(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電力グリッド構成要素の腐食を検出するための光学監視
(51)【国際特許分類】
G01N 17/04 20060101AFI20240322BHJP
G01N 3/06 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G01N17/04
G01N3/06
(21)【出願番号】P 2020168822
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-10-06
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ティープ
(72)【発明者】
【氏名】トッド・カリン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・キーゼル
(72)【発明者】
【氏名】アジェイ・ラガヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ジェーン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・キットトレル
(72)【発明者】
【氏名】セレナ・リー
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-188848(JP,A)
【文献】特開2019-128328(JP,A)
【文献】特開2012-194034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/04
G01N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食監視システムであって、
変圧器タンクのそれぞれの部分に結合された1つ以上の物体であって、前記1つ以上の物体が、
前記変圧器タンクの前記それぞれの部分に電気的に結合され、前記変圧器タンクの前記それぞれの部分の前に
優先的に腐食するように構成されている、1つ以上の物体と、
前記物体の各々に結合された少なくとも1つの光学センサであって、前記少なくとも1つの光学センサが、前記物体のひずみに応じて変化する光学出力を有する、少なくとも1つの光学センサと、
前記物体の温度に応じて変化し、ひずみに敏感ではない光学出力を有する少なくとも1つの追加の光学センサと、
前記少なくとも1つの光学センサに結合された分析器であって、前記分析器が、前記少なくとも1つの光学センサのうちの1つの前記出力から前記少なくとも1つの追加のセンサのうちの1つの前記出力を差し引くことによって、前記変圧器タンクの腐食を検出すること及び予測することのうちの1つ以上を実行するように構成されている、分析器と、を備える、腐食監視システム。
【請求項2】
前記1つ以上の物体が、前記変圧器タンクの前記それぞれの部分上に配設されている、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項3】
前記1つ以上の物体のうちの少なくとも1つが犠牲アノードである、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項4】
前記1つ以上の物体のうちの少なくとも1つが、前記変圧器タンクのラジエータに近接して配設されている、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項5】
前記1つ以上の物体のうちの少なくとも1つが、前記変圧器タンクの前記それぞれの部分に耐食性を提供するように構成されている、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学センサのうちの少なくとも1つが、ファイバブラッググレーティング(FBG)を備える、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項7】
前記分析器が、前記少なくとも1つの光学センサの前記出力に基づいて、前記変
圧器タンクの腐食を連続的に予測するように構成されている、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項8】
前記分析器が、前記少なくとも1つの光学センサ及び前記少なくとも1つの追加の光学センサの前記出力に基づいて、前記変
圧器タンクの腐食を予測するように構成されている、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項9】
前記1つの追加のセンサが、前記1つの光学センサに近接して配設されている、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項10】
前記物体の各々に結合された前記少なくとも1つの光学センサが、前
記物体の各々に結合された少なくとも2つの光学センサを備える、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項11】
前記物体が空洞を備え、前記少なくとも1つの光学センサが前記空洞内に配設されている、請求項1に記載の腐食監視システム。
【請求項12】
前記物体の各々に結合された前記少なくとも1つの光学センサが、第1の光学センサ及び第2の光学センサを備え、前記第1の光学センサが、前記第2の光学センサとは異なる構成及び前記空洞内の深さのうちの1つ以上を有する、請求項
11に記載の腐食監視システム。
【請求項13】
腐食を監視するための方法であって、
1つ以上の光学センサを介して、変圧器タンクに結合された1つ以上の物体の1つ以上のひずみ値を感知することと、
前記1つ以上のひずみ値に基づいて、前記変圧器タンクの腐食を監視することと、
前記物体の温度に応じて変化し、ひずみに敏感ではない光学出力を有する少なくとも1つの追加の光学センサのうちの1つの前記出力から少なくとも1つの追加のセンサのうちの1つの前記出力を差し引くことによって前記変圧器タンクの腐食を予測することと、を含
み、
前記1つ以上の物体のうちの少なくとも1つが犠牲アノードである、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光学センサのうちの少なくとも1つは、ファイバブラッググレーティング(FBG)を備える、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、電力グリッドの送電及び配電システムを光学的に監視するための技法に関する。本出願はまた、そのような技法に関連する構成要素、デバイス、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球規模の気候変動及び人口増加は、世界中で信頼性の高い、持続可能な、及びクリーンな電気に対する高まる需要を促進している。これは、既に過大なストレスを受け、老朽化している地球規模の電力インフラストラクチャに、より重い負担を生じさせている。現代の電力グリッドは、複雑で緊密に相互接続されたシステムである。主要な位置における特定の外来条件は、広い面積にわたって予測不可能かつ即時的な影響を有する可能性がある。既存の電力グリッドは、有効な分散通信、監視、障害診断、及び自動化の欠如に悩まされ、単一の障害からのカスケード効果に起因する広域停電の可能性を更に増加させている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される実施形態は、変圧器タンクのそれぞれの部分に結合された1つ以上の物体を備える腐食監視システムを含む。1つ以上の物体は、変圧器タンクのそれぞれの部分の前に腐食するように構成されている。少なくとも1つの光学センサが、物体の各々に結合されている。少なくとも1つの光学センサが、物体のひずみに応じて変化する光学出力を有する。分析器が、少なくとも1つの光学センサに結合されている。分析器は、少なくとも1つの光学センサの出力に基づいて、変圧器タンクの腐食を検出すること及び予測することのうちの1つ以上を実行するように構成されている。
【0004】
腐食を監視するための方法は、1つ以上の光学センサを介して、変圧器タンクに結合された1つ以上の物体の1つ以上のひずみ値を感知することを含む。変圧器タンクの腐食は、1つ以上のひずみ値に基づいて監視される。
【0005】
上記の概要は、各実施形態又は全ての実装形態を説明することを意図したものではない。添付図面と併せて、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって、より完全な理解が明らかとなり、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本明細書に記載される実施形態による、アノードの腐食状態を測定するための光学センサの使用を示す。
【
図2A】本明細書に記載される実施形態による、1つ以上の光学センサを使用してアノードの腐食状態を測定するための異なる構成を例示する。
【
図2B】本明細書に記載される実施形態による、1つ以上の光学センサを使用してアノードの腐食状態を測定するための異なる構成を例示する。
【
図2C】本明細書に記載される実施形態による、1つ以上の光学センサを使用してアノードの腐食状態を測定するための異なる構成を例示する。
【
図3】本明細書に記載される実施形態による、変圧器タンクに関連付けられた物体に挿入されたFBGを使用して変圧器タンクの腐食を予測するためのプロセスを例示する。
【
図4A】本明細書に記載される実施形態による、変圧器タンク上の可能なアノード位置の例を示す。
【
図4B】本明細書に記載される実施形態による、変圧器タンク上の可能なアノード位置の例を示す。
【
図5】本明細書に記載される実施形態による、時間の関数としてのFBGの反射ピークのシフトを示す。
【
図6】本明細書に記載される実施形態を実装することができるシステムのブロック図を示す。
【0007】
図は、必ずしも縮尺どおりではない。図に使用される同様の番号は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所与の図における構成要素を指すための番号の使用は、同じ番号でラベル付けされた別の図における構成要素を限定することを意図していないことが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
変圧器などの流体充填グリッドアセットは、電気グリッドにわたって使用されている。流体は、例えば鉱油又はエステルであってもよい。流体は、その絶縁耐力(よりコンパクトな構築を可能にするため)及びその熱伝達能力の両方に使用される。熱伝達は、外部タンク壁に熱伝導率を提供することによって、動作中電気的特徴をより低い温度に維持するために使用される。熱は、周囲流体内に放散され、1)液体を通じた直接熱伝導、及び2)循環流体とタンク壁との間の熱対流、の2つの方法でタンク及びラジエータ壁に伝達される。次いで、熱は、放射及び対流を介して、高放射性ラジエータ表面を通じて環境内に放散される。多くの場合、タンクから環境への熱伝達率を増加させるために、「ラジエータ」要素を使用することができる。
【0009】
環境への熱伝達は、複数の方法で妨げられる可能性がある。アセットの外壁は、高い放射率及び耐食性を有する材料で設計/塗装される場合がある。高放射率材料は、タンクから環境への熱伝達率を増加させる。この材料が腐食又は汚染されると、熱伝達率が低下する。これはまた、流体循環速度に影響を及ぼし、ひいてはタンク内の温度分布傾向を変化させる。このため、アセット内の温度点の細かい勾配を測定することにより、アセットの外側の汚損、劣化又は破片を検出することができる。サーモグラフィは、例えば、ほとんどの直接的な感知方法はコストがかかりすぎるか、又は変圧器タンクの過酷な環境に単に耐えることができないために、赤外線センサを通じて温度を監視するための感知方法として使用され得る。サーモグラフィを使用する技法は、主に、悪化した電気絶縁を伴う問題に焦点を当てる傾向があり、外壁の劣化の問題ではない。サーモグラフィは、タンク変圧器内部の熱的条件について非常に貴重な洞察を提供し得るが、外部表面監視用途が使用する連続的な監視目的には適切ではない。
【0010】
ネットワーク変圧器故障の高い割合は、変圧器タンクの腐食及び/又は他の汚染によるものである。発生している腐食及び/又は汚染の程度もまた、目視検査によって定量化することが困難であり、故障の予測を困難にしている。外部汚染は、変圧器の健全さ、特に地下保管庫のアセットにとって、非常に破壊的かつ危険であり得る。典型的には、これらの保管庫は、歩道又は道路上に格子を有する都市道路及び/又は町道路の下にあるコンクリートの保管庫であり、都市道路からの材料が入ることができる。これらの格子は、かなりの量の腐食性材料がタンクの外側に入るのを許すため、アセットの外側の汚損、汚染、及び/又は破片の程度を監視することが望ましい場合がある。
【0011】
現在、外部汚染は直接測定されない場合がある。外部腐食及び破片の蓄積が不可避である過酷な外部環境では、外部センサは長期間生き残る可能性が低い場合がある。これを考慮するために、電気アセットが検査のためにフラグ付けされている場合、オペレータは、訪問中にアセットの外部を洗浄することができる。本明細書に記載される実施形態は、大きな故障が発生する前に行動を取ることができるように、変圧器保管庫内で発生する汚染及び/又は腐食の量をリアルタイムで遠隔監視する手段を提供する。
【0012】
本明細書に記載される実施形態は、ネットワーク変圧器タンク内で発生する腐食の程度を監視するために、ファイバブラッググレーティング(fiber Bragg grating、FBG)の特性を利用する方法を含み得る。これにより、いつ腐食による変圧器の故障が発生するかを予測する方法を提供する。変圧器タンク自体は、基本的に、変圧器コイルを収納し、油でほぼ完全に充填された大型の金属製容器である。このタンク金属の腐食は、周囲環境と反応して新しい化合物、典型的にはベース金属の酸化物を形成するときに、経時的に発生し得る。この変換プロセスは、通常、元の金属がより低密度の酸化物に変換される際に体積変化を伴う。適切に実装されたFBGを用いて検出及び測定することができるのは、この体積変化に関連付けられたひずみである。
【0013】
変圧器タンクなどの比較的大きな構造体では、腐食は、表面に沿った任意の場所で発生し得、他の領域よりも腐食が激しい一部の領域につながり得る。これは、いつタンクの1つの部分に穴又は亀裂が発生して油漏れ及び破損につながるかを判定するのを非常に困難にする。タンクの表面全体をセンサで覆うのではなく、より洗練されたアプローチは、腐食制御アノード内で発生する腐食を監視することである。腐食制御アノードは、カソード防食として知られる技法を通じて、変圧器の腐食を軽減するために使用される。この技法では、アノードとも呼ばれるより容易に腐食する材料が、保護しようとする金属と接触して配置される。次に、この「犠牲アノード」は、優先的に腐食し、ガルバニ電池のように、保護しようとする金属にある程度の耐食性を提供する。いくつかの構成では、これらのアノードは、変圧器上又はその周りに配置され、タンク自体に電気的に接続されるマグネシウム又は亜鉛のブロックである。これらのアノードに発生したひずみを経時的に測定することにより、腐食プロセスの進行を監視することができる。アノードの腐食とタンク金属との間の相関は、アノードの測定がタンクの腐食状態の指標を提供するように確立することができる。
【0014】
アノードの腐食状態を測定するためにFBGをどのように実装することができるかの一例が
図1に示されている。ここで、空洞140は、アノード120のバルクに穿孔され、FBG130が空洞140内に挿入されている。FBG130の両端は、アノード120内のバルクひずみのFBG130への並進を提供するために、エポキシ160、165でアノード120に固定されている。エポキシ160、165はまた、空洞140を封止して、内部からのアノード120の腐食を防止する役割を果たす。本明細書に記載される実施形態によれば、FBG130の少なくとも1つの端部160、165は、最初に固定され、次いで、FBG130にプレテンションを提供するために他方の側が硬化している間にひずみが加えられる。これにより、ファイバ内のいかなるたるみも除去することによってひずみ測定の感度が向上する。アノードの酸化は、表面で開始し、バルクの中に働き、アノードの酸化部分の膨張によるひずみを生み出す。アノードが完全に消費されると、予ひずみの解放が生じ、アノードを交換する必要があることが確認される。本明細書に記載される実施形態によれば、アノードが消費されると、それはもはやタンク金属に耐食性を提供しない。
【0015】
本明細書に記載される実施形態によれば、アノードは、変圧器タンクの材料よりも迅速に腐食するように構成された材料を含む。変圧器タンクと同じ及び/又は同様の材料である1つ以上の追加のアノードを使用して、犠牲アノードとの比較を提供することができる。この追加のアノードは、変圧器タンクに電気的に結合されてもなくてもよく、任意の耐食性を提供しないが、予測モデルを助成するための追加のデータ点としての役割を果たす。
【0016】
図1は、アノードの腐食状態を測定するために単一のFBGを使用する例を示しているが、他の構成を実装することができることを理解されたい。例えば、
図2Aは、空洞240がアノード220の一部分のみを通して穿孔された例を示す。このため、FBG230は、アノード220の一部分のみを通って配置される。この例では、エポキシ封止260は、FBG230の一方の端部のみに使用される。
【0017】
本明細書に記載される様々な実施形態によれば、腐食がどのように進行しているかをより正確に追跡するために、複数のファイバを様々な構成及び/又は深さで同じアノードに挿入することもできる。
図2B及び
図2Cは、アノードに挿入された複数のFBGを有する例を示す。具体的には、
図2Bは、2つのFBG232、234が同じアノード225内の空洞245内に挿入されている例を示す。ここで、2つのFBG232、234は、両方ともアノード225を通して全て挿入されている。エポキシ封止262、267は、FBG232、234の両側に配設されている。
図2Cは、単一のアノード227の空洞247に挿入された2つのFBG236、238を有する別の例を示す。ここで、第1のFBG1036は、アノード227を通して全て挿入され、両端にエポキシ封止264、269を有する。第2のFBG238は、アノード227の一部分のみを通って配設され、露出端にエポキシ封止264を有する。FBGはまた、非常に敏感な温度センサであるため、腐食誘発ひずみから温度の影響を分離するのに有用であり得る。これは、アノードひずみによって影響されないが、ひずみセンサと同じ温度環境にさらされる別個のFBGから信号を差し引くことによって達成され得る。この温度補正ファイバは、アノード腐食の影響を受けないように、1つの端部のみが固定されたひずみセンサの近く又は同じ空洞であっても配置することができる。したがって、238に示される第2のFBGは、温度補正ファイバとして構成されてもよい。
【0018】
図3は、本明細書に記載される実施形態による、変圧器タンクに関連付けられた物体に挿入されたFBGを使用して、変圧器タンクの腐食を予測するためのプロセスを例示する。変圧器タンクに結合された1つ以上の物体の1つ以上のひずみ値が、1つ以上の光学センサを介して感知される(310)。変圧器タンクの腐食が、1つ以上のひずみ値に基づいて監視される(320)。本明細書に記載される実施形態において、腐食は連続的に監視されてもよい。
【0019】
図4A及び
図4Bは、本明細書に記載される実施形態による、変圧器タンク上の可能なアノード位置の例を示す。
図4Aは、変圧器タンク410の上面図を例示し、
図4Bは、同じ変圧器タンク410の側面図を例示する。上部アノード420、422、424、426、底部アノード430、432、434、1236、及び側部アノード440、442の可能な位置が示されている。変圧器タンク410のこれらの側面の各々に対して特定の数のアノードが示されているが、より多い又はより少ないアノードが、変圧器タンク410のいずれかそれぞれの側面に配設されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、アノードの各々を変圧器タンク上に直接配設してもよい。いくつかの構成では、アノードのうちの1つ以上は、例えば、変圧器タンクから距離を離して配設され、ワイヤを介してタンクに接続されてもよい。
【実施例】
【0020】
FBGは、
図1に表示された構成で鋼のブロックに埋め込まれた。この試料を、温度補償として第2のFBGを使用して、希釈HNO
3の浴槽内で加速腐食に供した。
図5は、時間の関数としての、FBGの反射ピークのシフトを示す。このピークシフトは、腐食を受けている鋼ブロックの膨張によるFBGの伸張の直接的な結果である。ピークシフトは時間の経過とともに大きくなり、ブロックがほとんど消費され、ファイバの張力が解放される点までの、継続的な腐食を示している。この実験では、様々な時間に追加の酸を添加し、それが腐食及び温度信号に明らかにピークを引き起こしている。酸を浴槽に添加すると、腐食速度を増加させ、温度が瞬時スパイクする。データは、リアルタイムで発生する腐食を観察できることを明確に示している。
【0021】
上記の方法は、周知のコンピュータプロセッサ、メモリユニット、記憶デバイス、コンピュータソフトウェア及び他の構成要素を使用してコンピュータに実装することができる。そのようなコンピュータの高レベルブロック図が、
図6に例示されている。コンピュータ600は、そのような動作を定義するコンピュータプログラム命令を実行することによって、コンピュータ600の全体的な動作を制御するプロセッサ610を含む。プロセッサ610は、命令を実行することが可能である任意のタイプのデバイスを含み得ることを理解されたい。例えば、プロセッサ610は、中央処理装置(central processing unit、CPU)、グラフィック処理ユニット(graphical processing unit、GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)及び特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)のうちの1つ以上を含んでもよい。コンピュータプログラム命令は、記憶デバイス620(例えば、磁気ディスク)内に記憶され、コンピュータプログラム命令の実行が所望されるときにメモリ630にロードされてもよい。したがって、本明細書に記載される方法のステップは、メモリ630に記憶され、コンピュータプログラム命令を実行するプロセッサ610によって制御されるコンピュータプログラム命令によって定義され得る。本明細書に記載される実施形態によれば、コンピュータ600は、サーバ又はクラウドベースのサービスの一部として方法のステップを実行してもよい。コンピュータ600は、ネットワークを介して他のデバイスと通信するための1つ以上のネットワークインターフェース650を含んでもよい。コンピュータ600はまた、コンピュータ600とのユーザ対話を可能にする他の入力/出力デバイス660(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、ボタンなど)を含む。
図6は、例示目的のためのコンピュータの可能な構成要素の高レベル表現であり、コンピュータは他の構成要素を含んでもよい。
【0022】
別途記載のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状サイズ、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって改変されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に指示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に依存して変化し得る近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)、及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0023】
上記の様々な実施形態は、特定の結果を提供するために相互作用する回路及び/又はソフトウェアモジュールを使用して実装され得る。コンピューティング技術分野の当業者は、当該技術分野で一般的に知られている知識を使用して、モジュールレベルで又は全体としてのいずれかで、このような記載された機能を容易に実装することができる。例えば、本明細書に示されるフローチャートは、プロセッサによる実行のためのコンピュータ可読命令/コードを作成するために使用されてもよい。このような命令は、コンピュータ可読媒体に記憶され、当該技術分野において既知のように実行するためにプロセッサに転送されてもよい。
【0024】
例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されている。本発明の概念に網羅的であること、又は本発明の概念を開示される正確な形態に限定することは意図されていない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。開示される実施形態のいずれか又は全ての特徴は、個別に、又は任意の組み合わせで適用することができ、限定することを意図するものではなく、純粋に例示的なものである。発明の範囲は、詳細な説明によってではなく、本明細書に添付の特許請求の範囲によって限定されるものであることが意図されている。