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特許7458366固形ろう付け材の塗布方法、塗布物の製造方法、塗布装置、および、ロール形状の固形ろう付け材
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  • 特許-固形ろう付け材の塗布方法、塗布物の製造方法、塗布装置、および、ロール形状の固形ろう付け材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】固形ろう付け材の塗布方法、塗布物の製造方法、塗布装置、および、ロール形状の固形ろう付け材
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/06 20060101AFI20240322BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240322BHJP
   B23K 35/363 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
B23K3/06 Z
B23K1/00 A
B23K3/06 S
B23K35/363 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021502193
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2020007075
(87)【国際公開番号】W WO2020171207
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2019030606
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】312016056
【氏名又は名称】ハリマ化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】森家 智嗣
(72)【発明者】
【氏名】田鶴 葵
(72)【発明者】
【氏名】木賀 大悟
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-116499(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235906(WO,A1)
【文献】特開2010-225749(JP,A)
【文献】特開2016-221421(JP,A)
【文献】特開2008-306068(JP,A)
【文献】特開2013-185877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/06
B23K 1/00
B23K 35/363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の固形ろう付け材を回転させながら、搬送される被塗布物に接触させることで、前記固形ろう付け材を、前記被塗布物に塗布し、
前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、前記固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、逆方向であるか、または、
前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、前記固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、同一方向であり、
前記固形ろう付け材の周速度の前記被塗布物の搬送速度に対する速度比(固形ろう付け材の周速度/被塗布物の搬送速度)が、前記同一方向の場合は、1未満または1を超過することを特徴とする、固形ろう付け材の塗布方法。
【請求項2】
前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、前記固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、同一方向であり、かつ、上記速度比が、下記式(1)を満足するか、または、
前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、逆方向であり、かつ、上記速度比が、下記式(2)を満足することを特徴とする、請求項に記載の固形ろう付け材の塗布方法。
速度比=(塗布量/A)+1 (1)
速度比=(塗布量/A)-1 (2)
(式中、Aは、0<A≦70を満たす。なお、Aおよび塗布量の単位は、g/mである。)
【請求項3】
前記速度比の変化率が30%以下であることを特徴とする、請求項に記載の固形ろう付け材の塗布方法。
【請求項4】
前記固形ろう付け材の減少に応じて、前記固形ろう付け材の回転数を上げる、および/または、前記被塗布物の搬送速度を下げることを特徴とする、請求項1に記載の固形ろう付け材の塗布方法。
【請求項5】
複数の前記固形ろう付け材を配置し、複数の前記固形ろう付け材の全部または一部を回転させながら、搬送される被塗布物に接触させることで、前記固形ろう付け材を、前記被塗布物に塗布することを特徴とする、請求項1に記載の固形ろう付け材の塗布方法。
【請求項6】
請求項1に記載の固形ろう付け材の塗布方法を備えることを特徴とする、塗布物の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の固形ろう付け材の塗布方法において用いられ、
ロール状の固形ろう付け材を回転させる回転ユニットと、
長尺の被塗布物を搬送する搬送ユニットとを備えることを特徴とする、塗布装置。
【請求項8】
前記固形ろう付け材の周速度の前記被塗布物の搬送速度に対する速度比(固形ろう付け材の周速度/被塗布物の搬送速度)が所定の範囲となるように、前記回転ユニットおよび/または前記搬送ユニットを制御する制御ユニットを備えることを特徴とする、請求項に記載の塗布装置。
【請求項9】
さらに、前記固形ろう付け材の周速度を検知する周速度検知ユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記周速度検知ユニットによって検知される前記固形ろう付け材の周速度に基づいて、前記速度比を制御することを特徴とする、請求項に記載の塗布装置。
【請求項10】
さらに、前記固形ろう付け材の厚みを検知する第1厚み検知ユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記第1厚み検知ユニットによって検知される前記固形ろう付け材の厚みに基づいて、前記速度比を制御することを特徴とする、請求項に記載の塗布装置。
【請求項11】
さらに、前記固形ろう付け材の厚みを検知する第2厚み検知ユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記第2厚み検知ユニットの検知に基づいて、前記固形ろう付け材の厚みが、所定の厚みとなったことを通知するか、および/または、前記固形ろう付け材の回転および/または前記被塗布物の搬送を停止させることを特徴とする、請求項に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記被塗布物に対して、前記固形ろう付け材を押圧する押圧ユニットと、
前記被塗布物に対する押圧力を検知する押圧力検知ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、前記押圧力検知ユニットにより検知された押圧力に基づいて、前記被塗布物に対して、前記固形ろう付け材を一定の押圧力で押圧できるように、押圧力を制御することを特徴とする、請求項に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記制御ユニットが、前記押圧力の変化率を30%以下に制御することを特徴とする、請求項12に記載の塗布装置。
【請求項14】
さらに、前記固形ろう付け材の塗布量を検知する塗布量検知手段を備えることを特徴とする、請求項に記載の塗布装置。
【請求項15】
請求項1に記載の固形ろう付け材の塗布方法において用いられることを特徴とする、ロール形状の固形ろう付け材。
【請求項16】
請求項に記載の塗布装置において、前記回転ユニットにセットされることを特徴とする、ロール形状の固形ろう付け材。
【請求項17】
アタッチメント部材と、
前記アタッチメント部材の周りに配置される固形ろう付け材とを備えることを特徴とする、請求項16に記載のロール形状の固形ろう付け材。
【請求項18】
前記アタッチメント部材が、摩擦式締結機構を有することを特徴とする、請求項17に記載のロール形状の固形ろう付け材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形ろう付け材の塗布方法、塗布物の製造方法、塗布装置、および、ロール形状の固形ろう付け材に関し、詳しくは、固形ろう付け材の塗布方法、その固形ろう付け材の塗布方法を備える塗布物の製造方法、固形ろう付け材を塗布するための塗布装置、および、その塗布方法または塗布装置に用いられるロール形状の固形ろう付け材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属部材をろう付けする場合において、ろう付けされる金属部材の酸化物を除去するために、ろう付け部位に、フラックスを塗布することが知られている。
【0003】
通常、フラックスは液状の組成物として用いるため、フラックスを溶接部位に塗布すると、フラックスが流動する場合がある。そのため、フラックスを、固形またはペースト状にすることで、溶接部位に確実に塗布することが検討されている。
【0004】
固形にしたフラックス(固形ろう付け材)を用いた塗布方法として、具体的には、柱形状の固形ろう付け材を、アルミニウム部材の搬送方向途中に配置し、この固形ろう付け材を、搬送されるアルミニウム部材に、一定の押圧力で押圧することにより、固形ろう付け材を、アルミニウム部材に塗布する塗布方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/235906号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、特許文献1の塗布方法によって、アルミニウム部材に、多くの固形ろう付け材を塗布したい場合には、アルミニウム部材に対する固形ろう付け材の接触面積を大きくする必要がある。しかし、固形ろう付け材の接触面積を大きくすると、アルミニウム部材と固形ろう付け材との接触部分において摩擦力が増加し、走行安定性が低下するという不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、接触面積を大きくすることなく、塗布量を多くできる固形ろう付け材の塗布方法、その固形ろう付け材の塗布方法を備える塗布物の製造方法、固形ろう付け材を塗布するための塗布装置、および、その塗布方法または塗布装置に用いられるロール形状の固形ろう付け材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、固形ろう付け材を回転させながら、搬送される被塗布物に接触させることで、前記固形ろう付け材を、前記被塗布物に塗布することを特徴とする、固形ろう付け材の塗布方法である。
【0009】
この固形ろう付け材の塗布方法では、固形ろう付け材を回転させながら、搬送される被塗布物に接触させる。固形ろう付け材が回転する分、固形ろう付け材を多く塗布できるため、被塗布物に対する固形ろう付け材の接触面積が小さくても、塗布量を多くできる。
【0010】
本発明[2]は、前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、前記固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、逆方向であるか、または、前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、前記固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、同一方向であり、前記固形ろう付け材の周速度の前記被塗布物の搬送速度に対する速度比(固形ろう付け材の周速度/被塗布物の搬送速度)が、前記同一方向の場合は、1未満または1を超過する、上記[1]に記載の固形ろう付け材の塗布方法を含んでいる。
【0011】
この固形ろう付け材の塗布方法によれば、固形ろう付け材の回転方向と被塗布物の搬送方向とが、固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、逆方向であるか、または、固形ろう付け材の回転方向と被塗布物の搬送方向とが、固形ろう付け材および被塗布物の接触部分において、同一方向であり、固形ろう付け材の周速度の被塗布物の搬送速度に対する速度比(固形ろう付け材の周速度/被塗布物の搬送速度)が、1未満または1を超過すれば、塗布量を多くできる。
【0012】
本発明[3]は、前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、同一方向であり、かつ、上記速度比が、下記式(1)を満足するか、または、前記固形ろう付け材の回転方向と前記被塗布物の搬送方向とが、固形ろう付け材および前記被塗布物の接触部分において、逆方向であり、かつ、上記速度比が、下記式(2)を満足する、上記[1]または[2]に記載の固形ろう付け材の塗布方法を含んでいる。
速度比=(塗布量/A)+1 (1)
速度比=(塗布量/A)-1 (2)
(式中、Aは、0<A≦70を満たす。なお、Aおよび塗布量の単位は、g/mである。)
この固形ろう付け材の塗布方法によれば、速度比が、上記式(1)または上記式(2)を満足するため、塗布量を確実に多くできる。
【0013】
本発明[4]は、前記速度比の変化率が30%以下である、上記[2]または[3]のいずれか一項に記載の固形ろう付け材の塗布方法を含んでいる。
【0014】
この固形ろう付け材の塗布方法によれば、速度比の変化率が30%以下であるため、安定した塗布量を維持することができる。
【0015】
本発明[5]は、前記固形ろう付け材の減少に応じて、前記固形ろう付け材の回転数を上げる、および/または、前記被塗布物の搬送速度を下げる、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の固形ろう付け材の塗布方法を含んでいる。
【0016】
この固形ろう付け材の塗布方法では、固形ろう付け材を被塗布物に塗布するにつれて、その直径が小さくなる。
【0017】
そして、直径が小さくなると、固形ろう付け材の1回転分の塗布量が少なくなる。つまり、固形ろう付け材の回転数が一定のままだと、固形ろう付け材の減少に応じて、塗布量が変化する。
【0018】
一方、この固形ろう付け材の塗布方法によれば、固形ろう付け材の減少に応じて、固形ろう付け材の周速度を下げることなく、一定に保持するよう調整する(すなわち、回転数を増やす)、および/または、固形ろう付け材の減少に応じて、被塗布物の搬送速度を下げる。これにより、固形ろう付け材の直径が次第に小さくなっても、固形ろう付け材の回転数を増やす、および/または、被塗布物の搬送速度を下げることにより、塗布量を一定にすることができる。その結果、安定した塗布量を維持することができる。
【0019】
本発明[6]は、複数の前記固形ろう付け材を配置し、複数の前記固形ろう付け材の全部または一部を回転させながら、搬送される被塗布物に接触させることで、前記固形ろう付け材を、前記被塗布物に塗布する、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の固形ろう付け材の塗布方法を含んでいる。
【0020】
この固形ろう付け材の塗布方法では、複数の固形ろう付け材の全部または一部を回転させながら、搬送される被塗布物に接触させる。
【0021】
複数の固形ろう付け材が、搬送される被塗布物に接触するため、固形ろう付け材を多く塗布できる。または、固形ろう付け材の塗布量を一定とした場合には、各固形ろう付け材の減少割合を低減できるので、各固形ろう付け材の使用期間を長くすることができる。
【0022】
本発明[7]は、上記[1]~[6]に記載の固形ろう付け材の塗布方法を備える、塗布物の製造方法を含んでいる。
【0023】
この塗布物の製造方法には、上記の固形ろう付け材の塗布方法を備えるため、塗布量のバラツキが少ない塗布物を製造することができる。
【0024】
本発明[8]は、ロール状の固形ろう付け材を回転させる回転ユニットと、長尺の被塗布物を搬送する搬送ユニットとを備える、塗布装置である。
【0025】
この塗布装置によれば、回転ユニットによって、固形ろう付け材を回転させながら、搬送ユニットによって、長尺の被塗布物を搬送する。
【0026】
固形ろう付け材が回転する分、固形ろう付け材を多く塗布できるため、被塗布物に対する固形ろう付け材の接触面積が小さくても、塗布量を多くできる。
【0027】
本発明[9]は、前記固形ろう付け材の周速度の前記被塗布物の搬送速度に対する速度比(固形ろう付け材の周速度/被塗布物の搬送速度)が所定の範囲となるように、前記回転ユニットおよび/または前記搬送ユニットを制御する制御ユニットを備える、上記[8]に記載の塗布装置を含んでいる。
【0028】
この塗布装置によれば、制御ユニットによって、速度比が所定の範囲となるように、回転ユニットおよび/または搬送ユニットを制御する。
【0029】
そのため、この塗布装置によれば、塗布量を多くしつつ、確実に塗布することができる。
【0030】
本発明[10]は、さらに、前記固形ろう付け材の周速度を検知する周速度検知ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記周速度検知ユニットによって検知される前記固形ろう付け材の周速度に基づいて、前記速度比を制御する、上記[9]に記載の塗布装置を含んでいる。
【0031】
この塗布装置によれば、制御ユニットは、周速度検知ユニットによって検知される固形ろう付け材の周速度に基づいて、速度比を制御する。
【0032】
そのため、この塗布装置によれば、所定量の固形ろう付け材を被塗布物に確実に塗布することができる。
【0033】
本発明[11]は、さらに、前記固形ろう付け材の厚みを検知する第1厚み検知ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記第1厚み検知ユニットによって検知される前記固形ろう付け材の厚みに基づいて、前記速度比を制御する、上記[9]または[10]に記載の塗布装置を含んでいる。
【0034】
この塗布装置では、固形ろう付け材を被塗布物に塗布するにつれて、その直径が小さくなる。
【0035】
そして、直径が小さくなると、固形ろう付け材の1回転分の塗布量が少なくなる。つまり、固形ろう付け材の回転数が一定のままだと、固形ろう付け材の減少に応じて、塗布量が変化する。
【0036】
一方、この塗布装置によれば、制御ユニットは、第1厚み検知ユニットによって検知された固形ろう付け材の厚みに基づいて、速度比を制御する。これにより、固形ろう付け材の直径が次第に小さくなっても、固形ろう付け材の回転数を増やすか、および/または、被塗布物の搬送速度を下げることにより、速度比を制御し、塗布量を一定にすることができる。その結果、安定した塗布量を維持することができる。
【0037】
本発明[12]は、さらに、前記固形ろう付け材の厚みを検知する第2厚み検知ユニットを備え、前記制御ユニットは、前記第2厚み検知ユニットの検知に基づいて、前記固形ろう付け材の厚みが、所定の厚みとなったことを通知するか、および/または、前記固形ろう付け材の回転および/または前記被塗布物の搬送を停止させる、上記[9]~[11]のいずれか一項に記載の塗布装置を含んでいる。
【0038】
この塗布装置によれば、制御ユニットは、固形ろう付け材の厚みが、所定の厚みとなったことを通知するか、および/または、固形ろう付け材の回転および/または被塗布物の搬送を停止させる。
【0039】
そのため、この塗布装置によれば、固形ろう付け材がなくなる前に、固形ろう付け材を最適なタイミングで交換できる。
【0040】
本発明[13]は、前記被塗布物に対して、前記固形ろう付け材を押圧する押圧ユニットと、前記被塗布物に対する押圧力を検知する押圧力検知ユニットとを備え、前記制御ユニットは、前記押圧力検知ユニットにより検知された押圧力に基づいて、前記被塗布物に対して、前記固形ろう付け材を一定の押圧力で押圧できるように、押圧力を制御する、上記[9]~[12]のいずれか一項に記載の塗布装置を含んでいる。
【0041】
この塗布装置によれば、制御ユニットは、押圧力検知ユニットによって検知された押圧力に基づいて、被塗布物に対して、固形ろう付け材を一定の押圧力で押圧できるように、押圧力を制御する。
【0042】
そのため、この塗布装置によれば、塗布により、固形ろう付け材の厚みが小さくなっても、固形ろう付け材を、一定圧力で被塗布物に接触させることができ、その結果、固形ろう付け材を、被塗布物に安定に塗布することができる。
【0043】
本発明[14]は、前記制御ユニットが、前記押圧力の変化率を30%以下に制御することを特徴とする、上記[13]に記載の塗布装置を含んでいる。
【0044】
この塗布装置によれば、押圧力の変化率が30%以下であるため、安定した塗布量を維持することができる。
【0045】
本発明[15]は、さらに、前記固形ろう付け材の塗布量を検知する塗布量検知手段を備えることを特徴とする、上記[8]~[14]のいずれか一項に記載の塗布装置を含んでいる。
【0046】
この塗布装置によれば、制御ユニットは、塗布量検知手段によって検知された固形ろう付け材の塗布量に基づいて、速度比および/または被塗布物に対する固形ろう付け材の押圧力を制御することができる。
【0047】
本発明[16]は、上記[1]~[6]に記載の固形ろう付け材の塗布方法において用いられる、ロール形状の固形ろう付け材を含んでいる。
【0048】
このロール形状の固形ろう付け材によれば、ロール形状を有しているため、上記の固形ろう付け材の塗布方法において、好適に用いることができる。
【0049】
本発明[17]は、上記[8]~[15]に記載の塗布装置において、前記回転ユニットにセットされる、ロール形状の固形ろう付け材を含んでいる。
【0050】
このロール形状の固形ろう付け材によれば、回転ユニットにセットされるように、ロール形状を有しているため、上記の塗布装置において、好適に用いることができる。
【0051】
本発明[18]は、アタッチメント部材と、前記アタッチメント部材の周りに配置される固形ろう付け材とを備える、上記[16]または[17]に記載のロール形状の固形ろう付け材を含んでいる。
【0052】
このロール形状の固形ろう付け材によれば、アタッチメント部材を備えるため、塗布により、固形ろう付け材の厚みが小さくなっても、アタッチメント部材近傍まで、固形ろう付け材を使い切ることができる。その結果、歩留まりを向上させることができる。
【0053】
本発明[19]は、前記アタッチメント部材が、摩擦式締結機構を有する、上記[18]に記載のロール形状の固形ろう付け材を含んでいる。
【0054】
このロール形状の固形ろう付け材によれば、固形ろう付け材をアタッチメント部材に確実に固定できるとともに、アタッチメント部材を回転ユニットに確実に固定させることができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の固形ろう付け材の塗布方法では、固形ろう付け材を回転させながら、搬送される被塗布物に接触させるので、被塗布物に対する固形ろう付け材の接触面積が小さくても、塗布量を多くできる。
【0056】
本発明の塗布物の製造方法には、本発明の固形ろう付け材の塗布方法を備えるため、塗布量が多い塗布物を製造することができる。
【0057】
本発明の塗布装置によれば、回転ユニットによって、固形ろう付け材を回転させながら、搬送ユニットによって、長尺の被塗布物を搬送する。そして、この固形ろう付け材を被塗布物に接触させるので、被塗布物に対する固形ろう付け材の接触面積が小さくても、塗布量を多くできる。
【0058】
本発明のロール形状の固形ろう付け材によれば、ロール形状を有しているため、本発明の塗布装置および塗布方法において、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、本発明の塗布装置の第1実施形態の概略構成図を示す。
図2図2は、第1実施形態におけるロール状の固形ろう付け材の概略構成図を示す。
図3図3は、第1実施形態における回転ユニットの概略構成図を示す。
図4図4は、本発明の塗布装置の第2実施形態の概略構成図を示す。
図5図5は、第2実施形態におけるロール状の固形ろう付け材の概略構成図を示す。
図6図6は、第2実施形態における回転ユニットの概略構成図を示し、図6Aは、正面図を示し、図6Bは、断面図を示す。
図7図7は、アタッチメント部材が、ハブ部材である場合におけるロール状の固形ろう付け材の概略構成図を示し、、図7Aは、断面図を示し、図7Bは、正面図を示す。
図8図8は、アタッチメント部材が、ハブ部材である場合における回転ユニットの概略構成図を示す。
図9図9は、第1実施形態において、複数の押圧ユニットを配置した場合の塗布装置の概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
1.第1実施形態
図1において、塗布装置1Aは、被塗布物としてのアルミニウム板材3に、ロール状の固形ろう付け材2Aを連続的に塗布するために設備されている。
【0061】
アルミニウム板材3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。
【0062】
アルミニウム板材3は、数千メートルの長さ、5mm以上200mm以下の幅を有する帯状の長尺板材である。
【0063】
アルミニウム板材3は、詳しくは詳述するように、搬送ユニット60A(後述)によって支持されており、所定の方向に連続的に搬送される。
【0064】
ロール状の固形ろう付け材2A(以下、ロール状ろう付け材2Aとする。)は、図2に示すように、アタッチメント部材としての回転軸6と、回転軸6の周りに配置される固形ろう付け材7とを備える。
【0065】
回転軸6は、円柱形状を有している。
【0066】
固形ろう付け材7は、アルミニウムまたはアルミニウム合金をろう付けするための、固形のろう付け材である。具体的には、固形ろう付け材7は、例えば、フッ化物系フラックスと、ワックスとを含む。
【0067】
フッ化物系フラックスとしては、例えば、Cs-Al-F系フラックス、K-Al-F系フラックス、K-Zn-F系フラックスなどが挙げられる。
【0068】
ワックスは、固形ろう付け材7の保形性を向上させるための成分であって、例えば、合成ワックス、天然ワックスなどが挙げられる。
【0069】
また、固形ろう付け材7は、必要により、有機粘度低下剤および/または塗膜均質補助剤を含む。
【0070】
有機粘度低下剤は、例えば、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤などの界面活性剤、例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、油脂類などの有機溶剤が挙げられる。
【0071】
塗膜均質補助剤は、固形ろう付け材7を崩れやすくすることで、塗膜の均一性(均質性)を向上させる成分である。
【0072】
塗膜均質補助剤としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数10以上のモノカルボン酸、例えば、デカン二酸、ドデカン二酸などの炭素数10以上のジカルボン酸およびこれらの無水物などの高炭素カルボン酸-低炭素アルコールエステル、例えば、水添フタル酸ステアリル、水添フタル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどの低炭素カルボン酸-高炭素アルコールエステル、例えば、ステアリルアルデヒドメチルエチルジエチルエーテルアクリレート=アセタール、ステアリルアルデヒドメチルエチルジエチルエーテルメタクリレート=アセタールなどの炭素数10~30のアセタール類などの高炭素アセタールなどが挙げられる。
【0073】
固形ろう付け材7は、上記した各成分(フッ化物系フラックス、ワックス、必要により配合される有機粘度低下剤、必要により配合される塗膜均質補助剤)を混合し、中空のロール形状の型に流し入れて冷却することにより、得ることができる。このようにして得られる固形ろう付け材7は、ワックスによって所望の形状に保形されており、好ましくは、固形ろう付け材7は、常温(25℃)において固形である。
【0074】
このような固形ろう付け材7は、ワックス様(クレヨン様)を呈する。
【0075】
なお、固形ろう付け材7としては、特に限定されず、国際公開第2018/235906号パンフレットに記載された固形ろう付け材の処方を中空のロール形状の型に流し入れて冷却することにより、固形ろう付け材を得ることもできる。
【0076】
そして、ロール形状の型の中心部分に回転軸6をセットした状態で、上記した各成分をその型に流し入れて冷却することにより、ロール状ろう付け材2Aを得ることができる。
【0077】
以下において、ロール状ろう付け材2Aをアルミニウム板材3に塗布するための塗布装置1Aについて、詳述する。
【0078】
塗布装置1Aは、搬送ユニットとしての搬送ユニット60Aと、塗布ユニット70Aと、制御ユニットとしての制御部80Aとを備える。
【0079】
搬送ユニット60Aは、送出ユニット61Aと、巻取ユニット62Aとを備える。
【0080】
送出ユニット61Aおよび巻取ユニット62Aは、塗布ユニット70Aを間に挟んで、水平方向に互いに所定間隔を隔てて配置されている。
【0081】
送出ユニット61Aは、塗布ユニット70Aに対して、搬送方向上流側に配置されている。
【0082】
送出ユニット61Aは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、送出ローラー10Aと、第1ガイドローラー11Aaとを備え、また、送出ユニット61Aは、送出モータ18と、第1周速度センサー17とを備える。
【0083】
送出ローラー10Aは、アルミニウム板材3を保持するとともに、アルミニウム板材3を送り出すローラーであって、アルミニウム板材3の搬送方向の最上流に配置されている。送出ローラー10Aには、長尺のアルミニウム板材3が巻回されており、送出ローラー10Aが回転することにより、アルミニウム板材3を搬送方向上流側から搬送方向下流側に送り出し可能としている。
【0084】
送出ローラー10Aには、送出モータ18が接続されている。
【0085】
送出モータ18は、公知のモータであり、送出モータ18の駆動により、送出ローラー10Aを回転させ、アルミニウム板材3を送り出す。
【0086】
また、送出ローラー10Aから送り出されたアルミニウム板材3の上方には、第1周速度センサー17が配置されている。
【0087】
第1周速度センサー17は、レーザードップラー速度計であり、送出ローラー10Aから送り出されたアルミニウム板材3にレーザー光を照射して、そのアルミニウム板材3からの反射光を検出し、照射光と反射光との間に生じる周波数の差から送出ローラー10Aの周速度を検知可能としている。
【0088】
第1ガイドローラー11Aaは、送出ローラー10Aの搬送方向下流側(第1周速度センサー17の搬送方向下流側)に配置されている。
【0089】
第1ガイドローラー11Aaは、送出ローラー10Aから送り出されたアルミニウム板材3を、塗布ユニット70Aへガイドする。
【0090】
巻取ユニット62Aは、塗布ユニット70に対して、搬送方向下流側に配置されている。
【0091】
巻取ユニット62Aは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、第2ガイドローラー11Abと、テンションローラー13Aと、第3ガイドローラー11Acと、第4ガイドローラー11Adと、巻取ローラー14Aとを備え、また、巻取ユニット62Aは、巻取モータ20と第2周速度センサー19とを備える。
【0092】
第2ガイドローラー11Abおよび第3ガイドローラー11Acは、搬送方向において、テンションローラー13Aを挟むように、搬送方向に互いに所定間隔を隔てて配置されている。
【0093】
テンションローラー13Aは、第2ガイドローラー11Abおよび第3ガイドローラー11Acの間において、上下方向に移動可能に配置されている。
【0094】
テンションローラー13Aは、第2ガイドローラー11Abおよび第3ガイドローラー11Acの間で上下方向に移動することにより、搬送されるアルミニウム板材3の引張力を調整可能としている。
【0095】
第4ガイドローラー11Adは、第3ガイドローラー11Acの搬送方向下流側に配置されている。
【0096】
第4ガイドローラー11Adは、第3ガイドローラー11Acから搬送されてくるアルミニウム板材3を巻取ローラー14Aへガイドする。
【0097】
巻取ローラー14Aは、搬送されたアルミニウム板材3を巻取るためのローラーであって、アルミニウム板材3の搬送方向の最下流に配置されている。
【0098】
巻取ローラー14Aには、巻取モータ20が接続されている。
【0099】
巻取モータ20は、公知のモータであり、巻取モータ20の駆動により、巻取ローラー14Aを回転させ、アルミニウム板材3を巻き取る。
【0100】
また、第4ガイドローラー11Adと巻取ローラー14Aとの間において、アルミニウム板材3の上方には、第2周速度センサー19が配置されている。
【0101】
第2周速度センサー19は、レーザードップラー速度計であり、第4ガイドローラー11Adからガイドされたアルミニウム板材3にレーザー光を照射して、そのアルミニウム板材3からの反射光を検出し、照射光と反射光との間に生じる周波数の差から巻取ローラー14Aの周速度を検知可能としている。
【0102】
塗布ユニット70Aは、押圧力受けユニット71と押圧力付与ユニット72Aとを備える。
【0103】
押圧力受けユニット71および押圧力付与ユニット72Aは、搬送ユニット60Aにより搬送されるアルミニウム板材3を間に挟んで、上下方向に互いに所定間隔を隔てて配置されている。
【0104】
押圧力受けユニット71は、アルミニウム板材3の上側に配置され、押圧力付与ユニット72Aと上下方向に対向配置されている。
【0105】
押圧力受けユニット71は、ケーシング24と、エンドレスベルト機構26と、押圧力検知ユニットとしてのロードセル25とを備える。
【0106】
ケーシング24は、その中央部分が、ロール状ろう付け材2Aと上下方向で対向するように、配置されている。
【0107】
ケーシング24は、下側が開口した略ボックス形状に形成されている。
【0108】
エンドレスベルト機構26は、ケーシング24内に収容および支持されている。
【0109】
エンドレスベルト機構26は、1対のエンドレスベルトローラー21と、1対のエンドレスベルトローラー21に巻回されたエンドレスベルト23とを備える。
【0110】
1対のエンドレスベルトローラー21は、互いに間隔を隔てて、ケーシング24内の搬送方向に配置され、ケーシング24に支持されている。
【0111】
エンドレスベルト23は、無端ベルトであり、1対のエンドレスベルトローラー21に巻回されている。
【0112】
1対のエンドレスベルトローラー21は、回転により、エンドレスベルト23をそれらの周りで周回移動させる。
【0113】
ロードセル25は、ケーシング24の上面に配置されている。
【0114】
ロードセル25は、公知の圧力センサーであり、後述する押圧力を検知する。
【0115】
押圧力付与ユニット72Aは、回転ユニット50Aと、支持部73Aと、押圧ユニットとしての押圧部74Aとを備える。
【0116】
回転ユニット50Aは、図3に示すように、ロール状ろう付け材2Aを回転させるための動力源としての塗布用モータ8と、ロール状ろう付け材2Aに塗布用モータ8からの動力を伝達する動力伝達部材としてのジョイント部材52とを備える。
【0117】
塗布用モータ8は、公知のモータであり、塗布用モータ8の駆動により、ロール状ろう付け材2Aを回転させる。
【0118】
ジョイント部材52は、公知のカップリングなどからなり、一端が塗布用モータ8に、他端が回転軸6に接続されている。
【0119】
支持部73Aは、台座部33Aと、ロール状ろう付け材2Aを軸受する1対の軸受部材29と、周速度検知ユニットとしての第3周速度センサー9とを備える。
【0120】
台座部33Aは、上方に開くU字形状を有し、その両端部分において、1対の軸受部材29を支持する。
【0121】
ロール状ろう付け材2Aは、固形ろう付け材7が、1対の軸受部材29の間に位置するように、回転軸6が1対の軸受部材29に軸受けされることにより、支持部73Aに回転可能に支持される。
【0122】
第3周速度センサー9は、固形ろう付け材7の側方に設けられている。
【0123】
第3周速度センサー9は、レーザードップラー速度計であり、固形ろう付け材7にレーザー光を照射して固形ろう付け材7からの反射光を検出し、照射光と反射光との間に生じる周波数の差から固形ろう付け材7の周速度を検知可能としている。
【0124】
押圧部74Aは、図1に示すように、支持アーム35と、支持アーム35を昇降可能に支持する昇降機構36と、昇降モータ37Aと、第1厚み検知ユニットとしての光センサーユニット40と、第2厚み検知ユニットとしてのメカスイッチ41とを備える。
【0125】
支持アーム35は、L字形状を有し、その上端部が台座部33Aと接続され、その下端部が昇降機構36に接続されている。
【0126】
昇降機構36は、シリンダーと、シリンダー内に配置され、上下移動可能なピストン(図示せず)とを備えている。ピストン(図示せず)には、支持アーム35が接続されている。
【0127】
昇降モータ37Aは、昇降機構36のピストン(図示せず)に接続されている。
【0128】
昇降モータ37Aは、公知のモータであり、昇降モータ37Aの駆動により、ピストン(図示せず)を上下移動させ、支持アーム35が上下移動可能となる。これにより、支持部73Aが上下移動可能となる。
【0129】
光センサーユニット40は、昇降機構36(シリンダー内)に設けられている。
【0130】
光センサーユニット40は、上下方向に、等間隔の複数の光センサー40a~40fを備える。
【0131】
各光センサー40a~40fは、支持アーム35を挟んで、互いに対向配置する受光部と発光部とを備えている(図3参照)。
【0132】
そして、各光センサー40a~40fは、支持アーム35によって、遮光されると、OFFになる。
【0133】
そのため、光センサー40a~40fのONとOFFとの数によって、昇降機構36の上下方向における支持アーム35の位置を検知できる。
【0134】
後述するように、制御ユニット42Aは、アルミニウム板材3に対して、固形ろう付け材7を、常に一定の圧力で押圧されるように制御しているので、支持アーム35の上下方向位置が相対的に低いときは、固形ろう付け材7の厚みが厚く、支持アーム35の上下方向位置が相対的に高いときは、固形ろう付け材7の厚みが薄いため、光センサー40a~40fのONとOFFとの数によって、固形ろう付け材7の厚みを検知できる。
【0135】
メカスイッチ41は、昇降機構36(シリンダー内)に設けられており、昇降機構36の上下方向において、固形ろう付け材7を使い切ったときに対応する支持アーム35の高さに配置されている。
【0136】
メカスイッチ41は、公知の圧力スイッチであり、メカスイッチ41と支持アーム35が当接することによりONされる。
【0137】
制御部80Aは、制御ユニット42Aとディスプレイ43とを備えている。
【0138】
制御ユニット42Aは、マイクロコンピューターを備えている。
【0139】
制御ユニット42Aは、第1周速度センサー17、第2周速度センサー19、第3周速度センサー9、ロードセル25、昇降モータ37A、塗布用モータ8、送出モータ18、巻取モータ20、光センサーユニット40、メカスイッチ41に電気的に接続されている。
【0140】
制御ユニット42Aは、第1周速度センサー17によって検知される送出ローラー10Aの周速度に基づいて、送出モータ18の駆動を制御し、アルミニウム板材3の搬送速度を一定速度に制御する。
【0141】
送出ローラー10Aに巻回されたアルミニウム板材3が少なくなるにつれて、送出ローラー10Aの周速度は低下する。送出ローラー10Aの周速度を一定にするために、制御ユニット42Aによって、送出モータ18の駆動が制御されている。
【0142】
制御ユニット42Aは、第2周速度センサー19によって検知される巻取ローラー14Aの周速度に基づいて、巻取モータ20の駆動を制御し、アルミニウム板材3の搬送速度を一定速度に制御する。
【0143】
巻取モータ20に巻回されたアルミニウム板材3が多くなるにつれて、巻取モータ20の周速度は増加する。巻取ローラー14Aの周速度を一定にするために、制御ユニット42Aによって、巻取モータ20の駆動が制御されている。
【0144】
制御ユニット42Aは、第3周速度センサー9によって検知されるロール状ろう付け材2Aの周速度に基づいて、塗布用モータ8の駆動を制御し、ロール状ろう付け材2Aの周速度を一定速度に制御する。
【0145】
制御ユニット42Aは、ロードセル25により検知された押圧力に基づいて、アルミニウム板材3に対して、ロール状ろう付け材2Aを一定の押圧力で押圧できるように昇降モータ37Aを駆動させ、押圧力を制御する。
【0146】
制御ユニット42Aは、光センサーユニット40によって検知される支持アーム35の高さレベルに対応して(固形ろう付け材7の厚みに対応して)、塗布用モータ8を駆動させ、ロール状ろう付け材2Aの周速度を制御する。
【0147】
制御ユニット42Aは、メカスイッチ41が、ONになったときに、固形ろう付け材7を使い切ったことを、ディスプレイ43に通知するか、および/または、塗布用モータ8および/または送出モータ18(および巻取モータ20)の駆動を停止し、ロール状ろう付け材2Aの回転および/またはアルミニウム板材3の搬送を停止させる。
【0148】
ディスプレイ43は、制御ユニット42Aと電気的に接続されている。
【0149】
ディスプレイ43は、制御ユニット42Aからの通知により、固形ろう付け材7を使い切ったという警告を通知する。
【0150】
ディスプレイ43は、必要に応じて、各周速度センサーにより検知される周速度、および、ロードセル25により検知される押圧力を、リアルタイムで表示する。また、固形ろう付け材7の周速度と、塗布用モータ8の回転数に基づいて算出される固形ろう付け材7の直径、および/または、光センサーユニット40により検知される固形ろう付け材7の厚みを表示する。
【0151】
以下において、上記した塗布装置1Aを用いた固形ろう付け材の塗布方法について、より具体的に詳述する。
【0152】
この塗布方法では、固形ろう付け材7を回転させながら、搬送されるアルミニウム板材3に接触させることで、固形ろう付け材7を、アルミニウム板材3に塗布する。
【0153】
具体的には、まず、送出ローラー10Aに長尺のアルミニウム板材3を巻回し、アルミニウム板材3を、送出ローラー10Aと巻取ローラー14Aとの間に架け渡す。
【0154】
また、ロール状ろう付け材2Aを、回転ユニット50Aにセットする。
【0155】
次いで、ロール状ろう付け材2Aを支持部73Aにおける1対の軸受部材29に軸受けさせる。
【0156】
次いで、送出モータ18および巻取モータ20の駆動を制御することにより、アルミニウム板材3を送り出す。
【0157】
このとき、第1周速度センサー17および第2周速度センサー19によって、送出ローラー10A(送出側のアルミニウム板材3)の周速度および巻取ローラー14A(巻取側のアルミニウム板材3)の周速度が検知され、制御ユニット42Aに電気信号として入力される。
【0158】
そして、制御ユニット42Aは、第1周速度センサー17および第2周速度センサー19の検知に基づいて、送出モータ18および巻取モータ20を上記したように制御し、アルミニウム板材3の搬送速度が一定になるように、例えば、10m/分以上、好ましくは、30m/分以上であり、例えば、200m/分以下、好ましくは、150m/分以下になるように搬送する。
【0159】
その後、送り出されたアルミニウム板材3は、巻取ローラー14Aに巻き取られる。
【0160】
一方、塗布用モータ8の駆動を制御して、固形ろう付け材7を回転させる。
【0161】
具体的には、固形ろう付け材7の回転方向とアルミニウム板材3の搬送方向とが、固形ろう付け材7およびアルミニウム板材3の接触部分において、同一方向となるように、固形ろう付け材7を回転させる。
【0162】
また、このとき、第3周速度センサー9によって、固形ろう付け材7の周速度が検知され、制御ユニット42Aに電気信号として入力される。
【0163】
そして、制御ユニット42Aは、第3周速度センサー9の検知に基づいて、塗布用モータ8を制御し、ロール状ろう付け材2A(固形ろう付け材7)の周速度が、所定の速度比(固形ろう付け材7の周速度/アルミニウム板材3の搬送速度)となるように、ロール状ろう付け材2Aを回転させる。
【0164】
好ましくは、速度比が、1未満または1を超過するように(1とならないように)、調整する。換言すれば、固形ろう付け材7の周速度と、アルミニウム板材3の搬送速度とが同じでないように制御する。
【0165】
より好ましくは、速度比が、下記式(1)を満足するように、制御する。
速度比=(塗布量/A)+1 (1)
(式中、Aは、0<A≦70を満たす。なお、Aおよび塗布量の単位は、g/mである。)
具体的には、速度比は、例えば、1.0を超過、塗布量を確実に多くする観点から、好ましくは、1.03以上、より好ましくは、1.1以上、さらに好ましくは、2.0以上であり、また、例えば、101以下、好ましくは、61以下、より好ましくは、21以下である。
【0166】
そして、制御ユニット42Aは、第3周速度センサー9の検知に基づいて、塗布用モータ8を制御することによって、設定した速度比の変化率が、例えば、30%以下となるようにする。
【0167】
さらに、昇降モータ37Aの駆動により、支持アーム35を押し上げ、固形ろう付け材7とアルミニウム板材3とを接触させる。
【0168】
これにより、固形ろう付け材7が削れ、削れた固形ろう付け材7が、アルミニウム板材3に付着(塗布)される。
【0169】
また、このとき、ロードセル25によって、アルミニウム板材3(および押圧力受けユニット71)が固形ろう付け材7から受ける押圧力が検知され、制御ユニット42Aに電気信号として入力される。
【0170】
そして、制御ユニット42Aは、ロードセル25の検知に基づいて昇降モータ37Aの作動を制御し、支持アーム35による押圧力を所定値に保持する。
【0171】
具体的には、押圧力の変化率が、例えば、30%以下となるようにする。
【0172】
なお、押圧力の変化率は、押圧力の設定値に対する、設定値とロードセル25により検知される実測値との差の比率と定義される。
【0173】
これにより、アルミニウム板材3に、固形ろう付け材7を連続的に一定厚みで塗布する。
【0174】
そして、固形ろう付け材7のアルミニウム板材3に対する塗布が継続されると、固形ろう付け材7の体積が減少する(すなわち、固形ろう付け材7の厚みが減少する。)。
【0175】
このような場合には、ロードセル25は、押圧力の低下を検知し、制御ユニット42Aに電気信号として入力する。
【0176】
そして、制御ユニット42Aは、昇降モータ37Aの作動を制御し、支持アーム35を上側に押し上げる。これにより、支持アーム35による押圧力を再度、所定値に保持する。
【0177】
一方、支持アーム35を上側に押し上げると、光センサーユニット40が支持アーム35の上下方向位置の変化を検知し、制御ユニット42Aに電気信号として入力する。
【0178】
そして、制御ユニット42Aは、塗布用モータ8の作動を制御し、ロール状ろう付け材2Aの回転数を速くする。
【0179】
このように、制御ユニット42Aは、支持アーム35による押圧力を所定値に保持しながら、固形ろう付け材7の厚みの減少に応じて、ロール状ろう付け材2Aの回転数を上げ、ロール状ろう付け材2Aの周速度を一定になるように保持して、上記の速度比が所定の範囲になるように調整する。
【0180】
そして、固形ろう付け材7のアルミニウム板材3に対する塗布がさらに継続すると、支持アーム35の上下方向位置が徐々に高くなり、やがて、支持アーム35が、メカスイッチ41に当接する。すると、メカスイッチ41が、ONになり、メカスイッチ41は、電気信号を制御ユニット42Aに入力する。
【0181】
そして、制御ユニット42Aは、メカスイッチ41の信号を検知し、固形ろう付け材7を使い切ったことを、ディスプレイ43に通知する。そして、ディスプレイ43は、固形ろう付け材7の交換を表示する。および/または、塗布用モータ8の駆動を停止し、ロール状ろう付け材2Aの回転を停止させる。および/または、送出モータ18の駆動および巻取モータ20の駆動を停止し、アルミニウム板材3の搬送を停止させる。および/または、塗布用モータ8の駆動と送出モータ18の駆動および巻取モータ20の駆動とを停止し、ロール状ろう付け材2Aの回転およびアルミニウム板材3の搬送を停止させる。
【0182】
塗布量は、例えば、2g/m以上、好ましくは、5g/m以上、より好ましくは、10g/m以上であり、また、例えば、25g/m以下、好ましくは、20g/m以下である。
【0183】
また、フラックス成分(具体的には、フッ化物系フラックス)のみに換算した場合の塗布量は、例えば、1g/m以上、好ましくは、3g/m以上であり、また、例えば、15g/m以下、好ましくは、10g/m以下である。
【0184】
そして、このような塗布方法では、アルミニウム板材3に塗布された固形ろう付け材7は、その搬送途中において乾燥し、アルミニウム板材3に固形ろう付け材7の塗布膜が形成される。
【0185】
得られる塗布膜の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、例えば、25μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0186】
このような塗布膜を備えるアルミニウム板材3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製品、例えば、熱交換器の製造において、好適に用いられる。
(作用効果)
この塗布装置1Aによれば、回転ユニット50Aによって、固形ろう付け材7を回転させながら、搬送ユニット60Aによって、長尺のアルミニウム板材3を搬送する。つまり、固形ろう付け材7を回転させながら、搬送されるアルミニウム板材3に接触させる。
【0187】
そのため、この塗布装置1Aによれば、固形ろう付け材7が回転する分、固形ろう付け材7を多く塗布できるため、アルミニウム板材3に対する固形ろう付け材7の接触面積が小さくても、塗布量を多くできる。
【0188】
この塗布装置1Aによれば、制御ユニット42Aによって、速度比が所定の範囲となるように、回転ユニット50Aを制御する。
【0189】
この塗布装置1Aによれば、固形ろう付け材7の回転方向とアルミニウム板材3の搬送方向とが、固形ろう付け材7およびアルミニウム板材3の接触部分において、同一方向であり、固形ろう付け材7の周速度のアルミニウム板材3の搬送速度に対する速度比(固形ろう付け材7の周速度/アルミニウム板材3の搬送速度)が、1未満または1を超過すれば、塗布量を確実に多くできる。
【0190】
換言すれば、この塗布装置1Aによれば、固形ろう付け材7の回転方向とアルミニウム板材3の搬送方向とが、固形ろう付け材7およびアルミニウム板材3の接触部分において、同一方向であり、かつ、上記の速度比が1でなければ、塗布量を確実に多くできる。
【0191】
また、速度比(固形ろう付け材7の周速度/アルミニウム板材3の搬送速度)が、上記式(1)を満足すれば、塗布量を確実に多くできる。
【0192】
また、この塗布装置1Aによれば、速度比の変化率が、例えば、30%以下、好ましくは、20%以下、より好ましくは、10%以下であれば、安定した塗布量を維持することができる。
【0193】
この塗布装置1Aによれば、制御ユニット42Aは、第3周速度センサー9によって検知される固形ろう付け材7の周速度に基づいて、固形ろう付け材7の周速度を制御し、上記の速度比を調整する。
【0194】
そのため、この塗布装置1Aによれば、所定量の固形ろう付け材を被塗布物に確実に塗布することができる。
【0195】
この塗布装置1Aでは、固形ろう付け材7をアルミニウム板材3に塗布するにつれて、その直径が小さくなる。
【0196】
そして、直径が小さくなると、固形ろう付け材7の1回転分の塗布量が少なくなる。つまり、固形ろう付け材7の回転数が一定のままだと、固形ろう付け材7の減少に応じて、塗布量が変化する。
【0197】
一方、この塗布装置1Aによれば、制御ユニット42Aは、光センサーユニット40によって検知された固形ろう付け材7の厚みに基づいて、固形ろう付け材の周速度を下げることなく、一定に保持するよう調整する(すなわち、回転数を増やす。)これにより、固形ろう付け材7の直径が次第に小さくなっても、固形ろう付け材7の回転数を増やすことにより、塗布量を一定になるように保持することができる。その結果、安定した塗布量を維持することができる。
【0198】
この塗布装置1Aによれば、制御ユニット42Aは、メカスイッチ41の検知に基づいて、固形ろう付け材7を使い切ったことを通知するか、および/または、固形ろう付け材7の回転および/またはアルミニウム板材3の搬送を停止させる。
【0199】
そのため、この塗布装置1Aによれば、固形ろう付け材7がなくなる前に、固形ろう付け材7を最適なタイミングで交換できる。
【0200】
この塗布装置1Aによれば、制御ユニット42Aは、ロードセル25によって検知された押圧力に基づいて、アルミニウム板材3に対して、固形ろう付け材7を一定の押圧力で押圧できるように、押圧力を制御する。
【0201】
そのため、この塗布装置1Aによれば、塗布により、固形ろう付け材7の厚みが小さくなっても、固形ろう付け材7を、一定圧力でアルミニウム板材3に接触させることができ、その結果、固形ろう付け材7を、アルミニウム板材3に安定に塗布することができる。
【0202】
また、この塗布装置1Aによれば、押圧力の変化率が、例えば、30%以下、好ましくは、20%以下、より好ましくは、10%以下であれば、安定した塗布量を維持することができる。
【0203】
このように、固形ろう付け材7が塗布されたアルミニウム板材3の製造方法は、上記の塗布方法を備えるため、固形ろう付け材7が一定に維持された塗布量で塗布されたアルミニウム板材3を製造することができる。
【0204】
また、このロール状ろう付け材2Aによれば、ロール形状を有しているため、上記の塗布方法において、好適に用いることができる。
【0205】
すなわち、ロール状ろう付け材2Aによれば、回転ユニット50Aにセットされるように、ロール形状を有しているため、上記の塗布装置1Aにおいて、好適に用いることができる。
【0206】
また、このロール状ろう付け材2Aが、回転軸6を備えるので、塗布により、固形ろう付け材7の厚みが小さくなっても、回転軸6近傍まで、固形ろう付け材7を使い切ることができる。その結果、歩留まりを向上させることができる。
2.第2実施形態
以下の第2実施形態において、図4図5および図6を参照して説明するが、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0207】
図4において、塗布装置1Bは、被塗布物としてのアルミニウム板材3に、ロール状ろう付け材2Bを連続的に塗布するために設備されている。
【0208】
ロール状ろう付け材2Bは、図5に示すように、アタッチメント部材としての接続部材63と、接続部材63の周りに配置される固形ろう付け材7とを備える。
【0209】
接続部材63は、円筒形状を有し、接続部材63の外周面には、径方向外方に突出する突起64が、軸方向および円周方向に沿って、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0210】
つまり、図6Aに示すように、接続部材63の外周面には、突起64が円周方向全周に渡って、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0211】
また、図6Bに示すように、各突起64は、接続部材63の軸方向に沿って、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0212】
このような突起64によれば、接続部材63と固形ろう付け材7との接触面積を増やすとともに、突起64と固形ろう付け材7との間に投錨力が働き、固形ろう付け材7を接続部材63に確実に固定できる。
【0213】
そして、ロール形状の型の中心部分に接続部材63をセットした状態で、上記した固形ろう付け材7の各成分を、その型に流し入れて冷却することにより、ロール状ろう付け材2Bを得ることができる。
【0214】
以下において、ロール状ろう付け材2Bをアルミニウム板材3に塗布するための塗布装置1Bについて、詳述する。
【0215】
塗布装置1Bは、搬送ユニットとしての搬送ユニット60Bと、塗布ユニット70Bと、制御ユニットとしての制御部80Bとを備える。
【0216】
搬送ユニット60Bは、送出ユニット61Bと、巻取ユニット62Bとを備える。
【0217】
送出ユニット61Bおよび巻取ユニット62Bは、塗布ユニット70Bを間に挟んで、水平方向に互いに所定間隔を隔てて配置されている。
【0218】
送出ユニット61Bは、塗布ユニット70Bに対して、搬送方向上流側に配置されている。
【0219】
送出ユニット61Bは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、送出ローラー10Bと、第1ガイドローラー11Baとを備え、また、送出ユニット61Bは、送出モータ18と、第1トルクメータ81とを備える。
【0220】
送出ローラー10Bは、アルミニウム板材3を保持するとともに、アルミニウム板材3を送り出すローラーであって、アルミニウム板材3の搬送方向の最上流に配置されている。送出ローラー10Bには、長尺のアルミニウム板材3が巻回されており、送出ローラー10Bが回転することにより、アルミニウム板材3を搬送方向上流側から搬送方向下流側に送り出し可能としている。
【0221】
送出ローラー10Bには、送出モータ18が接続されている。
【0222】
送出モータ18は、公知のモータであり、送出モータ18の駆動により、送出ローラー10Bを回転させ、アルミニウム板材3を送り出す。
【0223】
また、送出ローラー10Bには、第1トルクメータ81が接続されている。
【0224】
第1トルクメータ81は、公知のトルクメータであり、送出ローラー10Bの回転軸に働くトルクを検知可能としている。
【0225】
第1ガイドローラー11Baは、送出ローラー10Bの搬送方向下流側に配置されている。
【0226】
第1ガイドローラー11Baは、送出ローラー10Bから送り出されたアルミニウム板材3を、塗布ユニット70Bへガイドする。
【0227】
巻取ユニット62Bは、塗布ユニット70Bに対して、搬送方向下流側に配置されている。
【0228】
巻取ユニット62Bは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、第2ガイドローラー11Bbと、1対の搬送ローラー82と、第3ガイドローラー11Bcと、第4ガイドローラー11Bdと、テンションローラー13Bと、第5ガイドローラー11Beと、第6ガイドローラー11Bfと、巻取ローラー14Bとを備え、また、巻取ユニット62Bは、搬送モータ83と、第2トルクメータ84と、巻取モータ20とを備える。
【0229】
第2ガイドローラー11Bbおよび第3ガイドローラー11Bcは、搬送方向において、1対の搬送ローラー82を挟むように、搬送方向に互いに所定間隔を隔てて配置されている。
【0230】
1対の搬送ローラー82は、アルミニウム板材3を搬送するローラーであって、第2ガイドローラー11Bbおよび第3ガイドローラー11Bcの間に配置されている。
【0231】
1対の搬送ローラー82は、下側搬送ローラー82aと、下側搬送ローラー82aに対して上側に対向配置される上側搬送ローラー82bとを備えている。
【0232】
下側搬送ローラー82aおよび上側搬送ローラー82bは、それらの間でアルミニウム板材3を挟みながら、それらが回転することにより、アルミニウム板材3を搬送方向上流側から搬送方向下流側に搬送可能としている。
【0233】
上側搬送ローラー82bには、搬送モータ83が接続されている。
【0234】
搬送モータ83は、公知のモータであり、搬送モータ83の駆動により、上側搬送ローラー82bを回転させる。そして、上側搬送ローラー82bの回転に従動して、下側搬送ローラー82aが回転し、上側搬送ローラー82bおよび下側搬送ローラー82aの回転により、アルミニウム板材3を搬送方向上流側から搬送方向下流側に搬送可能としている。
【0235】
第4ガイドローラー11Bdおよび第5ガイドローラー11Beは、第3ガイドローラー11Bcの搬送方向下流側に配置され、搬送方向において、テンションローラー13Bを挟むように、搬送方向に互いに所定間隔を隔てて配置されている。
【0236】
テンションローラー13Bは、第4ガイドローラー11Bdおよび第5ガイドローラー11Beの間において、上下方向に移動可能に配置されている。
【0237】
テンションローラー13Bは、第4ガイドローラー11Bdおよび第5ガイドローラー11Beの間で上下方向に移動することにより、搬送されるアルミニウム板材3の引張力を調整可能としている。
【0238】
第6ガイドローラー11Bfは、第5ガイドローラー11Beの搬送方向下流側に配置されている。
【0239】
第6ガイドローラー11Bfは、第5ガイドローラー11Beから搬送されてくるアルミニウム板材3を巻取ローラー14Bへガイドする。
【0240】
巻取ローラー14Bは、搬送されたアルミニウム板材3を巻取るためのローラーであって、アルミニウム板材3の搬送方向の最下流に配置されている。
【0241】
巻取ローラー14Bには、巻取モータ20が接続されている。
【0242】
巻取モータ20は、公知のモータであり、巻取モータ20の駆動により、巻取ローラー14を回転させ、アルミニウム板材3を巻き取る。
【0243】
また、巻取ローラー14Bには、第2トルクメータ84が接続されている。
【0244】
第2トルクメータ84は、公知のトルクメータであり、巻取ローラー14Bの回転軸に働くトルクを検知可能としている。
【0245】
塗布ユニット70Bは、押圧力受けユニット71と押圧力付与ユニット72Bとを備える。
【0246】
押圧力受けユニット71および押圧力付与ユニット72Bは、搬送ユニット60により搬送されるアルミニウム板材3を間に挟んで、上下方向に互いに所定間隔を隔てて配置されている。
【0247】
押圧力受けユニット71は、第2支持部材54(後述)の枠内において、アルミニウム板材3の上側に配置され、押圧力付与ユニット72Bと上下方向に対向配置されている。
【0248】
押圧力受けユニット71は、上記した第1実施形態と同様の部材を備える。
【0249】
押圧力付与ユニット72Bは、回転ユニット50Bと、支持部73Bと、押圧ユニットとしての押圧部74Bとを備える。
【0250】
回転ユニット50Bは、図4に示すように、ロール状ろう付け材2Bを回転させるための動力源としての塗布用モータ8と、ロール状ろう付け材2Aに塗布用モータ8からの動力を伝達する動力伝達部材としての回転軸51とを備える。
【0251】
回転軸51は、円柱形状を有し、図示しないカップリングなどを介して塗布用モータ8に接続されるとともに、一端が支持部73Bに回転可能に支持されている。
【0252】
そして、ロール状ろう付け材2Bは、後述する方法により、回転ユニット50Bにセットされる。
【0253】
支持部73Bは、上下方向に延びる板状形状を有する。支持部73Bは、回転軸51と、塗布用モータ8とを支持する。
【0254】
押圧部74Bは、支持部73Bを支持する第1支持部材53と、第1支持部材53を支持する第2支持部材54と、昇降モータ37Bと、第1厚み検知ユニットおよび第2厚み検知ユニットとしての距離センサー85とを備える。
【0255】
第1支持部材53は、上下方向に延び、その側面には、支持部73Bが接続されている。
【0256】
第2支持部材54は、上下方向に延びる枠型形状を有する。枠内における一側面には、ボールねじ(図示せず)を備える第1支持部材53が、上下方向に移動可能となるように接続されている。
【0257】
昇降モータ37Bは、公知のモータであり、昇降モータ37Bの駆動により、第1支持部材53を上下に移動可能としている。これにより、ロール状ろう付け材2Bが上下移動可能となる。
【0258】
距離センサー85は、第1支持部材53に対して、上側に、間隔を隔てて配置されている。
【0259】
距離センサー85は、公知のレーザー距離センサであり、第1支持部材53にレーザー光を照射して、その第1支持部材53からの反射光を検出し、距離に換算することにより、距離センサー85と第1支持部材53との間の距離を検知可能としている。詳しくは後述するが、制御ユニット42Bは、ロードセル25によって検知される押圧力を所定値に保持するために、固形ろう付け材7の体積が減少した分だけ(すなわち、固形ろう付け材7の厚みが減少した分だけ)、第1支持部材53を上下方向に移動させる。その際、その上下方向位置の変化量は、上記の距離の上下方向位置の変化量と対応している。換言すれば、制御ユニット42Bは、距離センサー85により検知した上記の距離の上下方向位置の変化量に基づいて、固形ろう付け材7の厚みの減少量(固形ろう付け材7の直径の減少量)を算出することができ、これにより、固形ろう付け材7の直径を算出する。
【0260】
制御部80Bは、制御ユニット42Bとディスプレイ43とを備えている。
【0261】
制御ユニット42Bは、マイクロコンピューターを備えている。
【0262】
制御ユニット42Bは、搬送モータ83、第1トルクメータ81、第2トルクメータ84、ロードセル25、昇降モータ37B、塗布用モータ8、送出モータ18、巻取モータ20、距離センサー85に電気的に接続されている。
【0263】
制御ユニット42Bは、搬送モータ83の駆動を制御し、アルミニウム板材3の搬送速度を一定速度に制御する。
【0264】
制御ユニット42Bは、第1トルクメータ81および第2トルクメータ84により検知された送出ローラー10Bの回転軸に働くトルクおよび巻取ローラー14Bの回転軸に働くトルクに基づいて、アルミニウム板材3の引張力が一定になるように、送出モータ18および巻取モータ20の駆動を制御する。
【0265】
制御ユニット42Bは、ロードセル25により検知された押圧力に基づいて、アルミニウム板材3に対して、ロール状ろう付け材2Bを一定の押圧力で押圧できるように昇降モータ37Bを駆動させ、押圧力を制御する。
【0266】
制御ユニット42Bは、距離センサー85によって検知される距離センサー85と第1支持部材53との間の距離を検知する。そして、制御ユニット42Bは、この距離から算出される固形ろう付け材7の直径と、塗布用モータ8の回転数とに基づいて、ロール状ろう付け材2Bの周速度を算出し、塗布用モータ8の駆動を制御して、ロール状ろう付け材2Bの周速度を一定速度に制御する。
【0267】
制御ユニット42Bは、距離センサー85と昇降モータ37Bとの間の距離が所定の値になったときに、固形ろう付け材7を使い切ったことを、ディスプレイ43に通知するか、および/または、塗布用モータ8および/または搬送モータ83(および送出モータ18と巻取モータ20と)の駆動を停止し、ロール状ろう付け材2Bの回転および/またはアルミニウム板材3の搬送を停止させる。
【0268】
ディスプレイ43は、制御ユニット42Bと電気的に接続されている。
【0269】
ディスプレイ43は、制御ユニット42Bからの通知により、固形ろう付け材7を使い切ったという警告を通知する。
【0270】
ディスプレイ43は、必要に応じて、距離センサー85により検知される距離に基づいて算出される固形ろう付け材7の直径、その直径と塗布用モータ8の回転数とに基づいて算出される固形ろう付け材7の周速度、ロードセル25により検知される押圧力、搬送モータ83により制御される搬送速度、各トルクメータにより検知されるアルミニウム板材3の引張力を、リアルタイムで表示する。
【0271】
以下において、上記した塗布装置1Bを用いた固形ろう付け材の塗布方法について、より具体的に詳述する。
【0272】
この塗布方法では、固形ろう付け材7を回転させながら、搬送されるアルミニウム板材3に接触させることで、固形ろう付け材7を、アルミニウム板材3に塗布する。
【0273】
具体的には、まず、送出ローラー10Bに長尺のアルミニウム板材3を巻回し、アルミニウム板材3を、送出ローラー10Bと巻取ローラー14Bとの間に架け渡す。
【0274】
また、ロール状ろう付け材2Bを、回転ユニット50Bにセットする。
【0275】
具体的には、図6に示すように、ロール状ろう付け材2Bの接続部材63を、回転軸51に挿通する。
【0276】
そして、ロール状ろう付け材2Bと回転軸51とを、公知の摩擦式締結具(例えば、後述するハブ部材12)を用いて締結する。
【0277】
具体的には、ハブ部材12を回転軸51に挿通するとともに、接続部材63の中空部分に、ハブ部材12をセットする。
【0278】
そして、後述する方法により、回転軸51とハブ部材12とを締結するとともに、ハブ部材12と接続部材63とを締結する。
【0279】
次いで、搬送モータ83の駆動を制御することにより、搬送速度が一定になるように、アルミニウム板材3を搬送する。
【0280】
なお、搬送速度は、上記した第1実施形態の搬送速度と同様である。
【0281】
このとき、第1トルクメータ81および第2トルクメータ84によって、送出ローラー10Bの回転軸に働くトルクおよび巻取ローラー14Bの回転軸に働くトルクが検知され、制御ユニット42Bに電気信号として入力される。
【0282】
そして、制御ユニット42Bは第1トルクメータ81および第2トルクメータ84の検知に基づいて、アルミニウム板材3の引張力が一定になるように、送出モータ18および巻取モータ20の駆動を制御する。
【0283】
その後、送り出されたアルミニウム板材3は、巻取ローラー14Bに巻き取られる。
【0284】
一方、塗布用モータ8の駆動を制御して、固形ろう付け材7を回転させる。
【0285】
具体的には、固形ろう付け材7の回転方向とアルミニウム板材3の搬送方向とが、固形ろう付け材7およびアルミニウム板材3の接触部分において、同一方向となり、また、所定の速度比(固形ろう付け材7の周速度/アルミニウム板材3の搬送速度)となるように、固形ろう付け材7を回転させる。
【0286】
なお、所定の速度比は、上記した第1実施形態の速度比と同様である。
【0287】
そして、昇降モータ37Bの駆動により、第1支持部材53(ロール状ろう付け材2B)上側に移動させ、固形ろう付け材7とアルミニウム板材3とを接触させる。
【0288】
これにより、固形ろう付け材7が削れ、削れた固形ろう付け材7が、アルミニウム板材3に付着(塗布)される。
【0289】
また、このとき、ロードセル25によって、アルミニウム板材3(および押圧力受けユニット71)が固形ろう付け材7から受ける押圧力が検知され、制御ユニット42Bに電気信号として入力される。
【0290】
そして、制御ユニット42Bは、ロードセル25の検知に基づいて昇降モータ37Bの作動を制御し、第1支持部材53による押圧力を所定値に保持する。
【0291】
具体的には、押圧力の変化率が、例えば、30%以下となるようにする。
【0292】
これにより、アルミニウム板材3に、固形ろう付け材7を連続的に一定厚みで塗布する。
【0293】
そして、固形ろう付け材7のアルミニウム板材3に対する塗布が継続されると、固形ろう付け材7の体積が減少する(すなわち、固形ろう付け材7の厚みが減少する。)。
【0294】
このような場合には、ロードセル25は、押圧力の低下を検知し、制御ユニット42Bに電気信号として入力する。
【0295】
そして、制御ユニット42Bは、昇降モータ37Bの作動を制御し、第1支持部材53を上側に押し上げる。これにより、第1支持部材53による押圧力を再度、所定値に保持する。
【0296】
一方、第1支持部材53を上側に押し上げると、距離センサー85が第1支持部材53の上下方向位置の変化を検知し、制御ユニット42Bに電気信号として入力する。
【0297】
そして、制御ユニット42Bは、塗布用モータ8の作動を制御し、ロール状ろう付け材2Bの回転数を速くする。
【0298】
このように、制御ユニット42Bは、第1支持部材53による押圧力を所定値に保持しながら、固形ろう付け材7の厚みの減少に応じて、ロール状ろう付け材2Bの回転数を上げ、ロール状ろう付け材2Bの周速度を一定になるように保持して、上記の速度比が所定の範囲になるように調整する。
【0299】
そして、固形ろう付け材7のアルミニウム板材3に対する塗布がさらに継続すると、第1支持部材53の上下方向位置が徐々に高くなり、やがて、所定の位置に達すると、距離センサー85は、電気信号を制御ユニット42Bに入力する。
【0300】
そして、制御ユニット42Bは、距離センサー85の信号を検知し、固形ろう付け材7を使い切ったことを、ディスプレイ43に通知する。そして、ディスプレイ43は、固形ろう付け材7の交換を表示する。および/または、塗布用モータ8の駆動を停止し、ロール状ろう付け材2Aの回転を停止させる。および/または、送出モータ18の駆動、巻取モータ20の駆動および搬送モータ83の駆動を停止し、アルミニウム板材3の搬送を停止させる。および/または、塗布用モータ8の駆動と、送出モータ18の駆動、巻取モータ20の駆動および搬送モータ83の駆動とを停止し、ロール状ろう付け材2Bの回転およびアルミニウム板材3の搬送を停止させる。
【0301】
塗布量は、上記した第1実施形態の塗布量と同様である。
【0302】
そして、このような塗布方法では、アルミニウム板材3に塗布された固形ろう付け材7は、その搬送途中において乾燥し、アルミニウム板材3に固形ろう付け材7の塗布膜が形成される。
【0303】
得られる塗布膜の厚みは、上記した第1実施形態の厚みと同様である。
【0304】
このような塗布膜を備えるアルミニウム板材3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製品、例えば、熱交換器の製造において、好適に用いられる。
【0305】
上記の塗布装置1Bおよび塗布方法は、上記した第1実施形態と同様に、固形ろう付け材7をアルミニウム板材3に塗布するため、溶剤などを乾燥させるための乾燥設備を必要とせず、コストを低減できる。
【0306】
また、上記した第1実施形態と同様に、より効率的に塗布膜を形成するため、乾燥器(図示せず)を設けることもできる。
(作用効果)
第2実施形態の塗布装置1Bは、第1実施形態の塗布装置1Aと同様の効果を奏する。
【0307】
また、この塗布装置1Bによれば、制御ユニット42Bは、距離センサー85によって検知された固形ろう付け材7の直径(厚み)および塗布用モータ8の回転数に基づいて、固形ろう付け材7の周速度を下げることなく、一定に保持するよう調整する(すなわち、回転数を増やす。)これにより、固形ろう付け材7の直径が次第に小さくなっても、固形ろう付け材7の回転数を増やすことにより、塗布量を一定になるように保持することができる。その結果、安定した塗布量を維持することができる。
【0308】
この塗布装置1Bによれば、制御ユニット42Bは、距離センサー85の検知に基づいて、固形ろう付け材7を使い切ったことを通知するか、および/または、固形ろう付け材7の回転および/またはアルミニウム板材3の搬送を停止させる。
【0309】
そのため、この塗布装置1Bによれば、固形ろう付け材7がなくなる前に、固形ろう付け材7を最適なタイミングで交換できる。
【0310】
すなわち、塗布装置1Aでは、光センサーユニット40およびメカスイッチ41によって、固形ろう付け材7の厚みを検知したが、塗布装置1Bでは、1つの距離センサー85によって、固形ろう付け材7の厚みを検知することができる。
【0311】
さらに、この塗布装置1Bによれば、距離センサー85によって、固形ろう付け材7の直径および塗布用モータ8の回転数に基づいて、固形ろう付け材7の周速度を算出することができるため、この塗布装置1Bは、第1実施形態における周速度検知ユニットとしての第3周速度センサー9を省略することができる。
【0312】
また、この塗布装置1Bによれば、搬送モータ83の回転数により上側搬送ローラー82bの周速度(即ち、アルミニウム板材3の搬送速度)を算出することができるため、第1実施形態における第1周速度センサー17と第2周速度センサー19を省略することができる。
【0313】
変形例
第1実施形態では、アルミニウム板材3の搬送速度を一定としつつ、上記の速度比が一定になるように、塗布用モータ8を制御し、ロール状ろう付け材2Aの周速度を制御したが、固形ろう付け材7の周速度を一定としつつ、上記の速度比が一定になるように、送出モータ18および巻取モータ20を制御して、アルミニウム板材3の搬送速度を制御することもできる。さらには、上記の速度比が一定になるように、塗布用モータ8を制御し、ロール状ろう付け材2Aの周速度を制御するとともに、送出モータ18および巻取モータ20を制御して、アルミニウム板材3の搬送速度を制御することもできる。
【0314】
また、第1実施形態では、固形ろう付け材7の体積が減少する(すなわち、固形ろう付け材7の厚みが減少する。)場合に、光センサーユニット40によって検知される固形ろう付け材7の厚みに基づいて、固形ろう付け材7の周速度を一定になるように保持し、速度比が所定の範囲になるように調整したが、第3周速度センサー9によって検知される固形ろう付け材7の周速度に基づいて、固形ろう付け材7の周速度を制御し、速度比が所定の範囲になるように調整してもよい。
【0315】
また、第1実施形態では、送出モータ18および巻取モータ20の駆動によって、アルミニウム板材3を搬送したが、送出モータ18を設けず、巻取モータ20の駆動によって、アルミニウム板材3を搬送してもよい。
【0316】
また、第1実施形態では、塗布装置1Aは、第2厚み検知ユニットとして、メカスイッチ41を備えたが、光センサーユニット40を第2厚み検知ユニットとして用いてもよい。
【0317】
このような場合には、光センサーユニット40(光センサー40a~40f)のONとOFFとの数によって、固形ろう付け材7の所定の厚みを段階的に検知する。
【0318】
これにより、固形ろう付け材7の所定の厚みに対応した通知(具体的には、固形ろう付け材7の残量(例えば、残量50%、30%、20%)に対応する通知)が、制御ユニット42Aに電気信号として入力される。
【0319】
そして、制御ユニット42Aは、光センサーユニット40の信号を検知し、ディスプレイ43は、固形ろう付け材7の残量を表示する。
【0320】
また、第1実施形態において、昇降機構36も、シリンダーおよびピストンに代替して、ラックアンドピニオンまたはボールねじなどを用いることもできる。
【0321】
また、第1実施形態において、ロール状ろう付け材2におけるロール形状とは、中心部に空洞を開けた中空形状、または、中心部に空洞がない中実形状のいずれも含まれる。
【0322】
具体的には、第1実施形態では、ロール状ろう付け材2は、回転軸6を備える中空のロール形状を有するが、回転軸6を備えない中実のロール形状を有する固形ろう付け材(図示せず)(以下、中実ロール状ろう付け材とする。)を用いてもよい。
【0323】
中実ロール状ろう付け材(図示せず)を用いる場合には、中実ロール状ろう付け材を両側から1対のスペンサー(図示せず)で挟みこんで、そのスペンサー(図示せず)を回転させることにより、中実ロール状ろう付け材を回転させる。
【0324】
また、第1実施形態では、円柱形状の回転軸6であるが、固形ろう付け材7と接触する部分においては、突起を設けるおよび/または表面を粗くしてもよい。突起を設けるおよび/または表面を粗くすることにより、固形ろう付け材7をより確実に回転軸6に固定することができる。突起の形状は、直方体、アーチ形状、台形、三角形状など、回転軸と固形ろう付け材の接触面積を増やせるおよび/または突起部と固形ろう付け材7の間の投錨力を上げることができる、様々な形状を用いてもよい。
【0325】
また、第1実施形態では、固形ろう付け材7を固める段階で、回転軸6をセットし、回転軸6と固形ろう付け材7が篏合されたロール状ろう付け材2Aを得ていたが、中空の固形ろう付け材7を先に作った後、中空部分に回転軸6を挿通することによって、ロール状ろう付け材2Aを得てもよい。
【0326】
また、第1実施形態では、押圧部74Aは、第1厚み検知ユニットとしての光センサーユニット40と、第2厚み検知ユニットとしてのメカスイッチ41を備えるが、押圧部74Aは、これらを備えなくてもよい。
【0327】
また、第2実施形態では、距離センサー85によって、固形ろう付け材7の厚みを検知するが、その検知を省略することもできる。このような場合には、押圧部74Bは、第1厚み検知ユニットとして、第1実施形態の光センサーユニット40と、第2厚み検知ユニットとしてのメカスイッチ41を備えることもでき、または、第1厚み検知ユニットおよび第2厚み検知ユニットを備えないこともできる。
【0328】
また、第2実施形態では、アルミニウム板材3の搬送速度を一定としつつ、上記の速度比が一定になるように、塗布用モータ8を制御し、ロール状ろう付け材2Bの周速度を制御したが、固形ろう付け材7の周速度を一定としつつ、上記の速度比が一定になるように、搬送モータ83を制御して、アルミニウム板材3の搬送速度を制御することもできる。さらには、上記の速度比が一定になるように、塗布用モータ8を制御し、ロール状ろう付け材2Bの周速度を制御するとともに、搬送モータ83を制御して、アルミニウム板材3の搬送速度を制御することもできる。
【0329】
また、第2実施形態では、第1トルクメータ81および第2トルクメータ84をそれぞれ、送出ローラー10Bおよび巻取ローラー14Bに外付けしていたが、第1トルクメータ81および第2トルクメータ84を送出ローラー10Bおよび巻取ローラー14B内装させてもよい。
【0330】
また、第2実施形態では、アタッチメント部材として接続部材63を用いたが、接続部材63を用いることなく、アタッチメント部材として摩擦式締結具(ハブ部材12)を直接用いることもできる。
【0331】
このような場合には、ロール状ろう付け材2Bは、図7に示すように、ハブ部材12と、ハブ部材12の周りに配置される固形ろう付け材7とを備える。
【0332】
ハブ部材12は、インナーリング91と、アウターリング92とを備える摩擦式締結具である。つまり、ハブ部材12は、摩擦式締結機構を有する。
【0333】
インナーリング91は、円筒形状を有する筒部95と、筒部95の軸方向一端において径方向に延びるフランジ94とを備える。
【0334】
筒部95の外周面には、他端に向って縮径する第1テーパ面98が形成されている。
【0335】
フランジ94は、円環形状を有し、軸方向に貫通する第1ねじ穴96が、円周方向に沿って、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0336】
アウターリング92は、肉厚の円筒形状を有し、円周方向に沿って、軸方向に貫通する第2ねじ穴100が、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0337】
第2ねじ穴100は、第1ねじ穴96に対応して設けられている。
【0338】
アウターリング92の内周面には、他端に向って縮径し、第1テーパ面98と対向する第2テーパ面101が形成されている。
【0339】
アウターリング92の一端の内径は、筒部95の他端の外径よりも大きく、また、アウターリング92の他端の内径は、筒部95の一端の外径よりも小さい。
【0340】
また、アウターリング92の外周面には、径方向外方に突出する突起97が、軸方向および円周方向に沿って、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0341】
つまり、アウターリング92の外周面には、突起97が円周方向全周に渡って、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0342】
また、図7Aに示すように、各突起97は、アウターリング92の軸方向に沿って、互いに間隔を隔てて複数配置されている。
【0343】
このような突起97によれば、アウターリング92と固形ろう付け材7との接触面積を増やすとともに、突起97と固形ろう付け材7との間に投錨力が働き、固形ろう付け材7をアウターリング92に確実に固定できる。
【0344】
そして、ロール状ろう付け材2Bを得るには、まず、アウターリング92を、固形ろう付け材7の中空部分に配置する。
【0345】
次いで、インナーリング91を、筒部95側から、アウターリング92に挿通する。
【0346】
これにより、ロール状ろう付け材2Bが得られる。
【0347】
また、ロール状ろう付け材2Bを、回転ユニット50Bにセットするには、図8に示すように、ロール状ろう付け材2Bにおけるハブ部材12の筒部95に、回転軸51を挿通する。
【0348】
次いで、複数のボルト93を、第1ねじ穴96および第2ねじ穴100に挿通し、締め付ける。
【0349】
複数のボルト93を締め付けると、複数のボルト93によって、インナーリング91とアウターリング92は、軸方向に相対移動する。そうすると、インナーリング91の第1テーパ面98と、アウターリング92の第2テーパ面101とが、楔合する。
【0350】
そして、インナーリング91は径方向内側に縮径し、回転軸51とハブ部材12とが締結されるとともに、アウターリング92は径方向外側に拡径して、ハブ部材12と固形ろう付け材7とが締結される。
【0351】
これにより、回転軸51および固形ろう付け材7を確実に締結させることができる。
【0352】
また、上記した説明において、突起(突起64および突起97)の形状は特に限定されず、例えば、直方体、アーチ形状、台形、三角形状など、アタッチメント部材と固形ろう付け材7の接触面積を増やせるおよび/または突起(突起64および突起97)と固形ろう付け材7の間の投錨力を上げることができるような様々な形状を用いることもできる。また、突起(突起64および突起97)の代わりに、表面を粗くすることもできる。
【0353】
また、上記した説明では、回転軸51の外表面とハブ部材12の内側面が平滑面であるが、回転軸51のロール状ろう付け材2Bを固定する部分において、回転軸51の外表面とハブ部材12の内側面とが篏合できるように、セットスクリュー、クランピング、キー溝、ギアのような公知の動力伝達可能な形状に変形させてもよい。
【0354】
また、上記した説明では、インナーリング91およびアウターリング92は、互いのテーパ面で接触し、複数のボルト93により、これらを締結するが、テーパ面に限定されず、例えば、セットスクリュー、クランピング、キー溝、ギアのような公知の動力伝達可能な形状を用いることもできる。また、このような場合には、複数のボルト93を用いずに、インナーリング91およびアウターリング92を締結することもできる。
【0355】
また、アタッチメント部材として、上記したアウターリング92を用いることもできる。
【0356】
このような場合には、ロール状ろう付け材2Bは、アウターリング92と、アウターリング92の周りに配置される固形ろう付け材7とを備える。
【0357】
そして、ロール状ろう付け材2Bを、回転ユニット50Bにセットするときに、上記と同様に、インナーリング91を、アウターリング92に挿通する。
【0358】
また、摩擦式締結具としては、上記したハブ部材12のようなくさび方式の摩擦式締結具に代えて、公知の油圧方式の摩擦式締結具を用いることもできる。
【0359】
摩擦式締結具として、市販品を用いることもでき、例えば、くさび方式の摩擦式締結具として、例えば、ASシリーズ(椿本チエイン社製)などが挙げられる。
【0360】
また、第2実施形態では、固形ろう付け材7を固める段階で、接続部材63をセットし、接続部材63と固形ろう付け材7が篏合されたロール状ろう付け材2Bを得ていたが、中空の固形ろう付け材7を先に作った後、中空部分に接続部材63を配置することによって、ロール状ろう付け材2Bを得ることもできる。
【0361】
また、第2実施形態において、第1支持部材53も、ボールねじに代替して、ラックアンドピニオン、または、シリンダーとピストンなどを用いることもできる。
【0362】
第1実施形態および第2実施形態では、回転ユニット50は、動力源と動力伝達部材とを備えるが、動力源と動力伝達部材とは上記した部材に限定されず、例えば、動力伝達部材として、例えば、ギアを用いることもできる。また、回転ユニット50は、動力源のみを備えることもできる。
【0363】
第1実施形態において、搬送ユニット60Aは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、送出ローラー10Aと巻取ローラー14Aとのみを備えることもでき、また、第2実施形態において、搬送ユニット60Bは、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、送出ローラー10Bと、1対の搬送ローラー82と、巻取ローラー14Bとのみを備えることもできる。
【0364】
また、第1実施形態および第2実施形態では、巻取ローラー14によって、搬送されたアルミニウム板材3を巻取るが、巻取ローラー14を設けず、搬送されたアルミニウム板材3を巻取ることなく、そのまま、加工することできる。
【0365】
このような場合には、第1実施形態において、搬送ユニット60Aは、送出ローラー10Aと、必要により他のローラー(第1ガイドローラー11Aa、第2ガイドローラー11Ab、テンションローラー13A、第3ガイドローラー11Ac、および、第4ガイドローラー11Ad)とを備える。
【0366】
また、第2実施形態において、搬送ユニット60Bは、送出ローラー10Bと、1対の搬送ローラー82と、必要により他のローラー(第1ガイドローラー11Ba、第2ガイドローラー11Bb、第3ガイドローラー11Bc、第4ガイドローラー11Bd、テンションローラー13B、第5ガイドローラー11Be、および、第6ガイドローラー11Bf)とを備える。
【0367】
また、第1実施形態および第2実施形態では、1つの塗布ユニット70(固形ろう付け材7)を配置したが、塗布ユニット70(固形ろう付け材7)の数は特に限定されず、複数配置してもよい。
【0368】
例えば、第1実施形態について、図9に示すように、押圧力受けユニット71の下側において、搬送方向に、押圧力付与ユニット72を互いに間隔を隔てて複数(2つ)配置することもできる。
【0369】
そして、この塗布方法では、複数の固形ろう付け材7の全部または一部を回転させながら、搬送されるアルミニウム板材3に接触させる。
【0370】
複数の固形ろう付け材7が、搬送されるアルミニウム板材3に接触するため、固形ろう付け材7を多く塗布できる。または、固形ろう付け材7の塗布量を一定とした場合には、各固形ろう付け材7の減少割合を低減できるので、各固形ろう付け材7の使用期間を長くすることができる。そのため、塗布装置1Aのメンテナンスが容易となる。
【0371】
また、第1実施形態および第2実施形態において、アルミニウム板材3の上側において、搬送方向に、押圧力付与ユニット72を互いに間隔を隔てて複数配置することもできる。
【0372】
このような場合には、アルミニウム板材3の下側に、押圧力受けユニット71を配置する。
【0373】
また、第1実施形態および第2実施形態では、ロードセル25は押圧力受けユニット71に配置したが、ロードセル25を押圧力付与ユニット72に配置してもよい。
【0374】
また、アルミニウム板材3の上側および下側の両方において、搬送方向に、押圧力付与ユニット72を互いに間隔を隔てて複数配置し、さらに、上下両側の押圧力付与ユニット72同士を対向的に配置し、アルミニウム板材3の上下両面を同時に塗布することもできる。この場合、ロードセル25は押圧力付与ユニット72に配置される。
【0375】
また、第1実施形態および第2実施形態では、固形ろう付け材7の回転方向とアルミニウム板材3の搬送方向とが、固形ろう付け材7およびアルミニウム板材3の接触部分において、同一方向となるように、固形ろう付け材7を回転させたが、逆方向となるように、固形ろう付け材7を回転させてもよい。
【0376】
固形ろう付け材7の回転方向とアルミニウム板材3の搬送方向とが、固形ろう付け材7およびアルミニウム板材3の接触部分において、逆方向となるように、固形ろう付け材7を回転させれば、固形ろう付け材7が回転する分、固形ろう付け材7を多く塗布できるため、アルミニウム板材3に対する固形ろう付け材7の接触面積が小さくても、塗布量を多くできる。
【0377】
また、このような場合には、好ましくは、速度比が、下記式(2)を満足するように、制御する。
速度比=(塗布量/A)-1 (2)
(式中、Aは、0<A≦70を満たす。なお、Aおよび塗布量の単位は、g/mである。)
具体的には、速度比は、例えば、0を超過し、好ましくは、0.1以上、より好ましくは、0.5以上、さらに好ましくは、1.0以上、とりわけ好ましくは、2.0以上であり、また、例えば、99以下、好ましくは、59以下、より好ましくは、19以下である。
【0378】
好ましくは、固形ろう付け材7を、固形ろう付け材7の回転方向とアルミニウム板材3の搬送方向とが、固形ろう付け材7およびアルミニウム板材3の接触部分において、同一方向となるように、回転させる。
【0379】
これにより、アルミニウム部材3と固形ろう付け材7との接触部分において摩擦力が低下し、走行安定性が向上する。
【0380】
また、第1実施形態および第2実施形態では、被塗布物として、長尺のアルミニウム板材3を用いたが、被塗布物としては、板材だけでなく、例えば、扁平管などの被塗布部が扁平状で巻取可能な部材を用いることもできる。
【0381】
なお、第1実施形態および第2実施形態では、1つの押圧力受けユニット71を配置したが、押圧力受けユニット71の数は特に限定されず、押圧力付与ユニット72の対向側において、搬送方向に、押圧力受けユニット71を互いに間隔を隔てて複数配置することもできる。
【0382】
また、第1実施形態および第2実施形態では、エンドレスベルト機構26は、1対のエンドレスベルトローラー21と、1対のエンドレスベルトローラー21に巻回されたエンドレスベルト23とを備えたが、エンドレスベルト機構26は、さらに、1対のエンドレスベルトローラー21の間に、塗布台30(図1破線部分参照)または1本以上のローラー(図示せず)を備えることもできる。これにより、押圧力受けユニット71の調整能力および精度をさらに高めることができる。
【0383】
また、第1実施形態および第2実施形態では、制御ユニット42は、ロードセル25により検知された押圧力に基づいて、アルミニウム板材3に対して、ロール状ろう付け材2を一定の押圧力で押圧できるように昇降モータ37を駆動させ、押圧力を制御したが、制御ユニット42は、ロードセル25により検知された押圧力に基づいて、押圧力受けユニット71、または、押圧力受けユニット71における塗布台30またはローラー(図示せず)を移動させ、押圧力を制御することもできる。
【0384】
上記した第1実施形態および第2実施形態における各部材(機械要素)は、上記した実施形態の部材に限定されず、公知の部材に代替することができ、例えば、第1実施形態において、光センサーユニット40に代替して、エンコーダーを用いて、昇降機構36の上下方向における支持アーム35の位置を検知することもできる。
【0385】
また、第1実施形態および第2実施形態において、固形ろう付け材7の温度を管理するために、塗布装置1を、所定の温度で管理したケーシング内に配置することもできる。
【0386】
また、第1実施形態および第2実施形態において、塗布ユニット70は、塗布量検知手段としての蛍光X線分析装置90を備えることもできる。
【0387】
例えば、第2実施形態において、図4に点線で示すように、塗布ユニット70Bと第2ガイドローラー11Bbとの間において、アルミニウム板材3の下方に、蛍光X線分析装置90を配置する。
【0388】
蛍光X線分析装置90は、公知の蛍光X線分析装置であって、塗布ユニット70Bから送り出されたアルミニウム板材3の下方(固形ろう付け材7が塗布された面)に対し、電子線またはX線を照射して、そのアルミニウム板材3からの蛍光X線を検出し、その所望の元素の検出強度から固形ろう付け材7の塗布量を検知可能としている。
【0389】
また、蛍光X線分析装置90は、制御ユニットBに電気的に接続されている。
【0390】
このような場合には、制御ユニット42Bは、蛍光X線分析装置90により検知された固形ろう付け材7の塗布量に基づいて、搬送モータ83の駆動を制御し、アルミニウム板材3の搬送速度を一定速度に制御するか、および/または、塗布用モータ8の駆動を制御して、ロール状ろう付け材2Bの周速度を一定速度に制御するか、および/または、アルミニウム板材3に対して、ロール状ろう付け材2Bを一定の押圧力で押圧できるように昇降モータ37Bを駆動させ、押圧力を制御する。
【0391】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0392】
本発明の固形ろう付け材の塗布方法、塗布物の製造方法、塗布装置、および、ロール形状の固形ろう付け材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製品、例えば、熱交換器の製造において、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0393】
1 塗布装置
2 ロール状の固形ろう付け材
3 アルミニウム板材
6 回転軸
7 固形ろう付け材
9 第3周速度センサー
25 ロードセル
40 光センサーユニット
41 メカスイッチ
42 制御ユニット
50 回転ユニット
60 搬送ユニット
63 接続部材
74 押圧部
90 蛍光X線分析装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9