(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/31 20180101AFI20240322BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240322BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20240322BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20240322BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240322BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240322BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240322BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240322BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240322BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240322BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/14
F21S43/20
F21S43/50
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:55
F21W103:35
F21W103:45
(21)【出願番号】P 2020083278
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松下 和照
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195467(JP,A)
【文献】特開2013-026146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0334173(US,A1)
【文献】特開2006-019052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/31
F21S 43/14
F21S 43/20
F21S 43/50
F21W 103/00
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/55
F21W 103/35
F21W 103/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光のうち一部の光を多重拡散反射する多重拡散反射部と、
前記光源から出射された光のうち残りの光と、前記多重拡散反射された光とを、それぞれ異なる反射領域から前方に向けて反射するリフレクタとを備え
、
前記多重拡散反射部は、前記光源の前方に配置された光拡散性を有する拡散反射面を有し、多重拡散反射した光を前記光源の下方に配置された前記リフレクタに向けて反射し、
前記リフレクタは、前記多重拡散反射された光が入射し前方へ向けて反射する第1の反射領域と、前記残りの光が直接に入射し前方へ向けて反射する第2の反射領域とを含み、 前記光源から前記第1の反射領域までの距離は、前記光源から前記第2の反射領域までの距離よりも短いことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記多重拡散反射部と前記リフレクタとの間に位置して、前記残りの光と、前記多重拡散反射された光とが通過する開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記リフレクタの前方に配置されて、前記リフレクタにより反射された光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光を前方に向けて出射する出射面とを含むレンズを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1の反射領域が前記第2の反射領域よりも上方に位置することを特徴とする請求項1
又は2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記リフレクタの前方に配置されて、前記第1の反射領域で反射された光と、前記第2の反射領域で反射された光との間を遮光する遮光部材を備えることを特徴とする請求項
1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光源は、前方に向けて光を出射し、
前記多重拡散反射部は、前記光源の前方に配置されて、前記光源の下方に配置された前記リフレクタに向けて前記一部の光を多重拡散反射することを特徴とする請求項1
又は2に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光源は、下方に向けて光を出射し、
前記多重拡散反射部は、前記光源の前方に配置されて、前記光源の下方に配置された前記リフレクタに向けて前記一部の光を多重拡散反射することを特徴とする請求項1
又は2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、光源から出射された光を前方に向けて反射するリフレクタとを備えたものがある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、半導体型光源を光源とし、かつ、複数の反射面を有する車両用灯具において、楕円反射面の第1反射面と、第1反射面の第1焦点もしくはその近傍に配置されている半導体型光源と、第1反射面からの反射光を制御して所定の配光パターンとして路面に反射させる放物線反射面と、を備え、放物線反射面は、縦に複数個に分割されていることを特徴とする車両用灯具が開示されている。
【0004】
一方、下記特許文献2には、光源と、光源に対向する入射面から入射する光源からの光を導光する導光体とを備えた車両用信号灯具において、導光体から灯具照射方向に出射する光を遮る遮光体を導光体に沿って配置するとともに、導光体から出射される光のうち遮光体によって遮られない光を灯具照射方向に向けて反射させるリフレクタを設けたことを特徴とする車両用信号灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-277480号公報
【文献】特開2013-175327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の車両用灯具では、リフレクタの異なる反射領域に入射した光をそれぞれ前方に向けて反射する構成となっている。この構成の場合、光源から出射された光の大部分はリフレクタの反射面に入射するため、例えばLEDのような指向性の強い光がリフレクタの反射面に入射することで、このLEDの指向特性による影響を大きく受けてしまう。特に、リフレクタでは、光源からの距離が異なる反射領域に入射した光をそれぞれ前方に向けて均一に反射させることが困難となる。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、光源からの距離が異なるリフレクタの反射領域に入射した光をそれぞれリフレクタの前方に向けて均一に反射させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、
前記光源から出射された光のうち一部の光を多重拡散反射する多重拡散反射部と、
前記光源から出射された光のうち残りの光と、前記多重拡散反射された光とを、それぞれ異なる反射領域から前方に向けて反射するリフレクタとを備え、
前記多重拡散反射部は、前記光源の前方に配置された光拡散性を有する拡散反射面を有し、多重拡散反射した光を前記光源の下方に配置された前記リフレクタに向けて反射し、
前記リフレクタは、前記多重拡散反射された光が入射し前方へ向けて反射する第1の反射領域と、前記残りの光が直接に入射し前方へ向けて反射する第2の反射領域とを含み、 前記光源から前記第1の反射領域までの距離は、前記光源から前記第2の反射領域までの距離よりも短いことを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記多重拡散反射部と前記リフレクタとの間に位置して、前記残りの光と、前記多重拡散反射された光とが通過する開口部を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記リフレクタの前方に配置されて、前記リフレクタにより反射された光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光を前方に向けて出射する出射面とを含むレンズを備えることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記第1の反射領域が前記第2の反射領域よりも上方に位置することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記リフレクタの前方に配置されて、前記第1の反射領域で反射された光と、前記第2の反射領域で反射された光との間を遮光する遮光部材を備えることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記光源は、前方に向けて光を出射し、
前記多重拡散反射部は、前記光源の前方に配置されて、前記光源の下方に配置された前記リフレクタに向けて前記一部の光を多重拡散反射することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記光源は、下方に向けて光を出射し、
前記多重拡散反射部は、前記光源の前方に配置されて、前記光源の下方に配置された前記リフレクタに向けて前記一部の光を多重拡散反射することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、光源からの距離が異なるリフレクタの反射領域に入射した光をそれぞれリフレクタの前方に向けて均一に反射させることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0013】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1に示す車両用灯具1Aについて説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1Aの構成を示す断面図である。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1Aは、例えば、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部に搭載されるテールランプに本発明を適用したものである。
【0015】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0016】
具体的に、この車両用灯具1Aは、
図1に示すように、灯体(図示せず。)の内側に、光源2と、多重拡散反射部3Aと、リフレクタ4と、インナーレンズ5と、エクステンション6とを備えている。
【0017】
なお、灯体は、前面が開口したハウジングと、このハウジングの開口を覆う透明なレンズカバー(アウターレンズ)とにより構成される。また、灯体の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0018】
光源2は、赤色光(以下、単に「光」という。)Lを発するLEDからなる。光源2は、LEDを駆動する駆動回路(図示せず。)が設けられた回路基板7の正面側(+X軸側)に実装されて、前方(+X軸側)に向けて光Lを放射状に出射する。回路基板7は、例えば白色のガラスエポキシ樹脂などの光拡散性を有する反射部材からなる。
【0019】
なお、本実施形態では、上述した光源2を構成するLEDと、このLEDを駆動する駆動回路とが回路基板7上に実装された構成となっているが、LEDが実装された実装基板と、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0020】
多重拡散反射部3Aは、例えば白色のガラスエポキシ樹脂などの光拡散性を有する反射部材からなる。多重拡散反射部3Aは、光源2の前方に配置されて、光源2の周囲を囲むように略1/4球面状に湾曲した第1の拡散反射面3aと、第1の拡散反射面3aの下方側を覆う平坦な第2の拡散反射面3bとを有している。
【0021】
本実施形態の車両用灯具1Aでは、光源2から出射された光Lのうち、一部の光L1が多重拡散反射部3Aによりリフレクタ4に向けて多重拡散反射される。すなわち、この一部の光L1は、多重拡散反射部3Aの内側に入射し、回路基板7と第1の拡散反射面3aと第2の拡散反射面3bとで囲まれる空間内で拡散反射しつつ、リフレクタ4に向けて出射される。
【0022】
リフレクタ4は、例えば白色のガラスエポキシ樹脂などの光拡散性を有する反射部材からなる。リフレクタ4は、光源2の下方に配置されて、その正面側(+X軸側)に反射面4aを有している。
【0023】
反射面4aは、光源2から出射された光L1うち、多重拡散反射部3Aにより多重拡散反射された光(以下、「第1の光」とする。)L1が入射する第1の反射領域R1と、残りの光源2からリフレクタ4に直接向かう光「以下、「第2の光」とする。」L2が入射する第2の反射領域R2とを有している。
【0024】
第1の反射領域R1は、第2の反射領域R2よりも上方に位置している。第1の反射領域R1は、その上方側から下方側に向かって、全体として斜め前方に傾斜した平面形状を有している。第2の反射領域R2は、第1の反射領域R1と連続しながら、その上方側から下方側に向かって、全体として斜め前方に湾曲した曲面形状を有している。
【0025】
また、多重拡散反射部3Aとリフレクタ4との間には、第1の光L1と第2の光L2とが通過する開口部8が設けられている。開口部8は、第1の光L1が第1の反射領域R1に入射し、第2の光L2が第2の反射領域R2に入射するように、第1の光L1及び第2の光L2を規制している。
【0026】
本実施形態では、多重拡散反射部3Aとリフレクタ4とが光拡散性を有する反射部材により一体に形成されている。開口部8は、この反射部材を貫通する孔部により構成されている。
【0027】
本実施形態の車両用灯具1Aでは、反射面4aの第1の反射領域R1に入射した第1の光L1が前方に向けて反射されると共に、反射面4aの第2の反射領域R2に入射した第2の光L2が前方に向けて反射される。また、リフレクタ4は、反射面4aに入射した第1の光L1及び第2の光L2を拡散しながら反射する。
【0028】
インナーレンズ5は、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの板状の光透過性部材からなる。インナーレンズ5は、リフレクタ4の前方を覆うように配置されている。
【0029】
インナーレンズ5は、リフレクタ4の第1の反射領域R1により反射された第1の光L1が入射する第1の入射面5aと、第1の入射面5aから入射した第1の光L1を前方に向けて出射する第1の出射面5bと、リフレクタ4の第2の反射領域R2により反射された第2の光L2が入射する第2の入射面5cと、第2の入射面5cから入射した第2の光L2を前方に向けて出射する第2の出射面5dとを有している。
【0030】
インナーレンズ5では、第1の入射面5aと第1の出射面5bとが対向する部分からなる第1の凸部9aと、第2の入射面5cと第2の出射面5dとが対向する部分からなる第2の凸部9bとが、それぞれ前方に突出して設けられている。
【0031】
エクステンション6は、黒色の遮光部材からなり、インナーレンズ5の正面側を覆うように配置されている。エクステンション6は、第1の凸部9aを外方(前方)に臨ませる第1の開口部6aと、第2の凸部9bを外方(前方)に臨ませる第2の開口部6bとを有している。
【0032】
これにより、エクステンション6は、インナーレンズ5の第1の出射面5b及び第2の出射面5dを除く、このインナーレンズ5の正面側の周囲を覆う構成となっている。したがって、このエクステンション6は、第1の出射面5bから出射される第1の光L1と、第2の出射面5dから出射される第2の光L2との間を遮光している。
【0033】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述したインナーレンズ5の第1の出射面5b及び第2の出射面5dをテールランプの発光部として赤色発光させることが可能である。
【0034】
ところで、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した光源2から出射された光Lのうち、多重拡散反射部3Aにより多重拡散反射された第1の光L1がリフレクタ4の第1の反射領域R1から前方に向けて反射される。一方、光源2からリフレクタ4に直接向かう第2の光L2がリフレクタ4の第2の反射領域R2から前方に向けて反射される。
【0035】
光源2から第1の反射領域R1までの距離は、光源2から第2の反射領域R2までの距離よりも短くなっている。一方、第1の光L1は、第2の光L2よりも拡散された光となっている。
【0036】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Aでは、LEDのような指向性の強い光Lを光源2が出射する場合でも、このLEDの指向特性による影響を緩和しながら、光源2からの距離が異なるリフレクタ4の第1の反射領域R1に第1の光L1を入射し、第2の反射領域R2に第2の光L2を入射することで、これら第1の光L1及び第2の光L2をリフレクタ4により前方に向けて均一に反射させることが可能である。その結果、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述したインナーレンズ5の第1の光L1が出射される第1の出射面5bと、第2の光L2が出射される第2の出射面5dとをテールランプの発光部としてより均一に赤色発光させることが可能である。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図2に示す車両用灯具1Bについて説明する。
なお、
図2は、車両用灯具1Bの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0038】
本実施形態の車両用灯具1Bは、
図2に示すように、上記車両用灯具1Aが備える多重拡散反射部3Aの代わりに、多重拡散反射部3Bを備えている。
【0039】
光源2は、回路基板7の下面側(-Z軸側)に実装されて、下方(-Z軸側)に向けて光Lを放射状に出射する。
【0040】
多重拡散反射部3Bは、例えば白色のガラスエポキシ樹脂などの光拡散性を有する反射部材からなる。多重拡散反射部3Bは、光源2の前方に配置されて、光源2の周囲を囲むと共に、上下方向に起立した第1の拡散反射面3cと、第1の拡散反射面3cの下方側を覆うと共に、斜め下方に向かって傾斜した第2の拡散反射面3dとを有している。
【0041】
本実施形態の車両用灯具1Bでは、光源2から出射された光Lのうち、一部の光L1が多重拡散反射部3Bによりリフレクタ4に向けて多重拡散反射される。すなわち、この一部の光L1は、多重拡散反射部3Bの内側に入射し、回路基板7と第1の拡散反射面3cと第2の拡散反射面3dとで囲まれる空間内で拡散反射しつつ、リフレクタ4に向けて出射される。
【0042】
本実施形態では、多重拡散反射部3Bとリフレクタ4とが光拡散性を有する反射部材により一体に形成されている。開口部8は、この反射部材を貫通する孔部により構成されている。
【0043】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Bでは、上記車両用灯具1Aと同様に、上述したインナーレンズ5の第1の出射面5b及び第2の出射面5dをテールランプの発光部として赤色発光させることが可能である。
【0044】
ところで、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した光源2から出射された光Lのうち、多重拡散反射部3Bにより多重拡散反射された第1の光L1がリフレクタ4の第1の反射領域R1から前方に向けて反射される。一方、光源2からリフレクタ4に直接向かう第2の光L2がリフレクタ4の第2の反射領域R2から前方に向けて反射される。
【0045】
光源2から第1の反射領域R1までの距離は、光源2から第2の反射領域R2までの距離よりも短くなっている。一方、第1の光L1は、第2の光L2よりも拡散された光となっている。
【0046】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Bでは、LEDのような指向性の強い光Lを光源2が出射する場合でも、このLEDの指向特性による影響を緩和しながら、光源2からの距離が異なるリフレクタ4の第1の反射領域R1に第1の光L1を入射し、第2の反射領域R2に第2の光L2を入射することで、これら第1の光L1及び第2の光L2をリフレクタ4により前方に向けて均一に反射させることが可能である。その結果、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述したインナーレンズ5の第1の光L1が出射される第1の出射面5bと、第2の光L2が出射される第2の出射面5dとをテールランプの発光部としてより均一に赤色発光させることが可能である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記車両用灯具1A,1Bでは、複数の光源2を灯体の幅方向に並べて配置し、各光源2に対応した複数の多重拡散反射部3A,3Bを配置した構成としてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、上述したテールランプに本発明を適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0049】
また、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプに限らず、例えば、車幅灯(ポジションランプ)、方向指示器(ターンランプ)、昼間点灯ランプ(DRL)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプなどの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。また、上記光源2が発する光の色についても、白色光や赤色光、橙色光など、その用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B…車両用灯具 2…光源 3A,3B…多重拡散反射部 4…リフレクタ 5…インナーレンズ(レンズ) 6…エクステンション(遮光部材) 7…回路基板 8…開口部 R1…第1の反射領域 R2…第2の反射領域 L…光 L1…第1の光(一部の光) L2…第2の光(残りの光)