(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】ガスバーナ用の改良された温度センサ及び該温度センサとバーナとからなるアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F23N 5/10 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
F23N5/10 310Z
F23N5/10 310B
(21)【出願番号】P 2021553866
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 IB2020051798
(87)【国際公開番号】W WO2020183289
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】102019000003507
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518020543
【氏名又は名称】ポリドーロ ソチエタ ペル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【氏名又は名称】横井 大一郎
(72)【発明者】
【氏名】ダッラ ヴェッキア ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】ダッラ ヴェッキア ステファノ
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0080074(US,A1)
【文献】特開昭59-099783(JP,A)
【文献】特開2016-067661(JP,A)
【文献】実開昭62-166448(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/08 - 5/22
G01K 1/00 - 19/00
H10N 10/00 - 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の導体(15)を含む温度変換装置(11)と、該温度変換装置(11)の自由端(18)に組み合わされた、ガスバーナ(2)に接続される接続要素(12)とを有する、ガスバーナ(2)用の温度センサ(1)であって、前記接続要素(12)は、前記バーナ(2)の壁(4)内に形成される温度センサ受座(8)への差し込みに適しており、前記バーナ(2)の外面(6)に位置決めされるのに適した第1の端(26)を有しており、前記温度変換装置(11)は、前記接続要素(12)の第2の端(28)において開口する前記接続要素(12)の非貫通孔(29)に挿入されている、温度センサにおいて、
前記導体は、全体が前記温度変換装置(11)に差し込まれ、前記接続要素(12)から離れて配置され、前記非貫通孔(29)の内端は、前記接続要素に差し込まれる前記温度変換装置(11)と接触するのに適した傾斜壁を有する少なくとも1つの部分(31)となっており、前記接続要素(12)は、鉄・クロム・アルミニウム合金からなることを特徴とする、温度センサ。
【請求項2】
前記接続要素(12)は、カンタルDからなることを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記非貫通孔(29)の内端部分(31)は、円錐、円錐台、角錐、又は回転楕円体の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記内端部分は、内端領域(K)に向かって収束しており、該内端部分(31)の壁は、0°~75°の範囲の角度をなしていることを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記温度変換装置は、熱電対又はサーミスタであることを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記接続要素(12)は、前記温度変換装置の導体(15)を保護するための保護要素(17)と接触していることを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記接続要素(12)は、前記第1の端(26)を含む第1の部分(20)と、前記第1の部分(20)よりも断面が大きい第2の部分(27)であって、内部に前記非貫通孔(29)が形成されており、前記温度変換装置(11)が、前記第2の部分(27)内に存在する前記非貫通孔の壁とも接触する第2の部分(27)と、を有する本体(23)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項8】
前記接続要素(12)の前記第2の部分(27)の長さは、前記温度変換装置と結合するのに十分なように、前記温度変換装置(11)の直径の約0.70倍~約2.30倍の範囲であって、好ましくは、1.5~4.5mmの範囲であることを特徴とする、請求項7に記載の温度センサ。
【請求項9】
前記接続要素(12)の前記第1の部分(20)と前記第2の部分(27)との間に、段差(50)が設けられており、該段差(50)によって、前記接続要素(12)が前記ガスバーナ(2)の壁(4)に取り付けられることを特徴とする、請求項7に記載の温度センサ。
【請求項10】
ガスバーナと、前記バーナ(2)の炎が出る面(6)の温度を測定するのに適した温度センサとを含むアセンブリであって、前記温度センサは、請求項1に記載の温度センサであることを特徴とする、アセンブリ。
【請求項11】
前記バーナ(2)は、前記炎が出る面(6)に壁(4)を含み、前記壁(4)には前記温度センサのための受座(8)を構成する貫通孔が形成されており、前記温度センサは、溶接、はんだ付け、又は機械的変形によって前記壁(4)と一体化されていることを特徴とする、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記バーナは、ステンレス鋼からなり、前記温度変換装置は、インコネルからなるシースを有
することを特徴とする、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記接続要素(12)は、カンタルDからなることを特徴とする、請求項
1に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、対応する個別の独立請求項の前提部に記載する、ガスバーナ用温度センサ、及びガスバーナと該温度センサとからなるアセンブリである。
【背景技術】
【0002】
上記のように、本発明は、ガスバーナの炎が出る面の温度を測定するのに適した温度センサに関する。これは、バーナへの空気とガスの混合物の供給を適切に制御するために炎の存在を判断したり異常燃焼状態を判断したりするなどの安全上の理由からであるとともに、ユーザの要求に応じたバーナの動作を実現するためでもある。また、このような温度センサは、汚染に関する規則の観点から、想定される最適な範囲内でバーナが動作することを可能にする。このバーナは、家庭用、商業用、又は工業用のバーナであって、このような温度センサ付きのものである。
【0003】
バーナ温度を計測するためのいくつかの方式が知られているが、これらの解決手段はいずれも、適用性、性能、及び信頼性を低下させる技術的欠点を有している。このような欠点は、バーナと温度センサのアセンブリ及び/又は温度センサのみ(導体を有する熱電対を含む)が動作する物理化学的条件と、温度センサとバーナのアセンブリの製造プロセスに結びつけられる技術的な難しさとの両方によって決まる。
【0004】
このような解決手段の1つによると、温度センサの導体がバーナ表面に直接溶接される。しかしながら、温度センサをバーナに溶接するプロセスは非常に難しい。これは、温度センサを構成する材料(例えば、広く使用されている、K型と呼ばれる熱電対の場合、クロメルとアルメル)はバーナを構成する材料(例えば、ステンレス鋼)との相溶性がほとんどないことが多いためである。その結果、両部品間の接合領域には、溶接の均一性を促進せず、よってそれらの機械的特性を損なうことになる硬質で脆い金属間化合物が生じ得る。
【0005】
また、信頼性と性能は、温度センサの感応性素子が到達する高温(900℃以上になる可能性もある)や、定常状態の温度における温度センサとバーナのアセンブリの異なる部品間の温度勾配や、アセンブリを一部分とする適用先の動作モードに影響されやすいアセンブリ自体の熱過渡の影響を受ける。
【0006】
これに加えて、システム又は温度センサとバーナのアセンブリが接触し得る物質は、主に、空気、気体燃料、及び燃焼生成物である。一例として、いくつかの動作工程においては、水蒸気又は液体状態の水との接触も相俟って、金属の酸化が顕著になり、その結果、システムの機能劣化が顕著になる。このような劣化は、システムの部品構成要素の機械的特性、部品の化学組成の変化とその結果としての読み取り信号の変化、又はその他の公知の欠点に関係し得る。
【0007】
そのため、温度センサの導体をバーナ表面に溶接する公知の解決手段は、上記の全ての問題、つまり、温度センサからの温度信号出力の変化や溶接領域付近での亀裂及び破損の発生傾向の増加を決定づけるかもしれない問題が生じやすい。また、この形態では、温度センサを形成する熱電対の位置決めの正確さが限定され、読み取り信号の繰返し精度や品質に影響を及ぼす。
【0008】
EP2330346には、温度センサ又は熱電対をバーナに固定する別の方法が開示されている。EP2330346によると、熱電対は、熱電対の自由端に配置された金属要素又はヘッドと組み合わされており、該ヘッドは、温度計測対象となる環境(バーナ表面)への配置に適した先端と、熱電対が設置される受座を有する後方側とを有している。ヘッドは、この受座に対応して、その閉じた側、すなわち受座の端に、熱電対自体の末端から突出する2本の熱電対導体を収容するのに適した2つの孔を有する。このようにして、ヘッドがバーナ(通常、円筒状又は曲板状である)の内側からバーナ部分に形成された適切な受座(すなわち、貫通孔)に挿入されているときにヘッド自体によって測定される温度を直接測定するように、これらの導体をヘッドに直接接触させることができるようになっている。
【0009】
この解決手段によると、熱電対とバーナとの結合がより簡単かつ容易になり、温度センサ全体(熱電対と金属製ヘッドとを含む)をバーナ温度を有効に測定するように配置することができる。しかしながら、金属導体(断面が非常に小さい)をヘッドの孔に差し込む作業は、実行が容易ではなく、細心の注意が必要であり、もし、差し込みが、間違った方法で行われたり途中までしか行われなかったりすると、温度センサによる温度読み取り時のエラーの原因となる可能性もある。したがって、当該公知の解決手段は、経済的観点からだけではなく構造的観点からも短所を有しているということになる。
【0010】
これに加えて、EP2330346には、上記の金属製ヘッドがバーナ表面と同じ材料からなることが開示されているが、後者は、ヘッド自体が受ける熱疲労に対する耐性及びバーナへの溶接性に影響を与え、熱電対のステムを構成する材料(例えば、インコネル)との相溶性にも影響を与える。
【0011】
導体が、保護要素(1つ以上の管状金属シース又は編組保護部材など)の中に封入され、絶縁材料(典型的には酸化マグネシウム)に埋め込まれたタイプの熱電対センサが知られている。
【0012】
この解決手段によれば、熱電対の導体が、バーナ表面に直接溶接されることもなく、導体自体が、熱電対の動作環境に直接露出することもなく、構造的機能は、外部の保護要素に委ねられる。しかし、この場合もやはり、この種の熱電対をバーナに適用しようとすると、多くの欠点がある。
【0013】
まず、この種の温度センサの形状が、長さ方向において円筒状で、端部において回転楕円体状であるため、温度センサ又はその端部をバーナのシートに形成された孔に正確かつ反復的に差し込むことができない。その上、この場合も、熱電対の保護要素をバーナのシートメタルに溶接する必要があっても、それらを構成する材料に相溶性がなく有効に溶接できないため(例えば、非常によくあることだが、インコネルからなるシース状保護要素とステンレス鋼からなるバーナの場合)、溶接性の問題が生じる。実際のところ、熱電対とバーナを形成する上記材料は、それらの要素が異なる物理的/化学的応力を受け、それらの機能も異なるという点で、互いに異なるものである。
【0014】
さらに、熱電対の保護要素の厚さは通常非常に薄い(例えば、1mm未満、多くの場合0.5mm未満)ため、このような要素の溶接を行うことは非常に難しく、溶接作業(レーザーシステムによって、又はその他の技術を用いて行われる)中に穿孔されてしまう具体的な可能性がある。
【0015】
US5999081には、物体の温度を計測することを目的とした熱電対の代替となる装置として、抵抗式温度センサ(RTDもしくは測温抵抗体(resistance temperature detector)ともいう)を含む温度計測システムが開示されている。このようなRTDは、熱電対と比較すると、通常はより時間はかかるが、より正確な測定値を出力することができる装置である。
【0016】
RTDが配置される(セラミックセメントによって固定される)ケーシングは、温度計測対象となる物体の孔への装着のために、外面にねじが切られていることになると考えられる。
【0017】
US5999081に係る温度センサのタイプは、EP2330346に開示された温度センサのタイプとは全く異なる。そのため、EP2330346に開示された金属製ヘッドをUS5999081に使用することはできない。この理由は、US5999081に係る感温素子は、その全体が温度センサのケーシングの内部にあり、EP2330346に記載のヘッドの孔に差し込むことができないからである。したがって、上記感温素子は、上記ヘッドがバーナの受座に差し込まれているときに「感知する」温度を直接測定することはできないということになる。
【0018】
US5999081に係る温度センサのタイプは、EP2330346に記載の熱電対のタイプとは異なるものであり、後者の文献に記載のヘッドを上記温度センサの上に使用しても、バーナ温度の正しく正確な計測は保証されない。
【0019】
その上、US5999081に係る温度センサが動作する最高温度は、300℃までであり、これは、バーナ表面で到達される温度よりもはるかに低い温度である。したがって、上記米国特許の解決手段はバーナでの使用には適さない。
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、ガスバーナに適用した場合に公知の温度センサの欠点を克服する温度センサを提供することである。
【0021】
特に、本発明の目的は、高い位置決め再現性と、信号読み取り及び構造的機能の高信頼性及び高耐久性とを実現でき、材料の相溶性及び溶接性に関連する問題をなくすことができる、温度センサを提供することである。
【0022】
もう一つの目的は、バーナの温度を測定するために用いられる温度センサであって、温度センサ溶接/組立工程時の問題を軽減することができる温度センサを提供することである。
【0023】
これらの目的、及び当業者に明らかであるその他の目的は、請求項1に記載の温度センサによって達成される。
【0024】
本発明の目的はまた、高速組み立てと、安全な使用と、高耐久性と、高い計測再現性(経時的な再現性と、同一製造プロセスの種々の構成要素間での再現性との両方)とを特徴とし、バーナを汚染に関する規則に従った動作範囲内に保つためにバーナの最適な制御を提供する、温度センサとバーナとからなるアセンブリを提供することである。
【0025】
もう一つの目的は、温度センサとバーナとからなるアセンブリであって、該温度センサがバーナの動作の制御・安全装置としての機能を最適に果たすことができるアセンブリを提供することである。
【0026】
これらの目的と、当業者に明らかであるその他の目的とは、対応する独立請求項に記載した、温度センサとバーナとからなるアセンブリによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明をより良く理解するために、単なる例示であって非限定的なものとして、以下の図面を添付する。
【
図1】本発明に係る温度センサとバーナとを含むシステムの部分断面図である。
【
図2】
図1においてAで示した箇所の部分拡大図である。
【
図3】本発明に係る温度センサの斜視分解図である。
【
図4】
図2に示した温度センサ端部の拡大図である。
【
図5】本発明に係る温度センサの一部をなす熱電対の端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記の図面を参照すると、温度センサは、全体が参照符号1で示され、非限定的な例として円筒形状を有するバーナ2と組み合わされている。このバーナは、センサ1が内部に挿入された内側空洞又は内側部分3と、図示した実施形態においては相互に離間された内側部5と外側部6とを有する(二重)壁4とを有しており、公知の方法でバーナに空気とガスの混合物が供給されると、外側部6の下流に炎が出る。当然のことながら、壁4が一重壁であって一方の部分のみを有していてもよい。
【0029】
バーナは、壁4内に、温度センサの端部10を保持するのに適した受座8を有している。温度センサは、熱電対、サーミスタ、又は同等の温度変換装置によって形成され得る。本文書中では、便宜上、変換装置を常に「熱電対」という用語と同一とみなすものとし、この用語は、いずれにしても、あらゆる同等の温度変換装置を包含する最も広い意味で理解されるべきである。
【0030】
したがって、温度センサ1は、熱電対11と、温度センサ1の端部10に配置された接続要素12であって、温度センサ1をバーナに拘束するためにバーナの壁4の受座8に差し込むのに適した接続要素12とを含む。
【0031】
熱電対11は、鉱物酸化物16によって互いに離間された2本の金属導体15を含み、それら全てが、図示の例では公知の金属製保護シース17からなる保護要素に包まれている。上記導体は、熱電対11のヘッド、すなわち自由端18に溶接することによっていわゆる接地型接点熱電対を作製することもでき、上記ヘッド18と接触させることなく互いに溶接することによっていわゆる絶縁接点熱電対を作製することもできる。
【0032】
熱電対ヘッド18は、接続要素に差し込まれる。この接続要素12は、都合のよい形状に形成されており、壁4と適切に協働するのに適した任意の形状(すなわち、円筒形、楕円形、正方形、又はその他の形状)とすることができる。これにより、接続要素12は、熱電対11を保持して熱電対11をバーナの外側部6に接続するのに適したものとなっている。
【0033】
接続要素12は、第1の部分20を含み、この第1の部分20は、バーナ2の壁4に締まり嵌めされることで壁4内に形成された受座8(貫通孔として図示)の中心に配置されるとともに、温度センサがその軸線方向において正しく精密に温度センサを位置決めすることによって接続を行う形状になっている。
【0034】
より具体的には、接続要素12は、バーナの壁4の外面6と同一平面上に配置されるのに適した第1の端26を有する本体23を含み、この第1の端26は、それ自体は第1の部分20の端である。本体23は、熱質量(ひいては慣性)を過度に増加させることなくかつ過度のコストを伴うことなく熱電対11と正しく結合するのに十分な長さを有する第2の部分27を含む。例えば、直径2mmの熱電対用の上記接続要素の軸線方向長さは3mmとする。第2の部分27のこの長さは、ほぼ、熱電対の直径の約0.70~2.30倍の範囲である。第2の部分27の外端は、熱電対11のヘッド18を収容するのに適した受座、すなわち非貫通孔29が開口する本体自体の第2の端28となっている。
【0035】
接続要素12、ひいては温度センサ1全体を、溶接作業によって(限定はされないが、好ましくはレーザ技術によって)、又は別の方法(はんだ付け、機械的変形など)によって、壁4に固定することができる。接続要素12は、機械的変形によって熱電対11に都合よく固定することができるが、溶接、はんだ付け、又は別の方式によっても固定することができる。いくつかの固定方法(例えば、機械的変形とレーザスポット溶接)をともに使用することも可能である。
【0036】
したがって、接続要素12は、管状中空部分27において円筒形であり、この管状中空部分は、バーナの壁4の受座8への接続要素12の差し込みを停止させるのに適した段差50をもたらすように、当該管状中空部分27よりも断面(又は直径)が小さい同じく円筒形の第1の部分20へと続いている。当然ながら、上記管状中空部分27に対する上記第1の部分20の長さは、受座8に応じて変更される。
【0037】
熱電対の受座29は、非貫通孔であり、図示した実施形態において、受座の内端は、本体23に対応して、少なくとも一方の端部分31が、熱電対の長手方向軸線Wに向かって収束している、又は角度を付けられている。この内端部分は、円錐台若しくは円錐、角錐、回転楕円体、又はその他の形状で、いくつかの面が1つの点又は端領域Kに収束する形状を有していてもよい。上記内端部分31の円錐度(すなわち、上記領域もしくは点K又は温度センサ1の長手方向軸線Wに向かって収束している上記部分31の壁がなす傾斜又は角度)は、0°~75°の範囲であり、熱電対のヘッド18が接触すること、したがって、横方向において当該内端部分31の少なくとも一部によって支えられること及び接続要素12の第2の部分27の受座29の残りの壁に沿って位置することを可能にし、それにより、上記接続要素12との広い熱交換領域を形成するとともに、金属導体15が、上記接続要素12自体に直接に差し込み及び接続されないようにする。このことによって、温度センサ1(すなわち、熱電対11と接続要素12)の組み立てが容易になり、接続要素を介したバーナから熱電対11の金属導体15への熱の伝達が最適になり、それにより、温度センサ1全体の経時的信頼性、ひいてはバーナ2の壁4の温度を計測する際の正確度が高まる。
【0038】
本実施形態の一変形例において、受座29は、異なる形状を有する端部分31を有していてもよい。例えば、端部分31は、軸線Wに対して末広がり状であって、ろう付け材を有していてもよく、図示とは反対の凹状を有していてもよい。
【0039】
本実施形態のさらなる変形例において、接続要素12の受座29の構成と熱電対のヘッド18の構成とが、広い面(上記受座の環状面)上で全面的に接触しなくてもよい。このことも、温度センサ1の製造方法によっては、起こり得る。実際のところ、製造工程においては、接続要素12が、熱電対11を収容し、前述の方法のいずれかによって熱電対11に固定されるが、接続要素12の外壁が、熱電対11の外面と受座29との締まり嵌めが達成されるように径方向の機械的応力(「ハンマー打ち」)を受けてもよい。
【0040】
したがって、上記で説明した理由により、熱電対と接続要素との接触が不連続になってもよい。いずれにしても、この接触が不連続であるか連続であるかに関係なく、本明細書においては、上記の各部分間の協働を常に「接触」(「接触する」又は「接触することにより」)と総称する。
【0041】
インコネル材(又はニッケル・クロム・アルミニウム系合金)からなるワン・シース型熱電対11を、ステンレス鋼(例えば、フェライト系ステンレス鋼、又はアルミニウムが添加されたフェライト系ステンレス鋼もしくは任意のFe-Cr-Al合金)からなる予混合タイプの円筒形バーナに適用するのに特に適した一実施形態において、接続要素12は、上記の幾何学的特性を有し、カンタル(Kantal)D(又は別の鉄・クロム・アルミニウム合金)から好ましくは製造される。
【0042】
適切に選択された形状及び寸法を有する上記材料の接続要素12の存在は、材料間の相溶性の問題を軽減又は解消し、熱電対11のシース17を劣化させることなく、温度センサ1をバーナの壁4に溶接するための溶接作業を可能にする。注目べきことに、このような形状及び寸法は、本出願人が実施した試験によって実証されたように、熱電対のシースの穿孔を防止することも可能にする。この問題は、従来の上記先行技術文献では取り扱われていなかった。その理由は、それらには部品が互いに溶接された温度センサが記載されていない(US5999081参照)ことと、温度センサが本発明に係る温度センサとは構造的に非常に異なることである。
【0043】
また、鉄・クロム・アルミニウム合金(例えば、カンタル)からなる材料を選択することは、900℃をも超える高い温度値を測定するの適した有用な温度センサを製造するのに最適であることが、実験によって試験され証明されている。上記材料は、温度センサ1の製造工程に関わる材料の溶接性(溶接が行われる場合)と、このような温度センサの使用時の耐酸化性及び機械的疲労とについて、最適な特性を提供する。言い換えれば、上記合金(例えば、カンタル)の使用によって温度センサの経時的信頼性が向上し、亀裂、劣化、及びその結果としての破損が温度センサに生じることが防止される。
【0044】
温度センサ1を円筒形のバーナと組み合わせた実施形態を説明した。もちろん、このようなバーナは、例えば扁平形状などの、他の形状を有してもよく、熱電対11(又は温度変換装置)は、全ての導体15がそれぞれのシース若しくは保護要素、又は(金属製又は非金属製の)編組保護部材で被覆されていてもよい。実際のところ、本発明は、特にガスバーナの金属製の本体上で、高温及び/又は高温変化を短縮された時間で計測する際の信頼性及び耐久性を保証する必要がある用途であればいかなる用途にも適している。