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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】保全支援方法および保全支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240322BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020182214
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072653
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫又 恒一
(72)【発明者】
【氏名】文野 通尚
(72)【発明者】
【氏名】河野 尚幸
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-202171(JP,A)
【文献】特開平09-305218(JP,A)
【文献】特開平08-115108(JP,A)
【文献】特開2009-211164(JP,A)
【文献】特開平06-110872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の保全対象機器の保全計画を支援する保全支援装置の保全支援方法であって、
前記保全支援装置の処理部は、
前記保全対象機器について現状の保全の項目である重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件を含む項目を抽出して第1情報とする第1ステップと、
前記保全対象機器について、EPRI(Electric Power Research Institute)のPMBD(Preventive Maintenance Basis Database)で整理されているCriticality、Duty Cycle、Service Conditionsを含む項目を抽出して第2情報とする第2ステップと、
前記第2情報と前記第1情報とを項目ごとに比較する比較ステップと、を有し、
前記比較ステップでの比較結果を出力する
ことを特徴とする保全支援方法。
【請求項2】
前記項目は、
前記第1ステップのとき、重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件、保全方法、保全周期、劣化メカニズムであり、
前記第2ステップのとき、Criticality、Duty Cycle、Service Conditions、Task、Baseline、Failure Modesである
ことを特徴とする請求項1に記載の保全支援方法。
【請求項3】
前記保全対象機器には、保全重要度の高い機器と、前記保全重要度の高い機器よりも保全重要度の低い機器とがあり、
前記保全支援方法は、さらに、
前記処理部が、前記第2情報の前記Criticalityの重要度分類に基づき、前記第1情報の前記保全対象機器の保全重要度分類を、前記保全重要度の高い機器から安全性の観点で系統機能別のリスク評価と機器単位でのリスク評価である安全性評価をし、前記保全重要度が低い機器から経済性の観点で系統機能別のリスク評価と機器単位でのリスク評価を求める経済性評価をし、前記安全性評価と前記経済性評価との面から前記保全重要度を見直す第3ステップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の保全支援方法。
【請求項4】
前記第3ステップにおいて、
前記処理部が、
発生する可能性のあるさまざまな事象に対して、損傷頻度の発生の確率を考慮してリスクを評価であるPRA(確率論的リスク評価)
発生する可能性のあるさまざまな事象に対して、その発生の確率を考慮して安全性を評価であるPSA(確率論的安全評価)
前記PSAを行うとき、想定される過渡事象を冷却材喪失事故事象に限定せず行うTransient PSA
発生する可能性のあるさまざまな事象に対して、その発生の確率を考慮して発電機能への影響性を評価するGRA(発電リスク評価)
評価対象の機器に対し故障の原因となる事象とそれによる故障箇所や発生確率、故障による影響を解析するFMEA(故障モード影響解析)
評価対象の機器の単一故障により炉心またはタービンに及ぼす影響を評価するSPV(シングルポイント脆弱性モデル)
用い前記保全対象機器の保全重要度分類を見直す
ことを特徴とする請求項3に記載の保全支援方法。
【請求項5】
前記保全支援方法は、さらに、
前記処理部が、
前記第1情報と前記第2情報の保全方法と保全周期の差異のパターンに応じて、前記保全対象機器の余寿命を求め、前記余寿命に基づき、前記第1情報の保全方法と保全周期を再評価する第4ステップと、
前記第3ステップで見直された保全重要度および前記第4ステップの再評価結果に基づいて、前記保全対象機器の保全方法、保全周期を再定義する第5ステップと、を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の保全支援方法。
【請求項6】
原子力発電所の保全対象機器について現状の保全の項目である重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件を含む項目を抽出して第1情報とし、前記保全対象機器について、EPRI(Electric Power Research Institute)のPMBD(Preventive Maintenance Basis Database)で整理されているCriticality、Duty Cycle、Service Conditionsを含む項目を抽出して第2情報とする比較情報抽出部と、
前記第2情報と前記第1情報とを項目ごとに比較する比較部と、
前記保全対象機器には、保全重要度の高い機器と、前記保全重要度の高い機器よりも保全重要度の低い機器とがあり、前記第2情報の前記Criticalityの重要度分類に基づき、前記第1情報の前記保全対象機器の保全重要度分類を、保全重要度の高い機器から安全性の観点で系統機能別のリスク評価と機器単位でのリスク評価である安全性評価をし、前記保全重要度が低い機器から経済性の観点で系統機能別のリスク評価と機器単位でのリスク評価である経済性評価をし、前記安全性評価と前記経済性評価との面から保全重要度を見直す評価部と、
前記第1情報と前記第2情報の保全方法と保全周期の差異のパターンに応じて、前記保全対象機器の余寿命を求め、前記余寿命に基づき、前記第1情報の保全方法と保全周期を再評価する分析部と、
前記評価部で見直された保全重要度および前記分析部の再評価結果に基づいて、前記保全対象機器の保全方法、保全周期を再定義する再定義部と、を有する
ことを特徴とする保全支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所における保全計画に係る保全支援方法および保全支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本における原子力発電所関連の各機器について、保全方法、保全周期等をまとめた独自の整理表に基づいて保全が行われている。
【0003】
特許文献1では、テンプレート内容の見直しにより、利便性の高い運用が期待できる設備管理支援システムを提供できるとしている。設備管理支援システムは、資産設備に対して点検・保全のワークオーダを発行し、点検・保全結果を設備情報データベースに保管する設備管理支援システムであって、資産設備とその周囲の状態を網羅的に把握し数値化しヘルスインデックスとして記憶するヘルスインデックスデータベースと、把握したヘルスインデックスを資産設備の実設備状況とし、資産設備設置時または前回点検・保全時の状態から推定した保全 期待効果との比較により、資産設備状況の差分を判定する比較演算機能と、ベテラン 作業者の作業ナレッジを取得して記憶する作業ナレッジデータベースと、作業ナレッジまたは資産設備状況の差分に応じて、点検・保全の作業変更点を抽出し、設備情報データベースに反映させる保全プロセスアップデート機能、点検・保全の作業変更点を記憶した設備情報データベースの情報を用いて点検・保全のワークオーダを発行するワークオーダ発行機能を備えている。
【0004】
特許文献2では、保全計画立案支援方法として、膨大な代替案を複数のグループに分ける。グループ分けの基準は、意思決定問題により異なるが、原子力発電プラントにある弁の点検計画を立案する問題では、プラントを構成する系統(例えば再循環系統等)毎にグループ分けする。次いで、グループ分けした全グループにつき、意思決定法を用いて代替案の総合重要度を求める。次いで、基準代替案の重要度により、各グループの代替案の重要度を規格化し、全代替案に共通した重要度を求める。最後に、代替案の重要度に基づく順位から、保全作業の優先度を決めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-189088号公報
【文献】特開平6-110872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2の方法を用いた保全計画よりも、リスクや機器の劣化に基づいた、より高い信頼性の保全が要望されていた。
【0007】
なお、米国では1980年代から1990年代に原子力発電設備の利用率が全体で70%台であった。その後米国でプラントの改造や保守点検、燃料交換作業の効率化により2000年代には原子力発電設備の利用率90%まで稼働率を上げた。この要因の一つに保全の規制やプロセスの改革がある。米国では機器の保全に関する標準的なテンプレートが整備され、より効果的で効率の良い機器の保全活動が行われるようになったことが知られている。国内においても1990年から2000年以降の稼働率はおよそ80%である。より高い信頼性でかつ効率的な保全活動が求められている。
【0008】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、原子力発電所の保全対象機器について、高い信頼性でかつ効率的な保全活動ができる保全支援方法および保全支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の保全支援方法は、原子力発電所の保全対象機器の保全計画を支援する保全支援装置の保全支援方法であって、前記保全支援装置の処理部は、
前記保全対象機器について現状の保全の項目である重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件を含む項目を抽出して第1情報とする第1ステップと、前記保全対象機器について、EPRI(Electric Power Research Institute)のPMBD(Preventive Maintenance Basis Database)で整理されているCriticality、Duty Cycle、Service Conditionsを含む項目を抽出して第2情報とする第2ステップと、前記第2情報と前記第1情報とを項目ごとに比較する比較ステップと、を有し、前記比較ステップでの比較結果を出力することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原子力発電所の保全対象機器について、高い信頼性でかつ効率的な保全活動ができる保全支援方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る保全支援装置の構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る保全支援方法の概要を示すフローチャートである。
図3】PMBD保全情報と国内プラントの保全情報を示す図である。
図4】比較・ギャップ分析・再評価方法を示すフローチャートである。
図5】PMBDの保全情報と国内プラントの保全情報の比較の一例を示す図である。
図6】安全性の再評価の処理を示すフローチャートである。
図7】経済性の再評価の処理を示すフローチャートである。
図8】保全方法と保全周期のギャップのパターンによるギャップの原因を示す図である。
図9】保全方法・周期の再評価の処理(ステップS17A)を示すフローチャートである。
図10】保全方法・周期の再評価の処理(ステップS17B)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る保全支援装置100の構成を示す図である。保全支援装置100は、処理部10、記憶部20、入力部30、出力部40、通信部50を有する。処理部10は、比較情報抽出部11、比較部12、重要度判定部13、安全性評価部14、経済性評価部15、分析部16、再定義部17などを有する。
【0013】
比較情報抽出部11は、EPRIのPMBD200および米国の電力事業者が持つDB210から保全情報を抽出し、PMBD出力情報21として記憶する。また、比較情報抽出部11は、国内電力事業者が持つDB220と、メーカなどその他が持つDB230から保全情報を抽出し、国内プラント情報22として記憶する。
【0014】
EPRI(Electric Power Research Institute)とは米国の電力研究所である。PMBD(Preventive Maintenance Basis Database(予防保全基準データベース))とはEPRIの下で特定の機器ごとに作成されたPM(予防保全)テンプレートを集約したデータベースである。
【0015】
出力された情報を格納するPMBD出力情報21には、保全に関する情報(Criticality、Duty Cycle、Service Conditions、Task(保全方法)、Baseline(保全周期)、Failure Mode(故障モード))を国内の保全対象機器と比較を行うために抽出された情報のデータベースである。
【0016】
米国の電力事業者が持つDB210は、米国の電力事業者が機器保全を行う際にどのPMテンプレートを使用するか、どの様に機器を分類するかという情報を格納したデータベースである。
【0017】
国内電力事業者が持つDB220は、国内の電力事業者の管理する発電用プラントの保全活動および保全に係る機器の設計・試験データを格納したデータベースである。
【0018】
メーカなどその他が持つDB230は、保全の対象機器および同タイプの機器の設計・製造を行う組織により提供される情報を格納するデータベースである。出力された国内プラントに係る情報を格納する国内プラント情報22は、PMBD出力情報21と比較を行うため抽出された情報のデータベースである。
【0019】
比較部12は、PMBD出力情報21(第2情報)と国内プラント情報22(第1情報)との比較を行う。
【0020】
重要度判定部13は、比較結果から、国内での保全重要度が米国に比べ高いか否かの判定を行う。安全性評価部14は、安全性に着目し機器の重要度を見直す。経済性評価部15は、経済性に着目し機器の重要度を見直す。分析部16は、保全方法と保全周期のギャップ分析を行い、再定義フローを選択する。再定義部17は、見直された重要度を考慮し保全方法と保全周期を評価し再定義する。
【0021】
記憶部20には、PMBD出力情報21、国内プラント情報22、抽出表23(図3参照)、比較表24(図5参照)、保全方法・周期のギャップ分析表25(図8参照)などが記憶されている。
【0022】
図1において、出力部40は、ディスプレイなどであり、保全支援装置100による処理の実行状況や実行結果などを表示する。入力部30は、キーボードやマウスなどのコンピュータに指示を入力するための装置であり、プログラム起動などの指示を入力する。処理部10は、メモリに格納される各種プログラムを実行する。通信部50は、ネットワークNWを介して、他の装置と各種データやコマンドを交換する。外部記憶装置305は、保全支援装置100が処理を実行するための各種データを保存する。メモリは、保全支援装置100が処理を実行する各種プログラムおよび一時的なデータを保持する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る保全支援方法の概要を示すフローチャートである。
ステップS1では、国内原子力発電所の保全対象機器について現状の保全に関する情報(重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件、保全方法、保全周期、劣化メカニズムなど)を抽出する。
【0024】
ステップS2では、保全対象機器に対し抽出された情報に関して、EPRIのPMBDで整理されている保全に関する情報(Criticality、Duty Cycle、Service Conditions、Task(保全方法)、Baseline(保全周期)、Failure Mode(故障モード))を抽出し、項目ごとに比較する。
【0025】
比較を行うため、国内原子力発電所の保全対象機器についてCriticality、Duty Cycle、Service Conditionsに相当する情報を割り当てる必要がある。本実施形態では設計時に想定されている機器の使用頻度、機器の使用条件を得ることで比較を可能とする。機器の使用頻度がDuty Cycle、機器の使用条件がService Conditionsに相当する。また、事業者の整備する保全重要度の高さをCriticalityと比較する。保全方法と保全周期、故障モードについては両データベース共に同等の項目として整理されている。
【0026】
図3は、PMBD保全情報と国内プラントの保全情報を示す図である。図3には抽出表23の一例を示す。図3の上部は、PMBDに基づく情報(第2情報)であり、図3の下部は、国内プラントに係る情報(第1情報)である。
【0027】
図2に戻り、ステップS3では、項目ごとの比較結果よりギャップ分析を行い、機器ごとの保全重要度分類を再定義する。特に国内の保全重要度分類とEPRIのPMテンプレートに記載のあるCriticality(Critical、Non-Critical)またRTFの差異のパターンに着目する。なお、RTF(Run to Failure)とは事後保全のことであり機器等の機能喪失発見後に修復を行う方式である。
【0028】
ステップS4では、国内と米国の保全方法と保全周期の差異のパターンに応じて保全方法と保全周期を評価する。
【0029】
ステップS5では、評価結果に基づいて、保全対象機器の保全方法、保全周期を再定義する。
【0030】
図4は、比較・ギャップ分析・再評価方法を示すフローチャートである。保全支援装置100において、比較部12は、入力部30(図1参照)から入力された保全対象系統の機器を決定し、PMBD出力情報21、国内プラント情報22から比較を行う情報を抽出し(ステップS11)、抽出した情報の比較を行う(ステップS12)。
【0031】
重要度判定部13は、比較結果より国内での保全重要度が米国に比べ高いか否かの判定を行う(ステップS13)。国内の保全需要度が米国の保全重要度以上の場合(ステップS13,Yes)、安全性評価部14は、安全性に着目し機器の重要度を見直し(ステップS14:安全性の再評価)、その後、ステップS16に進む。国内の保全需要度が米国の保全重要度未満の場合(ステップS13,No)、経済性評価部15は、経済性に着目し機器の重要度を見直し(ステップS15:経済性の再評価)、その後、ステップS16に進む。
【0032】
ステップS16において、分析部16は、保全方法と保全周期のギャップ分析を行い、再定義フローを選択する。そして、再定義部17は、見直された重要度を考慮し保全方法と保全周期を評価し再定義し(ステップS17)、一連の処理を終了する。
【0033】
さらに詳細に説明する。
比較部12では、PMBD出力情報21、国内プラント情報22の情報の比較を行うため、国内プラント情報22の各項目(重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件、保全方法、保全周期、劣化メカニズム)に対し、PMBD出力情報21の項目(Criticality、Duty Cycle、Service Conditions、保全方法、保全周期、故障モード)の割り当てを行う。
【0034】
PMテンプレートでは、CriticalityがCriticalとNon-Criticalに、Duty CycleがHighとLowに、Service ConditionsがSevereとMildにそれぞれ分かれており、この3項目の組合せにより8パターンが分類されている。
【0035】
本実施形態では比較情報抽出部11が、機器の種類と機器の使用される系統により米国で標準的に割り当てられるパターンと比較できるように分類するものとする。
【0036】
重要度判定部13では、Criticalityと国内事業者の整備する保全重要度の高さとの比較をする(図4のステップS13)。すなわち米国の標準と比べで保守的な評価であるか否かを判断する。比較の結果国内の保全重要度の方が米国に比べ高い場合(図4のステップS13,Yes)、図6に示すステップS14の処理フローを用い安全性の再評価を行う。国内の保全重要度の方が米国に比べ低い場合(図4のステップS13,No)、図7に示すステップS15の処理フローを用い経済性の再評価を行う。
【0037】
分析部16では、安全性評価部14と経済性評価部15による評価の結果をもとに保全重要度の見直しを行う。見直した保全重要度を基に保全方法と保全周期のギャップ分析を行う。ギャップは図8に示す保全方法・周期のギャップ分析表25のようなパターンに分類できると考えられ、ギャップのパターンによって、図9に示すステップS17A、図10に示すステップS17Bの保全方法と保全周期の再定義フローを選択する。
【0038】
再定義部17は、ステップS17A、ステップS17Bの処理フローの実施により保全方法と保全周期の再定義を行う。
【0039】
図5は、PMBDの保全情報と国内プラントの保全情報の比較の一例を示す図である。図5は、比較部12の処理内容である。PMテンプレートに記載されるDuty Cycle、Service ConditionsはそれぞれHigh/Low、Severe/Mildの表現で分けられているがどちらに分類するかはPMテンプレートにて定義されており、国内機器の対応する情報を整備することで、Criticality、Duty Cycle、Service Conditionsによる8パターンからより比較に適切な分類を選択することができる。劣化メカニズムは故障モードと対応している。保全方法、保全周期の定義は日米で共通の考え方である。
【0040】
図6は、安全性の再評価の処理を示すフローチャートである。図6は、安全性評価部14のよる安全性に着目し機器の重要度を見直す処理(図4のステップS14に対応)である。保全重要度機器の高い機器から、さらに安全性の観点で、重要度の高い機器をPRA(確率論的リスク評価)等で抽出する手順をフロー図に示している。安全性評価部14は、日米で安全性の考え方、法令や規制が異なるため、安全性指標を定義し(ステップS141)、系統機能別に定義された考え方の差を考慮しリスク評価を行う(ステップS142)。安全性評価部14は、ステップS142で行った系統機能別のリスク評価を考慮し機器単位でのリスク評価を行う(ステップS143)。
【0041】
すなわち、安全性評価部14は、ステップS141では国内の安全性に係る考え方、米国での安全性に係る考え方の差を確認する。この差が安全性の評価に与える影響を考慮し、ステップS142にて系統機能別に安全リスクの評価し、保全重要度を再評価する。
【0042】
本実施形態ではリスク評価の手法としてPRA(確率論的リスク評価)、PSA(確率論的安全評価)やTransient PSAを行い安全重要度の評価を行う。確率論的リスク評価とは、発生する可能性のあるさまざまな事象に対して、例えば炉心損傷頻度などの発生の確率を考慮してリスクを評価することである。確率論的安全評価とは、発生する可能性のあるさまざまな事象に対して、その発生の確率を考慮して安全性を評価することである。本実施形態でのTransient PSAとはPSAを行うとき、想定される過渡事象を冷却材喪失事故事象に限定せず行うこと等を指す。ステップS143にて、機器単位の安全リスク評価を行い機器単位で保全重要度を見直し、保全方法と保全周期の比較を行えるようにする。
【0043】
本実施形態では、機器単位でのリスク評価はFMEA(故障モード影響度解析)やSPV(シングルポイント脆弱性モデル)を行い重要度の評価を行う。故障モード影響度解析とは評価対象の機器に対し故障の原因となる事象とそれによる故障箇所や発生確率、故障による影響を解析する手法である。シングルポイント脆弱性モデルとは評価対象の機器の単一故障により炉心またはタービンに及ぼす影響を評価するモデルである。
【0044】
図7は、経済性の再評価の処理を示すフローチャートである。図7は、経済性評価部15による経済性に着目し機器の重要度を見直す処理(図4のステップS15に対応)である。保全重要度機器の低い機器から、さらに経済性の観点で、重要度の高い機器をGRA(発電リスク評価)で抽出する手順をフロー図に示している。
【0045】
国内において保全重要度が低く評価されているが、米国では経済性の観点から機器の機能喪失が発電効率に大きく寄与する機器のCriticalityをHighと評価し保全の対象としている場合が考えられる。このフローは経済性評価の差異による保全重要度の見直しを行うためのものである。
【0046】
日米で経済性の考え方、法令や規制が異なるため、経済性評価部15は、安全性指標を定義し(ステップS151)、ステップS151にて定義された考え方の差を考慮しリスク評価を行う(ステップS152)、ステップS152で行った系統機能別のリスク評価を考慮し機器単位でのリスク評価を行う(ステップS153)。
【0047】
すなわち、ステップS151では、国内の経済性に係る考え方、米国での経済性に係る考え方の差を確認する。この差が経済性の評価に与える影響を考慮し、ステップS152にて、系統機能別に発電リスクを評価し、機能喪失による発電効率へのインパクトを評価する。本実施形態ではリスク評価の手法としてGRA(発電リスク評価)を行い経済重要度の評価を行う。発電リスク評価とは、発生する可能性のあるさまざまな事象に対して、その発生の確率を考慮して発電機能への影響性を評価することである。ステップS153にて、機器単位の発電リスク評価を行い機器単位で保全重要度を見直し、保全方法と保全周期の比較を行えるようにする。本実施形態では機器単位でのリスク評価は、FMEA(故障モード影響度解析)やSPV(シングルポイント脆弱性モデル)を行い重要度の評価を行う。
【0048】
図8は、保全方法と保全周期のギャップのパターンによるギャップの原因を示す図である。ギャップの原因により再定義部17により適したなフローを選択する例(保全方法・周期のギャップ分析表25(図1参照))を示している。
【0049】
保全方法と保全周期を比較するパターンは、両方が一致するパターン、片方のみ一致するパターン、両方一致しないパターンの4種類に加え、片方では当該機器にきまった保全活動を行っていないこと(事後保全など)により比較ができない場合もギャップとして考慮しなければならない。
【0050】
本実施形態では、保全方法と保全周期を比較できる場合と比較できない場合のギャップ原因に差があるため、保全方法と保全周期を見直す際、ギャップの原因により異なるプロセスで再評価を行うことで、より高い信頼性を得ることができると考える。ここで選択されたフローを用い保全方法と保全周期の再定義を行う。図8の場合、#1、#2の場合、ステップS17Aが、#3の場合、ステップS17Bが実行される。なお、ステップS17A、ステップS17Bは、図4のステップS17の詳細処理フローである。
【0051】
図9は、保全方法・周期の再評価の処理(ステップS17A)を示すフローチャートである。保全方法の差異、保全周期の差異、またはその両方が認められるとき本フローを用いて保全方法と保全周期の再定義を行うものである。
【0052】
再定義部17は、保全方法と保全周期の比較を行った機器の使用条件が同じか判断を行い(ステップS17A1)、使用条件が異なる場合(ステップS17A1,No)、使用条件の差の補正を行う(ステップS17A2)、ステップS17A3に進む。一方、使用条件が同じ場合(ステップS17A1,Yes)、ステップS17A3に進む。
【0053】
ステップS17A3において、再定義部17は、機器に対しで評価されている劣化モードが同じか判断を行う。再定義部17は、評価されている劣化モードが異なる場合(ステップS17A3,No)、FMEAで再評価を行い(ステップS17A4)、ステップS17A5)に進む。一方、評価されている劣化モードが同じ場合(ステップS17A3,Yes)、ステップS17A5に進む。
【0054】
ステップS17A5において、再定義部17は、PMテンプレートの保全方法と保全周期を参考値とし、当該機器の劣化メカニズムと故障確立の評価を行う。そして、再定義部17は、監視・測定すべき劣化モードとその評価方法(試験や計測など)を決定し余寿命を評価する(ステップS17A6)、この余寿命が次回定期検査以降まであり、これが認められるかの判断する(ステップS17A7)。
【0055】
再定義部17は、次回定検以降までの余寿命が認められる場合(ステップS17A7,Yes)、余寿命の不確かさを考慮した周期で点検を行う旨を指令し(ステップS17A8)、一方、次回定検以降までの余寿命が認められない場合(ステップS17A7,No)、認められない機器に、対策として従来通りの部品交換や修理を行う旨を指令し(ステップS17A9)、一連の処理を終了する。
【0056】
さらに説明すると、ステップS17A1では、図4のステップS12にて比較を行った機器の使用条件Duty Cycle、Service Conditionsについて同じ条件であるか判断する。異なる場合、ステップS17A2にて使用条件の差について補正を行う。補正は原則としてPMテンプレートから保守的な条件を選択し行う。
【0057】
ステップS17A3では、保全方法と保全周期を決める要因となる機器部品の劣化モードが同じであるか判断する。異なる場合は劣化モードに漏れがある可能性を考慮し、FMEAの再評価を行う。ステップS17A1からステップS17A4が行われることで国内保全対象機器の保全方法と保全周期を見直す際に、PMテンプレートに記載される機器と同一の条件で評価を行うことができる。
【0058】
ステップS17A5は、PMテンプレートの保全方法と保全周期を参考値とし劣化メカニズムや故障確率を評価する。ステップS17A6では、評価された劣化メカニズムや故障確率に対し監視また評価すべき劣化モードとその評価方法(試験や計測など)を決め、余寿命の評価を行う。この情報より機器ごとに最も有効な保全方法と保全周期を決めることができる。参考値は評価の際、たとえば上限値として考え、これを超えない評価結果となることで、機器単位で見直された保全重要度に対し妥当性のある評価結果として扱うことができる。
【0059】
ステップS17A7では、ステップS17A6で評価された余寿命について信頼性に足る根拠(実績データの蓄積や評価など)を構築し、国内の原子力規制の省庁に認められることで機器の保全方法と保全周期が再定義される。
【0060】
例えば、実績データとして、機器の劣化状況を定期検査中あるいは運転中の計測値(振動、音響、温度、画像など)を、デジタル化した定量的なデータとすることで、エビデンスとしての説明性を向上する。
【0061】
認められたものは余寿命の不確かさを保守的に考慮し再定義された保全方法と保全周期で保全計画を作成する。認められないものは、従来通りの保全計画をベースとし保全活動を継続するとともに、ステップS17A6で評価された余寿命について目標値とし信頼性根拠の蓄積を行う。
【0062】
図10は、保全方法・周期の再評価の処理(ステップS17B)を示すフローチャートである。保全方法の差異、保全周期の差異について比較を行うことが困難であるとき本フローを用いて保全方法と保全周期の再定義を行うものである。
【0063】
再定義部17は、PMテンプレートでPMタスクの分類がRTFであるか判断を行う(ステップS17B1)、異なる場合(ステップS17B1,No)、安全性と経済性について再評価を行い(ステップS17B2)、再評価の結果国内においてRTFを行う検討可能か判断する(ステップS17B3)。一方、PMテンプレートでPMタスクの分類がRTFである場合(ステップS17B1,Yes)、ステップS17B5に進む。
【0064】
ステップS17B3において、RTFを検討可能か判断できない場合(ステップS17B3,No)、PMテンプレートにて保守的なデータを参照し、ステップS17Aへ移行する(ステップS17B4)、一方、RTFを検討可能か判断できる場合(ステップS17B3,Yes)、ステップS17B5に進む。
【0065】
ステップS17B5において、再定義部17は、PMテンプレートにてPMタスクがRTFであった機器のFMEAを行い、監視・測定すべき劣化モードとその評価方法(試験や計測など)を決定し、余寿命を評価し(ステップS17B6)、この余寿命が次回定期検査以降まであり、これが認められるかの判断する(ステップS17B7)。
【0066】
ステップS17B7において、再定義部17は、次回定検以降までの余寿命が認められない場合(ステップS17B7,No)、S17B7にて認められない機器に従来通りの部品交換や修理を行う旨を指令する(ステップS17B8)。一方、再定義部17は、次回定検以降までの余寿命が認められる場合(ステップS17B7,Yes)、ステップS17B9に進む。
【0067】
ステップS17B9において、再定義部17は、RTFが可能となる条件を満たすか判断し、満たさない場合(ステップS17B9,No)、余寿命の不確かさを考慮した周期で点検を行う旨を指令し(ステップS17B10)、満たす場合(ステップS17B9,Yes)、当該機器をRTFとする旨を指令し(ステップS17B11)、一連の処理を終了する。
【0068】
さらに説明すると、ステップS17B1では、当該機器と比較するPMテンプレートで分類がRTFであるか判断する。RTFでない場合図6図7にて行った安全性の評価(ステップS14)と経済性の評価(ステップS15)を再び実施する。このとき、考えうるパターンは国内の保全方法のみRTF等を行い、米国のPMテンプレートにて保全タスクが定められている場合である。この場合、米国との保全重要度についての差異が大きいため、ステップS17B2にて再度国内での保全重要度を見直すため安全性の評価および経済性の評価を行う。
【0069】
この評価により保全重要度が大きく見直されRTF等としての対応が適当でないと判断されるとき、ステップS17B2からステップS17B4へと進み、新たな保全重要度からCriticality、Duty Cycle、Service Conditionsによる8パターンからより比較に適切な分類を選択する、または保守的な分類を選択し、比較のためのデータを参照する。その後、ステップS17Aへ移行し、ステップS17A3へ進み評価を継続して行う。
【0070】
PMテンプレートでの分類がRTFである場合、当該機器の分類をRTFとする、保全方法と保全周期を見直す、または従来通りの保全タスクを実施するか検討する。
【0071】
ステップS17B5では、当該機器のFMEAを行う。この解析結果を基にステップS17B6にて監視また評価すべき劣化モードとその評価方法(試験や計測など)を決め、余寿命の評価を行う。ここで、例えば、試験や計測の値(振動、音響、温度、画像など)を、デジタル化した定量的なデータとすることで、ことで、エビデンスとしての説明性を向上する。
【0072】
この時PMテンプレートによる上限値の設定がないため、ステップS17B7にて余寿命について信頼性に足る根拠を構築し、国内の原子力規制の省庁に認められ、機器の保全方法と保全周期の再定義ができるか判断を行う。認められないものは従来通りの保全計画をベースとし保全活動を継続するとともに、ステップS17B6で評価された余寿命について目標値とし信頼性根拠の蓄積を行う。認められた機器はRTFの実施が可能か、ステップS17B9で判断する。当該の機器の故障について国内でのRTFでの対応が認められた時、保全対象機器より外される。認められない場合は、ステップS17B7にて認められた余寿命の不確かさを保守的に考慮し再定義された保全方法と保全周期で保全計画を作成する。
【0073】
以上説明したように、原子力発電機器等においては、リスクや機器の劣化に基づいた、より高い信頼性の保全の実施が求められている。ギャップ分析として、国内外の発電所の良好事例を参照することが知られている。
【0074】
本実施形態では、特に米国の予防保全基準データベース(PMBD:Preventive Maintenance Basis Database)と比較することとする。国内と米国を比較するには安全性と経済性に対する考え方に異なる点がありギャップを考慮しなければならないという課題があり、Criticality、Duty Cycle、Service Conditions、Task(保全方法)、Baseline(保全周期)、Failure Mode(故障モード)という項目について比較した。
【0075】
また、本実施形態では、海外の保全実施例と国内の保全活動の比較において、PMBDを利用し、国内原子力発電所の保全対象機器について現状の保全に関する情報(重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件、保全方法、保全周期、劣化メカニズムなど)またEPRIのPMBDで整理されている保全に関する情報(Criticality、Duty Cycle、Service Conditions、Task(保全方法)、Baseline(保全周期)、Failure Mode(故障モード)))を抽出し、項目ごとに比較する。
【0076】
また、本実施形態では、保全方法や保全周期の見直しのため、行う評価フローにおいて保全重要度を見直し、その結果を基に保全方法や保全周期を再評価する。ここで重要度に着目し国内の保全対象機器の保全重要度を安全性と経済性の観点からPRA(確率論的リスク評価)、PSA(確率論的安全評価)、Transient PSA、GRA(発電リスク評価)、FMEA(故障モード影響解析)、SPV(シングルポイント脆弱性モデル)を用い重要度を見直す。
【0077】
本実施形態によれば、原子力発電所の保全対象機器の保全計画を支援する保全支援方法は、保全対象機器について現状の保全の項目を抽出して第1情報とする第1ステップ(例えば、図2のステップS1)と、保全対象機器について、EPRI(Electric Power Research Institute)のPMBD(Preventive Maintenance Basis Database)で整理されているCriticality、Duty Cycle、Service Conditionsを含む項目を抽出して第2情報とする第2ステップ(例えば、図2のステップS2)と、第2情報と第1情報とを項目ごとに比較する比較ステップ(例えば、図2のステップS2)と、を有する。
【0078】
比較対象の項目は、第1ステップのとき、重要度分類、機器の使用頻度、機器の使用条件、保全方法、保全周期、劣化メカニズムであり、第2ステップのとき、Criticality、Duty Cycle、Service Conditions、Task、Baseline、Failure Modesである。
【0079】
また、保全支援方法は、さらに、第2情報のCriticalityの重要度分類に基づき、保全対象機器の保全重要度分類を安全性評価と経済性評価の面から見直す第3ステップ(例えば、図2のステップS3)を有する。第3ステップにおいて、PRA(確率論的リスク評価)、PSA(確率論的安全評価)、Transient PSA、GRA(発電リスク評価)、FMEA(故障モード影響解析)、SPV(シングルポイント脆弱性モデル)を用い保全対象機器の保全重要度分類を見直すことができる。
【0080】
保全支援方法は、さらに、第1情報と第2情報の保全方法と保全周期の差異のパターンに応じて第1情報の保全方法と保全周期を再評価する第4ステップ(例えば、図2のステップS4)と、第4ステップの再評価結果に基づいて、保全対象機器の保全方法、保全周期を再定義する第5ステップ(例えば、図2のステップS5)と、を有する。
【0081】
本実施形態の保全支援装置100は、原子力発電所の保全対象機器について現状の保全の項目を抽出して第1情報とし、保全対象機器について、EPRI(Electric Power Research Institute)のPMBD(Preventive Maintenance Basis Database)で整理されているCriticality、Duty Cycle、Service Conditionsを含む項目を抽出して第2情報とする比較情報抽出部11と、第2情報と第1情報とを項目ごとに比較する比較部12と、第2情報のCriticalityの重要度分類に基づき、保全対象機器の保全重要度分類を安全性評価と経済性評価の面から見直す評価部(例えば、安全性評価部14、経済性評価部15)と、第1情報と第2情報の保全方法と保全周期の差異のパターンに応じて第1情報の保全方法と保全周期を再評価する分析部16と、分析部16の再評価結果に基づいて、保全対象機器の保全方法、保全周期を再定義する再定義部17と、を有する。保全支援装置100によれば、原子力発電所の保全対象機器について、高い信頼性でかつ効率的な保全活動ができる。
【0082】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0083】
10 処理部
11 比較情報抽出部
12 比較部
13 重要度判定部
14 安全性評価部(評価部)
15 経済性評価部(評価部)
16 分析部
17 再定義部
20 記憶部
21 PMBD出力情報
22 国内プラント情報
23 抽出表
24 比較表
25 保全方法・周期のギャップ分析表
30 入力部
40 出力部
50 通信部
100 保全支援装置
200 PMBD
210,220,230 DB
EPRI Electric Power Research Institute
FMEA Potential Failure Mode and Effects Analysis(故障モード影響解析)
GRA Generation Risk Assessment(発電リスク評価)
PMBD Preventive Maintenance Basis Database(予防保全基準データベース)
PRA Probabilistic Risk Assessment(確率論的リスク評価)
PSA Probabilistic Safety Assessment(確率論的安全評価)
RTF Run to Failure(事後保全)
SPV Single Point Vulnerability(シングルポイント脆弱性モデル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10