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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】承認システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20240322BHJP
   G06Q 50/00 20240101ALI20240322BHJP
   G16Y 10/00 20200101ALI20240322BHJP
【FI】
G06F21/32
G06Q50/00
G16Y10/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020036911
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021089701
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2019213470
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】利光 清
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 睦
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2012770(KR,B1)
【文献】特表2019-525282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0206366(US,A1)
【文献】特開2008-181462(JP,A)
【文献】国際公開第2014/187848(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
G06Q 50/00
G16Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と複数の生体認証装置とを備える承認システムであって、
前記情報処理装置は、
対処処理と権限とを対応付けたテーブルを記憶する記憶部と、
センサ装置及び前記生体認証装置と通信するための第1のインターフェースと、
前記第1のインターフェースを通じて前記センサ装置からのセンサ信号を受信し、
前記センサ信号が示すデータに関連する所定の条件を満たす状態が生じた場合に前記状態に対応する対処処理と前記テーブルにより特定する前記状態に対応する対処処理を実行する権限とを決定し、決定した権限に基づいて承認処理を行わせる生体認証装置を前記複数の生体認証装置から決定し、決定した生体認証装置へ承認要求信号を送信し、
前記第1のインターフェースを通じて前記対処処理の承認に成功したことを示す承認応答信号を前記生体認証装置から受信すると、前記対処処理を行う、
第1のプロセッサと、
を備え、
前記生体認証装置は、
前記情報処理装置と通信するための第2のインターフェースと、
生体情報を予め格納する記憶部と、
生体情報を取得する生体センサと、
前記承認要求信号を受信すると、前記生体センサに生体情報を取得させ、
前記生体センサが取得した生体情報と前記記憶部が格納する生体情報とが同定した場合、前記第2のインターフェースを通じて前記承認応答信号を前記情報処理装置に送信する、
第2のプロセッサと、
を備える、
承認システム。
【請求項2】
前記第1のプロセッサは、前記承認処理を行わせる生体認証装置として、前記対処処理を実行するための権限を有するユーザの生体情報を予め格納する前記記憶部を備える生体認証装置を前記複数の生体認証装置から決定する
請求項1に記載の承認システム。
【請求項3】
前記第1のプロセッサは、前記第1のインターフェースを通じて、前記対処処理を実行するための権限による承認を要求する前記承認要求信号を前記複数の生体認証装置から決定した生体認証装置に送信し、
前記第2のプロセッサは、前記対処処理を実行するための権限と前記生体センサが取得した生体情報と同定された生体情報のユーザが有する権限とが整合する場合、前記第1のインターフェースを通じて前記承認応答信号を前記情報処理装置に送信する、
請求項1に記載の承認システム。
【請求項4】
前記生体情報は、指紋である、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の承認システム。
【請求項5】
前記状態は、前記センサ信号が示すデータから異常が生じたと判断される条件を満たす状態である、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の承認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、承認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、何らかのセンサ装置とその制御装置という直接的な関係のみのシステムではなく、いわゆるIoT(Internet of Things)おける末端装置としてのセンサ装置からのセンサ信号に応じて所定の処理を実行するシステムが提供されている。そのようなシステムは、センサ装置からの信号に基づいて所定の状態(たとえば、火災など)が生じたと判定すると、当該状態に対応する所定の処理(たとえば、スプリンクラーの起動など)を実行する。
【0003】
しかしながら、従来、上記のようなシステムでは、センサ装置がセンシングした結果を使って何らかのアクチュエーションを施すものであって、所定の処理を行うことの適正さを担保することが困難であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】総務省 技術戦略委員会第2次中間報告書(案)「スマートIoT推進戦略」http://www.soumu.go.jp/main_content/000439133.pdf(平成28年6月14日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、本願に係る発明は、所定の処理を行う前にユーザの承認を要求することができる承認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、承認システムは、情報処理装置と複数の生体認証装置とを備える。情報処理装置は、第1のインターフェースと、記憶部と、第1のプロセッサと、を備える。記憶部は、対処処理と権限とを対応付けたテーブルを記憶する。第1のプロセッサは、センサ装置からのセンサ信号を受信し、センサ信号が示すデータに関連する所定の条件を満たす状態が生じた場合に状態に対応する対処処理とテーブルにより特定する状態に対応する対処処理を実行する権限とを決定し、決定した権限に基づいて承認処理を行わせる生体認証装置を複数の生体認証装置から決定し、決定した生体認証装置に送信し、承認応答信号を生体認証装置から受信すると、対処処理を行う。生体認証装置は、第2のインターフェースと、記憶部と、生体センサと、第2のプロセッサと、を備える。第2のプロセッサは、承認要求信号を受信すると、生体センサに生体情報を取得させ、生体センサが取得した生体情報と記憶部が格納する生体情報とが同定した場合、承認応答信号を情報処理装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る承認システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る生体認証装置の構成例を示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る生体認証装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る生体認証装置の使用例を示す斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る承認システムの動作例を示すシーケンス図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るサーバの動作例を示すフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態に係る承認システムの構成例を示すブロック図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る生体認証装置の動作例を示すフローチャートである。
図10図10は、第3の実施形態に係る承認システムの動作例を示すシーケンス図である。
図11図11は、第3の実施形態に係る生体認証装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは適宜、設計変更することができる。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
【0009】
実施形態に係る承認システムは、IoT装置などのセンサ装置からのセンサ信号に基づいて所定の状態(あらゆる状態があり得るが、たとえば、センシング対象の異常や火災など)が生じたか判定する。承認システムは、所定の状態が生じたと判定すると、所定の処理(たとえば、センシング対象が関係するシステムの停止や、スプリンクラーの起動など)を行うための承認処理を行う。承認システムは、承認に成功すると、所定の処理を実行する。
【0010】
図1は、実施形態に係る承認システム1の構成例を示すブロック図である。図1が示すように、承認システム1は、生体認証装置10(10a及び10b)、サーバ30、センサ装置40及びネットワーク50などを備える。生体認証装置10、サーバ30及びセンサ装置40は、ネットワーク50に接続している。
【0011】
なお、承認システム1は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成をさらに具備したり、承認システム1から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0012】
サーバ30(情報処理装置)は、承認システム1全体を制御する。サーバ30は、センサ装置40からのセンサ信号に基づいて所定の状態が生じたか判定する。サーバ30は、所定の状態が生じたと判定すると生体認証装置10に承認処理を行わせる。サーバ30は、承認に成功すると、所定の状態に応じた所定の処理を実行する。サーバ30については、後に詳述する。
【0013】
生体認証装置10は、サーバ30からの制御に従って承認処理を行う。生体認証装置10は、ユーザからの生体情報(ここでは、指紋)を用いてユーザを認証する。生体認証装置10は、ユーザの認証結果に応じた承認結果をサーバ30に送信する。生体認証装置10については、後に詳述する。
【0014】
実施形態では、承認システム1は、生体認証装置10a及び10bを備える。なお、承認システム1が備える生体認証装置10の個数は、特定の個数に限定されるものではない。
【0015】
センサ装置40は、所定のデータを取得する装置である。たとえば、センサ装置40は、温度、湿度、音、光量、加速度、傾き、画像又は臭気などのデータを取得する。センサ装置40は、ネットワーク50を介して、取得したデータを示すセンサ信号をサーバ30に送信する。なお、場合によっては、ネットワーク50を介さずに、サーバと通信可能なようにセンサ装置40を設けるようにしてもよい。
【0016】
センサ装置40は、建造物又は街頭に限らず、センサ装置40のセンシング対象となる物質量が変化する所定の場所に設置されている。センサ装置40は、設置されている場所の周辺のデータを取得する。たとえば、センサ装置40は、IoT(Internet to Thing)装置またはいわゆるエンドポイントと呼ばれる装置である。
【0017】
承認システム1は、複数のセンサ装置40を備えてもよい。
【0018】
ネットワーク50は、データを送受信するための通信網である。たとえば、ネットワーク50は、インターネットである。また、ネットワーク50は、独自の通信網であってもよい。
【0019】
次に、生体認証装置10について説明する。
【0020】
生体認証装置10a及び10bは、同様の構成であるため、生体認証装置10として説明する。
【0021】
図2は、生体認証装置10の構成例を示す斜視図である。図3は、生体認証装置10の構成例を示すブロック図である。図4は、生体認証装置10の使用の一例として、ユーザが右手で生体認証装置10を把持し生体認証装置10が親指211から生体認証情報を取得する一例を示す斜視図である。
【0022】
図2及び図3に示すように、生体認証装置10は、プロセッサ11と、生体センサ12と、SE13(Secure Element)と、通信インターフェース14と、バッテリ15と、表示部17とを含む。また、図2乃至図4に示すように、生体認証装置10は、プロセッサ11、SE13、通信インターフェース14及びバッテリ15を収納するとともに、生体センサ12及び表示部17を外面に露出させる筐体16を含む。
【0023】
プロセッサ11は、生体認証装置10の動作に必要な処理及び制御を行う。プロセッサ11は、例えば、SE13に記憶されたプログラムに基づいて、生体認証装置10の各種の機能を実現する。プロセッサ11は、生体センサ12、SE13及び通信インターフェース14を制御する。例えば、プロセッサ11は、SE13によって生体センサ12で取得された生体情報と予め登録されている生体情報とを照合する。
【0024】
プロセッサ11(第2のプロセッサ)は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)である。なお、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System on a Chip)、DSP(Digital Signal Processor)又はGPU(Graphics Processing Unit)でもよい。または、プロセッサ11は、これらの組み合わせであってもよい。
【0025】
生体センサ12は、ユーザの生体情報として手指のいずれかの指から指紋を取得する。
生体センサ12は、指から取得した指紋を画像データとしてSE13に送信する。なお、生体センサ12は、指紋以外を取得するものであってもよく、例えば、指の静脈パターンを画像データとして取得する静脈センサであってもよい。
【0026】
SE13(記憶部)は、データを格納できるメモリ又は暗号ロジック回路などを含む。
SE13は、予め登録された生体情報(ここでは、指紋)や、生体情報から特徴点を抽出したデータを記憶する。以下では、生体情報から特徴点を抽出したデータを含めて生体情報という。また、生体情報を暗号化してSE13に保持しても良い。
【0027】
ここでは、生体認証装置10aのSE13は、予め登録された生体情報として、第1の権限を有する第1のユーザの指紋を格納する。また、生体認証装置10bのSE13は、予め登録された生体情報として、第2の権限を有する第2のユーザの指紋を格納する。
【0028】
通信インターフェース14(第2のインターフェース)は、ネットワーク50に接続するためのインターフェースである。即ち、通信インターフェース14は、ネットワーク50を介してサーバ30などに接続するためのインターフェースである。たとえば、通信インターフェース14は、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi、BLE、LTE(登録商標)などの様々な通信規格に準拠した有線または無線のインターフェースを採用することができる。また、それらの組み合わせで通信インターフェース14も実現することもできる。
【0029】
バッテリ15は、生体認証装置10の各部に電力を供給する。バッテリ15は、例えば、二次電池である。
【0030】
表示部17は、プロセッサ11からの制御に基づいて種々の情報を表示する。たとえば、表示部17は、ランプから構成される。
【0031】
筐体16は、片手の手指に収まる方体状に形成される。ここで、片手の手指に収まる方体状とは、例えば、片手の手指で把持できる大きさの六面体である。本実施形態においては、筐体16は、例えば、直径が7cmの球体に収まる立方体状、具体例として4cm角以下の立方体状に形成される。筐体16は、例えば、稜部及び角部が曲面状に形成される。
【0032】
図2に示すように、筐体16は、例えば、基板にそれぞれ実装された、プロセッサ11、SE13、通信インターフェース14及びバッテリ15を収容する。また、筐体16は、生体センサ12及び表示部17が実装された基板を収容するとともに、外面の一部に生体センサ12及び表示部17を露出させる。具体例として、筐体16は、一面に、生体センサ12を露出させる開口21を有する。また、筐体16は、表示部17を露出させる開口23を有する。
【0033】
また、筐体16は、外面の一部であって、且つ、生体センサ12に指を接触させたときに、手指が接触する位置の少なくとも一部に溝22を有する。溝22は、例えば、筐体16の、手指のうち生体センサ12に接触する指とは異なる指が接触する位置に少なくとも設けられる。
【0034】
溝22は、例えば、指が底面に接触できる深さに形成される。また、溝22は、例えば、底面が曲面状に形成されている。なお、溝22の形状は、適宜設定可能であり、例えば、底面が平面状に形成されていてもよい。たとえば、溝22の形状は、手指によって筐体16を把持したときに、指の腹が溝22の底面に接触する程度の深さ及び形状である。
【0035】
本実施形態において、溝22は、図2に示すように、例えば、筐体16の生体センサ12を露出させる開口21を有する面に隣り合う四面のうち一つの面に設けられる。溝22は、開口21を有する面に隣り合う一つの面の、開口21が設けられる面に直交する方向で中央側に設けられ、開口21が設けられる面に平行な方向に沿って延設される。
【0036】
溝22は、例えば、筐体16の溝22が設けられた面及び開口21を有する面と隣り合う、相対する二面間に渡って設けられる。換言すると、溝22は、開口21を有する面と平行な方向で溝22が設けられる面を横断するように、溝22が設けられる面及び開口21を有する面の双方と隣り合う相対する二面と溝22が設けられる面とが形成する稜部間に渡って設けられる。
【0037】
より具体例を挙げて説明すると、開口21が設けられた面を上面16aとし、上面16aに相対する面を下面16bとしたときに、溝22は、筐体16の四面ある側面16cのうちいずれかの側面16c1に設けられる。また、溝22は、筐体16の上面16a及び下面16bの相対する方向、換言すると上下方向に対して直交する方向であって、且つ、溝22が設けられる側面16c1に沿った方向に延設される。さらに、溝22は、側面16c1に隣り合う、相対する一対の側面16c2まで延びる。これにより、側面16c2を正面視したときに、一対の側面16c2は、溝22が延設される側面16c1との辺部の一部がそれぞれ溝22の断面形状に切欠する。
【0038】
このように構成された生体認証装置10によれば、生体センサ12が露出する上面16aに隣り合う四つの側面16cのうちいずれかの側面16c1に、生体センサ12が設けられる上面16aに沿った方向に延びる溝22を設けた。このため、図4に示すように、左右いずれかの手、本実施形態においては右手200の手指で筐体16を把持し、親指211を生体センサ12に接触させるときに、溝22に人差し指212を案内することができる。溝22に人差し指212が位置すると、溝22により人差し指212の位置が案内され、例えば、中指213、薬指214及び小指215が、生体センサ12が設けられる上面16aと相対する下面16b側に配置される。そして、親指211を生体センサ12に接触させることで、親指211、人差し指212及び中指213により筐体16が把持されるとともに、親指211の所定の領域、実施形態においては親指211の指紋を有する領域の一部が生体センサ12に接触することになる。
【0039】
即ち、溝22に指を位置させると、他の指も筐体16に対する位置関係が決まることから、結果として、溝22は、生体センサ12と生体センサ12に接触する指との位置関係を案内する。
【0040】
次に、サーバ30について説明する。
【0041】
図5は、実施形態に係るサーバ30の構成例を示す。図5は、サーバ30の構成例を示すブロック図である。図5が示すように、サーバ30は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、NVM34、通信部35、操作部36及び表示部37などを備える。
【0042】
プロセッサ31と、ROM32、RAM33、NVM34、通信部35、操作部36及び表示部37と、は、データバスなどを介して互いに接続する。
【0043】
なお、サーバ30は、図5が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、サーバ30から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0044】
プロセッサ31(第1のプロセッサ)は、サーバ30全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ31は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ31は、内部メモリ、ROM32又はNVM34が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0045】
なお、プロセッサ31がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ31は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0046】
ROM32は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM32に記憶される制御プログラム及び制御データは、サーバ30の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0047】
RAM33は、揮発性のメモリである。RAM33は、プロセッサ31の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM33は、プロセッサ31からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM33は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0048】
NVM34は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM34は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM34は、サーバ30の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0049】
通信部35(第1のインターフェース)は、ネットワーク50に接続するためのインターフェースである。即ち、通信部35は、ネットワーク50を通じて生体認証装置10及びセンサ装置40などに接続するためのインターフェースである。たとえば、通信部35は、有線又は無線のLAN接続をサポートする。
【0050】
通信部35は、Ethernet、Wi-Fi、BLE、LTEなどの様々な通信規格に準拠した有線または無線のインターフェースを採用することができる。また、それらの組み合わせで通信部35も実現することもできる。通信部35は、センサ装置40と通信するためのインターフェースと生体認証装置10と通信するためのインターフェースとから構成されるものであってもよい。
【0051】
操作部36は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部36は、入力された操作を示す信号をプロセッサ31へ送信する。操作部36は、タッチパネルから構成されてもよい。
【0052】
表示部37は、プロセッサ31からの画像データを表示する。たとえば、表示部37は、液晶モニタから構成される。操作部36がタッチパネルから構成される場合、表示部37は、操作部36と一体的に形成されてもよい。
【0053】
たとえば、サーバ30は、デスクトップPC又はノートPCなどである。
【0054】
次に、生体認証装置10が実現する機能について説明する。生体認証装置10が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ又はSE13などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0055】
まず、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて、承認を要求する承認要求信号を受信する機能を有する。
【0056】
プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じてサーバ30からプッシュ通知で承認要求信号を受信する。また、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じてサーバ30に所定のタイミングで所定のリクエストを送信してもよい。プロセッサ11は、当該リクエストに対するレスポンスとして承認要求信号を受信してもよい。
【0057】
また、プロセッサ11は、承認要求信号を受信すると、生体センサ12に生体情報を取得させる機能を有する。
【0058】
ここでは、生体情報は、ユーザの指紋(指紋の画像データ)である。
【0059】
プロセッサ11は、承認要求信号を受信すると、指を生体センサ12に接触させることを促す案内を表示部17に表示する。たとえば、プロセッサ11は、表示部17に当該案内として所定の色に点灯させる。また、プロセッサ11は、表示部17に点滅させてもよい。プロセッサ11が当該案内を表示する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0060】
ここで、ユーザ(第1のユーザ又は第2のユーザ)は、自身の指を生体センサ12に接触させるものとする。
【0061】
生体センサ12は、自身に接触している指から指紋を取得する。生体センサ12は、取得した指紋をSE13に送信する。
【0062】
また、プロセッサ11は、生体センサ12を通じて取得した指紋に基づいて認証処理を行う機能を有する。
【0063】
プロセッサ11は、SE13を用いて認証処理を行う。前述の通り、生体センサ12は、取得した指紋をSE13に送信する。SE13は、予め登録された生体情報と受信した指紋とを比較する。たとえば、SE13は、両者の特徴点などを照合する。SE13は、両者が整合(同定)すると、プロセッサ11に両者が整合したことを示す信号(整合信号)を送信する。また、SE13は、両者が整合しないと、プロセッサ11に両者が整合しないことを示す信号(不整合信号)を送信する。
【0064】
プロセッサ11は、SE13から整合信号を受信すると、認証に成功したと判定する。
認証に成功したと判定すると、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて、レスポンスとして承認に成功したことを示す信号(承認応答信号)をサーバ30に送信する。
【0065】
また、プロセッサ11は、SE13から不整合信号を受信すると、認証に失敗したと判定する。認証に失敗したと判定すると、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて、レスポンスとして承認に失敗したことを示す信号(拒否応答信号)をサーバ30に送信する。
【0066】
次に、サーバ30が実現する機能について説明する。サーバ30が実現する機能は、プロセッサ31が内部メモリ、ROM32又はNVM34などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0067】
まず、プロセッサ31は、通信部35を通じてセンサ装置40からセンサ信号を取得する機能を有する。
【0068】
たとえば、プロセッサ31は、通信部35を通じてセンサ装置40から所定の間隔で送信されるセンサ信号を受信する。
【0069】
また、プロセッサ31は、通信部35を通じてセンサ装置40に所定のリクエストを送信してもよい。プロセッサ31は、当該リクエストに対するレスポンスとしてセンサ信号を受信する。
【0070】
また、プロセッサ31は、取得したセンサ信号に基づいて所定の条件を満たす状態(所定の状態)が生じたか判定する機能を有する。
【0071】
所定の状態は、前記センサ信号が示すデータ(種々のパラメータの値など)に関連する。所定の状態は、必ずしも異常な状態に限られず、一度人間による確認や承認が必要となる状態をいい、典型的な例といえば、たとえば、前記センサ信号が示すデータから異常が生じたと判断される状態である。たとえば、所定の状態は、火災若しくは震災などの災害、事故又は事件などが生じた状態である。
【0072】
たとえば、センサ信号が所定の場所の温度を示すものである場合、プロセッサ31は、センサ信号が示す温度が所定の閾値を超えると所定の状態として火災が生じたと判定する。
【0073】
なお、所定の状態及びプロセッサ31が所定の状態の発生を判定する方法は、特定の構成に限定されるものではない。
【0074】
また、プロセッサ31は、所定の状態が生じたと判定すると、承認処理を行わせる生体認証装置10を決定する機能を有する。
【0075】
プロセッサ31は、生じた所定の状態に対応する所定の処理(対処処理)を決定する。
対処処理は、所定の状態が生じた場合に当該所定の状態に対処するための処理である。たとえば、所定の状態が火災である場合、対処処理は、スプリンクラーの起動、所定の装置の電源の遮断、システムの停止、又は警報発令などである。
【0076】
たとえば、NVM34は、状態条件と対処処理とを対応付けたテーブルを格納する。プロセッサ31は、当該テーブルを参照して生じた所定の状態に対応する対処処理を決定する。
【0077】
対処処理を決定すると、プロセッサ31は、対処処理を実行するための権限を決定する。たとえば、NVM34は、対処処理と権限とを対応付けたテーブルを格納する。プロセッサ31は、当該テーブルを参照して生じた対処処理を実行するための権限を決定する。
ここでは、プロセッサ31は、対処処理を実行するための権限として第1の権限又は第2の権限を決定する。また、ここでは、第1の権限は、一部の対処処理を実行する権限である。また、第2の権限は、当該一部の対処処理を含みさらに他の対処処理を実行する権限である。なお、第2の権限は、全ての対処処理を実行する権限であってもよい。
【0078】
プロセッサ31は、対処処理を実行するための権限として複数の権限を決定してもよい。たとえば、決定した対処処理が第1の権限で実行することができる場合、プロセッサ31は、決定した対処処理を実行するための権限として、第1の権限と第2の権限とを決定してもよい。
【0079】
権限を決定すると、プロセッサ31は、承認処理を行わせる生体認証装置10として、決定した権限に対応する生体認証装置10を決定する。即ち、プロセッサ31は、承認処理を行わせる生体認証装置10として、決定した権限を有するユーザの認証処理を行うことができる生体認証装置10を決定する。
【0080】
たとえば、第1の権限を決定した場合、プロセッサ31は、第1の権限を有する第1のユーザの指紋を格納する生体認証装置10aを、承認処理を行わせる生体認証装置10として決定する。
【0081】
また、プロセッサ31は、通信部35を通じて決定した生体認証装置10に承認要求信号を送信する機能を有する。
【0082】
プロセッサ31は、承認処理を行わせる生体認証装置10を決定すると、通信部35を通じて決定した生体認証装置10に承認要求信号を送信する。
【0083】
また、プロセッサ31は、通信部35を通じて承認応答信号を受信すると、生じた所定の状態に対応する対処処理を行う機能を有する。
【0084】
プロセッサ31は、生体認証装置10に承認要求信号を送信した後に生体認証装置10から承認応答信号を受信すると、対処処理を実行する。たとえば、プロセッサ31は、対処処理を実行するための信号を外部装置に送信する。
【0085】
たとえば、対処処理がスプリンクラーの起動である場合、プロセッサ31は、通信部35などを通じてスプリンクラーを制御する装置にスプリンクラーを起動させる信号を送信する。
【0086】
なお、複数の生体認証装置10に承認要求信号を送信した場合、プロセッサ31は、複数の生体認証装置10の少なくとも1つから承認応答信号を受信すれば対処処理を行う。
また、プロセッサ31は、各生体認証装置10から承認要求信号を受信した場合に対処処理を行ってもよい。また、プロセッサ31は、所定の個数以上の生体認証装置10から承認応答信号を受信した場合に対処処理を行ってもよい。
【0087】
また、プロセッサ31は、生体認証装置10に承認要求信号を送信した後に生体認証装置10から拒否応答信号を受信すると、承認に失敗したことを示すエラーを出力する。たとえば、プロセッサ31は、表示部37などに、エラーメッセージを表示する。
【0088】
次に、承認システム1の動作例について説明する。
【0089】
図6は、承認システム1の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0090】
まず、センサ装置40は、センサ信号をサーバ30に送信する(S11)。
【0091】
サーバ30のプロセッサ31は、通信部35を通じてセンサ装置40からセンサ信号を受信する。ここで、プロセッサ31は、受信したセンサ信号に基づいてある所定の状態が生じたと判定する(S12)。
【0092】
所定の状態が生じたと判定すると、プロセッサ31は、承認処理を行わせる生体認証装置10を決定する(S13)。認証処理を行わせる生体認証装置10を決定すると、プロセッサ31は、通信部35を通じて承認要求信号を決定した生体認証装置10に送信する(S14)。
【0093】
生体認証装置10のプロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて承認要求信号を受信する。承認要求信号を受信すると、プロセッサ11は、生体センサ12を通じて生体情報を取得する(S15)。
【0094】
生体情報を取得すると、プロセッサ11は、取得した生体情報を用いて認証処理を行う(S16)。ここでは、プロセッサ11は、認証に成功したものとする。認証処理を行うと、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて承認応答信号をサーバ30に送信する(S17)。
【0095】
サーバ30のプロセッサ31は、通信部35を通じて生体認証装置10から承認応答信号を受信する。承認応答信号を受信すると、プロセッサ31は、対処処理を行う(S18)。プロセッサ31が対処処理を行うと、承認システム1は、動作を終了する。
【0096】
次に、サーバ30の動作例について説明する。
【0097】
図7は、サーバ30の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0098】
まず、サーバ30のプロセッサ31は、通信部35を通じてセンサ装置40からセンサ信号を受信する(S21)。センサ信号を受信すると、プロセッサ31は、センサ信号に基づいて所定の状態が生じたか判定する(S22)。
【0099】
所定の状態が生じていないと判定すると(S22、NO)、プロセッサ31は、S21に戻る。
【0100】
所定の状態が生じたと判定すると(S22、YES)、プロセッサ31は、生じた所定の状態に対応する対処処理を決定する(S23)。対処処理を決定すると、プロセッサ31は、決定した対処処理に基づいて認証処理を行わせる生体認証装置10を決定する(S24)。
【0101】
生体認証装置10を決定すると、プロセッサ31は、通信部35を通じて決定した生体認証装置10に承認要求信号を送信する(S25)。承認要求信号を送信すると、プロセッサ31は、通信部35を通じて生体認証装置10からレスポンスを受信する(S26)。
【0102】
レスポンスを受信すると、プロセッサ31は、レスポンスが承認応答信号であるか判定する(S27)。レスポンスが承認応答信号であると判定すると(S27、YES)、プロセッサ31は、対処処理を行う(S28)。
【0103】
レスポンスが承認応答信号でないと(レスポンスが拒否応答信号であると)判定する(S27)、プロセッサ31は、エラーを出力する(S29)。
【0104】
対処処理を行った場合(S28)、又は、エラーを出力した場合(S29)、プロセッサ31は、動作を終了する。
【0105】
なお、サーバ30のプロセッサ31は、所定の状態が生じたと判定すると、生じた所定の状態を示す情報を表示部37などに表示してもよい。また、プロセッサ31は、対処処理を決定すると、決定した対処処理を示す情報を表示部37などに表示してもよい。
【0106】
また、プロセッサ31は、承認要求信号が送信される生体認証装置10が指紋を取得するユーザに、生じた所定の状態又は決定した対処処理を提示してもよい。たとえば、プロセッサ31は、当該ユーザが所持する端末に、生じた所定の状態又は決定した対処処理を示す情報を送信してもよい。また、プロセッサ31は、生体認証装置10に生じた所定の状態又は決定した対処処理を表示させてもよい。
【0107】
また、プロセッサ31は、承認要求信号及び承認応答信号(又は拒否応答信号)を動作ログとしてNVM34に格納してもよい。また、プロセッサ31は、所定の外部装置に承認要求信号及び承認応答信号(又は拒否応答信号)を格納してもよい。
【0108】
以上のように構成された承認システムは、センサ装置からのセンサ信号に基づいて所定の状態が生じたと判定した場合、当該状態に対応する処理を行う前に生体認証装置に承認処理を行わせる。承認システムは、生体認証装置による承認が成功した場合、すなわち、承認にふさわしい人物の承認であることが確認できた後に当該処理を行う。その結果、承認システムは、当該処理を行うことの適正さを担保することができる。なお、本第一の実施形態では、サーバから生体認証装置への承認可否を直接要求しているが、モバイル回線での通信やWiFiでの通信を通じて携帯電話等のモバイル機器に承認を要求し、当該モバイル機器のアプリで、別途Bluetooth(登録商標)等で通信可能な生体認証装置に承認可否を要求し、その結果をサーバに返すようにしてもよい。このようにすれば、アプリをモバイル機器にインストールするだけで、様々なキャリアが提供する異なるOSがインストールされたモバイル機器であっても、その中に組み込まれた生体認証ソフトや、別途設けられる生体認証装置によって、承認可否を判断プロセスの一部に組み込むことのできるシステムを実現できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0109】
第2の実施形態に係る承認システムは、生体認証装置10がIoT機器を制御する点で第1の実施形態のそれと異なる。従って、その他の点については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、第1の実施形態の構成から導かれる効果についても同様にここでは省略する。
【0110】
第2の実施形態に係る承認システムは、介護、看護又は治療などの所定の処置を行う者(処置者)が当該所定の処置を受ける者(被処置者)を明示するためのシステムである。たとえば、承認システムは、病院、療養所又は養護施設などで用いられる。
【0111】
図8は、第2の実施形態に係る承認システム1’の構成例を示すブロック図である。図8が示すように、承認システム1’は、生体認証装置10(10a及び10b)、ネットワーク50及びIoT機器60(60a乃至60c)などを備える。生体認証装置10及びIoT機器60は、ネットワーク50に接続している。
【0112】
なお、承認システム1’は、図8が示すような構成の他に必要に応じた構成をさらに具備したり、承認システム1’から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0113】
IoT機器60a乃至60cは、LEDなどから構成されるランプ61a乃至61cをそれぞれ備える。IoT機器60a乃至60cは、同様の構成であるため、IoT機器60として説明する。また、ランプ61a乃至61cは、同様の構成であるため、ランプ61として説明する。
【0114】
IoT機器60は、生体認証装置10からの制御信号によって動作する。即ち、IoT機器60は、生体認証装置10からの制御信号に基づいてランプ61を点灯又は消灯する。
【0115】
IoT機器60は、ネットワーク50を通じてランプ61の点灯を指示する制御信号(点灯信号)を生体認証装置10から受信すると、ランプを点灯させる。IoT機器60は、消灯を指示する制御信号を受信するまで、ランプの点灯を維持してもよい。また、IoT機器60は、ランプを点灯させてから所定の時間が経過すると、ランプを消灯させるものであってもよい。
【0116】
IoT機器60a乃至60cは、それぞれ所定の被処置者に対応する。たとえば、IoT機器60a乃至60cは、それぞれ被処置者が所在する位置を示す。たとえば、IoT機器60a乃至60cは、それぞれ被処置者のベッド又は座席などが存在する位置の近傍に設置されている。即ち、IoT機器60a乃至60cは、それぞれランプ61a乃至61cを点灯させることで自身に対応する被処置者の所在を示す。
【0117】
ここでは、承認システム1’は、3つのIoT機器60a乃至60cを備える。IoT機器60a乃至60cは、それぞれ所定の被処置者a乃至cが所在する位置に設置されている。
【0118】
次に、生体認証装置10が実現する機能について説明する。生体認証装置10が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ又はSE13などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0119】
プロセッサ11は、第1の実施形態において実現される機能に加えて以下の機能を実現する。
【0120】
プロセッサ11は、認証が成功した場合、通信インターフェース14を通じてIoT機器60に点灯信号を送信する機能を有する。
【0121】
ここでは、通信インターフェース14は、ネットワーク50を介してIoT機器60などと通信するためのインターフェースである。
【0122】
また、プロセッサ11は、承認要求信号を受信しなくとも、SE13に認証処理を行わせる。即ち、プロセッサ11は、生体センサ12に指が接触すると、生体センサ12に指紋を取得させる。プロセッサ11は、取得された指紋を用いてSE13に認証処理を行わせる。
【0123】
認証が成功すると、プロセッサ11は、ネットワーク50を介してIoT機器60に点灯信号を送信する。
【0124】
プロセッサ11は、予め決められたIoT機器60に対して点灯信号を送信する。即ち、プロセッサ11は、生体認証装置10を所持する処置者が処置を行う被処置者に対応するIoT機器60に点灯信号を送信する。
【0125】
たとえば、生体認証装置10aを所持する処置者が被処置者a及びbに対して処置を行う場合、生体認証装置10aのプロセッサ11は、認証が成功するとIoT機器60a及び60b(被処置者a及びbに対応するIoT機器60)に点灯信号を送信する。
【0126】
なお、プロセッサ11は、認証が失敗した場合、エラーを出力してもよい。たとえば、プロセッサ11は、エラーとして表示部17を点灯させてもよい。また、プロセッサ11は、エラーとして所定の信号を外部装置に送信してもよい。
【0127】
次に、生体認証装置10の動作例について説明する。
【0128】
図9は、生体認証装置10の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0129】
まず、生体認証装置10のプロセッサ11は、生体センサ12が指紋を取得したかを判定する(S51)。即ち、プロセッサ11は、生体センサ12に指が接触したかを判定する。
【0130】
生体センサ12が指紋を取得していないと判定すると(S51、NO)、プロセッサ11は、S51に戻る。
【0131】
生体センサ12が指紋を取得したと判定すると(S51、YES)、プロセッサ11は、SE13に生体センサ12が取得した指紋と予め登録されている指紋とを照合させる(S52)。
【0132】
SE13が照合に成功すると(S53、YES)、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて所定のIoT機器60に点灯信号を送信する(S54)。SE13が照合に失敗すると(S53、NO)、プロセッサ11は、エラーを出力する(S55)。
【0133】
所定のIoT機器60に点灯信号を送信した場合(S54)、又は、エラーを出力した場合(S55)、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0134】
なお、生体認証装置10は、複数の処置者の指紋を予め格納してもよい。この場合、生体認証装置10のSE13は、取得された指紋と整合する処置者を特定する。プロセッサ11は、取得された指紋と整合する処置者が処置を行う被処置者に対応するIoT機器60に点灯信号を送信する。
【0135】
以上のように構成された生体認証装置は、指紋の照合が成功すると、所定のIoT機器に制御信号を送信する。その結果、生体認証装置は、ユーザを認証した後に、当該ユーザに対応するIoT機器を制御することができる。
【0136】
また、生体認証装置は、ユーザとしての処置者を認証した後に、当該処置者が処置を行う被処置者に対応するIoT機器に点灯信号を送信する。その結果、生体認証装置は、当該処置者が処置を行う被処置者を明示することができる。従って、生体認証装置は、被処置者の取り違えを防止することができる。なお、この第2の実施形態における構成では、IoT機器が、生体認証装置からの制御信号によって動作することを説明したが、そもそも生体認証装置による生体認証を促すように、IoT機器側からネットワークを介して生体認証装置に指令を出し、それを受けて生体認証装置における生体認証が行われるようにしてもよい。このような構成にすれば、必要なときにIoT機器側からの働きかけにより、生体認証装置が、当該処置者が処置を行う被処置者を明示することができる。さらに、この第2の実施形態では、IoT機器側のランプを点灯する構成としたが、ランプでなくとも、生体認証の結果がわかるような、認証結果表示手段をIoT機器や、その周辺機器に設けた場合、ランプと同様の効果を期待することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0137】
第3の実施形態に係る承認システムは、生体認証装置10に複数のユーザの生体情報が登録されている点で第1の実施形態のそれと異なる。従って、その他の点については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、第1の実施形態の構成から導かれる効果についても同様にここでは省略する。
【0138】
生体認証装置10のSE13は、複数のユーザの生体情報を格納する。ここでは、SE13は、複数のユーザの生体情報として、第1の権限を有する第1のユーザの指紋及び第2の権限を有する第2のユーザの指紋を格納する。
【0139】
なお、承認システム1は、1つの生体認証装置10を備えるものであってもよい。
【0140】
次に、サーバ30が実現する機能について説明する。サーバ30が実現する機能は、プロセッサ31が内部メモリ、ROM32又はNVM34などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0141】
プロセッサ31は、第1の実施形態において実現される機能に加えて以下の機能を実現する。
【0142】
プロセッサ31は、通信部35を通じて、決定した権限による承認を要求する承認要求信号を生体認証装置10に送信する機能を有する。
【0143】
即ち、承認要求信号は、対処処理を実行するための権限を有するユーザの認証処理を要求する。
【0144】
たとえば、プロセッサ31は、対処処理を実行するための権限として第1の権限を決定すると、第1の権限による承認を要求する承認要求信号を生体認証装置10に送信する。
即ち、プロセッサ31は、第1の権限を有する第1のユーザの認証処理を要求する承認要求信号を生体認証装置10に送信する。
【0145】
なお、プロセッサ31は、対処処理を実行するための権限として複数の権限を決定した場合、決定した複数の権限の何れかによる承認を要求する承認要求信号を生体認証装置10に送信する。
【0146】
次に、生体認証装置10が実現する機能について説明する。生体認証装置10が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ又はSE13などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0147】
プロセッサ11は、第1の実施形態において実現される機能に加えて以下の機能を実現する。
【0148】
プロセッサ11は、承認要求信号に従って生体センサ12を通じて取得した指紋に基づいて認証処理を実行する機能を有する。
【0149】
プロセッサ11は、SE13を用いて認証処理を行う。SE13は、予め登録された各生体情報と生体センサ12から受信した指紋とを比較する。たとえば、SE13は、両者の特徴点などを照合する。
【0150】
SE13は、予め登録された生体情報の中に入力された指紋と整合する生体情報がある場合、整合した生体情報のユーザを示す信号をプロセッサ11に出力する。
【0151】
また、SE13は、整合する生体情報がない場合、受信した指紋が生体情報として登録されてないことを示す信号をプロセッサ11に送信する。
【0152】
プロセッサ11は、受信した指紋が生体情報として登録されてないことを示す信号をSE13から取得した場合、認証に失敗したと判定する。認証に失敗したと判定すると、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて拒否応答信号をサーバ30に送信する。
【0153】
プロセッサ11は、整合した生体情報のユーザを示す信号をSE13から取得した場合、当該信号が示すユーザの権限と承認要求信号が承認を要求する権限とが一致(整合)するか判定する。たとえば、プロセッサ11の内部メモリ又はSE13は、ユーザと権限とを対応付けたテーブルを格納する。プロセッサ11は、当該テーブルを参照して両権限が一致するか判定する。
【0154】
両権限が一致する場合、プロセッサ11は、認証に成功したと判定する。認証に成功したと判定すると、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて承認応答信号をサーバ30に送信する。
【0155】
また、両権限が一致しない場合、プロセッサ11は、認証に失敗したと判定する。認証に失敗したと判定すると、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて拒否応答信号をサーバ30に送信する。
【0156】
なお、承認要求信号が複数の権限を示す場合、プロセッサ11は、整合した生体情報のユーザが有する権限と複数の権限の何れか1つとが一致すれば、承認応答信号をサーバ30に送信する。
【0157】
また、ユーザの権限は、複数個であってもよい。この場合、プロセッサ11は、ユーザが有する複数の権限の何れか1つと承認要求信号が承認を要求する権限とが一致すれば、承認応答信号をサーバ30に送信する。
【0158】
次に、承認システム1の動作例について説明する。
【0159】
図10は、承認システム1の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0160】
まず、センサ装置40は、センサ信号をサーバ30に送信する(S11)。
【0161】
サーバ30のプロセッサ31は、通信部35を通じてセンサ装置40からセンサ信号を受信する。ここで、プロセッサ31は、受信したセンサ信号に基づいてある所定の状態が生じたと判定する(S12)。
【0162】
所定の状態が生じたと判定すると、プロセッサ31は、所定の状態に対応する対処処理を実行するための権限を決定する(S31)。権限を決定すると、プロセッサ31は、通信部35を通じて、決定した権限による承認を要求する承認要求信号を生体認証装置10に送信する(S32)。
【0163】
生体認証装置10のプロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて承認要求信号を受信する。承認要求信号を受信すると、プロセッサ11は、生体センサ12を通じて生体情報を取得する(S15)。
【0164】
生体情報を取得すると、プロセッサ11は、取得した生体情報に基づいて承認要求信号に従って認証処理を行う(S33)。ここでは、プロセッサ11は、認証に成功したものとする。認証処理を行うと、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて承認応答信号をサーバ30に送信する(S17)。
【0165】
サーバ30のプロセッサ31は、通信部35を通じて生体認証装置10から承認応答信号を受信する。承認応答信号を受信すると、プロセッサ31は、対処処理を行う(S18)。プロセッサ31が対処処理を行うと、承認システム1は、動作を終了する。
【0166】
次に、生体認証装置10の動作例について説明する。
【0167】
図11は、生体認証装置10の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0168】
まず、生体認証装置10のプロセッサ11は、通信インターフェース14を通じてサーバ30から承認要求信号を受信したか判定する(S41)。承認要求信号を受信していないと判定すると(S41、NO)、プロセッサ11は、S41に戻る。
【0169】
承認要求信号を受信したと判定すると(S41、YES)、プロセッサ11は、生体センサ12に指紋を取得させる(S42)。指紋を取得させると、プロセッサ11は、SE13に生体センサ12が取得した指紋と予め登録されている複数の指紋とを照合させる(S43)。
【0170】
生体センサ12が取得した指紋と整合する生体情報が登録されていると(S44、YES)、プロセッサ11は、整合する生体情報のユーザの権限と承認要求信号が示す権限とが一致するか判定する(S45)。
【0171】
両権限が一致すると判定すると(S45、YES)、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて承認応答信号をサーバ30に送信する(S46)。
【0172】
生体センサ12が取得した指紋と整合する生体情報が登録されていない場合(S44、NO)、両権限が一致しないと判定した場合(S45、NO)、プロセッサ11は、通信インターフェース14を通じて拒否応答信号をサーバ30に送信する(S47)。
【0173】
承認応答信号をサーバ30に送信した場合(S46)、又は、拒否応答信号をサーバ30に送信した場合(S47)、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0174】
なお、サーバ30のプロセッサ11は、決定した権限を有するユーザの生体情報が登録されている生体認証装置10を決定してもよい。プロセッサ11は、決定した生体認証装置10に承認要求信号を送信してもよい。
【0175】
以上のように構成された承認システムは、生体認証装置において認証したユーザの権限に基づいて承認応答新語を送信する。その結果、承認システムは、サーバにおいてユーザの権限を管理する必要がなくなる。
【0176】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
情報処理装置と生体認証装置とを備える承認システムであって、
前記情報処理装置は、
センサ装置及び前記生体認証装置と通信するための第1のインターフェースと、
前記第1のインターフェースを通じて前記センサ装置からのセンサ信号を受信し、
前記センサ信号が示すデータに関連する所定の条件を満たす状態が生じた場合に、前記第1のインターフェースを通じて前記状態に対応する対処処理の承認を要求する承認要求信号を前記生体認証装置に送信し、
前記第1のインターフェースを通じて前記対処処理の承認に成功したことを示す承認応答信号を前記生体認証装置から受信すると、前記対処処理を行う、
第1のプロセッサと、
を備え、
前記生体認証装置は、
前記情報処理装置と通信するための第2のインターフェースと、
生体情報を予め格納する記憶部と、
生体情報を取得する生体センサと、
前記承認要求信号を受信すると、前記生体センサに生体情報を取得させ、
前記生体センサが取得した生体情報と前記記憶部が格納する生体情報とが同定した場合、前記第2のインターフェースを通じて前記承認応答信号を前記情報処理装置に送信する、
第2のプロセッサと、
を備える、
承認システム。
[2]
前記第1のプロセッサは、前記第1のインターフェースを通じて、前記対処処理を実行するための権限を有するユーザの生体情報を予め格納する前記記憶部を備える前記生体認証装置に前記承認要求信号を送信する、
[1]に記載の承認システム。
[3]
前記第1のプロセッサは、前記第1のインターフェースを通じて、前記対処処理を実行するための権限による承認を要求する前記承認要求信号を前記生体認証装置に送信し、 前記第2のプロセッサは、前記対処処理を実行するための権限と前記生体センサが取得した生体情報と同定された生体情報のユーザが有する権限とが整合する場合、前記第1のインターフェースを通じて前記承認応答信号を前記情報処理装置に送信する、
[1]に記載の承認システム。
[4]
前記生体情報は、指紋である、
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の承認システム。
[5]
前記状態は、前記センサ信号が示すデータから異常が生じたと判断される条件を満たす状態である、
[1]乃至[4]の何れか1つに記載の承認システム。
[6]
ランプを備える機器と通信するインターフェースと、
生体情報を予め格納する記憶部と、
生体情報を取得する生体センサと、
前記生体センサが取得した生体情報と前記記憶部が格納する生体情報とが同定した場合、前記インターフェースを通じて前記ランプの点灯を指示する点灯信号を前記機器に送信するプロセッサと、
を備える生体認証装置。
[7]
前記プロセッサは、前記記憶部が記憶する生体情報のユーザが所定の処置を行う被処置者に対応する前記機器に前記点灯信号を送信する、
[6]に記載の生体認証装置。
[8]
前記機器は、前記被処置者が所在する位置を示す、
[7]に記載の生体認証装置。
[9]
前記生体情報は、指紋である、
[6]乃至[8]の何れか1つに記載の生体認証装置。
【符号の説明】
【0177】
1及び1’…承認システム、10(10a及び10b)…生体認証装置、11…プロセッサ、12…生体センサ、13…SE、14…通信インターフェース、15…バッテリ、16…筐体、16a…上面、16b…下面、16c…側面、16c1…側面、16c2…側面、17…表示部、21…開口、22…溝、23…開口、30…サーバ、31…プロセッサ、32…ROM、33…RAM、34…NVM、35…通信部、36…操作部、37…表示部、40…センサ装置、50…ネットワーク、60(60a乃至60c)…IoT機器、61(61a乃至61c)…ランプ、200…右手、211…親指、212…指、213…中指、214…薬指、215…小指、a乃至c…被処置者。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図11