(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】擬似まつげの適用方法及び化粧方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240322BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20240322BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20240322BHJP
A45D 40/20 20060101ALN20240322BHJP
A45D 34/04 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/10
A61K8/27
A45D40/20 Z
A45D34/04
A45D34/04 535Z
(21)【出願番号】P 2021500566
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(86)【国際出願番号】 FR2019051748
(87)【国際公開番号】W WO2020012133
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-04-07
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302071210
【氏名又は名称】エルヴェエムアッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ド ラ ポテリー、ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】デストレム、オドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ノゲイラ、ローラン
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3214988(JP,U)
【文献】特開平08-053320(JP,A)
【文献】特開2004-224782(JP,A)
【文献】特開2007-014788(JP,A)
【文献】米国特許第03516422(US,A)
【文献】米国特許第3516422(US,A)
【文献】特表2019-530481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
A45D 40/20
A45D 34/04
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、人に疑似まつげを適用するための方法:
人のまぶたに、式Fe
2O
3MO(式中、Mは
Feを表す)のフェライトを
95質量%を超える量で含む磁性粒子の均質な分散液を含有する磁性組成物を適用する工程であって、
該記組成物が、20質量%~35質量%の磁性粒子を含有し、該組成物は、水中の磁性粒子の分散液の形態の液体である、工程;及び
前の工程で堆積された磁性組成物上に、まつげフリンジが接着された磁性基部を含み、該基部が少なくとも1つの磁石を含む、疑似まつげを適用する工程。
【請求項2】
前記磁性粒子のサイズが150ミクロン未
満であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁性粒子が、前記フェライトに加えて、マイカ、水酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1つの他の化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が25%~80%の水及び分散剤を含むことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びそれらの混合物から選択されるポリオールを3~15質量%含有することを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、少なくとも1つのポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレート又はそれらの混合物をさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、磁性粒子に加えて、充填剤及び顔料などの粉末化合物、ならびに少なくとも1つの結合脂肪化合物を含む、成形、キャスト又はプレスされた無水組成物であることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記磁石は厚さが0.1及び2.0mmの間であり、幅が0.5及び6.0mmの間であり、長さが0.5及び6.0mmの間であることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、ペンシル、ボトル又はカップの形態で提供されるアイライナー又はアイシャドーであることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
式Fe
2O
3MO(式中、Mは
Feを表す)のフェライトを95質量%を超えて含む磁性粒子を
20~35質量%含む組成物の、まぶたに仮まつげを固定するための手段としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイライナー又はアイシャドウとして適用することができる磁性組成物が使用される、擬似まつげを適用するための方法に関する。磁性組成物は、磁性粒子を含有し、磁性組成物のまつげを固定するための手段として機能する。また、本発明は磁性組成物を含むメイクアップ製品及び磁性擬似まつげに関し、ここで、該磁性組成物がメイクアップ組成物である。
【背景技術】
【0002】
マスカラの適用が難しいと感じる消費者、及びマスカラで達成できるものよりも、はるかに大きい体積の増加及びまつげの長さを求める消費者は、まつげの縁でまぶたに適用される基部に取り付けられた人工まつげからなる疑似まつげの適用に頼る。
【0003】
天然のまつげのフリンジの外観、特に体積、長さ又は密度を改善するために通常使用される疑似まつげはまた、異なる色効果を得ることを可能にする。擬似まつげを適用する2つの方法が知られている。擬似まつげを適用する2つの方法が知られている。
【0004】
1つの方法は、まぶた及び/又は擬似まつげの基部に接着剤を適用することである。しかしながら、多くの消費者は、それらが引き起こすアレルギーの危険性について知られている接着剤の使用を避けることを好む。
【0005】
他の欠点は、接着剤の使用に関連する。例えば、疑似まつげは、いったん取り除かれると、接着剤の蓄積がそれらの基部上に残るので、再使用することができない。さらに、接着剤を適用することは、依然として、しばしば専門家の介入を必要とする繊細な工程である。疑似まつげがまぶたに間違って装着された場合、位置を変えることは困難である。また、長期にわたるまぶた上の保持とメーキャップを除去するときの除去の容易さとの間の正しいバランスを見つけることは困難である。擬似まつげの固定時間を増加させるには、擬似まつげの取り外しの容易さ、及び擬似まつげの取り外し後にまぶた上に残っている化粧接着剤の除去を損わせることになる。そのため、接着剤の中には、取り除くのが難しく、まつげをはがすときに痛みを感じるため、耐えにくいものもある。
【0006】
擬似まつげを取り付けるための第2の方法は、2つの磁性擬似まつげの磁気吸引力を使用する。反対の極性を有する2つの擬似まつげは、天然のまつげのフリンジの両側に適用され、ユーザが手動でそれらを分離しない限り接触したままである。それにもかかわらず、この適用方法には欠点がある。まつげの同じ縁に2本の疑似まつげが存在すると、まぶたが圧迫される。これは使用者の快適さに悪影響を及ぼし、メイクアップの結果は常に美的であるとは限らない。さらに、2つの疑似まつげの調節は、それぞれの疑似まつげの基部上の磁石の相対的位置に依存する:逆極性の2つの磁石が適用時に完全に整列していない場合、結果は最適ではない。
【0007】
したがって、適用するのがより容易かつ迅速に達成され、除去するのがより容易かつ迅速であり、美的に心地よく、かつ疑似まつげを数回再使用することを可能にする、疑似まつげ及び目のメイクアップを適用するための方法を有する必要性が残っている。メイクアップ結果が自然であり、擬似まつげがまぶたの形状に一致することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は特に、これらの必要性に対処し、以下の工程を含む、人に疑似まつげを適用するための方法に関する。
人のまぶたに、磁性粒子の均質な分散液を含む磁性組成物を適用する工程;及び
前の工程で堆積された磁性組成物上に、磁性基部及びまつげフリンジを含む疑似まつげを適用する工程。
【0009】
磁性組成物は、アイライナー又はアイシャドウであり得る。それは、まつげの根元付近のまぶたの少なくとも一部に適用され、非粘着性フィルムを形成し、その上に疑似まつげの磁性基部が適用される。
【0010】
本発明はまた、磁性粒子を含む少なくとも1つの組成物と、磁性基部を有する少なくとも1対の擬似まつげとを含むまつげメイクアップ製品に関する。最後に、本発明は20~99質量%の磁性粒子を含有し、その粒子サイズが150ミクロン未満である磁性メークアップ組成物に関する。
【0011】
本発明の方法は、好ましくはマトリックス中に均質に分布した微細な磁性粒子を含有する組成物を使用して、まつげの縁部でまぶた上に磁性擬似まつげを固定する。このマトリックスは例えば、ポリマーマトリックス、粉末のマトリックス、又はワックス及び油からなるマトリックスであり得る。
【0012】
本発明の方法は、接着剤の利用と、利用者の自然なまつげのフリンジの両側への2つの疑似まつげのフリンジの適用との両方を回避する。
【0013】
本発明の方法は、従来のメイクアップリムーバを使用して、まぶたからの疑似まつげの容易な取り外し、及び組成物の迅速な除去を可能にする。疑似まつげは一日中、所定の位置に留まることができ、落下した場合には容易に位置を変えたり、所定の位置に戻したりすることができる。本発明の方法はまた、使用者が磁性組成物がまぶた上の適所に残っている限り、疑似まつげを容易に除去し、再適用することを可能にする。アイライナー又はアイシャドウであり得る組成物は粘着性ではない。目瞼上に残された組成物フィルムは均質で薄い。最後に、本発明の方法は専門家を使用する必要なしに、非常に自然なものから非常に洗練されたものまでの広範囲のメーキャップ効果への非常に容易なアクセスを可能にする。擬似まつげは、ユーザのまぶたの形状に従ってカスタマイズすることができ、ユーザが望む回数だけ再使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の工程を含む、人に擬似まつげを適用する方法に関する:
磁性粒子の均一分散体を含む磁性組成物を目瞼に適用する工程であって、該磁性粒子は、式Fe2O3、MO(式中、MはFe、Ba、Sr、Mn、又はZnを表す)のフェライトを含む、工程;及び
前の工程で堆積された組成物上に、まつげのフリンジが付着された磁性基部を含み、該基部が少なくとも1つの磁石を含む疑似まつげを適用する工程。
磁性粒子を含有する組成物は、アイライナー又はアイシャドーの形態であり得る。
【0015】
本発明は磁性粒子を含有する組成物を、少なくともまつげの根元に適用して、その後、磁性擬似まつげをそれに付着させることを含み、まつげは、磁性粒子との引力のために適所に残る。
【0016】
第1の変形例によれば、疑似まつげの長さは、人の目の長さに実質的に等しくてもよく、まつげの根元の全長にわたってまぶたに適用されてもよい。この場合、組成物は、まつげの根元に線の形態で堆積されたアイライナー、又はまつげの根元に沿って、及びまぶたの少なくとも1つの他の部分に堆積されたアイシャドウであり得る。この変形例では、1つの磁性擬似まつげのみが目に適用される。第2の変形例によれば、疑似まつげの長さは、まぶたの長さよりも短い。この場合、疑似まつげの1つ以上の部分をまつげの根元でまぶた上に固定することができるが、疑似まつげ部分はすべて、自然なまつげのフリンジと同じ側に位置する。
【0017】
(磁性粒子)
好ましい磁性粒子のサイズは、150ミクロン未満、好ましくは100ミクロン未満、より好ましくは60ミクロン未満である。用語「サイズ」は、本発明の意味の範囲内で、平均粒径、D50、D90、D95、D100、又は当業者に公知の任意の他の定義であると理解される。また、その大きさは、磁性組成物に含まれる磁性粒子のうちの一つの最大寸法とすることができる。粒子のサイズは、当業者に知られている任意の顕微鏡法、例えばレーザー顕微鏡法を用いて測定することができる。一実施形態では、磁性粒子が0.05~0.3ミクロンのD50値、及び/又は5ミクロン未満のD90値によって特徴付けることができる。
【0018】
磁性粒子は式Fe2O3、MOのフェライトを含み、式中、Mは、Fe、Ba、Sr、Mn又はZnを表す。それらは、フェライトに加えて、例えば、マイカ、水酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1つの他の鉱物化合物を含むことができる。磁性粒子は好ましくは90質量%を超えるフェライトを含み、このフェライトは鉱物コーティング、例えば、上記の化合物の1つを含む鉱物コーティングでコーティングされ得る。
【0019】
あるいは、磁性粒子がフェライトでコーティングされた鉱物支持体、例えば、上記の化合物の1つを含む鉱物支持体を含むことができる。特定の実施形態において、MはFeを表し、フェライトは式Fe3O4の酸化鉄である。この実施形態では、磁性粒子がINCI指定CI 77499又は鉄酸化物を有することができる。
【0020】
磁性粒子は以下から選択することができる:
-シリカでコーティングされたFe3O4を含む粒子;
-D50値が1~2ミクロンの範囲の八角形のFe3O4を含む粒子;
-Fe3O4及び痕跡量の他の無機酸化物を含む粒子であって、0.10~0.20ミクロンのオーダーのD50値を有する粒子;
-例えば、100ミクロン未満のD80値を有する磁性粒子;及び雲母担体及びFe3O4のコーティングを含む粒子であって、粒子が10及び60ミクロンの間である粒子。磁性粒子は、着色されていても、されていなくてもよい。
【0021】
磁性組成物は、式Fe2O3、MOのフェライトを95質量%を超えて含む磁性粒子を20質量%から99質量%まで含むことができる(ここで、MはFe、Ba、Sr、Mn又はZnを表す)。組成物は例えば、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、99%、95%から選択される値より大きく、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、及び25%から選択される値より小さい量の磁性粒子を含み、パーセンテージが組成物の質量に対して質量%で表される。
【0022】
(ガレニックス)
組成物は、異なるガレニック形態を有することができる。これは、例えば、水性分散液、無水分散液、油中水型エマルジョン又は水中油型エマルジョンの形態であり得る。したがって、磁性粒子は、液体又は固体脂肪相、又は水相に分散させることができる。磁性組成物は任意のコンシステンシー、例えば、流体、ペースト状又は固体を有することができる。
【0023】
第1の実施形態によれば、組成物は、水中の磁性粒子の分散液の形態の液体である。
【0024】
第2の実施形態によれば、組成物は、例えばロッドを熱間鋳造することによって得られるワックスを含有する無水固体組成物である。
【0025】
第3の実施形態によれば、組成物は、磁性粒子の存在下で脂肪結合剤で圧縮された充填剤を含む粉末無水固体組成物である。
【0026】
好ましくは組成物が磁性組成物と磁性擬似まつげとの間の引力を減少させ得る過剰の油を含む無水組成物でない。
【0027】
磁性組成物は、適用前の包装において、着色されているか、又は無色であるように使用者に見せることができる。目瞼上の磁性組成物の沈着物は、着色しているか、又は無色であるように見えることができる。
【0028】
組成物が流体である場合、20℃又は25℃の周囲温度で測定されるその粘度は、3,000~12,000 cPsであり得る。この粘度はRheoplusソフトウェアを備えたRheolab QC粘度計(Anton Paar)を用いて、適切なスピンドル及び測定時間(例えば、4羽根スピンドルST22-4V、100rpm、3分間)を用いて測定することができる。測定の前に、本発明の組成物を120mlのジャーに入れた。
【0029】
スピンドルの正しい選択は、6秒ごとに行われる測定値の偏差のパーセンテージを測定することで確認される。組成物の粘度の値はこのプロトコールによれば、上記の測定時間中に装置によって行われた最後の15回の測定の平均に等しい。
【0030】
1つの変形例によれば、磁性組成物は、水中の磁性粒子の分散液の形態の流体であってもよい。特定の流体組成物は、5質量%未満の油を含有する水性分散液である。水性分散液の主成分は、好ましくは水である。組成物は25%~80%の水、及び任意に、組成物の均一性及び安定性を確実にするのに十分な量で前記磁性粒子を分散させるための薬剤を含むことができる。また、3~15質量%のグリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びそれらの混合物から選択されるポリオールを含むことができる。最後に、組成物は水に可溶性であるか、又は分散している少なくとも1つのポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアクリレート又はそれらの混合物をさらに含むことができる。特定の実施形態では、組成物が0.2質量%~0.6質量%のゲル化ポリマー、5質量%~20質量%のフィルム形成ポリマー、20質量%~55質量%の磁性粒子、3質量%~15質量%の少なくとも1つのポリオール、及び25質量%~70質量%の水を含有する黒色液体アイライナーである。ゲル化ポリマーはフィルム形成特性を有することができ、フィルム形成ポリマーはゲル化特性を有することができる。
【0031】
別の変形例によれば、磁性組成物は、磁性粒子に加えて、充填剤又は顔料などの粉末化合物を含む、成形、キャスト又はプレスされた無水組成物である。この場合、組成物は、磁性粒子と粉末との混合物に凝集力を与える少なくとも1つの結合脂肪化合物を含有することができる。結合脂肪化合物は、油状、ペースト状、又はワックス状のコンシステンシーであり得る。当業者は所望のテクスチャーに従って、脂肪化合物の種類を選択し、その量を適合させる方法を理解できる。
【0032】
顔料は、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム、第二鉄ブルー(フェリックブルー)、カーボンブラック、ラッカー(二酸化チタン支持体上にグラフトされた水溶性染料から作製される)、及び真珠層(マイカ及び/又は酸化チタン支持体を含む)から選択され得る。
【0033】
充填剤は特に、タルク、マイカ、カオリン、8~22個の炭素原子を含有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、シリカ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、架橋又は非架橋デンプン、合成ポリマー粉末、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート(ポリ(メタ)アシレート)、ポリウレタン、ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、例えばシルセスキオキサン、又はテトラフルオロエチレンの粉末から選択することができる。
【0034】
本発明の磁性組成物は、磁性粒子、充填剤及び顔料を含む圧縮粉末の形態である。磁性粒子含有量、充填剤含有量及び顔料含有量の合計は、組成物の質量の50~99質量%、例えば70~90質量%であることが好ましい。プレスされた粉末は、5~30質量%の結合脂肪化合物を含有することもできる。
【0035】
磁性粒子を含有する組成物は、アイライナー又はアイシャドウとして販売することができる。これは、鉛筆の形態、瓶の形態、又はカップの形態で提供することができる。その機能は、磁性擬似まつげを取り付け、任意選択でまぶたを着色することである。
【0036】
磁性組成物はまつげの根元にかなり厚い、連続した、又は不連続な線を引くことによって、アイライナーとして適用することができる。アイライナー組成物は、組成物を含むパッケージに取り付けられた、ブラシ、パッド、又はフェルトチップで適用することができる。磁性組成物はアイシャドウとして、まぶたの少なくとも一部に、及びまつげの根の少なくとも一部に適用することができる。
【0037】
したがって、組成物は、アイシャドウ、アイライナー又はコールであってもよく、スティック、クリーム、粉末、ゲル又はより流動的な液体の形態であってもよい。
【0038】
液体組成物は、ブラシ、フロック加工されたアプリケータ、又はパッドを用いて適用することができる。それは、フェルトペンのリザーバ又はボトルに詰めることができる。固体組成物は、スポンジ又はブラシで適用される粉末であり得る。それはまた、スティックと一体化された鉛筆リードの形態であってもよく、又は格納可能な機構を有する機械的鉛筆内に収容されてもよい。
【0039】
(磁性まつげ)
疑似まつげは、磁性基部と磁性粒子との間の引力のために、堆積した組成物上に把持される。
【0040】
疑似まつげの磁性基部は、単一の磁石又は少なくとも2つの磁石を含む。したがって、擬似まつげは、1つ又は複数の磁石を含み、その基部上の数、サイズ(特に長さ)、及び配置は、擬似まつげの形状(湾曲の程度、重量、長さ)に応じて当業者によって適合される。
【0041】
第1の変形例によれば、擬似まつげの基部は、その長さが基部の長さに等しい単一の磁石を含む。擬似まつげが短い場合、それは、基部の長さよりも短く、好ましくはその中心に位置する1つの磁石のみを含んでもよい。
【0042】
第2の変形例によれば、基部は満足のいく接着を得るために、基部上に規則的な間隔で離間された複数の磁石を含む。基部は、その端部の各々に配置された2つの磁石を備えることができる。
【0043】
第3の変形例によれば、擬似まつげの基部は、まつげがその周りに巻かれる磁石で構成される。
【0044】
擬似まつげのまつげは、天然材料又は合成材料とすることができる。疑似まつげの基部は、その長さが人のまぶたの長さに等しくなるように選択又は切断することができる。疑似まつげの基部はまぶたの長さよりもはるかに小さくすることもでき、この場合、それは疑似まつげの一部に関連する。擬似まつげの部分は、ハーフフリンジ又は個々のまつげであり得る。したがって、組成物はまつげの根元の全長にわたって適用することができ、又はまつげの根元の一部のみに適用することができる。
【0045】
疑似まつげ部分は例えば、自然フリンジの特定の領域に色効果を加えることができ、又は特定の領域上の人のまつげの密度を増加させることができる。この場合、擬似まつげの1つ以上の部分を、自然なまつげのフリンジの同じ側に固定することができる。擬似まつげは、外観を向上させ、目を開き、まつげの密度を増大させ、まつげを長くし、又はまつげを着色することができる。
【0046】
本発明の特定の実施形態では、擬似まつげの磁性基部がその最大寸法が0.1及び6mmの間である少なくとも1つの磁石を含む。磁性基部が複数の磁石を含む場合、それらは同一の寸法であってもよく、又は異なる寸法を有していてもよい。
【0047】
1つ又は複数の磁石(複数の磁石がある場合)は形状が実質的に平行六面体であり、厚さが0.1とび0.5mmとの間であることができ、又は実質的に円筒形であり、直径が0.1と1mmとの間であるワイヤなどの形状であり得る。
【0048】
一実施形態によれば、磁石又は磁石は、互いに独立して、厚さ0.1と2.0mmとの間、幅0.5と6.0mmとの間、長さ0.5と6.0mmとの間である。磁石は好ましくは0.1と0.5mmとの間の厚さであり;好ましくは0.5と1.5mmとの間の幅であり、好ましくは1と4mmとの間の長さである。
【0049】
磁石又は複数の磁石は、互いに独立して、ネオジム、鋼、マグネタイト、フェライト、アルミニウムニッケルコバルト合金、サリウムコバルト合金又はヘマタイトから選択される材料で構成することができる。磁石又は磁石は互いに独立して、磁場を放出し、その強度は例えば、500ガウスから2,500ガウスの間である。磁性基部が複数の磁石を含む場合、一組の磁石によって生成される総磁力は、1,500ガウス以上2,500ガウス以下であることが好ましい。
【0050】
特定の実施形態によれば、擬似まつげの基部は2つの磁石を備え、磁石の各々は基部の端部の一方に配置される。
【0051】
別の実施形態によれば、擬似まつげの基部は少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの磁石を含み、そのうちの2つが基部の端部に配置される。基部の端部に配置された磁石(「外部」磁石)の長さは、好ましくは他の磁石(「内部」磁石)の長さ以上である。外部磁石及び内部磁石の組は奇数であってもよく、外部磁石は同一であり、内部磁石は交互に、外部磁石のものよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する磁石、及び外部磁石のものと同一の少なくとも1つの寸法を有する磁石を備えることができる。
【0052】
外部磁石は好ましくは厚さ0.3と0.5mmとの間、幅0.5と1.5mmとの間、長さ2と4mmとの間であり、一方、内部磁石は存在する場合、外部磁石よりも薄く、好ましくは0.1と0.3mmとの間である。内部磁石の長さは、外部磁石の長さ以下とすることができる。内部磁石は、必ずしも全てが同じ寸法を有するとは限らない。当業者であれば、ライナーの組成に従ってライナー上の擬似まつげの接着特性を調節するために、基部上の磁石の寸法、数、及び配置を適宜調節することができる。
【0053】
別の実施形態によれば、擬似まつげは、その長さが擬似まつげの基部の長さに等しい単一の磁石を備える。疑似まつげは、長さ、色及び/又は厚さに関して同一又は異なり得る合成繊維又は天然まつげのフリンジを含むことができる。疑似まつげは、フリンジの性質に応じて、異なるメイクアップ結果を提供することができる。例えば、擬似まつげ線維又はまつげの材料、形状、密度、色、長さ、及び曲げは、自然な、濃密な、長い、湾曲した、黒い、着色した、又は真珠層効果を作り出すために多様であり得る。繊維のいくつかは、羽毛状又はラインストーンをつけていてもよい。
【0054】
フリンジの長さは、所望の効果に応じて変えることができる。擬似まつげは、人の目の長さ及び形状に適合するようにカスタマイズすることができる。
【0055】
一実施形態では本発明の方法が2つの適用工程の前に、ユーザによって、複数の疑似まつげを含むセットから疑似まつげを選択する工程と、ユーザによって、複数の異なる磁性組成物のセットから磁性組成物を選択する工程とを含むことができ、選択はユーザの目の形状によって、及びユーザによって求められるメーキャップ効果について知らされ、組成物のセットの前記磁性組成物は、上述の磁性組成物のうちの1つに従って互いに独立しており、疑似まつげのセットの前記疑似まつげは前述の疑似まつげのうちの1つに従って互いに独立している。
【0056】
この実施形態の文脈において、擬似まつげのセットは、同じパッケージで販売するために提供され得、組成物のセットはまた、同じパッケージで販売するために提供され得る。別の変形例では、少なくとも2つの疑似まつげと少なくとも1つの組成物とを含む製品を、同じパッケージで販売するために提供することができる。この場合、製品は、少なくとも1つのアイライナー及び少なくとも1つのアイシャドウを含む少なくとも2つの組成物を含むことができる。
【0057】
彼らの選択についてより良く知らせるために、ユーザは、販売時点又は家庭で、所与の疑似まつげ及び所与の組成物で得られた美的結果のデジタルシミュレーションを実行することができる。このシミュレーションは、画像又は図面のバンクから得ることができる。ユーザはまた、拡張現実アプリケーションを使用し、自分の写真のうちの1つからの結果をシミュレートすることができる。
【0058】
したがって、本発明はまた、式Fe2O3、MO(式中、MはFe、Ba、Sr、Mn又はZnを表す)の磁性粒子の均一分散物を含む少なくとも1つの磁性組成物と、まつげのフリンジが付着された磁性基部を含む少なくとも2つの擬似まつげとを含み、前記基部が少なくとも1つの磁石を含む、アイメークアップ製品に関する。
【0059】
本発明のメイクアップ方法に関連して上述した磁性組成物及び疑似まつげに関する特徴は、本発明のメイクアップ製品に適用される。本発明はまた、式Fe2O3、MO(式中、MはFe、Ba、Sr、Mn又はZnを表す)のフェライトを95質量%を超えて含む磁性粒子を20質量%~99質量%含有する瞼化粧組成物に関する。
【0060】
本発明のメイクアップ方法を特徴付けるために記載された特徴は、適宜、本発明の組成物に適用することができる。
【0061】
最後に、20~99質量%、好ましくは25~35質量%の磁性粒子を含み、前記磁性粒子は95質量%を超える式Fe2O3、MO(式中、MはFe、Ba、Sr、Mn又はZnを表す)のフェライトを含む組成物を、まぶたに擬似まつげを固定するための手段として使用することに関する。
【0062】
また、本発明は、上述したような擬似まつげを適用するための方法を実施するアイメイクアップ方法にも関する。アイメイクアップ方法は上述の少なくとも1つの磁性組成物の使用を含むことができるが、追加のメイクアップ製品の使用も含むことができる。特に、磁性組成物単独で目の外観を変化させる視覚効果を提供する場合、本発明の疑似まつげ適用方法自体は、目のメイクアップ方法であり得る。本発明は、以下の実施形態によってさらに説明される。
【実施例】
【0063】
(実施例1~7)
ブラックアイライナーを調製した。それらの組成を以下の表1に示す。パーセンテージは質量による。
【0064】
【表1】
組成物はすべて安定であり、20℃で24時間均一であった。粘度の値を以下の表2に列挙するが、粘度の測定方法は上記の記載と同じである。ボランティアは、これらのアイライナーのそれぞれを、目の上まつげの根元にブラシを用いて適用することによって、連続的に評価した。彼らは、それを乾燥させ、次いで、スピッター&ヘルムルUGによって販売されているMagnetic Eyelashes CLICK LASH-Natural Look(登録商標)false eyelash(SPITZER&HELMLEUG製)をアイライナー堆積物上に適用した。これらの評価結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
フィルムの厚さ:
+ 薄い
+ + 中等度の厚さ
+ + + 厚い
まぶたへの疑似まつげの接着:
+ 弱い
+ + 平均
+ + + 強い
【0066】
(実施例8~10)
本発明者らは液体アイライナーの3つの組成物を調製し、これらの組成物を用いて磁性疑似まつげの挙動を評価することによって、実施例1~7の研究に匹敵する第2の研究を行った。使用した磁性擬似まつげは、実施例1~7で使用したものと同一であり、すなわち、SPITZER & HELMLE UGにより販売されているMagnetic Eyelashes CLIC LASH-Natural look(登録商標)(force 1620 Gauss)まつげである。粘度の測定方法は、上記説明と同様である。アイライナーの組成及び得られた結果を表3に示す。パーセンテージは質量による。
【0067】