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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240322BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20240322BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20240322BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240322BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/78 301B
H01L29/78 301V
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020026311
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021040121
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2019159474
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩志
(72)【発明者】
【氏名】田島 純平
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 年輝
(72)【発明者】
【氏名】布上 真也
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-130436(JP,A)
【文献】特表2011-529639(JP,A)
【文献】特開2011-124509(JP,A)
【文献】特開2017-195400(JP,A)
【文献】特開2008-210836(JP,A)
【文献】特開2015-176991(JP,A)
【文献】特表2010-539712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0001646(US,A1)
【文献】特開2017-162917(JP,A)
【文献】特開2013-118343(JP,A)
【文献】特開2014-011167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 21/336
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第4部分領域から前記第6部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第7部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記第2半導体領域と、
Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1、x3<x2)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第8部分領域を含み、前記第8部分領域は、前記第5部分領域と前記第7部分領域との間にある、前記第3半導体領域と、
Alx4Ga1-x4N(0≦x4<1、x4<x2)を含む第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、第1部分を含み、前記第1部分は、前記第5部分領域と前記第8部分領域との間にあり、前記第4半導体領域は、Mg、Zn及びCよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含み、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第1半導体領域における前記第1元素の濃度、前記第2半導体領域における前記第1元素の濃度、及び、前記第3半導体領域における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第4半導体領域における前記第1元素の濃度よりも低い、前記第4半導体領域と、
絶縁部であって、前記絶縁部は、第1絶縁領域、第2絶縁領域及び第3絶縁領域を含み、前記第1絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1方向において前記第4部分領域の一部と前記第5部分領域の一部との間にあり、前記第2絶縁領域は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第3絶縁領域は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1部分との間、前記第3電極と前記第8部分領域との間、及び、前記第3電極と前記第7部分領域との間にある、前記絶縁部と、
を備え、
前記絶縁部は、Alx5Ga1-x5N(0<x5≦1、x1<x5、x3<x5、x4<x5)を含む第1膜を含み、
前記第1膜は、第1膜部分、第2膜部分及び第3膜部分を含み、
前記第1膜部分は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1方向において、前記第4部分領域の一部と前記第5部分領域の一部との間にあり、
前記第2膜部分は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第3膜部分は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1部分との間、前記第3電極と前記第8部分領域との間、及び、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第1部分の前記第2方向に沿う長さは、50nm以上200nm以下であり、
前記第3半導体領域は、第9部分領域を含み、前記第9部分領域は、前記第4部分領域と前記第6部分領域との間にあり、
前記第4半導体領域は、第2部分をさらに含み、
前記第2部分は、前記第4部分領域と前記第9部分領域との間にあり、
前記第2絶縁領域の一部は、前記第1方向において、前記第2部分と前記第3電極との間、及び、前記第9部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第1部分は、前記第1半導体領域と前記第3半導体領域との間の一部に設けられ、
前記第2部分は、前記第1半導体領域と前記第3半導体領域との間の一部に設けられている、半導体装置。
【請求項2】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第4部分領域から前記第6部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第7部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記第2半導体領域と、
Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1、x3<x2)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第8部分領域を含み、前記第8部分領域は、前記第5部分領域と前記第7部分領域との間にある、前記第3半導体領域と、
Alx4Ga1-x4N(0≦x4<1、x4<x2)を含む第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、第1部分を含み、前記第1部分は、前記第5部分領域と前記第8部分領域との間にあり、前記第4半導体領域は、Mg、Zn及びCよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含み、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第1半導体領域における前記第1元素の濃度、前記第2半導体領域における前記第1元素の濃度、及び、前記第3半導体領域における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第4半導体領域における前記第1元素の濃度よりも低い、前記第4半導体領域と、
絶縁部であって、前記絶縁部は、第1絶縁領域、第2絶縁領域及び第3絶縁領域を含み、前記第1絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1方向において前記第4部分領域の一部と前記第5部分領域の一部との間にあり、前記第2絶縁領域は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第3絶縁領域は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1部分との間、前記第3電極と前記第8部分領域との間、及び、前記第3電極と前記第7部分領域との間にある、前記絶縁部と、
を備え、
前記絶縁部は、Alx5Ga1-x5N(0<x5≦1、x1<x5、x3<x5、x4<x5)を含む第1膜を含み、
前記第1膜は、第1膜部分、第2膜部分及び第3膜部分を含み、
前記第1膜部分は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1方向において、前記第4部分領域の一部と前記第5部分領域の一部との間にあり、
前記第2膜部分は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第3膜部分は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1部分との間、前記第3電極と前記第8部分領域との間、及び、前記第3電極と前記第7部分領域との間にあり、
前記第1部分の前記第2方向に沿う長さは、50nm以上200nm以下であり、
前記第1部分は、前記第1半導体領域と前記第3半導体領域との間の一部に設けられている、半導体装置。
【請求項3】
前記第1部分は、前記第3絶縁領域と接した、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁領域の前記第1方向に沿う長さは、前記第1部分の前記第2方向に沿う長さよりも長い請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3半導体領域は、第9部分領域を含み、前記第9部分領域は、前記第4部分領域と前記第6部分領域との間にあり、
前記第4半導体領域は、第2部分をさらに含み、
前記第2部分は、前記第4部分領域と前記第9部分領域との間にあり、
前記第2絶縁領域の一部は、前記第1方向において、前記第2部分と前記第3電極との間、及び、前記第9部分領域と前記第3電極との間にある、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域に対向する第1面を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第8部分領域に対向する第2面を含み、
前記第1面と前記第2面との間の角度は、95度を超え120度以下である、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域に対向する第1面を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第8部分領域に対向する第2面を含み、
前記第1面と前記第2面との間の角度は、85度を超え95度以下である、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域に対向する第1面を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第8部分領域に対向する第2面を含み、
前記第1面と前記第2面との間の角度は、60度を超え90度未満である、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1部分は、前記第3絶縁領域と対向する第1対向面を含み、
前記第1対向面は、前記第1半導体領域のc面と交差する、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1部分は、前記第3絶縁領域と対向する第1対向面を含み、
前記第1対向面は、前記第1半導体領域のm面またはa面に沿う、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば窒化物半導体を用いたトランジスタなどの半導体装置がある。半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6447231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、第1半導体領域、第2半導体領域、第3半導体領域、第4半導体領域及び絶縁部を含む。前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある。前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にある。前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。前記第2半導体領域は、第6部分領域及び第7部分領域を含む。前記第4部分領域から前記第6部分領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第5部分領域から前記第7部分領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3半導体領域は、Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1、x3<x2)を含む。前記第3半導体領域は、第8部分領域を含む。前記第8部分領域は、前記第5部分領域と前記第7部分領域との間にある。第4半導体領域は、Alx4Ga1-x4N(0≦x4<1、x4<x2)を含む。前記第4半導体領域は、第1部分を含む。前記第1部分は、前記第5部分領域と前記第8部分領域との間にある。前記第4半導体領域は、Mg、Zn及びCよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含む。前記第1半導体領域、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域は、前記第1元素を含まない。または、前記第1半導体領域における前記第1元素の濃度、前記第2半導体領域における前記第1元素の濃度、及び、前記第3半導体領域における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第4半導体領域における前記第1元素の濃度よりも低い。前記絶縁部は、第1絶縁領域、第2絶縁領域及び第3絶縁領域を含む。前記第1絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1方向において前記第4部分領域の一部と前記第5部分領域の一部との間にある。前記第2絶縁領域は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第3電極との間にある。前記第3絶縁領域は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1部分との間、前記第3電極と前記第8部分領域との間、及び、前記第3電極と前記第7部分領域との間にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図4図4は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図6図6は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図7図7は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13図13は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図14図14は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体領域11、第2半導体領域12、第3半導体領域13、第4半導体領域14及び絶縁部40を含む。この例では、半導体装置110は、基体17及び半導体領域18を含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向を第1方向とする。
【0010】
第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0011】
第1方向(X軸方向)における第3電極53の位置は、第1方向における第1電極51の位置と、第1方向における第2電極52の位置と、の間にある。例えば、第3電極53の少なくとも一部は、X軸方向において、第1電極51と第2電極52との間にある。
【0012】
第1半導体領域11は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域11は、例えば、GaNを含む。第1半導体領域11は、第1部分領域r1、第2部分領域r2、第3部分領域r3、第4部分領域r4及び第5部分領域r5を含む。
【0013】
第1部分領域r1から第1電極51への方向を第2方向とする。第2方向は、第1方向(X軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。
【0014】
第2部分領域r2から第2電極52への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第3部分領域r3から第3電極53への方向は、第2方向に沿う。
【0015】
第4部分領域r4は、第1方向(X軸方向)において、第1部分領域r1と第3部分領域r3との間にある。第5部分領域r5は、第1方向において、第3部分領域r3と第2部分領域r2との間にある。
【0016】
第2半導体領域12は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。第2半導体領域12は、例えば、AlGaNを含む。Alの組成比x2は、例えば、0.10以上0.35以下である。
【0017】
第2半導体領域12は、第6部分領域r6及び第7部分領域r7を含む。第4部分領域r4から第6部分領域r6への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第5部分領域r5から第7部分領域r7への方向は、第2方向に沿う。
【0018】
第3半導体領域13は、Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1、x3<x2)を含む。第3半導体領域13は、例えば、GaNを含む。
【0019】
第3半導体領域13は、第8部分領域r8を含む。第8部分領域r8は、第5部分領域r5と第7部分領域r7との間にある。
【0020】
第4半導体領域14は、Alx4Ga1-x4N(0≦x4<1、x4<x2)を含む。第4半導体領域14は、例えば、GaNを含む。第4半導体領域14は、第1部分p1を含む。第1部分p1は、第5部分領域r5と第8部分領域r8との間にある。
【0021】
この例では、第3半導体領域13は、第9部分領域r9を含む。第9部分領域r9は、第4部分領域r4と第6部分領域r6との間にある。第4半導体領域14は、第2部分p2をさらに含む。第2部分p2は、第4部分領域r4と第9部分領域r9との間にある。
【0022】
後述するように、第3半導体領域13が、第9部分領域r9を含まず、第4半導体領域14が第2部分p2を含まなくても良い。以下では、第3半導体領域13が第9部分領域r9を含み、第4半導体領域14が第2部分p2を含む例について説明する。
【0023】
第4半導体領域14は、第1元素を含む。第1元素は、Mg及びZnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1元素は、Mg、Zn及びCよりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。第1半導体領域11、第2半導体領域12及び第3半導体領域13は、第1元素を含まない。または、第1半導体領域11における第1元素の濃度、第2半導体領域12における第1元素の濃度、及び、第3半導体領域13における第1元素の濃度のそれぞれは、第4半導体領域14における第1元素の濃度よりも低い。
【0024】
例えば、第4半導体領域14は、Mgを含む。第4半導体領域14は、例えば、p形のGaN、または、p形のAlGaNを含む。例えば、第1半導体領域11及び第3半導体領域13は、ノンドープのi-GaNを含む。例えば、第2半導体領域12は、ノンドープのi-AlGaNを含む。
【0025】
絶縁部40は、第1絶縁領域i1、第2絶縁領域i2及び第3絶縁領域i3を含む。第1絶縁領域i1は、第2方向(例えばZ軸方向)において、第3部分領域r3と第3電極53との間にある。第1絶縁領域i1の少なくとも一部は、第1方向(X軸方向)において、第4部分領域r4の一部と第5部分領域r5の一部との間にある。第2絶縁領域i2は、第1方向(X軸方向)において、第6部分領域r6と第3電極53との間にある。第3絶縁領域i3は、第1方向(X軸方向)において、第3電極53と第1部分p1との間、第3電極53と第8部分領域r8との間、及び、第3電極53と第7部分領域r7との間にある。例えば、第1部分p1は、第3絶縁領域i3と接する。
【0026】
この例では、第3半導体領域13が第9部分領域r9を含み、第4半導体領域14が第2部分p2を含んでいる。この場合、第2絶縁領域i2の一部は、第1方向(X軸方向)において、第2部分p2と第3電極53との間、及び、第9部分領域r9と第3電極53との間にある。例えば、第2部分p2は、第2絶縁領域i2と接する。
【0027】
例えば、基体17の上に半導体領域18が設けられる。基体17は、例えば、シリコン基板である。半導体領域18は、例えば、バッファ層である。半導体領域18は、例えば、窒化物半導体を含む。半導体領域18の上に、上記の半導体領域を含む積層膜がエピタキシャル成長などにより形成される。第4半導体領域14は、エピタキシャル成長により形成されても良く、イオンドーピングにより形成されても良い。
【0028】
図1に示すように、例えば、第3半導体領域13の第2半導体領域12の側に、キャリア領域10Eが生じる。キャリア領域10Eは、例えば、2次元電子ガスである。
【0029】
第1電極51は、例えば、ソース電極として機能する。第2電極52は、例えば、ドレイン電極として機能する。第3電極53は、例えば、ゲート電極として機能する。第3電極53に印加される電圧により、第1電極51と第2電極52との間の電流経路に流れる電流が制御できる。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。
【0030】
例えば、第1半導体領域11として、p形GaNを用いる第1参考例が考えられる。この場合、第3電極53の下の第1絶縁領域i1の下に、p形GaNが設けられる。これにより、しきい値電圧を高くできる。しかしながら、Mgなどを含むp形GaNの存在により、キャリア移動度が低くなる。
【0031】
これに対して、半導体装置110において、第3電極53の下の第1絶縁領域i1の下は、例えばi-GaNの第3部分領域r3がある。このため、Mgなどの影響を受けず、高いキャリア移動度が維持できる。これにより、低いオン抵抗が得られる。
【0032】
半導体装置110においては、Mgなどの第1元素を含む第1部分p1(p形領域)が設けられる。第1部分p1においては、ホールが生じている。第3電極53に印加される電圧が上昇すると、ホールをキャンセルする電子が生じる。これにより、第3絶縁領域i3と第1部分p1との間の界面に、電流が流れ始める。これにより、第1電極51と第2電極52との間の電流経路がオン状態となる。実施形態においては、第1部分p1を設けることで、第1部分p1を設けない場合に比べて、しきい値電圧を高くできる。
【0033】
実施形態においては、低いオン抵抗を得つつ、高いしきい値電圧が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0034】
第1絶縁領域i1と第3部分領域r3とが互いに対向する領域が、電流経路の第1経路に対応する。第1経路のX軸方向の長さは、例えば、500nm以上と長い。第1経路の抵抗が、オン抵抗に実質的に関係する。
【0035】
一方、第3絶縁領域i3と第1部分p1とが互いに対向する領域が、電流経路の第2経路となる。第2経路の長さは、実質的に第1部分p1の厚さに対応する。第1部分p1の厚さを、第1絶縁領域i1と第3部分領域r3とが互いに対向する領域の長さよりも十分に小さくすることで、第2経路における抵抗が実質的に無視できる。
【0036】
例えば、第3絶縁領域i3と第1部分p1とが互いに対向する領域は、しきい値電圧を高くする機能を有する。この領域により抵抗の上昇は実質的に無視できる。一方、第1絶縁領域i1と第3部分領域r3とが互いに対向する領域における移動度を高くできる。実施形態においては、低いオン抵抗を得つつ、高いしきい値電圧が得られる。
【0037】
図1に示すように、例えば、絶縁部40は、第1膜41を含んでも良い。第1膜41は、Alx5Ga1-x5N(0<x5≦1、x1<x5、x3<x5、x4<x5)を含む。第1膜41は、AlNまたはAlGaNを含む。第1膜41は、例えば、第1膜部分fp1、第2膜部分fp2及び第3膜部分fp3を含む。第1膜部分fp1は、第2方向(Z軸方向)において、第3部分領域r3と第3電極53との間にある。第1膜部分fp1は、第1方向(X軸方向)において、第4部分領域r4の一部と、第5部分領域r5の一部と、の間にある。第2膜部分fp2は、第1方向(X軸方向)において、第6部分領域r6と第3電極53との間にある。第3膜部分fp3は、第1方向(X軸方向)において、第3電極53と第1部分p1との間、第3電極53と第8部分領域r8との間、及び、第3電極53と第7部分領域r7との間にある。第1膜41を設けることで、例えば、移動度を高くできる。例えば、半導体装置のオン抵抗を低くできる。
【0038】
絶縁部40は、第2膜42を含んでも良い。第2膜42は、例えば、シリコン、アルミニウム及びハフニウムよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素と、を含む。第2膜42は、上記の材料に加えて窒素を含んでも良い。第2膜42は、例えば、酸化シリコンを含む。。第2膜42は、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムシリコン、酸窒化アルミニウム、及び、酸化ハフニウムシリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。第2膜42は、第1膜41と第3電極53との間にある。このような第2膜42により、高い信頼性が得られる。安定した特性が得られる。
【0039】
絶縁部40は、第3膜43を含んでも良い。第3膜43は、例えば、シリコン及びアルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む。第3膜43は、上記の材料に加えて酸素を含んでも良い。第3膜43は、例えば、窒化シリコンを含む。第3膜43は、例えば、酸窒化シリコン及び酸窒化アルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。第3膜43は、第1膜領域fr1及び第2膜領域fr2を含む。第6部分領域r6は、第2方向(Z軸方向)において、第4部分領域r4と第1膜領域fr1との間にある。第7部分領域r7は、第2方向において、第8部分領域r8と第2膜領域fr2との間にある。このような第3膜43により、例えば、第2半導体領域12との界面におけるトラップ密度を低減できる。例えば、電流コラプスを小さくできる。高い信頼性が得られる。安定した特性が得られる。
【0040】
図1に示すように、例えば、第3電極53の一部は、第1方向(X軸方向)において、第4部分領域r4の一部と第5部分領域r5の前記一部との間にあっても良い。
【0041】
例えば、第1電極51は、第6部分領域r6と接する。第2電極52は、第7部分領域r7と接する。例えば、第1電極51は、第6部分領域r6と電気的に接続される。例えば、第1電極51は、第9部分領域r9と電気的に接続されても良い。例えば、第2電極52は、第7部分領域r7と電気的に接続される。例えば、第2電極52は、第8部分領域r8と電気的に接続されても良い。第1電極51は、例えば、キャリア領域10Eと電気的に接続される。例えば、第2電極52は、キャリア領域10Eと電気的に接続される。
【0042】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2に示すように、第1絶縁領域i1の第1方向(X軸方向)に沿う長さを長さL1とする。第1部分p1の第2方向(Z軸方向)に沿う長さを長さt14とする。長さt14は、例えば、第4半導体領域14の厚さに対応する。例えば、長さL1は、長さt14よりも長い。長さt14は、長さL1よりも短い。第3絶縁領域i3と第1部分p1とが互いに対向する領域の長さが短くなる。オン抵抗の上昇が抑制しつつ、しきい値電圧を高くできる。
【0043】
例えば、長さL1は、300nm以上である。長さL1は、500nm以上でも良い。長さL1は、800nm以上でも良い。長さL1は、例えば、5μm以下である。
【0044】
例えば、第1部分p1の第2方向に沿う長さt14は、例えば、200nm以下である。これにより、オン抵抗の上昇が実質的に抑制できる。長さt14は、例えば、50nm以上である。これにより、例えば、しきい値電圧を効果的に高くすることができる。
【0045】
第8部分領域r8の第2方向(Z軸方向)に沿う長さを長さt13とする。長さt13は、第3半導体領域13の厚さに対応する。長さt13は、例えば、100nm以上400nm以下であることが好ましい。これにより、低いオン抵抗が得易くなる。
【0046】
例えば、第1電極51と第3電極53との間の第1方向(X軸方向)に沿う距離を距離d1とする。第3電極53と第2電極52との間の第1方向に沿う距離を距離d2とする。距離d1は、距離d2よりも短い。距離d2を長くすることで、破壊などが抑制され、安定した特性が得易くなる。
【0047】
第1部分p1は、第3絶縁領域i3と対向する第1対向面pf1を含む。第1対向面pf1は、第1半導体領域11の上面(X-Y平面)と交差する。1つの例において、第1対向面pf1は、第1半導体領域11のc面と交差する。例えば、対向面pf1は、第1半導体領域11のm面またはa面に沿っても良い。これにより、例えば、より高いしきい値が得られる。
【0048】
以下、半導体装置の特性の例について説明する。
図3は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図3は、以下の第1試料SP1及び第2試料SP2のキャリア移動度の測定結果を例示している。第1試料SP1においては、第3電極53(ゲート電極)の下の第1絶縁領域i1の下に、i-GaNが設けられる。第2試料SP2においては、第3電極53(ゲート電極)の下の第1絶縁領域i1の下に、p形GaNが設けられる。図3の縦軸は、キャリア移動度μc(cm/Vs)である。
【0049】
図3から分かるように、ゲート電極の下にp形GaNが設けられる第2試料SP2においては、ゲート電極の下にi-GaNが設けられる第1試料SP1に比べて、キャリア移動度μcは、約1/2であり、低い。
【0050】
実施形態においては、第3電極53(ゲート電極)の下の第1絶縁領域i1の下には、i-GaNなどの第3部分領域r3が設けられる。第3部分領域r3は、第1元素を含まない。または、第3部分領域r3における第1元素の濃度は、第1部分p1における第1元素の濃度よりも低い。これにより、高い移動度が得られる。
【0051】
図4は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図4は、以下の第3試料SP3及び第4試料SP4のしきい値特性を例示している。第3試料SP3においては、p形の第1部分p1及び第2部分p2が設けられる。第3試料SP3は、実施形態に係る半導体装置110に対応する。第4試料SP4においては、p形の第1部分p1及び第2部分p2が設けられない。図4の横軸は、ゲート電圧Vg(V)である。ゲート電圧Vgは、第3電極53に印加される電圧に対応する。図4の縦軸は、ドレイン電流Id(A)である。ドレイン電流Idは、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流である。
【0052】
図4から分かるように、第4試料SP4と比べて、第3試料SP3におけるしきい値電圧は高い。p形の領域を設けることで、高いしきい値電圧が得られる。
【0053】
以下、第1部分p1の結晶方位が特性に与える影響の例について、説明する。
図5(a)及び図5(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
この例では、AlGaNの第1膜41が設けられる場合の特性が例示されている。これらの図においては、第1膜41の第3膜部分fp3と、第1部分p1と、の界面におけるバンド特性が例示されている。第3膜部分fp3がAlGaNに対応する。図5(a)においては、第3膜部分fp3に対応するAlGaNと、第1部分p1と、が互いに接する面(界面)が、m面である。図5(b)においては、第3膜部分fp3に対応するAlGaNと、第1部分p1と、が互いに接する面(界面)が、c面である。これらの図には、価電子帯のエネルギーEv、伝導帯のエネルギーEc、及び、フェルミエネルギーEfが示されている。
【0054】
図5(b)に示すように、界面がc面のような極性面である場合には、AlGaNとGaNとの間の界面で、エネルギーは局所的に低くなる。これは、極性面の界面に生じる、分極電荷によると考えられる。エネルギーが局所的に低くなると、しきい値電圧が低下する。
【0055】
一方、図5(a)に示すように、界面がm面のような非極性面である場合には、AlGaNとGaNとの間の界面で、エネルギーの局所的な低下は生じない。これは、分極電荷が生じないためであると考えられる。エネルギーの局所的な低下がないため、しきい値電圧の低下が抑制できる。
【0056】
このように、第3膜部分fp3と第1部分p1との界面が非極性面(または半極性面)とすることで、高いしきい値電圧がより得やすくなる。
【0057】
実施形態において、第1対向面pf1は、第1半導体領域11のc面と交差することが好ましい。例えば、対向面pf1は、第1半導体領域11のm面またはa面に沿うことが好ましい。これにより、例えば、より高いしきい値電圧が得られる。
【0058】
図6は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図6は、半導体装置110の構成において、第3半導体領域13の厚さ(長さt13)を変えたときの、キャリア領域10Eのシート抵抗を例示している。図6の横軸は、長さt13(nm)である。縦軸は、シート抵抗Rs(Ω/□)である。第4半導体領域14が設けられないときのシート抵抗Rsは、約530Ω/□である。
【0059】
図6に示すように、長さt13(厚さ)を長くすることで、シート抵抗Rsが低くなる。例えば、長さt13が100nm未満の場合、過度にシート抵抗Rsが高くなる。長さt13が過度に長いと、第3電極53のためのトレンチが過度に深くなり、ゲート部のチャネル抵抗が高くなる傾向がある。実施形態においては、長さt13は、例えば、100nm以上400nm以下であることが好ましい。
【0060】
図7は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図7は、第4半導体領域14における第1元素の濃度を変えたときの、キャリア領域10Eのシート抵抗Rsを例示している。第1元素は、Mgである。図7の横軸は、第4半導体領域14におけるMgの濃度CMg(×1017cm-3)である。縦軸は、シート抵抗Rs(Ω/□)である。既に説明したように、第4半導体領域14が設けられないときのシート抵抗Rsは、約530Ω/□である。図7において、第4半導体領域14の厚さ(長さt14)は、200nmである。
【0061】
図7から分かるように、Mgの濃度CMgが低いと、シート抵抗Rsは低い。Mgの濃度CMgが上昇するとシート抵抗Rsは上昇する傾向がある。Mgの濃度CMgが5×1017cm-3以上では、シート抵抗Rsの上昇は飽和する。
【0062】
図7から、第4半導体領域14におけるMgの濃度CMgが1×1017cm-3以上5×1019cm-3以下であることで、過度なシート抵抗の上昇が抑制されることがわかる。実施形態においては、第4半導体領域14における第1元素の濃度は、1×1017cm-3以上5×1019cm-3以下であることが好ましい。
【0063】
第4半導体領域14(例えば、第1部分p1)の厚さ(長さt14)は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。これにより、低いオン抵抗と高いしきい値電圧が得やすい。
【0064】
第1半導体領域11における第1元素の濃度(第1濃度)、第2半導体領域12における第1元素の濃度(第2濃度)、及び、第3半導体領域13における第1元素の濃度(第3濃度)のそれぞれは、第4半導体領域14(例えば、第1部分p1)における第1元素の濃度(第4濃度)の1/10以下であることが好ましい。例えば、第1~第3濃度の少なくもいずれかは、第4濃度の1/50以下でも良い。例えば、第1~第3濃度の少なくもいずれかは、第4濃度の1/100以下でも良い。例えば、第1濃度は、第1半導体領域11の第2方向(Z軸方向)の中心における第1元素の濃度である。例えば、第2濃度は、第2半導体領域12の第2方向(Z軸方向)の中心における第1元素の濃度である。例えば、第3濃度は、第3半導体領域13の第2方向(Z軸方向)の中心における第1元素の濃度である。例えば、第4濃度は、第4半導体領域14の第2方向(Z軸方向)の中心における第1元素の濃度である。
【0065】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、半導体装置110において、第1絶縁領域i1は、第3部分領域r3に対向する第1面F1を含む。第3絶縁領域i3は、第8部分領域r8に対向する第2面F2を含む。第1面F1と第2面F2との間の角度を角度θ1とする。半導体装置110においては、θ1は、95度を超え120度以下である。第3絶縁領域i3の第2面F2は、例えば、順テーパ面である。このような順テーパ面を採用することで、端部への局所的な電界集中を緩和できる。高い信頼性が得られやすくなる。
【0066】
図9及び図10は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9及び図10に示すように、実施形態に係る半導体装置111及び112も、第1電極51、第2電極52、第3電極53、第1半導体領域11、第2半導体領域12、第3半導体領域13、第4半導体領域14及び絶縁部40を含む。半導体装置111及び112においては、第3絶縁領域i3の第2面F2の角度θ1は、半導体装置110における角度θ1とは異なる。半導体装置111及び112におけるこれ以外の構成は、半導体装置110の構成と同様である。
【0067】
図9に示す半導体装置111において、角度θ1は、85度を超え95度以下である。半導体装置111においては、第2面F2は、実質的に垂直面である。半導体装置111においては、例えば、より高いしきい値電圧が得られる。
【0068】
図10に示す半導体装置112において、角度θ1は、60度を超え90度未満である。半導体装置112においては、第2面F2は、逆テーパ面である。半導体装置112においては、例えば、さらに高いしきい値電圧が得られる。
【0069】
図11は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11に示すように、半導体装置113においては、第1部分p1が設けられ、第2部分p2が省略されている。さらに、第1部分p1は、第1半導体領域11と第3半導体領域13との間の一部に設けられている。これ以外の半導体装置113の構成は、半導体装置110の構成と同様である。
【0070】
しきい値電圧を高くする機能を有する第4半導体領域14は、電流経路の一部に設けられれば良い。第4半導体領域14は、第1半導体領域11と第2半導体領域12との間の領域の一部に設けられれば良い。これにより、高いしきい値電圧と低いオン抵抗が得られる。
【0071】
図12は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、半導体装置114においては、第2部分p2が設けられ、第1部分p1が省略されている。さらに、第2部分p2は、第1半導体領域11と第3半導体領域13との間の一部に設けられている。半導体装置114において、第2部分p2を第1部分p1と読み替えても良い。この場合、第1電極51及び第2電極52が、相互に入れ替わる。半導体装置114においても、高いしきい値電圧と低いオン抵抗が得られる。
【0072】
図13は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13に示すように、半導体装置115においては、第1部分p1及び第2部分p2が設けられる。第1部分p1は、第1半導体領域11と第3半導体領域13との間の一部に設けられている。第2部分p2は、第1半導体領域11と第3半導体領域13との間の一部に設けられている。半導体装置115において、高いしきい値電圧と低いオン抵抗が得られる。
【0073】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図14に示すように、半導体装置120において、複数の第2電極52が設けられ、複数の第3電極53が設けられる。第1電極51は、第1方向(X軸方向)において、複数の第2電極52の1つと、複数の第2電極52の別の1つと、の間にある。複数の第3電極53の1つは、第1方向(X軸方向)において、複数の第2電極52の1つと、第1電極51と、の間にある。複数の第3電極53の別の1つは、第1方向(X軸方向)において、第1電極51と、複数の第2電極52の別の1つと、の間にある。
【0074】
このように、第1~第3電極51~53を含む組みが複数設けられても良い。第1~第3電極51~53は、例えば、Y軸方向に延びる帯状である。
【0075】
半導体装置120においても、低いオン抵抗を得つつ、高いしきい値電圧が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置を提供できる。
【0076】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある、前記第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第6部分領域及び第7部分領域を含み、前記第4部分領域から前記第6部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第7部分領域への方向は、前記第2方向に沿う、前記第2半導体領域と、
Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1、x3<x2)を含む第3半導体領域であって、前記第3半導体領域は、第8部分領域を含み、前記第8部分領域は、前記第5部分領域と前記第7部分領域との間にある、前記第3半導体領域と、
Alx4Ga1-x4N(0≦x4<1、x4<x2)を含む第4半導体領域であって、前記第4半導体領域は、第1部分を含み、前記第1部分は、前記第5部分領域と前記第8部分領域との間にあり、前記第4半導体領域は、Mg、Zn及びCよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素を含み、前記第1半導体領域、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域は、前記第1元素を含まない、または、前記第1半導体領域における前記第1元素の第1濃度、前記第2半導体領域における前記第1元素の第2濃度、及び、前記第3半導体領域における前記第1元素の第3濃度のそれぞれは、前記第4半導体領域における前記第1元素の第4濃度よりも低い、前記第4半導体領域と、
絶縁部であって、前記絶縁部は、第1絶縁領域、第2絶縁領域及び第3絶縁領域を含み、前記第1絶縁領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1方向において前記第4部分領域の一部と前記第5部分領域の一部との間にあり、前記第2絶縁領域は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第3絶縁領域は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1部分との間、前記第3電極と前記第8部分領域との間、及び、前記第3電極と前記第7部分領域との間にある、前記絶縁部と、
を備えた半導体装置。
【0077】
(構成2)
前記第1部分は、前記第3絶縁領域と接した、構成1記載の半導体装置。
【0078】
(構成3)
前記第1絶縁領域の前記第1方向に沿う長さは、前記第1部分の前記第2方向に沿う長さよりも長い構成1または2に記載の半導体装置。
【0079】
(構成4)
前記第3半導体領域は、第9部分領域を含み、前記第9部分領域は、前記第4部分領域と前記第6部分領域との間にあり、
前記第4半導体領域は、第2部分をさらに含み、
前記第2部分は、前記第4部分領域と前記第9部分領域との間にあり、
前記第2絶縁領域の一部は、前記第1方向において、前記第2部分と前記第3電極との間、及び、前記第9部分領域と前記第3電極との間にある、構成1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0080】
(構成5)
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域に対向する第1面を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第8部分領域に対向する第2面を含み、
前記第1面と前記第2面との間の角度は、95度を超え120度以下である、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0081】
(構成6)
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域に対向する第1面を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第8部分領域に対向する第2面を含み、
前記第1面と前記第2面との間の角度は、85度を超え95度以下である、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0082】
(構成7)
前記第1絶縁領域は、前記第3部分領域に対向する第1面を含み、
前記第3絶縁領域は、前記第8部分領域に対向する第2面を含み、
前記第1面と前記第2面との間の角度は、60度を超え90度未満である、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0083】
(構成8)
前記第1部分は、前記第3絶縁領域と対向する第1対向面を含み、
前記第1対向面は、前記第1半導体領域のc面と交差する、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0084】
(構成9)
前記第1部分は、前記第3絶縁領域と対向する第1対向面を含み、
前記第1対向面は、前記第1半導体領域のm面またはa面に沿う、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0085】
(構成10)
前記第4半導体領域における前記第1元素の前記濃度は、1×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である、構成1~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0086】
(構成11)
前記第1部分の前記第2方向に沿う長さは、50nm以上200nm以下である、構成1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0087】
(構成12)
前記第8部分領域の前記第2方向に沿う長さは、100nm以上400nm以下である、構成1~11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0088】
(構成13)
前記第1半導体領域における前記第1元素の前記濃度、前記第2半導体領域における前記第1元素の前記濃度、及び、前記第3半導体領域における前記第1元素の濃度のそれぞれは、前記第4半導体領域における前記第1元素の前記濃度の1/10以下である、構成1~12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0089】
(構成14)
前記絶縁部は、Alx5Ga1-x5N(0<x5≦1、x1<x5、x3<x5、x4<x5)を含む第1膜を含み、
前記第1膜は、第1膜部分、第2膜部分及び第3膜部分を含み、
前記第1膜部分は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1方向において、前記第4部分領域の一部と前記第5部分領域の一部との間にあり、
前記第2膜部分は、前記第1方向において、前記第6部分領域と前記第3電極との間にあり、
前記第3膜部分は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1部分との間、前記第3電極と前記第8部分領域との間、及び、前記第3電極と前記第7部分領域との間にある、構成1~13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0090】
(構成15)
前記絶縁部は、シリコン、アルミニウム及びハフニウムよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素と、を含む第2膜を含み、
前記第2膜は、前記第1膜と前記第3電極との間にある、構成14記載の半導体装置。
【0091】
(構成16)
前記絶縁部は、シリコン及びアルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1つと、窒素と、を含む第3膜を含み、
前記第3膜は、第1膜領域及び第2膜領域を含み、
前記第6部分領域は、前記第2方向において前記第4部分領域と前記第1膜領域との間にあり、
前記第7部分領域は、前記第2方向において前記第8部分領域と前記第2膜領域との間にある、構成14または15に記載の半導体装置。
【0092】
(構成17)
前記第3電極の一部は、前記第1方向において、前記第4部分領域の前記一部と前記第5部分領域の前記一部との間にある、構成1~16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0093】
(構成18)
前記第1電極は、前記第6部分領域と接し、前記第2電極は、前記第7部分領域と接した、構成1~17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0094】
(構成19)
前記第1電極と前記第3電極との間の前記第1方向に沿う距離は、前記第3電極と前記第2電極との間の前記第1方向に沿う距離よりも短い、構成1~18のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0095】
(構成20)
複数の前記第2電極が設けられ、
複数の前記第3電極が設けられ、
前記第1電極は、前記第1方向において、前記複数の第2電極の1つと、前記複数の第2電極の別の1つと、の間にあり、
前記複数の第3電極の1つは、前記第1方向において、前記複数の第2電極の前記1つと、前記第1電極と、の間にあり、
前記複数の第3電極の別の1つは、前記第1方向において、前記第1電極と、前記複数の第2電極の前記別の1つと、の間にある、構成1~19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0096】
(構成21)
前記第2膜は、窒素をさらに含む、構成15記載の半導体装置。
【0097】
(構成22)
前記第3膜は、酸素をさらに含む、構成16記載の半導体装置。
【0098】
実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0099】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0100】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0101】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体領域、電極、及び絶縁部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0102】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0103】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0104】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
10E…キャリア領域、 11~14…第1~第4半導体領域、 17…基体、 18…半導体領域、 40…絶縁部、 41~43…第1~第3膜、 51~53…第1~第3電極、 θ1…角度、 μc…キャリア移動度、 110~115、120…半導体装置、 CMg…濃度、 Ec…エネルギー、 Ef…フェルミエネルギー、 Ev…エネルギー、 F1、F2…第1、第2面、 Id…ドレイン電流、 L1…長さ、 Rs…シート抵抗、 SP1~SP4…第1~第4試料、 Vg…ゲート電圧、 d1、d2…距離、 fp1~fp3…第1~第3膜部分、 fr1、fr2…第1、第2膜領域、 i1~i3…第1~第3絶縁領域、 p1、p2…第1、第2部分、 pf1…対向面、 r1~r9…第1~第9部分領域、 t13、t14…長さ
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