IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

特許7458275データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法
<>
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図1
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図2
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図3
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図4
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図5
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図6
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図7
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図8
  • 特許-データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20240322BHJP
   H04W 72/30 20230101ALI20240322BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20240322BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240322BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W72/30
H04W84/18 110
H04W72/0446
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020152605
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022046950
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】小堺 康之
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0224577(US,A1)
【文献】特開2009-188930(JP,A)
【文献】特開2003-008642(JP,A)
【文献】特開2009-170985(JP,A)
【文献】特開2019-145865(JP,A)
【文献】特表2019-513332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムであって、
前記管理装置は、複数の前記集約ルータに前記データを配信し、
複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知し、
複数の前記通信端末は、それぞれ、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信
複数の前記通信端末は、それぞれ、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定し、2回目以降の欠損ブロック要求のタイミングを、前回の欠損ブロック要求のタイミングから前記要求送信間隔の経過時とする、データ配信システム。
【請求項2】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムであって、
前記管理装置は、複数の前記集約ルータに前記データを配信し、
複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知し、
複数の前記通信端末は、それぞれ、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信
複数の前記通信端末は、それぞれ、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定し、2回目以降の欠損ブロック要求のタイミングを、前記送信完了時刻から前記要求送信間隔の時間を経過するごとにその経過時を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定する、データ配信システム。
【請求項3】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムであって、
前記管理装置は、複数の前記集約ルータに前記データを配信し、
複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知し、
複数の前記通信端末は、それぞれ、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信
複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記要求送信間隔を、配下の前記通信端末からの欠損ブロック要求の受信頻度に基づいて変更する、データ配信システム。
【請求項4】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムであって、
前記管理装置は、複数の前記集約ルータに前記データを配信し、
複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知し、
複数の前記通信端末は、それぞれ、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信
前記データ配信システムに新規の通信端末が参入した場合、
前記新規の通信端末は、通信対象の前記集約ルータに自端末が受信すべきデータの有無を問い合わせ、当該データがある場合、
当該データの前記送信完了時刻の前は、前記集約ルータから当該データに対応する前記ブロックを受信し、
当該データの前記送信完了時刻の後は、前記集約ルータから受信した前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信する、データ配信システム。
【請求項5】
前記新規の通信端末は、すべての前記ブロックを取得した後に再起動が必要な場合、周囲の通信可能な前記通信端末に対して、前記再起動の完了までは自端末を途中経路の通信端末として選択しないことを要求する情報を通知する、請求項に記載のデータ配信システム。
【請求項6】
複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記要求送信間隔として、予め定められた値を用いるか、あるいは、配下に収容可能な前記通信端末の最大数、および、配下に収容中の前記通信端末の数、のいずれかに基づいて算出した値を用いる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデータ配信システム。
【請求項7】
複数の前記集約ルータは、それぞれ、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ複数回配信する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデータ配信システム。
【請求項8】
前記通信端末は、通信対象の前記集約ルータが変更になった場合、変更後の最初の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻の直後に前記タイミングを決定するときに用いた前記要求送信間隔に基づいて決定する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデータ配信システム。
【請求項9】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムにおける前記集約ルータであって、
前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割する分割部と、
複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ前記無線マルチホップ通信で配信する配信部と、
前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知する通知部と、
複数の前記通信端末のそれぞれから、当該データの送信完了時刻後に、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで送信された欠損ブロック要求を受信した場合に、対応する欠損ブロックを要求元の前記通信端末に配信する欠損ブロック配信部と、
前記要求送信間隔として、予め定められた値を用いるか、あるいは、配下に収容可能な前記通信端末の最大数、および、配下に収容中の前記通信端末の数、のいずれかに基づいて算出した値を用いる要求送信間隔決定部と、を備え
前記要求送信間隔決定部は、前記要求送信間隔を、配下の前記通信端末からの欠損ブロック要求の受信頻度に基づいて変更する、集約ルータ。
【請求項10】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信し、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムにおける前記通信端末であって、
無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存する配信処理部と、
当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信する欠損ブロック要求送信部と、を備え
前記欠損ブロック要求送信部は、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定し、2回目以降の欠損ブロック要求のタイミングを、前回の送信要求のタイミングから前記要求送信間隔の時間の経過時とする、通信端末。
【請求項11】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信し、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムにおける前記通信端末であって、
無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存する配信処理部と、
当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信する欠損ブロック要求送信部と、を備え
前記欠損ブロック要求送信部は、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定し、2回目以降の欠損ブロック要求のタイミングを、前記送信完了時刻から前記要求送信間隔の時間を経過するごとにその経過時を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定する、通信端末。
【請求項12】
前記配信処理部は、前記管理装置にデータ配信の要否の問い合わせを行い、前記管理装置からデータ配信が必要との通知を受けた場合、当該データ配信に対応する前記ブロックを受信したときに取り込んで保存する、請求項10または請求項11に記載の通信端末。
【請求項13】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムにおけるデータ配信方法であって、
前記管理装置によって、複数の前記集約ルータに前記データを配信する第1のステップと、
複数の前記集約ルータのそれぞれによって、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知する第2のステップと、
複数の前記通信端末のそれぞれによって、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、欠損ブロックがある場合、当該データの送信完了時刻後に、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信する第3のステップと、を含み、
前記第3のステップにおいて、複数の前記通信端末は、それぞれ、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定し、2回目以降の欠損ブロック要求のタイミングを、前回の欠損ブロック要求のタイミングから前記要求送信間隔の経過時とする、データ配信方法。
【請求項14】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムにおけるデータ配信方法であって、
前記管理装置によって、複数の前記集約ルータに前記データを配信する第1のステップと、
複数の前記集約ルータのそれぞれによって、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知する第2のステップと、
複数の前記通信端末のそれぞれによって、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、欠損ブロックがある場合、当該データの送信完了時刻後に、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信する第3のステップと、を含み、
前記第3のステップにおいて、複数の前記通信端末は、それぞれ、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定し、2回目以降の欠損ブロック要求のタイミングを、前記送信完了時刻から前記要求送信間隔の時間を経過するごとにその経過時を基準に前記要求送信間隔の範囲でランダムに決定する、データ配信方法。
【請求項15】
通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備えるデータ配信システムにおけるデータ配信方法であって、
前記管理装置によって、複数の前記集約ルータに前記データを配信する第1のステップと、
複数の前記集約ルータのそれぞれによって、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知する第2のステップと、
複数の前記通信端末のそれぞれによって、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、欠損ブロックがある場合、当該データの送信完了時刻後に、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信する第3のステップと、を含み、
前記第2のステップにおいて、複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記要求送信間隔を、配下の前記通信端末からの欠損ブロック要求の受信頻度に基づいて変更する、データ配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、管理装置と、複数の集約ルータと、複数の通信端末と、を備えるデータ配信システムがある。管理装置は、通信端末への配信対象のデータを管理する。集約ルータは、管理装置および配下の通信端末と通信する。通信端末は、複数の集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う。
【0003】
管理装置から複数の通信端末にデータ配信を行う際は、まず、ブロードキャストまたはマルチキャストによって通信端末にデータ配信を行う。その場合、集約ルータは、例えば、管理装置から受信したデータを複数のブロックに分割して、ブロック単位で通信端末に配信する。そして、通信端末ごとに、欠損ブロックがある場合は、個別にユニキャスト通信で集約ルータに欠損ブロックを要求し、集約ルータから欠損ブロックを受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4315063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、欠損ブロックのある通信端末が多数存在する場合、通信端末と集約ルータとの間のユニキャスト通信が短時間に多数発生することで、トラフィックが増加して輻輳状態となる可能性があり、改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、トラフィック増加を抑制しながら通信端末に効率的にデータ配信することができるデータ配信システム、集約ルータ、通信端末、および、データ配信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のデータ配信システムは、通信端末への配信対象のデータを管理する管理装置と、前記管理装置と通信する複数の集約ルータと、複数の前記集約ルータのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の前記通信端末と、を備える。前記管理装置は、複数の前記集約ルータに前記データを配信する。複数の前記集約ルータは、それぞれ、前記管理装置から受信した前記データを複数のブロックに分割し、複数の前記ブロックを配下の前記通信端末へ配信するとともに、前記通信端末において足りない前記ブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を前記通信端末に通知する。複数の前記通信端末は、それぞれ、無線マルチホップ通信で受信した前記ブロックを取り込んで保存し、当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、前記要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を前記集約ルータに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のデータ配信システムの全体構成を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態の管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の集約ルータの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態の通信端末の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態のデータ配信システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図6図6は、第1実施形態の通信端末における欠損ブロック要求の送信タイミングの第1の決定方法の説明図である。
図7図7は、第1実施形態の通信端末における欠損ブロック要求の送信タイミングの第2の決定方法の説明図である。
図8図8は、第1実施形態の通信端末における処理を示すフローチャートである。
図9図9は、第1実施形態の集約ルータにおける要求送信間隔の変更方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施形態のデータ配信システム、集約ルータ、通信端末、管理装置、および、データ配信方法について詳細に説明する。
【0010】
実施形態の理解を容易にするために、従来技術についてあらためて説明する。各種デジタル機器はソフトウェアにより各種機能を実現している。特に通信機能を持つ携帯電話やデジタルテレビなどの通信端末に関しては、通信機能を用いて遠隔で通信端末のソフトウェア(データ)を更新することが可能となっている。ソフトウェアを更新する場合、ソフトウェアを保存する管理装置からソフトウェアを必要とする通信端末に対してソフトウェアを配信する。ソフトウェアは、例えば、複数のブロックに分割され、通信ネットワークで配信される。
【0011】
例えば、携帯電話のような通信システムでは、通信端末それぞれが管理装置に対してソフトウェアの配信要求を送り、それに応じて管理装置がソフトウェアを配信する方法を利用する。配信要求は通信端末側の都合(例えば利用者の指示)に応じて実行される。また、通信端末と管理装置にはユニキャストの通信経路が形成され、通信時の伝送誤り等でブロックの欠損が発生した場合、誤りが発生したことを通信端末から管理装置に通知し、欠損ブロックの再送を要求する。
【0012】
また、例えば、デジタルテレビのような放送型の通信ネットワークを使う通信端末では、管理装置が通信ネットワークを通じてソフトウェアをブロードキャストで送信し、通信端末それぞれがソフトウェアを受信する方法を利用する。管理装置はソフトウェアを繰り返し配信することで、通信時の伝送誤り等でブロックの欠損が発生することがあっても、複数回の配信によってソフトウェア全体を配信できる。
【0013】
また、例えば、スマートメーターシステムやセンサーネットワークなどのIoT(Internet of Things)ネットワークでは、マルチホップ方式と呼ばれる通信方式を適用する場合がある。マルチホップネットワークは、相互に通信可能な通信端末と集約ルータを備え、集約ルータと直接通信できない通信端末は、他の通信端末を経由するバケツリレー方式でデータの転送を行う。
【0014】
集約ルータは、管理装置と広域網(例えば携帯電話網)を介して通信が可能となっている。代表的なマルチホップネットワーク規格の1つとしてIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4規格がある。この規格では、900MHz帯(日本では920MHz帯)の周波数帯を適用し数百kbpsの通信帯域となっている。
【0015】
IoTネットワークでは、1つのネットワークに多数の通信端末(例えばスマートメーター)が存在する。数百kbpsの通信帯域を多数の通信端末で共用するため、共用する台数を勘案して通信端末1台当たりの単位時間当たりの送信データ量が調整されている。また、ソフトウェアのデータサイズは、IoT通信端末が通常送信するデータサイズより大きいため、効率的な配信方法が求められる。
【0016】
マルチホップネットワークでも、ソフトウェアの配信方法として、通信端末と管理装置の間でユニキャスト通信、および、ブロードキャスト/マルチキャスト通信のいずれも適用可能である。ユニキャスト通信でソフトウェアを配信すると、通信対象の通信端末との通信の中継を行っている通信端末は、同じソフトウェアのブロックを転送するときにそのブロックを自身には取り込めず効率が悪く、少数の通信端末へのソフトウェア配信に適している。
【0017】
また、ブロードキャスト/マルチキャスト通信でソフトウェアを配信すると、中継を行っている通信端末はソフトウェアのブロックを転送するとともにそのブロックを自身に取り込むことも可能であり、多数の通信端末への配信に適している。ただし、伝送誤り等でソフトウェアの一部が欠損することが考えられるが、欠損する部分(ブロック)は通信端末ごとに異なるため、ソフトウェア配信を複数回繰り返すことや、各通信端末が欠損ブロックを管理装置に通知し、欠損したブロックを再送する手段が適用される。また、例えば、上述の特許文献1では、まずブロードキャストによるソフトウェア配信を行い、部分的に欠損したソフトウェアの一部のみユニキャストにより配信する方法が開示されている。
【0018】
同一のデータを多数の通信端末へ配信する際の通信効率の良いブロードキャスト/マルチキャストによるソフトウェアの配信において、ソフトウェア配信を複数回繰り返す手法を採用すると、すべての通信端末にソフトウェア全体が届くまで繰り返し配信を行うため、配信完了まで時間がかかる。
【0019】
また、通信端末から欠損ブロックの通知を行う手法を採用すると、管理装置ですべての通信端末からの通知を受け取り、欠損のある共通のブロックを選択して再送するなど、管理装置の通信負荷および処理負荷が増える問題がある。
【0020】
また、特許文献1の技術では、ブロードキャストによるソフトウェアの配信の終了をタイマーで検出し、配信終了後に欠損ブロックのある通信端末がユニキャスト通信を開始する。しかし、欠損ブロックのある通信端末が多数存在する場合、ユニキャスト通信が短時間に多数発生することで、トラフィックが増加して輻輳状態となる可能性がある。そして、輻輳状態となると、欠損ブロックの要求/欠損ブロックの配信の成功率が下がるのと同時に、通常発生するトラフィック(例えばセンサデータの定期的な伝送)の伝送誤りが増えるなどの影響を与えることになる。そこで、以下では、トラフィック増加を抑制しながら通信端末に効率的にデータ配信することができる技術について説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のデータ配信システムSの全体構成を模式的に示す図である。データ配信システムSは、通信端末Cへの配信対象のデータを管理する管理装置Aと、管理装置Aと通信する複数の集約ルータBと、複数の集約ルータBのいずれかの配下でブロードキャストまたはマルチキャストによる無線マルチホップ通信を行う複数の通信端末Cと、を備える。以下では、ブロードキャストとマルチキャストのうち、主にブロードキャストを例にとって説明するが、マルチキャストも同様に適用できる。
【0022】
図1では、集約ルータBとして、集約ルータ1~3を示している。以下、集約ルータ1~3を区別しない場合は「集約ルータB」と称し、集約ルータ1~3を区別する場合は「集約ルータ1」等と称する。
【0023】
また、集約ルータ1の配下の通信端末Cとして、通信端末1~5を示している。以下、通信端末1~5を区別しない場合は「通信端末C」と称し、通信端末1~5を区別する場合は「通信端末1」等と称する。
【0024】
管理装置Aと集約ルータBとの接続には、例えば、携帯電話網や光回線網などの広域通信網(WAN(Wide Area Network))が適用される。集約ルータBと配下の複数の通信端末Cは、無線マルチホップ通信で相互に通信する。無線マルチホップ通信としては、例えば、公知の通信方法を用いればよい。
【0025】
なお、個別の通信端末Cは、親ノードである集約ルータBを変更することも可能である。図1では、通信端末2の親ノードは集約ルータ1であるが、例えば、両者の間に通信状態を悪化させる遮蔽物が入った場合などに、通信端末2は、親ノードを集約ルータ1から集約ルータ2や集約ルータ3に変更することができる。また、以下において、記載を簡潔にするために、「親ノードの集約ルータB」を単に「集約ルータB」と称したり、「配下の通信端末C」を単に「通信端末C」と称したりする場合がある。
【0026】
通信端末Cは、所定のアルゴリズムに従ってマルチホップの通信経路を形成する。図1はある時点での通信経路のトポロジーを示したものであり、例えば、通信端末3の無線信号が集約ルータ1まで届かないことなどは意味していない。
【0027】
管理装置Aは、複数の集約ルータBにデータ(ソフトウェア)を配信する。それぞれの集約ルータBは、管理装置Aから受信したデータを複数のブロックに分割し、複数のブロックを配下の通信端末Cへ配信する。また、それぞれの集約ルータBは、通信端末Cにおいて足りないブロックである欠損ブロックの送信を要求する欠損ブロック要求を送信するタイミングを決定するために用いられる所定の時間幅である要求送信間隔を通信端末Cに通知する。
【0028】
また、それぞれの通信端末Cは、無線マルチホップ通信で受信したブロックを取り込んで保存し、当該データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を集約ルータに送信する。
【0029】
なお、それぞれの集約ルータBは、複数のブロックを配下の通信端末Cへ複数回配信してもよい。そうすれば、1回の送信の場合に比べて、通信端末Cで発生する欠損ブロックの数を減らすことができる。
【0030】
図2は、第1実施形態の管理装置Aの機能構成を示すブロック図である。管理装置Aは、コンピュータ装置であり、記憶部11と、処理部12と、WAN通信部13と、を備える。記憶部11は、各種情報(各種プログラム、各種データ)を記憶し、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等によって実現される。記憶部11は、配信データ記憶部111と、配信要否条件記憶部112と、を備える。
【0031】
配信データ記憶部111は、通信端末Cへの配信対象のデータを記憶する。配信要否条件記憶部112は、配信データ記憶部111に記憶されているデータごとに、それぞれの通信端末Cごとの配信の要否の条件を記憶する。
【0032】
処理部12は、各種演算処理を実行し、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって実現される。処理部12は、機能部として、配信処理部121と、配信要否通知部122と、を備える。
【0033】
配信処理部121は、集約ルータBに対して、データの配信開始を通知したり、配信データ記憶部111に記憶されているデータを配信したりする。
【0034】
配信要否通知部122は、任意の通信端末Cからデータ配信の要否の問い合わせがあったとき、配信要否条件記憶部112を参照して、送信元の通信端末Cに対してデータ配信の要否について通知する。なお、配信要否条件記憶部112と配信要否通知部122については第5実施形態で詳細に説明する。
【0035】
WAN通信部13は、集約ルータBとの間でWAN通信を行う。
【0036】
図3は、第1実施形態の集約ルータBの機能構成を示すブロック図である。集約ルータBは、コンピュータ装置であり、記憶部21と、処理部22と、WAN通信部23と、無線通信部24と、を備える。
【0037】
記憶部21は、各種情報(各種プログラム、各種データ)を記憶し、例えば、RAM、ROM、HDD等によって実現される。記憶部21は、配信データ記憶部211を備える。配信データ記憶部211は、管理装置Aから受信したデータを記憶する。
【0038】
処理部22は、各種演算処理を実行し、例えば、CPUによって実現される。処理部22は、機能部として、配信データ分割処理部221(分割部)と、ブロードキャスト配信処理部222(配信部:通知部)と、欠損ブロック配信処理部223(欠損ブロック配信部)と、要求送信間隔決定部224と、配信データ処理制御部225と、を備える。
【0039】
配信データ分割処理部221は、配信データ記憶部211に記憶されているデータを複数のブロックに分割する。
【0040】
ブロードキャスト配信処理部222は、複数のブロックを配下の通信端末Cへブロードキャストによる無線マルチホップ通信で配信する。また、ブロードキャスト配信処理部222は、要求送信間隔決定部224によって決定された要求送信間隔を配下の通信端末Cへブロードキャストで配信する。
【0041】
欠損ブロック配信処理部223は、任意の配下の通信端末Cから欠損ブロック要求があった場合に、送信元の通信端末Cに対して該当する欠損ブロックをユニキャストで送信する。
【0042】
要求送信間隔決定部224は、要求送信間隔を決定する。要求送信間隔決定部224は、例えば、要求送信間隔として、予め定められた値を用いるか、あるいは、配下に収容可能な通信端末Cの最大数、および、配下に収容中の通信端末Cの数、のいずれかに基づいて算出した値を用いる。また、要求送信間隔決定部224は、要求送信間隔を、配下の通信端末Cからの欠損ブロック要求の受信頻度に基づいて変更してもよい。
【0043】
具体的には、要求送信間隔決定部224は、例えば、欠損ブロックを要求する通信端末Cの台数(M台)と、欠損ブロック要求の送信時間とそれに対する欠損ブロックの送信時間(合計T秒)から要求送信間隔を決定する。これにより、欠損ブロックの送信を含めて無線リソースの過度な集中利用を避けることができる。例えば、欠損ブロック配信のための無線リソース利用を全体のR%とする場合、M台×T秒/R%を要求送信間隔とすればよい。なお、各通信端末Cから親ノードの集約ルータBまでの通信時のホップ数は複数種類あるが、そういった通信事情をすべて踏まえてRを決定すればよい。
【0044】
無線を利用した通信ネットワークであるため、集約ルータBから各通信端末Cへのブロックの到達は100%では保証できない。そのため、ブロードキャストによるデータ配信終了時においては、集約ルータB配下の通信端末Cの多数で1つ以上の欠損ブロックがあると考えることが妥当である。そのため、上述のM台として、配信開始時あるいは配信終了時の集約ルータB配下の通信端末Cの台数とすることが考えられる。あるいは、上述のM台として、集約ルータBで収容可能な通信端末Cの最大数を採用することも考えられる。台数が多い場合、要求送信間隔もそれに比例して大きくする。
【0045】
また、すべての配下の通信端末Cの欠損ブロックの総数は、欠損ブロック送信の実施により減少していく。したがって、配信終了時に決めた要求送信間隔をずっと継続使用するのは好ましくない。集約ルータBにおいて、例えば、欠損ブロック要求の到着頻度、あるいは、欠損ブロック要求を送る通信端末Cの数の減少に合わせて、要求送信間隔を減少させるのがよい。そうすれば、欠損ブロックの配信時間を短縮することができる。
【0046】
ここで、図9の(a)、(b)は、第1実施形態の集約ルータBにおける要求送信間隔の変更方法の説明図である。集約ルータBは、ブロードキャストによるデータ配信終了時(t0)に、要求送信間隔を初期値(D1=W1)とする。この要求送信間隔の初期値をブロードキャストによるデータ配信の中で通信端末Cに通知する。ただし、集約ルータBで決めた要求送信間隔の初期値と、通信端末Cの持つ要求送信間隔の初期値は必ずしも同じでなくてもよい。例えば、集約ルータBの要求送信間隔の初期値は、その時点の通信端末Cの接続台数から算出し、通信端末Cの要求送信間隔の初期値は、集約ルータBにおける通信端末Cの最大収容数から算出する、など通信端末Cの要求送信間隔の初期値が集約ルータBの要求送信間隔の初期値より大きければよい。
【0047】
また、Fは、すべての通信端末Cからの欠損ブロック要求の総受信頻度である。集約ルータBは、欠損ブロック要求の総受信頻度を算出し、所定のアルゴリズムにより、総受信頻度の低下に応じて要求送信間隔を短くする。そして、集約ルータBは、算出した要求送信間隔を、要求された欠損ブロックの送信のときに最新の要求送信間隔として通信端末Cに通知する。
【0048】
例えば、集約ルータBは、時刻t1までは、要求送信間隔W1を通信端末Cに通知する(E1など)。その後、時刻t2に、欠損ブロック要求の総受信頻度の低下に応じて要求送信間隔をD1からD2(=W2)に変更すると、それ以降(時刻t3など)は、要求送信間隔W2を通信端末Cに通知する(E2など)。
【0049】
その後、集約ルータBは、時刻t4に、欠損ブロック要求の総受信頻度の低下に応じて要求送信間隔をD2からD3(=W3)に変更すると、それ以降(時刻t5など)は、要求送信間隔W3を通信端末Cに通知する(E3など)。
【0050】
図3に戻って、配信データ処理制御部225は、例えば、管理装置Aからの配信開始指示を受け取ったり、通信端末Cに配信開始指示を送ったり、ブロードキャスト配信処理部222、欠損ブロック配信処理部223、要求送信間隔決定部224の処理の切り替え制御を実行したりする。
【0051】
WAN通信部23は、管理装置Aとの間でWAN通信を行う。無線通信部24は、配下の通信端末Cとの間で無線通信(無線マルチホップ通信)を行う。
【0052】
図4は、第1実施形態の通信端末Cの機能構成を示すブロック図である。通信端末Cは、例えば、スマートメータであり、記憶部31と、処理部32と、無線通信部33と、を備える。
【0053】
記憶部31は、各種情報(各種プログラム、各種データ)を記憶し、例えば、RAM、ROM等によって実現される。記憶部31は、配信データ記憶部311を備える。配信データ記憶部311は、親ノードの集約ルータBから受信したブロックを記憶する。
【0054】
処理部32は、各種演算処理を実行し、例えば、CPUによって実現される。処理部32は、機能部として、欠損ブロック管理部321と、ブロードキャスト配信処理部322(配信処理部)と、ユニキャスト配信処理部323と、要求送信間隔抽出部324と、欠損ブロック要求送信部325と、を備える。
【0055】
欠損ブロック管理部321は、配信データ記憶部311を参照して欠損ブロックの有無を管理し、欠損ブロックがある場合はその欠損ブロックの識別情報を認識する。
【0056】
ブロードキャスト配信処理部322は、無線マルチホップ通信で受信したブロックを取り込んで配信データ記憶部311に保存する。
【0057】
要求送信間隔抽出部324は、無線マルチホップ通信で受信したデータから要求送信間隔を抽出する。
【0058】
欠損ブロック要求送信部325は、データの送信完了時刻後に、欠損ブロック管理部321を参照し、欠損ブロックがある場合、要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を集約ルータBに送信する。
【0059】
ユニキャスト配信処理部323は、集約ルータBからユニキャストで欠損ブロックを受信し、配信データ記憶部311に保存する。
【0060】
ここで、図6は、第1実施形態の通信端末Cにおける欠損ブロック要求の送信タイミングの第1の決定方法の説明図である。この第1の決定方法では、前回送信タイミングを基準として欠損ブロック要求の送信タイミングを決定する。
【0061】
具体的には、通信端末Cの欠損ブロック要求送信部325は、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、データの送信完了時刻(T11)を基準に要求送信間隔(T11~T12)の範囲でランダムに(例えば一様分布乱数を用いて)決定し((11))、決定した送信タイミング((12))で欠損ブロック要求を集約ルータBに送信する。
【0062】
また、欠損ブロック要求送信部325は、2回目の欠損ブロック要求のタイミングを、前回の送信要求のタイミング((12))から要求送信間隔((13):T1)の時間の経過時((14))とする。3回目以降の欠損ブロック要求のタイミングも同様にして決定する。
【0063】
このような手順で欠損ブロック要求の送信タイミングを決定することにより、多数の通信端末Cからの欠損ブロック要求が短時間に集中する可能性が有意に低減する。
【0064】
図7は、第1実施形態の通信端末Cにおける欠損ブロック要求の送信タイミングの第2の決定方法の説明図である。この第2の決定方法では、データの送信完了時刻と要求送信間隔を基準に欠損ブロック要求の送信タイミングを決定する。
【0065】
具体的には、通信端末Cの欠損ブロック要求送信部325は、欠損ブロックがある場合、1回目の欠損ブロック要求のタイミングを、データの送信完了時刻(T11:(21))を基準に要求送信間隔(T11~T12)の範囲でランダムに決定し((22))、決定した送信タイミング((23))で欠損ブロック要求を送信する。
【0066】
また、欠損ブロック要求送信部325は、2回目の欠損ブロック要求のタイミングを、送信完了時刻から要求送信間隔の経過((22)+(24))時(T12:(25))を基準に要求送信間隔(T12~T13)の範囲でランダムに決定する。3回目以降の欠損ブロック要求のタイミングも同様にして決定する。
【0067】
このような手順で欠損ブロック要求の送信タイミングを決定することにより、多数の通信端末Cからの欠損ブロック要求が短時間に集中する可能性が有意に低減する。なお、(22)と(26)の時間幅は同じにしてもよい。
【0068】
図4に戻って、無線通信部33は、親ノードの集約ルータBとの間で無線通信(無線マルチホップ通信)を行う。
【0069】
図5は、第1実施形態のデータ配信システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。まず、ステップS1において、管理装置Aの配信処理部121は、管理者の操作等により、集約ルータBに対して、データを配信するとともに、通信端末Cへの配信の開始の指示を通知する。
【0070】
次に、ステップS2~S3において、以下の処理を行う。まず、集約ルータBは、通信端末Cに対して、ブロードキャストによる無線マルチホップ通信によって、データ(SW:Software)配信開始を通知する。例えば、ステップS21では、集約ルータ1は、通信端末1、2にデータ配信開始を通知する。また、ステップS22では、通信端末1は、通信端末3、4にデータ配信開始を通知する。また、ステップS23では、通信端末2は、通信端末5にデータ配信開始を通知する。ステップS24~S26においても同様に無線マルチホップ通信によるデータ配信開始の通知が行われる。
【0071】
その後、集約ルータBは、データをN個のブロックに分割し、ブロックごとにブロードキャストによる無線マルチホップ通信によって通信端末Cに配信する。以下、ブロックをSWブロックとも称する。例えば、データ配信開始通知のときと同様の経路にて、SWブロック#1、SWブロック#2、・・・、SWブロック#Nがそれぞれの通信端末Cに配信される。
【0072】
なお、ブロードキャストの転送において、経路上の上流(集約ルータB側)の送信したブロックのみを転送する、同じブロックの再転送は行わない、転送までの時間を調整する、などの輻輳を抑制する手法が適用される。
【0073】
また、データ配信開始の通知の受信に失敗した通信端末Cは、ブロックを受信することでもデータ配信を認識できるため、データ配信開始の通知を省略してもよい。
【0074】
また、ブロードキャストによるデータ配信の間、通信端末Cは受信したブロックを転送するとともに、自身が取り込むべきソフトウェア(ブロック)であった場合にのみ、自身宛のソフトウェアとしてブロックを保存する。これは、例えば、1つの集約ルータBの配下の複数の通信端末Cが複数の機種で構成されている状況を考慮したもので、ブロックに付加するヘッダ情報に機種等の情報を入れることで容易に実現できる。
【0075】
次に、N個のブロックの配信の終了後(ステップS3の後)、各通信端末Cは、欠損ブロックの要求を開始する。なお、配信の終了時刻の情報は、例えば、データ配信開始の通知もしくはブロックのヘッダ情報に含めて送信される。あるいは、ブロック数とブロックの送信間隔の情報を通知し、各通信端末Cで終了時刻を算出する方法でも良い。また、通信端末Cにおいて、ブロックの欠損は、例えば各ブロックにブロック番号を付加しておくなどの方法で容易に検出が可能である。
【0076】
通信端末Cは、親ノードの集約ルータBから通知される欠損ブロック要求の要求送信間隔に1回の欠損ブロック要求をユニキャストで集約ルータBに送信する。要求を受けた集約ルータBは、要求された欠損ブロックをユニキャストで要求元の通信端末Cに送信する。
【0077】
例えば、ステップS31において、通信端末4がユニキャストで通信端末1を経由して集約ルータ1に欠損ブロック1の要求を送信する。そして、ステップS32において、集約ルータ1はユニキャストで通信端末1を経由して通信端末4に欠損ブロック1を送信する。
【0078】
また、ステップS33において、通信端末5がユニキャストで通信端末2を経由して集約ルータ1に欠損ブロック1の要求を送信する。そして、ステップS34において、集約ルータ1はユニキャストで通信端末2を経由して通信端末5に欠損ブロック1を送信する。このように、1回目の要求送信間隔T1の中で、1つの通信端末Cについての欠損ブロックに関する送受信は、1回だけ行われる。
【0079】
また、ステップS35において、通信端末4がユニキャストで通信端末1を経由して集約ルータ1に欠損ブロック2の要求を送信する。そして、ステップS36において、集約ルータ1はユニキャストで通信端末1を経由して通信端末4に欠損ブロック2を送信する。
【0080】
また、ステップS37において、通信端末5がユニキャストで通信端末2を経由して集約ルータ1に欠損ブロック2の要求を送信する。そして、ステップS38において、集約ルータ1はユニキャストで通信端末2を経由して通信端末5に欠損ブロック2を送信する。このように、2回目の要求送信間隔T1の中で、1つの通信端末Cについての欠損ブロックに関する送受信は、1回だけ行われる。
【0081】
ブロードキャストによるデータ配信の終了後は、多数の通信端末Cからの欠損ブロック要求が発生する可能性がある。このように、要求送信間隔ごとに各通信端末Cで1回だけ欠損ブロック要求を送信するようにすることで、輻輳の可能性を有意に低減できる。
【0082】
図8は、第1実施形態の通信端末Cにおける処理を示すフローチャートである。ステップS101において、ブロードキャスト配信処理部322は、集約ルータBからブロードキャストでSW配信開始通知を受信する。
【0083】
次に、ステップS102において、ブロードキャスト配信処理部322は、SWブロックを受信し、配信データ記憶部311に記憶させるとともに、他の通信端末Cに転送する。
【0084】
次に、ステップS103において、ブロードキャスト配信処理部322は、ブロードキャストでのブロックの配信が終了か否かを判定し、Yesの場合はステップS104に進み、Noの場合はステップS102に戻る。
【0085】
ステップS104において、欠損ブロック要求送信部325は、欠損ブロック管理部321を参照して欠損ブロックを決定する。
【0086】
次に、ステップS105において、欠損ブロック要求送信部325は、欠損ブロックがあるか否かを判定し、Yesの場合はステップS106に進み、Noの場合は処理を終了する。
【0087】
ステップS106において、欠損ブロック要求送信部325は、欠損ブロック要求の送信タイミングを決定する(図6図7参照)。
【0088】
次に、ステップS107において、欠損ブロック要求送信部325は、欠損ブロック要求をユニキャストで親ノードの集約ルータBに送信する。
【0089】
次に、ユニキャスト配信処理部323は、集約ルータBからユニキャストでSWブロック(欠損ブロック)を受信し、配信データ記憶部311に記憶する。
【0090】
次に、欠損ブロック要求送信部325は、規定時間の経過を待つ。つまり、次の欠損ブロック要求の送信タイミングまで待つ。ステップS109の後、ステップS104に戻る。
【0091】
このように、第1実施形態のデータ配信システムSによれば、通信端末Cは、それぞれ、無線マルチホップ通信で受信したブロックを取り込んで保存し、データの送信完了時刻後に、欠損ブロックがある場合、要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を集約ルータBに送信することで、トラフィック増加を抑制しながら通信端末に効率的にデータ配信することができる。
【0092】
つまり、集約ルータBが要求送信間隔を通信端末Cに通知し、通信端末Cが要求送信間隔の範囲で分散して欠損ブロック要求の送信を1回だけ行うことで、欠損ブロック要求の集中による欠損ブロック要求の衝突多発による再送回数の増加や、他のトラフィックへの影響を回避することができる。
【0093】
また、集約ルータBから通知する要求送信間隔を調整することで(図9参照)、欠損ブロックの総数あるいは欠損ブロックを持つ通信端末Cの数に応じた適切な要求送信間隔を用いることができる。
【0094】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。これまでに説明した事項と同様の事項については、説明を適宜省略する(第3実施形態以降も同様)。
【0095】
通信端末Cは、データ配信プロセスと無関係に、無線マルチホップ通信の経路制御を実施する。無線マルチホップ通信の経路を、同じ集約ルータB(例えば集約ルータ1)に属する通信端末Cから、別の集約ルータB(例えば集約ルータ2)に属する通信端末Cに切り替えることもある。欠損ブロック要求と欠損ブロックの受信を行っている状態で、他の集約ルータBに属するよう経路変更した場合、移動先の無線マルチホップ通信における要求送信間隔が、移動前の要求送信間隔よりも大きい場合も考えられる。
【0096】
要求送信間隔が大きいということは、移動先のネットワークにおける欠損ブロック要求の頻度が高いことを意味する。そのため、通信端末Cが移動前の要求送信間隔で欠損ブロック要求を送信することは、トラフィック増に繋がるため好ましくない。そのため、通信端末Cは、通信対象(親ノード)の集約ルータBが変更になった場合、変更後の最初の欠損ブロック要求のタイミングを、当該データの送信完了時刻の直後にタイミングを決定するときに用いた要求送信間隔(例えば、集約ルータBにおける通信端末Cの最大収容数等から計算された値で、製造時に通信端末Cに設定される。)に基づいて決定する。その後、通信端末Cは、新たな親ノードの集約ルータBから欠損ブロックを受信したときに新たな要求送信間隔も併せて受信し、以降の欠損ブロック要求の送信タイミングはその新たな要求送信間隔に基づいて算出する。
【0097】
このように、第2実施形態によれば、通信端末Cが親ノードとする集約ルータBを変更しても、移動先のネットワークで欠損ブロック要求の送信タイミングを適切なタイミングに設定することができ、移動先のネットワークのトラフィックに悪影響を与えることを回避できる。
【0098】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。特にデータ配信システムSが大規模な場合は、多数の通信端末Cがあり、設置待ちの在庫となる通信端末Cも存在し、データ配信期間の後で現場に設置される場合もある。
【0099】
また、設置後、周辺に接続可能な通信端末Cが無いなどの理由でデータ配信システムSのネットワークに接続できず、データ配信期間の後に周囲に通信端末Cが設置されてネットワークに接続可能になる通信端末Cも存在する。このようにデータ配信システムSに新規に参入する通信端末Cに対するデータ配信手順は次のように実現できる。
【0100】
新規の通信端末Cは、通信対象の集約ルータBに自端末が受信すべきデータの有無を問い合わせる。集約ルータBは、送信元の通信端末Cに対して当該データの有無(データ配信の要否)について通知する。
【0101】
当該データがある場合、新規の通信端末Cは、当該データの送信完了時刻の前であれば、集約ルータBから当該データに対応するブロックを受信する。また、新規の通信端末Cは、当該データの送信完了時刻の後であれば、集約ルータBから受信した要求送信間隔に基づいて決定したタイミングで欠損ブロック要求を集約ルータBに送信する。
【0102】
つまり、ブロードキャストによるデータ配信期間に新規参入となった通信端末Cは、配信データが有ることの通知を受けた後は、他の通信端末Cと同様に、ブロードキャストによるデータ配信手順を実施する。
【0103】
また、欠損ブロック要求と配信を繰り返している期間(欠損ブロック送信期間)に新規参入となった通信端末Cは、配信データが有ることと最新の要求送信間隔の情報を集約ルータBから得て、欠損ブロック要求の送信タイミングを算出し、その後は他の通信端末Cと同様に欠損ブロック要求/受信の手順を実施する。
【0104】
また、欠損ブロック送信期間後に新規参入となった通信端末Cは、配信データが有ることと最新の要求送信間隔の情報を集約ルータBから得て、欠損ブロック要求の送信タイミングを算出し、欠損ブロック要求/受信の手順を実施する。
【0105】
また、集約ルータBは、上述のいずれの期間でも、欠損ブロック要求に応じて要求送信間隔を決定する。この際、欠損ブロック要求が新規参入の通信端末Cからの要求か、既設の通信端末Cからの要求かを区別する必要はない。
【0106】
このように、第3実施形態によれば、通信端末Cの新規参入時の配信データの有無を集約ルータBに問い合わせる手順以外は、既設の通信端末Cに対するデータ配信プロセスを適用することができ、新規参入時専用の手順を新たに規定することなく、データ配信が可能となる。また、新規参入の通信端末Cからのデータ配信の要否の問い合わせに対応するのは集約ルータBなので、管理装置Aの通信負荷やデータ配信のための処理負荷は増えずに済む。
【0107】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。データ配信の必要な通信端末Cが新規に設置され、データ配信を行う場合、データ配信の完了後すぐに、新たなデータで動作するために再起動を行う運用が考えられる。この場合、この通信端末Cは、一旦ネットワークから離脱し、再参入を実施する。データ配信にはある程度の時間がかかるため、新規設置から再起動までの間に、周辺の通信端末Cが新設の通信端末Cを通信経路に設定することも考えられる。
【0108】
また、この通信端末Cの再起動からネットワークへの再参入までにはある程度の時間がかかるため、この新設の通信端末Cを通信経路とした周辺の通信端末Cは通信ができない状態になる。また、単に通信エラーとなるだけでなく、周辺の通信端末C自体が再参入処理を開始するなどネットワークが不安定になる可能性もある。
【0109】
そこで、新規の通信端末Cは、すべてのブロックを取得した後に再起動が必要な場合、周囲の通信可能な通信端末Cに対して、再起動の完了までは自端末を途中経路の通信端末として選択しないことを要求する情報を通知する。つまり、通信端末Cは、新規参入時にデータ配信を受け、直後にデータで動作するために再起動を実施する場合は、データ配信が必要と認識した後、周辺の通信端末Cに、自身を通信経路に指定しないよう通知する。
【0110】
このように、第4実施形態によれば、新規参入の通信端末Cの周辺にある通信端末Cが、データ配信を受けて短時間で再起動を行う新規参入の通信端末Cを自身の通信経路に選択することを回避でき、ネットワークの安定性を確保することができる。
【0111】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。通信端末Cのソフトウェア開発時に、無条件あるいは端末種別やソフトウェアバージョンなど、ソフトウェア配信に関係のある条件で、通信端末Cが配信されているソフトウェア(データ)を取り込むべきかどうかが決定される。
【0112】
例えば、運用中に設定可能なパラメータが特定条件(例えば、シリアルナンバーが所定範囲など)の場合といった、データ配信に直接関係の無い条件によってデータ配信対象となる通信端末Cを限定したいという運用が考えられる。しかしながら、そのような条件をソフトウェア開発時に埋め込むことは容易ではない。このような特定条件を満たす通信端末Cのみにデータを配信する場合について、以下に説明する。
【0113】
データ配信プロセスの開始時に、管理装置Aまたは集約ルータBから通信端末Cに対し、管理装置Aにデータ配信の条件を確認するかどうかの情報を通知する。確認要となった場合には、通信端末Cが管理装置Aに条件に合致するかどうか問い合わせを行う。管理装置Aは通信端末Cを識別して、データ配信が必要かどうかの判定結果を通信端末Cに通知する。
【0114】
つまり、管理装置Aにおいて、配信要否条件記憶部112は、配信データ記憶部111に記憶されているデータごとに、それぞれの通信端末Cごとの配信の要否の条件を記憶している。そして、配信要否通知部122は、任意の通信端末Cからデータ配信の要否の問い合わせがあったとき、配信要否条件記憶部112を参照して、送信元の通信端末Cに対してデータ配信の要否について通知する。
【0115】
データ配信が必要との通知を受けた通信端末Cは、配信中のデータを自身のデータとして格納する。データ配信が不要との通知を受けた通信端末Cは、必要に応じてデータ(ブロック)の転送を実施するが、自身には取り込まない。
【0116】
このように、第5実施形態によれば、データ配信の要否の条件判定を管理装置Aで実行し、通信端末Cはその結果のみを受け取ることで、通信端末Cのソフトウェア開発時に、将来必要となる具体的な条件判定を埋め込む必要は無く、ソフトウェア開発が容易となる。
【0117】
また、無条件にすべての通信端末Cにデータを配信したい場合には、通信端末Cから管理装置Aへの確認が不要なことを通信端末Cに通知することで、確認のために必要な通信端末Cと管理装置Aとの間のトラフィックや、管理装置Aの処理負荷を無くすことができる。この確認プロセスは、ブロードキャストによるデータ配信にも適用でき、また通信端末Cの新設時のデータ配信にも適用できる。
【0118】
なお、上述した実施の形態における、上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、各種プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0119】
また、上述した実施の形態における、上記処理を実行するめのプログラムは、各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えば、CPU(プロセッサ回路)がROMまたはHDDから上記プログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部がRAM(主記憶)上にロードされ、上述した各機能部がRAM(主記憶)上に生成されるようになっている。なお、上述した各機能部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
【0120】
なお、上記には、実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0121】
例えば、上述の実施形態では、主にソフトウェア配信について説明したが、これに限定されず、多数の通信端末Cに対し大きなデータを配信する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
A…管理装置、B…集約ルータ、C…通信端末、11…記憶部、12…処理部、13…WAN通信部、21…記憶部、22…処理部、23…WAN通信部、24…無線通信部、31…記憶部、32…処理部、33…無線通信部、111…配信データ記憶部、112…配信要否条件記憶部、121…配信処理部、122…配信要否通知部、221…配信データ分割処理部、222…ブロードキャスト配信処理部、223…欠損ブロック配信処理部、224…要求送信間隔決定部、225…配信データ処理制御部、311…配信データ記憶部、321…欠損ブロック管理部、322…ブロードキャスト配信処理部、323…ユニキャスト配信処理部、324…要求送信間隔抽出部、325…欠損ブロック要求送信部、S…データ配信システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9