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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】架線とパンタグラフの相対位置監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/26 20060101AFI20240322BHJP
   B60M 1/28 20060101ALI20240322BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240322BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60L5/26 Z
B60M1/28 R
B60L3/00 N
G01B11/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020068961
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021166437
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】三浦 慶明
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-094952(JP,A)
【文献】特開2012-239268(JP,A)
【文献】特開2009-113691(JP,A)
【文献】特開昭58-224501(JP,A)
【文献】実開昭61-023781(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 5/26
B60M 1/28
B60L 3/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行して配列された複数の架線に個別に接触する複数のパンタグラフを有する車両に設置され、複数の前記架線と接触している複数の前記パンタグラフを撮影する撮像部と、
前記撮像部で得られた画像を基に各前記パンタグラフと対応する前記架線との相対位置を検出する相対位置検出部と、
を備え
前記相対位置検出部は、前記画像から架線像およびパンタグラフ像を検出し、検出した前記架線像および前記パンタグラフ像を用いて前記相対位置を検出し、
前記相対位置検出部は、前記パンタグラフ像と前記架線像について、前記車両の車幅方向における相対位置ずれ量を検出し、前記相対位置ずれ量が所定値以上である場合に、異常を示すエラー信号を生成し、
前記相対位置検出部は、前記架線像を用いて、前記車両の車長方向に対する前記架線像の傾き角を検出し、前記傾き角が所定角以上である場合に、異常を示すエラー信号を生成する、架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【請求項2】
前記画像を動画として記憶する記憶部と、
前記記憶部を制御する制御部と、
操作部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部からの指令に基づいて前記記憶部に前記動画を記憶させる動作と、前記相対位置検出部から前記架線と前記パンタグラフの相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときに前記記憶部に前記動画を記憶させる動作と、の少なくとも一方を行わせる、請求項1に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【請求項3】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部からの指令に基づいて記憶された前記動画を前記表示部で再生する指令と、前記エラー信号が発せられたときに記憶された前記動画を前記表示部で再生する指令と、を生成する、請求項に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【請求項4】
並行して配列された複数の架線に個別に接触する複数のパンタグラフを有する車両に設置され、複数の前記架線と接触している複数の前記パンタグラフを撮影する撮像部と、
前記撮像部で得られた画像を基に各前記パンタグラフと対応する前記架線との相対位置を検出する相対位置検出部と、
前記画像を動画として記憶する記憶部と、
前記記憶部を制御する制御部と、
操作部と、
を備え、
前記制御部は、前記操作部からの指令に基づいて前記記憶部に前記動画を記憶させる動作と、前記相対位置検出部から前記架線と前記パンタグラフの相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときに前記記憶部に前記動画を記憶させる動作と、の少なくとも一方を行わせ、
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部からの指令に基づいて記憶された前記動画を前記表示部で再生する指令と、前記エラー信号が発せられたときに記憶された前記動画を前記表示部で再生する指令と、を生成する、架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架線とパンタグラフの相対位置監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レール上を走行する車両に設置され架線を計測する装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-042837号公報
【文献】特開2003-341389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工場等で用いられる車両には、複数のパンタグラフを有し、これら複数のパンタグラフのそれぞれが複数の架線のうちの1つに接触することで、受電するものがある。このような車両では、一つ一つのパンタグラフは幅が狭い。このため、パンタグラフの位置と架線の位置とのずれ量が小さい場合でも、パンタグラフが架線から離れてしまい、車両への受電に支障が生じることがある。よって、複数のパンタグラフのそれぞれに対して対応する架線との接触状態をモニタリングし、何れのパンタグラフも架線から外れることを防止できるように監視することが重要である。しかしながら、特許文献1,2には、何れも、複数のパンタグラフがそれぞれ異なる架線と接触する車両についての言及は何らされていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みることにより、複数のパンタグラフがそれぞれ異なる架線と接触する車両においてパンタグラフと架線との相対位置を検出できる、架線とパンタグラフの相対位置監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の架線とパンタグラフの相対位置監視装置を要旨とする。
【0007】
(1)並行して配列された複数の架線に個別に接触する複数のパンタグラフを有する車両に設置され、複数の前記架線と接触している複数の前記パンタグラフを撮影する撮像部と、
前記撮像部で得られた画像を基に各前記パンタグラフと対応する前記架線との相対位置を検出する相対位置検出部と、
を備えている、架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0008】
(2)前記撮像部は、1つのカメラを用いて形成されている、前記1に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0009】
(3)前記撮像部は、複数の前記パンタグラフのうち前記車両の車幅方向における中央寄りの前記パンタグラフと前記車両の車長方向に並んで配置されている、前記1または前記2に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0010】
(4)前記相対位置検出部は、前記画像から架線像およびパンタグラフ像を検出し、検出した前記架線像および前記パンタグラフ像を用いて前記相対位置を検出する、前記1~前記3の何れか1項に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0011】
(5)前記相対位置検出部は、前記パンタグラフ像と前記架線像について、前記車両の車幅方向における相対位置ずれ量を検出する、前記4に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0012】
(6)前記相対位置検出部は、前記相対位置ずれ量が所定値以上である場合に、異常を示すエラー信号を生成する、前記5に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0013】
(7)前記相対位置検出部は、前記架線像を用いて、前記車両の車長方向に対する前記架線像の傾き角を検出する、前記4~前記6の何れか1項に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0014】
(8)前記相対位置検出部は、前記傾き角が所定角以上である場合に、異常を示すエラー信号を生成する、前記7に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0015】
(9)前記監視装置は、表示部をさらに備え、
前記表示部は、前記相対位置検出部から前記架線と前記パンタグラフの相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときにエラー表示を行う、前記1~前記8の何れか1項に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0016】
(10)前記監視装置は、
前記画像を動画として記憶する記憶部と、
前記記憶部を制御する制御部と、
操作部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部からの指令に基づいて前記記憶部に前記動画を記憶させる動作と、前記相対位置検出部から前記架線と前記パンタグラフの相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときに前記記憶部に前記動画を記憶させる動作と、の少なくとも一方を行わせる、前記1~前記9の何れか1項に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【0017】
(11)前記監視装置は、
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部からの指令に基づいて記憶された前記動画を前記表示部で再生する指令と、前記エラー信号が発せられたときに記憶された前記動画を前記表示部で再生する指令と、を生成する、前記10に記載の架線とパンタグラフの相対位置監視装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、複数のパンタグラフがそれぞれ異なる架線と接触する車両においてパンタグラフと架線との相対位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る架線とパンタグラフの相対位置監視装置と、この監視装置による監視対象となる車両の主要部を示す模式的な側面図である。
図2図2は、車両と架線との接触状態を説明するための斜視図である。
図3図3は、車両のパンタグラフと架線との接触状態の一例を示す主要部の模式的な斜視図であり、架線の下側から見た状態を示している。
図4図4は、監視装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図5図5は、カメラで取得された画像データを処理装置で画像処理した後の判定用画像の一例を示す図である。
図6図6は、カメラで取得された画像データを処理装置で画像処理した後の判定用画像の一例を示す図である。
図7図7は、表示装置の表示画面の一例を示す図であり、エラー表示されていない状態を示している。
図8図8は、表示装置の表示画面の一例を示す図であり、エラー表示されている状態を示している。
図9図9は、監視装置における処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る架線とパンタグラフの相対位置監視装置1と、この監視装置1による監視対象となる車両100の主要部を示す模式的な側面図である。図2は、車両100と架線L1,L2,L3との接触状態を説明するための斜視図である。図3は、車両100のパンタグラフ101,102,103と架線L1,L2,L3との接触状態の一例を示す主要部の模式的な斜視図であり、架線L1,L2,L3の下側から見た状態を示している。
【0022】
図1図3を参照して、架線とパンタグラフの相対位置監視装置1(以下、単に監視装置1ともいう。)は、架線L1,L2,L3とパンタグラフ101,102,103との相対位置を監視するために用いられる。架線L1,L2,L3は、複数本(本実施形態では、3本)設けられており、図示しない支柱に支持されて略水平に配置されている。架線L1,L2,L3は、略同じ高さに配置されており、互いに略平行に延びている。架線L1,L2,L3は、細長い導線であり、撓み、水平方向の傾き、および、垂直方向の傾きが生じやすい傾向にある。架線L1,L2,L3は、例えば、車両100の原動機としてのモータ(図示せず)を駆動する電力を車両100に供給するために架けられている。架線L1,L2,L3の下方を車両100が走行する。
【0023】
車両100は、例えば鉄道車両であり、工場等に敷設された線路上を走行する。本実施形態では、車両100の屋根104に架台105が設置されている。架台105に、複数(本実施形態では、3つ)のパンタグラフ101,102,103が設置されている。パンタグラフ101,102,103は、本実施形態では、架線L1,L2,L3の延びる方向に対して傾斜するように配置されている。パンタグラフ102は、中央の架線L2の下方に配置されている。パンタグラフ101,103は、左右両側の架線L1,L3の下方に配置されている。
【0024】
パンタグラフ101には、ステー101aに支持されたローラ101bが設けられている。パンタグラフ101のうちローラ101bが架線L1に接触して架線L1から電力を受ける。同様に、パンタグラフ102,103には、それぞれ、対応するステー102a,103aに支持されたローラ102b,103bが設けられている。パンタグラフ102,103のうちローラ102b、103bが対応する架線L2,L3に接触して架線L2,L3から電力を受ける。
【0025】
監視装置1は、架線L1とパンタグラフ101のローラ101bとの相対位置、架線L2とパンタグラフ102のローラ102bとの相対位置、および、架線L3とパンタグラフ103のローラ103bとの相対位置を監視する。本実施形態では、監視装置1は、車両100に設置されている。
【0026】
監視装置1は、カメラ(撮像部)2と、カメラ2に接続された処理装置3と、処理装置3に接続された入力装置(操作部)4および表示装置(表示部)5と、を有している。
【0027】
なお、本実施形態では、処理装置3、入力装置4および表示装置5が車両100に設置される形態を例に説明するけれども、この通りでなくてもよい。例えば、処理装置3、入力装置4および表示装置5の少なくとも一つが車両100の外側に設けられた制御室(図示せず)等に設置され、カメラ2と有線通信または無線通信可能に構成されてもよい。
【0028】
カメラ2は、上述したように、並行して配列された複数の架線L1,L2,L3に個別に接触する複数のパンタグラフ101,102,103を有する車両100に設置されている。カメラ2は、複数の架線L1,L2,L3と接触している複数のパンタグラフ101,102,103を撮影する撮像部である。本実施形態では、カメラ4として、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(相補型)カメラ等を例示できる。このように、カメラ2は、カラー画像を撮影可能なカメラである。なお、カメラ2は、白黒画像を撮影可能なカメラであってもよい。
【0029】
本実施形態では、カメラ2は、1つ設けられており、1つのカメラ2(1つのレンズを有するカメラ)が複数の架線L1,L2,L3および対応する架線L1,L2,L3と接触しているパンタグラフ101,102,103を撮影する。本実施形態では、カメラ2は、複数のパンタグラフ101,102,103のうち車両100の車幅方向Xにおける中央寄りのパンタグラフ102と車両100の車長方向Zに並んで配置されている。カメラ2の画像データは、処理装置3へ出力される。
【0030】
処理装置3は、本実施形態では、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むコンピュータである。なお、処理装置3は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む構成であってもよいし、PLC(Programmable Logic Controller)を用いて形成されていてもよいし、シーケンス回路等を用いて形成されていてもよい。処理装置3は、ROMまたはハードディスク(HDD)等の記憶装置に格納されたプログラムをCPUが実行することで、プログラム的に各種機能を発揮する。
【0031】
図4は、監視装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図1図4を参照して、処理装置3は、カメラ2と、キーボードおよびマウスを含む入力装置4と、液晶ディスプレイ等の表示装置5と、に電気的に接続されている。また、処理装置3は、前述したように、CPUがプログラムを実行することで、制御部11、相対位置検出部12、および、記憶部13としての機能を発揮する。
【0032】
制御部11は、処理装置3における制御を司る。記憶部13は、カメラ2で撮影された画像を特定する画像データを静止画および動画として例えば監視装置1の動作中常時記憶している。なお、記憶部13は、指定された間のみ上記画像データを記憶してもよい。
【0033】
相対位置検出部12は、カメラ2で得られた画像を基に各パンタグラフ101,102,103と対応する架線L1,L2,L3との相対位置を検出する。より具体的には、本実施形態では、相対位置検出部12は、例えば、カメラ2で取得された画像データについて、(1)前準備処理を行うことで、判定用画像G1を生成する。また、(2)カメラ2で取得された画像データおよび判定用画像G1等を用いて架線検出処理およびパンタグラフ検出処理を行う。また、(3)架線勾配算出処理および架線ずれ量算出処理を行い、さらに、(4)判定処理を行う。その後、相対位置検出部12は、(5)表示処理を行う。これらの処理のより具体的な構成は、後述する。
【0034】
図5および図6は、カメラ2で取得された画像データを処理装置3で画像処理した後の判定用画像G1の一例を示す図である。図5は、架線L1がローラ101bに対して平行にずれた状態を示し、図6は、架線L1がローラ101bに対して傾くように延びている状態を示している。図1図6を参照して、本実施形態では、相対位置検出部12は、カメラ2で得られた、各パンタグラフ101,102,103と各架線L1,L2,L3の画像を特定する画像データをカメラ2から読み込む。そして、相対位置検出部12は、この画像データを基に上述した前準備を行うことで、上記判定用画像G1を生成する。
【0035】
本実施形態では、相対位置検出部12は、上記判定用画像G1等、カメラ2から与えられた画像から架線L1,L2,L3の像としての架線像L1G,L2G,L3Gおよびパンタグラフ101,102,103の像の一部であるローラ像101bG,102bG,103bGを検出する。そして、相対位置検出部12は、検出したこれら架線像L1G,L2G,L3Gおよびパンタグラフ像のローラ像101bG,102bG,103bGを用いて、各パンタグラフ101,102,103と対応する架線L1,L2,L3との相対位置を検出する。
【0036】
より具体的には、相対位置検出部12は、パンタグラフ像のローラ像101bGと架線像L1Gとを用いて、架線L1の直線形状(輪郭形状)を検出するとともに、この架線像L1Gの例えば中心線C10Gの座標を算出する。相対位置検出部12は、この中心線C10Gの位置を架線L1の中心位置として規定する。また、相対位置検出部12は、カメラ2の画像データを基にローラ像101bGの形状(輪郭形状)を検出するとともに、このローラ像101bGのうち架線像L1Gとの交差位置A12G(ローラ101bと架線L1との接触位置)の座標、および、車幅方向Xにおけるローラ像中心点A11Gの座標を算出する。
【0037】
相対位置検出部12は、上述した架線像L1Gの直線形状の検出、中心線C10Gの算出、パンタグラフ像のローラ像101bGの形状の検出、ローラ像101bGのうち架線像L1Gとの交差位置A12Gにおける座標の算出、および、車幅方向Xにおけるローラ像中心点A11Gの座標の算出と同様の手順を、架線像L2G、ローラ像102bG、架線像L3G、および、ローラ像103bGに対しても行う。これにより、相対位置検出部12は、架線像L2G,L3Gの直線形状の検出、中心線C20G,C30Gの算出、パンタグラフ像のローラ像102bG,103bGの形状の検出、ローラ像102bG,103bGのうち架線像L2G,L3Gとの交差位置A22G,A32Gにおける座標の算出、および、車幅方向Xにおけるローラ像中心点A21G,A31Gの座標算出を行う。
【0038】
相対位置検出部12は、上述の算出の後、パンタグラフ像のローラ像101bG,102bG,103bG毎に、対応する架線像L1G,L2G,L3Gとの相対位置が所定の許容範囲内であるか否かを検出する。
【0039】
相対位置検出部12は、例えば、パンタグラフ101に関して、パンタグラフ像のローラ像101bGの中心であるローラ像中心点A11Gと、架線像L1Gの中心線C10Gとの間における、車幅方向Xのずれ量Δ1を判定する。このずれ量Δ1がゼロまたはゼロ以上所定の第1しきい値未満であれば、相対位置検出部12は、架線L1の車幅方向ずれ量が許容範囲内であると判定する。また、このずれ量Δ1が所定の第1しきい値以上で且つ所定の第2しきい値未満であれば、相対位置検出部12は、架線L1の車幅方向ずれ量は許容範囲内であるけれども許容範囲から外れるおそれがあると判定する。また、このずれ量Δが所定の第2のしきい値以上であれば、相対位置検出部12は、架線L1の車幅方向ずれ量は許容範囲から外れていると判定する。相対位置検出部12は、ずれ量Δ1が許容範囲外である場合に、異常を示すエラー信号を生成する。
【0040】
また、相対位置検出部12は、パンタグラフ101に関して、架線像L1Gを用いて、車長方向Zに対する架線像L1Gの傾き角θ1を検出する。相対位置検出部12は、この傾き角θ1を判定する。この傾き角θ1がゼロまたはゼロ以上所定の第1しきい角未満であれば、相対位置検出部12は、架線L1の傾きが許容範囲内であると判定する。また、傾き角θ1が所定の第1しきい角以上で且つ所定の第2しきい角未満であれば、相対位置検出部12は、架線L1は許容範囲内に存在しているけれども許容範囲から外れるおそれがあると判定する。また、傾き角θ1が所定の第2のしきい角以上であれば、相対位置検出部12は、架線L1は許容エリアから外れるおそれが強いと判定する。相対位置検出部12は、パンタグラフ101に対する架線L1の傾き角θ1が許容範囲外である場合に、異常を示すエラー信号を生成する。
【0041】
相対位置検出部12は、架線L1と同じ手順で、架線L2,L3についても判定を行う。すなわち、相対位置検出部12は、架線像L2G,L3Gと対応するパンタグラフ像のローラ像102bG,103bGとの車幅方向Xにおけるずれ量Δ2,Δ3と、車長方向Zに対する架線像L2G,L3Gの傾き角θ2,θ3について判定する。
【0042】
相対位置検出部12は、架線L1,L2,L3についての上述した判定結果を特定するデータを、表示装置5へ出力する。
【0043】
表示装置5は、相対位置検出部12の検出結果等を表示する。表示装置5は、例えば、液晶モニターであり、処理装置3が入力装置4からの操作を受けて表示装置5の表示内容を変更可能である。表示装置5は、処理装置3から出力されたデータに基づいて表示を行う。図7および図8は、表示装置5の表示画面の一例を示す図であり、図7は、エラー表示されていない状態を示しており、図8は、エラー表示されている状態を示している。
【0044】
図1図8を参照して、表示装置5の表示画面には、カレンダー表示部21と、カメラ画像表示部22と、動作ボタン23と、説明文表示部24と、ずれ量インジケータ25と、ずれ量表示部26と、傾き角表示部27と、エラー情報表示部28と、記録設定部29と、拡大表示指示部30と、が設けられている。なお、表示装置5の表示画面に示されている内容についての操作は、作業員が入力装置4を操作することで行われる。
【0045】
カレンダー表示部21は、現在時点での時刻を表示している。カメラ画像表示部22は、カメラ2が撮影した画像を表示する。動作ボタン23は、監視装置1による監視動作をスタートさせるためのスタートボタンと、監視装置1による監視動作を終了させるためのストップボタンと、入力装置4の操作によって設定された内容を初期状態に戻すためのリセットボタンと、を含んでいる。
【0046】
説明文表示部24は、監視装置1による監視状態に関する主な説明を表示するための部分であり、図7では、一例として、監視装置1の監視動作が開始される旨を表示している。図8では、一例として、右側の架線L3がパンタグラフ103から外れてしまった旨を表示している。
【0047】
ずれ量インジケータ25は、上述したずれ量Δ1,Δ2,Δ3をそれぞれ視覚的に表示するために設けられている。ずれ量インジケータ25は、架線L1についてのずれ量Δ1を表示するためのインジケータ25aと、架線L2についてのずれ量Δ2を表示するためのインジケータ25bと、架線L3についてのずれ量Δ2を表示するためのインジケータ25cと、を有している。インジケータ25aは、ずれ量Δ1に応じた位置に配置されている。インジケータ25bは、ずれ量Δ2に応じた位置に配置されている。インジケータ25cは、ずれ量Δ3に応じた位置に配置されている。図7では、一例として、ずれ量Δ1,Δ2,Δ3が何れもゼロである状態を示している。図8では、一例として、ずれ量Δ1が第1しきい値未満であり、ずれ量Δ2が第1しきい値以上第2しきい値未満であり、ずれ量Δ3が第2しきい値以上である状態を示している。
【0048】
ずれ量表示部26は、架線L1についてのずれ量Δ1と、架線像L2Gについてのずれ量Δ2と、架線L3についてのずれ量Δ3と、をそれぞれ数値で示している。
【0049】
ずれ量表示部26は、相対位置検出部12の検出結果に応じた表示を行う。
【0050】
ずれ量表示部26は、例えば、ずれ量Δ(Δ1,Δ2,Δ3)がゼロまたは第1しきい値未満の場合に緑色を表示し、ずれ量Δが第1しきい値以上第2しきい値未満の場合に黄色を表示し、ずれ量Δが第2しきい値以上の場合に赤色を表示する。前述したように、ずれ量Δが第2しきい値以上の場合には、相対位置検出部12は、異常を示すエラー信号を生成する。ずれ量表示部26は、このエラー信号を受信したときにエラー表示として、上述した例えば赤色の表示を行う。すなわち、表示装置5は、相対位置検出部12から架線とパンタグラフの相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときにエラー表示を行う。
【0051】
図7では、一例として、ずれ量Δ1,Δ2,Δ3が何れもゼロであり、ずれ量表示部26のうちずれ量Δ1,Δ2,Δ3を表示している箇所が何れも緑色である状態を、ハッチング無しで示している。一方、図8では、右架線L3のずれ量Δ3が第2しきい値以上であってずれ量表示部26において右架線L3のずれ量Δ3が赤色表示されている状態を、クロスハッチングで示している。また、中架線L2のずれ量Δ2が第1しきい値以上且つ第2しきい値未満であってずれ量表示部26において中架線L2のずれ量Δ2が黄色表示されている状態を、ハッチングで示している。
【0052】
傾き角表示部27は、架線L1についての傾き角θ1と、架線2についての傾き角θ2と、架線L3についての傾き角θ3と、をそれぞれ数値で示している。
【0053】
傾き角表示部27は、相対位置検出部12の検出結果に応じた表示を行う。
【0054】
傾き角表示部27は、例えば、傾き角θ(θ1,θ2,θ3)がゼロまたは第1しきい角未満の場合に緑色を表示し、傾き角θが第1しきい角以上第2しきい角未満の場合に黄色を表示し、傾き角θが第2しきい角以上の場合に赤色を表示する。前述したように、傾き角θが第2しきい角以上の場合には、相対位置検出部12は、異常を示すエラー信号を生成する。傾き角表示部27は、このエラー信号を受信したときにエラー表示として、上述した例えば赤色の表示を行う。すなわち、表示装置5は、相対位置検出部12から架線とパンタグラフの相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときにエラー表示を行う。
【0055】
図7では、一例として、傾き角θ1,θ2,θ3が何れもゼロであり傾き角表示部27のうち傾き角θ1,θ2,θ3を表示している箇所が何れも緑色である状態を、ハッチング無しで示している。一方、図8では、傾き角表示部27において右架線L3の傾き角θ3が第2しきい角以上であって右架線L3の傾き角θ3が赤色表示されている状態を、クロスハッチングで示している。また、傾き角表示部27において中架線L2の傾き角θ2が第1しきい角以上且つ第2しきい角未満であって中架線L2の傾き角θ2が黄色表示されている状態を、ハッチングで示している。
【0056】
エラー情報表示部28は、相対位置検出部12からエラー信号が発せられたときの信号発生開始時刻と、この時刻からのカメラ2を用いた動画記録時間と、を表示している。すなわち、記憶部13は、エラー信号が発せられたときに、カメラ2からの動画を記録する。本実施形態では、エラー情報表示部28には、エラー発生時の動画(エラー動画)の視聴を開始するためのエラー動画再生ボタンも表示されている。このように、制御部11は、相対位置検出部12から架線L1,L2,L3と対応するパンタグラフ101,102,103の相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときに、記憶部13に動画を記憶させる動作を行わせる。制御部11は、入力装置4からの指令に基づいて上記エラー動画再生ボタンが操作されたときに、記憶部13に記憶された上記エラー動画を表示装置5のカメラ画像表示部22で再生する。
【0057】
記録設定部29は、カメラ2を用いた動画記録開始を指示するための記録スタートボタンと、この動画記録のストップを指示するための記録ストップボタンと、この記録動画の記録時間を表示する部分と、記録動画の視聴を開始するための記録動画再生ボタンと、を有している。制御部11は、入力装置4からの指令に基づいて上記記録スタートボタンが操作されたときに、記憶部13にカメラ2からの動画を記憶させる。また、制御部11は、入力装置4からの指令に基づいて上記記録動画再生ボタンが操作されたときに、記憶部13に記憶された上記動画を表示装置5のカメラ画像表示部22に再生する。
【0058】
なお、制御部11は、上述した、記録設定部29が操作されたことにより記憶部13に動画を記憶させる動作と、エラー信号を受信したときに記憶部13に動画を記憶させる動作と、の双方を行ってもよいし、一方のみを行わせてもよい。
【0059】
拡大表示指示部30は、架線L1,L2,L3(左架線L1,中架線L2,右架線L3)の何れか1つを拡大してカメラ画像表示部22に表示させるための指示ボタンを有している。
【0060】
図9は、監視装置1における処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。図9を参照して説明するときは、図9以外の図も適宜参照しながら説明する。
【0061】
図9を参照して、監視装置1における監視動作では、まず、カメラ2がパンタグラフ101,102,103およびパンタグラフ101,102,103と接触している箇所の周囲の架線L1,L2,L3を撮影する(ステップS1)。これにより、カメラ2の画像データ(動画データ)が生成される。
【0062】
次に、画像データをカメラ2から受信した処理装置3の相対位置検出部12は、前準備処理を行う(ステップS2)。前準備処理では、相対位置検出部12は、前準備処理では、カラーの画像データを、グレースケールの画像データに変換し、さらに、ノイズを除去する。そして、ノイズが除去されたグレースケールの画像データからエッジ(輪郭)を検出する。これにより、前処理後画像が生成される。
【0063】
次いで、相対位置検出部12は、パンタグラフ検出処理(ステップS3)と、架線検出処理(ステップS4)と、を行う。なお、ステップS3,S4は並行して行われてもよいし、一方が行われた後に他方が行われてもよい。
【0064】
パンタグラフ検出処理(ステップS3)では、相対位置検出部12は、例えば、パターンマッチング、面積等の特徴量抽出・照合等の手法によって、前処理後画像からパンタグラフ像の一部であるローラ像101bG,102bG,103bGの輪郭を検出する(ステップS3-1)。次に、相対位置検出部12は、この輪郭をメモリ上で描く(ステップS3-2)。相対位置検出部12は、描いた輪郭から、パンタグラフのローラ像101bG,102bG,103bGのそれぞれの中心点としてのローラ像中心点A11G,A21G,A31Gを検出する(ステップS3-3)。
【0065】
架線検出処理(ステップS4)では、相対位置検出部12は、例えば、パターンマッチング、面積等の特徴量抽出・照合等の手法によって、前処理後画像から架線像L1G,L2G,L3Gの線形状を検出する(ステップS4-1)。次に、相対位置検出部12は、この線形状をメモリ上で描く(ステップS4-2)。相対位置検出部12は、描いた線形状から、架線像L1G,L2G,L3Gのそれぞれの中心線C10G,C20G,C30Gの算出と、車長方向Zに対する架線像L1G,L2G,L3Gのそれぞれの傾き角θ1,θ2,θ3の算出と、を行う(ステップS4-3)。
【0066】
上記のステップにより、パンタグラフのローラ像101bG,102bG,103bGおよび架線像L1G,L2G,L3Gを含む判定用画像G1の画像データが生成される。
【0067】
次に、相対位置検出部12は、判定用画像G1から、ローラ像101bG,102bG,103bGと、対応する架線像L1G,L2G,L3Gとの交差位置A12G,A22G,A32Gを算出する(ステップS5)。交差位置A12G,A22G,A32Gは、例えば、ローラ像101bG,102bG,103bGの中心点(図心)を通り車幅方向Xに延びる直線C11G,C21G,C31Gと、対応する架線像L1G,L2G,L3Gの中心線C10G,C20G,C30Gとの交点である。
【0068】
次に、相対位置検出部12は、ずれ量Δ1,Δ2,Δ3を算出する(ステップS6)。具体的には、相対位置検出部12は、車幅方向Xにおける、ローラ像中心点A11G,A21G,A31Gと対応する交差位置A12G,A22G,A32Gとの距離を算出する。
【0069】
次に、相対位置検出部12は、ずれ量Δ1,Δ2,Δ3および傾き角θ1,θ2,θ3のそれぞれについて、判定を行う(ステップS7)。具体的には、前述したように、相対位置検出部12は、ずれ量Δ1,Δ2,Δ3が、ゼロまたは第1しきい値未満のときには緑色の表示を行うように判定し、第1しきい値以上第2しきい値未満のときには黄色の表示を行うように判定し、第2しきい値以上のときには赤色の表示を行うように、すなわち、エラー表示を行うように判定する。また、前述したように、相対位置検出部12は、傾き角θ1,θ2,θ3が、ゼロまたは第1しきい角未満のときには緑色の表示を行うように判定し、第1しきい角以上第2しきい角未満のときには黄色の表示を行うように判定し、第2しきい角以上のときには赤色の表示を行うように、すなわち、エラー表示を行うように判定する。
【0070】
次に、相対位置検出部12は、判定に応じた表示を行うように表示装置5へデータを出力し、表示装置5に判定に応じた表示を行わせる(ステップS8)。これにより、上述したように、表示装置5に、判定内容に応じた表示が行われる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によると、監視装置1は、複数のパンタグラフ101,102,103がそれぞれ異なる架線L1,L2,L3と接触する車両100において、各パンタグラフ101,102,103と対応する架線L1,L2,L3との相対位置を検出できる。幅の狭いパンタグラフ101,102,103を有する車両100においては、特に、架線L1,L2,L3からのパンタグラフ101,102,103の外れが生じやすい。よって、このような監視装置1を用いることにより、架線L1,L2,L3からパンタグラフ101,102,103が外れるおそれを早期に発見できる。その結果、車両100の操業停止による不利益をゼロまたは最小限にできる。
【0072】
また、本実施形態によると、1つのカメラ2で複数の架線L1,L2,L3および複数のパンタグラフ101,102,103を撮影できる。この構成によると、カメラ2を複数用いる必要がなく、コスト安価に監視装置1を製造できる。
【0073】
また、本実施形態によると、カメラ2は、車両100の車幅方向Xにおける中央寄りのパンタグラフ102と車両100の車長方向Zに並んで配置されている。この構成によると、カメラ2による架線L1,L3の検出精度をより高くできる。
【0074】
また、本実施形態によると、相対位置検出部12は、カメラ2で得られた画像から架線像L1G,L2G,L3Gおよびパンタグラフのローラ像101bG,102bG,103bGを検出し、検出した架線像L1G,L2G,L3Gおよびパンタグラフ像のローラ像101bG,102bG,103bGを用いて、架線L1,L2,L3とパンタグラフ101,102,103との相対位置を検出する。このように、画像処理を行うことで、架線L1,L2,L3とパンタグラフ101,102,103との相対位置を確実に検出できる。
【0075】
特に、本実施形態では、相対位置検出部12は、パンタグラフ像のローラ像101bG,102bG,103bGと架線像L1G,L2G,L3Gについて、車幅方向Xにおける相対位置ずれ量Δ1,Δ2,Δ3を検出する。このようなシンプルな検出方法により、処理装置3の演算負荷が小さくて済む。
【0076】
また、本実施形態によると、相対位置検出部12は、架線像L1G,L2G,L3Gを用いて、車長方向Zに対する架線像L1G,L2G,L3Gの傾き角θ1,θ2,θ3を検出する。この構成によると、車幅方向Xにおける架線L1,L2,L3のずれ量Δ1,Δ2,Δ3のみならず、パンタグラフ101,102,103に対する架線L1,L2,L3の傾き角θ1,θ2,θ3も考慮して警告を行うことができる。よって、パンタグラフ101,102,103から架線L1,L2,L3が外れることをより確実に抑制できる。
【0077】
また、本実施形態によると、相対位置検出部12は、上記の相対位置ずれ量Δ1,Δ2,Δ3が第2しきい値以上である場合と、傾き角θ1,θ2,θ3が第2しきい角以上である場合に、異常を示すエラー信号を生成する。この構成によると、架線L1,L2,L3の位置ずれや傾きが大きい場合に警告を行うことができ、架線L1,L2,L3からパンタグラフ101,102,103が外れることをより確実に抑制できる。
【0078】
また、本実施形態によると、表示装置5は、相対位置検出部12から架線L1,L2,L3とパンタグラフ101,102,103の相対位置に関する異常を示すエラー信号を受信したときにエラー表示を行う。このエラー表示は、例えば、説明文表示部24、ずれ量インジケータ25、ずれ量表示部26、傾き角表示部27、および、エラー情報表示部28にて行われる。この構成によると、架線L1,L2,L3の位置ずれまたは傾きが大きい場合に警告を行うことができ、架線L1,L2,L3からパンタグラフ101,102,103が外れることをより確実に抑制できる。
【0079】
また、本実施形態によると、制御部11は、入力装置4の指令によって表示装置5における「記録スタート」ボタンを押操作されたことに基づいて、記憶部13にカメラ2からの動画を記憶させる動作を行わせることができる。そして、制御部11は、入力装置4からの指令によって表示装置5における「記録動画を再生」ボタンを押操作されたことに基づいて、記憶された動画を表示装置5で再生させることができる。これにより、任意のタイミングでパンタグラフ101,102,103と架線L1,L2,L3との接触状態を記録でき、作業員が車両100の屋根104に登ることなくパンタグラフ101,102,103の状態を確認できる。よって、車両100のメンテナンス作業をより容易に行える。また、制御部11は、相対位置検出部12からエラー信号を受信したときに、記憶部13にカメラ2からの動画を記憶させることができる。そして、制御部11は、入力装置4からの指令によって表示装置5における「エラー動画再生」ボタンを押操作されたことに基づいて、エラー信号が発せられたときに記憶された動画を表示装置5で再生させることができる。これにより、パンタグラフ101,102,103が架線L1,L2,L3から外れた直後の状態を画像で確認できる。よって、パンタグラフ101,102,103が再度架線L1,L2,L3から外れないような対策を講じやすくできる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、架線とパンタグラフの相対位置監視装置として、広く適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 架線とパンタグラフの相対位置監視装置
2 カメラ(撮像部)
4 入力装置(操作部)
5 表示装置(表示部)
11 制御部
12 相対位置検出部
13 記憶部
100 車両
101,102,103 パンタグラフ
101bG,102bG,103bG ローラ像(パンタグラフ像)
L1,L2,L3 架線
L1G,L2G,L3G 架線像
X 車幅方向
Z 車長方向
Δ1,Δ2,Δ3 相対位置ずれ量
θ1,θ2,θ3 傾き角


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9