(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】コーンビームコンピュータ断層撮影における散乱推定のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240322BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A61B6/03 550K
A61N5/10 Z
A61N5/10 J
(21)【出願番号】P 2021521845
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019063077
(87)【国際公開番号】W WO2020112676
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユイ チーツォン
(72)【発明者】
【氏名】パイ チョアンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン アミット
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン ダニエル
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-067555(JP,A)
【文献】特開2005-080919(JP,A)
【文献】特開平08-252248(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0053188(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮像装置であって、
放射線ビームを放出するための回転するX線源と、
前記X線源からの放射線を受信するように配置されたX線検出器と、
前記X線源によって放出される前記放射線ビームの形状を調整するように構成されたビームフォーマであって、前記ビームフォーマによって、前記X線検出器の主領域が前記放射線ビームに直接曝露され、前記X線検出器の少なくとも1つの影領域が前記放射線ビームの直接曝露から遮断されるように構成されているビームフォーマと、
データ処理システムであって、
前記主領域内の測定投影データおよび前記少なくとも1つの影領域内の測定散乱データを受信し、
前記X線源の前の回転または次の回転の少なくとも1の回転における、前記少なくとも1つの影領域内での前記測定散乱データに基づき、前記X線源の現在の回転における前記主領域内での推定散乱を決定する、
ように構成されたデータ処理システムと、を有し、
前記前の回転または前記次の回転の少なくとも1の回転における前記少なくとも1つの影領域のカバレッジは、共通の方位角で共通の平面上に投影される、前記現在の回転における前記主領域に重なる、X線撮像装置。
【請求項2】
前記現在の回転における前記主領域内での前記推定散乱を決定することが、前記現在の回転における前記少なくとも1つの影領域内での前記測定散乱データにさらに基づく、請求項1に記載のX線撮像装置。
【請求項3】
前記X線検出器の前記少なくとも1つの影領域が、前記主領域から負の長手方向における後方影領域と、前記主領域から正の長手方向における前方影領域と、を含む、請求項1に記載のX線撮像装置。
【請求項4】
前記前の回転における前記前方影領域のカバレッジと、前記次の回転における前記後方影領域のカバレッジとは、前記現在の回転における前記主領域に重なり、前記現在の回転における前記主領域内での前記推定散乱を決定することが、前記前の回転における前記前方影領域内での前記測定散乱データと、前記次の回転における前記後方影領域内での前記測定散乱データと、に基づく、請求項3に記載のX線撮像装置。
【請求項5】
前記現在の回転における前記主領域内での前記推定散乱を決定することが、前記現在の回転における少なくとも1つの影領域内での前記測定散乱データにさらに基づく、請求項4に記載のX線撮像装置。
【請求項6】
前記ビームフォーマは、前記X線源の回転同士の間の長手方向距離に基づいて、前記放射線ビームの形状を調整する、請求項1に記載のX線撮像装置。
【請求項7】
前記長手方向距離が連続する円形スキャン同士の間のステップ距離である、請求項6に記載のX線撮像装置。
【請求項8】
前記長手方向距離がヘリカルスキャン中のピッチであり、前記放射線ビームの前記形状は、前記ピッチに関連付けられたTam-Danielsonウィンドウをキャプチャするように構成された平行四辺形である、請求項6に記載のX線撮像装置。
【請求項9】
前記X線検出器は横方向にずれている、請求項1に記載のX線撮像装置。
【請求項10】
X線画像内の散乱を推定する方法であって、
X線検出器の主領域から測定投影データを受信するステップであって、スキャン中に前記X線検出器の前記主領域が放射線源からの放射線ビームに直接曝露される、受信するステップと、
前記X線検出器の少なくとも1つの影領域から測定散乱データを受信するステップであって、前記X線検出器の前記少なくとも1つの影領域が前記放射線ビームの直接曝露から遮断される、受信するステップと、
前記放射線源の、前の回転または次の回転の少なくとも1の回転における、前記少なくとも1つの影領域内での前記測定散乱データに基づき、前記放射線源の現在の回転における前記測定投影データ内の推定散乱を決定するステップと、を含み、
前記前の回転または前記次の回転の少なくとも1の回転における前記少なくとも1つの影領域のカバレッジは、共通の方位角で共通の平面上に投影される、前記放射線源の前記現在の回転における前記主領域と重なる、方法。
【請求項11】
前記現在の回転における前記測定投影データ内の前記推定散乱を決定するステップが、前記現在の回転における前記少なくとも1つの影領域内での測定散乱データにさらに基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記X線検出器の前記少なくとも1つの影領域が、後方影領域および前方影領域を含み、前記前の回転における前記前方影領域のカバレッジと、前記次の回転における前記後方影領域のカバレッジとは、前記現在の回転における前記主領域に重なり、前記現在の回転において前記測定投影データ内の前記推定散乱を決定するステップが、前記前の回転における前記前方影領域内での前記測定散乱データと、前記次の回転における前記後方影領域内での前記測定散乱データと、に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
スキャン中にビームフォーマにより前記放射線ビームの形状を調整するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ビームフォーマにより前記放射線ビームの前記形状を調整するステップが、前記ビームフォーマのX線減衰物質の回転および平行移動を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ビームフォーマにより前記放射線ビームの形状を、ステップアンドシュート円形スキャンに関連付けられた長方形となるように調整するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
ビームフォーマにより前記放射線ビームの形状を、ヘリカルスキャンのピッチに関連付けられたTam-Danielsonウィンドウを含む平行四辺形となるように調整するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記測定投影データ内の前記推定散乱に基づいて、前記測定投影データを補正するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
最適化モデルに基づいて、前記測定散乱データを最適化するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
スキャン速度および散乱推定精度を最適化するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
放射線治療送達装置であって、
少なくとも部分的に患者支持台の周囲に配置されている回転可能なガントリーシステムと、
前記回転可能なガントリーシステムに結合され、治療用放射線源として構成されている第1の放射線源と、
前記回転可能なガントリーシステムに結合され、前記治療用放射線源より低いエネルギレベルを有する撮像用放射線源として構成されている第2の放射線源と、
前記回転可能なガントリーシステムに結合され、前記第2の放射線源からの放射線を受信するように配置されている放射線検出器と、
前記第2の放射線源によって放出される放射線ビームの形状を調整するように構成されたビームフォーマであって、前記ビームフォーマによって、前記放射線検出器の主領域が前記放射線ビームに直接曝露され、前記放射線検出器の少なくとも1つの影領域が前記放射線ビームの直接曝露から遮断されるように構成されているビームフォーマと、
データ処理システムであって、
前記主領域内の測定投影データおよび前記少なくとも1つの影領域内の測定散乱データを受信し、
前記第2の放射線源の前の回転または次の回転の少なくとも1の回転における、前記少なくとも1つの影領域内での前記測定散乱データに基づき、前記第2の放射線源の現在の回転における前記主領域内での推定散乱を決定し、前記前の回転または前記次の回転の少なくとも1の回転における前記少なくとも1つの影領域のカバレッジは、共通の方位角で共通の平面上に投影される、前記現在の回転における前記主領域と重なっており、
前記推定散乱に基づいて患者画像を再構成し、
適応IGRT中に、前記患者画像に基づく線量の治療用放射線を前記第1の放射線源を介して患者に送達する、
ように構成されている、データ処理システムと、
を有する、放射線治療送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、11個の米国仮特許出願、すなわち、第62/773,712号(出願日2018年11月30日)(代理人整理番号:38935/04001)、第62/773,700号(出願日2018年11月30日)(代理人整理番号:38935/04002)、第62/796,831号(出願日2019年1月25日)(代理人整理番号:38935/04004)、第62/800,287号(出願日2019年2月1日)(代理人整理番号:38935/04003)、第62/801,260号(出願日2019年2月5日)(代理人整理番号:38935/04006)、第62/813,335号(出願日2019年3月4日)(代理人整理番号:38935/04007)、第62/821,116号(出願日2019年3月20日)(代理人整理番号:38935/04009)、第62/836,357号(出願日2019年4月19日)(代理人整理番号:38935/04016)、第62/836,352号(出願日2019年4月19日)(代理人整理番号:38935/04017)、第62/843,796号(出願日2019年5月6日)(代理人整理番号:38935/04005)、第62/878,364号(出願日2019年7月25日)(代理人整理番号:38935/04008)、の利益を主張する。さらに本出願は、同じ日に出願された10個の米国非仮特許出願、すなわち、代理人整理番号38935/04019、タイトル「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」、代理人整理番号38935/04020、タイトル「APPARATUS AND METHODS FOR SCALABLE FIELD OF VIEW IMAGING USING A MULTI-SOURCE SYSTEM」、代理人整理番号38935/04011、タイトル「INTEGRATED HELICAL FAN-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IN IMAGE-GUIDED RADIATION TREATMENT DEVICE」、代理人整理番号38935/04010、タイトル「COMPUTED TOMOGRAPHY SYSTEM AND METHOD FOR IMAGE IMPROVEMENT USING PRIOR IMAGE」、代理人整理番号38935/04013、タイトル「OPTIMIZED SCANNING METHODS AND TOMOGRAPHY SYSTEM USING REGION OF INTEREST DATA」、代理人整理番号38935/04015、タイトル「HELICAL CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IMAGING WITH AN OFF-CENTERED DETECTOR」、代理人整理番号38935/04021、タイトル「MULTI-PASS COMPUTED TOMOGRAPHY SCANS FOR IMPROVED WORKFLOW AND PERFORMANCE」、代理人整理番号38935/04014、タイトル「ASYMMETRIC SCATTER FITTING FOR OPTIMAL PANEL READOUT IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」、代理人整理番号38935/04018、タイトル「METHOD AND APPARATUS FOR IMPROVING SCATTER ESTIMATION AND CORRECTION IN IMAGING」、代理人整理番号38935/04022、タイトル「METHOD AND APPARATUS FOR IMAGE RECONSTRUCTION AND CORRECTION USING INTER-FRACTIONAL INFORMATION」、にも関連する。上に記載した特許出願および特許の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
開示する技術の態様は、撮像投影データ内の散乱を推定することに関し、より詳細には、主領域投影データにおける散乱を推定(コーンビームコンピュータ断層撮影(CT)スキャン中を含む)するために影領域データを利用する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コーンビームCTにおける散乱は、広いコリメーション開口部とともに散乱防止グリッドが使用されていない場合、検出される光子の相当な部分を占めることがある。散乱は、画質(コントラストおよび定量精度を含む)に悪影響を与えることがある。したがって、画像誘導放射線治療(IGRT)の場合を含めて、コーンビームCTデータ処理および画像再構成には、散乱測定および散乱補正を適用することができる。IGRTでは、治療前、治療中、および/または治療後に、医用撮像技術(CTなど)を利用して患者の画像を収集することができる。
【0004】
散乱測定および散乱補正の方法のほとんどは、以下のカテゴリに分類される。第1のカテゴリは、モデルに基づく方法である。これらの方法では、データ取得システムと、X線と物質の間の相互作用プロセスの両方をモデル化する。データ取得システムをモデル化するには、撮像チェーン全体の主要な構成要素の詳しい知識と、患者の情報とが必要であり、患者の情報は、計画CTから、または散乱補正が行われていないファーストパス再構成(first-pass reconstruction)から取得することができる。これらの方法は、確率論的(例:モンテカルロシミュレーションに基づく方法)、または決定論的(例:放射伝達方程式に基づく方法)のいずれかで実現することができる。前者は計算コストが大きくなる可能性があり、後者は、一般にこの分野で未解決の問題とみなされている。モデルに基づく方法は、一般に患者に固有であり、より正確である。しかしながら、これらの方法では、データ取得システムおよび患者に関する相当に多量の事前情報が必要であり、したがってこれらの方法の有効性は、モデル化の精度に大きく依存する。さらに、これらの方法は、要求される計算能力および計算時間も非常に大きく、ワークフローおよびスループットに重大な悪影響を及ぼす。
【0005】
第2のカテゴリには、デコンボリューションカーネル(deconvolution-kernel)に基づく方法がある。測定されるX線投影データは、一次カーネルと散乱カーネルの畳み込み結果とみなされる。これらの方法では、事前に確立される適切なカーネルを使用することによって、デコンボリューションプロセスを実行して一次カーネルと散乱カーネルを分離する。これらの方法は、ある程度実用的であり有効である。しかしながらこれらの方法は、特に、スキャンされるオブジェクトの物質および形状に関して、カーネルの設計に大きく左右される。
【0006】
第3のカテゴリには、直接的な測定に基づく方法(ビームストッパーアレイ(beam-stopper-array)や一次変調など)がある。これらの方法は、投影データを取得しながら散乱を測定することができる。事前情報は必要なく、したがって極めて安定かつ実用的である。このような方法の欠点としては、線量の浪費および/または画質の低下が挙げられる。
【0007】
直接的な測定に基づく別の方法では、長手方向において検出器の影領域から散乱を測定し、それを使用して、コリメーション開口部(一次領域)の内側に位置する散乱を推定する。ただしこの方法は、単一の円形スキャン用に設計されており(すなわち一次領域および散乱領域における測定が同じ回転中に同時に行われる)、コリメーション開口部の(縦方向における)両側の外側で検出器が使用できる必要があり、推定精度の点でも制限される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態においては、撮像装置は、
放射線ビームを放出するための回転するX線源と、X線源からの放射線を受信するように配置されたX線検出器と、前記X線源によって放出される前記放射線ビームの形状を調整するように構成されたビームフォーマであって、前記ビームフォーマによって、前記X線検出器の主領域が前記放射線ビームに直接曝露され、前記X線検出器の少なくとも1つの影領域が前記放射線ビームの直接曝露から遮断されるように構成されているビームフォーマと、前記主領域内の測定投影(測定された投影:measured projection)データおよび前記少なくとも1つの影領域内の測定散乱(測定された散乱:measured scatter)データを受信し、前の回転または次の回転の少なくとも1の回転において、前記少なくとも1つの影領域内での測定散乱データに基づき、現在の回転における前記主領域内での推定散乱(推定された散乱:estimated scatter)を決定するように構成されたデータ処理システムと、を有し、前の回転または次の回転の少なくとも1の回転における少なくとも1つの影領域のカバレッジは、現在の回転における主領域と重なる、撮像装置である。
【0009】
一実施形態に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたは複数の別の実施形態において同じ方法で、または類似する方法で、および/または、別の実施形態の特徴と組み合わせて、または別の実施形態の特徴の代わりに、使用することができる。
【0010】
本発明の説明は、請求項で使用されている単語、または請求項もしくは本発明の範囲を、限定するものではない。請求項で使用されている単語は、すべての通常の意味を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面(本明細書に組み込まれており本明細書の一部を構成している)には、本発明の実施形態が図解されており、上に記載した本発明の一般的な説明および以下に記載する詳細な説明と合わせて、本発明の実施形態を例示する役割を果たす。なお図に示した要素の境界(例:長方形、長方形のグループ、またはその他の形状)は、境界の一実施形態を表すことが理解されよう。いくつかの実施形態においては、1つの要素を複数の要素として設計することができる、または複数の要素を1つの要素として設計することができる。いくつかの実施形態においては、別の要素の内部の構成要素として示されている要素は、外部の構成要素として実施することができ、逆も同様である。さらに、要素は正しい縮尺で描かれていないことがある。
【
図1】開示する技術の一態様による例示的なX線撮像装置の斜視図である。
【
図2】開示する技術の一態様による例示的な放射線治療装置に統合されるX線撮像装置の概略図である。
【
図3】開示する技術の一態様に関連して利用される例示的なヘリカル放射線源軌道の概略図である。
【
図4】開示する技術の一態様に関連して利用される例示的なヘリカル放射線源軌道およびコリメーションの概略図である。
【
図5A】ヘリカル軌道スキャンの回転における、検出器への例示的な投影の概略図である。
【
図5B】ステップアンドシュート(step-and-shoot)スキャンの連続円形回転における検出器への例示的な投影の概略図である。
【
図6】スキャンの連続回転における、X線検出器への例示的な投影の概略図である。
【
図7】スキャンの連続回転における、両側影領域を有する例示的な検出器の概略図を示す。
【
図8】スキャンの連続回転における、両側影領域を有する別の例示的な検出器の概略図を示す。
【
図9】スキャンの連続回転における、片側影領域を有する例示的な検出器の概略図を示す。
【
図10】スキャンの連続回転における、片側影領域を有する別の例示的な検出器の概略図を示す。
【
図11】検出器に投影されたTam-Danielsonウィンドウを備えた例示的な図を示す。
【
図12】ビームフォーマによる平行四辺形を有する、検出器に投影されたTam-Danielsonウィンドウを備えた例示的な図を示す。
【
図13】ビームフォーマによる平行四辺形と影領域を有する、検出器に投影されたTam-Danielsonウィンドウを備えた例示的な図を示す。
【
図14】スキャンの連続回転における、両側影領域を有する例示的な検出器の概略図を示す。
【
図15】放射線ビームの形状を平行四辺形状に調整するように構成されたコリメータを備えた例示的なビームフォーマデザインを示す。
【
図16】散乱補正の例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図17】散乱補正の別の例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図18】最適化された散乱補正の例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図19】放射線治療装置を使用するIGRTの例示的な方法を描いた流れ図である。
【
図20】例示的な画像に基づく送達前ステップを描いたブロック図である。
【
図21】撮像または画像に基づく送達前ステップ時に利用することのできる例示的なデータ源を描いたブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示全体を通じて使用される例示的な用語を定義しておく。すべての用語の単数形および複数形は、いずれも各用語の意味を持つ。
【0013】
本明細書で使用される「構成要素」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはこれらの組合せとして定義することができる。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサおよびメモリの一部を含むことができ、メモリは、実行するための命令を含む。構成要素は装置に関連付けられることがある。
【0014】
本明細書で使用される「ロジック」(「回路」と同義)は、(1つまたは複数の)機能または(1つまたは複数の)動作を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれぞれの組合せを含み、ただしこれらに限定されない。例えばロジックは、所望の用途またはニーズに基づいて、ソフトウェアによって制御されるマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などのディスクリートロジック、または他のプログラマブルロジックデバイスおよび/またはコントローラを含むことができる。ロジックは、完全にソフトウェアとして実施することもできる。
【0015】
本明細書で使用される「プロセッサ」は、実質的に任意の数のプロセッサシステムまたはスタンドアロンプロセッサ(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、およびデジタルシグナルプロセッサ(DSP)など)の1つまたは複数を任意の組合せで含み、ただしこれらに限定されない。プロセッサは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、または割り込みコントローラなど、プロセッサの動作をサポートする様々な別の回路に関連付けることができる。これらのサポート回路は、プロセッサまたはそれに関連する電子パッケージの内部または外部であってよい。サポート回路は、プロセッサと動作可能に通信する。ブロック図または他の図面において、サポート回路は必ずしもプロセッサとは別に示されていない。
【0016】
本明細書で使用される「信号」は、1つまたは複数の電気信号(アナログ信号またはデジタル信号を含む)、1つまたは複数のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含み、ただしこれらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用される「ソフトウェア」は、コンピュータ、プロセッサ、ロジック、および/または他の電子デバイスに、機能、動作を実行させる、および/または所望の方法で挙動させる、1つまたは複数のコンピュータ可読および/またはコンピュータ実行可能の命令を含み、ただしこれらに限定されない。命令は、ルーチン、アルゴリズム、モジュール、または動的にリンクされるソースまたはライブラリからの個別のアプリケーションまたはコードを含むプログラムなど、様々な形式で実施することができる。
【0018】
上記の例示的な定義が提供されているが、本明細書と一致する最も広く合理的な解釈がこれらの用語および他の用語に使用されることが出願人の意図である。
【0019】
後からさらに詳しく説明するように、開示する技術の実施形態は、コーンビームCTスキャン中の主領域投影データ内の散乱を推定するために影領域データを利用することを含む、撮像投影データにおける散乱を推定することに関連する。いくつかの実施形態においては、放射線治療送達装置および方法は、IGRTと組み合わせて、またはIGRTの一部として使用するために、CTのための統合された低エネルギ放射線源を利用できる。特に、例えば放射線治療送達装置および方法は、回転(例:ヘリカルまたはステップアンドシュート(step-and-shoot))画像取得を使用したガントリー内の撮像のためのコリメートされた低エネルギ放射線源を、治療処置のための高エネルギ放射線源と組み合わせることができる。
【0020】
低エネルギ放射線源(例:キロボルト(kV))は、撮像のために高エネルギ放射線源(例:メガボルト(MV))を使用するよりも高品質の画像を生成することができる。一般に、kVエネルギで生成された画像は、MVエネルギで生成された画像よりもは組織コントラストが優れている。ターゲットとリスクのある臓器(OARS:organs-at-risk)の視覚化、適応治療モニタリング、および治療計画/再計画には、高品質のボリューム撮像が必要となる。いくつかの実施形態においては、kV撮像システムは、位置決め、動き追跡、および/または特性評価または補正機能にも使用できる。
【0021】
画像取得の方法は、例えば、連続スキャン(例:ガントリーボアを通る患者支持台の長手方向の動きとともに中心軸の周りのヘリカル線源軌道(helical source trajectory)を伴う)であり得る複数回転スキャン、患者支持台の段階的な長手方向の動きを伴う非連続的な円形のストップアンドリバーススキャン(stop-and-reverse scan)、ステップアンドシュート円形スキャン(step-and-shoot circular scans)などを含む、または利用することができる。
【0022】
様々な実施形態によれば、X線撮像装置は例えばビームフォーマを使用して、放射線源をコリメートする(例えばコーンビームまたはファンビームへのコリメートを含む)。一実施形態においては、コリメートされたビームは、患者が移動している間に連続的に回転するガントリーと組み合わせて、ヘリカル画像取得を可能にする。
【0023】
いくつかの実施形態においては、高品質のボリューム画像を完成させるためのスキャン回転の増加に関連付けられた時間は、放射線治療送達プラットフォームでのkV CT撮像を提供する目的で、高いガントリーレート/速度(例:最大10回転/分(rpm)、最大20rpm、最大60rpm、またはそれ以上のrpmを含む高速スリップリング回転を使用する)、高kVフレームレート、および/またはスパースデータ再構成技術によって軽減することができる。検出器(様々な列/スライスサイズ、構成、ダイナミックレンジなどを有する)、スキャンピッチ、および/または動的コリメーションは、様々な実施形態における追加の特徴(検出器の一部を選択的に曝露することを含む)であり、後からさらに詳しく説明する。特に、X線(低エネルギ)撮像用放射線源に調整可能なビームフォーマ/コリメータを使用し、(後で述べるように散乱を推定することにより)画質を向上させることができる。
【0024】
本撮像装置および方法は、関連する放射線検出器(例:X線放射線源からの放射線を受信するように配置された放射線検出器)の全アクティブ領域よりも小さい領域を照射するように放射線ビーム形状を調整すること含む、放射線源により放出された放射線ビームの選択的かつ可変のコリメーションを提供することができる。例えば、撮像装置のビームフォーマは、後からさらに詳しく説明するように、ヘリカルスキャン中にピッチが変化するに伴い放射線ビームの形状を調整することができる(ピッチに関連付けられているTam-Danielsonウィンドウをキャプチャすることを含む)。X線検出器の主領域のみを直接放射線に曝露することで、検出器の影領域が散乱のみを受信することができる。後からさらに詳しく説明するように、検出器の影領域での散乱測定値を使用して、投影データを受信する検出器の主領域における散乱を推定することができる。
【0025】
図1および
図2を参照すると、撮像装置10(例:X線撮像装置)が示されている。撮像装置10は、IGRTを含むがこれに限定されない様々な用途に使用することができる放射線治療装置(
図2に示される)に関連付けられ、および/または統合され得ることが理解されよう。撮像装置10は、支持ユニットまたはハウジング14によって支持されている、または収容されている回転可能なガントリーシステム(ガントリー12と称する)を含む。本明細書におけるガントリーとは、ターゲットの周りを回転するときに1つまたは複数の放射線源および/または関連する検出器を支持することのできる1つまたは複数のガントリー(例:リングまたはCアーム)を備えたガントリーシステムを指す。例えば、一実施形態においては、第1の放射線源および関連する検出器を、ガントリーシステムの第1のガントリーに取り付けることができ、第2の放射線源および関連する検出器を、ガントリーシステムの第2のガントリーに取り付けることができる。別の実施形態においては、2つ以上の放射線源および関連する(1つまたは複数の)検出器を、ガントリーシステムの同じガントリーに取り付けることができる(例えばガントリーシステムが1つのガントリーのみから構成される場合を含む)。ガントリー、放射線源、および放射線検出器の様々な組合せを、様々なガントリーシステム構成に組み合わせて、同じ装置内で同じボリュームを撮像および/または治療することができる。例えば、kV放射線源およびMV放射線源を、ガントリーシステムの同じガントリーまたは異なるガントリーに取り付けて、IGRTシステムの一部としての撮像および/または治療に、選択的に使用することができる。異なるガントリーに取り付けられる場合、これらの放射線源は独立して回転することができるが、依然として同じ(またはほぼ同じ)ボリュームを同時に撮像することができる。回転可能なリングガントリー12は、上に述べたように10rpm以上の能力とすることができる。回転可能なガントリー12は、ガントリーボア16を画成しており、撮像および/または治療のために患者をこのボアの中に入れて位置決めすることができる。一実施形態によれば、回転可能なガントリー12は、スリップリングガントリーとして構成されており、撮像用放射線源(例:X線)および関連する放射線検出器の連続的な回転を提供する一方で、検出器によって受信される高品質な撮像データの十分な帯域幅を提供する。スリップリングガントリーでは、装置に関連付けられる電力および信号を伝えるケーブルが巻き付く、および巻き付きが解除されるように、ガントリーの回転方向を交互にする必要がない。後からさらに詳しく説明するように、このような構成によって、たとえIGRTシステムに統合されているときでも、コーンビームCT(CBCT)を含む、連続的なヘリカルコンピュータ断層撮影が可能になる。
【0026】
患者支持台18は、回転可能なガントリー12に隣接して配置されており、回転可能なガントリー12内へ、およびガントリー12の中で長手方向に動かすことができるように、一般には水平姿勢で患者を支持するように構成されている。患者支持台18は、例えばガントリー12の回転面に垂直な方向に(ガントリー12の回転軸に沿って、または回転軸に平行に)患者を動かすことができる。患者支持台18は、患者および患者支持台18の動きを制御する患者支持台コントローラに動作可能に結合することができる。命令された撮像計画および/または治療計画に従って患者の長手方向軸を中心に回転するように、患者支持台コントローラを、回転可能なガントリー12と、回転するガントリーに取り付けられている放射線源とに同期させることができる。患者支持台18はボア16の中に入った時点で、最適な治療のために患者の位置を調整する目的で、患者支持台を限られた範囲内で上下左右に動かすこともできる。ガントリー12の正面から見ると、x軸は水平に右を指し、y軸はガントリー平面内を指し、z軸は垂直に上を指すように、x軸、y軸、およびz軸が示されている。x軸、y軸、およびz軸は、右手の法則に従う。
【0027】
開示する技術の範囲から逸脱することなく、別のバリエーションを採用できることが理解されよう。例えば、回転可能なガントリー12に対して(一定速度または可変速度で)動くように支持台が制御されるとき、患者支持台の上に支持されている患者の周りを、(上に説明したような連続的な回転ではなく)ガントリー12が「交互方向に」(例:右回転および左回転の交互に)回転するように、回転可能なガントリー12および患者支持台18を制御することができる。別の実施形態においては、連続的なステップアンドシュート円形スキャンの場合、所望のボリュームがキャプチャされるまで、長手方向における患者支持台18の移動(ステップ)と、回転可能なガントリー12によるスキャン回転(シュート)とが交互に行われる。装置10は、ボリュームベースおよび平面ベースの画像取得に対応している。例えば、様々な実施形態においては、装置10を使用して、ボリューム画像および/または平面画像を取得し、後から説明する関連する処理方法を実行することができる。
【0028】
放射線源および/または患者支持台の様々な別のタイプの動きを利用して、投影データを生成するための、放射線源と患者の相対運動を実現することができる。放射線源および/または患者支持台の不連続な運動、連続的であるが可変/非一定の(線形および非線形を含む)運動、速度、および/または軌道など、およびその組合せを使用することができる(上に説明した放射線治療装置10の様々な実施形態との組合せを含む)。
【0029】
図2に示したように、X線撮像装置10は、回転可能なガントリー12に結合されている、またはガントリー12によって支持されている撮像用放射線源30を含む。撮像用放射線源30は、高品質な画像を生成するための放射線ビーム(全体を32として示してある)を放出する。本実施形態においては、撮像用放射線源は、キロボルト(kV)線源として構成されたX線源30(例:約20kV~約150kVの範囲内のエネルギレベルを有する臨床用X線源)である。一実施形態においては、kV放射線源は、最大150keVのキロ電子ボルトピーク光子エネルギ(keV)を備えている。撮像用放射線源は、撮像に適切な任意のタイプの透過スキャン用線源(transmission source)とすることができる。例えば、撮像用放射線源は、X線生成源(CT用を含む)、または十分なエネルギおよびフラックスを有する光子を生成する任意の別の方法(例えばガンマ線源(例:コバルト57、エネルギピーク122keV)、蛍光X線源(Pb k線を通じた蛍光源など、2つのピーク約70keVおよび約82keV)など)とすることができる。本明細書におけるX線、X線撮像、撮像X線源などの言及は、特定の実施形態において例示的である。様々な別の実施形態においては、これらに代えて別の撮像用透過スキャン用線源を使用することができる。
【0030】
X線撮像装置10は、回転可能なガントリー12に結合されている、またはガントリー12によって支持されている別の放射線源20をさらに含むことができる。一実施形態によれば、放射線源20は、患者の中の関心領域内の腫瘍の治療に使用される高エネルギ放射線源など、治療用放射線源として構成されている。治療用放射線源は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、高エネルギX線ビーム(例:メガボルト(MV)X線ビーム)、および/または高エネルギ粒子ビーム(例:電子のビーム、光子のビーム、またはより重いイオン(炭素など)のビーム)、または別の適切な形態の高エネルギ放射線とすることができることが理解されよう。一実施形態においては、放射線源20は、1MeV以上のメガ電子ボルトピーク光子エネルギ(MeV)を備えている。一実施形態においては、高エネルギX線ビームは、0.8MeVより高い平均エネルギを有する。別の実施形態においては、高エネルギX線ビームは、0.2MeVより高い平均エネルギを有する。別の実施形態においては、高エネルギX線ビームは、150keVより高い平均エネルギを有する。一般的に、放射線源20は、撮像用放射線源30より高いエネルギレベル(ピークおよび/または平均など)を有する。
【0031】
一実施形態においては、放射線源20は、治療用放射線(例:MV)を生成するLINACであり、撮像システムは、比較的低い強度かつ低エネルギの撮像用放射線(例:kV)を生成する独立した撮像用放射線源30を備えている。別の実施形態においては、放射線源20は、一般に1MeVを超えるエネルギを有することのできる放射性同位元素(例えばCo-60など)とすることができる。放射線源20は、患者支持台18の上に支持されている患者内の関心領域(ROI)の方に、治療計画に従って1本または複数の放射線ビーム(全体を22によって示してある)を放出することができる。
【0032】
いくつかの実施形態においては、放射線源20,30は、互いに組み合わせて使用して、より高い画質かつ利用価値の高い画像を生成することができる。別の実施形態においては、回転可能なガントリー12に少なくとも1つの追加の放射線源を結合して動作させ、放射線源20,30のピーク光子エネルギとは異なるピーク光子エネルギにおいて投影データを取得することができる。
【0033】
図1および
図2は、リングガントリー12に取り付けられた放射線源30を有するX線撮像装置10を描いているが、別の実施形態は、別のタイプの回転可能な撮像装置(例えば、Cアームガントリーおよびロボットアームベースのシステムを含む)を含むことができる。ガントリーベースのシステムでは、ガントリーが、アイソセンタを通る軸を中心に撮像用放射線源30を回転させる。ガントリーベースのシステムとしてはCアームガントリーが挙げられ、Cアームガントリーでは、撮像用放射線源30が、片持ち梁に似た方法で取り付けられており、アイソセンタを通る軸を中心に回転する。さらにガントリーベースのシステムとしてリングガントリー(例えばほぼトロイダル形状を有する回転可能なガントリー12)が挙げられ、リングガントリーでは、患者の身体がリング/トロイドのボアの中に延び、撮像用放射線源30がリングの周囲に取り付けられており、アイソセンタを通る軸を中心に回転する。いくつかの実施形態においては、ガントリー12は連続的に回転する。別の実施形態においては、ガントリー12は、順方向と逆方向とに反復的に回転するケーブルベースのシステムを利用する。
【0034】
検出器34(例:2次元のフラット検出器または湾曲した検出器)は、回転可能なガントリー12に結合する、またはガントリー12によって支持することができる。X線検出器34は、X線源30からの放射線を受信し、X線源30とともに回転できるように配置されている。検出器34は、減衰されていない放射線量を検出する、または測定することができ、したがって患者または関連する患者のROIによって実際に減衰されたものを(最初に生成されたものと比較して)推測することができる。検出器34は、放射線源30が患者の周囲を回転して患者の方に放射線を放出するときに、異なる角度からの減衰データを検出する、または収集することができる。X線検出器34は、開示する技術の範囲から逸脱することなく、複数の構成をとり得ることが理解されよう。
図2に示したように、X線検出器34を、フラットパネル検出器(例:複数列フラットパネル検出器)として構成することができる。別の例示的な実施形態によれば、X線検出器34を、湾曲した検出器として構成することができる。
【0035】
コリメータまたはビームフォーマアセンブリ(全体を36として示してある)は、X線検出器34のアクティブ領域の一部分または領域を選択的に曝露させるために、X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を選択的に制御および調整する目的で、撮像用(X線)源30に対して配置されている。ビームフォーマ36は、検出器34上の放射線ビーム32の配置状態も制御することができる。一実施形態においては、ビームフォーマ36は、(例えばより薄い、またはより厚いスリットを形成するために)1つの角度/寸法を動かすことができる。別の実施形態においては、ビームフォーマ36は、(例えば様々なサイズの長方形を形成するために)2つの角度/寸法を動かすことができる。別の実施形態においては、ビームフォーマ36は、様々な別の動的に制御される形状(例えば平行四辺形を含む)に対応することができる。これらのすべての形状は、スキャン中に動的に調整することができる。いくつかの実施形態においては、ビームフォーマの遮断部分を回転させる、および平行移動させることができる。
【0036】
後からさらに詳しく説明するように、ビームフォーマ36を動的に、X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を、複数の幾何学形状に調整するように制御することができ、複数の幾何学形状は、ファンビーム、または1つの検出器列の幅と同程度に小さいビーム厚さ(幅)を有するコーンビーム、または複数の検出器列(これは検出器のアクティブ領域の一部分のみとすることができる)を含むビーム厚さ(幅)を有するコーンビームを含み、ただしこれらに限定されない。様々な実施形態においては、ビームの厚さは、より大きな検出器のアクティブ領域の数センチメールを曝露させることができる。例えば、5~6センチメートルの検出器のうち(検出器平面において長手方向に測定される)3~4センチメートルを、撮像用放射線32に選択的に曝露させることができる。本実施形態においては、各スキャン回転(例:ピッチ1を使用)で、片側または両側に約1~2センチメートルの(後から説明するように)散乱データをキャプチャするために使用できる未曝露検出器領域と共に、3~4センチメートルの投影画像データをキャプチャできる。
【0037】
別の実施形態においては、アクティブな検出器の実質的に一部が、撮像用放射線に選択的に曝露され得る。例えば、いくつかの実施形態においては、ビームの厚さは、約2センチメートル、1センチメートル、1センチメートル未満、またはより小さな検出器などと同様のサイズの範囲にまで減少させることができる。別の実施形態においては、ビームの厚さは、約4センチメートル、5センチメートル、5センチメートルを超える、またはより大きな検出器などと同様のサイズの範囲にまで増大させることができる。様々な実施形態においては、検出器のアクティブ領域に対する曝露領域の比率は30~90%または50~75%であってもよい。別の実施形態においては、検出器のアクティブ領域に対する曝露領域の比率は60~70%であってもよい。しかしながら別の実施形態においては、曝露されるアクティブ領域の別の様々なサイズ、または検出器のアクティブ領域に対する曝露領域の別の様々な比率が、適切でありうる。ビームと検出器は、検出器の影領域(アクティブであるが直接放射線に曝露されていない)が半影領域外の散乱データをキャプチャするのに十分であるように構成することもできる。様々な実施形態は、ビームが主(曝露)領域と影領域のためには十分に細いが、速度と線量制御のためには十分に太くなるように、検出器の選択的曝露を制御する特徴の最適化を含み得る(例:ビームサイズ、コリメーション、ピッチ、検出器データのキャプチャなど)。
【0038】
ビームフォーマ36は、X線源30からの放射線ビーム32が、実行されている特定の撮像タスクおよび散乱推定プロセスに基づいて、X線検出器34のできるだけ大きいまたはできるだけ小さい部分を覆うように制御することができる。一般には、ビームは、X線検出器の(放射線ビームに直接曝露されるのに)十分な主領域と、X線検出器の(ビームフォーマによって放射線ビームの直接曝露から遮断される)少なくとも1つの影領域が得られるような任意の形状およびサイズの放射線ビーム32となるように制御することができる。
【0039】
一実施形態によれば、X線源30からの放射線ビーム32の形状を、画像の取得中に変化させることができる。言い換えれば、例示的な一実装形態によれば、ビームフォーマ36のリーフ位置および/または開口部の幅を、スキャンの前またはスキャン中に調整することができる。例えば、一実施形態によれば、放射線ビーム32が、十分な主領域/影領域を持つ形状を有し、撮像中に関心オブジェクト(例:前立腺)のみを含むように調整されるように、X線源30の回転中にビームフォーマ36を選択的に制御し、動的に調整することができる。X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状は、所望の画像取得に応じて、スキャン中またはスキャン後に変更することができ、所望の画像取得は、後からさらに詳しく説明するように、撮像および/または治療のフィードバックに基づくことができる。
【0040】
ビームフォーマは、X線源30によって放出される放射線ビーム32の形状を調整することを可能にする様々な方法で構成することができる。例えば、X線源30からの放射線ビームがコリメートされた状態で通過できる開口部のサイズを定義および選択的に調整する一連の顎部または他の適切な部材を含むように、コリメータ36を構成することができる。1つの例示的な構成によれば、X線源30からの放射線ビームが通過する開口部のサイズを調整する目的と、撮像を最適化しかつ患者の線量を最小にするために、撮像される患者の部分のみが照射されるように患者に対してビーム32の位置を調整する目的で、コリメータ36は上側顎部および下側顎部を含むことができ、上側顎部および下側顎部は異なる方向(例:互いに平行な方向)に可動である。例えば、コリメータは、マルチリーフコリメータ(MLC:multi-leaf collimator)として構成することができ、マルチリーフコリメータは、最小限に開いた位置または閉じた位置と、最大限に開いた位置との間の1つまたは複数の位置に動くように動作可能な複数のインターレースリーフ(interlaced leaves)を含むことができる。放射線源によって放出される放射線ビームの望ましい形状が実現できるように、リーフを所望の位置に動かすことができることが理解されよう。一実施形態においては、マルチリーフコリメータ(MLC)は、ミリメートル以下のターゲティング精度が可能である。
【0041】
検出器24は、回転可能なガントリー12に結合する、またはガントリー12によって支持することができ、治療用放射線源20からの放射線22を受信するように配置されている。検出器24は、減衰されていない放射線量を検出する、または測定することができ、したがって患者または関連する患者のROIによって実際に吸収されたものを(最初に生成されたものと比較して)推測することができる。検出器24は、治療用放射線源20が患者の周囲を回転して患者の方に放射線を放出するときに、異なる角度からの減衰データを検出する、または収集することができる。
【0042】
治療用放射線源20は、ビームフォーマまたはコリメータを含む、またはビームフォーマもしくはコリメータに関連付けることができることがさらに理解されよう。第1の放射線源20に関連付けられるコリメータ/ビームフォーマは、第2の放射線源30に関連付けられるコリメータ36と同様に、複数の方法で構成することができる。治療用放射線源20は、撮像用線源30と同じ平面または異なる平面(オフセット)に取り付ける、構成する、および/または動かすことができる。いくつかの実施形態においては、放射線源20,30を同時に作動させることに起因する散乱は、放射線の平面をずらすことによって低減することができる。
【0043】
放射線治療装置と統合された場合、X線撮像装置10は放射線送達手順(治療)を設定する(例:位置合わせおよび/またはレジストレーション)、計画する、および/または誘導するために使用される画像を提供することができる。一般的な設定は、現在の(治療中)画像を、治療前画像情報と比較することによって達成される。治療前画像情報は、例えば、CTデータ、CBCTデータ、磁気共鳴画像法(MRI)データ、ポジトロン放出断層撮影法(PET)データ、または3D回転血管造影法(3DRA)データ、および/または、これらまたは別の画像診断法から得られた任意の情報、を含むことができる。いくつかの実施形態においては、X線撮像装置10は、治療中の患者、ターゲット、またはROIの動きを追跡することができる。
【0044】
再構成プロセッサ40は、検出器24および/またはX線検出器34に動作可能に結合することができる。一実施形態においては、再構成プロセッサ40は、検出器24,34によって受信される放射線源20,30からの放射線に基づいて患者画像を生成するように構成されている。再構成プロセッサ40は、後からさらに詳しく説明する本方法を実行するために使用されるように構成できることが理解されよう。装置10は、情報(処理および再構成アルゴリズムおよびソフトウェア、撮像パラメータ、以前の画像または以前に取得された画像(例:計画画像)からの画像データ、治療計画などを含む、ただしこれらに限定されない)を格納するのに適するメモリ44をさらに含むことができる。
【0045】
X線撮像装置10は、オペレータ/ユーザインタフェース48を含むことができ、X線撮像装置10のオペレータは、X線撮像装置10と対話する、または制御して、スキャンパラメータまたは撮像パラメータなどに関連する入力を行うことができる。オペレータインタフェース48は、任意の適切な入力デバイス(キーボード、マウス、音声作動式コントローラなど)を含むことができる。X線撮像装置10は、X線撮像装置10のオペレータに出力を提供するためのディスプレイ52、または人が読むことのできる他の要素も含むことができる。例えば、再構成された患者画像および他の情報(X線撮像装置10の動作に関連する撮像パラメータまたはスキャンパラメータなど)をディスプレイ52からオペレータが見ることができる。
【0046】
図2に示したように、X線撮像装置10は、本装置10の1つまたは複数の構成要素に動作可能に結合されているコントローラ(全体を60として示してある)を含む。コントローラ60は、装置10の全体的な機能および動作を制御する(X線源30および/または治療用放射線源20と、回転可能なガントリー12の回転速度および位置を制御するガントリーモータコントローラとに、電力およびタイミング信号を提供することを含む)。コントローラ60は、以下、すなわち、患者支持台コントローラ、ガントリーコントローラ、治療用放射線源20および/またはX線源30に結合されているコントローラ、ビームフォーマ36のコントローラ、検出器24および/または検出器34に結合されているコントローラ、その他、の1つまたは複数を包含し得ることが理解されよう。一実施形態においては、コントローラ60は、他の構成要素、装置、および/またはコントローラを制御することのできるシステムコントローラである。
【0047】
様々な実施形態においては、再構成プロセッサ40、オペレータインタフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60、および/または他の構成要素を組み合わせて、1つまたは複数の構成要素または装置にすることができる。
【0048】
装置10は、様々な構成要素、ロジック、およびソフトウェアを含むことができる。一実施形態においては、コントローラ60は、プロセッサ、メモリ、およびソフトウェアを備えている。本発明を制限することのない一例として、X線撮像装置および/または放射線治療システムは、特定の用途における撮像および/またはIGRTに関連する1つまたは複数のルーチンまたはステップを実施することのできる様々な他の装置および構成要素(例:特に、ガントリー、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者支持台)を含むことができ、ルーチンは、メモリに格納することのできるそれぞれの装置の設定、構成、および/または位置(例:経路/軌道)を含む、撮像、画像に基づく送達前ステップ、および/または治療送達を含むことができる。さらに、(1つまたは複数の)コントローラは、メモリに格納されている1つまたは複数のルーチンまたはプロセスに従って、1つまたは複数の装置および/または構成要素を直接的または間接的に制御することができる。直接的な制御の例は、撮像または治療に関連付けられる様々な放射線源またはコリメータのパラメータ(出力、速度、位置、タイミング、変調など)の設定である。間接的な制御の例は、患者支持台コントローラまたは別の周辺装置に、位置、経路、速度などを伝えることである。撮像装置に関連付けることのできる様々なコントローラの階層は、適切な命令および/または情報が所望の装置および構成要素に伝えられるように、任意の適切な方法で編成することができる。
【0049】
さらに、本システムおよび本方法を別のコンピュータシステム構成を使用して実施できることが、当業者には理解されるであろう。本発明の図示した態様は、分散コンピューティング環境において実施することができ、分散コンピューティング環境では、特定のタスクは、通信ネットワークを通じてリンクされているローカルまたはリモートの処理装置によって実行される。例えば、一実施形態においては、再構成プロセッサ40を別のシステムに関連付けることができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールを、ローカルのメモリ記憶装置およびリモートのメモリ記憶装置の両方に配置することができる。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピューティングプラットフォーム、クラウドデータベース、またはこれらの組合せを、X線撮像装置10で利用することができる。
【0050】
X線撮像装置10は、本発明の様々な態様を実施するために、コンピュータを含む例示的な環境を利用することができ、コンピュータは、コントローラ60(例:プロセッサおよびメモリ(メモリ44とすることができる)を含む)およびシステムバスを含む。システムバスは、システムの構成要素(メモリを含む、ただしこれに限定されない)をプロセッサに結合することができ、他のシステム、コントローラ、構成要素、装置、およびプロセッサと通信することができる。メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、および任意の他の形式のコンピュータ可読媒体を含むことができる。メモリは、ルーチンおよびパラメータを含む様々なソフトウェアおよびデータ(例えば治療計画を含みうる)を格納することができる。
【0051】
治療用放射線源20および/またはX線源30は、治療用放射線源20およびX線源30の相対的な動作を制御するように構成されているコントローラ60に動作可能に結合することができる。例えば、X線源30を、治療用放射線源20と同時に制御および動作させることができる。これに加えて、またはこれに代えて、実施されている特定の治療計画および/または撮像計画に応じて、X線源30を、治療用放射線源20と順次に制御および動作させることができる。
【0052】
X線源30およびX線検出器34は、複数の方法で、撮像スキャン中に患者の周りを回転するように構成することができることが理解されよう。一実施形態においては、X線源30の動きおよび照射を患者支持台18の長手方向の動きと同期させることにより、処置中にヘリカルに患者画像を連続的に取得する(a continuous helical acquisition)ことができる。
図3は、ヘリカル線源軌道300の例示的な概略図を提供する。本実施形態においては、ヘリカル軌道を実現するために、X線源30の連続的な円回転は、患者の長手方向の動きと組み合わされる。
図4は、ヘリカル画像取得400の例示的な概略図を提供する。X線源30の動きは、全体として70で示され、ビームフォーマ(例:36)のリーフは、例示的なビームカラム/スライス幅を示して、全体として74で概略的に示されている。患者支持台の動きは長手方向に(y軸に沿って)
図4に示すように全体として矢印76で示してある。
【0053】
放射線源20,30および(1つまたは複数の)検出器24,34の連続的な回転(例:一定な患者の動きの速度に合わせたガントリーの連続的かつ一定な回転)に加えて、開示する技術の範囲から逸脱することなく、別の構成が採用できることが理解されよう。例えば、回転可能なガントリー12に対して(一定速度または可変速度で)動くように支持台が制御されるとき、患者支持台の上に支持されている患者の周りを、(上に説明したような連続的な回転ではなく)ガントリー12が「交互方向に」(例:右回転および左回転の交互に)回転するように、回転可能なガントリー12および患者支持台を制御することができる。別の実施形態においては、連続的なステップアンドシュート円形スキャンの場合、所望のボリュームがキャプチャされるまで、長手方向における患者支持台18の移動(ステップ)と、回転可能なガントリー12によるスキャン回転(シュート)とが交互に行われる。
【0054】
放射線源および/または患者支持台の様々な別のタイプの動きを利用して、投影データを生成するための、放射線源と患者の相対運動を実現することができる。放射線源および/または患者支持台の不連続な運動、連続的であるが可変/非一定の(線形および非線形を含む)運動、速度、および/または軌道など、およびその組合せを使用することができる(上に説明した放射線治療装置10の様々な実施形態との組合せを含む)。
【0055】
一実施形態においては、ガントリー12の回転速度、患者支持台18の速度、およびビームフォーマ36の形状はすべて、画像取得中に一定とすることができる。別の実施形態においては、これらの変数の1つ以上が画像取得中に、動的に変化することができる。ガントリー12の回転速度、患者支持台18の速度、および/またはビームフォーマ36の形状は、たとえば、画質、画像取得時間などを含む様々な要因のバランスをとるために変更することができる。
【0056】
別の実施形態においては、これらの特徴は、例えば、患者の設定、適応治療モニタリング、治療計画などを含む、他の画像に基づく1つまたは複数のアクティビティまたは処理と組み合わせることができる。
【0057】
画質には多くの決定要因がある(例:X線源の焦点サイズ、検出器のダイナミックレンジなど)。kV CBCTの画質の限界は散乱である。様々なアプローチが散乱を減らすために使用できる。(散乱をコリメートする)散乱防止グリッドを使用することも1つのアプローチとなる。しかしながら動き追跡や補正用への実装も含めて、kV撮像システムに散乱グリッドを実装することは問題になる可能性がある。画像データの品質を向上させるには、投影データ内の散乱を正確に推定する必要がある。
【0058】
様々な実施形態においては、検出器34の主領域で取得された投影データ内の散乱は、隣接する回転(前または後)における検出器34の影領域を現在の主領域に重ね、これらの隣接スキャン中に影/周辺領域内の散乱を測定することによって推定することができる。
【0059】
例えば、
図5Aは、ヘリカル軌道スキャン504の回転における検出器502への例示的な投影500の概略図である。X線源506は、放射線ビーム508とともに示され、検出器502の主領域510を直接放射線に曝露する。また、検出器502は、ビームフォーマ(図示せず)によって、直接放射線からは影となっているアクティブ後方領域512およびアクティブ前方領域514を有する。
図5Aに示されるように、スキャンは、同じ方位角で同じ平面上に投影される、ヘリカル経路504に沿った一連の回転における例示的な前、現在、および次の回転を含む。番号は付されていないが、検出器502は、それぞれの回転において同じ主領域510、後方影領域512、および前方影領域514(斜線部分)を含む。
【0060】
例示的な投影500から理解されるように、現在の回転における主領域510のカバレッジは、前の回転からの前方影領域および次の回転からの後方影領域と重なる。
図5では、現在の投影に関連付けられる検出器502は、前および次の投影における検出器からずれて示されているが、これは、カバレッジの重複状態を示しているだけである。
【0061】
図5Bは別の例において、ステップアンドシュートスキャン554の連続円形回転における、検出器502への例示的な投影550の概略図である。このタイプのスキャンから、一連の回転における例示的な前、現在、および次の回転において、同じく重なった検出器領域510,512,514が得られる。
【0062】
主領域510および影領域512,514は、上述したように、ビームフォーマ36によって制御および調整することができる。従って、複数回転スキャン技術(例:ヘリカル、ステップアンドシュートなど)およびビームフォーマ36の機能を組み合わせることで、
図5Aおよび
図5Bに示される構成が可能になる。
【0063】
前のスキャンまたは後のスキャン中にこれらの影領域で取得された散乱データは、重なるターゲットが異なる回転からのものであるにもかかわらず本質的に同じであるので、直接曝露による現在のスキャンにおける主領域の散乱を表すことができる。
【0064】
図6はスキャンの連続回転におけるX線検出器602への例示的な投影600の概略図である。左側には、放射線ビーム608を放出する、回転するX線源606が示されており、検出器602の主または中心(C)領域610をX線源606からの放射線に直接曝露する。検出器602は、ビームフォーマ/コリメータ620によって、放射線ビーム608の直接曝露から遮断されるアクティブ後方(B)影領域612およびアクティブ前方(F)影領域614も有する。ビームフォーマ/コリメータ620は、X線源606によって放出される放射線ビーム608の形状を調整するように構成される。影領域612,614は散乱放射線のみを受信することとなる。
【0065】
図6の右側は、同じ平面上に投影され、スキャン経路に沿った、同じ方位角での前(S 前)、現在(S 現在)、次(S 次)の回転を示す。番号は付されていないが、検出器602は、それぞれの回転において同じ主または中心(C)領域610、後方(B)影領域612、および前方(F)影領域614を含む。例示的な投影の下にある表は、連続回転中に影領域B,Fが主領域Cと、どのように重なるかを示す。例示的な投影600によって理解され、例示的なカバレッジ部分630によって強調されるように、現在の回転(S 現在)の主領域Cのカバレッジは、前の回転(S 前)からの前方影領域Fおよび次の回転(S 次)からの後方影領域Bと重なる。後からさらに詳しく説明するように、ビューごとの、この重なる測定データを使用して、主領域Cの投影データ内の散乱を推定することができる。
【0066】
スキャン回転を続けることで、同じまたは同様の重なるカバレッジが得られる。例えば、次の回転では、現在の回転(S 現在)が前の回転(S 前)になり、次の回転(S 次)が現在の回転(S 現在)になるということがスキャン完了まで続く。このようにして、主領域Cおよび影領域Bおよび/またはFの測定データを(おそらくは片側影領域データを有することになる、第1のおよび最後の回転を除き)、ビューごとに利用することができる。
【0067】
引き続き
図6を参照すると、各々のコリメーション開口部は、軸方向または長手方向における(患者テーブルの(y軸)方向に沿って)検出器602の後方(B)端部612および前方(F)端部614が直接放射線608で照射されないように構成されている。これらの後方(B)612(回転軸に沿った負の長手方向における)影領域、および前部(F)614(回転軸に沿った正の長手方向における)影領域は、直接放射線を受けないことから、散乱測定用にデザインされる。主または中心(C)領域610は、直接投影および散乱の両方を受信する。
【0068】
このようにして、現在のビューで測定された散乱だけでなく、同じ/類似の方位角を有する隣接する回転(前および/または次)から測定された散乱によっても、現在のビューの中心領域610内の散乱を推定することができる。データ取得の構成は、散乱測定を最適化するためにスキャンの幾何学形状デザインと組み合わされる。
【0069】
図5および
図6に示すように、前または次の回転における影領域612,614のカバレッジが、現在の回転における主領域610に重なるとき、データ処理システム(例:プロセッサ40)は、主領域610内での測定投影データと、少なくとも1つの影領域612,614内での測定散乱データとを受信し、次いで、前および/または次の回転における少なくとも1つの影領域612,614内での測定散乱データに基づいて、現在の回転において推定される主領域610内での散乱を決定するように構成することができる。一実施形態においては、現在の回転における主領域610内での推定散乱の決定は、現在の回転における少なくとも1つの影領域612,614内での測定散乱データにも基づくことができる。
【0070】
一実施形態においては、装置構成およびスキャンデザインは、以下の3つのステップで散乱補正を実行する。(1)データ取得:各回転について、検出器610の中心(C)領域を用いて投影データ(主+散乱)を取得し、検出器602の前方(F)および後方(B)影領域614,612を用いて散乱を測定する。(2)散乱推定:各回転について、現在の回転の散乱測定と、隣接する回転の同じ方位角における散乱測定の両方を使用して、中央(C)領域からの投影データの散乱成分を推定する。(3)散乱補正:ステップ(2)で推定した散乱を投影データから差し引いて散乱補正投影(scatter corrected projection)データを得る。
図5~6に示される実施形態は、両側影領域を有する、ヘリカルスキャン(
図5Aおよび
図6)および円形スキャン(
図5Bおよび
図6)を表す。片側影領域の実施形態は後程説明する。
【0071】
様々な技術および方法において、異なるスキャンの幾何学形状、検出器の配置、および/またはビームフォーマウィンドウの形状を利用することができる。また、検出器602は、横方向にずれていてもよい。
【0072】
図7~8は両側影領域を有する、スキャンの幾何学形状における例示的な検出器の概略図を示す。便宜上、以下の表記を用いて、検出器領域を識別する。
【数1】
はk番目の回転について、アイソセンタでの検出器のそれぞれ後方影領域、中心領域、および前方影領域の軸方向長さとし、Hはヘリカルスキャンまたはステップアンドシュートスキャンの1回転あたりの軸方向に沿った移動距離とする。
【0073】
散乱推定には、Hが以下の条件を満たすことが推奨される。
【数2】
【0074】
Hがこの条件を満たすと、現在の投影の散乱推定に直接的に寄与できる、隣接する回転からの測定された散乱があることになる。満たさない場合、現在のビューの散乱推定は、後方影領域と前方影領域の間を軸方向に補間することによって得ることができるが、精度が低く不安定である。
【0075】
例えば、
図7は、スキャンの連続回転において両側影領域を有する、スキャンの幾何学形状700における例示的な検出器702の模式図を示す。特に、検出器702は、軸方向長さがL
Bの後方影領域704、軸方向長さがL
Cの中心(主)領域706、および軸方向長さがL
Fの前方影領域708を含む。検出器702は、kを現在の回転、k-1を前の回転、k+1を次の回転とする、三連続回転におけるビューとともに示される。
【0076】
図7に示されるように、H<L
F+L
Cであり、上記の条件(1)を満たす。条件(1)が満たされると、隣接する回転(k-1および/またはk+1)からの少なくとも1つの影領域704,708は、現在の回転(k)における中心領域706とカバレッジが重なる。ここで、前の回転(k-1)からの前方影領域708の一部分が現在の回転(k)における中心領域706と重なり(重なり710として示される)、次の回転(k+1)からの後方影領域704の一部分が現在の回転(k)における中心領域706と重なる(重なり712として示される)。これらの影領域704,708からの散乱測定値は、上記のように、中心領域706内での測定投影データ内の散乱を推定するために使用することができる。
【0077】
Hが上記の条件(1)を満たすと仮定すると、現在の測定投影データと重なる、隣接する回転からの散乱測定値を用いて、現在のビューの散乱を推定することができる。
【0078】
比較的小さな値のHについては、同じ側にある複数の隣接する回転の影領域が散乱推定のために利用可能である。
【0079】
スキャン速度と散乱推定の精度との間の例示的な最適化されたバランスは、以下の条件によって定義することができる。
【数3】
【0080】
例えば、
図8は、スキャンの連続回転において両側影領域を有する、スキャンの幾何学形状800における例示的な検出器802の模式図を示す。特に、検出器802は、軸方向長さがL
Bの後方影領域804、軸方向長さがL
Cの中心(主)領域806、および軸方向長さがL
Fの前方影領域808を含む。検出器802は、kを現在の回転、k-1を前の回転、k+1を次の回転とする、三連続回転におけるビューとともに示される。
【0081】
図8に示されるように、H=L
C=L
F+L
Bであり、上記の条件(2)を満たす。条件(2)が満たされると、隣接する回転(k-1およびk+1)からの組み合わされた影領域808(前),804(次)は、現在の回転(k)における中心領域806と完全にカバレッジが重なる。特に、前の回転(k-1)からの前方影領域808が現在の回転(k)における中心領域806と重なり(重なり810として示される)、次の回転(k+1)からの後方影領域804が現在の回転(k)における中心領域806と重なる(重なり812として示される)。これらの影領域804,808からの散乱測定値は、上記のように、中心領域806内での測定投影データ内の散乱を推定するために使用することができる。L
C=L
F+L
Bであることから、重なり領域810および812は、中心領域806と完全に重なるカバレッジを提供することで、高精度な散乱推定が可能になる。さらに、H=L
Cであることから、このスキャンの幾何学形状では、連続回転において中心領域が重ならないことにより速度が最適化される。
【0082】
図9~10は片側影領域を有する、スキャンの幾何学形状における例示的な検出器の概略図を示す。片側影領域の場合、検出器の(軸方向における)片側のみを散乱推定に使用する。例えば、
図9~
図10では、後方影領域が使用されている。ただし、以下の説明は、前方影領域が散乱測定に使用されている場合にも同様に適用できる。
【0083】
上に述べたように、以下の表記を用いて、検出器領域を識別する。
【数4】
および
【数5】
はk番目の回転について、アイソセンタでの検出器のそれぞれ後方影領域、および中心領域の軸方向長さとし、Hはヘリカルスキャンまたはステップアンドシュートスキャンの1回転あたりの軸方向に沿った移動距離とする。
【0084】
この場合、1回転あたりの軸方向の移動距離Hは、散乱推定のためのデータが確実に入手できるようにするために、以下の条件を満たすことが推奨される。
【数6】
【0085】
両側影領域の場合と同様、Hがこの条件を満たすと、現在の投影の散乱推定に直接的に寄与できる、隣接する回転(後方)からの測定された散乱があることになる。
【0086】
例えば、
図9は、スキャンの連続回転において片側影領域を有する、スキャンの幾何学形状900における例示的な検出器902の模式図を示す。特に、検出器902は、軸方向長さがL
Bの後方影領域904、および軸方向長さがL
Cの中心(主)領域906を含む。検出器902は、kを現在の回転、k-1を前の回転、k+1を次の回転とする、三連続回転におけるビューとともに示される。
【0087】
図9に示されるように、H<L
C+L
Bであり、上記の条件(3)を満たす。条件(3)が満たされると、隣接する回転(k+1)からの後方影領域904が現在の回転(k)における中心領域906とカバレッジが重なる。ここで、次の回転(k+1)からの後方影領域904の一部分は、現在の回転(k)における中心領域906と重なる(重なり910として示される)。この影領域904からの散乱測定値は、上記のように、中心領域906内での測定投影データ内の散乱を推定するために使用することができる。
【0088】
Hが上記の条件(3)を満たすと仮定すると、現在の測定投影データと重なる、隣接する回転からの散乱測定値を用いて、現在のビューの散乱を推定することができる。
【0089】
スキャン速度と散乱推定精度との間の例示的な最適化されたバランスは、以下の条件によって定義することができる。
【数7】
【0090】
例えば、
図10は、スキャンの連続回転において片側影領域を有する、スキャンの幾何学形状1000における例示的な検出器1002の模式図を示す。特に、検出器1002は、軸方向長さがL
Bの後方影領域1004、および軸方向長さがL
Cの中心(主)領域1006を含む。検出器1002は、kを現在の回転、k-1を前の回転、k+1を次の回転とする、三連続回転におけるビューとともに示される。
【0091】
図10に示されるように、H=L
C=L
Bであり、上記の条件(4)を満たす。条件(4)が満たされると、隣接する回転(k+1)からの影領域1004(次)は、現在の回転(k)における中心領域1006と完全にカバレッジが重なる。特に、次の回転(k+1)からの後方影領域1004が現在の回転(k)における中心領域1006と重なる(重なり1010として示される)。この影領域1004からの散乱測定値は、上記のように、中心領域1006内での測定投影データ内の散乱を推定するために使用することができる。L
C=L
Bであることから、重なり領域1010が中心領域1006と完全に重なるカバレッジを提供することで、高精度な散乱推定が可能になる。さらに、H=L
Cであることから、このスキャンの幾何学形状では、連続回転において中心領域が重ならないことにより速度が最適化される。
【0092】
上記の実施形態においては、ヘリカルスキャンおよびステップアンドシュートスキャンの場合、投影測定のために使用される中心(主)検出器領域(ビームフォーマによって作成される)は、長方形である。しかしながら、ビームフォーマは、様々な他のウィンドウ形状を持つビームを作成し、調整することができる。例えば、固定ピッチヘリカルスキャン(fixed-pitch helical scan)の場合、Tam-Danielsonウィンドウ内にある投影データを使用することにより、正確な画像再構成を実現することができる。可変ピッチを必要としないヘリカルスキャンの場合、ビームフォーマを、Tam-Danielsonウィンドウに一致するようにデザインすることができ、Tam-Danielsonウィンドウの外側における検出器領域を散乱測定に使用することができる。
【0093】
例えば、
図11は、検出器1102に投影されたTam-Danielsonウィンドウ1110を備えた例示的なビュー1100を示す。特に、検出器1102は、後方(B)影領域と、中心(C)領域と、前方(F)影領域とを含む。検出器1102は、三連続回転におけるTam-Danielsonウィンドウ1110を示すビューと共に示されている。投影測定の中心(C)領域は、Tam-Danielsonウィンドウ1110によって境界が定められる。後方(B)影領域および前方(F)影領域は、ビームフォーマによって、放射線の直接曝露から遮断され、上記のように散乱推定に使用することができる。このウィンドウを利用することにより、線量効率に優れた正確な画像再構成が可能となり、スキャン速度を向上させることができる。
【0094】
しかしながら、ビュー/デザイン1100は、1つのスキャンの幾何学形状構成のみに適用可能であるため、ヘリカルピッチによって制限される。より柔軟に対応するために、ビームフォーマのコリメーションウィンドウを、Tam-Danielsonウィンドウに基づいて形作られた平行四辺形であるようにデザインすることができる。このようなコリメーションウィンドウであっても、正確な画像再構成、同等の線量効率、およびさらに多くのコリメーションウィンドウのオプションのために十分な投影データを提供することができる。
【0095】
例えば、
図12は、検出器1202に投影されたTam-Danielsonウィンドウ1210を備えた例示的なビュー1200を示す。本実施形態においては、ビームフォーマによって形作られた平行四辺形1220が、検出器1202に投影されたTam-Danielsonウィンドウ1210(破線)を取り囲んで示される。この平行四辺形状1220に基づいて、検出器1210は、後方(B)影領域1204と、平行四辺形1220内の中心(C)領域1206と、前方(F)影領域1208とを含む。検出器1202は、三連続回転における、平行四辺形1220によって境界が定められたTam-Danielsonウィンドウ1210を示すビューと共に示されている。中心(C)領域1206の投影測定値は、Tam-Danielsonウィンドウ1210を含む。後方(B)影領域1204および前方(F)影領域1208は、ビームフォーマによって、放射線の直接曝露から遮断され、上記のように、散乱推定のために使用することができる。平行四辺形のコリメーションウィンドウ1220は、異なるヘリカルピッチおよびスキャン要求に対応するための適切なビームフォーマデザインによって実現することができるので、1つのヘリカルピッチに制限されない。
【0096】
いくつかの実施形態においては、現在の回転の後方影領域1204を、前の回転の前方影領域1208と組み合わせて、拡張された後方影散乱測定(back-shadow scatter measurement)領域を形成することができる。同様に、現在の回転の前方影領域1208を、次の回転の後方影領域1204と組み合わせて、拡張された前方影散乱測定(front-shadow scatter measurement)領域を形成することができる。このようにして、現在の回転の中心領域1206内の散乱は、現在の回転の片側または両側の拡張された散乱測定値を用いて補間することができる。
【0097】
図12に示されるように、前方影領域1208および後方影領域1204は、拡張された場合であっても、中心領域1206とカバレッジが重なっていない。しかしながら、推定精度と安定性を向上させるために、隣接する回転からの直接散乱測定値を現在の回転の散乱推定に用いることができる。言い換えると、スキャンは、散乱測定のカバレッジが投影測定と重なるようにデザインすることができる(直接散乱測定の使用可能性)。
【0098】
例えば、
図13は、検出器1302に投影されたTam-Danielsonウィンドウ1310を備えた例示的なビュー1300を示す。本実施形態においては、ビームフォーマによって形作られた平行四辺形1320が、検出器1302に投影されたTam-Danielsonウィンドウ1310(破線)を取り囲んで示される。L
C(
図13にLCとして示される)を、投影取得のための(アイソセンタでの)検出器の中心領域1306の軸方向長さ(後述の軸方向長さについての定義と同じ)とする。L
1,2,3,4(L1,L2,L3,およびL4として示される)を、同じ回転の間、
図13の上部に示されるように、検出器の後方(B)影領域1304および前方(F)影領域1308の台形形状を規定する軸方向長さとする。本実施形態においては、以下の条件でデザインを実現することができる。
【数8】
【0099】
直接散乱測定を使用可能とするための要件として、Hは条件(5)を満たさなければならない。
図13下部の一部分に示されている2つの点AおよびBは、式(5)を理解する上でなくてはならないものである。特に、これらの点A、Bのうちの少なくとも1つは、隣接する回転の影領域から見えなければならない。このようにして、
図13下部の一部分に示されるように、現在の回転の中心(C)領域1306には、前の回転からの前方(F)影領域1308と次の回転からの後方(B)影領域1304と、が重なり(条件(5)が満たされる)、この両側影領域の実施形態において点AおよびBの両方がキャプチャされる。
【0100】
Hが上記の条件(5)を満たすと仮定すると、現在の測定投影データと重なる、隣接する回転からの散乱測定値を用いて、現在のビューの散乱を推定することができる。
【0101】
スキャン速度と散乱推定精度との間の例示的な最適化されたバランスは、以下の条件によって定義することができる。
【数9】
【0102】
例えば、
図14は、スキャンの連続回転において両側影領域を有する、スキャンの幾何学形状1400における例示的な検出器1402の模式図を示す。このデザインは、
図13に示されるデザインの特定の実施形態であり、条件(6)を満たす。特に、検出器1402は、後方(B)影領域1404と、中心(主)領域1406と、前方(F)影領域1408とを含む。検出器1402は三連続回転におけるビューとともに示され、ビューにおいて現在の回転の中心領域1406には、前の回転からの前方(F)影領域1408と次の回転からの後方(B)影領域1404と、が完全に重なっている。これらの影領域1404,1408からの散乱測定値はすべて、上記のように、中心領域1406内での測定投影データ内の散乱を推定するために使用することができる。H=L
Cであり、L
1,2,3,4によって形成される台形の寸法が、組み合わされた影領域1404,1408の形状と主領域1406の形状との一致を可能にしていることから、上記重なり領域が中心領域1406と完全に重なるカバレッジを提供することで、高精度な散乱推定が可能になる。さらに、このスキャンの幾何学形状では、連続回転において中心領域が重ならないことにより速度が最適化される。
【0103】
上記のすべての場合において、横方向において中心から外れた検出器が可能であることに注意されたい。
【0104】
図15はコリメータ部分1502を備える例示的なビームフォーマ構成/デザイン1500を示す。コリメータ部分1502は、上述の実施形態に関連する所望のウィンドウに一致する平行四辺形状1504へと放射線ビームの形状を調整するように構成され得る。コリメータ/ビームフォーマ1502(例えば、ビームフォーマ36であってもよい)は、タングステンなどの高X線減衰材料で作製することができる。ビームフォーマ/コリメータ1502は、回転、および平行移動(y軸に沿った長手方向にシフト)が可能であり、オフセット検出器を含む様々な用途の要件を満たす範囲内において所望のウィンドウ1504の形状を調整することができる。
【0105】
散乱推定をより正確にするには、ビームフォーマの半影領域を除外する必要がある。一実施形態においては、半影領域の除外は、それぞれの投影の軸方向プロファイルを自動的に検出した上で、軸方向において事前に定義されたピクセルの数を除外することで実現することができる。異なるウィンドウおよびスキャン構成に対して、予め実験を実施し、半影領域を考慮して、散乱測定のための後方領域および前方領域を予め定義するという別の方法もある。
【0106】
続く流れ図およびブロック図は、上述したシステムに従って、散乱推定に関連付けられる例示的な構成および方法を示している。例示的な方法は、ロジック、ソフトウェア、ハードウェア、またはこれらの組合せにおいて実行することができる。さらに、これらの手順および方法は、ある順序で提示されているが、ブロックを異なる順序(連続的および/または並行を含む)で実行することができる。したがって、後から説明するステップ(撮像、画像に基づく送達前ステップ、治療送達を含む)は、順次示してあるが、同時に実行することができる(リアルタイムでの実行を含む)。さらには、追加のステップを使用する、またはより少ないステップを使用することができる。
【0107】
図16は上記したようなスキャンデザインを用いた散乱補正の例示的な方法1600を描いた流れ図である。入力は、任意の以前のデータおよび/またはスキャンデザインを含むことができる。本実施形態においては、ステップ1610は、データ取得を含む。例えば、ターゲットおよび放射線検出器に向かってコリメートされた放射線ビームを投影する放射線源の連続回転の間、本方法は上述の実施形態のいずれかに従って、放射線検出器の中心(主)領域内の投影データ(主+散乱)を測定し、検出器の前方影周辺領域および/または後方影周辺領域を用いて散乱を測定する。
【0108】
また、ステップ1610におけるデータ取得は、スキャン中にビームフォーマにより放射線ビームの形状を調整することを含むことができる。ビームフォーマによる放射線ビームの形状を調整することは、スキャン中にビームフォーマの高レベルX線減衰物質の回転および平行移動を含むことができ、放射線が影領域を直接曝露することを阻止する。一実施形態においては、本方法は、スキャンデザインに関連付けられた長方形となるように(ヘリカルスキャンまたはステップアンドシュート円形スキャンのためを含む)、ビームフォーマにより放射線ビームの形状を調整するステップを含む。別の実施形態においては、本方法は、ヘリカルスキャンのピッチに関連付けられたTam-Danielsonウィンドウを含む平行四辺形となるように、ビームフォーマにより放射線ビームの形状を調整するステップを含む。ビームフォーマは、X線源の回転同士の間の長手方向距離に基づいて、放射線ビームの形状を調整することができる(長手方向距離が連続する円形スキャン同士の間のステップ距離である実施形態と、長手方向距離がヘリカルスキャン中のピッチである実施形態とを含む)。いくつかの実施形態においては、スキャン中にステップまたはピッチが変化し、ビームフォーマはそれに応じてビームの形状を調節することができる。
【0109】
次に、ステップ1620は、散乱推定を含む。例えば、各回転について、本方法は上述の実施形態のいずれかに従って、現在の回転からの散乱測定値および/または隣接する回転の同じ方位角における散乱測定値を用いて、中心(主)領域からの投影データ内の散乱を推定する。次に、ステップ1630は、散乱補正を含む。例えば、ステップ1620から推定された散乱を投影データから差し引いて、散乱補正投影データを得る。出力には、撮像に適した散乱補正投影データが含まれている。様々な実施形態において、異なるスキャンの幾何学形状、検出器の配置、および/またはビームフォーマウィンドウの形状を利用することができる。上に述べたように、検出器は、横方向にずれていてもよい。
【0110】
1つまたは複数の最適化プロセスはまた、散乱を推定するために、上記の実施形態の全てに適用可能である。例えば、
図17は、上記したようなスキャンデザインを用いた散乱補正の例示的な方法1700を描いた流れ図である。入力は、任意の以前のデータおよび/またはスキャンデザインを含むことができる。本実施形態においては、ステップ1710はデータ取得を含み、本方法は、放射線検出器の中心(主)領域内の投影データを測定し、放射線検出器の(1つまたは複数の)影になった周辺領域内の散乱を測定する(上述したようなビームフォーマによる必要な調整を含む)。次に、ステップ1720において、取得されたデータを前処理することができる。例えば、前処理は、散乱測定値の平滑化を含むことができる。別の例では、前処理は、現在の回転の散乱測定値と隣接する回転の散乱測定値との間の関係を見つけ、隣接する回転の測定値を修正して推定精度を向上することを含むことができる。次に、ステップ1730において、本方法は、最適化モデルに基づいて、測定散乱データを最適化するために、様々なモデルトレーニング/フィッティング(model training/fitting)技術を利用することができる(データ品質/重要度を異なる位置から区別することを含む)。詳細な例は、以下に記載される方法に含まれる。
【0111】
次に、ステップ1740は、散乱推定を含み、ここで本方法は、現在の回転の散乱測定値と隣接する回転の散乱測定値の両方を用いて、中心(主)領域からの投影データ内の散乱を、各回転について推定する。次に、ステップ1750は、推定散乱を後処理することを含むことができる。例えば、後処理には、チャネルおよび/またはビュー全体にフィルタリングプロセスを適用して、散乱の平滑化を向上させることが含まれる。次に、ステップ1760は、散乱補正を含み、ここで本方法は、推定散乱を投影データから差し引いて、散乱補正投影データを得る。方法1600のステップと同様に、方法1700のステップは、上述の実施形態のいずれかに従って実施することができる。出力には、撮像に適した散乱補正投影データが含まれている。様々な実施形態において、異なるスキャンの幾何学形状、検出器の配置(オフセット検出器を含む)、および/またはビームフォーマウィンドウの形状を利用することができる。
【0112】
別の実施形態において、
図18は上記したようなスキャンデザインを用い、最適化された散乱補正の例示的な方法1800を描いた流れ図である。入力は、任意の以前のデータおよび/またはスキャンデザインを含むことができる。
図18は、最適化された散乱補正のためのワークフロー(フレームワーク)のハイレベルな図を描いている。便宜上、以下の表記を用いる。
【数10】
:N番目の回転について、検出器の中心領域における測定投影データ
【数11】
:N番目の回転について、検出器の周辺(影)領域における測定散乱
【数12】
:前処理済
【数13】
【数14】
:fはフィッティング/トレーニングモデルであり、
【数15】
はモデルのベクトルパラメータである
【数16】
:N番目の回転について、検出器の中心領域における推定散乱
【数17】
:後処理済
【数18】
【数19】
:N番目の回転について、検出器の中心領域における(主)補正投影(corrected projection)データ
【0113】
この実施形態においては、ステップ1810,1812,1814は、データ取得を含む。ステップ1810は現在の回転の投影測定を含む。ステップ1812は現在の回転の散乱測定を含む。ステップ1814は、隣接する回転(例:片側影領域の実施形態における次の回転k+1)からの散乱測定を含む。次に、ステップ1820,1822で、散乱測定値を前処理することができる(例:散乱測定値の平滑化、および現在の回転の散乱測定値と隣接する回転の散乱測定値との間の関係を見つけ、隣接する回転の測定値を修正して推定精度を向上すること、などを含む)。次に、ステップ1830において、本方法は、最適化関数
【数20】
に従ってエンジンパラメータ
【数21】
がトレーニング/フィッティングされるように、最適化/トレーニングエンジンモデル1832を利用することができる。本実施形態における目標は、最適なフィッティングパラメータセット
【数22】
見つけることである。上記に関連して、様々な最適化方法が適用できる。
【0114】
次に、ステップ1840は、上述の実施形態のいずれかに従って、現在の回転について散乱を推定する。次にステップ1850は後処理を介して推定散乱を向上させることができる(例:チャネルおよび/またはビュー全体にフィルタリングプロセスを適用して、散乱の平滑化を向上させる)。次に、ステップ1860は、(ステップ1870で出力する)補正投影データを得るために現在の回転の投影測定値から現在の回転に対する推定散乱を差し引くことを含む。上に述べたように、例えば、ステップ1820,1822,1850を含む様々なステップは、用途に応じて利用されなくてもよい。様々な実施形態において、異なるスキャンの幾何学形状、検出器の配置(オフセット検出器を含む)、および/またはビームフォーマウィンドウの形状を利用することができる。
【0115】
このようにして、システムおよび方法の様々な実施形態において、現在のビューのコリメーション開口部の外側(長手方向に)で測定された散乱および(1つまたは複数の)隣接するスキャン回転における長手方向にシフトされたビュー(しかし同じ方位角を有する)で測定された散乱を使用することによって、現在の回転の散乱を推定する。スキャンデザインを最適化して、スキャン速度と散乱推定精度のバランスを取ることができる。本システムおよび方法は、様々なスキャン(例えばヘリカルスキャンおよびステップアンドシュートスキャンの両方を含む)に適用可能である。様々な実施形態においては、ビームフォーマの開口部の外側の領域(影領域)で測定された検出器のシグナルは、散乱に完全に起因するものと仮定される。散乱はコンプトン散乱のみで構成されてもよく、軸方向のコリメーション幅が非常に狭くない限り、レイリー散乱は無いか、または非常に小さくなる。本システムおよび方法は、安定して、早く、便利に、および/または線量効率よく処理できる。本システムおよび方法の様々な実施形態は、前もってデータ取得システムの情報または患者情報を必要としない。実施形態においては、ビームブロッカー(beam blocker)などの追加の機器を必要としない。
【0116】
散乱を推定するシャドウ法(shadow method)と比較した場合、上記のシステムおよび方法の様々な実施形態は、以下のような様々な利点を示すことができる。特にスキャンされたオブジェクトが軸方向において異種(heterogenic)のオブジェクトである状況(例:頭部、首および肩の領域)において、より直接的な測定を用いることでより正確である。ビームフォーマ開口部の外側にある検出器の片側のみを用いて散乱補正が可能である。ヘリカル軌道またはステップアンドシュート軌道を用いてスキャンされた軸方向に長いオブジェクトに対する散乱補正が可能である。および/または画像再構成のための最適化されたデータ取得および線量使用のためのオプションを提供する。
【0117】
上述したように、開示する技術の態様は、IGRTと組み合わせて、またはIGRTの一部として使用するために、統合されたkV CTを利用する放射線治療装置および方法によって利用することができる。一実装形態によれば、画像取得の方法は、例えば放射線治療送達プラットフォームでのkV CT撮像を提供する目的で、高速スリップリング回転とともに、kVビームのコリメーションを使用するヘリカル線源軌道(例:線源が中心軸の周りに連続的に回転するとともに、ガントリーのボアの中を通って患者支持台が長手方向に移動する)を含む、または利用する。このような実装形態は、散乱を低減し散乱推定を向上できるため、従来のシステムよりも高い品質のkV画像を可能にすることが理解されよう。
【0118】
ボリューム画像を完成させるための複数ビーム回転に関連付けられた潜在的なスキャン時間の増加は、高kVフレームレート、高ガントリーレート、および/またはスパースデータ再構成技術によって軽減または相殺できることが理解されよう。上述のように選択的に制御可能なコリメータ/ビームフォーマを提供することにより、特定の用途および/または臨床のニーズに応じて、ユーザが画像取得時間と画質とをトレードオフ、または変更できるシステムが可能になることがさらに理解されよう。放射線治療送達装置は、画像取得時間が(例:動き追跡のため)高速の(散乱により画質が低下する可能性がある)半回転または一回転CBCTスキャンを提供するように制御することもできるし、ナロー/スリット(narrow/slit)ファンビームを使用し、取得時間が長いが散乱が減少するため画質が向上する連続ヘリカル取得を提供するように、制御できることもまた理解されよう。
【0119】
図19は、放射線治療装置(例えば、X線撮像装置10を含む)を使用するIGRTの例示的な方法1900を描いた流れ図である。患者の、以前の画像データ1905が使用可能であり、本データは以前のCT画像を含む、以前に取得された計画画像であり得る。以前のデータ1905は治療計画、ファントム情報、モデル、事前情報などを含むこともできる。いくつかの実施形態においては、以前の画像データ1905は、同じ放射線治療装置によって、ただしより早い時間に、生成される。ステップ1910においては、低エネルギ放射線(例:X線源30からのkV放射線)の線源を使用して、患者の撮像を実行する。一実施形態においては、撮像は、ファンビームまたはコーンビームの幾何学形状を有するヘリカルスキャンを有する。ステップ1910は、上述の散乱推定技術および補正技術を使用して、高品質(HQ)な(1つまたは複数の)画像または撮像データ1915を生成することができる。いくつかの実施形態においては、画質/解像度と線量との間のバランスを最適化するために、画質を調整することができる。言い換えれば、すべての画像が最高品質である必要はない、または、画質/解像度と画像取得時間との間のバランスを最適化するかまたはトレードオフする目的で、画質を調整することができる。撮像ステップ1910は、(例:上述した方法に従って)撮像データに基づいて患者の画像を生成するための画像処理をさらに含むことができる。画像処理ステップ1920は撮像ステップ1910の一部として示されているが、いくつかの実施形態においては、画像処理ステップ1920は別のステップである(画像処理が別の装置によって実行される場合を含む)。
【0120】
次にステップ1930において、1つまたは複数の、画像に基づく送達前ステップ(後から説明する)を、ステップ1910からの撮像データ1915に少なくとも部分的に基づいて実行する。後からさらに詳しく説明するように、ステップ1930は、治療処置および(次の)撮像計画に関連付けられる様々なパラメータを決定するステップを含むことができる。いくつかの実施形態においては、画像に基づく送達前ステップ(1930)では、治療送達(1940)前に、より多くの撮像(1910)を必要とすることがある。ステップ1930は、適応放射線治療ルーチン(adaptive radiotherapy routine)の一部として、撮像データ1915に基づいて治療計画を適応させるステップを含むことができる。いくつかの実施形態においては、画像に基づく送達前ステップ1930は、リアルタイムの治療計画を含んでもよい。実施形態は、撮像用放射線源および治療用放射線源を同時に作動させる、重なるように作動させる、および/または交互に作動させることを含むこともできる。リアルタイムの治療計画は、撮像用放射線および治療用放射線のこれらのタイプの作動方法(同時、重なり、および/または交互)のいずれかまたはすべてを含むことができる。
【0121】
次にステップ1940において、高エネルギ放射線源(例:治療用放射線源20からのMV放射線)を使用して治療処置送達を実行する。ステップ1940では、治療計画に従って患者に治療線量1945を送達する。いくつかの実施形態においては、IGRT方法1900は、様々な間隔での追加の撮像のためにステップ1910に戻るステップを含むことができ、その後に必要に応じて、画像に基づく送達前ステップ(1930)および/または治療送達(1940)を行うことができる。このようにして、適応治療が可能な1台の装置10を使用して、高品質な撮像データ1915を生成してIGRT時に利用することができる。上に述べたように、ステップ1910,1920,1930,および/またはステップ1940は、同時に、重なるように、および/または交互に、実行することができる。
【0122】
IGRTは、少なくとも2つの一般的な目標、すなわち(i)高いレベルで適合する線量分布をターゲットボリュームに送達すること、および(ii)すべての治療フラクションの全体を通じて高い精度で治療ビームを送達すること、を含むことができる。第3の目標は、上記2つの一般的な目標を、フラクションあたりできる限り短い時間で達成すること、とすることができる。治療用ビームを正確に送達するには、高品質の画像を使用して、ターゲットボリュームのイントラフラクション(intrafraction)の位置を識別および/または追跡する能力が要求される。送達速度を高めるには、治療計画に従って放射線源を高い精度で迅速に動かす能力が要求される。
【0123】
図20は、上のステップ1930に関連付けることのできうる例示的な画像に基づく送達前ステップ/オプションを描いたブロック
図2000である。上述したX線撮像装置10(例:放射線治療装置の一部として)は、本発明の範囲から逸脱することなく、(画像に基づく送達前ステップ(1930)用も含め、)様々に使用することのできるkV画像を生成できることが理解されよう。例えば、放射線治療装置によって生成される画像1915を使用して、治療の前に患者を位置合わせすることができる(2010)。患者の位置合わせは、現在の撮像データ1915を、より早い時点での治療前のスキャンおよび/または計画(治療計画を含む)に関連する撮像データに関連付ける、またはレジストレーションするステップを含むことができる。さらに患者の位置合わせは、患者が送達システムの範囲内に物理的に位置しているかを確認する目的で、放射線源に対する患者の物理的位置に関するフィードバックを含むことができる。必要な場合、フィードバックに応じて患者を調整することができる。いくつかの実施形態においては、線量を最小限にし、ただし十分な位置合わせ情報が提供されるように、患者位置合わせ用の撮像を意図的に低い画質で行うことができる。
【0124】
X線撮像装置10によって生成される画像は、治療計画または再計画(2020)にも使用することができる。様々な実施形態においては、ステップ2020は、治療計画を確認するステップ、治療計画を修正するステップ、新しい治療計画を生成するステップ、および/または、治療計画のセットから治療計画(場合によっては「本日の計画」とも称される)を選択するステップ、を含むことができる。例えば、ターゲットボリュームまたはROIが、治療計画が作成されたときと同じであることを撮像データ1915が示している場合、その治療計画を確認することができる。しかしながらターゲットボリュームまたはROIが同じではない場合、治療処置の再計画が必要でありうる。再計画の場合、(ステップ1910においてX線撮像装置10によって生成された)撮像データ1915の品質が高いため、この撮像データ1915を治療の計画または再計画に使用することができる(例:新しい治療計画または修正された治療計画を生成する)。このようにして、異なる装置による治療前のCT撮像が必要ない。いくつかの実施形態においては、確認および/または再計画は、様々な治療の前および/または後に行われる手順とすることができる。
【0125】
別の例示的な使用例によれば、X線撮像装置10によって生成される画像を使用して、撮像線量を計算する(2030)ことができ、この撮像線量は、患者への総線量の進行中の決定、および/またはその後の撮像計画において、使用することができる。例えば画質と線量のバランスをとる目的で、その後の撮像の品質を、治療計画の一部として決定することもできる。別の例示的な使用例によれば、X線撮像装置10によって生成される画像を使用して、治療線量を計算する(2040)ことができ、この治療線量は、患者への総線量の進行中の決定に使用することができる、および/または、治療の計画または再計画の一部として含めることができる。
【0126】
別の例示的な使用例によれば、X線撮像装置10によって生成される画像を、別の撮像(2050)の計画または調整に関連して、および/または、別の治療(2060)のパラメータまたは計画に関連して、使用することができる(例えば適応治療および/または治療計画の生成の一部として使用することを含む)。別の例示的な使用例によれば、X線撮像装置10によって生成される画像は、適応治療モニタリング(2070)に関連して使用することができ、適応治療モニタリング(2070)は、治療送達のモニタリングおよび必要に応じた適合化を含むことができる。
【0127】
画像に基づく送達前ステップ(1930)は、互いに排他的ではないことを理解されたい。例えば、様々な実施形態において、治療線量の計算(2040)を、それ自体を1ステップとすることができる、および/または、適応治療モニタリング(2070)もしくは治療計画(2020)またはその両方の一部とすることができる。様々な実施形態においては、画像に基づく送達前ステップ(1930)は、自動的に実行する、および/または人の関与を伴って手動で実行することができる。
【0128】
上記のデバイスおよび方法(画像放射線の調整可能なコリメーションと散乱推定と補正スキームとを含む)は、散乱推定を向上することができるため、CBCTのような従来の治療中撮像システムよりも高品質のkV生成画像をもたらすことができる。
【0129】
図21は、撮像(1910)中に、および/またはその後の画像に基づく送達前ステップ(1930)時に、利用することのできる例示的なデータ源を描いたブロック
図2100である。検出器データ2110は、画像放射線検出器34によって受信されるすべてのデータを表す。投影データ2120は、コリメートされたビーム領域(主領域または中心領域と称されることがある)に入射した放射線によって生成されるデータである。半影データ2130は、半影領域に入射した放射線によって生成されるデータである。散乱データ2140は、半影領域の外側にある(上記では影領域と称される)(1つまたは複数の)周辺領域に入射した放射線によって生成されるデータである。
【0130】
一実施形態においては、半影データ2130は、投影データおよび/または散乱データを分離または識別するために使用され得る。上で詳細に説明したように、散乱データ2140を使用して、投影データ2120内の散乱放射を推定することができる。別の実施形態においては、散乱データ2140は、2つの線源20、30を同時に動作させたとき、治療用放射線源20(例:MV)からの散乱の残留効果を決定するために使用することができる。
【0131】
このようにして、半影データ2130および/または散乱データ2140は、撮像ステップ1910によって生成される画像の品質を向上するために利用することができる。いくつかの実施形態においては、半影データ2130および/または散乱データ2140を投影データ2120と組み合わせることができる、および/または、適用可能な撮像設定2150と、治療設定2160(例:撮像用放射線および治療用放射線が同時の場合)と、撮像検出器34におけるデータ収集の時点でX線撮像装置10に関連付けられる任意の他のデータ2170とを考慮して、半影データ2130および/または散乱データ2140を分析することができる。別の実施形態においては、データを治療計画ステップ2020において使用することができる。
【0132】
開示する技術を、特定の態様、一実施形態、または複数の実施形態に関連して図示および説明してきたが、当業者には、本明細書を添付の図面と併せて読み進めて理解した時点で、同等の変更および修正が明らかであろう。特に、上述した要素(構成要素、アセンブリ、装置、部材、合成物など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用されている用語(「手段」の言及を含む)は、特に明記されていない限り、説明されている要素の指定された機能を実行する(すなわち機能的に同等である)任意の要素に対応するように意図されており、このことは、たとえ開示する技術の本明細書に示した例示的な態様、一実施形態、または複数の実施形態においてこれらの機能を実行する開示されている構造に構造的に同等でない場合にも、あてはまる。さらに、開示する技術の特定の特徴が、いくつかの図示した態様または実施形態のうちの1つまたは複数のみに関連して上に説明されているが、このような特徴は、任意の所与の用途または特定の用途において望ましく有利であるとき、別の実施形態の1つまたは複数の別の特徴と組み合わせることができる。
【0133】
本明細書で説明した実施形態は、上述したシステムおよび方法に関連しているが、これらの実施形態は例示を目的としており、これらの実施形態の適用性を本明細書に記載されている説明のみに制限するようには意図していない。本発明はその実施形態の説明によって示されており、これらの実施形態はある程度詳細に説明されているが、本出願人は、添付される請求項の範囲をそのような細部に制限する、またはいかようにも限定するようには意図していない。当業者には、さらなる利点および修正がただちに明らかであろう。したがって、より広い態様における本発明は、特定の細部、代表的な装置および方法、ならびに図示および説明されている例示的な例に制限されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の趣旨または範囲から逸脱することなく、そのような細部の修正・変更を行うことができる。