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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】蓄電システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240322BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240322BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240322BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/34 B
H02J7/35 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021552022
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2019040524
(87)【国際公開番号】W WO2021074976
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門田 行生
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修司
(72)【発明者】
【氏名】小林 武則
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-189045(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198630(WO,A1)
【文献】特開2017-046440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線を介して、電力供給先の一又は複数の装置に対して放電を行い、あるいは、前記電力線を介して電力供給元の一又は複数の装置から供給された電力の充電を行う第1蓄電装置と、前記電力線を介して前記第1蓄電装置と接続され、前記第1蓄電装置に対する充放電を行う第2蓄電装置と、を備え、充放電指令値に基づいて前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の充放電制御を行う蓄電システムであって、
前記第1蓄電装置は、当該第1蓄電装置の充電率に対応する充電率信号を出力し、
前記第2蓄電装置の前記第1蓄電装置に対する充放電電力が所定のリミット範囲内となるように制限しつつ、前記充電率信号に基づいて前記第1蓄電装置の蓄電率が、前記第1蓄電装置による前記充放電指令値に基づく充放電を継続しつつ所定の蓄電率範囲を維持するように前記第2蓄電装置の前記第1蓄電装置に対する充放電電力を制御するとともに、前記充放電指令値に対応する充放電電力に基づいて前記第1蓄電装置の充放電電力を制御する制御システムを備えた蓄電システム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記第1蓄電装置の蓄電率が所定の蓄電率範囲にある場合に、前記第2蓄電装置の充放電を停止する、
請求項1記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記制御システムは、前記充放電指令値に対応する充放電電力及び前記第2蓄電装置の充放電電力の和が、前記第1蓄電装置の所定の最大充放電電力を超過する場合に、前記第2蓄電装置の充放電電力を制御して、前記第1蓄電装置の充放電電力を前記最大充放電電力に制限する、
請求項1又は請求項2記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記第1蓄電装置は、第1の期間における充放電が可能であり、
前記第2蓄電装置は、前記第1の期間よりも長い期間における充放電が可能とされている、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の蓄電システム。
【請求項5】
電力線を介して、電力供給先の一又は複数の装置に対して放電を行い、あるいは、前記電力線を介して電力供給元の一又は複数の装置から供給された電力の充電を行う第1蓄電装置と、前記電力線を介して前記第1蓄電装置と接続され、前記第1蓄電装置に対する充放電を行う第2蓄電装置と、を備え、充放電指令値に基づいて前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の充放電制御を行う蓄電システムで実行される制御方法であって、
前記第1蓄電装置の充電率を検出する過程と、
前記第2蓄電装置の前記第1蓄電装置に対する充放電電力が所定のリミット範囲内となるように制限する過程と、
検出した前記第1蓄電装置の充電率に基づいて、前記第1蓄電装置の蓄電率が、前記充放電指令値に基づく充放電を継続しつつ所定の蓄電率範囲を維持するように前記第2蓄電装置の前記第1蓄電装置に対する充放電電力を制御する過程と、
前記充放電指令値に対応する充放電電力に基づいて前記第1蓄電装置の充放電電力を制御する過程と、
を備えた制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1電池特性を有し、負荷に対して充放電可能な第1蓄電装置と、第1電池特性とは異なる第2電池特性を有し、負荷に対して充放電可能第2蓄電装置とを備えた蓄電システムにおいて、取得した第2蓄電装置の充電率に基づいて第1蓄電装置の電力分担率を算出して電力指令値を生成することが提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上述したように、上記従来の蓄電システムにおいては、第1蓄電装置の電力分担率を第2蓄電装置の充電率から決定するため、例えば負荷が電力を消費する放電動作では第2蓄電装置の充電率が低下すると第1蓄電装置の放電電力を増加し、第2蓄電装置の放電電力を低減することで運転を継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-046440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、第2蓄電装置の放電が出来ない状況に至ると、第1蓄電装置が負荷に対して全電力を供給することとなるため、第1蓄電装置は、単独で負荷に電力を供給可能な充放電入出力定格を備える必要があり、第1蓄電装置の設備が大型化することとなっていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、第1蓄電装置の充放電を第2蓄電装置の充放電により補助する蓄電システムにおいて、第2蓄電装置の補助動作を常時確保して、蓄電システムの大型化を抑制しつつ、第2蓄電装置の定格充放電電力も抑制することが可能な蓄電システム及び制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の蓄電システムは、電力線を介して、電力供給先の一又は複数の装置に対して放電を行い、あるいは、前記電力線を介して電力供給元の一又は複数の装置から供給された電力の充電を行う第1蓄電装置と、前記電力線を介して前記第1蓄電装置と接続され、前記第1蓄電装置に対する充放電を行う第2蓄電装置と、を備え、充放電指令値に基づいて前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の充放電制御を行う蓄電システムであって、前記第1蓄電装置は、当該第1蓄電装置の充電率に対応する充電率信号を出力し、前記第2蓄電装置の前記第1蓄電装置に対する充放電電力が所定のリミット範囲内となるように制限しつつ、前記充電率信号に基づいて前記第1蓄電装置の蓄電率が、前記第1蓄電装置による前記充放電指令値に基づく充放電を継続しつつ所定の蓄電率範囲を維持するように前記第2蓄電装置の前記第1蓄電装置に対する充放電電力を制御するとともに、前記充放電指令値に対応する充放電電力に基づいて前記第1蓄電装置の充放電電力を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の蓄電システムの概要構成ブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の蓄電システムの処理フローチャートである。
図3図3は、大容量蓄電池システムの放電容量、高出力蓄電池システムの放電容量及び需要電力量の関係の説明図である。
図4図4は、第2実施形態の蓄電システムの概要構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に好適な実施形態について図面を参照して説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の蓄電システムの概要構成ブロック図である。
蓄電システム10は、第1時間の期間充放電が可能な第1蓄電装置11と、第1蓄電装置とは、充放電特性が異なり、第1時間よりも長い第2時間の期間、充放電が可能な第2蓄電装置12と、電力線13を介して商用電力を供給する商用電源14と、太陽光の光電変換を行い発電する太陽光発電装置15と、電力が供給される負荷16と、蓄電システム全体を制御するとともに、充電率信号SCHに基づいて第1充放電制御信号SC1及び第2充放電制御信号SC2を出力し、第1蓄電装置11及び第2蓄電装置12の充放電制御を行う制御システム18と、充放電指令信号SCSを出力し、制御システム18を制御する上位制御システム19と、を備えている。
上記構成において、第1蓄電装置11は、第2蓄電装置12と、電力線13を介して接続されている。
【0010】
このとき、電力線13は、商用電源14、太陽光発電装置15及び負荷16とも接続されている。これにより、第1蓄電装置11は、太陽光発電装置15が供給する再生可能エネルギーとしての発電電力変動及び負荷16の需要電力変動を吸収するために、余剰電力を充電したり、不足電力を放電したりするようにされている。
【0011】
一方、本第1実施形態において、第2蓄電装置12は、太陽光発電装置15及び負荷16との間で直接的に充放電を行うことは無く、第1蓄電装置11の蓄電残量(エネルギー残量)を調整することを目的としている。
このため、制御システム18は、第2蓄電装置12を上記目的のために第2充放電制御信号SC2により制御している。
【0012】
図2は、制御システムの概要構成ブロック図である。
制御システム18は、大別すると、ゲイン回路21、積算回路22、リミット回路23、加算回路24を備えている。
ゲイン回路21は、第1蓄電装置11に予め設定された所定充電率(例えば、50%)に応じて調整ゲイン値AGを出力する。
【0013】
すなわち、ゲイン回路21は、第1蓄電装置11から入力された充電率信号SCHに基づいて、第1蓄電装置11の充電率が所定充電率となるように制御を行うべく、調整ゲイン値AGを出力する。
【0014】
上述の例の場合、第1蓄電装置11の充電率が50%を超えたら第2蓄電装置12を充電し、第1蓄電装置11の充電率が50%を下回ったら、第1蓄電装置11を充電するように第2蓄電装置12を放電するように調整ゲイン値AGを設定して、第1蓄電装置11の所定充電率である50%を維持するよう運転を行う。
【0015】
このため、ゲイン回路21は、目的とする所定充電率(上述の例では50%)と充電率信号SCHに対応する第1蓄電装置11の充電率と、の差から調整ゲイン値AGを設定して出力する。
積算回路22は、調整ゲイン値AGと充放電指令信号SCSとを乗じて充放電指令信号SCSの調整量に相当する調整量信号AAを生成して出力する。
【0016】
リミット回路23は、調整量信号AAによる調整量の絶対値が大きくなりすぎないように、調整量信号AAを制限して第2充放電制御信号SC2として第2蓄電装置12に対して出力する回路である。すなわち、調整量信号による調整量を所定の最大値から最小値の範囲内の値とするようにする回路である。
加算回路24は、第2充放電制御信号SC2を充放電指令信号SCSから減じて第1充放電制御信号SC1として第1蓄電装置11に対して出力する。
【0017】
次に第1実施形態の動作を説明する。
第1蓄電装置11から充電率信号SCHが入力されると、制御システム18のゲイン回路21は、充電率信号SCHに基づいて、第1蓄電装置11の充電率が所定充電率となるように制御を行うべく、調整ゲイン値AGを積算回路22に出力する。
この場合において、例えば所定充電率が50%である場合に、充電率信号SCHが充電率50%である場合には、調整ゲイン値AG=0(すなわち、充放電を行わない)とする。
【0018】
また、充電率信号SCHが充電率50%を超えている場合には、超えている充電電力、例えば、充電率信号SCHが、充電率52%に相当する場合には、第1蓄電装置11の蓄電電力のうち、所定充電率50%を超えている2%分を第2蓄電装置12の充電電力(蓄電電力)となるように調整ゲイン値AGを設定して積算回路22に出力する。
【0019】
一方、充電率信号SCHが充電率50%未満である場合には、不足している充電電力、例えば、充電率信号SCHが、充電率47%に相当する場合には、第1蓄電装置11の蓄電電力のうち、所定充電率50%を下回っている3%分を第2蓄電装置12の放電電力となるように調整ゲイン値AGを設定して積算回路22に出力する。
【0020】
続いて、積算回路22は、調整ゲイン値AGと充放電指令信号SCSとを乗じて充放電指令信号SCSの調整量に相当する調整量信号AAを生成してリミット回路23に出力する。
【0021】
リミット回路23は、調整量信号AAによる調整量の絶対値が大きくなりすぎないように、すなわち、第2蓄電装置12の放電電力あるいは充電電力が当該第2蓄電装置の充放電定格に対して所定の範囲内となるように調整量信号AAを制限し、第2充放電制御信号SC2として第2蓄電装置12及び加算回路24に対して出力する。
【0022】
この結果、第2蓄電装置12の定格充放電容量を最低限必要なものとでき、充放電入出力定格を小さくすることができるのである。
そして、加算回路24は、第2充放電制御信号SC2を充放電指令信号SCSから減じて第1充放電制御信号SC1として第1蓄電装置11に対して出力する。
【0023】
そして、第1蓄電装置11は、第1充放電制御信号SC1に基づいて、充電あるいは放電を行い、第2蓄電装置12は、第2充放電制御信号SC2に基づいて、第1蓄電装置11を充放電対象として、充電あるいは放電を行う。
【0024】
これらの結果、本第1実施形態によれば、第1蓄電装置11の蓄電率が所定の蓄電率(範囲)となるように、第2蓄電装置の充放電電力を制御するとともに、充放電指令信号SCSに相当する充放電指令値に対応する充放電電力及び第2蓄電装置の充放電電力に基づいて第1蓄電装置11の充放電電力を制御することにより、第1蓄電装置11の充電率を所定充電率近傍に維持しつつ、第2蓄電装置12の充放電電力をリミット回路23により規定されるリミット範囲内に制限できるので、第2蓄電装置12の充放電入出力定格を小さくすることができる。
【0025】
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
図3は、第2実施形態の制御システムの概要構成ブロック図である。
本第2実施形態の制御システム18Aが、第1実施形態の制御システム18と異なる点は、ゲイン回路21に代えて、所定充電率近傍の所定充電率範囲においては、第2蓄電装置12の充放電を行わないように制御するゲイン回路31を備えた点である。
【0026】
ゲイン回路31は、例えば、第1蓄電装置11の所定充電率を50%とした場合に、第1蓄電装置11の充電率が55%を超えたら第2蓄電装置12を充電し、第1蓄電装置11の充電率が45%を下回ったら、第1蓄電装置11を充電するように第2蓄電装置12を放電するように調整ゲイン値AG1を設定して、第1蓄電装置11の所定充電率である50%近傍の値を維持するよう運転を行う。
【0027】
次に第2実施形態の動作を説明する。
第1蓄電装置11から充電率信号SCHが入力されると、制御システム18のゲイン回路31は、充電率信号SCHに基づいて、第1蓄電装置11の充電率が所定充電率となるように制御を行うべく、調整ゲイン値AGを積算回路22に出力する。
【0028】
この場合において、例えば所定充電率が50%である場合に、充電率信号SCHが充電率45~55%の範囲内に位置する場合には、調整ゲイン値AG1=0(すなわち、充放電を行わない)とする。
【0029】
また、充電率信号SCHが充電率55%を超えている場合には、超えている充電電力、例えば、充電率信号SCHが、充電率58%に相当する場合には、第1蓄電装置11の蓄電電力のうち、所定充電率55%を超えている3%分を第2蓄電装置12の充電電力(蓄電電力)となるように調整ゲイン値AGを設定して積算回路22に出力する。
【0030】
一方、充電率信号SCHが充電率45%未満である場合には、不足している充電電力、例えば、充電率信号SCHが、充電率41%に相当する場合には、第1蓄電装置11の蓄電電力のうち、所定充電率45%を下回っている4%分を第2蓄電装置12の放電電力となるように調整ゲイン値AG1設定して積算回路22に出力する。
【0031】
続いて、積算回路22は、調整ゲイン値AG1と充放電指令信号SCSとを乗じて充放電指令信号SCSの調整量に相当する調整量信号AAを生成してリミット回路23に出力する。
【0032】
リミット回路23は、調整量信号AA1による調整量の絶対値が大きくなりすぎないように、すなわち、第2蓄電装置12の放電電力あるいは充電電力が当該第2蓄電装置12の充放電定格に対して所定の範囲内となるように調整量信号AA1を制限し、第2充放電制御信号SC2として第2蓄電装置12及び加算回路24に対して出力する。
【0033】
この結果、本第2実施形態によれば、第1実施形態の場合よりも、充放電が必要とされる条件を緩和でき、第2蓄電装置12の定格充放電容量を最低限必要なものとでき、充放電入出力定格をより小さくすることができるのである。
そして、加算回路24は、第2充放電制御信号SC2を充放電指令信号SCSから減じて第1充放電制御信号SC1として第1蓄電装置11に対して出力する。
【0034】
そして、第1蓄電装置11は、第1充放電制御信号SC1に基づいて、充電あるいは放電を行い、第2蓄電装置12は、第2充放電制御信号SC2に基づいて、第1蓄電装置11を充放電対象として、充電あるいは放電を行う。
【0035】
これらの結果、本第2実施形態によれば、第1蓄電装置11の充電率を所定充電率を所定充電率範囲近傍に維持しつつ、第2蓄電装置12の充放電電力をリミット回路23により規定されるリミット範囲内に制限できるので、第2蓄電装置12の充放電入出力定格をより小さくすることができる。
【0036】
さらに第1蓄電装置11の充電率が所定充電範囲内にある場合には、第2蓄電装置12の動作を実効的に停止することができ、より低消費電力化を図ることができる。
【0037】
[3]第3実施形態
次に第3実施形態について説明する。
図4は、第3実施形態の制御システムの概要構成ブロック図である。
本第3実施形態の制御システム18Bが、第2実施形態の制御システム18Aと異なる点は、加算回路24の後段に、第2実施形態の第1充放電制御信号SC1と同一の第1充放電制御信号SC01が入力され、第1充放電制御信号SC01に相当する充放電電力の絶対値が大きくなりすぎないように、第1充放電制御信号SC0を制限して第1充放電制御信号SC1として第1蓄電装置11に対して出力する第2リミット回路32を備えた点と、第1充放電制御信号SC1と第1充放電制御信号SC0との差を演算して、差分信号SCDを出力する第2加算回路33を備えた点と、リミット回路23が出力した第2実施形態の第2充放電制御信号SC2と同一の第2充放電制御信号SC02が入力され、第2充放電制御信号SC02と差分信号SCDとの差を演算して、第2充放電制御信号SC2として第2蓄電装置12に出力する第3加算回路34を備えた点と、である。
【0038】
次に第3実施形態の動作を説明する。
第1蓄電装置11から充電率信号SCHが入力されると、制御システム18のゲイン回路31は、充電率信号SCHに基づいて、第1蓄電装置11の充電率が所定充電率となるように制御を行うべく、調整ゲイン値AGを積算回路22に出力する。
【0039】
この場合において、例えば所定充電率が50%である場合に、充電率信号SCHが充電率45~55%の範囲内に位置する場合には、調整ゲイン値AG1=0(すなわち、充放電を行わない)とする。
【0040】
また、充電率信号SCHが充電率55%を超えている場合には、超えている充電電力、例えば、充電率信号SCHが、充電率58%に相当する場合には、第1蓄電装置11の蓄電電力のうち、所定充電率55%を超えている3%分を第2蓄電装置12の充電電力(蓄電電力)となるように調整ゲイン値AGを設定して積算回路22に出力する。
【0041】
一方、充電率信号SCHが充電率45%未満である場合には、不足している充電電力、例えば、充電率信号SCHが、充電率41%に相当する場合には、第1蓄電装置11の蓄電電力のうち、所定充電率45%を下回っている4%分を第2蓄電装置12の放電電力となるように調整ゲイン値AG1設定して積算回路22に出力する。
【0042】
続いて、積算回路22は、調整ゲイン値AG1と充放電指令信号SCSとを乗じて充放電指令信号SCSの調整量に相当する調整量信号AAを生成してリミット回路23に出力する。
【0043】
リミット回路23は、調整量信号AA1による調整量の絶対値が大きくなりすぎないように、すなわち、第2蓄電装置12の放電電力あるいは充電電力が当該第2蓄電装置12の充放電定格に対して所定の範囲内となるように調整量信号AA1を制限し、第2充放電制御信号SC2として第2蓄電装置12及び加算回路24に対して出力する。
【0044】
この結果、本第3実施形態によっても、第2実施形態の場合と同様に、第2蓄電装置12による充放電が必要とされる条件を緩和でき、第2蓄電装置12の定格充放電容量を最低限必要なものとでき、充放電入出力定格をより小さくすることができるのである。
そして、加算回路24は、第2充放電制御信号SC2を充放電指令信号SCSから減じて第1充放電制御信号SC01として第2リミット回路32及び第2加算回路33に対して出力する。
【0045】
第2リミット回路32は、第1充放電制御信号SC01による調整量の絶対値が大きくなりすぎないように、すなわち、第1蓄電装置11の放電電力あるいは充電電力が当該第1蓄電装置11の充放電定格に対して所定の範囲内となるように第1充放電制御信号SC01を制限し、第1充放電制御信号SC1として第1蓄電装置11に対して出力する。
【0046】
一方、第2加算回路33は、第1充放電制御信号SC1と第1充放電制御信号SC0との差を演算して、差分信号SCDを第3加算回路34に出力する。
【0047】
これらの結果、第3加算回路34は、実施形態の第2充放電制御信号SC2と同一の第2充放電制御信号SC02が入力され、第2充放電制御信号SC02と差分信号SCDとの差を演算して、第2充放電制御信号SC2として第2蓄電装置12に出力する。
そして、第1蓄電装置11は、第1充放電制御信号SC1に基づいて、充電あるいは放電を行い、第2蓄電装置12は、第2充放電制御信号SC2に基づいて、第1蓄電装置11を充放電対象として、充電あるいは放電を行う。
【0048】
これらの結果、本第3実施形態によれば、第2実施形態の効果に加えて、第1蓄電装置11の充電率を所定充電率範囲近傍に維持しつつ、第2蓄電装置12の充放電電力をリミット回路23により規定されるリミット範囲内に制限する。
【0049】
さらに上位制御システム19による充放電指令信号SCSに対応する充放電電力に余裕がある場合には、第2蓄電装置12により、第1蓄電装置11の充放電電力を当該第1蓄電装置11の最大充放電電力に制御できるので、第1蓄電装置11に対する負荷を最適な範囲に収めることができるとともに、充電率をより最適な状態に維持することができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10 蓄電システム
11 第1蓄電装置
12 第2蓄電装置
13 電力線
14 商用電源
15 太陽光発電装置
16 負荷
18、18A、18B 制御システム
19 上位制御システム
21 ゲイン回路
22 積算回路
23 リミット回路
24 加算回路
31 ゲイン回路
32 第2リミット回路
33 第2加算回路
34 第3加算回路
SC01 第1充放電制御信号
SC02 第2充放電制御信号
AA、AA1 調整量信号
AG、AG1 調整ゲイン値
SC0 第1充放電制御信号
SC1 第1充放電制御信号
SC2 第2充放電制御信号
SCD 差分信号
SCH 充電率信号
SCS 充放電指令信号
図1
図2
図3
図4