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特許7458333無瞬断電源切替装置、無瞬断電源切替装置の試験装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】無瞬断電源切替装置、無瞬断電源切替装置の試験装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/44 20060101AFI20240322BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H02J3/44
H02J9/06 110
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021007166
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111619
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520039179
【氏名又は名称】NTTアノードエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後川 知仁
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 翠
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 昴亮
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-263672(JP,A)
【文献】特開2019-204640(JP,A)
【文献】国際公開第2011/099472(WO,A1)
【文献】特開2019-187219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0084919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/44
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給する電源装置の切替に用いられる無瞬断電源切替装置であって、
前記電源装置が接続される電源側と、前記負荷が接続される負荷側との間に設けられ、前記電源側と前記負荷側との間に電流が流れる通電状態と、前記電源側と前記負荷側との間の電流の流れが遮断される遮断状態とを可逆的に切り替える短絡防止部と、
前記短絡防止部における前記電源側の電圧である電源側電圧と、前記短絡防止部における前記負荷側の電圧である負荷側電圧との位相差を検出する位相異常検出部と、
一次側に入力された電圧を所望の電圧に変換し、二次側に接続された前記位相異常検出部に出力する電圧変換部と、
前記電圧変換部に接続される配線の接続状態を変更する接続変更部と、
商用電源に接続される商用電源接続部と、
を備え、
前記接続変更部は、前記配線の接続状態を、前記位相異常検出部が前記位相差を検出する使用状態と、前記位相異常検出部の作動確認が行われる試験状態とに変更するものであり、
前記電圧変換部は、
前記使用状態の場合には、前記一次側に入力された前記電源側電圧と前記負荷側電圧の差分に対応する電圧を出力し、
前記試験状態の場合には、前記一次側に入力された前記商用電源接続部からの電圧を前記位相異常検出部が作動する所定の大きさの電圧に変換して出力する、
無瞬断電源切替装置。
【請求項2】
前記商用電源接続部と前記電圧変換部との間に前記商用電源からの電流を可逆的に遮断可能な遮断部が設けられている請求項1に記載の無瞬断電源切替装置。
【請求項3】
前記接続変更部は、
前記電圧変換部の前記一次側に接続される前記配線を変更する切替スイッチを備える請求項1又は請求項2に記載の無瞬断電源切替装置。
【請求項4】
電源装置が接続される電源側と、前記電源装置から電力が供給される負荷が接続される負荷側との間に設けられ、前記電源側と前記負荷側との間に電流が流れる通電状態と、前記電源側と前記負荷側との間の電流の流れが遮断される遮断状態とを可逆的に切り替える短絡防止部と、前記短絡防止部における前記電源側の電圧である電源側電圧と、前記短絡防止部における前記負荷側の電圧である負荷側電圧との位相差を検出する位相異常検出部とを備え、前記負荷に電力を供給する前記電源装置を切り替える無瞬断電源切替装置の試験装置であって、
商用電源に接続される商用電源接続部と、
前記商用電源の電圧を前記位相異常検出部が作動する大きさの電圧に変換する試験用トランスを備えた、無瞬断電源切替装置の試験装置。
【請求項5】
前記商用電源接続部と前記試験用トランスの間に前記商用電源からの電流を可逆的に遮断可能な遮断部が設けられている請求項4に記載の無瞬断電源切替装置の試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源装置などの電源装置の切替の際に用いて好適な無瞬断電源切替装置、及び無瞬断電源切替装置の試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
停電などの際に、内蔵バッテリーから電力を供給し、負荷への電力供給を継続する無停電電源装置(UPS)が知られている。以降において、無停電電源装置を、「電源装置」とも記載する。また、この電源装置を交換する際に、負荷への電力供給を停止することなく、新たな電源装置に交換することが可能な無瞬断電源切替装置も知られている。
【0003】
この無瞬断電源切替装置を用いて電源装置の交換作業を行う場合には、交換前の電源装置の電圧の位相と、交換後の電源装置の電圧の位相が揃っている必要がある。このため、電源装置の電圧の位相を制御して、同期の取れていない電源装置でもその切替を可能にする同期制御回路を備えた無瞬断電源切替装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
また、回路の開閉器内の母線に、配線路間の電圧位相比較を行うためのセンサを設け、開閉器の両側の線路間の電圧の位相が異なる場合に、開閉器の投入を禁止する自動多回路開閉器も知られている(例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3664902号公報
【文献】特開平6-296331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような無瞬断電源切替装置を用いて電源装置の交換作業を行う場合には、負荷への電力供給を停止することのないようにしてその作業が行われる。具体的には、はじめに交換前の電源装置から負荷に電力が供給されている状態で、交換前の電源装置と交換後の新たな電源装置の出力を無瞬断電源切替装置に入力する。そして、無瞬断電源切替装置から出力される交換前の電源装置からの電力が負荷に供給される状態とした後に、無瞬断電源切替装置を操作して、新たな電源装置から負荷への電力供給が行われる状態に切り替える。
【0007】
この作業の際に、例えば誤配線などの理由により、無瞬断電源切替装置から出力される電圧の位相と、負荷に供給されている電力の電圧の位相が異なる状態で、無瞬断電源切替装置からの出力を負荷に供給すると短絡事故が発生してしまう。このため、無瞬断電源切替装置には、無瞬断電源切替装置の出力を負荷に供給する前に、負荷に電力を供給している電源装置の電圧の位相と、無瞬断電源切替装置から出力される電圧の位相を比較する位相異常検出部が設けられている。そして、この位相異常検出部が、上記の二つの電圧の位相が異なることを検出した場合には、無瞬断電源切替装置の出力段に設けられた配線遮断器の投入が禁止される制御が行われる。即ち、交換前の電源装置の電圧と、無瞬断電源切替装置から出力される電圧の位相が異なる場合には、位相異常検出部が、配線遮断器が通電状態になることを規制する。このことによって、無瞬断電源切替装置から位相の異なる電圧が出力されることが防がれる。
【0008】
しかしながら、故障などの原因によって位相異常検出部が適切に動作しない場合には、二つの電圧の位相が異なる場合であっても配線遮断器の投入が禁止されない可能性がある。このため、無瞬断電源切替装置の使用前には、位相異常検出部が正しく作動することを確認することが行われる。
【0009】
この位相異常検出部の作動確認を行うためには、実際に位相の異なる電圧を位相異常検出部に入力する必要がある。しかしながら、無瞬断電源切替装置が用いられる電源装置の電圧は、200Vや400Vであることが多いため、作動確認のために専用の電源を用意しなければならず、確認作業を容易に行うことができない場合がある。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、位相異常検出部の作動確認を容易に行うことが可能な無瞬断電源切替装置、及び無瞬断電源切替装置の試験装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の無瞬断電源切替装置は、負荷に電力を供給する電源装置の切替に用いられる無瞬断電源切替装置であって、前記電源装置が接続される電源側と、前記負荷が接続される負荷側との間に設けられ、前記電源側と前記負荷側との間に電流が流れる通電状態と、前記電源側と前記負荷側との間の電流の流れが遮断される遮断状態とを可逆的に切り替える短絡防止部と、前記短絡防止部における前記電源側の電圧である電源側電圧と、前記短絡防止部における前記負荷側の電圧である負荷側電圧との位相差を検出する位相異常検出部と、一次側に入力された電圧を所望の電圧に変換し、二次側に接続された前記位相異常検出部に出力する電圧変換部と、前記電圧変換部に接続される配線の接続状態を変更する接続変更部と、商用電源に接続される商用電源接続部とを備え、前記接続変更部は、前記配線の接続状態を、前記位相異常検出部が前記位相差を検出する使用状態と、前記位相異常検出部の作動確認が行われる試験状態とに変更するものであり、前記電圧変換部は、前記使用状態の場合には、前記一次側に入力された前記電源側電圧と前記負荷側電圧の差分に対応する電圧を出力し、前記試験状態の場合には、前記一次側に入力された前記商用電源接続部からの電圧を前記位相異常検出部が作動する所定の大きさの電圧に変換して出力する。
【0012】
本発明の無瞬断電源切替装置によれば、接続変更部によって電圧変換部に接続される配線の接続状態を試験状態に変更すると、商用電源の電圧が、位相異常検出部が作動する所定の大きさの電圧に変換され、位相異常検出部に出力される。このため、接続変更部によって配線の接続状態を変更するだけで、氾用的に利用可能な商用電源を用いて位相異常検出部の作動確認を行うことができる。
【0013】
上記発明においては、前記商用電源接続部と前記電圧変換部との間に前記商用電源からの電流を可逆的に遮断可能な遮断部が設けられていることが好ましい。
このようにすることにより、商用電源から過大な電流が流れた場合には、遮断部がその電流を遮断する。このため、意図せずに商用電源から過大な電流が流れてしまうことが防がれる。また、遮断部は、可逆的に商用電源からの電流を遮断するため、過電流の原因を取り除いた後の復旧を容易に行うことができる。
【0014】
上記発明においては、前記接続変更部は、前記電圧変換部の前記一次側に接続される配線を変更する切替スイッチを備えることが好ましい。
このようにすると、切替スイッチを切り替えるだけの作業で、使用状態と試験状態が切り替わる。このため、位相異常検出部の作動確認を簡易な作業で行うことができる。
【0015】
本発明の無瞬断電源切替装置の試験装置は、電源装置が接続される電源側と、前記電源装置から電力が供給される負荷が接続される負荷側との間に設けられ、前記電源側と前記負荷側との間に電流が流れる通電状態と、前記電源側と前記負荷側との間の電流の流れが遮断される遮断状態とを可逆的に切り替える短絡防止部と、前記短絡防止部における前記電源側の電圧である電源側電圧と、前記短絡防止部における前記負荷側の電圧である負荷側電圧との位相差を検出する位相異常検出部とを備え、前記負荷に電力を供給する前記電源装置を切り替える無瞬断電源切替装置の試験装置であって、商用電源に接続される商用電源接続部と、前記商用電源の電圧を前記位相異常検出部が作動する大きさの電圧に変換する試験用トランスを備えている。
【0016】
本発明の無瞬断電源切替装置の試験装置によれば、商用電源の電圧が、試験用トランスによって位相異常検出部が作動する大きさの電圧に変換される。この変換された電圧を位相異常検出部に入力すれば、位相異常検出部の作動確認を簡易に行うことができる。
【0017】
上記発明においては、前記商用電源接続部と前記試験用トランスの間に前記商用電源からの電流を可逆的に遮断可能な遮断部が設けられていることが好ましい。
このようにすることにより、例えば商用電源から過大な電流が流れると、遮断部が商用電源からの電流を遮断する。このため、意図せずに商用電源から過大な電流が流れてしまうことが防がれる。また、遮断部は、可逆的に商用電源からの電流を遮断するため、過電流の原因を取り除いた後の復旧を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の無瞬断電源切替装置、及び無瞬断電源切替装置の試験装置によれば、無瞬断電源切替装置の位相異常検出部の作動確認を容易に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態の無瞬断電源切替装置を用いた無停電電源装置の交換作業の概要を説明するブロック図である。
図2】第1の実施形態の無瞬断電源切替装置の構成を説明するブロック図である。
図3図3(a)は、第1の実施形態の無瞬断電源切替装置の位相異常検出部の、同一位相の場合の作動を説明するブロック図である。図3(b)は、第1の実施形態の無瞬断電源切替装置の位相異常検出部の、位相異常の場合の作動を説明するブロック図である。
図4】第1の実施形態の無瞬断電源切替装置の試験状態における位相異常検出部を説明するブロック図である。
図5】第1の実施形態の変形例の無瞬断電源切替装置の試験状態における位相異常検出部を説明するブロック図である。
図6】第2の実施形態の無瞬断電源切替装置の試験装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る無瞬断電源切替装置1について図1から図5を参照しながら説明する。
【0021】
本実施形態の無瞬断電源切替装置1は、ICT装置などの負荷に電源を供給する無停電電源装置を、負荷への電源供給を停止することなく新たな無停電電源装置に交換する際に利用可能な電源切替装置である。本実施形態では、無瞬断電源切替装置1が、ICT装置6a~6cへの電源供給を瞬断させることなく、既設の無停電電源装置4Aから新設の無停電電源装置4Bに交換する作業に用いられる場合を例に以降の説明を行う(図1参照。)。なお、以降の説明において、既設の無停電電源装置4Aと新設の無停電電源装置4Bを交換する作業のことを、単に「交換作業」とも記載する。またICT装置6a~6cを総称して「ICT装置6」とも記載する。
【0022】
本実施形態において、無停電電源装置4Aと無停電電源装置4Bは、200Vの交流電圧を出力する無停電電源装置である例に適用して説明を行う。なお。無停電電源装置4Aと無停電電源装置4Bは、400Vの交流電圧を出力する無停電電源装置であってもよい。あるいは他の大きさの交流電圧を出力する無停電電源装置であってもよい。
【0023】
1.構成の説明
無瞬断電源切替装置1は、本体10と試験キット30から主に構成されている。本体10は、ノントリップスイッチ11A,11B、配線用遮断器12A,12B、切替部13、配線用遮断器14、入力部15A,15B、出力部16、外部電源端子17a,17b、及び位相異常検出部20を主に備えている(図2参照。)。更に本体10は、入力部15Aと入力部15Bから入力された電力の位相の違いを検出する図示されていない入力電源位相検出部などを備えている。
【0024】
試験キット30は、位相異常検出部20の作動確認を行うために用いられる試験用ケーブルキットである。試験キット30は、100Vの商用電源の一方の相に接続されるケーブル31と、他方の相に接続されるケーブル32と、配線用遮断器33が主に設けられている。ケーブル31,32の商用電源の側のそれぞれの端部には、100Vの商用電源に接続するため商用電源接続部34が設けられ、反対側のそれぞれの端部には、本体10に接続するための接続部36が設けられている。商用電源接続部34、及び接続部36には、それぞれ公知の接続端子が用いられている。
【0025】
ケーブル31は、接続部36の側の所定の箇所から、ケーブル31aとケーブル31bに分岐している。ケーブル32も同様に、接続部36の側の所定の箇所から、ケーブル32aとケーブル32bに分岐している。ケーブル31の商用電源接続部34と、ケーブル31aとケーブル31bとに分岐する所定の箇所との間、及びケーブル32の商用電源接続部34と、ケーブル32aとケーブル32bとに分岐する所定の箇所との間に、配線用遮断器33が設けられている。配線用遮断器33は、所定の電流値よりも大きな電流が流れると、通電状態から遮断状態に切り替わる公知の配線用遮断器(MCCB)である。なお、配線用遮断器33が遮断部の一例である。
【0026】
<本体部の説明>
入力部15Aは、既設の無停電電源装置4Aから出力される電力が入力される部分である。入力部15Aは、交換作業時において、ケーブル52によって無停電電源装置4Aの出力側に設けられた分岐盤41Aと電気的に接続される。入力部15Bは、新設の無停電電源装置4Bからの電力が入力される部分である。入力部15Bは、交換作業時において、ケーブル54によって無停電電源装置4Bの出力部に設けられた分岐盤41Bと電気的に接続される。
【0027】
出力部16は、入力部15Aあるいは入力部15Bから入力されたいずれかの電力が出力される部分である。出力部16は、交換作業時において、ケーブル53によって分電盤5に接続される。以降において本体10の入力部15A,15Bが設けられている側を「電源側」と、出力部16が設けられている側を「負荷側」とも記載する。
【0028】
また、無停電電源装置4Aと無停電電源装置4Bの交換作業が行われる際の本体10の状態を「使用状態」とも記載する。また、詳細は後述する交換作業前の作動確認が行われる際の本体10の状態を、「試験状態」とも記載する。
【0029】
外部電源端子17a,17bは、図示されていない電源ケーブルが接続される部分であり、本体10の作動に必要な電力が入力される部分である。ノントリップスイッチ11Aは、入力部15Aの側に設けられた公知の開閉器である。ノントリップスイッチ11Bは、入力部15Bの側に設けられた公知の開閉器である。
【0030】
配線用遮断器14は、出力部16の側に設けられた公知の配線用遮断器(MCCB)である。配線用遮断器14は、所定の操作が行われることによって、その電源側と負荷側との間に電流が流れる通電状態と、電源側と負荷側との間の電流が遮断される遮断状態とが可逆的に切り替わる。配線用遮断器14が通電状態となると、入力部15A、あるいは入力部15Bから入力された電力が、出力部16から出力される。配線用遮断器14が遮断状態となると、入力部15A、あるいは入力部15Bから入力された電力は、配線用遮断器14にて遮断される。
【0031】
配線用遮断器14は、詳細は後述する位相異常検出部20からの異常信号が入力されると、遮断状態となるとともに、遮断状態から通電状態への切り替えを規制する機能を有している。なお、配線用遮断器14が、短絡防止部の一例である。
【0032】
切替部13は、配線用遮断器14の電源側に設けられた公知の配線切替器である。切替部13は、入力部15Aと配線用遮断器14の間を電気的に接続する状態と、入力部15Bと配線用遮断器14の間を電気的に接続する状態とを切り替える。換言すれば、出力部16から出力される電力の供給元を、無停電電源装置4Aと無停電電源装置4Bとで切り替える。
【0033】
配線用遮断器12Aは、ノントリップスイッチ11Aと切替部13の間に設けられた公知の配線用遮断器(MCCB)である。配線用遮断器12Bは、ノントリップスイッチ11Bと切替部13の間に設けられた公知の配線用遮断器(MCCB)である。
【0034】
位相異常検出部20は、配線用遮断器14の電源側と負荷側のそれぞれの電圧の位相のずれを検出する部分である。位相異常検出部20は、検出した位相のずれが所定の範囲以上であった場合には、そのことを通知する異常信号を出力する機能を有している。
【0035】
位相異常検出部20は、トランス21、トランス22、電圧検出部23、及び接続変更部27a,27bから主に構成されている。トランス21とトランス22は、それぞれの一次側に入力された電圧を、詳細は後述する電圧検出部23が作動可能な電圧に変換して二次側に出力する公知のトランスである。なお、トランス21とトランス22が、電圧変換部の一例である。
【0036】
トランス21は、その一次側に電圧入力部24a、試験電圧入力部25a、及び電圧入力部26aを備えている(図4参照。)。電圧入力部24aは、使用状態において配線用遮断器14の電源側の電圧の一つの相に接続される部分である。試験電圧入力部25aは、試験状態において、試験キット30から入力された100Vの商用電源の一方の相に接続される部分である。電圧入力部26aは、使用状態において、配線用遮断器14の電源側の電圧の、電圧入力部24aが接続された相とは異なる相に接続される部分である。また電圧入力部26aは、試験状態において、商用電源接続部34から入力された100V商用電源の他方の相に接続される部分である。
【0037】
トランス22も同様に、その一次側に電圧入力部24b、試験電圧入力部25b、及び電圧入力部26bを備えている(図4参照。)。電圧入力部24bは、使用状態において配線用遮断器14の負荷側の電圧の一つの相に接続される部分である。試験電圧入力部25bは、試験状態において、試験キット30から入力される商用電源の相の内、前述の電圧入力部26aが接続された相に接続される部分である。電圧入力部26bは、使用状態において、配線用遮断器14の負荷側の電圧の、電圧入力部24bが接続された相とは異なる相に接続される部分である。また電圧入力部26bは、試験状態において、試験キット30から入力される商用電源の相の内、試験電圧入力部25aが接続された相に接続される部分である。
【0038】
本実施形態では、使用状態において、電圧入力部24aが、配線ケーブル28aを介して配線用遮断器14の電源側のU01相に、電圧入力部26aが配線ケーブル29aを介して配線用遮断器14の電源側のW01相に接続される場合を例に以降の説明を行う。また、電圧入力部24bが、配線ケーブル28bを介して配線用遮断器14の負荷側のU相に、電圧入力部26bが、配線ケーブル29bを介して配線用遮断器14の負荷側のW相に接続される場合を例に以降の説明を行う(図2、及び図3(a)参照。)。
【0039】
接続変更部27a,27bは、トランス21とトランス22のそれぞれの一次側に接続される配線を切り替えて、使用状態と試験状態とを切り替える部分である。本実施形態において接続変更部27a,27bは、複数の接続端子を備えた公知の切替タップである例に適用して以降の説明をおこなう。即ち使用者が、接続変更部27a,27bに接続される配線の接続先を変更することで、トランス21及びトランス22のそれぞれの一次側に接続される配線が変更され、使用状態と試験状態とが切り替わる。
【0040】
接続変更部27aは、トランス21の一次側に接続される配線の接続先を変更する部分である。使用状態において接続変更部27aには、トランス21の一次側に配線用遮断器14の電源側の電圧である200Vが入力されるように配線が接続される。また、試験状態では、トランス21の一次側に試験キット30から入力された100Vの商用電源が入力されるように配線が接続される。
【0041】
接続変更部27bは、トランス22の一次側に接続される配線の接続先を変更する部分である。使用状態において接続変更部27bには、トランス22の一次側に配線用遮断器14の負荷側の電圧である200Vが入力されるように配線が接続される。また、試験状態では、トランス22の一次側に試験キット30から入力された100Vの商用電源が入力されるように配線が接続される。
【0042】
以降において、図3(a)を参照して使用状態におけるトランス21,22の一次側の配線について具体的に説明を行う。使用者が接続変更部27aの配線を切り替えて、使用状態とすると、トランス21の電圧入力部24aが、配線ケーブル28aを介して配線用遮断器14の電源側のU01相に接続された状態となる。また、トランス21の電圧入力部26aが、配線ケーブル29aを介して配線用遮断器14の電源側のW01相に接続された状態となる。
【0043】
また、トランス22の電圧入力部24bが、配線ケーブル28bを介して配線用遮断器14の負荷側のU相に接続された状態となる。また、トランス22の電圧入力部26bが、配線ケーブル29bを介して配線用遮断器14の負荷側のW相に接続された状態となる。なお、U相は、配線用遮断器14の電源側のU01相に、W相は、配線用遮断器14の電源側のW01相にそれぞれ対応する相である。
【0044】
また以降において、図4を参照して、試験状態におけるトランス21,22の一次側の配線について説明を行う。使用者が接続変更部27aの配線を切り替えて、試験状態とすると、試験キット30が接続された100Vの商用電力の一方の相と接続されているケーブル31aが、試験電圧入力部25aに接続され、ケーブル31bが、電圧入力部26bと接続された状態となる。また、他方の相に接続されたケーブル32aが、電圧入力部26aと接続され、ケーブル32bが、試験電圧入力部25bに接続された状態となる。
【0045】
トランス21は、使用状態と試験状態とで、その二次側の電圧の大きさがそれぞれ同じになるように構成されている。即ち、電圧入力部24aと電圧入力部26aの間に200Vの交流電圧を入力した際の二次側の電圧の大きさと、試験電圧入力部25aと電圧入力部26aの間に100Vの交流電圧を入力した際の二次側の電圧の大きさがそれぞれ同じとなるよう構成されている。トランス22も同様に、使用状態と試験状態とで、その二次側の電圧の大きさがそれぞれ同じになるように構成されている。
【0046】
電圧検出部23は、その両端の電圧差を検知し、その電圧差が所定の閾値よりも大きくなった場合に異常信号を出力する部分である。本実施形態において電圧検出部23は、両端の電圧差が所定の閾値よりも大きくなった際に作動する電圧感応型のリレーである例に適用して以降の説明を行う。なお電圧検出部23は、所定の電圧差が生じた際に作動してそのことを通知する信号を出力する他の公知のデバイス等が用いられてもよい。
【0047】
電圧検出部23の一方は、トランス21の二次側の電圧出力部44aに接続されている。電圧検出部23の他方は、トランス22の二次側の電圧出力部44bに接続されている。トランス21の二次側の電圧出力部46aと、トランス22の二次側の電圧出力部46bは、同電位となるように相互に接続されている(図3(a)及び図3(b)参照。)。なお電圧出力部44aと電圧出力部44b、及び電圧出力部46aと電圧出力部46bは、それぞれ対応する電圧の相が出力される部分である。
【0048】
このようにトランス21、トランス22、及び電圧検出部23が接続されると、電圧検出部23には、配線用遮断器14の電源側の電圧の位相と負荷側の電圧の位相のずれによって生じる電圧が印加される。具体的に説明を行うと、配線用遮断器14が遮断状態において、配線用遮断器14の電源側の電源の位相と負荷側の電源の位相が同一であった場合には、トランス21の二次側の電圧と、トランス22の二次側の電圧が同じ位相となる。この際、電圧出力部44aと電圧出力部44bの間に電位差は生じないため、電圧検出部23には電圧が印加されない(図3(a)参照。)。即ち電圧検出部23は、電圧の位相のずれによって生じる電圧を検知しない。
【0049】
一方、配線用遮断器14が遮断状態において、配線用遮断器14の電源側の電圧の位相と負荷側の電圧の位相が異なる場合には、電圧出力部44aと電圧出力部44bの間に電位差が生じる。即ち電圧検出部23に位相差分の電圧が印加され(図3(b)参照。)、電圧検出部23は、配線用遮断器14の電源側と負荷側の電圧の位相が異なることを検知する。
【0050】
2.作用の説明
続いて本実施形態の無瞬断電源切替装置1について、その使用方法に従って説明を行う。
【0051】
(1)交換作業の概要の説明
はじめに主に図1を参照して、無瞬断電源切替装置1を用いた無停電電源装置4Aと無停電電源装置4Bの交換作業の概要を説明する。
【0052】
作業前の状態において、既設の無停電電源装置4Aは、分岐盤41A、及びケーブル51を介して分電盤5に接続されて、ICT装置6に電力を供給している。無停電電源装置4Aは、入電盤3Aを介して200Vの商用電源2Aから電力の供給を受けている。また、無停電電源装置4Aと置き換えられる、新たな無停電電源装置4Bは、入力盤3Bを介して200Vの商用電源2Bから電力の供給を受けている。なお、商用電源2Aと商用電源2Bは同一の商用電源であってもよい。
【0053】
交換作業を開始する前に、試験キット30を用いて本体10の作動確認を行う。具体的には、試験キット30を用いて、本体10の位相異常検出部20が正しく作動するか確認を行う。なお、試験キット30を用いた本体10の作動確認の詳細は後述する。
【0054】
位相異常検出部20が正しく作動することを確認したら、無停電電源装置4Aの分岐盤41Aと、ノントリップスイッチ11Aとの間を、ケーブル52にて接続する。続いて、無停電電源装置4Bの分岐盤41Bと、ノントリップスイッチ11Bとの間を、ケーブル54にて接続する。このときノントリップスイッチ11Aとノントリップスイッチ11Bは、それぞれ開状態としておく。
【0055】
続いて、無停電電源装置4Bと分電盤5を接続するケーブル55を敷設する。また、本体10と分電盤5を接続するケーブル53を敷設する。この際、ケーブル53,55は、いずれの部分にも接続されていない状態としておく。
【0056】
外部電源端子17a,17bに図示されていない電源ケーブルを接続するなどして、本体10に電源が供給された状態とする。本体10への電源の供給は、無停電電源装置4A,4Bとは異なる、無停電電源装置から供給されることが好ましい。
【0057】
ノントリップスイッチ11A,11Bをそれぞれ閉状態とし、更に配線用遮断器14を通電状態にして、無停電電源装置4Aと無停電電源装置4Bの電源の位相が同期しているか確認を行う。この確認は、本体10の図示されていない公知の入力電源位相検出部によって行う。続いて、切替部13を操作して、無停電電源装置4Bからの電力が出力部16から出力されるように設定し、本体10からの出力電圧に異常の無いことを確認する。また、切替部13を操作して、無停電電源装置4Aからの電力が出力部16から出力されるように設定し、本体10からの出力に異常の無いことを確認する。この出力の確認は、アナライザ測定端子に公知の測定器を接続するなどして行う。
【0058】
本体10からの出力に異常の無いことを確認したら、配線用遮断器14を遮断状態として、ケーブル53を用いて、出力部16を分電盤5に接続する。この際、切替部13は、無停電電源装置4Aから入力された電力が出力部16から出力される状態に設定しておく。
【0059】
このようにすると分電盤5には、ケーブル51によって無停電電源装置4Aからの電源が供給されているため、配線用遮断器14の負荷側には、無停電電源装置4Aの電圧が現れた状態となる。また、配線用遮断器14の電源側には、入力部15Aから入力された無停電電源装置4Aの電圧が現れた状態となる。
【0060】
この際、例えばケーブル53の位相を間違えて配線したり、ケーブル52の位相を間違えて配線をしていたりすると、配線用遮断器14の負荷側と電源側で、電源の位相がずれた状態となる。このような状態で配線用遮断器14を通電状態とすると、短絡事故が発生してしまう。一方、本実施形態の本体10では、位相異常検出部20がこの位相がずれた状態を検知して、配線用遮断器14が通電状態となることを規制するため、短絡事故の発生が防がれる。
【0061】
具体的に説明を行うと、配線用遮断器14の負荷側と電源側で、電源の位相がずれた状態である場合には、位相異常検出部20が、その位相がずれた状態、即ち位相の異常な状態を検出し、異常信号を配線用遮断器14に出力する。異常信号が入力された配線用遮断器14は、通電状態となることが規制される。具体的には、異常信号入力されると、配線用遮断器14がトリップ状態となり、通電状態となることが規制される。
【0062】
このため、仮に使用者が所定の操作を行っても配線用遮断器14が通電状態に変わることはなく、短絡事故の発生が防がれる。なお、位相異常検出部20から異常信号が出力された場合には、使用者は、配線の状態を確認し、配線を正しく接続しなおして作業を継続する。
【0063】
ケーブル53を接続したら、配線用遮断器14を通電状態とする。この際、分電盤5には、ケーブル51の他、ケーブル52、本体10、及びケーブル53を経由した無停電電源装置4Aからの電力が供給される。配線用遮断器14を通電状態としたら、公知の電流計などを用いて、ケーブル52、及びケーブル53に正しく電流が流れていることを確認する。ケーブル52、ケーブル53に正しく電流が流れていることを確認できたら、無停電電源装置4Aと分電盤5との接続を切り離して、ケーブル51を取り除く。
【0064】
ケーブル51を取り除いたら、切替部13を切り替えて、出力部16に無停電電源装置4Bからの電源が出力される状態とする。切替部13を切り替えると、無停電電源装置4Bからの電力が、ケーブル54、本体10、及びケーブル53を介して分電盤5に供給される。そして、公知の電流計などを用いて、ケーブル53、及びケーブル54に正しく電流が流れていることを確認し、電流が正しく流れていることを確認できたら、ケーブル55を用いて分岐盤41Bを分電盤5に接続する。
【0065】
公知の電流計などを用いてケーブル55に正しく電流が流れていることが確認できたら、配線用遮断器14を遮断状態とし、操作禁止表示を行う。続いて配線用遮断器12A,12Bをそれぞれ遮断状態にする。公知の電流計等を用いて、ケーブル52,53,54にそれぞれ電流が流れていないことを確認し、本体10への電源の供給を停止する。そしてケーブル52,53,54を撤去して作業を完了する。
【0066】
(2)作動確認の詳細な説明
以降において、交換作業を開始する前に行われる、試験キット30を用いた無瞬断電源切替装置1の作動確認について説明を行う。
【0067】
はじめに、接続変更部27a,27bを試験状態とする。具体的には、配線ケーブル28a,28b,29a,29bを、トランス21,22のそれぞれの一次側から取り外された状態とする。そして、ケーブル31aが試験電圧入力部25aに、ケーブル32aが電圧入力部26aに接続された状態とする。また、ケーブル32bが試験電圧入力部25bに、ケーブル31bが電圧入力部26bに接続された状態とする(図4参照。)。
【0068】
続いて、商用電源接続部34を100Vの商用電源に接続し、トランス21,22の一次側に100Vの商用電源を入力する。このようにすると、ケーブル31a,31bは100Vの商用電源の一方の相に接続され、ケーブル32a,32bは100Vの商用電源の一方の相に接続される。この際、トランス22の一次側には、トランス21の一次側に入力された電圧とは逆相の電圧が入力される。
【0069】
このようにされると、トランス22の二次側には、トランス21の二次側とは逆相の電圧が出力される。このため、電圧検出部23の両端に電位差が生じる(図3(b)参照。)。即ち、電圧出力部44aと電圧出力部46aの間の電圧をV1、電圧出力部44bと電圧出力部46bの間の電圧を-V1とすると、電圧検出部23の両端には、2V1の電圧が印加される。
【0070】
電圧検出部23は、その両端に電圧が印加されると、異常信号を出力する。使用者は、異常信号の出力を確認して、位相異常検出部20が正しく作動していることを確認する。この際使用者は、配線用遮断器14が、遮断状態が維持された状態、即ちトリップ状態となっていることを確認してもよい。
【0071】
なお試験キット30は、配線用遮断器33を備えているため、作動試験の際に、ケーブル31,32に意図しない過剰な流れることが防がれている。このため、例えば位相異常検出部20などに短絡などの異常が発生していたとしても、過剰な電流が流れて故障が発生することが防がれる。
【0072】
位相異常検出部20の作動が確認できたら、試験キット30を取り外し、接続変更部27a,27bを通常状態とする。具体的には、試験電圧入力部25a,25b、及び電圧入力部26a,26bに接続されていたケーブル31a,31b、及びケーブル32a,32bを取り外す。そして、配線ケーブル28a,28b,29a,29bを、トランス21,22の対応する部分にそれぞれ接続された状態とする。
【0073】
上記の無瞬断電源切替装置1によれば、接続変更部27a,27bによってトランス21,22の配線の接続状態を試験状態に変更し、商用電源接続部34を100Vの商用電源に接続するだけの操作で、位相異常検出部20の作動確認を行うことができる。このため、位相異常検出部20の作動確認のために、200Vや400Vといった無停電電源装置の出力と同じ大きさの電源や、昇圧トランスなどを用意する必要がない。即ち、氾用的に利用可能な100Vの商用電源を用いて簡易に本体10の作動確認を行うことができる。
【0074】
また、作動試験の際にトランス21,22を用いて電圧検出部23に電圧を供給するため、トランス21,22を含めて位相異常検出部20の作動を確認することができる。即ち、より使用状態に近い状態で、位相異常検出部20の作動を確認することができる。
【0075】
また試験キット30は、配線用遮断器33を備えている。例えば位相異常検出部20に異常が発生していたとしても、過電流が流れて更なる故障などの発生が防がれる。また、過電流の原因を取り除いた後の復旧を簡単に行うことができるため、再度の試験を容易に行うことができる。
【0076】
なお、上記の実施形態では、接続変更部27a,27bが、公知の切替タップから構成されている例に適用して説明を行ったが、接続される配線を切り替える複数のスイッチを備えたスイッチユニット27A,27Bが設けられた構成としてもよい(図5参照。)。このような構成とすれば、スイッチユニット27A,27Bを切り替えるだけの簡単な操作で、使用状態と試験状態を切り替えることができる。従って、更に簡易な操作で作動試験を行うことが可能な無瞬断電源切替装置1とすることができる。なお、スイッチユニット27A,27Bが、切替スイッチの一例である。
【0077】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について主に図6を参照しながら説明する。
本実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、作動確認に用いる試験キットが異なっている。よって、本実施形態においては、主に図6を参照して試験キットについて説明を行い、他の部分についてはその説明を省略する。
【0078】
1.構成の説明
本実施形態の無瞬断電源切替装置1Aは、本体10と試験キット60を備えている。試験キット60は、100Vの商用電源7を用いて本体10の電圧検出部23の作動確認を行うためのものである。試験キット60は、トランス61、配線用遮断器62、及びケーブル63を主に備えている。なお試験キット60が、試験装置の一例である。
【0079】
トランス61は、商用電源7の電圧を、電圧検出部23が作動可能な電圧に変換する公知のトランスである。本実施形態においてトランス61は、100Vの交流電圧を12Vの交流電圧に変換する降圧トランスである例に適用して以降の説明を行う。なおトランス61が試験用トランスの一例である。
【0080】
配線用遮断器62は、所定の大きさ以上の過電流が流れるのを防ぐ、公知の配線用遮断器(MCCB)である。なお、配線用遮断器62が遮断部の一例である。
ケーブル63は、商用電源7と、トランス61と、配線用遮断器62と本体10を接続する公知のケーブルで、ケーブル64a,64b、ケーブル65a,65b、及びケーブル66a,66bから構成されている。
【0081】
ケーブル64a,64bは、配線用遮断器62と商用電源7を接続する一組のケーブルである。ケーブル65a,65bは、配線用遮断器62とトランス61の一次側を接続する一組のケーブルである。ケーブル66a,66bは、トランス61の二次側と本体10を接続する一組のケーブルである。即ちケーブル66a,66bは、トランス61の二次側から出力される電圧を、電圧検出部23の両端に印加するケーブルである。
【0082】
ケーブル64a,64bの商用電源7の側の端部には、商用電源7に電気的に接続する接続部67がそれぞれ設けられている。またケーブル66a,66bの本体10の側の端部には、電圧検出部23の両側の部分に電気的に接続する接続部68が設けられている。接続部67、及び接続部68には、それぞれ公知の接続端子が用いられている。
【0083】
2.作用の説明
続いて、本実施形態の無瞬断電源切替装置1Aの作用について、その使用方法に即して説明を行う。なお、本実施形態の無瞬断電源切替装置1Aは、交換作業前中の操作は第1の実施形態と同一であるため、以降においては、相違する部分である作動確認について説明を行う。
【0084】
(1)作動確認の説明
はじめに、ケーブル66a,66bの接続部68を、電圧検出部23の両側にそれぞれ接続する。本実施形態では、ケーブル66aの接続部68を電圧検出部23の一方の側である接続部47aに接続し、ケーブル66bの接続部68を、電圧検出部23の他方の側である接続部47bに接続する例に適用して以降の説明を行う。なお電圧検出部23の両側に電気的に接続できるのであれば、ケーブル66a,66bを他の部分に接続してもよい。
【0085】
続いて、ケーブル64a,64bの接続部67を商用電源7に接続する。このようにすると、商用電源7の電圧が、ケーブル64a,64b、配線用遮断器62、及びケーブル65a,65bを介してトランス61の一次側に入力される。トランス61の一次側に入力された100Vの商用電源は12Vに降圧されて、電圧検出部23の両端に印加される。
【0086】
使用者は、電圧検出部23に電圧が印加された状態における電圧検出部23の作動を確認し、適切に作動していれば、無停電電源装置4A,4Bの交換作業を行い、適切に作動をしていなければ、電圧検出部23を交換するなどの作業を行う。なお、電圧検出部23に異常が発生しているなどの理由により、所定の大きさ以上の電流がケーブル63に流れると、配線用遮断器62が遮断状態となり、過電流が流れることが防がれる。
【0087】
上記の無瞬断電源切替装置1Aの試験キット60は、100Vの商用電源7を電圧検出部23の作動電圧に変換するトランス61を備えている。このため、氾用的な100Vの商用電源7を用いて、電圧検出部23の作動確認を容易に行うことができる。また、試験キット60は、トランス61、配線用遮断器62、及びケーブル63を備える簡易な構成であるため、その取扱いも容易であり、本体10の作動確認を容易に行うことができる。
【0088】
また試験キット60は、配線用遮断器62を備えている。このため、例えば電圧検出部23に異常が発生して商用電源7から本体10に過剰な電流が流れてしまったり、商用電源7に悪影響を及ぼしてしまったりすることが防がれる。
【0089】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また本発明は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1,1A…無瞬断電源切替装置 2A,2B…商用電源
3A,3B…入電盤 4A,4B…無停電電源装置 5…分電盤
6a~6c…装置 10…本体 11A,11B…ノントリップスイッチ
12A,12B,14,33,62…配線用遮断器 13…切替部
15A,15B…入力部 16…出力部 20…位相異常検出部
21,22,61…トランス 23…電圧検出部
24a,24b…電圧入力部 25a,25b…試験電圧入力部
26a,26b…電圧入力部 27a,27b…接続変更部
27A,27B…スイッチユニット(接続変更部)
28a,28b,29a,29b…配線ケーブル、
30,60…試験キット 51,52,53,54,55,63…ケーブル
34…商用電源接続部 41A,41B…分岐盤
44a,44b,46a,46b…電圧出力部 47a,47b…接続部
67,68…接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6