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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】イメージセンサおよび画像検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240322BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20240322BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L31/02 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022076970
(22)【出願日】2022-05-09
(65)【公開番号】P2023081266
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】17/538,354
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】蔡 維隆
(72)【発明者】
【氏名】陳 皇任
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 慶強
(72)【発明者】
【氏名】張 育淇
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-203011(JP,A)
【文献】国際公開第2012/043212(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221722(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0169806(US,A1)
【文献】特開2021-103768(JP,A)
【文献】特開2006-235476(JP,A)
【文献】特開2007-158825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/0232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサであって、
複数の液体レンズユニット、
複数の感知部、および
前記複数の感知部の上方および前記複数の液体レンズユニットの下方に対応してそれぞれ配置された複数のカラーフィルタユニットを含み、
スペーサ構造が前記複数のカラーフィルタユニットのそれぞれを囲み、
前記複数の液体レンズユニットは、
下部電極と上部電極、
前記下部電極と前記上部電極の間に配置された誘電体層、
前記誘電体層と前記上部電極との間に配置された閉じ込め空間、および
前記閉じ込め空間内に充填された非極性液体と極性液体を含み、前記非極性液体と前記極性液体は互いに非混和性であり、
前記非極性液体は、第1の電圧において前記誘電体層上の第1の接触面積、および第2の電圧において前記誘電体層上の第2の接触面積を占めるように構成され、前記第1の接触面積は前記第2の接触面積より大きく、前記第2の電圧は前記第1の電圧より高く、
前記非極性液体が前記第1の電圧において前記誘電体層上の第1の接触面積を占めるように構成されたとき、前記複数のカラーフィルタユニットは前記非極性液体によって完全に覆われ、前記非極性液体が前記第2の電圧において前記誘電体層上の前記第2の接触面積を占めるように構成されたとき、前記複数のカラーフィルタユニットは前記非極性液体によって覆われないイメージセンサ。
【請求項2】
前記誘電体層と前記上部電極を垂直に支持する画素壁をさらに含み、前記画素壁は、前記閉じ込め空間を前記複数の液体レンズユニットに区画化する請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記下部電極は、複数の孔を有するパターン化された電極であり、前記誘電体層上の前記第2の接触面積は、前記複数の孔に対応する請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記誘電体層は疎水性材料で形成されており、前記非極性液体の屈折率は前記極性液体の屈折率より大きく、カバープレートが前記上部電極上に配置されている請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記複数の感知部を分離する複数のディープトレンチアイソレーション(DTI)構造をさらに含み、前記複数のディープトレンチアイソレーション構造は、センサユニットのサイズを規定する請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
請求項1に記載の前記イメージセンサからの画像を検出する方法は、
前記下部電極と前記上部電極を電源に接続するステップ、
前記電源から前記下部電極と前記上部電極を介して前記イメージセンサに前記第1の電圧を供給して、第1の画像を生成するステップ、
前記電源から前記下部電極と前記上部電極を介して前記イメージセンサに前記第2の電圧を供給して、第2の画像を生成するステップ、および
アルゴリズムを用いて、前記第1の画像と前記第2の画像を結合して最終画像にするステップを含む方法。
【請求項7】
前記第1の画像はカラー画像であり、前記第2の画像は白黒画像であり、前記アルゴリズムは、前記第1の画像の光強度と前記第2の画像の光強度の総和に正規化されたスペクトルを掛けて、最終画像を生成する請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサに関するものであり、特に、イメージセンサの動的液体レンズユニットおよび画像検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサ(CISとしても知られている)などのイメージセンサは、デジタル静止画スチルカメラ、デジタルビデオカメラなどの様々な撮像装置で広く用いられている。イメージセンサの光感知部は、周囲の色の変化を検出することができ、信号電荷は、光感知部で受光される光量に応じて生成されることができる。また、光感知部で生成された信号電荷が伝送されて増幅されることにより、画像信号が得られる。
【0003】
画像信号は受光量の大きさに依存するため、暗い環境、または低輝度の環境でイメージセンサを動作させると、得られる画像の品質に深刻に影響を与える可能性がある。深刻な影響には、ゴースト、ノイズ、モーションブラーなどを含む。フラッシュライトは画像検出中の露光を増加させるために用いられることができるが、照明に必要な装置は製造コストが高くなる可能性がある。従って、これらの、および関連する問題は、イメージセンサの設計および製造を通じて解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イメージセンサの動的液体レンズユニットおよび画像検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、イメージセンサは、複数の液体レンズユニットを含み、これらは、下部電極と上部電極、下部電極と上部電極の間に配置された誘電体層、誘電体層と上部電極との間に配置された閉じ込め空間、および閉じ込め空間内に充填された非極性液体と極性液体を含み、非極性液体と極性液体は互いに非混和性である。非極性液体は、第1の電圧において誘電体層上の第1の接触面積、および、第2の電圧において誘電体層上の第2の接触面積を占めるように構成される。第1の接触面積は第2の接触面積より大きく、第2の電圧は第1の電圧より高い。
【0006】
もう1つの実施形態では、イメージセンサからの画像を検出する方法は、下部電極と上部電極を電源に接続するステップ、電源から下部電極と上部電極を介してイメージセンサに第1の電圧を供給して、第1の画像を生成するステップ、電源から下部電極と上部電極を介してイメージセンサに第2の電圧を供給して、第2の画像を生成するステップ、およびアルゴリズムを用いて、第1の画像と第2の画像を結合して最終画像にするステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明及び例を読むことで、より完全に理解することができる。図面は、業界の標準的な慣行に従って、様々な特徴が縮尺通りに描かれていない。実際、様々な特徴の寸法は、明確に説明できるようにするために、任意に拡大または縮小されることがある。
図1A図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサの断面図である。
図1B図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサの上面図である。
図1C図1Cは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサの一部の立体図である。
図2A図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサの断面図である。
図2B図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサの上面図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサから生成された画像と第2の動作状態におけるイメージセンサから生成された画像とを結合するフローチャートである。
図4A図4Aは、本開示のもう1つの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサの断面図である。
図4B図4Bは、本開示のもう1つの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサの上面図である。
図5A図5Aは、本開示のもう1つの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサの断面図である。
図5B図5Bは、本開示のもう1つの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次の開示では、異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施の形態または実施例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、下記の開示において、第1の特徴が第2の特徴の上に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴間に形成される複数の実施形態を含むこともできる。
【0009】
追加のステップが、例示された方法の前、間、または後に実施されてもよく、例示された方法のその他の実施形態では、いくつかのステップが置き換えられるか、または省略されてもよい。
【0010】
さらに、(以下の詳細な説明において)、「下の方」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴と、別の要素と特徴との関係を記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0011】
本開示では、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、一般的に、所定値の+/-20%を意味し、より一般的に、所定値の+/-10%を意味し、より一般的に、所定値の+/-5%を意味し、より一般的に、所定値の+/-3%を意味し、より一般的に、所定値の+/-2%を意味し、より一般的に、所定値の+/-1%を意味し、さらにより一般的に、所定値の+/-0.5%を意味する。本開示の所定値は、近似値である。即ち、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語の具体的な説明がないとき、所定値は、「約」、「およそ」、および「実質的に」の意味を含む。
【0012】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されない。
【0013】
本開示は、以下の実施形態において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、説明される様々な実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0014】
低輝度の環境でのイメージセンサの動作に対応するために、得られる画像の品質は重大な関心事となる。画質を向上させる従来の方法は、フラッシュからの光を用いてオブジェクトを露光することであった。しかしながら、フラッシュ光を提供する装置を含めると、製造コストが高くなる。本開示のいくつかの実施形態によれば、複数の液体レンズユニットがイメージセンサに統合される。従来、マイクロレンズは、入射光線を下方にあるカラーフィルタユニットに通過させ、基板内に埋め込まれた複数の感知部に収束させるための固定形状の固体であった。言い換えれば、固体マイクロレンズを置き換えることにより、イメージセンサは汎用性の高い構造となる。動的液体レンズは、異なる電圧レベルの印加に応じてその形状を変えることができる。例えば、電源が15V超えの電圧を供給したとき、動的液体レンズは、分散(dispersed)状態から集中(concentrated)状態に変わることができるが、そのメカニズムについては以下に詳細に説明する。動的液体レンズが分散状態にあるとき、イメージセンサは任意の従来のイメージセンサ構造と同様に機能することができる。しかしながら、動的液体レンズが集中状態にあるとき、より多くの入射光が画像検出のために、イメージセンサに入射するようにされることができる。
【0015】
高輝度の環境で動作するとき、イメージセンサは、十分な光量で比較的高画質の画像を検出することができる。本開示は、画像が高輝度の環境で得られるものと同じ品質を有することができる、低輝度の環境で画像を取得する革新的な方法を提供する。本開示の複数の液体レンズユニットは、電圧を調整することにより撮像画像の質を高め、それによって画質を向上させることができる。従って、フラッシュ光がなくても、イメージセンサは、低輝度の環境でも高輝度の環境と同じように効率的に動作させることができる。イメージセンサの動作はすでに電源が必要であるため、複数の液体レンズユニットに追加の電圧を供給しても製造コストはかからない。
【0016】
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサ10の断面図である。いくつかの実施形態では、イメージセンサは、実際には数百万個のセンサユニットを含み得る。簡潔にするために、図1Aは実際のイメージセンサの一部のみを示している。本開示のいくつかの実施形態によれば、イメージセンサ10は、基板100、複数の感知部102、複数のディープトレンチアイソレーション(DTI)構造104、反射防止層106、スペーサ構造108、複数のカラーフィルタユニット110、および複数の液体レンズユニットを含む。本実施形態では、複数の液体レンズユニットは、複数のカラーフィルタユニット110の上方にそれぞれ対応して配置される。また、複数のカラーフィルタユニット110は、複数の感知部102にそれぞれ対応して配置される。いくつかの実施形態では、複数の液体レンズユニットは、下部電極112、誘電体層114、非極性液体116、極性液体120、画素壁122、上部電極124、およびカバープレート126を含む。本開示のいくつかの実施形態によれば、電源130は、下部電極112および上部電極124に接続されて必要な電圧を供給する。第1の動作状態では、約0Vから15Vの範囲の電圧が電源130によって印加される。
【0017】
いくつかの実施形態では、誘電体層114は、疎水性である非導電性誘電体材料でできている。非極性液体116および極性液体120が疎水性の誘電体層114上に配置されたとき、極性液体120は、誘電体層114によってはじかれることができ、非極性液体116は、誘電体層によって引き付けられることができる。図1Aに示されるように、非極性液体116は、誘電体層114の表面を完全に覆い、誘電体層114および極性液体120が非極性液体116によって実質的に隔離されるようにする。電源130が電圧を供給しない(0V)または比較的低い電圧を供給する(例えば、15V以下)とき、複数の液体ユニットの配置は、図1Aに示されたままであることができる。
【0018】
しかしながら、電源130が比較的高い電圧を供給する(例えば、15V超え)とき、正電荷および負電荷は、誘電体層114の上面および下面にそれぞれ配置されることができる。そのような電圧が印加されると電界が生成され、誘電体層114を疎水性状態から親水性状態に変える。図2Aに示されるように、誘電体層114は、極性液体120を引き付け始め、非極性液体116をはじき始める。誘電体層114の表面の湿潤性は、電界によって変えられ、この現象は、エレクトロウェッティング挙動と呼ばれる。エレクトロウェッティングデバイスは、通常、反射型ディスプレイに用いられる。本発明者は、エレクトロウェッティング挙動を示す動的液体レンズをイメージセンサ10に統合することにより、低輝度の環境においてより優れた性能を可能にすることができることを発見した。
【0019】
いくつかの実施形態では、基板100は、例えば、ウェハまたはチップであり得るが、本開示は、それに限定されない。いくつかの実施形態では、基板100は、半導体基板、例えばシリコン基板であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、半導体基板は、ゲルマニウムを含む元素半導体、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、ヒ素化インジウム(InAs)、および/またはアンチモン化インジウム(InSb)を含む化合物半導体、シリコンゲルマニウム(SiGe)合金、リン化ガリウム砒素(GaAsP)合金、リン化アルミニウムインジウム(AlInAs)合金、リン化アルミニウムガリウム(AlGaAs)合金、リン化ガリウムインジウム(GaInAs)合金、リン化ガリウムインジウム(GaInP)合金、および/またはリン化ガリウムインジウム砒素(GaInAsP)合金、或いはそれらの組み合わせを含む合金半導体であってもよい。いくつかの実施形態では、基板100は、シリコン基板または有機光電変換層などの光電変換基板であってもよい。
【0020】
もう1つの実施形態では、基板100は、半導体オンインシュレータ(SOI)基板であってもよい。半導体オンインシュレータ基板は、ベースプレート、ベースプレート上に配置された埋め込み酸化物層、および埋め込み酸化物層上に配置された半導体層を含み得る。さらに、基板100は、N型またはP型の導電型であってもよい。
【0021】
上述のように、基板100は、複数のディープトレンチアイソレーション構造104を含んで活性領域(またはセンサユニット)を規定し、基板100内または基板上の活性領域要素を電気的に分離することができるが、本開示はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、もう1つの分離構造が代替として適用されてもよい。シャロートレンチアイソレーション(STI)構造とシリコン局所酸化(LOCOS)構造は、他の分離構造の例である。いくつかの実施形態では、複数のディープトレンチアイソレーション構造104の形成は、例えば、基板100上に絶縁層を形成し、絶縁層および基板100を選択的にエッチングして、基板100の上面から基板内の位置まで延びるトレンチを形成し、このトレンチが、隣接する感知部102の間に配置されるようにする。次に、複数のディープトレンチアイソレーション構造104の形成は、トレンチに沿って豊富な窒素含有(例えば、酸窒化ケイ素)ライナーを成長させ、次いで絶縁材料(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素)を堆積プロセスでトレンチ内に充填することを含んでもよい。その後、アニーリングプロセスがトレンチ内の絶縁材料に実行され、次いで基板100上に平坦化プロセスが実行されて過剰な絶縁材料を除去し、トレンチ内の絶縁材料が基板100の上面と同一平面になるようにする。
【0022】
いくつかの実施形態では、基板100は、例えば、イオン注入および/または拡散プロセスによって形成された様々なP型ドープ領域および/またはN型ドープ領域(図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、トランジスタ、フォトダイオードなどが、複数のディープトレンチアイソレーション構造104によって規定された活性領域に形成されてもよい。
【0023】
複数の感知部102は、基板100に埋め込まれている。いくつかの実施形態では、複数の感知部102はフォトダイオードである。複数の感知部102のそれぞれは、光を感知し、その上に当たる光の強度に従って強度信号を生成するように構成される。画像信号は、強度信号によって形成される。
【0024】
反射防止層106は、基板100上に配置される。いくつかの実施形態では、反射防止層106は、複数の感知部102に透過される光の反射を減少させるように構成される。いくつかの実施形態では、反射防止層106は、感知部102のアレイに対応して(または平行に)水平に配置される。いくつかの実施形態では、反射防止層106の材料は、SiO(ここで、xおよびyは0から1の範囲にある)を含み得る。反射防止層106は、任意の適切な堆積プロセスによって形成されることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数のカラーフィルタユニット110は、反射防止層106および基板100上に配置され、感知部102のアレイに対応する。いくつかの実施形態では、複数のカラーフィルタユニット110の高さは、約0.3μmから2.0μmの間であり得る。いくつかの実施形態では、複数のカラーフィルタユニット110は、赤色、緑色、青色、白色、または赤外線であり得る。複数のカラーフィルタユニット110のそれぞれは、イメージセンサ10の各それぞれの感知部102に対応することができ、ユニットの色は、イメージセンサ10の要求によって決まる。フォトダイオードなどのそれぞれの感知部102は、受信した光信号を電気信号に変換することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、複数のカラーフィルタユニット110は、基板100上およびスペーサ構造108によって規定された空間内に堆積されており、これについては後で詳細に説明する。複数のカラーフィルタユニット110は、異なるステップでコーティング、露光、および現像プロセスによって順次に形成されることができる。あるいは、複数のカラーフィルタユニット110は、インクジェット印刷によって形成されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、複数のカラーフィルタユニット110のそれぞれは、所定の範囲の光の波長の光を通過させる。例えば、赤色カラーフィルタユニットは、620nmから750nm(赤色光)の範囲の光の波長が、対応する感知部102に透過するようにさせることができ、緑色カラーフィルタユニットは、495nmから570nm(緑色光)の範囲の光の波長が、対応する感知部102に透過するようにさせることができ、青色カラーフィルタユニットは、450nmから495nm(青色光)の範囲の光の波長が、対応する感知部102に透過するようにさせることができる。
【0027】
図1Aに示すように、スペーサ構造108は、複数のカラーフィルタユニット110の間に配置されている。いくつかの実施形態では、スペーサ構造108は、複数のカラーフィルタユニット110のそれぞれに接続され、それらを囲む。さらに、スペーサ構造108は、反射防止層106および基板100上に配置され、感知部102のアレイの真上または区画化された領域を露出させる。本開示のいくつかの実施形態によれば、スペーサ構造108は、複数のカラーフィルタユニット110よりも低い屈折率を有することができる。屈折率は、光の速度を変化させる物質の特性であり、真空中の光の速度を物質内の光の速度で割って得られた値である。光が2つの異なる材料間をある角度で移動するとき、その屈折率が光の透過(屈折)の角度を決める。本開示のいくつかの実施形態によれば、スペーサ構造108の屈折率は、約1.0から1.5の間であり、複数のカラーフィルタユニット110の屈折率は、約1.3から2.0の間である。光はより高い屈折率を有する媒体に向かう傾向があるため、複数のカラーフィルタユニット110およびスペーサ構造108は、光パイプ構造を形成して光を複数の感知部102に導くことができる。言い換えれば、入射光線が複数のカラーフィルタユニット110に入射したとき、スペーサ構造108は、特定のユニット内の光線を分離して、光トラッピング機能として機能することができる。
【0028】
スペーサ構造108の材料は、透明な誘電体材料を含んでもよい。まず、パーティション材料層が基板100上にコーティングされる。次に、ハードマスク層(図示せず)がパーティション材料層上にコーティングされる。いくつかの実施形態では、ハードマスク層の材料はフォトレジストである。フォトリソグラフィプロセスがハードマスク層に実行されてパターン化する。次に、エッチングプロセスがパターン化されたハードマスク層を用いて、パーティション材料層に実行される。エッチングプロセスは、ドライエッチングであってもよい。エッチングプロセスの後、パーティション材料層の一部が基板100上で除去され、複数の開口部がその中に形成される。上述のように、開口部は、その後、複数のカラーフィルタユニット110で充填される。
【0029】
複数のカラーフィルタユニット110が完成すると、複数の液体レンズユニットがその上に製造されることができる。まず、下部電極112がスペーサ構造108および複数のカラーフィルタユニット110の上面に形成される。下部電極112および上部電極124(詳細は後述する)は、電源130に接続されることができる。上述のように、電源130は、下部電極112および上部電極124を介して電圧を供給し、それにより、誘電体層114の表面に電界を生成する。下部電極112は、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、高密度プラズマ化学蒸着(HDP-CVD)、プラズマ強化化学蒸着(PE CVD)、流動性化学蒸着(FCVD)、準大気圧化学蒸着(SACVD)、スパッタリングなど、またはそれらの組み合わせによって形成されることができる。
【0030】
下部電極112の材料は、例えば、アモルファスシリコン、ポリシリコン、ポリSiGe、金属窒化物(例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)など)、金属ケイ化物(例えば、ニッケルケイ化物(NiSi)、コバルトケイ化物(CoSi)、タンタルシリコン窒化物(TaSiN)など)、金属炭化物(例えば、タンタルカーバイド(TaC)、タンタル炭窒化物(TaCN)など)、金属酸化物(例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)など)、透明有機導電性材料、および金属の透明導電性材料を含み得る。透明有機導電性材料は、例えば、チオフェンベースの導電性ポリマー、ポリアニリン、およびポリピロールなどの導電性ポリマーから選択されることができる。金属は、これらに限定されるものではないが、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)など、それらの組み合わせ、またはそれらの多層を含むことができる。下部電極112の厚さは、約50nmから500nmの間、例えば、約100nmから200nmの間であり得る。
【0031】
堆積に続いて、下部電極112は、フォトリソグラフィーおよびエッチングプロセスを用いてパターン化されて、フィルム内に不連続性を形成することができる。不連続性は、複数の孔112Hであり得る(図1Cに示されるように)。複数の孔112Hは、当然ながら非導電性である空の空間であるため、生成された電界は、複数の孔112Hに延伸することができない。非極性液体116が電界によってはじかれたとき、下方にある下部電極112の複数の孔112Hに対応する誘電体層114上の分離した領域に向かって駆動されることができ、図2Aを参照に説明する。
【0032】
図1Aに示すように、誘電体層114は、下部電極112上に形成される。上記のように、誘電体層114の性質は、その上に生成された電界の強さに応じて、疎水性状態と親水性状態との間で交換されることができる。疎水性状態においては、誘電体層114は極性液体120をはじき、誘電体層114と極性液体120との間の最小の接触面積のみ(または全く接触面積のない)を可能にする。親水性状態においては、誘電体層114は極性液体120を引き付け、誘電体層114と極性液体120との間の最大の接触面積を観察することができるようになる。例えば、最小の接触面積は利用可能な接触面積の50%以下であり、最大の接触面積は利用可能な接触面積の50%以上であることができる。誘電体層114は、化学蒸着、高密度プラズマ化学蒸着、プラズマ増強化学蒸着、流動性化学蒸着、準大気圧化学蒸着など、またはそれらの組み合わせによって形成されることができる。誘電体層114の材料は、透明なフルオロポリマーなどを含み得る。 誘電体層114の厚さは、約1nmから50nmの間、例えば、約5nmから10nmの間であり得る。
【0033】
図1Aに示すように、画素壁122は、誘電体層114上に垂直に配置され得る。いくつかの実施形態では、画素壁122は、誘電体層114と上部電極124との間に順次に規定された閉じ込め(containment)空間を分割するためのパーティション部材であり得る。本開示のいくつかの実施形態によれば、画素壁122は、誘電体層114と上部電極124との間に垂直支持を提供し、それにより、それらの間の空間を維持する。さらに、画素壁122のパーティション部材は、閉じ込め空間を複数のユニットに分割し、これにより、複数の液体レンズユニットの基本構造を実現する。いくつかの実施形態では、複数の液体レンズユニットの全ての特徴は、光の透過を可能にするように透明であり得る。他の実施形態では、隣接するユニット間のクロストークを排除するために、画素壁122のみが不透明であり得る。画素壁122の材料は、非極性液体116および極性液体120の両方に不溶である必要があり、非極性液体116または極性液体120のいずれとも化学反応を起こさないことを理解されたい。画素壁122の形成は、スペーサ構造108の形成と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるため、本明細書では再度説明されない。画素壁122の例示的な材料は、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂などのポリマー材料を含み得る。画素壁122の幅は、約10nmから1000nmの間、例えば、約50nmから100nmの間であり得る。画素壁122の高さは、約500nmから3000nmの間、例えば、約1000nmから2000nmの間であり得る。
【0034】
本開示のいくつかの代替の実施形態によれば、極性液体120との適合性を確実にするために、画素壁122の表面は、親水性処理が施されてもよい。親水性処理は、紫外線照射、酸素プラズマ照射、レーザー照射等により行われることができる。
【0035】
図1Aに示すように、非極性液体116は、画素壁122によって分割された複数の液体レンズユニットのそれぞれで保持される。具体的には、画素壁122は、各ユニット内の非極性液体116が隣接するユニットに移動(migrate)(流出)することを防止する。複数の液体レンズユニットのそれぞれでは、非極性液体116は、誘電体層114の表面に電界が生成されないとき、エレクトロウェッティングのために誘電体層114上の最大接触面積を覆うのに十分な量を有する必要がある。いくつかの実施形態では、非極性液体116は、媒体として疎水性有機溶媒を含む。例示的な疎水性有機溶媒は、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ウンデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ブチルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、シリコーンオイルなど、またはそれらの組み合わせの6から35の炭素原子を有する炭化水素を含むことができる。一般に、非極性液体116は、非導電性で、低粘度を有することができ、且つ極性液体120と非混和性であることができる。
【0036】
図1Aに示すように、非極性液体116の他に、極性液体120も、画素壁122によって分割された複数の液体レンズユニットのそれぞれで保持される。非極性液体116および極性液体120は両方とも、誘電体層114と上部電極124との間に配置される。前述のように、非極性液体116および極性液体120は、分離された要素であり、これらは両方とも、複数の液体レンズユニットのそれぞれの中に閉じ込められている。いくつかの実施形態では、非極性液体116および極性液体120は両方とも可動流体である。極性液体120は、極性を有する透明な材料を含み得る。例示的な材料は、水、アルコール、酸、および電解質(例えば、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)など、またはそれらの組み合わせ)を含む水溶液を含む。本開示のいくつかの実施形態によれば、非極性液体116の屈折率は、極性液体120の屈折率よりも大きく、入射光線が非極性液体116に向けられるようにする。複数の液体レンズユニットのそれぞれの寸法が十分に小さい場合、例えば、約0.5μmから0.6μmの間である場合、重力は、各ユニット内の非極性液体116および極性液体120に対して最小限の影響しか及ぼさないことができる。
【0037】
図1Aに示すように、上部電極124は、画素壁122上に形成され、非極性液体116および極性液体120を覆う。いくつかの実施形態では、上部電極124は、画素壁122によって分割された複数の液体レンズユニットのそれぞれの中に非極性液体116および極性液体120を閉じ込める。前述のように、下部電極112および上部電極124は、電源130に接続されている。上部電極124の材料および形成は、下部電極112と同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるため、本明細書では再度説明されない。上部電極124の厚さは、約50nmから500nmの間、例えば、約100nmから200nmの間であり得る。上部電極124は、下部電極112に対してパターン化され得るが、そのようなパターン化は任意である。本開示のいくつかの実施形態によれば、上部電極124は、連続構造のままであることができる。
【0038】
図1Aに示すように、カバープレート126は、上部電極124上に形成されている。いくつかの実施形態では、カバープレート126は、下方にある構造に対して機械的保護を提供することができる。他の実施形態では、カバープレート126は、十分な圧力または力を加えて、下方にある上部電極124が複数の液体レンズユニットのそれぞれを完全に密閉することを確実にする。カバープレート126は、例えば、ガラスまたは透明樹脂などの光透過性の絶縁材料で形成されることができる。例示的な透明樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリチオフェン(PT)樹脂、フェノールノボラック(PN)など、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、カバープレート126は、上述の任意の堆積方法によって形成されることができ、繰り返しを避けるために、ここでは詳細を再度説明しない。カバープレート126の厚さは、約1μmから50μmの間、例えば、約5μmから15μmの間であり得る。
【0039】
図1Aに示すように、本開示の電源130は、供給された電圧の量を変えることができ、定電圧を提供することもできる。いくつかの実施形態では、電源130は、下部電極112と上部電極124間に所定の電圧を印加することができ、これにより複数の液体レンズユニットのそれぞれに印加されることができる。図1Aに示された実施形態では、電源130は、約0Vから15Vの間の範囲の電圧を供給し得る。このような電圧の範囲の下においては、電界が生成されないか、または比較的弱い電界が生成され、誘電体層114は疎水性状態のままであり得る。前述のように、非極性液体116は、誘電体層114上の最大接触面積を覆うことができ、一方、極性液体120は、誘電体層114によってはじかれることができる。非極性液体116の配置は、従来のイメージセンサの固体マイクロレンズと同様に見える可能性があることに留意されたい。高輝度の環境では、この電圧の範囲においてイメージセンサ10により撮像された画像は、十分な解像度を示している可能性がある。しかしながら、低輝度の環境では、この電圧の範囲においてイメージセンサ10により撮像された画像は、見るには暗すぎる可能性がある。従って、追加の手順がこの問題に対処するために必要となる。
【0040】
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサ10の上面図である。図1Aは、図1Bの線A-A’から得られた断面図であることに留意されたい。図1Bでは、複数の液体レンズユニットの一部が示されている。説明のために、画素壁122、上部電極124、およびカバープレート126は省略されている。いくつかの実施形態では、複数の液体レンズユニットは、画素壁122のグリッド構造によって区画化されている(簡略化のため図示せず)。前述のように、誘電体層114は、互いに非混和性である非極性液体116と極性液体120との接触面を提供することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、誘電体層114は、下部電極112上に配置され、これにより下部電極112が完全に覆われる。下部電極112の全体を上面から示すことが難しい可能性があるため、複数の孔112Hのパターンおよびその相対位置のみが破線で示されている。また、複数のカラーフィルタユニット110は、複数の液体レンズユニットの下方に配置されており、それらのパターンの相対位置も破線で示されている。第1の動作状態において、無極性液体116が複数のカラーフィルタユニット110を完全に覆うことができることに留意されたい。前述のように、図1Aおよび図1Bに示された構造は、従来のイメージセンサのように見え、これは、高輝度の環境で動作するのに十分効率的であるが、低輝度の環境で動作するにはさらに手順が必要である。
【0041】
図1Cは、本開示のいくつかの実施形態による、イメージセンサ10の下部電極112の立体図である。図1Cに示されるように、下部電極112は、フィルム部112Mおよび複数の孔112H(前述のように)を含む。いくつかの実施形態では、複数の孔112Hは、下部電極112を完全に貫通する。言い換えれば、下部電極112のフィルム部112Mのみが、上方にある誘電体層114の表面上に生成される電界に電流を伝導することができ、下部電極112の複数の孔112Hは、そのような電界を生成する電流を伝導することができない。複数の孔112Hは、複数の液体レンズユニットにそれぞれ対応する。複数の孔112Hのそれぞれが、対応する各液体レンズユニットの左下隅に正方形として示されているが、本開示はそれに限定されない。さらに、複数の孔112Hは、イメージセンサ10の設計要件に応じて、互いに異なる様々な形状および寸法を有することができる。
【0042】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサ10の断面図である。図1Aと比較して、図2Aは、電源130がより高い電圧を供給したときの、第2の動作状態におけるイメージセンサ10の挙動を示している。第2の動作状態では、例えば15Vよりも高い電圧が電源130より印加される。基板100、複数の感知部102、複数のディープトレンチアイソレーション構造104、反射防止層106、スペーサ構造108、複数のカラーフィルタユニット110、および複数の液体レンズユニット(例えば、下部電極112、誘電体層114、非極性液体116、極性液体120、画素壁122、上部電極124、およびカバープレート126)の特徴は、図1Aに示されているものと同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるため、本明細書では再度説明されない。電源130より供給された電圧が15V超えに増加されたとき、比較的強い電界が誘電体層114の表面に生成される。本開示のいくつかの実施形態によれば、この比較的強い電界は、誘電体層114を疎水性状態から親水性状態に徐々に変えることができる。
【0043】
図2Aに示すように、電圧が上昇すると、誘電体層114は極性液体120を引き付け始め、非極性液体116をはじき始める。はじかれた非極性液体116は、比較的弱い(または実質的に全くない)電界を有する誘電体層114上の孤立した領域、即ち下部電極112の複数の孔112Hに対応する領域に送り込まれる(driven into)ことができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、非極性液体116は、15V超えの電圧が印加されたときよりも15V以下の電圧が印加されたときに、誘電体層114上でより多くの面積を占める。図2Aに示されるように、複数のカラーフィルタユニット110は、非極性液体116によって実質的に覆われていない。図2Aの構成は、非常に大量の入射光線が、複数の液体レンズユニットを介して収束されることなく、イメージセンサ10に入射するようにさせる。
【0044】
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサの上面図である。図2Aは、図2Bの線A-A’から得られた断面図であることに留意されたい。図1Bと比較して、図2Bは、電源130が15V超えの電圧を供給したときの、第2の動作状態におけるイメージセンサ10の挙動を示している。複数のカラーフィルタユニット110、下部電極112、誘電体層114、非極性液体116、および極性液体120の特徴は、図1Bに示されているものと同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるため、本明細書では再度説明されない。誘電体層114の表面に生成された電界により、非極性液体116は、下方にある下部電極112の複数の孔112Hに対応する誘電体層114上の孤立した領域にはじかれている。前述のように、非極性液体116は、15V以下の電圧が印加されたときよりも15V超えの電圧が印加されたときに、誘電体層114上でより多くの面積を占める。いくつかの実施形態では、そのより小さい領域は、複数の孔112Hに対応する。
【0045】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサから生成された第1の画像と第2の動作状態におけるイメージセンサから生成された第2の画像とを結合するフローチャートである。アルゴリズムが用いられて、約0Vから15Vの間の電圧にある第1の画像と、15V超えの電圧にある第2の画像とを結合して、最終画像にすることができる。第1の画像は比較的低輝度のカラー画像で、第2の画像は比較的高コントラストの白黒画像である。アルゴリズムでは、第1の画像からの単一の画素の量子化された光強度が、第2の画像からの同じ画素の量子化された光強度に加えられる。次いで、両画像からの画素の量子化された光強度の総和に、画素の正規化されたスペクトルを掛けて、画素の元のスペクトルを復元することができる。両画像からの全ての画素が上述の手順を行ったとき、最終画像が生成され得る。このようなアルゴリズムによって生成された最終画像は、高輝度の環境で任意の従来のイメージセンサによって撮像された画像と同じ品質を示す。言い換えれば、低輝度の環境で異なる電圧で生成された2つの画像を結合すると、高輝度の環境で撮像された画像の品質を実現することができる。
【0046】
図4Aは、本開示のもう1つの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサの断面図である。図1Aのイメージセンサ10と比較して、イメージセンサ20は、スペーサ構造108および複数のカラーフィルタユニット110を除いている。本開示のいくつかの実施形態によれば、イメージセンサ10の非極性液体116は、顔料が注入されてイメージセンサ20に非極性液体118を形成することができる。非極性液体118は、カラー液体118-1、カラー液体118-2、およびカラー液体118-3をさらに含む。いくつかの実施形態では、非極性液体118のカラー液体118-1、カラー液体118-2、およびカラー液体118-3は、マイクロレンズとして機能する他に、除いた複数のカラーフィルタユニット110として機能することもできる。カラーフィルタユニットの特性を示すことにより、複数の液体レンズユニットの非極性液体118は、それらが複数の感知部102にそれぞれ対応するように配置されることができる。基板100、複数の感知部102、複数のディープトレンチアイソレーション構造104、反射防止層106、および複数の液体レンズユニットの特徴は、図1Aに示されているものと同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるため、本明細書では再度説明されない。本実施形態では、イメージセンサ20の複数の液体レンズユニットは、下部電極112、誘電体層114、非極性液体118、極性液体120、画素壁122、上部電極124、およびカバープレート126を含む。
【0047】
図4Aに示すように、複数の液体レンズユニットは、反射防止層106の表面上に直接形成されている。図4Aに示されるように、非極性液体118は、複数の感知部102を完全に、または複数の感知部102の面積の50%以上を覆うことができる。いくつかの実施形態では、非極性液体118のカラー液体118-1、カラー液体118-2、およびカラー液体118-3は、青色顔料、緑色顔料、および赤色顔料をそれぞれ含み得る。いくつかの実施形態では、複数の液体レンズユニットのそれぞれの非極性液体118は、所定の範囲の波長の光が通過するようにさせる。例えば、カラー液体118-1は、450nmから495nm(青色光)の範囲の光の波長が、対応する感知部102に透過するようにさせ、カラー液体118-2は、495nmから570nm(緑色光)の範囲の光の波長が、対応する感知部102に透過するようにさせ、カラー液体118-3は、620nmから750nm(赤色光)の範囲の光の波長が対応する感知部102に透過するようにさせる。非極性液体118の屈折率は、極性液体120の屈折率よりも大きい。
【0048】
図4Aに示すように、図1Aのイメージセンサ10と同様に、イメージセンサ20は、電源130が約0Vから15Vの間の範囲の電圧を供給するときの、第1の動作状態にある。このような電圧の範囲の下においては、電界が生成されないか、または比較的弱い電界が生成され、誘電体層114は疎水性状態のままであり得る。前述のように、非極性液体118は、複数の感知部102の面積の50%以上を覆うことができ、一方、極性液体120は、誘電体層114によってはじかれることができる。非極性液体118の配置は、従来のイメージセンサの固体マイクロレンズと同様に見える可能性があることに留意されたい。高輝度の環境では、この電圧の範囲においてイメージセンサ20により撮像された画像は、十分な解像度を示している可能性がある。しかしながら、低輝度の環境では、この電圧の範囲においてイメージセンサ20により撮像された画像は、見るには暗すぎる可能性がある。従って、追加の手順がこの問題に対処するために必要となる。
【0049】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1の動作状態におけるイメージセンサ20の上面図である。図4Aは、図4Bの線A-A’から得られた断面図であることに留意されたい。図4Bでは、複数の液体レンズユニットの一部が示されている。説明のために、画素壁122、上部電極124、およびカバープレート126は省略されている。いくつかの実施形態では、複数の液体レンズユニットは、画素壁122のグリッド構造によって区画化されている(簡略化のため図示せず)。前述のように、誘電体層114は、互いに非混和性である非極性液体118(カラー液体118-1、カラー液体118-2、およびカラー液体118-3を含む)と極性液体120との接触面を提供することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、誘電体層114は、下部電極112上に配置され、これにより下部電極112が完全に覆われる。下部電極112のパターンおよびその相対位置は破線で示されている。第1の動作状態下では、非極性液体118は、複数の感知部102(図示せず)の面積の50%以上を覆うことができることに留意されたい。前述のように、図4Aおよび図4Bに示す構造は、高輝度の環境で動作するのに十分効率的であるが、低輝度の環境で動作するにはさらに手順が必要である。
【0050】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサ20の断面図である。図4Aと比較して、図5Aは、電源130が15V超えの電圧を供給したときの、第2の動作状態におけるイメージセンサ20の挙動を示している。基板100、複数の感知部102、複数のディープトレンチアイソレーション構造104、反射防止層106、および複数の液体レンズユニット(例えば、下部電極112、誘電体層114、非極性液体118、極性液体120、画素壁122、上部電極124、およびカバープレート126)の特徴は、図4Aに示されているものと同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるため、本明細書では再度説明されない。電源130より供給された電圧が15V超えに増加されたとき、比較的強い電界が誘電体層114の表面に生成される。本開示のいくつかの実施形態によれば、この比較的強い電界は、誘電体層114を疎水性状態から親水性状態に徐々に変えることができる。
【0051】
図5Aに示すように、電圧が上昇すると、誘電体層114は極性液体120を引き付け始め、非極性液体118(カラー液体118-1、カラー液体118-2、およびカラー液体118-3を含む)をはじき始める。はじかれた非極性液体118は、比較的弱い(または実質的に全くない)電界を有する誘電体層114上の孤立した領域、即ち下方にある下部電極112の複数の孔112Hに対応する領域に送り込まれる(driven into)ことができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、非極性液体118は、15V超えの電圧が印加されたときよりも15V以下の電圧が印加されたときに、誘電体層114上でより多くの面積を占める。図5Aに示されるように、非極性液体118は、複数の感知部102の面積の50%以下を覆うことができる。図5Aの構成は、非常に大量の入射光が、複数の液体レンズユニットを介して収束されることなく、イメージセンサ10に入射するようにさせる。
【0052】
図5Bは、本開示のもう1つの実施形態による、第2の動作状態におけるイメージセンサの上面図である。図5Aは、図5Bの線A-A’から得られた断面図であることに留意されたい。図4Bと比較して、図5Bは、電源130が15V超えの電圧を供給したときの、第2の動作状態におけるイメージセンサ20の挙動を示している。下部電極112、誘電体層114、非極性液体118(カラー液体118-1、カラー液体118-2、およびカラー液体118-3を含む)、および極性液体120の特徴は、図4Bに示されているものと同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるため、本明細書では再度説明されない。誘電体層114の表面に生成された電界により、非極性液体118は、下方にある下部電極112の複数の孔112Hに対応する誘電体層114上の孤立した領域にはじかれている。前述のように、非極性液体118は、15V以下の電圧が印加されたときよりも15V超えの電圧が印加されたときに、誘電体層114上でより多くの面積を占める。いくつかの実施形態では、そのより小さい領域は、複数の孔112Hに対応する。
【0053】
低輝度の環境では、約0V~15V間の電圧で生成された画像は、比較的低い輝度のカラーとなり、15V超えの電圧で生成された画像は比較的高いコントラストの白黒となる。発明者は、図3で説明したのと同じアルゴリズムを用いて、カラー画像と白黒画像を結合して最終画像にする。イメージセンサ10と同様に、イメージセンサ20の最終画像は、高輝度の環境で任意の従来のイメージセンサによって撮像された画像と同じ品質を示す。言い換えれば、低輝度の環境で異なる電圧において2つの画像を結合すると、高輝度の環境で撮像された画像の品質を実現することができる。
【0054】
低輝度の環境では、イメージセンサ10およびイメージセンサ20の両方が、異なる電圧レベルで撮像された2つの画像を生成し、結合することができる。イメージセンサ10またはイメージセンサ20のいずれかによって生成された最終画像は、高輝度の環境において従来のイメージセンサによって撮像された画像と同じ品質を有する。イメージセンサ20は、複数のカラーフィルタユニットを複数の液体レンズユニットに統合することにより、全体の構造を簡素化することができ、製造コストを下げることができる。それにもかかわらず、非極性液体自体が透明であっても、顔料が注入されている非極性液体は、薬液の異なる屈折および波長により、複数のカラーフィルタユニット110からわずかな色の変化を依然として示す可能性がある。設計またはアプリケーションの要件に応じて、2つのイメージセンサ構造のいずれかが選択されて、低輝度の環境で高品質の画像を生成することができる。
【0055】
前述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できる。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は特許請求の範囲を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0056】
本明細書全体にわたる特徴、利点、または同様の用語への言及は、本開示で実現され得る全ての特徴および利点が、本開示の任意の単一の実施形態で実現されるべきまたは実現され得ることを意味するのではない。むしろ、特徴および利点に言及する用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。従って、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに類似の用語の議論は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指すことがある。
【0057】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、本開示の説明された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。当業者は、本明細書の説明に基づいて、特定の実施形態の1つまたは複数の特定の特徴または利点なしに本開示を実施できることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての実施形態に存在しない可能性がある、追加の特徴および利点が特定の実施形態において認識され得る。
【符号の説明】
【0058】
10 イメージセンサ
20 イメージセンサ
100 基板
102 複数の感知部
104 複数のディープトレンチアイソレーション(DTI)構造
106 反射防止層
108 スペーサ構造
110 複数のカラーフィルタユニット
112 下部電極
112H 孔
112M フィルム部
114 誘電体層
116 非極性液体
118 非極性液体
118-1 カラー液体
118-2 カラー液体
118-3 カラー液体
120 極性液体
122 画素壁
124 上部電極
126 カバープレート
130 電源
A-A’ 線
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B