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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】車両トランクの扉構造装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20240322BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60J5/10 R
B60J5/00 P
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021500036
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019067337
(87)【国際公開番号】W WO2020007727
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】1856195
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グロモ, オリヴィエ
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/071214(WO,A1)
【文献】特開2006-213041(JP,A)
【文献】特開平07-241921(JP,A)
【文献】特開2013-233871(JP,A)
【文献】特開2000-071773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0061302(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0217620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00
B60J 5/00,10/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のトランク用の扉構造装置(1)であって、
車体外板(8)によって覆われるようになされた下側部分(1b)、および、後方窓囲繞部(4)を形成しかつ後方窓枠(6)によって覆われるようになされた上側部分(1a)と、
前記下側部分(1b)から前記上側部分(1a)まで延在する少なくとも1つの中空補強要素(2)と
を備え、
前記中空補強要素(2)は、流体アシスト射出成形によって形成され、
前記扉構造装置(1)は、プラスチック材の射出成形によって一体に形成されている、扉構造装置(1)。
【請求項2】
前記中空補強要素(2)は、4つの面で長手方向に延在し、平行六面体の断面を呈する、請求項1に記載の扉構造装置(1)。
【請求項3】
自動車のトランク用の扉構造装置(1)であって、
車体外板(8)によって覆われるようになされた下側部分(1b)、および、後方窓囲繞部(4)を形成しかつ後方窓枠(6)によって覆われるようになされた上側部分(1a)と、
前記下側部分(1b)から前記上側部分(1a)まで延在する少なくとも1つの中空補強要素(2)と
を備え、
前記中空補強要素(2)、流体アシスト射出成によって形成され、
前記少なくとも1つの中空補強要素(2)の1つの面(2a)を含む連続的な固定経路(71)がさらに設けられ、前記固定経路(71)は、前記扉構造装置(1)の内面に配置される、
扉構造装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの中空補強要素(2)は、前記下側部分(1b)および/または前記上側部分(1a)に対して突出している、請求項1から3のいずれか一項に記載の扉構造装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの中空補強要素(2)は、前記下側部分(1b)および/または前記上側部分(1a)の外面から突出している、請求項4に記載の扉構造装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの中空補強要素(2)
前記後方窓囲繞部(4)を少なくとも部分的に取り巻く周縁枠を形成し、かつ/または、
前記扉構造装置(1)を少なくとも部分的に取り巻く周縁枠を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の扉構造装置(1)。
【請求項7】
前記中空補強要素(2)は正方形断面を有する、請求項2に記載の扉構造装置(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の扉構造装置(1)を製造する方法であって、
前記下側部分(1b)および前記上側部分(1a)を製造するプラスチック射出成形ステップと、
前記下側部分(1b)から前記上側部分(1a)まで延在する前記少なくとも1つの中空補強要素(2)を製造する流体アシストプラスチック射出成ステップと
を含む方法。
【請求項9】
プラスチック材製の追加補強手段(9a)を、前記扉構造装置(1)の残余部分にーバモールドによって取り付ける、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両トランクの扉構造装置(1)と、後方窓枠(6)とを備える自動車のトランク扉(11)であって、前記後方窓枠(6)が、重ね合わせによって前記扉構造装置(1)の前記後方窓囲繞部(4)を覆い、前記後方窓枠(6)と前記扉構造装置(1)との重ね合わせ部が、前記少なくとも1つの中空補強要素(2)の長さの少なくとも一部分に沿って延在する第2の中空体(61)を形成する、自動車のトランク扉(11)。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両トランクの扉構造装置(1)と、前記少なくとも1つの中空補強要素(2)に固定された少なくとも1つのシーリング要素(7)とを備える、自動車のトランク扉(11)。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両トランクの扉構造装置(1)と、前記上側部分(1a)を前記下側部分(1b)に連結し、中空チューブ(9a)、および前記中空チューブ(9a)の長手方向両端部にオーバモールドされた固定要素(9a、9b)を備える少なくとも1つの追加プラスチック補強手段(9)とを具備する、自動車のトランク扉(11)。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載のトランク扉(11)を備える自動車車体であって、ーリング要素(7)を備え、前記トランク扉(11)が閉鎖されたとき、前記シーリング要素(7)が、前記少なくとも1つの中空補強要素(2)または前記少なくとも1つの固定経路(71)と接触する、自動車車体。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両トランクの扉構造装置(1)または請求項13に記載の自動車車体を備える、自動車(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のトランク用の扉の構造装置に関する。本発明は、また、そのような構造装置を製造する方法に関する。本発明は、さらに、そのような扉構造装置を備える、自動車のトランク扉に関する。最後に、本発明は、そのような扉構造装置を備える車体および自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の重量を低減するために、トランク扉に使用される金属は、ますますプラスチック材に置き換えられている。
【0003】
しかし、類似の設計において鋼材の代替品としてプラスチック材を使用すると、剛性に関する問題を生じる。具体的には、これは、プラスチック材と鋼材との間に存在するヤング率の差による。
【0004】
このため、プラスチック製のトランク扉には、一般に、プラスチック材本来の剛性不足に対処するために、鋼製補強部が設けられる。これら金属補強部は、一般に、組立中にトランク扉に変形を生じる幾何学的欠陥を有する複数の重い組付け要素を備える。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上記の欠点を克服する、自動車用の扉構造装置を提供し、従来技術で既知の構造要素を改良することである。具体的には、本発明は、簡単、軽量かつ信頼できる構造装置またはトランク扉を製造することを可能にし、その構造装置またはトランク扉の製造が必要とする製造ステップの数がより少なくなる。
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、自動車のトランク用の扉構造装置であって、車体外板によって覆われるようになされた下側部分、および後方窓囲繞部を形成し、後方窓枠によって覆われるようになされた上側部分を備え、下側部分から上側部分まで延在する少なくとも1つの中空補強要素をさらに備え、中空補強要素が、流体アシスト射出成型によって製造される、装置からなる。
【0007】
一実施形態では、該装置は、プラスチック材の射出成型によって一体に製作される。
【0008】
一実施形態では、少なくとも1つの中空補強要素が、下側部分および/または上側部分に対して突出している。
【0009】
一実施形態では、少なくとも1つの中空補強要素が、下側部分および/または上側部分の外面から突出している。
【0010】
一実施形態では、中空補強要素が、平行六面体断面、好ましくは正方形断面を有する。
【0011】
一実施形態では、少なくとも1つの中空補強要素が、後方窓囲繞部を少なくとも部分的に取り巻く周縁枠を形成し、かつ/または少なくとも1つの中空補強要素が、装置を少なくとも部分的に取り巻く周縁枠を形成する。
【0012】
一実施形態では、該装置が、少なくとも1つの中空補強要素の1つの面を含む連続的固定経路をさらに備え、該固定経路は、装置の内面に配置される。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による装置を製造する方法に関する。
【0014】
該方法は、下側部分および上側部分を製造するプラスチック射出成型ステップを含む。該方法は、さらに、下側部分から上側部分まで延在する少なくとも1つの中空補強要素を製造する流体アシストプラスチック射出成型ステップを含む。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つの中空補強要素を射出成型するために使用される流体は、ガスまたは液体、好ましくは水である。
【0016】
一実施形態では、プラスチック材製の追加補強手段を、装置の残余部分に取り付け、特にオーバモールドによって取り付ける。
【0017】
第3の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による車両トランクの扉構造装置と、後方窓枠とを備える、自動車のトランク扉に関する。該後方窓枠が、重ね合わせによって該装置の後方窓囲繞部を覆う。後方窓枠と装置との重ね合わせ部が、少なくとも1つの中空補強要素の長さの少なくとも一部分に沿って延在する第2の中空体を形成する。
【0018】
一実施形態では、該トランク扉が、本発明の第1の態様によるトランク扉構造装置と、少なくとも1つの中空補強要素に固定された少なくとも1つのシーリング要素とを備える。
【0019】
一実施形態では、該トランク扉が、本発明の第1の態様によるトランク扉構造装置と、上側部分を下側部分に連結し、中空チューブ、および中空チューブの長手方向両端部にオーバモールドされた固定要素を備える少なくとも1つの追加プラスチック補強手段とを具備する。
【0020】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様によるトランク扉を備える自動車車体に関する。該車体は、トランク扉が閉鎖されたとき、少なくとも1つの中空補強要素または少なくとも1つの固定経路と接触するシーリング要素を備える。
【0021】
第5の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による車両トランク用扉構造装置、または本発明の第4の態様による自動車車体を備える車両、特に自動車に関する。
【0022】
添付図面は、本発明による装置、トランク扉、または車両の実施形態を、例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】自動車のトランク扉構造装置の実施形態の外面の図である。
図2】後方窓囲繞部が装着された、図1によるトランク扉構造装置の実施形態の外面の図である。
図3図1によるトランク扉構造装置の内面の図である。
図4A図3による装置とシールとを備える本発明の一実施形態によるトランク扉の一部の、面A上の断面図である。
図4B】上側部分と窓枠との協働によって第2の中空体が形成される実施形態における、トランク扉の面B上での概略断面図である。
図5図1による装置に装着することができる追加補強要素の実施形態の図である。
図6】本発明の一実施形態による、車両のトランク扉の実施形態の分解組立図である。
図7】トランク扉を備える車両の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以降の記述において、以下の用語は、以下のように定義し理解することができる。
【0025】
「下側部分」は、トランク扉11が閉鎖位置にあるときに、車両に対して下端の方に位置する部分として定義される。逆に「上側部分」は、トランク扉11が閉鎖位置にあるときに、車両に対して上端の方に位置する部分を示す。たとえば、下側部分および上側部分は、それぞれ、トランク扉が閉鎖位置にあるとき、後方窓の下側縁部の下方および上方に位置する。
【0026】
「内面」は、トランク扉が閉鎖位置にあるとき、車両の客室の内側の方に向くようになされた、要素の面であるとして定義される。逆に「外面」は、トランク扉11が閉鎖位置にあるとき、車両の客室の外側の方に向くようになされた、要素の面を示す。
【0027】
本発明の構想は、車両のトランク扉の構造装置の剛性を増加させるために、その構造装置に沿って延在する中空補強要素を組み込むことにある。その場合、構造装置は、負荷部分の慣性能率を増加させることが可能になる。
【0028】
自動車のトランク用の扉構造装置1の例を、図1を参照して以下に説明する。
【0029】
本発明は、具体的には、車両、特に自動車用のトランク扉11を形成するために覆われるようになされた装置1に関する。
【0030】
装置1は、扉ケースまたはトランク扉構造要素であり得る。装置1は、好ましくはハッチバック式トランク扉のトランク内張りであり得る。
【0031】
装置1は、上側部分1aによって上方に延長させられる下側部分1bを備える、支持部を構成する第1の部分を具備する。下側部分1bは、車体要素によって覆われるようになされている。図2に示されるように、上側部分1aは、車両トランク扉の後方窓枠6によって覆われるようになされた後方窓囲繞部4を形成する。
【0032】
装置1は、少なくとも1つの中空補強要素2をさらに備える。少なくとも1つの中空補強要素2は、下側部分1bから上側部分1aまで延在する。すなわち、中空補強要素2は、下側部分および上側部分の全体に延在する。
【0033】
中空補強要素2は、装置1を強化するように装置1の周縁部を廻って連続的または不連続的に配設された長手方向要素から構成され得る。
【0034】
少なくとも1つの中空補強要素2は、装置1の周縁部の少なくとも一部分を廻るベルトを生成し、このベルトが、下側部分1bと上側部分1aとを連結する。
【0035】
表現「一部分」は、この場合、少なくとも25%、または少なくとも50%を意味すると理解されたい。
【0036】
少なくとも1つの中空補強要素2は、装置1の下側または上側の側方縁部から1cm~20cm、好ましくは5cm~15cmの距離をおいて延在し得る。
【0037】
少なくとも1つの中空補強要素2は、50cm~350cm、好ましくは150cm~250cmの長さにわたって長手方向に延在し得る。
【0038】
中空補強要素2は、この場合、強化桁として作用する。さらに、プラスチックの使用および補強要素の中空形状は、衝撃の減衰、特にトランク扉11が閉じられるときの、装置1を備えるトランク扉11と車体との間の衝撃の減衰を向上させることを可能にする。
【0039】
補強要素は、直線的または長手方向に延在し得る。補強要素は、支持部の外形の少なくとも一部分に沿って、または下側部分1bと上側部分1aとによって形成されたアセンブリの外形の少なくとも一部分に沿って、直線的に延在する。
【0040】
少なくとも1つの中空補強要素2は、図1に示されるように、少なくとも2つの中空補強要素からなり得る。このように、少なくとも1つの中空補強要素2は、不連続部を備え得る。すなわち、少なくとも1つの中空補強要素2は、連続的に、または準連続的に延在する。
【0041】
このように、中空補強要素2は、少なくとも部分的に強化リング形成するように延在する。
【0042】
中空補強要素2は、下側部分1bの下側縁部に沿って配設された少なくとも1つの第1の下側部位を備える。
【0043】
中空補強要素2は、下側部分1bから上側部分1aまで支持部の側方縁部に沿って配設された少なくとも1つの第2の上方部位を備える。
【0044】
中空補強要素2は、後方窓囲繞部4を形成する縁部に沿って上側部分1aの縁に延在し得る。
【0045】
図1に示される実施形態では、装置1は、対称的に支持部に配設された2つの中空補強要素を備える。
【0046】
代替形態では、2つの対称的中空補強要素が、下側部分1bの下側縁部に沿って対合し得、かつ/または後方窓囲繞部4の上端部分3に沿って対合し得る。「上端部分」は、この場合、上側部分1aまたは後方窓囲繞部の上側縁部であると理解されたい。
【0047】
図4Aに示されるように、中空補強要素2は、平行六面体形状の断面を有し、4つの面で長手方向に延在する。好ましくは、中空補強要素2は、正方形を有する。すなわち、補強要素は、4つの面に囲まれた長手方向に延在する空洞と見なすことができる。
【0048】
面2a、2bの長さは、0.5cm~5cm、好ましくは2cm~4cmで変化し得る(両端を含む)。より一般的には、中空補強要素の断面は、直径Ammの円と直径Bmmの円との間に含めることができる。
【0049】
補強要素の断面の形状は、補強要素に沿って一定であり得る。あるいは、補強要素の断面の形状は、補強要素に沿って変化してもよい。
【0050】
一実施形態では、中空補強要素2の断面の面の1つ2aは、シーリング要素7を受けるようになされ得る。図3に示されるように、シーリング要素7を受けるようになされた、断面の面2aは、支持部の内側の方に向いた面2aである。他の3つの面2bは、好ましくは、支持部の外面から突出する。
【0051】
有利には、支持部の内面の方に向いた、少なくとも1つの中空補強要素2の面2aは、このように、少なくとも1つの一体式シーリング要素7用の固定経路71を形成することを可能にする。この配設は、また、温度に関係なくトランク扉11のシーリングを確保するために、シールなど、シーリング要素7をより良好に安定させることを可能にする。図1に示すように、連結経路71は、支持部を廻る連続的経路を形成するように、2つの中空補強要素2を連結することを可能にする。図3に示されるように、固定経路は、一体式シーリング要素7の取り付けを可能にする。
【0052】
一実施形態では、中空補強要素2は不連続であり、固定経路71は連続している。固定経路71は、中空補強要素2に沿って延在し、かつ該中空補強要素2の不連続箇所間に延在することができる。
【0053】
固定経路71は、少なくとも1つの中空補強要素2の不連続箇所間に、細片を備え得る。これら細片は、一体式シーリング要素7の取り付けを可能にするために、固定経路71を連続させることを可能にする。一体式シーリング要素7は、有利には、より良好な機能および製造時間の削減を可能にする。
【0054】
すなわち、固定経路71は、装置1の製造に際し、成型によって部分的に製造することができる。
【0055】
したがって、製造ステップの追加はない。
【0056】
支持部の下側部分1bは、内面および外面を備える。外面は、車体外板8による重ね合わせにより覆われるようになされている。
【0057】
下側部分1bは、さらに、強化要素(5a、5b、5c)を備える。これら強化要素は、支持部を製造するためにプラスチック材を成型することによって得られる。
【0058】
これら強化要素は、機能部材の固定を可能にする。
【0059】
少なくとも1つの第1の強化要素5aは、ロッキング装置の固定を可能にする。
【0060】
少なくとも1つの第2の強化要素5bは、照明装置の固定を可能にする。
【0061】
第3の強化要素5cは、ウインドシールドワイパ装置の固定を可能にする。
【0062】
支持部の上側部分1aは、後方窓囲繞部4を形成する。この上側部分1aは、後方窓枠6による重ね合わせにより覆われるようになされている。
【0063】
窓枠および車体外板8は、装置1の同一面上に、好ましくは互いに面一になるように、隣接して配設されるようになされている。
【0064】
好ましくは、中空補強要素2は、流体アシスト射出成型によって製造される。中空補強要素2を作製するのに使用される流体は、ガスまたは水などの液体であり得る。
【0065】
有利には、支持部および中空補強要素2を備える装置1は、単一体に製造される。好ましくは、装置1は、プラスチック材の射出成型によって製造され、中空補強要素2の空洞は、流体アシスト射出成型によって製造される。
【0066】
このように、本発明は、トランク扉11の内張りを強化するために支持部に金属要素を固定するステップを不要にする。
【0067】
そのような車両トランク扉構造装置1を製造する方法は、支持部、または単一体で下側部分1bおよび上側部分1aを製造するプラスチック射出成型ステップを含み得る。
【0068】
方法は、また、少なくとも1つの中空補強要素2を製造する流体アシストプラスチック射出成型のステップを含む。このステップは、上記の射出成型ステップの一部であり得る。
【0069】
これら2つのステップは、有利には、少なくとも1つの中空補強要素2が下側部分1bおよび上側部分1aと一体をなす単一体装置1を得るために、並行に実施される。
【0070】
本発明は、また、車両、特に自動車用のトランク扉11に関する。
【0071】
自動車のトランク扉11の例が、図6を参照して以下に説明される。
【0072】
トランク扉11は、上記のように扉構造装置1を備える。トランク扉11は、また、後方窓枠6および車体外板8を備える。
【0073】
上記で詳細に説明したように、窓枠6は、重ね合わせによって装置1の後方窓囲繞部4を覆う。窓枠6は、装置1の外面上で装置1を覆う。
【0074】
図4Bに示された実施形態では、窓枠6が装置1に組み付けられると、枠6と装置1とが、第2の中空体61を形成する。
【0075】
窓枠6は、窓枠6と上側部分1aとの間に第2の中空体61を生成するために上側部分の外面と協働するように設計されている。
【0076】
第2の中空体61は、有利には、中空補強要素2によって形成された中空体21に沿って延在する。それによって、トランク扉11は、トランク扉11の剛性を増加させる2重の中空体を備える。すなわち、構造装置は、その外形寸法を変えることなしに、鋼材製の類似の装置に比較して負荷部分の慣性能率を増加させることを可能にする。
【0077】
一実施形態では、後方窓囲繞部4の上端部分3は、少なくとも1つのヒンジを受け持つようになされている。ヒンジは、トランク扉11を車両フレームに回転可能に連結することを可能にする。上端部分3の別の面は、スポイラ10またはウィングなど、車両の空力特性を向上させる要素を受け持つようになされ得る。
【0078】
トランク扉11は、スポイラ10またはウィングなど、車両の空力特性を向上させることを可能にする要素を備え得る。
【0079】
トランク扉11は車体外板8を備える。好ましくは、車体外板8は、構造装置の下側部分1bを覆うように配設される。車体外板8は、後方窓枠6に隣接して配設され得る。
【0080】
車体外板8は、後方窓枠6と実質的に面一に配設され得る。
【0081】
トランク扉11は、装置の中空補強要素2または固定経路71に固定されたシーリング要素7またはシールを備え得る。有利には、シーリング要素7は、該トランク扉11の製造ステップを簡単にするために一体として構成される。シーリング要素7は、該装置の内面、好ましくは固定経路71に固定される。
【0082】
一実施形態では、トランク扉11は、プラスチック材製の少なくとも1つの追加の補強手段9を備える。
【0083】
そのような追加プラスチック補強手段9の例が、図5に示される。
【0084】
この追加プラスチック補強手段9は、中空長軸チューブ9aを備える。中空長軸チューブ9aは、射出成型に際し中空体を直接生成し、同時に十分に剛性のある部品を得ることを可能にするために、流体アシスト射出成型によって製造される部品である。追加プラスチック補強手段9は、また、中空チューブ9aの長手方向両端部に固定要素9b、9cを備え得る。
【0085】
これら固定要素9b、9cは、好ましくは、ナットまたはスクリューと協働する貫通孔を備える。この実施形態では、追加補強手段9は、本発明による装置1にねじ止めされる。
【0086】
これら固定要素9b、9cは、プラスチック材の射出成型によって中空長軸チューブ9aにオーバモールドされる。したがって、追加プラスチック補強手段9は、金属部品を使用せずに、複数のプラスチック部品から十分に高い剛性を有するように構成することができる。
【0087】
追加プラスチック補強手段9は、扉構造装置の内面に配設され得る。追加プラスチック補強手段9は、トランク扉11の剛性、および不可逆変形に対する耐性を補強することを可能にする。
【0088】
有利には、少なくとも1つの追加プラスチック補強手段9は、装置1の下側部分1bから装置1の上側部分1aまで延在する。少なくとも1つの追加プラスチック補強手段9は、中空チューブ9aの長手方向両端部に在る固定手段9b、9cによって、装置の上側部分1aおよび/または下側部分1bに固定される。
【0089】
代替実施形態では、追加プラスチック補強手段9は、好ましくは、装置の上側部分1aおよび/または下側部分1bにオーバモールドされる。
【0090】
その場合、固定要素9b、9cは、好ましくは、それら固定要素を装置1の残余部分にオーバモールドすることを可能にする貫通孔または他の成形部を備える。
【0091】
そのような追加プラスチック補強手段9の利点は、一部品を単一の工程で製造する利点である。成型によって製造されるそのような追加プラスチック補強手段は、また、鋼材製の類似部品より形状上の欠陥が少ない。最後に、プラスチックの使用は、鋼材製の類似部品に比較して、部品へのあらゆる防食処理を無くすことを可能にする。
【0092】
同様に、追加補強手段9および中空補強要素2は、装置1に追加プラスチック補強手段9および中空補強要素2を配置することによって、トランク扉11がより良好な形状安定性およびより良好な温度耐性を有することを可能にする。
【0093】
トランク扉11は、また、下側部分1bの剛性要素に挿入され、または固定された少なくとも1つの照明装置、少なくとも1つのウインドシールドワイパ装置、または少なくとも1つのロッキング装置を備え得る。
【0094】
本発明は、また、上記のトランク扉構造装置を備える自動車車体に関する。
【0095】
車体は、トランク扉11が閉鎖位置にあるとき、少なくとも1つの中空補強要素2または固定経路71に当接するように配置されたシールを備え得る。
【0096】
本発明は、また、上記のトランク扉構造装置1を備え、上記のトランク扉11または上記の車体を備える車両12に関する。
【0097】
図7に示されるように、車両12は、本発明による装置1、後方窓枠6、および車体外板8を備えるトランク扉11を具備する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7