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特許7458269金融機関側サーバ、決済システム、引落方法、及び引落プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】金融機関側サーバ、決済システム、引落方法、及び引落プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/22 20120101AFI20240322BHJP
   G06Q 40/02 20230101ALI20240322BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G06Q20/22
G06Q40/02
G07G1/12 361B
G07G1/12 321P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020140428
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035846
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511083824
【氏名又は名称】ソニーフィナンシャルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出口 善也
(72)【発明者】
【氏名】前田 高明
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰三
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-224737(JP,A)
【文献】特開2018-142380(JP,A)
【文献】特許第6785646(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部、引落判断部、引落処理部、通知部、及び支払部を含み、
所定の決済手段による商品購入要求時に即座に発生した引落要求に対して即時的に処理を行う金融機関側サーバであって、
前記通信部が、前記商品購入要求時に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第1の引落額を含む第1の引落要求を受信し、
前記引落判断部が、前記第1の引落額に対する前記引落通貨の預金口座残高の第1の不足額を判断し、
前記引落処理部が、前記第1の不足額を変換対象額として、前記第1の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第1の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記第1の引落額を減じる引落処理を行い、
前記通知部が、前記引落処理部による引落処理後、前記商品購入要求に対して前記商品の購入を承認する旨を示す商品購入承認通知を通知し、
前記通信部が、前記第1の引落要求に対応する前記商品の購入が完了した後に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第2の引落額を含む第2の引落要求を受信し、
前記引落判断部が、前記第2の引落額と前記第1の引落額との差分である追加引落額がある場合、前記追加引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第2の不足額を判断し、
前記引落処理部が、前記第2の不足額を変換対象額として、前記第2の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第2の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記追加引落額を減じる引落処理を行い、
前記支払部が、前記引落処理部による引落処理後、前記第2の引落額を支払う振替処理を行う
金融機関側サーバ。
【請求項2】
請求項1記載の金融機関側サーバと、
決済管理企業側サーバから送信された前記第1の引落要求及び前記第2の引落要求を中継して前記金融機関側サーバへ送信する決済処理サーバとを含む決済システムであって、
前記決済処理サーバは、
前記金融機関が閉局する前に、前記金融機関側サーバから、前記引落通貨の預金口座残高及び前記補填通貨の預金口座残高に関する情報と、現時点のレートから算出される為替レートとを取得して、記憶部に格納し、
前記金融機関が閉局している時に、前記第1の引落要求を受信すると、前記金融機関側サーバの前記引落判断部による判断、及び前記引落処理による引落処理、及び前記通知部による通知を代行する代行処理を行い、
前記金融機関が開局したときに、前記代行処理の履歴を、前記金融機関側サーバへ送信する
決済システム。
【請求項3】
通信部、引落判断部、引落処理部、通知部、及び支払部を含み、
所定の決済手段による商品購入要求時に即座に発生した引落要求に対して即時的に処理を行う金融機関側サーバにおける引落方法であって、
前記通信部が、前記商品購入要求時に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第1の引落額を含む第1の引落要求を受信し、
前記引落判断部が、前記第1の引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第1の不足額を判断し、
前記引落処理部が、前記第1の不足額を変換対象額として、前記第1の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第1の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記第1の引落額を減じる引落処理を行い、
前記通知部が、前記引落処理部による引落処理後、前記商品購入要求に対して前記商品の購入を承認する旨を示す商品購入承認通知を通知し、
前記通信部が、前記第1の引落要求に対応する前記商品の購入が完了した後に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第2の引落額を含む第2の引落要求を受信し、
前記引落判断部が、前記第2の引落額と前記第1の引落額との差分である追加引落額がある場合、前記追加引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第2の不足額を判断し、
前記引落処理部が、前記第2の不足額を変換対象額として、前記第2の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第2の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記追加引落額を減じる引落処理を行い、
前記支払部が、前記引落処理部による引落処理後、前記第2の引落額を支払う振替処理を行う
引落方法。
【請求項4】
所定の決済手段による商品購入要求時に即座に発生した引落要求に対して即時的に処理を行うための引落プログラムであって、
前記商品購入要求時に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第1の引落額を含む第1の引落要求を受信し、
前記第1の引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第1の不足額を判断し、
前記第1の不足額を変換対象額として、前記第1の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第1の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記第1の引落額を減じる引落処理を行い、
前記引落処理後、前記商品購入要求に対して前記商品の購入を承認する旨を示す商品購入承認通知を通知し、
前記第1の引落要求に対応する前記商品の購入が完了した後に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第2の引落額を含む第2の引落要求を受信し、
前記第2の引落額と前記第1の引落額との差分である追加引落額がある場合、前記追加引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第2の不足額を判断し、
前記第2の不足額を変換対象額として、前記第2の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第2の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記追加引落額を減じる引落処理を行い、
前記引落処理後、前記第2の引落額を支払う振替処理を行う
ことをコンピュータに実行させるための引落プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関側サーバ、決済システム、引落方法、及び引落プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近日、インターネットの普及に伴い、インターネットを利用したサービスの提供がサービス提供業者により広く行なわれている。例えば、ネットバンクに代表されるように、預金管理、及び資産運用などの金融サービスもインターネットを介して顧客に提供されるようになった。特に、金融サービス提供者は、競合他者との差別化を図るべく、独自のサービスの展開を試みている。
【0003】
例えば、特許文献1には、外貨口座を有する顧客が外国でクレジットカードを利用して外貨の支払いを行なった場合、クレジットカードの利用額を、自国通貨の口座でなく、外貨口座から引き落とす決済システムについて記載されている。仮に外国でのクレジットカードの利用額を自国通貨の口座から引き落とす場合、外貨と自国通貨の間に発生する変換コストを顧客が負担することになる。これに対し、上記決済システムは、顧客が支払うコストを軽減できる点で顧客にとって有益である。
【0004】
上記特許文献1の決済システムでは、クレジットカードの利用額に対して外貨口座の預金残高が不足している場合、クレジットカードの利用額が未決済として処理される。その結果、例えば、決済の延滞料金が発生するなど、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる場合が想定される。
【0005】
そこで、特許文献2には、決済対象通貨の預金口座の残高不足により顧客に負担を強いる可能性を抑制すべく、外貨口座の預金残高の不足分を自国通貨の預金口座から補填する引落処理方法が開示されている。
【0006】
上記特許文献2では、クレジットカードの利用時と利用額に対する決済時とが乖離しているため、クレジットカードの利用時から決済時までに為替レートが変動する可能性がある。そのため、クレジットカードが利用される場合には、複数種類の通貨間で利用額の一部または全部が為替レートに従って変換されると、為替レートの変動によるリスク(以下、単に「為替リスク」とも言う。)が顧客に与えられてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、特許文献3には、商品購入要求時に即座に発生した引落要求に対して即時的に処理を行うことにより、顧客に与えられる為替リスクを抑制する引落処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-229247号公報
【文献】特開2009-238104号公報
【文献】特開2016-224737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、商品購入要求時に即座に発生した引落要求の後に、異なる金額で売上電文が発生することがあり、上記特許文献3に記載の方法では、対応することができない。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、商品購入要求時に即座に発生した引落要求の後に、異なる金額で売上電文が発生した場合であっても、顧客に与えられる為替リスクを抑制することができる金融機関側サーバ、決済システム、引落方法、及び引落プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る金融機関側サーバは、通信部、引落判断部、引落処理部、通知部、及び支払部を含み、所定の決済手段による商品購入要求時に即座に発生した引落要求に対して即時的に処理を行う金融機関側サーバであって、前記通信部が、前記商品購入要求時に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第1の引落額を含む第1の引落要求を受信し、前記引落判断部が、前記第1の引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第1の不足額を判断し、前記引落処理部が、前記第1の不足額を変換対象額として、前記第1の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第1の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記第1の引落額を減じる引落処理を行い、前記通知部が、前記引落処理部による引落処理後、前記商品購入要求に対して前記商品の購入を承認する旨を示す商品購入承認通知を通知し、前記通信部が、前記第1の引落要求に対応する前記商品の購入が完了した後に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第2の引落額を含む第2の引落要求を受信し、前記引落判断部が、前記第2の引落額と前記第1の引落額との差分である追加引落額がある場合、前記追加引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第2の不足額を判断し、前記引落処理部が、前記第2の不足額を変換対象額として、前記第2の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第2の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記追加引落額を減じる引落処理を行い、前記支払部が、前記引落処理部による引落処理後、前記第2の引落額を支払う振替処理を行う。
【0012】
本発明に係る決済システムは、上記の金融機関側サーバと、決済管理企業側サーバから送信された前記第1の引落要求及び前記第2の引落要求を中継して前記金融機関側サーバへ送信する決済処理サーバとを含む決済システムであって、前記決済処理サーバは、前記金融機関が閉局する前に、前記金融機関側サーバから、前記引落通貨の預金口座残高及び前記補填通貨の預金口座残高に関する情報と、現時点のレートから算出される為替レートとを取得して、記憶部に格納し、前記金融機関が閉局している時に、前記第1の引落要求を受信すると、前記金融機関側サーバの前記引落判断部による判断、及び前記引落処理による引落処理、及び前記通知部による通知を代行する代行処理を行い、前記金融機関が開局したときに、前記代行処理の履歴を、前記金融機関側サーバへ送信する。
【0013】
本発明に係る引落方法は、通信部、引落判断部、引落処理部、通知部、及び支払部を含み、所定の決済手段による商品購入要求時に即座に発生した引落要求に対して即時的に処理を行う金融機関側サーバにおける引落方法であって、前記通信部が、前記商品購入要求時に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第1の引落額を含む第1の引落要求を受信し、前記引落判断部が、前記第1の引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第1の不足額を判断し、前記引落処理部が、前記第1の不足額を変換対象額として、前記第1の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第1の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記第1の引落額を減じる引落処理を行い、前記通知部が、前記引落処理部による引落処理後、前記商品購入要求に対して前記商品の購入を承認する旨を示す商品購入承認通知を通知し、前記通信部が、前記第1の引落要求に対応する前記商品の購入が完了した後に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第2の引落額を含む第2の引落要求を受信し、前記引落判断部が、前記第2の引落額と前記第1の引落額との差分である追加引落額がある場合、前記追加引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第2の不足額を判断し、前記引落処理部が、前記第2の不足額を変換対象額として、前記第2の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第2の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記追加引落額を減じる引落処理を行い、前記支払部が、前記引落処理部による引落処理後、前記第2の引落額を支払う振替処理を行う。
【0014】
本発明に係る引落プログラムは、所定の決済手段による商品購入要求時に即座に発生した引落要求に対して即時的に処理を行うための引落プログラムであって、前記商品購入要求時に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第1の引落額を含む第1の引落要求を受信し、前記第1の引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第1の不足額を判断し、前記第1の不足額を変換対象額として、前記第1の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第1の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記第1の引落額を減じる引落処理を行い、前記引落処理後、前記商品購入要求に対して前記商品の購入を承認する旨を示す商品購入承認通知を通知し、前記第1の引落要求に対応する前記商品の購入が完了した後に送信された前記商品の所定の引落通貨による代金に応じた第2の引落額を含む第2の引落要求を受信し、前記第2の引落額と前記第1の引落額との差分である追加引落額がある場合、前記追加引落額に対する前記引落通貨の前記預金口座残高の第2の不足額を判断し、前記第2の不足額を変換対象額として、前記第2の引落要求の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、前記補填通貨による前記補填額を前記補填通貨の預金口座残高から減じると共に、前記第2の不足額を前記引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の前記預金口座残高から前記追加引落額を減じる引落処理を行い、前記引落処理後、前記第2の引落額を支払う振替処理を行うことをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る金融機関側サーバ、決済システム、引落方法、及び引落プログラムによれば、商品購入要求時に即座に発生した引落要求の後に、異なる金額で売上電文が発生した場合であっても、顧客に与えられる為替リスクを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】デビットカードによる決済の流れを示した説明図である。
図2】決済システムの構成を示したブロック図である。
図3】銀行側サーバ及び決済処理サーバのハードウェア構成を示したブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る銀行側サーバの構成を示した機能ブロック図である。
図5】顧客情報DB、円預金情報DB、及び外貨預金情報DBの構成例を示した説明図である。
図6】オーソリ電文の構成例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る決済処理サーバの構成を示した機能ブロック図である。
図8】本発明の実施形態に係る決済システムの基本的な動作の流れを示したシーケンス図である。
図9】本発明の実施形態に係る銀行側サーバの動作の基本的な動作の流れを示したフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る銀行側サーバの動作の基本的な動作の流れを示したフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係る銀行側サーバの動作の流れを示したフローチャートである。
図12】本発明の実施形態に係る銀行側サーバの動作の流れを示したフローチャートである。
図13】本発明の実施形態に係る銀行側サーバの動作の流れを示したフローチャートである。
図14】通常の引落処理の具体例を示した説明図である。
図15】売上処理時に外貨口座が閉鎖済みの場合における引落処理の具体例を示した説明図である。
図16】本発明の実施形態に係る決済システムの、銀行が閉局する時の動作の流れを示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
本実施の形態では、カードの利用時から決済時までにタイムラグの生じるクレジットカードを用いる場合ではなく、カードの利用時から決済時までに即時性のあるデビットカードを用いる場合について説明する。
【0019】
〔1〕デビットカードによる決済の概要
まず、図1を参照し、デビットカードによる決済について概略的に説明する。
【0020】
図1は、デビットカードによる決済の流れを示した説明図である。より詳細には、図1には、顧客、デビットカードのカード会社、カード会社の加盟店、及び顧客の預金口座を管理する金融機関による決済の流れを示している。なお、カード会社が、決済管理企業の一例である。また、銀行が、金融機関の一例である。
【0021】
(ステップS1)
まず、顧客は、デビットカードを利用した場合に口座から利用額が引き落とされることを考慮し、金融機関が管理する口座に必要に応じて金銭を入金する。ここで、外貨での引落が発生する場合、顧客は円預金口座の円預金の一部で外貨を購入し、購入した外貨を外貨口座に充当してもよい。この場合、顧客は、通常、銀行等の金融機関において売買により発生する為替コストを含む為替レートで外貨を購入する。
【0022】
(ステップS2)
続いて、顧客が加盟店に対して商品またはサービスを要求し、商品またはサービスの代金をデビットカードで支払う。なお、顧客は、加盟店に直接赴いてデビットカードにより代金の支払いを行なっても、インターネットを介してデビットカードにより代金の支払いを行なってもよい。また、加盟店は、例えば、商品を販売する商品販売業者、宿泊や移動手段の予約サービスを行なう旅行業者、教育サービスを提供する教育業者、音楽や映像などのコンテンツの配信サービスを提供するコンテンツ配信業者、または、異常事態に備える警備サービスを提供する警備業者などであってもよい。
【0023】
(ステップS3及びS4)
次に、加盟店は、顧客により利用されたデビットカードに記録されている情報をデビットカード照会用のネットワークを経由してカード会社に転送する。カード会社は、加盟店から受信した情報に基づき、デビットカードの有効性の確認、顧客のカード与信残高の照会等を行なう。そして、カード会社は、デビットカードに問題ない場合には、加盟店でのデビットカードによる代金の支払いを許可する。
【0024】
その後、加盟店は、デビットカードによる支払いに関する情報をデビットカード端末から入力してオーソリ電文をカード会社へ送信する。ここで、オーソリ電文とは、顧客が取引において決済手段を利用した時点において、その取引を許容するかどうかの判定、並びに顧客口座からの引落を行うことを要求する旨の電文である。オーソリ電文が、第1の引落要求の一例である。
【0025】
(ステップS5)
そして、カード会社は、金融機関に対し、顧客によるデビットカード利用額の利用可否の問い合わせを行う。金融機関は、カード会社からの問い合わせに応じ、顧客の口座からのデビットカード利用額の引落処理を行う。
【0026】
(ステップS6)
その後、金融機関は、デビットカード利用額の引落処理が完了した場合、顧客及びカード会社に対して引落処理が完了した旨の通知を行なう。以上説明したステップS1~ステップS6までの一連の流れにより、デビットカードによる購入手続きが完了する。デビットカードを利用した場合には、クレジットカードを利用した場合と比較して、ステップS3からステップS6までの処理が即時的に行われる。
【0027】
(ステップS7)
その後、加盟店は、デビットカードによる支払いに関する売上電文を店舗側端末から入力してカード会社へ送信する。ここで、売上電文とは、加盟店又はアクワイアラが顧客との商取引を完了した旨の電文である。売上電文に基づいて、支払処理が行われる。また、オーソリ電文との差額があれば追加の引落もしくは返金が行われる。売上電文が、第2の引落要求の一例である。
【0028】
(ステップS8)
そして、カード会社は、金融機関に対し、カード会社が指定する口座へのデビットカード利用額の振替処理(決済処理)を依頼する。金融機関は、カード会社からの依頼に応じ、デビットカード利用額の振替処理を行う。
【0029】
(ステップS9)
その後、カード会社は、デビットカードの利用額からカード会社の手数料を差し引いた額を加盟店の指定する銀行口座へ入金する。
【0030】
ここで、売上電文におけるデビットカードの利用額が、上記ステップS5の引落処理におけるデビットカード利用額と異なる場合がある。例えば、売上電文におけるデビットカードの利用額が、チップを含んだ金額である場合などである。
【0031】
この場合、金融機関は、顧客の口座からのデビットカード利用額の差額の引落処理又は差額の返金処理を行う。
【0032】
〔2〕本発明の実施形態に係る決済システムについて
続いて、図2を参照し、本発明の実施形態に係る決済システム100について説明する。
【0033】
決済システム100は、銀行側サーバ20と、カード会社側サーバ30と、加盟店に設けられた店舗側端末40と、決済処理サーバ50とを含んで構成されている。カード会社側サーバ30と店舗側端末40とはネットワーク12Aを介して接続されている。カード会社側サーバ30と決済処理サーバ50とはネットワーク12Bを介して接続されている。銀行側サーバ20と決済処理サーバ50とはネットワーク12Cを介して接続されている。
【0034】
〔3〕本発明の実施形態に係る銀行側サーバについて
続いて、図3図6を参照し、金融機関に設けられて上記引落処理及び振替処理(決済処理)を実行する金融機関側サーバの一例として、本発明の実施形態に係る銀行側サーバ20について説明する。
【0035】
〔3-1〕本発明の実施形態に係る銀行側サーバのハードウェア構成
図3は、銀行側サーバ20のハードウェア構成を示したブロック図である。銀行側サーバ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、通信装置215とを備える。
【0036】
CPU201は、各種プログラムに従って銀行側サーバ20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。
【0037】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205及び外部バス206を分離構成する必要はなく、一のバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0038】
入力装置208は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチ及びレバーなど銀行側サーバ20の管理者が情報を入力するための入力手段と、銀行側サーバ20の管理者による入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。銀行側サーバ20の管理者は、該入力装置208を操作することにより、銀行側サーバ20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0039】
出力装置210は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Display)装置及びランプなどの表示装置と、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置で構成される。出力装置210は、例えば、再生されたコンテンツを出力する。具体的には、表示装置は再生された映像データ等の各種情報をテキストまたはイメージで表示する。一方、音声出力装置は、再生された音声データ等を音声に変換して出力する。
【0040】
ストレージ装置211は、本実施形態に係る銀行側サーバ20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置211は、ハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。また、このストレージ装置211には、後述の、例えば顧客情報DB、円預金情報DBなどが記録される。
【0041】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、銀行側サーバ20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。
【0042】
通信装置215は、例えば、ネットワーク12Cに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、ネットワーク12A~12Cは、ネットワーク12A~12Cに接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク12A~12Cは、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。通信装置215は、このようなネットワーク12A~12Cを介してクライアント端末10やカード会社側サーバ30、決済処理サーバ50との間で各種データを送受信する。
【0043】
〔3-2〕本発明の実施形態に係る銀行側サーバの機能
以上、図3を参照して本実施形態に係る銀行側サーバ20のハードウェア構成について説明した。続いて、図4図6を参照し、本実施形態に係る銀行側サーバ20の機能を説明する。
【0044】
図4は、本実施形態に係る銀行側サーバ20の構成を示した機能ブロック図である。図4に示したように、本実施形態に係る銀行側サーバ20は、通信部216と、テーブル管理部220と、記憶部230と、引落判断部240と、引落処理部250と、通知部260と、支払部270と、を備える。
【0045】
通信部216は、クライアント端末10、及びネットワーク12Cに接続され、受信部、及び送信部としての機能を有する。また、通信部216は、顧客口座からの引落請求額(以下、単に「請求額」とも言う。)を含むオーソリ電文及び売上電文をカード会社側サーバ30から受信する機能も有する。さらに、通信部216は、基準レート(為替レート)を提供する情報提供サーバ(図示省略)から、所定間隔で基準レートを取得する機能も有する。
【0046】
なお、図4においてクライアント端末10の一例としてPC(Personal Computer)を示しているが、クライアント端末10は、スマートフォン、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、携帯用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。
【0047】
テーブル管理部220は、記憶部230に記憶されている各DBの管理を行なう。例えば、テーブル管理部220は、新たな顧客に関する顧客テーブルを作成して顧客情報DBに登録したり、顧客テーブルの内容を更新したり、必要に応じて削除したりする。
【0048】
(各DBの構成)
記憶部230は、顧客情報DB、円預金情報DB、外貨預金情報DB、レートDB、及び銀行口座情報DBなどの任意のデータを記憶している。以下、図5を参照して顧客情報DB、円預金情報DB、及び外貨預金情報DBについて説明する。
【0049】
図5は、顧客情報DB、円預金情報DB、及び外貨預金情報DBの構成例を示した説明図である。図5に示したように、顧客情報DBは顧客ごとの顧客テーブルを含み、円預金情報DBは顧客ごとの円預金テーブルを含み、外貨預金情報DBは顧客ごとの外貨預金テーブルを含む。
【0050】
さらに、顧客テーブルは、識別情報、顧客情報、及び履歴情報を含む。識別情報は、銀行側サーバ20に登録されている顧客を識別する情報であり、例えば口座番号に対応する。顧客情報は、顧客に関する情報であり、例えば顧客の氏名、年齢、生年月日、住所、電話番号、自宅PCのメールアドレス、職業、家族構成、年収、及びパスワードなどの情報を含んでもよい。さらに、顧客情報は、顧客が外貨クレジットカードを有するか否かを示す情報、及び顧客の優良性の度合いを示す顧客ステージを含む。履歴情報は、顧客テーブルの更新前の情報と更新後の情報を含む。例えば、履歴情報には、パスワードが変更された場合、変更前のパスワードが記録され、顧客の住所が変更された場合、変更前の住所が記録される。
【0051】
また、円預金テーブルは、識別情報、円普通預金情報、円定期預金情報、及び履歴情報を含む。識別情報は、顧客を識別する情報であり、銀行側サーバ20は該識別情報を参照することにより対象顧客の円預金テーブルを検索することができる。円普通預金情報は、現在の普通預金の残高情報を含む。また、円定期預金情報は、例えば1年定期100万円、満期日、金利などの約定定期ごとの円定期預金に関する情報を含む。履歴情報は、以前に顧客が行なった取引や行動の内容を示し、例えば、円普通預金及び円定期預金についての入出金額及び日時に関する情報を含む。
【0052】
また、外貨預金テーブルは、識別情報、外貨普通預金情報、外貨定期預金情報、及び履歴情報を含む。識別情報は、顧客を識別する情報であり、銀行側サーバ20は該識別情報を参照することにより対象顧客の外貨預金テーブルを検索することができる。外貨普通預金情報は、現在の普通預金の残高情報を含む。また、外貨定期預金情報は、外貨定期預金に関する情報を含む。履歴情報は、以前に顧客が行なった取引や行動の内容を示し、例えば、外貨普通預金及び外貨定期預金についての入出金額及び日時に関する情報を含む。
【0053】
銀行口座情報DBは、銀行自身が保有する口座の円貨の残高に関する情報、及び銀行自身が保有する口座の外貨の残高に関する情報を記憶している。
【0054】
レートDBは、情報提供サーバ(図示省略)から所定間隔で取得した最新の各国通貨の基準レートを記憶している。
【0055】
テーブル管理部220は、顧客が外貨を売却して円を購入する際、該顧客を示す識別情報を含む円預金テーブル及び外貨預金テーブルを検索する。そして、テーブル管理部220は、外貨預金テーブルに含まれる外貨普通預金情報の示す額を減算し、減算額を現在の為替レートで円に変換し、変換された円の額を円預金テーブルに含まれる円普通預金情報の示す額に加算する。さらに、テーブル管理部220は、円預金テーブル及び外貨預金テーブルの双方に含まれる履歴情報に日時、金額の増減などの情報を記録する。
【0056】
なお、外貨預金テーブルの外貨普通預金情報及び外貨定期預金情報には、ドルやユーロなどの各国通貨ごとにデータが記録されている。このため、外貨普通預金情報及び外貨定期預金情報には、各国通貨の識別子(例えば、米ドルは1、ユーロは2)が含まれ、銀行側サーバ20はかかる識別子に基づいて特定の通貨に関する処理を行うことができる。
【0057】
また、このような各種DBが記録される記憶部230は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、ハードディスク及び円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクや、CD-R(Compact Disc Recordable)/RW(ReWritable)、DVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)/RW/+R/+RW/RAM(Random Access Memory)及びBD(Blu-Ray Disc(登録商標))-R/BD-REなどの光ディスクや、MO(Magneto Optical)ディスクなどの記憶媒体であってもよい。
【0058】
(決済処理)
ここで、図4を参照して銀行側サーバ20の構成の説明に戻って説明を続ける。以下、顧客が外国でデビットカードを利用して外貨によって買い物をした場合を想定する。加盟店は、加盟店のある国の通貨を引落通貨とし、引落通貨による代金をカード会社側サーバ30に送信する。カード会社側サーバ30は、代金を受信してから、引落通貨による代金に応じた第1の引落額(以下、「引落通貨による引落額」とも言う。)を含む引落要求(以下、「オーソリ電文」とも言う。)を即時に銀行側サーバ20に送信する。例えば、引落通貨による引落額は、引落通貨による代金自体であってよい。
【0059】
ここで、オーソリ電文の構成例を説明する。図6は、オーソリ電文の構成例を示す図である。図6に示すように、オーソリ電文は、カード番号、利用通貨額(引落通貨による引落額)、利用通貨(引落通貨)、基準通貨額、基準通貨(補填通貨)、基準通貨変換レート及び取引番号を有する。カード番号は、口座番号と関連付けられた形式で顧客情報DBの顧客テーブルに含まれていてよい。取引番号は、取引を識別する情報である。基準通貨は、カード発行国の通貨であってよい。基準通貨変換レートは、利用通貨から基準通貨への変換レートである。
【0060】
図4に戻って説明を続ける。通信部216は、かかるオーソリ電文を受信する。引落判断部240は、オーソリ電文から引落通貨による第1の引落額を抽出し、第1の引落額に対する引落通貨の預金口座残高の不足額を判断する。この不足額が、第1の不足額の一例である。
【0061】
引落処理部250は、引落通貨の不足額を変換対象額として所定のレート(例えば、現時点の為替レートと為替コストから定まるレート)により変換し、補填通貨による補填額とする。そして、引落処理部250は、補填通貨による補填額を引落通貨の預金口座残高に補填し、補填後の引落通貨の預金口座残高から引落処理を行い、銀行自身が保有する口座の引落通貨の残高に加算する。
【0062】
かかる構成によれば、デビットカードの利用時から利用額に対する決済時までが即時的であるため、デビットカードの利用時から決済時までに為替レートが変動する可能性が低減される。そのため、デビットカードが利用される場合には、複数種類の通貨間で利用額の一部または全部が為替レートに従って変換されても、為替リスクが顧客に与えられてしまう可能性が抑制される。補填通貨による補填額が自動的に補填されるため、顧客に負担を強いる可能性も抑制される。また、即時的に決済要求が送信されるため、決済に関する処理速度も向上し得る。
【0063】
より詳細には、クレジットカードを用いる場合には、購入要求日から引落日までに時間が経過してしまっているため、引落日におけるレートが予期せぬレートとなる場合もあり為替リスクが大きい。一方、本実施形態によれば、デビットカードが利用されることで購入要求時に送信されたレートに基づいて引落額が決定されるため、為替リスクが低減される。
【0064】
さらに、通知部260は、引落処理部250による引落処理後、商品購入要求に対して商品の購入を承認した旨を示す商品購入承認通知としてのオーソリ応答を、通信部216を介して店舗側端末40へ送信する。また、通知部260は、商品購入承認通知をクライアント端末10に通知してもよい。そうすれば、商品購入要求に対して商品の購入が完了した旨を示す商品購入承認通知が通知されるため、顧客は商品購入要求時に購入(決済)が完了したことを知ることができる。
【0065】
このとき、補填通貨の預金口座残高がマイナスにならないように制御されてもよい。すなわち、引落判断部240は、補填通貨の預金口座残高が補填額に対して不足しているか否かを判断する。そして、引落処理部250は、補填通貨の預金口座残高が補填額に対して不足していない場合、補填通貨の預金口座残高から補填額を引落通貨の預金口座残高に補填すればよい。一方、引落処理部250は、補填通貨の預金口座残高が補填額に対して不足している場合、決済を行なわないようにしてよい。
【0066】
ここで、補填通貨を決定する手法は特に限定されないが、例えば、以下に示すような手法が採用され得る。例えば、一つ目の手法として、補填通貨をあらかじめ手動または自動的に決定しておく手法が想定される。また、二つ目の手法として、通貨ごとの優先順位が定義されたテーブルを参照する手法が想定される。かかる手法においては、優先順位の高い通貨から口座残高を参照し、口座残高が補填額に対して不足していない通貨を補填通貨として決める処理が必要となる。また、三つ目の手法として、決済要求に含まれる基準通貨を補填通貨として決定する手法が想定される。
【0067】
また、顧客が引落通貨の預金口座を開設済みであるとは限らない。そこで、顧客が引落通貨の預金口座を未開設である状況や、閉鎖済みである状況にも柔軟に対応可能とするのがよい。具体的には、カード会社側サーバ30は、基準通貨(補填通貨)による引落額(以下、「基準通貨による引落額」とも言う。)を算出し、基準通貨による引落額を含めた引落要求を銀行側サーバ20に送信する。通信部216は、この引落要求を受信し、引落処理部250は、引落通貨の預金口座が開設済みである場合には、補填後の引落通貨の預金口座残高から引落処理を行なえばよい。
【0068】
一方、引落処理部250は、引落通貨の預金口座が未開設である場合や閉鎖済みの場合には、基準通貨の預金口座残高から基準通貨による引落額を減じればよい。ただし、カード会社側サーバ30における基準通貨による引落額の算出には、カード会社による引落通貨から基準通貨への変換コストが生じる。すなわち、引落通貨の預金口座が未開設である場合には、かかる変換コストを顧客が負担しなくてはならないため、引落通貨の預金口座の開設が促進されるといった効果も享受され得る。また、デビットカードは、よりお財布感覚で商品購入ができるメリットがあるため、決済可能か否かを即時に確認できることと、即時に決済できることが重要となる。そこで、このように万一顧客が決済口座を開設していなかった場合でも基準通貨での決済はできるような仕組みを構築することによって、かかるメリットを生かしつつ決済可否判断と実際の決済が行えることになる。
【0069】
なお、引落通貨の預金口座が開設済みであるか否か、閉鎖済みであるか否かはどのように判断されてもよい。例えば、顧客情報に通貨ごとの口座の有無を示すフラグが設けられている場合には、そのフラグを参照することによって、引落通貨の預金口座が開設済みであるか否か、閉鎖済みであるか否かが判断されてもよい。あるいは、外貨普通預金情報に含まれている通貨ごとのデータを参照することによって、引落通貨の預金口座が開設済みであるか否か、閉鎖済みであるか否かが判断されてもよい。
【0070】
以上に説明した例では、加盟店のある国の通貨を引落通貨とし、顧客自身の国の通貨を基準通貨(補填通貨)とする例を説明したが、引落通貨及び基準通貨はどのように決められてもよい。例えば、引落判断部240は、顧客によってあらかじめ入力されて記録された引落通貨を識別するための情報に基づいて引落通貨を特定してもよい。そうすれば、顧客は、引落処理によって残高が変更されても構わない預金口座を指定することが可能となる。あるいは、引落判断部240は、引落通貨による引落額に含まれる通貨単位に基づいて引落通貨を特定してもよい。
【0071】
同様に、引落判断部240は、顧客によってあらかじめ入力されて記録された基準通貨を識別するための情報に基づいて基準通貨を特定してもよい。そうすれば、顧客は、補填処理によって残高が変更されても構わない預金口座を指定することが可能となる。あるいは、引落判断部240は、基準通貨による引落額に含まれる通貨単位に基づいて基準通貨を特定してもよい。
【0072】
以上、オーソリ電文を受信した場合の引落判断部240、引落処理部250、及び通知部260の機能について説明した。続いて、売上電文を受信した場合の引落判断部240、引落処理部250、及び支払部270の機能について説明する。
【0073】
加盟店は、顧客による購入手続きが完了した後に、オーソリ電文に対応する、引落通貨による最終的な代金に応じた第2の引落額を含む引落要求(以下、「売上電文」とも言う。)を、カード会社側サーバ30に送信する。カード会社側サーバ30は、受信した売上電文を即時に銀行側サーバ20に送信する。
【0074】
売上電文の構成例は、上記図6のオーソリ電文と同様である。
【0075】
通信部216は、かかる売上電文を受信する。引落判断部240は、売上電文から引落通貨による第2の引落額を抽出し、第2の引落額と第1の引落額との差分である追加引落額があるか否かを判断する。引落判断部240は、追加引落額がある場合、追加引落額に対する引落通貨の預金口座残高の不足額を判断する。この不足額が、第2の不足額の一例である。
【0076】
引落処理部250は、追加引落額に対する不足額を変換対象額として所定のレート(例えば、現時点の為替レートとコストから定まるレート)により変換し、補填通貨による補填額とする。そして、引落処理部250は、補填通貨による補填額を引落通貨の預金口座残高に補填し、補填後の引落通貨の預金口座残高から、追加引落額の引落処理を行い、銀行自身が保有する口座の引落通貨の残高に加算する。
【0077】
支払部270は、引落処理部250による引落処理後、銀行自身が保有する口座の引落通貨の残高から、第2の引落額を、カード会社に対して支払う振替処理を行う。
【0078】
〔4〕本発明の実施形態に係る決済処理サーバについて
続いて、図7を参照し、本発明の実施形態に係る決済処理サーバ50について説明する。
【0079】
〔4-1〕本発明の実施形態に係る決済処理サーバのハードウェア構成
決済処理サーバ50のハードウェア構成は、上記図3に示す銀行側サーバ20のハードウェア構成と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
〔4-2〕本発明の実施形態に係る決済処理サーバの機能
以上、上記図3を参照して本実施形態に係る決済処理サーバ50のハードウェア構成について説明した。続いて、図7を参照し、本実施形態に係る決済処理サーバ50の機能を説明する。
【0081】
図7は、本実施形態に係る決済処理サーバ50の構成を示した機能ブロック図である。図7に示したように、本実施形態に係る決済処理サーバ50は、通信部516と、オーソリ中継処理部530と、売上中継処理部540と、閉局時処理部550と、代行処理部560と、開局時処理部570と、を備える。
【0082】
通信部516は、ネットワーク12B、12Cに接続され、受信部、及び送信部としての機能を有する。
【0083】
オーソリ中継処理部530は、カード会社側サーバ30から受信したオーソリ電文を中継して、通信部516により銀行側サーバ20へ送信する。オーソリ中継処理部530は、受信したオーソリ電文を、記憶部520に格納する。
【0084】
売上中継処理部540は、カード会社側サーバ30から受信した売上電文を中継して、通信部516により銀行側サーバ20へ送信する。売上中継処理部540は、受信した売上電文に対応するオーソリ電文を、記憶部520から削除する。
【0085】
閉局時処理部550は、銀行が閉局する前に、銀行側サーバ20から、顧客情報DB、円預金情報DB、外貨預金情報DB、及びレートDBの各データを取得して、記憶部520に格納する。これにより、記憶部520に記憶されている各DBは、銀行側サーバ20の記憶部230の各DBと同じデータとなる。すなわち、記憶部520は、顧客情報DB、円預金情報DB、外貨預金情報DB、及びレートDBを記憶している。また、記憶部520は、さらに、オーソリ電文を記憶したオーソリ情報DBを記憶している。
【0086】
代行処理部560は、金融機関が閉局している時に、オーソリ電文を受信すると、銀行側サーバ20の引落判断部240、引落処理部250、及び通知部260の各処理を代行する代行処理を行う。
【0087】
すなわち、代行処理部560は、引落判断部240と同様に、オーソリ電文から引落通貨による第1の引落額を抽出し、第1の引落額に対する引落通貨の預金口座残高の不足額を判断する。代行処理部560は、引落処理部250と同様に、引落通貨の不足額を変換対象額として所定のレート(例えば、現時点の為替レートとコストから定まるレート)により変換し、補填通貨による補填額とする。そして、代行処理部560は、引落処理部250と同様に、補填通貨による補填額を引落通貨の預金口座残高に補填し、補填後の引落通貨の預金口座残高から引落処理を行い、銀行自身が保有する口座の引落通貨の残高に加算することを、代行処理の履歴として記録する。
【0088】
さらに、代行処理部560は、通知部260と同様に、引落処理後、商品購入要求に対して商品の購入を承認する旨を示すオーソリ応答を、通信部216を介してカード会社側サーバ30に通知する。
【0089】
開局時処理部570は、銀行が開局したときに、代行処理部560による代行処理の履歴を、銀行側サーバ20へ送信する。銀行側サーバ20は、代行処理の履歴に従って、補填通貨による補填額を引落通貨の預金口座残高に補填し、補填後の引落通貨の預金口座残高から引落処理を行い、銀行自身が保有する口座の引落通貨の残高に加算する。
【0090】
〔5〕本発明の実施形態に係る決済システムの動作
以上、図3図7を参照して本実施形態に係る銀行側サーバ20及び決済処理サーバ50の機能を説明した。続いて、図8を参照し、本実施形態に係る店舗側端末40、カード会社側サーバ30、決済処理サーバ50、及び銀行側サーバ20の間のデータのやりとりについて説明する。
【0091】
図8は、本実施形態に係る決済システム100の基本的な決済処理の流れを示したシーケンス図である。図8に示すように、まず、顧客が加盟店に対して商品またはサービスを要求し、商品またはサービスの代金をデビットカードで支払うと、加盟店の店舗側端末40は、オーソリ電文をネットワーク12Aを介してカード会社側サーバ30に送信する(S10)。
【0092】
そして、カード会社側サーバ30は、店舗側端末40から受信したオーソリ電文を、決済処理サーバ50へ転送する(S12)。
【0093】
そして、決済処理サーバ50は、受信したオーソリ電文を、銀行側サーバ20へ転送する(S14)。このとき、決済処理サーバ50は、受信したオーソリ電文を、記憶部520に格納する。また、決済処理サーバ50は、受信したオーソリ電文に対して、データ変換等を行ってもよい。
【0094】
そして、銀行側サーバ20は、受信したオーソリ電文に基づいて引落処理を行い、引落処理が完了すると、オーソリ電文を送信した店舗側端末40へのオーソリ応答を、決済処理サーバ50へ送信する(S16)。
【0095】
そして、決済処理サーバ50は、受信したオーソリ応答を、カード会社側サーバ30へ転送する(S18)。このとき、決済処理サーバ50は、受信したオーソリ電文を、記憶部520のオーソリ情報DBに格納する。また、決済処理サーバ50は、受信したオーソリ電文に対して、データ変換等を行ってもよい。
【0096】
そして、カード会社側サーバ30は、受信したオーソリ応答を、店舗側端末40へ転送する(S20)。店舗側端末40は、オーソリ応答を受信すると、デビットカードによる購入手続きを完了させる。
【0097】
その後、デビットカードによる支払いに関する売上電文が店舗側端末40に入力されると、店舗側端末40が、最終的なデビットカード利用額を含む売上電文を、カード会社側サーバ30へ送信する(S22)。
【0098】
そして、カード会社側サーバ30は、店舗側端末40から受信した売上電文を、決済処理サーバ50へ転送する(S24)。
【0099】
そして、決済処理サーバ50は、受信した売上電文を、銀行側サーバ20へ転送する(S26)。このとき、決済処理サーバ50は、受信した売上電文に対応するオーソリ電文に関する情報を、記憶部520のオーソリ情報DBから削除する。また、決済処理サーバ50は、受信した売上電文に対して、データ変換等を行ってもよい。
【0100】
そして、銀行側サーバ20は、受信した売上電文に基づいて追加引落額があるか否かを判断し、追加引落額がある場合、引落処理を行う。また、銀行側サーバ20は、最終的なデビットカード利用額を、カード会社に対して支払う振替処理を行い、支払完了通知を、カード会社側サーバ30へ送信する(S28)。
【0101】
そして、カード会社側サーバ30は、デビットカードの利用額からカード会社の手数料を差し引いた額を加盟店の指定する銀行口座へ入金すると共に、支払完了通知を、店舗側端末40へ送信する(S30)。
【0102】
続いて、図9図14を参照し、上記ステップS16における銀行側サーバ20の詳細な動作について説明する。
【0103】
図9は、本実施形態に係る銀行側サーバ20の基本的な決済処理の流れを示したフローチャートである。図9に示すように、まず、引落判断部240は、利用通貨(引落通貨)が取扱通貨であるか否かを判断する(S801)。引落判断部240は、利用通貨(引落通貨)が取扱通貨ではないと判断した場合には、S804に動作を移行させる。一方、利用通貨(引落通貨)が取扱通貨であると判断した場合、利用通貨(引落通貨)の口座が開設されているか否かを判断する(S802)。
【0104】
続いて、引落判断部240は、利用通貨(引落通貨)の口座が開設されていないと判断した場合、S804に動作を移行させる。一方、引落判断部240は、利用通貨(引落通貨)の口座が開設されていると判断された場合、利用通貨(引落通貨)の口座残高が利用金額(引落通貨による引落額)以上であるか否かを判断し(S803)、利用通貨(引落通貨)の口座残高が利用金額(引落通貨による引落額)以上であると判断された場合には、引落処理部250は、利用金額の引落処理を行う(S806)。一方、利用通貨(引落通貨)の口座残高が利用金額(引落通貨による引落額)以上ではないと判断された場合には、引落判断部240は、S812(図10)に動作を移行させる。
【0105】
S812に動作が移行された場合、引落判断部240は、不足額を判断し、不足額を補填通貨に変換して変換後の不足額を変換額として取得する(S812)。そして、引落処理部250は、補填通貨の口座残高が変換額以上であるか否かを判断し(S813)、引落処理部250は、補填通貨の口座残高が変換額以上であると判断された場合には、補填通貨の口座から変換額相当分を利用通貨口座(引落通貨の預金口座)へ充当し(S814)、利用金額の引落処理を実行する(S806)。一方、引落処理部250は、補填通貨の口座残高が変換額以上ではない場合、引落処理を実行しない。
【0106】
動作がS804に移行された場合、引落処理部250は、基準通貨の口座が開設されているか否かを判断する(S804)。引落処理部250は、基準通貨の口座が開設されていないと判断した場合には、引落処理を実行しない(S807)。一方、引落処理部250は、基準通貨の口座が開設されていると判断した場合には、基準通貨の口座残高が基準通貨換算の利用金額(基準通貨による引落額)以上であるか否かを判断する(S805)。引落処理部250は、基準通貨の口座残高が基準通貨換算の利用金額(基準通貨による引落額)以上であると判断された場合には、基準通貨換算の利用金額の引落処理を実行し、基準通貨の口座残高が基準通貨換算の利用金額(基準通貨による引落額)以上ではないと判断された場合には、引落処理を実行しない(S807)。
【0107】
図11図13は、本実施形態に係る銀行側サーバ20の引落処理の流れを示したフローチャートである。図11に示したように、まず、引落処理部250が、決済通貨(引落通貨)が事前に設定されているか否かを判断する(S101)。そして、決済通貨(引落通貨)が事前に設定されていると判断された場合、銀行側サーバ20は、S105の処理に進む。一方、決済通貨(引落通貨)が事前に設定されていないと判断された場合、引落処理部250は、決済要求(引落要求)から決済通貨(引落通貨)を取得する(S103)。
【0108】
続いて、引落処理部250が、補填通貨が事前に設定されているか否かを判断する(S105)。そして、補填通貨が事前に設定されていると判断された場合、銀行側サーバ20は、S109の処理に進む。一方、補填通貨が事前に設定されていないと判断された場合、引落処理部250は、基準通貨を補填通貨に設定する(S107)。ただし、補填通貨として自国通貨(円通貨)を設定するのは、あくまでも一例であるため、補填通貨は、自国通貨(円通貨)に限定されない。
【0109】
続いて、引落処理部250は、顧客が決済通貨(引落通貨)の預金口座を持っているか否かを判断する(S109)。そして、顧客が決済通貨(引落通貨)の預金口座を持っていないと判断された場合、銀行側サーバ20は、S121の処理(図12参照)に進む。一方、顧客が決済通貨(引落通貨)の預金口座を持っていると判断された場合、引落処理部250は、決済通貨(引落通貨)による請求額を決済通貨(引落通貨)の預金口座の残高で決済できるか否かを判断する(S110)。
【0110】
引落処理部250は、決済通貨(引落通貨)による請求額を決済通貨(引落通貨)の預金口座の残高で決済できると判断された場合には、引落処理(S140)を行なって、動作を終了する。一方、銀行側サーバ20は、決済通貨(引落通貨)による請求額を決済通貨(引落通貨)の預金口座の残高で決済できないと判断された場合には、S131の処理に進む。
【0111】
図12に示すように、S121の処理に進んだ場合、引落処理部250は、決済通貨(引落通貨)による不足分を所定のレート(例えば、為替レート)により補填通貨に変換する(S121)。続いて、引落処理部250は、補填通貨による不足分を補填通貨の預金残高で決済できるか否かを判断する(S123)。補填通貨による不足分を補填通貨の預金残高で決済できると判断された場合には、引落処理部250は、補填通貨の預金口座から決済通貨(引落通貨)の預金残高に補填通貨による不足分を補填し(S127)、引落処理(S140)を行なう。
【0112】
一方、補填通貨による不足分を補填通貨の預金残高で決済できないと判断された場合には、引落処理部250は、引落処理を行なわずに(S125)、動作を終了する。
【0113】
また、図13に示すように、S131の処理に進んだ場合、引落処理部250は、補填通貨による不足分を基準通貨の預金残高で決済できるか否かを判断する(S131)。補填通貨による不足分を基準通貨の預金残高で決済できると判断された場合には、基準通貨を決済通貨(引落通貨)に設定して(S135)、引落処理(S140)を行なう。一方、補填通貨による不足分を基準通貨の預金残高で決済できないと判断された場合には、引落処理部250は、引落処理を行なわずに(S133)、動作を終了する。
【0114】
引落処理(S140)では、引落処理部250は、決済通貨(引落通貨)の預金口座の残高で引落を行なう。
【0115】
図14は、基本的な決済処理の実施例を示した図である。図14に示すように、まず、顧客の外貨口座残高が、米ドルで20ドルであり、顧客の円口座残高が、10000円であるとする。このとき、銀行側サーバ20が、30米ドルのオーソリ電文を受信すると(S200)、現時点の為替レートと為替コストとを合わせたレート(例えば、1ドル100円)で、不足額の10ドルに対応する1000円を、顧客の円口座残高から引き落とし(S202)、顧客の外貨口座残高に、10米ドルを補填する(S204)。その後、デビットカード利用額の30米ドルを、顧客の外貨口座残高から引き落とし、銀行が保有する口座の米ドル支払勘定に、30米ドルを加算する(S206)。
【0116】
その後、銀行側サーバ20が、50米ドルの売上電文を受信すると(S210)、現時点の為替レートと為替コストとを合わせたレート(例えば、1ドル101円)で、追加引落の20ドルに対応する2020円を、顧客の円口座残高から引き落とし(S212)、顧客の外貨口座残高に、20米ドルを補填する(S214)。その後、追加引落額の20米ドルを、顧客の外貨口座残高から引き落とし、銀行が保有する口座の米ドル支払勘定に、20米ドルを加算する(S216)。
【0117】
そして、銀行が保有する口座の米ドル支払勘定から、最終的なデビットカード利用額の50米ドルを、カード会社に対して支払う(S218)。
【0118】
図15は、売上電文を受信したときに顧客の外貨口座残高が閉鎖済みの場合における決済処理の実施例を示した図である。図15に示すように、まず、顧客の外貨口座残高が、米ドルで20ドルであり、顧客の円口座残高が、10000円であるとする。このとき、銀行側サーバ20が、30米ドルのオーソリ電文を受信すると(S220)、現時点の為替レートと為替コストとを合わせたレート(例えば、1ドル100円)で、不足額の10ドルに対応する1000円を、顧客の円口座残高から引き落とし(S222)、顧客の外貨口座残高に、10米ドルを補填する(S224)。その後、デビットカード利用額の30米ドルを、顧客の外貨口座残高から引き落とし、銀行が保有する口座の米ドル支払勘定に、30米ドルを加算する(S226)。
【0119】
その後、銀行側サーバ20が、50米ドルの売上電文を受信すると(S230)、現時点の為替レートと為替コストとを合わせたレート(例えば、1ドル100円)で、追加引落の20ドルに対応する2000円を、顧客の円口座残高から引き落とし(S232)、銀行が保有する口座の円残高に、2000円を加算する(S234)。
【0120】
そして、銀行が保有する口座の外貨残高から、20米ドルを、銀行が保有する口座の米ドル支払勘定に充当し(S236)、銀行が保有する口座の米ドル支払勘定から、最終的なデビットカード利用額の50米ドルを、カード会社に対して支払う(S238)。
【0121】
図16は、本実施形態に係る決済システム100の銀行閉局時の決済処理の流れを示したシーケンス図である。なお、図8と同様の処理については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0122】
図16に示すように、まず、銀行が閉局する直前に、銀行側サーバ20から、顧客情報DB、円預金情報DB、外貨預金情報DB、及びレートDBの各データが、決済処理サーバ50へ送信され、決済処理サーバ50は、顧客情報DB、円預金情報DB、外貨預金情報DB、及びレートDBの各データを取得して、記憶部520に格納する(S50)。
【0123】
そして、顧客が加盟店に対して商品またはサービスを要求し、商品またはサービスの代金をデビットカードで支払うと、加盟店の店舗側端末40は、オーソリ電文をネットワーク12Aを介してカード会社側サーバ30に送信する(S52)。
【0124】
そして、カード会社側サーバ30は、店舗側端末40から受信したオーソリ電文を、決済処理サーバ50へ転送する(S54)。
【0125】
そして、決済処理サーバ50は、受信したオーソリ電文に基づいて、銀行側サーバ20の引落判断部240、引落処理部250、及び通知部260の各処理を代行する代行処理を行う。そして、決済処理サーバ50は、代行処理が完了すると、オーソリ電文を送信した店舗側端末40へのオーソリ応答を、カード会社側サーバ30へ送信する(S56)。
【0126】
そして、カード会社側サーバ30は、受信したオーソリ応答を、店舗側端末40へ転送する(S58)。
【0127】
店舗側端末40は、オーソリ応答を受信すると、デビットカードによる購入手続きを完了させる(S60)。
【0128】
次に、金融機関が開局したときに、決済処理サーバ50は、代行処理部560による代行処理の履歴であるオーソリ履歴を、銀行側サーバ20へ送信する(S62)。銀行側サーバ20は、オーソリ履歴に従って、補填通貨による補填額を引落通貨の預金口座残高に補填し、補填後の引落通貨の預金口座残高から引落処理を行い、銀行自身が保有する口座の引落通貨の残高に加算する(S64)。
【0129】
その後、デビットカードによる支払いに関する売上電文が店舗側端末40に入力されると、上記図8のステップS22~ステップS28と同様の処理が行われる。
【0130】
〔6〕まとめ
本発明の実施形態によれば、通信部216が、オーソリ電文に対応する売上電文を受信し、引落判断部240が、売上電文における第2の引落額とオーソリ電文における第1の引落額との差分である追加引落額がある場合、追加引落額に対する引落通貨の預金口座残高の不足額を判断し、引落処理部250が、第2の不足額を変換対象額として、売上電文の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、補填通貨による補填額を補填通貨の預金口座残高から減じると共に、第2の不足額を引落通貨の預金口座残高に加算し、補填後の前記引落通貨の預金口座残高から追加引落額を減じる引落処理を行い、支払部270が、第2の引落額を、カード会社に対して支払う振替処理を行う、銀行側サーバ20が提供される。
【0131】
かかる構成によれば、商品購入要求時に即座に発生した引落要求であるオーソリ電文の後に、異なる金額で売上電文が発生した場合であっても、顧客に与えられる為替リスクを抑制することができる。
【0132】
また、銀行が閉局している時に、決済処理サーバ50が代行処理を行うことにより、24時間365日のリアルタイム決済サービスを可能にする。
【0133】
また、引落処理部250は、追加引落額があると判断し、かつ、補填通貨の預金口座が閉鎖されていた場合、追加引落額を変換対象額として、売上電文の受信時のレートから算出される為替レートにより変換された所定の補填通貨による補填額に変換し、補填通貨による補填額を補填通貨の預金口座残高から減じる引落処理を行うことにより、売上電文を受信したときに外貨口座閉鎖済みでも、振替処理を行うことができる。
【0134】
また、デビットカードの利用時から利用額に対する決済時までが即時的であるため、デビットカードの利用時から決済時までに為替レートが変動する可能性が低減される。そのため、デビットカードが利用される場合には、複数種類の通貨間で利用額の一部または全部が為替レートに従って変換されても、為替リスクが顧客に与えられてしまう可能性が抑制される。補填通貨による補填額が自動的に補填されるため、顧客に負担を強いる可能性も抑制される。また、即時的に決済要求が送信されるため、決済に関する処理速度も向上し得る。
【0135】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0136】
例えば、上記した実施形態においては、顧客によって利用される媒体の例としてデビットカードを用いて説明した。しかし、顧客によって利用される媒体は、デビットカードに限定されない。例えば、スマートフォンなどといった携帯端末を用いたQRコード(登録商標)決済などのキャッシュレス決済が顧客によって利用される場合にも本発明を適用することができる。
【0137】
また、例えば、本明細書の銀行側サーバ20の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、銀行側サーバ20の処理における各ステップは、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)を含んでもよい。
【0138】
また、銀行側サーバ20、決済処理サーバ50に内蔵されるCPU201、ROM202及びRAM203などのハードウェアを、上述した銀行側サーバ20、決済処理サーバ50の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、図4図7の機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアで構成することで、一連の処理をハードウェアで実現することもできる。
【符号の説明】
【0139】
10 クライアント端末
12 ネットワーク
20 銀行側サーバ
30 カード会社側サーバ
40 店舗側端末
50 決済処理サーバ
100 決済システム
216 通信部
220 テーブル管理部
230 記憶部
240 引落判断部
250 引落処理部
260 通知部
270 支払部
516 通信部
520 記憶部
530 オーソリ中継処理部
540 売上中継処理部
550 閉局時処理部
560 代行処理部
570 開局時処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16