(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】直流電流遮断装置
(51)【国際特許分類】
H01H 33/59 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H01H33/59 D
(21)【出願番号】P 2020167213
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱島 慎ノ介
(72)【発明者】
【氏名】児山 裕史
(72)【発明者】
【氏名】石黒 崇裕
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/035180(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0006838(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109038510(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28-33/59
H01H 9/54- 9/56
H02H 3/00
H02H 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2線以上の直流送電線に取り付けられ、前記直流送電線のそれぞれを流れる直流電流を遮断可能な直流電流遮断装置であって、
前記直流送電線に設けられる開閉転流部と、
前記開閉転流部の第1側と、各直流送電線に共通の遮断消費部の第1端子とを接続する第1補助線路に設けられる第1の選択部と、
前記開閉転流部の第1側と、各直流送電線に共通の遮断消費部の第2端子とを接続する第2補助線路に設けられる第2の選択部と、
前記開閉転流部の第2側と、前記第1端子とを接続する第3補助線路に設けられる第3の選択部と、
前記開閉転流部の第2側と、前記第2端子とを接続する第4補助線路に設けられる第4の選択部と、
を直流送電線ごとに備え、
前記開閉転流部は、少なくとも1つの機械接点式の遮断器である開閉部と、前記直流送電線を流れる電流を前記遮断消費部に転流させる転流部とを備え、
前記第1から第4の選択部のそれぞれは、電流経路を選択可能であり、
更に、少なくとも1つの半導体素子を有して電流を遮断することが可能な半導体遮断器と、エネルギーを消費または吸収する消費吸収部とを含む前記遮断消費部を備える、
直流電流遮断装置。
【請求項2】
前記開閉転流部の前記開閉部と前記転流部とは、
前記直流送電線に直列または並列に設けられる、
請求項1に記載の直流電流遮断装置。
【請求項3】
前記第1から第4の選択部のそれぞれは、少なくとも1個の半導体素子または少なくとも1個の機械式スイッチを備える、
請求項1または請求項2に記載の直流電流遮断装置。
【請求項4】
前記転流部は、1個の半導体素子、または、直列あるいは並列に接続された複数の半導体素子を備える、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項5】
前記転流部は、複数の半導体素子を直列に接続したレグ、または、1つ以上の半導体素子と1つ以上の整流素子とを直列に接続したレグのうち何れかを2つ備え、前記2つのレグと少なくとも1つの蓄電要素とが並列に接続されたフルブリッジユニットを、1個または2個以上、直列に接続したものである、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項6】
前記転流部は、複数の半導体素子を直列に接続したレグ、または、少なくとも1つの半導体素子と少なくとも1つの整流素子とを直列に接続したレグのうち何れか1つのレグを2つ備え、前記2つのレグと少なくとも1つのコンデンサとが並列に接続されたハーフブリッジユニットを、1個または2個以上が直列に接続したものである、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項7】
前記転流部は、前記開閉部に流れる電流値を変化させて略ゼロ状態を作り出し、前記開閉部をオフ状態に移行させる、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項8】
前記遮断器は、少なくとも1個の半導体素子を有し、当該1個以上の半導体素子は直列、あるいは並列に接続されている、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項9】
前記開閉
部と前記転流部と前記遮断消費部とのそれぞれの状態を、電流を略ゼロの状態とするオフ状態と、電流を流す状態のオン状態とのいずれかに制御する制御部をさらに備え、
前記第1から第4の選択部のそれぞれは、前記直流送電線の状態によって、電流を略ゼロの状態とするオフ状態と、電流を流す状態のオン状態とに、状態が変わる素子を備える、
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記直流送電線に系統事故が生じるまでの定常動作時に、前記開
閉部をオン状態にし、前記遮断消費部をオフ状態にする、
請求項9に記載の直流電流遮断装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記直流送電線に系統事故が発生した場合に、前記直流送電線の中の前記系統事故が発生した直流送電線に対応する前記転流部をオン状態に移行させることにより、前記系統事故が発生した直流送電線に属する前記開閉部に流れる電流に略ゼロ電流状態を作りだし、前記略ゼロ電流状態になった前記開閉部をオフ状態に移行させ、
前記遮断消費部をオン状態にし、前記転流部の電流が略ゼロ電流状態となった後、前記遮断消費部をオフ状態にする、
請求項9または請求項10に記載の直流電流遮断装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記直流送電線に系統事故が生じるまでの定常動作時に、前記開
閉部及び前記転流部をオン状態にし、前記遮断消費部をオフ状態にして、
前記系統事故が発生した場合に、前記直流送電線の中の前記系統事故が発生した直流送電線に対応する前記転流部をオフ状態に移行させることにより、前記系統事故が発生した直流送電線に属する前記開閉部に流れる電流に略ゼロ電流状態を作りだし、前記略ゼロ電流状態になった前記開閉部をオフ状態に移行させ、
前記遮断消費部をオン状態にし、前記転流部の電流が略ゼロ電流状態となった後、前記遮断消費部と、前記系統事故が発生した直流送電線に対応する前記第1から第4の選択部をオフ状態にする、
請求項9または請求項10に記載の直流電流遮断装置。
【請求項13】
前記転流部と前記開閉部とは直接に接続したものである、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項14】
前記転流部は、直接に自己消弧可能な半導体素子を接続したものである、
請求項13に記載の直流電流遮断装置。
【請求項15】
前記開閉部は、1つの機械接点式の遮断器を備える、
請求項13または請求項14に記載の直流電流遮断装置。
【請求項16】
前記転流部は、前記開閉部に流れる電流値を変化させて略ゼロ状態を作り出し、前記開閉部をオフ状態に移行させる、
請求項13から請求項15のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項17】
前記開閉
部と前記転流部と前記遮断消費部とのそれぞれの状態を、電流を略ゼロの状態とするオフ状態と、電流を流す状態のオン状態とのいずれかに制御する制御部をさらに備え、
前記第1から第4の選択部のそれぞれは、前記直流送電線の状態によって、電流を略ゼロの状態とするオフ状態と、電流を流す状態のオン状態とに、状態が変わる素子を備える、
請求項13から請求項16のうちいずれか1項に記載の直流電流遮断装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記直流送電線に系統事故が生じるまでの定常動作時に、前記開
閉部をオン状態にし、前記遮断消費部をオフ状態にする、
請求項17に記載の直流電流遮断装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記直流送電線に系統事故が発生した場合に、前記直流送電線の中の前記系統事故が発生した直流送電線に対応する前記転流部をオン状態に移行させることにより、前記系統事故が発生した直流送電線に属する前記開閉部に流れる電流に略ゼロ電流状態を作りだし、前記略ゼロ電流状態になった前記開閉部をオフ状態に移行させ、
前記遮断消費部をオン状態にし、前記転流部の電流が略ゼロ電流状態となった後、前記遮断消費部をオフ状態にする、
請求項17または請求項18に記載の直流電流遮断装置。
【請求項20】
前記制御部は、
前記直流送電線に系統事故が生じるまでの定常動作時に、前記開
閉部及び前記転流部をオン状態にし、前記遮断消費部をオフ状態にして、
前記系統事故が発生した場合に、前記直流送電線の中の前記系統事故が発生した直流送電線に対応する前記転流部をオフ状態に移行させることにより、前記系統事故が発生した直流送電線に属する前記開閉部に流れる電流に略ゼロ電流状態を作りだし、前記略ゼロ電流状態になった前記開閉部をオフ状態に移行させ、
前記遮断消費部をオン状態にし、前記転流部の電流が略ゼロ電流状態となった後、前記遮断消費部と、前記系統事故が発生した直流送電線に対応する前記第1から第4の選択部をオフ状態にする、
請求項17または請求項18に記載の直流電流遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電流遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電流遮断装置は、直流送電線に流れる電流を遮断するものである。直流電流は、電流がゼロとなる点(電流ゼロ点)が周期的に発生しないため、交流電流と比べ単純な機械接点式遮断器での遮断が困難である。機械接点式遮断器を利用する場合は、能動的に機械式電流遮断器に電流ゼロ点を作る必要がある。
【0003】
このような形態の1つとしては、半導体素子を備えるハイブリッド遮断器がある。ハイブリッド遮断器は、機械遮断器を流れる事故電流を自己消弧可能な半導体素子に転流させ機械式電流遮断器に電流ゼロ点を作ることでオフ状態に移行させ、半導体遮断器で電流を遮断する。ハイブリッド遮断器は、事故位置によって遮断時には方向の異なる電流を遮断する必要があるため、構成が大規模になる場合がある。また、複数回線に適用する場合、複数回線のそれぞれについて独立して設けるとした場合、更に構成が大規模になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公開第109038510号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より簡素に構成することができる直流電流遮断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の直流電流遮断装置は、2線以上の直流送電線に取り付けられ、前記直流送電線のそれぞれを流れる直流電流を遮断可能な直流電流遮断装置である。実施形態の直流電流遮断装置は、開閉転流部と、第1の選択部と、第2の選択部と、第3の選択部と、第4の選択部と、を直流送電線ごとに持つ。開閉転流部は、前記直流送電線に設けられる。第1の選択部は、前記開閉転流部の第1側と、各直流送電線に共通の遮断消費部の第1端子とを接続する第1補助線路に設けられる。第2の選択部は、前記開閉転流部の第1側と、各直流送電線に共通の遮断消費部の第2端子とを接続する第2補助線路に設けられる。第3の選択部は、前記開閉転流部の第2側と、前記第1端子とを接続する第3補助線路に設けられる。第4の選択部は、前記開閉転流部の第2側と、前記第2端子とを接続する第4補助線路に設けられる。前記開閉転流部は、開閉部と、転流部とを持つ。前記開閉部は、少なくとも1つの機械接点式の遮断器である。前記転流部は、前記直流送電線を流れる電流を前記遮断消費部に転流させる。前記第1から第4の選択部のそれぞれは、電流経路を選択可能である。前記遮断消費部は、半導体遮断器と、前記遮断消費部とを持つ。前記半導体遮断器は、少なくとも1つの半導体素子を有して電流を遮断することが可能である。前記遮断消費部は、エネルギーを消費または吸収する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の構成の一例を示す図。
【
図2】開閉転流部の一例である開閉転流部2Aの構成例を示す図。
【
図3】開閉転流部2Aの転流部の第1例である転流部7Aの構成の一例を示す図。
【
図4】開閉転流部2Aの第2例である転流部7Bの構成の一例を示す図。
【
図5】開閉転流部2Aの第3例である転流部7Cの構成の一例を示す図。
【
図6】開閉転流部2Aの第4例である転流部7Dの構成の一例を示す図。
【
図7】遮断消費部の第1例である遮断消費部3Aの構成の一例を示す図。
【
図8】遮断消費部の第2例である遮断消費部3Bの構成の一例を示す図。
【
図9】選択部の第1例である選択部4Aの構成の一例を示す図。
【
図10】選択部の第2例である選択部4Bの構成の一例を示す図。
【
図11】選択部の第3例である選択部4Cの構成の一例を示す図。
【
図12】選択部の第4例である選択部4Dの構成の一例を示す図。
【
図13】選択部の第5例である選択部4Eの構成の一例を示す図。
【
図14】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置に事故が発生していない定常導通時の動作と電流の流れを示す図。
【
図15】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の第2結合点側で事故が発生した時の動作と電流の流れを示す図。
【
図16】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の第2結合点側で事故が発生した後の動作と電流の流れを示す図。
【
図17】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の第2結合点側での事故発生後、事故回線が遮断された状態を示す図。
【
図18】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の第1結合点側で事故が発生した時の動作と電流の流れを示す図。
【
図19】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の第1結合点側で事故が発生した後の動作と電流の流れを示す図。
【
図20】第1の実施形態に係る直流電流遮断装置の第1の構成例を示す図である。
【
図21】第2の実施形態に係る開閉転流部の構成例を示す図。
【
図23】第2の実施形態に係る開閉転流部2Bを備える直流電流遮断装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の直流電流遮断装置を、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
直流電流遮断装置1の構成例を説明する。
図1は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1の構成の一例を示す図である。
図1のように、直流電流遮断装置1は、開閉転流部2-k(k=1,2,…,n;nは2以上の整数、以下同様)と、遮断消費部3と、選択部4-k-1,4-k-2,4-k-3,4-k-4と、制御部5と、を備える。直流電流遮断装置1は、開閉転流部2-kと、選択部4-k-1、4-k-2、4-k-3、および4-k-4とを直流送電線10-kごとに備える。なお、以下の説明において、いずれの直流送電線10-kに対応するかを示すハイフン以下の符号(あるいは最初のハイフンと続く数字または記号からなる符号)を省略する場合がある。
【0010】
開閉転流部2-kは、後述するように開閉部6と、転流部7とを備える。遮断消費部3は、後述するように半導体遮断器31(または35)と、遮断消費部33(または36)とを備える。
【0011】
遮断消費部3の第1端子3aは、第3結合点j3に接続され、第2端子3bは第4結合点j4に接続される。第3結合点j3には、第1バスBus1が接続される。第4結合点j4には、第2バスBus2が接続される。なお、直流電流遮断装置1は、第1バスBus1および第2バスBus2のうち少なくとも1つを省略し、選択部4と遮断消費部3とがコネクタ等で接続されたものであってもよい。
【0012】
開閉転流部2-kは、直流送電線10-k上に設けられている。
【0013】
直流送電線10-kと第1バスBus1とは、補助線路211-kによって接続される。補助線路211-kと直流送電線10-kとの接続点は、開閉転流部2-kの第1側にあり、この接続点を第1結合点j1-kと称する。補助線路211-kには、電流経路を選択する選択部4-k-1が設けられている。選択部4-k-1は、例えば、直流送電線10-kから第1バスBus1に流れる電流と、その逆向きの電流とのうち一方を許容し他方を阻止する、あるいは、第1バスBus1に流れる電流を一方向のみ許容する状態と双方向に阻止する状態に切り替わる、もしくは、第1バスBus1に流れる電流を双方向に許容する状態と双方向に阻止する状態に切り替わるものである。
【0014】
直流送電線10-kと第2バスBus2とは、補助線路212-kによって接続される。補助線路212-kと直流送電線10-kとの接続点は、第1結合点j1-kである。なお、補助線路212-kと直流送電線10-kとの接続点は、補助線路211-kと直流送電線10-kとの接続点とズレてもかまわない。補助線路212-kには、電流経路を選択する選択部4-k-2が設けられている。選択部4-k-2は、例えば、直流送電線10-kから第2バスBus2に流れる電流と、その逆向きの電流とのうち一方を許容し他方を阻止するように状態が切り替わり、あるいは双方向に電流を阻止または許容するように状態が切り替わる。
【0015】
直流送電線10-kと第1バスBus1とは、補助線路213-kによって接続される。補助線路213-kと直流送電線10-kとの接続点は、開閉転流部2-kの第2側にあり、この接続点を第2結合点j2-kと称する。補助線路213-kには、電流経路を選択する選択部4-k-3が設けられている。選択部4-k-3は、例えば、直流送電線10-kから第1バスBus1に流れる電流と、その逆向きの電流とのうち一方を許容し他方を阻止するように状態が切り替わり、あるいは双方向に電流を阻止または許容するように状態が切り替わる。
【0016】
直流送電線10-kと第2バスBus2とは、補助線路214-kによって接続される。補助線路214-kと直流送電線10-kとの接続点は、第2結合点j2-kである。なお、補助線路214-kと直流送電線10-kとの接続点は、補助線路213-kと直流送電線10-kとの接続点とズレてもかまわない。補助線路214-kには、電流経路を選択する選択部4-k-4が設けられている。選択部4-k-4は、例えば、直流送電線10-kから第2バスBus2に流れる電流と、その逆向きの電流とのうち一方を許容し他方を阻止するように状態が切り替わり、あるいは双方向に電流を阻止または許容するように状態が切り替わる。
【0017】
また、以下の説明で、補助線路211~214のうちの1つを特定しない場合は、補助線路200ともいう。
【0018】
開閉転流部2は、制御部5の制御に応じて、オン状態とオフ状態の間で状態が切り替えられる。開閉転流部2は、設けられている直流送電線に事故が発生した場合、制御部5の制御に応じて、オフ状態に切り替えられる。
【0019】
遮断消費部3は、制御部5の制御に応じて、オン状態とオフ状態の間で状態が切り替えられる。遮断消費部3は、複数の直流送電線のうちのいずれか1つの直流送電線に事故が発生した場合、制御部5の制御に応じて、オン状態に切り替えられる。
【0020】
選択部4は、ダイオード等で構成される場合、制御部5の制御に応じて、オン状態とオフ状態の間で状態が切り替えられる。
【0021】
制御部5は、複数の直流送電線のうちのいずれか1つに事故が発生したことを検出し、事故が発生した際に、開閉転流部2と、遮断消費部3と、選択部4とを切り替えて制御する。なお、制御部5は、事故が発生した直流送電線に基づいて、複数の選択部4の中から状態を切り替える対象の選択部4を選択する。あるいは、選択部4がダイオード等である場合、制御部5は、複数の直流送電線のうちのいずれか1つに事故が発生したことを検出し、事故が発生した際に、開閉転流部2と、遮断消費部3とを切り替えて制御する。なお、制御部5は、例えば、直流送電線の電流の大きさと電流が流れる向きに基づいて事故の発生と、事故が発生した位置(第1結合点j1-kまたは第2結合点j2-k)を検知する。制御部5は、例えば事故検出部を備えていてもよい。
【0022】
なお、制御部5は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより機能する。制御部5は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0023】
[開閉転流部の構成例]
次に、開閉転流部2の構成例を、
図2~
図6を用いて説明する。
図2は、開閉転流部2の一例である開閉転流部2Aの構成例を示す図である。
図2のように、開閉転流部2Aは、例えば、開閉部6と転流部7とを備える。開閉部6の第1端子6aは、第1結合点j1に接続され、第2端子6bは転流部7の第2端子7bと第2結合点j2とに接続され、第3端子6cは転流部7の第1端子7aに接続される。なお、開閉部6の第1端子6aは、転流部7の第2端子7bと第2結合点j2に接続され、第2端子6bは第2結合点j1とに接続されていてもよい。
【0024】
図2のように、開閉部6の構成の一例である開閉部6Aは、例えば、遮断器61と断路器62とを備える。遮断器61と断路器62とは、例えば機械接点式のスイッチである。遮断器61と断路器62とは、直列に接続される。
【0025】
開閉部6Aの第1端子6aは第1結合点j1に接続され、第2端子6bは第2結合点j2と転流部7Aの第2端子7bとに接続され、第3端子6cは転流部7Aの第1端子7aに接続される。なお、開閉部6Aの第1端子6aは、第2結合点j2と転流部7Aの第2端子7bとに接続され、第2端子6bは、第1結合点j1に接続されていてもよい。
【0026】
遮断器61の第1端子61aは断路器62の第2端子62bと開閉部6Aの第3端子6cとに接続され、第2端子61bは開閉部6Aの第2端子6bに接続される。断路器62の第1端子62aは、開閉部6Aの第1端子6aに接続される。なお、
図2では遮断器61と断路器62は1個ずつであるが、開閉部6の構成は、複数個の遮断器61と断路器62が直列に接続または並列に接続される構成であってもよい。
【0027】
次に、開閉転流部2Aの転流部7の構成例を、
図3~
図6を用いて説明する。
図3は、開閉転流部2Aの転流部7の第1例である転流部7Aの構成の一例を示す図である。
図3のように、転流部7Aは、例えば、インダクタ71と、コンデンサ72と、転流回路73Aと、を備える。転流回路73Aは、例えば、半導体素子74~77を備える。なお半導体素子74~77それぞれが有する整流器は、保護用のダイオードである。なお、転流回路73Aが、コンデンサ72を備えていてもよい。
【0028】
インダクタ71の第1端子71aは転流部7Aの第1端子7aに接続され、第2端子71bは転流回路73Aの第1端子73aに接続される。転流回路73Aの第2端子73bは転流部7Aの第2端子7bに接続される。なお、
図3において、インダクタ71と転流回路73Aとの配置は逆であってもよい。
【0029】
半導体素子74のコレクタは、半導体素子76のコレクタと、コンデンサ72の正極とに接続される。半導体素子74のエミッタは、半導体素子75のコレクタと、インダクタ71の第2端子71bとに接続される。半導体素子75のエミッタは、半導体素子77のエミッタと、コンデンサ72の負極とに接続される。半導体素子76のエミッタは、半導体素子77のコレクタと、転流部7Aの第2端子7bとに接続される。半導体素子74~77それぞれのベースには、制御部5の制御線(不図示)が接続される。
【0030】
転流部7Aは、転流回路である。半導体素子74~77それぞれは、自己消弧できる半導体素子であり、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。このように、転流部7Aは、1個の半導体素子、または直列に接続または並列に接続される複数の半導体素子を備える。
【0031】
図4は、開閉転流部2Aの第2例である転流部7Bの構成の一例を示す図である。
図4のように、転流部7Bは、例えば、インダクタ71と、コンデンサ72と、転流回路73Bと、を備える。転流回路73Bは、例えば、半導体素子74、77、78、および79を備える。半導体素子78、79それぞれは、例えば整流器である。なお、転流回路73Bが、コンデンサ72を備えていてもよい。
【0032】
インダクタ71の第1端子71aは転流部7Bの第1端子7aに接続され、第2端子71bは転流回路73Bの第1端子73cに接続される。転流回路73Bの第2端子73dは転流部7Bの第2端子7bに接続される。なお、
図4において、インダクタ71と転流回路73Bとの配置は逆であってもよい。
【0033】
半導体素子74のコレクタは、半導体素子79のカソードと、コンデンサ72の正極とに接続される。半導体素子74のエミッタは、半導体素子78のカソードと、インダクタ71の第2端子71bとに接続される。半導体素子78のアノードは、半導体素子77のエミッタと、コンデンサ72の負極とに接続される。半導体素子79のアノードは、半導体素子77のコレクタと、転流部7Bの第2端子7bとに接続される。半導体素子74、77それぞれのベースには、制御部5の制御線(不図示)が接続される。
【0034】
ここで、転流部7Bでは、例えば、半導体素子74と75を直列に接続した回路が第1のレグであり、半導体素子76と77を直列に接続した回路が第2のレグである。
【0035】
図5は、開閉転流部2Aの第3例である転流部7Cの構成の一例を示す図である。
図5のように、転流部7Cは、例えば、インダクタ71と、コンデンサ72と、転流回路73Cと、を備える。転流回路73Bは、例えば、半導体素子75、76、80、および81を備える。半導体素子80、81それぞれは、例えば整流器である。なお、転流回路73Cが、コンデンサ72を備えていてもよい。
【0036】
インダクタ71の第1端子71aは転流部7Cの第1端子7aに接続され、第2端子71bは転流回路73Cの第1端子73bに接続される。転流回路73Cの第2端子73fは転流部7Bの第2端子7bに接続される。なお、
図5において、インダクタ71と転流回路73Cとの配置は逆であってもよい。
【0037】
半導体素子80のカソードは、半導体素子76のコレクタと、コンデンサ72の正極とに接続される。半導体素子80のアノードは、半導体素子75のコレクタと、インダクタ71の第2端子71bとに接続される。半導体素子75のエミッタは、半導体素子81のアノードと、コンデンサ72の負極とに接続される。半導体素子76のエミッタは、半導体素子81のカソードと、転流部7Cの第2端子7bとに接続される。半導体素子75、76それぞれのベースには、制御部5の制御線(不図示)が接続される。
【0038】
図6は、開閉転流部2Aの第4例である転流部7Dの構成の一例を示す図である。
図6のように、転流部7Dは、例えば、インダクタ71と、コンデンサ82と、コンデンサ83と、転流回路73Dと、を備える。転流回路73Dは、例えば、半導体素子74~81を備える。半導体素子78~81それぞれは、例えば整流器である。なお、転流回路73Dが、コンデンサ82、83を備えていてもよい。なお、
図6において、インダクタ71と転流回路73Dとの配置は逆であってもよい。
【0039】
半導体素子74のコレクタは、半導体素子79のカソードと、コンデンサ82の正極とに接続される。半導体素子74のエミッタは、半導体素子80のカソードと、半導体素子78のアノードと、半導体素子75のコレクタと、インダクタ71の第2端子71bとに接続される。
【0040】
半導体素子80のアノードは、半導体素子76のエミッタと、コンデンサ82の負極とに接続される。半導体素子79のアノードは、半導体素子76のコレクタと、半導体素子77のエミッタと、半導体素子81のカソードと、転流部7Dの第2端子7bとに接続される。
【0041】
半導体素子78のカソードは、半導体素子77のコレクタと、コンデンサ83の正極とに接続される。半導体素子75のエミッタは、半導体素子81のアノードと、コンデンサ83の負極とに接続される。半導体素子74~77それぞれのベースには、制御部5の制御線(不図示)が接続される。
【0042】
図3~
図6のように、転流部7は、複数の半導体素子を直列に接続したレグ、または、1つ以上の半導体素子と1つ以上の整流素子とを直列に接続したレグのうち何れかを2つ備え、2つのレグと少なくとも1つの蓄電要素とが並列に接続されたフルブリッジユニットを、1個または2個以上、直列に接続したものであるようにしてもよい。なお、蓄電要素は、コンデンサに限らず、蓄電機能を有するものであればよい。
【0043】
または、
図3~
図6のように、転流部7は、複数の半導体素子を直列に接続したレグ、または、少なくとも1つの半導体素子と少なくとも1つの整流素子とを直列に接続したレグのうち何れか1つのレグを2つ備え、前記2つのレグと少なくとも1つのコンデンサとが並列に接続されたハーフブリッジユニットを、1個または2個以上が直列に接続したものであるようにしてもよい。なお、蓄電要素は、コンデンサに限らず、蓄電機能を有するものであればよい。
【0044】
[遮断消費部3の構成例]
次に、遮断消費部3の構成例を、
図7~
図8を用いて説明する。
図7は、遮断消費部3の第1例である遮断消費部3Aの構成の一例を示す図である。
図7のように、遮断消費部3Aは、例えば、遮断部31と、消費吸収部33とを備える。
【0045】
遮断部31は、例えば複数の自己消弧できる半導体素子32を備える。なお半導体素子32が有する整流器は、保護用のダイオードである。半導体素子32は、例えばIGBTである。消費吸収部33は、例えば複数のアレスタ34を備える。半導体素子32とアレスタ34とは並列に接続されている。半導体素子32とアレスタ34との複数の並列回路は、十分な耐圧となるように直列に接続されている。半導体素子32とアレスタ34との初段の並列回路において、半導体素子32のコレクタ側は遮断消費部3の第1端子3aに接続される。半導体素子32とアレスタ34との最終段の並列回路において、半導体素子32のエミッタ側は遮断消費部3の第2端子3bに接続される。
【0046】
図8は、遮断消費部3の第2例である遮断消費部3Bの構成の一例を示す図である。
図8のように、遮断消費部3Bは、例えば、複数の半導体素子35と、1つのアレスタ36とを備える。なお半導体素子35の整流器は、保護用のダイオードである。
【0047】
半導体素子35は、自己消弧できる半導体素子であり、例えばIGBTである。複数の半導体素子35は、十分な耐圧となるように直列に接続されている。複数の半導体素子35全体に並列にアレスタ36が接続される。初段の半導体素子35のコレクタ側は、アレスタ36の第1端子と遮断消費部3の第1端子3aとに接続される。最終段の半導体素子35のエミッタ側は、アレスタ36の第2端子と遮断消費部3の第2端子3bとに接続される。
【0048】
なお、遮断部31(または35)をオフ状態にした際のエネルギーが、アレスタ34(または36)が不要なほどに低ければ、遮断消費部3A(または3B)は、アレスタ34(または36)を備えていなくてもよい。また、遮断部31(または35)は、半導体素子32(または35)の極性が双方向でも一方向でもよい。
【0049】
[選択部4の構成例]
次に、選択部4の構成例を、
図9~
図13を用いて説明する。
図9は、選択部4の第1例である選択部4Aの構成の一例を示す図である。
図9のように、選択部4Aは、例えば、複数のダイオード41を備える。複数のダイオード41は、十分な耐圧となるように直列に接続されている。選択部4-k-1の初段のダイオード41のカソード側は第3結合点j3側に接続され、最終段のダイオード41のカソード側は第1結合点j1側に接続される。選択部4-k-2の初段のダイオード41のカソード側は第1結合点j1側に接続され、最終段のダイオード41のカソード側は第4結合点j4側に接続される。選択部4-k-3の初段のダイオード41のカソード側は第3結合点j3側に接続され、最終段のダイオード41のカソード側は第2結合点j2側に接続される。選択部4-k-4の初段のダイオード41のカソード側は第2結合点j2側に接続され、最終段のダイオード41のカソード側は第4結合点j4側に接続される。このように、選択部4Aは、事故電流を流す向きに接続される。このように、ダイオード41は制御部5の制御が不用であり、直流送電線10-kの状態によって、電流を略ゼロの状態とするオフ状態と、電流を流す状態のオン状態とに、状態が変わる。
【0050】
図10は、選択部4の第2例である選択部4Bの構成の一例を示す図である。
図10のように、選択部4Bは、例えば、複数の半導体素子42を備える。半導体素子42は、例えばサイリスタである。複数の半導体素子42は、十分な耐圧となるように直列に接続されている。選択部4Bは、事故電流を流す向きに接続される。なお、半導体素子42のゲートには、制御部5の制御線(不図示)が接続される。選択部4Bは、制御部5からオン信号が印加されたら直流送電線10から第1バスBus1、第2バスBus2から直流送電線10へ電流を流す状態になる。
【0051】
図11は、選択部4の第3例である選択部4Cの構成の一例を示す図である。
図11のように、選択部4Cは、例えば、複数の半導体素子43を備える。半導体素子43は、自己消弧できる半導体素子であり、例えばIGBTである。複数の半導体素子43は、十分な耐圧となるように直列に接続されている。なお、半導体素子43のゲートには、制御部5の制御線(不図示)が接続される。選択部4Cは、制御部5の制御によってオフ状態のとき、第1バスBus1から直流送電線10、直流送電線10から第2バスBus2への一方向が許容され、逆方向が阻止される。また、選択部4Cは、制御部5の制御によってオン状態のとき、第1バスBus1と直流送電線10、直流送電線10と第2バスBus2の双方向が許容される。
【0052】
図12は、選択部4の第4例である選択部4Dの構成の一例を示す図である。
図12のように、選択部4Dは、例えば少なくとも1つの機械式のスイッチ44を備える。なお、スイッチ44の切り替えは、制御部5が行う。選択部4Dは、制御部5の制御によってオフ状態のとき、第1バスBus1と直流送電線10の双方向が阻止され、直流送電線10と第2バスBus2の双方向が阻止される。また、選択部4Cは、制御部5の制御によってオン状態のとき、第1バスBus1と直流送電線10の双方向が許容され、直流送電線10と第2バスBus2の双方向が許容される。
【0053】
図13は、選択部4の第5例である選択部4Eの構成の一例を示す図を示す図である。相互に接続されるような直流送電線である場合、
図13のように、選択部4Eは、例えば開閉転流部2を備える。なお、選択部4Eの切り替えは、制御部5が行う。選択部4Eは、制御部5の制御によってオフ状態のとき、第1バスBus1と直流送電線10の双方向が阻止され、直流送電線10と第2バスBus2の双方向が阻止される。また、選択部4Cは、制御部5の制御によってオン状態のとき、第1バスBus1と直流送電線10の双方向が許容され、直流送電線10と第2バスBus2の双方向が許容される。
【0054】
[直流電流遮断装置1の動作例]
次に、直流電流遮断装置1の動作例を説明する。なお、以下の説明では、選択部4がダイオード等でないものとする。まず、事故が発生していない定常導通時の動作を説明する。
図14は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1に事故が発生していない定常導通時の動作と電流の流れを示す図である。なお、以下の説明において、いずれの構成の-kに対応するかを示すハイフン以下の符号(あるいは最初のハイフンと続く数字または記号からなる符号)を省略する。
【0055】
図14のように定常導通時、制御部5は、開閉転流部2をオン状態に切り替え、遮断消費部3をオフ状態に切り替え、選択部4をオフ状態に切り替える。このため、
図14のように、直流送電線の直流送電線10には、第2結合点j2側から、開閉転流部2を介して第1結合点j1側に電流(g1,g2,…,gn)が流れる。なお、定常導通時の潮流状態は、
図14の方向に限らず、第1結合点j1側から第2結合点j2側に流れる方向であってもよく、線路それぞれに流れる潮流状態の向きは全て同じでなくてもよい。
【0056】
次に、直流送電線10において第2結合点j2側で事故が発生した際の動作を、
図15~
図17を参照して説明する。
図15は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1の第2結合点j2側で事故が発生した時の動作と電流の流れを示す図である。
図16は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1の第2結合点j2側で事故が発生した後の動作と電流の流れを示す図である。
図17は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1の第2結合点j2側での事故発生後、事故が発生した直流送電線である事故回線が遮断された状態を示す図である。
【0057】
直流送電線10-2において開閉転流部2-2の第2結合点j2側で事故が発生した場合、
図15のように直流送電線10-2上に接続された開閉転流部2-2に、第1結合点j1-2側から第2結合点j2-2側に事故電流g2’が流れる。
【0058】
制御部5は、直流送電線10-2において開閉転流部2-2の第2結合点j2側で事故が発生したことを検知したため、状態を切り替える対象として選択部4-2-1と選択部4-2-4とを選択する。制御部5は、事故を検知すると、
図16のように遮断消費部3をオン状態にすると共に、直流送電線10-2に接続されている開閉転流部2-2を動作させ、選択した選択部4-2-1と選択部4-2-4とを動作させ、開閉転流部2-2に流れる電流を略ゼロにさせる。この際、制御部5は、選択しなかった選択部4をオフ状態にするようにしてもよい。この結果、直流送電線10-2から、選択部4-2-1と、第1バスBus1と、遮断消費部3と、第2バスBus2と、選択部4-2-4と、を通って直流送電線10-2に至る電流経路ができる。これにより、事故電流g2’は、選択部4によって直流送電線10-2に接続される開閉転流部2-2を迂回する。この結果、直流送電線10-2上の事故電流g2’は、遮断消費部3へと転流する。
【0059】
遮断消費部3に電流が転流した後、制御部5は、遮断消費部3をオフ状態にする。なお、制御部5は、遮断消費部3をオフ状態にした後、全ての選択部4をオフ状態にするようにしてもよい。これにより、発生するエネルギーが遮断消費部3で消費され、
図17のように事故回線が遮断される。
【0060】
次に、直流送電線10-2において第1結合点j1側で事故が発生した際の動作を、
図18~
図19を参照して説明する。
図18は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1の第1結合点j1側で事故が発生した時の動作と電流の流れを示す図である。
図19は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1の第1結合点j1側で事故が発生した後の動作と電流の流れを示す図である。
【0061】
直流送電線10-2において開閉転流部2-2の第1結合点j1側で事故が発生した場合、
図18のように直流送電線10-2上に接続された開閉転流部2-2に、第2結合点j2-2側から第1結合点j1-2側に事故電流g2’’が流れる。
【0062】
制御部5は、直流送電線10-2において開閉転流部2-2の第1結合点j1側で事故が発生したことを検知したため、状態を切り替える対象として選択部4-2-2と選択部4-2-3とを選択する。制御部5は、事故を検知すると、遮断消費部3をオン状態にすると共に、
図19のように直流送電線10-2に接続されている開閉転流部2-2と、選択した選択部4-2-2と選択部4-2-3とを動作させ、開閉転流部2-2に流れる電流を略ゼロにさせる。この結果、直流送電線10-2から、選択部4-2-3と、第1バスBus1と、遮断消費部3と、第2バスBus2と、選択部4-2-2と、を通って直流送電線10-2に至る電流経路ができる。これにより、事故電流g2’’は、選択部4によって直流送電線10-2に接続される開閉転流部2-2を迂回する。この結果、直流送電線10-2上の事故電流g2’’は、遮断消費部3へと転流する。
【0063】
遮断消費部3に電流が転流した後、制御部5は、遮断消費部3をオフ状態にする。なお、制御部5は、遮断消費部3をオフ状態にした後、全ての選択部4をオフ状態にするようにしてもよい。これにより、発生するエネルギーが遮断消費部3で消費され、
図17のように事故回線が遮断される。
【0064】
以上のように、本実施形態では、事故発生時、事故が第1結合点側であっても第2結合点側であっても、
図16と
図19のように遮断消費部3には、第3結合点j3から第4結合点j4に事故電流が流れる。本実施形態では、開閉転流部2と遮断消費部3と選択部4それぞれの構成と、制御部5による制御によって、このような遮断消費部3に事故電流を一方向に流すようにしたことで、構成を従来より簡単にできる。
【0065】
[直流電流遮断装置の構成例]
次に、直流電流遮断装置1Aの構成例を、
図20を用いて説明する。
図20は、本実施形態に係る直流電流遮断装置1Aの第1の構成例を示す図である。
図20に示す直流電流遮断装置1Aは、開閉転流部2Aが開閉部6Aと転流部7Aとを備え、遮断消費部3Aが遮断部31と消費吸収部33とを備え、選択部4Aが複数のダイオード41を備える。
【0066】
ここで、開閉転流部2Aの動作を説明する。制御部5は、定常動作時に、開閉部6Aの遮断器61と断路器62をオン状態にし、転流部7Aの転流回路73Aをオフ状態にする。
【0067】
直流送電線10-2の事故電流を検知すると、制御部5は、遮断消費部3の半導体素子32をオン状態にする。制御部5は、直流送電線10-2に接続された転流部7Aの転流回路73Aをオン状態にさせ、開閉部6Aの遮断器61に流れる電流を打ち消すように電流を流すことで、略ゼロ電流にする。
【0068】
なお、第2結合点j2側で直流送電線10-2の事故電流を検知すると、制御部5は、転流回路73Aの半導体素子74と半導体素子77とをオン状態にし、半導体素子75と半導体素子76とをオフ状態にする。第1結合点j1側で直流送電線10-2の事故電流を検知すると、制御部5は、転流回路73Aの半導体素子74と半導体素子77とをオフ状態にし、半導体素子75と半導体素子76とをオン状態にする。
【0069】
略ゼロ電流状態になったことを検出した際、制御部5は、開閉転流部2Aの遮断器61をオフ状態にする。これにより、開閉転流部2Aの転流部7Aへ電流が転流する。転流部7のコンデンサ72によって遮断消費部3の遮断部31に電流は転流し、開閉転流部2Aの断路器62に流れる電流は略ゼロとなる。断路器62に流れる電流が略ゼロになったことを検出した際、制御部5は、開閉転流部2Aの断路器62をオフ状態にする。
【0070】
直流送電線10-2の開閉転流部2Aに対して第2結合点j2側で事故が発生した場合、電流が開閉転流部2Aから遮断消費部3Aへと転流する際、制御部5は、開閉転流部2Aをオフ状態にする。これにより、直流送電線10-2に接続される開閉転流部2Aを迂回するように、直流送電線10-2から選択部4A-2-1のダイオード41と遮断消費部3A、選択部4A-2-4のダイオード41を通って直流送電線10-2に至る電流経路ができ、鎖線のように事故電流g2’が流れる。なお、第2バスBus2に接続されている複数の選択部4Aのうち、選択部4A-2-1に流れる理由は、直流送電線10-2の第2結合点j2側で事故が発生しているため、電圧の高い第2バスBus2から直流送電線10-2の第2結合点j2側へ事故電流g2’が流れるからである。
【0071】
また、直流送電線10-2の開閉転流部2Aに対して第1結合点j1側で事故が発生した場合は、
図19と同様に、直流送電線10-2から選択部4A-2-3のダイオード41と遮断消費部3A、選択部4A-2-2のダイオード41を通って直流送電線10-2に至る電流経路ができる。なお、選択部4A-2-2に流れる理由は、直流送電線10-2の第1結合点j1側で事故が発生しているため、電圧の高い第2バスBus2から直流送電線10-2の第1結合点j1側へ事故電流g2’’(
図19)が流れるからである。
【0072】
これらの動作は、どの直流送電線10のダイオード41であっても同様である。
【0073】
次に、開閉転流部2Aが転流部7Bを備える場合の動作例を説明する。なお、ここでは、遮断消費部の構成が遮断消費部3Aであり、選択部の構成が選択部4Aである例を説明する。転流部7Bの場合は、制御部5の制御に応じて、半導体素子74と77のオン状態とオフ状態が切り替えられる。このため、第2結合点j2側で直流送電線10-2の事故電流が発生した場合、制御部5は、転流回路73Bの半導体素子74と半導体素子77とをオン状態にする。このように、転流部が転流部7Bの構成の場合は、第2結合点j2側で直流送電線10-2の事故電流が発生した場合に対応可能である。なお、半導体素子78、79は、半導体素子74、77のオン時にコンデンサ72の出力電流方向を一定にし,またインダクタ71にたまったエネルギーをコンデンサ72に回生するような電流経路となる役割がある。
【0074】
次に、開閉転流部2Aが転流部7Cを備える場合の動作例を説明する。なお、ここでは、遮断消費部の構成が遮断消費部3Aであり、選択部の構成が選択部4Aである例を説明する。転流部7Cの場合は、制御部5の制御に応じて、半導体素子75と76のオン状態とオフ状態が切り替えられる。このため、第1結合点j1側で直流送電線10-2の事故電流が発生した場合、制御部5は、転流回路73Cの半導体素子75と半導体素子76とをオン状態にする。このように、転流部が転流部7Cの構成の場合は、第1結合点j1側で直流送電線10-2の事故電流が発生した場合に対応可能である。なお、半導体素子80、81は、半導体素子74、77のオン時にコンデンサ72の出力電流方向を一定にし,また,インダクタ71にたまったエネルギーをコンデンサ72に回生するような電流経路となる役割がある。
【0075】
次に、開閉転流部2Aが転流部7Dを備える場合の動作例を説明する。なお、ここでは、遮断消費部の構成が遮断消費部3Aであり、選択部の構成が選択部4Aである例を説明する。この構成では、第2結合点j2側で直流送電線10-2の事故電流を検知すると、制御部5は、転流回路73Dの半導体素子74と半導体素子77とをオン状態にし、半導体素子75と半導体素子76とをオフ状態にする。第1結合点j1側で直流送電線10-2の事故電流を検知すると、制御部5は、転流回路73Dの半導体素子74と半導体素子77とをオフ状態にし、半導体素子75と半導体素子76とをオン状態にする。
【0076】
なお、
図9~
図12の転流部7の構成は一例であり、これらが複数個、直並列接続されていてもよい。例えば、転流部7Bと転流部7Cとが並列に接続されていてもよい。
【0077】
次に、選択部の構成が選択部4Bの場合の動作例を説明する。なお、ここでは、開閉転流部2Aの転流部の構成が転流部7Aであり、遮断消費部の構成が遮断消費部3Aである例を説明する。事故電流が開閉転流部2Aから遮断消費部3へと転流する際、制御部5は、以下のように選択部4Bの半導体素子42を切り替える。制御部5は、直流送電線10の第1結合点j1と第3結合点j3との間に接続される半導体素子42と、直流送電線10の第2結合点j2と第4結合点j4との間に接続される半導体素子42を、選択部4Aのダイオード41の場合と同様の経路になるようにオン状態にし、他の選択部4Bの半導体素子42をオフ状態にする。
【0078】
なお、半導体素子42は、サイリスタに限らず、選択部4Cのような半導体素子43または選択部4Dのような機械式のスイッチ44であってもよい。この場合であっても、制御部5は、半導体素子43またはスイッチ44を、選択部4Aのダイオード41の場合と同様の経路になるようにオン状態にし、他の選択部4をオフ状態にする。また、選択部4の構成は、ダイオード41、半導体素子42、半導体素子43、スイッチ44を組み合わせた構成でもよい。
【0079】
次に、選択部の構成が選択部4Eの場合の動作例を、
図1を参照しつつ説明する。なお、ここでは、開閉転流部の転流部の構成が転流部7Aであり、遮断消費部の構成が遮断消費部3Aである例を説明する。相互に接続されるような直流送電線である場合は、選択部4Eに
図13のように開閉転流部2を用いることができる。
【0080】
選択部4Eに開閉転流部2を用いる場合、定常導通時、制御部5は、選択部4Eをオン状態にする。これにより、電流は、各直流送電線の開閉転流部2と選択部4Eの開閉転流部2を通じて伝送される。
【0081】
直流送電線10-2の開閉転流部2-2に対して第2結合点j2側で事故が発生した場合は、電流が開閉転流部2-2から遮断消費部3へと転流する。制御部5は、直流送電線10-2に接続される開閉転流部2-2を迂回するように、直流送電線10-2から選択部4-2-1、遮断消費部3、選択部4-2-4の経路ができるように選択部4-2-1、選択部4-2-4以外の選択部4をオフ状態にする。また、直流送電線10-2の開閉転流部2-2に対して第1結合点j1側で事故が発生した場合、制御部5は、選択部4-2-2、選択部4-2-3以外の選択部4をオフ状態にする。なお、これらの動作は、どの直流送電線の開閉転流部2であっても同様である。
【0082】
以上のように、本実施形態によれば、直流送電線10それぞれに双方向半導体スイッチを用い、双方向半導体遮断器を用いる場合と比較して、選択部4にダイオード41のように制御不要な半導体素子を使用することができる。また、本実施形態によれば、事故電流がどの方向であっても遮断消費部3に流れる電流を整流できるので、主要素である遮断消費部3を単方向とすることができる。これらによって、本実施形態によれば、従来の直流電流遮断装置よりも簡素な構成にすることができる。
【0083】
(第2の実施形態)
図21は、本実施形態に係る開閉転流部2Bの構成例を示す図である。
図21のように、開閉転流部2Bは、例えば、開閉部6と転流部7とを備える。開閉部6と転流部7とは、直列に接続される。開閉部6の構成は、開閉部6Aの構成であってもよく、開閉部6Bのように少なくとも1つの遮断器63を備える構成であってもよい。
【0084】
転流部7の構成は、第1の実施形態で説明した転流部7A、転流部7B、転流部7C、転流部7D、および転流部7E(後述する
図22)のうちの1つ、または組み合わせである。
図22は、転流部の他の構成例を示す図である。
図22のように、転流部7Eは、転流回路73Eのように少なくとも1つの自己消弧可能な半導体素子または少なくとも一つの半導体素子85を備える。なお、半導体素子85のベースには、制御部5の制御線(不図示)が接続される。
【0085】
次に、開閉転流部2Bを備える直流電流遮断装置1Bの構成例を、
図23を用いて説明する。
図23は、本実施形態に係る開閉転流部2Bを備える直流電流遮断装置1Bの構成例を示す図である。
図23に示す直流電流遮断装置1Bは、開閉転流部2Bが開閉部6Bと転流部7Bとを備え、遮断消費部3Aが遮断部31と消費吸収部33とを備え、選択部4Aが複数のダイオード41を備える。
【0086】
定常動作時、制御部5は、開閉部6Bの遮断器63をオン状態にし、転流部7Bの転流回路73Eをオン状態にする。
【0087】
事故電流を検知すると、制御部5は、遮断消費部3Aをオン状態にする。制御部5は、直流送電線10に接続された転流部7Bの転流回路73Eをオフ状態にする。これにより、遮断消費部3Aに電流は転流し、開閉転流部2Bの遮断器63に流れる電流は略ゼロとなる。制御部5は、遮断器63に流れる電流が略ゼロとなったことを検出した際、開閉転流部2Bの遮断器63をオフ状態にする。転流部7Eを用いるため、コンデンサへの充電はなく、遮断消費部3に電流が転流する。なお、事故電流を検知すると、制御部5は、転流回路73Eの2つの半導体素子のうちのいずれか1つをオフ状態にする。制御部5は、例えば、j1側での事故の場合、半導体素子85をオフ状態にする。また、制御部5は、J2側での事故の場合、もう一方の半導体素子をオフ状態にする。
【0088】
なお、転流部7は、転流部7B、転流部7C、転流部7D、および転流部7Eでも成立し、これらが複数個、直並列接続されていてもよい。
【0089】
このような構成例であっても、遮断消費部3A(または3B)の遮断部31(または35)をオフ状態にした際のエネルギーが、アレスタ34(または36)が不要なほどに低ければ、遮断消費部3A(または3B)はアレスタ34(または36)を備えていなくてもよい。また、遮断部31(または35)は、半導体素子の極性が双方向でも一方向のみでもよい。
図8では遮断器61、断路器62それぞれは1個ずつであるが、開閉部6の構成は、遮断器61、断路器62が複数直並列接続の構成でもよい。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、直流送電線10それぞれに双方向半導体スイッチを用い、双方向半導体遮断器を用いる場合と比較して、選択部4Aのように制御不要な半導体素子を使用することができる。これにより、本実施形態によれば、事故電流がどの方向であっても遮断消費部3に流れる電流を整流できるので主要素である遮断消費部3を単方向とすることができる。これらによって、本実施形態によれば、従来の直流電流遮断装置よりも簡素な構成にすることができる。
【0091】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、2線以上の直流送電線(10)に取り付けられ、前記直流送電線のそれぞれを流れる直流電流を遮断可能な直流電流遮断装置(1)であって、前記直流送電線に設けられる開閉転流部(2)と、前記開閉転流部の第1側と、各直流送電線に共通の遮断消費部(3)の第1端子(3a)とを接続する第1補助線路(211)に設けられる第1の選択部(4-k-1)と、前記開閉転流部の第1側と、各直流送電線に共通の遮断消費部の第2端子(3b)とを接続する第2補助線路(212)に設けられる第2の選択部(4-k-2)と、前記開閉転流部の第2側と、前記第1端子とを接続する第3補助線路(213)に設けられる第3の選択部(4-k-3)と、前記開閉転流部の第2側と、前記第2端子とを接続する第4補助線路(214)に設けられる第4の選択部(4-k-4)と、を直流送電線ごとに備え、前記開閉転流部は、少なくとも1つの機械接点式の遮断器である開閉部(6)と、前記直流送電線を流れる電流を前記遮断消費部に転流させる転流部(7)とを備え、前記第1から第4の選択部のそれぞれは、電流経路を選択可能であり、更に、少なくとも1つの半導体素子を有して電流を遮断することが可能な半導体遮断器(31または35)と、エネルギーを消費または吸収する消費吸収部とを含む前記遮断消費部(33または36)を備える。これによって、より簡素に構成することができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
1,1A,1B…直流電流遮断装置、2,2A,2B,2-1,2-2,…,2-n…開閉転流部、3,3A,3B…遮断消費部、4,4A,4B,4C,4D,4E,4-1-1,4-1-2,4-1-3,4-1-4,4-2-1,4-2-2,4-2-3,4-2-4,…,4-n-1,4-n-2,4-n-3,4-n-4…選択部、5…制御部、6,6A…開閉部、7,7A,7B,7C,7D,7E…転流部、10,10-1,10-2,…,10-n…直流送電線、31…遮断部、32,35…半導体素子、33…消費吸収部、34,36…アレスタ、41…ダイオード、42,43…半導体素子、44…スイッチ、61,63…遮断器、62…断路器、71…インダクタ、72,82,83…コンデンサ、85…半導体素子、73A,73B,73C,73D,73E…転流回路、74~81…半導体素子、200,211,211-1,211-2,…,211-n,212,212-1,212-2,…,212-n,213,213-1,213-2,…,213-n,214,214-1,214-2,…,214-n…補助線路、j1,j1-1,j1-2,j1-3…第1結合点、j2,j2-1,j2-2,j2-3…第2結合点、j3…第3結合点、j4…第4結合点