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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】汚れた表面を洗浄するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240322BHJP
   A47L 9/00 20060101ALI20240322BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20240322BHJP
   A47L 9/10 20060101ALI20240322BHJP
   A47L 7/02 20060101ALI20240322BHJP
   A47L 9/32 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/00 102Z
A47L9/04 A
A47L9/10 D
A47L9/28 K
A47L9/28 U
A47L9/00 B
A47L7/02
A47L9/32 Z
A47L9/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021534295
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2019084399
(87)【国際公開番号】W WO2020120462
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】01542/18
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】521258278
【氏名又は名称】ケマロ・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KEMARO AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガディエント,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】オーバーホルツァー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コーラー,アルミン
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0105831(KR,A)
【文献】特開2017-000613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 7/02
A47L 9/00
A47L 9/04
A47L 9/10
A47L 9/28
A47L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下を防止するための少なくとも1つのセンサ(3)と、少なくとも1つの駆動要素(4)とを備える、活動を自動的に実行するためのデバイス(1)であって、前記駆動要素(4)は、意図された移動方向(B)に対して前記デバイス(1)の後方領域(11)および前方領域(12)を画定するデバイス(1)において、
前記センサ(3)が機械的センサであり、床との接触を通じて前記床の高さ(N)の変化を検出するように設計され、前記前方領域(12)に配置され、
前記センサは、前記センサが床と接触するときに塵芥が既に除去されているように、回転ブラシの中心に配置されることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記センサ(3)が、圧力によって伸張または力を測定するように設計されていることを特徴とする、請求項に記載のデバイス。
【請求項3】
前記センサ(3)が、ホイールのキャリアに組み込まれて具体化されることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記センサ(3)が、ブラシの領域内に空間的に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記センサ(3)が折り畳み可能なキャスタ(32,33)に組み込まれて具現化されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイス(1)によって、汚れた表面を自動的に洗浄するための方法であって、
センサ(3)が前記床と接触することによって、前記移動方向(B)において前記駆動要素(4)の前にある前記床の領域における高さの変化を検出するステップと、
前記床の高さの変化が検出されない場合、洗浄プロセスを継続するステップと、
前記床の高さの変化が検出された場合、前記デバイス(1)の移動を終了するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文による、特に汚れた表面を洗浄するための活動を自動的に実行するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活動を自動的に実行する目的を有し、特に汚れた表面を洗浄するために使用される様々なデバイスが従来技術から知られている。デバイスの目的は、人間のために実行されるべき活動を容易にすることである。この目的のために、デバイスは、自動的に操縦し、障害物を検出し、実行されるべき活動を自動的に実行することができなければならない。特定の課題は、縁から落ちることを回避することである。
【0003】
独国特許出願公開第102012108008号明細書は、デバイスが落下するのを防止するために赤外線センサを使用する吸引デバイスを開示している。
【0004】
この従来技術の欠点は、赤外線センサが塵埃放出物に関する故障の影響を受けやすいため、塵埃放出物のある環境でデバイスを使用することができないことである。
【0005】
米国特許第6580246号明細書は、デバイス本体が動くときに障害物を検出する自動拭き取りデバイスを開示している。デバイス本体の動きは、磁気センサによって測定される。
【0006】
この従来技術での欠点は、デバイスの落下を確実に防止することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、活動を自動的に実行する目的を有し、従来技術の欠点を回避するデバイスを提供することであり、特に、デバイスが塵芥放出物のある環境に落下するのを防止するように活動を自動的に実行するデバイスおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項による、特に汚れた表面を洗浄するための活動を自動的に実行するためのデバイスおよび方法によって達成される。
【0009】
本発明によれば、本発明の第1の態様による、特に汚れた表面を洗浄するための活動を自動的に実行するためのデバイスは、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの駆動要素とを備え、駆動要素は、ホイールとすることができるが、無限軌道とすることもできる。駆動要素は、意図される運動方向に関してデバイスを後方領域と前方領域とに分割する。本発明によれば、センサは、床との接触を通じて床の高さの変化を検出するように機能する機械的センサであり、デバイスの前方領域に配置される。したがって、センサが落下防止手段として機能するように、特に縁を検出することができる。
【0010】
これに関連して、機械的という用語は、高さの変化が可動センサ要素によって感知されることを意味する。例えば、センサ要素の動きを検出するために、電気的または光学的方法が適用される。好ましくは、2部品磁気安全スイッチが使用される。
【0011】
しかしながら、代替的に、機械的センサ要素の動きを感知するために、誘導センサ、静電容量センサ、加速度センサ、超音波センサまたはRFIDセンサ、リードセンサ、ホールセンサ、ピエゾセンサおよび抵抗センサ、歪みゲージ、押しボタンスイッチ、角度センサを使用することも可能である。
【0012】
これに関連して、落下を防止するためのセンサの配置構成は、半径360°のデバイスの特定の方向の動きについて、センサがこの運動方向に対してデバイスの前方領域に配置されるように理解されるべきである。複数の可能な動きがある場合、複数のセンサも考えられる。デバイスが例えば後方にも動く場合、後方への動きに関する落下を防止するためのセンサをデバイスの前方領域にさらに配置することができる。
【0013】
床の高さの変化を検出するための機械的センサを有するデバイスによって、デバイスは、塵埃放出物のある周囲環境で使用することもできる。デバイスの前方領域にセンサを配置することは、センサをトリガすることがデバイスの即時停止をもたらし、適時に落下を防止するという利点を有する。
【0014】
機械的センサは、好ましくは、圧力センサ、歪みセンサまたは力センサとして具現化される。
【0015】
測定が圧力、歪みまたは力によって実行される機械的センサの使用により、塵芥放出物がある場合に影響を受けやすいセンサに関して誤った測定を低減することができる。
【0016】
センサは、好ましくは、ホイールのキャリア、特にキャスタに組み込まれる。しかしながら、上記センサは、基本的に、前方領域内の任意のタイプのホイール、例えば全方向ホイールまたはメカナムホイールに組み込むことができる。
【0017】
これにより、センサの単純な設計が可能になる。ホイールが既に床に接触しているため、必要なときにセンサを床に接触させるための追加の機構を不要にすることができる。
【0018】
センサは、特に回転ブラシの中心に配置されることが好ましい。
センサは、好ましくは、センサが床と接触するときに塵芥が既に除去されているように配置される。
【0019】
このセンサの位置の結果として、センサは、床上の塵芥およびそれによって引き起こされる誤った測定から保護される。さらに、床上の固定されていない物体が、センサをトリガすることが防止される。
【0020】
あるいは、少なくとも1つの接触プレート、好ましくは2つの接触プレートを使用することができる。1つまたは複数の接触プレートは、前方領域内で、1つまたは複数のステアリングホイールの後ろに配置される。1つまたは複数の接触プレートは、ステアリングホイールが床と接触している限り、床と接触しない。床の高さが急激に変化すると、キャスタは床との接触を失い、一方の接触プレートまたは両方の接触プレートと床との間に接触が生じる。その結果、信号を生成することができ、したがって落下を防止することができる。
【0021】
さらなる態様によれば、汚れた表面を自動的に洗浄するためのデバイスは、少なくとも1つの洗浄装置を備える。洗浄装置は、収集された塵芥を受け入れるための塵芥収容空間を備える排出装置を備える。排出装置は、洗浄装置から塵芥を受け取る動作位置と、塵芥収容空間から塵芥を排出する排出位置との間で自動的に動くことができる。排出装置は、内部駆動装置または外部駆動装置によって自動的に動かすことができる。
【0022】
外部駆動装置による起動のために、デバイスは、外部駆動装置が結合され得るクラッチを備えることができる。
【0023】
あるいは、排出装置と外部拘束構成との間に動作可能な接続を形成することも考えられる。排出装置が拘束されているときのデバイスの選択的な動きにより、排出装置は、動作位置から排出位置に動くことができる。
【0024】
結果として、デバイスは、収集された塵芥を手動の補助なしに自動的に排出することができ、さらなる塵芥の収集のために新しい充填空間を利用可能にする。効率的で迅速な洗浄を確実にするために、長い休止時間が回避される。さらに、デバイスを自動的に空にすることにより、より高度な自律性が可能になり、人員が不要になる。塵芥容器は、必要に応じて手動で空にすることもできると考えられる。
【0025】
デバイスは、好ましくは、塵芥収容空間と、デバイス上に可動に配置された閉鎖要素とを備える。閉鎖要素は、傾けること、折り畳むこと、および/または引き出すことが可能であり得る。
【0026】
可動に配置された閉鎖要素は、手動の補助なしに自動的に塵芥収容空間を開放することを可能にする。
【0027】
排出装置は、好ましくは、残余容積を決定するための充填レベルセンサを備える。
これにより、塵芥収容空間内に依然として存在する塵芥収容部容積の単純な決定が可能になる。
【0028】
さらなる態様によれば、汚れた表面を自動的に洗浄するためのデバイスは、少なくとも1つの洗浄装置と、空気流を生成するための1つの送風装置とを備える。送風装置は、空気を吸引する吸引装置によって形成することができる。この場合、吸引装置は、吸引された空気から粒子を濾過するためのフィルタ装置を有することが好ましい。デバイスはまた、好ましくは例えば障害物を検出するための画像認識システムおよび/またはLIDARセンサを有する光学検出システムを備える。送風装置の空気ガイド、特にフィルタ装置の排気ガイドが、空気、好ましくは濾過された排気が光学検出システムの検出ユニットを通過して案内されるように配置される。検出ユニットは、典型的にはカメラであるが、レーザ距離測定ユニットまたはIRセンサであってもよい。
【0029】
その結果、塵芥が光学検出ユニットの前の領域から運び去られ、塵芥に敏感な検出ユニットが塵芥放出物から保護され、それに起因する故障の影響を受けにくくなる。
【0030】
上記の洗浄装置は、そのすべての態様において、好ましくは、拭き取り装置を備える。
結果として、汚れた表面を洗浄するための拭き取り装置は、画像認識システムを使用して塵芥放出物がある環境で操作することができる。
【0031】
さらなる態様によれば、活動を自動的に実行するためのデバイスは、少なくとも1つの洗浄装置と、作動させることができる1つの輸送補助具とを備える。輸送補助具は、デバイスの一端に取り付けられた引き出しハンドルを有することができる。少なくとも1つのホイールが反対側の端部に配置される。このホイールは、輸送の場合にのみ床と接触するようにする輸送ホイール、または、分離することができるかもしくは自己ロック機構を有しない駆動ホイールとすることができる。デバイスが輸送位置に動かされる場合、ホイールは既に床と接触しているか、または床と接触するようになる。記載されている原理は、2つのホイールを有する市販のスーツケーストロリーの原理と同様である。輸送位置では、2つのホイールは床と接触しており、スーツケーストロリーのようにデバイスを単純かつ容易に手動で動かすことができる。
【0032】
その結果、デバイスを手動で容易に動かすことができる。
あるいは、輸送補助具は、ハウジング上に配置された引き出しラインによって形成される。このとき、デバイスは、床と接触する少なくとも3つのホイールを有し、ホイールは分離可能であるか、または自己ロック機構を有しない。ホイールは、好ましくは、少なくとも1つのホイールがデバイスの一端に配置され、少なくとも2つのホイールが反対側の端部に配置されて床と接触するように配置される。
【0033】
この目的はまた、デバイスによって汚れた表面を自動的に洗浄する方法によっても達成される。
【0034】
本方法は、
塵芥収容空間の残余容積の特定の設定点値を測定するステップと、
設定点値に達した場合、デバイスを集塵領域に隣接する位置に動かすステップと、
可動塵芥収容空間を自動的に開放するステップと、
塵芥を塵芥収容空間から集塵領域内に排出するステップとを含む。
【0035】
設定点値は、ここでは、例えば、所定の充填レベル、充填重量、および/または時点とすることができる。
【0036】
この方法の利点は、デバイスが塵芥収容領域に移動しようとしているときに関する、デバイスによる自律動作および自動、効率的かつ迅速な検出である。
【0037】
この目的はまた、デバイスによって汚れた表面を自動的に洗浄する方法によっても達成される。
【0038】
本方法は、
センサが床と接触することによって、移動方向において駆動要素の前にある床の領域における高さの変化を検出するステップと、
床の高さの変化が検出されない場合、洗浄プロセスを継続するステップと、
床の高さの変化が検出された場合、デバイスの移動を終了し、任意選択的に信号を出力し、および/または方向の変更を実施するステップとを含む。
【0039】
この方法の利点は、デバイスの落下および/または損傷を防止するために、床の高さの変化が自動的に、効率的に、または迅速に検出されることである。出力されることになる信号は、無線、メール、またはSMSを介した光信号、可聴信号、または無線障害メッセージであり得る。
【0040】
この目的はまた、デバイスによって汚れた表面を自動的に洗浄する方法によっても達成される。
【0041】
本方法は、
LIDARセンサまたは画像認識システムによって、ステーションに空間的に割り当てられた画像の位置を決定するステップと、
位置が決定された画像からの少なくとも1つの距離を測定することによって、LIDARセンサまたは3Dカメラによってステーションに対するデバイスの相対位置をリアルタイムで決定するステップと、
決定された相対位置に基づいて、デバイスをステーションへと動かすステップとを含む。
【0042】
本方法はまた、好ましくは、
画像によって提供されるコードを決定するステップと、
コードに割り当てられた行動を実行するステップとを含む。
【0043】
あるいは、LIDARセンサまたはカメラは、3Dコードを検知および評価するように設計することができる。
【0044】
この方法の利点は、デバイスの実際の位置が正確に決定されること、および、コードが検出されたときに行動が実行されることである。
【0045】
デバイスによって汚れた表面を自動的に洗浄するための方法は、好ましくは、
設定点値が設定点基準に対応しない場合、洗浄プロセスを継続するステップと、
設定点値が設定点基準に対応する場合、特に充電ステーションまたは集塵領域内の塵芥収容ステーションへとデバイスを動かすステップと、
ステーションに到達した場合、コマンドを実行し、特に最大充電容量に達するまでドッキングおよび充電し、または塵芥収容空間を空にするステップとを含む。
【0046】
設定点基準は、集塵容器の負荷状態、充填レベルまたは充填重量とすることができる。
この方法の利点は、所定の設定点基準が満たされたときにステーションへと自動的に動くことである。ステーションは、例えば、充電ステーションまたは塵芥収容領域であってもよい。
【0047】
この目的はまた、デバイスによって、汚れた表面を自動的に洗浄する方法によっても達成される。
【0048】
本方法は、
特に吸引装置によって空気を吸引することによって空気流を生成するステップと、
任意選択的に、フィルタ装置によって吸引装置の排気流を濾過するステップと、
空気流、特にフィルタ処理された排気流を通過させて案内することによって、光学検出システム、特にカメラに隣接する領域から塵芥を除去するステップとを含む。
【0049】
吸引装置の代わりに、送風機または圧縮空気源を使用することもできる。
このような方法では、塵芥放出物がある環境内で、塵芥放出物に敏感な光学センサを使用することが可能である。塵芥は、当該塵芥が例えばレンズ上に堆積され得る前に光学検出システムに隣接する領域から輸送され、または既に堆積した塵芥も必要に応じて除去することができる。
【0050】
この目的はまた、デバイスによって汚れた表面を自動的に洗浄する方法によっても達成される。
【0051】
本方法は、
センサ、特に光センサによって1つまたは複数の基準を検出するステップと、
決定された1つまたは複数の基準に基づいて行動領域を決定するステップとを含む。デバイスの移動は、行動領域を出ないように制御される。しかしながら、基準が検出されたときに所定の行動がトリガされることも考えられる。
【0052】
基準は、ランダムな受動素子(すなわち、電源を必要としない素子)に基づいて機能することができ、特に、例えばRFID素子、例えば反射器などの光学素子、または例えば物体、ドット、ストリップ、画像などの他の受動素子の形態で、電磁波の検出によって具体化することができる。反射器が設けられた交通案内要素、特にトラフィックコーンが設けられる。
【0053】
そのような方法の利点は、行動領域またはデバイスの行動の定義のための任意の追加の制御ユニットまたはコストのかかるプログラミングの必要がないことである。行動領域は、単純に基準を配置することによって定義することができる。
【0054】
この目的はまた、汚れた表面の自動洗浄のためのデバイスと、1つまたは複数の基準とを備えるシステムによって達成される。
【0055】
このようなシステムは、使用が容易であるため、特に有利である。さらに、その適用において、行動領域の選択に高度な柔軟性を提供する。
【0056】
本発明は、図中の例示的な実施形態を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】第1の実施形態におけるデバイスの側面図である。
図2図1に示すデバイスの実施形態の斜視図である。
図3図1に示すデバイスの実施形態の底面図である。
図4a】床の高さが変化するときの動作位置にある、図1に示すデバイスの実施形態の側面図である。
図4b】床の高さが変化するときのデバイスの折り畳み装置の図である。
図5】排出位置にある、図1に示すデバイスの実施形態の側面図である。
図6】ハンドルが引き出された状態で動作位置にある、図1に示すデバイスの実施形態の側面図である。
図7】ハンドルが引き出された状態で動作位置にあり、塵芥収容空間を有しない、図1に示すデバイスの実施形態の側面図である。
図8】ハンドルが引き出された状態で輸送位置にある、図1に示すデバイスの実施形態の側面図である。
図9】光学検出システム上に配置された排気ガイドの図である。
図10】デバイスの制御の概略図である。
図11】デバイスの位置決定システムの概略図である。
図12】デバイスのさらなる実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1に示されるデバイス1は、塵芥放出物がある産業環境においてによる洗浄を自動的に実行するように機能する。デバイス1は、移動方向Bに見たときに、2つの駆動ホイール4によって前方領域12と後方領域11とに分割されるハウジング10を含む。前方領域12には、ハウジング10によって部分的に隠された洗浄装置2がある。洗浄装置2は、互いに隣接して位置する2つの回転ブラシ20を含む(図3参照)。回転ブラシ20の前縁の後ろには、いずれの場合も、折り畳み装置の形態のセンサ3が移動方向Bの前方領域12に配置されている(図3/4参照)。さらに、前方領域12には、光学検出システム6がある。後方領域11は、排出装置5と、塵芥収容空間51とを備える(図5参照)。図1において、排出装置5は、動作位置P1に示されている。
【0059】
図2は、洗浄装置2の上方の前方領域12に、デバイス1の位置を決定し、および/または障害物を検出するように機能する光学検出システム6のカメラ60を示す。カメラ60は、レンズ61を有する。光学検出システム6は、例えば空間内に位置する画像の位置を決定する(図11も参照)。画像が検出されると、デバイス1の相対位置は、いずれの場合も画像の1つの縁における、画像に対する2つの距離d1、d2の測定によって決定することができる(図11を参照)。さらに、画像には、光学検出システム6によって検出されたときに、コードによって決定されるデバイス1の行動の実行をもたらすコードが割り当てられる。画像の代わりに、マーキング、例えば2つの信号ストリップまたは2つの信号ドットを空間内に配置することが可能である。相対位置の決定後、デバイス1は、コードの位置に対して決定された位置に自動的に動く。代替的または付加的に、決定されたデータに基づいて行動が実行される。
【0060】
画像またはマーキングの位置の例は、塵芥収容空間51を空にするための充電ステーション91または塵芥収容ステーション55であり得る(図10参照)。
【0061】
デバイスのコンピュータユニット90は、1つまたは複数の設定点基準を含むことができる(図10参照)。設定点値が設定点基準に対応しない限り、デバイス1の洗浄プロセスは継続される。一方、設定点値が設定点基準に対応する場合、デバイス1は、それに対して提供される行動を実行する。これは、例えば、バッテリを充電するための充電ステーション91の始動、または塵芥収容空間51を空にするための塵芥収容ステーション55の始動であってもよい。
【0062】
図3図4aおよび図4bは、デバイス1の底面図および側面図における洗浄装置2および2つの折り畳み装置3を示す。洗浄装置2は、各々がブラシディスク21を有する2つの回転円形ブラシ20を備える。例えば、細かい塵埃を拾い上げるための1つまたは複数のさらなるブラシ、典型的には水平軸を中心として回転するブラシ(図3の水平ブラシ22を参照)も考えられる。両方の円形ブラシ20は、デバイス1の前方領域12において、互いに隣接して配置されている。2つの折り畳み装置3は、ブラシ20の周縁内に、好ましくはブラシディスク21に対して偏心して配置され、各々軸を中心に枢動することができる(図4b参照)。図4bに概略的に示されている折り畳み装置3は、いずれの場合も、軸30と、接触点31と、キャリア32およびホイール33を有するキャスタとを備える。ホイール33を有するキャリア32は、軸30上に枢動可能に配置される。キャリア32が通常位置にある限り、キャリア32上に配置された接点との接触点31は閉じられている。床の高さに変化がない場合、洗浄プロセスはデバイス1によって継続される。床の高さが変化すると、キャリア32が下方に枢動し、電気接点31が開く。デバイス1は、床の高さの変化を回避するために、停止し、好ましくは信号を送信し、および/またはその移動方向を変更する。図4aは、床の高さに変化があり、折り畳み装置3が下方に折り畳まれる停止位置P3にあるデバイス1を示す。
【0063】
2つの折り畳み装置3は、互いに独立してトリガすることができる。床の高さの変化に対するデバイス1の角度に応じて、一方または両方の折り畳み装置3を下方に折り畳むことができる。
【0064】
図5は、デバイス1の排出装置5を示す。排出装置5は、塵芥収容空間51と、閉鎖要素52と、充填レベルセンサ54(図10参照)と、内部駆動装置53(図10参照)とを備える。閉鎖要素52は、駆動装置53によって、例えば枢動によって自動的に動くことができる。閉鎖要素52は、開位置または閉位置のいずれかの2つの位置をとることができる。
【0065】
図5は、閉鎖要素52が開位置にあるときの排出位置P2にあるデバイス1を示す。排出は、コントローラ9を使用して実行される(図10参照)。コントローラ9は、コンピュータユニット9および充填レベルセンサ54を備える。充填レベルセンサ54は、塵芥収容空間51の残余容積を決定する。コンピュータユニット90は、充填レベルセンサ54によって決定された残余容積を特定の設定点値と比較する。充填レベルセンサ54は、例えば、非接触で塵芥に対する感受性のない超音波センサである。しかしながら、触覚センサも考えられる。重量を介して、または加速度を測定することによってデバイス1の駆動挙動に基づいて充填レベルを決定することも考えられる。残余容積が指定された設定点値に対応する場合、コンピュータユニット90は、デバイス1の駆動要素4を作動させる。次いで、デバイス1は、塵芥収容ステーション55の集塵領域に隣接する位置に動く。集塵領域に隣接する位置への到達は、カメラ60を使用して光学検出システム6(図2参照)によって検出される。これにより、コンピュータユニット90を介して、閉鎖要素52を自動的に開く駆動装置53が作動する。塵芥で満たされた塵芥収容空間51は空にされて、塵芥は塵芥収容ステーション55の集塵領域に入る。集塵領域は、専用の容器であってもよく、あるいは単に床の穴であってもよい。
【0066】
図6図8は、デバイス1の手動輸送がどのように実行されるかを示す。
図6は、デバイス1の輸送デバイス7を示す。デバイス1は、ハンドル70が引き出された状態で動作位置P1に示されている。ハンドル70は、デバイス1の一端13に配置されている。反対側の端部14には、少なくとも1つのホイール71が配置され、このホイール71は、動作位置P1において床と接触していない。デバイスを輸送するために、デバイスは輸送位置に動かされる(図8参照)。
【0067】
図7では、デバイス1は、塵芥収容空間51(図5参照)を有しない、ハンドル70が引き出された状態で動作位置P1に示されている。塵芥収容空間51またはその部分は、デバイスを輸送位置に動かすことができるように除去される(図8参照)。
【0068】
塵芥収容空間のカバーまたは塵芥収容空間51全体を、固定デバイスを使用して(例えば、ラッチ機構によって、または磁石によって)、ハンドル70またはハウジング10(図1参照)に取り付けることができる(図示せず)。
【0069】
図8は、塵芥収容空間51がない状態で、かつハンドル7を持ち上げることによって、どのようにホイール71が床と接触するように動かされるかを示す。デバイス1の手動輸送が可能である。
【0070】
図9は、検出ユニット60のレンズ61に隣接する領域から塵芥を除去するための排気ガイド8を示す。これは、典型的には、光学検出システム6のカメラである。
【0071】
排気ガイド8を通って案内される空気は、吸引装置82(図7参照)によって生成される。吸引装置82にはフィルタ装置80が設けられている。吸引装置82およびフィルタ装置80は、デバイス1の後方領域11に配置されている。光学検出システムは、デバイス1の前方領域に配置されている。
【0072】
排気ガイド8は、吸引装置82によって生成された排気81が光学検出システム6に向けられてデバイス1の前方領域12に入り、カメラ60のレンズ61の表面上を流れるように配置される(図9の矢印を参照)。
【0073】
図10は、デバイス1のコントローラ9の必須構成要素の図を示す。コントローラ9は、コンピュータユニット90、充填レベルセンサ54またはカメラ60、駆動要素4または内部もしくは外部駆動装置53を備える。コントローラは、塵芥収容ステーション55または充電ステーション91を始動させて、これらのステーションに到達したときに行動を実行する役割を果たす。充填レベルセンサ54またはカメラ60は、設定点基準を検出する。後者は、コンピュータユニット90を使用して指定の設定点値と比較される。設定点基準および設定点値が対応する場合、駆動要素4または内部もしくは外部駆動装置53が作動され、デバイス1は、塵芥収容ステーション55または充電ステーション91へと動く。デバイス1が塵芥収容ステーション55または充電ステーション91に到達すると、それぞれの行動、例えば充電、排出が実行される。
【0074】
図11は、デバイス1の位置を決定するためのシステムを示す。位置決定システムは、信号基板62と、光学検出システム6と、コンピュータユニット90とを備える(図10参照)。システムは、特に、塵芥収容ステーション55または充電ステーション91に対するデバイスの位置を決定する役割を果たす。光学検出システム6は、例えば、画像および/またはコードを含むことができる信号基板62を検出する。コンピュータユニット90は、信号基板62に対する相対位置を決定するために、信号基板縁部62からの距離d1、d2に基づいて決定する。デバイス1は、相対位置に基づいて塵芥収容ステーション55または充電ステーション91を作動させ、画像またはコードによって定義される行動を実行する。画像の代わりに、個々のマーキングを提供することも可能である。
【0075】
図12は、洗浄装置2の上方の前方領域12に、デバイス1の位置を決定し、および/または障害物を検出するように機能する光学検出システム6のLIDARセンサ63を示す。さらに、図12の実施形態は、図11による実施形態システムに本質的に対応する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12