(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】鉄道車両用連結器
(51)【国際特許分類】
B61G 5/06 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B61G5/06 A
(21)【出願番号】P 2021523216
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 KR2021003911
(87)【国際公開番号】W WO2022211143
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】514247908
【氏名又は名称】コリア レイルロード リサーチ インスティテュート
【住所又は居所原語表記】176, Cheoldobangmulgwan-ro, Uiwang-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】クォン, テス
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ヒョンスン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジンソン
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第01609142(US,A)
【文献】米国特許第02052993(US,A)
【文献】特開2002-211395(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0547188(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0037228(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の下部に形成されるアンダーフレームに取り付けられる第1取付部と、
前記第1取付部に設けられており、前後の車両を機械的に連結する第1連結器と、
を備え
、
前記第1取付部の下部に第2取付部がさらに形成され、
前記第2取付部は、前後の車両の空気配管及び電線接続端子を連結する第2連結器を備え、
前記第2連結器は、
前後の車両を連結する連結部と、
前記連結部の後部に形成される連結バーと、
前記連結バーの端部に形成されて前記第2取付部に挿入連結される延長バーと、
を備え、
前記連結部は、
前記連結バーの前端に形成される連結体と、
コーン状に形成され、前記連結体の一側に前方に突設される連結ガイドと、
前記連結ガイドの側部に他側の連結器の連結ガイドが挿入される連結孔と、
前記連結体の上部に、前後に貫通するように形成され、電線接続端子が取り付けられる電線端子取付部と、
前記連結体の下部に、前後に貫通するように形成され、空気配管連結部が取り付けられる空気配管取付部と、
を備え、
前記第2取付部は、第1ハウジングと第2ハウジングとからなり、
前記延長バーの外側には、リング状の第2緩衝部材が設けられ、
前記第1ハウジングと第2ハウジングの内周面には、前記第2緩衝部材の外側が挿入される挿入溝が形成されることを特徴とする鉄道車両用連結器。
【請求項2】
前記延長バーの前端には、前記第2緩衝部材の全体を支持する第1支持突部が形成され、
前記延長バーの後部には、前記第2緩衝部材の後部を支持する固定部材が設けられ、
前記固定部材は、第2緩衝部材の後部を支持する第2支持突部と、
前記延長バーが挿入される貫通孔と、からなることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用連結器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用連結器に係り、さらに詳しくは、隣接する鉄道車両を連結する際に、機械的な連結のみならず、空気配管及び電線接続端子を同時に連結できるようにすることにより、空気配管と電気的接続を別々に行う必要がないため、迅速かつ容易に鉄道車両を連結できる鉄道車両用連結器に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両は、推進動力を出す先頭車両の後尾に多数の客車又は貨物車両を連結して運行されるところ、それぞれの車両を連結するのに
図1及び
図2に示すような密着式の連結器が一般的に使用されている。
ここで、密着式連結器本体10の一方の端部には、車両に固設された棒状の連結具が挿入固定されるリング状の車体連結部11が形成されており、他方の端部には、締結具12及び締結具挿入溝13が、隣接する位置に、互いに対応する断面を有するように形成されていて、車体連結部11によって車両に結合されている一対の連結器を相互に結合して車両を連結する際に、一方の側の連結器の締結具12が他方の側の連結器の締結具挿入溝13にそれぞれ挿入される。
そして、締結具12の内側には、円弧状のロック溝12cが形成されており、ロッキング溝12cの内部には、円弧状のロック部材21が回転可能に設けられていて、
図2に示すように、締結具挿入溝13に挿入された締結具のロック溝の端部が他方の側のロック部材にそれぞれかかり、離脱を防止することにより両側の車両を連結することになる。締結具12は、締結具挿入溝13の内壁に定着する支持部12aと、支持部の前方に概ね四角錐状に一体に形成されている挿入案内部12bとにより形成されており、締結具12の挿入時、バネ23により弾支されているロック部材21が挿入案内部12bにより徐々に回転して挿入され、挿入が完了すると、ロック部材21がバネ23の弾性力により元の位置に戻り、ロック溝12c内に定着することにより、両側の車両を強固に連結することになる。
この場合、車両を分離させる際に、ロック解除レバー22を
図2の矢印方向に回転させ、ロック部材21の係止部21aがロック溝12cから抜け出すようにして、結合状態を解除する。
【0003】
しかし、前述のような従来の鉄道車両用連結器は、機械的な連結のみが可能であり、電気的な接続や空気圧制動装置の制御のための空気配管の連結は不可能であるため、鉄道車両の運行中に機関故障で運行が中断される場合には、救援列車を故障列車に連結して故障列車を牽引する際、故障列車に放送や電灯回路及びその他の必要な制御回路を救援列車から直接連結しなければならない。
【0004】
したがって、空気配管や電気的な接続作業が煩わしく時間がかかるため、迅速な運行再開ができないだけでなく、分離の際にもこのような複雑な手続きを繰り返し実施しなければならず、故障列車が客車の場合には乗客にも多くの不便を与えるなどの問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するために案出されたものであり、その目的は、車体の下部に形成されるアンダーフレームに第1取付部を形成して機械的連結のための第1連結器を備え、第1取付部の下部に第2取付部をさらに形成して電線接続端子及び空気配管を連結するための第2連結部を備えることにより、鉄道車両を連結する際、機械的連結のみならず空気配管及び電線接続端子を同時に連結するようにして、鉄道車両を速やかに連結できる鉄道車両連結器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、
車体の下部に形成されるアンダーフレームに取り付けられる第1取付部と、前記第1取付部に設けられており、前後の車両を機械的に連結する第1連結器と、を備えてなることを特徴とする。
ここで、前記第1取付部の下部に第2取付部がさらに形成され、前記第2取付部には、前後の車両の空気配管及び電線接続端子を連結する第2連結器が備えられることを特徴とする。
そして、前記第2連結器は、前後の車両を連結する連結部と、前記連結部の後部に形成される連結バーと、前記連結バーの端部に形成されて前記第2取付部に挿入連結される延長バーと、を備えてなることを特徴とする。
ここで、前記連結部は、前記連結バーの前端に形成される連結体と、前記連結体の一側に前方に突設される連結ガイドと、前記連結ガイドの側部に他側の連結器の連結ガイドが挿入される連結孔と、前記連結体の上部に、前後に貫通するように形成され、電線接続端子が取り付けられる電線端子取付部と、前記連結体の下部に、前後に貫通するように形成され、空気配管連結部が取り付けられる空気配管取付部と、を備えてなることを特徴とする。
このとき、前記延長バーと第2取付部との間には第1緩衝部材がさらに備えられことを特徴とする。
一方、前記第2取付部は、第1ハウジングと第2ハウジングとからなることを特徴とする。
ここで、前記延長バーの外側には、リング状の第2緩衝部材が設けられ、前記第1ハウジングと第2ハウジングの内周面には、前記第2緩衝部材の外側が挿入される挿入溝が形成されることを特徴とする。
このとき、前記延長バーの前端には、前記第2緩衝部材の全体を支持する第1支持突部が形成され、前記延長バーの後部には、前記第2緩衝部材の後部を支持する固定部材が設けられ、前記固定部材は、第2緩衝部材の後部を支持する第2支持突部と、前記延長バーが挿入される貫通孔と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成の本発明によれば、車体の下部に形成されるアンダーフレームに第1取付部を形成して機械的連結をための第1連結器を備え、第1取付部の下部に第2取付部をさらに形成して電線接続端子及び空気配管を連結するための第2連結部を備えることにより、鉄道車両を連結する際、機械的連結のみならず空気配管及び電線接続端子を同時に連結するようにして、鉄道車両を速やかに連結することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】従来の鉄道車両用連結器の部分断面図である。
【
図3】本発明による鉄道車両用連結器の斜視図である。
【
図4】本発明による鉄道車両用連結器の断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による鉄道車両用連結器の第2連結器の斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による鉄道車両用連結器の第2連結器の分離斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による鉄道車両用連結器の第2連結器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態についてより詳細に説明する。図面上の同じ構成要素に対しては、同じ参照符号を使用し、同じ構成要素に対して重複した説明は省略する。そして、本発明は、多数の相異なる形態に具現されることができ、記述された実施形態に限定されないことを理解しなければならない。
図3は、本発明による鉄道車両用連結器の斜視図であり、
図4は、本発明による鉄道車両用連結器の断面図であり、
図5は、本発明の他の実施形態による鉄道車両用連結器の第2連結器の斜視図であり、
図6は、本発明の他の実施形態による鉄道車両用連結器の第2連結器の分離斜視図であり、
図7は、本発明の他の実施形態による鉄道車両用連結器の第2連結器の断面図である。
【0010】
本発明は、鉄道車両用連結器に関するものであり、
図3及び
図4に示すように、その構成は、鉄道車両の車体の下部に形成されるアンダーフレームに取り付けられる第1取付部100と、前記第1取付部100に設けられる第1連結器200とを備えてなり、前記第1連結器200は、前後の車両を機械的に連結する。
ここで、前記第1取付部100の下部には第2取付部300がさらに形成され、前記第2取付部300には第2連結器400が設けられ、前記第2連結器400は前後の車両の空気配管及び電線接続端子を連結する。
したがって、本発明では、前後の車両を連結する際に、前記第1連結器200を介して前後の車両を機械的に連結するとともに、前記第2連結器400を介して空気配管を連結するだけでなく、電気的にも連結することにより、管理者が別途に空気配管を連結したり、電気的に連結したりする必要がないので、迅速かつ容易に前後の車両を連結することができる。
一方、前記第1連結器200は公知の技術であるので、別途の説明を省略する。
【0011】
また、前記第2連結器400は、前後の車両を連結する連結部410と、前記連結部410の後部に形成される連結バー420と、前記連結バー420の端部に形成される延長バー430と、からなる。
ここで、前記延長バー430は、前記第1取付部100の下部に形成される前記第2取付部300に挿入されて連結され、前記延長バー430と第2取付部300との間には第1緩衝部材440が設けられる。
このとき、前記第1緩衝部材440は、ゴムや合成ゴム等の弾性材料からなり、車両の連結時に生じる衝撃を低減する。
【0012】
一方、前記連結部410は、前記連結バー420の前端に形成される連結体411と、前記連結体411の前面一側に前方に突設される連結ガイド412と、前記連結ガイド412の側部に他側の連結器の連結ガイド412が挿入される連結孔413とを備えてなる。
ここで、前記連結ガイド412は、コーン状に形成されるので、第2連結器400を連結するために前記連結ガイド412を連結孔413に挿入する際に、一対の第2連結器400の位置が部分的にずれても、連結ガイド412のコーン状の傾斜面でずれ部を補正することにより容易に結合することができる。
【0013】
このとき、前記連結体411の上部には、前後に貫通するように電線端子取付部415が形成され、連結体411の下部には、前後に貫通するように空気配管取付部414が形成され、前記電線端子取付部415には、各車両の電力と電気信号を伝達する電線接続端子(図示せず)が取り付けられ、前記空気配管取付部414には、各車両の空気配管(図示せず)を連結する空気配管連結部(図示せず)が取り付けられる。
したがって、前記第2連結器400を結合する際に、前記電線端子取付部415に設けられた電線接続端子と、空気配管取付部414に設けられた空気配管連結部とが自動的に連結されることにより、管理者が別途に空気配管の連結と電気的連結を行わなくても、連結器を連結する過程だけで容易に連結することができる。
【0014】
さらに、本発明の他の実施形態では、
図5から
図7に示すように、第1取付部100の下部に設けられる第2取付部300は、第1ハウジング310と第2ハウジング320とを螺合して形成される。
ここで、前記第2連結器400を構成する延長バー430の外側には、リング状の第2緩衝部材450が設けられ、前記第1ハウジング310と第2ハウジング320の内周面には、前記第2緩衝部材450の外側が挿入固定される挿入溝330が形成される。
このとき、前記第2緩衝部材450は、ゴムや合成ゴム等の弾性材料からなり、車両の連結時に生じる衝撃を低減する。
【0015】
一方、前記延長バー430の前端には、外周面に沿って外側に突出する第1支持突部432が形成され、前記延長バー430の後部には固定部材460が挿入固定される。前記固定部材460は、中心部には前後に貫通する貫通孔464が形成されて、前記延長バー430の後部に挿入固定され、後端には外周面に沿って外側に突出する第2支持突部462が形成される。
ここで、前記第1支持突部432は、延長バー430の外側に設けられる第2緩衝部材450の全体を支持し、前記第2支持突部462は、前記第2緩衝部材450の後部を支持することにより、第2緩衝部材450の前後への移動を防止するために強固に固定する。
したがって、車両の連結時に発生する衝撃と、連結された状態で急停止時や急発進時に加わる衝撃とを緩衝し、第2連結器400の破損を安定して防止することができる。
【0016】
以上では、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、本発明の実施形態と実質的に均等な範囲にあるものまで本発明の権利範囲が及ぼすものであり、本発明の精神を逸脱しない範囲内で当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって様々な変形実施が可能なものである。