(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電界紡糸装置および電界紡糸方法
(51)【国際特許分類】
D01D 5/04 20060101AFI20240322BHJP
D04H 1/728 20120101ALI20240322BHJP
【FI】
D01D5/04
D04H1/728
(21)【出願番号】P 2020046100
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 静雄
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-077959(JP,A)
【文献】特開2019-189959(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1664182(CN,A)
【文献】国際公開第2019/021757(WO,A1)
【文献】特開2005-264353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00 - 13/00
D04H 1/00 - 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料液を収納可能な収納空洞が内部に形成されたヘッド本体と、導電性を有する材料から形成され、前記ヘッド本体の外周面から外側へ突出するノズルとを備えるとともに、前記ノズルに電圧が印加されることにより前記原料液が前記ノズルから吐出されるヘッドが複数配列されたヘッドユニットと、
前記ヘッドの配列方向について前記ヘッドユニットの両外側に配置され、導電性を有する材料から形成され、前記ヘッドに印加される電圧と同極性
で、かつ、略同じ大きさの電圧が印加されることにより電場を発生させる一対の導電体と、を備え、
前記ヘッドの配列方向に沿う断面での前記導電体のそれぞれの断面積は、前記ヘッドの配列方向に沿う断面での前記ヘッド本体のそれぞれの断面積よりも小さ
く、
前記複数のヘッドのうち前記導電体との距離が最も近いヘッドと前記導電体との前記ヘッドの配列方向の距離は、前記複数のヘッド間の前記ヘッドの配列方向の距離よりも小さい、
電界紡糸装置。
【請求項2】
前記ヘッドのそれぞれは、前記ヘッド本体の中心軸に沿って配列された複数の前記ノズルを含む第1のノズル列と、前記ヘッド本体の前記中心軸の軸回りについて前記第1のノズル列とは異なる位置において、前記ヘッド本体の前記中心軸に沿って配列された複数の前記ノズルを含む第2のノズル列とを備え、
前記第1のノズル列を形成する前記ノズルと前記第2のノズル列を形成する前記ノズルとは、前記ヘッド本体の前記中心軸に沿う方向について交互に配置されている、
請求項
1の電界紡糸装置。
【請求項3】
前記ヘッドのそれぞれでは、前記ノズルは、基材に向かって前記ヘッド本体から突出するとともに、前記基材に向かって前記原料液を吐出し、
前記ヘッド本体の中心軸は、前記基材の搬送方向に交差する方向に沿い、
前記複数のヘッドは、前記基材の搬送方向に沿って配列されている、
請求項1
又は2のいずれかの電界紡糸装置。
【請求項4】
前記ヘッドユニットは、前記基材を鉛直方向に沿って搬送する搬送路に対向して設けられ、
前記複数のヘッドは、鉛直方向に沿って配列されている、
請求項
3の電界紡糸装置。
【請求項5】
原料液が収納される収納空洞が内部に形成されたヘッド本体と前記ヘッド本体の外周面から外側へ突出し導電性を有するノズルとを備えるヘッドが複数配列されたヘッドユニットを準備することと、
前記収納空洞に収納された前記原料液に電圧を印加することにより、前記原料液を前記ノズルのそれぞれから吐出することと、
前記ヘッドの配列方向について前記ヘッドユニットの両外側に配置され、それぞれが前記ヘッド本体のそれぞれの前記ヘッドの配列方向の断面積よりも小さな断面積を有する一対の導電体に前記原料液に印加される電圧と同極性
で、かつ、略同じ大きさの電圧を印加することと、
を有
し、
前記複数のヘッドのうち前記導電体との距離が最も近いヘッドと前記導電体との前記ヘッドの配列方向の距離は、前記複数のヘッド間の前記ヘッドの配列方向の距離よりも小さい、
電界紡糸方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電界紡糸装置および電界紡糸方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスピニング法(電界紡糸法及び電荷誘導紡糸法等とも称されることもある)により、微細なファイバーを搬送される基材の表面に堆積させ、ファイバーの膜(繊維膜)を形成する電界紡糸装置がある。このような電界紡糸装置では、複数のヘッドが基材の搬送方向に沿って併設される。ヘッドのそれぞれは、ヘッド本体と、ヘッド本体の外周面から突出する複数のノズルと、を備える。ノズルのそれぞれには、ヘッド本体からの突出端に原料液の噴出口が形成される。ノズルと収集体又は基材との間に電圧を印加することにより、ノズルの噴出口から原料液を収集体又は基材の表面に向かって噴出させ、ファイバーを収集体又は基材の表面に堆積させる。
【0003】
前述のような電界紡糸装置では、繊維膜の品質向上のため、発生する電界強度を基材の搬送方向に沿って併設されたヘッド間において均一にすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、形成される繊維膜の品質を向上させる電界紡糸装置および電界紡糸方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電界紡糸装置は、ヘッドユニットと、一対の導電体とを備える。ヘッドユニットでは、原料液を収納可能な収納空洞が内部に形成されたヘッド本体と、導電性を有する材料から形成され、ヘッド本体の外周面から外側へ突出するノズルとを備えるとともに、ノズルに電圧が印加されることにより原料液が前記ノズルから吐出されるヘッドが複数配列されている。導電体は、ヘッドの配列方向についてヘッドユニットの両外側に配置され、導電性を有する材料から形成され、ヘッドに印加される電圧と同極性の電圧が印加されることにより電場を発生させる。ヘッドの配列方向に沿う断面での前記導電体のそれぞれの断面積は、ヘッドの配列方向に沿う断面でのヘッド本体のそれぞれの断面積よりも小さい。また、実施形態によれば、電解紡糸方法は、原料液が収納される収納空洞が内部に形成されたヘッド本体とヘッド本体の外周面から外側へ突出し導電性を有するノズルとを備えるヘッドが複数配列されたヘッドユニットを準備することと、収納空洞に収納された原料液に電圧を印加することにより、原料液をノズルのそれぞれから吐出することと、ヘッドの配列方向についてヘッドユニットの両外側に配置され、ヘッド本体のそれぞれのヘッドの配列方向の断面積よりも小さな断面積を有する導電体に原料液に印加される電圧と同極性の電圧を印加することと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電界紡糸装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電界紡糸装置の制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る複数のヘッドのうちの1つを概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る複数のヘッドのうちの1つを、基材の搬送方向に対して平行又は略平行で、基材の幅方向に対して平行又は略平行な断面で概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るヘッドユニットと導電体を、基材の搬送方向に対して平行又は略平行で、基材の幅方向に対して垂直又は略垂直な断面で概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る電界紡糸装置10の構成を示す図である。
図2は、電界紡糸装置10の制御構成を示すブロック図である。電界紡糸装置10は、エレクトロスピニング法(電界紡糸法及び電荷誘導紡糸法等とも称されることもある)により、基材40に繊維膜を形成する装置である。基材40は、例えばシート状の電極である。基材40は、原料液に対して耐性を有する材料から形成される。基材40は、例えば、アルミニウムにより形成される。
【0010】
図1及び
図2に示すように、電界紡糸装置10は、筐体13と、電源20と、ヘッドユニット30と、巻出しリール41と、巻取りリール42と、支持体50と、搬送デバイス60と、制御デバイス80と、を備える。電源20は、ヘッドユニット30に電気的に接続されている。電源20は、ヘッドユニット30に供給される原料液を帯電させるために、ヘッドユニット30に電力を供給する。
【0011】
筐体13の内部には、ヘッドユニット30と、支持体50と、搬送デバイス60とが配置されている。支持体50は、筐体13の内部に設置され、ヘッドユニット30を支持する。
【0012】
巻出しリール41及び巻取りリール42は、筐体13の外部に設けられ、不図示の駆動源により回転する。また、筐体13は、入口11及び出口12を備える。入口11及び出口12のそれぞれは、筐体13の内部と外部とを連通させる。巻出しリール41は、入口11を介して、基材40を筐体13内の搬送デバイス60へ供給する。搬送デバイス60は、巻出しリール41から供給された基材40を搬送する。ヘッドユニット30は、搬送デバイス60により搬送される基材40に向けて帯電された原料液を吐出することにより、基材40に繊維膜を形成する。繊維膜が形成された基材40は、出口12から筐体13の外部へ搬出され、巻取りリール42により回収される。
【0013】
搬送デバイス60は、4つのローラ61と、水平搬送路63と、2つの垂直搬送路64と、を備える。垂直搬送路64のそれぞれは、鉛直方向(
図1のY1方向又はY2方向)に沿って延設されている。水平搬送路63は、水平方向(
図1のX方向)に沿って延設されている。ローラ61は、垂直搬送路64のそれぞれの上端部、及び、垂直搬送路64のそれぞれと水平搬送路63との境界部に配置されている。ローラ61のそれぞれにおいて基材40が支持されることにより、水平搬送路63と、垂直搬送路64が形成される。ローラ61は、モータを有する駆動源62により回転する。ローラ61が回転することにより、水平搬送路63及び垂直搬送路64を含む基材40の搬送路において基材40が搬送される。ここで、搬送デバイス60が基材40を搬送している状態では、水平搬送路63の延設方向(
図1のX方向)に垂直で、かつ、鉛直方向(
図1のY1、Y2方向)に垂直な方向が、基材40の幅方向と一致又は略一致する。なお垂直搬送路の本数、水平搬送路の本数及びローラの個数は、本実施形態の数に限定されるものではない。
【0014】
垂直搬送路64のそれぞれに対向する位置には、2つのヘッドユニット30のうち対応する一方が配置されている。ヘッドユニット30のそれぞれは、不図示の送液機構を介して不図示の原料液貯蔵タンク(原料液の供給源)に接続されている。ヘッドユニット30のそれぞれには、原料液貯蔵タンクから、原料液が供給される。また、ヘッドユニット30のそれぞれは、電源20と電気的に接続されている。ヘッドユニット30のそれぞれには、電源20から電圧が印加される。ヘッドユニット30のそれぞれは、対向する垂直搬送路64において搬送される基材40の片面に向けて、帯電された原料液を吐出する。ヘッドユニット30から吐出された原料液中の溶媒は、電界紡糸装置10内の雰囲気中で揮発する。また、ヘッドユニット30から吐出された原料液中の原材料は、飛翔し、垂直搬送路64を搬送される基材40の片面に到達する。基材40に到達した原材料が堆積することにより、基材40に繊維膜が形成される。
【0015】
繊維の原料液は、繊維の原材料が、所定の濃度で溶媒に溶かされた溶液である。
【0016】
繊維の原材料は、形成したい繊維膜の材質に応じて適宜変更することができる。繊維の原材料としては、例えばポリオレフィン系樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。具体的に、繊維の原材料となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリサルファン、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、変性ポリフェニレンエーテル、シンジオタクチックポリスチレン及び液晶ポリマーが挙げられる。また、繊維の原材料となる熱硬化性樹脂としては、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂及びエポキシ樹脂が挙げられる。また、繊維の原材料として、前述した樹脂を含む共重合体などを用いてもよい。繊維の原材料は前述した樹脂及び共重合体などから選択される1種類、または2種類以上のポリマーの混紡によって形成することができる。なお、本実施形態に適用可能な繊維の原材料は、列記した原材料に限定されるものではない。列記した繊維の原材料は、あくまでも例示である。
【0017】
溶媒は、繊維の原材料を溶解することができるものであればよい。溶媒は、溶解させる繊維の原材料に応じて適宜変更することができる。溶媒としては、例えば、アルコール系、芳香族系等の揮発性の有機溶媒あるいは、水を用いることができる。有機溶媒としては、具体的には、例えば、イソプロパノール、エチレングリコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリジン等が挙げられる。また、溶媒は、例記した溶媒より選ばれる一種類でもよく、また、複数種類が混在してもよい。なお、本実施形態に適用可能な溶媒は、列記した溶媒に限定されるものではない。列記した溶媒は、あくまでも例示である。
【0018】
ヘッドユニット30と垂直搬送路64との間隔は、例えば、ヘッドユニット30に印加される電圧、原料液中のポリマーの種類、原料液中の繊維の原材料の濃度等を含む吐出条件により決められる。
【0019】
垂直搬送路64の上端に配置されたローラ61とヘッドユニット30との間には、基材40が存在する。一方、垂直搬送路64と水平搬送路63との接続部に配置されたローラ61とヘッドユニット30との間には、基材40が存在しない。このため、垂直搬送路64と水平搬送路63との接続部に配置されたローラ61は、基材40を介することなく、ヘッドユニット30と対向する。
【0020】
なお、繊維膜の形成速度を向上させるために、垂直搬送路64のそれぞれの両側にヘッドユニットが配置され、基材40の両面に繊維膜を形成してもよい。
【0021】
ヘッドユニット30の構成について説明する。ヘッドユニット30のそれぞれは、5つのヘッド31A-31Eを備える。ヘッド31A-31Eは、同一の構造を有する。ヘッドユニット30は、ヘッド群と呼ばれてもよい。
【0022】
ヘッド31A-31Eは、垂直搬送路64に対向した状態で、支持体50に支持されている。ヘッド31A-31Eは、鉛直方向に沿って配列されている。すなわち、ヘッド31A-31Eは、対向する垂直搬送路64における基材40の搬送方向に沿って配列されている。ヘッド31A-31Eのそれぞれは、基材40の幅方向に沿って延設されている。ヘッド31Aは、ヘッド31A-31Eのうち最も上方に位置する。ヘッド31Eは、ヘッド31A-31Eのうち最も下方に位置する。ヘッド31B-31Dは、鉛直方向についてヘッド31Aとヘッド31Eの間に位置する。ヘッド31A-31Eは、鉛直方向について等間隔で配置されている。
【0023】
次に、ヘッド31A-31Eの構成について説明する。
図3乃至
図5では、一例として、ヘッド31Aの構成について説明する。ヘッド31B-31Eについては、ヘッド31Aと同様の構成を有するため説明を省略する。
図3は、ヘッド31Aを概略的に示す斜視図である。
図4は、ヘッド31Aを基材40の搬送方向に対して平行又は略平行で、基材40の幅方向に対して平行又は略平行なある断面で概略的に示す断面図である。
図4では、ヘッド31Aを、後述する中心軸Cに平行又は略平行なある断面で示す。
図5は、ヘッドユニット30等を基材40の搬送方向に対して平行又は略平行で、基材40の幅方向に対して垂直又は略垂直な断面で概略的に示す断面図である。
図5では、ヘッド31A-31Eのそれぞれを、後述する中心軸Cに垂直又は略垂直な断面で示す。
【0024】
図3乃至
図5に示すように、ヘッド31Aは、ヘッド本体311と、8つのノズル312A-312Hと、を備える。ヘッド本体311及びノズル312A-312Hのそれぞれは、導電性を有する材料(導電材料)から形成される。ヘッド本体311及びノズル312A-312Hのそれぞれは、原料液に対して耐性を有する材料から形成されることが好ましく、例えば、ステンレスから形成される。
【0025】
ヘッド本体311は、中心軸Cを有し、中心軸Cに沿って延設される。中心軸Cは、基材40の幅方向と平行又は略平行な軸である。本実施形態では、中心軸Cに対して垂直又は略垂直な断面におけるヘッド本体311の外形は、略正六角形に形成されている。ヘッド本体311の外周面は、中心軸Cの軸回りに沿って延設され、ヘッド本体311の外表面の一部を形成する。そして、ヘッド本体311の外周面は、中心軸Cに対して交差する(垂直又は略垂直な)方向について中心軸Cから離れる側を向く。
【0026】
ヘッド本体311の内部には、中心軸Cに沿って収納空洞315が形成されている。収納空洞315には、不図示の送液機構から供給された原料液が溜められる。ヘッド本体311は、収納空洞315を内部空洞とする筒状に形成される。収納空洞315は、中心軸Cに沿う方向について、ヘッド本体311の全体又は大部分に渡って形成される。本実施形態では、中心軸Cに対して垂直又は略垂直な断面において、収納空洞315は略円形に形成されている。
【0027】
ノズル312A-312Hのそれぞれは、ヘッド本体311の外周面に設けられる。ノズル312A-312Hは、いずれも、中心軸Cに対して、垂直搬送路64が位置する側に配置される。ノズル312A-312Hのそれぞれは、対向する垂直搬送路64に向かってヘッド本体311の外周面から外側へ突出している。ノズル312A-312Hは、中心軸Cに沿う方向について互いに対して離れた状態で配置され、ジグザグ状に配置されている。ノズル312A、312Hは、ノズル312A-312Hのうち、中心軸Cに沿う方向において両端に位置する。
【0028】
ノズル312A-312Hのそれぞれの内部には、収納空洞315と連通する流路が形成されている。また、ノズル312A-312Hのそれぞれには、外周側の端部に噴出口が形成されている。ノズル312A-312Hのそれぞれの流路は、一端で収納空洞315に連通し、収納空洞315からヘッド本体311の外周側に向かって延設される。そして、流路の他端は、噴出口において外部に対して開口している。すなわち、ノズル312A-312Hのそれぞれでは、ヘッド本体311の外周面からの突出端に、流路の噴出口が形成されている。
【0029】
ノズル312A-312Hは、ヘッド本体311の中心軸Cの軸回り(ヘッド本体311の外周面の周方向)について異なる位置に配列された2つのノズル列313A、313Bを形成する。ノズル列313Aは、ノズル312A-312Dによって形成される。ノズル312A-312Dは、中心軸Cの軸回りについて、同一又は略同一の角度位置に配置される。ノズル312A、312Dは、ノズル列313Aのうち、中心軸Cに沿う方向について両端に位置する。ノズル列313Bは、ノズル312E-312Hによって形成される。ノズル312E-312Hは、中心軸Cの軸回りについて、ノズル312A-312Dとは異なる角度位置において、同一又は略同一の角度位置に配置される。例えば、ノズル312A-312Dは、中心軸Cの軸回りについて、ノズル312E-312Hに対して60°程度離れた位置に配置される。ノズル312E、312Hは、ノズル列313Bのうち、中心軸Cに沿う方向について両端に位置する。ノズル列313Aは、第1のノズル列に相当する。ノズル列313Bは、第2のノズル列に相当する。ノズル列313A、313Bのそれぞれは、ノズル群と呼ばれてもよい。
【0030】
このように、ヘッド本体311の外周面では、中心軸Cに沿う方向について、ノズル列313Aを形成するノズルとノズル列313Bを形成するノズルが交互に配置される。例えば、ノズル列313Aを形成するノズル312Aとノズル312Bの間には、ノズル列313Bを形成するノズル312Eが配置されている。ノズル列313Aとノズル列313Bは、中心軸Cの軸回りについて異なる位置に配列されているため、ノズル312A-312Hは、ヘッド本体311の外周面においてジグザグ状に配置されている。この構成により、基材40に吐出された原料液が局所的に堆積することが防止される。
【0031】
電源20は、ヘッド31Aと基材40との間に電圧を印加する。ノズル312A-312Hのそれぞれには、ヘッド本体311を介して、所定の極性の電圧が電源20により印加される。また、ノズル312A-312Hは、互いに対して電気的に接続されている。このため、ノズル312A-312Hのそれぞれに電圧が印加された状態では、ノズル312A-312Hは、互いに対して同一又は略同一の電位になる。ノズル312A-312Hのそれぞれに印加される電圧の極性は、プラスであってもよく、マイナスであってもよい。電源20は、例えば、直流電源であり、ノズル312A-312Hのそれぞれにプラスの電圧を印加する。
【0032】
基材40は、接地されている。ノズル312A-312Hのそれぞれにプラスの電圧が印加された状態において、基材40の対地電圧は、0V又は略0Vになる。基材40は、接地されていなくてもよい。この場合、電源20は、ノズル312A-312Hとは反対の極性の電圧を基材40に印加する。
【0033】
ヘッド31Aに原料液が供給された状態では、電源20によってノズル312A-312Hのそれぞれと基材40との間に電圧を印加することにより原料液にも電圧が印加され、ノズル312A-312Hのそれぞれの噴出口から基材40に向かって原料液が噴出される。すなわち、ノズル312A-312Hのそれぞれと基材40との間の電位差によって、電圧が印加された原料液が基材40に向かって噴出される。ノズル312A-312Hのそれぞれの噴出口から原料液が基材40に向かって噴出されることにより、原料液の一部が基材40の表面に堆積し、堆積した原料液により繊維の膜(ファイバー)が形成される。このようにして、エレクトロスピニング法(電界紡糸法及び電荷誘導紡糸法等とも称されることもある)によって、繊維の膜が形成される。
【0034】
なお、ヘッド31Aと基材40との間に印加される電圧、すなわち、ノズル312A-312Hのそれぞれと基材40との間の電位差は、原料液に含まれる高分子の種類及びノズル312A-312Hのそれぞれの基材40に対する距離等に対応させて、適宜の大きさに調整される。ある一例では、ノズル312A-312Hのそれぞれと基材40との間に、10kV以上100kV以下のいずれかの大きさの直流電圧が印加される。
【0035】
電源20は、ノズル312A-312Hのそれぞれに電圧を印加する構成であればよい。例えば、ヘッド本体311を介さずに、ノズル312A-312Hのそれぞれに電圧が印加されてもよい。この場合、電源20と電気的に接続される端子がノズル312A-312Hのそれぞれに設けられる。そして、この端子を介して、ノズル312A-312Hのそれぞれに電圧が印加される。この構成では、ヘッド本体311は導電材料ではない材料から形成されてもよい。
【0036】
また、ヘッドユニット30が備えるヘッドの数は、5つに限るものではない。例えば、ヘッドユニット30に設けられるヘッドの数は、2-4個のいずれかであってもよく、6個以上であってもよい。また、1つのヘッドに設けられるノズルの数は、特に限定されるものではない。ノズルは、1つのヘッドに1つ以上設けられていればよい。
【0037】
また、基材40の表面上に繊維の膜を形成する例としては、例えば、電池のセパレータ一体型電極の製造が挙げられる。この例では、電極群の負極及び正極の一方が基材として用いられる。そして、基材40の表面に形成される繊維の膜が、負極又は正極と一体のセパレータとなる。
【0038】
制御デバイス(コントローラ)80は、例えば、コンピュータ等である。制御デバイス80は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。制御デバイス80は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。制御デバイス80は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。制御デバイス80は、上述の各種駆動源(例えば駆動源62)の駆動、送液機構の作動、電源20の出力等を制御する。
【0039】
図1に示すように、ヘッドユニット30には、一対の導電体70A、70Bが取り付けられている。導電体70A、70Bは、支持体50に取り付けられることにより支持されている。導電体70A、70Bは、制御体又は電場制御棒と呼ばれてもよい。
【0040】
導電体70Aは、ヘッドユニット30のヘッド31A-31Eよりも上方に配置されている。導電体70Bは、ヘッドユニット30のヘッド31A-31Eよりも下方に配置されている。したがって、導電体70A、70Bは、鉛直方向についてヘッドユニット30の両外側に配置される。すなわち、導電体70A、70Bの一方は、ヘッドユニット30において基材40が搬送される側の端に配置され、導電体70A、70Bの他方は、ヘッドユニット30において基材40が搬送される側とは反対側の端に配置される。
【0041】
導電体70A、70Bは、金属等の導電性を有する材料(導電材料)から形成されている。導電体70A、70Bは、ヘッドユニット30のノズル312A-312Hと同じ材料から形成されることが好ましい。
【0042】
導電体70A、70Bは、ヘッドユニット30のヘッド31A-31Eの延設方向(例えば中心軸C)に対して平行又は略平行な方向に沿って延設される。すなわち、導電体70A、70Bは、基材40の幅方向に沿って延設される。本実施形態では、導電体70A、70Bは、基材40の幅方向に沿って延びる棒状部材である。導電体70A、70Bは、例えば、基材40の幅方向に沿って延設される板状部材であってもよい。
【0043】
延設方向における導電体70A、70Bの長さは、例えば、延設方向(基材40の幅方向)におけるヘッド本体311の長さ同じであってもよく、延設方向(基材40の幅方向)におけるヘッド本体311の長さより短くてもよい。また、延設方向(基材40の幅方向)における導電体70A、70Bの長さは、原料液の飛翔経路を制御するために、延設方向(基材40の幅方向)におけるヘッド本体311の長さより長くてもよい。
【0044】
導電体70A、70Bのそれぞれは、電源20に電気的に接続している。電源20は、導電体70A、70Bのそれぞれに電圧を印加する。導電体70A、70Bのそれぞれには、電源20により、ヘッドユニット30の各ノズルに印加される電圧と同極性の電圧が印加される。例えば、導電体70A、70Bのそれぞれには、ヘッドユニット30に印加される電圧と同じ値の電圧が印加される。導電体70A、70Bに印加される電圧は、ヘッドユニット30に印加される電圧よりも小さくてもよく、繊維の飛翔経路を制御するために、ヘッドユニット30に印加される電圧よりも大きくしてもよい。
【0045】
本実施形態では、電源20は、ヘッドユニット30と導電体70A、70Bの両方に電力を供給する。導電体70A、70Bにヘッドユニット30とは異なる電圧を印加する場合、ヘッドユニット30に電力を供給する電源と導電体70A、70Bに電力を供給する電源を別に設けてもよい。
【0046】
図5では、導電体70A、70Bとヘッドユニット30の位置関係が示される。そして、
図5では、基材40の搬送方向に対して平行又は略平行で、かつ、基材40の幅方向(ヘッド本体311の中心軸C及び導電体70A,70Bの中心軸)に対して垂直又は略垂直な断面を示す図である。
【0047】
図5に示すように、ヘッド31A-31Eのヘッド間ピッチd1は、例えば、150~350mmの範囲の中の値である。ヘッド間ピッチd1は、ヘッド31A-31Eのうち隣り合うヘッド間のヘッド31A-31Eの配列方向の距離であり、例えば、ヘッド31Aとヘッド31Bとのヘッド31A-31Eの配列方向の距離である。
【0048】
ヘッド31A-31Eの両端から導電体70A、70Bまでのヘッド31A-31Eの配列方向の距離d2は、ヘッド間ピッチd1よりも小さい。すなわち、複数のヘッドのうち導電体との距離が最も近いヘッドと導電体とのヘッド31A-31Eの配列方向の距離は、ヘッド間のヘッド31A-31Eの配列方向の距離よりも小さい。例えば、導電体70Aとヘッド31Aとの距離d2、及び、導電体70Bとヘッド31Eとの距離d2は、ヘッド間ピッチd1よりも小さい。
【0049】
ヘッド31A-31Eの配列方向に沿う断面、すなわち中心軸Cに対して垂直又は略垂直な断面において、導電体70A、70Bの直径d5は、ヘッド本体311の対角線の長さd3よりも小さい。このため、中心軸Cに対して垂直又は略垂直な断面における導電体70A、70Bの断面積は、中心軸Cに対して垂直又は略垂直な断面における収納空洞315を含むヘッド本体311の断面積よりも小さい。すなわち、導電体70A、70Bのそれぞれにおける外周面に囲まれた部分の、ヘッド31A-31Eの配列方向に沿う断面での断面積は、ヘッド本体311のそれぞれにおける外周面に囲まれた部分の、ヘッド31A-31Eの配列方向に沿う断面での断面積よりも小さい。
【0050】
また、中心軸Cに対して垂直又は略垂直な断面において、導電体70A、70Bの直径d5は、収納空洞315の直径d4よりも大きい。
【0051】
このように、本実施形態では、導電体70A、70Bの径は、収納空洞315の径よりも大きく、ヘッド本体311の外径よりも小さい。なお、導電体70A、70Bの径は、収納空洞315の径よりも小さくてもよい。
【0052】
次に、本実施形態の電界紡糸装置10の動作及び効果について説明する。
【0053】
垂直搬送路64を搬送される基材40に繊維膜を形成する際には、まず、ヘッド31A-31Eに原料液が供給された状態において、電源20からヘッド31A-31Eのそれぞれに電力が供給される。ヘッド31A-31Eのそれぞれでは、ノズル312A―312Hのそれぞれと基材40との間に所定の電圧が印加される。ヘッド31A-31Eのそれぞれでは、ノズル312A―312Hに電圧が印加されることにより、ノズル312A―312Hの噴出口の近傍に電場が発生する。このとき、ヘッド31A-31Eの近傍の電場は、周辺に配置されたノズルで発生する電場の影響を受ける。
【0054】
例えば、ヘッド31A-31Eの配列方向(鉛直方向)において両端のヘッド31A、31Eの間に位置するヘッド31B-31Dの近傍における電場は、ヘッド31A-31Eの配列方向について両側に隣り合う2つのヘッド(ヘッド31A-31Eのうちいずれか2つ)で発生する電場の影響を受ける。例えば、ヘッド31Bのノズル312Aは、延設方向(中心軸Cに沿う方向)について、ヘッド31Aのノズル312A及びヘッド31Cのノズル312Aに対してずれていない。そして、ヘッド31Bのノズル312Aは、ヘッド31A-31Eの配列方向について、ヘッド31Aのノズル312A及びヘッド31Cのノズル312Aのそれぞれと隣り合っている。このため、ヘッド31Bのノズル312Aの近傍における電場は、ヘッド31Aのノズル312Aで発生する電場と、ヘッド31Cのノズル312Aで発生する電場の影響を受ける。
【0055】
一方、ヘッド31A-31Eの配列方向において端に位置するヘッド31A、31Eの近傍における電場は、ヘッド31A-31Eの配列方向について片側に隣り合う1つのヘッド(ヘッド31B又はヘッド31D)で発生する電場の影響を受ける。例えば、ヘッド31Eのノズル312Fは、延設方向(中心軸Cに沿う方向)について、ヘッド31Dのノズル312Fに対してずれていない。そして、ヘッド31Eのノズル312Fは、ヘッド31A-31Eの配列方向について、ヘッド31Dのノズル312Fと隣り合っている。このため、ヘッド31Eのノズル312Fの近傍における電場は、ヘッド31Dのノズル312Fで発生する電場の影響を受ける。
【0056】
このため、隣り合うヘッドの数の違いに起因して、ヘッドユニット30の両端に配置されるヘッド(例えばヘッド31A、31E)と、ヘッドユニット30の中央に配置されるヘッド(例えばヘッド31B-31D)との間において、電界強度のバラツキが生じる可能性がある。
【0057】
本実施形態では、ヘッド31A-31Eの配列方向についてヘッド31A-31Eの両外側には、導電体70A、70Bが配置され、導電体70A、70Bには、各ヘッド31A-31Eに印加される電圧と同極の電圧が印加される。導電体70A、70Bのそれぞれの近傍では、電圧が印加されることにより、電場が発生する。このため、ヘッドユニット30の両端に配置されるヘッド(例えばヘッド31A、31E)の近傍における電場は、ヘッド31A-31Eの配列方向について片側に隣り合う1つのヘッド(ヘッド31B又はヘッド31D)で発生する電場の影響に加えて、隣り合う導電体(導電体70A又は導電体70B)で発生する電場の影響を受ける。このため、ヘッドユニット30の両端に配置されるヘッド(例えばヘッド31A、31E)と、ヘッドユニット30の中央に配置されるヘッド(例えばヘッド31B-31D)との間において、電界強度の差が抑制される。ヘッドユニット30においてヘッド31A-31E間の電界強度のバラツキが抑制されることにより、ヘッドユニット30と基材40との間の電位差による原料液の飛翔が均一になり、基材40に形成される繊維膜を均一に成膜することができる。この効果は、特に、ヘッドユニット30に3つ以上のヘッドが配列される構成に対して有効に作用する。
【0058】
また、ヘッドユニット30から吐出される繊維は、垂直搬送路64を搬送される基材40方向へ飛翔するとともに、鉛直方向について基材40に向かう方向以外の方向へも飛翔しようとする。本実施形態では、導電体70A、70Bの周辺で電場が発生することにより、各ヘッド31A-31Eの各ノズル312A-312Hから吐出される繊維の飛翔経路の鉛直方向の広がりが抑制される。例えば、垂直搬送路64よりも下方に設けられるローラ61への繊維の飛翔が抑制されるとともに、垂直搬送路64よりも上方に設けられる壁面(例えば天井)への繊維の飛翔が抑制される。したがって、導電体70A、70Bが設けられることにより、ローラ61への繊維の付着と、壁面への繊維の付着が抑制されることにより、原料液の吐出量を正確に制御できる。このため、基材40に形成される繊維の膜厚のムラが抑制されるとともに、原料液の損失を少なくすることができる。
【0059】
また、導電体70A、70Bの直径d5は、中心軸Cに対して垂直又は略垂直な断面におけるヘッド本体311の対角線の長さd3よりも小さい。すなわち、導電体70A、70Bの外径は、ヘッド本体311の外径よりも小さい。このため、各ヘッド31A-31Eと導電体70A、70Bとに同じ電圧を印加する場合、ヘッドユニット30の両端のヘッド31A、31Eから導電体70A、70Bまでの距離d2を、ヘッド間ピッチd1よりも小さくすることができる。ヘッドユニット30の両端のヘッド31A、31Eから導電体70A、70Bまでの距離d2が小さくなることにより、基材40の搬送方向における、導電体70A、70Bとヘッドユニット30とを含む部分の長さを小さくすることができる。これにより、ヘッドユニット30におけるヘッド31A-31E間の電界強度のバラツキを抑制し、かつ、装置の小型化を実現することができる。
【0060】
また、本実施形態では、ヘッドユニット30の各ヘッド31A-31Eには、中心軸Cに沿う方向について、2つのノズル列313A、313Bを形成するノズルが交互に配置されている。この場合、ノズル列313Aの一方側の端部に配置されるノズルとノズル列313Bにおいて同じ側の端部に配置されるノズルとの間において、周囲に生じる電場の違いにより、ノズル周辺の電界強度のバラツキが生じる可能性がある。例えば、ノズル列313Bの一端に配置されるノズル312Eの周辺には、ノズル312Dと、ノズル312Aと、ノズル312Bとの3つのノズルが配置されている。一方、ノズル列313Aの一端に配置されるノズル312Aの周辺には、ノズル312Bとノズル312Eとの2つのノズルが配置されている。このため、周辺に配置されるノズルの数の違いに起因して、ノズル列313Aとノズル列313Bとの間において、同一側の端部に配置されるノズルの周辺の電場強度のバラツキが生じる可能性がある。前述のように、本実施形態では、導電体70A、70Bが設けられることにより、ヘッド31A-31E間の電界強度のバラツキが抑制される。ヘッド31A-31E間の電界強度のバラツキが抑制されることにより、同一のヘッド(例えば31A)において同一側の端部に配置されるノズル(例えば312A及び312E)の周辺の電場強度のバラツキも抑制することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、基材40の搬送方向についてヘッドユニット30の両外側のそれぞれに導電体が配置されているが、導電体は、ヘッドユニット30の基材40の搬送方向についてヘッドユニット30の一方側のみに設けられてもよい。
【0062】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、電界紡糸装置は、ヘッドユニットの両外側に配置され電圧が印加されることにより電場を発生させる一対の導電体を備える。これにより、形成される繊維膜の品質を向上させる電界紡糸装置を提供することができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10…電界紡糸装置、11…入口、12…出口、13…筐体、20…電源、30…ヘッドユニット、31A-31Eヘッド、311…ヘッド本体、312A-312H…ノズル、313A、313B…ノズル列、315…収納空洞、40…基材、41…巻出しリール、42…巻取りリール、50…支持体、60…搬送デバイス、61…ローラ、62…駆動源、63…水平搬送路、64…垂直搬送路、70A、70B…導電体、80…制御デバイス。