(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】水中航走体用の整流フィンの固定機構
(51)【国際特許分類】
B63B 39/06 20060101AFI20240322BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20240322BHJP
B63G 8/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B63B39/06 A
B63C11/00 B
B63G8/00 C
(21)【出願番号】P 2020063381
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 潤
(72)【発明者】
【氏名】矢部 仁識
(72)【発明者】
【氏名】白岩 侑士
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-027988(JP,U)
【文献】米国特許第04919066(US,A)
【文献】特開2016-190591(JP,A)
【文献】米国特許第05597337(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 3/13 - 3/14
B63B 32/60 - 32/66
B63B 39/06
B63C 11/00
B63C 11/48 - 11/50
B63G 8/00 - 8/42
B63H 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舵と推進装置との間に配置される水中航走体用の整流フィンの固定機構であって、
前記水中航走体の金属製の外板よりも外方へ突出して配置される、繊維強化プラスチック製の前記整流フィンと、
前記外板に溶接により固定される金属製の受台と、
前記整流フィンを前記受台に固定する少なくとも1つのボルトとを含み、
最も外方にある前記受台の最外部は、前記外板よりも内方に配置される又は前記外板と面一であるように配置さ
れ、
前記整流フィンは、前記受台に対して前記内方に位置するフランジを含み、
前記フランジは、前記ボルトが通ることができる貫通穴を含み、
前記少なくとも1つのボルトは、前記貫通穴を通る状態で前記フランジを前記受台に固定する、
水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項2】
前記フランジは、迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の前
記貫通穴を含み、
前記整流フィンは、前記ボルトが通る前
記貫通穴に対応して迎角の変更を受ける、
請求項
1に記載の水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項3】
前記受台は、前記ボルトと螺合することができ且つ迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数
のネジ穴を含み、
前記少なくとも1つのボルトは、前
記ネジ穴に螺合する状態で前記フランジを前記受台に固定し、
前記整流フィンは、前記ボルトが螺合する前
記ネジ穴に対応して迎角の変更を受ける、
請求項
1に記載の水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項4】
前記整流フィンは、前記回転方向に沿って延在する円筒状の外周面を有する基部を含み、
前記受台は、前記外周面に沿って延在し且つ前記外周面を前記回転方向に回転可能に支持する内周面を有するガイド部を含む、
請求項
2又は
3に記載の水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項5】
舵と推進装置との間に配置される水中航走体用の整流フィンの固定機構であって、
前記水中航走体の金属製の外板よりも外方へ突出して配置される、繊維強化プラスチック製の前記整流フィンと、
前記外板に溶接により固定される金属製の受台と、
前記整流フィンを前記受台に固定する少なくとも1つのボルトとを含み、
最も外方にある前記受台の最外部は、前記外板よりも内方に配置される又は前記外板と面一であるように配置され、
前記受台は、前記ボルトが通ることができ且つ前記整流フィンに対して前記内方に位置する
複数の第
1貫通穴
であって、迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の第1貫通穴を含み、
前記少なくとも1つのボルトは、前記第
1貫通穴を通る状態で前記整流フィンを前記受台に固定
し、
前記整流フィンは、前記ボルトが通る前記第1貫通穴に対応して迎角の変更を受ける、
水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項6】
舵と推進装置との間に配置される水中航走体用の整流フィンの固定機構であって、
前記水中航走体の金属製の外板よりも外方へ突出して配置される、繊維強化プラスチック製の前記整流フィンと、
前記外板に溶接により固定される金属製の受台と、
前記整流フィンを前記受台に固定する少なくとも1つのボルトとを含み、
最も外方にある前記受台の最外部は、前記外板よりも内方に配置される又は前記外板と面一であるように配置され、
前記受台は、前記ボルトが通ることができ且つ前記整流フィンに対して前記内方に位置する第1貫通穴を含み、
前記整流フィンは、前記ボルトが通ることができ且つ前記受台に対して前記外方に位置する第
2貫通穴を含み、
前記少なくとも1つのボルトは、
前記第1貫通穴及び前記第
2貫通穴を通る状態で前記整流フィンを前記受台に固定する、
水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項7】
舵と推進装置との間に配置される水中航走体用の整流フィンの固定機構であって、
前記水中航走体の金属製の外板よりも外方へ突出して配置される、繊維強化プラスチック製の前記整流フィンと、
前記外板に溶接により固定される金属製の受台と、
前記整流フィンを前記受台に固定する少なくとも1つのボルトとを含み、
最も外方にある前記受台の最外部は、前記外板よりも内方に配置される又は前記外板と面一であるように配置され、
前記受台は、前記ボルトが通ることができ且つ前記整流フィンに対して前記内方に位置する第1貫通穴を含み、
前記整流フィンは、前記ボルトと螺合することができ且つ前記受台に対して前記外方に位置す
るネジ穴を含み、
前記少なくとも1つのボルトは、
前記第1貫通穴を通り且つ前
記ネジ穴に螺合する状態で前記整流フィンを前記受台に固定する、
水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項8】
前記整流フィンは、前記第
2貫通穴から前記外方へ突出する前記ボルトを収容する第1凹部を含む、
請求項
6に記載の水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項9】
前記受台は、迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の前記第
1貫通穴を含み、
前記整流フィンは、前記ボルトが通る前記第
1貫通穴に対応して迎角の変更を受ける、
請求項6~
8のいずれか一項に記載の水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項10】
前記整流フィンは、迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の前記第
2貫通穴を含み、
前記整流フィンは、前記ボルトが通る前記第
2貫通穴に対応して迎角の変更を受ける、
請求項
6又は
8に記載の水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【請求項11】
前記受台は、前記外方に向かって開放された第2凹部を含み、
前記整流フィンは、前記第2凹部内に収まるフランジと前記フランジから前記外方に延びるフィン状部とを含み、
前記少なくとも1つのボルトは、前記フランジを前記受台に固定する、
請求項
5、9又は
10に記載の水中航走体用の整流フィンの固定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水中航走体用の整流フィンの固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有人又は無人の水中航走体には、その外側に装着された水中ひれを備えるものがある。例えば、特許文献1は、水中航走体上に立設される垂直安定ひれを開示する。垂直安定ひれは、ガラス繊維強化プラスチックにより成形され且つ内部が外水と連通する外皮層を備える。垂直安定ひれは金属製の支持骨を介して水中航走体に取り付けられる。支持骨は、外皮層の内側に配置され、支持骨を挟持する外皮層にボルトナットにより固定される。支持骨の下端に設けられたフランジが水中航走体のフレーム構造に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような垂直安定ひれは、ガラス繊維強化プラスチックなどの複合材を用いることにより、厚みを薄くすることができ、鋼製の場合と比較して軽量化を図ることができる。しかし、ひれと水中航走体外板とは材料が異なり、これらの接合は異種材同士の接合となるため容易ではない。特に、ひれの接合部分が水中航走体外板に対して平滑になるように取り付けられなければ、ひれのよる整流効果を十分に得られない場合がある。
【0005】
本開示は、異種材の整流フィンを水中航走体に対して平滑に取り付けて流体性能を向上させるための水中航走体用の整流フィンの固定機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構は、舵と推進装置との間に配置される水中航走体用の整流フィンの固定機構であって、前記水中航走体の金属製の外板よりも外方へ突出して配置される、繊維強化プラスチック製の前記整流フィンと、前記外板に溶接により固定される金属製の受台と、前記整流フィンを前記受台に固定する少なくとも1つのボルトとを含み、最も外方にある前記受台の最外部は、前記外板よりも内方に配置される又は前記外板と面一であるように配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、水中航走体の外板と異種材である整流フィンを水中航走体に対して平滑に取り付けて流体性能を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る水中航走体の尾部の構成の一例を示す側面図
【
図2】実施の形態1に係る固定機構の構成の一例を示す断面側面図
【
図4】変形例1に係る固定機構の構成の一例を示す断面側面図
【
図7】
図6の整流フィンの迎角の変更例を示す断面図
【
図8】実施の形態2に係る固定機構の構成の一例を示す断面側面図
【
図11】変形例2に係る固定機構の構成の一例を
図10と同様に示す断面図
【
図13】実施の形態3に係る固定機構の構成の一例を示す断面側面図
【
図15】変形例3に係る固定機構の構成の一例を
図14と同様に示す断面図
【
図17】実施の形態4に係る固定機構の構成の一例を示す断面側面図
【
図19】変形例4に係る固定機構の構成の一例を示す
図17のXIX-XIX線に沿った断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構を説明する。水中航走体は有人水中航走体であってもよく、無人水中航走体であってもよい。これに限定さないが、以下の実施の形態では、水中航走体が水中探査機等の有人水中航走体である例を説明する。
【0011】
図1は、実施の形態1に係る水中航走体1の尾部11の構成の一例を示す側面図である。
図1に示すように、水中航走体1は、本体10と、推進装置20と、舵30と、整流フィン40とを備える。推進装置20、舵30及び整流フィン40は、本体10の前進方向FDに対する後方の尾部11に配置される。
【0012】
本体10の外装は、鉄等の金属製の外板12で構成される。推進装置20は、尾部11の後端付近に配置され、駆動することで本体10に推進力を与える。本実施の形態では、推進装置20は、スクリュープロペラ及びその回転駆動装置を含むが、ウォータージェット推進装置等の他の推進装置であってもよい。舵30は、フィン状であり、推進装置20よりも前方に配置され、外板12よりも本体10の外方(以下、単に「外方」とも表記する)へ突出する。例えば、複数の舵30が設けられてもよい。
【0013】
整流フィン40は、舵30と推進装置20との間に配置される。整流フィン40は、尾部11の外板12よりも外方へ、具体的には本体10の外方へ突出して配置される。少なくとも1つの整流フィン40が設けられる。整流フィン40は、舵30から推進装置20へ向かう水の流れを整流し、推進装置20による推進力の発生を効率化する。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る固定機構100の構成の一例を示す断面側面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図1~
図3に示すように、水中航走体1は、尾部11に、整流フィン40を外板12に固定するための固定機構100を備える。固定機構100は、整流フィン40と、受台50と、少なくとも1つのボルト60とを含む。
【0015】
受台50は、鉄又はステンレス鋼等の溶接可能な金属で大凡構成され、溶接により外板12に固定される。受台50は、本体10に対して最も外方にある最外部51と、最外部51から本体10の内方(以下、単に「内方」とも表記する)へ延びる脚部52とを含む。本実施の形態では、受台50は、外板12と面一であるように配置される。但し、受台50は、最外部51が外板12よりも内方であるように配置されてもよい。
【0016】
例えば、最外部51が外板12と面一であるとは、最外部51の外表面が外板12の外表面と面一であることであってよい。例えば、最外部51が外板12と面一であるとは、最外部51の外表面と外板12の外表面との間に実質的な段差がないことであってもよい。この場合、最外部51の外表面が外板12の外表面と同一面を形成してもよく、最外部51の外表面が外板12の外表面に連続する面を形成してもよい。
【0017】
最外部51は、楕円状の開口部51aを有する楕円環状の板状部材で構成される。脚部52は、開口部51aと同形状の内空断面を有する楕円筒状の部材で構成される。本実施の形態では、最外部51の外周縁と同様の形状及びサイズの開口部12aが外板12に形成される。最外部51は開口部12aにはめ込まれ、最外部51の外周縁と開口部12aの内周縁とが突き合わされ、溶接により互いに固定される。最外部51の外表面と開口部12aの周囲の外板12の外表面とが面一である。なお、最外部51は、外板12の内表面上に配置及び固定されてもよい。また、内方に向いた脚部52の先端の端面52aには、少なくとも1つのネジ穴52b、具体的には4つのネジ穴52bが形成され、端面52aの周方向に沿って配列されている。ネジ穴52bは、ボルト60と螺合可能である。
【0018】
整流フィン40は、フィン状のフィン本体41と、フィン本体41における先端と反対側の基端に設けられたフランジ42とを含む。フィン本体41及びフランジ42は、複合材料で大凡形成されており、本実施の形態では、一体成形により一体化されている。複合材料は、繊維及び樹脂の複合材料である繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)である。繊維強化プラスチックの例は、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP;Glass Fiber Reinforced Plastics)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP;Boron Fiber Reinforced Plastics)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP;Aramid Fiber Reinforced Plastics)、ケプラ繊維強化プラスチック(KFRP;Kevlar Fiber Reinforced Plastics)、ダイニーマ繊維強化プラスチック(DFRP;Dyneema Fiber Reinforced Plastics)及びザイロン繊維強化プラスチック(ZFRP;Zylon Fiber Reinforced Plastics)等である。例えば、フィン本体41は中空形状であり、整流フィン40は、構成材料及びその構造により軽量化を可能にする。
【0019】
本実施の形態では、フィン本体41は、基端から先端に向かって幅狭になる台形板状の外形と楕円状の断面形状とを有する。フィン本体41は、最外部51の開口部51a及び脚部52の内周側を通って延び、フィン本体41の先端は本体10から外方へ突出し、フィン本体41の基端は本体10の内方に位置する。フランジ42は、脚部52の端面52aと類似する楕円環状の形状を有する。フランジ42は、端面52aに対して内方に位置し、基端から先端に向かうフィン本体41の延在方向D1と交差する方向に且つフィン本体41から外側に向かって延びる。
【0020】
少なくとも1つの貫通穴42a、具体的には4つの貫通穴42aがフランジ42に形成されている。4つの貫通穴42aは、4つのネジ穴52bに対応する配列でフランジ42に周方向に沿って配置される。貫通穴42aは、ボルト60が通ることができるように構成されている。4つの貫通穴42aと4つのネジ穴52bとが位置合わせされると、フランジ42が脚部52の端面52aに位置合わせされる。貫通穴42aは第1貫通穴の一例である。
【0021】
本実施の形態では、ボルト60は、雄ネジが外周面に形成されたネジ軸61と、ネジ軸61の一方の端部の頭部62とを一体的に含む頭付きボルトである。位置合わせされたフランジ42及び脚部52に対して、4つのボルト60は、それぞれのネジ軸61が貫通穴42aを通ってネジ穴52bに捩じ込まれることによって、フランジ42を脚部52に固定する。4つのボルト60は、貫通穴42aを通り且つネジ穴52bに螺合する状態でフランジ42を受台50に固定する。なお、ボルト60は、ネジ軸61のみを有するスタッドボルトであってもよい。この場合、貫通穴42aを通ってネジ穴52bに捩じ込まれたスタッドボルトにナット(図示省略)が締め付けられることで、フランジ42が受台50に固定されてもよい。又は、ネジ穴52bが形成されずに、ネジ穴52bの位置に、スタッドボルトが溶接等の接合方法により固定されてもよい。
【0022】
上述のような整流フィン40は、以下に説明するように、受台50に取り付けられる。
図2及び
図3に示すように、外板12の内方において、整流フィン40のフィン本体41の先端が、受台50の最外部51の開口部51aに挿入される。4つの貫通穴42aと4つのネジ穴52bとの位置を合わせるように、整流フィン40のフランジ42が受台50の端面52a上に配置される。さらに、4つのボルト60が、4つの貫通穴42a及び4つのネジ穴52bに捩じ込まれ、フランジ42を受台50に固定する。整流フィン40の取り付けは、本体10の内側からのアクセスにより可能である。
【0023】
上述のような実施の形態1に係る固定機構100によれば、受台50の最外部51は外板12よりも内方、又は外板12と面一となるように配置される。よって、本体10における整流フィン40の配置箇所の外表面の平滑化が可能になる。さらに、フィン本体41のみが最外部51の開口部51aから突出し、整流フィン40は、本体10の内方で受台50に固定される。これによっても、上記外表面の平滑化が可能になる。さらに、フィン本体41と開口部51aとの隙間がパテ等で充填されることで、上記外表面の平滑化が可能になる。また、フランジ42は、受台50の脚部52と当接することで、本体10から外方への整流フィン40の脱落を抑止する。
【0024】
なお、実施の形態1に係る受台50において、最外部51の外周縁は、脚部52の外周面よりも側方に突出するが、同形状及び同サイズであってもよい。この場合、受台50は、単なる楕円筒であってもよい。なお、最外部51が設けられることで、開口部51aとフィン本体41との隙間の低減が可能であり、整流フィン40の取り付け後に当該隙間を平滑化するための充填処理が簡易になる。
【0025】
また、実施の形態1に係る受台50において、脚部52は連続する楕円筒形状であるが、これに限定されず、例えば、複数に分割されてもよい。例えば、複数の脚部は、ネジ穴52bに対応する位置にのみ配置されてもよい。
【0026】
また、実施の形態1に係る受台50において、脚部52にネジ穴52bが形成されるが、これに限定されない。例えば、脚部52に、貫通穴が形成されたフランジが設けられてもよい。ボルト60は、脚部52の貫通穴と整流フィン40の貫通穴42aとを通って、整流フィン40を受台50に固定してもよい。又は、整流フィン40の貫通穴42aの代わりにネジ穴が形成され、ボルト60は、脚部52の貫通穴を通って整流フィン40のネジ穴に捩じ込まれることによって、整流フィン40を受台50に固定してもよい。
【0027】
また、実施の形態1に係る整流フィン40において、フランジ42は、フィン本体41の延在方向D1に垂直であり且つ外板12に対して傾斜するように配置されるが、これに限定されず、外板12に沿う向きで配置されてもよい。脚部52の各部が最外部51から延びる長さは、実施の形態1では不均等であるが、均等になり得る。
【0028】
(変形例1)
実施の形態1の変形例1を説明する。変形例1に係る固定機構100Aは、整流フィン40Aの迎角の変更が可能である点で、実施の形態1と異なる。以下、変形例1について、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、実施の形態1と同様の点の説明を適宜省略する。
【0029】
図4は、変形例1に係る固定機構100Aの構成の一例を示す断面側面図である。
図5は、
図4のV-V線に沿った断面図である。
図6は、
図4のVI-VI線に沿った断面図である。
図4~
図6に示すように、固定機構100Aの受台50Aの最外部51Aは、長円状の開口部51Aaを有する板状部材で構成され、脚部52Aは、円形の内空断面を有する円筒状部材で構成される。脚部52Aの端面52Aaには、4つのネジ穴52Abと、各ネジ穴52Abの近傍のネジ穴52Ac及び52Adとが形成されている。4つのネジ穴52Abは実施の形態1のネジ穴52bと同様の構成を有し、端面52Aaの円周方向に沿って配列されている。ネジ穴52Ac及び52Adは、ネジ穴52Abと同様の構成を有し、各ネジ穴52Abに対して、端面52Aaの円周方向、つまり迎角を変更する場合の整流フィン40Aの回転方向R1及びR2に沿って同様に配列されている。なお、回転方向R1及びR2は、脚部52Aの円筒軸である軸CAを中心とし且つ互いに反対の回転方向である。各ネジ穴52Abとその近傍のネジ穴52Ac及び52Adとは、軸CAを中心とする同一の円周上に位置する。ネジ穴52Ab、52Ac及び52Adは第1ネジ穴の一例である。
【0030】
整流フィン40Aは、フィン本体41Aの基端に有底円筒状の基部43Aをさらに一体的に含む。基部43Aは、外方へ向いた底部上でフィン本体41Aを支持する。基部43Aは脚部52Aの内周側に位置し、脚部52Aの内周面と整合し且つ当該内周面によって周方向に支持される外周面を有する。基部43の円筒軸は、軸CAと同軸である。基部43は、脚部52Aに対して、軸CAを中心として回転方向R1及びR2に回転することができる。脚部52Aはガイド部の一例である。
【0031】
フランジ42Aは、内方側の基部43Aの基端に一体化され、基部43の軸CA方向と交差する方向に且つ基部43Aから外側に向かって延びる。フランジ42Aには、実施の形態1と同様の4つの貫通穴42Aaが形成される。
【0032】
上述のような整流フィン40Aは、実施の形態1と同様に、本体10の内側からのアクセスにより受台50Aに取り付けられ得る。例えば、
図4及び
図6に示すように、整流フィン40Aのフランジ42Aの4つの貫通穴42Aaそれぞれが受台50Aの脚部52Aの4つのネジ穴52Abと位置合わせされ、ボルト60が貫通穴42Aa及びネジ穴52Abに捩じ込まれる場合、フィン本体41Aの向きが実施の形態1のフィン本体41の向きと同様である状態で、整流フィン40Aが受台50Aに固定される。
【0033】
図4及び
図7に示すように、受台50Aの4つのネジ穴52Acはそれぞれ、整流フィン40Aの4つの貫通穴42Aaと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた状態でボルト60が貫通穴42Aa及びネジ穴52Acに捩じ込まれると、フィン本体41Aが
図6のフィン本体41に対して回転方向R1に回転した状態で、整流フィン40Aが受台50Aに固定される。フィン本体41Aの迎角は、
図6の状態から、ネジ穴52Acの位置によって決まる所定の角度で回転方向R1に変化する。なお、
図7は、
図6の整流フィン40Aの迎角の変更例を示す断面図である。
【0034】
また、受台50Aの4つのネジ穴52Adはそれぞれ、整流フィン40Aの4つの貫通穴42Aaと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた状態でボルト60が貫通穴42Aa及びネジ穴52Adに捩じ込まれると、フィン本体41Aが
図6のフィン本体41に対して回転方向R2に回転した状態で、整流フィン40Aが受台50Aに固定される。フィン本体41Aの迎角は、
図6の状態から、ネジ穴52Adの位置によって決まる所定の角度で回転方向R2に変化する。
【0035】
整流フィン40Aは、ボルト60が螺合するネジ穴52Ab、52Ac及び52Adに対応して、その迎角の変更を受けることができる。
【0036】
また、
図5に示すように、受台50Aの最外部51Aの開口部51Aaの形状及びサイズは、フィン本体41Aの断面と類似せず、迎角の変更に伴うフィン本体41Aの回転移動を許容する形状及びサイズである。例えば、開口部51Aaの形状及びサイズは、フィン本体41Aとの隙間が小さくなるように、フィン本体41Aの可動範囲に対応する形状及びサイズとされる。
図5の例では、開口部51Aaの形状は、中央部分が幅方向に絞られた長円形状である。
【0037】
また、変形例1に係る固定機構100Aのその他の構成は実施の形態1と同様である。そして、変形例1に係る固定機構100Aによれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。さらに、整流フィン40Aは、複数の迎角のうちの任意の迎角で受台50Aに固定されることが可能である。例えば、推進装置20の効率的な推進力の発生に効果的な迎角で、整流フィン40Aが配置され得る。
【0038】
なお、変形例1に係る受台50A及び整流フィン40Aにおいても、実施の形態1と同様の変形が適用され得る。さらに、変形例1に係る受台50Aにおいて、ネジ穴52Ab、52Ac及び52Adの組が形成されるが、これに限定されない。例えば、整流フィン40Aのフランジ42Aにおいて、4つの貫通穴42Aaと、各貫通穴42Aaに対してその近傍で回転方向R1及びR2に沿って配列された2つの貫通穴とが形成されてもよい。そして、各ボルト60は、貫通穴42Aa及びその近傍の2つの貫通穴のいずれかとネジ穴52Abとに捩じ込まれてもよい。これにより、整流フィン40Aは、ボルト60が通る貫通穴に対応して、その迎角の変更を受けることができる。なお、貫通穴の1組に含まれる貫通穴の数量は、3つに限定されず、2つ又は4つ以上であってもよい。同様に、受台50Aのネジ穴の1組に含まれるネジ穴の数量は、3つに限定されず、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0039】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る固定機構100Bを説明する。実施の形態2に係る固定機構100Bは、整流フィンが受台よりも外方に位置し、本体10の外側からのアクセスにより整流フィンが受台に取り付けられ得る点で、実施の形態1と異なる。以下、実施の形態2について、実施の形態1及び変形例1と異なる点を中心に説明し、実施の形態1及び変形例1と同様の点の説明を適宜省略する。
【0040】
図8は、実施の形態2に係る固定機構100Bの構成の一例を示す断面側面図である。
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10は、
図8のX-X線に沿った断面図である。
図8~
図10に示すように、固定機構100Bは、整流フィン40Bと、受台50Bと、少なくとも1つのボルト60と、少なくとも1つのナット70とを含む。
【0041】
整流フィン40Bは、実施の形態1に係る整流フィン40のフィン本体41と同様の構成を有し、フィン本体で構成される。整流フィン40Bの基端付近には、少なくとも1つの貫通穴40Baが形成され、具体的には、4つの貫通穴40Baが当該基端の周縁に沿って配置されている。各貫通穴40Baは、ボルト60のネジ軸61が通ることができるように構成され、延在方向D1に整流フィン40Bを部分的に貫通し、整流フィン40Bの基端の端面40Bbで開口する。さらに、整流フィン40Bの外表面上において、整流フィン40Bの先端側での各貫通穴40Baの開口に隣接して、凹部40Bcが形成されている。各凹部40Bcは、整流フィン40Bの外表面よりも整流フィン40Bの内方に向かって窪み、例えば、部分的な円筒形状を有する。貫通穴40Baは第3貫通穴の一例であり、凹部40Bcは第1凹部の一例である。
【0042】
受台50Bは楕円状の板状部材で構成される。受台50B全体が最外部を構成する。少なくとも1つの貫通穴50Ba、具体的には4つの貫通穴50Baが、受台50Bに形成され、整流フィン40Bの4つの貫通穴40Baに対応する配列で配置される。各貫通穴50Baは、ボルト60のネジ軸61が通ることができるように構成される。本実施の形態では、受台50Bは外板12の内表面に溶接により固定される。受台50Bは外板12によって覆われ、外板12には、各貫通穴50Baに対応する位置に、貫通穴12bが形成される。ネジ軸61は、互いに対応する貫通穴50Ba及び12bを通ることができる。なお、受台50Bは、実施の形態1と同様に、外板12の開口部にはめ込まれ固定されてもよい。貫通穴50Baは第2貫通穴の一例である。
【0043】
上述のような整流フィン40Bは、以下に説明するように、受台50Bに取り付けられる。
図8~
図10に示すように、外板12の外方において、整流フィン40Bの4つの貫通穴40Baと外板12の4つの貫通穴12bとの位置を合わせるように、整流フィン40Bが外板12上に配置される。さらに、位置合わせされた貫通穴40Ba、12b及び50Baのそれぞれに、ボルト60のネジ軸61が外方から挿入される。これにより、整流フィン40Bが位置決めされる。整流フィン40Bの配置及び位置決めは、本体10の外側からのアクセスにより可能である。
【0044】
さらに、本体10の内方からネジ軸61のそれぞれにナット70が締め付けられ、整流フィン40Bが受台50Bに固定される。このとき、整流フィン40Bの各貫通穴40Baは、受台50Bに対して外方に位置し、受台50Bの各貫通穴50Baは、整流フィン40Bに対して内方に位置し、ボルト60は、貫通穴40Ba及び50Baを通る状態で整流フィン40Bを受台50Bに固定する。
【0045】
固定状態の整流フィン40Bでは、凹部40Bcと端面40Bbとの間の部位がボルト60及びナット70によって締結される。貫通穴40Baから外方へ突出するボルト60の頭部62は、凹部40Bc内に収まり、整流フィン40Bの外表面よりも突出しない。凹部40Bcがパテ等で埋められることで、整流フィン40Bの外表面の平滑化が可能である。円筒状の凹部40Bc底部は、ボルト60の頭部62の座部として機能する。
【0046】
また、実施の形態2に係る固定機構100Bのその他の構成は実施の形態1と同様である。そして、実施の形態2に係る固定機構100Bによれば、本体10における整流フィン40Bの配置箇所の外表面の平滑化が可能になる。さらに、外板12から外方に延びるボルト60は、整流フィン40B内を通り凹部40Bcに収容される。これによっても、上記外表面の平滑化が可能になる。また、整流フィン40Bがフィン本体のみで構成されるため、整流フィン40Bの形状の自由度が増す。また、本体10の内方から外方に向かう整流フィン40Bの長さが低減されるため、整流フィン40Bの振動が低減する。
【0047】
なお、実施の形態2に係る整流フィン40B及び受台50Bにおいて、貫通穴40Ba及び50Baが形成されるが、これに限定されない。例えば、貫通穴40Ba又は50Baの代わりに、ボルト60が螺合するネジ穴が形成されてもよい。又は、ボルト60がスタッドボルトであってもよい。スタッドボルトは、上記ネジ穴に捩じ込まれてもよく、貫通穴40Ba又は50Baの位置に固定されてもよい。整流フィン40Bへのスタッドボルトの固定には、インサート成形等の樹脂の一体成形方法が用いられてもよく、受台50Bへのスタッドボルトの固定には、溶接等の接合方法が用いられてもよい。
【0048】
なお、水中航走体1の本体10の外板12が十分な厚さを有する場合には、受台50Bは不要である。
【0049】
(変形例2)
実施の形態2の変形例2を説明する。変形例2に係る固定機構100Cは、整流フィン40Bの迎角の変更が可能である点で、実施の形態2と異なる。以下、変形例2について、実施の形態1~2及び変形例1と異なる点を中心に説明し、実施の形態1~2及び変形例1と同様の点の説明を適宜省略する。
【0050】
図11は、変形例2に係る固定機構100Cの構成の一例を
図10と同様に示す断面図である。
図11に示すように、変形例2に係る固定機構100Cにおいて、整流フィン40Bの構成は実施の形態2と同様であり、受台50Cの構成は実施の形態2と異なる。受台50Cには、貫通穴50Ca1~50Ca4と、貫通穴50Cb1及び50Cb2と、貫通穴50Cc1及び50Cc2とが形成されている。また、本体10の外板12には、上記貫通穴のそれぞれに対応する位置に、貫通穴12bが形成される。
【0051】
貫通穴50Ca1~50Ca4の構成及び配列は、実施の形態2の4つの貫通穴50Baと同様である。貫通穴50Ca1~50Ca4は、これらの中心を通る軸CA周りの回転方向R2に沿う順序で並ぶ。貫通穴50Ca1及び50Ca2と貫通穴50Ca3及び50Ca4とは、楕円状の受台50Cの短軸に関して反対に位置する。軸CAは、受台50Cの表面に垂直であり、回転方向R1及びR2はそれぞれ、軸CA周りの反時計回り及び時計回りの回転方向である。整流フィン40Bは、軸CAを中心として回転方向R1及びR2に回転することで迎角を変更することができる。
【0052】
貫通穴50Cb1及びCb2はそれぞれ、貫通穴50Ca1及び50Ca3に対してその近傍で回転方向R1に沿って配列される。貫通穴50Cc1及びCc2はそれぞれ、貫通穴50Ca2及び50Ca4に対してその近傍で回転方向R2に沿って配列される。貫通穴50Cb1、50Ca1、50Ca2及び50Cc1は、軸CAを中心とする同一の円周上に位置し、貫通穴50Cb2、50Ca3、50Ca4及び50Cc2は、軸CAを中心とする同一の円周上に位置する。
【0053】
図11に示すように、整流フィン40Bの4つの貫通穴40Baが受台50Cの貫通穴50Ca1~50Ca4と位置合わせされる場合、整流フィン40Bは、実施の形態2と同様の向きで受台50Cに固定される。
【0054】
図12に示すように、受台50Cの貫通穴50Cb1、50Ca1、50Cb2及び50Ca3は整流フィン40Bの4つの貫通穴40Baと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた整流フィン40Bは、
図11の整流フィン40Bに対して回転方向R1に回転した状態で受台50Cに固定される。なお、
図12は、
図11の整流フィン40Bの迎角の変更例を示す断面図である。
【0055】
受台50Cの貫通穴50Ca2、50Cc1、50Ca4及び50Cc2は整流フィン40Bの4つの貫通穴40Baと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた整流フィン40Bは、
図11の整流フィン40Bに対して回転方向R2に回転した状態で受台50Cに固定される。
【0056】
整流フィン40Bは、ボルト60が通る受台50Cの貫通穴に対応して、その迎角の変更を受けることができる。
【0057】
また、変形例2に係る固定機構100Cのその他の構成は実施の形態2と同様である。そして、上述のような変形例2に係る固定機構100Cによれば、実施の形態2と同様の効果が得られる。さらに、整流フィン40Bは、複数の迎角のうちの任意の迎角で受台50Cに固定されることが可能である。
【0058】
なお、変形例2に係る受台50C及び整流フィン40Bにおいても、実施の形態2と同様の変形が適用され得る。さらに、受台50Cの貫通穴及び整流フィン40Bの貫通穴の数量は、変形例2の数量に限定されず、いかなる数量であってもよい。
【0059】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る固定機構100Dを説明する。実施の形態3に係る固定機構100Dは、整流フィン40Cにネジ穴が形成される点で、実施の形態2と異なる。以下、実施の形態3について、実施の形態1~2及び変形例1~2と異なる点を中心に説明し、実施の形態1~2及び変形例1~2と同様の点の説明を適宜省略する。
【0060】
図13は、実施の形態3に係る固定機構100Dの構成の一例を示す断面側面図である。
図14は、
図13のXIV-XIV線に沿った断面図である。
図13及び
図14に示すように、固定機構100Dは、整流フィン40Dと、受台50Dと、少なくとも1つのボルト60とを含む。
【0061】
整流フィン40Dは、フィン本体41Dと、少なくとも1つの雌ネジ部材43Dとを含む。フィン本体41Dは、実施の形態2に係る整流フィン40Bと同様の構成を有する。雌ネジ部材43Dは、ボルト60が螺合可能な雌ネジ穴を有する円筒状部材である。本実施の形態では、雌ネジ部材43Dは、複合材料よりも高いネジ山の強度を実現する金属製の金物である。各雌ネジ部材43Dは、フィン本体41Dの内部に埋め込まれ、各雌ネジ部材43Dの雌ネジ穴は、フィン本体41Dの基端の端面41Daで開口する。本実施の形態では、3つの雌ネジ部材43Dが、楕円状の端面41Daの長軸方向に配列される。雌ネジ部材43Dの埋め込みには、インサート成形等の樹脂の一体成形方法、又はフィン本体41Dに形成された穴への接着固定等が用いられてもよい。雌ネジ部材43Dの雌ネジ穴は第2ネジ穴の一例である。
【0062】
本明細書及び特許請求の範囲において、「複合材料製(繊維強化プラスチック製)の整流フィン」は、実施の形態1及び2のような複合材料(繊維強化プラスチック)のみで構成される整流フィンを含むだけでなく、本実施の形態のような複合材料(繊維強化プラスチック)のみで構成される本体と複合材料(繊維強化プラスチック)以外の材料で構成される付属物とを含む整流フィンを含む。付属物は、本実施の形態のように、整流フィンを受台に固定するための部材等であってもよいが、これに限定されない。
【0063】
受台50Dは、楕円状の板状部材で構成され、受台50Dには、少なくとも1つの貫通穴50Da、具体的には3つの貫通穴50Daが、3つの雌ネジ部材43Dに対応する配列で形成されている。また、本体10の外板12には、貫通穴50Daのそれぞれに対応する位置に、貫通穴12bが形成される。
【0064】
上述のような整流フィン40Dは、本体10の外方において外板12上に配置され、本体10の外方及び内方において、整流フィン40Dの3つの雌ネジ部材43Dと受台50Dの3つの貫通穴50Daとが位置合わせされる。さらに、位置合わせされた貫通穴50Da及び雌ネジ部材43Dのそれぞれに、ボルト60が内方から捩じ込まれることで、整流フィン40Dが受台50Dに固定される。
【0065】
また、実施の形態3に係る固定機構100Dのその他の構成は実施の形態2と同様である。そして、上述のような実施の形態3に係る固定機構100Dによれば、本体10における整流フィン40Dの配置箇所の外表面の平滑化が可能になる。さらに、外板12から外方に延びるボルト60は、整流フィン40Dの内部に収容される。これによっても、上記外表面の平滑化が可能になる。また、本体10の内方において、ボルト60を雌ネジ部材43Dに捩じ込む簡易な作業により、受台50Dへの整流フィン40Dの固定が可能である。なお、実施の形態3に係る整流フィン40Dにおいて、捩じ込まれるボルト60は、頭付きボルトであるが、スタッドボルトであってもよい。
【0066】
なお、水中航走体1の本体10の外板12が十分な厚さを有する場合には、受台50Dは不要である。
【0067】
(変形例3)
実施の形態3の変形例3を説明する。変形例3に係る固定機構100Eは、整流フィン40Dの迎角の変更が可能である点で、実施の形態3と異なる。以下、変形例3について、実施の形態1~3及び変形例1~2と異なる点を中心に説明し、実施の形態1~3及び変形例1~2と同様の点の説明を適宜省略する。
【0068】
図15は、変形例3に係る固定機構100Eの構成の一例を
図14と同様に示す断面図である。
図15に示すように、変形例3に係る固定機構100Eにおいて、整流フィン40Dの構成は実施の形態3と同様であり、受台50Eの構成は実施の形態3と異なる。受台50Eには、貫通穴50Ea1~50Ea3と、貫通穴50Eb1及び50Eb2と、貫通穴50Ec1及び50Ec2とが形成される。また、本体10の外板12には、上記貫通穴のそれぞれに対応する位置に、貫通穴12bが形成される。
【0069】
貫通穴50Ea1~50Ea3の構成及び配列は、実施の形態3の3つの貫通穴50Daと同様であり、楕円状の受台50Eの長軸方向に並ぶ。貫通穴50Eb1及び50Eb2はそれぞれ、貫通穴50Ea1及び50Ea3に対してその近傍で、貫通穴50Ea2を通る軸CAの周りの回転方向R1に沿って配列される。貫通穴50Ec1及び50Ec2はそれぞれ、貫通穴50Ea1及び50Ea3に対してその近傍で、反対の回転方向R2に沿って配列される。貫通穴50Eb1、50Ea1及び50Ec1は、軸CAを中心とする同一の円周上に位置し、貫通穴50Eb2、50Ea3及び50Ec2は、軸CAを中心とする同一の円周上に位置する。
【0070】
図15に示すように、整流フィン40Dの3つの雌ネジ部材43Dが受台50Eの貫通穴50Ea1~50Ea3と位置合わせされる場合、整流フィン40Dは、実施の形態3と同様の向きで受台50Eに固定される。
【0071】
図16に示すように、受台50Eの貫通穴50Eb1、50Ea2及び50Eb2は整流フィン40Dの3つの雌ネジ部材43Dと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた整流フィン40Dは、
図15の整流フィン40Dに対して回転方向R1に回転した状態で受台50Eに固定される。なお、
図16は、
図15の整流フィン40Dの迎角の変更例を示す断面図である。
【0072】
受台50Eの貫通穴50Ec1、50Ea2及び50Ec2は整流フィン40Dの3つの雌ネジ部材43Dと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた整流フィン40Dは、
図15の整流フィン40Dに対して回転方向R2に回転した状態で受台50Cに固定される。
【0073】
整流フィン40Dは、ボルト60が通る受台50Eの貫通穴に対応して、その迎角の変更を受けることができる。ボルト60は、頭付きボルト又はスタッドボルトであってもよい。
【0074】
また、変形例3に係る固定機構100Eのその他の構成は実施の形態3と同様である。そして、上述のような変形例3に係る固定機構100Eによれば、実施の形態3と同様の効果が得られる。さらに、整流フィン40Dは、複数の迎角のうちの任意の迎角で受台50Eに固定されることが可能である。なお、受台50Eの貫通穴及び整流フィン40Dの雌ネジ部材43Dの数量は変形例3の数量に限定されず、いかなる数量であってもよい。
【0075】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る固定機構100Fを説明する。実施の形態4に係る固定機構100Fは、整流フィン40Fの基端にフランジが設けられる点で、実施の形態2と異なる。以下、実施の形態4について、実施の形態1~3及び変形例1~3と異なる点を中心に説明し、実施の形態1~3及び変形例1~3と同様の点の説明を適宜省略する。
【0076】
図17は、実施の形態4に係る固定機構100Fの構成の一例を示す断面側面図である。
図18は、
図17のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。
図17及び
図18に示すように、固定機構100Fは、整流フィン40Fと、受台50Fと、少なくとも1つのボルト60と、少なくとも1つのナット70とを含む。
【0077】
整流フィン40Fは、実施の形態1に係る整流フィン40と同様の構成を有し、フィン本体41Fと、フィン本体41Fの基端の楕円環状のフランジ42Fとを一体的に含む。フィン本体41Fはフィン状部の一例である。
【0078】
少なくとも1つの貫通穴42Fa、具体的には4つの貫通穴42Faが、フランジ42Fに形成され、フランジ42Fの周方向に沿って配列される。フランジ42Fは、外方に向いた表面上に、外方に向かって開放し且つ内方に向かって窪むボルト凹部42Fbを含む。ボルト凹部42Fbは、ボルト60の頭部62及びナット70を収容できるように形成される。4つの貫通穴42Faは、ボルト凹部42Fb内で開口する。本実施の形態では、ボルト凹部42Fbは、4つの貫通穴42Faの開口の全てを含むように、楕円環状の溝であるが、少なくとも1つの貫通穴42Faの開口を含むように、複数のボルト凹部42Fbが形成されてもよい。貫通穴42Faは第3貫通穴の一例である。
【0079】
受台50Fは、楕円状の板状部材で構成され、外方に向いた表面上に、外方に向かって開放し且つ内方に向かって窪む楕円筒状の収容凹部50Faを含む。収容凹部50Faは、フランジ42Fを収容し且つ支持する。収容凹部50Faは、フランジ42Fが収まるような形状及びサイズで形成され、具体的には、フランジ42Fの周縁に沿い且つ整合する内周面と、フランジ42Fの厚さと同等の深さとを有する。収容凹部50Faは第2凹部の一例である。
【0080】
外板12には、受台50Fの外周縁と同様の形状及びサイズの開口部12aが形成される。受台50Fは、開口部12aにはめ込まれ、外板12と面一になるように外板12に固定される。なお、受台50Fは外板12の内表面に固定され、開口部12aは収容凹部50Faと同様の形状及びサイズで形成されてもよい。本実施の形態では、フランジ42が収容凹部50Fa内に配置されたとき、フランジ42Fと外板12とが面一になる。受台50Fの収容凹部50Fa内には、少なくとも1つの貫通穴50Fb、具体的には4つの貫通穴50Fbが、4つの貫通穴42Faに対応する配列で形成されている。貫通穴50Fbは第2貫通穴の一例である。
【0081】
上述のような整流フィン40Fは、本体10の外方において、フランジ42Fを収容凹部50Faにはめ込むようにして、受台50Fに配置される。これにより、整流フィン40Fの4つの貫通穴42Faと受台50Fの4つの貫通穴50Fbとが位置合わせされる。さらに、位置合わせされた貫通穴42Fa及び50Fbのそれぞれに、ボルト60が外方から挿入され、本体10の内方からネジ軸61のそれぞれにナット70が締め付けられることで、整流フィン40Fが受台50Fに固定される。固定状態の整流フィン40Fでは、ボルト60の頭部62は、ボルト凹部42Fb内に収まり、フランジ42Fから突出しない。さらに、ボルト凹部42Fbがパテ等で埋められることで、フランジ42Fの表面の平滑化が可能である。
【0082】
また、実施の形態4に係る固定機構100Fのその他の構成は実施の形態2と同様である。そして、実施の形態4に係る固定機構100Fによれば、本体10における整流フィン40Fの配置箇所の外表面の平滑化が可能になる。さらに、また、整流フィン40Fは、複合材料のみで形成可能であり、軽量化が可能である。フィン本体41Fの構成に対応して、フランジ42F及び受台50Fの構成を変更することが可能であるため、フィン本体41Fの形状及びサイズの自由度が増す。
【0083】
なお、実施の形態4に係る整流フィン40F及び受台50Fにおいて、貫通穴42Fa及び50Fbが形成されるが、これに限定されない。例えば、貫通穴42Fa又は50Fbの代わりに、ボルト60が螺合するネジ穴が形成されてもよい。又は、ボルト60がスタッドボルトであってもよい。スタッドボルトは、上記ネジ穴に捩じ込まれてもよく、貫通穴42Fa又は50Fbの位置に固定されてもよい。
【0084】
(変形例4)
実施の形態4の変形例4を説明する。変形例4に係る固定機構100Gは、整流フィン40Fの迎角の変更が可能である点で、実施の形態4と異なる。以下、変形例4について、実施の形態1~4及び変形例1~3と異なる点を中心に説明し、実施の形態1~4及び変形例1~3と同様の点の説明を適宜省略する。
【0085】
図19は、変形例4に係る固定機構100Gの構成の一例を示す
図17のXIX-XIX線に沿った断面図である。
図19に示すように、変形例4に係る固定機構100Gにおいて、整流フィン40Fの構成は実施の形態4と同様であり、受台50Gの構成は実施の形態4と異なる。受台50Gの収容凹部50Ga内には、貫通穴50Gb1~50Gb4と、貫通穴50Gc1~50Gc4と、貫通穴50Gd1~50Gd4とが形成されている。貫通穴50Gb1~50Gb4の構成及び配列は、実施の形態4の4つの貫通穴50Fbと同様である。
【0086】
貫通穴50Gc1~50Gc4はそれぞれ、貫通穴50Gb1~50Gb4に対して、その近傍で回転方向R1に沿って配列される。貫通穴50Gd1~Gd4はそれぞれ、貫通穴50Gb1~50Gb4に対して、その近傍で回転方向R2に沿って配列される。回転方向R1及びR2は、互いに反対方向であり、貫通穴50Gb1~50Gb4の中心を通り且つ収容凹部50Gaの底面に垂直である軸CA周りの回転方向である。整流フィン40Fは、軸CAを中心として回転方向R1及びR2に回転することで迎角を変更することができる。
【0087】
貫通穴50Gc1、50Gb1及び50Gd1は軸CAを中心とする同一の円周上に位置し、貫通穴50Gc2、50Gb2及び50Gd2は軸CAを中心とする同一の円周上に位置し、貫通穴50Gc3、50Gb3及び50Gd3は軸CAを中心とする同一の円周上に位置し、貫通穴50Gc4、50Gb4及び50Gd4は軸CAを中心とする同一の円周上に位置する。
【0088】
図19に示すように、整流フィン40Fの4つの貫通穴42Faが受台50Gの貫通穴50Gb1~50Gb4と位置合わせされる場合、整流フィン40Fは、実施の形態4と同様の向きで受台50Gに固定される。
【0089】
図20に示すように、受台50Gの貫通穴50Gc1~50Gc4は整流フィン40Fの4つの貫通穴42Faと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた整流フィン40Fは、
図19の整流フィン40Fに対して回転方向R1に回転した状態で受台50Gに固定される。なお、
図20は、
図19の整流フィン40Fの迎角の変更例を示す断面図である。
【0090】
受台50Gの貫通穴50Gd1~50Gd4は整流フィン40Fの4つの貫通穴42Faと位置合わせできるように配置される。位置合わせされた整流フィン40Fは、
図19の整流フィン40Fに対して回転方向R2に回転した状態で受台50Gに固定される。
【0091】
整流フィン40Fは、ボルト60が通る受台50Gの貫通穴に対応して、その迎角の変更を受けることができる。
【0092】
また、
図19及び
図20に示すように、軸CA方向で見る平面視での収容凹部50Gaの形状及びサイズは、フランジ42Fと類似せず、迎角の変更に伴うフランジ42Fの回転移動を許容する形状及びサイズである。例えば、平面視での収容凹部50Gaの形状及びサイズは、フランジ42Fとの隙間が小さくなるように、フランジ42Fの可動範囲に対応する形状及びサイズとされる。
【0093】
また、変形例4に係る固定機構100Gのその他の構成は実施の形態4と同様である。そして、変形例4に係る固定機構100Gによれば、実施の形態4と同様の効果が得られる。さらに、整流フィン40Fは、複数の迎角のうちの任意の迎角で受台50Gに固定されることが可能である。なお、変形例4に係る受台50G及び整流フィン40Fにおいても、実施の形態4と同様の変形が適用され得る。さらに、受台50Gの貫通穴及び整流フィン40Fの貫通穴の数量は、変形例4の数量に限定されず、いかなる数量であってもよい。
【0094】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態及び変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0095】
例えば、実施の形態及び変形例において、整流フィンと受台とは、ボルトにより互いに固定されるが、これに限定されない。例えば、整流フィンと受台とは、それぞれの貫通穴を通る部材によって固定されてよい。例えば、このような部材は、軸部を有し、かしめ等のネジ締結以外の接合方法で軸部を固定する部材であってもよい。
【0096】
また、実施の形態及び変形例において、整流フィンは、中空構造であるとしたが、これに限定されず、中実構造であってもよい。
【0097】
また、本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構は、舵と推進装置との間に配置される水中航走体用の整流フィンの固定機構であって、前記水中航走体の金属製の外板よりも外方へ突出して配置される、繊維強化プラスチック製の前記整流フィンと、前記外板に溶接により固定される金属製の受台と、前記整流フィンを前記受台に固定する少なくとも1つのボルトとを含み、最も外方にある前記受台の最外部は、前記外板よりも内方に配置される又は前記外板と面一であるように配置される。
【0098】
上記態様によると、受台の最外部が外板よりも突出しないように構成され得るため、整流フィンの周辺、つまり整流フィンの配置箇所における外板の表面の平滑化が可能になる。つまり、水中航走体に対して異種材の整流フィンを平滑に取り付けて流体性能を向上させることが可能になる。さらに、ボルトによる固定は、互いに異種材料で構成される整流フィン及び受台の固定を簡易にする。
【0099】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記整流フィンは、前記受台に対して前記内方に位置するフランジを含み、前記フランジは、前記ボルトが通ることができる第1貫通穴を含み、前記少なくとも1つのボルトは、前記第1貫通穴を通る状態で前記フランジを前記受台に固定してもよい。
【0100】
上記態様によると、水中航走体の内側からのアクセスにより、受台への整流フィンの配置が可能である。例えば、水中航走体の内側で、整流フィンと共にフランジを移動させ、フランジを受台に対して位置合わせすることが可能である。さらに、例えば、フランジが受台と係合することで、水中航走体の外側への整流フィンの逸脱が抑制される。また、受台に対するフランジの位置合わせ及びボルト固定は容易である。
【0101】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記フランジは、迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の前記第1貫通穴を含み、前記整流フィンは、前記ボルトが通る前記第1貫通穴に対応して迎角の変更を受けてもよい。
【0102】
上記態様によると、整流フィンの回転に対応して、ボルト固定に用いる整流フィンの第1貫通穴を変更することができる。よって、整流フィンの迎角の変更が可能になる。例えば、ボルトは、頭付きのボルトであってもよく、受台に固定されたスタッドボルトであってもよい。
【0103】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記受台は、前記ボルトと螺合することができ且つ迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の第1ネジ穴を含み、前記少なくとも1つのボルトは、前記第1ネジ穴に螺合する状態で前記フランジを前記受台に固定し、前記整流フィンは、前記ボルトが螺合する前記第1ネジ穴に対応して迎角の変更を受けてもよい。
【0104】
上記態様によると、整流フィンの回転に対応して、ボルト固定に用いる受台の第1ネジ穴を変更することができる。よって、整流フィンの迎角の変更が可能になる。例えば、ボルトは、頭付きのボルトとすることができる。
【0105】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記整流フィンは、前記回転方向に沿って延在する円筒状の外周面を有する基部を含み、前記受台は、前記外周面に沿って延在し且つ前記外周面を前記回転方向に回転可能に支持する内周面を有するガイド部を含んでもよい。
【0106】
上記態様によると、ガイド部は整流フィンの安定した回転を可能にする。よって、迎角を変更するための整流フィンの回転位置の位置合わせが容易になる。
【0107】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記受台は、前記ボルトが通ることができ且つ前記整流フィンに対して前記内方に位置する第2貫通穴を含み、前記少なくとも1つのボルトは、前記第2貫通穴を通る状態で前記整流フィンを前記受台に固定してもよい。
【0108】
上記態様によると、水中航走体の外側からのアクセスにより、受台への整流フィンの配置が可能である。例えば、水中航走体の外側で、整流フィンを移動させ、整流フィンを受台の第2貫通穴に対して位置合わせすることが可能である。例えば、水中航走体の内側の空間が狭い場合でも、受台への整流フィンの配置が容易になる。例えば、ボルトは、頭付きのボルトであってもよく、スタッドボルトであってもよい。
【0109】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記整流フィンは、前記ボルトが通ることができ且つ前記受台に対して前記外方に位置する第3貫通穴を含み、前記少なくとも1つのボルトは、前記第3貫通穴を通る状態で前記整流フィンを前記受台に固定してもよい。
【0110】
上記態様によると、水中航走体の外側からのアクセスにより、受台への整流フィンの配置が可能である。例えば、水中航走体の外側で、整流フィンの第3貫通穴を受台に対して位置合わせすることが可能である。例えば、ボルトは、頭付きのボルトであってもよく、スタッドボルトであってもよい。
【0111】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記整流フィンは、前記ボルトと螺合することができ且つ前記受台に対して前記外方に位置する第2ネジ穴を含み、前記少なくとも1つのボルトは、前記第2ネジ穴に螺合する状態で前記整流フィンを前記受台に固定してもよい。
【0112】
上記態様によると、水中航走体の外側からのアクセスにより、受台への整流フィンの配置が可能である。固定が、整流フィンの第2ネジ穴へのボルトの捩じ込みにより実現されるため、部品点数の低減が可能である。例えば、ボルトは、頭付きのボルトとすることができる。
【0113】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記整流フィンは、前記第3貫通穴から前記外方へ突出する前記ボルトを収容する第1凹部を含んでもよい。
【0114】
上記態様によると、ボルトが整流フィンの表面から突出することが抑えられる。さらに、ボルト固定の完了後、第1凹部が埋められることによって、整流フィンの表面の平滑化が可能になる。
【0115】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記受台は、迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の前記第2貫通穴を含み、前記整流フィンは、前記ボルトが通る前記第2貫通穴に対応して迎角の変更を受けてもよい。
【0116】
上記態様によると、整流フィンの回転に対応して、ボルト固定に用いる受台の第2貫通穴を変更することができる。よって、整流フィンの迎角の変更が可能になる。
【0117】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記整流フィンは、迎角を変更するための前記整流フィンの回転方向に沿って配列される複数の前記第3貫通穴を含み、前記整流フィンは、前記ボルトが通る前記第3貫通穴に対応して迎角の変更を受けてもよい。
【0118】
上記態様によると、整流フィンの回転に対応して、ボルト固定に用いる整流フィンの第3貫通穴を変更することができる。よって、整流フィンの迎角の変更が可能になる。
能になる。
【0119】
本開示の一態様に係る水中航走体用の整流フィンの固定機構において、前記受台は、前記外方に向かって開放された第2凹部を含み、前記整流フィンは、前記第2凹部内に収まるフランジと前記フランジから前記外方に延びるフィン状部とを含み、前記少なくとも1つのボルトは、前記フランジを前記受台に固定してもよい。
【0120】
上記態様によると、フランジを固定するボルトが受台から突出することが抑えられる。これにより、例えば、受台の最外部が外板の表面と面一である場合でも、整流フィンの配置箇所の表面の平滑化が可能になる。
【0121】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0122】
1 水中航走体
10 本体
12 外板
20 推進装置
30 舵
40,40A~40D,40F 整流フィン
40Ba 貫通穴(第3貫通穴)
40Bc 凹部(第1凹部)
41,41A,41D,41F フィン本体(フィン状部)
42,42A,42F フランジ
42Fa 貫通穴(第3貫通穴)
42a,42Aa 貫通穴(第1貫通穴)
43,43A 基部
43D 雌ネジ部材
50,50A~50G 受台
50Ba,50Ca1~50Ca4,50Cb1,50Cb2,50Cc1,50Cc2 貫通穴(第2貫通穴)
50Da,50Ea1~50Ea3,50Eb1,50Eb2,50Ec1,50Ec2 貫通穴(第2貫通穴)
50Fa,50Ga 収容凹部(第2凹部)
50Fb,50Gb1~50Gb4,50Gc1~50Gc4,50Gd1~50Gd4 貫通穴(第2貫通穴)
51,51A 最外部
52,52A 脚部(ガイド部)
52Ab,52Ac,52Ad ネジ穴(第1ネジ穴)
60 ボルト
100,100A~100G 固定機構