(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】無炎燃焼による発電のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F02C 3/34 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
F02C3/34
(21)【出願番号】P 2021503537
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(86)【国際出願番号】 IB2019056295
(87)【国際公開番号】W WO2020021456
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フェトヴェト,ジェレミー エロン
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト,ブロック アラン
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0248083(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0016615(US,A1)
【文献】特表2018-503337(JP,A)
【文献】特表2012-529006(JP,A)
【文献】特開2015-021465(JP,A)
【文献】特開2015-025418(JP,A)
【文献】特開2013-221506(JP,A)
【文献】特表2005-516141(JP,A)
【文献】特表2014-532833(JP,A)
【文献】特表2014-517180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0363009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00-9/58
F23R 3/00-7/00
F01D 13/00-15/12
F01D 23/00-25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電のための方法であって、
CO
2を含む再循環流を提供する工程と、
CO
2を含む前記再循環流が、CO
2を含む前記再循環流の全質量に基づいて約3質量%~約10質量%の量の酸化剤をさらに含むように、CO
2を含む前記再循環流に酸化剤を添加する工程と、
CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を燃料とともに燃焼タービン中に注入して前記燃料の燃焼および燃焼生成物流の形成を引き起こす工程であって、前記燃料の前記燃焼は、実質的に無炎である、工程と、
前記燃焼タービン中で前記燃焼生成物流を膨張させることで発電する工程と
、
CO
2
を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流から副流を取り出す工程と、
前記副流のみを専用ヒータに通す工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記燃焼タービン中に注入する前に、CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を、約400℃~約2000℃の範囲の温度に加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を加熱する工程は、CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を復熱式熱交換器に通す工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
加熱する工程は、前記燃焼生成物流から取り出された熱を利用する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を加熱する工程は、CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を専用ヒータに通す工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記燃焼タービンを出る前記燃焼生成物流を処理してその1つ以上の構成成分を除去し、CO
2を含む前記再循環流を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を、ポンプおよびコンプレッサの一方または両方を使用して前記燃焼タービンへの入力に適した圧力に加圧する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化剤は、ポンプの上流かつコンプレッサの下流に位置する入り口でCO
2を含む前記再循環流に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化剤は、コンプレッサの上流に位置する入り口でCO
2を含む前記再循環流に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記燃焼タービンは、その長手方向軸に沿って間隔をあけた入り口端および出口端を有する燃焼器を含み、前記燃焼器は、前記入り口端と前記出口端との間に位置する燃焼チャンバを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料を実質的に前記入り口端の近くでのみ前記燃焼器中に注入する工程と、CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流を、前記入り口端の近くで前記燃焼器中に注入し、かつ前記燃焼チャンバの長手方向軸の少なくとも一部に沿って前記燃焼チャンバ中にも注入する工程とを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
CO
2を含む前記再循環流の酸素含有量を測定して、CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流中の酸素濃度が規定酸素濃度内に維持されるように、酸化剤入り口でのCO
2を含む前記再循環流への前記酸化剤の前記添加を調節する酸化剤入り口命令を生成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記規定酸素濃度は、CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流の全含有量に基づいて約4モル%~約7モル%である、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流中の前記酸素濃度が、最初は、有炎燃焼を促進する第1のより高い濃度に設定され、次いで、無炎燃焼を促進する第2のより低い濃度に設定されるように、前記酸化剤入り口でのCO
2を含む前記再循環流への前記酸化剤の前記添加を調節する工程を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
発電のためのシステムであって、
燃焼器を備える燃焼タービンであって、前記燃焼器は前記燃焼タービンの長手方向軸に沿って間隔をあけた入口端および出口端を有し、前記燃焼器は前記入口端と出口端の間に位置する燃焼チャンバを有し、前記燃焼タービンは無炎動作するように構成される、燃焼タービンと、
前記燃焼タービンに燃料を送達するために構成された燃料ラインと、
前記燃焼タービンにCO
2を含む再循環流を送達するために構成された再循環ラインと、
CO
2を含む前記再循環流を前記燃焼タービンへの入力に適した圧力に加圧するために構成されたポンプおよびコンプレッサの一方または両方と、
前記再循環ラインに酸化剤を添加するために構成された酸化剤入り口であって、前記燃焼タービンの上流に位置する、酸化剤入り口と
を備え、
前記燃焼器は、前記燃料が実質的に前記
入口端の近くでのみ前記燃焼器中に受け入れられ、CO
2を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流が、前記
入口端の近くで前記燃焼器中に受け入れられ、かつ前記燃焼チャンバの長手方向軸の少なくとも一部に沿って前記燃焼チャンバ中にも受け入れられるように構成され
、且つ
CO
2
を含みかつ前記酸化剤を含む前記再循環流から副流を取り出し、前記副流のみを専用ヒータに通すように構成される
システム。
【請求項16】
以下:
前記酸化剤入り口がポンプの上流かつコンプレッサの下流に位置する、
前記酸化剤入り口がコンプレッサの上流に位置する、
という条件の1つを満たす、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記燃焼器は、再循環ノズルスプリッタ、整列再循環流ノズル部、および接線再循環流ノズル部を含む、請求項
15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワー、特に電力の生産のためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、燃料の無炎燃焼が、発電のために膨張され得る高圧燃焼生成物流を生成するのに使用される。
【背景技術】
【0002】
電力生産における作動流体としての(特に、超臨界形態における)CO2の利用は、電力生産のための非常に効率の高い方法であることが示されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる開示であるAllamらに対する米国特許第8,596,075号を参照すると、これは、実質的に大気への任意の流れの放出がゼロである復熱式酸素燃焼ブレイトンサイクル発電システムにおける直接加熱CO2作動流体の使用を説明するものである。それにもかかわらず、そのようなシステムおよび方法は、使用に必要な設備の様々な部品に著しい応力を与え得る著しく高い圧力および温度での動作を必要とする。したがって、当技術分野において、好ましくはより低応力の条件下で動作し得る、改善された効率を有する電力生産のためのさらなるシステムおよび方法の必要性が未だ存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、発電が、改善された制御性、より低いピーク温度、および燃料のより完全な酸化の1つ以上を提供する条件下での燃料の燃焼、特に酸素燃焼で達成され得るシステムおよび方法を提供する。Allamらに対する米国特許第8,596,075号に記載されたものなどの従来の燃焼システムは、抑えることが困難であり得る高いピーク火炎温度を有する。本開示によれば、無炎燃焼が著しく低い温度で達成され得、したがって、システムおよび方法で使用される設備により低応力の環境を提供し得る。また、高度に再循環される酸素燃焼サイクルは、制御および設備配置の複雑さを増しており、これは本開示に従って低減または排除され得る。電力サイクルを開始する方法も含まれ、これは、複雑な点火システムおよび制御なしで達成することが困難であり得る。
【0004】
本開示によれば、無炎燃焼は、以下の条件の1つ以上が存在するように燃料の燃焼が行われることを特に意味し得る:火炎面が実質的にまたは完全にない、可視炎が実質的にまたは完全にない、紫外またはイオン化検出が実質的にまたは完全にない、騒音または轟音が実質的にまたは完全にない。好ましくは、無炎燃焼では、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)が、非常に小さい残留値に削減される。1つ以上の実施形態では、無炎燃焼は、反応条件の規定のセットを提供することによって達成され得る。これらの条件は、燃焼反応物中に存在する酸素の質量パーセント、燃焼反応物中に存在する希釈剤(例えば、N
2、CO
2、H
2O)の質量パーセント、再循環比、および反応物の温度を含み得る。これは、(Oil and Gas Portalのウェブサイトから引用された)
図1に例示されており、図中に示された無炎燃焼の条件は、本開示のシステムおよび方法に特に適用されてよい。具体的には、無炎燃焼領域は、酸化剤の温度を上昇させ、酸素濃度を低下させ、希釈剤濃度を上昇させることによって安定化され得る。燃焼反応を実質的な無炎燃焼条件に移すことは、したがって、酸化剤流を提供するために通常なら必要なはずの、例えば、ポンプ、配管、熱交換器などの、電力生産プラントに通常なら必要なはずの様々な要素の必要性を排除するのに有効であり得る。代わりに、例えば、酸化剤は、燃焼器に入力される再循環流に直接添加されてよい。
【0005】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電のための方法を提供し得る。例えば、そのような方法は、CO2を含む再循環流を提供することと、CO2を含む再循環流が、約2モル%~約15モル%の量の酸化剤をさらに含むように、CO2を含む再循環流に酸化剤を添加することと、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を燃料とともに燃焼タービン中に注入して燃料の燃焼および燃焼生成物流の形成を引き起こすことと、燃焼タービン中で燃焼生成物流を膨張させることによって発電することとを含み得る。さらなる実施形態では、方法は、任意の数または順序で組み合わされ得る以下の記述の1つ以上に関連して定められ得る。
【0006】
燃料の燃焼は、実質的に無炎であり得る。
【0007】
方法は、燃焼タービン中に注入する前に、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を、約400℃~約2000℃の範囲の温度に加熱することをさらに含み得る。
【0008】
CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を加熱することは、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を復熱式熱交換器に通すことを含み得る。
【0009】
加熱することは、燃焼生成物流から取り出された熱を利用することを含み得る。
【0010】
CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を加熱することは、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を専用ヒータに通すことを含み得る。
【0011】
方法は、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流から副流を取り出すことと、副流のみを専用ヒータに通すこととを含み得る。
【0012】
方法は、燃焼タービンを出る燃焼生成物流を処理してその1つ以上の構成成分を除去し、CO2を含む再循環流を形成することをさらに含み得る。
【0013】
CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を、ポンプおよびコンプレッサの一方または両方を使用して燃焼タービンへの入力に適した圧力に加圧することをさらに含み得る。
【0014】
酸化剤は、ポンプの上流かつコンプレッサの下流に位置する入口でCO2を含む再循環流に添加され得る。
【0015】
酸化剤は、コンプレッサの上流に位置する入口でCO2を含む再循環流に添加され得る。
【0016】
燃焼タービンは、その長手方向軸に沿って間隔をあけた入口端および出口端を有する燃焼器を含み得、燃焼器は、入口端と出口端との間に位置する燃焼チャンバを有する。
【0017】
方法は、燃料を実質的に入口端の近くでのみ燃焼器中に注入することと、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流を、入口端の近くで燃焼器中に注入し、かつ燃焼チャンバの長手方向軸の少なくとも一部に沿って燃焼チャンバ中にも注入することとを含み得る。
【0018】
方法は、CO2を含む再循環流の酸素含有量を測定して、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流中の酸素濃度が規定酸素濃度内に維持されるように、酸化剤入口でのCO2を含む再循環流への酸化剤の添加を調節する酸化剤入口命令を生成することを含み得る。
【0019】
規定酸素濃度は、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流の全含有量に基づいて約4モル%~約7モル%であり得る。
【0020】
方法は、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流中の酸素濃度が、最初は、有炎燃焼を促進する第1のより高い濃度に設定され、次いで、無炎燃焼を促進する第2のより低い濃度に設定されるように、酸化剤入口でのCO2を含む再循環流への酸化剤の添加を調節することを含み得る。
【0021】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電のためのシステムに関し得る。
【0022】
例えば、本開示によるシステムは、燃焼タービンと、燃焼タービンに燃料を送達するために構成された燃料ラインと、燃焼タービンにCO2を含む再循環流を送達するために構成された再循環ラインと、CO2を含む再循環流を燃焼タービンへの入力に適した圧力に加圧するために構成されたポンプおよびコンプレッサの一方または両方と、再循環ラインに酸化剤を添加するために構成された酸化剤入口であって、燃焼タービンの上流に位置する、酸化剤入口とを含み得る。さらなる実施形態では、システムは、任意の数および順序で組み合わされ得る以下の記述の1つ以上に関連して定められ得る。
【0023】
以下:酸化剤入口がポンプの上流かつコンプレッサの下流に位置する、酸化剤入口がコンプレッサの上流に位置する、という条件の1つが満たされ得る。
【0024】
燃焼タービンは、無炎動作のために構成され得る。
【0025】
燃焼タービンは、その長手方向軸に沿って間隔をあけた入口端および出口端を有する燃焼器を含み得、燃焼器は、入口端と出口端との間に位置する燃焼チャンバを有する。
【0026】
燃焼器は、燃料が実質的に入口端の近くでのみ燃焼器中に受け入れられ、CO2を含みかつ酸化剤を含む再循環流が、入口端の近くで燃焼器中に受け入れられ、かつ燃焼チャンバの長手方向軸の少なくとも一部に沿って燃焼チャンバ中にも受け入れられるように構成され得る。
【0027】
燃焼器は、再循環ノズルスプリッタ、整列再循環流ノズル部、および接線再循環流ノズル部を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】反応温度、再循環比、O
2パーセント、および希釈剤パーセントに関連した燃焼特性を示すチャートである。
【
図2】有炎燃焼を利用し、そこに構築された様々な制御機能を含む、電力生産システムを示す図である。
【
図3】電力生産システムの有炎燃焼で使用するための燃焼器を示す図である。
【
図4A】本開示の実施形態による、無炎燃焼を利用する電力生産方法に有用な電力生産システムの図である。
【
図4B】本開示の実施形態による、無炎燃焼を利用する電力生産方法に有用なさらなる電力生産システムの図である。
【
図5】本開示の実施形態による、無炎燃焼を利用する電力生産方法に有用なさらに別の電力生産システムの図である。
【
図6】本開示の実施形態による電力生産システムおよび方法の無炎燃焼で使用するための燃焼器の図である。
【
図7】電力生産方法が最初は有炎燃焼で動作してよい本開示の実施形態による、無炎燃焼を利用する電力生産方法に有用な追加の電力生産システムの図である。
【
図8】本開示の実施形態による電力生産システムおよび方法の有炎および無炎燃焼で使用するための燃焼器の図である。
【
図9】電力生産方法が最初は有炎燃焼で動作してよい本開示の実施形態による、無炎燃焼を利用する電力生産方法に有用なさらに別の電力生産システムの図である。
【
図10】本開示の実施形態による、無炎燃焼を利用する電力生産方法に有用なさらなる追加の電力生産システムの図である。
【
図11】本開示の実施形態による、無炎燃焼を利用する電力生産方法に有用なさらなる追加の電力生産システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の主題について、その例示的実施形態を参照して、以下でより完全に記載する。これら例示的実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であるように記載され、当業者に主題の範囲を完全に伝えるものであろう。実際、主題は、多くの異なる形態で具現化されることができ、本明細書に明記される実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これら実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈で特段他の意味が明示されていない限り、複数形を含む。
【0030】
1つ以上の実施形態では、本開示は実質的な無炎燃焼による電力生産のためのシステムおよび方法に関する。本開示は、より具体的には、電力生産システムの制御を提供する1つ以上の制御スキームに関し得る。酸素燃焼電力生産システムおよび方法のための制御スキームは、例えば、Fetvedtらに対する米国特許公開第2016/0134291号に開示されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、
図2は、炭素質燃料を酸素で燃焼させる直火式酸素燃焼サイクルのための電力生産サイクル制御構成を示す。簡単に言うと、燃料源75からの燃料は、主燃料弁14を通って、酸化剤源76からライン77を通った酸化剤との燃焼のために燃焼タービン10に入る。燃焼タービン10による膨張は、発電機11での発電を引き起こす。タービン排気ライン62中のタービン排気は、任意選択の復熱式熱交換器50および/または排気水冷却器16で冷却され、その後、水が水出力弁61を通ってシステムから出るために除去される水分離器60を通ってよい。(例えば、主に二酸化炭素を含む)実質的に精製された再循環流は、ライン63で水分離器60を出て、再循環コンプレッサ30、再循環水冷却器18、および再循環ポンプ20を順次通る。高圧再循環ライン64中の高圧再循環二酸化炭素は、次いで、燃焼タービン10に通される。酸化剤源76からの酸化剤は、酸化剤弁111を通り、その後、ライン63から圧力制御弁103を通して提供された再循環二酸化炭素と希釈混合するためにユニオン114を通る。酸化剤は、次いで、第1の酸化剤熱交換器22、およびコンプレッサ90で中間圧縮されて第2の酸化剤交換器24を通る。酸化剤は、最終的に、燃焼タービン10中へ通るライン77で酸化剤ポンプ80を出る。
【0031】
図2では、電力コントローラ1は、いくつかの可能な項目を測定し、示されるように、発電機11の電力出力を測定する。電力コントローラ1は、主燃料弁14を介したシステム中への燃料添加を命令する。燃料がシステムに添加されると、タービン入口温度は変化することになり、タービンによる膨張後、点13の温度は変化することになる。ポンプコントローラ2は、点13の温度を測定し、点13を一定の温度に維持するために、再循環ポンプ20(例えば、可変速ポンプ)のパワーを変化させるように命令する。ポンプ20を通る流量が変化すると、これは、ポンプの前の点23での吸い込み圧力を変化させることになる。ポンプに入る一定の圧力を維持するために、スピルバックコントローラ3は、点23の圧力を測定し、より多量またはより少量の流体を点44に戻すことによって圧力を増減するようにスピルバック弁31を制御する。物質がタービン排気流中に戻る時、点13の圧力を実質的に一定に維持することが望ましい。点13は、点44および43と流体連通し、それらの各圧力は、設備および配管を通じた圧力損失によってのみ異なる。点43の圧力は、測定点44の圧力を維持するために物質をサイクルから出すようにサイクル出力弁41を制御する、サイクル出力コントローラ4によって測定される。加えて、水出力コントローラ6は、その入力信号として水分離器60中の水位を取得し、水出力弁61の制御によって水位を所望の範囲内に制御する。復熱式熱交換器50が存在し得るが、必須ではない。
【0032】
図2に示す構成では、酸化剤対燃料比コントローラ8は、燃料の質量流量と点82の酸化剤の質量流量との間の比率を測定する。このコントローラは、ポンプのパワーを変化させ、所要圧力での正確な酸化剤対燃料比の送達を可能とするために、酸化剤ポンプ80(例えば、可変速ポンプ)に信号を送信する。主要なラインと同様に、酸化剤スピルバックコントローラ9は、点93の圧力を測定し、より多量またはより少量の流体を酸化剤コンプレッサ90の前に存在させることによって圧力を増減するように酸化剤スピルバック弁91を制御する。圧力コントローラ100は、酸化剤コンプレッサ90の吸い込みである点102の圧力を測定し、点102の圧力が一定のままであることを確実にするように圧力制御弁103を制御する。希釈比コントローラ110は、点113で流入するCO
2と点112で流入するO
2との間の比率を測定し、正確な比率が確実に維持されるように酸化剤弁111を制御する。
【0033】
主燃料弁14を出る燃料流、酸化剤ポンプ80を出る酸化剤流、および再循環ポンプ20を出る再循環流は、すべて燃焼タービン10に入る。本明細書で説明するように、燃焼タービン10は、電力生産のための燃焼および膨張を行うために構成された単一ユニットとして構成され得る。所望により、別個の燃焼器ユニットおよびタービンユニットが利用されてよい。燃焼タービン10の内部に、
図3に示すような燃焼器130が存在する。主燃料弁14を出る燃料流は注入燃料流14Bとして入り、酸化剤ポンプ80を出る酸化剤流は注入酸化剤流80Bとして入り、再循環ポンプ20を出る再循環流は注入再循環流20Bとして入る。一般的な燃焼器では、注入燃料流14Bは、燃料を燃焼器火炎帯10A中に誘導する燃料ノズル14Cを通して燃焼器130に入る。酸化剤流80Bは、酸化剤を火炎帯10A中に誘導する酸化剤ノズル80Cを通して燃焼器130に入る。一般に、これらのノズルは、ジェットおよびスワーラなどの特有の幾何学的特徴を含有し、2つの流れを混合させ、火炎の保持を促し、火炎帯10Aの火炎形状を維持して燃料の完全燃焼を促す。燃焼器のさらに先で、注入再循環流20Bが燃焼器130に入り、火炎と混合し、温度の低下を提供し、混合物の均一性を高め、その後、燃焼流10Bとして燃焼器を出て、次いで、燃焼タービン10のタービン部分に入る。しかしながら、この方式の典型的な燃焼には、本開示に従って取り組まれる様々な欠点がある。
【0034】
本開示の実施形態による電力生産システムおよび方法を
図4Aに示す。以下で特に記載されていない
図4Aの要素は、
図2に関連して記載されたのと同様の要素に対応すると理解される。
図4Aに示す電力サイクルは、
図2に示す電力サイクルと実質的に同様であるが、無炎燃焼のために特に構成される。無炎燃焼構成のため、酸化剤の計量、混合、および供給に必要な設備は、実質的にまたは完全に排除され得る。
【0035】
示された
図4Aの実施形態では、酸素コントローラ120は、点23で再循環流の酸素含有量を測定し、再循環流中の一定の酸素濃度を維持するように酸化剤弁111を制御する。本実施形態では、
図2に関連して記載されたその他の酸化剤列は実質的になくなり、酸化剤源76からの酸素は単純に酸素コントローラ120および再配置された酸化剤弁111で制御され得ることに留意されたい。しかしながら、所望により、混合比要素がコントローラ1に組み合わされ得る。比率が正確な場合、再循環流中の残留酸素濃度を間接的に指示することが可能である。
図4Aに示すように、開示されたシステムおよび方法は、酸化剤源76、酸化剤弁111、および再循環流に酸化剤を直接添加するために構成された酸化剤入口211(例えば、ユニオン、三方継ぎ手など)を含むように適合または構成され得る。
【0036】
先述のように、様々な実施形態では、燃焼タービン10中に注入される流れの酸素レベルは、概して、伝統的な酸素燃焼、酸素富化燃焼、人工空気、または空気よりはるかに低い。1つ以上の実施形態では、例えば、タービン/燃焼器中に注入される流れの全酸素含有量は、約2質量%~約15質量%、約3質量%~約15質量%、約3質量%~約10質量%、約4質量%~約10質量%、または約4質量%~約8質量%の範囲であり得る。濃度は、タービン/燃焼器中に注入される酸化剤流の全質量に基づいてよい。より具体的には、二酸化炭素を含みかつ酸化剤を含む再循環流は、上述のような全酸素濃度を有してよく、したがって、酸素濃度は、二酸化炭素を含みかつ酸化剤を含む再循環流の全質量に基づいてよい。酸化剤流は、上述の量の酸素(または他の酸化剤)を含んでよく、酸化剤流の残りの含有量は、さらなる酸化剤を除く物質を含んでよい。例えば、酸化剤流が二酸化炭素を含みかつ酸素(または他の酸化剤)を含む再循環流である場合、流れは、その他に非酸化性物質(例えば、窒素もしくは他の不活性ガスまたは希釈剤)から形成されてよい。いくつかの実施形態では、したがって、再循環流は、上述の濃度の酸化剤および1つ以上の希釈剤を含んでよい。
【0037】
示されるように、酸素は、コンプレッサ30と再循環ポンプ20との間の再循環ラインに導入され得る。酸素は、任意選択で、
図4Bに示すように、比較的低い圧力で再循環ライン63に導入され得る。あるいは、酸素は、再循環ポンプ20の下流の高圧再循環流ライン64中に入力する時に、より高い圧力に圧縮されてよい。プラントの他のすべての制御は、
図2に関連して説明されたシステムおよび方法に関するものなどと実質的に同様に動作してよい。
【0038】
図2および
図4Aの図を比較すると、例えば、本開示のシステムが、燃焼タービン10中に酸化剤を導入するための専用酸化剤ラインを利用する必要性を実質的にまたは完全に回避する能力から利益を得ることは明らかである。したがって、いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、燃焼タービン10に入る専用酸化剤ラインを明示的に除外するように適合または構成され得る。したがって、本開示のシステムおよび方法は、少なくとも1つの燃料入力および少なくとも1つの再循環流入力を有するが、別個の酸化剤入力を明示的に除外する燃焼タービン10を含み得る。この場合、少なくとも1つの再循環流入力は、酸化剤が添加された再循環流(例えば、二酸化炭素流)を入力するために構成され得る。
【0039】
1つ以上の実施形態では、
図4Aに関連して記載されたような酸化剤源76からの酸化剤(例えば、実質的に純粋な酸素)の入力は変更されてよい。例えば、
図4Bに関して、酸素コントローラ120は、再循環コンプレッサ30の下流の点で再循環流の酸素含有量を測定するために構成され得、これは、点23で取得された測定値と実質的に同一であってよい。あるいは、酸素コントローラ120は、再循環コンプレッサ30の上流であるが水分離器60の下流である点で再循環流の酸素含有量を測定するために構成され得、これは、点43で取得された測定値に実質的に対応してよい。次いで、酸素コントローラ120は、酸化剤弁111を制御して、再循環コンプレッサ30の上流かつ水分離器60の下流の再循環流中に酸化剤の入力を提供する。いくつかの実施形態では、酸素は、追加でまたは代わりに、
図4Aおよび/または
図4Bに示すシステムの点13で直接提供され得る。そのような添加は、システムを準化学量論的に動作させる能力を提供し得る。点13での酸素の導入は、熱交換器50においてBoudouard温度超で排気COのCO
2への変換を容易にし得、したがって、周辺機器(BOP)を冶金的に保護し得る。
【0040】
1つ以上の実施形態では、
図5に例示するように、コントローラ120はまた、再循環ポンプ20に入る流れの正確な酸素濃度を提供する適切な設定を提供するために、酸素添加前に酸素濃度を測定するように適合または構成されてもよい。したがって、酸素コントローラ120は、酸化剤弁111を通る酸化剤からの酸化剤添加点の上流の点、および/または酸化剤希釈弁を通る酸化剤からの酸化剤添加点の下流の点で、再循環流の酸素濃度を測定するように適合または構成され得る。この制御は、他の可能な測定、測定の組み合わせ、およびサイクル内の他の部分からのデータおよび動作パラメータに基づく計算も含み得る。加えて、水分離器60は、例えばCO
2であるがこれに限定されない他の化学種を除去するように変更され得る。この方法では、サイクルは、例えばAr、He、またはXeであるがこれらに限定されない別の不活性ガスで動作し得る。
【0041】
上述および後述のような本開示のシステムおよび方法は、実質的な無炎燃焼の利用のために特に構成され得る。
図6は、本開示による、無炎燃焼のために適合または構成され得る燃焼器131の例示的実施形態を示す。(独立型構成要素、または複合燃焼タービンの一体型構成要素であり得る)燃焼器131は、燃焼器の長手方向軸に沿って間隔をあけた入口端131aおよび出口端131bを含み、入口端と出口端との間に位置する燃焼チャンバ10Cも含む。燃焼チャンバ10Cは、燃焼(例えば、酸化剤による燃料の酸化)が実質的にまたは完全に火炎の非存在下で起こる反応領域であると理解される。
【0042】
独立した酸化剤流が必要ないため、無炎燃焼器131は、(低濃度の酸化剤を含む)注入再循環流20Bが複数の場所で燃焼チャンバ10Cに入り得る一方で、注入燃料流14Bが依然として燃料ノズル14C中に注入されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、無炎燃焼器131は、燃焼チャンバ10C中への燃料の注入のために構成される燃料ノズル14Cを含むように適合または構成されてよく、無炎燃焼器はまた、分割再循環流ノズル20Cを含むように適合または構成されてよい。より具体的には、分割再循環流ノズル20Cは、再循環ノズルスプリッタ20D、整列再循環流ノズル部20E、および接線再循環流ノズル部20Fを含み得る。次いで、(酸化剤を含む)再循環流は、分割再循環流ノズル20Cを通して無炎燃焼器131に入力され得、再循環ノズルスプリッタ20Dで分割され得、その結果、(酸化剤を含む)再循環流の一部は、整列再循環流ノズル部20Eを通って、燃料ノズル14Cを通して入る燃料と並んで燃焼チャンバ10Cに入力され得る。次いで、(酸化剤を含む)再循環流のさらなる部分は、接線再循環流ノズル部20Fを通して燃焼チャンバ10Cに入り得る。接線再循環流ノズル部20Fを通して燃焼チャンバ10Cに入る再循環流は、燃焼チャンバの長さに沿った任意の位置の1つまたは複数の点を通して入り得る。
【0043】
図6に見られるように、特有の火炎帯10A(
図3参照)は、もはや必要とされない。むしろ、燃焼チャンバ10Cは、実質的に全体が燃焼領域として構成され得る。1つ以上の実施形態では、接線再循環流ノズル部20Fを通して注入される再循環流20Bの一部は、酸化領域を操作するように調整されてよい。例えば、ノズル20Fを通した流れ20Bの下流注入は、燃料流14Bの指向性フローに接線方向であってよく、その結果、再循環流入力は、燃料ノズル14Cを通した流れ14Bの入口に実質的に誘導される。これは、タービン混合、したがって流入する燃料の完全な酸化を容易にしてよい。これはまた、より良好な温度分布を作り出し、混合に必要な所要燃焼器長を短縮する追加の効果を有する場合がある。示されるように、再循環流20Bは、整列再循環流ノズル部20Eを通して燃料流14Bの注入方向に実質的に平行な方向に、かつ/または接線再循環流ノズル部20Fを通して燃料流の注入方向に実質的に接線方向に、燃焼チャンバ10C中に注入され得る。
【0044】
本開示のシステムおよび方法は、好ましくは、燃焼器131に入る反応物が十分に高い温度であるように構成される。好ましくは、燃焼器131に入る反応物は、独立して、約400℃~約1500℃、約425℃~約1000℃、約450℃~約900℃、または約500℃~約750℃の範囲の温度である。いくつかの実施形態では、二酸化炭素を含む再循環流は特に、記載された範囲内の温度で提供されてよい。
【0045】
図7は、電力生産サイクルが低温から開始し、従来の燃焼サイクルとして動作し、主熱交換器50が無炎燃焼に必要な条件を提供するのに十分な温度になると無炎燃焼に移行してよい本開示の実施形態による、システムおよび方法を示す。サイクルは、酸素コントローラ120が本開示による無炎燃焼に必要とされ得るものより著しく高い酸素濃度を維持するように動作することから開始し得る。例えば、サイクルは、コントローラ120が約15モル%~約40モル%または約15モル%~約30モル%の範囲の酸素濃度を維持するように動作することから開始し得る。酸化剤弁111を通る酸化剤源76からの酸素は、点火の目的で変わり得る。例えば、酸化剤弁111を通してシステムに入る酸素は、空気に由来し得るか、かつ/または専用の酸素発生ユニットから提供されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、
図7に示すようなシステムは、追加の燃料制御弁、および/または燃焼タービン10内の複数の注入ノズルを含むように構成され得る。例えば、燃焼ノズルの第1のセットは実質的に、
図3に関連して示されたような火炎帯で燃焼を引き起こすためのものであり得、燃焼ノズルの第2のセットは実質的に、
図6に関連して示されたような無炎燃焼を行うためのものであり得る。動作時、起動モードが進行中である場合、有炎燃焼燃料弁210が開放され得、燃料流を主燃料弁14から燃焼タービン10の内部の燃焼ノズルの第1のセット中に誘導し得、無炎燃焼燃料弁220は閉鎖され得る。全燃料流量は、主燃料弁14によって、または主燃料弁14が停止弁として動作する有炎燃焼燃料弁210によって、制御され得る。主熱交換器50の加熱によって無炎燃焼の条件が達成されると、次いで酸素コントローラ120は、酸素濃度を、上ですでに述べられたような範囲内などの最終的な動作値に低下させ得る。この移行中、有炎燃焼燃料弁210は閉鎖され得、無炎燃焼燃料弁220が開放されて、無炎燃焼により寄与する燃焼器の内部の燃焼ノズルの第2のセットを通して燃料を流し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、無炎燃焼のために適合または構成された燃焼器131は、
図8に示すようなノズル構成を含み得、これは、弁210および220によって使用され得る異なる燃料送達ノズルの例を示す。具体的には、
図8では、有炎燃焼燃料弁210からの燃料流210Bは、1つ以上の実質的に中心配向された燃料ノズル210Cを通り得、弁220からの燃料流220Bは、1つ以上の実質的に接線配向された燃料ノズル220Cを通り得る。
図8の再循環流20Bのノズルおよびフローは、
図6に関連して示されたものと実質的に同じであり得る。
【0048】
図9は、実質的に低温状態から電力サイクルを開始するためのシステムおよび方法のさらなる例示的実施形態を示す。この例では、再循環流から取り出され、再循環副流弁300を通る副流が存在し、所望により、主プラントコントローラまたは専用コントローラによって制御され得る。ライン65中の再循環副流は、再循環副流ヒータ310を通り、燃焼タービン10の内部の無炎燃焼の正確な条件を達成するまで上昇した温度を有する。ヒータによって供給される熱は、電気、外部ガス燃焼、核、蒸気、他のプロセス設備の中間冷却、または太陽などの任意の供給源に由来し得るが、これらに限定されない。副流と主流との間の流量の差のため、より小さい火炎帯がこの燃焼器内に主熱交換器まで潜在的に存在する。加えて、ライン65中の再循環副流の酸素含有量を副流酸化剤弁111Bによって増加させてよい任意選択の酸素コントローラ110Bが存在し、そのような酸素の供給源はやはり変わってもよい。示されていないが、この選択肢はまた、燃料制御のための弁210および220を
図7に示されたのと実質的に同じ構成で組み込み得る。弁300は、サイクルがフルパワーで動作している時、閉鎖されていても閉鎖されていなくてもよい。
【0049】
図10は、再循環インラインヒータ310aが高圧再循環ライン64上に配置されている、本開示によるシステムおよび方法のさらなる例示的実施形態を示す。この方法では、再循環インラインヒータ310aは、主熱交換器50から不足している熱を提供して、再循環インラインヒータ310aがもはや必要とされなくなるまでサイクルを開始および動作させる。この構成では、再循環インラインヒータ310aは、過渡的な操作、負荷制限、トリップなどの間の設備温度を維持するためにも使用され得る。
図10は、再循環ヒータ310bが、第1の再循環ヒータ弁311、第2の再循環ヒータ弁312、および第3の再循環ヒータ弁313も含む分離可能な構成で設けられる、任意選択の実施形態も示す。再循環ヒータ弁(311、312、313)は、必要なくなった場合、再循環ヒータ310bを動作中に流路から除去することを可能とするように適合または構成され得る。これは、設備のより低い圧力定格を可能とする。
【0050】
図11は、発電所の始動のために特に構成された本開示によるシステムおよび方法のさらなる例示的実施形態を示し、具体的にはヒータ弁400および追加ヒータ410の追加を組み込み得、その各々は、所望により、主プラントコントローラまたは1つ以上の専用コントローラによって独立して制御されてよい。追加ヒータ410は、任意の可能な供給源から熱を提供し得、非限定的な例は、天然ガス燃焼、直接または間接、電気、太陽、他のプロセス設備の中間冷却などである。追加ヒータ410は、熱をシステムに提供して、システムが無炎方式で動作することができるまで主熱交換器50の温度を上昇させ得る。システムの準備ができたら、燃料が添加され得、システムが点火され得る。任意選択で、追加ヒータ410は、タービン排気上に直接配置され、ヒータ弁400によって提供されるバイパス流なしで動作し得る。追加ヒータ410は、任意選択で、燃焼タービン10の電力出力に影響を及ぼすことなく主燃料弁14での燃料消費を低減するために使用されてよい。主燃料弁14を閉鎖すると、燃焼温度は下がることになる。これは、点13での排気温度の低下をもたらすことになる。ポンプコントローラ2が作動される前に、追加ヒータ410は排気温度を上昇させてよく、それによりタービンの流量および圧力を維持する。この種の動作は、追加ヒータ410によって追加される熱が主燃料弁14で使用される燃料より低い経済価値のものである場合、有益であり得る。非限定的な例は、石炭燃料蒸気タービンシステムが、追加ヒータ410の動作のための蒸気を提供することである。蒸気は、ソーラーアレイによっても提供され得る。追加ヒータ410、および/または再循環副流ヒータ310、および/または再循環インラインヒータ310a、および/または再循環ヒータ310bは、独立して、ヒータがCO
2および酸化剤を含む再循環流の加熱専用であるという点で、専用ヒータと呼ばれてよい。
【0051】
さらなる実施形態では、加熱は熱交換器50の不可欠な部分であり得る。熱交換器50は、例えば、電気、石油、核、太陽などであるが、これらに限定されない供給源からエネルギーを得るその構造加熱要素内に配置されてよい。一例では、要素は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するユニットであってよい。要素は、風力エネルギーおよび太陽エネルギーのような再生可能資源を介した電気から選んでよいが、これらに限定されない。再生可能資源は一日のうちで出力が変動するため、熱交換器50で利用可能な抵抗加熱も変動することになる。電力コントローラ1は、一定の電力出力を維持するように構成されてよい。これは、本質的に、酸素コントローラ120に入力酸素の量を変えさせることになる。そのようなスキームは、発電プラントの熱または圧力サイクルなしで、自動的な即時負荷追従を可能とし得る。これはまた、補助的な加熱のために酸素が利用可能である場合より速く、電力システムが起動中の施設の電力出力を増やすことを可能としてよい。
【0052】
当業者であれば、前述の説明および付随する図面に示される教示の利益を有して本開示の主題に関連する、本開示の主題の多くの変更形態および他の実施形態を思いつくであろう。それゆえ、本開示は、本明細書に記載される具体的な実施形態に限定されるものではなく、変更形態および他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることを理解されたい。明細書において具体的な用語が用いられているが、それらは単に一般的かつ記述的な意味で使用されており、限定を目的としていない。
【符号の説明】
【0053】
1 電力コントローラ
2 ポンプコントローラ
3 スピルバックコントローラ
4 サイクル出力コントローラ
6 水出力コントローラ
8 酸化剤対燃料比コントローラ
10 燃焼タービン
10A 燃焼器火炎帯
10B 燃焼流
10C 燃焼チャンバ
11 発電機
14 主燃料弁
14B 注入燃料流
14C 燃料ノズル
16 排気水冷却器
18 再循環水冷却器
20 再循環ポンプ
20B 注入再循環流
20C 再循環流ノズル
20D 再循環ノズルスプリッタ
20E 整列再循環流ノズル部
20F 接線再循環流ノズル部
22 第1の酸化剤熱交換器
24 第2の酸化剤熱交換器
30 再循環コンプレッサ
31 スピルバック弁
41 サイクル出力弁
50 復熱式熱交換器
60 水分離器
61 水出力弁
62 タービン排気ライン
63 再循環流ライン
64 高圧再循環ライン
65 再循環副流ライン
75 燃料源
76 酸化剤源
77 酸化剤ライン
80 酸化剤ポンプ
80B 注入酸化剤流
80C 酸化剤ノズル
90 酸化剤コンプレッサ
91 酸化剤スピルバック弁
100 圧力コントローラ
103 圧力制御弁
110 希釈比コントローラ
110B 酸素コントローラ
111 酸化剤弁
111B 副流酸化剤弁
114 ユニオン
120 酸素コントローラ
130 燃焼器
131 無炎燃焼器
131a 燃焼器入口端
131b 燃焼出口端
210 有炎燃焼燃料弁
210B 有炎燃焼のための燃料流
210C 中心配向された燃料ノズル
211 酸化剤入口
220 無炎燃焼燃料弁
220B 無炎燃焼のための燃料流
220C 接線配向された燃料ノズル
300 再循環副流弁
310 再循環副流ヒータ
310a 再循環インラインヒータ
310b 再循環ヒータ
311 第1の再循環ヒータ弁
312 第2の再循環ヒータ弁
313 第3の再循環ヒータ弁
400 ヒータ弁
410 追加ヒータ