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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/739 20060101AFI20240322BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01L29/78 655A
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 654Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020146992
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2021141304
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2020036123
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】坂野 竜則
(72)【発明者】
【氏名】下條 亮平
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/109794(WO,A1)
【文献】特開2012-238715(JP,A)
【文献】特開2000-101076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた半導体部と、
前記半導体部と前記第1電極との間に設けられ、前記半導体部および前記第1電極から電気的に絶縁され、相互に電気的に分離された第1~第3制御電極と、
を備え、
前記半導体部は、第1導電形の第1層と、第2導電形の第2層と、前記第1導電形の第3層と、前記第2導電形の第4層と、を含み、
前記第1~第3制御電極は、前記半導体部の表面側から前記第1層中に延在し、
前記第2層は、前記第1層と前記第1電極との間に設けられ、
前記第3層は、前記第2層と前記第1電極との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続され、
前記第4層は、前記第1層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続された半導体装置の制御方法であって、
第1時点において、前記第1制御電極と前記第1電極との間に印加された第1制御電圧を、前記第1制御電極の第1閾値電圧よりも低い第1オフ電圧から前記第1閾値電圧よりも高い第1オン電圧に上昇させ、
第2時点において、前記第2制御電極と前記第1電極との間に印加された第2制御電圧を、前記第2制御電極の第2閾値電圧よりも低い第2オフ電圧から前記第2閾値電圧よりも高い第2オン電圧に上昇させ、
第3時点において、前記第3制御電極と前記第1電極との間に印加された第3制御電圧を、前記第3制御電極の第3閾値電圧よりも低い第3オフ電圧から前記第3閾値電圧よりも高い第3オン電圧に上昇させ、
前記第1~第3時点よりも後の第4時点において、前記第3制御電圧を前記第3閾値電圧よりも低いレベルに下げ、
前記第4時点よりも後の第5時点において、前記第2制御電圧を前記第2閾値電圧よりも低いレベルに下げ、
前記第5時点よりも後の第6時点において、前記第1制御電圧を前記第1閾値電圧よりも低いレベルに下げ
前記第3オン電圧と前記第3オフ電圧の差は、前記第1オン電圧と前記第1オフ電圧の差、および、前記第2オン電圧と前記第2オフ電圧の差よりも小さく、
前記第3時点は、前記第1時点および前記第2時点の後である制御方法。
【請求項2】
前記第4時点において、前記第3制御電圧を前記第3オフ電圧に下げ、
前記第5時点において、前記第2制御電圧を前記第2オフ電圧に下げ、
前記第6時点において、前記第制御電圧を前記第1オフ電圧に下げる請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記第5時点もしくは前記第5時点と前記第6時点の間の第7時点において、前記第3制御電圧を前記第3オフ電圧よりもさらに低いレベルに下げ、
前記第6時点よりも後の第8時点において、前記第3制御電圧を前記第3オフ電圧に戻す請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記第1電極は、前記第2電極の第2電位よりも低い第1電位に保持され、
前記第1時点において、前記第1制御電極の電位は、前記第1電位よりも低いレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化し、
前記第2時点において、前記第2制御電極の電位は、前記第1電位よりも低いレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化し、
前記第3時点において、前記第3制御電極の電位は、前記第1電位と同じレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化する請求項1~3のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項5】
前記第1オン電圧と前記第1オフ電圧の差、および、前記第2オン電圧と前記第2オフ電圧の差は、同一であり、
前記第1時点と前記第2時点は同時である請求項1~のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項6】
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた半導体部と、
前記半導体部と前記第1電極との間に設けられ、前記半導体部および前記第1電極から電気的に絶縁され、相互に電気的に分離された第1~第3制御電極と、
を備え、
前記半導体部は、第1導電形の第1層と、第2導電形の第2層と、前記第1導電形の第3層と、前記第2導電形の第4層と、を含み、
前記第1~第3制御電極は、前記半導体部の表面側から前記第1層中に延在し、
前記第2層は、前記第1層と前記第1電極との間に設けられ、
前記第3層は、前記第2層と前記第1電極との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続され、
前記第4層は、前記第1層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続された半導体装置の制御方法であって、
第1時点において、前記第1制御電極と前記第1電極との間に印加された第1制御電圧を、前記第1制御電極の第1閾値電圧よりも低い第1オフ電圧から前記第1閾値電圧よりも高い第1オン電圧に上昇させ、
第2時点において、前記第2制御電極と前記第1電極との間に印加された第2制御電圧を、前記第2制御電極の第2閾値電圧よりも低い第2オフ電圧から前記第2閾値電圧よりも高い第2オン電圧に上昇させ、
第3時点において、前記第3制御電極と前記第1電極との間に印加された第3制御電圧を、前記第3制御電極の第3閾値電圧よりも低い第3オフ電圧から前記第3閾値電圧よりも高い第3オン電圧に上昇させ、
前記第1~第3時点よりも後の第4時点において、前記第3制御電圧を前記第3閾値電圧よりも低いレベルに下げ、
前記第4時点よりも後の第5時点において、前記第2制御電圧を前記第2閾値電圧よりも低いレベルに下げ、
前記第5時点よりも後の第6時点において、前記第1制御電圧を前記第1閾値電圧よりも低いレベルに下げ
前記第1~第3制御電極は、それぞれ複数設けられ、
前記第3制御電極の数は、前記第1制御電極の数および前記第2制御電極の数よりも多く、
前記第1時点および前記第2時点は、前記第3時点の後である制御方法。
【請求項7】
前記第3オン電圧と前記第3オフ電圧との差は、前記第1オン電圧と前記第1オフ電圧の差、および、前記第2オン電圧と前記第2オフ電圧の差よりも小さい請求項記載の制御方法。
【請求項8】
前記第1電極は、前記第2電極の第2電位よりも低い第1電位に保持され、
前記第1時点において、前記第1制御電極の電位は、前記第1電位よりも低いレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化し、
前記第2時点において、前記第2制御電極の電位は、前記第1電位よりも低いレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化し、
前記第3時点において、前記第3制御電極の電位は、前記第1電位と同じレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化する請求項記載の制御方法。
【請求項9】
前記第2時点と前記第5時点との間の期間、および、前記第4時点と前記第5時点との間の期間は、前記第5時点と前記第6時点との間の期間よりも長い請求項1~のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項10】
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた半導体部と、
前記半導体部と前記第1電極との間に設けられ、前記半導体部および前記第1電極から電気的に絶縁され、相互に電気的に分離された第1~第3制御電極と、
を備え、
前記半導体部は、第1導電形の第1層と、第2導電形の第2層と、前記第1導電形の第3層と、前記第2導電形の第4層と、を含み、
前記第1~第3制御電極は、前記半導体部の表面側から前記第1層中に延在し、
前記第2層は、前記第1層と前記第1電極との間に設けられ、
前記第3層は、前記第2層と前記第1電極との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続され、
前記第4層は、前記第1層と前記第2層との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続された半導体装置の制御方法であって、
第1時点において、前記第1制御電極と前記第1電極との間に印加した第1制御電圧を、前記第1制御電極の第1閾値電圧よりも低い第1オフ電圧から前記第1閾値電圧よりも高い第1オン電圧に上昇させ、
第2時点において、前記第2制御電極と前記第1電極との間に印加した第2制御電圧を、前記第2制御電極の第2閾値電圧よりも低い第2オフ電圧から前記第2閾値電圧よりも
高い第2オン電圧に上昇させ、
第3時点において、前記第3制御電極と前記第1電極との間に印加した第3制御電圧を、前記第3制御電極の第3閾値電圧よりも低い第3オフ電圧から前記第2閾値電圧よりも高い第3オン電圧に上昇させ、
前記第1~第3時点よりも後の第4時点において、前記第3制御電圧を前記第3閾値電圧よりも低いレベルに下げ、
前記第1~第3時点よりも後の第5時点において、前記第2制御電圧を前記第2閾値電圧よりも低いレベルに下げ、
前記第4時点および前記第5時点よりも後の第6時点において、前記第1制御電圧を前記第1閾値電圧よりも低いレベルに下げ、
前記第3オン電圧と前記第3オフ電圧の差は、前記第1オン電圧と前記第1オフ電圧の差、および、前記第2オン電圧と前記第2オフ電圧の差よりも小さい制御方法。
【請求項11】
前記第4時点において、前記第3制御電圧を前記第3オフ電圧に下げ、
前記第5時点において、前記第2制御電圧を前記第2オフ電圧に下げ、
前記第6時点において、前記第2制御電圧を前記第1オフ電圧に下げる請求項10記載の制御方法。
【請求項12】
前記第4時点および前記第5時点は同時である請求項10記載の制御方法。
【請求項13】
前記第3時点は、前記第1時点および前記第2時点の後である請求項10~12のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項14】
前記第1オン電圧と前記第1オフ電圧の差、および、前記第2オン電圧と前記第2オフ電圧の差は同一であり、
前記第1時点と前記第2時点は同時である請求項10~13のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項15】
前記第1電極は、前記第2電極の第2電位よりも低い第1電位に保持され、
前記第1時点において、前記第1制御電極の電位は、前記第1電位よりも低いレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化し、
前記第2時点において、前記第2制御電極の電位は、前記第1電位よりも低いレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化し、
前記第3時点において、前記第3制御電極の電位は、前記第1電位と同じレベルから前記第1電位よりも高いレベルに変化する請求項10~14のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項16】
前記第1~第3オン電圧は同一である請求項1~15のいずれか1つに記載の制御方法。
【請求項17】
前記第1オフ電圧および前記第2オフ電圧は同じである請求項1~16のいずれか1つに記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力制御用半導体装置には、オン抵抗およびスイッチング損失を低減することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-145758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、ターンオン時の損失を低減できる半導体装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、前記第1電極に対向する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた半導体部と、前記半導体部と前記第1電極との間に設けられ、前記半導体部および前記第1電極から電気的に絶縁され、相互に電気的に分離された第1~第3制御電極と、を備える。前記半導体部は、第1導電形の第1層と、第2導電形の第2層と、前記第1導電形の第3層と、前記第2導電形の第4層と、を含む。前記第1~第3制御電極は、前記半導体部の表面側から前記第1層中に延在する。前記第2層は、前記第1層と前記第1電極との間に設けられる。前記第3層は、前記第2層と前記第1電極との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続される。前記第4層は、前記第1層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続される。前記半導体装置の制御方法は、第1時点において、前記第1制御電極と前記第1電極との間に印加された第1制御電圧を、前記第1制御電極の第1閾値電圧よりも低い第1オフ電圧から前記第1閾値電圧よりも高い第1オン電圧に上昇させ、第2時点において、前記第2制御電極と前記第1電極との間に印加された第2制御電極を、前記第2制御電極の第2閾値電圧よりも低い第2オフ電圧から前記第2閾値電圧よりも高い第2オン電圧に上昇させ、第3時点において、前記第3制御電極と前記第1電極との間に印加された第3制御電圧を、前記第3制御電極の第3閾値電圧よりも低い第3オフ電圧から前記第3閾値電圧よりも高い第3オン電圧に上昇させ、前記第1~第3時点よりも後の第4時点において、前記第3制御電圧を前記第3閾値電圧よりも低いレベルに下げ、前記第4時点よりも後の第5時点において、前記第2制御電圧を前記第2閾値電圧よりも低いレベルに下げ、前記第5時点よりも後の第6時点において、前記第1制御電圧を前記第1閾値電圧よりも低いレベルに下げる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の制御方法を示すタイムチャートである。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の制御方法を示す模式断面図である。
図4】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の制御方法を示すタイムチャートである。
図5】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の制御方法を示す模式図である。
図6】第1実施形態の別の変形例に係る半導体装置の制御方法を示す模式図である。
図7】第1実施形態の他の変形例に係る半導体装置の制御方法を示す模式図である。
図8】第2実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図9】第2実施形態に係る半導体装置の制御方法を示すタイムチャートである。
図10】第3実施形態に係る半導体装置の制御方法を示すタイムチャートである。
図11】第3実施形態の変形例に係る半導体装置の制御方法を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1を示す模式図である。半導体装置1は、例えば、IGBT(Gate Insulated Bipolar Transistor)である。
【0009】
図1に示すように、半導体装置1は、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、第1制御電極40と、第2制御電極50と、第3制御電極60と、を備える。
【0010】
半導体部10は、第1電極20と第2電極30との間に設けられる。半導体部10は、例えば、シリコンである。第1電極20は、例えば、エミッタ電極である。第2電極30は、例えば、コレクタ電極である。第1電極20および第2電極30は、例えば、アルミニウム、チタニウムなどを含む金属層である。
【0011】
第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60は、半導体部10と第1電極20との間に設けられ、相互に電気的に分離される。第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60は、それぞれ、半導体部10に設けられたトレンチの内部に配置され、半導体部10中に延在する。
【0012】
第1制御電極40は、第1絶縁膜43により半導体部10から電気的に絶縁される。第2制御電極50は、第2絶縁膜53により半導体部10から電気的に絶縁される。第3制御電極60は、第3絶縁膜63により半導体部10から電気的に絶縁される。また、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60は、それぞれ、層間絶縁膜45、55および65により第1電極20から電気的に絶縁される。
【0013】
半導体部10は、第1導電形の第1層11と、第2導電形の第2層13と、第1導電形の第3層15と、第2導電形の第4層17と、を含む。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明する。
【0014】
第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60は、それぞれ、半導体部10の表面側から第1層11中に延在する。第1層11は、例えば、n形ベース層である。
【0015】
第2層13は、第1層11と第1電極20との間に設けられる。また、第2層13は、第1絶縁膜43を介して第1制御電極40に向き合う部分を含む。第2層13は、第2絶縁膜53を介して第2制御電極50に向き合う部分を含む。第2層13は、第3絶縁膜63を介して第3制御電極60に向き合う部分を含む。第2層13は、例えば、p形ベース層である。第1絶縁膜43、第2絶縁膜53および第3絶縁膜63は、それぞれ、ゲート絶縁膜として機能する。
【0016】
第3層15は、第2層13と第1電極20との間に選択的に設けられ、第1電極20に電気的に接続される。第3層15は、例えば、n形エミッタ層である。第3層15は、複数設けられ、それぞれ、第1絶縁膜43、第2絶縁膜53および第3絶縁膜63に接する位置に配置される。
【0017】
第4層17は、第1層11と第2電極30との間に設けられ、第2電極30に電気的に接続される。第4層17は、例えば、p形コレクタ層である。
【0018】
半導体部10は、第1導電形の第5層21と、第1導電形の第6層23と、をさらに含む。
【0019】
第5層21は、第1層11と第4層17との間に設けられる。第5層21は、例えば、n形バッファ層であり、第1層11の第1導電形不純物よりも高濃度の第1導電形不純物を含む。
【0020】
第6層23は、第1層11と第2層13との間に設けられる。第6層23は、例えば、n形バリア層であり、第1層11の第1導電形不純物よりも高濃度の第1導電形不純物を含む。また、第6層23の第1導電形不純物は、第3層15の第1導電形不純物よりも低濃度である。
【0021】
図1は、第1電極20と第2電極30との間に印加される電圧VCEと、第1制御電極40と第1電極20との間に印加される第1制御電圧VG1と、第2制御電極50と第1電極20との間に印加される第2制御電圧VG2と、第3制御電極60と第1電極20との間に印加される第3制御電圧VG3と、を例示している。
【0022】
半導体装置1の動作時において、第1電極20は、例えば、電圧VCEにより、第2電極30の電位よりも低電位に保持される。
【0023】
第1制御電圧VG1は、ゲート制御回路70からゲート端子G1およびゲート配線GI1を介して第1制御電極40に印加される。第1制御電極40は、例えば、第2層13における第2導電形キャリア(以下、正孔)の濃度、および、第1絶縁膜43の膜厚で決まる第1閾値電圧を有する。
【0024】
第2制御電圧VG2は、ゲート制御回路70からゲート端子G2およびゲート配線GI2を介して第2制御電極50に印加される。第2制御電極50は、例えば、第2層13の正孔濃度、および、第2絶縁膜53の膜厚で決まる第2閾値電圧を有する。
【0025】
第3制御電圧VG3は、ゲート制御回路70からゲート端子G3およびゲート配線GI3を介して第3制御電極60に印加される。第3制御電極60は、例えば、第2層13の正孔濃度、および、第3絶縁膜63の膜厚で決まる第3閾値電圧を有する。
【0026】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1の制御方法を示すタイムチャートである。図2は、第1時点t~第6時点tにおける半導体装置1の制御方法を示している。半導体装置1は、例えば、第1時点tにおいてターンオンされ、第6時点tにおいてターンオフされる。この間、第1電極20は、第2電極30の電位よりも低い電位に保持される。また、第1~第3閾値電圧は同一である。以下の実施例においても、同様である。なお、「同一」は、厳密な意味での同一に限定されず、例えば、実際の回路動作における僅差を含む概念である。
【0027】
図2に示すように、半導体装置1のターンオン過程では、例えば、第1時点tにおいて、第1制御電圧VG1を、第1閾値電圧よりも低い第1オフ電圧から第1閾値電圧よりも高いオン電圧に上昇させる。
【0028】
また、第2時点tにおいて、第2制御電圧VG2を、第2閾値電圧よりも低い第2オフ電圧から第2閾値電圧よりも高い第2オン電圧に上昇させる。
【0029】
第3時点tにおいて、第3制御電圧VG3を、第3閾値電圧よりも低い第3オフ電圧から前記第3閾値電圧よりも高い第3オン電圧に上昇させる。さらに、第1時点t、第2時点tおよび第3時点tよりも後の第4時点tにおいて、第3制御電圧VG3を第3閾値電圧よりも低いレベル(例えば、第3オフ電圧)に下げる。
【0030】
この例では、第1時点t1、第2時点t2および第3時点t3は同時である。第1オフ電圧および第2オフ電圧は、同じ電圧、例えば、マイナス15Vである。第3オフ電圧は、例えば、0Vである。また、第1オン電圧、第2オン電圧および第3オン電圧は、同じ電圧、例えば、プラス15Vである。実施形態は、この例に限定されず、例えば、第1時点t1、第2時点t2および第3時点t3は、異なるタイミングに設定されても良い。
【0031】
さらに、半導体装置1のターンオフ過程では、第4時点tよりも後の第5時点tにおいて、第2制御電圧VG2を第2閾値電圧よりも低いレベル(例えば、第2オフ電圧)に下げる。続いて、第5時点tよりも後の第6時点tにおいて、第1制御電圧VG1を第1閾値電圧よりも低いレベル(例えば、第1オフ電圧)に下げる。
【0032】
第2時点tと第5時点tとの間の期間は、例えば、第5時点tと第6時点tとの間の期間よりも長い。また、第4時点tと第5時点tとの間の期間は、例えば、第5時点tと第6時点tとの間の期間よりも長い。
【0033】
図3(a)~(c)は、第1実施形態に係る半導体装置1の制御方法を示す模式断面図である。図3(a)~(c)は、第1時点t~第6時点tにおける半導体部10中のキャリア(電子および正孔)の動きを示す模式図である。
【0034】
図3(a)は、第3時点tと第4時点tとの間の期間におけるキャリアの動きを表している。例えば、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60には、それぞれの閾値電圧よりも高いオン電圧が印加される。これにより、第2層13と、第1絶縁膜43の間、第2層13と第2絶縁膜53の間および第2層13と第3絶縁膜63との間に、それぞれ第1導電形の反転層NIVが誘起される。
【0035】
図3(a)に示すように、第3時点tと第4時点tとの間の期間では、第1電極20から第3層15、各反転層NIVおよび第6層23を介して、第1層11に電子が注入される。これに対応して、第4層17から第5層21を介して第1層11に正孔が注入される。
【0036】
図3(b)は、第4時点tと第5時点tとの間の期間におけるキャリアの動きを表している。この期間には、第3制御電極60に印加される第3制御電圧VG3がオフ電圧、例えば、0Vに下げられる。このため、第3制御電極60のゲート絶縁膜(第3絶縁膜63)と第2層13との界面に誘起された反転層NIVが消え、第3制御電極60により誘起された反転層NIVを介した電子注入が停止される。この結果、半導体装置1は、所定のオン状態となる。
【0037】
すなわち、第3時点tと第4時点tとの間の期間において、第1制御電極40および第2制御電極50に加えて第3制御電極60にオン電圧を印加することにより、第1層11への電子注入を増し、第1層11中のキャリア密度を短時間に増加させる。これにより、半導体装置1が所定のターンオン状態に移行する時間を短縮し、ターンオン損失を低減することができる。
【0038】
図3(c)は、第5時点tと第6時点tとの間の期間における半導体部10のキャリアの動きを示す模式図である。この期間には、第3制御電極60に加えて、第2制御電極50に印加された第2制御電圧VG2がオフ電圧に下げられる。このため、第2制御電極50のゲート絶縁膜(第2絶縁膜53)と第2層13との界面に誘起された反転層NIVが消え、第2制御電極50により誘起された反転層NIVを介した電子注入が停止される。
【0039】
また、第2制御電圧VG2は、第3制御電圧VG3のオフ電圧よりもさらに低いレベルのオフ電圧、例えば、マイナス15Vに下げられる。これにより、第2制御電極50のゲート絶縁膜(第2絶縁膜53)と第1層11との界面、および、第2絶縁膜53と第6層23との界面に第2導電形の蓄積層PIVが誘起される。これにより、第1層11中の正孔は、蓄積層PIVおよび第2層13を介して第1電極20に排出される。すなわち、第2導電形の蓄積層PIVにより第1層11からの正孔の排出が促進され、第1層11中のキャリア密度は、第4時点tと第5時点tとの間のオン状態よりも低くなる。
【0040】
その後、第6時点tにおいて、第1制御電極40に印加された第1制御電圧VG1がオフ電圧、例えば、マイナス15Vに下げられ、第1制御電極40のゲート絶縁膜(第1絶縁膜43)と第2層13との界面に誘起された第1導電形の反転層NIVが消える。これにより、第1電極20から第1層11への電子注入が全て停止され、さらに、第1層11中のキャリアが第1電極20および第2電極30へ排出される。第1層11中のキャリアが全て排出され、第1層11が空乏化された時点において、半導体装置1はオフ状態になる。
【0041】
上記のターンオフ過程では、第5時点tと第6時点tとの間の期間に第1層11中のキャリア密度を予め低減しておくことにより、第6時点tから第1層11が空乏化されるまでのターンオフ時間を短縮することができる。これにより、半導体装置1のターンオフ損失を低減することができる。
【0042】
このように、実施形態における半導体装置1では、第2制御電極50の制御によりターンオフ損失を低減すると共に、第3制御電極60の制御により、ターンオン損失を低減することができる。
【0043】
図4は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1の制御方法を示すタイムチャートである。図4中に示す制御方法では、第1時点tおよび第2時点tは同時であり、第3時点tは、第1時点tおよび第2時点tよりも後に設定される。
【0044】
すなわち、第1制御電極40および第2制御電極50には、オン電圧が同時に印加され、第3制御電極60には、第1制御電極40および第2制御電極50よりも後にオン電圧が印加される。第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60に印加されるオン電圧は、例えば、プラス15Vである。
【0045】
図5は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1の制御方法を示す模式図である。図5は、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60の電位VGPの時間変化を示す模式図である。第1電極20の電位は、0Vである。
【0046】
例えば、時間tにおいて、第1制御電圧VG1および第2制御電圧VG2を印加し、第1制御電極40および第2制御電極50の電位をマイナス15Vからプラス15Vに上昇させる。また、時間tにおいて、第3制御電極60に第3制御電圧VG3を印加し、その電位を0Vからプラス15Vに上昇させる。この場合、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60と第1電極20との間の寄生容量は同じである。
【0047】
図5に示すように、第1制御電極40および第2制御電極50のそれぞれの電位は、時間の経過と共にマイナス15Vから閾値電圧VTHよりも高いプラス15Vへ上昇する。第3制御電極60の電位は、0Vから閾値電圧VTHよりも高いプラス15Vへ上昇する。この時、第3制御電極60の電位は、第1制御電極40および第2制御電極50のそれぞれの電位が閾値電圧VTHに達する時点よりも早く閾値電圧VTHに達する。
【0048】
すなわち、オン電圧とオフ電圧との差の違いにより、第3制御電極60の電位は、第1制御電極40および第2制御電極50の電位が閾値電圧VTHに達する時点よりも、例えば、ΔtONだけ早く閾値電圧VTHに達する。
【0049】
例えば、半導体装置1のターンオン損失を低減するためには、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60のそれぞれの電位が、同時に閾値電圧VTHに達することが好ましい。
【0050】
図4に示す制御方法では、第3時点tを、第1時点tおよび第2時点tよりもΔtONだけ遅らせることにより、第3制御電極60の電位が、第1制御電極40および第2制御電極50の電位と同時に閾値電圧VTHに達するように制御する。これにより、ターンオン時間を短縮し、ターンオン損失を低減することができる。
【0051】
図6(a)および(b)は、第1実施形態の別の変形例に係る半導体装置1の制御方法を示すタイムチャートである。図6(a)および(b)に示す制御方法では、図4の制御方法と同様に、第3時点tを、第1時点tおよび第2時点tよりもΔtONだけ遅らせることにより、第3制御電極60の電位が、第1制御電極40および第2制御電極50の電位と同時に閾値電圧VTHに達するように制御する。
【0052】
図6(a)に示す制御方法では、第5時点tにおいて、第2制御電圧VG2をプラス15Vからマイナス15Vに降下させた後、第5時点tと第6時点tとの中間の第7時点tにおいて、第3制御電圧VG3を、第3オフ電圧(例えば、0V)よりもさらに低いレベル、例えば、マイナス15Vに下げる。
【0053】
続いて、第6時点tにおいて、第1制御電圧VG1をプラス15Vからマイナス15Vに降下させた後、第8時点tにおいて、第3制御電圧VG3を第3オフ電圧(例えば、0V)に戻す。第8時点tは、半導体装置1がオフ状態に移行した後のタイミングである。
【0054】
この例では、ターンオン時において、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60のそれぞれの電位が同時に閾値電圧VTHに達するように制御し、ターンオン損失を低減する。さらに、ターンオフ過程において、第3制御電圧VG3をマイナス15Vに降下させることにより、第3制御電極60のゲート絶縁膜(第3絶縁膜63)と第1層11との界面、および、第3絶縁膜63と第6層23との界面に第2導電形の蓄積層PIVを誘起し、第1層11からの正孔の排出を促進する。これにより、ターンオフ損失をさらに低減することができる。
【0055】
図6(b)に示す例では、第5時点tにおいて第3制御電圧VG3を、第3オフ電圧よりもさらに低いレベル、例えば、マイナス15Vに下げる。この場合、第3制御電極60の電位は、第2制御電極50の電位よりも早く第2導電形の蓄積層PIVを誘起するレベルに達する。このため、第3制御電極60において正孔の排出が早いタイミングで開始されるが、ターンオフ損失は、図4に示す制御方法よりも低減される。
【0056】
図7は、第1実施形態の他の変形例に係る半導体装置1の制御方法を示すタイムチャートである。図7に示す制御方法では、第1制御電圧VG1および第2制御電圧VG2と同じように、第3時点t3において、第3制御電圧VG3もマイナス15Vからプラス15Vに上昇させる。また、第3制御電圧VG3は、第4時点t4において、プラス15Vらマイナス15Vに下げられる。これに伴い、第3時点t3は、第1時点t1および第2時点t2と同時になるように設定される。
【0057】
このように、第1時点t、第2時点tおよび第3時点tは、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60の電位が同時に閾値電圧VTHに達するように設定されることが好ましい。
【0058】
なお、実施形態は、上記の例に限定されず、第1時点t、第2時点tおよび第3時点tは、例えば、第1~第3制御電圧VG1、VG2およびVG3のそれぞれのオン電圧とオフ電圧との差、さらに、第1~第3制御電極40、50および60のそれぞれと第1電極20との間の寄生容量に基づいて、第1~第3制御電極40、50および60の電位が同時にそれぞれの閾値電圧に達するように設定されることが望ましい。
【0059】
図2に示す制御方法では、第3制御電圧VG3のオン電圧とオフ電圧との差が、第1制御電圧VG1および第2制御電圧VG2のそれぞれにおけるオン電圧とオフ電圧との差よりも小さいにも関わらず、第1時点t、第2時点tおよび第3時点tは同時に設定されている。この場合、第1電極20と第3制御電極60との間の寄生容量は、例えば、第1電極20と第1制御電極40との間の寄生容量および第1電極20と第2制御電極50との間の寄生容量よりも大きい。このため、図5に示すΔtONは、第3制御電極60の寄生容量に起因した電位の立ち上り時間の遅れと相殺される。
【0060】
また、第1~第3制御電圧VG1、VG2およびVG3のそれぞれにおけるオン電圧とオフ電圧との差が同じであるとしても、第1電極20と、第1~第3制御電極40、50および60のそれぞれの間の寄生容量が異なれば、第1時点t、第2時点tおよび第3時点tが相互に異なるように設定されるケースもある。
【0061】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る半導体装置2を示す模式断面図である。半導体装置2では、例えば、第1制御電極40および第2制御電極50は、半導体部10の表面に沿った方向に交互に配置される。さらに、第1制御電極40と第2制御電極50との間に、それぞれ、2つの第3制御電極60を配置する。
【0062】
半導体装置2では、第3制御電極60の数は、第1制御電極40の数の2倍、第2制御電極50の数の2倍である。このため、ゲート端子G3と第1電極20との間の寄生容量は、例えば、ゲート端子G1と第1電極20との間の寄生容量よりも大きくなる。また、ゲート端子G3と第1電極20との間の寄生容量は、例えば、ゲート端子G2と第1電極20との間の寄生容量よりも大きくなる。
【0063】
図9は、半導体装置2の制御方法を示すタイムチャートである。
図9に示す制御方法では、第1制御電圧VG1および第2制御電圧VG2を、第1時点tおよび第2時点tにおいて、マイナス15Vからプラス15Vに上昇させる。第3制御電圧VG3は、第3時点tにおいて、0Vからプラス15Vに上昇し、第4時点tにおいて、プラス15Vから0Vに下がるように制御される。
【0064】
図9に示すように、第1時点tおよび第2時点tは、同時であり、第3時点tは、第1時点tおよび第2時点tよりも前に設定される。
【0065】
この場合、第3制御電圧VG3のオン電圧とオフ電圧との差は、第1制御電圧VG1および第2制御電圧VG2におけるオン電圧とオフ電圧との差よりも小さい。しかしながら、ゲート端子G3と第1電極20との間の寄生容量が大きいため、第3制御電極60における電位の立ち上り遅れが、図5に示すΔtONよりも大きくなる。したがって、第1~第3制御電極40、50および60の電位が同時に閾値電圧に達するように、第3時点tは、第1時点tおよび第2時点tよりも前に設定される。
【0066】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る半導体装置1の制御方法を示すタイムチャートである。
【0067】
図10に示す制御方法では、第1制御電圧VG1および第2制御電圧VG2を、第1時点tおよび第2時点tにおいて、マイナス15Vからプラス15Vに上昇させる。さらに、第5時点tにおいて、第2制御電圧VG2をプラス15Vからマイナス15Vに下げる。その後、第6時点tにおいて、第1制御電圧VG1をプラス15Vからマイナス15Vに下げる。第1時点tおよび第2時点tは、例えば、同時である。
【0068】
第3制御電圧VG3は、第3時点tにおいて、0Vからプラス15Vに上昇し、第4時点tにおいて、プラス15Vから0Vに下がるように制御される。第3時点tは、第1時点tおよび第2時点tの後に設定される。さらに、第4時点tは、例えば、第5時点tと同時になるように設定される。
【0069】
この例でも、半導体装置1のターンオン時において、第1制御電極40、第2制御電極50および第3制御電極60のそれぞれの電位が、閾値電圧に同時に到達することにより、ターンオン損失を低減することができる。
【0070】
また、第3時点tと第4時点tとの間のオン状態において、第1~第3制御電極40、50および60により誘起される第1導電形の反転層NIVを介して、第1層11に電子が注入され、第1層11中のキャリア密度が高くなる(図3(a)参照)。これにより、半導体装置1のオン抵抗を低減することができる。
【0071】
図11は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置1の制御方法を示すタイムチャートである。
図11に示す制御方法では、第1制御電圧VG1および第2制御電圧VG2を、第1時点tおよび第2時点tにおいて、マイナス15Vからプラス15Vに上昇させ、第5時点tにおいて、第2制御電圧VG2をプラス15Vからマイナス15Vに下げる。その後、第6時点tにおいて、第1制御電圧VG1をプラス15Vからマイナス15Vに下げる。
【0072】
第3制御電圧VG3は、第1時点tおよび第2時点tと同時の第3時点tにおいて、0Vからプラス15Vに上昇し、第5時点tと同時の第4時点tにおいて、プラス15Vから0Vに下がるように制御される。
【0073】
この例では、第1電極20と第3制御電極60との間の寄生容量が、第1電極20と第1制御電極40との間の寄生容量および第1電極20と第2制御電極50との間の寄生容量よりも大きく、第3制御電極60の寄生容量に起因した電位の立ち上り遅れと図5に示すΔtONとが相殺される。
【0074】
図10および図11に示す制御方法は、例えば、オン状態において、第1制御電極40および第2制御電極50により誘起された反転層NIVを介して第1層11に電子を注入し、第3制御電極60をオフする制御では、半導体装置1のオン抵抗が十分低減できない場合に用いられる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1、2…半導体装置、 10…半導体部、 11…第1層、 13…第2層、 15…第3層、 17…第4層、 20…第1電極、 21…第5層、 23…第6層、 30…第2電極、 40…第1制御電極、 43…第1絶縁膜、 45、55、65…層間絶縁膜、 50…第2制御電極、 53…第2絶縁膜、 60…第3制御電極、 63…第3絶縁膜、 70…ゲート制御回路、 G1、G2、G3…ゲート端子、 GI1、GI2、GI3…ゲート配線、 NIV…反転層、 PIV…蓄積層、 VG1…第1制御電圧、 VG2…第2制御電圧、 VG3…第3制御電圧、 VTH…閾値電圧
図1
図2
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図4
図5
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図7
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図9
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図11