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特許7458387車両を急減速させるためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】車両を急減速させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 1/14 20060101AFI20240322BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60T1/14
B60T7/12 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021520909
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2019058808
(87)【国際公開番号】W WO2020106421
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】16/179,007
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520011234
【氏名又は名称】ニューロ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】NURO INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラトナー・ダニエル・ジェイソン
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第03437402(DE,A1)
【文献】特開2007-196892(JP,A)
【文献】中国実用新案第202806715(CN,U)
【文献】登録実用新案第3083178(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102007040006(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102005009949(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/14
B60T 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を減速させるためのシステムであって、
車両のシャシに結合されるよう構成されている第1端部と、第2端部とを有するマウントと、
前記マウントの前記第2端部に結合され、アンカを支持する動力ドライバであって、前記アンカを路面内に固定して前記車両を前記路面へ選択的に固定するために、前記アンカを前記動力ドライバから前記路面内へ推進するよう構成されている、動力ドライバと、
を備え、
前記マウントは、前記動力ドライバを前記車両の前記シャシに結合する第1ストラップと、前記動力ドライバに固定されている軸に結合されている第2ストラップと、前記第1ストラップおよび前記第2ストラップに結合されている第1プレートと、前記第1プレートと前記第2ストラップとの間の相対運動を制限するために、前記第1プレートと前記第2ストラップとの間に収容されている第1ダンパと、を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1ダンパは、前記第1プレートのストッパと前記第2ストラップの第1端部との間で圧縮するよう構成されている、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記マウントは、
前記第2ストラップに結合されている第2プレートと、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間に収容されている第2ダンパと、
を備え、
前記第1ストラップは、前記第2ダンパに巻き付けられている、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記第2ダンパは、前記第1プレートのストッパと前記第2プレートのストッパとの間で圧縮するよう構成されている、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記軸は、前記シャシに結合されて、そこから選択的に分離可能であるよう構成されている、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記動力ドライバは、突出するファスナを有する本体を備え、前記ファスナは、前記軸が前記シャシから分離した時に前記路面と係合するよう構成されている、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、さらに、前記シャシへ旋回可能に結合され、前記シャシへ軸方向に拘束されるよう構成されている第1端部と、前記軸へ旋回可能に結合されている第2端部とを有するリンケージを備える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、前記リンケージは、前記軸を前記シャシから分離させた時に、前記リンケージが、前記動力ドライバの前記ファスナを前記路面と係合させるために、前記軸を前記シャシから前記路面に向かって移動させるよう構成されるように、展開状態に向かって付勢されている、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記リンケージは、前記展開状態に向かってバネ付勢されている、システム。
【請求項10】
請求項5記載のシステムであって、さらに、前記軸の長さに沿って配置されている別の動力ドライバを備える、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記動力ドライバは、
本体と、
前記本体の底部から伸びるファスナと、
前記本体から展開可能なアンカと、
前記本体から前記アンカを展開するよう構成されているアクチュエータと、
を備える、システム。
【請求項12】
自律車両であって、
シャシと、
路面に沿って前記シャシを減速させるためのシステムと、
を備え、
前記システムは、
前記シャシに結合されている第1端部と、第2端部とを有するマウントと、
前記マウントの前記第2端部に結合されている動力ドライバであって、アンカを前記路面内に固定することで前記路面に対する前記シャシの移動を制限するために、前記アンカを前記動力ドライバから前記路面内へ推進するよう構成されている、動力ドライバと、
を備え、
前記マウントは
記動力ドライバが固定されている軸と
記シャシの横方向バーに巻き付けられている第1端部と、前記マウントに結合されている第2端部とを有する第1ストラップと
記第1ストラップの前記第2端部に隣接して配置されている第1端部と、前記軸に巻き付けられた第2端部とを有する第2ストラップと
記シャシの前記横方向バーと前記軸との間に配置されたダンパと、を備え
記第1ストラップは、前記第2ストラップから離れて前記シャシと共に移動するよう構成され、前記第1ストラップまたは前記第2ストラップの少なくとも一方は、前記第1ストラップが前記第2ストラップから離れる時に前記ダンパを圧縮するよう構成されている、自律車両。
【請求項13】
請求項12に記載の自律車両であって、前記マウントは、
前記シャシの前記横方向バーと前記軸との間に摺動可能に配置され、前記第1ストラップに結合されている第1プレートと、
前記第1プレートと前記第2ストラップとの間に収容されている第1ダンパと、
を備え、
前記第1ストラップは、前記第2ストラップから離れる時に前記第1プレートを前進させるよう構成されており、それにより、前記第1ダンパは、前記第1プレートの前記前進を妨げることなしに抑制する、自律車両。
【請求項14】
請求項12に記載の自律車両であって、前記軸は、前記シャシに結合されており、そこから選択的に分離可能である、自律車両。
【請求項15】
請求項14に記載の自律車両であって、前記動力ドライバは、突出するファスナを有する本体を備え、前記ファスナは、前記軸が前記シャシから分離した時に前記路面と係合するよう構成されている、自律車両。
【請求項16】
請求項15に記載の自律車両であって、さらに、前記シャシに旋回可能に結合され、軸方向において前記シャシに拘束されている第1端部と、前記軸に旋回可能に結合されている第2端部とを有するリンケージを備える、自律車両。
【請求項17】
請求項16に記載の自律車両であって、前記リンケージは、前記リンケージの前記第2端部が前記動力ドライバを引っ込み状態に維持する格納位置から、前記リンケージの前記第2端部が前記動力ドライバを前記路面に隣接させて配置する展開位置へ、前記シャシに対して旋回可能である、自律車両。
【請求項18】
請求項17に記載の自律車両であって、前記リンケージは、前記展開位置に向かって付勢されていることで、前記軸を前記シャシから分離させた時に、前記リンケージが、前記動力ドライバの前記ファスナを前記路面と係合させるために、前記軸を前記シャシから前記路面に向かって移動させるよう構成されている、自律車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年11月2日出願の米国特許出願第16/179,007号(現米国特許第10,369,976号)に基づく利益および優先権を主張するPCT出願であり、その出願の内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、自律車両に関し、特に、自律車両を急減速させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
完全自律型および/または半自律型ロボットの分野は、成長中のイノベーション分野である。ロボットは、倉庫の在庫品業務、家庭用掃除機ロボット、病院搬送ロボット、衛生ロボット、ならびに、軍事または防衛用途など、多くの目的に利用されている。
【0004】
消費者空間において、自律車両による物品の取り扱いおよび配達が、多くの方法で社会を改善しうる。例えば、時間を掛けて店舗へ車で行くのではなく、人は、その代わりに、自律車両が食品を配達するのを待つ間に生産的な仕事に従事できる。道路に車両が少なくなり、交通状態も改善することになる。例えば、数人の人が数台の車両で店舗へ行くのではなく、1台の自律車両が、物品をそれらの人々に配達し、物品を店舗へ返品することにより、道路上の車両の数を削減できる。
【0005】
いくつかの例において、歩行者またはその他の物体が、高速(例えば、約30mph(48.28km/h)以上)で移動する自律車両のすぐそばの進路に入ることがある。かかる例において、車両が、停止または他の方法でその物体を避けることができれば有利である。自律車両は無人なので、歩行者またはその他の物体を避けることは、車両または乗員の健全性を気にすることなしに達成されうる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で用いられているように、「平行」および「直交」という用語は、真の平行および真の直交から約±10度までの実質的に平行および実質的に直交した相対構成を含むと理解される。
【0007】
本明細書で用いられているように、「自律的」という用語は、完全自律、半自律、および、車両が人の介在なしに或る期間にわたって制御された方法で移動できる任意の構成、を含む。
【0008】
本明細書で用いられているように、「ロボット」、「ロボット車両」、「ロボットフリート」、「車両」、「全地形対応車」などの用語は、貨物、物品、および/または、商品を輸送する移動機械を示すために用いられる。典型的な車両は、乗用車、ワゴン、バン、無人自動車(例えば、三輪車、トラック、トレーラー、バスなど)、無人列車(例えば、列車、路面電車など)、無人船舶(例えば、船、ボート、フェリー、上陸用舟艇、荷船、いかだなど)、空中ドローン、無人ホバークラフト(空中、陸上、および、水上タイプ)、無人飛行機、および、無人宇宙船までも含む。
【0009】
本明細書で用いられているように、「路面」は、例えば、アスファルト、コンクリート、レンガ、砂利、ダート、金属などを含み、例えば、ハイウェイ、小道、私道、歩道、裏道、橋、小道、トンネル、駐車場、ランプ、ガレージなどを含みうる。
【0010】
本開示の態様に従って、マウントと動力ドライバとを備える、車両を減速させるためのシステムが提供される。マウントは、車両のシャシに結合されるよう構成されている第1端部を有する。動力ドライバは、マウントの第2端部に結合され、アンカを支持している。動力ドライバは、車両を路面へ選択的に固定するためにアンカを路面に向かって推進するよう構成されている。
【0011】
複数の態様において、マウントは、動力ドライバを車両のシャシに結合する第1ストラップを備えてよい。第1ストラップは、アンカが動力ドライバによって推進される時に車両のシャシに固定してアンカを保持するよう構成されていてよい。
【0012】
いくつかの態様において、マウントは、動力ドライバに固定されている軸を備えてよい。
【0013】
さらなる態様において、マウントは、軸に結合されている第2ストラップを備えてよい。
【0014】
別の態様において、マウントは、第1ストラップおよび第2ストラップに結合されている第1プレートと、第1プレートと第2ストラップとの間の相対運動を制限するために、第1プレートと第2ストラップとの間に収容されている第1ダンパと、を備えてもよい。
【0015】
複数の態様において、第1ダンパは、第1プレートのストッパと第2ストラップの第1端部との間で圧縮するよう構成されていてよい。
【0016】
いくつかの態様において、マウントは、第2ストラップに結合されている第2プレートと、第1プレートと第2プレートとの間に収容されている第2ダンパと、を備えてよい。第1ストラップは、第2ダンパに巻き付けられていてよい。
【0017】
さらなる態様において、第2ダンパは、第1プレートのストッパと第2プレートのストッパとの間で圧縮するよう構成されていてよい。
【0018】
別の態様において、システムは、さらに、動力ドライバが固定されている軸を備えてもよい。軸は、シャシに結合されて、そこから選択的に分離可能であるよう構成されていてよい。
【0019】
複数の態様において、動力ドライバは、突出するファスナを有する本体を備えてよい。ファスナは、軸がシャシから分離した時に路面と係合するよう構成されていてよい。
【0020】
いくつかの態様において、システムは、さらに、シャシに旋回可能に結合され、軸方向において、シャシに拘束されるよう構成されている第1端部と、軸へ旋回可能に結合されている第2端部とを有するリンケージを備えてよい。
【0021】
さらなる態様において、リンケージは、軸をシャシから分離させた時に、リンケージが、動力ドライバのファスナを路面と係合させるために、軸をシャシから路面に向かって移動させるよう構成されるように、展開状態に向かって付勢されてよい。
【0022】
別の態様において、リンケージは、展開状態に向かってバネ付勢されていてよい。
【0023】
複数の態様において、システムは、さらに、軸の長さに沿って配置されている別の動力ドライバを備えてよい。
【0024】
いくつかの態様において、動力ドライバは、本体と、本体の底部から伸びるファスナと、本体から展開可能なアンカと、本体からアンカを展開するよう構成されているアクチュエータと、を備えてよい。
【0025】
本開示の態様に従って、シャシと、路面に沿ってシャシを減速させるためのシステムと、を備えた自律車両が提供されている。システムは、シャシに結合されている第1端部を有するマウントと、マウントの第2端部に結合されている動力ドライバと、を備える。動力ドライバは、路面に対するシャシの移動を制限するために、アンカを動力ドライバから推進するよう構成されている。
【0026】
複数の態様において、マウントは、動力ドライバが固定されている軸と、シャシの横方向バーに巻き付けられている第1端部および軸に結合されている第2端部を有する第1ストラップと、を備えてよい。
【0027】
いくつかの態様において、マウントは、第1ストラップの第2端部に隣接して配置されている第1端部と、軸に巻き付けられた第2端部とを有する第2ストラップを備えてよい。第1ストラップは、第2ストラップから離れてシャシと共に移動するよう構成されていてよい。
【0028】
さらなる態様において、マウントは、シャシの横方向バーと軸との間に配置されたダンパを備えてよい。第1ストラップおよび/または第2ストラップは、第1ストラップが第2ストラップから離れる時にダンパを圧縮するよう構成されていてよい。
【0029】
別の態様において、マウントは、第1プレートと、第1ダンパと、を備えてもよい。第1プレートは、シャシの横方向バーと軸との間に摺動可能に配置され、第1ストラップに結合されていてよい。第1ダンパは、第1プレートと第2ストラップとの間に収容されていてよい。第1ストラップは、第2ストラップから離れる時に第1プレートを前進させるよう構成されていてよく、それにより、第1ダンパは、第1プレートの前進を妨げることなしに抑制する。
【0030】
複数の態様において、軸は、シャシに結合されて、そこから選択的に分離可能であるよう構成されていてよい。
【0031】
いくつかの態様において、動力ドライバは、突出するファスナを有する本体を備えてよい。ファスナは、軸がシャシから分離した時に路面と係合するよう構成されていてよい。
【0032】
さらなる態様において、車両は、さらに、シャシに旋回可能に結合され、軸方向においてシャシに拘束されている第1端部と、軸に旋回可能に結合されている第2端部とを有するリンケージを備えてよい。
【0033】
別の態様において、リンケージは、リンケージの第2端部が動力ドライバを引っ込み状態に維持する格納位置から、リンケージの第2端部が動力ドライバを路面に隣接させて配置する展開位置へ、シャシに対して旋回可能であってもよい。
【0034】
複数の態様において、リンケージは、軸をシャシから分離させた時に、リンケージが、動力ドライバのファスナを路面と係合させるために、軸をシャシから路面に向かって移動させるよう構成されるように、展開状態に向かって付勢されてよい。
【0035】
本開示のさらなる態様によれば、車両を減速させる方法が提供されており、路面上で回避されるべき物体を検知し、路面に対する車両の移動を制限するために、車両の動力ドライバから路面に向かってアンカを推進すること、を備える。
【0036】
いくつかの方法は、さらに、シャシ内にある引っ込み状態から、動力ドライバのファスナを路面と係合させるための展開状態へ、動力ドライバを移動させることを備えてよい。アンカは、動力ドライバのファスナが路面と係合される時に推進されてよい。
【0037】
いくつかの方法において、動力ドライバは、シャシに選択的に取り付けられている軸に取り付けられてよい。動力ドライバを展開状態へ移動させることは、軸をシャシから分離することを含んでよい。
【0038】
いくつかの方法において、軸は、シャシへ旋回可能に結合されているリンケージに結合されてよい。動力ドライバを展開状態へ移動させることは、軸がシャシから分離された後に、シャシに対してリンケージを旋回させることを含んでよい。
【0039】
いくつかの方法は、さらに、シャシを動力ドライバから離れさせることにより、シャシおよび動力ドライバを連結するマウントを軸方向に伸ばすことを備えてよい。
【0040】
いくつかの方法は、さらに、アンカを路面に固定した後に、シャシと動力ドライバとの間でマウントのダンパを圧縮することを備えてよい。
【0041】
本開示のさらに別の態様によれば、車両を減速させるためのシステムが、シャシに結合されるよう構成されている第1端部、および、第2端部を有する第1リンケージと、第1リンケージの第2端部に結合されている軸と、軸に結合されているフット部と、シャシに結合されるよう構成されている第1端部、および、軸に結合されている第2端部を有する第2リンケージと、第2リンケージによって支持され、アンカを支持する動力ドライバと、を備える。動力ドライバは、アンカを路面内に固定して車両のシャシを路面へ選択的に固定するために、アンカを動力ドライバから路面内へ推進するよう構成されている。第1および第2リンケージは、格納位置から展開位置へ軸を移動させるために、シャシに対して移動するよう構成されている。格納位置において、フット部は、路面から持ち上げられており、展開位置において、フット部は、路面と係合する。
【0042】
複数の態様において、フット部は、前方爪部および後方爪部を有してよい。後方爪部は、軸が展開位置へ移動した時に路面と係合するよう構成されていてよく、それにより、フット部は、前方爪部を路面と係合させるように回転する。
【0043】
複数の態様において、第2リンケージは、横方向バーと、横方向バーから伸び、動力ドライバを支持するプロングと、横方向バーに支持され、シャシへ旋回可能に結合されているショックアブソーバと、を備えてよい。
【0044】
複数の態様において、第2リンケージのプロングは、軸が格納位置にある時に、路面に対して平行にアンカを方向付けてよい。第2リンケージのプロングは、軸が展開位置にある時に、路面に対して非平行な角度にアンカを方向付けてよい。
【0045】
複数の態様において、システムは、さらに、軸に回転可能に結合されているハブを備えてよい。アンカは、前端および後端を備えてよい。アンカの前端は、アンカが展開前状態にある時、ハブ内に収容されてよい。アンカの後端は、アンカが展開状態にある時、ハブ内に支持されてよい。
【0046】
複数の態様において、第2リンケージは、アンカを第2リンケージから切り離すために、前軸から分離するよう構成されていてよい。
【0047】
複数の態様において、システムは、さらに、第1リンケージの第2端部に隣接して配置されている爆発物を備えてよい。爆発物は、フット部が路面と係合した時に、爆発して、軸を第1リンケージから分離させるよう構成されていてよい。
【0048】
複数の態様において、システムは、さらに、第1弾性ストラップと、第2弾性ストラップと、を備えてよい。第1弾性ストラップの第1端部は、シャシに結合されてよく、第2弾性ストラップの第1端部は、第1弾性ストラップの第2端部に結合されてよい。第2弾性ストラップの第2端部は、軸に結合されてよい。
【0049】
複数の態様において、システムは、さらに、シャシに固定されているリップパネルを備えてよい。第2ストラップは、リップパネルへ分離可能に結合され、アンカが路面内に展開された後にリップパネルから分離するよう構成されていてよい。
【0050】
複数の態様において、システムは、さらに、第1ストラップの第2端部と第2ストラップの第1端部との間に配置されているダンパを備えてよい。ダンパは、第1ストラップが第2ストラップに対して前進した時に第1および第2ストラップの間で圧縮するよう構成されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本開示の様々な態様および特徴について、図面を参照しつつ以下で説明する。なお、いくつかの図の各々において、同様の符号は、同一または対応する要素を示す。
【0052】
図1A】本開示の態様に従って、車両のシャシと路面に対して非展開状態にある減速システムを有する自律車両の例を示す側面図。
【0053】
図1B】本開示の態様に従って、車両のシャシと路面に対して展開状態にある減速システムを有する図1Aの自律車両を示す側面図。
【0054】
図2図1Bに示した自律車両の底面斜視図。
【0055】
図3】車両のシャシと路面に対して展開状態にある減速システムを示す上面斜視図。
【0056】
図4】展開状態にある図3の減速システムを示す底面斜視図。
【0057】
図5】路面との関連で図3および図4の減速システムの一部を示す部分分解斜視図。
【0058】
図6A図3および図4の減速システムの動力ドライバを示す斜視図。
【0059】
図6B図6Aの動力ドライバを示す分解斜視図。
【0060】
図7】分かりやすくするために一部を取り除いた図3図5の減速システムを示す斜視図。
【0061】
図8】明確化のために一部を取り除いた図7の拡大側面図。
図9】明確化のために一部を取り除いた図7の拡大側面図。
【0062】
図10】本開示の原理に従って、動力ドライバの別の実施形態を示す側断面図。
【0063】
図11図10に示した動力ドライバのケーシング内に着座したアンカを示す側断面図。
【0064】
図12】本開示の態様に従って、車両のシャシと路面に対して非展開状態にある減速システムを有する自律車両の別の実施形態を示す側面図。
【0065】
図13】路面に対して非展開状態にある減速システムを示す図12の自律車両の後部の拡大図。
【0066】
図14】路面に対して展開状態にある図12の自律車両の減速システムを示す後方斜視図。
【0067】
図15図12の自律車両の減速システムの構成要素を示す斜視図。
【0068】
図16図12の自律車両の減速システムのアンカアセンブリを示す上面斜視図。
【0069】
図17図12の自律車両の減速システムの構成要素を示す縦断面図。
【0070】
図18図12の自律車両の減速システムのブロックアセンブリを示す側面図。
【0071】
図19図12の自律車両の減速システムの構成要素を示す後方斜視図。
【0072】
図20図12の自律車両の減速システムの第1および第2ストラップならびにリップパネルを示す概略図。
【0073】
図21A】路面に対して展開状態にある減速システムを示す図12の自律車両の側面図。
【0074】
図21B】路面に対して図21Aの減速システムを示す拡大図。
【0075】
図22】減速システムの爆発物が起爆された後の路面に対する図14の減速システムを示す図12の自律車両の側面図。
【0076】
図23】自律車両の減速システムが路面に対してそのアンカを展開している様子を示す図12の自律車両の側面図。
【0077】
図24】減速システムのスリングアセンブリがシャシから分離した後の路面に対する自律車両の減速システムを示す図12の自律車両の側面図。
【0078】
図25】減速システムのスリングアセンブリが伸ばされた後の路面に対する自律車両の減速システムを示す図12の自律車両の側面図。
【0079】
図26】減速システムが自律車両の前進を止めた後の路面に対する自律車両の減速システムを示す図12の自律車両の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1A図2を参照すると、本開示の減速システム100は、陸上走行用に構成されている車両(図1A図2に示す小型の完全自律(または半自律)車両10など)に組み込まれる。減速システム100は、(例えば、急停車、方向転換、などのために)路面「RS」に対する車両10の移動を選択的に制限するために、非展開状態(図1A)と展開状態(図1B)との間で移動可能である。別の態様において、減速システム100は、急減速を必要とする任意の適切な陸上車両またはその他の移動物体に組み込まれてもよい。
【0081】
図1A図2に示す完全自律(または半自律)車両の例10は、幅が狭く(例えば、2~5フィート(0.61~1.52メートル)幅)、軽量で、安定のために低重心であり、1または複数の顧客、小売業者、および/または、販売業者に割り当て可能な複数の選択的にセキュリティ保護可能なコンパートメントを有し、市街および住宅地の運転速度に対応するために中程度の作業速度範囲(例えば、45.0mph(72.4km/h))に向けて設計されている。さらに、いくつかの実施形態において、陸上車両10は、高速での州内または州間の運転のために約90.0mph(144.8km/h)までの最高速度範囲を持つよう構成されている。車両10は、どこに安全に進むことができるのか、どのような他の物体が車両10の周りにあるのか、および、何をしてよいのか、を常に決定するために、オンボードセンサ(明確に図示せず)(例えば、(ビデオと同様に、高フレームレートで動作する)カメラ、LiDAR、レーダ、超音波センサ、マイクなど)と、内部コンピュータ処理と、を備える。いくつかの実施形態において、車両10は、完全自律または半自律である。
【0082】
車両10は、輸送システム12(例えば、推進エンジン、車輪、無限軌道、翼、ロータ、ブロワ、ロケット、プロペラ、ブレーキなどを備えた駆動システム)を備える。車両10は、従来のステアリングシステムおよびブレーキシステムを備えた従来型の四輪自動車構成で構成されているが、車両は、任意の数の車輪、車軸などを提供されてよい。駆動系は、標準的な二輪駆動または四輪オールテレーン駆動のために構成可能であるが、任意の適切な駆動システムを備えるよう変形されてもよい。推進システム(エンジン)は、ガスエンジン、タービンエンジン、電気モータ、および/または、ハイブリッドガス/電気エンジンとして構成可能である。いくつかの実施形態において、車両10は、バックアップ非常用電力または小規模低電力サブシステムのための電力を供給するために補助太陽光発電システムを備えるよう構成される。推進エンジンを備えたトータル駆動システムに代わる構成要素の別の構成は、車輪、無限軌道、翼、ロータ、ブロワ、ロケット、プロペラ、ブレーキなどを備えてもよい。車両10の構造および動作ならびに/もしくは車両のフリートに関連したその利用法のより詳細な説明については、2018年7月30日出願の国際出願第PCT/US2018/044361号、または、2018年10月12日出願の米国特許出願第16/159,016号を参照することができ、各々の内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0083】
図2図5を参照すると、本開示に従って提供されている減速システム100は、例えば、簡潔に上述した自律車両10などの車両に組み込まれてよい。いくつかの実施形態において、減速システム100は、車両10のシャシ14への別付けのためのキットまたは独立した形態で提供されてよいが、他の実施形態において、減速システム100は、車両10のシャシ14と一体的に形成されてもよい。減速システム100は、急減速の能力を追加することで恩恵を受ける任意の適切な陸上車両またはその他の移動物体に組み込まれうることが想定される。減速システム100は、一般に、路面「RS」(図1Aおよび図1B)の中に1または複数のアンカ128(図6B)を選択的に展開するための動力ドライバ102と、路面「RS」の中に1または複数のアンカ128を展開した後に車両10のシャシ14に対して動力ドライバ102ひいてはアンカ128を保持するためのマウント104と、を備える。
【0084】
減速システム100は、動力ドライバ102を支持すると共に動力ドライバ102を車両10のシャシ14に結合するための軸106を有する。軸106は、その長さに沿ってそれに固定されている任意の数の動力ドライバ102を有してよい。例えば、4つの動力ドライバ102が軸106の長さに沿って取り付けられている様子が図示されているが、4つよりも多いまたは少ない動力ドライバ102が設けられてもよいことが想定される。軸106は、シャシ14の横方向バー16から縦方向に離間され、横方向バー16と平行である。軸106は、シャシ14の一対の縦方向バー18a、18bへ分離可能に結合されるよう構成されている両端部106a、106bを有する。特に、車両10のシャシ14は、第1縦方向バー18aに固定された第1カプラ20aと、第2縦方向バー18bに固定された第2カプラ20bと、を有してよい。軸106の端部106a、106bは、第1および第2カプラ20a、20bから伸びる突起22を受け入れるよう構成されている開口部108を規定する。複数の実施形態において、軸106の端部106a、106bは、任意の適切な固定技術または係合(例えば、溶接、圧接、接着、摩擦嵌め、ストラップ、ラッチ、ボタン、留め具、バヨネット式接続など、または、それらの組みあわせ)によって、縦方向バー18a、18bへ分離可能に結合されてよい。
【0085】
減速システム100は、軸106ひいては動力ドライバ102をシャシ14から選択的に取り外すための解放メカニズム109を備える。例えば、解放メカニズム109は、車両10のコントローラ99(図1Bを参照)と(例えば、有線または無線で)電気通信する起爆装置制御ボックス110と、シャシ14の第1および第2カプラ20a、20bと、を備えてよい。
【0086】
第1および第2カプラ20a、20bは、車両10も減速システム100も損傷することなしに第1および第2カプラ20a、20bから軸106を分離させるのに十分な爆発エネルギを放出するためにコントローラ99によって(コントローラ99から起爆装置制御ボックス110へ送信される電気信号によって)選択的に起爆されうる爆発物(例えば、ニトログリセリンまたは穀物粉塵)などの化学エネルギ、ガスボンベまたはエアゾール缶などの加圧ガス、および/または、核分裂性同位体ウラン235およびプルトニウム239などの核エネルギ)を支持している。より具体的には、減速システム100の軸106とシャシ14との間の接続を断つために、制御ボックス110内のプロセッサが、爆発することによって、軸106の端部106a、106bと、シャシ14の第1および第2カプラ20a、20bとの間の結合を壊すように、第1および第2カプラ20a、20b内の爆発物に信号を送信する。例えば、ソレノイドロック、機械バネロック、磁気ロック、もしくは、任意のその他の適切な機械的および/または電気機械的ロック装置など、上述の爆発タイプ以外の解放メカニズムが、シャシ14から軸106を分離させるために用いられてもよい。例えば、軸106をシャシ14に固定する留め具(例えば、テザー)が、シャシ14から軸106を解放するために留め具を切断するよう構成されている解放メカニズム(例えば、可動ナイフ)によって選択的に破壊または切断されてよい。
【0087】
減速システム100は、シャシ14の両側の縦方向バー18a、18bに取り付けられると共に軸106に動作可能に結合されているリンケージアセンブリ112を備えてよい。例えば、上述の解放メカニズムの内の1または複数の作動によって、軸106がシャシ14から解放された時に、リンケージアセンブリ112は、路面「RS」に向かって、図3の矢印「A」によって示される方向へ下方に、軸106を強制的に駆動し、路面「RS」と強制的に係合するように軸106および動力ドライバ102を維持するよう構成されている。リンケージアセンブリ112は、シャシ14のそれぞれの縦方向バー18a、18bへ回転可能に結合されつつ軸方向には縦方向バー18a、18bに拘束されている両端部を有する横方向ロッド114を有する。より具体的には、リンケージ114は、シャシ14に対して回転可能であるが、取り付け部材125a、125b(図3)によってシャシ14の縦方向バー18a、18bに沿った縦方向へ軸方向に移動するのを防止されている。リンケージアセンブリ112は、さらに、横方向ロッド114の両端部のそれぞれから伸びる一対の第1および第2アーム116、118を備える。リンケージ114のアーム116、118は各々、軸106の両端部106a、106bへ旋回可能に結合されている端部120、122を有する。アーム116、118は、アーム116、118の長さを調節するよう構成されている2以上のバネ付勢された伸縮コラムで構成されている。アーム116、118は、ショックアブソーバであってよく、および/または、その他の適切なダンパ(バネなど)を備えてよいことが想定される。
【0088】
リンケージアセンブリ112は、動力ドライバ102と共に、展開状態に向かって(例えば、シャシ14から離れて、路面「RS」に向かって)軸106を付勢するよう構成されていてよい。例えば、リンケージアセンブリ112は、例えば、シャシ14から離れて路面「RS」に向かうようにリンケージアセンブリ112のアーム116、118を弾性的に付勢する付勢要素124(例えば、ダブルトーションバネなど)を有してよい。複数の実施形態において、空気圧、電磁気、油圧、および/または、シャシ14のカプラ20a、20b内の爆発物の起爆の際に生み出される爆発力など、その他のメカニズムが、シャシ14から離れて路面に向かうようにリンケージアセンブリ112のアーム116、118を付勢するために用いられてもよい。
【0089】
図6Aおよび図6Bを手短に参照すると、動力ドライバ102は各々、本体またはハウジング126と、アンカ128と、信管130と、カートリッジ132と、を備える。アンカ128は、本体126内に摺動可能に受け入れられ、カートリッジ132へ動作可能に結合されている。カートリッジ132は、火薬作動装置カートリッジであり、制御ボックス110(図3)のプロセッサから信号を受信すると、本体126から路面「RS」内へアンカ128を展開するよう構成されている。別の態様において、カートリッジ132は、空気圧作動式、燃焼動力式、または、任意のその他の適切なタイプのアクチュエータであってよい。アンカ128は、アスファルトなどの路面に突き刺さるためにテーパ状の端部を有するスパイクであってよい。アンカ128の頭部は、アンカ128が、展開された後に本体126に取り付けられたままであるように、本体126内に規定されている内側レッジ(図示せず)に引っかかるよう構成されている。別の実施形態において、アンカ128の頭部は、本体126に係留されてもよい。
【0090】
動力ドライバ102の本体126は、本体126の底面136から突出した複数のファスナまたは歯134を有する。歯134は、シャシ14からの軸106の展開によって提供された力により、路面「RS」に突き刺さるよう構成されている。歯134は、衝突時に動力ドライバ102および軸106を路面「RS」に固定することにより、後述するように、アンカ128の展開の前に、路面「RS」と動力ドライバ102の本体126の底面136との間のゼロまたは実質的にゼロの相対運動を提供する。
【0091】
図3図5および図7図9を参照すると、減速システム100のマウント104は、ハウジング構造138と、ハウジング構造138内に配置された一対の前方および後方ストラップ140、142と、を備える。前方および後方ストラップ140、142は、それぞれ、上側部分140a、142aと、下側部分140b、142bとを有する閉じたループであってよい。前方および後方ストラップ140、142は、弾性および/または延性材料(例えば、ポリマ材料、金属材料、繊維、織物、チェーン、ロープ、皮革、ケーブル、ワイヤなど)でありうる任意の適切な材料から形成されてよい。複数の実施形態において、前方および後方ストラップ140、142は、引っ張り耐性のある材料から形成されてよい。前方ストラップ140は、車両10のシャシ14の横方向バー16に巻き付けられた前端部144aと、ハウジング構造138内に配置された後端部144bとを有しており、後方ストラップ142は、前方ストラップ140の後端部144bに隣接して配置された前端部146aと、減速システム100の軸106に巻き付けられた後端部146bとを有する。
【0092】
複数の実施形態において、マウント104は、例えば、任意の数のテザー、ファスナ、伸縮コラムなど、動力ドライバ102をシャシ14に結合するための任意の適切な構造を備えてよい。いくつかの態様において、マウント104は、シャシ14の横方向バー16に動力ドライバ102を結合する1つのストラップのみを備えてよい。
【0093】
図7図9に最もよく示されているように、減速システム100は、さらに、上側プレート148と、下側プレート150と、上側プレートおよび下側プレート148、150の間、かつ、前方および後方ストラップ140、142の上側部分および下側部分140a、142aおよび140b、142bの間に配置された中間プレート152と、を備えた力伝達メカニズム147を備える。プレート148、150、152は、後述のように、前方ストラップおよび後方ストラップ140、142を通して、軸106とシャシ14との間で力を伝達するよう、ユニットとして構成されている。
【0094】
力伝達メカニズムの上側プレート148は、ハウジング構造138内に摺動可能に配置されており、前方および後方ストラップ140、142の上側部分140a、142aと重なっている。上側プレート148は、そこから下方に突出する一対の前方および後方ストッパ148a、148bを有する。前方ストラップ140の後端部144bは、上側プレート148の前方ストッパ148aに巻き付けられており、上側プレート148の後方ストッパ148bは、後方ストラップ142内にその後端部146bに隣接して配置されている。前方ストラップ140の後端部144bが上側プレート148の前方ストッパ148aに巻き付けられているため、上側プレート148は、車両10の減速中に後方ストラップ142に対して前方ストラップ140と共に前進する(図1A図2)。下側プレート150は、上側プレート148と同様に構成されているが、上側部分140a、142aではなく、前方および後方ストラップ140、142の下側部分140b、142bに対して構成されている。したがって、簡単のために、下側プレート150の詳細については説明しない。
【0095】
中間プレート152は、上側および下側プレート148、150の間に摺動可能に配置されており、そこから上方に突出する第1対の前方および後方ストッパ152a、152bと、そこから下方に突出する第2対の前方および後方ストッパ152c、152dと、を有する。中間プレート152の後方ストッパ152b、152dは、後方ストラップ142の上側および下側部分142a、142bにそれぞれ受け入れられ、中間プレート152の前方ストッパ152a、152cは、前方ストラップ140の上側および下側部分140a、140bに受け入れられている。中間プレート152の後方ストッパ152b、152dは、後方ストラップ142の上側および下側部分142a、142bの前端部146aをその周りに巻き付けられている。後方ストラップ142の前端部146aは、中間プレート152の後方ストッパ152b、152dに巻き付けられ、後方ストラップ142の後端部146bは、軸106に巻き付けられているので、中間プレート152およびそのストッパ152a、152b、152c、152dは、前方ストラップ140が車両10の減速中に後方ストラップ142から離れて前進した時に、後方ストラップ142/軸106に対して動かないように保持される。
【0096】
さらに、前方および後方ストラップ140、142の上側部分140a、142a内にそれぞれ配置された一対の前方および後方ダンパ160、162が提供されている。前方および後方ストラップ140、142の下側部分140b、142は、前方および後方ダンパ164、166を備えてもよい。ダンパ160、162、164、166は、ハニカム構造、アコーディオン構成などを有してよい。かかるダンパは、閾値力を受けると、永久的に崩壊しうる(例えば、潰れうる)任意の適切なタイプの崩壊可能な材料から製造されてよい。いくつかの実施形態において、かかるダンパは、一時的に崩壊するよう構成されてもよく、バネ、形状記憶材料(例えば、ニチノール)、または、同様のものなどを含みうる。ダッシュポットなど、その他のタイプのダンパも想定される。上側の前方ダンパ160は、中間プレート152の前方ストッパ152aと上側プレート148の前方ストッパ148aとの間に収容され、上側の後方ダンパ162は、中間プレート152の後方ストッパ152bと上側プレート148の後方ストッパ148bとの間に収容されている。
【0097】
このように、車両12の移動中に、軸106が路面「RS」に対して固定されている状態で、前方ストラップ140が、シャシ14の横方向バー16と共に移動すると、前方ストラップ140は、図8の矢印「B」によって示す方向へ中間プレート152に対する上側プレート148の前進を駆動する。上側プレート148が、後方ストラップ142/軸106に対して動かないように保持されている中間プレート152に対して前進すると、後方ダンパ162は、上側プレートおよび中間プレート148、152の後方ストッパ148b、152bの間で圧縮され(例えば、永久的に押しつぶされ)、前方ダンパ160は、上側プレートおよび中間プレート148、152の前方ストッパ148a、152aの間で圧縮され(例えば、永久的に押しつぶされ)、それにより、運動エネルギを吸収することで、車両10の減速度を低減する。
【0098】
複数の態様において、ダンパ160、162、164、166が崩壊可能である代わりに、拡張可能なダンパ(図示せず)が、前方ストラップ140の後端部144bを後方ストラップ142の前端部146aと結合するように、第1および第2ストラップ140、142の間に提供されてもよい。拡張可能なダンパは、車両10の減速中に、例えば、アコーディオンのように、伸びてよい。
【0099】
簡単に上述したように、車両10は、車両10の進路に沿って位置する物体(例えば、歩行者)の存在を検出するために様々なセンサを装備されてよい。利用中、車両10のすぐ前の進路に沿って位置する物体が、避ける必要があり、かつ、車両10によって提供されている通常のブレーキメカニズムを用いて回避できないものであると判定すると、本開示の減速システム100が作動されてよい。具体的には、制御ボックス110が、シャシ14の第1および第2カプラ20a、20bの中の爆発物に信号を送信して、第1および第2カプラ20aを爆発させる。第1および第2カプラ20aを爆発させると、軸106の端部106a、106bは、もはやシャシ14の縦方向バー18a、18bに固定されておらず、それにより、リンケージアセンブリ112のダブルトーションバネ124が、軸106および付属の動力ドライバ102を格納位置(図1A)から展開位置(図1B)に向かって強制的に駆動することが可能になる。
【0100】
軸106を展開すると、動力ドライバ102の本体126から伸びる歯134は、シャシ14が図1Bの矢印「C」によって示す方向に前進し続ける時に、路面「RS」と係合して、一時的に、路面「RS」に対して動かないように動力ドライバ102および軸106を保持する。リンケージアセンブリ112の横方向バー114は、シャシ14の縦方向バー18a、18bへ軸方向に拘束されているので、シャシ14と共に軸106および動力ドライバ102に対して前進する。リンケージアセンブリ112の横方向バー114が、軸106に対して前進すると、リンケージアセンブリ112のアーム116、118は、図3の矢印「D」によって示す方向に、軸106の軸に関して回転し、車両10の重量によりシャシ14と軸106との間で圧縮される。リンケージアセンブリ112の横方向バー114が軸106の真上にある時、アーム116、118に作用する車両10の重量は最大であり、路面「RS」に(路面「RS」に対して)動力ドライバ102の歯134へ大きい垂直抗力を掛けさせ、歯134を路面「RS」と完全に係合させる。
【0101】
リンケージアセンブリ112の横方向バー114が軸106の真上で移動すると(すなわち、歯134が路面「RS」と係合されると)、制御ボックス110は、動力ドライバ102のアンカ128を路面「RS」の中へ推進することで路面「RS」に対して軸106をしっかりと固定するために、動力ドライバ102を同時に作動させるよう構成されている。動力ドライバ102は、路面「RS」に対して一時的に静止または実質的に静止することで、車両10が高速(例えば、約35mph(56.33km/h))で移動していても、アンカ128が路面「RS」に突き刺さって持ちこたえる可能性を実質的に高めるので、この瞬間に作動される。
【0102】
アンカ128を路面「RS」の中に展開した後、車両10は、少なくとも部分的にダンパ160、162、164、166の作用により、瞬時に停止することがない。軸106は、現在、動力ドライバ102のアンカ128を介して路面「RS」に対して固定されているので、まだ動いている車両10のシャシ14は、軸106に対して前進し、それにより、前方および後方ストラップ140、142に残っている場合がある任意のたるみを取り、および/または、前方および後方ストラップ140、142を最大長まで伸ばす。前方および後方ストラップ140、142が完全に伸びた状態で、軸106に対してシャシ14が前進し続けると、これによって前方ストラップ140に印加される牽引力が、図8の矢印「B」で示す方向に、中間プレート152の前方ストッパ152aに対してかつそれに向かって、上側プレート148の前方ストッパ148aを付勢する。後方ストラップ142は、その前端部146aで中間プレート152の後方ストッパ152bに巻き付けられ、その後端部146bで現在固定されている軸106に巻き付けられているので、中間プレート152が、シャシ14、上側プレート148、および、前方ストラップ140と共に前進するのを防ぐ。
【0103】
上側プレート148が中間プレート152に対して前進すると、前方ダンパ160は、上側プレートおよび中間プレート148、152の前方ストッパ148a、152aの間で圧縮し始め、後方ダンパ162は、上側プレートおよび中間プレート148、152の後方ストッパ148b、152bの間で圧縮し始める。前方および後方ダンパ160、162の圧縮または崩壊は、エネルギ(例えば、動いている車両10の運動エネルギ)を吸収することで、車両10の減速度を低減させる。このように、路面「RS」の中へのアンカ128の展開時に、車両10がすぐに停止する代わりに、車両10は、ダンパ160、162、164、166の1つの長さと等しい距離を進むのに掛かる時間の長さで停止する。理解できるように、減速システム100による車両10の減速度は、ダンパ160、162、164、166の長さを変化させることによって調整されてよい。複数の実施形態において、車両10は、アンカ128の展開時に即時停止するよう構成されてもよい。特定の実施形態において、1または複数のアンカ128が、減速時に車両10をターンさせるように展開されてもよい。例えば、車両10の右側に配置された1または複数のアンカ128を展開することができ、これにより、車両10の減速時に車両10を右にターンさせることができる。特定の実施形態において、1または複数のアンカ128が、物体(例えば、車両10の1または複数のセンサによって検知された物体、および/または、車両10と通信するものの存在)を回避する助けとして、1または複数の方向に車両10のターンおよび/または急展開を達成するように同時および/または連続的に展開されうる。
【0104】
減速システム100は、通常のブレーキメカニズムと併せて(例えば、同時および/または連続的に)用いられうることが想定される。
【0105】
いくつかの態様において、車両10および/またはその減速システム100は、その他のものと通信する(例えば、テキストメッセージ、電話、電子メールなどによって通知を自動的に送信する)よう構成されてよい。例えば、車両10は、ハイウェイパトロールおよび/またはカリフォルニア運輸局または任意の同様の機関に通知を送信できる。複数の実施形態において、車両10および/または減速システム100は、アンカ128の路面「RS」への展開の前、直後、または、同時に、かかる通信を行うよう構成されてよい。いくつかの実施形態において、車両10は、車両10および/またはその1以上の構成要素(例えば、減速システム100)の状態に関して、フリート管理者、顧客、修理店または修理拠点などと通信するよう構成される。例えば、アンカ128の展開は、車両10のプロセッサに、フリート管理者、顧客、および/または、修理店へ通知を送信させて、アンカ128の展開に関連する任意の出来事について、それらに通報することができる。アンカ128のGPS座標および/または車両128のGPS座標が、例えば、緊急サービス(警察など)に、その位置のGPS座標を通報するために、通知内で提供されてもよく、そうすれば、それらサービスは、展開イベント、位置について知ることになり、道路を元の状態に戻すための事前に合意された計画が実行される。いくつかの態様において、アンカ128は、GPSトラッカ(図示せず)を装備してよい。別の態様において、減速システム100のプロセッサは、車両10のGPS座標を(例えば、展開時に)送信してもよい。
【0106】
図10および図11を参照すると、上述の動力ドライバ102と同様の動力ドライバの別の実施形態202が、減速システム100で利用するために提供されている。動力ドライバ202は、軸106(図3を参照)に結合されるよう構成されている本体またはハウジング226と、アンカ228と、カートリッジまたはケーシング232と、を備える。アンカ228は、ハウジング226に規定されたチャネル230内に摺動可能に配置されている。アンカ228は、図11に示すように、展開前状態時にケーシング232内に着座される近位端228aを有する。例えば、ケーシング232内の爆発物の点火によって、動力ドライバ202を作動させると、アンカ228は、アンカ228の近位端228aがハウジング226に規定されたレッジ234によって停止されるまで、ケーシング232から出てチャネル230を通るように駆動される。展開状態では、図10に示すように、アンカ228の近位端228aは、アンカ228の遠位端228bがハウジング226から突出した状態で、ハウジング226のレッジ234上に着座する。
【0107】
ケーシング232は、制御ボックス110(図3)のプロセッサから信号を受信すると本体226から路面内へアンカ228を展開するよう構成されている火薬作動ケーシングであってよい。別の態様において、ケーシング232は、空気圧作動式、燃焼動力式、または、任意のその他の適切なタイプのアクチュエータであってよい。アンカ228は、路面に突き刺さるためにテーパ状の遠位端228bを有するスパイクであってよい。
【0108】
図12図26を参照すると、上述の図1図11の減速システム100と同様の減速システムの別の実施形態300が図示されている。減速システム300は、減速システム100と同様であるため、それらの間の選択された差異のみを詳細に説明する。
【0109】
減速システム300は、陸上走行用に構成されている車両(車両10など)に組み込まれてよい。減速システム300は、(例えば、急停車、方向転換、などのために)路面「RS」に対する車両10の移動を選択的に制限するために、非展開状態(図12)と展開状態(図26)との間で移動可能である。別の態様において、減速システム300は、急減速を必要とする任意の適切な陸上車両またはその他の移動物体に組み込まれてもよい。
【0110】
図12図17を参照すると、減速システム300は、一般に、路面内へ1または複数のアンカ312、313を選択的に展開するためのアンカアセンブリ310と、減速システム300が車両10を減速する減速度を低減するためのスリングアセンブリ350と、アンカアセンブリ310およびスリングアセンブリ350の間に結合されているブロックアセンブリ330と、を備える。
【0111】
アンカアセンブリ310は、後方リンケージ311と、後方リンケージ311に固定された一対の動力ドライバ314a、314bと、を備える。後方リンケージ311は、横方向バー316と、横方向バー316から横方向に(例えば、直交して)伸びる一対の外側プロング318a、318bと、を有する。外側プロング318a、318bは、動力ドライバ314a、314bを支持する。動力ドライバ314a、314bは、そこからアンカ312、313を展開するよう構成されている。
【0112】
後方リンケージ311は、さらに、横方向バー316に結合された外部管320aと、外部管320a内に摺動可能に配置され、車両10のシャシ12に旋回可能に結合されている内部シャフト320bと、を有するショックアブソーバ320を備える。ショックアブソーバ320は、その長手方向軸に沿って自由に伸び、その長手方向軸に沿った後退には抵抗するよう構成されている。いくつかの態様において、ショックアブソーバ320は、線形ダンパであってよい。アンカアセンブリ310は、アンカ312、313が路面「RS」と平行または実質的に平行である格納位置(図13)と、後方リンケージ311が路面「RS」に対して非平行な角度(例えば、鋭角)にアンカ312、313を方向付ける展開位置(図14図20A、および、図20B)との間でシャシ12に対して旋回するよう構成されている。
【0113】
図14図16に最もよく示されているように、後方リンケージ311は、横方向バー316から伸びてブロックアセンブリ330へ回転可能に結合されている一対のC型クランプ322、324を有する。クランプ322、324の各々は、後方へアンカアセンブリ310がブロックアセンブリ330から分離することを防止しつつ、ブロックアセンブリ330に対するアンカアセンブリ310の回転をガイドするために、ブロックアセンブリ330のアーチ形レール332(図14および図15)に係合されたローラベアリング326を有する。
【0114】
図14図15、および、図17図19を参照すると、減速システム300のブロックアセンブリ330は、一対の爆発可能なカプラ332a、332b(図14)を介してシャシ12へ選択的に(例えば、一時的に)結合するよう構成されており、軸334と、軸334の両端部334a、334b上に回転可能に支持されている一対のハブ336、338と、軸334の両端部334a、334b上に支持されている一対のフット部340、342と、軸334の両端部334a、334bに固定されている一対のホイール344a、344bと、を備える。
【0115】
アンカアセンブリ310のC型クランプ322、324は、その中にハブ336、338の各々を捕らえることで、アンカアセンブリ310に対するブロックアセンブリ330の後方移動を妨げる。ハブ336、338の各々は、その中にチャンバ346、348を規定しており、チャンバ346、348は、その中にアンカ312、313の各々の前端部312a、313aを受け入れている。したがって、アンカアセンブリ310のアンカ312、313が、アンカアセンブリ310の展開中に後方リンケージ311と共に回転すると、ハブ336、338は、それと共に、軸334の周りを回転する。チャンバ346、348は、アンカ312、313が動力ドライバ314a、314bから展開された後に、アンカ312、313の各々の後端部312b、313bを捕らえて保持するよう構成されており、したがって、アンカ312、313の展開後にブロックアセンブリ330と係合するようにアンカ312、313を維持する。
【0116】
ブロックアセンブリ330のフット部340、342の各々は、前方爪部340a、342aと、後方爪部340b、342bと、前方および後方爪部の各々から伸びるスパイク343と、を有する。フット部340、342は、破壊容易な接続349(図18)を介して、軸334の周りの予め設定された回転方向に一時的に固定されたままであるよう構成されている。フット部340、342は、それらの後方爪部340b、342bが減速システム300の展開時に最初に路面「RS」と係合するように方向付けられる。後方爪部340b、342bが路面「RS」に係合する力が、破壊容易な接続349を破壊することにより、後に詳述するように、フット部340、342が軸334の周りで回転して、前方爪部340a、342aを路面と係合させることを可能にする。
【0117】
ブロックアセンブリ330は、フット部340、342上にリングエンコーダ(明確に図示せず)を読み取るための回路基板351を有してよい。回路基板351は、例えば、ブロックアセンブリ330と前方リンケージ360(図14)との間の境界に配置された爆発物353(図17図19)など、1または複数のエネルギ要素を作動させるよう構成されている。
【0118】
前方リンケージ360は、ブロックアセンブリ330を車両10のシャシ12へ選択的に結合する。前方リンケージ360は、ブロックアセンブリ330の第1側に配置された第1対の剛体バー360a、360bと、ブロックアセンブリ330の第2側に配置された第2対の剛体バー360c、360dと、を有する4バーリンケージであってよい。複数の態様において、ブロックアセンブリ330をシャシ12に結合するために、4つより多いまたは少ないバーを用いてもよい。図14に最もよく示されているように、第1対のバー360a、360bおよび第2対のバー360c、360dは各々、シャシ12に旋回可能に結合された前端部362と、ブロックアセンブリ330に固定された後端部分364と、を有する。爆発物353(図17)は、4バーリンケージ360の各バーがブロックアセンブリ330と接する点に隣接して配置されてよい。爆発物353は、爆発物353の爆発がブロックアセンブリ330に後方下向きの力を向けるように、配置されることが想定される。
【0119】
図14および図20を参照すると、減速システム300のスリングアセンブリ350は、ブロックアセンブリ330を車両10のシャシ12へ永久的に弾性結合しており、前方および後方弾性ストラップ352、354(または、バンド)と、前方および後方弾性ストラップ352、354の間に配置されたダンパ356と、後方弾性ストラップ354をシャシ12に結合するためのリップパネル358と、を備える。前方および後方弾性ストラップ352、354は、前端部352a、354aおよび後端部352b、354bを各々有するループスリングであってよい。前方弾性ストラップ352の前端部352aは、シャシ12のバーまたはその他の適切な部分に巻き付けられ、後方弾性ストラップ354の後端部354bは、ブロックアセンブリ330をシャシ12へ弾性的に結合するように、ブロックアセンブリ330の軸334に巻き付けられている。前方弾性ストラップ352の後端部352bおよび後方弾性ストラップ354の後端部354aは、互いに連結されている。
【0120】
ダンパ356は、クランプル(衝撃吸収)缶であってよく、前方弾性ストラップ352の後端部352bと後方弾性ストラップ354の前端部354aとの間に規定された空間内に収容されている。リップパネル358は、後方弾性ストラップ354に固定され、破壊容易な接続を介してシャシ12に取り付けられた板金であってよい。複数の態様において、リップパネル358は、閾値牽引力を受けると、シャシ12から剥離可能であってよい。スリングアセンブリ350は、前方および後方弾性ストラップ352、354、ダンパ356、および、リップパネル358の各々を収容するために、これらの構成要素に巻き付けられたリッププルーフサック359(図20)を有してよい。
【0121】
ここで、図12および図21A図26を参照して、減速システム100の利用例について説明する。車両10のすぐ前の進路に沿って位置する物体が、避ける必要があり、かつ、車両10によって提供されている通常のブレーキメカニズムを用いて回避できないものであると判定すると、本開示の減速システム300が作動されてよい。特に、制御回路351は、爆発させるためにカプラ332a、332b(図14)に信号を送信する。カプラ332a、332bを爆発させると、減速システム300のブロックアセンブリ330は、格納位置(図13)から展開位置(図21A)に向かって下方へ強制的に駆動される。ブロックアセンブリ330が展開位置に向かって動く時、アンカアセンブリ310は、 図21Bの矢印「E」で示す方向に回転し、それにより、アンカアセンブリ310のショックアブソーバ320が自由に伸びる。さらに、4バーリンケージ360および後方弾性ストラップ354は、図21Bの矢印「F」で示す方向に回転する。
【0122】
図21Bに示すように、シャシ12からブロックアセンブリ330を展開すると、ブロックアセンブリ330のフット部342の後方爪部342bは、路面「RS」と係合する。路面「RS」によって後方爪部342bに加えられた力は、フット部340、342と、軸334との間の破壊容易な接続349(図18)を破壊することで、図22において矢印「G」で示す方向にフット部340、342が回転することを可能にする。フット部340、342は、フット部342の前方爪部342aのスパイク343が路面と強く係合するまで、回転する。
【0123】
フット部342に取り付けられたエンコーダも回転し、これは、4バーリンケージ360の爆発物353(図21B)を起爆させるためのスイッチとして機能する。特に、回路基板351上のエンコーダリーダが、爆発物353を起爆させるためのファームウェア内のロジックのスイッチおよび入力信号として機能し、爆発物353は爆発すると、ブロックアセンブリ330が路面に対してゼロ速度まで急速に(例えば、数ミリ秒で)減速するように、車両10の進行方向から離れた後方下向きの方向にブロックアセンブリ330を駆動する。各フット部340、342は、互いに独立して回転できるので、ファームウェアロジックは、フット部340または342のいずれか(最初に道路に衝突したいずれか)の最初の接触およびその後の回転の後に、ブロックアセンブリ330がすべての4つのエネルギ源からのほぼ単一の爆発で一様に後方へ発射されるように、4バーリンケージ360内のすべての爆発物353が同時に爆発するようなロジックになる。爆発後、4バーリンケージ360の後端部364は、ブロックアセンブリ330から切り離される。
【0124】
爆発物353の爆発と同時または直後に、図23に示すように、ブロックアセンブリ330のハブ336、338を通して路面内にアンカ312、313を展開するために、動力ドライバ314a、314bが作動される。アンカ312、313は、展開時に後方弾性ストラップ354に対して約90度の角度に方向付けられるので、アンカ312、313は純粋せん断状態にあると想定される。アンカアセンブリ310のショックアブソーバ320は、動力ドライバ314a、314bがアンカ312、313を路面内に駆動する際に、ブロックアセンブリ330を路面「RS」に対して静止するように保持する。アンカ312、313の後端部312b、313b(図17)は、ブロックアセンブリ330のハブ336、338内に捕らえられ、一方、アンカ312、313の前端部312a、313aは、路面内に固定され、その結果、車両10のシャシ12および路面「RS」は、スリングアセンブリ350を介して互いに結合される。アンカ312、313は、もはや、アンカアセンブリ310の動力ドライバ314a、314bの中にないので、アンカアセンブリ310の残りの構成要素は、車両10がブロックアセンブリ330およびアンカ312、313に対して進み続けると、アンカ312、313に対して自由に回転する。
【0125】
図24に示すように、アンカ312、313が路面「RS」に固定され、シャシ12が前進し続けると、前進するシャシ12に後方弾性ストラップ354を接続するリップパネル358(図20)は、シャシ12から引き離され/引きはがされることにより、移動する車両10からエネルギを吸収して、車両10を減速させ始める。車両10の継続的な前進は、後方弾性ストラップ354の後端部354bに対して前方弾性ストラップ352の前端部352aを前進させて、前方弾性ストラップ352の後端部352bおよび後方弾性ストラップ354の前端部354aを近づけ、それにより、図25に示すように、ダンパ356(図20)が、それらの間で崩壊し始めて、さらなるエネルギを吸収する。
【0126】
アンカアセンブリ310のC型クランプ322、324のローラベアリング326(図16)は、ブロックアセンブリ330のレール332(図15)の外側に移動することで、車両12が、アンカ312、313を介して路面「RS」に固定されているブロックアセンブリ330に対して前進した時に、アンカアセンブリ310(後方リンケージ311、ショックアブソーバ320、および、動力駆動装置314a、314b)がブロックアセンブリ330に対して前進することを可能にする。図26に示すように、後方および前方弾性ストラップ354、352は、それらの最大長まで伸長または延長され、ダンパ356は、それらの間で完全に圧縮される。その結果、路面「RS」とシャシ12との間の接続がもはや延長できなくなり、車両12の完全停止につながる。
【0127】
当業者であれば、本明細書に具体的に記載し、添付の図面に示した構造および方法は、非限定的な実施形態の例であり、記載、開示、および、図は、単に、特定の実施形態の例示として解釈されるべきであることがわかる。したがって、本開示は、記載された正確な実施形態に限定されず、様々な他の変更例および変形例が、本開示の範囲からも精神からも逸脱せずに当業者によってもたらされうることを理解されたい。さらに、特定の実施形態に関連して図示または記載された要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱せずに、特定の他の実施形態の要素および特徴と組み合わせられてもよく、かかる変形例および変更例も、本開示の範囲内に含まれる。したがって、本開示の主題は、具体的に図示および記載されているものによって限定されない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26