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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20240322BHJP
   E02B 13/02 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A01G25/00 501D
E02B13/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020214429
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2021104014
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2019236136
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年3月5日~7月10日販売、2019年4月15日設置、2019年4月ほ場水管理システムWATARAS設置マニュアル第2.0版公開
(73)【特許権者】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井内 友昭
(72)【発明者】
【氏名】平尾 和弘
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-192367(JP,A)
【文献】特開2019-191512(JP,A)
【文献】特開2013-036527(JP,A)
【文献】特開平10-304782(JP,A)
【文献】特開平08-070716(JP,A)
【文献】特開2019-070559(JP,A)
【文献】実開平07-042689(JP,U)
【文献】特開2014-222069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
E02B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、前記変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、
本体ケース、
前記本体ケース内に設けられるモータ、
前記本体ケース内に設けられ、前記モータの駆動を伝達する伝達機構、および
前記伝達機構を介して前記モータによって回転され、かつ下部が前記本体ケースの下方に延びる回転軸、および
前記回転軸を前記シャフトに連結するための連結具を備え、
前記連結具は、前記シャフトの上端部に接続するための1対の脚部と、前記1対の脚部をそれぞれの上端において連結する連結部と有し、さらに
前記回転軸の下端部に形成され、前記連結部の一部が嵌り合うスリット、および
前記スリットの位置において前記回転軸を外側から拘束する拘束手段を備える、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記拘束手段は、前記連結部の上面に一体的に形成され、少なくとも前記スリットを挟む位置で、前記回転軸を外側で拘束する拘束部を含む、請求項1記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記回転軸は基端部から前記スリットを形成するスリット形成部分を有し、
前記拘束部は前記スリット形成部分の前記基端部を越える上部を含んで前記回転軸を拘束する、請求項2記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記回転軸は基端部から前記スリットを形成する1対のスリット形成部分を有し、
前記拘束部は、前記連結部の上面から上方に延びて前記1対のスリット形成部分をそれぞれの外面で拘束する1対の拘束部を含む、請求項2または3記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記1対の拘束部はそれぞれ対応する前記スリット形成部分の外周面に沿う内周面を有する、請求項4記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記1対の拘束部どうしを締め付ける締め付け手段をさらに備える、請求項4または5記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記拘束手段は、前記連結具とは別に形成され、少なくとも前記スリットを挟む位置で、前記回転軸を拘束する拘束具を含む、請求項1記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動アクチュエータに関し、特にたとえば、弁体または仕切体の変位により送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、送水制御装置の変位機構を作動させる、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電動アクチュエータの一例が特許文献1に開示される。特許文献1には、既存の給水栓または給水堰に装着されて、給水栓または給水堰の開閉を自動的に行う自動開閉装置が開示されている。
【0003】
また、従来のこの種の電動アクチュエータの他の例が特許文献2に開示される。特許文献2には、電動アクチュエータが予め一体化された給水装置が開示されている。
【0004】
これら特許文献1および特許文献2の問題点を解決するために、本件出願人は特許文献3に示す電動アクチュエータを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-70716号公報
【文献】特開平8-275684号公報
【文献】特開2017-192367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の電動アクチュエータは小型化、コスト低減を実現できるので、そのメリットを生かすためにできるだけに広範囲に利用できることが望ましい。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電動アクチュエータを提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、異なる形式の送水制御装置に取り付けることができる、電動アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、本体ケース、本体ケース内に設けられるモータ、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を伝達する伝達機構、および伝達機構を介してモータによって回転され、かつ下部が本体ケースの下方に延びる回転軸、および回転軸をシャフトに連結するための連結具を備え、連結具は、シャフトの上端部に接続するための1対の脚部と、1対の脚部をそれぞれの上端において連結する連結部と有し、さらに回転軸の下端部に形成され、連結部の一部が嵌り合うスリット、およびスリットの位置において回転軸を外側から拘束する拘束手段を備える、電動アクチュエータである。
【0010】
第1の発明では、電動アクチュエータ(10:実施例において例示する部分を示す参照符号。以下同様。)は、シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、変位機構を作動させる。電動アクチュエータは、本体ケース(20)、本体ケース内に設けられるモータ(38)、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を伝達する伝達機構(42、40、)、および伝達機構を介してモータによって回転され、かつ下部が本体ケースの下方に延びる回転軸(50)、および回転軸をシャフトに連結するための連結具(300、300A、300B、300C、300D)を備える。連結具(300、300A、300B、300C、300D)は、シャフトの上端部に接続するための1対の脚部(302、302A、302B、302C、302D)と、1対の脚部(302)をそれぞれの上端において連結する連結部(308、308A、308B、308C、308D)とを有する。回転軸(50)の下端には、連結部の一部(308b、308bA、308bB、308bC)が嵌り合うスリット(70)が形成され、そのスリット(70)の位置において回転軸(50)を外側から拘束する拘束手段(326、326A、326B、326C、330、330A、330B、330C)を備える。
【0011】
第1の発明によれば、連結具を用いることによって、回転軸をシャフトに連結することができるので、様々なシャフトに応じた形式の送水制御装置に電動アクチュエータを適用することができるだけでなく、拘束手段を備えているので、高トルクが必要な場合でも、回転軸の破壊を防止することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、拘束手段は、連結部の上面に一体的に形成され、少なくともスリットを挟む位置で、回転軸を外側で拘束する拘束部を含む、電動アクチュエータである。
【0013】
第2の発明では、たとえば、連結具(300)の連結部(308)の上面に形成されたストッパ(326、326A、326B、326C)や挿入穴(372)を形成する連結部(308D)が拘束部として機能する。
【0014】
第2の発明によれば、拘束部が連結具と一体に形成されるので、取り扱いが容易である。
【0015】
第3の発明は、第2の発明に従属し、回転軸は基端部からスリットを形成するスリット形成部分を有し、拘束部はスリット形成部分の基端部を越える上部を含んで回転軸を拘束する、電動アクチュエータである。
【0016】
第3の発明では、回転軸(50)は基端部(78a)からスリット(70)を形成するスリット形成部分(78)を有し、拘束部(326、326A、326B、326C)はスリット形成部分(78)の基端部(78a)を越える上部を含んで回転軸(50)を拘束する。
【0017】
第3の発明によれば、拘束部がスリット形成部分の基端部を越える上部を含んで回転軸を拘束するので、スリット形成部分の基端部やその近傍での回転軸の破損を防止できる。
【0018】
第4の発明は、第2の発明に従属し、回転軸は基端部からスリットを形成する1対のスリット形成部分を有し、拘束部は、連結部の上面から上方に延びて1対のスリット形成部分をそれぞれの外面で拘束する1対の拘束部を含む、電動アクチュエータである。
【0019】
第4の発明では、回転軸は基端部からスリットを形成する1対のスリット形成部分を有し、拘束部は、連結部(308、308A、308B、308C、308D)の上面から上方に延びて1対のスリット形成部分をそれぞれの外面で拘束する1対の拘束部(326、326A、326B、326C)を含む、電動アクチュエータである。
【0020】
第4の発明によれば、拘束部が連結具と一体に形成されるので、取り扱いが容易である。
【0021】
第5の発明は、第4の発明に従属し、1対の拘束部はそれぞれ対応するスリット形成部分の外周面に沿う内周面を有する、電動アクチュエータである。
【0022】
第5の発明では、拘束部(326B、326C)には内側の面に凹部(362、362C)が形成され、この凹部の内面がスリット形成部分(78)の外周面に沿う。
【0023】
第5の発明によれば、スリット形成部分の外周面の全周において拘束部の内面が外周面を密に拘束することができる。
【0024】
第6の発明は、第4または第5の発明に従属し、1対の拘束部どうしを締め付ける締め付け手段をさらに備える、電動アクチュエータである
第6の発明では、締め付け手段(364、366、368、370)が拘束部(326、326A、326B、326C)どうしを締め付ける。
【0025】
第6の発明によれば、拘束部とスリット形成部分の外面との間のクリアランスを大きくしても、締め付け手段を用いれば、十分な拘束効果を得ることができる。
【0026】
第7の発明は、第1の発明に従属し、拘束手段は、連結具とは別に形成され、少なくともスリットを挟む位置で、回転軸を外側から拘束する拘束部を含む、電動アクチュエータである。
【0027】
第7の発明では、たとえば連結具(300)の連結部(308)の上面おいて回転軸(50)が挿通する拘束具(330、330A、330B、330C)が、拘束部として機能する。
【0028】
第7の発明によれば、拘束部が連結具と別体に形成されるので、連結具の構造が簡単でよい。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、連結具を用いることによって、回転軸をシャフトに連結することができるので、様々な形式の送水制御装置に電動アクチュエータを適用することができるだけでなく、拘束手段を備えているので、高トルクが必要な場合でも、回転軸の破壊を防止することができる。
【0030】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】この発明の一実施例である電動アクチュエータを圃場の給水装置および排水装置に設置した様子を示す図解図である。
図2】この発明の一実施例である電動アクチュエータの外観を示す図解図である。
図3図2の電動アクチュエータの内部構造を示す図解図である。
図4図3のメインギア周辺部分を拡大して示す部分拡大図である。
図5】第1アダプタの一例を示す図解図である。
図6図2の電動アクチュエータを給水バルブに取り付けた様子を示す図解図である。
図7図6実施例の要部を示す分解斜視図である。
図8】連結具の一例を示す図解図であり、図8(A)が斜視図、図8(B)が正面図である。
図9】連結具を用いて図2図4に示す電動アクチュエータを別の給水装置に取り付けた様子を示す図解図である。
図10】第2アダプタの一例を示す図解図である。
図11】第3アダプタの一例を示す図解図である。
図12図9実施例における電動アクチュエータの回転軸と給水装置のシャフトを第2アクチュエータを介して連結する手順の一例を示す図解図である。
図13図9実施例の要部を示す斜視図である。
図14】連結具の他の例を示す図解図であり、図14(A)が斜視図、図14(B)が正面図である。
図15図9実施例における電動アクチュエータの回転軸と給水装置のシャフトを図14に示す連結具を介して連結する手順の一例を示す図解図である。
図16】拘束具の一例を示す斜視図である。
図17】連結具のその他の例を示す斜視図である。
図18図17に示す連結具を用いて図2図4に示す電動アクチュエータを図9実施例の給水装置に取り付けた様子を示す図解図である。
図19図16に示す拘束具の第1変形例を示す図解図であり、図19(A)が斜視図であり、図19(B)が断面図である。
図20図19実施例の連結具を用いて図2図4に示す電動アクチュエータを図9実施例の給水装置に取り付けた様子を示す図解図である。
図21図16に示す拘束具の第2変形例を示す図解図であり、図21(A)が斜視図であり、図21(B)が断面図である。
図22図16に示す拘束具の第3変形例を示す図解図であり、図22(A)が斜視図であり、図22(B)および図22(C)がこの実施例の拘束具の連結具への装着を示す図解図である。
図23図14に示す連結具の第1変形例を示す図解図であり、図23(A)が斜視図であり、図23(B)この実施例の連結具を介して電動アクチュエータの回転軸と給水装置のシャフトを連結する状態を示す図解図である。
図24図14に示す連結具の第2変形例を示す図解図であり、図24(A)が斜視図であり、図24(B)が平面図である。
図25図24実施例の連結具を介して電動アクチュエータの回転軸と給水装置のシャフトを連結する状態を示す図解図である。
図26図24実施例の連結具の変形例を示す図解図である。
図27図14に示す連結具の第3変形例を示す図解図であり、図27(A)が斜視図であり、図27(B)が平面図である。
図28図27実施例の連結具を介して電動アクチュエータの回転軸と給水装置のシャフトを連結する状態を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1を参照して、この発明の一実施例である電動アクチュエータ10(以下、単に「アクチュエータ10」と言う。)は、モータ38、メインギア40および回転軸50などを備え、給水バルブ等の送水制御装置に取り付けられて、送水制御装置が有する変位機構を作動させる。この実施例では、アクチュエータ10は、圃場用給排水システム100(以下、単に「システム100」と言う。)に用いられ、送水制御装置の一例である給水装置104および排水装置106の双方に取り付けられる。すなわち、給水装置104が備える第1変位機構を作動させる第1電動アクチュエータ、および排水装置106が備える第2変位機構を作動させる第2電動アクチュエータとして、共にアクチュエータ10が用いられる。
【0033】
先ず、システム100について説明する。図1に示すように、システム100は、圃場102の水管理を遠隔操作または予め記憶されたプログラムに基づく自動制御などによって行うための圃場用設備であり、給水装置104および排水装置106が設置される水田などの圃場102に適用される。なお、圃場102は、畦畔によって複数の耕作区に区画されており、給水装置104および排水装置106は、各耕作区に対して設置される。
【0034】
給水装置104は、耕作区(圃場102)への給水を制御するための装置であって、弁体または仕切体などを含む変位機構(第1変位機構)を有する。この実施例では、給水装置104として、一般的に広く普及しているR&R方式(軸回転に伴い軸が上下動する方式)のアルファルファ形の給水バルブを用いている。
【0035】
図1および図6を参照して簡単に説明すると、給水装置104は、円筒状の弁箱120を備える。弁箱120の上半部は、ドーム状のキャップ122によって覆われており、弁箱120の側壁上部には、複数の出水窓124が周方向に並ぶように形成される。また、弁箱120の上端部には、内周面に雌ねじが形成された軸受126が設けられ、この軸受126には、キャップ122を貫通するように、外周面に雄ねじが形成されたシャフト(弁軸)128が螺合されている。このシャフト128の下端には、下面に止水ゴム130aを有する円板状の弁体130が設けられる。また、弁箱120内の略中央部には、通水口132aを有する弁座132が設けられる。そして、シャフト128に対して軸線回りの回転力が加えられると、送りねじ機構によってシャフト128および弁体130が上下動し、弁座132の通水口132aが開閉される。すなわち、この実施例の給水装置104は、シャフト128の回転に伴い上下動する弁体130を含む第1変位機構を備える。
【0036】
このような給水装置104は、たとえば給水桝108内に配置され、用水パイプライン110または用水路などから分岐する分岐管112の下流側端部に取り付けられる。そして、給水装置104には、後述する第1アダプタ60を介してアクチュエータ10が取り付けられ、このアクチュエータ10によって給水装置104の変位機構(シャフト128および弁体130)が作動される。
【0037】
一方、排水装置106は、圃場102からの排水を制御するための装置であって、シャフトの回転に応じて変位する弁体または仕切体などを含む変位機構を有する。この実施例では、排水装置106として、水位設定機能を有する落水口を用いている。このような排水装置106は、たとえば排水桝114内に配置され、排水路116まで延びる排水管118の上流側端部に取り付けられる。そして、排水装置106にも後述のようにアクチュエータ10を取り付け、このアクチュエータ10によって排水装置106の変位機構を作動させることもできる。
【0038】
なお、図1では、給水装置104を圃場102の一端側に配置し、排水装置106をその反対側に配置しているが、給水装置104および排水装置106の配置位置は、適宜変更可能である。たとえば、給水装置104と排水装置106とは、近傍位置に配置されていてもよい。
【0039】
また、この実施例におけるシステム100は、複数の耕作区を含むシステムとなっており、各耕作区に設置される給水装置104および排水装置106のそれぞれに取り付けられるアクチュエータ10の他に通信のみを行う親機が設置され、残りのアクチュエータ10は子機とされる。親機は、インターネット等のネットワークを介して、ユーザが所有するスマートフォン、タブレット端末、PDAおよびPCのような遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。一方、子機となるアクチュエータ10は、特定小電力無線規格に従った無線通信方法によって、親機と直接、または他の子機を介して親機と無線通信可能に接続されており、親機を経由して、ユーザが所有する遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。
【0040】
なお、この無線通信においては、クラウドコンピューティングを利用するとよい。たとえば、各アクチュエータ10で取得された情報(弁体の開閉度などの給水装置104または排水装置106の状態に関する情報、および圃場水位や気温などのセンサ情報など)をクラウドサーバに随時送信して記憶しておく。ユーザは、遠隔操作端末からクラウドサーバにアクセスすることで、各アクチュエータ10で取得された情報を確認し、遠隔操作端末を用いて各アクチュエータ10を遠隔操作することで、圃場102の水管理を行う。
【0041】
ただし、システム100は、必ずしも複数の耕作区に亘るシステムとする必要はなく、システム100が適用される圃場102は、少なくとも1つの給水装置104と1つの排水装置106とが設置される圃場であればよい。
【0042】
続いて、アクチュエータ10の構成について具合的に説明する。図2図4に示すように、アクチュエータ10は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される本体ケース20を備える。この本体ケース20は、円筒状の側壁22と側壁22の上端部を封止する天壁24とを含む。側壁22の下端部は、段差状に縮径されており、この縮径部分が後述する第1アダプタ60の上部開口に嵌入される嵌合部26となる。本体ケース20の高さ寸法は、たとえば300mmであり、本体ケース20の外径は、たとえば200mmである。
【0043】
本体ケース20の天壁24上面には、太陽電池パネル28が取り付けられる。太陽電池パネル28は、複数の太陽電池セルが強化ガラスおよび封止材などによって方形状にパッケージ化されたものであり、保持体30によって支持される。保持体30は、金属または樹脂などによって形成され、たとえば、太陽電池パネル28の周囲を覆うように設けられる方形枠状のフレーム30aと、フレーム30aの下面に設けられて、所定角度で屈曲する支持板30bとを備える。
【0044】
本体ケース20の内部には、制御盤32、アンテナ34、蓄電池36、モータ38およびメインギア40等が収容される。
【0045】
制御盤32には、図示は省略するが、CPUおよびメモリ等を含む制御部、他の機器と無線通信を行うための無線通信部、および主電源などのスイッチ等が配設される。制御部のCPUは、アクチュエータ10の全体制御を司り、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて、モータ38等の駆動を制御する。無線通信部は、アンテナ34を介して、上述のようにユーザが所有する遠隔操作端末および他のアクチュエータ10等の外部機器と無線通信を行う。
【0046】
蓄電池36は、太陽電池パネル28によって発電された電力を蓄電するものである。モータ38は、蓄電池36に蓄えられた電力、つまり太陽電池パネル28によって発電された電力によって駆動される。このモータ38の出力軸38aの先端部には、小ギア42が設けられており、メインギア40は、この小ギア42と連結されることで、モータ38からの駆動力を受けて軸線回りに回転する。
【0047】
この実施例では、モータ38としてエンコーダ付きのモータが用いられる。モータ38のエンコーダは、出力軸38aの回転方向および回転数に応じたパルス信号を制御部のCPUに出力する。制御部のCPUは、エンコーダから入力されたパルス信号、つまり出力軸38aの回転方向および回転数に基づいて、給水装置104の弁体130または排水装置106の仕切体142などの位置を算出する。すなわち、エンコーダは、弁体130または仕切体142などの位置を検出する位置検出部として用いられる。ただし、位置検出部として機能するエンコーダは、必ずしもモータ38に設けられる必要はなく、エンコーダをメインギア40に設けて、メインギア40の回転方向および回転数に基づいて、弁体130または仕切体142などの位置を算出することもできる。さらに、制御盤32には、モータ電流値を検出する電流センサ(カレントトランス)等の電流値検出部が設けられており、電流値検出部における検出データは、制御部のCPUに入力される。
【0048】
メインギア40は、両ボス型のギアであり、上下方向に延びる円筒状の軸部(ボス部)40aと、外周面にギア歯が形成される円板状のギア部40bとを有する。本体ケース20の側壁22の下端部には、本体ケース20の底壁にもなる円板状の第1軸受44が設けられており、また、第1軸受44の上方には、複数の支持部46によって支持される円板状の第2軸受48が設けられている。そして、メインギア40の軸部40aの両端部は、これら第1軸受44および第2軸受48によって回転可能に保持される。
【0049】
メインギア40の軸部40aには、略円柱状の回転軸50が挿通される。つまり、回転軸50は、メインギア40の軸中心を貫通するように設けられる。この回転軸50の下端部には、給水装置104のシャフト128または後述する連結具300の上端部308b(後述)などと回転不可に連結されるカップリング部50aが形成される。
【0050】
また、メインギア40の軸部40aの内周面には、軸方向に沿って延びるキー溝(第1キー溝)40cが形成されると共に、回転軸50の外周面には、キー溝40cと嵌合される滑りキー(第1滑りキー)50bが軸方向に沿って延びるように形成される。このようなキー溝40cおよび滑りキー50bからなる滑りキー構造を有することによって、回転軸50は、メインギア40が回転すると共に回転し、かつメインギア40の軸部40aに対して軸方向に摺動可能となる。
【0051】
ここで、ギアと共に回転し、かつギアの軸方向に摺動可能となるように回転軸を設ける方法としては、スプライン構造またはセレーション構造を用いることも考えられる。しかしながら、スプライン構造またはセレーション構造では、回転軸の外周面に軸方向に沿って延びる複数の凹凸を切削加工し、さらに、ギアの軸部の内周面にも複数の凹凸を切削加工する必要があるために、製造コストが高くなる。そこで、この実施例では、上述のようにシンプルな構造の滑りキー構造を採用するようにしている。これによって、製造コストが大幅に低減できるからである。
【0052】
ただし、回転軸50は回転しながら上下動する、つまり回転軸50には捩りの力が作用するので、単に滑りキー構造を採用するだけでは、回転軸50の回転バランスが悪くなって回転軸50が適切に作動しなくなる恐れがある。
【0053】
そこで、この実施例では、メインギア40のギア部40bの下面と第1軸受44の上面との間に、第1スラストベアリング52を設け、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間に、第2スラストベアリング54を設けるようにしている。スラストベアリング52、54としては、公知のスラスト玉軸受などを用いるとよい。
【0054】
このようにスラストベアリング52、54を設けることによって、滑りキー構造を採用しながらも、回転軸50がバランスよく回転しながら上下動できるようになり、作動時の回転トルク、つまりモータ38に掛かる負荷を低減できる。これは特に、負荷が最大となる締め付け時(閉動作の最終)において効果を発揮する。したがって、モータ38の小型化および省電力化(節電)が可能となる。また、回転トルクが低減されることから、メインギア40、軸受44、48および回転軸50の耐久性も向上する。
【0055】
すなわち、滑りキー構造とスラストベアリング52、54とを組み合わせることによって、製造コストを低減しつつ、回転軸50をスムーズに作動させることが可能となる。
【0056】
上述のように、モータ38の駆動力が小ギア42およびメインギア40を介して回転軸50に与えられるので、これらのギア40、42は伝達機構を構成する。
【0057】
なお、この実施例のアクチュエータ10のモータ負荷を低減する効率が大幅に上昇してスラストベアリング52、54によるモータ負荷の低減効果は既に発明者等によって確認されているので、そのことの詳細な説明は省略する。
【0058】
また、図示は省略するが、圃場102には、圃場水位を検出する超音波センサ等の水位センサ、気温を検出する温度センサ、気圧を検出する圧力センサ、土壌水分を検出する水分センサ等のセンサが適宜設けられる。各センサで検出された圃場水位や気温などのセンサ情報は、アクチュエータ10の制御部に入力される。
【0059】
次に、図5を参照して、給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるための第1アダプタ60の一例について説明する。図6に示すように、第1アダプタ60は、円筒部62と、円筒部62の上端部から外方に突出する鍔状の第1接続部64と、円筒部62の下端部から内方に突出し、その中央部に通孔66aを有する円環板状の第2接続部66とを含む。第1接続部64には、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。また、第2接続部66にも、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。この第2接続部66のボルト孔は、周方向に長い長孔としてもよい。
【0060】
図6に示すように、第1アダプタ60を用いて給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるときには、第1アダプタ60の円筒部62に対して本体ケース20の嵌合部26が嵌め込まれると共に、第1アダプタ60の第1接続部64とアクチュエータ10の本体ケース20の底壁とがボルト止めされる。また、第1アダプタ60の第2接続部66と給水装置104のキャップ122および軸受126とがボルト止めされる。この際、第2接続部66に形成されるボルト孔を周方向に長い長孔としておくことによって、第1アダプタ60およびアクチュエータ10は、給水装置104に対して周方向に角度調整可能となる。さらに、給水装置104のシャフト128の上端部は、第1アダプタ60の第2接続部66に形成される通孔66aから上方に突出されて、アクチュエータ10の回転軸50のカップリング部50aに対して回転不可に連結される。
【0061】
図7を参照して、回転軸50の下端にはカップリング部50aを構成するスリット70が形成される。そのスリット70は給水装置104のシャフト128を受容する。つまり、シャフト128の上端には、たとえば円柱の側面を切り取ることによって、1対の対向する側面134が上記スリット70に嵌り合うことによって、つまり、スリット70を規定する内面72が側面134を挟むことによって、シャフト128がアクチュエータ10の回転軸50に対して回転不可に連結される。
【0062】
ただし、シャフト128の上端は4角柱として形成されてもよく、回転軸50のスリット70に嵌り合う1対の対向する側面134があればよい。
【0063】
このようにアクチュエータ10が取り付けられた給水装置104では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、伝達機構を構成するメインギア40に伝達されて、メインギア40が回転すると共に、回転軸50が回転する。これにより、回転軸50に連結されたシャフト128に対して、回転力が付与される。回転力が加えられたシャフト128は、自身と軸受126との送りねじ機構によって上下動され、弁体130が全開位置および全閉位置などに移動される。また、回転軸50は、シャフト128の上下動に伴い、メインギア40の軸部40aを貫通するように上下動する。これによって、上下方向に大きなスペースを要することなく、シャフト128の上下動が吸収される。
【0064】
さらに、図7に示すように、回転軸50のスリット70の上方には比較的深い座繰り穴74が形成される。この座繰り穴74は、後述する図9の実施例において、連結具300の上端に取り付けられる抜け止めボルト136を受容する。さらに、この座繰り穴74の位置において、回転軸50には、座繰り穴74を規定する回転軸50の周側面を貫通するように、この回転軸50の軸方向の異なる2つの位置にそれぞれ雌ねじ76が形成される。
【0065】
続いて、図8を参照して、別の形式の給水装置にアクチュエータ10を取り付けるための連結具300の一例について説明する。なお、以下において説明する各部の寸法、高さ、幅や間隔などはすべて実施例のものであり、限定的なものではないことを予め指摘しておく。
【0066】
連結具300は、たとえば鋼鉄のような金属からなり、正面(図8(B))から見てアーチ型(門型)であり、その全体の、幅Wは37mm、高さH1は55mm、厚みT1は17mmである。連結具300は間隔を隔てて対向する1対の脚部302を含む。また、脚部302の下端部は、後述のように給水装置104のシャフト128の上端の角柱部1に形成されている対向する側面142(図7の側面134とおなじような)を挟むための、挟み部304として形成される。挟み部304の対向する内面間の間隔G1は14.0mmであり、挟み部304の高さH2は18mmとした。
【0067】
それぞれの脚部302の内面には、挟み部304の上方に、段差部306が形成される。その段差部306の対向する内面間の間隔G2は、この実施例では、24mmとされる。段差部306の高さH3は10mmである。
【0068】
連結具300の1対の脚部302の上端どうしが連結部308で連結される。連結部308は、厚みが脚部と同じ下部分308aとその上に一体に形成されて厚みT2が下部分308aの厚みT1より薄い(13mmの)上部分308bで構成され、全体の高さH4が17mmとされる。上部分308bだけの高さは13mm。連結部308の幅方向の中央において、上部分308bから下部分308aの一部まで、雌ねじ310が形成される。この雌ねじ310が上述の抜け止めボルト136を取り付けるために使用される。
【0069】
また、連結部308の幅方向の中央において、下部分308aの下面から上に、座繰り穴312が形成される。この座繰り穴312は10mmの深さで形成され、後述のシャフト128の上端に形成されている雄ねじ144を受容する。
【0070】
ここで、この連結具300を用いて、図2図4に示すアクチュエータ10を図6実施例のものとは違う形式の給水装置104に適用する実施例を、図9図12を参照して説明する。
【0071】
まず、図9実施例では、図10および図11に示す第2アダプタ314および第3アダプタ316を用いる。
【0072】
図10の第2アダプタ314は、たとえばアルミのような金属からなり、円板部318およびその円板部318上面から立ち上がる壁320を含む。壁320には雌ねじ321が形成される。円板部318の中心には、給水装置104のシャフト128を通すための透孔322が形成される。この図10では明らかではないが、円板部318には、この第2アダプタ314を図9に示す給水装置104に取り付けるためのねじ孔が形成されている。
【0073】
また、図11に示す第3アダプタ316もまたアルミのような金属からなり、図5に示す第1アダプタ60と類似の形態である。つまり、第3アダプタ316は、円筒部324と、円筒部324の上端部から外方に突出する鍔状の接続部326を含む。第3アダプタ316は後述のように第2アダプタ314と結合されるので、円筒部324の上記雌ねじ321に対応位置には孔325が形成される。しかしながら、第1アダプタ60とは異なり、円筒部324の下端に底面はなく、開口されている。
【0074】
これら第2アダプタ314および第3アダプタ316は、図9に示すように、組み合わされる。
【0075】
図9に示す給水装置104は、ハンドル(図示せず)でバルブを直接開閉するタイプのものであり、図6実施例の給水装置104のような平坦な上面を持っていない。そのため、この実施例では水圧がかかっていない状態で、そのハンドルを外し、給水バルブの上の軸受蓋部のねじ(図示せず)を外して、所定の6角支柱138に交換する。たとえば、その軸受蓋部のねじが4本の場合は前数を6角支柱138に変更する。たとえば、該当のねじが6本の場合には、1つおきに計3本を6角支柱138に変更する。
【0076】
そして、各6角支柱138の上端には雌ねじが形成されているので、雄ねじを用いて、図10に示す第2アダプタ314の円板部318を6角支柱138の上端に取付ける。その状態では、図9に示すシャフト128の上端部が第2アダプタ314の円板部318の透孔322を通って円板部318より上に露出するとともに、給水装置104の上端を平坦にすることができる。
【0077】
その状態で、次に図12(A)に示すように、シャフト128の上端部に図8に示す連結具300を取付ける。
【0078】
シャフト128の上端部は、たとえば図12に示すように、4角柱の形状の角柱部140として形成され、1対の対向する側面142が形成される。ただし、側面142は図7に示す側面134と同様に、円柱の側面を切り取ることによって形成してもよい、その角柱部140の上面から上方に延びる雄ねじ144が形成される。そして、雄ねじ144の上端にナット1146(実施例では、丸ナットだが、角ナットでもよい)を螺合し、そのナット146が連結具300の段差部306に受容され、かつシャフト128の角柱部140の1対の側面142を連結具300の挟み部304内に配置する。ただし、このような位置決め作業は、雄ねじ144の上端にナット146を螺合した状態で、連結具300の横から、すなわち連結具300の正面(図8(B))または背面側から、ナット146を段差部306へ、また1対の側面142を挟み部304内に配置する。この状態が図12(A)の状態であり、このとき、雄ねじ144の先端は未だ座繰り穴312の中には入っていないし、シャフト128の角柱部140の側面142も未だ、全部が挟み部304の中に収まってはいない。
【0079】
次に、ナット146を回して、雄ねじ144の基端部方向へ移動させる。そうすると、ナット146の位置は連結具300の段差部306で規制されているため、ナット146の回転に応じて、雄ねじ144が相対的に上方へ変位し、シャフト128も上方へ変位し、図12(B)に示す状態になる。この状態で、雄ねじ144の先端が座繰り穴312の中には入り込み、ナット146が段差部306で規制されているため、雄ねじ144が座繰り穴312から脱落することはない。また、シャフト128の角柱部140の側面142が完全に挟み部304の中に収まっている。
【0080】
続いて、図12(C)に示すように、連結具300の連結部308の上部分308bに形成されている雌ねじ310に、抜け止めボルト136を取付ける。抜け止めボルト136は、下部に雄ねじ136aを有し、その上に径小部148が形成されている。その雄ねじ136aを雌ねじ310に螺合することによって、連結具300の連結部a(上部分308b)の上辺に抜け止めボルト136を取り付ける。
【0081】
そして、図12(D)で示すように、抜け止めボルト136を、アクチュエータ10の回転軸50に形成されている座繰り穴74に入れる。このとき、回転軸50の下端に形成しているスリット70(図7)が、図12に示すように、連結具300の連結部308の上部分308bにかぶさる。つまり、スリット70の内面72(図7)で連結具300の連結部308の上部分308bを挟み込むことによって、連結具300がアクチュエータ10の回転軸50に対して回転不可に連結される。その状態で、回転軸50の座繰り穴74の側面に形成していた2つの雌ねじ76のいずれか1つに止めねじ150をねじ込み、抜け止めボルト136の径小部148を押える。つまり、抜け止めボルト136の径小部148に係合する止めねじ150が係止部を構成する。したがって、連結具300が回転軸50から脱落することはない。
【0082】
他方で、先に説明したように、ナット146と段差部306との係合により、シャフト128が連結具300から脱落することはない。そして、シャフト128の角柱部140の側面142が連結具300の挟み部304によって挟まれるので、シャフト128は、連結具300を介して、回転軸50に対して回転不可に連結される。
【0083】
最後に、図9に示すように、第3アダプタ316をアクチュエータ10の下端に取り付けるとともに、第3アダプタ316の円筒部324に設けた孔325を通して第2アダプタ314の壁320に設けた雌ねじ321にボルトを螺合することによって、第2アダプタ314に接合することによって、アクチュエータ10と給水装置104との連結部分が結合され、図9の状態となる。
【0084】
このように、図9実施例においても、図6実施例と同じ、アクチュエータ10を給水装置104に取付けて、運転することができる。つまり、アクチュエータ10が取り付けられた給水装置104では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、伝達機構を介して回転軸50に伝達され、回転軸50が回転する。回転軸50に連結具300を介して連結されたシャフト128に対して、回転力が付与される。
【0085】
なお、上述の実施例では、連結具300の段差部306に係合して連結具300からシャフト128が脱落するのを防止するために、シャフト128の上端に上方に延びる雄ねじ144を形成し、その雄ねじ144にナット146を螺合させ、ナット146がシャフト128の軸方向に直交する方向に突出することによって、段差部306に係合するようにした。
【0086】
しかしながら、ナット146をボルト頭(図示せず)に置き換えることもできる。この場合、シャフト128の角柱部140の上面から下方に延びる雌ねじ(図示せず)を形成し、その雌ねじにボルトを螺合させ、そのボルト頭がシャフト128の軸方向に直交する方向に突出することによって、段差部306に係合するようにしてもよい。
【0087】
図14に示す連結具300は、アクチュエータ10に高トルクが必要な場合に好適する連結具である。実施例のアクチュエータ10では、回転軸50の下端にスリット70を設け、そのスリット70(その内面72)によって、給水装置104のシャフト128または連結具300を回転不可に接続するので、給水装置104のシャフト128を回転させるためのトルクを大きくしなければならないとき、回転軸50がスリット70の部分で裂ける恐れがある。そのために、次の実施例では、回転軸50の下端を補強することができる、連結具300を用いる。
【0088】
図14の連結具300は、以下の点を除いて図8に示す連結具300と異なる。つまり、全体の厚みT3が、図8の厚みT1より厚く、一例として24mmである。ただし、連結部308の上部分308bの厚みT2は、図8の厚みT2と同じにされている。なぜなら、この上部分308bは、図9の実施例と同様に、回転軸50のスリット70に嵌まり合う必要があるからである。
【0089】
厚みT3を厚くした理由は、上記上部分308bの両側に、溝328を隔てて、ストッパ326を形成するためである。つまり、上部分308bの厚み方向の外側に、ストッパ326によって溝328が形成される。この溝328の厚み方向の幅は、図7に示す回転軸50のスリット70の内面72から回転軸50の周側面までの最大厚み、すなわち、図15に示すスリット形成部分78を受容することができる、幅に選ばれている。
【0090】
図14に示す連結具300を用いて回転軸50とシャフト128を接続する手順が図15に示される。
【0091】
図15(A)に示す、連結具300にシャフト128を連結する方法は先に図12を参照して説明した通りである。その状態で回転軸50を連結具300に連結する方法も、基本的には、図12で説明した方法と同じである。
【0092】
回転軸50のスリット70が連結具300の連結部308の上部分308bに被せられるが、このとき、図15(B)に示すように、スリット70を規定する回転軸50のスリット形成部分78が、連結具300の溝328に挿入される。そのため、このスリット形成部分78が上部分308bとストッパ326の間に挟まれる。したがって、ストッパ326が回転軸50のスリット70を規定するスリット形成部分78を外側から拘束することができる。つまり、ストッパ326は、回転軸50をスリット70の部分で外側から拘束する拘束手段を構成する。それによって、給水装置104のような送水制御装置のシャフト128を回転させるのに高トルクが必要な場合であっても、回転軸50が断裂または破壊するのを防止することができる。
【0093】
このように、ストッパ326は、連結具300の連結部308の上面から上方に延びて回転軸50のスリット形成部分78を外側で拘束する拘束部として機能する。しかも、拘束部が連結具と一体に形成されるので、取り扱いが容易であるという利点もある。
【0094】
なお、図14に示す連結具300において、ストッパ326の高さ(溝328の深さ)は、スリット70の少なくとも一部において回転軸50を外側から押さえられる高さ(深さ)でよいが、スリット70の深さ全体にわたって外側から拘束することができる高さ(深さ)であることが望ましい。
【0095】
このような回転軸50をスリット70の部分で外側から拘束する拘束手段の別の実施例として、図16に示す拘束具330を用いる。この拘束具330はたとえば鋼鉄のような金属からなり、中央に形成された孔332を有する。この孔3232の直径は、回転軸50を挿通できる大きさにされている。ただし、拘束具330の外径すなわち肉厚は任意であるが、拘束具330に必要な強度に従って決められればよい。拘束具330の厚み(上下方向)もまた、必要な強度に従って決められればよい。
【0096】
このような拘束具330を使うために、連結具300もまた、図17に示すように、変形される。図17において、この実施例の連結具300では、図8の例の連結具300に比べて、連結部308の上部分308bの幅が狭くされる。つまり、上部分308bの正面から見た両側が切り欠かれて、上部分308bの正面両側に拘束具受け334が形成される。
【0097】
この連結具300および拘束具330を用いてアクチュエータ10と給水装置104を結合した状態が図18に示される。この実施例では、まず、先の図9実施例と同様に、第2アダプタ314を6角支柱138の上に取付ける。そして、止めねじ150を螺合する前に、拘束具330に回転軸50を通しておき、その後、図11を参照して説明した手順で、連結具300を介して、回転軸50とシャフト128を結合する。ただし、止めねじ150は未だ螺合しない。
【0098】
その後、予め回転軸50を通しておいた拘束具330を拘束具受け334に当たるまで、下げる。そうすると、図18に示すように、回転軸50の下端が拘束具330で囲まれる。そして、図9実施例と同様に、最後に、止めねじ150で抜け止めボルト136を係止するとともに、図18に示すように、第3アダプタ316をアクチュエータ10の下端に取り付けるとともに、第3アダプタ316の円筒部324に設けた孔325を通して第2アダプタ314の壁320に設けた雌ねじ321にボルトを螺合することによって、第2アダプタ314に接合することによって、アクチュエータ10と給水装置104との連結部分が結合され、図18の状態となる。
【0099】
図18の実施例においても、拘束具330が回転軸50のスリット70を規定するスリット形成部分78(図15)を外側から拘束することができる。つまり、拘束具330は、回転軸50をスリット70の部分で外側から拘束する拘束手段を構成する。それによって、給水装置104のような送水制御装置のシャフト128を回転させるのに高トルクが必要な場合であっても、回転軸50の断裂ないし破壊を防止することができる。
【0100】
ただし、連結具300と一体の拘束手段(ストッパ326)を用いる場合に比べて、連結具300とは別の拘束手段(拘束具330)を用いる場合、その取り付け、取り外しに手間がかかるという難点があるが、拘束部が連結具と別体に形成されるので、連結具の構造が簡単でよいという利点がある。
【0101】
連結具300とは別体の拘束手段としては、図16図18の拘束具330に限らず、たとえばステンレスバンドなども使用可能である。
【0102】
図19図16実施例のリング状の拘束具330の変形例を示し、この実施例の拘束具300Aでは、内径が回転軸50のスリット形成部分78の外径よりわずかに大きくされているとともに、厚み(上下方向)が、図16の実施例の拘束具330に比べて厚く(高く)されている。さらに、この実施例の拘束具330Aでは、図19(A)に示すように、周方向の一部に切り欠き336が形成される。図19(B)で示すように、拘束具330Aには切り欠き336を挟んで対応する位置に、連通する透孔338およびねじ孔340が形成される。透孔338の入口には座繰り338aが形成される。
【0103】
図18のように連結具300を用いて給水装置104にアクチュエータ10を連結する場合、図18を参照して説明したように、まず、先の図9実施例と同様に、第2アダプタ314を6角支柱138の上に取付ける。そして、止めねじ150を螺合する前に、透孔338およびねじ孔340にボルト342を螺入している拘束具330Aに回転軸50を通しておき、その後、図11を参照して説明した手順で、連結具300を介して、回転軸50とシャフト128を結合する。このとき、拘束具330Aの内径がスリット形成部分78の外径よりわずかに大きく設計されているため、拘束具330Aに回転軸50を通し易いという利点がある。
【0104】
その後、予め回転軸50を通しておいた拘束具330Aを拘束具受け334(図17)に当たるまで、下げる。このときも、拘束具330Aの内径がスリット形成部分78の外径よりわずかに大きくされているため、拘束具330Aを容易に下げることができる。そうすると、図20に示すように、回転軸50の下端部が拘束具330Aで囲まれる。
【0105】
その後、ボルト342を透孔338およびねじ孔340に強く螺入する。このボルト342による締め付けによって、拘束具330Aの切り欠き336が狭められ、拘束具330Aの内周面が回転軸50のスリット形成部分78の外周面に密着し、拘束具330Aによる回転軸50のスリット形成部分78が効果的に拘束される。
【0106】
このとき、拘束具330Aの厚み(高さ)を厚く(高く)しているため、図20に示すように、回転軸50には、スリット形成部分78の根元ないし基端部78aより上方まで拘束具330Aが被さるため、高トルク時におけるスリット形成部分78の基端部における破損が効果的に防止できる。つまり、拘束具330Aは、スリット形成部分78だけでなく、スリット形成部分78の基端部78aを越えて回転軸50を外側から拘束するので、スリット形成部分78の基端部78aやその近傍での回転軸50の破損を防止できる。
【0107】
最後に、止めねじ150で抜け止めボルト136を係止するとともに、第3アダプタ316をアクチュエータ10の下端に取り付けるとともに、第2アダプタ314に接合することによって、アクチュエータ10と給水装置104との連結部分が結合される。
【0108】
図19図20の実施例では、拘束部(330A)が連結具(300)と別体に形成されるので、その取り付け、取り外しに手間がかかるという難点があるが、連結具の構造が簡単でよいという利点がある。
【0109】
なお、図19図20では、先に説明した各実施例の部分と対応する部分には対応する参照番号に添え字「A」を付して、説明を省略する。
【0110】
図19実施例の拘束具330Aでは周方向の一部に切り欠き336を形成したのに対し、図21に示す実施例の拘束具330Bは、半割り構造とされている。つまり、拘束具330Bは、1対の拘束具部分330Baおよび330Bbを含み、その拘束具部分330Baおよび330Bbには、図21(B)に示すように、内径部(中空部)を挟む両側に、両者を接合するための透孔344およびねじ孔346ならびに透孔348およびねじ孔350をそれぞれ形成する。これらのねじ孔344および348には必要に応じて、図19実施例のような座繰りを形成してもよい。
【0111】
そして、この実施例の拘束具330Bを用いる場合、透孔344およびねじ孔346にボルト352を螺入するとともに、透孔348およびねじ孔350にボルト354を螺入する。それによって、1つの拘束具330Bが形成される。
【0112】
それらのボルト352および354が緊締されていない、ルーズな状態で回転軸50を拘束具330Bの中空部に予め挿通し、その後、図19実施例と同様の手順を経て、予め回転軸50を通しておいた拘束具330Bを拘束具受け334(図17)に当たるまで、下げ、ルーズな状態のボルト352および354を締め付ける。応じて、拘束具330Bの内周面が回転軸50のスリット形成部分78の外周面に密着し、拘束具330Bによる回転軸50のスリット形成部分78が効果的に拘束される。
【0113】
このとき、拘束具330Bの厚み(高さ)を厚く(高く)していれば、図19実施例を用いる場合と同じように、回転軸50のスリット形成部分78の基端部78a(図20)まで拘束具330Bで拘束するため、スリット形成部分78の基端部における破損が効果的に防止できる。つまり、拘束具330Bは、スリット形成部分78だけでなく、スリット形成部分78の基端部78aを越えて回転軸50を外側から拘束するので、スリット形成部分78の基端部78aやその近傍での回転軸50の破損を防止できる。
【0114】
なお、図21では、先に説明した各実施例の部分と対応する部分には対応する参照番号に添え字「B」を付して、説明を省略する。
【0115】
図22は、図16実施例のリング状の拘束具330の第3変形例であるこの発明の他の実施例の拘束具330Cを示す。この実施例の拘束具330Cは、図22(A)に示すように、拘束具330Cの内径部を挟んで対向する位置に、拘束具330Cの厚みを貫通する透孔356を形成する。拘束具330Cは、この点を除いて、図19実施例の拘束具330Aと同様であり、図示しないが、切り欠き336Cを挟んでねじ孔が形成されていて、そのねじ孔にボルト342Cを螺入する。
【0116】
この実施例の拘束具330Cは、連結具300(図22(B))に予め装着するようにされていて、そのために、連結具300の拘束具受け334(図22(B))には、上部分308bを挟んで対向する位置に、上述の透孔356に対応するねじ孔358が形成される。
【0117】
そして、図22(C)に示すように、拘束具330Cの中空部に連結部300の上部分308bが入るように、拘束具330Cを拘束具受け334に載せ、拘束具330Cの透孔356を通してボルト360をねじ孔358に螺入することによって、連結具300の上に拘束具330Cを仮止めする。このとき、ボルト342Cは強く締め付けていない。
【0118】
この状態で、回転軸50の下端を、スリット形成部分78が上部分308bを挟むように、拘束具330Cの中空部に挿入する。そうすると、たとえば図20に示す拘束具330Aのように、回転軸50のスリット形成部分78の外周を覆う。その後、拘束具330Cのボルト342Cを強く締め付ける。透孔356の穴径は、この締め付けを阻害しない。その後、連結部300のねじ孔358に螺合しているボルト360を強く締め付ける。
【0119】
なお、この実施例の拘束具330Cを用いる場合は、図11を参照して説明した手順で、連結具300を介して、シャフト128の各140を結合し、その状態で、回転軸50のスリット形成部分78を予め連結具300に仮止めしておいた拘束具330Cの中空部に挿入すればよい。
【0120】
図22の実施例では、拘束部(330C)が連結具(300)と別体に形成されるが、連結具に予め仮止めしておくことができるので、拘束部が連結具と別体であっても、取り扱いが容易であり、さらには連結具の構造が簡単でよいという利点がある。
【0121】
この実施例においても、拘束具330Cの厚み(高さ)を厚く(高く)しているため、回転軸50のスリット形成部分78の基端部78a(図20)まで拘束具330Cが被さるため、高トルク時におけるスリット形成部分78の基端部における破損が効果的に防止できる。つまり、拘束具330Cは、スリット形成部分78だけでなく、スリット形成部分78の基端部78aを越えて回転軸50を外側から拘束するので、スリット形成部分78の基端部78aやその近傍での回転軸50の破損を防止できる。
【0122】
なお、図22では、先に説明した各実施例の部分と対応する部分には対応する参照番号に添え字「C」を付して、説明を省略する。
【0123】
図23は、図14に示す連結具300の変形例である、連結具300Aを示し、この実施例の連結具300Aは、連結部308Aの上部分308bAの両側に、溝328Aを隔てて、ストッパ326Aを形成する。つまり、上部分308bAの厚み方向の外側に、ストッパ326Aによって溝328Aが形成される。この溝328Aの厚み方向の幅は、図7に示す回転軸50のスリット70の内面72から回転軸50の周側面までの最大厚み、すなわち、図15に示すスリット形成部分78を受容することができる、幅に選ばれている。ただし、この連結具300Aでは、溝328Aの幅は、上端では比較的広く、下方に向かうにつれて狭くされる。つまり、回転軸50のスリット形成部分78の外周面と溝328Aの内面(ストッパ326Aの内面)とのクリアランスをストッパ326Aの根元へ行くほど狭くする。そのことによって、回転軸50のスリット形成部分78の外周面と溝328Aの内面との密着性を高めて、より高いトルクで回転軸50を回転させることができる。
【0124】
さらに、図23実施例の連結具300Aでは、ストッパ326Aの高さをスリット70より上まで延ばして、スリット形成部分78の基端部78aを十分に拘束して保護する。つまり、回転軸50のスリット形成部分78の基端部78aまでストッパ326Aを被せることによって、高トルク時におけるスリット形成部分78の根元における破損が効果的に防止できる。つまり、ストッパ326Aは、スリット形成部分78だけでなく、スリット形成部分78の基端部78aを越えて回転軸50を外側から拘束するので、スリット形成部分78の基端部78aやその近傍での回転軸50の破損を防止できる。
【0125】
ただし、図23実施例では、ストッパ326Aの内面が傾斜されていて、上端近傍ではその内面と上部分308Aの外面との間に隙間ができるので、この効果(基端部78aでの破損防止効果)は限定的ではあるが、もし、図14実施例のストッパ326と同じようにストッパ326Aの内面を傾斜させず、ストッパ326Aの高さを高くすれば、スリット形成部分78の基端部78aでの破損防止効果は大きい。
【0126】
このように、ストッパ326Aは、図14などに示すストッパ326と同じように、連結具300Aの連結部308Aの上面から上方に延びて回転軸50の各スリット形成部分78をそれぞれ外側で拘束する1対の拘束部として機能する。しかも、拘束部が連結具と一体に形成されるので、取り扱いが容易であるという利点もある。
【0127】
なお、図23では、先に説明した各実施例の部分と対応する部分には対応する参照番号に添え字「A」を付して、説明を省略する。
【0128】
図24図14に示す連結具300の変形例である、連結具300Bを示し、この実施例の連結具300Bにおいても、連結具300Bの連結部308Bの上部分308bBの両側に、溝328Bを隔てて、ストッパ326Bが形成されるが、ストッパ326Bの、幅W(図14(B))方向の長さは、その幅Wの全長と同じにされる。ただし、幅W(図14(B))方向の長さは、その幅Wの全長より短くてもよい。
【0129】
この連結具300Bは図23実施例の連結具300Aの変形例でもあり、図23実施例の連結具300Aにおいては、溝328は幅W方向に直線的であり、したがって、ストッパ326Aの内面も平面であったのに対して、溝328Bが幅W方向の中央において厚みT3(図14(B))方向において外方に突出するように湾曲される。そのため、両側のストッパ326Bのそれぞれの内面に凹部362が形成される。図25に示すように、凹部362の曲率は回転軸50のスリット形成部分78の外周面の曲率とほぼ同じであり、したがって、この凹部362内面は回転軸50のスリット形成部分78の外周面に沿う。したがって、図23実施例のようにスリット326Aの内面が平面の場合に比べて、スリット形成部分78の外周面の全周においてスリット326Bの凹部362の内面が密に外周面を拘束するので、回転軸50が加える角柱部140(図13)への応力への抗力を大きくすることができる。
【0130】
このように、ストッパ326Bは、連結具300Bの連結部308Bの上面から上方に延びて回転軸50の各スリット形成部分78をそれぞれ外側で拘束する1対の拘束部として機能する。しかも、拘束部が連結具と一体に形成されるので、取り扱いが容易であるという利点もある。
【0131】
さらに、図24実施例の連結具300Bでは、先の図23実施例のストッパ326Aと同様に、ストッパ326Bの高さをスリット形成部分78の基端部78aより上まで延ばすことによって、回転軸50のスリット形成部分78の基端部78aまでストッパ326Bで覆うことができ、高トルク時におけるスリット形成部分78の根元における破損が防止できる。つまり、ストッパ326Bは、スリット形成部分78だけでなく、スリット形成部分78の基端部78aを越えて回転軸50を外側から拘束するので、スリット形成部分78の基端部78aやその近傍での回転軸50の破損を防止できる。
【0132】
図24図25実施例では、ストッパ326Bが幅W(図8(B))の方向に連続しているが、この実施例の変形例として、凹部362の幅方向において、ストッパ326Bの上端から溝328Bまでスリットを形成し、ストッパ326Bを幅方向に分割することも考えられる。
【0133】
この変形例によれば、スリット形成部分78とストッパ326Bとの接触箇所を限定することによって、溝328Bへのスリット形成部分78の挿入を容易にし、しかもストッパ326Bのスリット形成部分78に対する密着性を一層高めることができる寸法を採用することができる。
【0134】
なお、図24図25では、先に説明した各実施例の部分と対応する部分には対応する参照番号に添え字「B」を付して、説明を省略する。
【0135】
図26に示す実施例の連結具300Cは、図24実施例の連結具300Bの変形例でもあり、両側のストッパ326Cの幅W方向の両端の互いに対応する位置に、透孔364およびねじ孔366をそれぞれ形成し、ボルト368および370を用いて、両側のストッパ326Cを外側から締め付ける。つまり、それぞれのストッパ326Cの凹部360Cを対応するスリット形成部分78の外周面に圧接する。そうすると、スリット形成部分78の外周面とスリット326Cの内周面326Cとの密着度がより大きくなるので、回転軸50が加える角柱部140(図13)への応力への抗力を一層大きくすることができる。
【0136】
このような透孔364およびねじ孔366ならびにボルト368および370は、拘束部としてのストッパ326Cどうしを締め付ける締め付け手段として機能する。ただし、このような作用を果たす締め付け手段としは、透孔およびねじ孔とボルトの組み合わせに限らず、ねじ孔366を透孔にしてボルト368および370とナット(図示せず)を用いてもよいし、1対のストッパ326Cどうしに巻き付けて内側へ寄せることができる、たとえば番線のようなものであってもよい。
【0137】
なお、ストッパ326Cのそれぞれの凹部360Cの内面とスリット形成部分78の円形の外周面との間のクリアランスを大きくすると、スリット形成部分78をストッパ326Cの内側の溝328Cへ入れ易くなる。しかしながら、そのような場合、締め付け手段がなければストッパ326Cによる拘束効果が十分でないことも考えられるが、このような締め付け手段を用いれば、十分な拘束効果を得ることができる。
【0138】
ただし、図24実施例の連結具300Bのように、ストッパ326Bのそれぞれの凹部362の内面と回転軸50のスリット形成部分78の円形の外周面との間のクリアランスをあまり大きくしない場合には、ある程度以上の拘束効果が期待できるので、このような締め付け手段を必ずしも設ける必要はない。
【0139】
さらに、図26実施例の連結具300Cでは、先の図23実施例のストッパ326Aと同様に、ストッパ326Cの高さをスリット形成部分78の基端部78aより上まで延ばすことによって、回転軸50のスリット形成部分78の基端部78aまでストッパ326Cで覆うことができ、高トルク時におけるスリット形成部分78の根元における破損が防止できる。つまり、ストッパ326Cは、スリット形成部分78だけでなく、スリット形成部分78の基端部78aを越えて回転軸50を外側から拘束するので、スリット形成部分78の基端部78aやその近傍での回転軸50の破損を防止できる。
【0140】
このように、ストッパ326Cは、連結具300Bの連結部308Bの上面から上方に延びて回転軸50の各スリット形成部分78をそれぞれ外側で拘束する1対の拘束部として機能する。しかも、拘束部が連結具と一体に形成されるので、取り扱いが容易であるという利点もある。
【0141】
さらに、図15で示す実施例の連結具300や図23図24で示す実施例の連結具300Aにおいても、この図26実施例の連結具300Cのような締め付け手段(ねじ孔364および366ならびにボルト368および370)を採用することもできる。
【0142】
先の各実施例の連結具300、300A、300Bおよび300Cでは、連結部308、308A、308Bおよび308Cの上部分308b、308bA、308bBおよび308Cを挟んで、厚みT1(図8)方向の両側に拘束部としてのストッパ300、300A、300Bおよび300Cを形成した。しかしながら、図27に示す実施例の連結具300Dでは、このようなストッパを形成しない。
【0143】
すなわち、この実施例の結具300Dでは、連結部308Dの上面に雌ねじ310Dを形成し、雌ねじ310Dを挟んで連結具300Dの厚みT1(図8)方向の両側に、それぞれ半円形の挿入穴372を形成する。2つの挿入穴372は、平面視で、それぞれ対応するスリット形成部分78の端面形状と相似であり、弦に相当する内平面374および弧に相当して外側に向かって湾曲する内面376を有する。そして、2つの挿入穴372の平面374は、互いに平行にされている。
【0144】
そして、穴372は、図27ではよくわからないが、図28に示す回転軸50のスリット形成部分78の基端部78aから先端までの長さに相当する深さを有する。
【0145】
この実施例の連結具300Dを用いて、回転軸50とシャフト128を連結する場合、図28に示すように、抜け止めボルト136の下部に形成されている雄ねじを雌ねじ310Dに螺合することによって、連結具300Dの上辺に抜け止めボルト136を取り付ける。抜け止めボルト136を、アクチュエータ10の回転軸50に形成されている座繰り穴74に入れる。その後、回転軸50のスリット形成部分78をそれぞれ挿入穴372へ挿入する。そして、下角柱部140を挟み部304Dで挟む。
【0146】
このように、回転軸50のスリット形成部分78が、連結部308Dの挿入穴372に挿入されるので、挿入穴372を形成する連結部308Dによって、スリット形成部分78を外側から拘束することができる。このとき、挿入穴372の湾曲した内面376がスリット形成部分78の外周面に沿うので、スリット形成部分78を外側から密に拘束することができる。
【0147】
つまり、挿入穴372を規定する連結部308Dは、回転軸50をスリット70の部分で外側から拘束する拘束手段を構成する。それによって、給水装置104のような送水制御装置のシャフト128を回転させるのに高トルクが必要な場合であっても、回転軸50が断裂または破壊するのを防止することができる。
【0148】
なお、図27図28に示す連結具300Dにおいて、挿入穴372の深さは、スリット形成部78の少なくとも一部において回転軸50を外側から押さえられる深さでよいが、スリット形成部78の基端部78aから先端までの長さ全体にわたって外側から拘束することができる深さであることが望ましい。
【0149】
さらに好ましくは、挿入穴372の上述の湾曲した内面376(図27(B))をスリット形成部分78の基端部78aを越えて上に延ばす。そうすると、回転軸50のスリット形成部分78の根元まで挿入穴372の湾曲した内面376で覆うことができ、高トルク時におけるスリット形成部分78の根元における破損が防止できる。つまり、挿入穴372の湾曲した内面376を上に延ばすように加工した連結部308Dが、スリット形成部分78だけでなく、スリット形成部分78の基端部78aを越えて回転軸50を外側から拘束するので、スリット形成部分78の基端部78aやその近傍での回転軸50の破損を防止できる。
【0150】
さらに、この図27図28の実施例では、スリット形成部分78と挿入穴372の平面視の形状はともに半円形で、相似しているが、挿入穴372のスリット形成部分78に対するクリアランスはできるだけ小さいほうが、拘束力が大きくてよい。ただし、挿入穴372のスリット形成部分78に対するクリアランスが小さいと、スリット形成部分78を挿入穴372へ挿入するのが難しくなるので、挿入穴372のスリット形成部分78に対するクリアランスは、スリット形成部分78を挿入できる範囲でなるべく小さくする。
【0151】
このように、挿入穴372を形成する連結具300Dの連結部308D(の湾曲内面376)は、連結部308Dの上面から上方に延びて回転軸50の各スリット形成部分78をそれぞれ外側で拘束する拘束部として機能する。しかも、拘束部が連結具と一体に形成されるので、取り扱いが容易であるという利点もある。
【0152】
なお、この実施例の連結具300Dにおいても、先の図24図25実施例の変形例として説明したように、連結具300Dの幅W(図8(B))の幅方向で、挿入穴372の深さに相当するスリットを形成して、連結部308Dの湾曲内面376を分割するようにしてもよい。
【0153】
上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0154】
10 …電動アクチュエータ
20 …本体ケース
50 …回転軸
70 …スリット
72 …内面
74 …座繰り穴
76 …雌ねじ
78 …スリット形成部分
128 …シャフト
104 …給水装置(送水制御装置)
106 …排水装置(送水制御装置)
134 …側面
136 …抜け止めボルト
140 …角柱部
142 …側面
144 …雄ねじ
146 …ナット
148 …径小部
150 …止めねじ
300、300A、300B、300C、300D …連結具
302 …脚部
304 …挟み部
306 …段差部
308、308A、308B、308C、308D …連結部
308a、308aA、308aB、308aC …下部分
308b、308bA、308bB、308bC …上部分
310、310A、310B、310C、310D …雌ねじ
312 …座繰り穴
322、338、344、348、356、364 …透孔
326、326A、326B、326C …ストッパ
328 …溝
330、330A、330B、330C …拘束具
334 …拘束具受け
340、346、350、358、366 …ねじ孔
342、352、354、360、368、370 …ボルト
362、362C …凹部
372 …挿入穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図28