(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】コーティング用の顔料分散剤
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20240322BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240322BHJP
C09D 151/00 20060101ALI20240322BHJP
C09D 153/00 20060101ALI20240322BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240322BHJP
C09B 67/46 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
C09D17/00
C09D201/00
C09D151/00
C09D153/00
C09B67/20 L
C09B67/46 B
(21)【出願番号】P 2021511554
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2019071413
(87)【国際公開番号】W WO2020043462
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-04
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】サマンタ,シャンパ アール
(72)【発明者】
【氏名】パテル,シンタンクマール ジャヤンティラル
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チンリン
(72)【発明者】
【氏名】ハートリーブ,カーレル
(72)【発明者】
【氏名】モール,ベンヤミン ゲオルク ロベルト
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108129587(CN,A)
【文献】特表2011-511130(JP,A)
【文献】特表2013-514394(JP,A)
【文献】特開昭52-065731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/20,67/46
C09D 1/00-201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー骨格、および式(I)の少なくとも1つの部分を含む、ポリマー顔料分散剤
であって、
ポリマー骨格が直鎖状ジブロックポリマーであるか、又は
ポリマー骨格がランダムポリマーであり、且つポリマー顔料分散剤がグラフトポリマーである、
ポリマー顔料分散剤
【化1】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、または少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-O-基であり、または、-C(=O)-O-基を含み、
それによって、式(I)の部分が、-C(=O)-O-基を経由してポリマー骨格に結合している)
。
【請求項2】
ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1000g/molから≦25000g/molの範囲の数平均分子量(M
n)を有する、請求項1に記載のポリマー顔料分散剤。
【請求項3】
ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦20の範囲の多分散性(PDI)を有する、請求項1に記載のポリマー顔料分散剤。
【請求項4】
式(I)の少なくとも1つの部分の合計質量が、ポリマー顔料分散剤の合計質量に対して、≧5wt.%から≦50wt.%の範囲である、請求項1に記載のポリマー顔料分散剤
。
【請求項5】
グラフトポリマーが、少なくとも1種のポリエステルブロック、または少なくとも1種のポリエーテルブロックを含む、請求項
1に記載のポリマー顔料分散剤。
【請求項6】
少なくとも、≧80℃から≦150℃の温度にて、ジブロックポリマーと、式(II)の化合物を反応させる工程を含み、直鎖状ジブロックコポリマーが、第1および第2のブロックを含み、任意に、溶媒の存在下で、リビングフリーラジカル重合により得られる、少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法
【化2】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-OHであり、または-C(=O)-OHを含む)。
【請求項7】
少なくとも、
(a)ランダムポリマーと式(II)の化合物を反応させる工程
【化3】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含む)、ならびに
(b)≧30℃から≦190℃の温度にて、工程(a)で得られた化合物と、ラクトンの少なくとも1種のモノマーを反応させる工程を含む、少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法
であって、
ポリマー顔料分散剤がグラフトポリマーである、
方法。
【請求項8】
少なくとも、
(a)≧70℃から≦140℃の範囲の温度にて、少なくとも1種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、および少なくとも1種のカルボン酸無水物を反応させて、混合物を得る工程、ならびに
(b)≧70℃から≦140℃の範囲の温度にて、工程(a)で得られた混合物と、ランダムポリマーおよび式(II)の化合物を反応させる工程を含む、少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法
であって、
ポリマー顔料分散剤がグラフトポリマーである、方法
【化4】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-OHであり、または-C(=O)-OHを含み、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい)。
【請求項9】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリマー顔料分散剤、少なくとも1種の溶媒および少なくとも1種の顔料を含む、顔料分散体。
【請求項10】
請求項
9に記載の顔料分散体、および少なくとも1種の結合剤を含むコーティング組成物。
【請求項11】
印刷インク、自動車用クリアコート、自動車用ベースコート、練り顔料、家具用コーティングおよび木材用コーティングにおける、請求項
9に記載の顔料分散体を使用する方法。
【請求項12】
請求項
10に記載のコーティング組成物から形成される、少なくとも1つの層でコーティングされている物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー顔料分散剤、ポリマー顔料分散剤を製造するための方法と、コーティングするために、また、印刷インク、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、練り顔料、家具用コーティングおよび木材用コーティングに使用される顔料分散剤を含む顔料分散体に関する。本発明は、顔料分散体を含むコーティング組成物にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
顔料コーティング組成物は、耐食性プライマーおよび装飾用トップコートとして自動車産業で幅広く使用されている。自動車市場は、透明度が高い色、および豊かな彩度の流行に向かっているが、色は、自動車産業の車両の商業化部門における主な要因である。高い透明度および豊かな彩度は、一般的に、クリアコート中において、サイズがサブミクロンまでの有機顔料のきわめて安定な微細分散体により達成される。しかし、サイズが小さい、すなわち100nm未満の顔料粒子の凝集は、コーティングにおいてその塗布中に、また、コーティング組成物中において長期間保存中に、コーティング産業では大きな課題である。顔料分散体は、顔料の膠着および粘度の変化を最小限にし、実質的に安定なままであることが望ましい。
【0003】
以前より、顔料分散体組成物に使用されるアンカー官能基を有するモノマーは、事前合成されなければならず、これは煩雑な方法である。以前からの方法によるモノマー合成は、前駆体の不要な重合を引き起こすおそれがあり、これは望ましくない。さらに、事前合成されたモノマーで製造された分散剤は、合成にいくつかの制約、例えば特殊な設定および厳しい条件、ならびに、立体効果の大きさによる反応性の乏しさがある。したがって、既存の顔料分散体組成物の問題に取り組むために、新規な方法による顔料分散剤および分散体の開発を続ける必要がある。
【0004】
現状技術では、アンカーブロックまたはアンカーを形成する事前合成されたモノマーを含む顔料分散剤は公知であり、例えば、以下の参考文献に記載されている。
【0005】
U.S.2016/0246200A1は、顔料、非水溶性溶媒、特定のアゾ骨格構造が、モノマーユニットを有する特定のポリマーに結合している化合物、および合成されるモノマーユニットを有するポリマー化合物を含む顔料分散体組成物について記載している。
【0006】
US2016/257774A1は、少なくとも1個のペンダント状に結合したイミド基を有するアクリル骨格を含むポリマー分散剤組成物について記載しており、イミドのカルボニルは、縮合芳香族環に化学的に結合している。
【0007】
U.S.6,037,414Aは、アクリル骨格、ポリエステル側鎖、環状イミド基および四級アンモニウム基を有するグラフトポリマーを含むポリマー顔料分散剤について記載している。
【0008】
U.S.8,129,466B2は、ナフトエ酸と反応させたグリシジル(メタ)アクリレートを含む第1のブロック、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む第2のブロック、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む第3のブロックを有するトリブロックポリマーを含む分散剤を含むナノ粒子分散体について記載しており、前記第3のブロックは、前記第2のブロックと異なる。
【0009】
WO2016/098578A1は、固体含有量の合計量に対して1~70質量パーセントの量でモノマーを含有する多環式芳香族炭化水素を含有することを特徴とする顔料分散樹脂の組成物について記載している。
【0010】
JP2017/226753Aは、ナフチル基またはその誘導体を有する、1~70質量パーセントの重合可能な不飽和モノマーを含有する顔料分散体樹脂を含有する顔料分散体ペーストについて記載している。
【0011】
従来技術で開示されている方法および組成物には、制約がある。上記の従来技術で開示されている組成物および方法は、サイズがサブミクロンまでの顔料粒子の微細分散を達成する顔料粒子との強力な相互反応を有する効率的な顔料分散剤を提供していない。顔料粒子との強力な相互反応がないと、市場で望ましい透明度および色が影響を受ける。さらになお、上記の従来技術は、顔料分散剤のアンカーブロックを形成するモノマーの事前合成を開示しており、モノマーの精製には制約があり、厳しい条件を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】U.S.2016/0246200A1
【文献】U.S.2016/257774A1
【文献】U.S.6,037,414A
【文献】U.S.8,129,466B2
【文献】WO2016/098578A1
【文献】JP2017/226753A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、温和な条件下で容易に合成できるポリマー顔料分散剤を含有する顔料分散体に由来する、より低い明度(L*値の測定により測定される)のコーティングにより証拠立てられるように、顔料粒子を効率的に分散させる、十分に定義されているポリマー鎖構造を有するポリマー顔料分散剤を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、ポリマー顔料分散剤を製造する効率的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書で以下に記載されているポリマー顔料分散剤を含むコーティング組成物は、新規なポリマー顔料分散剤を含むコーティング組成物に由来するコーティングのより低い明度(L*値の測定により測定される)により証拠立てられるように、顔料粒子に優れた安定化をもたらすことが意外にも見出された。さらに、本明細書で以下に記載されているポリマー顔料分散剤を製造する方法は、アンカーの事前合成を含む以前より公知の方法よりも効率的であり、それよりも安価であることを想定外に見出した。
【0016】
したがって、一態様では、本発明は、ポリマー骨格(P)および式(I)の少なくとも1つの部分を含むポリマー顔料分散剤を対象とする
【化1】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、または少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-O-基であり、または、-C(=O)-O-基を含み、
それによって、式(I)の部分は、-C(=O)-O-基を経由してポリマー骨格に結合している)。
【0017】
別の態様では、本発明は、少なくとも、≧80℃から≦150℃の範囲の温度にて、直鎖状ジブロックポリマーと式(II)の化合物を反応させる工程を含み、直鎖状ジブロックコポリマーは、第1および第2のブロックを含み、任意に、溶媒の存在下で、リビングフリーラジカル重合により得られる、少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする
【化2】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含む)。
【0018】
さらに別の態様では、本発明は、少なくとも、(a)ランダムポリマーと式(II)の化合物を反応させる工程
【化3】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含む)、および、
(b)≧100℃から≦140℃の範囲の温度にて、工程(a)で得られた化合物と、ラクトンの少なくとも1種のモノマーを反応させる工程を含む、少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする。
【0019】
別の態様では、本発明は、少なくとも、
(a)≧100℃から≦140℃の範囲の温度にて、少なくとも1種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、および少なくとも1種のカルボン酸無水物を反応させて、混合物を得る工程、ならびに、
(b)≧100℃から≦140℃の範囲の温度にて、工程(a)で得られた混合物と、ランダムポリマーおよび式(II)の化合物を反応させる工程を含む、少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする
【化4】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含み、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルは、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい)。
【0020】
別の態様では、本発明は、本発明による少なくとも1種のポリマー顔料分散剤、少なくとも1種の溶媒および少なくとも1種の顔料を含む顔料分散体を対象とする。
【0021】
別の態様では、本発明は、本発明による顔料分散体、および少なくとも1種の結合剤を含むコーティング組成物を対象とする。
【0022】
別の態様では、本発明は、印刷インク、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、練り顔料、家具用コーティングおよび木材用コーティングにおける本発明による顔料分散体の使用を対象とする。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は、本発明によるコーティング組成物から形成される少なくとも1つの層でコーティングされている物品を対象とする。
【0024】
本発明は、以下の効果の少なくとも1つに関連する。
(i)ポリマー顔料分散剤は、従来の重合技術を使用して、ジブロックおよびランダムポリマー構造と合成される、
(ii)サブミクロン粒径が100nm未満の顔料粒子を有する顔料分散体が得られる、
(iii)本明細書で以下に、および、本明細書で以上に記載されている式(II)の化合物は、顔料表面との良好な相互反応およびそれに対する強力な吸着を示す、
(iv)本発明のポリマー骨格により、構造安定化が生じる、また、
(v)本発明のポリマー顔料分散剤により、以前からの超分散剤または顔料分散剤と比較して、高い彩度および透明色が得られる。
【0025】
本発明の他の目的、効果および用途は、以下の詳細な説明から、当業者に明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明は、例示に過ぎず、本発明または出願、および本発明の用途ないし使用を限定するものではない。さらに、本発明は、先述の技術分野、背景技術、発明の概要または以下の詳細な説明に示されるいかなる記載(theory)にも限定されるものではない。
【0027】
本明細書で使用されている「を含む(comprising)」、「を含む(comprises)」および「で構成される(comprised of)」という用語は、「を含む(including)」、「を含む(includes)」または「を含有する(containing)」、「を含有する(contains)」と同義であり、包括的または非制限的であり、追加の、挙げられていない部材、要素または方法の工程を排除しない。本明細書で使用されている「を含む」、「を含む」および「で構成される」という用語は、「からなる(consisting of)」、「からなる(consists)」および「からなる(consists of)」という用語を含むことが認識される。
【0028】
さらに、「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などという用語は、本明細書および特許請求の範囲において、類似した要素の間で区別するために使用され、必ずしも連続的な順または時系列順に記載する必要はない。そのように使用される用語は、適切な状況下で互換的であること、また、本明発明の実施形態は、本明細書で記載されている、または例証されている順序以外のもので運用可能なことは理解されるべきである。「(A)」、「(B)」および「(C)」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「(i)」、「(ii)」などという用語が、方法または使用またはアッセイの工程に関するケースでは、工程の間に時間または時間間隔コヒーレンスが存在しない、すなわち、本明細書で以上または以下に明記されている適用において、特に指示がない限り、工程が同時に実行されてよい、または、そのような工程の間に秒、分、時間、日、週、月またはさらに年の時間間隔が存在してよい。
【0029】
以下、本発明の実施の形態を更に詳細に説明/定義する。そのように説明/定義された各態様は、明らかにそうでないと指し示されない限り、他の態様(複数可)のいずれかと組み合わせられ得る。詳細には、好ましい、または有利と指し示されている特徴のいずれかは、好ましい、または有利と指し示されている他の特徴(複数可)のいずれかと組み合わせてもよい。
【0030】
本明細書を通じて、「一実施形態」または「一実施形態」とは、実施形態に関連して記載されている特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な場所での「一実施形態では」または「一実施形態では」という語句の出現は、同一の実施形態を必ずしもすべて指さないが、指すこともある。さらに、特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかなある好適な手段で組み合わせてもよい。さらに、本明細書に記載されているいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではない特徴をいくつか含むが、異なる実施形態の特徴の組合せは、本発明の範囲内にあり、当業者により理解される異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲では、請求されている実施形態のいずれかは、ある組合せで使用できる。
【0031】
さらに、本明細書を通じて定義されている範囲は、末端値も含む、すなわち1から10の範囲は、1および10の両方が範囲に含まれるという意味を含む。誤解を避けるために、本出願者は、適用可能な法律に従って等価物を得る資格があるものとする(shall be entitled to any equivalents)。
【0032】
本発明の目的に関して、ブロックポリマーまたはブロックコポリマーは、2つ以上のモノマーが共に集まり、繰り返し単位の「ブロック」を形成する場合に形成されるポリマーまたはコポリマーと定義される。
【0033】
本発明の目的に関して、ランダムポリマーまたはランダムコポリマーは、2つ以上のモノマーが、完全にランダムなやり方で繰り返し単位として添加される場合に形成されるポリマーまたはコポリマーと定義される。
【0034】
本発明の目的に関して、グラフトポリマーは、1つの複合体、および別の複合体のランダムに分布した分岐の直鎖状骨格を有するセグメンテッドコポリマーである。
【0035】
本明細書を通じて、「コポリマー」という用語への言及は、コポリマーが、ラジカル重合により取得可能なブロックまたはランダムコポリマーを含むことを意味する。
【0036】
本発明の目的に関して、質量平均(Mw)および数平均(Mn)分子量は、40℃にて、高速液体クロマトグラフィーポンプおよび屈折率検出器を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される。使用される溶離液は、溶出速度が1ml/分のテトラヒドロフランであった。較正は、ポリスチレン標準によって実行する。
【0037】
本発明の目的に関して、沸点とは、液体の蒸気圧が、液体周囲の外部圧力に等しい温度をいう。本発明の目的に関して、沸点は、ASTM D5399に従って測定される。
【0038】
本発明の目的に関して、極性溶媒は、双極子モーメントが大きい溶媒と定義され、この溶媒は、まったく異なる電気陰性度を有する原子間に結合を含有する。
【0039】
本発明の目的に関して、溶媒の誘電率値は、溶媒の極性の測定を指し示す。溶媒の誘電率が高いほど、溶媒の極性が高いことを示す。
【0040】
本発明の目的に関して、モノマーまたは繰り返し単位における(メタ)の使用は、任意のメチル基を意味する。
【0041】
本発明の目的に関して、顔料は、選択的吸収を介して材料の色を変更するある物質、または、光を散乱させ、反射するある物質と定義される。
【0042】
本発明の目的に関して、効果顔料は、光の指向性反射率、散乱、吸収または光学的に可変性の外観を、顔料が塗布される基材に、または基材上に付与するフレーク状または板状構造と定義される。
【0043】
本発明の目的に関して、多分散性または多分散指数(PDI)は、所定のポリマーにおける分子質量の分布の測定と定義される。
【0044】
本発明の目的に関して、本発明に使用されている「質量%」または「wt.%」は、コーティング組成物の合計質量に関する。さらに、それぞれの成分における、本明細書で以下に記載されている化合物すべての合計wt.-%は、100wt.-%になる。
【0045】
上述の測定技術は、当業者に周知であり、したがって、本発明を限定するものではない。
【0046】
ポリマー顔料分散剤
本発明の一実施の形態は、ポリマー骨格(P)および式(I)の少なくとも1つの部分を含むポリマー顔料分散剤を対象とする
【化5】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-O-基であり、または、-C(=O)-O-基を含み、
それによって、式(I)の部分は、-C(=O)-O-基を経由してポリマー骨格に結合している)。
【0047】
本発明の一実施形態では、R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、R5およびR6は、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-O-基であり、または-C(=O)-O-基を含み、それによって、式(I)の部分は、-C(=O)-O-基を経由してポリマー骨格に結合する。
【0048】
本発明の一実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1000g/molから≦25000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。本発明の好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、≧1000g/molから≦15000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0049】
本発明の一実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦20の範囲の多分散性を有する。本発明の別の実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦10の範囲の多分散性を有する。本発明の好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦3.5の範囲の多分散性を有する。
【0050】
本発明の一実施形態では、式(I)の少なくとも1つの部分の合計質量は、ポリマー顔料分散剤の合計質量に対して、≧5wt.%から≦50wt.%の範囲である。本発明の好ましい実施形態では、式(I)の少なくとも1つの部分の合計質量は、ポリマー顔料分散剤の合計質量に対して、≧5wt.%から≦30wt.%の範囲である。
【0051】
直鎖状ジブロックポリマー
本発明の一実施形態では、本明細書で以上に記載されているポリマー骨格(P)は、直鎖状ジブロックポリマーである。
【0052】
本発明の別の実施形態では、直鎖状ジブロックポリマーは、リビングフリーラジカル重合により得られる。
【0053】
本発明の一実施形態では、直鎖状ジブロックポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)と呼ばれるリビングフリーラジカル重合により得られる。
【0054】
ATRPプロセスは、制御された構造を有する高度に均一な生成物を得るために記載され、制御ラジカル重合(CRP)とも呼ばれる。ATRPプロセスは、U.S.6,365,666B1およびU.S.6,642,301B2において、顔料分散剤を含む広範な用途に有用なコポリマーの製造に関して記載されている。ATRPプロセスの説明は、U.S.5,807,937A、U.S.5,763,548A、U.S.5,789,487AおよびWO1998/40415A1で詳細に見出せる。
【0055】
本発明の目的に関して、直鎖状ジブロックポリマーは、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合、単一電子移動リビングラジカル重合(SEL-LRP)、ニトロキシド媒介ラジカル重合(NMRP)、リビング開環メタセシス重合(ROMP)、リビングアニオンおよびリビングカチオン重合のような他の重合技術により得ることができる。
【0056】
本発明のさらに別の実施形態では、直鎖状ジブロックポリマーは、式A-B(式中、
Aは、少なくとも1種のグリシジル(メタ)アクリレートを含む第1の混合物を反応させることにより得られる第1のポリマーブロックであり、
Bは、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびポリエチレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む第2の混合物を反応させることにより得られる第2のポリマーブロックである)を有する。
【0057】
本発明の一実施形態では、直鎖状ジブロックポリマーA-Bは、任意に、少なくとも1種の溶媒の存在下で、および任意に、少なくとも1種の触媒の存在下で、第1のポリマーブロックAおよび第2のポリマーブロックBを反応させることにより得られる。
【0058】
本発明の別の実施形態では、直鎖状ジブロックポリマーは、式A-B(式中、
Aは、少なくとも1種のグリシジル(メタ)アクリレートを含む第1の混合物を反応させることにより得られる第1のポリマーブロックであり、
Bは、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびポリエチレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む第2の混合物を反応させることにより得られる第2のポリマーブロックである)を有する。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されている第1のポリマーブロックAは、少なくとも1種のグリシジル(メタ)アクリレートを含む第1の混合物を反応させることにより得られる。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されている第2のポリマーブロックBは、アルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種のモノマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種のモノマー、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの少なくとも1種のモノマーおよびポリエチレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレートの少なくとも1種のモノマーを含む第2の混合物を反応させることにより得られる。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されている第2のポリマーブロックBは、アルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種のモノマーおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1種のモノマーを含む第2の混合物を反応させることにより得られる。
【0062】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているアルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびイソデシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されているアルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよびイソブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0063】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0064】
本発明の一実施形態では、ポリエチレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールプロピルエーテルアクリレートおよびポリエチレングリコールブチルエーテルアクリレートからなる群から選択される。
【0065】
本発明の一実施形態では、直鎖状ジブロックポリマーは、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1000g/molから≦25000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。本発明の好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、≧1000g/molから≦15000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0066】
本発明の一実施形態では、直鎖状ジブロックは、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦20の範囲の多分散性を有する。本発明の一実施形態では、直鎖状ジブロックは、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦10の範囲の多分散性を有する。本発明の好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦3.5の範囲の多分散性を有する。本発明の最も好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦2.2の範囲の多分散性を有する。
【0067】
本発明の一実施形態では、本明細書で以上に記載されているポリマー骨格(P)は、少なくとも2種のブロックを有するブロックポリマーである。
【0068】
ランダムポリマー
本発明の一実施形態では、本明細書で以上に記載されているポリマー骨格(P)は、ランダムポリマーである。
【0069】
本発明のさらに別の実施形態では、ランダムポリマーは、フリーラジカル重合により得られる。
【0070】
本発明の一実施形態では、ランダムポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)と呼ばれるフリーラジカル重合により得られる。
【0071】
ATRPプロセスは、制御された構造を有する高度に均一な生成物を得るために記載されており、制御ラジカル重合(CRP)とも呼ばれる。ATRPプロセスは、U.S.6,365,666B1およびU.S.6,642,301B2において、顔料分散剤を含む広範な用途に有用なコポリマーの製造に関して記載されている。ATRPプロセスの説明は、U.S.5,807,937A、U.S.5,763,548A、U.S.5,789,487AおよびWO1998/40415A1で詳細に見出せる。
【0072】
本発明の目的に関して、ランダムポリマーは、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)、開環メタセシス重合(ROMP)、アニオンおよびカチオン重合のような他の重合技術により得ることができる。
【0073】
本発明の一実施形態では、ランダムポリマーは、任意に、少なくとも1種の溶媒(S2)の存在下で、
(a)グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート、
(b)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
(c)任意に、スチレンの少なくとも1種のモノマー、ならびに、
(d)任意に、ビニルモノマー、尿素またはケト基を持つモノエチレン性不飽和モノマーおよびベンジル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む混合物(M)を反応させることにより得られる。
【0074】
本発明の好ましい実施形態では、ランダムポリマーは、
(a)グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート、ならびに(b)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む混合物(M)を反応させることにより得られ、
本発明の好ましい実施形態では、ランダムポリマーは、
(a)グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート、
(b)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、ならびに、
(c)スチレンの少なくとも1種のモノマーを含む混合物(M)を反応させることにより得られる。
【0075】
本発明の一実施形態では、ランダムポリマーは、
(a)グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート、
(b)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
(c)スチレンの少なくとも1種のモノマー、ならびに、
(d)ビニルモノマー、尿素またはケト基を持つモノエチレン性不飽和モノマーおよびベンジル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む混合物(M)を反応させることにより得られ、
本発明の好ましい実施形態では、ランダムポリマーは、少なくとも1種の溶媒(S2)の存在下で、
(a)グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート、
(b)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、ならびに、
(c)スチレンの少なくとも1種のモノマーを含む混合物(M)を反応させることにより得られる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、ランダムポリマーは、少なくとも1種の溶媒(S2)の存在下で、
(a)グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート、ならびに、
(b)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む混合物(M)を反応させることにより得られる。
【0077】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているアルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびイソデシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されているアルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよびイソブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0078】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0079】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているシクロアルキル(メタ)アクリレートは、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレートおよびボルニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0080】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているスチレンの少なくとも1種のモノマーは、4-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、4-tert-ブトキシスチレン、2-ブロモスチレン、3-ブロモスチレン、4-ブロモスチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン、4-クロロ-α-メチルスチレン、2,6-ジクロロスチレン、2-フルオロスチレン、3-フルオルスチレン、4-フルオロスチレン、2,6-ジフルオロスチレン、3-ニトロスチレンおよび4-アセトキシスチレンからなる群から選択される。
【0081】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されている少なくとも1種のビニルモノマーは、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸および塩化4-ビニルベンジルからなる群から選択される。
【0082】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されている尿素またはケト基を持つモノエチレン性不飽和モノマーは、2-(2-オキソ-イミダゾリジン-1-イル)エチル(メタ)アクリレート、2-ウレイド(メタ)アクリレート、N-[2-(2-オキソオキサゾリジン-3-イル)エチル]メタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、アセトアセトキシブチルメタクリレート、2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、ジアセトンメタクリルアミド、N-(ベータ-ウレイドエチル)アクリルアミドおよびN-(ベータ-ウレイドエチル)メタクリルアミドからなる群から選択される。
【0083】
本発明の一実施形態では、溶媒(S2)は、キシレン、トルエン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ブトキシエタノール、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシプロピル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の好ましい実施形態では、溶媒(S2)は、トルエン、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルイソブチルケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0084】
本発明の一実施形態では、ランダムポリマーは、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1000g/molから≦25000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。本発明の好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、≧1000g/molから≦15000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0085】
本発明の一実施形態では、ランダムポリマーは、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.5から≦20の範囲の多分散性を有する。本発明の別の実施形態では、ランダムポリマーは、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.5から≦10の範囲の多分散性を有する。本発明の好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.5から≦5の範囲の多分散性を有する。本発明の最も好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤は、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.5から≦3の範囲の多分散性を有する。
【0086】
グラフトポリマー
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているポリマー顔料分散剤は、グラフトポリマーである。
【0087】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で、また、本明細書に以下で記載されているグラフトポリマーは、少なくとも1種のポリエステルブロックを含む。
【0088】
本発明のさらに別の実施形態では、本明細書に以上で記載されているポリエステルブロックは、ヒドロキシ官能性脂肪酸、またはヒドロキシ官能性芳香族酸、またはヒドロキシ官能性芳香脂肪族酸のモノマー単位から得られる。本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されているポリエステルブロックは、ヒドロキシ官能性脂肪酸のモノマー単位から得られる。本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているヒドロキシ官能性脂肪酸は、グリコール酸、乳酸、5-ヒドロキシ吉草酸、12-ヒドロキシステアリン酸、3-ヒドロキシ-酪酸、4-ヒドロキシ-吉草酸および6-ヒドロキシカプロン酸からなる群から選択される。
【0089】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されているポリエステルブロックは、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の存在下で得られる。飽和または不飽和脂肪酸の代表的な例は、好ましくはオレイン酸、リノレン酸、パルミトレイン酸およびトール油脂肪酸からなる群から選択される。
【0090】
本発明の別の実施形態では、本明細書に以上で記載されているポリエステルブロックは、ラクトンのモノマー単位から得られる。本発明のさらに別の実施形態では、本明細書に以上で記載されているラクトンは、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-ε-カプロラクトン、3-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチル-ε-カプロラクトン、5-ter-ブチル-ε-カプロラクトン、7-メチル-ε-カプロラクトン、4,4,6-トリメチル-ε-カプロラクトンおよびβ-プロピオラクトンからなる群から選択される。
【0091】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されている少なくとも1種のポリエステルブロックの合計質量は、ポリマー顔料分散剤の合計質量に対して、≧5wt.%から≦95wt.%の範囲である。本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されている少なくとも1種のポリエステルブロックの合計質量は、ポリマー顔料分散剤の合計質量に対して≧45wt.%から≦80wt.%の範囲である。
【0092】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているポリエステルブロックは、-C(=O)-O-基を経由して式(I)の部分および/またはポリマー骨格(P)に結合している。
【0093】
本発明の別の実施形態では、本明細書に以上で、また、本明細書に以下で記載されているグラフトポリマーは、少なくとも1種のポリエーテルブロックを含む。
【0094】
本発明の別の実施形態では、本明細書に以上で記載されている少なくとも1種のポリエーテルブロックは、10から120エチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を含む。本発明の好ましい実施形態では、本明細書に以上で記載されている少なくとも1種のポリエーテルブロックは、20から60エチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を含む。
【0095】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているポリエーテルブロックは、-C(=O)-O-基を経由して式(I)の部分および/またはポリマー骨格(P)に結合している。
【0096】
本発明の一実施の形態は、少なくとも、
≧80℃から≦150℃の範囲の温度にて、本明細書に以上で記載されているジブロックポリマーと、式(II)の化合物を反応させる工程を含み、直鎖状ジブロックポリマーは、第1および第2のブロックを含み、任意に、溶媒(S3)の存在下で、リビングフリーラジカル重合により得られる、直鎖状ジブロックポリマー骨格を含む少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする
【化6】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含む)。
【0097】
本発明の一実施形態では、溶媒(S3)は、酢酸ブチル、メチルN-アミルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、メチルイソアミルケトンおよびイソプロパノールからなる群から選択される。
【0098】
一実施形態では、本発明は、少なくとも、
≧100℃から≦130℃の温度にて、本明細書に以上で記載されているジブロックポリマーと、式(II)の化合物を反応させる工程を含み、直鎖状ジブロックコポリマーは、第1および第2のブロックを含み、任意に、溶媒(S3)の存在下で、リビングフリーラジカル重合により得られる、直鎖状ジブロックポリマー骨格を含む少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする
【化7】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、または少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-O-基であり、または-C(=O)-O-基を含む)。
【0099】
本発明の一実施の形態は、少なくとも、
(a)本明細書に以上で記載されているランダムポリマーと式(II)の化合物を反応させる工程
【化8】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含む)、および、
(b)≧30℃から≦190℃の温度にて、工程(a)で得られた化合物と、ラクトンの少なくとも1種のモノマーを反応させる工程を含む、ランダムポリマーを含む少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする。
【0100】
一実施形態では、本発明は、少なくとも、
(a)本明細書に以上で記載されているランダムポリマーと式(II)の化合物を反応させる工程
【化9】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、または少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-O-基であり、または-C(=O)-O-基を含む)、および、
(b)≧100℃から≦140℃の温度にて、工程(a)で得られた化合物と、ラクトンの少なくとも1種のモノマーを反応させる工程を含む、ランダムポリマーを含む少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする。
【0101】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されているラクトンの少なくとも1種のモノマーは、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-ε-カプロラクトン、3-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチル-ε-カプロラクトン、5-ter-ブチル-ε-カプロラクトン、7-メチル-ε-カプロラクトン、4,4,6-トリメチル-ε-カプロラクトンおよびβ-プロピオラクトンからなる群から選択される。
【0102】
本発明の一実施の形態は、少なくとも、
(a)≧70℃から≦140℃の範囲の温度にて、少なくとも1種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、および少なくとも1種のカルボン酸無水物を反応させて、混合物を得る工程、ならびに
(b)≧70℃から≦140℃の範囲の温度にて、工程(a)で得られた混合物と、本明細書に以上で記載されているランダムポリマーおよび式(II)の化合物を反応させる工程を含む、ランダムポリマーを含む少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする
【化10】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含み、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルは、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい)。
【0103】
一実施形態では、本発明は、少なくとも、
(a)≧100℃から≦140℃の範囲の温度にて、少なくとも1種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、および少なくとも1種のカルボン酸無水物を反応させて、混合物を得る工程、ならびに、
(b)≧100℃から≦140℃の範囲の温度にて、工程(a)で得られた混合物と、本明細書に以上で記載されているランダムポリマーおよび式(II)の化合物を反応させる工程を含む、ランダムポリマーを含む少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法を対象とする
【化11】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、または少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つは、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つは、-C(=O)-O-基であり、または-C(=O)-O-基を含む)。
【0104】
本発明の別の態様は、本発明による少なくとも1種のポリマー顔料分散剤、少なくとも1種の溶媒(S5)および少なくとも1種の顔料を含む顔料分散体を対象とする。
【0105】
本発明の目的に関して、少なくとも1種の溶媒(S5)は、有機溶媒からなる群から選択される。有機溶媒の分類の代表的な例は、アルコール、ケトンまたはケトアルコール、エーテル、エステルおよび多価アルコールを含むが、それらに限定されない。有機溶媒の代表的な例は、キシレン、トルエン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびブチル-2-ヒドロキシエチルエーテルを含むが、それらに限定されない。
【0106】
本発明の目的に関して、少なくとも1種の顔料は、ドイツ標準規格DIN55944での定義のように、事実上不溶性の、微細分散性有機または無機着色料である。
【0107】
有機顔料の代表的な例は、モノアゾ顔料、例えばC.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントオレンジ5、13、36および67;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、8、9、12、17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、63、112、146、170、184、210、245および251;C.I.ピグメントイエロー1、3、73、74、65、97、151および183;
ジスアゾ顔料、例えばC.I.ピグメントオレンジ16、34および44;C.I.ピグメントレッド144、166、214および242;C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、81、83、106、113、126、127、155、174、176および188;アントアントロン顔料、例えばC.I.ピグメントレッド168(C.I.バットオレンジ3);アントラキノン顔料、例えばC.I.ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;アントラキノン顔料、例えばC.I.ピグメントイエロー147および177;C.I.ピグメントバイオレット31;アントラピリミジン顔料:C.I.ピグメントイエロー108(C.I.バットイエロー20);キナクリドン顔料、例えばC.I.ピグメントレッド122、202および206;C.I.ピグメントバイオレット19;キノフタロン顔料、例えばC.I.ピグメントイエロー138;ジオキサジン顔料、例えばC.I.ピグメントバイオレット23および37;
フラバントロン顔料、例えばC.I.ピグメントイエロー24(C.I.バットイエロー1);インダントロン顔料、例えばC.I.ピグメントブルー60(C.I.バットブルー4)および64(C.I.バットブルー6);イソインドリン顔料、例えばC.I.ピグメントオレンジ69;C.I.ピグメントレッド260;C.I.ピグメントイエロー139および185;イソインドリノン顔料、例えばC.I.ピグメントオレンジ61;C.I.ピグメントレッド257および260;C.I.ピグメントイエロー109、110、173および185;イソビオラントロン顔料、例えばC.I.ピグメントバイオレット31(C.I.バットバイオレット1);金属錯体顔料、例えばC.I.ピグメントイエロー117、150および153;C.I.ピグメントグリーン8;ペリノン顔料、例えばC.I.ピグメントオレンジ43(C.I.バットオレンジ7);C.I.ピグメントレッド194(C.I.バットレッド15);ペリレン顔料、例えばC.I.ピグメントブラック31および32;C.I.ピグメントレッド123、149、178、179(C.I.バットレッド23)、190(C.I.バットレッド29)および224;C.I.ピグメントバイオレット29;フタロシアニン顔料、例えばC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6および16;C.I.ピグメントグリーン7および36;ピラントロン顔料、例えばC.I.ピグメントオレンジ51;C.I.ピグメントレッド216(C.I.バットオレンジ4);チオインディゴ顔料、例えばC.I.ピグメントレッド88および181(C.I.バットレッド1);C.I.ピグメントバイオレット38(C.I.バットバイオレット3);トリアリールカルボニウム顔料、例えばC.I.ピグメントブルー1、61および62;C.I.ピグメントグリーン1;C.I.ピグメントレッド81、81:1および169;C.I.ピグメントバイオレット1、2、3および27;C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック);C.I.ピグメントイエロー101(アルダジンイエロー)およびC.I.ピグメントブラウン22を含むが、それらに限定されない。
【0108】
無機顔料の代表的な例は、白色顔料、例えば二酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト6)、亜鉛白、顔料グレード酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;鉛白;さらに白色フィラー、例えば硫酸バリウムおよびCaCO3、黒色顔料、例えば酸化鉄ブラック(C.I.ピグメントブラック11)、鉄マンガンブラック、スピネルブラック(C.I.ピグメントブラック27)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7);着色顔料、例えば酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I.ピグメントグリーン48);コバルトグリーン(C.I.ピグメントグリーン50);ウルトラマリングリーン;コバルトブルー(C.I.ピグメントブルー28および36);ウルトラマリンブルー、紺青(C.I.ピグメントブルー27)、マンガンブルー、ウルトラマリンバイオレット、コバルトバイオレット、マンガンバイオレット、ベンガラ(C.I.ピグメントレッド101);硫セレン化カドミウム(C.I.ピグメントレッド108);モリブデンレッド(C.I.ピグメントレッド104);ウルトラマリンレッド、酸化鉄ブラウン、混合ブラウン、スピネルおよびコランダム相(spinel-and Korundum phases)(C.I.ピグメントブラウン24、29および31)、クロムオレンジ;酸化鉄イエロー(C.I.ピグメントイエロー42);ニッケルチタンイエロー(C.I.ピグメントイエロー53;C.I.ピグメントイエロー157および164);クロムチタンイエロー;硫化カドミウムおよび硫化カドミウム亜鉛(C.I.ピグメントイエロー37および35);クロムイエロー(C.I.ピグメントイエロー34)、亜鉛黄、アルカリ土類金属クロメート;ネープルスイエロー;バナジン酸ビスマス(C.I.ピグメントイエロー184);干渉顔料、例えばコーティングした金属小板ベースの金属効果顔料、金属酸化物でコーティングしたマイカ小板ベースの真珠光沢顔料および液晶顔料を含むが、それらに限定されない。
【0109】
本発明の目的に関して、少なくとも1種の顔料は、金属顔料および効果顔料からなる群から選択される。効果顔料の代表的な例は、赤色真珠光沢マイカ、白色真珠光沢マイカ、緑色有機マイカ、黄色マイカ、青色ベースマイカを含むが、それらに限定されない。
【0110】
本発明の目的に関して、少なくとも1種の顔料は、2つ以上の異なる顔料の混合物も含み得る。
【0111】
本発明の目的に関して、少なくとも1種の顔料は、好ましくは、BASF Perrindo Maroon L3920、BASF Perrindo Maroon L 3990、Sun Chemical Perrindo Maroon 229-8801、Sun Chemical Perrindo Maroon 229-6438、Sun Chemical Perrindo Violet 29、Clariant Hostaperm Brown HFR01、Sun Chemical Palomar Blue 248-4816およびBASF Heliogen Blue 7081 Dからなる群から選択される。
【0112】
本発明の一実施形態では、ポリマー顔料分散剤対少なくとも1種の顔料の質量比は、≧0.1:1から≦3:1の範囲である。
【0113】
本発明の好ましい実施形態では、ポリマー顔料分散剤対少なくとも1種の顔料の質量比は、≧0.25:1から≦1.5:1の範囲である。
【0114】
本発明の目的に関して、顔料粒子の平均粒径は、直径≧10ナノメートルから≦10ミクロンの範囲、好ましくは≧10ナノメートルから≦5ミクロンの範囲、より好ましくは≧10ナノメートルから≦1ミクロンの範囲である。
【0115】
本発明の目的に関して、顔料分散体は、当業者に公知の方法により製造することができる。顔料分散体を製造するための方法の代表的な例は、ボールミルまたはメディアミルを使用したエネルギー集約型混合またはすり潰しの使用を含むが、それらに限定されない。
【0116】
本発明の別の態様は、本発明による顔料分散体および少なくとも1種の結合剤を含むコーティング組成物を対象とする。
【0117】
本発明の目的に関して、結合剤の代表的な例は、塗料、フィラーおよび添加剤を含むが、それらに限定されない。添加剤の代表的な例は、界面活性剤、光安定剤、UV吸収剤、消泡剤、色素、可塑剤、レベリング剤および皮張り防止剤を含むが、それらに限定されない。本発明の目的に関して、少なくとも1種の結合剤は、好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、アルキド、ポリサッカリドおよびポリウレタンからなる群から選択される。
【0118】
本発明の一実施形態では、コーティング組成物は、溶媒性組成物である。本発明の目的に関して、溶媒性コーティング組成物は、有機溶媒を含む組成物である。有機溶媒の代表的な例は、キシレン、トルエン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびブチル-2-ヒドロキシエチルエーテルを含むが、それらに限定されない。
【0119】
本発明の一実施形態では、コーティング組成物は、水性組成物である。本発明の目的に関して、水性コーティング組成物は、主な溶媒として水を含む組成物である。しかし、0wt.%から≦10wt.%、好ましくは0wt.%から≦5wt.%、最も好ましくは0wt.%から≦1wt.%の有機溶媒が、水性コーティング組成物に存在し得る。
【0120】
本発明の一実施形態では、クリアコート材料は、本明細書に以上で記載されているコーティング組成物を含む。
【0121】
本発明の一実施形態では、ベースコート材料は、本明細書に以上で記載されているコーティング組成物を含む。
【0122】
本発明の一実施の形態は、印刷インク、自動車用ベースコート、自動車用クリアコート、練り顔料、家具用コーティングおよび木材用コーティングにおける本発明による顔料分散体の使用を対象とする。
【0123】
本発明の一実施形態では、本明細書に以上で記載されている顔料分散体は、自動車OEM仕上げ、自動車および/またはユーティリティービークル内または上に組み込むためのパーツの仕上げならびに自動車用再仕上げ、トップコート材料と、電着可能なコーティング材料からなる群から選択される、工業用コーティングのためのクリアコート材料として使用される。
【0124】
本発明の別の態様は、本発明によるコーティング組成物から形成される少なくとも1つの層でコーティングされている物品を対象とする。
【0125】
本発明の目的に関して、コーティング組成物は、好ましくは、慣習的な塗布方法のいずれかにより、物品に塗布されてもよい。塗布方法の代表的な例は、スプレー、ナイフコーティング、分散、流し込み、浸漬、含浸、散布またはローラーを含むが、それらに限定されない。そのような塗布に関して、コーティングされる基材は、塗布ユニットまたは設備を動かして、それ自体は静止していてよい。あるいは、塗布ユニットを基材に対して静止して、または適切に動かして、コーティングされる基材、より詳細にはコイルを動かしてよい。好ましい塗布方法は、エアスプレー、エアレススプレー、高速回転、静電スプレー塗布であり、単体である、またはホットスプレー塗布、例えばホットエアスプレーを伴う。
【0126】
本発明の目的に関して、本発明のコーティング組成物は、コーティングされていない、または事前にコーティングされた物品に塗布されてもよい。
【0127】
本発明の目的に関して、本明細書に以上で、また、本明細書に以下で記載されているポリマー顔料分散剤は、ポリマー分散剤または顔料分散剤または分散剤とも呼ばれる。
【0128】
本発明の目的に関して、本明細書に以上で記載されている、また、本明細書に以下で記載されている式(II)の化合物は、アンカー基またはアンカー(複数可)とも呼ばれる。本発明の顔料分散剤は、分散剤として作用する場合に、微粒子または粒子の凝集および/または凝集に対するコロイドの安定化を示すことが、本発明の効果(advantage)である。本明細書に以上で記載されている、また、本明細書に以下で記載されている式(II)の化合物により、顔料表面との良好な相互反応、およびそれに対する強力な吸着が得られる。さらに、ポリマー分散剤を、費用効果的な、簡潔かつ効率的な方法で製造できることは本発明の効果である。本発明のポリマー顔料分散剤を製造するための方法は、厳しい運用条件を必要としない。本発明のポリマー顔料分散剤により、以前からの超分散剤または顔料分散剤と比較して、高い彩度および透明色が得られる。
[実施形態]
【0129】
以下、本発明を更に説明するため実施形態を列挙するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0130】
1.ポリマー骨格、および式(I)の少なくとも1つの部分を含む、ポリマー顔料分散剤
【0131】
【化12】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、または少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-O-基であり、または、-C(=O)-O-基を含み、
それによって、式(I)の部分が、-C(=O)-O-基を経由してポリマー骨格に結合している)。
【0132】
2.R1が、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状または分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-O-基、直鎖状もしくは分岐状置換C1~C8アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C2~C8アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-O-基、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-O-基であり、または、-C(=O)-O-基を含み、
それによって、式(I)の部分が、-C(=O)-O-基を経由してポリマー骨格に結合している、実施形態1に記載のポリマー分散剤。
【0133】
3.ポリマー骨格が、直鎖状ジブロックポリマーで一実施形態1に記載のポリマー顔料分散剤。
【0134】
4.直鎖状ジブロックポリマーが、リビングフリーラジカル重合により得られる、実施形態3に記載のポリマー顔料分散剤。
【0135】
5.直鎖状ジブロックポリマーは、式A-B(式中、
Aは、少なくとも1種のグリシジル(メタ)アクリレートを含む第1の混合物を反応させることにより得られる第1のポリマーブロックであり、
Bは、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートおよびポリエチレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む第2の混合物を反応させることにより得られる第2のポリマーブロックである)を有する、実施形態3に記載のポリマー顔料分散剤。
【0136】
6.アルキル(メタ)アクリレートが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびイソデシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、実施形態5に記載のポリマー顔料分散剤。
【0137】
7.ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、実施形態5に記載のポリマー顔料分散剤。
【0138】
8.ポリエチレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレートが、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールエチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールプロピルエーテルアクリレートおよびポリエチレングリコールブチルエーテルアクリレートからなる群から選択される、実施形態5に記載のポリマー顔料分散剤。
【0139】
9.ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1000g/molから≦25000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する、実施形態1に記載のポリマー顔料分散剤。
【0140】
10.ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.2から≦20の範囲の多分散性を有する、実施形態1に記載のポリマー顔料分散剤。
【0141】
11.式(I)の少なくとも1つの部分の合計質量が、ポリマー顔料分散剤の合計質量に対して、≧5wt.%から≦50wt.%の範囲で一実施形態1に記載のポリマー顔料分散剤。
【0142】
12.ポリマー骨格が、ランダムポリマーで一実施形態1に記載のポリマー顔料分散剤。
【0143】
13.ランダムポリマーが、フリーラジカル重合により得られる、実施形態12に記載のポリマー顔料分散剤。
【0144】
14.ランダムポリマーが、任意に、少なくとも1種の溶媒の存在下で、
(a)グリシジル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアクリレート、
(b)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
(c)任意に、スチレンの少なくとも1種のモノマー、ならびに、
(d)任意に、ビニルモノマー、尿素またはケト基を持つモノエチレン性不飽和モノマーおよびベンジル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを含む混合物(M)を反応させることにより得られる、実施形態12に記載のポリマー顔料分散剤。
【0145】
15.アルキル(メタ)アクリレートが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよびイソデシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、実施形態14によるポリマー顔料分散剤。
【0146】
16.ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、実施形態14によるポリマー顔料分散剤。
【0147】
17.シクロアルキル(メタ)アクリレートが、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレートおよびボルニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、実施形態14に記載のポリマー顔料分散剤。
【0148】
18.スチレンの少なくとも1種のモノマーが、4-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、4-tert-ブトキシスチレン、2-ブロモスチレン、3-ブロモスチレン、4-ブロモスチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン、4-クロロ-α-メチルスチレン、2,6-ジクロロスチレン、2-フルオロスチレン、3-フルオルスチレン、4-フルオロスチレン、2,6-ジフルオロスチレン、3-ニトロスチレンおよび4-アセトキシスチレンからなる群から選択される、実施形態14に記載のポリマー顔料分散剤。
【0149】
19.少なくとも1種のビニルモノマーが、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸および塩化4-ビニルベンジルからなる群から選択される、実施形態14に記載のポリマー顔料分散剤。
【0150】
20.尿素またはケト基を持つモノエチレン性不飽和モノマーが、2-(2-オキソ-イミダゾリジン-1-イル)エチル(メタ)アクリレート、2-ウレイド(メタ)アクリレート、N-[2-(2-オキソオキサゾリジン-3-イル)エチル]メタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、アセトアセトキシブチルメタクリレート、2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)、ジアセトンメタクリルアミド、N-(ベータ-ウレイドエチル)アクリルアミドおよびN-(ベータ-ウレイドエチル)メタクリルアミドからなる群から選択される、実施形態14に記載のポリマー顔料分散剤。
【0151】
21.溶媒が、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ブトキシエタノール、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシプロピル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態14に記載のポリマー顔料分散剤。
【0152】
22.ランダムコポリマーが、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1000g/molから≦25000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する、実施形態12に記載のポリマー顔料分散剤。
【0153】
23.ランダムコポリマーが、ポリスチレン標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーに従って測定して≧1.5から≦20の範囲の多分散性を有する、実施形態12に記載のポリマー顔料分散剤。
【0154】
24.ポリマー顔料分散剤が、グラフトポリマーで一実施形態12に記載のポリマー顔料分散剤。
【0155】
25.グラフトポリマーが、少なくとも1種のポリエステルブロックを含む、実施形態24に記載のポリマー顔料分散剤。
【0156】
26.ポリエステルブロックが、ヒドロキシ官能性脂肪酸、またはヒドロキシ官能性芳香族酸、またはヒドロキシ官能性芳香脂肪族酸のモノマー単位から得られる、実施形態25に記載のポリマー顔料分散剤。
【0157】
27.ポリエステルブロックが、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の存在下で得られる、実施形態25に記載のポリマー顔料分散剤。
【0158】
28.飽和または不飽和脂肪酸が、オレイン酸、リノレン酸、パルミトレイン酸およびトール油脂肪酸からなる群から選択される、実施形態27に記載のポリマー顔料分散剤。
【0159】
29.ヒドロキシ官能性脂肪酸が、グリコール酸、乳酸、5-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシ-酪酸、12-ヒドロキシステアリン酸、4-ヒドロキシ-吉草酸および6-ヒドロキシカプロン酸からなる群から選択される、実施形態26に記載のポリマー顔料分散剤。
【0160】
30.ポリエステルブロックが、ラクトンのモノマー単位から得られる、実施形態25に記載のポリマー顔料分散剤。
【0161】
31.ラクトンが、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、2-メチル-ε-カプロラクトン、3-メチル-ε-カプロラクトン、4-メチル-ε-カプロラクトン、5-ter-ブチル-ε-カプロラクトン、7-メチル-ε-カプロラクトン,4,4,6-トリメチル-ε-カプロラクトンおよびβ-プロピオラクトンからなる群から選択される、実施形態30に記載のポリマー顔料分散剤。
【0162】
32.少なくとも1種のポリエステルブロックの合計質量が、ポリマー顔料分散剤の合計質量に対して、≧5wt.%から≦95wt.%の範囲で一実施形態25に記載のポリマー顔料分散剤。
【0163】
33.ポリエステルブロックが、-C(=O)-O-基を経由して式(I)の部分および/またはポリマー骨格に結合している、実施形態25に記載のポリマー顔料分散剤。
【0164】
34.グラフトポリマーが、少なくとも1種のポリエーテルブロックを含む、実施形態24に記載のポリマー顔料分散剤。
【0165】
35.少なくとも1種のポリエーテルブロックが、10から120エチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基を含む、実施形態34に記載のポリマー分散剤。
【0166】
36.ポリエーテルブロックが、-C(=O)-O-基を経由して式(I)の部分および/またはポリマー骨格に結合している、実施形態34または35に記載のポリマー顔料分散剤。
【0167】
37.少なくとも、≧80℃から≦150℃の温度にて、ジブロックポリマーと、式(II)の化合物を反応させる工程を含み、直鎖状ジブロックコポリマーが、第1および第2のブロックを含み、任意に、溶媒の存在下で、リビングフリーラジカル重合により得られる、実施形態3から11による少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法
【化13】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-OHであり、または-C(=O)-OHを含む)。
【0168】
38.少なくとも、
(a)実施形態12から14で定義されているランダムポリマーと式(II)の化合物を反応させる工程
【化14】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または、
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよく、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-OHであり、または、-C(=O)-OHを含む)、ならびに
(b)≧30℃から≦190℃の温度にて、工程(a)で得られた化合物と、ラクトンの少なくとも1種のモノマーを反応させる工程を含む、実施形態25から33による少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法。
【0169】
39.少なくとも、
(a)≧70℃から≦140℃の範囲の温度にて、少なくとも1種のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、および少なくとも1種のカルボン酸無水物を反応させて、混合物を得る工程、ならびに
(b)≧70℃から≦140℃の範囲の温度にて、工程(a)で得られた混合物と、実施形態12から14で定義されているランダムポリマーおよび式(II)の化合物を反応させる工程を含む、実施形態34から36に記載の少なくとも1種のポリマー顔料分散剤を製造するための方法
【化15】
(式中、
R1は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルは、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R2は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R3は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R4は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状または分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状または分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R5は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、
R6は、H、-OH、-C(=O)-OH、直鎖状もしくは分岐状置換C
1~C
14アルキルおよび直鎖状もしくは分岐状置換C
2~C
14アルケニルからなる群から選択され、それによって、アルキルおよびアルケニルが、それぞれ1個の-C(=O)-OH、および少なくとも1個の-OHで置換されている少なくとも1個のフェニルで置換され、または
R5およびR6が、それらが結合する炭素原子と共に、非置換フェニル、もしくは少なくとも1個の-OHで置換されている置換フェニルを形成し、
それによって、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも2つが、-OHであり、または-OHを含み、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の1つが、-C(=O)-OHであり、または-C(=O)-OHを含み、
それによって、それぞれ少なくとも1個のフェニルが、F、Cl、Br、I、-NO
2、-CN、-C
1~C
6-アルキル、-CHF
2、-CH
2F、-CF
3、シクロプロピル、-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-C
1~C
6-アルキル、-C(=O)-O-フェニルおよび-CH
2-C(=O)-C
1~C
6-アルキルからなる群から独立して選択される1、2または3個の置換基でさらに置換されてもよい)。
【0170】
40.実施形態1から36のいずれか1つに記載の少なくとも1種のポリマー顔料分散剤、少なくとも1種の溶媒および少なくとも1種の顔料を含む、顔料分散体。
【0171】
41.ポリマー顔料分散剤対少なくとも1種の顔料の質量比が、≧0.1:1から≦3:1の範囲で一実施形態40に記載の顔料分散体。
【0172】
42.実施形態40または41に記載の顔料分散体、および少なくとも1種の結合剤を含む、コーティング組成物。
【0173】
43.溶媒性組成物で一実施形態42に記載のコーティング組成物。
【0174】
44.水性組成物で一実施形態42に記載のコーティング組成物。
【0175】
45.実施形態40または41に記載の顔料分散体の、印刷インク、自動車用クリアコート、自動車用ベースコート、練り顔料、家具用コーティングおよび木材用コーティングにおける使用。
【0176】
46.実施形態42から44のいずれか1つに記載のコーティング組成物から形成される少なくとも1つの層でコーティングされている物品。
【0177】
以下、本発明の実施例について説明するが、所定の変更および等価物は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内に含まれるものである。
【実施例】
【0178】
本発明を、後続の非限定的な実施例により詳細に説明する。より詳細には、以下に規定する試験方法は本発明の一般的な開示の一部である。本発明は特定の実施例に限定されるものではない。
【0179】
ポリマー顔料分散剤の製造に使用されるアンカー
スキーム1 - アンカーAからFの構造
【0180】
【0181】
ジブロックポリマー顔料分散剤の製造
(I)溶媒性ジブロックプレポリマーの製造
当業者によく知られた方法によれば、溶媒性分散剤のジブロックプレポリマー(プレポリマー1、プレポリマー2およびプレポリマー3)は、以下に記載するように3つの主な工程で、制御ラジカル重合(CRP)を経由して合成した。原料組成物は、表1~3で示されている。ランダムタイプのポリマー分散剤の合成に使用される様々な骨格の特性は、表4で示されている。
【0182】
工程A:コンデンサー、アジテーターおよび熱電対を取り付けた5L四口丸底フラスコに、試薬1~4(表1~2)を入れ、窒素で10分パージした。これに、続いて試薬5を添加し、さらに20分パージした。暗褐色混合物を70℃に加熱し、この温度にて1.5時間保った。窒素パージは、温度が70℃に達するまで続けた。
【0183】
工程B:工程Aの終わりに、反応混合物の温度を、60℃に低下し、試薬6~9(表1~2)の混合物を、窒素で30分パージし、やや正圧の窒素下でカニューレを通して反応フラスコに移した。反応温度を80℃に上昇させ、その温度にて9.5時間保った。
【0184】
工程C:工程Bの終わりに、反応混合物を空気に曝露した。試薬10および11(表1~2)の混合物をフラスコに直接添加し、80℃にて5時間保った。このプロセスが終わりに近付くにつれ、樹脂の緑色が消失し、最初に黄色のamberlyte-748樹脂は、青みがかった緑に変化した。溶液は、固体漏斗(solid filtration funnel)を通して濾過して、amberlyte樹脂ビーズを除去した。酢酸およびいくつかの溶媒を、揮発性物質の10%が除去されるまで減圧下で留去した。
【0185】
【0186】
表中、
グリシジルメタクリレートおよびHPMA=2-ヒドロキシプロピルメタクリレートは、Dow Chemicalから得た。ブチルメタクリレート、TsCl=p-トルエンスルホニルクロリド、酢酸およびBpy=ビピリジルは、Sigma Aldrichから得た。ブチルアクリレートは、BASFから得、Amberlyte-748樹脂は、Alfa Aesarから得た。
【0187】
【0188】
表中、
グリシジルメタクリレートおよびHPMA=2-ヒドロキシプロピルメタクリレートは、Dow Chemicalから得た。ブチルメタクリレート、TsCl=p-トルエンスルホニルクロリド、酢酸およびBpy=ビピリジルは、Sigma Aldrichから得た。ブチルアクリレートは、BASFから得、Amberlyte-748樹脂は、Alfa Aesarから得た。
【0189】
【0190】
表中、
MIBK=メチルイソブチルケトン、グリシジルメタクリレートおよびHPMA=2-ヒドロキシプロピルメタクリレートは、Dow Chemicalから得た。TsCl=p-トルエンスルホニルクロリド、酢酸、Bpy=ビピリジルおよびPEGMEAcrylate480=ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、Mn480は、Sigma Aldrichから得、Amberlyte-748樹脂は、Alfa Aesarから得た。
【0191】
(II)溶媒性ジブロックポリマー分散剤の製造
ジブロックプレポリマー、プレポリマー1およびプレポリマー2を、エポキシ当たりの質量(WPE、ASTM D1652に従って臭化水素(HBr)での滴定により測定した)が>15,000に達して、約50%の非揮発性(NV、ASTM D2369に従って、強制通風炉セットにおいて、110℃にて60分まで揮発性物質成分を除去することにより測定した)の、分散剤1および分散剤2(表4)の薄褐色の透き通った溶液が生じるまで、110℃~124℃にてアンカーDおよびB(スキーム1)と反応させた。
【0192】
同一の手順を使用して、ジブロックコポリマーの比較例は、プレポリマー2と、1個のみのヒドロキシル基を有するアンカー3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸を反応させて、分散剤3(表4)を生じることにより製造された。
【0193】
(III)水性ジブロックポリマー分散剤の製造
ジブロックプレポリマー、プレポリマー3は、アンカーBおよびD(スキーム1)と反応させて、それぞれ固体65%の、分散剤4および分散剤5を得た(表4)。混合物を、WPE数が12,000に達するまで還流条件下で加熱した(115℃)。最終生成物を真空乾燥させて、MIBKを除去した。得られた生成物を、50/50(w/w)ブチルセロソルブ(供給元:Eastman Chemical Company)およびDI水中で還元して、約50%の非揮発性(NV)の透き通った褐色溶液を得た。
【0194】
【0195】
ランダムポリマー顔料分散剤の製造
(I)グリシジル官能性ポリアクリレート骨格(アクリル骨格BB-1およびBB-2)の製造
ランダムタイプのポリマー分散剤を合成するためのグリシジル官能性アクリルコポリマーは、溶液重合技術を使用した従来の現状技術フリーラジカル重合を経由して、グリシジルメタクリレート(GMA)と他のビニルおよび/または(メタ)アクリレートモノマーのランダム共重合により合成した。これらのポリアクリレートの重要な特性は、表5に記載されている。2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)AMBNは、熱開始剤として使用した。櫛型超分散剤(comb type of hyper-dispersant)の合成に使用される異なる骨格の特性は、表5に示されている。
【0196】
【0197】
表中、
PbW=質量部
GMA=グリシジルメタクリレート(供給元:Mitsubishi Gas Chemical Company)、MMA=メタクリル酸メチル、UMA=ウレイドメタクリレート(MMA中25% W/W溶液として使用した)(供給元:BASF)、EHA=エチルヘキシルアクリレート(供給元:Sigma Aldrich)、BzMA=ベンジルメタクリレート(供給元:Geo Specialty Chemical Company)、MIBK=メチルイソブチルケトン(供給元:Sigma Aldrich)。
【0198】
(II)溶媒性ランダムタイプポリマー顔料分散剤(分散剤6)の製造
工程-1:アンカーグラフト中間体の合成
当業者によく知られた方法によれば、グリシジル官能性アクリルコポリマー(アクリル-BB-1)(128.7g)を、触媒量のアセチルアセトン酸亜鉛の存在下で、110~115℃にて、FTIR分光法により確認してほぼすべてのエポキシ基が消費されるまで、アンカーF(91.5g)と反応させた。反応物を周囲条件に冷却し、エチルメチルケトン(85g)を添加することにより希釈し、次いで、p-トルエンスルホニルイソシアネート(21.1g)を、撹拌しつつ添加した。
【0199】
工程-2:ポリエステル側鎖のグラフトの形態:
当業者によく知られた方法によれば、直鎖状ポリエステル安定化鎖は、ラクトンモノマーの開環重合により、上の工程-1におけるアンカーグラフト中間体「からグラフトされる」。中間体は、125℃に徐々に加熱しながら、中間体に存在する溶媒から留去した。ε-カプロラクトン(303.7g)およびδ-バレロラクトン(66.6g)の混合は、反応器中で、120℃~130℃の温度を維持しつつ、2-エチルヘキサン酸スズ(II)(1.4g)と一緒に実行した。反応を、理論上の期待値と比較した%NVの測定により確認してラクトンの望ましい変換が達成されるまで、125℃にてさらに続けた。望ましい変換を達成したら、塊を75℃に冷却し、酢酸n-ブチルにより希釈し、均質な溶液が観察されるまで撹拌した。分散剤の最終%NVは、61.8%であった。
【0200】
(III)水性ランダムタイプポリマー顔料分散剤(分散剤7)の製造
ポリエチレングリコール(Carbowax2000(登録商標))(185.7g)および1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノンを反応器に入れ、真空下で120℃に加熱し、30分間維持した。真空を止め、無水コハク酸(12.1g)を添加し、118~120℃にて3.5時間反応させた。グリシジル官能性アクリルコポリマー(アクリル-BB-2)(99.0g)を次いで添加し、続いて、ほぼすべてのエポキシ基が消費されるまで(エポキシ当量>15000g/eq)、触媒量のアセチルアセトン酸亜鉛の存在下で、120℃~125℃にてアンカーF(57.9g)を添加した。系に存在する溶媒を、単蒸留によりプロセス中に留去した。反応物を周囲条件に冷却しながら、反応物は、エチルメチルケトン(170.7g)および1-プロポキシ-2-プロパノール(42.7g)の混合物を、撹拌しつつ添加することにより希釈した。分散剤の最終%NVは、60.1%であった。
【0201】
(IV)水性ランダムタイプポリマー顔料分散剤(分散剤8)の製造
ポリエチレングリコール(Carbowax2000(登録商標))(167.2g)を、反応器に入れ、真空下で120℃に加熱し、30分間維持した。真空を止め、無水コハク酸(7.9g)を添加し、118~120℃にて3.5時間反応させた。グリシジル官能性アクリルコポリマー(アクリル-BB-2)(86.2g)を、次いで添加し、続いて、ほぼすべてのエポキシ基が消費されるまで(エポキシ当量>15000g/eq)、触媒量のアセチルアセトン酸亜鉛の存在下で、120℃~125℃にてアンカーA(41.3g)を添加した。系に存在する溶媒を、単蒸留によりプロセス中に留去した。反応物を周囲条件に冷却しながら、反応物は、エチルメチルケトン(117.6g)および1-プロポキシ-2-プロパノール(29.4g)の混合物を、撹拌しつつ添加することにより希釈した。分散剤の最終%NVは、67.7%であった。
【0202】
【0203】
ポリマー分散剤の評価および観察
本明細書に以上で記載されているプロセスに従って合成したポリマー分散剤を評価するために、溶媒性または水性試料を配合し、Lau分散機を使用してすり潰した。試料のすり潰し、色性能および粒径分布を測定した。
【0204】
評価は、BASF Perrindo Maroon L3920、BASF Perrindo Maroon L 39990、Sun Chemical Perrindo Maroon 229-8801、Sun Chemical Perrindo Maroon 229-6438、Sun Chemical Perrindo Violet 29、Clariant Hostaperm Brown HFR01、Sun Chemical Palomar Blue 248-4816およびBASF Heliogen Blue 7081Dを含むが、それらに限定されない複数のコーティング用高性能有機顔料で行った。顔料は、Sun Chemical、New Jersey、USAおよびBASF Corporation、New Jersey、USAから得た。
【0205】
1)配合物
溶媒性トライアルに関して、顔料上における分散剤(DoP)濃度が様々な10%顔料充填量を調査した。DoP濃度は、約30%~約300%の範囲であった。試料は、通常の酢酸ブチル(Nexeo Solutions、Warren、Michigan、USA)およびAromatic 100 (Nexeo Solutions、Warren、Michigan、USA)中で評価した。表7は、約50%DoPで合成された典型的な分散剤の配合を示す。
【0206】
水性トライアルに関して、顔料上における分散剤(DoP)濃度が様々な10%顔料充填量を調査した。DoP濃度は、約25%~約200%の範囲であった。試料は、脱イオン水および脱イオン水/溶媒混合物中で評価し、溶媒成分は、全体の配合物の少なくとも2.5wt.%であった。使用される溶媒の例は、プロピレングリコールn-プロピルエーテル(Nexeo Solutions、Warren、Michigan、US)およびプロピレングリコールn-ブチルエーテル(Dowanol PNB、The Dow Chemical Company、Midland、Michigan、USA)を含むが、それらに限定されない。
【0207】
2)すり潰し
各配合物に、顔料をすり潰すために、0.3mmイットリア安定化ジルコニアビーズ(Fox Industries、Fairfield、New Jersey、USA)を添加した。溶媒性および水性系では、ビーズは、全体の配合物質量の約100%とし、例えば100gの配合物に100gのビーズを添加して、合計を200gとした。
【0208】
準備した試料は、次いで、冷却系(LAU GmbH、Hemer、Germany)を有するLau分散機 - モデルDAS H-TP 200-Kに置き、ファンをオンにして540分、すなわち9時間振とうした。実行が完了したら、試料を濾過して、ビーズを除去し、アルミニウム塗料缶内に保存した。濾過したビーズを溶媒で洗浄し、再使用した。
【0209】
【0210】
安定性および色の評価
1)試料の安定性
濾過後、すり潰しの微細度は、Hegmanゲージを使用して評価した。試料が<6ミクロンのすり潰しを示した場合、合格とした。
【0211】
2)色の評価
溶媒性顔料分散体は、melinexドローダウンシート(Puetz GmbH+CO.Folien KG、Taunusstein、Germany)を使用して、BASF Corp.、26701 Telegraph Rd. Southfield、MI 48033から市販されている一成分クリアコートR10CG0392Dにおける色性能を評価した。ペリレン顔料(例:L3920、PV29)およびフタロブルー(例:248-4816、7081D)を、質量に対して0.3%顔料対結合剤比で評価した。結合剤の質量は、クリアコートからの固体を51%のみ含んでいた。顔料をR10CG0392Dクリアコートにかき混ぜながら添加した。Hostaperm Brown系を、0.24%P/B濃度で評価した。Bykドローダウンバー(Byk-Chemie GmbH、Wesel、Germany)の間隔150μmを使用して約20分通過させた。試料を続いて270°Fにて20分ベークした。試料を繰り返し作って、再現性を確保した。
【0212】
ペリレンレッドL3920の水性顔料分散体は、BASF Corp.、26701 Telegraph Rd.Southfield、MI 48033から市販されている一成分ベースコートであるGeneral Motors(GM)水性ベースコートの、カスタマー配合ガイドラインに従って製造された非着色配合物で色性能について評価した。顔料をかき混ぜながら非着色ベースコートに添加し、ベースコートのpHは、N,N-ジメチルエタノールアミン(BASF、Geismar、Louisiana、USA)を水中20wt.%溶液として使用して8.1に調整した。pHは、Starter 300 pH Portable pH meter(Ohaus Corporation、Parsippany、New Jersey、USA)を使用して測定した。Bykドローダウンバー(Byk-Chemie GmbH、Wesel、Germany)の間隔50μmを使用して、melinexドローダウンシート(Puetz GmbH+C0、Folien KG、Taunusstein、Germany)上にフィルムを生成し、約20分通過させた。試料を続いて270°Fにて30分ベークした。再現性を確実にするために試料を繰り返し作った。
【0213】
試料を冷却したら、Byk Mac i分光計(Byk-Chemie GmbH、Wesel、Germany)を使用して色スペクトルを測定した。着色クリアコートドローダウンを伴うmelinexカードは、反射鏡の表面に置いた。Byk Mac iを、次いでmelinexの表面および鏡に起き、GM CieLab重み付けを使用して、15、25、45、75および110度オフスペキュラーにてd65光の色データを測定した。測定は、試料ごとに5回行い、所定の比較される試料のドローダウンを複製した。
【0214】
この方法は、粒径の顔料凝集体が多いほど、測定されるフィルムの明度値を上昇させる散乱光を多く生じるため、使用される。角度110°が最大のフィルム経路長を有するとき、これは、散乱増加の検出に最も感受性になる。したがって、角度110°におけるL*値(明度)を評価に使用し、それによって、より低い値が得られる分散体がより透き通り、したがって顔料粒子の改善した分布または安定化または分散と類似する。
【0215】
以下の表8は、表7において配合された系に対する、角度110°での典型的なL*値を示す。
【0216】
3)粒径の測定
分散体の粒径(PSD)は、Malvern Zetasizer Nano S90(Malvern Instruments Limited、Malvern、United Kingdom)を使用して測定した。これらの測定では、表7からの所定の試料を、典型的には通常の酢酸ブチルで約1000×希釈し、約30分の平衡化の後で測定した。表8で見られるように、粒径が小さいほど、一般的に、所定の顔料で角度110°にて低いL*値に相互に関連付けられる。
【0217】
【0218】
結果の考察
本発明の対象とされる溶媒性および水性顔料分散体は、表8に例証したように、対照試料より優れた結果を示す。表8における結果は、本発明のポリマー分散剤を用いた実施例が、実施例3で示されている1個のみのヒドロキシル基を有するアンカーを使用して製造された分散剤3より優れたL*値を呈することを示す。顔料L3920の存在下で、本発明のポリマー分散剤を用いた実施例1および2は、角度110°における明度および粒径のいずれでも、1個のみのヒドロキシル基を有するアンカーと同顔料L3920を使用して製造された分散剤3を用いた実施例3より優れた結果を示した。各顔料タイプの中でも、散乱および不透明度に関連した小さい粒径と110°で低い明度値の間に、良好な相関が認められた。
【0219】
効果
1)クリアコートを添加する際に、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸としてアンカー基を有する対照樹脂では有意な粒径増大も認められた一方、本発明の樹脂による粒子シフトは認められなかった。粒径の結果は、本発明のポリマー分散剤が、サイズをサブミクロンにする能力を示す。
【0220】
2)本発明のジブロックポリマー顔料分散剤は、ジブロックプレポリマーを用いた制御ラジカル重合(CRP)方法によっても製造されるアンカー分子3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸を有する分散剤よりも効率的な解砕(デアグロメレーション)を生じる。これは、より彩度が高く、より透明な色は、顔料粒子をサイズ100nm未満の範囲にする高エネルギーミクロミリングプロセスを経由して達成されることを示す。
【0221】
テスト方法
粒径測定
粒径は、分析機器Malvern Zetasizer Nano S90(Malvern Instruments Limited、Malvern、United Kingdom)を使用したデジタル光散乱技術を使用して測定した。
【0222】
L*値測定
L*値は、Byk Mac i分光計(Byk-Chemie GmbH、Wesel、Germany)を使用して測定した。色データは、D65光源で測定し、重み付けdL*値は、規格DIN 6175-2に従ってGM CieLab重み付けを使用して測定した。