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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】自走式ロボット
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240322BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G05D1/43
A47L9/28 E
A47L9/28 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020129784
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2021176069
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2020076893
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506310865
【氏名又は名称】CYBERDYNE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山海 嘉之
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171917(WO,A1)
【文献】特開2018-015396(JP,A)
【文献】特開2018-139720(JP,A)
【文献】特開2007-082639(JP,A)
【文献】特開2014-035178(JP,A)
【文献】特表2018-513817(JP,A)
【文献】特開2004-174228(JP,A)
【文献】特開2019-022482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/20 ー 1/87
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、
ロボット本体を前記床面の所望方向に所望速度で走行駆動する走行駆動部と、
前記ロボット本体の走行環境を撮像する環境撮像部と、
前記環境撮像部による撮像画像に基づいて、前記走行環境における前記床面の汚れを検知する対象検知部と、
前記走行環境に対して自己の位置を推定すると同時に、前記床面を含む平面的または立体的な環境地図を作成する環境地図作成部と、
前記環境地図作成部により作成された前記環境地図において、前記対象検知部により検知した前記床面の汚れの分布状態を順次記憶する状態記憶部と、
前記状態記憶部により記憶された前記床面の汚れの現在状態を前記対象検知部による検知日時ごとに分析し、当該分析結果に基づいて、前記床面に対する人間の集まり具合を推定する変化推定部と、
前記ロボット本体の上段に連結自在に接続され、かつ紫外線の照射方向および照射レベルを可変可能な紫外線照射装置からなる害菌対策装置と、
前記変化推定部による推定結果に基づいて、前記環境地図における前記害菌対策装置による人体への菌の悪影響をなくすための害菌対策作業を実施させる地点を設定し、当該地点に移動するように前記走行駆動部を制御する走行制御部と
を備え、前記害菌対策装置は、前記ロボット本体への接続時に前記走行制御部により害菌対策作業の実施のための制御を受けつつ、前記地点において、前記床面の汚れを基準に前記紫外線を照射する範囲を設定するとともに、すべての人間に対して人体安全性を確保することを前提に、前記紫外線の照射方向および照射レベルを調整する
ことを特徴とする自走式ロボット。
【請求項2】
自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、
ロボット本体を前記床面の所望方向に所望速度で走行駆動する走行駆動部と、
前記ロボット本体の走行環境を撮像する環境撮像部と、
前記環境撮像部による撮像画像に基づいて、前記走行環境における前記床面の汚れを検知する対象検知部と、
前記走行環境に対して自己の位置を推定すると同時に、前記床面を含む平面的または立体的な環境地図を作成する環境地図作成部と、
前記環境地図作成部により作成された前記環境地図において、前記対象検知部により検知した前記床面の汚れの分布状態を順次記憶する状態記憶部と、
前記状態記憶部により記憶された前記床面の汚れの現在状態を前記対象検知部による検知日時ごとに分析し、当該分析結果に基づいて、前記床面に対する人間の集まり具合を推定する変化推定部と、
前記ロボット本体の底面から照射部位が露出するように当該底面に内設され、かつ紫外線の照射レベルを可変可能な紫外線照射装置からなる害菌対策装置と、
前記変化推定部による推定結果に基づいて、前記環境地図における前記害菌対策装置による人体への菌の悪影響をなくすための害菌対策作業を実施させる地点を設定し、当該地点に移動するように前記走行駆動部を制御する走行制御部と
を備え、前記害菌対策装置は、前記ロボット本体への接続時に前記走行制御部により害菌対策作業の実施のための制御を受けつつ、前記地点への移動を含む走行時に前記床面に対して前記紫外線を照射する
ことを特徴とする自走式ロボット。
【請求項3】
前記環境地図に設定された前記地点において、前記床面の汚れを基準とする所定の検出範囲内で人間の全体または一部が関与した頻度を検出する人関与頻度検出部を備え、
前記走行制御部は、前記人関与頻度検出部により検出された関与の頻度が所定の閾値以上である場合、前記地点における前記床面の汚れに対して前記害菌対策装置害菌対策作業を実施させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自走式ロボット。
【請求項4】
前記ロボット本体に内蔵され、前記走行駆動部に電力供給するための電源部を備え、
前記害菌対策装置は、当該ロボット本体への接続時に前記電源部から電力供給を受ける
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自走式ロボット。
【請求項5】
前記害菌対策装置は、前記ロボット本体の上段に連結自在に接続され、かつ消毒用の薬液の噴霧方向および噴霧量を可変可能な薬液噴霧装置をさらに有し
前記薬液噴霧装置は、前記地点において、前記床面の汚れを基準に前記薬液を噴霧する範囲を設定するとともに、すべての人間に対して人体安全性を確保することを前提に、前記薬液の噴霧方向および噴霧量を調整する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自走式ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式ロボットに関し、例えば空港や商業施設内において自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、空港内において、空港利用者に対する安全、安心や便利を前提として良質なサービスを提供するとともに、空港従業員がより健康的に働きやすい環境を創出することを目的として、自律移動型の自走式ロボットを導入するケースが増えてきている。
【0003】
特に施設内のエリアが広大な空港では、安定した清掃品質の確保を図るべく、自律走行機能を有する自動清掃ロボットが導入されている。自動清掃ロボットには、外部環境に対して自己の位置を推定すると同時に環境地図を作成するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術が搭載されたものが数多く提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このSLAM技術を用いた自律走行ロボットは、高精度に自己の位置を推定しながら、
実空間内に存在する物体の3次元位置を表現する環境地図を動的に生成することにより、
自己の移動経路を特定して環境内を自律的に移動するようになされている。
【0005】
このような自律走行ロボットについて、施設内の床面の清掃機能のみならず、当該施設内の壁面および床面への消毒液の噴霧が可能なものが提案されている。例えば、特許文献2に示すように、化学センサによる被処理物の検出結果と被対象物の画像認識結果とに基づいて、被対象物の元に移動して次亜塩素酸を噴霧して消臭、消毒が行い得るようになされた移動式自律ロボットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-10797号公報
【文献】特開2017-169613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2にかかる移動式自律ロボットでは、被処理物質(化学物質)の検出場所と次亜塩素酸の噴霧濃度とを関連付けた濃度マップを記憶しておき、当該濃度マップの情報に基づいて自律移動するようになされている。
【0008】
しかし、この移動式自律ロボットは、化学センサにより検出した被処理物質(化学物質)の存在する場所に自律的に移動して次亜塩素酸を噴霧するに過ぎず、施設内の場所と化学物質の発生原因との因果関係に関しては全く分析していない。
【0009】
このため、特許文献2にかかる移動式自律ロボットでは、被処理物質が発生する可能性のある場所を事前に推定して、未然に対処するなどの最適な機能発揮が困難になるという問題が残る。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ロボット本体に連結した害菌対策装置を最適な地点において機能発揮させることが可能な自走式ロボットを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するために本発明においては、自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、ロボット本体を床面の所望方向に所望速度で走行駆動する走行駆動部と、ロボット本体の走行環境を撮像する環境撮像部と、環境撮像部による撮像画像に基づいて、走行環境における床面の汚れを検知する対象検知部と、走行環境に対して自己の位置を推定すると同時に、床面を含む平面的または立体的な環境地図を作成する環境地図作成部と、環境地図作成部により作成された環境地図において、対象検知部により検知した床面の汚れの分布状態を順次記憶する状態記憶部と、状態記憶部により記憶された床面の汚れの現在状態を対象検知部による検知日時ごとに分析し、当該分析結果に基づいて、床面に対する人間の集まり具合を推定する変化推定部と、ロボット本体の上段に連結自在に接続され、かつ紫外線の照射方向および照射レベルを可変可能な紫外線照射装置からなる害菌対策装置と、変化推定部による推定結果に基づいて、環境地図における害菌対策装置による人体への菌の悪影響をなくすための害菌対策作業を実施させる地点を設定し、当該地点に移動するように走行駆動部を制御する走行制御部とを備え、害菌対策装置は、ロボット本体への接続時に走行制御部により害菌対策作業の実施のための制御を受けつつ、地点において、床面の汚れを基準に紫外線を照射する範囲を設定するとともに、すべての人間に対して人体安全性を確保することを前提に、紫外線の照射方向および照射レベルを調整するようにした
【0012】
この結果、自走式ロボットでは、床面の汚れの分布状態を検知日時ごとに分析して得られる変化度合いに基づいて、害菌対策装置が機能を発揮するための地点を設定して移動させ、当該地点において害菌対策装置に機能発揮させるように制御することにより、ロボット本体に連結した害菌対策装置を最適な地点において機能発揮させるようにして、人間から人間へ感染する可能性が高い菌の悪影響を極力低減させることが可能となるとともに、設定された地点において最適な状態で紫外線照射による除菌や殺菌を行うことが可能となる
【0013】
また本発明においては、自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボットにおいて、ロボット本体を床面の所望方向に所望速度で走行駆動する走行駆動部と、ロボット本体の走行環境を撮像する環境撮像部と、環境撮像部による撮像画像に基づいて、走行環境における床面の汚れを検知する対象検知部と、走行環境に対して自己の位置を推定すると同時に、床面を含む平面的または立体的な環境地図を作成する環境地図作成部と、環境地図作成部により作成された環境地図において、対象検知部により検知した床面の汚れの分布状態を順次記憶する状態記憶部と、状態記憶部により記憶された床面の汚れの現在状態を対象検知部による検知日時ごとに分析し、当該分析結果に基づいて、床面に対する人間の集まり具合を推定する変化推定部と、ロボット本体の底面から照射部位が露出するように当該底面に内設され、かつ紫外線の照射レベルを可変可能な紫外線照射装置からなる害菌対策装置と、変化推定部による推定結果に基づいて、環境地図における害菌対策装置による人体への菌の悪影響をなくすための害菌対策作業を実施させる地点を設定し、当該地点に移動するように走行駆動部を制御する走行制御部とを備え、害菌対策装置は、ロボット本体への接続時に走行制御部により害菌対策作業の実施のための制御を受けつつ、地点への移動を含む走行時に床面に対して紫外線を照射するようにした
【0014】
この結果、自走式ロボットでは、床面の汚れの分布状態を検知日時ごとに分析して得られる変化度合いに基づいて、害菌対策装置が機能を発揮するための地点を設定して移動させ、当該地点において害菌対策装置に機能発揮させるように制御することにより、ロボット本体に連結した害菌対策装置を最適な地点において機能発揮させるようにして、人間から人間へ感染する可能性が高い菌の悪影響を極力低減させることが可能となるとともに、設定された地点および当該地点に移動する走行時において最適な状態で紫外線照射による除菌や殺菌を行うことが可能となる。
【0015】
さらに本発明においては、環境地図に設定された地点において、床面の汚れを基準とする所定の検出範囲内で人間の全体または一部が関与した頻度を検出する人関与頻度検出部を備え、走行制御部は、人関与頻度検出部により検出された関与の頻度が所定の閾値以上である場合、地点における床面の汚れに対して害菌対策装置に害菌対策作業を実施させるようにした。
【0016】
この結果、自走式ロボットでは、設定した地点における人間の全体または一部が関与した頻度が比較的高い場合には、床面の汚れに対する害菌対策作業を害菌対策装置に実施させることにより、当該害菌対策作業のうち人間関与に深く関わる最適化された作業に絞って機能発揮させることが可能となる。
【0017】
さらに本発明においては、ロボット本体に内蔵され、走行駆動部に電力供給するための電源部を備え、害菌対策装置は、当該ロボット本体への接続時に電源部から電力供給を受けるようにした。この結果、自走式ロボットでは、害菌対策装置の内部に電源発生手段が存在しなくてもロボット本体から給電されるため、その分だけ当該害菌対策装置自体の軽量化を図ることができる。
【0018】
さらに本発明においては、害菌対策装置は、ロボット本体の上段に連結自在に接続され、かつ消毒用の薬液の噴霧方向および噴霧量を可変可能な薬液噴霧装置をさらに有し、薬液噴霧装置は、地点において、床面の汚れを基準に薬液を噴霧する範囲を設定するとともに、すべての人間に対して人体安全性を確保することを前提に、薬液の噴霧方向および噴霧量を調整するようにした
【0019】
の結果、自走式ロボットでは、設定された地点において最適な状態で薬液噴霧による除菌や殺菌を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ロボット本体に連結した害菌対策装置を最適な地点において機能発揮させることが可能な自走式ロボットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る自走式ロボットの外観構成を示す斜視図である。
図2】同発明の実施形態に係る自走式ロボットの外観構成を示す斜視図である。
図3】自走式ロボットの制御系を示すブロック図である。
図4】環境地図および特定対象の検知結果の説明に供する平面図である。
図5】紫外線照射装置が接続された自走式ロボットの外観構成を示す略線図である。
図6】薬液噴霧装置が接続された自走式ロボットの外観構成を示す略線図である。
図7】商品補充装置が接続された自走式ロボットの外観構成を示す略線図である。
図8】紫外線照射装置が接続された自走式ロボットの外観構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0026】
(1)本実施の形態による自走式ロボットの構成
図1および図2は、本実施の形態による自走式ロボット1を示す。自走式ロボット1は、自己の移動経路を自律的にまたは外部操作に応じて走行可能な二輪駆動型の四輪移動体である。
【0027】
自走式ロボット1は、図2に示すように、全体として略立方体形状を有するロボット本体(駆動フレーム)2を有し、外部操作に応じて又は自律的に走行可能な二輪駆動型の四輪移動体である。
【0028】
ロボット本体2の下部には、前側に左右一対の駆動輪3A、3Bが設けられ、かつ、後側に自走式ロボットの走行に応じて走行方向又は当該走行方向と交差する方向に回転自在な左右一対のオムニホイール4A、4Bを備える。
【0029】
左右の駆動輪3A、3Bはそれぞれ駆動モータ33A、33B(図3参照)によってそれぞれ独立して回転駆動し、駆動輪3A、3Bの前進回転或いは後進回転によって前進及び後進し、駆動輪3A、3Bの前進回転速度に差を与えることによって前進しつつ右或いは左に走行する。また、駆動輪3A、3Bを互いに逆方向に回転駆動することによって自走式ロボット1がスピン、即ちその位置で方向転換する。
【0030】
図1に示すようにロボット本体2は、前進方向および鉛直方向からなる平面を断面とする略コ字状の立体形状を有し、当該略コ字状を形成する切込み空間2Sの前部中央位置には、斜め前方方向及び左右方向の障害物の検知を行うレーザレンジセンサ10が上段部および下段部を橋架するように設けられている。
【0031】
またロボット本体2における上段部の前面には、3次元スキャン可能なRGB-Dセンサ11および3D距離画像センサ12が設けられている。具体的にレーザレンジセンサ10は、設置位置から見た対象物(障害物)に照射し、その反射光を受光して距離を算出する。これを一定角度間隔で距離を測定することにより、平面上に扇状の距離情報を最大30m、角度240度の範囲で得ることができる。
【0032】
またRGB-Dセンサ11は、RGBカラーカメラ機能に加えて、当該カメラから見た対象物(障害物)までの距離を計測できる深度センサを有し、対象物の3次元スキャンを行うことができる。この深度センサは赤外線センサからなり、構造化光の単一のパターンを対象物に投影した状態で対象を撮影し、そのパラメータを用いて三角測量により画像上の各点のデプスを算出する。
【0033】
例えばRGB-Dセンサ11として、例えばKinect(マイクロソフト社の商標名)を適用した場合、水平視野57度、垂直視野43度、センサ範囲は1.2[m]~3.5[m]の範囲を撮影することが可能であり、RGB画像は640×480画素、Depth(深度)画像は320×240画素で共に30フレーム/秒で取得できる。
【0034】
RGB-Dセンサ11をロボット本体2の上段部の中央に設置したのは、ほぼ床面に近い高さでは垂直視野が確保できないためであり、床面から0.6[m]~1.8[m]の高さ確保が必要となる。
【0035】
3D距離画像センサ12は、LEDパルスを照射し、対象物からの反射光の到達時間を画素単位で計測すると同時に取得した画像情報を重畳することにより、対象物までの距離情報を画素単位で算出する。この3D距離画像センサ12は、上述のRGB-Dセンサ11よりも高精度の検出能力を有し、かつレーザレンジセンサ10よりも視野角が広いことから、屋外向けの補完センサとして必要である。3D距離画像センサとして、例えばピクセルソレイユ(日本信号株式会社の商品名)を適用した場合、水平視野72度、垂直視野72度、センサ範囲は0.3[m]~4.0[m]の範囲を撮影することが可能である。
【0036】
自走式ロボット2では、レーザレンジセンサ10、RGB-Dセンサ11および3D距離画像センサ12を用いて、外部環境に対して自己の位置を推定すると同時に環境地図を作成するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を実現するようになされている。
【0037】
このSLAM技術を用いた自走式ロボット1は、高精度に自己の位置を推定しながら、実空間内に存在する物体の3次元位置を表現する環境地図を動的に生成することにより、自己の移動経路を特定して環境内を自律的に移動することが可能である。
【0038】
また自走式ロボット1には、図2に示すように、ロボット本体2にバキューム清掃可能な清掃システム20が内蔵されている。この清掃システム20は、ロボット本体2の下段部の底面前側に清掃ブラシユニット21が取り付けられるとともに、ロボット本体2の上段部にダストボックス22およびファン駆動用のモータ(図示せず)等が内蔵されている。
【0039】
ダストボックス22の吸塵口(図示せず)にはフィルタが取り付けられ、モータ駆動によるファンの回転に応じて清掃ブラシユニットから吸引された塵等を含む空気から当該塵等のみを分離するようになされている。このフィルタを介してファンにより吸引された空気は、ロボット本体の背面部に設けられた排気口から排出される。
【0040】
清掃ブラシユニット21は、ロボット本体2の下段部において、底面前縁部に沿うようにノズル部23が取り付けられ、当該ノズル部23の開口から露出するようにロールブラシ24が自走式ロボット1の走行に伴って回転自在に軸支されている。
【0041】
ノズル部23の開口の後段には、進行方向に対して横長のへら状のスクレーパ25がロールブラシ24に押し当てられるように取り付けられ、ロールブラシ24に付着した塵等の汚れを掻き取るようになされている。
【0042】
このように清掃システム20では、モータの駆動に応じたファンの回転により吸引力が発生し、ダストボックス22を介して通風管を経て清掃ブラシユニット21のノズル部23に伝わる。清掃ブラシユニット21では、自走式ロボット1の走行に伴いロールブラシ24を回転させながら、ノズル部23の開口から塵等を含む空気を通風管を介してダストボックス22に導き、塵等のみを当該ダストボックス22内に蓄積させるとともに、空気をファンの後段に流して排出口から排出することにより、バッキューム清掃を行い得る。
【0043】
ロボット本体2の下段部の前面には、その前面を覆うようにバンパー26が設けられており、当該バンパー26に対して所定レベル以上の押圧力が加えられたときに、障害物の接触を検知する接触センサ(図示せず)がバンパー26の内側に設けられている。接触センサにより障害物との接触が検知されると、自走式ロボット1は非常停止状態となるように制御される。
【0044】
図1に示すように、ロボット本体2の上段部の四隅には、それぞれLEDインジケータ27A~27Dが設けられている。各LEDインジケータ27A~27Dは、自走式ロボット1の各種状態(モードごとの制御状態やバッテリ残量状態、センサ検知状態、走行時の不具合やトラブル等の警告など)を所定の発光色と点灯パターンとにより提示するようになされている。なお、図示しないが、ロボット本体2には上述の自走式ロボット1の各種状態を音声により提示するためのスピーカ28(図3)が搭載されている。
【0045】
ロボット本体2の背面部には、二次電池またはキャパシタからなる比較的大容量の駆動用バッテリ29が内蔵されており、自走式ロボット1の駆動源のみならず、外部端子29Aを介して機能発揮装置100の接続時における供給電源として利用するようになされている。この駆動用バッテリ29は、着脱自在に装填可能なカートリッジ式に構成されている。
【0046】
後述するように自走式ロボット1では、ロボット本体2の上段に、特定対象を基準に所定の機能を発揮するようになされた機能発揮装置100が連結自在に接続されるようになされている。
【0047】
(2)自走式ロボットの内部の回路構成
図3に自走式ロボット1の内部の回路構成を示す。自律的にまたは外部操作に応じて床面を走行する自走式ロボット1において、ロボット全体2の制御を司る統括制御部(走行制御部)30は、マイクロコンピュータを主体として構成されている。
【0048】
統括制御部30による制御の下、走行駆動部31は、左右のモータドライバ32A、32Bを制御して駆動モータ33A、33Bの回転を制御することにより、ロボット本体2を床面の所望方向に所望速度で走行駆動する。
【0049】
環境地図作成部34は、予め設定された走行経路情報を記憶する目標走行経路記憶部35からの走行経路情報と、レーザレンジセンサ10、RGB-Dセンサ11および3D距離画像センサ12による各検出信号とに基づいて、走行環境に対して自己の位置を推定すると同時に、床面を含む平面的または立体的な環境地図を作成しながら、走行経路の適否や変更の要否を判断するとともに、走行障害物の有無を判断する。
【0050】
実際に自走式ロボット1は、上述したSLAM技術を利用して、施設内の人間が歩行可能な対象エリアの環境地図を自動的に作成する。具体的には自走式ロボット1は、レーザレンジセンサ10および3D距離画像センサ12から得られる対象物との距離情報および角度情報に基づいて、2次元格子で区切ったグリッド上の局所地図を移動環境を示すエリアとして設定していきながら、所望の対象エリア全体を表す環境地図を作成する。
【0051】
それと同時に自走式ロボット1の一対の駆動輪に対応するエンコーダ(図示せず)から読み出された回転角度に基づいて、自機の走行量を演算し、次の居所地図と現時点までに作成された環境地図とのマッチングおよび自機の走行量から自己位置を推定する。実際に対象エリア全体を表す環境地図M1図4(A)に示す。
【0052】
また自走式ロボット1においては、ロボット本体2の走行環境を撮像カメラ(環境検知部)36により撮像し、対象検知部37は、当該撮像カメラ36による撮像画像に基づいて、走行環境における特定対象を検知する。図4(B)において、上述の図4(A)に示す環境地図M1上に走行環境における特定対象S1が重畳表示された状態を示す。
【0053】
統括制御部30は、環境地図作成部34により作成された環境地図において、対象検知部37により検知した特定対象の現在状態を状態記憶部38に順次記憶する。続いて変化推定部39は、状態記憶部38により記憶された特定対象の現在状態を対象検知部37による検知日時ごとに分析し、当該分析結果に基づいて、特定対象の変化度合いを推定する。
【0054】
統括制御部30は、変化推定部39による推定結果に基づいて、環境地図における機能発揮装置100の機能を発揮させる地点を設定し、当該地点に移動するように走行駆動部31を制御する。
【0055】
自走式ロボット1では、ロボット本体2の上段に機能発揮装置100が接続された際、当該機能発揮装置100は、統括制御部(走行制御部)30により機能発揮のための制御を受ける。
【0056】
この結果、自走式ロボット1では、特定対象の現在状態を検知日時ごとに分析して得られる変化度合いに基づいて、機能発揮装置100が機能を発揮するための地点を設定して移動させ、当該地点において機能発揮装置100に機能発揮させるように制御することにより、ロボット本体2に連結した機能発揮装置100を最適な地点において機能発揮させることができる。
【0057】
なお、自走式ロボット1においては、上述のように走行駆動部31に電力供給するための駆動用バッテリ(電源部)29がロボット本体に内蔵されており、機能発揮装置100は、ロボット本体2への接続時に駆動用バッテリ29から電力供給を受けることが可能である。この結果、自走式ロボット1では、機能発揮装置100の内部に電源発生手段が存在しなくてもロボット本体2から給電されるため、その分だけ当該機能発揮装置100自体の軽量化を図ることができる。
【0058】
(3)機能発揮装置が害菌対策装置の場合
自走式ロボット1に接続される機能発揮装置100が人体への菌の悪影響をなくすための害菌対策装置(図示せず)の場合、害菌対策装置は、床面の汚れを基準に機能発揮として害菌対策作業を実施する。
【0059】
上述した図3の自走式ロボット1の内部構成図において、対象検知部37は、撮像カメラ36による撮像画像に基づいて、走行環境における床面の汚れを検知する。状態記憶部38は、環境地図作成部34により作成された環境地図において、対象検知部37により検知した現在の床面の汚れの分布状態を順次記憶する。変化推定部39は、状態記憶部38により記憶された床面の汚れの分布状態を対象検知部37による検知日時ごとに分析し、当該分析結果に基づいて、床面に対する人間の集まり具合を推定する。
【0060】
このように自走式ロボット1では、機能発揮装置100として害菌対策装置を適用することにより、人間から人間へ感染する可能性が高い菌の悪影響を極力低減させることが可能となる。
【0061】
(3-1)害菌対策装置が紫外線照射装置の場合
機能発揮装置100である害菌対策装置が紫外線の照射方向および照射レベルを可変可能な紫外線照射装置110である場合、紫外線照射装置110は、地点において、床面の汚れを基準に紫外線を照射する範囲を設定するとともに、すべての人間に対して人体安全性を確保することを前提に、紫外線の照射方向および照射レベルを調整する。
【0062】
この結果、自走式ロボット1では、設定された地点において紫外線照射装置110を用いて最適な状態で紫外線照射による除菌や殺菌を行うことが可能となる。
【0063】
ここで紫外線照射装置110は、図5に示すように、波長帯が200[nm]以上230[nm]以下の紫外線を照射可能なエキシマランプ111を有する。この波長帯の紫外線は、人体に照射しても、皮膚の角質層で吸収され、それよりも内側の基底層には進行しないため安全とされている。この波長帯の紫外線の光源は、KrClまたはKrBrを発光ガスとするエキシマランプ111と上記波長帯の光のみ通過させるバンドパスフィルタとから構成される。
【0064】
エキシマランプ111としては、互いに同軸の内外管内に放電用ガスが封入された放電空間が形成された二重管構造の放電容器を備え、放電用ガスに放電を誘起せしめるための内部電極および外部電極のうちの少なくとも一方の電極と放電用ガスとの間に誘電体材料が介在するように構成されたものが用いられる。
【0065】
特に最近では、照射量が500[mJ/cm2]にて波長222[nm]の紫外線を人体の皮膚に直接照射しても安全性を確保しつつ、紫外線本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を保持することが可能であることが発表されている。
【0066】
この自走式ロボット1では、ロボット本体2の上段に紫外線照射装置110が接続された際、当該紫外線照射装置111は、統括制御部(走行制御部)30により紫外線を照射する範囲が設定されるとともに、紫外線の照射方向および照射レベルが調整されるように制御を受ける。また、自走式ロボット1においては、紫外線照射装置111は、ロボット本体2への接続時に電源部29から電力供給を受けることが可能となる。
【0067】
(3-2)害菌対策装置が薬液噴霧装置の場合
機能発揮装置100である害菌対策装置が消毒用の薬液の噴霧方向および噴霧量を可変可能な薬液噴霧装置120である場合、薬液噴霧装置120は、地点において、床面の汚れを基準に薬液を噴霧する範囲を設定するとともに、すべての人間に対して人体安全性を確保することを前提に、薬剤の噴霧方向および噴霧量を調整する。
【0068】
この結果、自走式ロボット1では、設定された地点において薬液噴霧装置120を用いて最適な状態で薬液噴霧による除菌や殺菌を行うことが可能となる。
【0069】
ここで薬液噴霧装置120は、図6に示すように、殺菌効果がある次亜塩素酸水溶液等の薬液を貯蔵するタンク121と、当該タンク121から供給される薬液を噴霧口から噴霧するノズル部122と、当該ノズル部122を所望の3次元方向に回動させる回動機構系123とを有する。例えば米国Fogmaster社製の電動噴霧器「Vectra-Jet7505」(商品名)を適用するようにしてもよい。
【0070】
この自走式ロボット1では、ロボット本体2の上段に薬液噴霧装置120が接続された際、当該薬液噴霧装置120は、統括制御部(走行制御部)30により薬液を噴霧する範囲が設定されるとともに、薬液の噴霧方向および噴霧量が調整されるように制御を受ける。また、自走式ロボット1においては、薬液噴霧装置120は、ロボット本体2への接続時に電源部29から電力供給を受けることが可能となる。
【0071】
(4)機能発揮装置が商品補充装置の場合
自走式ロボット1に接続される機能発揮装置100が商品補充装置130の場合、商品補充装置130は、商品陳列棚を基準に機能発揮として商品の補充作業を実施する。
【0072】
上述した図3の自走式ロボット1の内部構成図において、対象検知部37は、撮像カメラ36による撮像画像に基づいて、走行環境における商品陳列棚を検知する。状態記憶部38は、環境地図作成部34により作成された環境地図において、対象検知部37により検知した現在の商品陳列棚の陳列状態を順次記憶する。変化推定部39は、状態記憶部38により記憶された商品陳列棚の陳列状態を対象検知部37による検知日時ごとに分析し、当該分析結果に基づいて、商品の不足具合を推定する。
【0073】
ここで商品補充装置130は、図7に示すように、店舗内の商品陳列棚に陳列されている全ての商品をモニタリングする機能と、不足商品を保管エリアから抽出して商品陳列棚の指定位置に補充する機能とを備えている。具体的に商品を補充するために、人間の腕と同じように商品を把持することが可能な多関節ロボット131が支持フレーム132に固定されている。さらに自走式ロボット1の撮像カメラ36と同一構成の撮像カメラ133が支持フレーム132の高さ方向に沿って鉛直方向に上下動し得るようになされており、撮像カメラ36の撮像範囲を超えて補完的に利用することが可能である。
【0074】
この自走式ロボット1では、ロボット本体2の上段に商品補充装置130が接続された際、当該商品補充装置130は、統括制御部(走行制御部)30により商品陳列棚における商品の不足状態を解消することが可能となる。また、自走式ロボット1においては、商品補充装置130は、ロボット本体2への接続時に電源部29から電力供給を受けることが可能となる。
【0075】
(5)他の実施の形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
上述の実施形態においては、機能発揮装置100として、害菌対策装置(紫外線照射装置110および薬液噴霧装置120)と商品補充装置130とを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、自走式ロボット1に搭載可能な種々の機能を発揮可能な装置に広く適用するようにしてもよい。施設内の人間が存在する場所において、人間の安全性を確保したり、人間の便宜性を図ったりするなど、特に人間に関わるサービスの提供に寄与できることが望ましい。
【0077】
また上述の実施形態においては、自走式ロボット1の内部回路図において、統括制御部30は、変化推定部39による推定結果に基づいて、環境地図における機能発揮装置100の機能を発揮させる地点を設定し、当該地点に移動するように走行駆動部31を制御するとともに、ロボット本体2に接続された機能発揮装置100に対して機能発揮のための制御を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、統括制御部30が変化推定部39の機能を実行するようにしてもよい。
【0078】
また同様に統括制御部30は、環境地図作成部34の機能を実行するようにしてもよく、さらに後述する人関与頻度検出部の機能も統括制御部30が実行するようにしてもよい。
【0079】
また上述の実施形態においては、自走式ロボット1は、環境地図に設定された地点において、特定対象を基準とする所定の検出範囲内で人間の全体または一部が関与した頻度を検出する人関与頻度検出部(図示せず)を備えるようにしてもよい。
【0080】
機能発揮装置100が害菌対策装置(紫外線照射装置110または薬液噴霧装置120)の場合には、人関与頻度検出部は、環境地図に設定された地点において、床面の汚れを基準とする所定の検出範囲内で人間の往来頻度や手すり等に触った頻度を検出する。
【0081】
また機能発揮装置100が商品補充装置130の場合には、人関与頻度検出部は、環境地図に設定された地点において、商品陳列棚を基準とする所定の検出範囲内で人間が商品を手に取った頻度を検出する。
【0082】
統括制御部(走行制御部)30は、人関与頻度検出部により検出された関与の頻度が所定の閾値以上である場合、地点における特定対象に対して機能発揮装置100に所定の機能を発揮させる。この結果、自走式ロボット1では、設定した地点における人間の全体または一部が関与した頻度が比較的高い場合には、特定対象に対する所定の機能を機能発揮装置100に発揮させることにより、当該機能のうち人間関与に深く関わる最適化された機能に絞って発揮させることが可能となる。
【0083】
さらに本実施形態においては、自走式ロボット1は、外部の管理サーバ(図示せず)と無線通信する情報通信部を備え、統括制御部30の制御の下、自走式ロボット1自体の各種情報や機能発揮装置100の機能発揮に必要な種々の情報を送信して管理サーバに蓄積するようにしてもよい。
【0084】
さらに本実施形態においては、機能発揮装置100である害菌対策装置として、図5に示すような紫外線照射装置110をロボット本体2の上段に設けた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ロボット本体2の底部に紫外線照射装置140を設けるようにしてもよい。
【0085】
すなわち図8に示すように、ロボット本体2の底部に紫外線照射装置を内設して、床面に対して照射レベルを調整しながら紫外線を照射するようにしてもよい。この紫外線照射装置は、波長帯が200[nm]以上230[nm]以下の紫外線を照射可能なエキシマランプ150を有する。
【0086】
このエキシマランプ150は、上述した図5に示す紫外線照射装置110のような二重円筒型のエキシマランプ111とは異なり、一方向から紫外線を照射可能な断面矩形型の構造からなる。すなわち、エキシマランプ150は、放電用ガスが封入された矩形状の放電空間が形成された放電容器を備え、当該放電容器における紫外線放射面以外の全ての内面に反射膜が形成されている。
【0087】
放電容器の両面側には、誘電体材料を介在させて、放電用ガスに放電を誘起せしめるための外部電極がそれぞれ当該放電容器を挟み込むように形成されている。放電容器の紫外線放射面に形成される外部電極は、スライス状または格子状に形成されるとともに、当該紫外線放射面に対する反対側平面に形成される外部電極は、当該平面全体を覆うように形成されている。
【0088】
この結果、自走式ロボット1では、自走しながらロボット本体2の底面にエキシマランプ150が露出するように内設された紫外線照射装置140を用いて最適な状態で紫外線照射による除菌や殺菌を行うことが可能となる。特にこの紫外線照射装置140では、ロボット本体2の底面から床面に対向して露出させることにより、照射による人体への影響が非常に小さいことから、紫外線の照射レベルを比較的高く調整することが可能となる。すなわち、波長帯が200[nm]以上230[nm]以下の波長帯のエキシマランプ150以外にも、紫外線の照射レベルを床面の菌汚染状態に応じて必要な波長帯の紫外線ランプを設けるようにしてもよい。
【0089】
なお、この自走式ロボット1では、ロボット本体2の底面に紫外線照射装置140を内設したことにより、ロボット本体2の上段に薬液噴霧装置120(図6)を取り付けた状態で統括制御部(走行制御部)30が両方同時に制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…自走式ロボット、2…ロボット本体、2S…切込み空間、3A、3B…駆動輪、4A、4B…オムニホイール、10…レーザレンジセンサ、11…RGB-Dセンサ、12…3D距離画像センサ、20…清掃システム、21…清掃ブラシユニット、22…ダストボックス、23…ノズル部、24…ロールブラシ、25…スクレーパ、26…バンパー、27A~27D…LEDインジケータ、28…スピーカ、29…駆動用バッテリ(電源部)、29A…外部端子、30…統括制御部(走行制御部)、31…走行駆動部、32A、32B…モータドライバ、33A、33B…駆動モータ、34…環境地図作成部、35…目標走行経路記憶部、36…撮像カメラ(環境検知部)、37…対象検知部、38…状態記憶部、39…変化推定部、100…機能発揮装置、110、140…紫外線照射装置、120…薬液噴霧装置、130…商品補充装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8