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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】接着剤および該接着剤を含むベアリング
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/30 20180101AFI20240322BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20240322BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240322BHJP
   C09J 127/16 20060101ALI20240322BHJP
   C09J 171/00 20060101ALI20240322BHJP
   C09J 167/03 20060101ALI20240322BHJP
   C09J 177/00 20060101ALI20240322BHJP
   C09J 181/06 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
C09J7/30
F16C33/20 A
C09J201/00
C09J127/16
C09J171/00
C09J167/03
C09J177/00
C09J181/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021568645
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020033186
(87)【国際公開番号】W WO2020236614
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】62/849,744
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Performance Plastics, Corporation
【住所又は居所原語表記】31500 Solon Road Solon, 44139 OH USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、ドンイエップ
(72)【発明者】
【氏名】ドン、ジン
(72)【発明者】
【氏名】メキーレフ、ナフィー
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-536119(JP,A)
【文献】特表2014-518989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/30
F16C 33/20
C09J 201/00
C09J 127/16
C09J 171/00
C09J 167/03
C09J 177/00
C09J 181/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上にある接着層と、
前記接着層上にある摺動層とを含むベアリングであって、
前記接着層は、変性フッ素ポリマーと非フッ素化ポリマーからなるポリマーブレンドを含み、前記変性フッ素ポリマーは第1のポリマーであり、前記非フッ素化ポリマーは第2のポリマーであり、前記変性フッ素ポリマーは官能基を含み、前記第1のポリマーの含有量と前記第2のポリマーの含有量との比が、60:40超かつ最大99:1であり、
前記官能基は、水酸基(-OH)、フッ化カルボニル(-COF)、カルボキシル基(-COOH)、無水物基、アクリラート基(-CH =CHCOOH)、グリシジルメタクリラート基(-CH C(CH )COOCH (CHCH O))、またはそれらの組み合わせを含み、
前記第2のポリマーは、スルホン基、エーテル基、芳香環、またはそれらの任意の組み合わせを含む、
ベアリング。
【請求項2】
基材と、
前記基材上にあり、前記基材と接触している接着層と、
前記接着層上にある摺動層とを含むベアリングであって、
前記接着層は、変性フッ素ポリマーとスルホン基を含む非フッ素化ポリマーからなるポリマーブレンドを含み、前記変性フッ素ポリマーは変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)を含み、前記変性フッ素ポリマーは第1のポリマーであり、前記非フッ素化ポリマーは第2のポリマーであり、及び
前記第1のポリマーは、前記ポリマーブレンドの総重量に対して60重量%超えの含有量である、
ベアリング。
【請求項3】
前記ポリマーブレンドが、前記第1のポリマーを含む連続相と前記連続相中に分散した前記第2のポリマーのドメインとを含む、
請求項1又は2に記載のベアリング。
【請求項4】
前記ドメインは、最大9ミクロンの平均サイズを有する、
請求項3に記載のベアリング。
【請求項5】
前記ドメインは、少なくとも0.4ミクロン及び最大6ミクロンの平均サイズを有する、
請求項4に記載のベアリング。
【請求項6】
前記第1のポリマーが、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)、変性ペルフルオロアルコキシエチレン(mPFA)、変性テトラフルオロ-エチレン-ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(mMFA)、変性エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(mECTFE)、変性テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン(mFEP)、および変性ポリフッ化ビニリデン(mPVDF)からなる群から選択される、
請求項1に記載のベアリング。
【請求項7】
前記第2のポリマーが、ポリエーテル、芳香族ポリエステル、芳香族および直鎖のポリアミド、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1又は2に記載のベアリング。
【請求項8】
前記第2のポリマーが、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項1に記載のベアリング。
【請求項9】
前記第2のポリマーが、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項6に記載のベアリング。
【請求項10】
前記接着層は少なくとも75N/0.0254mの剥離強度を有し、前記剥離強度はASTM D 1876-01に従ったT剥離試験によって測定される、
請求項1又は2に記載のベアリング。
【請求項11】
前記接着層は、5ミクロンから100ミクロンの範囲の厚みを有する、
請求項1又は2に記載のベアリング。
【請求項12】
前記第1のポリマーが、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)を含む、
請求項1に記載のベアリング。
【請求項13】
前記変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)が、無水物基を含む官能基を含む、
請求項2又は12に記載のベアリング。
【請求項14】
前記第2のポリマーがポリエーテルスルホン(PES)を含む、
請求項13に記載のベアリング。
【請求項15】
前記第2のポリマーがポリエーテルスルホン(PES)を含む、
請求項2に記載のベアリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着層および該接着層を含むベアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の接着剤は、ベアリングの製造に使用することができる。例えば、接着層を使用してポリマー層と金属支持体とを結合してもよく、そのためには、結合不良を回避するために両方の材料に対する接着剤の十分な接着強度が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
業界では、ベアリングの製造のために改善された接着剤が引き続き求められている。
実施形態を例として示すが、添付の図面に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】例となるポリマーブレンドの走査型電子顕微鏡画像を含む。
図2】接着層の試料の剥離強度の図を含む。
図3】別の接着層試料の剥離強度の図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者であれば、図中の要素が簡略化して明瞭に示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解する。例えば、図中の要素のうちいくつかの寸法は、本発明の実施形態のより良い理解を助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0006】
以下の記載は、図面と組み合わせて、本明細書に開示される教示の理解を助けるために提供される。以下の考察は、本教示の特定の実施態様および実施形態に焦点を当てている。この焦点は、本教示の記載を助けるために提供されるものであり、本教示の範囲または適用可能性に対する限定であると解釈すべきではない。そうではなく、本出願に開示される教示に基づいて、他の実施形態を使用することができる。
【0007】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはそれらの何らかの他の変化形は、非排他的包含物を網羅することを意図している。例えば、特徴の列挙を含む方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない他の特徴、またはそれらの方法、物品、もしくは装置に固有の他の特徴を含み得る。さらに、別段の明示的な記載がない限り、「または(or)」は、包含的な「または」を指し、排他的な「または」を指すものではない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)、Bが真である(または存在する)、およびAとBの両方が真である(または存在する)。
【0008】
また、「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、本明細書に記載の要素および構成要素を記載するために用いられる。これは、単に便宜上行われるとともに、本発明の範囲の一般的な意味を述べるために行われる。この記載は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、または複数も含むような単数形、もしくはその逆を含むものと解釈すべきである。例えば、1つの物が本明細書に記載される場合、1つの物の代わりに2つ以上の物を使用してもよい。同様に、2つ以上の物が本明細書に記載される場合、その2つ以上の物を1つの物に置き換えてもよい。
【0009】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。材料、方法、および例は例示にすぎず、限定的であることを意図するものではない。本明細書に記載がない限り、特定の材料および処理行為に関する多くの詳細は従来のものであり、本開示が属する技術分野における教科書および他の情報源に見出され得る。
【0010】
本明細書に開示される実施形態は、接着層に関する。接着層は、第1のポリマーと、第1のポリマーとは異なる第2のポリマーとのポリマーブレンドを含み得る。接着層は、改善された特性、例えば機械的強度、例えば向上した剥離強度、破断伸び、またはその両方を有し得る。
【0011】
さらなる実施形態は、基材上に配置された接着層を含むベアリングに向けられ得る。ベアリングは、接着層上に配置された摺動層をさらに含み得る。ベアリングは、改善された寿命を有し得る。
【0012】
一実施形態では、接着層は、第1のポリマーと第2のポリマーとのポリマーブレンドを含み得、第1のポリマーはフッ素ポリマーである。一態様では、第1のポリマーは、変性フッ素ポリマーであり得る。特定の態様では、変性フッ素ポリマーは、官能基、例えば水酸基(-OH)、フッ化カルボニル(-COF)、カルボキシル基(-COOH)、無水物基、アクリラート基(-CH=CHCOOH)、グリシジルメタクリラート基(-CHC(CH)COOCH(CHCHO))、またはそれらの組み合わせを含み得る。別の特定の態様では、変性フッ素ポリマーは、変性エチレンテトラフルオロエチレン(以下、ETFEと呼ぶ)、変性ペルフルオロアルコキシエチレン(mPFA)、変性テトラフルオロ-エチレン-ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(mMFA)、変性エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(mECTFE)、変性テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン(mFEP)、変性ポリフッ化ビニリデン(mPVDF)、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。より特定の態様では、第1のポリマーは、変性ETFEから本質的になり得る。さらにより特定の態様では、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)は、無水物基を含む官能基を含み得る。
【0013】
一実施形態では、接着層は、接着層の性能および特性の改善を促すことができる特定の含有量の第1のポリマーを含み得る。一態様では、第1のポリマーの含有量は、ポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも5重量%、例えばポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも9重量%、少なくとも11重量%、少なくとも13重量%、少なくとも16重量%、少なくとも19重量%、少なくとも22重量%、少なくとも25重量%、少なくとも28重量%、少なくとも33重量%、少なくとも36重量%、少なくとも39重量%、少なくとも43重量%、少なくとも46重量%、少なくとも50重量%、少なくとも53重量%、少なくとも55重量%、少なくとも58重量%、または少なくとも60重量%であり得る。特定の態様では、第1のポリマーの含有量は、ポリマーブレンドの総重量に対して60重量%超、例えばポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも61重量%、少なくとも63重量%、少なくとも64重量%、少なくとも65重量%、少なくとも66重量%、少なくとも69重量%、少なくとも70重量%、少なくとも71重量%、少なくとも73重量%、少なくとも75重量%、少なくとも78重量%、少なくとも79重量%、少なくとも80重量%、少なくとも82重量%、少なくとも85重量%、少なくとも88重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも97重量%であり得る。
【0014】
別の態様では、接着層は、ポリマーブレンドの総重量に対して最大99重量%、ポリマーブレンドの総重量に対して最大97重量%、最大93重量%、最大90重量%、最大88重量%、最大84重量%、最大81重量%、最大78重量%、最大75重量%、最大72重量%、最大70重量%、最大78重量%、最大75重量%、最大72重量%、最大70重量%、最大66重量%、最大65重量%、最大63重量%、最大60重量%、最大58重量%、最大54重量%、最大52重量%、最大50重量%、最大48重量%、最大45重量%、最大42重量%、最大40重量%、最大37重量%、最大35重量%、最大32重量%、最大30重量%、最大28重量%、最大26重量%、最大24重量%、または最大21重量%の含有量で第1のポリマーを含み得る。さらに、接着層は、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかを含む範囲の含有量で第1のポリマーを含み得る。例えば、第1のポリマーの含有量は、ポリマーブレンドの総重量に対して5重量%から99重量%の範囲内であり得る。特定の例では、接着層は、ポリマーブレンドの総重量に対して60重量%超から99重量%の範囲の含有量、例えば61重量%から99重量%の範囲、70重量%から97重量%の範囲、または80重量%から95重量%の範囲の含有量で第1のポリマーを含み得る。
【0015】
一実施形態では、第1のポリマーは、接着層の形成および特性の改善を促すことができる特定の溶融温度を有し得る。例えば、第1のポリマーの溶融温度は、少なくとも190℃、少なくとも200℃、少なくとも210℃、または少なくとも220℃であり得る。別の例では、第1のポリマーは、最大300℃、例えば最大290℃、最大280℃、または最大270℃の溶融温度を有し得る。第1のポリマーの溶融温度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、第1のポリマーの溶融温度は、190から300℃の範囲、例えば220℃から270℃の範囲内であり得る。
【0016】
さらなる実施形態では、第1のポリマーは、ASTM D-1238に従って測定して、少なくとも3g/10分、少なくとも5g/10分、または少なくとも8g/10分のメルトフローレートを有し得る。さらなる実施形態では、第1のポリマーのメルトフローレートは、ASTM D-1238に従って測定して、最大25g/10分、最大22g/10分、または最大20g/10分であり得る。メルトフローレートは、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかの範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、メルトフローレートは、ASTM D-1238に従って測定して、3g/10分から25g/10分の範囲、5g/10分から22g/10分の範囲、または8から20g/10分の範囲内であり得る。
【0017】
一実施形態では、接着層は、第1のポリマーと第2のポリマーとのポリマーブレンドを含み得、第2のポリマーは非フッ素化ポリマーである。一態様では、第2のポリマーは、スルホン基、エーテル基、芳香環、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。別の態様では、第2のポリマーは、ポリエーテル、芳香族ポリエステル、芳香族および直鎖のポリアミド、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、第2のポリマーは、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、またはそれらの組み合わせを含み得る。特定の例では、第2のポリマーは、ポリエーテルスルホン(PES)を含み得る。より特定の例では、第2のポリマーは、ポリエーテルスルホン(PES)から本質的になり得る。
【0018】
一実施形態では、接着層は、接着層の形成および/または特性の改善を促すことができる特定の含有量で第2のポリマーを含み得る。例えば、接着層は、第2のポリマーを、ポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも1重量%の含有量、例えばポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも7重量%、少なくとも9重量%、少なくとも11重量%、少なくとも13重量%、少なくとも16重量%、少なくとも19重量%、少なくとも22重量%、少なくとも25重量%、少なくとも28重量%、少なくとも33重量%、少なくとも36重量%、少なくとも39重量%、少なくとも43重量%、または少なくとも46重量%の含有量で含み得る。別の例では、第2のポリマーの含有量は、ポリマーブレンドの総重量に対して最大95重量%、例えばポリマーブレンドの総重量に対して最大93重量%、最大90重量%、最大88重量%、最大84重量%、最大81重量%、最大78重量%、最大75重量%、最大72重量%、最大70重量%、最大78重量%、最大75重量%、最大72重量%、最大70重量%、最大66重量%、最大63重量%、最大60重量%、最大58重量%、最大54重量%、最大52重量%、最大50重量%、最大48重量%、最大45重量%、最大42重量%、最大40重量%、最大39重量%、最大37重量%、最大35重量%、最大32重量%、最大30重量%、最大28重量%、最大26重量%、最大24重量%、最大21重量%、最大18重量%、最大15重量%、最大12重量%、最大10重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大5重量%、または最大3重量%であり得る。特定の態様では、接着層は、50重量%未満の含有量、例えば40重量%未満の含有量の第2のポリマーを含み得る。さらに、接着層は、本明細書に開示される最小百分率および最大百分率のいずれかを含む範囲の含有量の第2のポリマーを含み得る。例えば、第2のポリマーの含有量は、1重量%から50重量%未満の範囲、または5重量%から40重量%未満の範囲内であり得る。特定の例では、接着層は、5重量%から20重量%の範囲の含有量の第2のポリマーを含み得る。
【0019】
一実施形態では、接着層は、接着層の形成および/または特性の改善を促すことができる、第1のポリマーの含有量Cと第2のポリマーの含有量Cとの特定の比C/Cを含み得る。一態様では、比C/Cは、少なくとも5:95、少なくとも10:90、少なくとも15:85、少なくとも20:80、少なくとも25:75、少なくとも35:65、少なくとも50:50、少なくとも55:45、または少なくとも60:40であり得る。特定の態様では、比C/Cは、60:40超、例えば少なくとも63:37、または少なくとも65:35、または少なくとも67:33、または少なくとも70:30、または少なくとも73:27、または少なくとも75:25、または少なくとも78:22、または少なくとも80:20、または少なくとも83:17、または少なくとも85:15、または少なくとも87:13、または少なくとも89:11、または少なくとも90:10、または少なくとも93:7、または少なくとも95:5であり得る。別の態様では、比C/Cは、最大99:1、最大95:5、最大90:10、最大88:12、最大85:15、最大83:17、最大80:20、最大77:23、最大75:25、最大72:28、最大70:30、最大68:32、最大65:35、最大60:40、最大55:45、最大50:50、最大46:54、最大44:56、最大41:59、最大38:62、最大34:66、または最大30:70であり得る。さらなる態様では、比C/Cは、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得る。例えば、比C/Cは、60:40超から99:1の範囲、または65:35から97:3の範囲内であり得る。特定の例では、比C/Cは、80:30から95:5の範囲内であり得る。
【0020】
一実施形態では、第2のポリマーは、接着層の形成および特性の改善を促すことができる溶融温度を有し得る。例えば、第2のポリマーの溶融温度は、少なくとも135℃、例えば少なくとも150℃、または少なくとも170℃であり得る。別の実施形態では、第2のポリマーは、最大350℃、例えば最大315℃、最大300℃、または最大280℃の溶融温度を有し得る。第2のポリマーの溶融温度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。
【0021】
別の実施形態では、第2のポリマーは、接着層の形成および特性の改善を促すことができるガラス転移温度を有し得る。例えば、第2のポリマーのガラス転移温度は、少なくとも140、例えば少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170℃、または少なくとも190℃であり得る。別の例では、第2のポリマーは、最大315℃、例えば最大300℃、または最大280℃のガラス転移温度を有し得る。第2のポリマーのガラス転移温度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、第2のポリマーのガラス転移温度は、140から315℃の範囲、例えば170から315℃の範囲、または190℃から300℃の範囲内であり得る。
【0022】
一実施形態では、第2のポリマーは、接着層の形成および特性の改善を促すことができるメルトフローレートを有し得る。例えば、第2のポリマーのメルトフローレートは、ASTM D-1238に従って測定して、少なくとも0.5g/10分、少なくとも1g/10分、または少なくとも3g/10分であり得る。さらなる例では、第2のポリマーは、ASTM D-1238に従って測定して、最大25g/10分 20g/10分、最大18g/10分、または最大15g/10分のメルトフローレートを有し得る。第2のポリマーは、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかの範囲内のメルトフローレートを有し得ることが理解されよう。例えば、第2のポリマーのメルトフローレートは、ASTM D-1238に従って測定して、0.5g/10分から25g/10分の範囲、1g/10分から18g/10分の範囲、または3から15g/10分の範囲内であり得る。
【0023】
別の実施形態では、接着層は、変性フッ素ポリマーと非フッ素化ポリマーとのポリマーブレンドを含み得る。特定の実施形態では、接着層は、変性フッ素ポリマーと非フッ素化ポリマーとのポリマーブレンドから本質的になり得る。より特定の実施形態では、接着層は、変性フッ素ポリマーおよび非フッ素化ポリマーから本質的になり得、変性フッ素ポリマーは、変性ペルフルオロアルコキシエチレン(mPFA)、変性テトラフルオロ-エチレン-ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(mMFA)、変性エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(mECTFE)、変性テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン(mFEP)、および変性ポリフッ化ビニリデン(mPVDF)から選択することができ、非フッ素化ポリマーは、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、またはそれらの組み合わせから選択することができる。さらにより特定の実施形態では、接着層は、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)およびポリエーテルスルホン(PES)から本質的になり得る。別のさらにより特定の実施形態では、接着層は、変性ペルフルオロアルコキシエチレン(mPFA)およびポリエーテルスルホン(PES)から本質的になり得る。
【0024】
第1のポリマーおよび第2のポリマーは、本明細書の実施形態に記載の含有量でブレンドすることができる。いくつかの実施態様では、二軸スクリューコンパウンダーを用いて第1のポリマーと第2のポリマーとをブレンドし、均一な分散液を形成することができる。いくつかの実施態様では、押し出しを行ってブレンドから接着層を形成してもよい。例えば、ブレンドをペレットに切断し、単軸押出機を用いて押し出してもよい。一実施形態では、接着層は、第1のポリマーの連続相を含み得、この連続相中には第2のポリマーが分散している。一態様では、接着層は、第1のポリマー相中に分散した第2のポリマーのドメインを含み得、特定の態様では、第2のポリマーのドメインは、第1のポリマーの相中に均一に分散し得る。図1を参照すると、接着層の一部の走査型電子顕微鏡画像が示されている。接着層100は、第1のポリマーの連続相101と、連続相101中に分散した第2のポリマーのドメイン102とを含む。
【0025】
別の態様では、第2のポリマーのドメインは、接着層の形成および特性の改善を促すことができる特定のドメインサイズを含み得る。例えば、第2のポリマーのドメインは、10ミクロン未満の平均ドメインサイズ、例えば最大9ミクロン、最大8ミクロン、最大6ミクロン、最大5ミクロン、最大4ミクロン、または最大3ミクロンの平均ドメインサイズを有し得る。別の例では、第2のポリマーのドメインは、少なくとも0.4ミクロン、少なくとも0.6ミクロン、少なくとも0.8ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、または少なくとも2ミクロンの平均ドメインサイズを有し得る。第2のポリマーのドメインは、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲、例えば0.4ミクロンから10ミクロン未満の範囲、または0.6ミクロンから6ミクロンの範囲の平均ドメインサイズを有し得ることが理解されよう。
【0026】
一実施形態では、ポリマーブレンドは、特定の複素粘度を有し得る。例えば、滲出の問題を防ぐことができるように、複素粘度は、積層工程に適するように調整することができる。さらなる実施形態では、第1のポリマーおよび第2のポリマーは、望ましい複素粘度を得るために特定のメルトフローレートを有するように選択することができる。別の実施形態では、第1のポリマーおよび第2のポリマーの少なくとも一方の重量含有率を調整することにより、所望の複素粘度を有するブレンドの形成を促すことができる。
【0027】
ポリマーブレンドの複素粘度は、25mmの平行プレート固定具を備えたARES回転式レオメータ(TA Instruments)を用いて測定される。昇温は、280℃から310℃まで、1Hzで25%の歪み率で実施される。
【0028】
一実施形態では、ポリマーブレンドは、300℃で1rad/sで測定して、少なくとも8.5×10Pa・sの複素粘度を有し得る。例えば、複素粘度は、300℃で1rad/sで測定して、少なくとも1.0×10Pa・s、少なくとも1.5×10Pa・s、少なくとも2.5×10Pa・s、少なくとも3×10Pa・s、少なくとも4.2×10Pa・s、少なくとも4.6×10Pa・s、少なくとも5.0×10Pa・sであり得る。別の例では、複素粘度は、300℃で1rad/sで測定して19.8×10Pa・s以下、例えば300℃で1rad/sで測定して最大19.3×10Pa・s、最大18.8×10Pa・s、最大18.2×10Pa・s、最大17.8×10Pa・s、または最大17.5×10Pa・sであり得る。ポリマーブレンドの複素粘度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、ポリマーブレンドの複素粘度は、300℃で1rad/sで測定して、3.5×10Pa・sから19.8×10Pa・sの範囲、例えば9.2×10Pa・sから18.2×10Pa・sの範囲、または10.2×10Pa・sから17.8×10Pa・sの範囲内であり得る。
【0029】
一実施形態では、ポリマーブレンドの溶融温度は、第1のポリマーの溶融温度よりも高くすることができる。例えば、ポリマーブレンドの溶融温度は、第1のポリマーの溶融温度よりも少なくとも10℃高く、例えば少なくとも15℃、または少なくとも20℃高くすることができる。別の例では、ポリマーブレンドの溶融温度は、第1のポリマーの溶融温度よりも最大40℃高く、例えば第1のポリマーの溶融温度よりも最大30℃高く、最大25℃高く、または最大20℃高くすることができる。別の例では、ポリマーブレンドの溶融温度は、第1のポリマーの溶融温度と同じであってもよい。さらに別の例では、ポリマーブレンドの溶融温度は、第1のポリマーの溶融温度よりも低くてもよい。ポリマーブレンドと第1のポリマーとの溶融温度の差は、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。
【0030】
一実施形態では、ポリマーブレンドは、接着層およびベアリングの形成および/または特性の改善を促すことができる特定の溶融温度を有し得る。例えば、ポリマーブレンドの溶融温度は、最大280℃、最大270℃、または最大265℃であり得る。別の実施形態では、接着層の溶融温度は、少なくとも245℃、例えば少なくとも250℃、または少なくとも255℃であり得る。ポリマーブレンドの溶融温度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得る。別の実施形態では、溶融温度は、第1のポリマーおよび第2のポリマーの含有量を、様々な用途に適合するように変更することによって調整することができる。
【0031】
一実施形態では、ポリマーブレンドは、第2のポリマーのガラス転移温度よりも高い特定のガラス転移温度(Tg)を有し得る。例えば、ポリマーブレンドのガラス転移温度は、第2のポリマーのガラス転移温度よりも少なくとも10℃高く、少なくとも15℃高く、または少なくとも20℃高くすることができる。別の例では、ポリマーブレンドのガラス転移温度は、第2のポリマーのガラス転移温度よりも最大50℃高く、最大40℃高く、または最大30℃高くすることができる。ポリマーブレンドと第2のポリマーとのガラス転移温度の差は、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。
【0032】
一実施形態では、ポリマーブレンドは、接着層およびベアリングの形成および/または特性の改善を促すことができる特定のガラス転移温度(Tg)を有し得る。例えば、ポリマーブレンドは、少なくとも180℃、例えば少なくとも190℃、または少なくとも200℃のガラス転移温度を有し得る。別の例では、ポリマーブレンドは、最大350℃、例えば最大340℃、または最大330℃のガラス転移温度を有し得る。ポリマーブレンドのガラス転移温度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、ポリマーブレンドのガラス転移温度は、180℃から350℃の範囲、または190℃から330℃の範囲内であり得る。
【0033】
一実施形態では、接着層は、特定の剥離強度を有し得る。本明細書に開示されるとおり、剥離強度は、ASTM D 1876-01に従ってT剥離試験によって測定され、5層積層構造体について試験される。積層構造体は、下から上に向かって順に、第1の亜鉛めっき鋼バッキング(backing)と、接着層の第1の層と、摺動層と、接着層の第2の層と、第2の亜鉛めっき鋼バッキングとを含む。幅25mmの各層の試験片を、本明細書に開示されるとおり互いに重ねて配置し、ラボスケールプレスを用いて315℃で5分間押圧する。T剥離試験では、亜鉛めっき鋼バッキングを、クランプを用いて引き剥し、亜鉛めっき鋼バッキングを引き離すのに必要な剥離力を、Instron機械試験システム(例えば、3369Dual Column Universal試験システム)を用いて測定する。様々な組成を有する摺動層を用いて試験を行うことができる。
【0034】
一態様において、接着層は、75N/in、少なくとも80N/in、少なくとも85N/in、少なくとも90N/in、少なくとも95N/in、少なくとも100N/in、少なくとも105N/in、少なくとも110N/in、少なくとも115N/in、少なくとも120N/in、少なくとも125N/in、少なくとも130N/in、少なくとも135N/in、少なくとも140N/in、少なくとも145N/in、少なくとも150N/in、または少なくとも155N/inの剥離強度を有し得る。別の態様では、接着層は、最大190N/in、例えば最大185N/in、最大180N/in、最大175N/in、最大170N/in、または最大165N/inの剥離強度を有し得る。接着層の剥離強度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、接着層は、75N/inから190N/inの範囲の剥離強度を有し得る。本明細書に開示される剥離強度は、少なくとも3つの5層積層構造体の測定値の平均であると理解されよう。
【0035】
一実施形態では、剥離強度は、接着層の厚みを調整することによって変更され得る。例えば、接着層の厚みを厚くすると、剥離強度を高めることができる。いくつかの用途では、より強固な結合をもたらすために、より厚い接着層が望ましい場合がある。一実施形態では、接着層の厚みは、少なくとも5ミクロン、例えば少なくとも8ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも12ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも18ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも22ミクロン、少なくとも25ミクロン、または少なくとも30ミクロンであり得る。別の実施形態では、厚みは、最大100ミクロン、例えば最大95ミクロン、最大93ミクロン、最大90ミクロン、最大85ミクロン、最大80ミクロン、最大75ミクロン、最大70ミクロン、最大65ミクロン、最大60ミクロン、最大55ミクロン、最大50ミクロン、最大48ミクロン、最大43ミクロン、または最大40ミクロンであり得る。接着層の厚みは、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、接着層の厚みは、5ミクロンから100ミクロンの範囲内であり得る。
【0036】
さらなる実施形態では、接着層は、正規化剥離強度(normalized peel strength)を有し得る。正規化剥離強度は、剥離強度を接着層の厚みで割ることによって求めることができる。例えば、本開示の実施形態に記載の接着層は、少なくとも2N/in/ミクロンの正規化剥離強度、例えば少なくとも3N/in/ミクロン、少なくとも3N/in/ミクロン、または少なくとも4N/in/ミクロンの正規化剥離強度を有し得る。別の例では、接着層の正規化剥離強度は、最大35N/in/ミクロン、例えば最大30N/in/ミクロン、最大25N/in/ミクロン、最大20N/in/ミクロン、最大15N/in/ミクロン、最大10N/in/ミクロン、最大8N/in/ミクロン、または最大6N/in/ミクロンであり得る。正規化剥離強度は、本明細書に開示される最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、正規化剥離強度は、2N/in/ミクロンから35N/in/ミクロンの範囲、3N/in/ミクロンから20N/in/ミクロンの範囲、または4N/in/ミクロンから8N/in/ミクロンの範囲内であり得る。
【0037】
一実施形態では、接着層は、長手方向の破断伸びおよび横方向の破断伸びを有し得る。本明細書に開示されるとおり、長手方向は押出方向であり得、横方向は長手方向に対して垂直であり得る。長手方向の破断伸びは、式(Lbreak-L)/L×100%によって計算され、式中、Lbreakは、接着層の破断時の長さであり、Lは、長手方向に延伸される前の接着層の元の長さである。横方向の破断伸びは、式(Wbreak-W)/W×100%によって計算され、式中、Wbreakは、接着層の破断時の幅であり、Wは、横方向に延伸される前の接着層の元の幅である。2つの方向の破断伸びは、異なっていてもよく、または類似していてもよい。特定の実施形態では、長手方向の破断伸びは、横方向の破断伸びよりも小さくなくてもよい。本明細書で使用される場合の破断伸びは、ASTM-D 638に従って測定される。破断伸びは、少なくとも3つの試料の測定値の平均であると理解されよう。
【0038】
一実施形態では、接着層は、長手方向、横方向、またはその両方の望ましい破断伸びを有し得る。一態様では、接着層の横方向の破断伸びは、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも45%、少なくとも60%、少なくとも80%、少なくとも100%、少なくとも140%、少なくとも180%、または少なくとも200%であり得る。さらなる態様では、横方向の破断伸びは、最大200%、最大180%、最大150%、最大100%、最大80%、最大50%、最大30%、または最大20%であり得る。横方向の破断伸びは、本明細書に開示される最小百分率および最大百分率のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、横方向の破断伸びは、2%から200%の範囲内であり得る。
【0039】
別の態様では、押出方向の伸びは、少なくとも65%、例えば少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、または少なくとも150%であり得る。別の態様では、長手方向の破断伸びは、最大350%、最大300%、最大280%、または最大230%であり得る。本開示では、長手方向と押出方向とは交換可能に使用される。長手方向の破断伸びは、本明細書に開示される最小百分率および最大百分率のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、長手方向の破断伸びは、65%から350%の範囲内であり得る。
【0040】
さらなる実施形態では、接着層は、長手方向の破断伸びと横方向の破断伸びとの比を有し得る。例えば、この比は、少なくとも1、例えば少なくとも1.5:1、または少なくとも2であり得る。別の例では、この比は、最大15、例えば最大11、最大7、最大5、または最大4であり得る。長手方向の破断伸びと横方向の破断伸びとの比は、本明細書に開示される最小比および最大比のいずれかを含む範囲内であり得ることが理解されよう。例えば、この比は、1から15の範囲内であり得る。
【0041】
一実施形態では、接着層は、押出方向および横方向に引張応力を有し得る。引張応力は、ASTM-D 638に従って測定される。本開示に記載の引張応力は、少なくとも3つの試料の測定値の平均であると理解されよう。一態様では、接着層は、少なくとも25MPaの押出方向の引張応力、例えば少なくとも30MPa、少なくとも33MPa、少なくとも35MPa、または少なくとも38MPaの押出方向の引張応力を有し得る。別の態様では、押出方向の引張応力は、最大70MPa、最大65MPa、最大60MPa、最大55MPa、最大50MPa、最大45MPa、または最大40MPaであり得る。さらに、押出方向の引張応力は、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得る。例えば、押出方向の引張応力は、25MPaから70MPaの範囲、または25から65MPaの範囲、または30MPaから50MPaの範囲内であり得る。
【0042】
一態様では、接着層は、少なくとも10MPaの横方向の引張応力、例えば少なくとも20MPa、少なくとも22MPa、または少なくとも25MPaの横方向の引張応力を有し得る。別の態様では、横方向の引張応力は、最大45MPa、例えば最大42MPa、最大38MPa、または最大35MPaであり得る。さらに、横方向の引張応力は、本明細書に記載の最小値および最大値のいずれかを含む範囲内であり得る。例えば、押出方向の引張応力は、10MPaから45MPaの範囲、または10MPaから42MPaの範囲内であり得る。
【0043】
特定の実施形態では、接着層は、ホットメルト接着剤を含み得る。250℃から400℃の範囲、例えば270℃から330℃の範囲、または280℃から315℃の範囲の温度で、接着層は溶融し、基材層と摺動層との間に結合層を形成することができる。別の用途では、接着層は、基材層、摺動層、またはその両方と直接接触することができる。
【0044】
一実施形態では、ベアリングは接着層を含み得る。例示の用途では、ベアリングは基材層を含み得、接着層は基材層上に配置され得る。特定の例では、ベアリングは、接着層上に配置された摺動層も含み得る。ベアリングの特定の例としては、Norglide(登録商標)ベアリングが挙げられ得る。
【0045】
一実施形態では、基材層は金属を含み得る。例えば、基材層は合金を含み得る。金属の特定の例としては、鉄、炭素、Ni、Zn、Co、Cr、Ti、Zr、Mo、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、基材層は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、冷間圧延鋼、艶消し亜鉛めっき鋼、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、基材は亜鉛めっき鋼を含み得る。より特定の実施形態では、基材は亜鉛めっき鋼を含み得る。いくつかの用途では、本明細書の実施形態に記載の接着層は、亜鉛めっき鋼の基材に特に適し得る。さらにより特定の実施形態では、ベアリングは、亜鉛めっき鋼の基材と、摺動層と、基材と摺動層との間に配置され、mETFEとPESとのポリマーブレンドを含む接着層とを含み得る。
【0046】
一実施形態では、摺動層は、ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。別の実施形態では、摺動層は、充填剤、添加剤、例えばレオロジー調整剤、粘着付与剤など、無機材料、繊維、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、摺動層は、炭素、黒鉛、グラフェン、CNT、ポリエステル、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、窒化ホウ素、無機充填剤、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0047】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。これらの態様および実施形態のいくつかを以下に記載する。本明細書を読んだ後、当業者であれば、それらの態様および実施形態は例示にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙する実施形態のいずれか1つまたは複数に従っていてよい。
【0048】
実施形態
実施形態1:
基材と、
前記基材上にある接着層と、
前記接着層上にある摺動層とを含むベアリングであって、
前記接着層は、第1のポリマーと第2のポリマーとのポリマーブレンドを含み、前記第1のポリマーは、変性フッ素ポリマーを含み、前記第2のポリマーは、非フッ素化ポリマーを含む、
ベアリング。
【0049】
実施形態2:
基材と、
前記基材上にあり、前記基材と接触している接着層と、
前記接着層上にある摺動層とを含むベアリングであって、
前記接着層は、第1のポリマーと第2のポリマーとのポリマーブレンドを含み、前記第2のポリマーは、非フッ素化ポリマーである、
ベアリング。
【0050】
実施形態3:
基材と、
前記基材上にある接着層と、
前記接着層上にある摺動層とを含むベアリングであって、
前記接着層は、第1のポリマーと第2のポリマーとのポリマーブレンドを含み、前記第2のポリマーは、非フッ素化ポリマーであり、前記ポリマーブレンドの総重量に対して50重量%未満の含有量を有する、
ベアリング。
【0051】
実施形態4:
前記第1のポリマーがフッ素ポリマーを含む、実施形態2または3に記載のベアリング。
【0052】
実施形態5:
前記第1のポリマーが変性フッ素ポリマーを含む、実施形態2から4のいずれか1つに記載のベアリング。
【0053】
実施形態6:
前記ポリマーブレンドが、前記ポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも5重量%の前記第1のポリマー、前記ポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも9重量%、少なくとも11重量%、少なくとも13重量%、少なくとも16重量%、少なくとも19重量%、少なくとも22重量%、少なくとも25重量%、少なくとも28重量%、少なくとも33重量%、少なくとも36重量%、少なくとも39重量%、少なくとも43重量%、少なくとも46重量%、少なくとも50重量%、少なくとも53重量%、少なくとも55重量%、少なくとも58重量%、少なくとも61重量%、少なくとも64重量%、少なくとも66重量%、少なくとも70重量%、少なくとも73重量%、少なくとも75重量%、少なくとも78重量%、少なくとも80重量%、少なくとも82重量%、少なくとも85重量%、少なくとも88重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも97重量%含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載のベアリング。
【0054】
実施形態7:
前記ポリマーブレンドが、前記ポリマーブレンドの総重量に対して60重量%超の前記第1のポリマー、例えば前記ポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも61重量%、少なくとも63重量%、少なくとも65重量%、少なくとも69重量%、少なくとも71重量%、少なくとも73重量%、少なくとも75重量%、少なくとも79重量%、または少なくとも80重量%の前記第1のポリマーを含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載のベアリング。
【0055】
実施形態8:
前記ポリマーブレンドが、前記ポリマーブレンドの総重量に対して最大99重量%の前記第1のポリマー、前記ポリマーブレンドの総重量に対して最大97重量%、最大93重量%、最大90重量%、最大88重量%、最大84重量%、最大81重量%、最大78重量%、最大75重量%、最大72重量%、最大70重量%、最大78重量%、最大75重量%、最大72重量%、最大70重量%、最大66重量%、最大63重量%、最大60重量%、最大58重量%、最大54重量%、最大52重量%、最大50重量%、最大48重量%、最大45重量%、最大42重量%、最大40重量%、最大37重量%、最大35重量%、最大32重量%、最大30重量%、最大28重量%、最大26重量%、最大24重量%、最大21重量%、最大18重量%、最大15重量%、最大12重量%、最大10重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大5重量%、または最大3重量%含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載のベアリング。
【0056】
実施形態9:
前記ポリマーブレンドが、前記ポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも1重量%の前記第2のポリマー、前記ポリマーブレンドの総重量に対して少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも7重量%、少なくとも9重量%、少なくとも11重量%、少なくとも13重量%、少なくとも16重量%、少なくとも19重量%、少なくとも22重量%、少なくとも25重量%、少なくとも28重量%、少なくとも33重量%、少なくとも36重量%、少なくとも39重量%、少なくとも43重量%、または少なくとも46重量%含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載のベアリング。
【0057】
実施形態10:
前記ポリマーブレンドが、前記ポリマーブレンドの総重量に対して50重量%未満の前記第2のポリマー、前記ポリマーブレンドの総重量に対して最大48重量%、最大45重量%、最大42重量%、最大40重量%、最大37重量%、最大35重量%、最大32重量%、最大30重量%、最大28重量%、最大26重量%、最大24重量%、最大21重量%、最大18重量%、最大15重量%、最大12重量%、最大10重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大5重量%、または最大3重量%含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載のベアリング。
【0058】
実施形態11:
前記ポリマーブレンドが、前記ポリマーブレンドの総重量に対して40重量%未満の前記第2のポリマー、前記ポリマーブレンドの総重量に対して最大39重量%、最大37重量%、最大35重量%、最大32重量%、最大30重量%、最大28重量%、最大26重量%、最大24重量%、最大21重量%、最大18重量%、最大15重量%、最大12重量%、最大10重量%、最大8重量%、最大7重量%、または最大5重量の前記第2のポリマーを含む、実施形態1から10のいずれか1つに記載のベアリング。
【0059】
実施形態12:
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、60:40超、または少なくとも63:37、もしくは少なくとも65:35、もしくは少なくとも67:33、もしくは少なくとも70:30、もしくは少なくとも73:27、もしくは少なくとも75:25、もしくは少なくとも78:22、もしくは少なくとも80:20、もしくは少なくとも83:17、もしくは少なくとも85:15、もしくは少なくとも87:13、もしくは少なくとも89:11、もしくは少なくとも90:10、もしくは少なくとも93:7、もしくは少なくとも95:5、もしくは少なくとも97:3である、実施形態1から11のいずれか1つに記載のベアリング。
【0060】
実施形態13:
前記第1のポリマーと前記第2のポリマーとの比が、最大99:1、最大97:3、最大95:5、最大91:9、最大88:12、最大85:15、最大83:17、最大80:20、最大77:23、最大75:25、最大72:28、最大70:30、最大68:32、最大65:35、または最大61:39である、実施形態1から12のいずれか1つに記載のベアリング。
【0061】
実施形態14:
前記第1のポリマーが、水酸基(-OH)、フッ化カルボニル(-COF)、カルボキシル基(-COOH)、無水物基、アクリラート基(-CH2=CHCOOH)、グリシジルメタクリラート基(-CH2C(CH3)COOCH2(CHCH2O))、またはそれらの組み合わせを含む官能基を含む、実施形態1から13のいずれか1つに記載のベアリング。
【0062】
実施形態15:
前記第1のポリマーが、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)、変性ペルフルオロアルコキシエチレン(mPFA)、変性テトラフルオロ-エチレン-ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(mMFA)、変性エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(mECTFE)、変性テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン(mFEP)、変性ポリフッ化ビニリデン(mPVDF)、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から14のいずれか1つに記載のベアリング。
【0063】
実施形態16:
前記第1のポリマーが、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)を含む、実施形態1から15のいずれか1つに記載のベアリング。
【0064】
実施形態17:
前記第1のポリマーが、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)から本質的になる、実施形態1から16のいずれか1つに記載のベアリング。
【0065】
実施形態18:
前記変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)が、無水物基を含む官能基を含む、実施形態16または17に記載のベアリング。
【0066】
実施形態19:
前記第2のポリマーが、ポリエーテル、芳香族ポリエステル、芳香族および直鎖のポリアミド、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から18のいずれか1つに記載のベアリング。
【0067】
実施形態20:
前記第2のポリマーが、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリケトン(PK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から19のいずれか1つに記載のベアリング。
【0068】
実施形態21:
前記第2のポリマーがポリエーテルスルホン(PES)を含む、実施形態1から20のいずれか1つに記載のベアリング。
【0069】
実施形態22:
前記第2のポリマーが、ポリエーテルスルホン(PES)から本質的になる、実施形態1から21のいずれか1つに記載のベアリング。
【0070】
実施形態23:
前記接着層が、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)とポリエーテルスルホン(PES)とのポリマーブレンドを含む、実施形態1から22のいずれか1つに記載のベアリング。
【0071】
実施形態24:
前記接着層が、変性エチレンテトラフルオロエチレン(mETFE)およびポリエーテルスルホン(PES)から本質的になる、実施形態1から23のいずれか1つに記載のベアリング。
【0072】
実施形態25:
前記ポリマーブレンドが、前記第1のポリマーの溶融温度よりも少なくとも10℃高い、前記第1のポリマーの溶融温度よりも少なくとも15℃、または少なくとも20℃高い溶融温度を含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載のベアリング。
【0073】
実施形態26:
前記ポリマーブレンドが、前記第1のポリマーの溶融温度と同じか、またはそれより低い溶融温度を含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載のベアリング。
【0074】
実施形態27:
前記接着層が、少なくとも75N/in、少なくとも80N/in、少なくとも85N/in、少なくとも90N/in、少なくとも95N/in、少なくとも100N/in、少なくとも105N/in、少なくとも110N/in、少なくとも115N/in、少なくとも120N/in、少なくとも125N/in、少なくとも130N/in、少なくとも135N/in、少なくとも140N/in、少なくとも145N/in、少なくとも150N/in、または少なくとも155N/inの剥離強度を有する、実施形態1から26のいずれか1つに記載のベアリング。
【0075】
実施形態28:
前記接着層が、最大190N/in、例えば最大185N/in、最大180N/in、最大175N/in、最大170N/in、または最大165N/inの剥離強度を有する、実施形態1から27のいずれか1つに記載のベアリング。
【0076】
実施形態29:
前記接着層が、5ミクロンから100ミクロンの範囲の厚みを有する、実施形態1から28のいずれか1つに記載のベアリング。
【0077】
実施形態30:
前記基材が金属を含み、前記接着層が前記基材と接触している、実施形態1から29のいずれか1つに記載のベアリング。
【0078】
実施形態31:
前記基材が、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、冷間圧延鋼、亜鉛めっき鋼、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1から30のいずれか1つに記載のベアリング。
【0079】
実施形態32:
前記基材が亜鉛めっき鋼を含む、実施形態1から31のいずれか1つに記載のベアリング。
【0080】
実施形態33:
前記摺動層が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、およびそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1から32のいずれか1つに記載のベアリング。
【0081】
実施形態34:
前記摺動層が、充填剤、添加剤、無機材料、繊維、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から33のいずれか1つに記載のベアリング。
【0082】
実施形態35:
前記接着層が、前記第1のポリマーを含む連続相と、前記第1の連続相中に分散したドメインとを含み、前記ドメインが、前記第2のポリマーと、最大9ミクロン、最大8ミクロン、最大6ミクロン、最大5ミクロン、最大4ミクロン、または最大3ミクロンの平均サイズとを含む、実施形態1から34のいずれか1つに記載のベアリング。
【0083】
実施形態36:
前記ポリマーブレンドが、前記第1のポリマーを含む連続相と、前記第1の連続相中に分散したドメインとを含み、前記ドメインが、前記第2のポリマーと、少なくとも0.4ミクロン、少なくとも0.6ミクロン、少なくとも0.8ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、または少なくとも2ミクロンの平均サイズとを含む、実施形態1から35のいずれか1つに記載のベアリング。
【0084】

例1
表1に含まれる組成を有するポリマーブレンドを調製した。ETFEポリマーは商用ラインのNEOFLON(商標)をDaikinから、PESはSolvay S.A.またはBASFから得る。変性ETFEは、AsahiまたはChemoursから得る。二軸スクリューコンパウンダーを用いてポリマーをブレンドした。PESの平均ドメインサイズは、本明細書の実施形態に記載のように測定し、表1に含めた。試料CS1は、S2と比較してより大きな平均ドメインサイズを有していた。
【表1】
【0085】
例2
以下の表2に含まれる組成を有する接着層試料を調製した。変性ETFEはChemoursから購入した。PESはSolvay S.A.またはBASFから購入した。試料S4からS8のブレンドを、二軸スクリューコンパウンダーを用いて380℃で形成し、次いで小さなペレットに切断した。すべての試料のペレットを、単軸押出機を用いて厚み30μmのフィルムに押し出した。各組成物のフィルム2から3枚を、剥離強度を測定するためにT剥離試験に供した。各フィルムを、本明細書の実施形態に開示されるように調製された5層積層構造体で試験した。摺動層は、炭素および黒鉛充填剤を含むPTFEで形成した。積層は、0.5MPa、315℃で5分間行い、層間を結合した。T剥離試験は、ASTM D 1876-01に従って実施した。
【0086】
試験結果を図2に示す。試料S4からS7は、それぞれ約125N/in、120N/in、135N/in、および130N/inの剥離強度を示し、試料CS3の剥離強度の約85N/inよりも有意に高かった。試料S8は、剥離強度が55N/inであった。試料S6およびS7は、凝集破壊モードをさらに示した。
【表2】
【0087】
例3
例2の記載と同様にして、表3に含まれる組成を有する接着層試料を形成した。すべての接着層は30ミクロンの同じ厚みを有し、剥離強度を測定するためにT剥離試験に供した。各層を、本明細書の実施形態に開示されるように調製された5層積層構造体で試験した。摺動層は、炭素および黒鉛充填剤を含むPTFEで形成した。積層は、0.5MPa、315℃で5分間行い、層間を結合した。T剥離試験は、ASTM D 1876-01に従って実施した。試験結果を図3に示す。接着層試料S7は、約180N/inの剥離強度を示し、CS9の剥離強度の約142N/inよりも有意に高かった。
【表3】
【0088】
本明細書に開示される実施形態は、現行の技術水準からの逸脱を示す。本明細書の実施形態の接着層は、フッ素ポリマーなどの第1のポリマーと、非フッ素化ポリマーなどの第2のポリマーとのブレンドを含み得る。特に、第1のポリマーおよび第2のポリマーは、特定の含有量および/または互いに対する比で存在し得る。本明細書の実施形態に記載の接着層は、第1のポリマーで形成された接着層よりも著しく改善された特性、例えば剥離強度を示す。第1のポリマーおよび第2のポリマーの種類の組み合わせ、それらの含有量、またはそれらの任意の組み合わせは、接着層の改善された特性に寄与することができる。
【0089】
概説または例において上述した動作のすべてが必要とされるわけではないこと、特定の動作の一部が必要とされない場合があること、そして、記載した動作に加えて1つ以上のさらなる動作が行われてもよいことに留意されたい。さらに、動作が列挙される順序は、必ずしもそれらの動作が行われる順序ではない。
【0090】
利点、他の効果、および課題への解決策を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、利点、効果、課題への解決策、および何らかの利点、効果、または解決策を生じさせたり、より顕著にしたりし得るあらゆる1つ以上の特徴は、いずれかまたはすべての請求項の重要な、必要な、または本質的な特徴であると解釈すべきではない。
【0091】
本明細書、および本明細書に記載の実施形態の例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を与えることを意図している。本明細書および例示は、本明細書に記載の構造または方法を使用する装置およびシステムのすべての要素および特徴を網羅的かつ包括的に記載する役割を果たすことを意図するものではない。個別の実施形態は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために単一の実施形態の形で記載される様々な特徴は、個別にまたは何らかの部分的な組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲において記載された値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。多くの他の実施形態が、本明細書を読んだ後に初めて当業者に明らかとなり得る。本開示の範囲から逸脱することなく構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、本開示から導出してもよい。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的であると見なすべきである。
図1
図2
図3