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特許7458394液体サンプルを調製、検出、分析のための自動化システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】液体サンプルを調製、検出、分析のための自動化システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240322BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240322BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240322BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12M1/00 A
C12Q1/686 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021525721
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 FR2019052662
(87)【国際公開番号】W WO2020099763
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】1860414
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】508013548
【氏名又は名称】トタルエナジーズ エス ウ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】デン デュルク レムコ
(72)【発明者】
【氏名】エシャンパード カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】シャルレ レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】アレシオ マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】サリュト-リオ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ブルダ アン-ガエル
(72)【発明者】
【氏名】バク メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ブワゾ フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】マリネ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】スクエ ピエール
【審査官】菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-236933(JP,A)
【文献】特開2013-046618(JP,A)
【文献】特表2017-520239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0268041(US,A1)
【文献】国際公開第2016/006612(WO,A1)
【文献】Remco Den Dulk,FlowPad, a generic microfluidics platform for a wide range of applications,11th EPIZONE Annual Meeting,2017年,https://www.epizone-eu.net/upload_mm/0/c/6/37a1e21a-2e43-42d4-ac53-5dcc6cf732e1_2109%20KEYNOTE%20AM%20DEN%20DULK.pdf
【文献】Flaender M. et al.,Grinding Lysis (GL): A microfluidic device for sample enrichment and mechanical lysis in one.,,Sensors and ActuatorsB: Chemical,2017年,vol. 258,pp.148-155
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12Q 1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物種を含む第1の流体サンプルを調製、検出、分析するために自動化されたシステムであって、調製、検出、分析するための前記システムは以下を備える;
- 流体分配路に対して並列に配置された複数の増幅チャンバーのネットワーク(30)を含む、濃縮及び溶解のための少なくとも1つの流体モジュール(MF1)と検出のための流体モジュール(MF2)からなる少なくとも1つの流体カートリッジ(2)であって前記濃縮・溶解のための流体モジュール(MF1)は、調製チャンバー(200)と、前記調製チャンバー内に設けられた研磨支持面(202)と、フィルター(201)と、前記調製チャンバーを閉じる変形可能な可撓性膜(203)とを有する濃縮・溶解装置(20)を備えているもの;
- 以下を有する器具:
○ 前記流体カートリッジ(2)を取り外し可能な方法で受け取るための、少なくとも1つのプレート(14)を備えたフレーム、
○ 前記フレームに固定され、濃縮・溶解のための流体モジュール(MF1)の前記可撓性膜(203)と協働するように配置された自由端を有する、少なくとも1つの可動式ロッド(100)を含む機械的アセンブリ、
○ 前記カートリッジに流体を循環させるように制御された空圧システム(11)、
○ プレートに搭載され、周期的又は等温増幅反応中に前記複数の増幅チャンバーのネットワークを並行して加熱するように配置された、少なくとも1つの加熱ユニット(12)。
○ カートリッジの有する、検出のための流体モジュール(MF2)の1つ又は複数の増幅チャンバーを介して蛍光を測定する光学系(13)、
○ 少なくとも以下のステップを含む解析シーケンスを実行するように構成された制御・処理ユニット(UC)、
■ 空圧システム(11)を制御して、濃縮・溶解装置のフィルター(201)を通して第1の流体サンプルを注入し、第1のサンプルに存在する生物種を回収すること、
■ 空圧システムを制御して、濃縮・溶解のための流体モジュール(MF1)の流体回路内に乾燥空気の流れを発生させ、前記流体回路が前記濃縮・溶解装置(20)のフィルターを通過させること、
■ 機械的アセンブリ(10)を制御して、ロッドを作動させ、可撓性膜を研磨支持面に押し付けて、第1の流体サンプルに含まれる生物学的種を溶解させる動作をさせること、
■ 空圧システム(11)を制御して、第2の流体サンプルを調製チャンバーからカートリッジの前記流体分配路に排出すること、
■ 空圧システム(11)を制御して、ネットワーク(30)の増幅チャンバーに第2の流体サンプルを並行して同時に充填すること、
■ 加熱ユニット(12)を制御することで、ネットワーク(30)内の前記増幅チャンバーの各々の前記第2の流体サンプルを加熱すること、
■ 光測定システム(13)を制御して、第2の流体サンプルの一部を含む各増幅チャンバーの蛍光を測定すること、
■ 蛍光測定結果を記録すること、
■ 得られた測定結果に解析アルゴリズムを適用し、第1の流体サンプル中に存在する生物種の定性・定量データを生成すること:
システム。
【請求項2】
前記制御・処理ユニットは、以下を実行するように構成されていることを特徴とする:
- 濃縮・溶解装置(20)及び空圧システム(11)に命令を送信するように構成された第1モジュール(M1)、
- 加熱ユニット(12)、空圧システム(11)、及び光学測定系(13)に命令を送信するように構成された第2モジュール(M2)、
- 光学測定系(13)から画像を受け取り、画像を処理するように構成された第3モジュール(M3)。
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
過去の分析結果を格納するデータベースを備え、第3モジュールが、検出された各生物種の濃度変化曲線を生成するために、前記データベースを参照するように構成されていることを特徴とする、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各流体モジュールは、空圧システムに直接接続された空圧路上に配置された疎水性フィルターを含むことができることを特徴とする、
請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
濃縮・溶解のための流体モジュール(MF1)及び検出のための流体モジュール(MF2)が、制御・処理ユニット(UC)によって制御可能な複数の流体バルブで構成されていることを特徴とする、
請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
n個の流体カートリッジを内蔵したカセット(15)を備えており、nは2以上であることを特徴とする、
請求項1~5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
以下の構成からなることを特徴とする:
- 各々が少なくとも1つのロッド(100)を含み、各カートリッジに関連するn個の機械的アセンブリ、
- 各カートリッジの前記複数の増幅チャンバーのネットワークを加熱するように配置されたn個の加熱ユニット(12)、
- 2つの位置の間を移動できるように構成されたn/2蛍光測定光学系(13)であって、システムのn個のカートリッジを撮像するもの、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
以下のステップを含むことを特徴とし:
- 空圧システム(11)を制御して、濃縮・溶解装置のフィルター(201)を介して第1の流体サンプルを注入し、第1のサンプルに存在する生物種を回収すること、
- 空圧システムを制御して、濃縮・溶解のための流体モジュール(MF1)の流体回路内に乾燥空気の流れを発生させ、前記流体回路が前記濃縮・溶解装置(20)のフィルターを通過させること、
- 機械的アセンブリ(10)を制御して、ロッドを作動させ、可撓性膜を研磨支持面に押し付けて、第1の流体サンプルに含まれる生物学的種を溶解させる動作を行うこと、
- 空圧システム(11)を制御して、第2の流体サンプルを調製チャンバーからカートリッジの前記流体分配路に排出すること、
- 空圧システム(11)を制御して、ネットワーク(30)の増幅チャンバーに第2の流体サンプルを並行して同時に充填すること、
- ネットワーク(30)の各チャンバー内の前記第2の流体サンプルを加熱するために、加熱ユニット(12)を制御すること、
- 光測定システム(13)を制御して、第2の流体サンプルの一部を含む各増幅チャンバーの蛍光を測定すること、
- 蛍光測定結果を記録すること、
- 得られた測定結果に解析アルゴリズムを適用して、第1の流体サンプル中に存在する生物種の定性的及び定量的データを生成すること:
請求項1~7のいずれかで定義されたシステムを用いて実施される、
流体サンプルの調製、検出及び分析のための方法。
【請求項9】
システムの前記流体カートリッジ内の流体サンプル中の生物種の存在を検出するための、
請求項1~7のいずれかに記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合された分析器具(appareil d'analyse)と、分析器具に取り外し可能に挿入するためのカートリッジとからなる、自動化されたサンプル調製、検出、及び分析システムに関するものである。この調製・検出・分析システムは、特に流体サンプル中の細菌の存在を検出するのに適している。
【背景技術】
【0002】
バクテリア、真菌、藻類、酵母などの微生物の発生は、工業プラントに悪影響を及ぼす可能性がある。バイオフィルムの発生は、腐食、目詰まり、酸性化、製品への影響など、多くの損害を引き起こす可能性がある。
【0003】
そのため、産業環境において問題のある微生物の存在を、その影響を受けやすい場所...で定期的にサンプルを採取して監視する必要がある。サンプルは、バイオフィルムの形で採取してもよいし、オイルタンクからの生成水などの流体の形で採取してもよい。
【0004】
これらの液体で行われる微生物の管理・モニタリング分析は、多くの場合、培養法に基づいて行われる。通常、サンプルは、目的とする微生物の成長に最適な栄養分と物理化学的条件を含む培地に、一連の希釈液を接種し、理想的な温度で培養する。成長している場合は、pH指示薬の使用や呈色する沈殿物の形成により、微生物の存在が示される。このアプローチは、シンプルで安価であり、何よりも基本的な産業設備の制御実験チャンバーに簡単に導入できるという利点がある。しかし、それには多くの欠点がある;
- 培養時間による長い応答時間-倍加時間が必要な場合、実際には数日から数週間かかることがある;
- 微生物の中には、実験条件では培養できず、検出されないものもある;
- 無菌・嫌気性菌の接種技術を理解するための高度なトレーニングが必要-オペレーターによって結果にばらつきが出る可能性がある;
- 得られた結果を解釈するための一定のノウハウが必要。
【0005】
近年、DNA検出に基づく新しい分子解析法が開発されている。しかし、分子生物学的な技術、特にピペッティングやマイクロピペットの使用について高度な訓練を受けた人材が必要となる。また、DNAの抽出には、分析前の溶解、濃縮、精製のいくつかの段階を含む、かなり長いプロセスが必要である。そのため、このような分析は、サンプルを保存して専門の実験チャンバーに輸送した後、通常はオフサイトで行われる。
【0006】
分析ソリューションについては、特許出願中のUS2011/014606A1や、以下の刊行物に記載されている。
【0007】
Remco Den Dulk: "flowpad, a generic microfluidics platform for wide range of applications", 11th EPIZONE Annual meeting "Crossing Barriers" 19-21, September 2017, 21 September 2017, XP055608282, Paris, France.
【0008】
Flaender Melanie et Al: "Grinding lysis (GL): A microfluidic device for sample enrichment and mechanical lysis in one", Sensors and Actuators: Chemical, Elsevier BV, NL, vol 258, 21 November 2017, pages 148-155, XP085338438, ISSN: 0925-4005, DOI:10.1016/J.SNB.2017.11.082.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
可能な限り現場に近づき、増殖時の迅速な反応や使用する抗菌処理の正確な最適化を可能にするためには、調製、検出、分析システムが必要となる;
- 人の介入を制限するために、完全に自動化される;
- これにより、たとえ複雑なサンプルであっても、その中に存在する生物種の性質や量を信頼性の高い方法で迅速に測定することができる;
- 有資格者の介在を必要としない;
- 簡単に持ち運びができ、産業の現場の基礎的な実験チャンバーにも導入可能であり;
- 検出対象に合わせて調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、生物種を含む第1の流体サンプルを調製、検出、分析するための自動化されたシステムによって達成され、前記調製、検出、分析のためのシステムが以下を備える:
- 少なくとも1つの濃縮・溶解のための流体モジュールと、流体分配路に対して並列に配置された複数の増幅チャンバーのネットワークからなる検出のための流体モジュールとを備えた少なくとも1つの流体カートリッジであって、前記濃縮・溶解のための流体モジュールは、調製チャンバーと、前記調製チャンバー内に作られた研磨支持面と、フィルターと、前記チャンバーを閉鎖する変形可能な可撓性膜とを備えた濃縮・溶解装置を有しているものと、
- 以下を有する器具:
○ 前記流体カートリッジを取り外し可能な方法で受け取るための少なくとも1つのプレートを備えたフレーム、
○ 前記フレームに固定された少なくとも1つの可動式ロッドであって、前記濃縮・溶解のための流体モジュールの前記可撓性膜と協働するように配置された自由端を有する機械的アセンブリ、
○ 前記カートリッジに流体が流れるように制御された空圧システム、
○ プレートに支持され、周期的又は等温増幅反応中に、並列に配置されたチャンバーのネットワークを加熱するように配置された少なくとも1つの加熱ユニット、
○ カートリッジの有する検出のための流体モジュールの1つ又は複数の増幅チャンバーを介して蛍光を測定する光学系、
○ 少なくとも以下のステップを含む分析シーケンスを実行するように構成された制御及び処理ユニット、
■ 前記空圧システムを制御して、第1の流体サンプルを濃縮・溶解装置のフィルターを通して注入し、第1のサンプル中に存在する生物種を回収すること、
■ 前記空圧システムを制御して、濃縮・溶解のための流体モジュールの流体回路内に乾燥空気の流れを発生させ、前記流体回路は前記濃縮・溶解装置のフィルターを通過させること、
■ 前記機械的アセンブリを制御して、前記ロッドを動作させ、前記可撓性膜を前記研磨支持面に押し付けて、前記第1の流体サンプルに含まれる生物種を溶解させること、
■ 前記空圧システムを制御して、前記調製チャンバーから前記カートリッジの前記流体分配路に第2の流体サンプルを排出すること、
■ 前記空圧システムを制御して、ネットワークの増幅チャンバーに第2の流体サンプルを並行して同時に充填すること、
■ 前記加熱ユニットを制御して、ネットワークの各チャンバー内の第2の流体サンプルを加熱すること、
■ 前記光学測定系を制御して、第2の流体サンプルの一部を含む各増幅チャンバー内の蛍光を測定すること、
■ 蛍光測定結果の記録すること、
■ 得られた測定結果に解析アルゴリズムを適用して、第1の流体サンプルに存在する生物種の定性的及び定量的データを生成すること。
【0011】
特定の特徴によれば、制御及び処理ユニットは、以下を実行するように構成されている;
- 濃縮・溶解装置や空圧システムに命令を送るように構成された第1モジュール;
- 加熱ユニット、空圧システム、及び光学測定系に命令を送信するように構成された第2のモジュール;
- 光学測定系から画像を受信し、画像を処理するように構成された第3のモジュール。
【0012】
別の特徴によれば、本システムは、過去の分析結果を蓄積したデータベースを備えており、第3モジュールは、前記データベースを参照して、検出された各生物種の濃度変動曲線を生成するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
別の特徴によれば、各流体モジュールは、空圧システムに直接接続された空圧路上に配置された疎水性フィルターを有していてもよい。
【0014】
別の特徴によれば、濃縮・溶解のための流体モジュール及び検出のための流体モジュールは、制御・処理ユニットによって制御可能な複数の流体バルブを有している。
【0015】
別の特徴によれば、このシステムは、n個の流体カートリッジを組み込んだカセットを備えており、nは2以上である。
【0016】
別の特徴によれば、本システムは以下を有する;
- 各々が少なくとも1つのロッドを含み、各カートリッジに関連付けられているn個の機械的アセンブリ;
- 各カートリッジのチャンバーのネットワークを加熱するように配置されたn個の加熱ユニット;
- 2つの位置の間を移動できるように構成されたn/2蛍光測定光学系であって、システムのn個のカートリッジを撮像するもの。
【0017】
本発明はまた、先行する請求項のいずれかで定義されたシステムを使用して実施される、流体サンプルを調製、検出、及び分析するための方法であって、前記方法は以下のステップを含む方法に関する、
- 空圧システムを制御して、第1の流体サンプルを濃縮・溶解装置のフィルターを通して注入し、第1のサンプル中に存在する生物種を回収する、
- 空圧システムを制御して、濃縮・溶解のための流体モジュールの流体回路内に乾燥空気の流れを発生させ、前記流体回路は前記濃縮・溶解装置のフィルターを通過させること、
- 前記機械的アセンブリを制御して、前記ロッドを動作させ、前記可撓性膜を前記研磨支持面に押し付けて、前記第1の流体サンプルに含まれる生物種を溶解させること、
- 前記調製チャンバーから前記カートリッジの前記流体分配路に第2の流体サンプルを排出するために前記空圧システムを制御すること、
- ネットワークの増幅チャンバーに第2の流体サンプルを並行して同時に充填するための空圧システムを制御すること、
- ネットワークの各チャンバー内の第2の流体サンプルを加熱するために加熱ユニットを制御すること、
- 光学測定系を制御して、第2の流体サンプルの一部を含む各増幅チャンバー内の蛍光を測定すること、
- 蛍光測定結果の記録すること、
- 得られた測定結果に解析アルゴリズムを適用して、第1の流体サンプル中に存在する生物種の定性的及び定量的データを生成すること。
【0018】
本発明は、システムの前記流体カートリッジに注入された流体サンプル中の生物種の存在を検出するための、上記で定義されたシステムの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
さらなる特徴や利点は、以下の添付図を参照しつつ後述する詳細な説明の項で明らかにする。
図1】本発明による調製・検出・分析システムを模式的に表したものである。
図2】本発明の調製・検出・分析システムの動作原理を説明するための図である。
図3】本発明による調製・検出・分析システムで使用可能な濃縮・溶解装置を模式的に表したものである。
図4A図4A~4Mは、本発明のシステムで採用されている濃縮・溶解のための流体モジュールで実施される様々なステップを表している。
図4B】上記参照。
図4C】上記参照。
図4D】上記参照。
図4E】上記参照。
図4F】上記参照。
図4G】上記参照。
図4H】上記参照。
図4I】上記参照。
図4J】上記参照。
図4K】上記参照。
図4L】上記参照。
図4M】上記参照。
図5A図5A~5Gは、本発明のシステムに採用されている検出のための流体モジュールに実装されている様々なステップを表している。
図5B】上記参照。
図5C】上記参照。
図5D】上記参照。
図5E】上記参照。
図5F】上記参照。
図5G】上記参照。
図6】本発明の調製・検出・分析システムの有利な変形例を表している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、生物種を含む流体サンプルを調製、検出、分析するための自動化システムに関するものである。
【0021】
生物種は特に限定されないが微生物、バクテリア、細胞、胞子、真菌...を意味する。
【0022】
分析対象となるサンプルは、現場で直接採取した液状のものであっても、現場で採取したバイオフィルムを希釈して得たものであってもよい。流体とは、好ましくは液体を意味する。
【0023】
図2に示すように、上述したタイプの生物種を含む可能性のある液体サンプルの分析は、従来の方法にしたがい以下の様々なステップを踏んで行われる;
- 採取したサンプルを調製する予備的ステップE0。このステップは、本発明の調製、検出、及び分析システムでは実施されない。これには、例えば、サンプルが固体であることが判明した場合、サンプルを希釈することが含まれる。これは、サンプルがバイオフィルムの場合などに当てはまる。このサンプルは、少なくとも1mlの体積を持つ液体の形をしている;
- 濃縮と溶解からなる第2の調製ステップE1。このステップでは、ステップE0で調製したサンプルを、生物種のみを残すためにまずろ過する。これらの生物種は、その後、適切なリンス液によってリンスされ、精製される。その後、生物種を機械的に溶解して、分析のための生物学的物質を放出する。新しいフィルターを使えば、この生体物質を選択し、溶解時に発生する汚染物質から分離することができる;
- Q-PCR("Quantitative - Polymerase Chain Reaction")又はLAMP、RPA、NGS(Nanopore)シーケンシングタイプの増幅反応を用いて行うことができる、検出ステップE2。溶解後に得られた生体物質を含むサンプルは、乾燥した試薬と混合することができる。この混合物は液体の状態で、並列に配置された複数の増幅チャンバーに注入され、分配路によって供給される。各チャンバーには、検出するターゲットに応じて、別々のプライマーセットを入れることができる。チャンバーは、チャンバー内の各サンプルを増幅プロトコルの1つ以上の連続した熱サイクルに供するために、又はLAMPやRPAタイプの検出の場合は等温に維持するために加熱される。増幅プロトコルの各熱サイクル中に蛍光画像を撮影し、記録する;
- 撮影した蛍光画像の解析のステップE3。アルゴリズムは、チャンバー内に存在する各サンプルの蛍光強度曲線を、適用されたサーマルサイクルを考慮して構築する。そのため、分析したサンプルごとに、対象となる生物種の濃度を測定することができる。
【0024】
本発明によれば、濃縮・溶解ステップE1、検出ステップE2、分析ステップE3を実施するために、分析器具1と、分析器具1に挿入される少なくとも1つの流体カートリッジ2とを備える自動調製・検出・分析システムが使用される。
【0025】
このシステムは、一部の機能は器具1によって提供され、他の機能は器具に挿入されるカートリッジ2によって直接提供されるという特徴を持っている。つまり、分析器具とカートリッジが互いに協力してシステムを作動させる必要があり、どちらか一方が欠けても解析は実施できない。
【0026】
カートリッジ2は、少なくとも1枚の流体カード(流体にはマイクロ流体も含む)とすることができる。このカードは、クレジットカード(プラスチックカード)などの様式で作られてもよい。PMMA(Poly Methyl Methacrylate)などの透明な素材を使用してもよい。器具に挿入されたカートリッジ2は、器具内の分析の実施に必要な構成要素と協力するために、常に同一の構成(特に流体)を有していることが好ましい。
【0027】
カートリッジは以下のように2つの異なる流体モジュールで構成されていることが好ましい;
- 分析対象のサンプルに含まれる生物種の濃縮と溶解に特化した第1の流体モジュールMF1;
- 第1のモジュールで分離された生物種の検出に特化した第2の流体モジュールMF2;
【0028】
一般的かつ非限定的な態様において、カートリッジ2の第1流体モジュールMF1は、特に構成されていてもよい;
- 分析対象となるサンプルを受け取るための第1の注入ポイント;
- リンス液を注入するための第2の注入ポイント;
- 溶出液を注入するための第3の注入ポイント;
- サンプル中に存在する生物種を濃縮し、溶解するための流体装置20。非限定的な態様として、この装置20は、図3に示され、特許出願EP3222989A1に既に記載されているような構造を有していてもよい。したがって、サンプルが置かれる濃縮・溶解チャンバー200と、フィルター201と、チャンバー200内に配置され、生物種が粉砕される可能性のある研磨支持面202と、チャンバーを閉じる変形可能な可撓性膜203とを備えていてもよい。別の装置構造も特許出願WO2015/181743A1に記載されている;
- 濃縮・溶解後のサンプルを保存するタンク;
- 廃液タンク;
- モジュールの様々な構成要素を接続するための流体回路;
- 流体回路を介して構成要素間で流体を循環させるように適合された空気圧インレット/アウトレットを含む空気圧回路。
【0029】
一般的かつ非限定的な態様において、カートリッジ2の第2流体モジュールMF2は、特に構成されていてもよい;
- 分析されるべきサンプルのための第1の注入ポイント、この第1の注入ポイントは、第1の流体モジュールの貯蔵タンクに接続されており流体が流れるようになっている;
- 分析モジュールの前記第1注入ポイントに接続された分配路によって並列に供給される複数の異なるチャンバーのネットワーク;
- モジュールの異なる構成要素を結合するための流体回路;
- モジュールの流体回路内の流体の循環を可能にするように適合された空気圧のインレット/アウトレットを含む空気圧回路。
【0030】
分析器具は以下を備える;
- 前記流体カートリッジ2を着脱自在に受け入れるための平らな支持面を形成するプレート14、これはプレート上に位置決めした後、カートリッジ2は固定されたままである;
- カートリッジ2に対してモータで回転駆動されるスパチュラ100又は可動式ロッドで構成された機械的アセンブリ10;スパチュラ100は、チャンバー200の内側に向かって膜203を引き伸ばすために、流体濃縮・溶解装置20の可撓性膜203に対して外側から押すように制御される。スパチュラ100の先端が膜を押す。チャンバー200の底部に向かって膜を押すことで、スパチュラの先端は研磨支持面202に到達し、生物種を前記面に擦り付けてDNA分子が放出される;
- 流体チャンバーネットワークの少なくとも1つの加熱ユニット12、これはプレート14と一体化され、チャンバーネットワークを搭載したカートリッジ2の領域に相対する位置に配置されている。加熱ユニット12は、ペルチェ素子、温度を均一化するための銅板、正確な温度制御のための熱センサー、そして任意に熱を放出するためのラジエーターとファンから構成されていてもよい;
- 流体サンプルをカートリッジの各流体モジュールMF1、MF2に循環させるための1つ以上の吸引ポンプと、2つのモジュールの間を循環させるための空圧システム11。また、空圧システム11は、濃縮・溶解装置のフィルター201を通過する空気の流れ(吸引力Fvac_1、Fvac_2、Fvac_3)を発生させ、特に乾燥させるために使用してもよい。また、空圧システムは、2つの流体モジュールMF1、MF2に採用されている各バルブ(空圧タイプ)を制御するように構成されていてもよい;
- プレート14の上方に配置された光学式蛍光測定システム13、これはカメラ、発光ダイオード及び光学フィルターからなるものでもよく、DNA増幅反応中に、カートリッジネットワークの各チャンバーにおける蛍光を測定するように構成されている;
- 分析器具1を制御するためのヒューマン-マシンインターフェースHMI;
- 少なくとも1つのマイクロプロセッサと記憶手段で構成され可能な制御・処理ユニットUC。制御・処理ユニットUCは、制御シーケンスを実行するためのものである。実施する分析の種類や対象となる生物種に応じて、制御・処理ユニットUCは適切な制御シーケンスを選択するように構成されている。また、システムの各ハードウェア構成は、遠隔操作型とすることもできる。また、制御・処理ユニットUCは、光学測定系13が撮影した画像を処理することができる。これらの画像から、ネットワークの各チャンバーに存在するサンプルDNAの量を追跡することができ、その結果、現場で採取された最初のサンプルに最初に存在した細菌の数を知ることができる。また、制御・処理ユニットUCは、ローカル又はリモートで保存されたデータベースDBに結果を格納し、異なる選択フィルター(サンプリング位置、サンプルタイプ、ターゲット、...)を使用してデータを比較することにより、経時的な監視を行うように構成されている。
【0031】
図2に示す本発明の特定の側面によれば、制御・処理ユニットUCは、上述の分析プロセスのステップE1、E2、E3の1つを実行するための複数のソフトウェアモジュールM1、M2、M3をそれぞれ実行することができる。そのソフトウェアモジュールのそれぞれは、器具の様々な構成要素に命令を送信し、受信したデータを処理する機能を持つ。図2を参照すると、次のようなスキームが得られる;
- 濃縮及び溶解を含む調製ステップE1の実施を意図したモジュールM1は、濃縮及び溶解装置10及び空圧システム11に命令を送信するように構成されている;
- 検出ステップE2を実行するためのモジュールM2は、加熱ユニット12、空圧システム11、及び光学測定系13に命令を送信するように構成されている;
- 解析ステップE3を実施するモジュールM3は、光学測定系13から画像を受け取り、画像を処理するように構成されている。その画像から、解析結果Rを生成する。特に、データベースDBを利用することができる;
- 分析器具の設定や分析パラメータの選択には、ヒューマン-マシンインターフェースHMIを使用する。
【0032】
図4A~4Mは、濃縮と溶解を目的とした第1の流体モジュールMF1で実施される様々なステップを詳細に示している。これらの図は、上述したようにカード上に実装された第1の流体モジュールMF1を示している。有利なことに、このように示されたモジュールは、以下のように構成されている;
- カートリッジが分析器具に挿入されたときに、分析器具の空圧システムに接続されることを意図した複数の空圧入力/出力Px;
- 複数の流体入力Fy;
- 濃縮・溶解装置20;
- 廃液タンクR1;
- シーケンス実行時に制御・処理ユニットによって制御可能な複数の二方弁V1~V6;
- 貯水タンクRs;
【0033】
このモジュールMF1では、器具の空圧システムで発生する吸引力Fvac_1又はFvac_2を発生させることで、各種流体の循環を行っている。
図4A
【0034】
モジュールは初期状態にある。バルブV1~V6はすべて閉じている。
図4B
【0035】
モジュールから取り出したサンプルを注入するステップである。サンプルは1mlの容量で注入することができる。
【0036】
制御・処理ユニットUCは、バルブV1の開度とバルブV6の開度を制御する。制御・処理ユニットUCは、空圧システム11を制御して、入口P1からサンプルを流体回路に吸い込むための吸引力Fvac_1を発生させる。サンプルは、流体入口F1から回路に入り、濃縮・溶解装置20のチャンバー200に到達し、装置20のフィルター201を通過する。サンプルのうち、フィルター201で保持されなかった部分は、廃棄物タンクR1に退避される。吸引力Fvac_1は、サンプルの全量がフィルターを通過するまで維持される。
図4C
【0037】
サンプルがフィルター201を流れると、フィルター201によって濾過される。余ったサンプルは廃棄物タンクR1に排出される。
図4D
【0038】
サンプル全体が濾過される。サンプル中に存在し、フィルターによって保持された生物種がチャンバー内に存在する。
【0039】
制御・処理ユニットUCは、バルブV4の開度と空圧システム11を制御する。ポイントP1によって吸引力Fvac_1が発生し、フィルター201を通過する空気の流れを作り、フィルター201を乾燥させる。空気はポイントP2から吸い込まれる。
図4E
【0040】
制御・処理ユニットは、バルブV1、V4、V6の閉鎖を制御する。そして、すべてのバルブV1~V6が閉じられる。
図4F
【0041】
制御・処理ユニットUCは、バルブV2の開度とバルブV6の開度を制御する。制御処理ユニットUCは、空圧システム11を制御して、ポイントP1を介して吸引力Fvac_1を発生させ、流体ポイントF2を介してリンス液を吸引してチャンバー200に注入し、濾過された生物種を浄化する。リンス液は廃棄物容器R1に排出される。
図4G
【0042】
リンスが維持される。リンス液は、1mlの容量で供給してもよい。
図4H
【0043】
制御・処理ユニットは、バルブV4と空圧システム11の開度を制御する。点P1によって吸引力Fvac_1が発生し、フィルター201を通過する空気の流れを作り、フィルターを乾燥させることができる。空気はポイントP2から吸い込まれる。
図4I
【0044】
制御・処理ユニットは、バルブV2、V4、V6の閉鎖を制御する。V1~V6のすべてのバルブが閉じている。
図4J
【0045】
制御・処理ユニットUCは、機械的溶解アセンブリ10を制御して、チャンバー200内に存在する生物種を研磨支持面202に対して研磨する動きでスパチュラ100を動かす。適用される動きは、回転と並進の組み合わせであってもよい。この溶解ステップの終了時には、チャンバー200には汚染物質と分析対象の生物学的物質(DNA分子)が入っている。
図4K
【0046】
制御・処理ユニットUCは、バルブV3の開度とバルブV5の開度を制御する。
【0047】
制御・処理ユニットUCは、空圧システムを制御して、ポイントP3を介して吸引力Fvac_2を発生させ、流体ポイントF3を介して溶出液をチャンバー200に吸い込み、フィルター201を介して、溶解後に得られた生体物質を溶出させる。
【0048】
目的の生体物質を含む溶出液は、貯蔵タンクRsに回収される。この溶出液は、50μlの容量で注入することができる。
図4L
【0049】
目的の生体物質を含む溶出液は、貯蔵タンクRsに回収される。
図4M
【0050】
制御処理ユニットは、バルブV3とV5の閉鎖を制御する。その後、濃縮と溶解のプロセスが完了する。
【0051】
この第1流体モジュールMF1では、疎水性のフィルターが回路内に配置され、液体が器具に入らないようになっている点が特徴である。これらのフィルターは、空圧出入口とその他の流体回路の間にあるカートリッジに組み込まれている。加えて、吸引により充填される体積をより適切に調整することも可能である。実際、これらのフィルターは、液体を流体モジュールに吸引するために必要な気体は通過させるが、液体は通過させない。
【0052】
目的の生物学的物質が貯蔵タンクRsに集められたら、検出のためにカートリッジの第2流体モジュールMF2に移送又は注入することができる。
【0053】
図5Aから図5Gは、初期サンプルから回収された生物学的物質を検出するために、この第2流体モジュールMF2において実施される様々なステップを詳細に示している。これらの図は、上述したようにカード上に実装された第2の流体モジュールMF2を示している。有利なことに、2つのモジュールMF1、MF2は、同じカード上で実現できることに留意すべきである。有利なことに、このように示されたモジュールMF2は、以下のように構成されている;
- カートリッジ2が分析器具1に挿入されたときに、分析器具1の空圧システム11に接続されることを意図した複数の空圧入力/出力Px;
- 分析されるべきサンプルが置かれる入口タンクR10、このタンクは、第1モジュールで使用されたプロセス終了後の貯蔵タンクRsと同一であってもよい;
- 出口タンクR20;
- 6つの検出チャンバーの並列に配置され、中央の分配路から供給を受けるネットワーク30、;
- 解析シーケンスの実行中に、制御・処理ユニットUCによって制御可能な複数の三方弁V10,V20;
【0054】
このモジュールでは、器具の空圧システム11で発生した吸引力Fvac_3を入口P10から発生させることで、異なる流体の循環を行う。
図5A
【0055】
モジュールは初期状態にある。バルブV10とV20はともに閉じている。
図5B
【0056】
分析対象の生体物質を含むサンプルは、インレットタンクR10に入れられる。このタンクは、第1流体モジュールMF1の貯蔵タンクRsと共通であってもよい。
図5C
【0057】
制御・処理装置UCは、バルブV20の開度を制御する。
図5D
【0058】
制御・処理ユニットは、バルブV10の開度を制御する。
図5E
【0059】
制御・処理ユニットUCは、空圧システム11を制御して、ポイントP10を介して吸引力Fvac_3を発生させ、タンクR10からサンプルを流体回路に引き込む。サンプルは、中央の分配路に入ると同時に、ネットワーク30の6つの平行なチャンバーにも入る。チャンバーネットワーク30の構造は、すべてのチャンバーを同時に充填することを可能にする。
図5F
【0060】
制御・処理装置UCは、ネットワークのすべてのチャンバーが満たされると、バルブV10の閉塞とバルブV20の閉塞を制御する。
【0061】
各チャンバーには、異なる生物種の存在を検出するための別個の増幅試薬が含まれていてもよい。
図5G
【0062】
そして、制御処理ユニットUCは、器具の加熱ユニット12を制御して、ネットワーク30の各チャンバー内の生体材料を1つ以上の熱サイクルで循環させてもよい。
【0063】
また、制御・処理ユニットUCは、光学測定系13を制御して、ネットワーク30の各チャンバー内の蛍光画像を撮影する。
【0064】
画像が撮影されると、画像が記録された後、制御・処理ユニットUCによって分析され、どの生物種がどのくらいの量で存在するかが判断される。また、制御・処理ユニットUCは、上昇傾向又は下降傾向を強調するために、過去の分析結果を参照してもよい。そして、制御・処理ユニットUCによって結果Rが生成される。
【0065】
流体モジュールMF1、MF2に疎水性フィルターを採用することで、正確な体積での吸引モードでの充填を可能にすることが好ましい。
【0066】
第2流体モジュールMF2では、ネットワーク30のチャンバーへの充填時に発生する気泡を捕捉するために、中央分配路にデッドボリュームを組み込んでもよい。同様に、ネットワーク30の各チャンバーは、入口で泡が形成されるのを防ぐために、高さが制限されていてもよい。
【0067】
流体モジュールの各バルブには、EPDM製のシールが採用されていることが好ましい。これは、回路の密閉性を高め、バルブが閉じているときに回路に空気が注入されるのを防ぐためである。
【0068】
図6に示されている本発明の特定の側面によれば、この器具は、例えば6つのカートリッジ2a、2b、2c、2d、2e、2fなど、複数のカートリッジを同時に処理するように適合させることができる。これらは器具のプレート14上に配置されたカセット15に搭載され、この装置には、すべてのカートリッジに共通で、適切な数の入出力を備えた空圧システム11、各カートリッジの溶解を実行するために動作可能な6つの機械的アセンブリ10a、10b、10c、10d、10e、10f、6つの加熱ゾーン12a、12b、12c、12d、12e、12f、3つのカメラ13が含まれている。13.1、13.2、13.3は、それぞれ2つの位置の間を移動して6つのカートリッジを撮像する。制御・処理ユニットUCが、様々な構成要素を制御し、撮影した画像を収集して処理するために使用されるのはもちろんのことである。
【0069】
このように、本発明の調製・検出・分析システムには、以下のような利点がある。
■ 産業の環境下でも簡単に持ち運びができる;
■ サンプルの迅速な分析(時間以内)が可能である;
■ サンプルの用意から結果取得までを自動で行うことができ、オペレーターの介入を最大限に抑えることができるため、使い勝手が良い;
■ 工業施設からの複雑なサンプル、例えば塩濃度が高く、例えば溶解した固形物、遊離又は溶解した炭化水素、高濃度の陽イオン、酸性pHなどを含むものに対応している
■ 硫酸還元菌などの特定の分類群や代謝機能など、検出対象に合わせて調整することができ、その構造上、複数の種・機能、あるいは種・機能のグループを同時に分析することができる;
■ 定性・定量的な結果を得ることができる(キャリブレーション付きQ-PCRによる);
■ 感度が高く、検出限界は103cfu/mL以下である;
■ また、データベースを利用して、検出された生物種の定量的・定性的な経時変化データを提供することができる;
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6