドレス情報」=「IP203、IP202、IP1」を特定した上で、SC1で受信した端末側リクエストに含まれている「リクエスト内容情報」=「Add1」を取得する。次に、「送信先アドレス情報」=「IP1」、「送信元アドレス情報」=「IP203」(つまり、子分電盤203の記録部25の「自己アドレス情報」)、「経路情報」=「IP203、IP202、IP1」、及び「リクエスト内容情報」=「Add1」を含む分電盤側リクエスト信号(以下、「例示の分電盤側リクエスト信号」とも称する)を生成する。
【0173】
図11のSC3において各分電盤の制御部は、SC2で生成した分電盤側リクエスト信号を送信する。具体的には任意であるが、例えば、分電盤側リクエスト信号については上流側に送信する点に着目して、記録部の
図4の通信特定情報を参照して、自己の上流側の直接の通信相手との通信手法として、第2無線通信部、通信線通信部、又は電力線通信部の内の、
図4の通信特定情報で示されている1個の通信部を特定し、SC2で生成した分電盤側リクエスト信号を、当該特定した通信部を介して上流側の分電盤に送信して処理を終了し、再度SC1が実行されることになる。なお、ここでの1個の通信部を特定する手法は、
図4の通信特定情報の欄の情報の定義から明らかであるが、例えば、「W」については第2無線通信部を特定し、「E」については通信線通信部を特定し、「P」については電力線通信部を特定することとする。なお、「×」については通信を行わないことを特定することになる。
【0174】
ここでは、例えば、子分電盤203の制御部26は、記録部25の
図4の通信特定情報を参照して、
図5の通信経路を特定した上で、子分電盤203の上流側の直接の通信相手である子分電盤202との通信手法として、
図4の通信特定情報の「送信側番号情報」=「4」及び「受信側番号情報」=「3」で特定される欄の「P」に対応する電力線通信部24を特定し、例示の分電盤側リクエスト信号を、電力線通信部24を介して送信する。この場合、例示の分電盤側リクエスト信号は、電力線L1に伝達されることになる。
【0175】
一方、
図11のSC1の判定にて端末装置102からリクエストが行われていないものと判定した(SC1のNO)の後のSC4において各分電盤の制御部は、分電盤側リクエスト信号を受信したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、分電盤側リクエスト信号は下流側から送信される点に着目して、記録部の
図4の通信特定情報を参照して、自己の下流側の直接の通信相手との通信手法として、第2無線通信部、通信線通信部、又は電力線通信部の内の、
図4の通信特定情報で示されている1個の通信部を特定し、特定した通信部を監視して、監視結果に基づいて判定する。そして、監視している通信部を介して分電盤側リクエスト信号を受信していない場合、分電盤側リクエスト信号を受信していないものと判定し(SC4のNO)、処理を終了し、再度SC1が実行されることになる。また、監視している通信部を介して分電盤側リクエスト信号を受信した場合、分電盤側リクエスト信号を受信したものと判定し(SC4のYES)、SC5に移行する。
【0176】
ここでは、例えば、親分電盤1の制御部16は、記録部25の
図4の通信特定情報を参照して、
図5の通信経路を特定した上で、親分電盤1の下流側との直接の通信相手である子分電盤202との通信手法として、
図4の通信特定情報の「送信側番号情報」=「3」及び「受信側番号情報」=「1」で特定される欄の「W」に対応する第2無線通信部12を特定し、特定した第2無線通信部12を監視することになる。また、例えば、子分電盤202の制御部26は、同様な処理を行って、「E」及び「P」に対応する通信線通信部23及び電力線通信部24を監視することになる。なお、例えば、子分電盤201、203の制御部26は、同様な処理を行うが、下流側の直接の通信相手が存在しないので、通信部の監視自体を行わずに、分電盤側リクエスト信号を受信していないものと判定することになる。そして、子分電盤202の制御部26は、監視している電力線通信部24を介して、前述したように電力線L1に伝達された例示の分電盤側リクエスト信号を受信し、分電盤側リクエスト信号を受信したものと判定する。
【0177】
図11のSC5において各分電盤の制御部は、自己が分電盤リクエスト信号の経路となっているか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、SC4で受信した分電盤リクエスト信号に含まれている経路情報を取得し、取得した経路情報に自己の記録部の自己アドレス情報が含まれているか否かに基づいて判定する。そして、取得した経路情報に自己アドレス情報が含まれていない場合、自己が分電盤リクエスト信号の経路となっていないものと判定し(SC5のNO)、処理を終了し、再度SC1が実行されることになる。また、取得した経路情報に自己アドレス情報が含まれている場合、自己が分電盤リクエスト信号の経路となっているものと判定し(SC5のYES)、SC6に移行する。
【0178】
ここでは、例えば、子分電盤202の制御部26は、SC4で電力線通信部24を介して受信した例示した分電盤リクエスト信号に含まれている「経路情報」=「IP203、IP202、IP1」を取得し、取得した経路情報に自己の記録部25の「自己アドレス情報」=「IP202」が含まれているので、自己が分電盤リクエスト信号の経路となっているものと判定する。
【0179】
図11のSC6において各分電盤の制御部は、自己が分電盤リクエスト信号の送信先以外となっているか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、SC4で受信した分電盤リクエスト信号に含まれている送信先アドレス情報を取得し、取得した送信先アドレス情報が自己の記録部の自己アドレス情報と合致しているか否かに基づいて判定する。そして、取得した送信先アドレス情報が自己アドレス情報と合致している場合、自己が分電盤リクエスト信号の送信先以外となっているわけではないものと判定し(つまり、自己が電盤リクエスト信号の送信先になっているものと判定し)(SC6のNO)、SC8に移行する。また、取得した送信先アドレス情報が自己アドレス情報と合致していない場合、自己が分電盤リクエスト信号の送信先以外となっているものと判定し(つまり、自己が電盤リクエスト信号の送信先になっていないものと判定し)(SC6のYES)、SC7に移行する。
【0180】
ここでは、例えば、子分電盤202の制御部26は、SC4で受信した例示した分電盤リクエスト信号に含まれている「送信先アドレス情報」=「IP1」を取得し、取得した送信先アドレス情報と自己の記録部25の「自己アドレス情報」=「IP202」とが合致していないので、自己が分電盤リクエスト信号の送信先以外となっているものと判定する。
【0181】
図11のSC7において各分電盤の制御部は、SC4で受信した分電盤側リクエスト信号と同じ分電盤側リクエスト信号を生成して送信する。具体的には任意であるが、例えば、SC4で受信した分電盤側リクエスト信号と同じ分電盤側リクエスト信号を生成し、また、SC3の処理と同様な処理を行って通信部を特定した上で、当該特定した通信部を介して前述の生成した分電盤側リクエスト信号を送信して処理を終了し、再度SC1が実行されることになる。
【0182】
ここでは、例えば、子分電盤202の制御部26は、記録部25の
図4の通信特定情報を参照して、
図5の通信経路を特定した上で、子分電盤202の上流側の直接の通信相手である親分電盤1との通信手法として、
図4の通信特定情報の「送信側番号情報」=「3」及び「受信側番号情報」=「1」で特定される欄の「W」に対応する第2無線通信部22を特定し、例示の分電盤側リクエスト信号を生成して、生成した例示の分電盤側リクエスト信号を、第2無線通信部22を介して送信する。この場合、例示の分電盤側リクエスト信号は、電波として伝達されることになる。
【0183】
一方、
図11のSC6の判定にて自己が分電盤リクエスト信号の送信先以外となっているわけではないものと判定した(SC6のNO)の後のSC8において各分電盤の制御部は、リクエストに対応する処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、SC4で受信した分電盤側リクエスト信号に含まれるリクエスト内容情報を取得し、取得したリクエスト内容情報が示すWEBページを表示するための情報を取得する処理を行う。なお、ここでのWEBページを表示するための情報を取得する処理としては、公知の処理を適用することができるので、概要のみ説明する。具体的には、SC4で受信した分電盤側リクエスト信号と同じ分電盤側リクエスト信号を生成し、生成した分電盤側リクエスト信号を、通信線通信部を介してルーター301に送信して処理を終了し、再度SC1が実行されることになる。
【0184】
ここでは、例えば、前述のように、子分電盤202の制御部26が例示の分電盤側リクエスト信号を第2無線通信部22を介して送信した場合、親分電盤1の制御部16は、SC4において第2無線通信部12を監視して分電盤側リクエスト信号を受信したものと判定し(SC4のYES)、SC5において自己が経路になっているものと判定した後(SC5のYES)、SC6において自己が分電盤リクエスト信号の送信先以外となっているわけではないものと判定する(SC6のNO)。この場合、SC8において、親分電盤1の制御部16は、例示の分電盤側リクエスト信号を生成し、生成した当該信号を、通信線通信部13を介してルーター301に送信する。この場合、当該分電盤側リクエスト信号は、ルーター301及びONU302を介してネットワーク303側の不図示のWEBサーバに伝達される。
【0185】
一方、不図示のWEBサーバは、例示の分電盤側リクエスト信号を受信し、受信した例示の分電盤側リクエスト信号に含まれる情報を全て含み、且つ、例示の分電盤側リクエスト信号に含まれている「リクエスト内容情報」=「Add1」に対する応答の情報であるレスポンス内容情報としてWEBページを表示するための情報である「D(Add1)」を更に含む例示のWEBレスポンス信号を生成して、生成した当該信号を、ネットワーク303、ONU302、及びルーター301を介して親分電盤1に送信することとする。これにて、要求処理を終了する。
【0186】
(処理-応答処理)
次に、応答処理について説明する。
図13は、応答処理のフローチャートである。「応答処理」とは、各分電盤で行われる通信の処理であり、具体的には、各分電盤が通信特定情報(つまり、選択部161による前述の経路特性把握処理及び通信特定情報生成処理の処理結果)に基づいて通信する処理であり、例えば、
図1の親分電盤1をいわゆるゲートウェイとして、ネットワーク303側の情報を提供する処理である。
【0187】
ここでは、例えば、前述したように例示のWEBレスポンス信号がネットワーク303側から親分電盤1側に送信される場合を例示して説明する。
【0188】
図13のSD1において各分電盤の制御部は、ネットワーク303側からのレスポンス(つまり、応答)が行われたか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、通信線通信部を介してWEBレスポンス信号を受信したか否かに基づいて判定する。「WEBレスポンス信号」とは、ネットワーク303側の不図示のWEBサーバから送信される信号であり、例えば、
図11のSC8でルーター301側に送信された分電盤側リクエスト信号に含まれる情報(つまり、送信先アドレス情報、送信元アドレス情報、経路情報、及びリクエスト内容情報)及びレスポンス内容情報を含む信号である。そして、通信線通信部を介してWEBレスポンス信号を受信していない場合、ネットワーク303側からのレスポンスが行われていないものと判定し(SD1のNO)、SD4に移行する。また、通信線通信部を介してWEBレスポンス信号を受信した場合、ネットワーク303側からのレスポンスが行われたものと判定し(SD1のYES)、SD2に移行する。
【0189】
ここでは、例えば、前述の例示のWEBレスポンス信号が親分電盤1に送信された場合、親分電盤1の制御部16は、通信線通信部13を介して例示のWEBレスポンス信号を受信し、ネットワーク303側からのレスポンスが行われたものと判定する。
【0190】
図13のSD2において各分電盤の制御部は、分電盤側レスポンス信号を生成する。「分電盤側レスポンス信号」とは、各分電盤から送信される信号であり、例えば、送信先アドレス情報、送信元アドレス情報、経路情報、及びレスポンス内容情報を含む信号である。SD2の具体的な処理は任意であり、
図11のSC2の場合と同様な処理を行ってもよいが、例えば、WEBレスポンス信号に含まれている情報を入れ替えて生成する場合について説明する。詳細には、SD1で受信したWEBレスポンス信号に含まれる送信先アドレス情報、送信元アドレス情報、経路情報、及びレスポンス内容情報を取得し、取得した送信元アドレス情報を「送信先アドレス情報」として含み、且つ、取得した送信先アドレス情報を「送信元アドレス情報」として含み、且つ、取得した経路情報におけるアドレス情報の順序を逆にしたものを「経路情報」として含み、且つ、取得したレスポンス内容情報を「レスポンス内容情報」として含む分電盤側レスポンス信号を生成する。
【0191】
ここでは、例えば、親分電盤1の制御部16は、「送信先アドレス情報」=「IP203」、「送信元アドレス情報」=「IP1」、「経路情報」=「IP1、IP202、IP203」、及び「レスポンス内容情報」=「D(Add1)」を含む分電盤側レスポンス信号(以下、「例示の分電盤側レスポンス信号」とも称する)を生成する。
【0192】
図13のSD3において各分電盤の制御部は、SD2で生成した分電盤側レスポンス信号を送信する。具体的には任意であるが、例えば、分電盤側レスポンス信号については下流側に送信する点に着目して、
図11のSC3と同様な処理を行って、1個の通信部を特定し、SD2で生成した分電盤側リクエスト信号を、当該特定した通信部を介して下流側の分電盤に送信して処理を終了し、再度SD1が実行されることになる。
【0193】
ここでは、例えば、親分電盤1の制御部16は、例示の分電盤側レスポンス信号を、第2無線通信部12を介して送信する。この場合、例示の分電盤側レスポンス信号は、電波として伝達されることになる。
【0194】
一方、
図13のSD1の判定にてネットワーク303側からのレスポンスが行われていないものと判定した(SD1のNO)の後のSD4において各分電盤の制御部は、分電盤側レスポンス信号を受信したか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、分電盤側レスポンス信号は上流側から送信される点に着目して、
図11のSC4の場合と同様にして判定する。ここでは、例えば、子分電盤202の制御部26は、監視している第2無線通信部22を介して、前述したように電波として伝達された例示の分電盤側レスポンス信号を受信し、分電盤側レスポンス信号を受信したものと判定する。
【0195】
図12のSD5において各分電盤の制御部は、自己が分電盤レスポンス信号の経路となっているか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、
図11のSC5の場合と同様にして判定する。ここでは、例えば、子分電盤202の制御部26は、SD4で受信した例示した分電盤レスポンス信号に含まれている「経路情報」=「IP1、IP202、IP203」を取得し、取得した経路情報に自己の記録部25の「自己アドレス情報」=「IP202」が含まれているので、自己が分電盤レスポンス信号の経路となっているものと判定する。
【0196】
図13のSD6において各分電盤の制御部は、自己が分電盤レスポンス信号の送信先以外となっているか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、
図11のSC6の場合と同様にして判定する。ここでは、例えば、子分電盤202の制御部26は、SD4で受信した例示した分電盤レスポンス信号に含まれている「送信先アドレス情報」=「IP203」を取得し、取得した送信先アドレス情報と自己の記録部25の「自己アドレス情報」=「IP202」とが合致していないので、自己が分電盤レスポンス信号の送信先以外となっているものと判定する。
【0197】
図13のSD7において各分電盤の制御部は、SD4で受信した分電盤側レスポンス信号と同じ分電盤側レスポンス信号を生成して送信する。具体的には任意であるが、例えば、
図11のSC7の場合と同様にして処理する。ここでは、例えば、子分電盤202の制御部26は、例示の分電盤側レスポンス信号を生成して、生成した例示の分電盤側レスポンス信号を、電力線通信部24を介して送信する。この場合、例示の分電盤側レスポンス信号は、電力線L1に伝達されることになる。
【0198】
一方、
図13のSD6の判定にて自己が分電盤レスポンス信号の送信先以外となっているわけではないものと判定した(SD6のNO)の後のSD8において各分電盤の制御部は、レスポンスに対応する処理を行う。具体的には任意であるが、例えば、SD4で受信した分電盤側レスポンス信号に含まれるレスポンス内容情報を取得し、取得したレスポンス内容情報を、リクエストを行った端末装置102に第1無線通信部を介して送信して、当該端末装置102のディスプレイにレスポンス内容情報に対応するWEBページを表示する。
【0199】
ここでは、例えば、前述のように、子分電盤202の制御部26が例示の分電盤側レスポンス信号を電力線通信部24を介して送信した場合、子分電盤203の制御部26は、SD4において電力線通信部24を監視して分電盤側レスポンス信号を受信したものと判定し(SD4のYES)、SD5において自己が経路になっているものと判定した後(SD5のYES)、SD6において自己が分電盤レスポンス信号の送信先以外となっているわけではないものと判定する(SD6のNO)。この場合、SD8において、子分電盤203の制御部26は、SD4で受信した例示の分電盤側レスポンス信号に含まれる「レスポンス内容情報」=「D(Add1)」を取得し、取得したレスポンス内容情報を、リクエストを行った端末装置102Dに第1無線通信部21を介して送信して、当該端末装置102Dのディスプレイに「D(Add1)」に対応するWEBページを表示する。これにて、応答処理を終了する。
【0200】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、電力線L1を介して情報を送受信するための電力線通信部、通信線L2を介して情報を送受信するための通信線通信部、及び電波を介して情報を送受信するための第2無線通信部を備えることにより、例えば、電力線通信部、通信線通信部、及び第2無線通信部により通信を行うことにより、通信速度を向上させることが可能となる。
【0201】
また、電力線通信部、通信線通信部、又は第2無線通信部の内の1個の通信部を選択することにより、例えば、相手方通信装置(各分電盤の内の自己とは異なる別の分電盤)との通信に適した通信部を用いて通信を行うことが可能となる。
【0202】
また、電力線通信部、通信線通信部、又は第2無線通信部の通信速度の比較結果に基づいて、1個の通信部を選択することにより、例えば、通信速度を確実に向上させることが可能となる。
【0203】
また、各分電盤の内の少なくとも1個の親分電盤1は、選択部161を備えることにより、例えば、親分電盤1以外に選択部161として機能する装置(例えば、サーバ装置等)を設ける必要がないので、シンプルな通信システムを提供することが可能となる。
【0204】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0205】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0206】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0207】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0208】
(経路特性把握処理について)
また、上記実施の形態の
図8の経路特性把握処理を任意に変更してもよい。例えば、SA8~SA11の処理(つまり、受信側又は送信側をシフトする条件)を任意に変更することにより、
図6の経路特定情報が全て格納されるように構成してもよい。また、例えば、
図6の経路特性情報としては、図面の斜線を基準にして右上側の各欄と左下側の各欄(例えば、「送信側番号情報」=「3」及び「受信側番号情報」=「1」で特定される欄と「送信側番号情報」=「1」及び「受信側番号情報」=「3」で特定される欄等)に相互に同じ情報が格納されているので、右上側の各欄の情報のみ、あるいは、左下側の各欄の情報のみを格納する処理を行うように、経路特性把握処理のSA8~SA11の処理を変更してもよい。この場合、一方側の情報のみを格納した後に当該情報を他方側にコピーして格納してもよい。また、選択部161を子分電盤2に設けて、経路特性把握処理の実行主体を子分電盤2にしてもよいし、あるいは、選択部161を他の装置(例えば、管理サーバ等)に設けて、経路特性把握処理の実行主体を管理サーバにしてもよい(通信特定情報生成処理も同様としてもよい)。
【0209】
(通信特定情報生成処理について)
また、上記実施の形態の
図9の通信特定情報生成処理を任意に変更してもよい。例えば、
図1においていわゆるツリー構造となる候補経路を特定する場合を例示したがこれに限らず、他の構造(例えば、メッシュ構造等)となる候補経路を特定するように構成してもよい。例えば、SB2の平均通信速度演算において、
図6の各欄の情報(つまり、2個の分電盤の相互間における信号の往復を示す時間に対応する通信速度)を用いたがこれに限らず、
図6の各欄の情報が示す数値の2分の1の数値(つまり、2個の分電盤の相互間における信号の片道を示す時間に対応する通信速度)を用いてもよい。また、
図9のSB2及びSB3においては、通信速度が最速となる通信経路及び通信手法を選択する場合について説明したが、これに限らず、例えば、通信速度が任意の順番(例えば、2番目に速い等)となる通信経路及び通信手法を選択するように処理してもよい。
【0210】
(要求処理及び応答処理について)
また、
図11の要求処理及び
図13の応答処理を任意に変更してもよい。例えば、
図11のSC1~SC3の処理と、SC4~SC8の処理とを相互に独立して並列的に動作させてもよい。この場合、例えば、SC1~SC3の処理は、子分電盤2が実行するように構成し、また、SC4~SC8は親分電盤1及び子分電盤2が実行するように構成してもよい。また、同様にして、
図13のSD1~SD3の処理と、SD4~SD8の処理とを相互に独立して並列的に動作させてもよい。この場合、例えば、SD1~SD3の処理は、親分電盤1が実行するように構成し、また、SD4~SD8は親分電盤1及び子分電盤2が実行するように構成してもよい。
【0211】
また、上記実施の形態では、各分電盤が通信する場合に用いる通信部を自動的に選択する場合について説明したがこれに限らず、例えば、ユーザから入力される情報によって選択できるように構成してもよい。具体的な実装手法は任意であるが、例えば、
図4の通信特定情報をユーザに編集可能(つまり、各欄に対して「×」、「W」、「E」、及び「P」を格納できる)にすることにより、ユーザから入力される情報によって選択できるように構成してもよい。
【0212】
(組み合わせについて)
また、上記実施の形態及び変形例の技術を任意に組み合わせてもよい。
【0213】
(付記)
付記1の通信システムは、相互に通信可能な複数の通信装置を含む通信システムであって、前記複数の通信装置各々は、前記複数の通信装置の内の自己が通信可能となっている通信装置である相手方通信装置との間で電力線を介して情報を送受信するための第1送受信手段と、前記相手方通信装置との間で通信専用線を介して情報を送受信するための第2送受信手段と、前記相手方通信装置との間で電波を介して情報を送受信するための第3送受信手段と、を備える。
【0214】
付記2の通信システムは、付記1に記載の通信システムにおいて、前記複数の通信装置各々において前記第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段を選択する選択手段、を備え、前記複数の通信装置各々は、前記第1~第3送受信手段の内の前記選択手段に選択された前記1個の送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で通信を行う。
【0215】
付記3の通信システムは、付記2に記載の通信システムにおいて、前記選択手段は、前記複数の通信装置各々において、前記第1送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信速度、前記第2送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信速度、及び前記第3送受信手段を用いて前記相手方通信装置との間で行われる通信速度を相互に比較し、当該比較結果に基づいて、前記1個の送受信手段を選択する。
【0216】
付記4の通信システムは、付記2又は3に記載の通信システムにおいて、前記複数の通信装置の内の少なくとも1個の通信装置は、前記選択手段を備える。
【0217】
付記5の通信装置は、相手方通信装置との間で通信を行う通信装置であって、前記相手方通信装置との間で電力線を介して情報を送受信するための第1送受信手段と、前記相手方通信装置との間で通信専用線を介して情報を送受信するための第2送受信手段と、前記相手方通信装置との間で電波を介して情報を送受信するための第3送受信手段と、を備える。
【0218】
(付記の効果)
付記1に記載の通信システムによれば、電力線を介して情報を送受信するための第1送受信手段、通信専用線を介して情報を送受信するための第2送受信手段、及び電波を介して情報を送受信するための第3送受信手段を備えることにより、例えば、第1~第3送受信手段により通信を行うことにより、通信速度を向上させることが可能となる。
【0219】
付記2に記載の通信システムによれば、第1~第3送受信手段の内の1個の送受信手段を選択することにより、例えば、相手方通信装置との通信に適した送受信手段を用いて通信を行うことが可能となる。
【0220】
付記3に記載の通信システムによれば、第1~第3送受信手段の通信速度の比較結果に基づいて、1個の送受信手段を選択することにより、例えば、通信速度を確実に向上させることが可能となる。
【0221】
付記4に記載の通信システムによれば、複数の通信装置の内の少なくとも1個の通信装置は、選択手段を備えることにより、例えば、複数の通信装置以外に選択手段として機能する装置(例えば、サーバ装置等)を設ける必要がないので、シンプルな通信システムを提供することが可能となる。
【0222】
付記5に記載の通信装置によれば、電力線を介して情報を送受信するための第1送受信手段、通信専用線を介して情報を送受信するための第2送受信手段、及び電波を介して情報を送受信するための第3送受信手段を備えることにより、例えば、第1~第3送受信手段により通信を行うことにより、通信速度を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0223】
1 親分電盤
2 子分電盤
11 第1無線通信部
12 第2無線通信部
13 通信線通信部
14 電力線通信部
15 記録部
16 制御部
21 第1無線通信部
22 第2無線通信部
23 通信線通信部
24 電力線通信部
25 記録部
26 制御部
100 電力システム
101 電源
102 端末装置
102A 端末装置
102B 端末装置
102C 端末装置
102D 端末装置
161 選択部
201 子分電盤
202 子分電盤
203 子分電盤
301 ルーター
302 ONU
303 ネットワーク
L1 電力線
L2 通信線